説明

置換ジケトピペラジンオキシトシンアンタゴニストとしてのその使用

本発明は、式(I):


[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イルであり、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリノを意味する]
で示される化合物、その製造方法、それを含む医薬組成物および医薬におけるその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、オキシトシン受容体で強力かつ選択的なアンタゴニスト作用を有する新規ジケトピペラジン誘導体、その製造方法、それを含有する医薬組成物および医薬におけるその使用に関する。
【0002】
ホルモンオキシトシンは、強力な子宮の収縮剤であり、陣痛の誘発または増幅に用いられる。また、子宮オキシトシン受容体の密度は、妊娠期間および陣痛のピーク時(早期および出産陣痛)の間には、100倍以上に著しく増加する。
早産/早期陣痛(24〜37週の間)は、約60%の乳児死亡/発病を引き起こし、かくして、オキシトシンの子宮作用を阻害する化合物、例えばオキシトシンアンタゴニストは、早期陣痛の予防または制御に有用である。
【0003】
国際特許出願PCT/EP02/14823は、オキシトシン受容体で選択的アンタゴニストとして特に有用なレベルの活性を示す一群のジケトピペラジン誘導体を記載している。そこに記載されている好ましい群の化合物は、式A:
【化1】

により示されている。かかる化合物は、とりわけ、Rが2−インダニルであり、RがC3−4アルキルであり、Rが、環の炭素原子を介して分子の残りの部分に結合する、5または6員のヘテロアリール基であり、Rが、NR基(式中、RおよびRは、各々、アルキル、例えばメチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3〜7員の飽和ヘテロサイクリック環を形成し、該ヘテロサイクルは、酸素から選択される付加的なヘテロ原子を含有していてもよい)である化合物を含む。
【0004】
本発明者らは、この度、特に有利な薬物動態特性を示す新規な一群の選択的オキシトシン受容体アンタゴニストを見出した。
【0005】
かくして、本発明は、式(I):
【化2】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イルであり、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になってモルホリノを意味する]
で示される化合物を提供する。
【0006】
基は、不斉炭素原子を含有し、本発明は、各々のエナンチオマーおよびラセミ体を含むその混合物を含む。
本発明の好ましい化合物は、実施例1にその製造方法が特定して記載される化合物である。
【0007】
式(I)で示される化合物は、ラットおよびヒトの子宮においてオキシトシン受容体に対して高いアフィニティーを有し、これは慣用的な方法を用いて測定することができる。例えば、ラットの子宮におけるオキシトシン受容体に対するアフィニティーは、Pettibone et al, Drug Development Research 30. 129-142 (1993)の方法により測定することができる。また、本発明の化合物は、CHO細胞におけるヒト組み換えオキシトシン受容体で高いアフィニティーを示し、これは、Wyattetal. Bioorganic & Medicinal ChemistryLetters, 2001(11) p1301-1305に記載された方法を用いて、慣用的に証明することができる。
【0008】
また、本発明の化合物は、i.v.またはp.o.により投与された場合の、良好な生物学的利用能および低い固有クリアランス、加えて、2C9を含むP450酵素に対して良好な安定性および良好な水への溶解度を含む、有利な薬物動態特性を示す。
【0009】
したがって、本発明の化合物は、オキシトシンの作用により介在される疾患および/または症状の治療または予防に有用である。疾患および/または症状の例としては、早期陣痛、月経困難症、子宮内膜症および良性前立腺過形成が挙げられる。
【0010】
また、該化合物は、帝王切開手術を選択する前に、または三次医療センターに患者を輸送するために陣痛を遅らせること、性機能不全、特に早漏、肥満症、摂食障害、鬱血性心不全、動脈性高血圧、肝硬変、腎臓性高血圧または高眼圧症、強迫性障害および精神神経障害の治療に有用でありうる。また、本発明の化合物は、哺乳動物、例えば家畜の出生率を改善するのにも有用でありうる。
【0011】
したがって、本発明は、治療における式(I)で示される化合物の使用、特に、オキシトシン受容体におけるオキシトシンの作用に拮抗するための医薬としての使用を提供する。
また、本発明は、オキシトシン受容体におけるオキシトシンの効果に拮抗するための医薬の製造における式(I)で示される化合物の使用を提供する。
【0012】
さらなる態様により、また、本発明は、オキシトシン受容体におけるオキシトシンの効果に拮抗する方法であって、それを必要とする患者に、拮抗性である量の式(I)で示される化合物を投与することを含む方法を提供する。
本明細書において、治療なる言及は、確立した疾患または兆候の治療と同様に予防にも及ぶことは当業者により明らかだろう。
【0013】
さらに、治療における使用に必要とされる本発明の化合物の量は、治療される症状の性質、投与経路および患者の年齢および症状に応じて変化し、最終的に、主治医の判断により決定されるだろうことは明らかだろう。しかしながら、一般的に、ヒトの治療に用いられる投与量は、典型的には、投与経路に応じて、1日あたり2〜800mgの範囲であるだろう。
かくして、非経口投与に関して、1日あたりの投与量は、典型的には、1日あたり2〜50mg、好ましくは5〜25mgの範囲であるだろう。経口投与に関して、1日の投与量は、典型的には、10〜800mg、例えば1日あたり20〜150mgであるだろう。
【0014】
望ましい投与量は、有利には、単回投与または適当な間隔での分割投与、例えば1日あたり2、3、4またはそれ以上のサブ投与で提供することができる。
治療における使用に関して、本発明の化合物は、そのままの化学物質として投与することが可能であるが、活性成分は医薬処方として提供することが好ましい。
【0015】
かくして、本発明は、さらに、式(I)で示される化合物を、1種以上の医薬上許容される担体と、および、所望により、他の治療剤および/または予防成分と一緒に含む医薬処方を提供する。担体は、処方の他の成分と適合し、その受容者に有害でないという意味で許容されなければならない。
【0016】
本発明の組成物は、特に、経口、口腔、非経口、吸入もしくは注入、埋め込みまたは直腸投与用に処方された形態のものを含む。
【0017】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、慣用的な賦形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、でんぷん粘液またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、糖、微結晶セルロース、トウモロコシでんぷん、カルシウムリン酸塩またはソルビトール;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモデンプンまたはナトリウムスターチグリコレートまたは湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、当該分野によく知られた方法によりコートすることができる。経口液体製剤は、例えば水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または、使用前に水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供することもできる。かかる液体製剤は、慣用的な添加剤、例えば懸濁化剤、例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは硬化食用油;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノ−オレアートまたはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含んでいてもよい)、例えばアーモンド油、ひまし油、油性エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;可溶化剤、例えば界面活性剤、例えばポリソルベートまたは他の薬剤、例えばシクロデキストリン;および保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはアスコルビン酸を含有していてもよい。また、組成物は、例えば、慣用的な坐剤基剤、例えばココアバターまたは他のグリセライドを含有する坐剤として処方することもできる。
【0018】
口腔投与に関して、組成物は、慣用的な方法で処方される、錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
本発明の組成物は、注射または持続注入による非経口投与用に処方することができる。注射用処方は、アンプルまたは付加的な保存剤を含有する複数回投与容器中のユニット投与形態で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態であってもよく、処方剤、例えば懸濁化剤、安定化剤および/または崩壊剤を含有していてもよい。別法として、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば滅菌発熱物質不含水で復元するための乾燥形態であってもよい。
【0019】
本発明の組成物は、0.1〜99%の活性成分、有利には、錠剤およびカプセルの場合は1〜50%、ならびに液体製剤の場合には3〜50%の活性成分を含有していてもよい。
本発明の化合物の有利な薬物動態特性は、生物活性化合物の薬物動態特性を測定するための慣用的な方法を用いて容易に測定される。
【0020】
式(I)で示される化合物は、カルボン酸(II)
【化3】

[式中、R、RおよびRは、式(I)の記載と同意義である]
またはその活性化誘導体を、アミンNHR(式中、NRは、式(I)の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその混合無水物およびアミンHNRからのアミドの調製に関する標準的な条件下で反応させることにより調製することができる。
【0021】
かくして、式(I)で示されるアミドは、式(II)で示されるカルボン酸を、活性化剤、例えばBOP(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、BOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロライド)またはオキサリルクロライドで、非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン中、所望により、第三級アミン、例えばトリエチルアミンの存在下で処理し、ついで、かくして形成した生成物をアミンNHRと反応させることにより調製することができる。
【0022】
別法として、式(I)で示されるアミドは、カルボン酸(II)から誘導した混合無水物を、アミンNHRと、非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフランと反応させることにより調製することができる。有利には、反応は、低温、例えば約−78℃で行われる。混合無水物は、有利には、カルボン酸(II)を、適当な酸クロライド、例えば塩化ピバモイルと、非水性溶媒、例えば酢酸エチル中、第三級有機塩基、例えばトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下、低温、例えば約−78℃で反応させることにより調製することができる。
【0023】
また、式(I)で示される化合物は、式(III):
【化4】

(式中、RおよびRは、式(I)の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルである)
で示される化合物を、カルボニルジイミダゾールまたはチオカルボニルジイミダゾールと、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で反応させ、ついで、得られた生成物をアミンHNRと反応させることにより調製することができる。
【0024】
式(II)で示される化合物は、Rが2−ヒドロキシフェニルである式(III)で示される化合物から、カルボニルジイミダゾールまたはチオカルボニルジイミダゾールと、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で反応させ、ついで、形成した生成物を水性アセトンと反応させることにより調製することができる。
【0025】
が2−ヒドロキシフェニルである式(III)で示される化合物は、Rが2−ベンジルオキシフェニル基である対応する式(III)で示される化合物から、水素およびパラジウム触媒を用いて水素化分解することにより調製することができる。
【0026】
が2−ベンジルオキシフェニル基である、式(III)で示される化合物は、有利には、以下に記載する方法により調製することができる。
かくして、式(III)で示される化合物は、式(IV):
【化5】

[式中、R、RおよびRは、式(I)の記載と同意義であり、Rは、2−ベンジルオキシフェニルであり、RはN−ベンジルオキシカルボニルである]
で示される化合物から、炭素担持パラジウム触媒および酢酸の存在下で水素と反応させることにより調製することができる。この反応は、有利には、溶媒、例えばエタノールまたはトリフルオロエタノールまたはその混合物中で行われる。
【0027】
式(IV)で示される化合物は、アミノエステル塩酸塩(V):
【化6】

[式中、Rは、式(I)の記載と同意義である]
を、Rが式(I)の記載と同意義であるアルデヒドRCHO(VI)と、トリエチルアミンの存在下、溶媒、例えばトリフルオロエタノール中で反応させ、ついで、得られた生成物を、化合物(VII):
【化7】

[式中。Rは、式(I)の記載と同意義であり、Rは、ベンジルオキシカルボニルである]
およびイソシアニドCNR(Vlll)(式中、Rは2−ベンジルオキシフェニル基である)と、溶媒、例えばトリフルオロエタノール中で反応させることにより調製することができる。
【0028】
(S)または(R)立体配置を有する、Rが1−メチルプロピル基である式(I)で示される化合物は、R基が必要とする(S)または(R)立体配置を有するアミノエステル(V)で出発することにより調製することができる。
【0029】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって、本発明の具体例を限定するものではない。
【0030】
一般的な精製および分析方法
分析HPLCは、水中0.1%のHCOHおよび0.01Mの酢酸アンモニウム(溶媒A)およびアセトニトリル中0.05%のHCOH、5%の水(溶媒B)で溶出する、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cm×4.6mmID)で、流速3ml/分で、以下の溶出勾配、0〜0.7分0%B、0.7〜4.2分0%〜100%B、4.2〜5.3分100%B、5.3〜5.5分0%Bを用いて行った。質量スペクトル(MS)は、Micromass series 2またはWaters ZQ質量分析計でエレクトロスプレーポジティブ(ES+veで、MHおよびM(NH分子イオンを得る]またはエレクトロスプレーネガティブ[(ES−veで、(M−H)分子イオンを得る]モードを用いて、Fisons VG Platform分析計で測定した。HNMRスペクトルは、外部標準としてテトラメチルシランを用いて、Bruker DPX 400MHz分光計で測定した。BiotageTMクロマトグラフィーは、Dyax Corporationにより販売されている装置(Flash 40iまたはFlash 150iのいずれか)およびKPSilを予備充填したカートリッジを用いて行う精製を意味する。質量指定オートプレップは、物質を、流速8ml分−1で、勾配溶出を利用して、水中0.1%のHCOHおよび95%のMeCN、5%の水(0.5%のHCOH)を用いるHPLCABZ+5μmカラム(5cm×10mm i.d.)の高速液体クロマトグラフィーにより精製する方法を意味する。Gilson 202−フラクションコレクターは、VG Platform Mass Spectrometerで所望の質量を検出することにより開始された。
【0031】
疎水性フリットは、Whatmanにより販売されている濾過チューブである。SPE(固相抽出法)は、International Sorbent Technology Ltd.により販売されているカートリッジの使用を意味する。TLC(薄層クロマトグラフィー)は、Merckにより販売されているシリカゲル60F254でコートされたTLCプレートの使用を意味する。OasisTMは、Corporationにより販売されている、Waters(登録商標)OasisTMHLB抽出カートリッジを意味する。
【0032】
中間体1
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)アセトアミド
ジクロロメタン(150ml)中の(D)−アロイソロイシンメチルエステル塩酸塩(5.0g)の激しく撹拌した溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150ml)を加えた。得られた二層系を、疎水性フリットを用いて分離し、水相を、ジクロロメタン(50ml)で2回洗浄した。合したジクロロメタン相を、メタノール(200ml)で希釈し、(2R)−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ](2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)エタン酸(14.64g)を加え、混合物を1時間激しく撹拌して溶液を得た。溶液を蒸発させ、残渣を1:1のトリフルオロエタノール/メタノール(140ml)の混合物に溶解し、ついで、2−ベンジルオキシフェニルイソシアニド(9.43g)を、ついで、2−メチル−4−ホルミルオキサゾール(5.0g)を加え、反応物を4日間室温にて撹拌した。混合物を蒸発させ、残渣をエタノール(500ml)中に溶解し、炭素担持パラジウム(4.0g)および酢酸(10ml)を加え、反応混合物を3時間水素雰囲気下で撹拌した。さらに、新たな炭素担持パラジウム(4.0g)および酢酸(20ml)を加え、反応混合物を、さらに16時間水素雰囲気下で撹拌した。混合物をセライトにより濾過し、蒸発させ、残渣を酢酸エチル(300ml)中に溶解し、水(2×100ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100ml)およびブライン(100ml)で洗浄し、ついで、疎水性フリットに通し、蒸発させた。粗生成物を、酢酸エチル(100%〜0%):メタノールにより溶出するカラムクロマトグラフィー(シリカ)により精製して、2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)アセトアミド(11.8g51%)を得た。
HPLC Rt=3.2分;m/z[M+H]=517
同様に、(D)−イソロイシンメチルエステル塩酸塩から調製した。
【0033】
中間体2
2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1R)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)アセトアミド
HPLC Rt=3.17および3.22分;m/z[M+H]=517
【0034】
中間体3
{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)酢酸
カルボニルジイミダゾール(352mg、1.6等量)を、ジクロロメタン(20mL)中の2−{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}−N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)アセトアミド(11.8g、減圧下P10で24時間予備乾燥した)の溶液に加え、溶液を室温で16時間静置した。混合物を蒸発させ、残渣をアセトン(20ml)中に溶解し、水(20ml)を加え、ついで、2NのHCl(2ml)を添加して、混合物を室温にて4.5時間静置した。これを酢酸エチル(2×30ml)で溶出し、合した有機相を疎水性フリットにより乾燥し、蒸発させた。残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解し、2NのHCl(2×10ml)により洗浄し、ついで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×15ml)で抽出した。合した水相を、2NのHClで酸性化し、酢酸エチル(2×20ml)で抽出し、合した有機相をブラインで洗浄し、疎水性フリットにより乾燥し、蒸発させて、{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)酢酸(0,355mg,73%)を白色固体として得た。
HPLC Rt=3.0および3.1分;m/z[M+H]=426
【0035】
同様に中間体2から調製した。
{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1R)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)酢酸(中間体4)
HPLC Rt=3.14分;m/z[M+H]=426
【0036】
実施例1
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン
ジイソプロピルエチルアミン(100mg3.3等量)、pyBOP(159mg、1.3等量)およびモルホリン(102μL、5等量)を、ジメチルホルムアミド(2ml)中の{(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ジオキソ−1−ピペラジニル}(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)酢酸(100mg)の溶液に連続して加え、混合物を4日間室温にて撹拌した。反応物をジクロロメタン(10ml)で希釈し、2NのHCl(10ml)を加えた。有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で洗浄し、フリットで乾燥し、蒸発させた。残渣を分取HPLCにより精製して、(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン(9mg)を無色の固体として得た。
HPLC Rt=2.8分;m/z[M+H]=495
HNMR(CDCl)δ7.72(s,1H),7.26−7.15(m,4H),6.93(d,1H),6.30(s,1H),4.18(d,1H),4.06(dd,1H),3.70−3.30(m,8H),3.17−3.10(m,3H),2.98−2.86(m,1H),2.81−2.75(m,1H),2.49(s,3H),1.69−1.60(m,1H),1.50−1.43(m,1H),1.05−0.95(m,1H),0.80−0.75(m,6H)
同様に、中間体4およびモルホリンから調製した。
【0037】
実施例2
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1R)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン
HPLC Rt=2.92分;m/z[M+H]=495
【0038】
実施例3
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン
500mLの丸底フラスコ中の(2R)−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ](2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)エタン酸(35.84g、0.110mol)を、2,2,2−トリフルオロエタノール(165mL)で、ついで、メタノール(55ml)およびトリエチルアミン(11.13g、15.33mL、0.110mmol)で処理し、スラリーを溶解するまで3.5時間撹拌した。ついで、溶液を、分離漏斗中の(D)−アロイソロイシンメチルエステル塩酸塩(20g、110mol)に加えた。スラリーを溶解するまで撹拌した。ついで、2−メチル−4−ホルミルオキサゾール(12.24g、0.110mmol)ついで、2−ベンジルオキシフェニルイソシアニド(23.04g、0.110mmol)を加えた。ついで、暗褐色反応混合物を20〜25℃で24時間撹拌した。ついで、溶液を減圧下で、約130mLの溶液に、減圧蒸留することにより濃縮した。溶液を、ジクロロメタン(200mL)で希釈し、水(2×200mL)で洗浄した。ついで、有機相をN−メチルピロリジノン(460mL)で希釈し、ジクロロメタンを、減圧下40℃で2時間撹拌することにより除去した。ついで、酢酸(46mL)を、ついで、炭素担持パラジウム触媒(69.0gの10%Pdwt,57%水,Johnson Matthey type 87L)を加え、混合物を、水素バルーン条件下で2時間速く撹拌することにより水素化した。ついで、反応混合物を濾過し、酢酸エチル(960mL)で洗浄し、3%w/vの塩化ナトリウム水溶液(960mL)で洗浄した。二層混合物を濾過し、有機相を分離し、3%w/vの塩化ナトリウム水溶液(2×960mL)で洗浄した。ついで、有機溶液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、常圧蒸留により濃縮して、385mLの溶媒を除去した。濃縮溶液を、20〜25℃で、1,1’−カルボニルジイミダゾール(21.46g、0.132mol)で処理し、20〜25℃で1時間撹拌し、ついで、水(290mL)で処理し、20〜24℃で24時間激しく撹拌した。混合物を静置し、酢酸エチル層を分離し、廃棄した。水相を酢酸エチル(290mL)で洗浄し、混合物を静置し、水相を分離し、pH1〜2に、濃塩酸(18mL)を添加することにより酸性化した。ついで、水相を、酢酸エチル(290mL、ついで、145mL)中に抽出した。ついで、合した酢酸エチル溶液を、蒸発蒸留により、約93mLの容量まで濃縮した。ついで、この溶液を、テトラヒドロフラン(62mL)で希釈し、トリエチルアミン(11.02g、15.20mL、0.109mol)で処理し、−78℃に冷却した。ついで、溶液をトリメチルアセチルクロライド(4.81g、4.92mL、39.90mmol)と反応させ、−78℃で7時間撹拌した。ついで、反応混合物を、テトラヒドロフラン(23mL)中のモルホリン(15.82g、15.83mL、0.181mol)の溶液で処理し、−78℃で1時間20分撹拌し、ついで、20〜25℃に加温した。ついで、溶液を酢酸エチル(76mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×153mL)、ついで、水(153mL)で洗浄した。ついで、有機溶液を酢酸エチル(54mL)で希釈し、蒸発で69mLの容量まで蒸留した。ついで、溶液を20〜25℃に冷却し、これにより標題化合物が結晶化した。ついで、スラリーをさらに0℃まで冷却し、ついで、標題化合物を濾過により単離し、吸引して乾燥した。収率8.92g。
【0039】
医薬実施例
これらの実施例は、本発明の化合物を含有する、代表的な投与用医薬処方の製造方法を説明する。
【0040】
A.非経口処方
【表1】

【0041】
本発明の化合物を、アルコール中に分散させ、プロピレングリコールに加熱して溶解させた。ついで、水性成分を撹拌しながら加え、10mLのI.V.溶液を得た。溶液は、適当な手段、例えば無菌濾過またはオートクレーブにより滅菌することができる。
これは、ボーラスにより投与するか、あるいは例えば生理食塩水を含有する輸液バッグに希釈することができる。
【0042】
B.経口投与用カプセル
【表2】

【0043】
上記した成分は混合し、各々100mgを含有するゼラチンカプセルに調合する。
【0044】
C.経口投与用錠剤
【表3】

【0045】
ステアリン酸マグネシウムを除く上記した成分を合し、混合する。ついで、ステアリン酸マグネシウムを加え、処方を混合する。処方を、適当な打錠機を用いて錠剤に形成する。
【0046】
オキシトシンアンタゴニスト活性の測定
アッセイ全体にわたって用いたアッセイバッファー:50mMのHEPES、10mMのMgCl、0.125mg/mlのBSA、pHはKOHで7.4に調製した。
hOT−CHO膜を、アッセイバッファー中0.3mg蛋白質/mlの濃度に調製した。試験化合物を、最初に、DMSO中に溶解し(10mMにする)、DMSO(Beckman Biomek FX)で希釈した。1μlの化合物を、Biomek FXを用いるblack 384アッセイプレート(NUNC)に移した。20μlのアッセイバッファー中1nMのBodipy TMR Oxytocin(Perkin Elmer)を、すべてのウェルに加え(Labsystems Multidrop)、ついで、20μlの膜を、すべてのウェルに加えた(Multidrop)。プレートを、室温で60分間インキュベーションした。
【0047】
偏光は、LJL Analyst(λEx=535nm、λEm=580nM、λDichroic=555nm)で読み取った。データを、4パラメータロジスティック方程式に適用した。推定Kiを、IC50/5として計算した。
上記した本発明の実施例1および2の試験化合物は、それぞれ、9.0および8.2のpKi値を有していた。
本発明の化合物は、本質的に、治療的に活性な投与量で非毒性である。実施例1の化合物を、7日間30mg/kgの投与量でラットに投与したが、有害な毒性効果は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Rは2−インダニルであり、Rは1−メチルプロピルであり、Rは2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イルであり、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリノを意味する]
で示される化合物。
【請求項2】
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン。
【請求項3】
(3R,6R)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−1−[(1R)−1−(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)−2−(4−モルホリニル)−2−オキソエチル]−6−[(1R)−1−メチルプロピル]−2,5−ピペラジンジオン。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物を、1種以上の医薬上許容される担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項5】
オキシトシン受容体においてオキシトシンの効果に拮抗するための医薬の製造における、請求項1記載の式(I)で示される化合物の使用。
【請求項6】
オキシトシンの作用により介在される疾患または症状の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の式(I)で示される化合物を投与することを含む方法。
【請求項7】
式(I)で示される化合物の製造方法であって:
(a)式(II):
【化2】

[式中、R、RおよびRは、請求項1の記載と同意義である]
で示される化合物またはその混合無水物を、アミンNHR(式中、RおよびRは、請求項1の記載と同意義である)と、カルボン酸またはその混合無水物およびアミンからアミドを調製する標準的な条件下で反応させること;
(b)式(III):
【化3】

[式中、R、RおよびRは、請求項1の記載と同意義であり、Rは2−ヒドロキシフェニルである]
で示される化合物を、カルボニルジイミダゾールまたはチオカルボニルジイミダゾールと、適当な溶媒中で反応させ、ついで、形成した生成物を、アミンNHR(式中、RおよびRは、式(I)の記載と同意義である)と反応させること;
を含む方法。

【公表番号】特表2009−513484(P2009−513484A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516041(P2006−516041)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006814
【国際公開番号】WO2005/000840
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】