説明

翻訳支援装置及び翻訳支援プログラム

【課題】 翻訳対象となる文の構造の正確さを損なわないように翻訳支援する翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 入力画面上の表示欄に表示された翻訳対象を、分解に関する第1の指示に基づいて、文の骨格をなす主構造と文の構成要素をなす副構造とに分解する分解手段110と、主構造及び副構造を、翻訳に関する第2の指示に基づいて、それぞれ翻訳する翻訳手段120と、翻訳手段によって翻訳された主構造及び副構造を、合成に関する第3の指示に基づいて、合成する合成手段150と、合成手段により合成された主構造及び副構造を表示装置に表示させる表示制御手段160と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械翻訳に関する種々の技術が知られている。特に、翻訳対象の文が長文であったり、文の構造が複雑であったりする場合の技術として、以下の先行技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では以下の技術を開示する。まず、翻訳対象を分割し、分割結果となる語句を、その語句を汎化した汎化情報(例えば、名詞、形容詞)に変換する。次いで、汎化された翻訳対象と翻訳文セット内の原言語との類似度を計算し、計算結果に係る類似度が最も高い原言語文を出力する。出力結果が利用者に許可された場合、類似度が最も高い原言語文に対応する目的言語文を取得する。目的言語文内の汎化情報に対応する部分を、目的言語の語句に置き換える。最後に、目的言語文を構成して、翻訳文として出力する。
【0004】
また、特許文献2は、翻訳対象を分割し、分割された文について同一の文又は類似の文を検索して翻訳し、翻訳結果を組み合わせて翻訳文を生成することを開示する。特許文献3は、入力された語句を含む翻訳の例文を検索し表示させることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225744号公報
【特許文献2】特開平10−312382号公報
【特許文献3】特開2002−278964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、翻訳対象となる文の構造の正確さを損なわないように翻訳支援する翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、入力画面上の表示欄に表示された翻訳対象を、分解に関する第1の指示に基づいて、文の骨格をなす主構造と文の構成要素をなす副構造とに分解する分解手段と、主構造及び副構造を、翻訳に関する第2の指示に基づいて、それぞれ翻訳する翻訳手段と、翻訳手段によって翻訳された主構造及び副構造を、合成に関する第3の指示に基づいて、合成する合成手段と、合成手段により合成された主構造及び副構造を表示装置に表示させる表示制御手段と、を有し、分解手段は、翻訳対象の指定部分を副構造に、翻訳対象の指定部分以外を主構造に分解することを特徴とする翻訳支援装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、分解手段は、指定部分の指定順序、副構造の主構造における出現順位、主構造の表示欄、副構造の表示欄、及び、翻訳手段による翻訳結果の指定部分の開始位置を記憶装置に登録し、合成手段は、第3の指示がなされた場合に、記憶装置に登録された内容に基づいて、翻訳された主構造及び副構造を、合成することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、分解手段は、第1の指示に基づいて、副構造の指定部分を、副構造の構成要素をなす副々構造にさらに分解し、副々構造の副構造における出現順位、副構造の表示欄、副々構造の表示欄、及び、翻訳手段による翻訳結果の指定部分の開始位置を記憶装置に登録し、合成手段は、第3の指示がなされた場合に、記憶装置に登録された内容に基づいて、翻訳された副構造及び副々構造を、合成することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、翻訳手段に代えて、検索に関する第4の指示に基づいて、主構造、副構造及び副々構造の翻訳文、又は、主構造、副構造及び副々構造の翻訳に類似する類似翻訳文を検索する検索手段を備え、合成手段は、検索手段によって検索された主構造、副構造及び副々構造の翻訳文又は類似翻訳文を、第3の指示に基づいて、合成することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、検索に関する第4の指示に基づいて、主構造、副構造及び副々構造の翻訳文、又は、主構造、副構造及び副々構造の翻訳に類似する類似翻訳文を検索する検索手段をさらに備え、翻訳手段と検索手段とは、第2の指示又は第4の指示に基づいて、選択的に機能し、合成手段は、検索手段によって検索された主構造、副構造及び副々構造の翻訳文又は類似翻訳文を、第3の指示に基づいて、合成することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか1項に記載の発明において、第1の指示がなされた場合に、副構造又は副々構造を表示させる表示欄を増加させる入力画面制御手段をさらに含むことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4から6のいずれか1項に記載の発明において、入力画面制御手段は、翻訳手段による翻訳結果、又は、検索手段による検索結果を消去する第5の指示がなされた場合に、副構造又は副々構造を表示する表示欄を削除することを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、入力画面上の表示欄に表示された翻訳対象を、分解に関する第1の指示に基づいて、文の骨格をなす主構造と文の構成要素をなす副構造とに分解する分解手段、主構造及び副構造を、翻訳に関する第2の指示に基づいて、それぞれ翻訳する翻訳手段、翻訳手段によって翻訳された主構造及び副構造を、合成に関する第3の指示に基づいて、合成する合成手段、合成手段により合成された主構造及び副構造を表示装置に表示させる表示制御手段、として機能させ、分解手段は、翻訳対象の指定部分を副構造に、翻訳対象の指定部分以外を主構造に分解することを特徴とする翻訳支援プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、翻訳対象の中で指定された部分が副構造に、指定されなかった部分が主構造となって、翻訳対象となる文の構造の正確さが損なわれないように翻訳支援される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、指定された部分の指定順序、副構造の主構造における出現順位、主構造の表示欄、副構造の表示欄、翻訳結果の指定部分の開始位置に基づいて、主構造及び副構造が合成される。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、副構造は指定によりさらに副々構造に分解され、指定された部分の指定順序、副々構造の副構造における出現順位、副構造の表示欄、副々構造の表示欄、翻訳結果の指定部分の開始位置が記憶装置に登録され、これらの記憶内容に基づいて、副構造及び副々構造が合成される。文の構造だけでなく、文を構成する語句の翻訳も支援される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、主構造、副構造及び副々構造に対応する翻訳結果、又は、主構造、副構造及び副々構造に類似する翻訳結果が検索されて、検索結果に基づいて、主構造、副構造及び副々構造が合成される。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、翻訳手段による翻訳結果又は検索手段による検索結果のいずれかの選択が可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、主構造又は副構造の一部分が指定された場合、指定された部分を表示する表示欄が動的に増加し、翻訳が円滑に支援される。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、翻訳手段による翻訳結果、又は、検索手段による検索結果を消去する第5の指示がなされた場合に、副構造又は副々構造を表示する表示欄が動的に削除され、翻訳が円滑に支援される。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、翻訳対象の中で指定された部分が副構造に、指定されなかった部分が主構造となって、翻訳対象となる文の構造の正確さが損なわれないように翻訳支援される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】翻訳支援装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図2】入力画面としての翻訳支援画面の一例である。
【図3】検索手段の動作を説明するための図である。
【図4】翻訳支援装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図5】翻訳支援画面の初期画面の一例である。
【図6】翻訳支援画面の初期画面の一例において翻訳対象が入力され「矢印」ボタンが指示された後の状態である。
【図7】主構造取得部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】主構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例である。
【図9】主構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の状態である。
【図10】副構造取得部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例である。
【図12】副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の状態である。
【図13】副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の他の状態である。
【図14】副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の他の状態である。
【図15】最初に入れ子指定がなされた場合のデータ構造の一例である。
【図16】2度目に入れ子指定がなされた場合のデータ構造の一例である。
【図17】検索ボタンが指示された場合のデータ構造の一例である。
【図18】図19に示す場合のデータ構造の一例である。
【図19】検索ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の一例である。
【図20】合成手段の動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】合成ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の一例である。
【図22】合成結果を示す翻訳支援画面の一例である。
【図23】合成ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の他の一例である。
【図24】合成結果を示す翻訳支援画面の他の一例である
【図25】表示欄が削除された場合の翻訳支援画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、翻訳支援装置100の要部構成を例示するブロック図、図2は、入力画面としての翻訳支援画面の一例である。
翻訳支援装置100は、図1に示すように、分割手段110、翻訳手段120、検索手段130、入力画面制御手段140、合成手段150、表示制御手段160を含む。
【0026】
分割手段110は、主構造取得部111、副構造取得部112を含む。翻訳手段120は、句翻訳部121を含む。検索手段130は、パターン対訳辞書131、パターン受付部132、パターン検索部133、対訳パターン出力部134を含む。
【0027】
入力画面制御手段140は、画面高さ取得部141、画面高さ変更部142、段生成部143、段描画部144、段数カウント部145、入力表示欄ボタン位置取得部146、入力表示欄ボタン位置変更部147を含む。合成手段150は、訳文選択部151、訳文合成部152、訳文編集部153を含む。表示制御手段160は、表示制御部161を含む。
【0028】
さらに、上述した各手段110〜160の詳細について説明する。
【0029】
まず、分割手段110の構成要素について説明する。
主構造取得部111は、図2に示す翻訳支援画面の表示欄「B欄」に表示された翻訳対象となる文を取得する。翻訳対象は入力装置200を通じて入力画面の表示欄「A欄」に入力される。入力装置200としては、例えば、キーボードやマウスがある。表示欄「A欄」と表示欄「B欄」の間の下向きの「矢印」ボタンが指示されると、表示欄「A欄」の翻訳対象が表示欄「B欄」に複写される。したがって、主構造取得部111は、まず、この翻訳対象、すなわち、表示欄「A欄」に記載されていた文を表示欄「B欄」から取得する。
【0030】
主構造取得部111は、取得後、分解に関する入れ子指定指示(本発明の第1の指示)に基づいて、表示欄「B欄」に表示されていた文を、文の骨格をなす主構造と文の構成要素をなす副構造とに分解する。入れ子指定された指定部分が副構造となる。例えば、入力画面の表示欄「B欄」に翻訳対象の文「私は子どもが食べ残したリンゴを食べた」が表示されていた場合、入れ子指定指示に基づいて、主構造「*は*を食べた」と副構造「私」及び「子どもが食べ残したリンゴ」とに分解する。
【0031】
入れ子指定が指示された後の主構造は、図2に示すように、翻訳支援画面の表示欄「B欄」に表示される。副構造は表示欄「C0欄」〜「C3欄」に表示される。主構造取得部111は、指定部分の指定順序、副構造の主構造における出現順位、主構造の表示欄、副構造の表示欄、及び、翻訳手段120による翻訳結果の指定部分の開始位置を副構造情報テーブル400に登録する。指定順序は、利用者が指定していった順序である。
【0032】
副構造取得部112は、入力画面の表示欄「C0欄」に表示された副構造を取得する。副構造取得部112は、取得後、入れ子指定指示に基づいて、副構造の指定部分を、副構造の構成要素をなす副々構造にさらに分解する。入れ子指定された指定部分が副々構造となる。例えば、入力画面の表示欄「C0欄」に副構造「子どもが食べ残したリンゴ」が表示されている場合、入れ子指定指示に基づいて、副構造「*が食べ残した*」と副々構造「子ども」及び「リンゴ」とに分解する。入れ子指定が指示された後の副構造は、図2に示すように、表示欄「C0欄」に表示される。副々構造は表示欄「C1欄」〜「C2欄」に表示される。副構造取得部112は、副々構造の副構造における出現順位、副構造の表示欄、副々構造の表示欄、及び、翻訳手段120による翻訳結果の指定部分の開始位置を副構造情報テーブル400に登録する。
【0033】
尚、副構造取得部112は、副々構造に対するさらなる入れ子指定指示があった場合、その指示に基づいて、副々構造の指定部分を、副々構造の構成要素をなす副々々構造にさらに分解する。このような分解処理は、文の最小限の構成要素まで可能な限り行われる。
【0034】
次いで、翻訳手段120の構成要素について説明する。
句翻訳部121は、既知の技術によって構成すればよい。この技術としては、例えば特願2008−326704に開示される技術がある。
句翻訳部121は、分割手段110から入力された句(例えば、主構造、副構造、副々構造)が、段階的に入力されるよう構成される。句翻訳部121は、図2に示す「翻訳」ボタンが指示(本発明の第2の指示)された場合に稼動する。
【0035】
次いで、検索手段130の構成要素について図1を参照して説明する。
【0036】
パターン対訳辞書131には、パターンとパターンを翻訳した翻訳パターンの組が記憶されている。例えば、日本語パターン「*は*を食べた」に対応する中国語の翻訳パターン「*吃了*」が記憶されている。尚、パターン対訳辞書131には、種々の翻訳パターン(例えば、「*が食べ残した*」に対応する「*吃剩下的*」のような句)も記憶され、文に限定されるものでない。1つのパターンに、複数の翻訳パターンが割り当てられて記憶されていてもよい。
【0037】
パターン受付部132は、分割手段110から主構造、副構造、副々構造を受け付ける。パターン受付部132は、図2に示す「検索」ボタンが指示(本発明の第4の指示)された場合に稼動する。例えば、図2に示すように、表示欄「B欄」に表示された主構造「*は*を食べた」や表示欄「C0欄」に表示された副構造「*が食べ残した*」を受け付ける。パターン受付部132は、受け付けた主構造、副構造、副々構造をパターン検索部133に送信する。
【0038】
パターン検索部133は、パターン受付部132から送信された主構造、副構造、副々構造の翻訳文又はこれらの翻訳に類似する類似翻訳文を検索する。検索先はパターン対訳辞書131である。これらの主構造、副構造、副々構造に対応する翻訳パターンの検索、抽出がなされる。
【0039】
パターン検索部133の動作について図3を参照してさらに詳しく説明する。
図3は、検索手段130の動作を説明するための図である。
尚、一例として副構造について説明するが、主構造、副々構造にも適用される。パターン検索部133は、副構造を受信すると、副構造と完全にマッチングする翻訳パターンについてパターン対訳辞書131を検索する。検索には、既知のハッシュ(Hash)検索法が利用される。検索した結果、完全にマッチングする翻訳パターンが存在した場合、その副構造に対応する翻訳パターンを対訳パターン出力部134に送信する。
【0040】
一方、完全にマッチングする翻訳パターンが存在しなかった場合、副構造と類似する翻訳パターンについてパターン対訳辞書131を検索する。検索には、N−Gram検索法、トライ法などが利用される。検索した結果、副構造と類似度の最も高い翻訳パターンを類似翻訳文として対訳パターン出力部134に送信する。
尚、N−Gram検索法を利用した類似パターン検索法について簡単に説明する。パターン検索部133は、入力パターンとの類似度、及び、入力パターンのカバー率、がそれぞれ所定の閾値を超えると、類似の入力パターン候補として出力する。所定の閾値及び出力最大個数は、利用者によって適宜指定される。
【0041】
一例を挙げると、パターン検索部133がパターンを検索する際、入力パターンSとパターンAとの間の類似度とカバー率は次のように定義される。他の定義を用いてもよい。この例では、Bi−Gram(N=2)、すなわち、2文字の場合を示している。
定義(類似度):Sim(S,A)=(2×|S∩A|)/(|S|∩|A|)
定義(カバー率):Cov(S,A)=|S∩A|/|S|
但し、|S|:SのBi−Gramの数
|A|:AのBi−Gramの数
|S∩A|:SとAの共通Bi−Gramの数
類似度やカバー率は、他の定義を用いてもよい。
【0042】
対訳パターン出力部134は、パターン検索部133の検索結果となる翻訳パターンを受信すると、翻訳パターンを表示制御手段160に送信する。
【0043】
次いで、入力画面制御手段140の構成要素について説明する。
画面高さ取得部141は、図2に示す翻訳支援画面の高さを取得する。例えば、翻訳支援画面の左上の位置座標と左下の位置座標を取得し、これらの位置座標の差から高さを算出する。画面高さ取得部141は、入れ子指定指示がなされた場合や、図2に示す後述の「キャンセル」ボタンが指示(本発明の第5の指示)がなされた場合に稼動する。
【0044】
画面高さ変更部142は、翻訳支援画面の画面高さを変更する。具体的には、入れ子指定指示がなされた場合には、翻訳画面の高さを拡張する。「キャンセル」ボタンが指示された場合には、翻訳画面の高さを縮小する。
【0045】
段生成部143は、入れ子指定された部分を表示する表示欄を生成する。すなわち、副構造又は副々構造を表示させる表示欄を増加させる。例えば、表示欄「B欄」で入れ子指定がなされた場合、表示欄「C0欄」を生成する。既に、表示欄「C0欄」〜「C2欄」が生成されている場合、表示欄「C3欄」を生成する。すなわち、まだ生成されていない表示欄のうち、最新の表示欄を生成する。表示欄の生成に併せて、生成された表示欄に対応する「キャンセル」ボタン、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、後述する「合成」ボタンを生成する。
【0046】
一方、段生成部143は、翻訳手段による翻訳結果、又は、検索手段による検索結果を消去する「キャンセル」ボタンが指示(本発明の第5の指示)がなされた場合、副構造又は副々構造を表示する表示欄を削除する。例えば、表示欄「C0欄」で「キャンセル」ボタンが指示された場合、表示欄「C0欄」を削除する。表示欄の削除に併せて、その表示欄に対応する「キャンセル」ボタン、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、後述する「合成」ボタンを削除する。
【0047】
尚、副構造又は副々構造を表示する1つの表示欄、及び、その表示欄に対応する「キャンセル」ボタン、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、後述する「合成」ボタンにより1つの段が構成される。
【0048】
段描画部144は、段生成部143によって生成された表示欄を翻訳支援画面に描画する。この結果、新たな表示欄が翻訳支援画面に表示される。この表示欄には、入れ子指定された部分が表示される。一方、段生成部143によって表示欄が削除された場合、表示欄を消去する。消去された表示欄に副々構造が表示されている場合、その副々構造を副構造の「*」に置き換える。この結果、入れ子指定前の副構造が再現される。
【0049】
段数カウント部145は、翻訳支援画面に表示される段の数を計数する。図2においては、表示欄「C0欄」〜「C3欄」の4段と計数される。段数カウント部145による計数結果を保持しておき、例えば、5段や10段となった場合に、副構造又は副々構造を表示する表示欄「C0欄」〜「C3欄」の一部を表示させてもよい。この場合、表示されなかった残りの表示欄は、スクロールバーによって表示させるようにしてもよい。
【0050】
入力表示欄ボタン位置取得部146は、「キャンセル」ボタンの指示がなされた場合に、各表示欄やボタンの位置座標を取得する。具体的には、指示された「キャンセル」ボタンの位置座標、及びその「キャンセル」ボタンに対応する表示欄、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、後述する「合成」ボタンの各位置座標を取得する。さらに、指示された「キャンセル」ボタンの下に表示されたすべての「キャンセル」ボタンの位置座標、及び、それらの「キャンセル」ボタンに対応する表示欄、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、「合成」ボタンの各位置座標を取得する。
【0051】
入力表示欄ボタン位置変更部147は、入力表示欄ボタン位置取得部146によって取得された位置情報に基づいて、各表示欄及びボタン位置を変更する。具体的には、指示された「キャンセル」ボタンの位置に、その指示された「キャンセル」ボタンの1つ下に表示された「キャンセル」ボタンを移動させる。そして、この「キャンセル」ボタンに対応する表示欄、「検索」ボタン、「翻訳」ボタン、「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄、「合成」ボタンを「キャンセル」ボタンを移動に併せて移動させる。すなわち、消去された表示欄の位置に、その表示欄の1つ下の表示欄が移動する。消去された各ボタンの位置に、それらのボタンの1つ下のボタンが移動する。この移動に併せて、2つ下以降の表示欄及びボタンについても順に移動する。
【0052】
次いで、合成手段150の構成要素について説明する。
訳文選択部151は、図2に示す「合成」ボタンが指示(本発明の第3の指示)された場合に稼動する。訳文選択部151は、「合成」ボタンが指示された場合、その「合成」ボタンに対応する「検索されたパターン/翻訳結果」の表示欄に表示された翻訳文やパターンを選択する。図2において、表示欄「D0欄」の「合成ボタン」が指示された場合、翻訳結果「*吃剩下的*」を選択する。表示欄「E欄」の「合成ボタン」が指示された場合、翻訳結果「*吃了*」を選択する。
【0053】
訳文合成部152は、訳文選択部151によって選択された翻訳文を、その翻訳文の構成要素と合成する。図2において、例えば選択された翻訳文が副構造「*吃剩下的*」である場合、この「*」に関連付けられた、表示欄「D1欄」の副々構造「孩子」及び表示欄「D2欄」の副々構造「苹果」を合成する。例えば選択された翻訳文が主構造「*吃了*」である場合、この「*」に関連付けられた、表示欄「D3欄」の副構造「我」及び表示欄「D0欄」の副構造「*吃剩下的*」を合成する。「*」がない場合には、訳文合成部152は処理を終了する。
【0054】
翻訳文の合成は、副構造情報テーブル400に記憶された内容に基づいて行われる。具体的には、指定部分の指定順序、副構造の主構造における出現順位、副々構造の副構造における出現順位、主構造の表示欄、副構造の表示欄、副々構造の表示欄、及び、翻訳手段120による翻訳結果の指定部分の開始位置に基づいて行われる。尚、合成の詳細については、後述する翻訳支援装置100の動作で説明する。
【0055】
訳文編集部153は、合成された翻訳文を編集する。図2において、例えば副構造「*吃剩下的*」と副々構造「孩子」「苹果」が合成されると、副構造「孩子吃剩下的苹果」が得られる。この副構造は表示欄「D0欄」に表示される。この副構造を利用者が必要に応じて編集したい場合、入力装置200に対する操作に応じて、訳文編集部153は適宜副構造を編集する。主構造と副構造が合成された場合についても同様である。訳文編集部153は編集完了後、編集結果を表示制御手段160に送信する。
【0056】
次いで、表示制御手段160の構成要素について説明する。
表示制御部161は、合成手段150により合成された主構造及び副構造を表示装置300に表示させる。表示装置300としては、例えば、液晶ディスプレイやCRTディスプレイがある。この結果、図2に示す表示欄「C0欄」の入力句/入力パターン「子どもが食べ残したリンゴ」に対応する翻訳結果「孩子吃剩下的苹果」が翻訳支援画面の表示欄「D0欄」に表示される。また、図2に示す表示欄「B欄」の文パターン「私は子どもが食べ残したリンゴを食べた」に対応する翻訳結果「我吃了孩子吃剩下的苹果」が翻訳支援画面の表示欄「E欄」に表示される。
【0057】
続いて、翻訳支援装置100のハードウェア構成について説明する。
図4は、翻訳支援装置100のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0058】
翻訳支援装置100は、図4に示すように、CPU100a、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等のRAM100b、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)100c及び入出力を制御するI/Oインタフェース100dやLANインタフェース100eがバス100fにより接続されたハードウェア構成により実現される。すなわち、翻訳支援装置100はコンピュータによって実現される。
【0059】
したがって、CPU100aがRAM100bやROM100c等の記憶装置に格納された所要のプログラムを読み込み、当該プログラムに従った演算を行うことにより、上述した翻訳支援装置100の各機能が実現される。尚、このようなプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとすることができる。
【0060】
また、同図に示すように、必要に応じて、バス100fにHDD(ハードディスクドライブ)100g、CD−ROMドライブ100h、FDドライブ100i、モデム100jを接続するようにしてもよい。上述した副構造情報テーブル400は、翻訳支援装置100内のHDD100gで構成してもよいし、LANインタフェース100eを介して、翻訳支援装置100外の記憶装置として構成してもよい。
【0061】
続いて、本発明の翻訳支援装置100の動作について説明する。
まず、翻訳対象の指定について図5及び図6を参照して説明する。
図5は、翻訳支援画面の初期画面の一例、図6は、翻訳支援画面の初期画面の一例において翻訳対象が入力され「矢印」ボタンが指示された後の状態である。
【0062】
翻訳支援画面は、図5に示すように、言語指定に係る選択ボタン、翻訳対象を入力する入力欄「A欄」、入力欄「A欄」に表示された翻訳対象が複写される表示欄「B欄」、「検索」ボタン、「検索」ボタンに対する指示に基づいて、表示欄「B欄」に表示された翻訳対象のパターンを表示する表示欄「E欄」、「合成」ボタンを含んで構成される。利用者は、まず、日本語を中国語に翻訳する場合、言語指定「日→中」を選択し、入力欄「A欄」に翻訳対象を入力する。
【0063】
翻訳支援画面は、図6に示すように、「矢印」ボタンが指示されると、入力欄「A欄」に表示された翻訳対象を表示欄「B欄」に複写する。複写は、主構造取得部111によって行われる。
【0064】
次に、主構造の入れ子指定について図7から図9を参照して説明する。
図7は、主構造取得部111の動作の一例を示すフローチャート、図8は、主構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例、図9は、主構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の状態である。
【0065】
主構造取得部111は、図7に示すように、まず、表示欄「B欄」で入れ子指定があったか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、図8に示すように、表示欄「B欄」において、翻訳対象の一部分が指定部分として指定される。図8では、文パターンの一部「子どもが食べ残したリンゴ」が指定部分とされている。この指定部分に対し「入れ子に指定」が指示されると、主構造取得部111は入れ子指定ありと判定する。
【0066】
主構造取得部111は、入れ子指定ありと判定した場合(ステップS101:YES)、入れ子部分を「*」に置換する(ステップS102)。具体的には、図9に示すように、表示欄「B欄」に表示されていた文パターンの一部「子どもが食べ残したリンゴ」が「*」に置換される。
【0067】
主構造取得部111は、次いで、主構造の入れ子部分の位置と指定順序を副構造情報テーブル400に登録する(ステップS103)。登録処理について後に図15から図18を参照して説明する。
【0068】
主構造取得部111は、次いで、表示欄「C欄」を新たに生成し(ステップS104)、主構造の入れ子部分を、生成された表示欄「C欄」に表示する。この結果、図9に示すように、表示欄「C0欄」が新たに生成され、表示欄「C0欄」に入れ子部分「子どもが食べ残したリンゴ」が表示される。このように、ステップS101からS105の処理が繰り返されることにより、主構造の入れ子部分が指定される。
【0069】
次に、副構造の入れ子指定について図10から図14を参照して説明する。
図10は、副構造取得部112の動作の一例を示すフローチャート、図11は、副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例、図12は、副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の状態、図13及び図14は、副構造の入れ子指定を説明する翻訳支援画面の一例において「入れ子に指定」が指示された後の他の状態である。
【0070】
副構造取得部112は、図10に示すように、まず、表示欄「C欄」で入れ子指定があったか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、図11に示すように、表示欄「C0欄」において、入力句/入力パターンの一部分が指定部分として指定される。図11では、入力句/入力パターンパターンの一部「子ども」が指定部分とされている。この指定部分に対し「入れ子に指定」が指示されると、副構造取得部112は入れ子指定ありと判定する。
【0071】
副構造取得部112は、入れ子指定ありと判定した場合(ステップS201:YES)、入れ子部分を「*」に置換する(ステップS102)。具体的には、図12に示すように、表示欄「C0欄」に表示されていた入力句/入力パターンの一部「子ども」が「*」に置換される。
【0072】
副構造取得部112は、次いで、副構造の入れ子部分の位置と指定順序を副構造情報テーブル400に登録する(ステップS203)。登録処理について後に図15から図18を参照して説明する。
【0073】
副構造取得部112は、次いで、表示欄「C欄」を新たに生成し(ステップS204)、副構造の入れ子部分を、生成された表示欄「C欄」に表示する。この結果、図12に示すように、表示欄「C1欄」が新たに生成され、表示欄「C1欄」に入れ子部分「子ども」が表示される。図12に示すように、表示欄が増加し、翻訳支援画面が拡張している。
【0074】
このように、ステップS201からS205の処理が繰り返されることにより、副構造の入れ子部分が指定される。例えば、図13に示すように、表示欄「C0欄」において、入れ子部分「子ども」以外に「リンゴ」も入れ子指定されたことがわかる。また、副構造取得部112の動作後であっても、主構造取得部111を動作させてもよい。例えば、図14に示すように、表示欄「B欄」の文パターンの一部「私」が入れ子指定されると、その部分が「*」に置換され、表示欄「C3欄」に副構造「私」が表示される。
【0075】
ここで、上述した主構造取得部111の副構造情報テーブル400への登録処理について図15から図18を参照して説明する。尚、副構造取得部112についても同様の登録処理を行う。
図15は、最初に入れ子指定がなされた場合のデータ構造の一例、図16は、2度目に入れ子指定がなされた場合のデータ構造の一例、図17は、検索ボタンが指示された場合のデータ構造の一例、図18は、図14に示す場合のデータ構造の一例である。
【0076】
例えば、表示欄「B欄」に文パターン「私はリンゴを食べた」が表示されていた場合に、この文パターンの中で「リンゴ」が入れ子指定されると、図15(a)に示すように、表示欄「B欄」には文パターン「私は*を食べた」が表示される。また、表示欄「C0欄」には、入力句/入力パターンとして「リンゴ」が表示される。
【0077】
この場合、入れ子指定が初めてなされたため、図15(b)に示すように、指定順序には、識別情報として「Sub1」が登録される。そして、元の文字列内での出現順位は、表示欄「B欄」に表示された「*」が1つであり、左から順に文字列を追うと最初の「*」であるため、「1」が登録される。元の文字列の表示欄には、入れ子指定がなされた後の文字列(「私は*を食べた」)の表示欄「B」が登録される。現在の文字列の表示欄には、入れ子指定部分の文字列(「リンゴ」)の表示欄「C0」が登録される。
【0078】
さらに、図15(a)に示すように、表示欄「B欄」に文パターン「私は*を食べた」が表示されている場合に、この文パターンの中で「私」が入れ子指定されると、図16(a)に示すように、表示欄「B欄」には文パターン「*は*を食べた」が表示される。また、表示欄「C1欄」には、入力句/入力パターンとして「私」が表示される。
【0079】
この場合、入れ子指定が2度目としてなされたため、図16(b)に示すように、指定順序には、識別情報として「Sub2」が登録される。そして、元の文字列内での出現順位は、表示欄「B欄」に表示された「*」が2つであり、左から順に文字列を追うと最初の「*」であるため、「1」が登録される。元の文字列の表示欄には、入れ子指定がなされた後の文字列(「*は*を食べた」)の表示欄「B」が登録される。現在の文字列の表示欄には、入れ子指定部分の文字列(「私」)の表示欄「C1」が登録される。そして、元の文字列内での出現順位に変動があったため、指定順序「Sub1」の出現順位が「1」から「2」に変更される。
【0080】
上述した状態で、図17(a)に示すように、「検索」ボタンが指示されると、表示欄「B欄」に表示された「*は*を食べた」に対応する検索パターン「*吃了*」が表示欄「E欄」に表示される。ここで、「*は*を食べた」の最初の「*」を「NP1」、2番目の「*」を「NP2」とした場合、「NP1」は「私(我)」を表し、「NP2」は「リンゴ(苹果)」を表す。そして、検索パターン「*吃了*」と「NP1」「NP2」の順序関係を整理すると、図17(b)の表に示すように、「NP1」の開始位置が「0」、「NP2」の開始位置が「3」となる。したがって、これらの開始位置を、図17(c)に示すように、対応する部分に登録する。
【0081】
このような登録処理が主構造取得部111や副構造取得部112によって行われる。この結果、図18に示すように、副構造情報テーブル400が生成される。この副構造情報テーブル400は、図14に示す場合を示している。尚、上述した登録処理は、検索手段130による検索処理の場合について説明したが、翻訳手段120による翻訳処理の場合についても同様である。
【0082】
ここで、上述した「検索」ボタンの機能について図19を参照して説明する。
図19は、検索ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の一例である。
【0083】
図19に示すように、表示欄「C1欄」に表示された「子ども」に対し、その表示欄「C1欄」に対応する「検索」ボタンが指示された場合、「子ども」に対応するパターンが翻訳支援装置100内(例えばRAM)に保持される。そして、その段の「合成」ボタンの左にある三角形の選択ボタンが指示されると、保持された種々の翻訳パターンが表示される。利用者は検索ボタンの指示により「子ども」に対応する翻訳パターンを選択する。
尚、「翻訳」ボタンについては、「翻訳」ボタンが指示された場合、適切な翻訳結果1つが「翻訳」ボタンの段に対応する翻訳結果の表示欄に表示される。
【0084】
次に、合成手段150の動作について図20から図24を参照して説明する。
図20は、合成手段150の動作の一例を示すフローチャート、図21は、合成ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の一例、図22は、合成結果を示す翻訳支援画面の一例、図23は、合成ボタンが指示された場合の翻訳支援画面の他の一例、図24は、合成結果を示す翻訳支援画面の他の一例である。
【0085】
訳文選択部151は、図20に示すように、「合成」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS301)。例えば、図21に示すように、表示欄「D0欄」において、「合成」ボタンが指示されると、訳文選択部151は「合成」ボタンが押下されたと判定する。
【0086】
訳文選択部151は、「合成」ボタンが押下されたと判定した場合(ステップSS301:YES)、押下された「合成」ボタンに対応する検索されたパターン・翻訳結果の文字列及びその原言語(翻訳元)の表示欄名を取得する(ステップS302)。図21においては、訳文選択部151は、翻訳結果「*吃剩下的*」を取得する。また、その原言語(翻訳元)の表示欄名「C0」を取得する。取得されなかった表示欄名については後続の処理で使用しないため、使用しないための情報を付与しておくことが望ましい。
【0087】
訳文選択部151は、次いで、取得した表示欄名に関連付けられた、文字列の表示欄名を取得する(ステップS303)。例えば、ステップS302の処理で表示欄名「C0」が取得された場合、訳文選択部151は、表示欄名「C0」に基づいて、副構造情報テーブル400を検索する。より詳しくは、「元の文字列の表示欄」を検索する。訳文選択部151は、図18に示す副構造情報テーブル400から表示欄名「C0」に関連付けられた現在の文字列表示欄「C1」及び「C2」を取得する。
【0088】
訳文選択部151は、次いで、取得した現在の文字列の表示欄名に対応するパターン・翻訳結果を取得する(ステップS304)。例えば、ステップS303の処理で表示欄名「C1」及び「C2」が取得された場合、図21に示す表示欄名「C1」に表示された文字列「子ども」に対応する翻訳結果「孩子」を取得する。また、表示欄名「C2」に表示された文字列「リンゴ」に対応する翻訳結果「苹果」を取得する。
【0089】
訳文合成部152は、取得したパターン・翻訳結果を「目的言語側パターン内での開始位置」に基づいて合成する(ステップS305)。例えば、上述した各ステップによって翻訳結果「*吃剩下的*」、「孩子」及び「苹果」が取得されている。そして、翻訳結果「*吃剩下的*」に含まれるどちらの「*」に、翻訳結果「孩子」又は「苹果」を置き換えるか決定する。決定は、図18に示す、「検索された翻訳パターンの目的言語側パターン内での開始位置」に登録された情報に基づいて行われる。
【0090】
ここで、訳文合成部152は、翻訳結果「*吃剩下的*」に対し、1文字ずつ順に左から「0」,「1」,・・・,「5」と数値符号を付与する。この結果、最初の「*」には「0」が付与される。最後の「*」には「5」が付与される。このように付与された数値符号に基づいて、訳文合成部152は、図18に示す副構造情報テーブル400を検索する。この結果、訳文合成部152は、開始位置「0」に対応する指定順序は「Sub2」であると決定する。また、開始位置「5」に対応する指定順序は「Sub3」であると決定する。これにより、翻訳結果「*吃剩下的*」の最初の「*」に「孩子」が置き換えられる。また、最後の「*」に「苹果」が置き換えられる。
【0091】
訳文編集部153は、翻訳結果の合成を完了すると、合成された翻訳結果に対し編集がされなければ、合成された翻訳結果を表示制御部161に送信する。
表示制御部161は、合成された翻訳結果を表示装置300に表示させる。
【0092】
この結果、図22に示すように、表示欄「D0欄」に合成された翻訳結果「孩子吃剩下的苹果」が表示される。すなわち、「合成」ボタンが指示されると、指示された「合成」ボタンのパターン・翻訳結果表示欄に合成された翻訳結果が表示される。また、図23に示すように、表示欄「E欄」の「合成」ボタンが指示されると、同じ手法により、図24に示すように、指示された「合成」ボタンのパターン表示欄「E欄」に、合成された翻訳結果「我吃了孩子吃剩下的苹果」が表示される。
【0093】
このように、本発明によれば、複雑な文構造であっても、主構造、副構造、副々構造に分解し、各構造の体系に応じて翻訳がなされるため、文構造を考慮した精度の高い翻訳文が表示される。特に、文構造が複雑であったために翻訳時間が長くかかっていた場合には、翻訳時間の短縮化が図れる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、日本語と中国語との翻訳支援について説明したが、翻訳対象となる言語はこれらに限定されず、例えば、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、韓国語などの翻訳を支援するようにしてもよい。また、翻訳手段120に代えて、検索手段130を利用してもよいし、翻訳手段120と検索手段130を併用してもよい。
【0095】
また、図2において表示欄「C0欄」の段の「キャンセル」ボタンが指示された場合には、図25に示すように、表示欄「C1欄」に記載されていた「子ども」及び表示欄「C2欄」に記載されていた「リンゴ」が表示欄「C0欄」の「*が食べ残した*」に含まれる。この結果、表示欄「C0欄」に「子供が食べ残したリンゴ」が表示され、表示欄「C1欄」及び「C2欄」が削除される。翻訳支援画面は表示欄が削除された分だけ縮小する。また、表示欄「A欄」の段の「全て合成」ボタンが指示された場合には、上述した個別の合成処理をまとめて行い、図2に示すように、翻訳対象の翻訳文を表示欄に表示する。
【0096】
また、翻訳支援装置100をPC(Personal Computer)や、携帯電話・PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末装置に構成してもよい。また、例えば、本発明のプログラムを通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。さらに、例えば、上述したブロック図における各部は、論理回路等のハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 翻訳支援装置
110 分割手段
120 翻訳手段
130 検索手段
140 入力画面制御手段
150 合成手段
160 表示制御手段
200 入力装置
300 表示装置
400 副構造情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画面上の表示欄に表示された翻訳対象を、分解に関する第1の指示に基づいて、文の骨格をなす主構造と前記文の構成要素をなす副構造とに分解する分解手段と、
前記主構造及び副構造を、翻訳に関する第2の指示に基づいて、それぞれ翻訳する翻訳手段と、
前記翻訳手段によって翻訳された主構造及び副構造を、合成に関する第3の指示に基づいて、合成する合成手段と、
前記合成手段により合成された主構造及び副構造を表示装置に表示させる表示制御手段と、を有し、
前記分解手段は、前記翻訳対象の指定部分を副構造に、前記翻訳対象の指定部分以外を主構造に分解することを特徴とする翻訳支援装置。
【請求項2】
前記分解手段は、前記指定部分の指定順序、前記副構造の前記主構造における出現順位、前記主構造の表示欄、前記副構造の表示欄、及び、前記翻訳手段による翻訳結果の指定部分の開始位置を記憶装置に登録し、
前記合成手段は、前記第3の指示がなされた場合に、前記記憶装置に登録された内容に基づいて、翻訳された主構造及び副構造を、合成することを特徴とする請求項1に記載の翻訳支援装置。
【請求項3】
前記分解手段は、前記第1の指示に基づいて、前記副構造の指定部分を、前記副構造の構成要素をなす副々構造にさらに分解し、前記副々構造の前記副構造における出現順位、前記副構造の表示欄、前記副々構造の表示欄、及び、前記翻訳手段による翻訳結果の指定部分の開始位置を記憶装置に登録し、
前記合成手段は、前記第3の指示がなされた場合に、前記記憶装置に登録された内容に基づいて、翻訳された副構造及び副々構造を、合成することを特徴とする請求項1又は2に記載の翻訳支援装置。
【請求項4】
前記翻訳手段に代えて、検索に関する第4の指示に基づいて、前記主構造、副構造及び副々構造の翻訳文、又は、前記主構造、副構造及び副々構造の翻訳に類似する類似翻訳文を検索する検索手段を備え、
前記合成手段は、前記検索手段によって検索された主構造、副構造及び副々構造の翻訳文又は類似翻訳文を、前記第3の指示に基づいて、合成することを特徴とする請求項3に記載の翻訳支援装置。
【請求項5】
検索に関する第4の指示に基づいて、前記主構造、副構造及び副々構造の翻訳文、又は、前記主構造、副構造及び副々構造の翻訳に類似する類似翻訳文を検索する検索手段をさらに備え、
前記翻訳手段と前記検索手段とは、前記第2の指示又は前記第4の指示に基づいて、選択的に機能し、
前記合成手段は、前記検索手段によって検索された主構造、副構造及び副々構造の翻訳文又は類似翻訳文を、前記第3の指示に基づいて、合成することを特徴とする請求項3に記載の翻訳支援装置。
【請求項6】
前記第1の指示がなされた場合に、前記副構造又は前記副々構造を表示させる表示欄を増加させる入力画面制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の翻訳支援装置。
【請求項7】
前記入力画面制御手段は、前記翻訳手段による翻訳結果、又は、前記検索手段による検索結果を消去する第5の指示がなされた場合に、前記副構造又は前記副々構造を表示する表示欄を削除することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の翻訳支援装置。
【請求項8】
コンピュータを、
入力画面上の表示欄に表示された翻訳対象を、分解に関する第1の指示に基づいて、文の骨格をなす主構造と前記文の構成要素をなす副構造とに分解する分解手段、
前記主構造及び副構造を、翻訳に関する第2の指示に基づいて、それぞれ翻訳する翻訳手段、
前記翻訳手段によって翻訳された主構造及び副構造を、合成に関する第3の指示に基づいて、合成する合成手段、
前記合成手段により合成された主構造及び副構造を表示装置に表示させる表示制御手段、として機能させ、
前記分解手段は、前記翻訳対象の指定部分を副構造に、前記翻訳対象の指定部分以外を主構造に分解することを特徴とする翻訳支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−18189(P2011−18189A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162323(P2009−162323)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】