説明

美肌用レーザー照射装置の光学系

【課題】従来の美肌用のレーザー照射装置の光学系に関しては、レーザー光線を平行もしくは、少しだけ絞って肌に照射するのが一般的であり、万が一レーザーを空中で誤照射してしまったような場合、眼に入ると失明や眼球の損傷を起こす可能性がある。また、肌上での照射面積は、レンズから肌までの距離に拘らずほぼ一定であり、レンズから肌までの距離の変更により、簡単に照射面積をコントロールすることができないといった問題がある。
【解決手段】本発明の光学系では、レーザー光線が肌に照射される直前に1度焦点を結んでおり、肌に照射される際には拡散光となっている。従って、誤ってレーザーを空中で照射させても光線はすぐに拡散し、眼に入っても損傷を起こす可能性は極めて低い。また、レンズから肌までの距離を変化させることで、肌上での照射面積を容易に調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美肌用のレーザー照射装置の光学系に関する
【背景技術】
【0002】
従来、肌のシワの軽減、シミの減少、ニキビ跡の修復といった目的のために、美肌用のレーザー照射装置が開発されている。
【0003】
これらのレーザー照射装置は、シミの軽減を目的とした場合には、レーザー光は肌に散在するメラニンに吸収され、その結果メラニンが分解されてシミが軽減する。また、肌のシワの軽減やニキビ跡の修復を目的とした場合には、レーザー光は、皮膚内の真皮層の大部分を形成している、コラーゲンもしくはその周囲の水分に吸収され、結果として、コラーゲンを生成する線維芽細胞の活性化をうながし、コラーゲンの増加により、シワの軽減やニキビ跡の修復が発生し、結果として、美肌効果につながることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、美肌用のレーザー照射装置には、いくつもの有益な効果があるが、その光学系に関しては、従来レーザー光線を平行もしくは、少しだけ絞って肌に照射するのが一般的になっている。このような光学系であれば、肌に照射した時の肌に対する効果は、充分に得られるが、万が一レーザー照射装置のレーザー部とレンズ部からなるハンドピース部を肌に接触させないで、空中で誤照射してしまったような場合、レーザー光線は、強度が非常に高いために、光線が眼に入ってしまうと、失明や眼球の損傷といった事故を引き起こしかねない。
【0005】
また、このような光学系の場合、レーザーから照射された光線を肌に照射する場合の照射面積は、レンズから肌までの距離に拘らずほぼ一定であり、ハンドピースの簡単な設計変更(つまり、レンズから目標とする肌までの距離の変更)により、簡単に照射面積をコントロールすることができないといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような問題を解決するために、本発明では、レーザーから照射された光がレンズを通過して肌に照射される際に、肌に照射する直前に一度光が焦点を結ぶことを光学系の特徴とする。
【0007】
このように、肌に照射する直前に一度光が焦点を結ぶ光学系であれば、万が一レーザー照射装置のレーザー部とレンズ部からなるハンドピース部を肌に接触させないで、空中で誤照射してしまったような場合にも、レーザー光線は、ハンドピースから離れるにつれて、どんどん拡散していくことになり、もしも、その光線が眼に入ってしまった場合にも、光線の強度は十分に低くなっており、眼球に損傷を与える可能性は極めて低くなる。
【0008】
また、肌に照射される直前に一度光が焦点を結ぶ光学系であれば、ハンドピースの簡単な設計変更(つまり、レンズから目標とする肌までの距離の変更)により、簡単に照射面積をコントロールすることができる。レーザー光線の照射面での照射強度については、レーザーの制御により、自在にコントロール可能であるので、照射面積を変化させてもフルーエンス(単位面積あたりの照射エネルギー)を一定に保つことも可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学系を使用すれば、ハンドピース部を肌に接触させないで、空中で誤照射してしまい、それが万が一眼に入ることがあっても、眼に損傷を与えることがなく、また、ハンドピースの簡単な設計変更(レンズから目標とする肌までの距離の変更)により、容易に照射面積をコントロールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
美肌用レーザー照射装置の構成を図1に示す。美肌用レーザー照射装置は、大きくレーザー光線を肌に照射するハンドピース部2とハンドピース部2内に収納されたレーザーを制御するコントローラ部1から構成される。ハンドピース部2内には、レーザー及びレンズが収納されており、トリガースイッチ3を押すことにより、ハンドピース部2より、レーザー光線が0.1〜2秒の間の任意の一定時間だけ肌に照射される。
【0012】
美肌用レーザー照射装置のハンドピース部2内に収納された光学系を図2に示す。光学系は、レーザー4とレンズ(1)5とレンズ(2)6から構成され、レーザー4から照射されたレーザー光線は、光線軌跡8のような軌跡をたどり、レンズ(1)5とレンズ(2)6を通過して、肌7に照射される。ここで、レンズ(2)6を通過した光線が、肌7に照射される直前に一度焦点を結び、その後拡散した光線が肌7に照射されることが、この光学系の特徴である。
【0013】
従来の美肌用レーザー照射装置のハンドピース部2内に収納された光学系の例を図3および図4に示す。それぞれの光学系において、レーザー4から照射された光線は、レンズ(3)9を通過した後に肌7に照射されるか、レンズ(4)10およびレンズ(5)11を通過した後に肌7に照射されるが、いずれにせよ肌7に照射される際の光線の状態は、ほぼ平行状態にあるか、少し絞られた状態にある。このような光学系であると、万が一ハンドピース部2が肌から離れた状態でレーザーが発光してしまったような場合に、その光線が眼に入ってしまうと大変危険である。また、肌7に照射される光線の照射面積を変更したい場合、レンズ(3)9と肌7の距離、もしくはレンズ(5)11と肌7の距離を大きく変更しなければならず、ハンドピース部2の設計の変更を容易に行うことができない。
【0014】
しかし、今回発明した図2の光学系であれば、万が一ハンドピース部2が肌7から離された状態でレーザーが発光してしまった場合でも、ハンドピースを出た光線は拡散していく一方で、急激に単位面積あたりの照射エネルギーは減少し、仮に眼に入ったとしても、眼に損傷を与える可能性は極めて低くなる。また、肌7上での照射面積を変更したい場合は、レンズ(2)6と肌7の距離を少し変化させるだけで、照射面積を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】美肌用レーザー照射装置の構成
【図2】今回発明した美肌用レーザー照射装置の光学系
【図3】従来の美肌用レーザー照射装置の光学系例1
【図4】従来の美肌用レーザー照射装置の光学系例2
【符号の説明】
1・・・コントローラ部
2・・・ハンドピース部
3・・・トリガースイッチ
4・・・レーザー
5・・・レンズ(1)
6・・・レンズ(2)
7・・・肌
8・・・光線軌跡
9・・・レンズ(3)
10・・レンズ(4)
11・・レンズ(5)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーとレンズを具備するハンドピース部とレーザーを制御するコントローラ部からなる美肌用レーザー照射装置において、レーザーから照射された光がレンズを通過して肌に照射される際に、肌に照射される直前に一度光が焦点を結び、拡散光によって肌に照射されることを特徴とする美肌用レーザー照射装置における光学系

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−81878(P2006−81878A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304896(P2004−304896)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(592142289)株式会社テラバイト (2)
【Fターム(参考)】