説明

置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−フタルイミド類及び1−オキソイソインドリン類ならびにTNFαレベルの減少方法

【課題】哺乳動物におけるTNFαのレベルを減少できる、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−フタルイミド類及び1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン類の提供。
【解決手段】具体的な実施態様としては、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン、2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4−アミノフタルイミドなど。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−フタルイミド類[2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-phthalimides)及び置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン類[2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-1-oxoisoindolines]、これらの投与による哺乳動物における腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α)のレベルを減少し、炎症性及び自己免疫疾患を処置する方法、ならびにこのような誘導体の薬剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α)、またはTNFαは、数多くの免疫刺激剤に応答して単核食細胞により一次的に放出されるサイトカインである。動物またはヒトに投与されると、炎症、発熱、心臓血管作用、出血、凝血および急性感染ならびにショック状態の間にみられるのと同様な急性期の応答(acute phase response)を引き起こす。ゆえに、過剰または無制限のTNFαの産生は、数多くの疾患の症状を引き起こす。これらとしては、内毒血症および/または毒素ショック症候群[トレーシー(Tracey)ら、ネーチャー(Nature)、330、662〜664(1987年)およびヒンシャウ(Hinshaw)ら、サーク ショック(Circ.Shock)、30、279〜292(1990年)];悪液質[デズベ(Dezube)ら、ランセット(Lancet)、335(8690)、662(1990年)];および12,000pg/mlを超えるTNFα濃度がARDS患者からの肺呼吸中に検出された成人呼吸窮迫症候群(Adult Respiratory Distress Syndrome)[ミラー(Miller)ら、ランセット(Lancet)、2(8665)、712〜714(1989年)]が挙げられる。組換えTNFαの全身輸液によってもARDSにおいて典型的にみられる変化が生じた[フェラーリ−バリヴィエラ(Ferrai-Baliviera)ら、アーク サージ(Arch.Surg.)、124(12)、1400〜1405(1989年)]。
【0003】
TNFαは、関節炎(arthritis)等の骨吸収疾患に関係すると考えられる。活性化すると、白血球が骨吸収を生じさせ、さらにデータはTNFαがこの活性に寄与していることを示唆している[ベルトリニ(Bertolini)ら、ネーチャー(Nature)、319、516〜518(1986年)およびジョンソン(Johnson)ら、エンドクリノロジー(Endocrinology)、124(3)、1424〜1427(1989年)]。TNFαはまた、破骨細胞の形成及び活性化の刺激が骨芽細胞の機能の阻害と組み合わされることによってイン ビトロ(in vitro)およびイン ビボ(in vivo)で骨の吸収を刺激し骨の形成を阻害することが分かっている。TNFαは関節炎等の数多くの骨吸収疾患に関係するかもしれないものの、疾患との最も強固な関連は、腫瘍または宿主組織によるTNFαの産生と悪性疾患と関わりのある高カルシウム血症との関連である[カルシティッシュー イント(ユーエス)(Calci.Tissue Int.(US))、46(Suppl.)、S3〜10(1990年)]。移植片対宿主反応において、血清中のTNFαレベルの増加は、急性異種骨髄移植後の主な合併症と関連する[ホラー(Holler)ら、ブラッド(Blood)、75(4)、1011〜1016(1990年)]。
【0004】
大脳マラリアは、TNFαの高血中レベルに関連して起こる致命的な超急性神経症候群(hyperacute neurological syndrome)であり、最も重篤な合併症がマラリア患者に生じる。血清中のTNFαのレベルは、疾患の重篤度および急性マラリア発作の患者の余後と直接相関があった[グラウ(Grau)ら、エヌ イングル ジェー メド(N.Engl.J.Med.)、320(24)、1586〜1591(1989年)]。
【0005】
マクロファージ誘導血管形成(macrophage-induced angiogenesis)は、TNFαによって仲介されることが知られている。ライボヴィッチ(Leibovich)ら(ネーチャー(Nature)、329、630〜632(1987年))は、TNFαが非常に低い投与量でラットの角膜及び発育するヒナの漿尿膜においてインビボの(in vivo)毛細血管の形成を誘導することを示し、さらに、TNFαが炎症、創傷治癒、及び腫瘍成長において血管形成を誘導する候補であると示唆する。TNFαの産生はまた、癌性状態、特に誘発性腫瘍と関連があった(チン(Ching)ら、ブリット ジェー キャンサー(Brit.J.Cancer)、(1955年)72、339〜343、およびコック(Koch)、プログレス イン メディシナル ケミストリー(Progress in Medicinal Chemistry)、22、166〜242(1985年))。
【0006】
TNFαはまた、慢性の肺炎(pulmonary inflammatory disease)の分野でも役割を果たす。シリカ粒子の沈着は、線維の反応によって生じる進行性の呼吸不全の病気である、珪肺症を引き起こす。TNFαに対する抗体は、マススにおいてシリカで誘導される肺線維症(lung fibrosis)を完全に阻止した[ピグネット(Pignet)ら、ネーチャー(Nature)、344:245〜247(1890年)]。(血清における及び単離されたマクロファージにおける)高レベルのTNFαの産生が、シリカおよびアスベストで誘導された線維症の動物モデルで示された[ビッソンエット(Bissonnette)ら、インフラメーション(Inflammation)、13(3)、329〜339(1989年)]。また、肺のサルコイドーシスの患者からの肺胞のマクロファージが、正常なドナーからのマクロファージに比して大量のTNFαを常時放出していることが見出された[バウマン(Baughman)ら、ジェー ラボ クリン メド(J.Lab.Clin.Med.)、115(1)、36〜42(1990年)]。
【0007】
TFNαはまた、再灌流(reperfusion)後に起こる炎症性の応答、いわゆる再灌流損傷(reperfusion injury)にも関連しており、血流の損失後の組織損傷の主な原因である[ヴェッダー(Vedder)ら、ピーナス(PNAS)、87、2643〜2646(1990年)]。TNFαはまた、内皮細胞の性質を変え、組織因子である凝血促進剤の活性(pro-coagulant activity)の向上や抗凝血性プロテインC経路の抑制ならびにトロンボモジュリン(thrombomodulin)の発現のダウンレギュレーションなどの、種々の凝血促進活性を有している[シェリー(Sherry)ら、ジェー セル バイオル(J.Cell Biol.)、107、1269〜1277(1988年)]。TNFαは、(炎症の初期段階中の)早期の産生と共に、以下に限られないが、心筋梗塞、脈搏ショック(stroke shock)及び循環ショック(circulatory shock)などの、様々な重要な疾患における組織の損傷のメディエイタとなりうる炎症促進(pro-inflammatory)活性を有している。内皮細胞上の細胞間接着分子(intercellular adhesion molecule)(ICAM)または内皮性白血球接着分子(endothelial leukocyte adhesion molecule)(ELAM)等の、接着分子のTNFαにより誘導される発現が、特に重要である[ムンロ(Munro)ら、アム ジェー パス(Am.J.Path.)、135(1)、121〜132(1989年)]。
【0008】
モノクローナル抗TNFα抗体によるTNFαの遮断は、リウマチ様関節炎(エリオット(Elliot)ら、イント ジェー ファーマク(Int.J.Pharmac.)、1995年、17(2)、141〜145)及びクローン病(フォン デュレメン(von Dullemen)ら、ガストロエンテロロジー(Gastroenterology)、1995年、109(1)、129〜135)で有効であることが示された。
【0009】
さらに、TNFαはHIV−1の活性化等のレトロウィルスの複製の強力な活性化因子であることが現在知られている[デュー(Duh)ら、プロック ナショル アカデ サイ(Proc.Natl.Acad.Sci.)、86、5974〜5978(1989年);ポール(Poll)ら、プロック ナショル アカデ サイ(Proc.Natl.Acad.Sci.)、87、782〜785(1990年);モント(Monto)ら、ブラッド(Blood)、79、2670(1990年);クラウス(Clouse)ら、ジェー イムノル(J.Immunol.)、142、431〜438(1989年);ポール(Poll)ら、エイズ レス ヒュム レトロウィルス(AIDS Res.Hum.Retrovirus)、191〜197(1992年)]。エイズ(AIDS)は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)によるTリンパ球の感染から生じる。HIVの少なくとも三つのタイプないし株(strain)が、すなわちHIV−1、HIV−2及びHIV−3が同定された。HIV感染の結果、T細胞が仲介する免疫性が侵され、感染患者は重篤な日和見感染および/または異常な新生物が現われる。Tリンパ球へのHIVの侵入にはTリンパ球の活性化が必要である。HIV−1やHIV−2等の他のウィルスは、T細胞の活性化後にTリンパ球に感染し、このようなウィルスタンパク質の発現および/または複製は、このようなT細胞の活性化により仲介または維持される。一度活性化Tリンパ球がHIVに感染されると、Tリンパ球はHIV遺伝子の発現および/またはHIVの複製ができるように活性化状態で維持され続けなければならない。サイトカイン類、特にTNFαは、Tリンパ球の活性化を維持する役割を担うことにより活性化されたT細胞が仲介するHIVタンパク質の発現および/またはウィルスの複製に関係している。したがって、HIVに感染した患者における、サイトカイン、特にTNFαの産生を防止(prevention)または阻害(inhibition)することによる等のサイトカイン活性の干渉は、HIV感染により引き起こされるTリンパ球の維持を制限することを補助する。
【0010】
単核細胞、マクロファージ、およびクッパー細胞や膠細胞等の関連細胞もまたHIV感染の維持にかかわっている。これらの細胞は、T細胞と同様、ウィルスの複製の標的であり、ウィルスの複製のレベルは細胞の活性化状態に依存する[ローゼンベルグ(Rosenberg)ら、ザ イムノパソジェネシス オブ エッチアイブイ インフェクション,アドバンセス イン イムノロジー(The Immunopathogenesis of HIV Infection,Advances in Immunology)、57(1989年)]。TNFαなどのサイトカイン類は、単核細胞および/またはマクロファージにおけるHIVの複製を活性化することが示されている[ポリ(Poli)ら、プロック ナショル アカデ サイ(Proc.Natl.Acad.Sci.)、87、782〜784(1990年)]ため、サイトカインの産生または活性の防止ないし阻害は、T細胞に関するHIVによる悪化を制限するのを補助する。さらなる研究によって、イン ビトロ(in vitro)におけるHIVの活性化における共通因子としてTNFαが同定され、さらに、細胞の細胞形質において発見された核の調節タンパク質を介した作用の明確な機構が得られた[オズボーン(Osborn)ら、ピーナス(PNAS)、86、2336〜2340]。この証拠から、TNFα合成の抑制が、転写、即ち、ウィルスの産生を減少させることによる、HIV感染における抗ウィルス効果を有することが示唆される。
【0011】
T細胞及びマクロファージ系における潜在性HIV(latent HIV)のAIDSウィルスの複製は、TNFαにより誘導されうる[フォルクス(Folks)ら、ピーナス(PNAS)、86、2365〜2368(1989年)]。活性を誘導するウィルスに関する分子機構が、TNFαが細胞の細胞形質中に見出された遺伝子調節タンパク質(NFκB)を活性化することができることにより示唆され、この遺伝子調節タンパク質はウィルスの調節遺伝子配列(LTR)への結合を介してHIVの複製を促進する[オズボーン(Osborn)ら、ピーナス(PNAS)、86、2336〜2340(1989年)]。AIDS関連悪液質におけるTNFαは、血清中のTNFαの上昇および患者からの抹消血の単核細胞における高レベルの自発的なTNFαの産生により示唆される[ウライト(Wright)ら、ジェー イムノル(J.Immunol.)、141(1)、99〜104(1988年)]。TNFαは、前記と同様の理由により、サイトメガロウィルス(CMV)、インフルエンザウィルス、アデノウィルス及びヘルぺス科のウィルス等の、他のウィルスによる感染に種々の役割を果たしている。
【0012】
核因子κB(nuclear factor κB)(NFκB)は、多面転写活性化因子(pleiotropic transcriptional activator)である(レナルド(Lenardo)ら、セル(Cell)、1989年、58、227〜29)。NFκBは、種々の疾患および炎症状態における転写活性化因子として考えられており、以下に限定されるものではないがTNFα等のサイトカインレベルを調節し、HIVの転写の活性化因子でもあると考えられている[ドバイボ(Dbaibo)ら、ジェー バイオル ケム(J.Biol.Chem.)、1993年、17762〜66;デュー(Duh)ら、プロック ナショル アカデ サイ(Proc.Natl.Acad.Sci.)、1989年、86、5974〜78;バケレリー(Bachelerie)ら、ネーチャー(Nature)、1991年、350、709〜12;ボスワズ(Boswas)ら、ジェー アクワイアード イミュン デフィシエンシー シンドローム(J.Acquired Immune Deficiency Syndrome)、1993年、6、778〜786;スズキ(Suzuki)ら、バイオケム アンド バイオフィズ レス コミュン(Biochem.And Biophys.Res.Comm.)、1993年、193、277〜83;スズキ(Suzuki)ら,バイオケム アンド バイオフィズ レス コミュン(Biochem.And Biophys.Res.Comm.)、1992年、189、1709〜15;スズキ(Suzuki)ら、バイオケム モル バイオ イント(Biochem.Mol.Bio.Int.)、1993年、31(4)、693〜700;シャコフ(Shakhov)ら、プロック ナショル アカデ サイ ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1990年、171、35〜47;およびスタール(Staal)ら、プロック ナショル アカデ サイ ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1990年、87、9943〜47]。したがって、NFκB結合の阻害は、サイトカイン遺伝子の転写を調節でき、このような修飾や他の機構を介して、多くの病気の状態を有効に阻害できる。本明細書中に記載される化合物は、核内のNFκBの作用を阻害でき、これにより以下に限定されるものではないがリウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、その他の関節炎症、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主反応、るいそう、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、結節性紅斑らい(ENL inleprosy)、HIV、AIDS、及びAIDSにおける日和見感染等の様々な病気の処置に使用できる。TNFαおよびNFκBのレベルは、相互的フィードバックループ(reciprocal feedback loop)の影響を受ける。前記のように、本発明の化合物は、TNFαおよびNFκBの両者のレベルに影響を与える。
【0013】
多くの細胞機能は、アデノシン3’,5’−環状−リン酸(cAMP)のレベルによって仲介される。このような細胞機能は、喘息、炎症等の炎症性の状態及び病気、並びに他の状態の原因となりうる(ロウ(Lowe)及びチェン(Cheng)、ドラッグス オブ ザ フューチャー(Drugs of the Future)、17(9)、799〜807、1992年)。炎症性白血球におけるcAMPの上昇は炎症性白血球の活性化及びその後に生じるTNFα及びNFκB等の炎症メディエイターの放出を阻害することが示された。また、cAMPレベルが増加することにより、気道の平滑筋が弛緩する。
【0014】
したがって、TNFαレベルの減少および/またはcAMPレベルの増加は、多くの炎症性、感染性、免疫、及び悪性疾患の処置を目的とする有益な治療ストラテジーを構成する。これらとしては、以下に制限されるものではないが、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、乏血性ショック(hemodynamic shock)や敗血症候群(sepsis syndrome)、後乏血性再潅流障害(post ischemic reperfusion injury)、マラリア、ミコバクテリア感染症、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症(fibrotic disease)、悪液質、移植片の拒絶反応(graft rejection)、癌、自己免疫疾患、AIDSにおける日和見感染、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、その他の関節炎症、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、結節性紅斑らい(ENL in leprosy)、放射線による損傷(radiation damage)、および高酸素による肺胞の損傷が挙げられる。従来のTNFαの影響を抑制するための努力は、デキサメタゾンやプレドニゾロン等のステロイド剤の使用からポリクローナル及びモノクローナル抗体の使用までの範囲であった[ビュートラー(Beutler)ら、サイエンス(Science)、234、470〜474(1985年);WO 92/11383号]。
【発明の概要】
【0015】
詳細な説明
本発明は、本明細書中でより詳細に記載される特定の非ポリペプチド化合物群がTNFαのレベルを減少するという発見に基づくものである。
【0016】
特に、本発明は、下記式:
【化1】


ただし、
X及びYの一方はC=OでありかつX及びYの他方はC=OまたはCH2であり;
(i)R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、相互に独立して、ハロ、1〜4炭素原子のアルキル、若しくは1〜4炭素原子のアルコキシでありまたは(ii)R1、R2、R3、及びR4の一は−NHR5でありかつR1、R2、R3、及びR4の残りは水素であり;
5は水素または1〜8炭素原子のアルキルであり;
6は水素、1〜8炭素原子のアルキル、ベンゾ基、塩素またはフッ素であり;
7はm−フェニレンまたはp−フェニレンまたは−(C2n)−であり、この際、nは0〜4の値であり;
相互に独立して存在する場合のR8及びR9のそれぞれは、水素若しくは1〜8炭素原子のアルキルであり、または一緒に結合する場合のR8及びR9は、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、若しくは−CH2CH2XCH2CH2−であり、この際、Xは−O−、−S−若しくは−NH−であり;
10は水素、1〜8炭素原子のアルキル、またはフェニルである、
の化合物、および
(b)プロトン化されうる(protonated)窒素原子を含む該化合物の酸付加塩(acid addition salt)に関するものである。
【0017】
第一の好ましい化合物群としては、R1、R2、R3、R4、及びR6の少なくとも一が水素以外である式Iの化合物がある。これらのうち、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれが、相互に独立して、ハロ、1〜4炭素原子のアルキル、若しくは1〜4炭素原子のアルコキシであり;R6が水素、メチル、エチル、またはプロピルであり;相互に独立して存在する場合のR8及びR9のそれぞれが水素若しくはメチルであり;ならびにR10が水素である上記化合物が好ましい群である。これらの化合物のうち、好ましい一サブグループとしてはR7がm−フェニレン若しくはp−フェニレンである上記化合物があり、また、第二の好ましいサブグループとしてはR7が−(C2n)−であり、この際、nは0〜4の値である上記化合物がある。
【0018】
別の好ましい化合物群としては、R1、R2、R3、及びR4の一が−NH2であり;R1、R2、R3、及びR4の残りが水素であり;R6が水素、メチル、エチル、若しくはプロピルであり;相互に独立して存在する場合のR8及びR9が水素またはメチルであり;ならびにR10が水素である式Iの化合物がある。これらの化合物のうち、第一の好ましいサブグループとしてはR7がm−フェニレン若しくはp−フェニレンである上記化合物があり、また、第二の好ましいサブグループとしてはR7が−(C2n)−であり、この際、nは0〜4の値である上記化合物がある。
【0019】
アルキルということばは、1〜8炭素原子を含む1価の飽和の分岐鎖または直鎖の炭化水素鎖を意味する。このようなアル
ル基の代表例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルが挙げられる。アルコキシは、エーテル性酸素原子を介して分子の残りに結合するアルキル基を意味する。このようなアルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、及びtert−ブトキシが挙げられる。好ましくは、R1、R2、R3、及びR4は、塩素、フッ素、メチルまたはメトキシである。
【0020】
式Iの化合物は、適任の専門家の監督下で、TNFαの望ましくない作用を阻害するのに用いられる。本化合物は、治療を必要とする哺乳動物に、単独であるいは抗生物質、ステロイドなどの他の治療剤と組み合わせて、経口で、直腸内に(rectally)、または腸管外に投与できる。
【0021】
本発明の化合物はまた、それぞれ、ヘルペスウィルスによって引き起こされる感染症等のウィルスによる感染症、あるいはウィルス性結膜炎、乾癬、アトピー性皮膚炎などの、過剰なTNFαの産生が仲介するまたは過剰なTNFαの産生により悪化される局所的な病気の状態の処置または予防に局所的に使用されてもよい。
【0022】
本化合物はさらに、TNFαの産生を予防(prevention)または阻害(inhibition)する必要のあるヒト以外の哺乳動物の獣医学的な処置にも使用できる。動物の治療または予防のための処置に関するTNFαが仲介する病気としては、上記したような病気の状態(state)があるが、特にウィルスによる感染症が挙げられる。その例としては、ネコの免疫不全ウィルス(feline immunodeficiency virus)、ウマ伝染性貧血ウィルス(equine infectious anaemia virus)、ヤギ関節炎ウィルス(caprine arthritis virus)、ビスナウィルス(visna virus)、及びレトロウィルス(maedi virus)、さらには他のレンチウィルス(lentivirus)が挙げられる。
【0023】
上記化合物は、ホルムアルデヒドと下記式:
【化2】


ただし、X及びYは上記定義と同様であり;
1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、相互に独立して、ハロ、1〜4炭素原子のアルキル、若しくは1〜4炭素原子のアルコキシであり、または(ii)R1、R2、R3、及びR4の一はニトロ基または保護アミノ酸でありかつR1、R2、R3、及びR4の残りは水素であり;ならびに
6は水素、1〜8炭素原子のアルキル、ベンゾ基、塩素若しくはフッ素である、
の中間体との初期反応により調製できる。
【0024】
次に、このようにして得られた式IIのN−ヒドロキシメチル中間体を、通常、以下のように知られる方法を用いて式IVのカルボン酸誘導体とカップリングさせる:
【化3】


ただし、Halは塩素、臭素、またはヨウ素等の反応性のハロゲンである。
【0025】
本明細書中で使用される保護基は、通常最終的な治療用化合物中には見付からないが化学的な操作中に変換されるかもしれない基を保護するためにある合成段階で故意に導入される基を示す。このような保護基は、合成の最終段階で除去されるため、このような保護基を有する化合物は(誘導体によっては生物学的活性を発揮するものもあるものの)化学中間体として初期に重要である。したがって、保護基の正確な構造は重要ではない。このような保護基の数多くの形成及び除去反応が、例えば、「プロテクティブ グループス イン オルガニック ケミストリー(Protective Groups in Organic Chemistry)」、プレナム プレス(Plenum Press)、ロンドン及びニューヨーク、1973年;グリーン、ティーエッチ. ダブリュー(Greene,Th.W.)「プロテクティブ グループス イン オルガニック シンテシス(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ウィレイ(Wiley)、ニューヨーク、1981年;「ザ ペプチズ(The Peptides)」、I巻、シュレーダー(Schroder)及びルブケ(Lubke)、アカデミック プレス(Academic Press)、ロンドン及びニューヨーク、1965年;「メソデン デル オルガニシェン ケミー(Methoden der organischen Chemie)」、ホウベン−ウェイル(Houben-Weyl)、第4版、15/I巻、ゲオルグ ティーメ ファーラグ(Georg Thieme Verlag)、ステュットガルト(Stuttgart)、1974年などの、数多くの標準的な研究に記載され、これらの開示は参考により本明細書に取り入れられる。
【0026】
アミノ基は、緩やかな条件下で選択的に除去可能なアシル基、特に、ベンジルオキシカルボニル、ホルミル、または1−若しくはα位でカルボニル基に分岐する低級アルカノイル基、特にピバロイルなどの第3級アルカノイル、α位でカルボニル基に置換される低級アルカノイル基、例えば、トリフルオロアセチルを用いてアミドとして保護されてもよい。
【0027】
カップリング剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドやN,N’−カルボニルジイミダゾール等の試薬が挙げられる。
【0028】
カップリング後、式Vの化合物は、公知の方法、例えば、ヨウ化ナトリウムの存在下でアミンにより、アミノ化されうる。
【0029】
または、式IIIの化合物を以下:
【化4】


ただし、Zは保護アミノ基である、
のように下記式IVAの保護されたアミノカルボン酸と反応させる。
【0030】
上記カップリング後、アミノ保護基Zを除去する。
【0031】
前記反応において、R1、R2、R3、及びR4の一がニトロである際には、接触水素化によってアミノ基に変換してもよい。または、R1、R2、R3、及びR4の一が保護アミノ基である際には、保護基を切断して、R1、R2、R3、及びR4の一がアミノ基である相当する化合物を得てもよい。
【0032】
中間体としての機能に加えて、式IIAの他の化合物によってはそれ自身哺乳動物において腫瘍壊死因子αのレベルを減少させるのに生物学的に活性があるものがある。これらの化合物としては、下記式:
【化5】


ただし、
X及びYの一方はC=OでありかつX及びYの他方はC=OまたはCH2であり;
(i)R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、相互に独立して、ハロ、1〜4炭素原子のアルキル、または1〜4炭素原子のアルコキシでありまたは(ii)R1、R2、R3、及びR4の一は−NHR5でありかつR1、R2、R3、及びR4の残りは水素であり;
5は水素、1〜8炭素原子のアルキル、またはCO−R7−CH(R10)NR89であり、この際、R7、R8、R9、及びR10のそれぞれは本明細書における定義と同様であり;
6は1〜8炭素原子のアルキル、ベンゾ基、塩素、またはフッ素である、
のものがある。
【0033】
式IIAの中間体によっては、同時継続中の出願番号08/690,258号及び08/701,494号に記載され、これらの開示は参考により本明細書に取り入れられる。加えて、R1、R2、R3、及びR4の置換基で適当に置換されるo−ブロモメチル安息香酸アルキル(alkylo-bromobenzoate)を、トリエチルアミン等の酸アクセプターの存在下でα−R6−置換α−アミノグルタルイミド塩(α-R6 substituted α-aminoglutarimide salt)と反応させることによって、X及びYの一方がC=Oであり、かつ他方がCH2である化合物を得る。
【0034】
また、X及びYの双方がC=Oである式IIAの化合物は、酢酸及び酢酸ナトリウムの存在下でR1、R2、R3、及びR4で適当に置換される無水フタル酸をα−R6−置換α−アミノグルタルイミド塩と反応させることによって調製できる。
【0035】
前記反応に利用されるα−R6−置換α−アミノグルタルイミド塩は、アミノ基が保護されるα−R6−置換グルタミンを環化することによって得られる。環化は、ジメチルアミノピリジン等の酸アタセプターの存在下で例えばN,N’−カルボニルジイミダゾールを用いて行なわれる。反応終了時には、保護基を適当な方法で除去できる。一例ではあるが、保護基がN−ベンジルオキシカルボニル基である際には、接触水素化によって除去できる。
【0036】
さらにα−R6−置換グルタミンは、アミノ基が保護される、α−R6−置換グルタミン酸無水物を、アンモニアで処理することによって調製できる。最後に、このα−R6−置換グルタミン酸無水物は、無水酢酸を用いて相当するα−R6−置換グルタミン酸から得られる。
【0037】
式I及びIIBの化合物は、キラル中心を有し、光学異性体として存在してもよい。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体自体は、双方とも、さらには、2つのキラル中心が存在する際にはジアステレオマーは、本発明の概念に含まれる。ラセミ化合物はそのまま使用されてもまたはキラル吸収剤(chiral absorbent)を用いたクロマトグラフィー等により機械的に個々の異性体に分離されてもよい。または、個々の異性体を、キラル形態(chiral form)で調製してもよく、または樟脳−10−スルホン酸(10-camphorsulfonic acid)、樟脳酸、α−ブロモ樟脳酸(alpha-bromocamphoric acid)、メトキシ酢酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸(diacetyltartaric acid)、リンゴ酸、ピロリドン−5−カルボン酸等の各鏡像異性体などの、キラル酸(chiral acid)と塩を形成し、さらに、分解した塩基の一方または両方を遊離し、必要であれば上記工程を繰り返すことによって混合物から化学的に分離し、実質的に他方を含まない、すなわち、95%超の光学純度(optical purity)を有する形態で、一方または両方を得てもよい。
【0038】
本発明はまた、式I及びIIBの化合物の生理学的に許容できる無毒な酸付加塩(acid addition salt)に関するものである。このような塩としては、以下に制限されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボニックアシッド(embonic acid)、エナント酸などの、有機及び無機酸から誘導されるものが挙げられる。
【0039】
経口投与形態としては、単位服用量(unit dosage)当たり1〜100mgの薬剤を含む錠剤、カプセル、糖剤、及び同様の形状の圧縮された薬剤形態(compressed pharmaceutical form)などが挙げられる。20〜100mg/mlを含む等張生理食塩水(isotonic saline solution)を、筋肉内、鞘内、静脈内及び動脈内投与経路などの腸管外投与を目的として使用してもよい。直腸内投与は、カカオバター等の既知の担体から配合された坐薬を使用することによって行うことができる。
【0040】
したがって、薬剤組成物は、一以上の式IまたはIIBの化合物および少なくとも一の製薬上許容できる担体、希釈剤または賦形剤とを組み合わせてなる。このような組成物を調製するにあたっては、活性成分は、一般的には、賦形剤と混合する若しくは賦形剤で希釈するまたはカプセル若しくは小さい袋(sachet)の形態を有しうるような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合には、賦形剤は活性成分のベヒクル(vehicle)、担体、または媒質として作用する固体、半固体、または液状材料であってもよい。したがって、本組成物は、錠剤、ピル、粉末、エリキシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液ならびに滅菌包装粉末(packaged powder)の形態であってもよい。適当な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースなどが挙げられ、上記配合物はタルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油等の潤滑剤、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、ヒドロキシ安息香酸メチル−及びプロピル(methyl-and propylhydroxybenzoate)等の防腐剤、甘味剤または着香料をさらに含んでいてもよい。
【0041】
本組成物は、好ましくは単位剤形(unit dosage form)、即ち、ユニタリー投与量(unitary dosage)として適する物理的に離散した単位で、あるいはそれぞれのユニット(unit)が適当な薬剤賦形剤(pharmaceutical excipient)と連携して目的とする治療効果を産するように算出された所定量の活性材料を含む、ヒト患者及び他の哺乳動物に1回若しくは複数の薬剤投与計画で投与されるユニタリー投与量(unitary dosage)の所定の画分で配合される。本組成物は、当該分野において既知の方法を用いることによって患者に投与後に活性成分が即座に、一様にまたは遅延して放出されるように配合されてもよい。
【0042】
経口用の剤形としては、単位服用量(unit dosage)当たり1〜100mgの薬剤を含む錠剤、カプセル、糖剤、及び同様の形状の圧縮された薬剤形態(compressed pharmaceutical form)などが挙げられる。20〜100mg/mlを含む等張生理食塩水(isotonic saline solution)を、筋肉内、鞘内、静脈内及び動脈内投与経路などの腸管外投与を目的として使用してもよい。直腸内投与は、カカオバター等の既知の担体から配合された坐薬を使用することによって行うことができる。
【0043】
したがって、薬剤組成物は、一以上の式Iの化合物および少なくとも一の製薬上許容できる担体、希釈剤または賦形剤とを組み合わせてなる。このような組成物を調製するにあたっては、活性成分は、一般的には、賦形剤と混合する若しくは賦形剤で希釈するまたはカプセル若しくは小さい袋(sachet)の形態を有しうるような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合には、賦形剤は活性成分のベヒクル(vehicle)、担体、または媒質として作用する固体、半固体、または液状材料であってもよい。したがって、本組成物は、錠剤、ピル、粉末、エリキシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液ならびに滅菌包装粉末(packaged powder)の形態であってもよい。適当な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースなどが挙げられ、上記配合物はタルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油等の潤滑剤、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、ヒドロキシ安息香酸メチル−及びプロピル(methyl-and propylhydroxybenzoate)等の防腐剤、甘味剤または着香料をさらに含んでいてもよい。
【0044】
本組成物は、好ましくは単位剤形(unit dosage form)、即ち、ユニタリー投与量(unitary dosage)として適する物理的に離散した単位で、あるいはそれぞれのユニット(unit)が適当な薬剤賦形剤(pharmaceutical excipient)と連携して目的とする治療効果を産するように算出された所定量の活性材料を含む、ヒト患者及び他の哺乳動物に1回若しくは複数の薬剤投与計画で投与されるユニタリー投与量(unitary dosage)の所定の画分で配合される。本組成物は、当該分野において既知の方法を用いることによって患者に投与後に活性成分が即座に、一様にまたは遅延して放出されるように配合されてもよい。
【実施例】
【0045】
以下の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明の概念を制限するものではなく、本発明の概念は以下の請求の範囲にのみ定義されると考えるべきである。
【0046】
実施例1
N−ベンジルオキシカルボニル−α−メチル−グルタミン酸
(N-Benzyloxycarbonyl-α-methyl-glutamic Acid)
0〜5℃の2N水酸化ナトリウム(62ml)におけるα−メチル−D,L−グルタミン酸(10g、62ミリモル)の撹拌溶液に、ベンジルクロロホルメート(benzyl chloroformate)(12.7g、74.4ミリモル)を30分かけて添加した。添加終了後、反応混合物を室温で3時間撹拌した。この間、pHを2N水酸化ナトリウム(33ml)の添加により11に維持した。次に、この反応混合物をエーテル(60ml)で抽出した。水相を氷浴で冷却した後、4N塩酸(34ml)でpH=1まで酸性にした。このようにして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した(3×100ml)。酢酸エチル抽出物を合わせたものをブライン(60ml)で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶剤を真空中で除去することによって、15.2g(83%)のN−ベンジルオキシカルボニル−α−メチルグルタミン酸を油として得た:1H NMR(CDCl3)δ8.73(m,5H),5.77(b,1H),5.09(s,2H),2.45-2.27(m,4H),2.0(s,3H)。
α−エチル−D,L−グルタミン酸及びα−プロピル−D,L−グルタミン酸から同様にして、N−ベンジルオキシカルボニル−α−エチルグルタミン酸及びN−ベンジルオキシカルボニル−α−プロピルグルタミン酸がそれぞれ得られる。
【0047】
実施例2
N−ベンジルオキシカルボニル−α−メチル−グルタミン酸無水物
(N-Benzyloxycarbonyl-α-methyl-glutamic Anhydride)
N−ベンジルオキシカルボニル−α−メチルグルタミン酸(15g、51ミリモル)及び無水酢酸(65ml)の撹拌混合物を30分間窒素下で環流させながら加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、真空中で濃縮することにより、N−ベンジルカルボニル−α−メチルグルタミン酸無水物を油として得た(15.7g)が、これはさらに精製することなく次の反応に使用できる:1H NMR(CDCl3)δ7.44−7.26(m,5H),5.32-5.30(m,2H),5.11(s,1H),2.69-2.61(m,2H),2.40-2.30(m,2H),1.68(s,3H)。
N−ベンジルオキシカルボニル−α−エチルグルタミン酸及びN−ベンジルオキシカルボニル−α−プロピルグルタミン酸から同様にして、N−ベンジルカルボニル−α−エチルグルタミン酸無水物(N-benzylcarbonyl-α-ethylglutamic anhydride)及びN−ベンジルカルボニル−α−プロピルグルタミン酸無水物(N-benzylcarbonyl-α-propylglutamic anhydride)が、それぞれ、得られる。
【0048】
実施例3
N−ベンジルオキシカルボニル−α−メチルイソグルタミン
(N-Benzyloxycarbonyl-α-methylisoglutamine)
塩化メチレン(100ml)におけるN−ベンジルカルボニル−α−メチルグルタミン酸無水物(14.2g、51.5ミリモル)の撹拌溶液を氷浴中で冷却した。アンモニアガスを2時間、冷却した溶液中でバブリングした。この反応混合物を室温で17時間撹拌した後、水で抽出した(2×50ml)。水抽出物を合わせたものを氷浴中で冷却し、4N塩酸(32ml)でpH1まで酸性化した。このようにして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した(3×80ml)。酢酸エチル抽出物をを合わせたものをブライン(60ml)で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶剤を真空中で除去することによって、11.5gのN−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−メチルイソグルタミンを得た:1H NMR(CDCl3/DMSO)δ7.35(m,5H),7.01(s,1H),6.87(s,1H),6.29(s,1H),5.04(s,2H),2.24-1.88(m,4H),1.53(s,3H)。
N−ベンジルカルボニル−α−エチルグルタミン酸無水物及びN−ベンジルカルボニル−α−プロピルグルタミン酸無水物から同様にして、N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−エチルイソグルタミン(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-ethylisoglutamine)及びN−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−プロピルイソグルタミン(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-propylisoglutamine)が、それぞれ、得られる。
【0049】
実施例4
N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−メチルグルタルイミド
(N-Benzyloxycarbonyl-α-amino-α-methylglutarimide)
テトラヒドロフラン(50ml)におけるN−ベンジルオキシカルボニル−α−メチルイソグルタミン(4.60g、15.6ミリモル)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1,1'-carbonyldiimidazole)(2.80g、17.1ミリモル)、及び4−ジメチルアミノピリジン(0.05g)の撹拌混合物を17時間、窒素下で環流させながら加熱した。次に、この反応混合物を真空中で油状になるまで濃縮した。この油を、1時間、水(50ml)中でスラリー化した。このようにして得られた懸濁液を瀘過し、固体を水で洗浄し、風乾することによって、3.8gの未精製物を白色固体として得た。この未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン:酢酸エチル 8:2)によって精製することによって、2.3g(50%)のN−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−メチルグルタルイミドを白色固体として得た:融点 150.5〜152.5℃;1H NMR(CDCl3)δ8.21(s,1H),7.34(s,5H),5.59(s,1H),5.08(s,2H),2.74-2.57(m,3H),2.28-2.25(m,1H),1.54(s,3H);13C NMR(CDCl3)δ174.06,171.56,154.68,135.88,128.06,127.69,127.65,66.15,54.79,29.14,28.70,21.98;HPLC:ウォーターズ ノバ−パック C18(Waters Nova-Pak C18)カラム,4ミクロン,3.9×150mm,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),7.56分(100%);C141624に関する分析計算値;C,60.86;H,5.84;N,10.14。実測値:C,60.88;H,5.72;N,10.07。
N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−エチルイソグルタミン(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-ethylisoglutamine)及びN−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−プロピルイソグルタミン(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-propylisoglutamine)から同様にして、N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−エチルグルタルイミド(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-ethylglutarimide)及びN−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−プロピルグルタルイミド(N-benzyloxycarbonyl-α-amino-α-propylglutarimide)が、それぞれ、得られる。
【0050】
実施例5
α−アミノ−α−メチルグルタルイミド塩酸塩
(α-Amino-α-methylglutarimide hydrochloride)
N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−メチルグルタルイミド(2.3g、8.3ミリモル)を緩やかに加熱しながらエタノール(200ml)中に溶解し、得られた溶液を室温まで冷却した。この溶液に、4N塩酸(3ml)を添加した後、さらに10%Pd/C(0.4g)を添加した。この混合物を、3時間、50psiの水素下でパール装置(Parr apparatus)で水素化した。この混合物に、水(50ml)を加えて、生成物を溶かした。この混合物をセライトパッド(Celite pad)で濾過し、これを水(50ml)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、固体残渣を得た。この固体をエタノール(20ml)中で30分間スラリー化した。このスラリーを瀘過することにより、1.38g(93%)のα−アミノ−α−メチルグルタルイミド塩酸塩を白色固体として得た:1H NMR(DMSO-d6)δ11.25(s,1H),8.92(s,3H),2.84−2.51(m,2H),2.35-2.09(m,2H),1.53(s,3H);HPLC,ウォーターズ ノバ−パック C18(Waters Nova-Pak C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),1.03分(94.6%)。
N−ベンジルオキシカルボニル−α−アミノ−α−エチルグルタルイミド及びN−ベンジルオキシカルホニル−α−アミノ−α−プロピルグルタルイミドから同様にして、α−アミノ−α−エチルグルタルイミド塩酸塩[α-amino-α-ethylglutarimide hydrochloride]及びα−アミノ−α−プロピルグルタルイミド塩酸塩[α-amino-α-propylglutarimide hydrochloride]が、それぞれ、得られる。
【0051】
実施例6
3−(3−ニトロフタルイミド)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオン
(3-(3-Nitrophthalimido)-3-methylpiperidine-2,6-dione)
酢酸(30ml)におけるα−アミノ−α−メチルグルタルイミド塩酸塩(1.2g、6.7ミリモル)、3−ニトロフタル酸無水物(1.3g、6.7ミリモル)、及び酢酸ナトリウム(0.6g、7.4ミリモル)の撹拌混合物を6時間、窒素下で環流させながら加熱した。次に、この混合物を冷却し、真空中で濃縮した。このようにして得られた固体を、30分間、水(30ml)及び塩化メチレン(30ml)中でスラリー化した。この懸濁液を濾過し、固体を塩化メチレンで洗浄し、真空中で乾燥(60℃、<1mm)することにより、1.44g(68%)の3−(3−ニトロフタルイミド)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオンをわずかに灰色がかった白色の固体として得た:融点 265〜266.5℃;1H NMR(DMSO-d6)δ11.05(s,1H),8.31(dd,J=1.1及び7.9Hz,1H),8.16-8.03(m,2H),2.67-2.49(m,3H),2.08-2.02(m,1H),1.88(s,3H);13C NMR(DMSO-d6)δ172.20,171.71,165.89,163.30,144.19,136.43,133.04,128.49,126.77,122.25,59.22,28.87,28.49,21.04;HPLC,ウォーター ノバ−パック/C18(Water Nova-Pak/C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),7.38分(98%)。C141136に関する分析計算値:C,53.00;H,3.49;N,13.24。実測値:C,52.77;H,3.29;N,13.00。
α−アミノ−α−エチルグルタルイミド塩酸塩及びα−アミノ−α−プロピルグルタルイミド塩酸塩から同様にして、3−(3−ニトロフタルイミド)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン[3-(3-nitrophthalimido)-3-ethylpiperidine-2,6-dione]及び3−(3−ニトロフタルイミド)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオン[3-(3-nitrophthalimido)-3-propylpiperidine-2,6-dione]が、それぞれ、得られる。
【0052】
実施例7
3−(3−アミノフタルイミド)−3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオン
(3-(3-Aminophthalimido)-3-methyl-piperidine-2,6-dione)
3−(3−ニトロフタルイミド)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオン(0.5g、1.57ミリモル)を緩やかに加熱しなからアセトン(250ml)中に溶解した後、室温まで冷却した。この溶液に、窒素下で10%Pd/C(0.1g)を添加した。この混合物を、4時間、50psiの水素下でパール装置(Parr apparatus)で水素化した。次に、この混合物をセライトで濾過し、パッドをアセトン(50ml)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、黄色固体を得た。この固体を酢酸エチル(10ml)中で30分間スラリー化した。さらに、このスラリーを瀘過し、乾燥(60℃、<1mm)することにより、0.37g(82%)の3−(3−アミノフタルイミド)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオンを黄色固体として得た:融点 268〜269℃;1H NMR(DMSO-d6)δ10.98(s,1H),7.44(dd,J=7.1及び7.3Hz,1H),6.99(d,J=8.4Hz,1H),6.94(d,J=6.9Hz,1H),6.52(s,2H),2.71-2.47(m,3H),2.08-1.99(m,1H),1.87(s,3H);13C NMR(DMSO-d6)δ172.48,172.18,169.51,168.06,146.55,135.38,131.80,121.51,110.56,108.30,58.29,29.25,28.63,21.00;HPLC,ウォーター ノバ−パック/C18(Water Nova-Pak/C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),5.62分(99.18%)。C141334に関する分析計算値:C,58.53;H,4.56;N,14.63。実測値:C,58.60;H,4.41;N,14.36。
3−(3−ニトロフタルイミド)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン及び3−(3−ニトロフタルイミド)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオンから同様にして、3−(3−アミノフタルイミド)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン[3-(3-aminophthalimido)-3-ethylpiperidine-2,6-dione]及び3−(3−アミノフタルイミド)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオン[3-(3-aminophthalimido)-3-propylpiperidine-2,6-dione]が、それぞれ、得られる。
【0053】
実施例8
2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸メチル
(Methyl 2-bromomethyl-3-nitrobenzoate)
四塩化炭素(243ml)における2−メチル−3−ニトロ安息香酸メチル(17.6g、87.1ミリモル)及びN−ブロモスクシンイミド(18.9g、105ミリモル)の撹拌混合物を、2cm離れて位置した100Wの白熱電球(light bulb)を反応混合物に一晩あてながら、緩やかに環流しながら加熱した。18時間後、この反応混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を水(2×120ml)、ブライン(120ml)で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶剤を真空中で除去することによって、黄色固体を得た。この生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 8:2)によって精製して、22g(93%)の2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸メチルを黄色固体として得た:融点 69〜72℃;1H NMR(CDCl3)δ8.13-8.09(dd,J=1.36及び7.86Hz,1H),7.98-7.93(dd,J=1.32及び8.13Hz,1H),7.57-7.51(t,J=7.97Hz,1H),5.16(S,2H),4.0(s,3H);13C NMR(CDCl3)δ65.84,150.56,134.68,132.64,132.36,129.09,53.05,22.70;HPLC:ウォーターズ ノバ−パック C18(Waters Nova-Pak C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,40/60 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),8.2分 99%。C98NO4Brに関する分析計算値:C,39.44;H,2.94;N,5.11,Br,29.15。実測値:C,39.51;H,2.79;N,5.02;Br,29.32。
【0054】
実施例9
3-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-1-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン
[3-(1-Oxo-4-nitroisoindolin-1-yl)-3-methylpiperidine-2,6-dione]
ジメチルホルムアミド(40ml)におけるα−アミノ−α−メチルグルタルイミド塩酸塩(2.5g、14.0ミリモル)及び2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸メチル(3.87g、14.0ミリモル)の撹拌混合物に、トリエチルアミン(3.14g、30.8ミリモル)を添加した。このようにして得られた混合物を6時間、窒素下で環流させながら加熱した。次に、この混合物を冷却して、真空中で濃縮した。このようにして得られた固体を、30分間、水(50ml)及びCH2CH2中でスラリー化した。このスラリーを濾過し、固体を塩化メチレンで洗浄し、真空中で乾燥(60℃、<1mm)することにより、2.68g(63%)の3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオンをわずかに灰色がかった白色の固体として得た:融点 233〜235℃;1H NMR(DMSO-d6)δ10.95(s,1H),8.49-8.46(d,J=8.15Hz,1H),8.13-8.09(d,J=7.43Hz,1H),7.86-7.79(t,J=7.83Hz,1H),5.22-5.0(dd,J=19.35及び34.6Hz,2H),2.77-2.49(m,3H),2.0-1.94(m,1H),1.74(S,3H);13C NMR(DMSO-d6)δ173.07,172.27,164.95,143.15,137.36,135.19,130.11,129.32,126.93,57.57,48.69,28.9,27.66,20.6;HPLC,ウォーターズ ノバ−パックC18(Waters Nova-Pak C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),4.54分 99.6%。C141335に関する分析計算値:C,55.45;H,4.32;N,13.86。実測値:C,52.16;H,4.59;N,12.47。
α−アミノ−α−メチルグルタルイミド塩酸塩の代わりに等量のα−アミノ−α−エチルグルタルイミド塩酸塩及びα−アミノ−α−プロピルグルタルイミド塩酸塩を使用することによって、それぞれ、3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン[3-(1-oxo-4-nitroisoindolin-1-yl)-3-ethylpiperidine-2,6-dione]及び3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオン[3-(1-oxo-4-nitroisoindolin-1-yl)-3-propylpiperidine-2,6-dione]が得られる。
【0055】
実施例10
3-(1-オキソ-4-アミノイソインドリン-1-イル)-3-メチルピペリジン-2,6-ジオン
[3-(1-Oxo-4-aminoisoindolin-1-yl)-3-methylpiperidine-2,6-dione]
3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオン(1.0g、3.3ミリモル)を緩やかに加熱しながらメタノール(500ml)中に溶解し、室温まで冷却した。この溶液に、窒素下で10%Pd/C(0.3g)を添加した。この混合物を、4時間、50psiの水素でパール装置(Parr apparatus)で水素化した。この混合物をセライトで濾過し、セライトをメタノール(50ml)で洗浄した。濾液を真空中でわずかに灰色がかった白色の固体になるまで濃縮した。この固体を塩化メチレン(20ml)中で30分間スラリー化した。次に、このスラリーを瀘過し、固体を乾燥(60℃、<1mm)することにより、0.54g(60%)の3−(1−オキソ−4−アミノイソインドリン−1−イル)−3−メチルピペリジン−2,6−ジオンを白色固体として得た:融点 268〜270℃;1H NMR(DMSO-d6)δ10.85(s,1H),7.19-7.13(t,J=7.63Hz,1H),6.83-6.76(m,2H),5.44(s,2H),4.41(s,2H),2.71-2.49(m,3H),1.9-1.8(m,IH),1.67(s,3H);13C NMR(DMSO-d6)δ173.7,172.49,168.0,143.5,132.88,128.78,125.62,116.12,109.92,56.98,46.22,29.04,27.77,20.82;HPLC,ウォーターズ ノバ−パック/C18(Waters Nova-Pak/C18)カラム,4ミクロン,1ml/分,240nm,20/80 CH3CN/0.1%H3PO4(aq),1.5分(99.6%);C141533に関する分析計算値:C,61.53;H,5.53;N,15.38。実測値:C,58.99;H,5.48;N,14.29。
3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン及び3−(1−オキソ−4−ニトロイソインドリン−1−イル)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオンから、同様にして、3−(1−オキソ−4−アミノイソインドリン−1−イル)−3−エチルピペリジン−2,6−ジオン[3-(1-oxo-4-aminoisoindolin-1-yl)-3-ethylpiperidine-2,6-dione]及び3−(1−オキソ−4−アミノイソインドリン−1−イル)−3−プロピルピペリジン−2,6−ジオン[3-(1-oxo-4-aminoisoindolin-1-yl)-3-propylpiperidine-2,6-dione]が、それぞれ、得られる。
【0056】
実施例11
各々50mgの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリンを含む錠剤は以下のようにして調製できる:

構成成分(1000錠剤に対する)
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-メチルピペリジン-3- 50.0g
イル)-4,5,6,7-テトラフルオロイソインドリン
ラクトース 50.7g
小麦デンプン 7.5g
ポリエチレングリコール6000 5.0g
タルク 5.0g
ステアリン酸マグネシウム 1.8g
脱塩水 適量(q.s.)

固形成分をまず0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す(force)。次に、活性成分、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプンの半分を混合する。デンプンのもう半分を40mlの水に懸濁し、この懸濁液を100mlの水におけるポリエチレングリコールの煮沸溶液に添加する。得られたペーストを上記粉末状物質に加え、必要であれば水を加えて、混合物を造粒する。この造粒物を35℃で一晩乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮して、両サイドが凹面状の約6mm直径の錠剤を形成する。
【0057】
実施例12
各々100mgの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリンを含む錠剤は以下のようにして調製できる:

構成成分(1000錠剤に対する)
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4- 100.0g
アミノイソインドリン
ラクトース 100.0g
小麦デンプン 47.0g
ステアリン酸マグネシウム 3.0g

すべての固形成分をまず0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す(force)。次に、活性成分、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム及びデンプンの半分を混合する。デンプンのもう半分を40mlの水に懸濁し、この懸濁液を100mlの熱水に添加する。得られたペーストを上記粉末状物質に加え、必要であれば水を加えて、混合物を造粒する。造粒物を35℃で一晩乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮して、両サイドが凹面状の約6mm直径の錠剤を形成する。
【0058】
実施例13
各々75mgの2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4−アミノフタルイミドを含む咀嚼用錠剤は以下のようにして調製できる:

組成(1000錠剤に対する)
2-(2,6-ジオキソ-3-メチルピペリジン-3-イル)- 75.0g
4-アミノフタルイミド
マンニトール 230.0g
ラクトース 150.0g
タルク 21.0g
グリシン 12.5g
ステアリン酸 10.0g
サッカリン 1.5g
5%ゼラチン溶液 適量(q.s.)

すべての固形成分をまず0.25mmメッシュ幅の篩に強制的に通す(force)。次に、マンニトール及びラクトースを混合し、ゼラチン溶液を加えながら造粒して、2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、50℃で乾燥し、1.7mmメッシュ幅の篩に再度強制的に通す。2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノフタルイミド、グリシン及びサッカリンを注意深く混合し、マンニトール、ラクトース造粒物、ステアリン酸及びタルクを添加し、すべてをよく混合し、圧縮して、両サイドが凹面状で上部側に破断溝を有するの約10mm直径の錠剤を形成する。
【0059】
実施例14
各々10mgの2−(2,6−ジオキソエチルピペリジン−3−イル)−4−アミノフタルイミドを含む錠剤は以下のようにして調製できる:

組成(1000錠剤に対する)
2-(2,6-ジオキソエチルピペリジン-3-イル)-4- 10.0g
アミノフタルイミド
ラクトース 328.5g
トウモロコシデンプン 17.5g
ポリエチレングリコール6000 5.0g
タルク 25.0g
ステアリン酸マグネシウム 4.0g
脱塩水 適量(q.s.)

固形成分をまず0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。次に、活性イミド成分、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプンの半分をよく混合する。デンプンのもう半分を65mlの水に懸濁し、この懸濁液を260mlの水におけるポリエチレングリコールの煮沸溶液に添加する。得られたペーストを上記粉末状物質に加え、必要であれば水を加えて、すべてを混合、造粒する。この造粒物を35℃で一晩乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮して、両サイドが凹面状であり、上部側に破断ノッチを有する約10mm直径の錠剤を形成する。
【0060】
実施例15
各々100mgの1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリンを含むゼラチン乾燥充填カプセル(gelatin dry-filled capsule)は、以下のようにして調製できる:

組成(1000カプセルに対する)
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-メチルピペリジン-3-イル)- 100.0g
4,5,6,7-テトラフルオロイソインドリン
微結晶性セルロース 30.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0g
ステアリン酸マグネシウム 8.0g

ラウリル硫酸ナトリウムを0.2mmメッシュ幅の篩に通して1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン中に篩入れ、これらの2成分を10分間よく混合する。次に、微結晶性セルロースを0.9mmメッシュ幅の篩を通して加え、すべてを再度10分間よく混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを0.8mmメッシユ幅の篩を通して加え、さらに3分間混合した後、混合物をサイズ0の(伸長された)ゼラチン乾燥充填カプセル[size 0(elongated)gelatin dry-fill capsule]中にそれぞれ140mgずつ導入した。
【0061】
実施例16
0.2%注射ないし輸液用溶液は、例えば、以下のようにして調製できる:

1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-メチルピペリジン- 5.0g
3-イル)-4,5,6,7-テトラフルオロイソインドリン
塩化ナトリウム 22.5g
リン酸緩衝液(pH7.4) 300.0g
脱塩水 2500.0mlまで

1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−メチルピペリジン−3−イル)−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリンを1000m1の水に溶解し、ミクロフィルターで瀘過する。緩衝溶液を添加し、さらに全量を水で2500mlとする。単位服用量形態(dosage unit form)を調製するために、1.0または2.5ml毎の分量をガラス製アンプル中に入れる(それぞれ、2.0または5.0mgのイミドを含有する)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式で表される化合物:
【化6】


式中、X及びYの一方はC=Oであり、他方はC=O又はCHであって;
は、水素、1〜8炭素原子のアルキル、ベンゾ基、塩素又はフッ素であって;
は、m−フェニレン、p−フェニレン又は−(C2n)−であり、但しnは0〜4の値であって;
及びRは、それぞれ独立に、水素若しくは1〜8炭素原子のアルキルであるか、又はR及びRが共同してテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン若しくは−CHCHCHCH−であり、但しXは、−O−、−S−又は―NH―であって;
10は、水素、1〜8炭素原子のアルキル、又はフェニルである、及び
(b)プロトン化可能な窒素原子を含有する上記化合物の酸付加塩、
からなる群から選ばれる2,6−ジオキソピペリジン。
【請求項2】
が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、−(C2n)−であり、但しnは0〜4の値である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が1〜8炭素原子のアルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が、−(C2n)−であり、但しnは0〜4の値である請求項5記載の化合物。
【請求項7】
がエチルである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が、−(C2n)−であり、但しnは0〜4の値である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
がプロピルである請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、−(C2n)−であり、但しnは0〜4の値である請求項9記載の化合物。

【公開番号】特開2009−138009(P2009−138009A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25981(P2009−25981)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【分割の表示】特願平11−500909の分割
【原出願日】平成10年5月28日(1998.5.28)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】