説明

置換ベンゼンジチオール金属錯体、光安定化シアニン系色素および光吸収色素組成物

【課題】
プラズマディスプレイパネル等に特定波長の光吸収機能を付与することができ、粘着剤中における光安定化シアニン系色素の析出、凝集が抑制された光吸収色素組成物、その用途に適した置換ベンゼンジチオール金属錯体、光安定化シアニン系色素を提供する。
【解決手段】
特定の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとカチオンとからなる置換ベンゼンジチオール金属錯体、該置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体とからなる光安定化シアニン系色素、および該光安定化シアニン系色素と架橋剤と粘着剤とを含む光吸収色素組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ベンゼンジチオール金属錯体、光安定化シアニン系色素および近赤外線吸収機能を有する光吸収色素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光を吸収する成分を含む光吸収材が種々の分野で使用されている。例えば、近赤外線領域を主に吸収する光吸収材は、プラズマディスプレイパネル用近赤外線カットフィルム、半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、レーザー光等を用いる感光性平版印刷版および近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体等に広く用いられている。また、可視光線領域を主に吸収する光吸収材は、色純度を向上させることを目的として、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置、蛍光表示管および電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用の光学フィルター等に広く用いられている。
【0003】
これら光吸収材には、特定の波長の光に対する優れた光吸収能を有するシアニン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素やジイモニウム系色素等、種々の光吸収色素が使用されている。光吸収材は、例えば、当該光吸収色素を溶媒に溶解して色素溶液とし、これをガラスや樹脂等の透明の基板上に塗布して乾燥することにより製造することができる。例えば、前記プラズマディスプレイパネル用の近赤外線カットフィルムでは約700〜1100nmに優れた光吸収特性を有する光吸収色素が用いられ、また、前記画像表示装置用の光学フィルターでは490nm付近や550nm付近等に優れた光吸収特性を有する光吸収色素が用いられて、これらをPETフィルム等に塗布し、乾燥してフィルム状の光吸収材が製造される。こうして得られた光吸収材は、必要に応じて他の機能を有する種々のフィルムと共に、粘着剤を用いて所定の部材等に貼り合わせて用いられている。
【0004】
これら光吸収色素は、再生光の繰り返し照射による再生劣化や明室保存下での光劣化が生じ易いため、光吸収色素と、光安定剤として種々の置換ベンゼンジチオール金属錯体との組み合わせが提案されている。例えば、光吸収色素としてシアニン系色素カチオンと、光安定化剤としてビス{4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−}銅等の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体を形成させる光安定化シアニン系色素が示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、光吸収色素を含む光吸収材の薄層化およびその製造工程の簡略化を目的として、粘着性樹脂および700〜1100nmに極大吸収波長を有する赤外線吸収剤を含有することを特徴とする赤外線吸収性粘着剤組成物が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、光吸収材に用いられる光吸収色素や光安定化シアニン系色素を粘着剤と混合して用いた場合、粘着剤が混合されていることによって、経時的に光吸収色素が析出、凝集し、部分的な光吸収能の低下、および可視光域の透明性の低下などを引き起こすといった不具合がある。
そこで、これら光吸収色素の経時的な析出、凝集の抑制を目的として、粘着性樹脂および近赤外線吸収色素、結晶核剤を含有する近赤外線吸収粘着組成物が提案されている(特許文献3参照)。しかし、結晶核剤の添加による光吸収色素の析出抑制効果は、必ずしも満足のいくものではなく、改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第98/034988パンフレット
【特許文献2】特開2001−207142号公報
【特許文献3】特開2008−163197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、プラズマディスプレイパネル等の部材に、容易に効率よく特定波長の光吸収機能を付与することができ、粘着剤中における経時的な光安定化シアニン系色素の析出、凝集が充分に抑制され、光吸収能および可視光域の透明性の持続性に優れる光吸収色素組成物、それらの用途に適した置換ベンゼンジチオール金属錯体および光安定化シアニン系色素を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、置換ベンゼンジチオール金属錯体、光安定化シアニン系色素および近赤外線吸収機能を有する光吸収色素組成物に関する。
【0010】
項1.式(1);
【0011】
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上を有する、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基または、フェニル基を示す。また、Mは、遷移金属原子を、Aは、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンをそれぞれ示す。)で表される、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、カチオンからなる置換ベンゼンジチオール金属錯体。
【0012】
項2.項1に記載の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体からなる光安定化シアニン系色素。
【0013】
項3.項2に記載の光安定化シアニン系色素と、架橋剤と、粘着剤とを含む光吸収色素組成物。
【0014】
項4.前記架橋剤が、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系架橋剤である項3に記載の光吸収色素組成物。
【0015】
項5.前記粘着剤が、架橋剤と反応する官能基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体である項3または4に記載の光吸収色素組成物。
【0016】
項6.項2に記載の光安定化シアニン系色素と架橋剤とを混合した後、さらに粘着剤を添加する光吸収色素組成物の製造方法。
【0017】
本発明の式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体において、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有する、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基または、フェニル基を示す。
【0018】
なお、これら炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基およびフェニル基は、それぞれ、水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基以外の置換基を有していてもよい。
【0019】
前記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体のRおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、1−クロロ−3−ヒドロキシ−n−プロピル、1,2−ジヒドロキシ−n−プロピル、2,2’−ジヒドロキシイソプロピル、3−ヒドロキシ−n−ブチル、4−ヒドロキシ−2−メチル−n−ブチル,2−ヒドロキシ−tert−ブチル、5−ヒドロキシ−n−ペンチル、5−ヒドロキシ−2−メチル−n−ペンチル、2,4−ジヒドロキシ−n−ペンチル、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル、4−ヒドロキシ−ヘプチルおよび2,6−ジヒドロキシ−n−オクチル基等が、
【0020】
少なくとも1つのカルボキシル基を有する炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、1−カルボキシエチル、1−クロロ−3−カルボキシ−n−プロピル,2−カルボキシイソプロピル、2,2’−ジカルボキシイソプロピル、2−カルボキシ−n−ブチル、4−カルボキシ−n−ブチル、4−カルボキシ−2−メチル−n−ブチル,2−カルボキシ−tert−ブチル、2,2’−ジカルボキシ−tert−ブチル、2−カルボキシ−n−ペンチル、5−カルボキシ−2−メチル−n−ペンチル、2,4−ジカルボキシ−n−ペンチル、3−カルボキシ−n−ヘキシル、5−アミノ−n−ヘプチルおよび3,4−ジカルボキシ−n−オクチル基等が、
【0021】
少なくとも1つのアミド基を有する炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、2−アセチルアミノエチル、2−カルバモイルエチル、4−プロパノイルアミノ−n−ブチル、6−ベンゾイルアミノ−n−ヘキシル、5−シクロヘキサンカルボニルアミノオクチル基等が、
【0022】
少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、1−アミノエチル、2−アミノ−n−プロピル、3−アミノ−1−クロロ−n−プロピル,1−アミノイソプロピル、1−アミノ−n−ブチル、3,4−アミノ−n−ブチル、4−アミノ−2−メチル−n−ブチル,2−アミノ−tert−ブチル、2,2’−ジアミノ−tert−ブチル、4−アミノ−n−ペンチル、5−アミノ−2−メチル−n−ペンチル、2,4−ジアミノ−n−ペンチル、1−アミノ−n−ヘキシル、5−アミノ−n−ヘプチルおよび3,4−ジアミノ−n−オクチル基等が挙げられる。
【0023】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−ヒドロキシメチルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、N−(3−クロロ−6−ヒドロキシヘキシル)アミノ、N−(8−ヒドロキシ−3,5−ジメチルオクチル)アミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノおよびN−(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチルアミノ基等が、
【0024】
少なくとも1つのカルボキシル基を有する炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−(2−カルボキシエチル)アミノ、N−(3−カルボキシブチル)アミノ、N−(5−カルボキシ−2−メチルヘキシル)アミノ、N−(7−カルボキシ−2−クロロ−4−メチルヘプチル)アミノ、N−(2−カルボキシエチル)−N−メチルアミノ、N,N−ジ(2−カルボキシエチル)アミノおよびN−メチル−N−(4−カルボキシフェニル)アミノ基等が、
【0025】
少なくとも1つのアミド基を有する炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−(2−アセチルアミノエチル)アミノ、N−(2−カルバモイルエチル)アミノ、N−(4−プロパノイルアミノ−n−ブチル)アミノ、N−(6−ベンゾイルアミノ−n−ヘキシル)アミノ、N−(5−シクロヘキサンカルボニルアミノオクチル)アミノ基等が、
【0026】
少なくとも1つのアミノ基を有する炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−(2−アミノエチル)アミノ、N−(3−アミノ−n−プロピル)アミノ、N−(5−アミノ−3−メチルペンチル)アミノ、N−(5−アミノ−2,3−ジクロロヘキシル)アミノ、N−(2−アミノエチル)−N−エチルアミノ、N,N−ジ(2−アミノエチル)アミノおよびN−(4−アミノフェニル)−N−エチルアミノ基等が挙げられる。
【0027】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するモルホリノ基としては、例えば、2−ヒドロキシモルホリノ、3−ヒドロキシモルホリノ、2−(ヒドロキシメチル)モルホリノ、3−(2−ヒドロキシエチル)モルホリノ、5−(3−ヒドロキシ−n−ブチル)モルホリノ、3−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−n−プロピル)モルホリノ、2,6−ジ(ヒドロキシメチル)モルホリノ、3,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)モルホリノおよび3−(4−ヒドロキシフェニル)モルホリノ基等が、
【0028】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するモルホリノ基としては、例えば、2−カルボキシモルホリノ、3,5−ジカルボキシモルホリノ、2−(カルボキシメチル)モルホリノ、3−(2−カルボキシエチル)モルホリノ、2−(3−カルボキシ−n−プロピル)−3,5−ジクロロモルホリノ、3−(6−カルボキシヘキシル)−2,6−ジメチルモルホリノ、2,6−ジ(2−カルボキシエチル)モルホリノおよび3−(4−カルボキシフェニル)モルホリノ基等が、
【0029】
少なくとも1つのアミド基を有するモルホリノ基としては、例えば、3−アセチルアミノモルホリノ、2−カルバモイルモルホリノ、3−プロパノイルアミノモルホリノ、3−ベンゾイルアミノモルホリノ、4−シクロヘキサンカルボニルアミノモルホリノ基等が、
【0030】
少なくとも1つのアミノ基を有するモルホリノ基としては、例えば、2−アミノモルホリノ、3−アミノモルホリノ、3−(アミノメチル)モルホリノ、3−(2−アミノエチル)モルホリノ,3−(3−アミノ−n−プロピル)モルホリノ、3,5−ジ(2−アミノエチル)モルホリノ、3,5−ジアミノ−2,6−ジメチルモルホリノ、5−アミノ−2−クロロモルホリノ、5−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチルモルホリノおよび3−(4−アミノフェニル)モルホリノ基等が挙げられる。
【0031】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するピペリジノ基としては、例えば、4−ヒドロキシピペリジノ、3,5−ジヒドロキシピペリジノ、2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジノ、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジノ、3,5−ジクロロ−4−(3−ヒドロキシ−n−プロピル)ピペリジノ、2,6−ジメチル−4−(6−ヒドロキシ−n−ヘキシル)ピペリジノ、2,6−ジ(2−ヒドロキシエチル)ピペリジノおよび4−(4−ヒドロキシフェニル)ピペリジノ基等が、
【0032】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するピペリジノ基としては、例えば、2−カルボキシピペリジノ、3−カルボキシピペリジノ、2−(カルボキシメチル)ピペリジノ、3−(2−カルボキシエチル)ピペリジノ、4−(2−カルボキシエチル)ピペリジノ、4−(3−カルボキシ−n−プロピル)−3−クロロピペリジノ、2,6−ジ(カルボキシメチル)ピペリジノ、3,5−ジメチル−4−(2−カルボキシエチル)ピペリジノおよび4−(4−カルボキシフェニル)ピペリジノ基等が、
【0033】
少なくとも1つのアミド基を有するピペリジノ基としては、例えば、3−アセチルアミノピペリジノ、4−カルバモイルピペリジノ、4−プロパノイルアミノピペリジノ、4−ベンゾイルアミノピペリジノ、4−シクロヘキサンカルボニルアミノピペリジノ基等が、
【0034】
少なくとも1つのアミノ基を有するピペリジノ基としては、例えば、2−アミノピペリジノ、3−アミノピペリジノ、3−(アミノメチル)ピペリジノ、3−(2−アミノエチル)ピペリジノ,3−(3−アミノ−n−プロピル)ピペリジノ、3,5−ジ(2−アミノエチル)ピペリジノ、3,5−ジアミノ−2,6−ジメチルピペリジノ、5−アミノ−2−クロロ−ピペリジノ、5−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチルピペリジノおよび4−(4−アミノフェニル)ピペリジノ基等が挙げられる。
【0035】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するピロリジノ基としては、例えば、2−ヒドロキシピロリジノ、3,4−ジヒドロキシピロリジノ、2−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジノ、3−(2−ヒドロキシ−n−プロピル)ピロリジノ、3,4−ジ(ヒドロキシメチル)ピロリジノ、3−(2−ヒドロキシ−tert−ブチル)−2,5−ジメチルピロリジノ、2,5−ジクロロ−3,4−ジ(2−ヒドロキシエチル)ピロリジノおよび3−(4−ヒドロキシフェニル)ピロリジノ基等が、
【0036】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するピロリジノ基としては、例えば、2−カルボキシピロリジノ、2,3−ジカルボキシピロリジノ、2−(2−カルボキシエチル)ピロリジノ、3−(4−カルボキシ−n−ブチル)ピロリジノ、3,4−ジ(カルボキシメチル)ピロリジノ、3−(3−カルボキシ−イソブチル)−2,5−ジクロロピロリジノ、4−(2−カルボキシエチル)−2−メチルピロリジノおよび3−(4−カルボキシフェニル)ピロリジノ基等が、
【0037】
少なくとも1つのアミド基を有するピロリジノ基としては、例えば、2−アセチルアミノピロリジノ、3−カルバモイルピロリジノ、2−プロパノイルアミノピロリジノ、3−ベンゾイルアミノピロリジノ、3−シクロヘキサンカルボニルアミノピロリジノ基等が、
【0038】
少なくとも1つのアミノ基を有するピロリジノ基としては、例えば、2−アミノピロリジノ、2,4−ジアミノピロリジノ、2−(2−アミノエチル)ピロリジノ、3−(3−アミノ−n−プロピル)ピロリジノ、3,4−ジ(2−アミノエチル)ピロリジノ、3−アミノ−2−エチル−5−メチル−ピロリジノ、3,4−ジ(2−アミノエチル)−2,5−ジクロロピロリジノおよび3−(4−アミノフェニル)ピロリジノ基等が挙げられる。
【0039】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するチオモルホリノ基としては、例えば、2−ヒドロキシチオモルホリノ、3−ヒドロキシチオモルホリノ、2−(ヒドロキシメチル)チオモルホリノ、3−(2−ヒドロキシエチル)チオモルホリノ、5−(3−ヒドロキシ−n−ブチル)チオモルホリノ、3−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−n−プロピル)チオモルホリノ、2,6−ジ(ヒドロキシメチル)チオモルホリノ、3,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)チオモルホリノおよび3−(4−ヒドロキシフェニル)チオモルホリノ基等が、
【0040】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するチオモルホリノ基としては、例えば、2−カルボキシチオモルホリノ、3,5−ジカルボキシチオモルホリノ、2−(カルボキシメチル)チオモルホリノ、3−(2−カルボキシエチル)チオモルホリノ、2−(3−カルボキシ−n−プロピル)−3,5−ジクロロチオモルホリノ、3−(6−カルボキシヘキシル)−2,6−ジメチルチオモルホリノ、2,6−ジ(2−カルボキシエチル)チオモルホリノおよび3−(4−カルボキシフェニル)チオモルホリノ基等が、
【0041】
少なくとも1つのアミド基を有するチオモルホリノ基としては、例えば、3−アセチルアミノチオモルホリノ、2−カルバモイルチオモルホリノ、3−プロパノイルアミノチオモルホリノ、3−ベンゾイルアミノチオモルホリノ、4−シクロヘキサンカルボニルアミノチオモルホリノ基等が、
【0042】
少なくとも1つのアミノ基を有するチオモルホリノ基としては、例えば、2−アミノチオモルホリノ、3−アミノチオモルホリノ、3−(アミノメチル)チオモルホリノ、3−(2−アミノエチル)チオモルホリノ,3−(3−アミノ−n−プロピル)チオモルホリノ、3,5−ジ(2−アミノエチル)チオモルホリノ、3,5−ジアミノ−2,6−ジメチルチオモルホリノ、5−アミノ−2−クロロチオモルホリノ、5−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチルチオモルホリノおよび3−(4−アミノフェニル)チオモルホリノ基等が挙げられる。
【0043】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するピペラジノ基としては、例えば、2−ヒドロキシピペラジノ、3−ヒドロキシピペラジノ、4−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ,4−(3−ヒドロキシ−n−プロピル)ピペラジノ、3,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ、3,5−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルピペラジノ、2−クロロ−5−ヒドロキシピペラジノ、2−tert−ブチル−5−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノおよび4−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジノ基等が、
【0044】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するピペラジノ基としては、例えば、2−カルボキシピペラジノ、3−カルボキシピペラジノ、3,5−ジカルボキシピペラジノ、2−(カルボキシメチル)ピペラジノ、3−(2−カルボキシエチル)ピペラジノ、2−(3−カルボキシ−n−プロピル)−3−クロロ−5−メチルピペラジノ、3−(5−カルボキシ−n−ペンチル)−2,6−ジメチルピペラジノ、2,6−ジ(2−カルボキシエチル)ピペラジノおよび3−(4−カルボキシフェニル)ピペラジノ基等が、
【0045】
少なくとも1つのアミド基を有するピペラジノ基としては、例えば、3−アセチルアミノピペラジノ、2−カルバモイルピペラジノ、4−プロパノイルアミノピペラジノ、4−ベンゾイルアミノピペラジノ、4−シクロヘキサンカルボニルアミノピペラジノ基等が、
【0046】
少なくとも1つのアミノ基を有するピペラジノ基としては、例えば、2−アミノピペラジノ、3−アミノピペラジノ、3−(アミノメチル)ピペラジノ、3−(2−アミノエチル)ピペラジノ,3−(3−アミノ−n−プロピル)ピペラジノ、3,5−ジ(2−アミノエチル)ピペラジノ、3,5−ジアミノ−2,6−ジメチルピペラジノ、5−アミノ−2−クロロピペラジノ、5−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチルピペラジノおよび3−(4−アミノフェニル)ピペラジノ基等が挙げられる。
【0047】
前記RおよびRが、少なくとも1つの水酸基を有するフェニル基としては、例えば、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2,6−ヒドロキシフェニル、3,4,5−トリヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニルおよび4−(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルフェニル基等が、
【0048】
少なくとも1つのカルボキシル基を有するフェニル基としては、例えば、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、4−カルボキシ−2−クロロフェニルおよび2−カルボキシ−3,4,5,6−テトラクロロフェニル基等が、
【0049】
少なくとも1つのアミド基を有するフェニル基としては、例えば、3−アセチルアミノフェニル、2−カルバモイルフェニル、4−プロパノイルアミノフェニル、4−ベンゾイルアミノフェニルおよび4−シクロヘキサンカルボニルアミノフェニル基等が、
【0050】
少なくとも1つのアミノ基を有するフェニル基としては、例えば、2−アミノフェニル、4−アミノフェニル、3−アミノ−4−(2−メチル−n−プロピル)フェニル、2−アミノ−4− (2−メチル−n−プロピル)フェニル、4−アミノ−2,6−ジエチルフェニルおよび2,4−ジアミノフェニル基等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体において、Mは、遷移金属原子を示し、Aは、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを示す。
【0052】
前記Mで示される遷移金属原子としては、例えば、ニッケル原子、銅原子およびコバルト原子等が挙げられる。
【0053】
また、前記Aで示される第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラフェニルアンモニウムカチオン、テトラベンジルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオンおよびトリブチルベンジルアンモニウムカチオン等が、
【0054】
前記第4級ホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラ−n−ブチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラベンジルホスホニウムカチオン、トリメチルベンジルホスホニウムカチオンおよびトリブチルベンジルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0055】
式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体は、1,2−ジハロゲノベンゼンを出発原料とし、これから合成される中間体を経て合成することができる。以下、製造方法を工程毎に説明する。
【0056】
(工程1)1,2−ジハロゲノベンゼンとクロロスルホン酸とを、反応溶媒中、無水硫酸ナトリウムの存在下、反応させ、3,4−ジハロゲノベンゼンスルホン酸を合成する。
【0057】
前記クロロスルホン酸の使用割合は、1,2−ジハロゲノベンゼン1モルに対して1.5〜3.0モルであるのが好ましく、1.7〜2.1モルであるのがより好ましい。
【0058】
前記無水硫酸ナトリウムの使用割合は1,2−ジハロゲノベンゼン1モルに対して0.05〜0.15モルであるのが好ましく、0.07〜0.1モルであるのがより好ましい。
【0059】
前記反応溶媒としては、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0060】
反応温度は、50〜100℃であるのが好ましく、70〜85℃であるのがより好ましい。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜4時間である。
【0061】
(工程2)工程1で得られた3,4−ジハロゲノベンゼンスルホン酸と塩化チオニルとを反応させて、3,4−ジハロゲノベンゼンスルホニルクロライドを合成する。
【0062】
前記塩化チオニルの使用割合は、3,4−ジハロゲノベンゼンスルホン酸1モルに対して、1.0〜2.0モルであるのが好ましく、1.1〜1.5モルであるのがより好ましい。
【0063】
反応溶媒としては、工程1の場合と同様、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく用いられる。工程1と同様の反応溶媒を用いた場合、反応を連続して行うことができるため、作業効率や収率等の点で有利である。
【0064】
反応温度は、45〜70℃であるのが好ましく、50〜60℃であるのがより好ましい。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜4時間である。
【0065】
(工程3)工程2で得られた3,4−ジハロゲノベンゼンスルホニルクロライドに対して、水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有する、炭素数1〜8のアルキル化合物、炭素数1〜8のアルキルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、ピペラジンまたは、ベンゼンを反応させ、4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。なお、必要に応じて、塩化アルミニウム等の反応触媒を用いてもよい。
【0066】
例えば、4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、アミノ基を有する炭素数1〜8のアルキルアミンとして、ジエタノールアミンを用いることにより、4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0067】
また、4−[{2−カルボキシモルホリノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、カルボキシル基を有するモルホリンとして、2−カルボキシモルホリンを用いることにより、4−[{2−カルボキシモルホリノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0068】
また、4−[{3−アミノピペリジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、アミノ基を有するピペリジンとして、3−アミノピペリジンを用いることにより、4−[{3−アミノピペリジノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0069】
また、4−[{3−カルバモイルピロリジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、アミド基を有するピロリジンとして、3−カルバモイルピロリジンを用いることにより、4−[{3−カルバモイルピロリジノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0070】
また、4−[{3−ヒドロキシチオモルホリノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、水酸基を有するチオモルホリンとして、3−ヒドロキシチオモルホリンを用いることにより、4−[{3−ヒドロキシチオモルホリノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0071】
また、4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、水酸基を有するピペラジンとして、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを用いることにより、4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0072】
また、4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール金属錯体を製造する場合には、水酸基を有するベンゼンとしてフェノールを用い、さらに反応触媒として塩化アルミニウムを添加することにより、4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンを合成する。
【0073】
工程3において、前記工程2で得られた3,4−ジハロゲノベンゼンスルホニルクロライドを全量用いる場合、前記ジエタノールアミン、2−カルボキシモルホリン、3−アミノピペリジン、3−カルバモイルピロリジン、3−ヒドロキシチオモルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンまたはフェノールの使用割合は、工程2で用いた3,4−ジハロゲノベンゼンスルホン酸1モルに対して、1.0〜4.0モルであることが好ましく、1.1〜3.0モルであることがより好ましい。
【0074】
なお、塩化アルミニウム等の反応触媒を用いる場合、その使用割合としては、3,4−ジハロゲノベンゼンスルホニルクロライド1モルに対して、0.5〜2.5モルであるのが好ましく、1.0〜1.5モルであるのがより好ましい。
【0075】
反応溶媒としては、工程2の場合と同様、クロロホルム、四塩化炭素および1,2−エチレンジクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒、並びにモノクロロベンゼンおよびトルエン等の芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。工程2と同様の反応溶媒を用いた場合、反応を連続して行うことができるため、作業効率性や収率等の点で有利である。
【0076】
反応温度は、15〜40℃であるのが好ましく、20〜30℃であるのがより好ましい。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜3時間である。
【0077】
なお、工程3で得られる4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンは、下記式(2)で表される。
【0078】
【化2】

【0079】
前記式(2)において、XおよびXは、同一であっても異なっていてもよく、塩素原子および臭素原子等のハロゲン原子を示し、Rは、前記式(1)中のR1またはRに相当する基であって、水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上を有する、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基または、フェニル基を示す。
【0080】
(工程4)工程3で得られた4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンのハロゲン基をメルカプト基に置換し、式(3);
【0081】
【化3】

で示される4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを合成する。なお、式(3)中のRは、前記式(2)中のRと同じ基である。
【0082】
4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンのハロゲン基をメルカプト基に置換する方法は、例えば、特開平6−25151号公報および特開平5−117225号公報に記載された方法に従って実施することができる。
【0083】
具体的には、工程3で得られた4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼンに、鉄粉と硫黄末とを触媒として、水硫化ナトリウムと反応させることにより、ハロゲン基がメルカプト基に置換され、鉄錯体が形成される。当該鉄錯体を、酸化亜鉛を用いて分解することで、目的とする4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールが得られる。
【0084】
前記水硫化ナトリウムの使用割合は、4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼン1モルに対して、1.5〜4.0モルであるのが好ましく、1.8〜2.5モルであるのがより好ましい。
【0085】
前記鉄粉の使用割合は、4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼン1モルに対して、0.4〜2.0モルであるのが好ましく、0.5〜1.0モルであるのがより好ましい。
【0086】
前記硫黄末の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼン100重量部に対して、1.0〜20.0重量部であることが好ましく、1.0〜5.0重量部であることがより好ましい。
【0087】
反応温度は、60〜140℃であるのが好ましく、70〜110℃であるのがより好ましい。
【0088】
前記鉄錯体を分解するために用いられる酸化亜鉛の使用量は、4−置換スルホニル−1,2−ジハロゲノベンゼン100重量部に対して、20〜80重量部であることが好ましく、30〜50重量部であることがより好ましい。
【0089】
分解温度としては、60〜140℃であるのが好ましく、70〜110℃であるのがより好ましい。
【0090】
(工程5)工程4で得られた4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオールを低級アルコール中において、遷移金属の塩と、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩との存在下に反応させる方法、または、工程4で得られた4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール鉄錯体のN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、低級アルコールを加え、遷移金属の塩と、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩との存在下に反応させる方法等により、式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体を得ることができる。
【0091】
前記低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびtert−ブタノール等を挙げることができる。中でも、経済性の観点からメタノールを用いるのが好ましい。
【0092】
前記遷移金属の塩としては、例えば、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化ニッケル(II)、臭化銅(II)、臭化コバルト、ヨウ化コバルトおよびヨウ化ニッケル等の遷移金属のハロゲン化物、硝酸銅および硝酸コバルト等の硝酸塩、硫酸銅および硫酸コバルト等の硫酸塩、並びに酢酸銅および酢酸コバルト等の酢酸塩を挙げることができる。中でも、経済性や反応性の観点から、ハロゲン化物であることが好ましく、塩化物であることがより好ましい。
【0093】
前記遷移金属塩の使用割合は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール1モルに対して、0.3〜10モルであるのが好ましい。遷移金属塩の使用割合が0.3モル未満の場合、収率が低くなり、10モルを越える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0094】
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイドおよびテトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド等のテトラ−n−ブチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウムブロマイドおよびテトラエチルアンモニウムクロライド等のテトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウムブロマイドおよびテトラフェニルアンモニウムクロライド等のテトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウムブロマイドおよびテトラベンジルアンモニウムクロライド等のテトラベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイドおよびトリメチルベンジルアンモニウムクロライド等のトリメチルベンジルアンモニウム塩、並びにトリブチルベンジルアンモニウムブロマイドおよびトリブチルベンジルアンモニウムクロライド等のトリブチルベンジルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0095】
前記第4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドおよびテトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド等のテトラ−n−ブチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウムブロマイドおよびテトラエチルホスホニウムクロライド等のテトラエチルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよびテトラフェニルホスホニウムクロライド等のテトラフェニルホスホニウム塩、テトラベンジルホスホニウムブロマイドおよびテトラベンジルホスホニウムクロライド等のテトラベンジルホスホニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイドおよびトリメチルベンジルホスホニウムクロライド等のトリメチルベンジルホスホニウム塩、並びにトリブチルベンジルホスホニウムブロマイドおよびトリブチルベンジルホスホニウムクロライド等のトリブチルベンジルホスホニウム塩等を挙げることができる。これらの中でも、経済性や反応性等の観点から、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイドまたはテトラエチルアンモニウムクロライドのような第4級アンモニウム塩であることが好ましい。
【0096】
前記第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩の使用割合は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール1モルに対して、0.3〜1.0モルであるのが好ましく、0.4〜0.9モルであるのがより好ましい。使用割合が0.3モル未満の場合、収率が低くなり、1.0モルを越える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0097】
なお、この工程での反応は、収率を高める観点から、金属アルコキシドの存在下で実施するのが好ましい。前記金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートおよびカリウム−tert−ブチラート等が挙げられる。中でも、経済性の観点から、ナトリウムメチラートを用いるのが好ましい。
【0098】
金属アルコキシドの使用割合は、4−置換スルホニル−1,2−ベンゼンジチオール1モルに対して、1.5〜10モルであるのが好ましく、2.0〜3.0モルであるのがより好ましい。1.5モル未満の場合、収率が向上せず、10モルを越える場合、使用量に見合う効果がなく経済でない。
【0099】
反応温度は、15〜40℃であるのが好ましく、25〜35℃であるのがより好ましい。なお、反応時間は、反応温度により異なるが、通常、1〜10時間である。
【0100】
かくして得られる置換ベンゼンジチオール金属錯体は、晶析、抽出、カラムクロマトグラフィー等の、通常の分離精製操作によって単離することができる。
【0101】
本発明に係る光安定化シアニン系色素は、前記式(1)で表される置換ベンゼンジチオール金属錯体を構成する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体からなる。
【0102】
本発明に係る光安定化シアニン系色素を得る方法としては、例えば、前記置換ベンゼンジチオール金属錯体とシアニン系色素とを、有機溶媒中で反応させ、次いで、前記置換ベンゼンジチオール金属錯体に由来するカチオンと前記シアニン系色素に由来するアニオン等のイオンを除去した後、得られた結晶を乾燥させる方法を挙げることができる。
【0103】
シアニン系色素としては、特に限定されず、例えば、林原生物化学研究所製の商品名NK−863、NK−3212、NK−723、NK−67およびNK−382、並びにシイベル社製の商品名ST67、ST68、ST656およびST81等の400〜700nmに吸収を有するものや、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名S0813、S0889、S0941、S0946およびS0824、並びに林原生物化学研究所製のNK−5、NK−2014、NK−78、NK−1144およびNK−124等の700〜1100nmに吸収を有するものなどが挙げられる。これらシアニン系色素は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0104】
前記シアニン系色素の使用割合は、置換ベンゼンジチオール金属錯体1モルに対して、0.8〜1.2モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルの割合であることがより好ましい。シアニン系色素の使用割合が0.8モル未満の場合、光安定化シアニン系色素の収率が低下するおそれがあり、1.2モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0105】
前記反応で用いられる反応溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトンおよびメチルエチルケトン等が挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルが好適に用いられる。
【0106】
前記反応溶媒の使用量は、置換ベンゼンジチオール金属錯体100重量部に対して、1000〜100000重量部であることが好ましく、4000〜20000重量部であることがより好ましい。反応溶媒の使用量が1000重量部未満の場合、均一に混合できなくなるおそれがある。また、反応溶媒の使用量が100000重量部を超える場合、容積効率が悪化し経済的でない。
【0107】
前記置換ベンゼンジチオール金属錯体とシアニン系色素との反応温度は、シアニン系色素の分解を抑制する観点から、0〜60℃であることが好ましく、10〜50℃であることがより好ましい。反応時間は、反応温度により異なるが、通常、反応は瞬時に完結する。
【0108】
前記光安定化シアニン系色素を得る反応において、置換ベンゼンジチオール金属錯体とシアニン系色素は、有機溶媒に溶解するが、生成する対イオン結合体は、反応の進行とともに一部析出し、反応液はスラリー状となる。
【0109】
得られた反応液から置換ベンゼンジチオール金属錯体に由来するカチオンとシアニン系色素に由来するアニオンを除去する方法としては、特に限定されないが、例えば、置換ベンゼンジチオール金属錯体に由来するカチオンおよびシアニン系色素に由来するアニオン等のイオンは溶解し、目的物である対イオン結合体は溶解しない溶媒を反応液に添加して、冷却し、対イオン結合体を析出させた後、濾過する方法を挙げることができる。また、これらのイオンを十分に除去する観点から、得られた対イオン結合体を再結晶することが好ましい。
【0110】
前記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノールおよびプロパノール等が挙げられる。これらの中でも、不要なイオンを効率よく除去できるという観点から、水およびメタノールが好適に用いられる。
【0111】
前記溶媒の使用量は、置換ベンゼンジチオール金属錯体100重量部に対して、1000〜100000重量部であることが好ましく、5000〜20000重量部であることがより好ましい。
【0112】
かくして得られた光安定化シアニン系色素を用いて、架橋剤および粘着剤とを含む光吸収色素組成物を得ることができる。
【0113】
前記架橋剤としては、前記光安定化シアニン系色素と前記粘着剤とを架橋できるものであればよく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有する多官能のイソシアネート系架橋剤、並びにエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の分子内にグリシジル基を少なくとも2個以上有する多官能のグリシジル系架橋剤等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。これら架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0114】
前記架橋剤の使用割合としては、光安定化シアニン系色素1モルに対して、1.1〜10モルであることが好ましく、2.1〜4.2モルであることがより好ましい。前記架橋剤の使用割合が1.1モル未満の場合、充分な架橋反応が進行せず、経時的な光安定化シアニン系色素の析出および凝集を充分に抑制できないおそれがあり、10モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でないことに加え、架橋剤と光安定化シアニン系色素の副反応が起こり、劣化が促進されるおそれがある。
【0115】
なお、前記架橋剤は、架橋反応を促進させる観点から、硬化触媒を併用してもよい。架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を使用する場合、硬化触媒としては、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、アルキルチタン酸塩、オクチル酸塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、オクチル酸鉛およびナフテン酸ニッケル等が挙げられる。
【0116】
前記粘着剤としては、分子内に水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基等、前記架橋剤と反応性を有する官能基を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリ塩化ビニル系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、ブチルゴム系およびシリコーン系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、透明性および耐久性に優れていることから、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が好適に用いられる。
【0117】
前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、例えば、単量体としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内に水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基等の官能基を有する単量体との共重合体を挙げることができる。なお、本発明において、アクリル酸およびメタクリル酸は(メタ)アクリル酸を表し、アクリレートおよびメタクリレートは(メタ)アクリレートを表す。
【0118】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0119】
前記分子内に水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびアリルアルコール等を挙げられる。
【0120】
前記分子内にカルボキシル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、4−カルボキシブチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸等を挙げることができる。
【0121】
前記分子内にアミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルアセトアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、メチロール(メタ)アクリルアミドおよびメトキシエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0122】
前記分子内にアミノ基を有する単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびモノホリノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0123】
なお、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に用いられる前記単量体の他に、さらに別の単量体を加えてもよい。別の単量体の例としては、メトキシエチル(メタ)アクリレートおよびエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレンおよびビニルトルエン等の芳香族単量体、メタクリロキシプロピルメトキシシラン、酢酸ビニル、塩化ビニル、並びに(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0124】
本発明において、前記粘着剤は、一般に市販されているものを使用することができる。市販されている粘着剤の具体例としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体を主成分とする日本カーバイド工業株式会社製の商品名SZ6232、SZ6470およびSZ6632等を挙げることができる。また本発明において、前記粘着剤は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0125】
また、本発明に係る光吸収色素組成物に用いられる粘着剤は、通常、室温付近の温度において粘着性を有することが必要であることから、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であるものが好ましく、0℃以下であるものがより好ましく、−10℃以下であるものがさらに好ましい。
【0126】
前記粘着剤の使用量としては、光安定化シアニン系色素100重量部に対して、200〜10000000重量部であることが好ましく、1000〜100000重量部であることがより好ましい。前記粘着剤が200重量部未満の場合、充分な粘着性が得られないおそれがあり、10000000重量部を超える場合、光吸収能が不十分となるおそれがある。
【0127】
本発明に係る光吸収色素組成物を得る方法としては、特に限定されるものでないが、例えば、前記光安定化シアニン系色素、架橋剤および粘着剤等を加えて、混合する方法を挙げることができる。
【0128】
なお、架橋反応の効率を高める観点から、前記光安定化シアニン系色素と架橋剤とを混合した後、前記粘着剤を加える方法が好ましい。また、さらに架橋反応の効率を高める観点から、前記安定化シアニン系色素と架橋剤を混合する際に加熱してもよい。加熱温度としては、40〜150℃であることが好ましく、60〜100℃であることがさらに好ましい。
【0129】
また、さらに適量のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン類等の溶媒を加えて前記光吸収色素組成物を液状にすることにより、混合を容易にすることができる。
【0130】
なお、架橋反応の効率を高める観点から、前記置換ベンゼンジチオール金属錯体と架橋剤とを混合した後、さらに前記シアニン系色素と粘着剤を添加して、光吸収色素組成物を調製することも可能である。
【0131】
本発明に係る光吸収色素組成物は、例えば、プラズマディスプレイパネル等の表示面等に直接塗布してもよいし、あるいは反射防止膜等の他の機能を有するフィルム等に塗布して光吸収材として使用してもよい。前者の場合、光吸収材を形成させるためのフィルム等の基板等を必要とせず、また当該基板等への光吸収色素の塗布工程や塗布された光吸収色素の塗布表面への粘着剤の塗布工程を必要としない。また、後者の場合、従来後続の工程として必要とされていた、光吸収色素の塗布表面へ粘着剤を塗布する工程は不要となる。
【0132】
本発明に係る光吸収色素組成物の塗布方法としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、ロールコート法等が挙げられる。なお、塗布工程においては、塗布操作をより容易にするため、光吸収色素組成物の製造方法について記載したように、当該組成物に前記溶媒を加えて液状にしたものを用いるのが好ましい。
【0133】
本発明の光吸収色素組成物が、耐久透明性に優れる理由は、詳らかではないが、以下のような架橋反応が関与しているものと考えられる。すなわち、例えば、イソシアネート系架橋剤等と反応する所定の官能基を有する光安定化シアニン系色素と、イソシアネート系架橋剤と反応する所定の官能基を有する粘着剤とを、該架橋剤を介して化学的に結合することで、当該粘着剤のポリマー側鎖に光安定化シアニン系色素を固定化することにより、光安定化シアニン系色素の経時的な析出および凝集を抑制しているものと考えられる。
【0134】
なお、本発明に係る光吸収色素組成物の使用形態において、架橋剤による光安定化シアニン系色素と粘着剤の結合反応や架橋剤による粘着剤の硬化反応を十分に進行させ、光安定化シアニン系色素の経時的な析出および凝集の抑制効果をより高めるための工程として、例えば、前記塗布工程の後に、室温暗所にて一定期間静置する等の工程を設けることが好ましい。
【0135】
また、本発明に係る光吸収色素組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、シアニン系色素以外の種々の色素、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤や紫外線吸収剤等の難揮発性の添加物を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0136】
本発明によると、プラズマディスプレイパネル等の部材に、容易に効率よく特定波長の光吸収機能を付与することができ、粘着剤中における経時的な光安定化シアニン系色素の析出、凝集が充分に抑制され、光吸収能および可視光域の透明性の持続性に優れる光吸収色素組成物、それらの用途に適した置換ベンゼンジチオール金属錯体および光安定化シアニン系色素を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0137】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0138】
実施例1
1,2−エチレンジクロライド90g、クロロスルホン酸71.5g(0.61モル)および無水硫酸ナトリウム4.3g(0.03モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら、1,2−ジクロロベンゼン53.0g(0.36モル)を滴下し、75℃で2時間反応させた。次に得られた3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を含む反応生成液を50℃に冷却し、塩化チオニル47.6g(0.40モル)を滴下して50〜55℃で2時間反応させた。この反応生成液を室温まで冷却した後に水360g中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層210gを、ジエタノールアミン79.9g(0.76モル)および1,2−エチレンジクロライド240gの混合溶液中に滴下して室温で1時間反応させた。これに水185gを更に添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼン104.1gを得た。収率は92%であった。
【0139】
得られた4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼン62.8g(0.2モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド183gおよび70重量%水硫化ナトリウム水溶液33.6g(0.42モル)を加え、65℃で3時間反応させた。この溶液に、鉄粉5.9g(0.11モル)および硫黄末6.7g(0.21モル)を添加し、90〜95℃で6時間反応させた。
【0140】
得られた反応液に室温でメタノール1080gを加えた後、28重量%ナトリウムメチラート溶液77.2g(ナトリウムメチラートとして0.21モル)を添加して1時間攪拌し、塩化銅(II)2水和物17.0g(0.1モル)を添加して、さらに室温で3時間反応させた。次いで、この反応液にテトラブチルアンモニウムブロマイド32.2g(0.1モル)を添加し、室温で空気を吹き込みながら2時間反応させた。
【0141】
かくして得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D1:下記の表1を参照)75.0gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D1)の収率は、4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼンに対して81%であった。
【0142】
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D1)は下記の分析結果から同定することができた。
【0143】
IR分析(KBr法):3598cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR(400MHz,CDCl):δ=7.37(m,2H,Ph),7.18−7.12(m,4H,Ph),4.08(t,4H,OH),3.71(m,8H,CH),3.12(m,8H,CH),2.89(m,8H,CH),1.50(m,8H,CH),1.24(m,8H,CH),0.88(m,12H,CH
元素分析(C3662CuN):
理論値;C,46.96;H,6.79;Cu,6.90;N,4.56;O,13.90;S,20.89
実測値;C,46.8;H,6.7;Cu,7.0;N,4.6;O,14.0;S,20.7
【0144】
実施例2
実施例1において、塩化銅(II)2水和物17.0g(0.1モル)に代えて、塩化ニッケル(II)6水和物23.8g(0.1モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D2:下記の表1を参照)75.4gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D2)の収率は、4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼンに対して82%であった。
【0145】
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D2)は下記の分析結果から同定することができた。
【0146】
IR(KBr):3490cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR:D2は常磁性であるため、NMRからは有用な構造情報は得られなかった。
元素分析(C3662NiN):
理論値;C,47.20;H,6.82;Ni,6.41;N,4.59;O,13.97;S,21.00.
実測値;C,47.1;H,6.8;Ni,6.4;N,4.5;O,14.0;S,21.2
【0147】
実施例3
実施例1において、ジエタノールアミン79.9g(0.76モル)に代えて、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン98.9g(0.76モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D3:下記の表1を参照)78.2gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D3)の収率は、4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼンに対して81%であった。
【0148】
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕銅(D3)は下記の分析結果から同定することができた。
【0149】
IR(KBr):3439cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR(400MHz,CDCl):δ=7.34(m,4H,Ph),7.15−7.13(m,2H,Ph),3.57(t,4H,CH),3.05(m,8H,CH),3.00(m,8H,Py),2.59(m,8H,Py),2.54(t,4H,CH),2.45(br,2H,OH),1.48(m,8H,CH),1.27(m,8H,CH),0.90(t,12H,CH
元素分析(C4068CuN):
理論値;C,49.48;H,7.06;Cu,6.54;N,7.21;O,9.89;S,19.81.
実測値;C,49.5;H,7.0;Cu,6.6;N,7.1;O,9.9;S,19.9
【0150】
実施例4
実施例2において、ジエタノールアミン79.9g(0.76モル)に代えて、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン98.9g(0.76モル)を用いた以外は実施例2と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D4:下記の表1を参照)78.1gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D4)の収率は、4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ジクロロベンゼンに対して81%であった。
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス〔4−[{4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−〕ニッケル(D4)は下記の分析結果から同定することができた。
【0151】
IR(KBr):3523cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR:D4は常磁性であるため、NMRからは有用な構造情報は得られなかった。
元素分析(C4068NiN):
理論値;C,49.73;H,7.09;Ni,6.08;N,7.25;O,9.94;S,19.91.
実測値;C,49.7;H,7.2;Ni,6.0;N,7.2;O,10.0;S,19.9
【0152】
実施例5
2−エチレンジクロライド90g、クロロスルホン酸71.5g(0.61モル)および無水硫酸ナトリウム4.3g(0.03モル)を加えて窒素ガスを緩やかに通じながら、1,2−ジクロロベンゼン53.0g(0.36モル)を滴下し、75℃で2時間反応させた。反応生成液を冷却後に濾過して乾燥し、50.3gの粗3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を得た。
【0153】
次に、得られた粗3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸50.3g、モノクロロベンゼン70gを混合し、さらに塩化チオニル47.6g(0.40モル)を滴下して50〜55℃で2時間反応させた。この反応生成液を室温まで冷却した後に水360g中に滴下し、0〜10℃で0.5時間攪拌した。得られた反応生成液を分液し、水層を除去して得られた有機層210gに、フェノール37.6g(0.40モル)、塩化アルミニウム48.0g(0.36モル)を添加して75℃で1時間反応させた。これに水185gを更に添加し、分液して水層を除去した後に溶媒を減圧留去して4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル}−1,2−ジクロロベンゼン63.3gを得た。収率は58%であった。
【0154】
得られた4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル}−1,2−ジクロロベンゼン60.6g(0.2モル)に、N,N−ジメチルホルムアミド183gおよび70重量%水硫化ナトリウム水溶液33.6g(0.42モル)を加え、65℃で3時間反応させた。この溶液に、鉄粉5.9g(0.11モル)および硫黄末6.7g(0.21モル)を添加し、90〜95℃で6時間反応させた。
【0155】
得られた反応液に室温でメタノール1080gを加えた後、28重量%ナトリウムメチラート溶液77.2g(ナトリウムメチラートとして0.21モル)を添加して1時間攪拌し、塩化銅(II)2水和物17.0g(0.1モル)を添加して、さらに室温で3時間反応させた。次いで、この反応液にテトラブチルアンモニウムブロマイド32.2g(0.1モル)を添加し、室温で空気を吹き込みながら2時間反応させた。
【0156】
かくして得られた反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]銅(D5:下記の表1を参照)79.1gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]銅(D5)の収率は、4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル}−1,2−ジクロロベンゼンに対して88%であった。
【0157】
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]銅(D5)は下記の分析結果から同定することができた。
【0158】
IR(KBr):3586cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR(400MHz,CDCl):δ=7.44(m,8H,Ph),7.18−7.11(m,6H,Ph),4.82(m,2H,OH)2.85(t,8H,CH),1.42(m,8H,CH),1.19(m,8H,CH),1.22(t,12H,CH
元素分析(C4052CuNO):
理論値;C4052CuNO:C,53.45;H,5.83;Cu,7.07;N,1.56;O,10.68;S,21.41.
実測値;C,53.5;H,5.8;Cu,7.1;N,1.6;O,10.7;S,21.3
【0159】
実施例6
実施例5において塩化銅(II)2水和物17.0g(0.1モル)に代えて、塩化ニッケル(II)6水和物23.8g(0.1モル)を用いた以外は実施例5と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、緑色のテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]ニッケル(D6:下記の表1を参照)75.5gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]ニッケル(D6)の収率は、4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル}−1,2−ジクロロベンゼンに対して84%であった。
【0160】
得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス[4−{4−ヒドロキシベンゼン}スルホニル]−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−]ニッケル(D6)は下記の分析結果から同定することができた。
【0161】
IR(KBr):3501cm−1(水酸基の伸縮振動)
H NMR:D6は常磁性であるため、NMRからは有用な構造情報は得られなかった。
元素分析(C4052NiNO):
理論値;C,53.74;H,5.86;Ni,6.57;N,1.57;O,10.74;S,21.52.
実測値;C,53.7;H,5.9;Ni,6.6;N,1.6;O,10.8;S,21.4
【0162】
比較例1
実施例1において、ジエタノールアミン79.9g(0.76モル)に代えて、N,N−ジエチルアミン55.6g(0.76モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、テトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス{4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−}銅(D7:下記の表1を参照)72.9gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス{4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−}銅(D7)の収率は、4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ジクロロベンゼンに対して85%であった。
【0163】
比較例2
実施例2において、ジエタノールアミン79.9g(0.76モル)に代えて、N,N−ジエチルアミン55.6g(0.76モル)を用いた以外は実施例2と同様にして、置換ベンゼンジチオール金属錯体として、テトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス{4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−}ニッケル(D8:下記の表1を参照)71.8gを得た。得られたテトラ−n−ブチルアンモニウム=ビス{4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ベンゼンジチオラート−S,S’−}ニッケル(D8)の収率は、4−(N,N−ジエチルアミノスルホニル)−1,2−ジクロロベンゼンに対して84%であった。
【0164】
得られた各置換ベンゼンジチオール金属錯体に対応する式(1)におけるRおよびRに相当する基の構造を表1に示す。
【0165】
【表1】

【0166】
実施例7
置換ベンゼンジチオール金属錯体D1の9.2g(0.01モル)とシアニン系色素E1(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0813)7.1g(0.01モル)とを、N,N−ジメチルホルムアミド500gに溶解、混合し、50℃に30分保持して反応させた。得られた反応液から不要なイオンを除去するため、メタノール600g、続いて水900gを加えて混合し、冷却、濾過した。この操作を2回繰り返した後、メタノール洗浄し乾燥して、光安定化シアニン系色素12.0g(収率93%)を得た。
【0167】
実施例8
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D2を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素11.8g(収率92%)を得た。
【0168】
実施例9
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D3を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素13.0g(収率96%)を得た。
【0169】
実施例10
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D4を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素12.1g(収率90%)を得た。
【0170】
実施例11
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D5を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素11.8g(収率93%)を得た。
【0171】
実施例12
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D6を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素11.6g(収率92%)を得た。
【0172】
比較例3
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D7を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素11.6g(収率95%)を得た。
【0173】
比較例4
実施例7において、置換ベンゼンジチオール金属錯体D1に代えて、D8を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素11.0g(収率90%)を得た。
【0174】
実施例13
実施例7において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュ ケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素12.3g(収率91%)を得た。
【0175】
実施例14
実施例8において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例8と同様にして、光安定化シアニン系色素11.8g(収率88%)を得た。
【0176】
実施例15
実施例9において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例9と同様にして、光安定化シアニン系色素12.0g(収率86%)を得た。
【0177】
実施例16
実施例10において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例10と同様にして、光安定化シアニン系色素11.3g(収率81%)を得た。
【0178】
実施例17
実施例11において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例11と同様にして、光安定化シアニン系色素11.8g(収率89%)を得た。
【0179】
実施例18
実施例12において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は実施例12と同様にして、光安定化シアニン系色素11.5g(収率87%)を得た。
【0180】
比較例5
比較例3において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は比較例3と同様にして、光安定化シアニン系色素11.9g(収率93%)を得た。
【0181】
比較例6
比較例4において、シアニン系色素E1に代えて、E2(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0941)を用いた以外は比較例4と同様にして、光安定化シアニン系色素11.1g(収率87%)を得た。
【0182】
実施例19
実施例7において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例7と同様にして、光安定化シアニン系色素12.5g(収率92%)を得た。
【0183】
実施例20
実施例8において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例8と同様にして、光安定化シアニン系色素12.6g(収率93%)を得た。
【0184】
実施例21
実施例9において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例9と同様にして、光安定化シアニン系色素12.9g(収率91%)を得た。
【0185】
実施例22
実施例10において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例10と同様にして、光安定化シアニン系色素12.8g(収率91%)を得た。
【0186】
実施例23
実施例11において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例11と同様にして、光安定化シアニン系色素12.3g(収率92%)を得た。
【0187】
実施例24
実施例12において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は実施例12と同様にして、光安定化シアニン系色素12.5g(収率94%)を得た。
【0188】
比較例7
比較例3において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は比較例3と同様にして、光安定化シアニン系色素11.9g(収率92%)を得た。
【0189】
比較例8
比較例4において、シアニン系色素E1に代えて、E3(下記の表2を参照、エフ・イー・ダブリュケミカルズ社製の商品名;S0946)を用いた以外は比較例4と同様にして、光安定化シアニン系色素11.7g(収率91%)を得た。
【0190】
【表2】

【0191】
実施例25
実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgをメチルエチルケトン3gに溶解した後、イソシアネート系架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−102)24mg、および硬化触媒(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−901)12mgを加え、25℃で3分間攪拌した。この溶液に粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;SZ6632)4gを添加し、十分に混合し、液状の光吸収色素組成物を得た。得られた光吸収色素組成物の特性を評価するため、これを剥離性フィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの塗膜を形成させた後、当該塗膜表面をPETフィルムで覆い、ゴムローラーで密着させた。これを25℃で7日間養生した後、剥離性フィルムを剥がし、ガラス板を貼り合わせて評価用の光吸収材を得た。
【0192】
実施例26
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例8で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0193】
実施例27
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例9で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0194】
実施例28
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例10で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0195】
実施例29
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例11で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0196】
実施例30
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例12で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0197】
比較例9
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例3で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
比較例10
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例4で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0198】
実施例31
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例13で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0199】
実施例32
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例14で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0200】
実施例33
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例15で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0201】
実施例34
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例16で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0202】
実施例35
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例17で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0203】
実施例36
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例18で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0204】
比較例11
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例5で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0205】
比較例12
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例6で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0206】
実施例37
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例19で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0207】
実施例38
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例20で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0208】
実施例39
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例21で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0209】
実施例40
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例22で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0210】
実施例41
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例23で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0211】
実施例42
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例24で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0212】
比較例13
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0213】
比較例14
実施例25において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例8で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例25と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0214】
実施例43
実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgをメチルエチルケトン3gに溶解し、粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;SZ6632)4gを添加し、混合した後に、イソシアネート系架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−102)24mg、および硬化触媒(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−901)12mgを加え、混合し、液状の光吸収色素組成物を得た。得られた光吸収色素組成物の特性を評価するため、これを剥離性フィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの塗膜を形成させた後、当該塗膜表面をPETフィルムで覆い、ゴムローラーで密着させた。これを25℃で7日間養生した後、剥離性フィルムを剥がし、ガラス板を貼り合わせて評価用の光吸収材を得た。
【0215】
実施例44
実施例43において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例8で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例43と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0216】
比較例15
実施例43において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例3で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例43と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0217】
比較例16
実施例43において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例4で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例43と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0218】
実施例45
実施例15で得られた光安定化シアニン系色素17mgをメチルエチルケトン3gに溶解した後、イソシアネート系架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−102)24mg、および硬化触媒(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−901)12mgを加え、25℃で3分間攪拌した。この溶液に粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;SZ6470)4gを添加し、十分に混合し、液状の光吸収色素組成物を得た。得られた光吸収色素組成物の特性を評価するため、これを剥離性フィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの塗膜を形成させた後、当該塗膜表面をPETフィルムで覆い、ゴムローラーで密着させた。これを25℃で7日間養生した後、剥離性フィルムを剥がし、ガラス板を貼り合わせて評価用の光吸収材を得た。
【0219】
実施例46
実施例45において、実施例15で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、実施例16で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例45と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0220】
比較例17
実施例45において、実施例15で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、比較例5で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例45と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0221】
比較例18
実施例45において、実施例15で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、比較例6で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例45と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0222】
実施例47
実施例23で得られた光安定化シアニン系色素17mgをシクロペンタノン3.5gに溶解した後、イソシアネート系架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−102)24mg、および硬化触媒(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−901)12mgを加え、25℃で3分間攪拌した。この溶液に粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;SZ6632)4gを添加し、十分に混合し、液状の光吸収色素組成物を得た。得られた光吸収色素組成物の特性を評価するため、これを剥離性フィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの塗膜を形成させた後、当該塗膜表面をPETフィルムで覆い、ゴムローラーで密着させた。これを25℃で7日間養生した後、剥離性フィルムを剥がし、ガラス板を貼り合わせて評価用の光吸収材を得た。
【0223】
実施例48
実施例47において、実施例23で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、実施例24で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例47と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0224】
比較例19
実施例47において、実施例23で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、比較例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例47と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0225】
比較例20
実施例47において、実施例23で得られた光安定化シアニン系色素17mgに代えて、比較例8で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例47と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0226】
実施例49
実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgをメチルエチルケトン3gに溶解した後、イソシアネート系架橋剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−102)16mg、および硬化触媒(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;CK−901)8mgを加え、25℃で3分間攪拌した。この溶液に粘着剤(日本カーバイド工業株式会社製の商品名;SZ6632)4gを添加し、十分に混合し、液状の光吸収色素組成物を得た。得られた光吸収色素組成物の特性を評価するため、これを剥離性フィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの塗膜を形成させた後、当該塗膜表面をPETフィルムで覆い、ゴムローラーで密着させた。これを25℃で7日間養生した後、剥離性フィルムを剥がし、ガラス板を貼り合わせて評価用の光吸収材を得た。
【0227】
実施例50
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例8で得られた光安定化シアニン系色素16mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0228】
実施例51
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例9で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0229】
実施例52
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例10で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0230】
実施例53
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例11で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0231】
実施例54
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、実施例12で得られた光安定化シアニン系色素17mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0232】
比較例21
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例3で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0233】
比較例22
実施例49において、実施例7で得られた光安定化シアニン系色素16mgに代えて、比較例4で得られた光安定化シアニン系色素15mgを用いた以外は実施例49と同様にして、光吸収色素組成物および評価用の光吸収材を得た。
【0234】
[光吸収材の評価]
実施例25〜54および比較例9〜22で得られた光吸収材について、耐熱性試験、耐湿熱性試験および耐光性試験を実施した。耐熱性試験としては、小型環境試験器(ナガノ科学機械製作所製の商品名:LH−20)を用いて、80℃で250時間、光吸収材を静置した。耐湿熱性試験としては、小型環境試験器(エスペック株式会社製の商品名;SH−220)を用いて、60℃、90%RHで250時間、光吸収材を静置した。また、耐光性試験としては、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製の商品名:X25)を用いて、60W/m(300〜400nm域における積算)で24時間、光吸収材に光を照射した。なお、各試験前後において、マイクロスコープ(株式会社モリテックス製の商品名:SCOPEMAN MSX−500Di)を用いて、倍率500倍で光吸収材を観察し、析出物および凝集体の有無を調べた。
【0235】
実施例25〜54の光吸収材について、耐熱性試験、耐湿熱性試験および耐光性試験を実施した結果、いずれの試験においても析出物および凝集体は、まったく観察されず、透明性に優れていた。
【0236】
また、比較例9〜22に記載の光吸収材について、耐熱性試験、耐湿熱性試験および耐光性試験を実施した結果、耐熱性試験および耐湿熱性試験において、析出物および凝集体が観察された。なお、耐光性試験には、析出物および凝集体は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1);
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、
水酸基、カルボキシル基、アミド基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有する、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基または、フェニル基を示す。また、Mは、遷移金属原子を、Aは、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンをそれぞれ示す。)で表される、置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンと、カチオンからなる置換ベンゼンジチオール金属錯体。
【請求項2】
請求項1に記載の置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとシアニン系色素カチオンとの対イオン結合体からなる光安定化シアニン系色素。
【請求項3】
請求項2に記載の光安定化シアニン系色素と、架橋剤と、粘着剤とを含む光吸収色素組成物。
【請求項4】
前記架橋剤が、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系架橋剤である請求項3に記載の光吸収色素組成物。
【請求項5】
前記粘着剤が、架橋剤と反応する官能基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体である請求項3または4に記載の光吸収色素組成物。
【請求項6】
請求項2に記載の光安定化シアニン系色素と架橋剤とを混合した後、さらに粘着剤を添加する光吸収色素組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−26222(P2011−26222A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171676(P2009−171676)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】