説明

耐亀裂性乾式耐火物

亀裂生長に対して優れた耐性を有する乾式耐火組成物。該乾式耐火組成物は、少なくともマトリックス材料と金属繊維とを含む。該組成物は緻密質耐火骨材を含んでもよい。該乾式耐火組成物は金属収納用途に使用するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
本発明は乾式耐火物(すなわち水又は液体ケミカルバインダを添加することなく乾燥粉末形態でインストールされる不定形耐火物)に関し、特に金属を入れる容器に使用するのに適し、優れた耐亀裂生長性を提供する乾式耐火物に関する。
【0002】
耐火物は、金属加工及び関連分野で(容器などの)稼働面の内張及び二次的内張(セイフティライニング)として広く使用されている。これらの内張耐火物は、金属の加工及び搬送用容器では溶融金属及びスラグを入れている。一部の内張耐火物は、金属加工操作に伴う熱及びガスを容器内に封じ込めるのにも使用されている。本明細書中で使用している“金属を入れる容器”用とは、溶融金属及びスラグの収納が主として又はさらには一義的に重要な用途であるが、“金属/熱を入れる容器”用とは、容器の熱封じ込め(断熱)及び溶融金属とスラグの収納の両方が関心事の用途である。
【0003】
金属及び熱/金属を入れる容器用の内張耐火物は典型的には消耗性である。それらは腐食し、ひび割れし、又はさもなければ容器内条件への暴露によって損傷を受ける。内張耐火物にある量の消耗又は損傷が発生したら、内張耐火物の補修又は取り替えが必要となる。補修又は取り替えは金属加工操作を時として長期間中断する。中断は、一部は予期しないものであるが、その他は多少なりとも予測可能である。内張耐火物の補修又は取り替えは操作を中断するので、緊急の補修でなく計画的な補修を可能にするために内張耐火物は予測可能な様式で働くのが望ましい。
【0004】
腐蝕性溶融金属及びスラグとの接触による内張耐火物の腐食は、内張耐火物を次第に消耗させる結果となる。腐食速度は一般的に、容器内張の露出部分の目視検査又はその他の技術によって予測できる。予測可能な腐食速度は、用途の金属及び熱収納特性や耐火物消耗の履歴に基づいて特定の内張耐火物について確立できる。電気誘導炉の場合、腐食速度は電気的読みの経時変化によって推定することもできる。
【0005】
内張耐火物の亀裂は、結合された脆い耐火物が熱的及び機械的ストレスを受けると発生する。これらのストレスは一般的に、熱的環境の変化の結果、内張が膨張及び収縮することによって生じる。亀裂ができると溶融金属及びスラグが内張内に侵入するので、金属の加工又は搬送容器中に孤立した破損領域が生じる。亀裂による内張耐火物の破損は腐食よりずっと予測しにくい。亀裂は内張耐火物の露出領域には発生しないことが多いので、亀裂の確認に目視検査は通常役に立たない。内張耐火物中に形成される亀裂の性質は、耐火物の組成及び熱的条件によっても変動しうる。弱い結合を特徴とする内張耐火物はストレス下で微小亀裂を形成しやすいが、強い結合を特徴とする内張耐火物はストレス下で巨大亀裂を形成しやすい。巨大亀裂は、高強度の結合の不具合に由来するものなので特に望ましくない。
【0006】
亀裂による破損は予測不能であることに加えて壊滅的でありうる。ホットフェースからコールドフェース(例えば金属加工容器の鋼製シェル側)まで内張を貫通して伸びる巨大亀裂は、溶融金属及び/又はスラグを、亀裂を通って移動させることにより容器の外殻に到達させうる。これが発生すると、溶融材料がシェルを溶かしうるので、装置に拡大損傷及び/又は従業員に傷害をもたらしかねない。この種の溶け落ちは、内張、鋼製シェル及び構造、並びに周辺装置(あれば)の補修に時間を要するので、運転に長期間の計画外遅延をもたらす原因になりうる。
【0007】
耐火物は断熱用(金属加工分野又はその他)にも使用されうる。その場合、反復する熱衝撃が予想される。そのような用途は、煙道壁建設及び焼却炉などであろう。腐食は断熱用耐火物にも特別の腐蝕環境中では起こりうるが、断熱用耐火物の破損は典型的には反復熱衝撃による亀裂に起因する。
【0008】
乾式耐火物、特に振動を利用して乾式耐火粉末を圧縮しインストールする乾式耐火物は、キャスタブル、ラミング材、れんが、及び定形耐火物などのその他の種類の従来式内張耐火物と比べて亀裂生長に対し優れた耐性を提供する。乾式振動式内張耐火物の優れた耐亀裂性は、これらの内張が予定の温度範囲で制御された速度で熱結合を形成することにより、用途の熱的条件に応答できる独特の結合システムに由来する。例えば、金属を入れる容器用の場合、内張耐火物が、関連する溶融金属容器の熱的条件や溶融金属及びスラグの内張内への侵入(あれば)に応答する。金属を入れる容器及び熱/金属を入れる容器に使用される乾式振動式耐火物の化学組成及び鉱物組成は、特別のプロセスに伴う特定の種類の金属及びスラグに耐性を持つように選択することもできる。
【0009】
インストールされた乾式振動式耐火物は最初は非結合状態で存在する。この非結合状態では脆弱な挙動は示さない。非結合状態の乾式内張耐火物は外的ストレスにさらされても割れたり破損したりしない。それどころかこれらのストレスを吸収し分配する。しかしながら、インストールされた非結合状態の内張耐火物は、熱に暴露されると熱結合を形成し始める。ホットフェースに最隣接する領域は強固な熱結合を形成する。強固に結合された耐火物は緻密化及び硬化し、溶融金属及びスラグの侵入に対し、化学的にも物理的にも抵抗性を持つ。
【0010】
熱結合の程度は、耐火物の組成及び特定の用途に存在する熱的条件に応じて変動する。一部の用途では、本質的に全ての耐火物が強固に結合し、脆弱な挙動を示すと思われる。他の用途では、ホットフェースから最も遠い領域は非結合又は非焼結状態のまま残ると考えられ、中間領域は弱いフリット(半融)状熱結合を形成すると考えられる。フリット状及び非焼結領域の耐火物はその流動性を保持しており、機械的及び熱的ストレスを吸収できる能力を残したエンベロープを形成する。このエンベロープの内側で、ホットフェースに最も近い強固に結合した耐火物は従来の耐火組成物に典型的な脆弱な挙動を示しうる。しかしながら、この保護エンベロープは、用途の熱的条件によってフリット状及び非焼結領域で耐火物の結合が起こると分解又はさらには除去される可能性がある。
【0011】
熱結合の性質も、耐火物の組成及び特定の用途に存在する熱的条件に応じて変動する。弱い結合の内張はストレス下で微小亀裂を形成しやすいが、強い結合の内張はストレス下で巨大亀裂を形成しやすい。巨大亀裂が形成され、溶融金属及びスラグが内張耐火物に侵入すると、亀裂に隣接する内張は熱的条件の変化に応答して熱結合を形成し始める。このサイクルが続くと、脆弱な挙動を示す内張耐火物の割合が次第に増加し、内張のサーマルプレーンがシェルの方に押しやられる。内張がそれより先に腐食のために破損したり操業中止になっていなければ、最終的に、ストレスを吸収し分配できる非結合及び弱結合耐火物の割合が小さくなりすぎて内張の破損を起こす。
【0012】
先行技術の欠点を考慮すると、亀裂生長に対して大きい耐性を提供し、結合された場合にあまり脆弱な挙動を示さず、そして長い耐用年数を有する金属用容器のための乾式耐火物を求める需要が存在する。
そこで、本発明の目的は、亀裂生長、特に巨大亀裂に対して耐性のある金属用容器のための乾式耐火物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、インストールされた耐火物が熱に応答して強固な結合を形成したときに低脆弱性の挙動を示す金属用容器のための乾式耐火物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、長い耐用年数を提供する金属用容器のための乾式耐火物を提供することである。
【0014】
発明の要旨
前述の目的は金属繊維を含む乾式耐火組成物において達成される。本発明は、(1)20〜100重量%の量のマトリックス材料と0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材を含む乾式耐火混合物;及び(2)前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維を含む乾式耐火組成物を包含する。マトリックス材料は100メッシュ未満の粒径を有し、緻密質耐火骨材は100メッシュ以上の粒径を有する。マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされたとき、少なくとも熱源に近い組成物の第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれる。
【0015】
好適な態様において、マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物がインストールされたとき、組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる。別の好適な態様において、マトリックス材料は20〜60重量%の量で存在し、緻密質耐火骨材は40〜80重量%の量で存在する。乾式耐火混合物は、0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤又は組成物のインストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するに足る量の粉塵抑制剤を含むこともできる。
【0016】
前述の組成物の金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、又はそれらの混合物でありうる。金属繊維は、好ましくは約1/2〜約2インチの長さを有する。
【0017】
本発明はインストールされた耐火組成物も包含する。前述の組成物は、水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされ、インストールされた組成物の少なくとも熱源に近い第一の部分は強固な熱結合を形成するようになる。好適な態様において、組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分は非焼結形のままである。
【0018】
本発明はまた耐火組成物の製造法も包含する。該方法は、20〜100重量%の量のマトリックス材料と0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材を含む乾式耐火混合物を選択する工程と;乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維を選択する工程と;乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドする工程とを含む。本方法において、マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、ブレンドされた組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされたとき、組成物の少なくとも熱源に近い第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれる。好適な態様において、該方法は、ブレンドされた組成物がインストールされたとき、組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分は非焼結形のままであるようにマトリックス材料と緻密質耐火骨材を選択する工程も含む。
【0019】
前述の方法の組成物中の金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、又はこれらの組合せから選ばれる。該方法は、約1/2〜約2インチの長さを有する金属繊維を選択する工程を含むこともできる。
【0020】
前述の方法は、乾式耐火混合物の0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤を選び、該熱活性型結合剤を乾式耐火混合物とブレンドすることを含みうる。該方法はまた、組成物インストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するに足る量の粉塵抑制剤を選び、該粉塵抑制剤を乾式耐火混合物とブレンドすることも含みうる。
【0021】
本発明はまた内張耐火物のインストール法も包含する。該方法は、20〜100重量%の量のマトリックス材料と0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材を含む乾式耐火混合物を選択する工程と;乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維を選択する工程と;乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドする工程と;粉末形態のブレンド組成物を熱源に隣接するボイドに注入する工程と;注入組成物を脱気する工程と;そして脱気組成物を、組成物の少なくとも熱源に近い第一の部分が強固な熱結合を形成するように加熱する工程とを含む。本方法はまた、脱気組成物を加熱するとき、組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分が非焼結形のままであるようにマトリックス材料と緻密質耐火骨材を選択する工程を含むこともできる。前述の組成物の金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、及びこれらの組合せから選ばれる。脱気工程は組成物を圧縮することも含みうる。
【0022】
同じく本発明の範囲に含まれるのは、金属接触電気誘導炉に使用するための組成物及び方法である。本発明の一つの好適な態様は、(1)20〜100重量%の量のマトリックス材料と0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材を含む乾式耐火混合物;及び(2)前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維を含む乾式耐火組成物である。マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドにインストールされたとき、組成物の少なくともホットフェースに近い第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれる。好ましくは、マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物がインストールされたとき、組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる。マトリックス材料は20〜60重量%の量で存在し、緻密質耐火骨材は40〜80重量%の量で存在しうる。前述の組成物の乾式耐火混合物は、0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤を含むこともできる。
【0023】
金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、及びそれらの混合物から選ばれる。金属繊維は、約1/2〜約2インチの長さを有しうる。
【0024】
本発明の別の好適な態様は、インストールされた耐火組成物である。前述の組成物は、水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドにインストールされ、インストールされた組成物の少なくともホットフェースに近い第一の部分は強固な熱結合を形成するようになる。好ましくは、マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物がインストールされたとき、組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる。
【0025】
本発明のさらに別の好適な態様は内張耐火物のインストール法である。該方法は、20〜100重量%の量のマトリックス材料と0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材を含む乾式耐火混合物を選択する工程と;乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維を選択する工程と;乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドする工程と;粉末形態のブレンド組成物を金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドに注入する工程と;注入組成物を脱気する工程と;該組成物を圧縮する工程と;そして脱気組成物を、組成物の少なくともホットフェースに近い第一の部分が強固な熱結合を形成するように加熱する工程とを含む。金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、及びそれらの混合物から選ばれる。好ましくは、該方法はまた、脱気組成物を加熱するとき、組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分が非焼結形のままであるようにマトリックス材料と緻密質耐火骨材を選択する工程も含む。
【0026】
本発明のこれら及び更なる目的は以下の詳細な説明で明らかになるであろう。
好適な態様の詳細な説明
本発明の組成物は、水又は液体ケミカルバインダを添加することなく乾燥粉末形態でインストールするための不定形耐火物である。該組成物は、インストールされた組成物の結合部分の脆弱特性を低減し、亀裂を阻止する金属繊維を含む。金属繊維を含む乾式耐火組成物を試験的にインストールしたところ、従来の乾式振動式耐火物に比べて改良された耐用年数が示された。
【0027】
金属繊維を含む乾式耐火組成物は、金属を入れる容器、金属/熱を入れる容器、及び断熱用に使用できる。これらの組成物は、コアレス型及び溝型電気誘導炉、鉄鋼生産に使用される高炉の樋及び取鍋の二次的内張(セーフティライニング)、熱処理炉の床、炭素ベーク炉、アルミニウム及びマグネシウム溶融のフィルタボックス、金属処理容器上部(例えば上蓋)のゾーンドライニング、シャフト炉、反射炉、金属取扱ロンダーシステム、及び金属流出ピットなど(これらに限定されない)のインストールに有用である。
【0028】
本発明の耐火組成物は金属を入れる容器に使用するのに特に適している。金属/熱を入れる容器及び断熱用に使用するのに特に適切な耐火組成物は、我々の係属中の出願{発明の名称“耐亀裂性断熱用乾式耐火物(Crack-Resistant Insulating Dry Refractory)”、2003年2月7日出願}の主題である。
【0029】
本発明の乾式耐火組成物は、少なくともマトリックス材料と金属繊維を含む。該組成物は、その他の耐火物材料、特に緻密質耐火骨材も含みうる。該乾式耐火組成物は、組成物内での強固な結合の形成を促進するための熱活性型結合剤、乾燥粉末形態の組成物インストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するための粉塵抑制剤、又は結合剤と粉塵抑制剤の両方を含んでもよい。
【0030】
金属繊維又は金属針は任意の適切な鉄又は非鉄材料でありうる。例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、又はこれらの組合せなどであるが、これらに限定されない。金属繊維の組成、数、及びサイズは、容器の化学的及び熱的環境に基づいて選択されうる。例えば、マグネシウム加工操作用耐火物にはステンレス鋼よりニッケル除去クロム合金の繊維がマグネシウムのニッケル汚染を回避するために使用でき、406シリーズ合金の繊維は水素豊富雰囲気の容器用耐火物に使用できる。異なる組成を有する繊維の組合せを使用すると優れた結果を得ることができる。
【0031】
本発明の実施に有用な金属繊維は、好ましくは約1/2〜約2インチ、さらに好ましくは約1/2〜約1インチの長さを有する。単一金属の組成であれ組合せ金属の組成であれ、繊維の長さを(様々に)組合せて使用すると優れた結果が得られる。市販の金属針は、典型的には断面のサイズ及び形状が様々に異なる。金属針は、金属シートから打抜きによって変形又は非変形スリットシートの針形(例えばペンシルバニア州エバンズシティのFibercon International Inc.社より入手可能)、又はメルトエキストラクションによってカヌー型の針形(例えばオハイオ州ガハナのRibbon Technology Corp社より入手可能)に製造できる。典型的には、針幅は約1/100〜約1/8インチの範囲、針長は約1/2〜約2インチの範囲、そしてアスペクト比は約4:1〜約200:1の範囲である。前述の範囲内での針のサイズ及び形状の変動であれば、クレームされている耐火組成物の性能に悪影響を及ぼさないようである。
【0032】
金属繊維は、組成物中に乾式耐火混合物の約0.5〜約15重量%の量で存在する。鋼のように重い材料の繊維は、好ましくは約3〜約10重量%、さらに好ましくは約4〜約7重量%の量で存在する。アルミニウム合金のように軽い材料の繊維は、好ましくは少量、例えば約2〜約5重量%、さらに好ましくは約3〜約5重量%の量で存在する。なぜならば、重量が軽くても十分な数の針が提供できるからである。金属繊維は一般的に乾式耐火組成物の成分に混合時に添加される。
【0033】
乾式耐火混合物は、該耐火混合物が暴露されることになる化学的及び熱的環境に基づいて特別の用途用に設計又は選択される。金属を入れる容器用の耐火混合物は、典型的にはマトリックス材料と緻密質耐火骨材を含有するが、金属/熱を入れる容器及び断熱用の耐火混合物は、典型的には主としてマトリックス材料とフィラー用軽量材料を含有し、緻密質耐火骨材はほとんどないし全く含有しない。
【0034】
金属を入れる容器用の場合、化学的及び熱的環境は、(1)シェルの寸法及び溶融金属プールの所望の容量に関連する境界条件、(2)金属のアイデンティティと物理的性質、及び(3)容器の予定される運転環境、例えば、その定格容量、酸素注入、プラズマトーチ、及び水冷又は空冷装置といった機能の存在、所望の断熱値、キャンペイン時間(修繕までの稼働期間)、補修の容易性、及び材料コストに左右されうる。一般的に、耐火組成物のための材料は、該組成物が容器の熱的環境に耐え、容器周囲のシェル(あれば)の構造的完全性を維持し、そして所望の断熱値を提供できるように選ばれる。これらの因子に基づく容器の熱的プロフィールは、従来の熱分析及び内張設計技術を用いて開発される。
【0035】
マトリックス材料は、特定の使用環境で組成物の性能が増強されるように選択される。例えば、鉄の溶融、鋼の溶融、及び銅やアルミニウム溶融金属の容器に使用することを意図した耐火物には異なるマトリックス材料が選択されて使用されることになろう。マトリックス材料は、組成物が使用されることになる環境で良好な化学的及び熱的耐性を供与できる天然又は合成の微粒子耐火物である。微粒子の広い表面積及びこれらの粒子の鉱物組成は、該粒子が熱に暴露されたときの結合を促進する。
【0036】
適切なマトリックス材料は、ケイ酸塩、アルミナ含有耐火物、アルミノケイ酸塩、及びアルカリ土類アルミニウムケイ酸塩などであろう。好ましくは、マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン(酸窒化ケイ素−アルミニウム)、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム(ホタル石)、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及び当該技術分野で公知のその他のマトリックス材料から選ばれる。所望であればマトリックス材料の組合せも使用できる。
【0037】
選択されるマトリックス材料の種類及び粒径は用途に応じて変動しうるが、非金属用の容器には体積安定性を維持するためにより経済的な材料が選ばれる。典型的には、マトリックス材料は約100メッシュ未満、さらに好ましくは約65メッシュ未満の粒径を有するが、その他の粒径も使用できる。マトリックス材料は、金属を入れる容器用の場合、約20〜約80重量%の量、金属/熱を入れる容器及び断熱用の場合、約15〜約50体積%の量で存在する。
【0038】
組成物は、用途及びその他の耐火混合物成分の特性に応じて緻密質耐火骨材を含んでもよい。緻密質耐火骨材は組成物の構造的完全性に寄与し、典型的には鉄及び鋼のような腐蝕性溶融金属に暴露されることになる耐火組成物中に存在する。金属/熱を入れる容器及び断熱用に使用される耐火組成物中には少なくとも少量の緻密質耐火骨材が存在するのが好ましい。緻密質耐火骨材は、天然又は合成鉱物、又はこれら二つの組合せなどでありうる。天然鉱物は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、及びかんらん石などでありうる。合成鉱物は、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ(例えば平板状アルミナ)、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、及びケイ酸アルミナ−ジルコニアなどでありうる。緻密質耐火骨材の組合せを使用すれば特定の結果を達成できる。
【0039】
典型的には、緻密質耐火骨材の粒径は100メッシュより大きい。緻密質耐火骨材は、金属を入れる容器用の場合約0〜約80重量%の量、金属/熱を入れる容器及び断熱用の場合約0〜約70体積%の量で存在しうる。
【0040】
マトリックス材料と緻密質耐火骨材の鉱物組成は同一であってよく、同じ耐火材料が耐火物体又は骨格を提供する機能を果たし、使用環境における組成物の性能を高める。典型的には約100メッシュより大きい大粒子が主として組成物の構造的完全性を増強する緻密質耐火骨材として機能し、典型的には約100メッシュ未満、さらに好ましくは約65メッシュ未満の小粒子が主として、組成物が使用される化学的及び熱的環境に対して良好な耐性を提供するマトリックス材料として機能する。約100メッシュの範囲の粒子は主機能の他に二次的機能も示しうる。すなわち、この粒径範囲のある種の緻密質耐火骨材粒子は化学的及び熱的耐性を高める結合性を有することができ、この粒径範囲のある種のマトリックス材料粒子は構造的完全性を増強しうる。
【0041】
フィラー用軽量材料は、組成物の密度を低減し、その断熱性を増強する断熱耐火骨材を含む。フィラー用軽量材料は天然又は合成材料でありうるが、最も典型的なのは耐火性酸化物である。更に詳しくは、フィラー用軽量材料は、パーライト、バーミキュライト、軽石、膨張頁岩(例えばK T 200及びK T 500、K T Pumice Inc.社より入手可能)、膨張耐火粘土(例えば、C−E Minerals社から入手できるCE Mulcoa 47LW及びWhitfield & Son Ltd.社より入手できるWhi−Agg低鉄性骨材)、膨張アルミナシリカ中空球(例えばTrelleborg Fillte Inc.社から入手できるFillite中空セラミック微小球及びA.P.Green Industries Inc.社から入手できるVeri−lite骨材)、バブルアルミナ、焼結多孔質アルミナ(例えばアルミナ触媒)、アルミナスピネル断熱骨材、アルミン酸カルシウム断熱骨材(例えばAlcoa超軽量骨材SLA−92)、膨張ムライト、軽量アルミノケイ酸塩、軽量グロッグ、及び灰長石から選ばれうる。当該技術分野で知られているその他の断熱耐火骨材又は多孔質鉱物(合成膨張させた鉱物を含む)も使用できる。所望であればフィラー用軽量材料の組合せも使用できる。
【0042】
フィラー用軽量材料は、典型的には約3/8インチ以下の粒径を有する。フィラー用軽量材料は、金属を入れる容器用には認められるほどの量は存在しないが、金属/熱を入れる容器及び断熱用には約15〜約85体積%、好ましくは約50〜約80体積%の量存在する。
【0043】
フィラー用軽量材料の特性は用途に応じて変動しうる。金属/熱を入れる容器用では、フィラー用軽量材料は、金属と適合性のある性質(例えば鉄を入れる容器用におけるアルミノケイ酸塩断熱骨材)、並びに所望の熱封じ込め性を持たなければならない。断熱用では、フィラー用軽量材料は、断熱値又はさらには低コストを求めて選ばれうる。マイクロポアサイズを有するフィラー用軽量材料が一般的に好適である。熱/金属を入れる容器用及びその他の要求される用途ではマイクロポアサイズのフィラー用軽量材料の周辺に結合が容易に形成されるので、より強固な結合骨組みが得られる。マイクロポアサイズを有するフィラー用軽量材料は断熱値も高い。
【0044】
インストールされた耐火組成物の熱結合は、インストールされた組成物の熱的環境に応答して、マトリックス材料と緻密質耐火骨材(ある場合)の高熱セラミック結合によって達成されうる。例えば、マトリックス材料と緻密質耐火骨材(ある場合)のセラミック結合は、結合の形成が組成物が約2000°Fに到達するまで望ましくないような用途で十分な結合を提供しうる。従って、乾式耐火組成物の性能を成功させるのに別個の結合剤が存在する必要がない。
【0045】
しかしながら、所望であれば、組成物は、インストールされた耐火組成物に熱を印加した後の材料強度及び結合の生長を制御するために、少なくとも1種類の別個の熱活性型結合剤を含有してもよい。結合剤は、所定の用途が暴露される温度に基づいて選択できる。その結果、結合は低い方は約350°Fから高い方は1800°F以上で実質的に完了しうる。好ましくは、結合剤は室温では非液体であるが、噴霧化した液体結合剤を組成物の製造時(インストール時ではない)に添加してもまずまずの結果が得られる。使用する場合、結合剤は典型的には、金属を入れる容器用の場合約0.1〜約8重量%、熱/金属を入れる容器用及び断熱用の場合約0.1〜約15体積%の量で存在する。
【0046】
別個の熱活性型結合剤が使用される用途の場合、結合剤は単一の結合剤でも結合剤の組合せでもよい。結合剤は有機結合剤、無機結合剤、又はこれらの組合せでありうる。前述のように、別個の結合剤が存在する場合でも、マトリックス材料と緻密質耐火骨材(ある場合)のセラミック結合もインストールされた耐火組成物の結合に寄与しうる。
【0047】
有機結合剤は、典型的には約600°F未満の温度の場合に使用され、その温度範囲内での加熱時に強度を発揮する。ノボラック樹脂(乾式熱硬化性フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)を含むフェノール系(フェノール−ホルムアルデヒド)樹脂が好適な有機結合剤である。低フェノール樹脂が特に好適である。その他の適切な有機結合剤は、フラン樹脂、ピッチ、ギルソナイト、リグノスルホン酸塩、糖、メチル/エチルセルロース、デンプン、及びシュウ酸などである。
【0048】
無機結合剤は、典型的には約600°Fを超える温度で結合を発生させるために使用される。該結合剤は、中間温度範囲ではガラス結合、高温範囲ではセラミック結合の形成を促進する。適切な無機結合剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、氷晶石、非カルシウムフッ化物塩(例えば、フッ化アルミニウム又はフッ化マグネシウム)、ケイ酸塩化合物(例えば、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム)、ホウ酸塩化合物(例えば、ホウ酸ナトリウム又はフルオロホウ酸カリウム)、リン酸塩化合物(例えば、乾式オルトリン酸塩粉末)、ケイ酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、塩化マグネシウム、ボールクレイ、カオリン、硫酸塩化合物(例えば、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、又は硫酸マグネシウム)、金属粉(例えば、粉末アルミナ又はケイ素合金)、及び耐火フリットなどである。当該技術分野で熱活性型結合剤として認められているその他の薬剤も使用できる。酸化ホウ素及びホウ酸は、有効かつ安価であることから特に好適な無機結合剤である。耐火フリット(粒径が典型的には約200メッシュ未満)も好適な無機結合剤である。低融点フリットは低温結合が必要な用途で好適であり、高融点フリットは高い使用温度限界の用途で好適である。
【0049】
結合剤の粒径は典型的には約100メッシュ未満、さらに好ましくは約60メッシュ未満である。より微細な粒子は良好な分散を提供するが、粗粒子は入手しやすい、又は低コストで入手しやすい。
【0050】
乾式耐火混合物は少量の粉塵抑制剤を含むこともできる。粉塵抑制剤の機能は、主として目に見える粉塵を削減してインストール環境を清潔に維持し、使用を容易にすることである。また、組成物中の材料の吸入性浮遊粉塵の濃度をそれら各々の被曝限界(許容濃度)未満に維持する機能もある。もっとも、吸入性粉塵の粒子は、可視性の粉塵が存在する場合、より大きい可視性粉塵粒子にくっつきがちである。粉塵抑制剤は一般的に、大量の粉塵を発生しやすい条件、特に大規模インストール及び粉塵制御換気装置のない条件下でインストールされる組成物に必要である。粉塵抑制剤は、溶融金属又は熱の満足な収納又は断熱の提供には必要ないので、粉塵抑制剤は省略してもよい。使用する場合、粉塵抑制剤は、組成物インストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するに足る量、典型的には金属を入れる容器用の場合約0〜約2重量%、金属/熱を入れる容器及び断熱用の場合約0〜約3体積%の量で存在する。
【0051】
鉱油のような軽油が好適な粉塵抑制剤である。油の重量が軽いほど、多量の粉塵抑制剤が十分な結果を達成するのに必要なようである。例えば、金属/熱を入れる容器のための乾式耐火混合物の好適な態様では、約0.25〜約1.6体積%の量の軽油が含まれうる。耐火物の性能を妨げずに粉塵発生を削減するその他の物質、例えばその他の軽油、灯油、グリコール、及び粘性有機ポリマー(好ましくは非水性製剤)も使用できる。所望であれば、軽油と灯油の混合物のような粉塵抑制剤の組合せも使用できる。
【0052】
金属を入れる容器のための乾式耐火組成物を以下に記載する。
(1)およその重量%で掲載された以下の成分を含む乾式耐火混合物
【0053】
【表1】

【0054】
及び
(2)上記混合物の0.5〜15重量%の量の金属針。
好ましくは、上記乾式耐火混合物は、およその重量%で掲載された以下の成分を含む。
【0055】
【表2】

【0056】
金属/熱を入れる容器及び断熱用の乾式耐火組成物を以下に記載する。
(1)およその体積%の以下の成分を含む乾式耐火混合物
【0057】
【表3】

【0058】
及び
(2)上記混合物の0.5〜15重量%の量の金属針。
好ましくは、上記乾式耐火混合物は、およその体積%の以下の成分を含む。
【0059】
【表4】

【0060】
乾式耐火組成物は、別途添加された水分又は液体ケミカルバインダを含有しない。該組成物はそのインストール時の状態で水分を担持していない。インストール時の耐火組成物は、耐火成分に随伴する水和水及び/又は環境から吸収した水分に由来する水を約0.5重量%未満しか含有しないと考えられる。ただし、この量は特定の耐火組成物及び貯蔵やインストール時の環境条件によって変動しうる。
【0061】
乾式耐火組成物は、乾式耐火混合物用の市販原料(所望の粒径を予備選択)を金属繊維とミキサで混合することによって製造できる。これらの材料は一緒に混合されて実質的に連続した分布を提供する。混合プロセス及び装置は、乾式振動式耐火物の公知製造法で使用される典型的なものである。粉塵抑制剤を混合時に組成物に加えてもよい。噴霧化粉塵抑制剤も組成物にスプレーして加えることができる。
【0062】
耐火組成物は、それを所定の場所(例えば、熱源に隣接するボイド)に注入し、次いで脱気又は緻密化することによって、従来の乾式振動式耐火物と同じ方法でインストールできる。これは、所定の場所の組成物を、例えば振動又はラミングによって圧縮することによって達成できる。より緻密な組成物の場合、脱気は組成物をフォークで刺し(フォーキングツール又は類似の器具を用いて)、注入時に組成物中に混入した空気(連行空気)を除去することによって達成することもできる。連行空気を除去すると粒子が互いにより良く接触するようになり、強固な結合の形成及び結合耐火物の荷重負担能力(所望の場合)の開発を可能にするに足る粒子の詰め込みが提供される。
【0063】
金属を入れる容器用の例におけるインストールされた従来の乾式振動式耐火物と金属繊維を含むインストールされた耐火物間の相違は図1〜6を参照すれば分かる。図1は、稼働内張耐火物12を有する金属溶融容器10の略断面図である。溶融金属14のプールに最も近い内張の側面はホットフェース16と呼ばれ、圧縮前に内張を所定の場所に保持する外殻18に最も近い内張の側面はコールドフェース20と呼ばれる。本例のために、容器10は、約1400°Fの温度の溶融アルミニウム14を入れた金属接触電気誘導炉とする。図2は、図1の内張耐火物12の加熱前の部分的線図で、非焼結形の耐火物を描いている。
【0064】
新しく内張りした又は補修した容器10を運転する前に、内張12の温度を徐々に運転温度に上げることができる。この昇温中に多くの望ましく必然的な化学及び物理反応が内張12で起こりうる。内張12の温度上昇は、組成物中に存在する熱活性型結合剤(あれば)の活性化を含むこれらの反応を開始又は促進しうる。インストールされた乾式内張耐火物12中に水又は液体ケミカルバインダが存在しないため、インストールと昇温の間に長時間の乾燥工程は必要ない。
【0065】
乾式耐火組成物は、好ましくは、インストールされた耐火物12の予定された領域で強固な熱結合の形成を可能にするような適当な焼結温度範囲を有するように選ばれる。インストール後、内張耐火物12は熱への暴露に応答して熱結合を徐々に形成することになろう。
【0066】
図3〜5は、インストールされた従来の乾式振動式内張耐火物12における漸次的結合形成を示し、図6は、金属繊維30を含むインストールされた内張耐火物12’の漸次的結合形成を示す。ホットフェース16からコールドフェース20に至る内張12、12’の温度勾配(サーマルプレーンとも言う)は各線図の下部に示してある。
【0067】
図3は、図1の内張耐火物12の初期加熱後の部分的線図である。ホットフェース16に隣接する内張12の領域22は強固な結合(すなわち、アルミニウム接触電気誘導炉用で約1000p.s.i.より大きい強度の結合)を形成しやすい。強固に結合した耐火物22は緻密で硬く、脆弱な挙動を示しうる。ホットフェース16から最も遠くシェル18に隣接した内張12の領域24は非焼結状態のまま残りやすい(すなわち、アルミニウム接触電気誘導炉用で約200p.s.i.未満の強度)。中間領域26は弱いフリット結合(すなわち、アルミニウム接触電気誘導炉用で約200p.s.i.以上約1000p.s.i.未満の強度)を形成しやすい。内張12のフリット領域26及び非焼結領域24は流動性を保持しているので、機械的及び熱的ストレスを吸収できる能力を残したエンベロープを形成する。説明のために、異なる結合強度を特徴とする領域22、24、及び26は明確な境界を有する不連続区域として示してある。しかしながら、前述のように、熱に応答して内張12に形成される結合は漸次的性質のものであるので、ホットフェース16から非焼結内張24まで少しずつ変化するひとつながりの結合強度が存在する。
【0068】
図4は、図3の内張耐火物12の、該内張耐火物12がその耐用年数に近い時間使用された後の部分的線図である。内張12は、ホットフェース16の元の位置から侵食されて新しいホットフェース16Aを規定し、内張12のサーマルプレーンはコールドフェース20の方にシフトしている。残っている耐火物は依然として強固な結合領域22、フリット領域26、及び非焼結領域24を含んでいる。
【0069】
図5は、図3の内張耐火物12の部分的線図であるが、強固に結合された脆弱領域22に亀裂28が形成され、溶融金属14が内張12の奥深くに侵入している。この侵入に由来する熱的条件に応答して、内張耐火物12は亀裂28に隣接した追加の熱結合22A、24A、26Aを漸次形成し、内張12のサーマルプレーンの局所的シフトを起こしている。亀裂28の生長は、新しい強力結合22Aの形成によって停止している。新規強力結合22Aは溶融金属の侵入に対して良好な抵抗性を提供するが、ストレスを吸収し分配する非焼結耐火物24Aは薄い層しか残っていない。
【0070】
金属繊維30を含む内張耐火物12’は、図2〜4に示した従来の乾式振動式内張12と同じ特徴を示すが、亀裂に対する応答は異なる。図6は、金属繊維30を含有するインストールされた内張耐火物12’の部分的線図で、亀裂28’に対する内張12’の応答を示している。内張12’中の金属繊維30は亀裂28’の生長を阻止するので、亀裂28’は強固に結合された領域22’に短い距離しか侵入しない。たとえ亀裂が図5に示したのと同程度に内張12’内に生長し、その結果薄い非焼結内張層24’しか残らなかったとしても、内張12’は、強固に結合された領域22’が図5に示した従来の内張耐火物12より脆くないので、ストレスをよりよく吸収し分配できる。
【0071】
前述の例示的用途において、熱勾配は、内張耐火物12の結合強度の連続体が三つの領域22、24、及び26(それぞれは異なる結合強度を特徴とする)にまたがって広がっているような様式であった。しかしながら、熱勾配は、どの用途でも三つ全ての領域にまたがって広がる必要はない。乾式耐火物の設計特性及び熱的環境に応じて、熱勾配はインストールされた内張12が二つの領域だけ又はさらには一つの領域だけで結合強度を示すようなものであってもよい。浅い熱勾配を有する用途では、インストールされた内張は強固に結合された領域とフリット領域からなり、本質的に非焼結耐火物が存在しないということもある。さらに浅い熱勾配を有する用途では、本質的に全てのインストール耐火物が強固に結合されていることもある。インストールされた内張耐火物が初期の昇温後ホットフェースに最も近い領域における強固な結合の形成に抵抗して非焼結形のまま(又はフリット形と非焼結形の組み合わせ)ということもある。その場合、強固な結合は、その後の熱的条件の変化、例えば熱ガスの亀裂又は煙道の稼働面内張のジョイントへの侵入、に応答した場合にのみホットフェースに最も近い領域に形成される。特定の領域に形成された結合の強度も、耐火組成物の特性及び用途の熱的環境に基づいて変動しうる。
【0072】
特定の用途における結合強度領域の数は熱的条件に応答しても変化しうる。図5で、亀裂28の近傍の非焼結耐火物24の量は少ない。亀裂がさらに生長すると、この区域の全ての非焼結耐火物24が結合する結果にもなりうる。
【0073】
理論に束縛されるつもりはないが、内張耐火物中の金属繊維は、亀裂生長の妨害と、内張耐火物の強力結合領域の脆弱性の低減(引張強さの増加)の両方を行うようである。繊維が短いほど亀裂生長をより妨害するが、繊維が長いほど結合内張耐火物の脆弱性をより低減するようである。長短の繊維を有する繊維の組合せを使用すれば、最適な耐亀裂性を有する内張耐火物を製造できる。
【0074】
金属繊維を有する耐火組成物のストレスに応答した性能は、従来の乾式振動式耐火物のそれとは著しく異なる。従来の乾式耐火組成物と金属繊維を含む乾式耐火組成物の曲げ強さの曲線をそれぞれ図7及び8に示す。従来の乾式振動式耐火物のサンプル(Allied Mineral Products,inc.社のDri−Vibe 493A)は、乾式振動式耐火物を圧縮し、1800°Fの温度まで加熱し、それを室温に冷却することによって製造した。金属繊維を含む乾式振動式耐火物のサンプル(約4.6重量%のニッケル除去クロム合金繊維を含有するDri−Vibe 493Aの変形)も同じ方法で製造した。同じ荷重速度におけるサンプルの曲げ強さは、3点破壊係数装置を用いて測定した。図7に示すように、従来のサンプルは半分に破壊されるまで荷重に対して一般的に時間とともに線形の応答を有していた。図8に示した金属繊維を有する耐火物のサンプルは、荷重に対して時間とともにより不規則な応答を有しており、破壊されずに曲がった。不規則な応答は微小亀裂と曲げを示すものと考えられる。
【0075】
次に、特定の用途に適切な耐火組成物の例を示す。
実施例1
アルミニウム接触コアレス電気誘導炉用の乾式耐火組成物は、以下の乾式耐火混合物の成分:
【0076】
【表5】

【0077】
を、該乾式耐火混合物の約4.6%の量のステンレス鋼針と混合することによって製造した。電気誘導炉業界の一部の人は、そのような耐火組成物は内張耐火物中に電流が存在するため電気誘導炉に使用するのには不適切であると考えていた。それにもかかわらず、該耐火組成物は、アルミニウム接触電気誘導炉にインストールした場合に満足できる結果を達成し、金属繊維による導電性に関連する問題は観察されなかった。
【0078】
実施例2
マグネシウム接触電気誘導炉用の乾式耐火組成物は、以下の乾式耐火混合物の成分:
【0079】
【表6】

【0080】
を、該乾式耐火混合物の約4.6%の量のニッケル除去クロム合金針と混合することによって製造した。
【0081】
実施例3
繰り返し熱衝撃に曝される煙道壁の断熱用二次的内張のための乾式耐火組成物は、以下の乾式耐火混合物の成分:
【0082】
【表7】

【0083】
を、該乾式耐火混合物の約5重量%の量のステンレス鋼針と混合することによって製造した。
金属繊維を含む耐火組成物は、鋼の精錬に使用される取鍋の二次的内張(セーフティライニング)としても満足のゆく結果を達成した。典型的には、取鍋は、れんが製の稼働面内張の裏面に耐火れんがを二次的内張として使用している。二次的内張があるにもかかわらず、取鍋のシェルは使用時の熱及び機械的ストレスによって変形しやすく、二次的内張の取り替えが必要な場合にれんがを適合させるのを困難にしている。そして、れんが間の隙間に溶融金属及びスラグが侵入してシェルに到達し、更なる変形がもたらされる。金属繊維を含有する乾式振動式耐火物を取鍋の二次的内張として使用することで溶融鋼及びスラグに対して十分な耐性を有する継ぎ目のない内張が提供される。これは従来の乾式振動法によってインストールできるので、二次的内張にれんがを適合させるという時間のかかる作業の必要性が回避される。金属繊維を含有する乾式耐火物を使用すると、亀裂関連の破損(特にホットフェースの取外し時)が低減されることによって二次的内張の耐用年数も向上する。
【0084】
本明細書全体を通じて、ある範囲の条件又はある群の物質が本発明の特定の特徴(例えば、温度、体積%など)に関して定義されている場合、本発明はそれらに包含される下位の範囲又は下位の群のあらゆる具体的構成要素及び組合せにも関し、それらは本発明に明示的に取り込まれる。何らかの具体的な範囲又は群は、範囲又は群のあらゆる構成要素、並びにそれらに包含されるあらゆる可能な下位の範囲及び下位の群を個別に言及する代わりの簡略な伝達法と理解されるべきである。それらに包含される任意の下位の範囲又は下位の群についても同様である。
【0085】
本発明の特定の態様について本明細書中で詳細に説明してきたが、当業者であれば本発明の精神又は添付のクレームの範囲から離れることなく、本発明に対して多様な変形が可能であることは理解されよう。特に、耐火組成物中に指定の範囲外の大きさを有する乾式耐火物の成分粒子(例えば、マトリックス材料、緻密質耐火骨材、又はフィラー用軽量材料)が偶発的な量存在することで本発明の有用性が破壊されることはない。主に指定範囲の乾式耐火物の成分粒子と偶発的量の指定範囲外の乾式耐火物の成分粒子との混合物は本発明の範囲に入るとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】従来の乾式振動式耐火物の稼働内張を有する金属溶融容器を示す略断面図である。
【図2】図1の内張耐火物の加熱前の部分的線図である。
【図3】図1の内張耐火物の初期加熱後の部分的線図である。
【図4】図3の内張耐火物の、該内張がその耐用年数に近い時間使用された後の部分的線図である。
【図5】図3の内張耐火物の、亀裂に対する該内張の応答を示す部分的線図である。
【図6】図1の容器にインストールされた金属繊維を含む内張耐火物の、亀裂に対する該内張の応答を示す部分的線図である。
【図7】従来の乾式振動式耐火物の曲げ強さ曲線を示す図である。
【図8】金属繊維を含む乾式振動式耐火物の曲げ強さ曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式耐火組成物であって、
100メッシュ未満の粒径を有する20〜100重量%の量のマトリックス材料(前記マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及びそれらの混合物から選ばれる);及び
100メッシュ以上の粒径を有する0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材(前記緻密質耐火骨材は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、かんらん石、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、及びそれらの混合物から選ばれる);
を含み、
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされたとき、少なくとも熱源に近い組成物の第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれる乾式耐火混合物と;
前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維と;
を含む乾式耐火組成物。
【請求項2】
前記金属繊維が、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、及びそれらの混合物から選ばれる、請求項1に記載の乾式耐火組成物。
【請求項3】
前記金属繊維が約1/2〜約2インチの長さを有する、請求項2に記載の乾式耐火組成物。
【請求項4】
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材が、乾式耐火組成物をインストールしたとき、該組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる、請求項1に記載の乾式耐火組成物。
【請求項5】
前記乾式耐火混合物が0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤をさらに含む、請求項1に記載の乾式耐火組成物。
【請求項6】
前記熱活性型結合剤が、酸化ホウ素、ホウ酸、氷晶石、非カルシウムフッ化物塩、ケイ酸塩化合物、ホウ酸塩化合物、リン酸塩化合物、ケイ酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、塩化マグネシウム、ボールクレイ、カオリン、硫酸塩化合物、金属粉、耐火フリット、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチ、ギルソナイト、リグノスルホン酸塩、糖、メチル/エチルセルロース、デンプン、シュウ酸、及びそれらの混合物から選ばれる、請求項5に記載の乾式耐火組成物。
【請求項7】
前記乾式耐火混合物が、組成物インストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するに足る量の粉塵抑制剤をさらに含む、請求項1に記載の乾式耐火組成物。
【請求項8】
前記粉塵抑制剤が、軽油、灯油、グリコール、粘性有機ポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる、請求項7に記載の乾式耐火組成物。
【請求項9】
前記乾式耐火混合物が、20〜60重量%のマトリックス材料と40〜80重量%の緻密質耐火骨材とを含む、請求項1に記載の乾式耐火組成物。
【請求項10】
インストールされた耐火組成物であって、
水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされた請求項1に記載の乾式耐火組成物を含み、前記インストール組成物の少なくとも熱源に近い第一の部分は強固な熱結合を形成する、インストールされた耐火組成物。
【請求項11】
前記組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分が非焼結形のままである、請求項10に記載のインストール耐火組成物。
【請求項12】
耐火組成物の製造法であって、
100メッシュ未満の粒径を有する20〜100重量%の量のマトリックス材料(前記マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及びそれらの混合物から選ばれる);及び
100メッシュ以上の粒径を有する0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材(前記緻密質耐火骨材は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、かんらん石、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、及びそれらの混合物から選ばれる);
を含む乾式耐火混合物を選択し;
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、ブレンドされた組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で熱源に隣接するボイドにインストールされたとき、少なくとも熱源に近い組成物の第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれ;
前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維(前記金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、及びそれらの混合物から選ばれる)を選択し;そして
前記乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドすることを含む方法。
【請求項13】
約1/2〜約2インチの長さを有する金属繊維を選択する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材が、ブレンドされた組成物をインストールしたとき、前記組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分が非焼結形のままであるように選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記乾式耐火混合物の0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤(前記熱活性型結合剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、氷晶石、非カルシウムフッ化物塩、ケイ酸塩化合物、ホウ酸塩化合物、リン酸塩化合物、ケイ酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、塩化マグネシウム、ボールクレイ、カオリン、硫酸塩化合物、金属粉、耐火フリット、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチ、ギルソナイト、リグノスルホン酸塩、糖、メチル/エチルセルロース、デンプン、シュウ酸、及びそれらの混合物から選ばれる)を選択する工程と;
前記熱活性型結合剤を前記乾式耐火混合物とブレンドする工程とをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
組成物インストール時の可視性及び吸入性粉塵を制御するに足る量の粉塵抑制剤(前記粉塵抑制剤は、軽油、灯油、グリコール、粘性有機ポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる)を選択する工程と;
前記粉塵抑制剤を前記乾式耐火混合物とブレンドする工程とをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
内張耐火物のインストール法であって、
100メッシュ未満の粒径を有する20〜100重量%の量のマトリックス材料(前記マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及びそれらの混合物から選ばれる);及び
100メッシュ以上の粒径を有する0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材(前記緻密質耐火骨材は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、かんらん石、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、及びそれらの混合物から選ばれる);
を含む乾式耐火混合物を選択する工程と;
前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維(前記金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、及びそれらの混合物から選ばれる)を選択する工程と;
前記乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドする工程と;
粉末形態の前記ブレンド組成物を熱源に隣接するボイドに注入する工程と;
前記注入組成物を脱気する工程と;そして
前記脱気組成物を、該組成物の少なくとも熱源に近い第一の部分が強固な熱結合を形成するように加熱する工程と、
を含む方法。
【請求項18】
前記脱気工程が組成物を圧縮する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記脱気組成物を加熱するとき、組成物の第一の部分よりも熱源から遠い第二の部分は非焼結形のままであるようにマトリックス材料と緻密質耐火骨材を選択する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
乾式耐火組成物であって、
100メッシュ未満の粒径を有する20〜100重量%の量のマトリックス材料(前記マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及びそれらの混合物から選ばれる);及び
100メッシュ以上の粒径を有する0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材(前記緻密質耐火骨材は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、かんらん石、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、及びそれらの混合物から選ばれる);
を含み、
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材は、乾式耐火組成物が水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドにインストールされたとき、少なくともホットフェースに近い組成物の第一の部分は強固な熱結合を形成するように選ばれる乾式耐火混合物と;
前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維(前記金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、及びそれらの混合物から選ばれる)と;
を含む乾式耐火組成物。
【請求項21】
前記金属繊維が約1/2〜約2インチの長さを有する、請求項20に記載の乾式耐火組成物。
【請求項22】
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材が、乾式耐火組成物をインストールしたとき、該組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる、請求項20に記載の乾式耐火組成物。
【請求項23】
前記乾式耐火混合物が、0.1〜8重量%の量の熱活性型結合剤(前記熱活性型結合剤は、酸化ホウ素、ホウ酸、氷晶石、非カルシウムフッ化物塩、ケイ酸塩化合物、ホウ酸塩化合物、リン酸塩化合物、ケイ酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウムセメント、塩化マグネシウム、ボールクレイ、カオリン、硫酸塩化合物、金属粉、耐火フリット、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチ、ギルソナイト、リグノスルホン酸塩、糖、メチル/エチルセルロース、デンプン、シュウ酸、及びそれらの混合物から選ばれる)をさらに含む、請求項20に記載の乾式耐火組成物。
【請求項24】
前記乾式耐火混合物が、20〜60重量%のマトリックス材料と40〜80重量%の緻密質耐火骨材とを含む、請求項20に記載の乾式耐火組成物。
【請求項25】
インストールされた耐火組成物であって、
水又は液体ケミカルバインダを添加することなく粉末形態で金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドにインストールされた請求項20に記載の乾式耐火組成物を含み、前記インストール組成物の少なくともホットフェースに近い第一の部分は強固な熱結合を形成する、インストールされた耐火組成物。
【請求項26】
前記マトリックス材料と緻密質耐火骨材が、乾式耐火組成物をインストールしたとき、該組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分は非焼結形のままであるように選ばれる、請求項25に記載のいんすとーるされた耐火組成物。
【請求項27】
内張耐火物のインストール法であって、
100メッシュ未満の粒径を有する20〜100重量%の量のマトリックス材料(前記マトリックス材料は、焼成アルミナ、溶融アルミナ、焼結マグネシア、溶融マグネシア、シリカフューム、溶融シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化フェロシリコン、サイアロン、酸化チタン、硫酸バリウム、ジルコン、シリマナイト族鉱物、パイロフィライト、耐火粘土、カーボン、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、スピネル、酸化クロム、かんらん石、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、クロマイト、酸化カルシウム、ドロマイト、及びそれらの混合物から選ばれる);及び
100メッシュ以上の粒径を有する0〜80重量%の量の緻密質耐火骨材(前記緻密質耐火骨材は、焼成耐火粘土、焼成シャモット、シリマナイト族鉱物、焼成ボーキサイト、パイロフィライト、シリカ、ジルコン、バッデライト、クロマイト、ドロマイト、かんらん石、コーディエライト、炭化ケイ素、焼結アルミナ、溶融アルミナ、溶融シリカ、焼結ムライト、溶融ムライト、溶融ジルコニア、焼結ジルコニアムライト、溶融ジルコニアムライト、焼結マグネシア、溶融マグネシア、焼結スピネル、溶融スピネル、緻密質耐火グロッグ、クロム−アルミナ骨材、アルミン酸カルシウム骨材、ケイ酸アルミナ−ジルコニア、及びそれらの混合物から選ばれる);
を含む乾式耐火混合物を選択する工程と;
前記乾式耐火混合物の0.5〜15重量%の量の金属繊維(前記金属繊維は、ステンレス鋼、炭素鋼、クロム合金、及びそれらの混合物から選ばれる)を選択する工程と;
前記乾式耐火混合物と金属繊維とを水又は液体ケミカルバインダを添加せずにブレンドする工程と;
粉末形態の前記ブレンド組成物を金属接触電気誘導炉のホットフェースに隣接するボイドに注入する工程と;
前記注入組成物を脱気する工程と;
前記組成物を圧縮する工程と;そして
前記脱気組成物を、該組成物の少なくともホットフェースに近い第一の部分が強固な熱結合を形成するように加熱する工程と、
を含む方法。
【請求項28】
前記脱気組成物を加熱するとき、組成物の第一の部分よりもホットフェースから遠い第二の部分は非焼結形のままであるようにマトリックス材料と緻密質耐火骨材を選択する工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−513966(P2006−513966A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568291(P2004−568291)
【出願日】平成15年6月13日(2003.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/018863
【国際公開番号】WO2004/071993
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505298571)アライド・ミネラル・プロダクツ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】