説明

置換スピロベンズアゼピン

本発明は、バソプレシン受容体活性に関連した病気、例えば血管抵抗の増大を伴う病気などを治療するバソプレシン受容体アンタゴニストとして用いるに有用な式(I)で表される置換ベンズアゼピン(ペプチドではない)に向けたものであり、ここでは、とりわけ心不全(うっ血性心不全を包含)、低ナトリウム血症および高血圧を開示する。また、式(I)で表される化合物を含有させた薬剤組成物そして高血圧、うっ血性心不全、心不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、低ナトリウム血症、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳水腫、脳虚血、卒中、血栓症または水うっ滞などの如き病気を治療する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチドではない新規な置換スピロベンズアゼピンに関し、これは例えばバソプレシン受容体のアンタゴニストなどとして用いるに有用である。
【背景技術】
【0002】
バソプレシンは、下垂体後葉から主に分泌されるノナペプチドホルモンである。このホルモンは血管のV−1および腎のV−2受容体サブタイプを通して作用する。バソプレシンの機能には、子宮、膀胱および平滑筋の収縮、肝臓におけるグリコーゲン分解の刺激、血小板凝固の誘発、下垂体前葉からのコルチコトロピンの放出、そして腎臓の水再吸収の刺激が含まれる。バソプレシンは中枢神経系(CNS)内の神経伝達物質として攻撃的挙動、性的挙動、ストレン反応、社会的挙動および記憶に影響を与え得る。V−1a受容体は、バソプレシンの中枢神経系効果、平滑筋収縮効果および肝臓糖原分解効果を媒介する一方、V−1b受容体はバソプレシンの下垂体前葉効果を媒介する。V−2受容体(これは恐らくは腎臓のみに存在する)は、アデニレートシクラーゼを刺激することでバソプレシンが示す抗利尿作用に影響を与える(非特許文献1)。
【0003】
血漿のバソプレシン濃度が高くなることがうっ血性心不全の病因にある役割を果たしていると見られる(非特許文献2)。うっ血性心不全の治療に向けた進展として、うっ血性心不全を伴う意識のあるイヌにおいて、ペプチドではないバソプレシンV−2受容体アンタゴニストによって低浸透圧自由水利尿が誘導されかつ末梢抵抗が低下した(非特許文献3)。特定の病理状態では、所定の浸透圧で血漿のバソプレシン濃度が不適切に高くなる結果として腎の水うっ滞(renal water retention)および低ナトリウム血症がもたらされる可能性がある。水腫状態(肝硬変、うっ血心不全、腎不全)に関連した低ナトリウム血症は、抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)を伴い得る。SIADHを伴うラットをバソプレシンV−2アンタゴニストで処置すると現存の低ナトリウム血症が補正された(非特許文献4)。バソプレシンV−1アンタゴニストは効力のある高血圧治療薬として血圧も同様に下げるが、これはある程度ではあるが血管系の中でバソプレシンがこれのV−1受容体の所で示す収縮作用によるものである。公知のバソプレシン受容体アンタゴニストには、YM−087(Yamanouchi)、VPA−985、WAY−140288およびCL−385004(American Home Products);SR−121463(Sanofi−Synthelabo)、およびOPC 31260、OPC 41061およびOPC 21268(Otsuka)が含まれる。
【0004】
従って、バソプレシン受容体アンタゴニストは高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全/心不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳水腫および虚血、卒中、血栓症および水うっ滞の病気で治療薬として有用である。追加的病気には、ネフローゼ症候群、中枢神経損傷、月経困難症、攻撃性、不安および強迫神経症が含まれ得る。
【非特許文献1】Liebsch,G他、Neurosci.1996、217、101
【非特許文献2】P.A.Van Zwieten、「Progr.Pharmacol.Clin.Pharmacol.」、1990、7、49
【非特許文献3】H.Ogawa、「J.Med.Chem.」、1996、39、3547
【非特許文献4】G.Fujisawa、「Kidny Int.」、1993、44(1)、19
【発明の開示】
【0005】
(発明の要約)
本発明は、下記の式I:
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
およびRの中の一方はHでありそしてもう一方はH、NR、C1−6アルコキシ、ヒドロキシまたはハロであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、HまたはC1−3アルキルであり、
は、クロロであり、
は、クロロ、フルオロ、メトキシまたはメチルである]
で表される化合物またはこれらの薬学的に受け入れられるC1−6エステル、C1−6アミドもしくはジ(C1−6アルキル)アミドまたは塩に向けたものである。
【0008】
本発明の化合物はバソプレシン受容体のアンタゴニストであり、これは一般に内耳疾患、高血圧、うっ血性心不全、心不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳水腫および虚血、卒中、血栓症、水うっ滞、攻撃性、強迫神経症、月経困難症、ネフローゼ症候群および中枢神経損傷の病気状態で用いるに有用である。
【0009】
そのような病気状態は好適には高血圧、うっ血性心不全、心不全および低ナトリウム血症から選択される。
【0010】
本発明は、また、薬学的に受け入れられる担体とこの上に記述した式Iで表される化合物のいずれかを含んで成る薬剤組成物、および式Iで表される化合物の1種以上と薬学的に受け入れられる担体を混合することで作られた薬剤組成物も特徴とする。本発明は、また、上述した化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る薬剤組成物製造方法も特徴とする。
【0011】
本発明は、更に、本発明の化合物または組成物を用いる方法も提供する。例えば、本発明の1つの態様は、バソプレシン受容体活性に関連した病気、例えばバソプレシン拮抗作用が介在する病気などの治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体に開示する化合物または開示する薬剤組成物のいずれかを治療
的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0012】
本発明の別の態様は、被験体におけるバソプレシン受容体活性に関連した病気の発病または進行を抑制する方法であり、この方法は、前記被験体に式Iで表される化合物の薬剤組成物を予防的に有効な用量で投与することを含んで成る。
【0013】
本発明の追加的具体例は、高血圧、うっ血性心不全、心不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳水腫、脳虚血、卒中、血栓症および水うっ滞から選択される病気の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体にこの上に記述した化合物または薬剤組成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。そのような病気のいずれかの治療で投与する本化合物の治療的に有効な量は、好適には1日当たり約0.05から1gである。
【0014】
本発明の他の態様および特徴を以下に行う詳細な説明、実施例および添付請求の範囲に開示する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明はペプチドではない置換スピロベンズアゼピン化合物を提供するものであり、これはバソプレシン受容体のアンタゴニストとして用いるに有用である。本置換スピロベンズアゼピン化合物は特にバソプレシンとV−1a、V−1bおよび/またはV−2受容体、好適にはV−1aおよびV−2受容体との結合を抑制する。本発明の化合物は、また、ヒトV−1aおよびV−2受容体のそれぞれを発現するトランスフェクトHEK−293細胞にアルギニンバソプレシン(AVP)を用いることで誘発させた細胞内カルシウム動員およびcAMP蓄積を抑制する能力も有することで機能的活性も示す。
【0016】
ペプチドではない本発明の置換スピロベンズアゼピン化合物はバソプレシン受容体アンタゴニストである。好適な態様における本化合物は経口活性を示す。別の好適な態様において、本化合物は、バソプレシンとV−1bの結合を妨害する度合よりも大きな度合でバソプレシンとV−1aおよびV−2の結合を妨害する能力を有する。本明細書の以下に記述する薬理学的研究の結果で示すように、本化合物は、バソプレシンと組換え型V−1aおよび/またはV−2の結合を妨害する能力を示し、従って、攻撃性、強迫神経症、高血圧、月経困難症、低ナトリウム血症、うっ血性心不全/心不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、水腫、虚血、卒中、血栓症、水うっ滞、ネフローゼ症候群、不安および中枢神経損傷の如き病気の治療または予防で用いるに有用である。
【0017】
A. 用語
下記の用語を以下に定義しそして本開示の全体に渡って用いる。
【0018】
「アルキル」には、基が生じるように水素が少なくとも1個取り除かれている場合により置換されていてもよい直鎖、分枝または環状炭化水素が含まれる。アルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、1−メチルプロピル、ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが含まれる。アルキルにはシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなども含まれる。例えば、Cアルキルには、n−プロピル、イソプロピルおよびシクロプロピルが含まれ、Cアルキルには、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチルおよびメチルシクロプロピルが含まれる。
【0019】
「アルコキシ」には、アルキル基を分子の残りにつなげている末端酸素を有する場合により置換されていてもよい直鎖、分枝または環状アルキル基が含まれる。アルコキシにはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシなどが含まれる。「アミノアルキル」、「チオアルキル」および「スルホニルアルキル」はアルコキシに類似しているが、アルコキシの末端酸素原子がそれぞれNH(またはNR)、S、SOおよびSOに置き換わっている。
【0020】
「ハロ」または「ハロゲン」には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、好適にはフルオロまたはクロロが含まれる。ハロ原子はアルキル基上に置換基として1個以上存在することで、ハロは一置換、二置換および三置換基、例えばトリフルオロメチル、トリフ
ルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメトキシまたはフルオロメチルチオなどを生じさせ得る。
【0021】
「薬学的に受け入れられる塩、エステルおよびアミド」には、有益さ/危険の比率が妥当な範囲内であり、薬理学的に有効でありかつ患者の組織に過度の毒性も刺激もアレルギー反応ももたらすことなく接触させるに適するカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステルおよびアミドが含まれる。そのような塩、エステルおよびアミドは、例えばC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、C2−10ヘテロアリール、またはC2−10非芳香複素環式塩、エステルおよびアミドなどであり得る。本発明の代表的な薬学的に受け入れられるエステルには、C1−7アルキル、C5−7シクロアルキル、フェニルおよびフェニル(C1−6)アルキルエステルが含まれる。好適なエステルにはメチルおよびエチルエステルが含まれる。他の例にはC1−6アルキル、C1−5アルキル、C1−4アルキルまたはC1−3アルキルエステルまたはアミドが含まれる。ジアルキルアミドに関するアルキル基は各々独立して選択される。
【0022】
代表的な塩には臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、しゅう酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、ホウ素酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、燐酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、こはく酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトネート(glucoheptonate)、ラクチオビオネート(lactiobionate)、メタンスルホン酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、サッカリン酸塩(saccharinnic)およびラウリルスルホン酸塩が含まれる。それらはアルカリ金属およびアルカリ土類カチオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム、亜鉛などばかりでなく、無毒のアンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオン、例えばテトラメチルアンモニウム、メチルアミン、トリメチルアミンおよびエチルアミンなどを含み得る。例えばS.M.Berge他「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、1977、66:1−19;「Handbook of Pharmaceutical Salts−Properties,Selection,and Use」、P.Heinrich Stahl、Camille G.Wermuth編集、Wiley−_VCH Publishers、チューリッヒ、スイス(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)参照。
【0023】
本発明の代表的な薬学的に受け入れられるアミドには、アンモニア、第一級C1−6アルキルアミンおよび第二級ジ(C1−6アルキル)アミンから生じるアミドが含まれる。ジアルキルアミドが有する2個のアルキル基は独立して選択可能である(例えばメチルプロピルアミド)。第二級アミンには、窒素原子を少なくとも1個含有しかつ場合により追加的ヘテロ原子を1から2個の範囲で含有していてもよい5員もしくは6員の複素環もしくは複素芳香環部分、例えばモルホリニルなども含まれる。好適なアミドはアンモニア、第一級C1−3アルキルアミンおよびジ(C1−2アルキル)アミンから生じるアミドである。
【0024】
「患者」または「被験体」には、関係した疾患または状態に関連して観察、実験、治療または予防を受けさせる必要がある哺乳動物、例えば人および動物(犬、猫、馬、ラット、ウサギ、マウス、人以外の霊長類)が含まれる。この患者または被験体は好適には人である。
【0025】
「組成物」には、指定材料を指定量で含んで成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせる結果としてもたらされる如何なる生成物も含まれる。
【0026】
「治療的に有効な量」または「有効量」(または「予防的に有効な量」)は、活性化合物もしくは薬剤が研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求する生物学的もしくは医学的反応[治療すべき病気または疾患の症状の軽減(または予防または発病の遅延もしくは抑制)を包含]を組織系、動物または人に引き出す量を意味する。
【0027】
「予防的に有効な量」は、活性化合物もしくは薬剤が研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求する生物学的もしくは医学的反応[治療すべき病気または疾患の症状の予防ま
たは発病の遅延もしくは抑制を包含]を組織系、動物または人に引き出す量を意味する。
【0028】
本開示および請求の範囲に示すいろいろな基に関して一般的所見を3つ述べる。1番目の所見は原子価に関する。あらゆる炭化水素基に関して、これらが飽和、不飽和または芳香であるかに拘らずかつこれらが環状、直鎖または分枝であるか否かに拘らず、各基には本請求の範囲の文脈で示す如き種類の置換されている基そして一価、二価および多価基が含まれ、このことはまたあらゆる複素環式基に関しても同様である。この文脈は、当該置換基がアルキレン、即ち水素原子が少なくとも2個取り除かれた炭化水素基(二価)または水素原子がより多い数で取り除かれた炭化水素基(多価)であることを示そうとするものである。
【0029】
2番目として、本明細書に定義する如き基または構造部分は置換されている基または構造部分を包含すると理解する。ヒドロカルビルには炭素と水素を含有する一価基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル(芳香または不飽和であるかに拘らず)ばかりでなく相当する二価(または多価)基、例えばアルキレン、アルケニレン、フェニレンなども含まれる。ヘテロカルビルには炭素と場合により水素と少なくとも1種のヘテロ原子を含有する一価および二価(または多価)基が含まれる。一価ヘテロカルビルの例にはアシル、アシルオキシ、アルコキシアシル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アロイル、ベンゾイル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルなどが含まれる。「アルキル」を例として用いると、「アルキル」は置換基を1個以上、例えば置換基を1から5、1から3、または2から4個有する置換アルキルを包含すると理解されるべきである。このような置換基は同じ(ジヒドロキシ、ジメチル)、類似(クロロフルオロ)または異なっていてもよい(クロロベンジル−もしくはアミノメチル置換)。置換されているアルキルの例にはハロアルキル(例えばフルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、パークロロメチル、2−ブロモエチル、トリフルオロメチルおよび3−ヨードシクロペンチル)、ヒドロキシアルキル[例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、アミノアルキル(例えばアミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピルおよび2−アミノプロピル)]、ニトロアルキル、アルキルアルキルなどが含まれる。ジ(C1−6アルキル)アミノ基には、例えばメチルプロピルアミノおよびイソプロピルメチルアミノを生じるように独立して選択されたアルキル基を含有するジアルキルアミノ基に加えて、同じアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基、例えばジメチルアミノまたはジエチルアミノなども含まれる。
【0030】
1つの態様に従い、式I中の環上の割り当てていない(例えばRでもRでもRでもRでもない)所の水素は置換されていない。
【0031】
3番目として、安定な化合物のみを意図する。
【0032】
B. 化合物
本発明は、発明の要約章に示した薬剤活性、例えば二重V1a/V2アンタゴニストとしての作用などを有する式Iで表される置換ベンズアゼピンを特徴とする。化合物の例には、(a)Rがアミノである、(b)RまたはR(または好適にはR)がC1−6アルコキシまたはC1−5アルコキシまたはC1−4アルコキシまたはC1−3アルコキシである、(c)Rまたは好適にはRがメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、シクロブトキシ、シクロプロピルメトキシまたはt−ブトキシである、(d)Rがメトキシまたはエトキシである、(e)Rがフルオロ、クロロまたはメチルである、(f)Rがフルオロまたはクロロである、(g)Rがフルオロである、(h)Rがメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシでありそしてRがフルオロ、クロロまたはメチルである、(i)RがメトキシまたはエトキシでありそしてRがフルオロ、クロロまたはメチルである、(j)RがメトキシまたはエトキシでありそしてRがフルオロまたはクロロである、(k)RがメトキシまたはエトキシでありそしてRがフルオロまたはメチルである、(l)RがメトキシまたはエトキシでありそしてRがフルオロである、(m)本化合物が式Iで表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩またはエステルである、(n)本化合物が式Iで表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩である、(o)式Iで
表される化合物がさらなる置換基を持たない、(p)本化合物のアルキルまたはアルキレン基のいずれかがハロ、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、アミノまたはシアノで置換されていてもよい、(q)RがH、ヒドロキシ、アミノ、C1−4アルコキシまたはハロである、(r)RがHである、(s)(q)と(r)が当てはまる、(t)置換基がカルボキシル上のみに存在する、(u)置換基がRとR上のみに存在する、(v)置換基が5員のスピロ環上のみに存在する、(x)(t)と(u)が当てはまる、(y)(t)と(u)と(v)が当てはまる、(z)RまたはR(または好適にはR)がアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、シクロプロピルアミノまたはイソプロピルアミノである、(aa)Rまたは好適にはRがジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、メチル(n−もしくはイソ−プロピル)アミノ、ジエチルアミノ、エチル(イソ−もしくはn−プロピル)アミノまたはジプロピルアミノである、(bb)Rがメチルアミノ、ジメチルアミノまたはエチルアミノである、または(cc)この上に示した(a)から(bb)の中のいずれか2つ、3つまたは4つの組み合わせである化合物が含まれる。
【0033】
本発明の化合物には、更に、RもまたHであってもよい化合物、またはRもまたフルオロ、ブロモ、メチル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ハロメチル、ヒドロキシ、メチルチオ(CHS−)、シクロプロピルまたはメトキシであってもよい化合物も含まれ得る。
【0034】
好適な化合物の例には下記が含まれる:
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−エトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−イソプロポキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−メトキシ−4−アミノベンゾ
イル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、および
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン。
【0035】
より好適には、本発明は、実施例6および実施例7の目標化合物から選択した化合物を特徴とするか、或は本化合物は実施例7の目標化合物であり、或は最も好適には、本発明の化合物は実施例6の目標化合物である。
【0036】
本発明は、とりわけ5位にさらなる置換基を有する末端2−クロロフェニルの方が例え
ばモノ置換2−クロロフェニルまたは2−メチル,5−フルオロ置換フェニルなどよりも二重V−1a/V−2活性にとって特に有利であると思われることを見いだしたことを特徴とする。そのような化合物は、好適には、生体利用効率が良好で肝胆毒性が低いことで選択的である。
【0037】
本発明は、また、式Iで定めるようにスピロ環が好適に(R)配置を有することを見いだしたことも特徴とする。
【0038】
本発明に従う化合物が立体中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在し得る。本化合物が立体中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとしても存在し得る。そのような異性体およびこれらの混合物の全部を本発明の範囲内に包含させると理解されるべきである。しかしながら、式Iはスピロ炭素の幾何(R)を指定しており、本発明の好適な態様は(R)のみであると考えている。関連化合物
本発明は、開示する化合物およびこの開示する化合物に密に関係した薬学的に受け入れられる形態、例えばそれの塩、エステル、アミド、酸、水化物または溶媒和形態、マスクまたは保護された形態、そしてラセミ混合物、または鏡像的または光学的に高純度の形態を提供する。関連化合物には、また、検出可能なように修飾を受けさせた本発明の化合物、例えば陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)でプローブとして用いるに適するように18Fの同位体標識を付けておいた化合物なども含まれる。
【0039】
本発明は、また、保護基でマスクされている(masked)官能基(例えばヒドロキシル、アミノまたはカルボキシル)を1つ以上有する開示した化合物も包含する。例えばGreeneおよびWuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、(1999)John Wiley & Sons、NYを参照のこと。このようなマスクまたは保護されている化合物のいくつかは薬学的に受け入れられ、他の化合物は中間体として用いるに有用であろう。本明細書に開示する合成中間体および方法そしてこれらに若干の修飾を受けさせた中間体および方法もまた本発明の範囲内である。
【0040】
ヒドロキシル保護基
ヒドロキシル基の保護にはメチルエーテル、置換メチルエーテル、置換エチルエーテル、置換ベンジルエーテルおよびシリルエーテルが含まれる。
置換メチルエーテル
置換メチルエーテルの例にはメトキシメチル、メチルチオメチル、t−ブチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、(4−メトキシフェノキシ)メチル、t−ブトキシメチルが含まれる。
置換エチルエーテル
置換エチルエーテルの例には1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニルおよびベンジルが含まれる。
置換ベンジルエーテル
置換ベンジルエーテルの例にはp−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、ジフェニルメチルが含まれる。
エステル
エーテルに加えて、ヒドロキシル基をエステルとして保護することも可能である。エステルの例には蟻酸エステル、ベンゾイル蟻酸エステル、酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、メトキシ酢酸エステル、フェノキシ酢酸エステル、p−クロロフェノキシ酢酸エステル、安息香酸エステルが含まれる。
スルホネート
スルホネートの例にはスルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネートおよびトシレートが含まれる。
【0041】
アミノ保護基
アミノ基の保護にはカルバメート、アミドおよび特殊な−NH保護基が含まれる。
【0042】
カルバメートの例にはメチルおよびエチルカルバメート、置換エチルカルバメート、補助開裂カルバメート、光分解開裂カルバメート、尿素型誘導体および雑多なカルバメートが含まれる。
カルバメート
メチルおよびエチルカルバメートの例にはメチルおよびエチル、9−フルオレニルメチルおよび4−メトキシフェナシルが含まれる。
置換エチル
置換エチルカルバメートの例には2,2,2−トリクロロエチル、2−フェニルエチル、t−ブチル、ビニル、アリル、1−イソプロピルアリル、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、p−ブロモベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジルおよびジフェニルメチルが含まれる。
光分解開裂
光分解開裂の例にはm−ニトロフェニル、3,5−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルおよびフェニル(o−ニトロフェニル)メチルが含まれる。
アミド
アミドの例にはN−ホルミル、N−アセチル、N−トリクロロアセチル、N−トリフルオロアセチル、N−フェニルアセチル、N−3−フェニルプロピオニル、N−ピコリノイル、N−3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイル、N−p−フェニルベンゾイルおよびフタロイルが含まれる。
【0043】
カルボニル基の保護
環状アセタールおよびケタール
環状アセタールおよびケタールの例には1,3−ジオキサンおよび5−メチレン−1,3−ジオキサンが含まれる。
【0044】
カルボキシル基の保護
エステル
置換メチルエステル
置換メチルエステルの例には9−フルオレニルメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、フェナシル、p−ブロモフェナシル、α−メチルフェナシルおよびp−メトキシフェナシルが含まれる。エステルの例にはまた直鎖もしくは分枝アルキルエステル、例えばt−ブチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルエステルなども含まれる。
置換ベンジルエステル
置換ベンジルエステルの例にはトリフェニルメチル、ジフェニルメチル、9−アントリルメチル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−ブロモベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、2,6−ジメトキシベンジル、ピペロニル、4−ピコリルおよびp−P−ベンジルが含まれる。
【0045】
シリルエステル
シリルエステルの例にはトリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルおよびジ−t−ブチルメチルシリルが含まれる。
【0046】
C. 合成方法
本発明は、開示した化合物を伝統的な有機合成方法ばかりでなくマトリックスもしくは組み合わせ合成方法に従って製造する方法を提供する。スキーム1−3に提案する合成経路を記述する。本分野の技術者は、これらのスキーム、以下に示す指針および実施例を用いて本発明の範囲内の所定化合物に適した類似もしくは同様な方法を開発することができるであろう。合成に関する一般的指針を次の章に示し、詳細な実験プロトコルを用いた具
体的実施例をE章の実施例に示す。背景の情報をまた2002年1月10日付けで公開されたWO 02/02531 A1(引用することによって本明細書に組み入れられる)に見ることも可能である。
【0047】
本分野の技術者は、本明細書に開示するスキームのいずれかに記述する中間体または保護された中間体化合物を購入すると本発明の化合物の合成が容易に成り得ることを認識するであろう。本分野の技術者は、更に、本発明の化合物を製造する過程のいずれかを実施している時に関係する分子のいずれかが有する敏感もしくは反応性基を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性があることも認識するであろう。これは通常の保護基、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991に記述されている保護基などを用いて達成可能である。そのような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて便利な段階で除去可能である。記述する合成経路の例には合成実施例1から16が含まれる。本実施例の目標化合物に類似した化合物も同様な経路に従って製造可能であり、多くの場合、同様な経路に従って製造した。この開示する化合物は、次の章に記述するように、基本的研究で用いるに有用でありかつ薬剤として用いるにも有用である。
【0048】
化合物7の調製はWO 02/02531 A1に説明されている化学が基になっており、これを以下に簡単に説明する。3−ベンジル−3−ホルミルメチルシクロヘキセン(商業的に入手可能であるか或は米国特許第5,753,715号の中のスキーム1に従って調製)に酸化を受けさせることで相当する酸を生じさせた。前記酸の分子内環化で3−オキソ−[5,5]−スピロ−[4,5]−ベンゾウンデセ−2’−エンを生じさせた。そのケトンにオキシムによるベックマン転位を受けさせることで立体異性体であるラクタムを生じさせた後、これをカラムクロマトグラフィーで分離することで4−アザ−3−オキソ−[6,5]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エンを得た。このラクタムに還元を受けさせることで類似ベンズアゼピンを生じさせた。このベンズアゼピンに塩化トシルおよび酸捕捉剤、例えばピリジンまたはトリエチルアミンなどを用いた保護をトシレートとして溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせてもよい。オゾン分解で3’−ホルミルスピロベンズアゼピンを生じさせることができる。そのホルミル基に公知酸化剤、例えば重クロム酸ピリジニウムなどによる処理をジメチルホルムアミド中で受けさせることで、それを酸化させてカルボン酸にした後、鉱酸、例えば塩酸または臭化水素酸などによる処理でトシル基を除去する。樟脳スルホン酸塩を選択的に結晶化させることを通して(R)−スピロベンズアゼピンカルボン酸を得ることができ、その後、それに実施例1でフィッシャーエステル化による変換を受けさせることで相当するエチルエステルを生じさせてもよい。
【0049】
またはRがH、ハロまたはアルコキシである本発明の化合物の製造はスキーム1に示す化学を用いて実施可能である。一般式1で表されるカルボン酸を購入するか或は文献に記述されている方法を用いて合成してもよく、次に、それに例えばアルキル化剤、例えば硫酸ジメチルなどおよび塩基、例えば炭酸カリウムなどを用いた処理を周囲温度から還流温度の範囲の温度の溶媒、例えばアセトンなど中で受けさせて一般式2で表されるエステルに変化させることで、それに保護を受けさせてもよい。別法として、メタノールおよび鉱酸、例えば塩酸または硫酸などを周囲温度から約60℃の範囲の温度で用いることで一般式2で表されるエステルを合成することも可能である。この一般式2で表される化合物が有するニトロ基に還元を適切な条件下で受けさせることで相当する一般式3で表されるアミンを生じさせることができるが、ここで用いる条件は、例えば接触水添を溶媒、例えば酢酸エチル、メタノールまたはエタノールなど中で触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどを用いて1から20気圧の水素ガス下で周囲温度から約60℃の範囲の温度で行うことなどである。一般式3で表されるアミンに一般式4で表される適切に置換されている塩化ベンゾイルおよび有機塩基、例えばトリエチルアミンなどを用いた変換を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることなどで相当する一般式5で表されるアミドを生じさせる。一般式4で表される塩化ベンゾイルは酸クロライドとして購入可能であるか、或は文献の方法を
用いて、それを相当するカルボン酸として合成した後、それに反応体、例えば塩化チオニルまたは塩化オクザリルなどによる処理を混ぜ物無しまたは溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で周囲温度から約60℃の範囲の温度で受けさせることで、それを酸クロライドに変化させてもよい。一般式5で表されるエステルを一般式6で表される酸クロライドに2段階で変化させることができる。最初に、前記エステルに塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどによる鹸化を水と共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で周囲温度から約80℃の範囲の温度で受けさせることでカルボン酸を生じさせることができる。次に、そのカルボン酸に反応体、例えば塩化チオニルまたは塩化オクザリルなどによる処理を混ぜ物無しまたは溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で周囲温度から約60℃の範囲の温度で受けさせることで、それを一般式6で表される酸クロライドに変化させる。その得た酸クロライドに穏やかな有機塩基、例えばトリエチルアミンなどに入れておいた化合物7による処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで一般式8で表される化合物を生じさせる。この一般式8で表される化合物に塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどによる鹸化を水と適切な共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で周囲温度から約80℃の範囲の温度で受けさせることで一般式9aで表される生成物を得る。鉱酸、例えば塩酸などによる水性処理で一般式9aで表される最終的生成物を得る。
【0050】
【化2】

【0051】
またはRがH、ハロまたはアルコキシである本発明の化合物の製造はまたスキーム2に示す化学を用いることでも実施可能である。一般式1で表されるカルボン酸を購入するか或は文献に記述されている方法を用いて合成してもよく、次に、それに反応体、例えば塩化チオニルまたは塩化オクザリルなどによる処理を混ぜ物無しまたは溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で周囲温度から約60℃の範囲の温度で受けさせることで、それを相当する一般式10で表される酸クロライドに変化させる。前記一般式10で表される化合物に化合物7および有機塩基、例えばトリエチルアミンなどによる処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで一般式11で表される化合物を生じさせることができる。この一般式11で表される化合物が有するニトロ基に還元を塩化錫(II)などの如き反応体を用いてアルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなど中で受けさせることで一般式12で表されるアミンを生じさせることができるが、但しRがアルコキサイドの時の反応生成物は元々のアルコキサイドとアルコール系溶媒に由来するアルコキサイドの混合物であり得ることを注意すべきである。一般式12で表される化合物を一般式9aで表される生成物に2段階で変化させることができる。最初に、前記アミンに一般式4で表される酸クロライド(スキーム1の説明に由来)および有機塩基、例えばトリエチルアミンなどによる処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで相当するアミドに変化
させることができる。生じた中間体に塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどによる処理を水と適切な共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で周囲温度から約80℃の範囲の温度で受けさせてもよい。鉱酸、例えば塩酸などによる水性処理で一般式9aで表される最終的生成物を得る。
【0052】
【化3】

【0053】
またはRがヒドロキシである本発明の化合物の製造はスキーム3に概略を示す化学を用いて実施可能である。一般式13で表される酸に一般式4で表される酸クロライド(スキーム1に示した説明に由来)および有機塩基、例えばトリエチルアミンなどによる処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで一般式14で表される化合物を生じさせることができた。反応体、例えば塩化チオニルまたは塩化オクザリルなどによる処理を混ぜ物無しまたは溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で周囲温度から約60℃の範囲の温度で行うことで、一般式15で表される化合物を得ることができた。この一般式15で表される化合物に化合物7および有機塩基、例えばトリエチルアミンなどによる処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで一般式16で表される化合物を生じさせることができた。この一般式16で表される化合物に塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどによる鹸化を水と適切な共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で周囲温度から約80℃の範囲の温度で受けさせることで一般式9aで表される生成物を得ることができた。鉱酸、例えば塩酸などによる水性処理で一般式9bで表される最終的生成物を得る。
【0054】
【化4】

【0055】
またはRがアミノまたは置換アミノである本発明の化合物の製造はスキーム4に概略を示す化学を用いて実施可能であった。一般式17で表される化合物は文献に報告されており、それにメタノールおよび触媒量の鉱酸、例えば硫酸または塩酸などによる処理を周囲温度から約60℃の範囲の温度で受けさせることで、それを一般式18で表される化合物に変化させることができた。次に、50−100%のヒドラジン水溶液を用いた処理を周囲温度から約80℃の範囲の温度で行うことで一般式19で表される化合物を得ることができた。次に、反応体、例えば(BOC)Oなどを周囲温度で用いて前記一般式19で表される化合物を一般式20で表される化合物に変化させることができた。触媒、例えば炭に担持されているパラジウムなどおよび1から20気圧の水素ガスを用いた水添を周囲温度から約50℃の範囲の温度の溶媒、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチルなど中で行うことで、一般式21で表される化合物を生じさせる還元を達成することができた。この一般式21で表される化合物に一般式4で表される化合物(スキーム1に示した説明による)および有機塩基、例えばトリエチルアミンなどを用いたアシル化を周囲温度から約60℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタンまたはジクロロエタンなど中で受けさせることで一般式22で表される化合物を生じさせることができた。一般式23で表される化合物を生じさせる鹸化を、塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどを水と適切な共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で用いて周囲温度から約80℃の範囲の温度で達成することができた。前記一般式23で表される化合物と化合物7を連成させて一般式24で表される化合物を生じさせる連成を、連成用反応体であるカルボジイミド、例えばDCCまたはEDCなどを周囲温度から40℃の範囲の温度の溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンまたはベンゼンなど中で用いることで実施することができた。前記一般式24で表される化合物に鉱酸、例えば塩酸または硫酸などによる処理を周囲温度から約40℃の範囲の温度の溶媒であるメタノール、エタノール、酢酸エチルなど中で受けさせることで、RとRがHである一般式25で表される化合物を得ることができた。前記一般式24で表される化合物にこの上に記述した如き処理を受けさせた後にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはプロピオンアルデヒドによる還元アミノ化をモノアルキル置換またはジアルキル置換に好都合な条件下で受けさせそして次に還元剤、例えばシアノホウ水素化ナトリウムなどによる処理を0℃から約40℃の温度の溶媒、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど中で受けさせることで、RとRがメチル、エチルまたはプロピルである一般式25で表される化合物を得ることができた。この一般式25で表される化合物に塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどによる鹸化を水と適切な共溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノールまたは溶媒の数種組み合わせなど中で周囲温度から約80℃の範囲の温度で受けさせることで一般式9cで表される生成物を得ることができた。鉱酸、例えば塩酸などによる水性処理で一般式9cで表される最終的生成物を得ることができるであろう。
【0056】
【化5】

【0057】
D. 使用および調合
前記式Iで表される化合物は、高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全/心不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳水腫、脳虚血、卒中、血栓症および水うっ滞などの病気の治療で用いるに有用である。本技術分野で公知の手順、例えば本明細書の以下に生物学実施例1−3として記述する手順などに従って有用性を調査することができる。従って、本発明は、上述した病気のいずれかの治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法を提供し、この方法は、式Iで表される化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。本化合物は通常の如何なる投与経路で患者に投与されてもよく、そのような経路には、これらに限定するものでないが、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮膚内および非経口が含まれる。
【0058】
本発明は、また、本発明の1種以上の化合物、例えば2種、3種または4種の化合物を薬学的に受け入れられる担体と一緒に含んで成る薬剤組成物も提供する。
【0059】
本発明の薬剤組成物を調製する時、式Iで表される1種以上の化合物または例えばこれの塩を活性材料1種または2種以上として薬学的担体(pharmaceutical carrier)と一緒に通常の薬剤配合技術に従って密に混合する。そのような担体の形態は投与の種類、例えば経口または非経口、例えば筋肉内投与などに依存する。本組成物を経口投薬形態で調製する時、通常の薬学的媒体のいずれも使用可能である。このよう
に、液状の経口用製剤、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液などの場合の適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などが含まれ、固体状の経口用製剤、例えば粉末、カプセル、カプレット、ゲルカップおよび錠剤などの場合に適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、顆粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。投与が容易なことが理由で錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には一般に固体状の薬学的担体を用いる。望まれるならば、錠剤に糖による被覆または腸溶性被膜による被覆を標準的な技術で受けさせてもよい。非経口投与の場合の担体は一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助するか或は防腐の目的などで他の材料を含有させることも可能である。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。本明細書に示す薬剤組成物では、投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、茶サジ1杯など当たりの活性材料含有量を、それをこの上に記述した如き有効量で送達するに必要な量にする。本明細書に示す薬剤組成物では、単位投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、座薬、茶サジ1杯など当たりの含有量を約0.1mgから1gの活性薬剤1種または2種以上にする。非限定例には0.2mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.2mg、1.5mg、2mg、3mg、5mg、7mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mgおよび500mgの投薬量が含まれる。しかしながら、このような投薬量は当該患者の要求、治療すべき病気のひどさおよび用いる化合物に応じて変わり得る。毎日の投与またはポストペリオディックドーシング(post−periodic dosing)のいずれの使用も利用可能である。
【0060】
本組成物を好適には経口、非経口、鼻孔内、舌下もしくは腸投与、または吸入またはガス注入手段による投与に適した単位投薬形態、例えば錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、非経口用無菌溶液もしくは懸濁液、計量されたエーロゾルもしくは液体スプレー、ドロップ、アンプル、オートインジェクター装置(autoinjector devices)または座薬などの形態にする。別法として、本組成物を週に1回または月に1回の投与に適した形態で提供することも可能であり、例えば、筋肉内注射に適したデポット製剤(depot preparation)を提供する時には本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などが適合し得る。固体状の組成物、例えば錠剤などを調製する場合には、主要な活性材料を薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸ジカルシウムまたはゴムなど、および他の薬学的希釈剤、例えば水などと一緒に混合することで、本発明の化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物(preformulation compositions)を生じさせる。そのような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、前記組成物を等しく有効な投薬形態物、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分することができるように活性材料が前記組成物の全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、この固体状の予備調合組成物を細分して本発明の活性材料の含有量が0.1から約1000mgまたはそれ以上の前記種類の単位投薬形態物にする。本開示組成物の錠剤またはピルに被覆を受けさせるか或は他の様式で配合することで作用が長期であると言った利点を示す投薬形態物を生じさせることができる。例えば、錠剤またはピルが内部の投薬成分と外側の投薬成分を含んで成っていて後者が前者を封じ込めている形態にすることも可能である。この2つの成分を腸溶性層[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗しかつ内部の成分が無傷のまま通過して十二指腸の中に入ることを可能にする働きするか或は放出を遅らせる働きをする]で分離してもよい。そのような腸溶性層または被膜としていろいろな材料を用いることができ、そのような材料にはいろいろな高分子量酸が含まれ、そのような材料はシェラック(shellac)、セチルアルコールおよび酢酸セルロースの如き材料である。
【0061】
経口または注射による投与の目的で本発明の新規な組成物を取り込ませることができる液状形態物には、水溶液、適切な風味のシロップ、水性もしくは油懸濁液および風味を付けた乳液(食用油、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油などばかりでなくエリ
キシルおよび同様な薬学的媒体を用いた)が含まれる。水性懸濁液で用いるに適した分散もしくは懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどが含まれる。
【0062】
本発明に従う化合物を生じさせる過程で立体異性体の混合物がもたらされる場合には、通常の技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどを用いてそのような異性体を分離することができる。このような化合物はラセミ形態で調製可能であるか、或は鏡像特異的(enantiospecific)または鏡像選択的合成または分割のいずれかを用いて個々の鏡像異性体を生じさせることも可能である。標準的技術、例えば塩生成でジアステレオマー対を生じさせることなどで、前記化合物を例えばそれらの成分である鏡像異性体に分割してもよい。また、ジアステレオマーであるエステルまたはアミドを生じさせた後にクロマトグラフィーによる分離を行いそしてキラル補助剤(chiral auxiliary)を除去することで前記化合物の分割を行うことも可能である。別法として、ステレオジェニック(stereogenic)HPLCカラムを用いて前記化合物の分割を行うことも可能である。
【0063】
本発明の化合物は有利に1日1回の投与で投与可能であるか、或は1日当たりの投薬量全体を1日当たり2回、3回または4回に分割した用量でか或は週に1回、2週に1回または月に1回投与することも可能である。更に、本発明の化合物を適切な鼻内媒体を局所的に用いることによる鼻内形態で投与するか或は本分野の通常の技術者に良く知られた経皮皮膚パッチを用いて投与することも可能である。投与を経皮送達系の形態で行う時には、勿論、そのような投与は断続的ではなくむしろ投薬計画全体に渡って連続的であろう。
【0064】
例えば錠剤またはカプセル形態の経口投与の場合には、本活性薬剤成分を無毒で薬学的に受け入れられる不活性な経口用担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと一緒にしてもよい。その上、望まれるか或は必要な場合には、また、適切な結合剤、滑剤、崩壊剤および着色剤をそのような混合物に添加することも可能である。適切な結合剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースなど、コーン甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントなど、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。
【0065】
液状形態は、適切な風味の懸濁もしくは分散剤、例えば合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどに入っている形態であってもよい。非経口投与の場合には無菌の懸濁液および溶液が望まれる。静脈内投与が望まれる場合には一般に適切な防腐剤が入っている等浸透圧性製剤を用いる。
【0066】
また、本発明の化合物をリポソーム送達系、例えば小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクルおよび多層ベシクルなどの形態で投与することも可能である。いろいろな燐脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどを用いてリポソームを生じさせることができる。
【0067】
また、本化合物の分子を結合させたモノクローナル抗体を個々の担体として用いて本発明の化合物を送達することも可能である。また、本発明の化合物を標的可能薬剤担体としての可溶重合体と結合させおくことも可能である。そのような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキサイドポリリジンが含まれ得る。更に、本発明の化合物を薬剤の徐放の達成で用いるに有用な種類の生分解性重合体、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、そしてヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体などと結合させておくことも可能である。
【0068】
本発明の化合物はこの上に示した組成物のいずれかの形態で血管抵抗障害の治療が必要
とされている時にはいつでも本技術分野で確立された投薬計画に従って投与可能である。
【0069】
本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができ、これは使用する個々の化合物、投薬様式、製剤の濃度、投与様式および病気の状態の進行に伴って変わるであろう。加うるに、治療を受けさせる個々の患者に関連した要因の結果として投薬量を調整する必要もあり、そのような要因には、患者の年齢、体重、食事および投与時期が含まれる。
【0070】
以下に示す実施例は本発明の説明を意図したものであり、本明細書を限定するものでない。
[実施例]
【実施例1】
【0071】
(R)−3−カルボエトキシ−4−アザ−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(7)
【0072】
【化6】

【0073】
(R)−スピロベンズアゼピンカルボン酸(4g、16.5ミリモル)をエタノール(200mL)に入れることで生じさせた溶液に濃硫酸(3.35g、33ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物に濃縮を真空下で受けさせ、その残留物をジクロロメタン(200mL)で取り上げ、飽和重炭酸ナトリウム(200mL)に続いて飽和NaCl(200mL)で洗浄し、その結果として得たジクロロメタン抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、25%酢酸エチル−ヘキサン溶離剤)で7を透明な油として4.25g得た(理論値4.47g、収率95%)。H NMR(CDCl)δ 7.0(m、2H)、6.8(m、1H)、6.7(m、1H)、6.6(s、1H)、4.25(q、2H)、3.15(m、1H)、3.05(m、1H)、2.9(m、1H)、2.7(m、1H)、1.8(m、4H)。MS(ES)m/z 272(MH)
【実施例2】
【0074】
(R)−4−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(26)
【0075】
【化7】

【0076】
前記エステル7(4.2g、15ミリモル)とトリエチルアミン(6g、60ミリモル)をジクロロメタン(200mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液に4−ニトロ−3−メトキシベンゾイルクロライド(6.6g、30.7ミリモル)を加えた後、その結果として得た混合物を室温になるまで温めながら2時間撹拌した。この反応混合物を冷1Nの水酸化ナトリウムの上に注いだ後、ジクロロメタン(2x200mL)で抽出した。そのジクロロメタン抽出液を一緒にしてNaClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮することで26を透明な油として5.2g得た(理論値6.7g、収率77%)。MS(ES)m/z 451(MH)
【実施例3】
【0077】
(R)−4−(3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(27a)と(R)−4−(3−エトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(27b)
【0078】
【化8】

【0079】
26(5.2g、11.5ミリモル)をエタノール(200mL)に入れることで生じさせた溶液にSnCl(7.7g、38ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を還流下で16時間撹拌した。この反応混合物に飽和重炭酸ナトリウム(20mL)を用いたクエンチを受けさせ(quenched)た後、ジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた。そのジクロロメタン抽出液を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、50%酢酸エチル−ヘキサン溶離剤)で27aをオフホワイト(off white)の固体[MS(ES)m/z 421(MH)]として1.5gおよび27bの黄色固体[MS(ES)m/z 43
5(MH)]を1g得た。
【実施例4】
【0080】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(28)
【0081】
【化9】

【0082】
27a(4.16g、9.9ミリモル)とトリエチルアミン(5.5mL、39.6ミリモル)をジクロロメタン(400mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に2−クロロ−5−フルオロベンゾイルクロライド(2.85g、14.85ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を16時間撹拌した。その反応混合物を1NのNaOH(200mL)の上に注いだ後、ジクロロメタンで抽出した。そのジクロロメタン抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、50%酢酸エチル−ヘキサン溶離剤)で28を白色発泡体として2.26g得た(理論値5.70g、収率40%)。MS(ES)m/z 577(MH)
【実施例5】
【0083】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(29)
【0084】
【化10】

【0085】
前記エチルエステル28(2.26g、3.92ミリモル)をテトラヒドロフラン(75mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に水酸化リチウム(1.2g、28.6ミリモル)を水(50mL)に入れて加えた後、その結果として得た反応混合物を24時間撹拌した。この反応混合物を1NのHCl(75mL)の上に注いだ後、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。その酢酸エチル抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮することで29を淡黄色の固体として1.75g得た(理論値2.15g、収率81%)。H NMR(CDCl)δ 8.7(s、1H)、8.25(d、1H)、7.5(m、1H)、7.4(m、1H)、7.3−7.1(m、2H)、7.0(s、1H)、6.95(s、1H)、6.7(m、1H)、4.9(m、1H)、3.7(s、3H)、3.1(m、1H)、2.7(m、3H)、2.1(m、2H)、1.75(m、2H)。MS(ES)m/z 549(MH)
【実施例6】
【0086】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−エトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(30)
【0087】
【化11】

【0088】
27b(434mg、1ミリモル)とトリエチルアミン(0.56mL、4ミリモル)をジクロロメタン(50mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液に2−クロロ−5−フルオロベンゾイルクロライド(229mg、1.5ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を室温になるまで温めながら2時間撹拌した。この反応混合物を1NのNaOHの上に注いだ後、ジクロロメタン(2x200mL)で抽出した。そのジクロロメタン抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮することで30を白色固体として500mg得た(理論値591mg、収率85%)。MS(ES)m/z 591(M)
【実施例7】
【0089】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−エトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−カルボキシ−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(31)
【0090】
【化12】

【0091】
前記エチルエステル30(400mg、0.68ミリモル)をテトラヒドロフラン(25mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に水酸化リチウム(64.5mg、2.7ミリモル)を水(25mL)に入れて加えた後、その結果として得た反応混合物を16時間撹拌した。この反応混合物を1NのHCl(10mL)の上に注いだ後、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。その酢酸エチル抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮することで31を蝋状固体として300mg得た(理論値381mg、収率79%)。H NMR(CDCl)δ 8.95(s、1H)、8.25(d、1H)、7.6(m、1H)、7.4(m、1H)、7.2(m、1H)、7.1(m、1H)、7.0(m、1H)、6.95(s、1H)、6.85(s、1H)、6.7(m、1H)、6.55(s、1H)、4.85(m、1H)、3.95(m、2H)、3.3(m、1H)、3.15−2.9(m、1H)、2.8−2.6(m、3H)、2.15−1.95(m、2H)、1.8−1.5(m、2H)。MS(ES)m/z 563(MH)
【実施例8】
【0092】
3−メトキシ−4−ニトロ−安息香酸メチルエステル(32)
【0093】
【化13】

【0094】
塔頂撹拌機と250mLの滴下漏斗を取り付けておいた5Lの3つ口丸底フラスコに3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(122g、0.66モル)、アセトン(試薬品質、1.5L)およびKCO粉末(185g)を仕込んだ。この懸濁液を撹拌しながら、これにジメチルスルフェート(127mL)を滴下した。この懸濁液を室温で18時間撹拌した後、濾過した。その濾液に濃縮を減圧下で受けさせて体積を約半分(約750mL)にし、3Lのビーカーに移した後、撹拌を行いながら水(1L)を加えた。沈澱した生成物を濾過で集めた後、真空下で乾燥させることで、表題の化合物32を融点が87−88℃の白色結晶性固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ 7.77(d、1H)、7.68(d、1H)、7.63(d、1H)、3.94(s、3H)、3.90(s、3H)。MS(ES)m/z 212.1(MH)
【実施例9】
【0095】
4−アミノ−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(33)
【0096】
【化14】

【0097】
2Lの水添用Parr高圧ボトル(定格が80psiのガラス)にPd/C(炭素に10重量%担持、5g)、酢酸エチル(800mL)および32(120.5g、0.57モル)を仕込んだ。Parr装置を用いて前記反応混合物にH(30psi)を仕込んだ。圧力が一定のままであるようにHの仕込みを注意深く数回継続した。それに約3時間要した。この反応物を更に0.5時間振とうした。水添後の反応混合物を酢酸エチルで希釈することでいくらか沈澱した生成物を溶解させた後、セライトの短い詰め物に直接通しそして酢酸エチルで洗浄した。溶媒を蒸発させることで4−アミノ−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル33を白色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ 7.55(dd、1H)、7.45(d、1H)、6.66(d、1H)、4.21(s、2H)、3.90(s、3H)、3.86(s、3H)。MS(ES)m/z 182.1(MH)
【実施例10】
【0098】
4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル(34)
【0099】
【化15】

【0100】
乾燥させておいた3Lの3つ口丸底フラスコに温度計と滴下漏斗を取り付けて、これに33(96g、0.53モル、1.0当量)とEtN(88ml、0.64モル、1.2当量)をジクロロメタン(1.2L)に入れることで生じさせた溶液を仕込んだ。この溶液を氷浴で0℃に冷却した後、0℃で2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルクロライド(110g、0.57モル、1.05当量)を40分かけて滴下した。滴下後、その反応混合物を0℃で更に1.5時間撹拌した。その有機層を食塩水で3回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した後、蒸発させることで4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル34を白色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.84(s、1H)、8.61(d、1H)、7.75(dd、1H)、7.60(d、1H)、7.55(dd、1H)、7.45(dd、1H)、7.20−7.13(m、1H)、3.97(s、3H)、3.93(s、3H)。MS(ES)m/z 338.0(MH)
【実施例11】
【0101】
4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−安息香酸(35)
【0102】
【化16】

【0103】
34(180g、0.53モル、1当量)をテトラヒドロフラン(1800mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にLiOH(14.1g、0.59モル、1.1当量)をHO(200mL)に溶解させて45分かけて滴下した。この反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、その残留物を水(約3L)に再溶解させた。不溶な固体を濾別した。その水性濾液に濃HCl水溶液(37%)による酸性化を激しい撹拌下でpH<2になるまで受けさせた。その結果として生じた白色固体沈澱物を濾過した後、水で洗浄した。次に、その湿った状態の濾過ケーキをフラスコに移した後、ロータリーエバポレーターを用いて真空下50℃で一晩乾燥させることで、4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−安息香酸35を乾燥した微細な白色粉末として得た。H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ:12.90(s、1H)、10.01(s、1H)、8.22(d、1H)、7.65−7.45(m、4H)、7.45−7.30(m、1H)、3.88(s、1H)。MS(ES)m/z 322.0(MH)
【実施例12】
【0104】
4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−ベンゾイルクロライド(36)
【0105】
【化17】

【0106】
35(152g、0.45モル、1当量)をジクロロメタン(1.5L)に入れて懸濁させた後、ジメチルホルムアミド(1mL)を加えた。0℃で塩化オクザリル(71.6g、0.56モル、1.2当量)を30分かけて滴下した。滴下後、冷浴を取り外して、その反応混合物を室温で更に3.5時間撹拌した。溶媒およびいくらか存在する未反応の塩化オクザリルを蒸発させることで白色固体を得た後、ロータリーエバポレーターを用い
て真空下40℃で一晩更に乾燥させることで、乾燥した4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−ベンゾイルクロライド36を白色固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.97(s、1H)、8.71(d、1H)、7.91(dd、1H)、7.60(d、1H)、7.57(dd、1H)、7.47(dd、1H)、7.21−7.15(m、1H)、3.99(s、3H)。MS(ES)m/z 339.9(MH)
【0107】
実施例12に概略を示した方法に類似した様式で、4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−安息香酸をジクロロエタンに懸濁させて反応させることで4−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−3−メトキシ−ベンゾイルクロライドを白色固体として得た。
【実施例13】
【0108】
(R)−1,2,3,5−テトラヒドロ−スピロ[4H−1−ベンズアゼピン−4,1’−[2]シクロペンテン]−3’−カルボン酸(37)
【0109】
【化18】

【0110】
エアポンプ撹拌機を取り付けておいた5Lの3つ口丸底フラスコの中で(4R)−2,3,4,5−テトラヒドロベンズアゼピン−4−スピロ−3’−シクロペンテ−1’−エン−カルボン酸−(1R,4S)−7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−メタンスルホネート(500g、1.05モル)を水(2L)に入れて懸濁させることでpHが約3−4の反応混合物を生じさせた。滴下漏斗を用いて飽和NaHCO水溶液を前記混合物にpHが6になるまでゆっくり加えた。次に、ジクロロメタン(1L)を加えた後、そのスラリー混合物を1時間撹拌した。次に、この混合物中にいくらか残存する出発材料を濾別した。層分離を起こさせた後、その水層にジクロロメタン(2x150mL)による抽出を受けさせた。その有機層を一緒にしてNaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで(4R)−1,2,3,5−テトラヒドロ−スピロ[4H−1−ベンズアゼピン−4,1’−[2]シクロペンテン]−3’−カルボン酸(37)を暗灰色固体として得た。残存する出発材料に対して前記過程を前記塩の全部が遊離酸に完全に変化するまで再び繰り返した。粗(4R)−1,2,3,5−テトラヒドロ−スピロ[4H−1−ベンズアゼピン−4,1’−[2]シクロペンテン]−3’−カルボン酸の全部を一緒にして、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)に入れて懸濁させ、室温で一晩撹拌した後、濾過することで(4R)−1,2,3,5−テトラヒドロ−スピロ[4H−1−ベンズアゼピン−4,1’−[2]シクロペンテン]−3’−カルボン酸37を灰色固体として88%の収率で得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ 7.09−7.01(m、2H)、6.76(t、1H)、6.77(s、1H)、6.72(d、1H)、3.17−3.14(m、1H)、3.07−3.05(m、1H)、2.82(dd、2H)、2.71−2.54(m、2H)、1.92−1.68(m、4H)。MS(ES)m/z 244.1(MH)
【実施例14】
【0111】
(R)−4−(3−イソプロポキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボエトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(38)
【0112】
【化19】

【0113】
ニトロ化合物7(200mg、0.34ミリモル)をイソプロパノール(50mL)に入れることで生じさせた溶液にSnCl(128mg、0.68ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を還流下で16時間撹拌した。この反応混合物に飽和重炭酸ナトリウム(20mL)を用いたクエンチを受けさせた後、ジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた。そのジクロロメタン抽出液を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル溶離剤)で38をオフホワイトの固体として56mg得た(理論値190mg、収率30%)。MS(ES)m/z 449(MH)
【実施例15】
【0114】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−イソプロポキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボメトキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(39)
【0115】
【化20】

【0116】
38(50mg、0.12ミリモル)とトリエチルアミン(0.08mL、0.6ミリモル)をジクロロメタン(25mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に2−クロロ−5−フルオロベンゾイルクロライド(39mg、0.23ミリモル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を16時間撹拌した。その反応混合物を1NのNaOH(50mL)の上に注いだ後、ジクロロメタンで抽出した。そのジクロロメタン抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、50%酢酸エチル−ヘキサン溶離剤)で39を白色発泡体として80mg得て、これをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【実施例16】
【0117】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−イソプロポキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン(40)
【0118】
【化21】

【0119】
前記エチルエステル39(80mg、0.15ミリモル)をテトラヒドロフラン(10mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に水酸化リチウム(18mg、0.75ミリモル)を水(10mL)に入れて加えた後、その結果として得た反応混合物を24時間撹拌した。この反応混合物を1NのHCl(25mL)の上に注いだ後、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。その酢酸エチル抽出液を一緒にして飽和NaClで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で濃縮することで40を淡黄色の固体として51mg得た(理論値64mg、収率80%)。H NMR(CDCl)δ 8.7(s、1H)、8.25(d、1H)、7.5(m、1H)、7.4(m、1H)、7.3−7.1(m、2H)、7.0(s、1H)、6.95(s、1H)、6.7(m、1H)、4.9(m、1H)、4.4(m、1H)、3.1(m、1H)、2.7(m、3H)、2.1(m、2H)、1.75(m、2H)、1.3(d、3H)、1.1(d、3H)。MS(ES)m/z 577(MH)
【0120】
生物学的実施例1
(A)インビトロ結合検定
検定用緩衝液はトリス−Clが50mMでMgClが5mMでBSAが0.1%であり(pH7.5)、これにアプロチニン、ロイペプチン、ペプスタチンを5μg/ml、バシトラシンを50μg/mlおよびPefabloc[Roche Diagnostics Corporation(インディアナポリス、IN)が製造していてBoehringer Mannheimが供給している塩酸4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオライド]を1mM含有させる。H3バソプレシンはH−アルギニン−8−バソプレシン[NEN Life Sciences(ボストン、MA);68.5Ci/ミリモル、検定における最終濃度は0.65−0.75nM]である。96穴丸底ポリプロピレン製プレートの穴に緩衝液、試験化合物、膜(ヒトV1aまたはV2受容体を含有)およびH3バソプレシンを入れる。この反応用プレートを室温に1時間放置する。サンプルを予め0.3ポリエチレンイミンの中に浸漬しておいたUnifilter
GF/Cプレート[PerkinElmer Life Sciences(ボストン、MA)]に通して濾過する。前記プレートをTween 20含有量が0.05%の冷生理学的食塩水で5回洗浄する。前記フィルタープレートを乾燥させた後、それの下部を密封して、各フィルターにMicroscint−20[Packard Instrument Co(Meriden、CT)]を0.025ml加える。前記プレートの上部を密封した後、前記プレートに計数測定を受けさせる。前記穴に1.25μMのアルギニン−8−バソプレシンを添加することを通して、非特異的結合を測定する。阻害%を下
記の如く計算する:
阻害%=100−100x(薬剤投与後のピーク反応/薬剤投与前のピーク反応)
(B)V1aバソプレシン受容体機能活性
V1a受容体はG蛋白質共役受容体であり、これが活性化されると細胞内カルシウム動員増加の引き金になる。化合物が示す機能的V1a受容体活性を評価する目的で、HEK−293細胞にヒトV1a受容体によるトランスフェクションを受けさせた(V1a−HEK細胞)。HEK−293細胞をFBSとグルタミンを10%補充しておいたDMEM(ダルベッコの修飾イーグル培地)に入れて増殖させた。HEK−細胞を隔週のトリプシン処理で継代させそして96穴プレートに穴1個当たり33,000個の細胞になるように接種した。HEK−293細胞にヒトV1a受容体DNAによるトランスフェクションをLife Technologies(Carlsbad、CA)のDMRIE−C試薬を用いて受けさせた。ゲネチシン含有培養培地で増殖する細胞を選択することで安定な株を生じさせた。V1a−HEK細胞をPackard Clear−View黒色96穴プレートに入れて4−6日間増殖させた後、カルシウム感受性蛍光染料FLUO−3 AMを充填した。FLIPR(Fluorometric Imaging Plate
Reader;Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて細胞内蛍光を量化することで細胞内カルシウム動員の変化を測定した。最初に試験化合物を細胞に加えた後、結果として起こる蛍光の変化を測定することで受容体作動活性を検出した。5分後、細胞にバソプレシンによるチャレンジを受けさせることで、試験化合物が示す拮抗作用を試験した。受容体のアンタゴニストはバソプレシンが細胞内蛍光増加を刺激する能力を阻害する。IC50を計算した。
【0121】
生物学的実施例2
V2バソプレシン受容体機能活性
V2受容体もまたG蛋白質共役受容体であり、これが活性化されるとcAMP代謝回転増加が誘発される。ヒトV−2受容体を発現するトランスフェクトHEK−293細胞(V2−HEK細胞)に蓄積するcAMPを測定することでV2受容体に対する拮抗作用を測定する。バソプレシンがcAMP蓄積に対して示す刺激効果を化合物が妨害する能力を試験する。NENフラッシュプレートを用いた放射免疫測定で細胞のcAMP含有量を測定する。
【0122】
生物学的実施例3
ラットにおけるバソプレシン誘発高血圧の逆転
バソプレシン誘発高血圧の麻酔モデルを用いて化合物が示す抗高血圧活性を評価することができる。体重が350から450gの範囲の正常血圧ラットであるオスLong Evansにペントバルビタール(35mg/kg、腹腔内)で麻酔をかけた後、それらを手順全体に渡って10mg/kg/時の腹腔内注入に維持する。アルギニンバソプレシン(AVP)を30ng/kg/分の量で静脈注射することで安定な高血圧状態を誘発することができる(平均動脈血圧が約50mmHg上昇)。興味の持たれる化合物を用量上昇様式で投与してもよくそして平均動脈血圧の最大低下率を記録してもよい。各動物が示す用量反応関係の線形部分からED50を決定することができる。
【0123】
生物学的実施例4
いくつかの動物モデルがヒトにおける糖尿病性腎症のいろいろな成分を模擬すると考えており、特にラットにおける1型糖尿病のストレプトゾトシン誘発モデル、2型糖尿病のdb/db遺伝マウスモデル、およびラットにおける腎不全の5/6腎摘出モデルが模擬すると考えている。最初に、ストレプトゾトシン糖尿病モデルに化合物を1、3または10mg/kg/日の量で12週間投与しそして糖尿病性腎臓病の指標(尿中アルブミンの減少、血清のクレアチニン濃度および尿中のいろいろなサイトカインの濃度を包含)であるいくつかの終点を試験中に監視することで、JNJ−17158063を評価する。試験終了時に腎臓の形態的変化を組織学的に評価して正常な腎臓と比較する。他の2モデルに関しても同様な試験を実施して活性を立証する。
【0124】
生物学的実施例5
虚血性卒中および頭部損傷が起こるとアルギニン−バソプレシン(AVP)の濃度が劇的に上昇し、これが組織炎症反応の一因である。AVP受容体のアンタゴニストは外傷性脳損傷および虚血性卒中後に起こる脳水腫の発病を脳血管内皮を横切る水および電解質の輸送を調節し(内皮V1a受容体を阻害することで)かつ利尿を助長(腎V2受容体による)することで防ぐことが分かっている。AVP受容体のアンタゴニストが示す追加的神経保護作用にはニューロンのV1a受容体の阻害が介在する可能性がある。従って、本発明の化合物は虚血性卒中および外傷性脳損傷に有用であり得る。V1a/V2アンタゴニストは虚血後の炎症反応を軽減しかつ虚血性卒中後の脳組織梗塞の体積を小さくし得る。AVP受容体のアンタゴニストが示す神経保護および抗水腫作用の多くは脳血管内皮または腎臓のレベルで介在することから、主役の化合物が血液脳関門を通り抜けることは必須ではない。しかしながら、この上に示したように、CNSへの侵入によってAVPがニューロンのV1a受容体の所で示す作用を制限することで有益さが追加され得る。
【0125】
ある化合物が血漿中で示す半減期を最適にしかつ投薬計画を最適にする目的でそれの薬物動態特性を測定してもよい。それには、そのような化合物が血液脳関門を通り抜ける能力の評価、および脳組織中の薬剤濃度および半減期の直接的測定が含まれる。塞栓性脳卒中の齧歯類モデルを用いて当該化合物が示す神経保護および抗水腫特性を測定することができる。そのようなモデルでは、動物の血液を一定分量で取り出して一晩冷蔵することでトロンビンが豊富な凝血塊を生じさせる。次に、その凝血塊を中大脳動脈起始部に外科手術で入れた後、その場所に2−4時間入れたままにすることで、長期の脳虚血を生じさせる。その時点で前記凝血塊をその場所に永久的に置いたままにするか或は組換え型組織プラスミノーゲン活性化剤(rt−PA)を静脈内投与して前記凝血塊を溶解させることで再かん流を起こさせてもよい。凝血塊を入れた後のいろいろな時点で本発明のバソプレシン受容体アンタゴニストを1回静注で静脈内投与するか、1回静注後に連続静脈内注入を行うか、或は連続的静脈内注入を単独で行ってもよい。虚血を発症してから2時間から1週間の範囲の時間の時に化合物を投与することで最適な治療時間帯を決めてもよい。また、緊急静脈内投与を行った後に当該化合物を経口投与することで最適な治療期間を決定することも可能である。
【0126】
外傷性脳損傷の齧歯類モデルを用いて本発明のバソプレシン受容体アンタゴニストの概略を示すことができる。このモデルでは硬膜を露出させる目的で頭蓋窓を開ける必要がある。次に、測定しておいた重りを制御した様式で硬膜の上に落下させることで損傷を誘発する。このモデルは良好に特徴づけされておりかつニューロン細胞の損失および炎症の限定されたパターンをもたらす。
【0127】
下記のアプローチの中の1つ以上を用いて水腫、炎症および神経保護を測定することができる:虚血後のいろいろな時点、即ち24時間から4週間後に動物を安楽死させた後、標準的な組織学的および組織化学的方法を用いて梗塞の体積および脳水腫を測定してもよい。また、動物にMRI画像形成を受けさせることで前記動物内に梗塞および水腫が発生したか否かを測定することも可能である。最後に、血液脳関門の一体性および炎症性細胞(例えば単球、マクロファージ、小グリア細胞)の浸入の組織学的および組織化学的測定を実施して、それを定量分析で用いてもよい。
【0128】
最後に、あらゆる動物を一連の包括的挙動検定で評価することでバソプレシン受容体アンタゴニストが神経学的機能および挙動に対して示す効果を評価してもよい。そのような挙動評価には全体的神経学的評価、フットフォールト(foot−fault)などの如き検定を用いたモーターアシメトリー(motor asymmetry)の評価および感覚運動統合の評価、ロタロド(Rotarod)およびビームバランス試験(beam−balance tests)が含まれ得る。
【0129】
データを以下の表Iに示すが、表I中の値はV1a/V2の値である。ラセミ構造物Aは、WO 02/02531 A1の43頁に公開された化合物9である4−(2−フェニルベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−3’−[2−(N,N−ジメチルアミノエチルカルボニル)]−4−アザ−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エンである。
【0130】
【表1】

【0131】
説明の目的で与えた実施例を伴わせてこの上に示した明細で本発明の原理を教示したが、本発明の実施は添付請求の範囲の範囲内に入る如き通常の変形、応用形および/または修飾形そしてそれらの相当物の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
およびRの中の一方はHでありそしてもう一方はH、NR、C1−6アルコキシ、ヒドロキシまたはハロであり、ここで、RおよびRは、各々独立して、HまたはC1−3アルキルであり、
は、クロロであり、
は、クロロ、フルオロ、メトキシまたはメチルである]
で表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられるC1−6エステル、C1−6アミドもしくはジ(C1−6アルキル)アミドまたは塩。
【請求項2】
がアミノである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がC1−4アルコキシである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシまたはt−ブトキシである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がメトキシまたはエトキシである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
がフルオロ、クロロまたはメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
がフルオロまたはクロロである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
がフルオロである請求項1記載の化合物。
【請求項9】
がメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシである請求項6記載の化合物。
【請求項10】
がメトキシまたはエトキシである請求項6記載の化合物。
【請求項11】
がメトキシまたはエトキシである請求項7記載の化合物。
【請求項12】
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−エトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−イソプロポキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル−2−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エ
ン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メチルベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2−クロロ−5−メトキシベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−メトキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−ヒドロキシ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−アミノ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、および
(R)−4−(2,5−ジクロロベンゾイル−3−クロロ−4−アミノベンゾイル)−4−アザ−3’−(カルボキシ)−[6,4]−スピロ−[5,6]−ベンゾウンデセ−2’−エン、
から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項13】
化合物6および化合物7から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項14】
化合物7の式で表される請求項1記載の化合物。
【請求項15】
化合物6の式で表される請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物および薬学的に受け入れられる担体を含んで成る薬剤組成物。
【請求項17】
化合物が請求項5、8、9、10、13、14または15から選択される請求項16記載の薬剤組成物。
【請求項18】
バソプレシン受容体活性に関連した病気に苦しんでいる被験体を治療する方法であって
、前記被験体に請求項1記載の式Iで表される化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項19】
ある被験体におけるバソプレシン受容体活性に関連した病気の発病または進行を抑制する方法であって、前記被験体に請求項1記載の式Iで表される化合物を予防的に有効な用量で投与することを含んで成る方法。
【請求項20】
病気が内耳疾患、高血圧、うっ血性心不全、心不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、低ナトリウム血症、脳水腫、脳虚血、卒中、血栓症、水うっ滞、攻撃性、強迫神経症、月経困難症、ネフローゼ症候群、不安および中枢神経損傷から選択される請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
病気がうっ血性心不全または心不全である請求項20記載の方法。
【請求項22】
病気が低ナトリウム血症である請求項20記載の方法。
【請求項23】
病気が高血圧である請求項20記載の方法。
【請求項24】
化合物を請求項5、8、9、10、13、14または15から選択する請求項20記載の方法。
【請求項25】
請求項1記載化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る薬剤組成物製造方法。

【公表番号】特表2007−521272(P2007−521272A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517373(P2006−517373)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019460
【国際公開番号】WO2005/037795
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】