説明

耐屈曲性ケーブル用導体及びその製造方法並びにその導体を用いた耐屈曲性ケーブル

【課題】導電率98%IACS以上、伸び率15%以上を満たし、かつ、生産性を低下させることなく、耐屈曲性を向上させた耐屈曲性ケーブル用導体及びその製造方法並びにその導体を用いた耐屈曲性ケーブルを提供するものである。
【解決手段】本発明に係る耐屈曲性ケーブル用導体は、単一組成の銅又は銅合金で構成されるものであり、最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットや自動工作機械等に用いられるケーブルに係り、耐屈曲性を向上させた導体及びその製造方法並びにその導体を用いた耐屈曲性ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットや自動工作機械等の駆動部に用いられる部品(ケーブル)は、その使用環境から優れた繰り返し曲げ特性、すなわち耐屈曲性が要求される。
【0003】
従来、この種のケーブル(以下、耐屈曲性ケーブルという)の導体には、一般的にはタフピッチ銅(JIS C3102準拠)が用いられている。しかし、タフピッチ銅は耐屈曲性が不十分であり、耐屈曲性が特に重要視される用途では、固溶強化型のCu−Sn合金(特許文献1〜3)、析出強化型のCu−Zr合金(特許文献4,5)、Cu−Fe−P合金(特許文献6,7)等も用いられている。
【0004】
また、冷間加工率30%以下の冷間加工と最終時効処理を組み合わせて、銅合金の強度、弾性、導電性、耐応力緩和特性を向上させる方法がある(特許文献8)。更に、伸線、焼鈍後の電気用銅線に10%以下の軽リダクションによる伸線加工を加えて、0.2%耐力、引張強さ、伸び、導電率の特性を調整する方法がある(特許文献9)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−76640号公報
【特許文献2】特開平11−172391号公報
【特許文献3】特開2004−179151号公報
【特許文献4】特開平5−20208号公報
【特許文献5】特開2000−242139号公報
【特許文献6】特開平5−20207号公報
【特許文献7】特開平6−283038号公報
【特許文献8】特開平1−309948号公報
【特許文献9】特開昭60−24284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、Cu−Sn系の固溶強化型の合金を用いた場合、Sn固溶量の増加とともに耐屈曲性は向上するものの、導電率は低下するという不具合がある。例えば、Sn固溶量が0.3質量%の場合、導電率は80%IACSであるが、Sn固溶量が0.7質量%になると、導電率が65%IACSまで低下する。
【0007】
また、Cu−Zr系、Cu−Fe−P系等の析出強化型の合金は、優れた導電性および耐屈曲性を有するものの、伸線後に所定の引張強さに調質するために長時間の時効処理を施す必要があるため、生産性に劣るという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、導電率98%IACS以上、伸び率15%以上を満たし、かつ、生産性を低下させることなく、耐屈曲性を向上させた耐屈曲性ケーブル用導体及びその製造方法並びにその導体を用いた耐屈曲性ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、単一組成の銅又は銅合金で構成される耐屈曲性ケーブル用導体において、最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成したことを特徴とする耐屈曲性ケーブル用導体である。
【0010】
請求項2の発明は、上記最終線材の表面部と中央部の硬さの比が1.09〜1.11である請求項1記載の耐屈曲性ケーブル用導体である。
【0011】
請求項3の発明は、上記最終線材の0.2%耐力が160MPa以上、245MPa以下、導電率が98%IACS以上である請求項1又は2記載の耐屈曲性ケーブル用導体である。
【0012】
請求項4の発明は、上記最終線材が、その表面にSn、Ni、又はAgのめっき膜を有する請求項1〜3いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体である。
【0013】
請求項5の発明は、上記最終線材を複数本撚り合わせてなる撚線材で形成された請求項1〜4いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体である。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体の周囲を絶縁層で被覆したことを特徴とする耐屈曲性ケーブルである。
【0015】
請求項7の発明は、単一組成の銅又は銅合金で構成される耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法において、線材を最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成することを特徴とする耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法である。
【0016】
請求項8の発明は、上記冷間加工の加工率が0.8%以上、6.0%以下である請求項7記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法である。
【0017】
請求項9の発明は、上記冷間加工がスキンパス加工である請求項7又は8記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法である。
【0018】
請求項10の発明は、上記冷間加工がピーニング加工である請求項7又は8記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に基づけば、導電率及び伸び率に優れ、かつ、良好な耐屈曲性を有する耐屈曲性ケーブル用導体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
本発明では、耐屈曲性ケーブル用導体の耐屈曲性を向上させる対策として、従来のように合金化ではなく、表面加工(冷間加工)を行うことにある。具体的には、線材表面に圧縮残留応力の付加(導入)又は表面塑性加工(即ちスキンパス加工、ショットピーニング加工、レーザーピーニング加工やジェットピーニング加工)による表面硬化を行う。スキンパス加工は、板材、条材、管材、線材などの表面つや出し又はひずみ矯正のために行う軽度の圧延、引き抜き加工(JIS H0500記載)である。
【0022】
すなわち、本発明の好適一実施の形態に係る耐屈曲性ケーブル用導体は、導体線材に低加工率で冷間加工を行うことに特徴がある。具体的には、単一組成の銅(又は銅合金)で構成される線材を最終線径近く(R1)まで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径(R2<R1)まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成したものである。
【0023】
最終線材(耐屈曲性ケーブル用導体)の表面部と中央部の硬さの比(表面部/中央部)は1.1前後(1.09〜1.11)、0.2%耐力は160MPa以上、245MPa以下、好ましくは200MPa以上、225MPa以下、及び導電率は98%IACS以上である。0.2%耐力は、後述する冷間加工の加工率に依存しており、加工率の上限値、下限値から0.2%耐力の上限値、下限値が定められる。
【0024】
耐屈曲性ケーブル用導体を構成する単一組成の銅としては、タフピッチ銅が挙げられる。また、耐屈曲性ケーブル用導体を構成する銅合金としては、タフピッチ銅に耐屈曲性を向上させる元素を微量添加し、タフピッチ銅よりも耐屈曲性を向上させたものが挙げられるが、この耐屈曲性を除けば、銅合金はタフピッチ銅と同等の特性(導電率及び伸び)を有する。銅合金としては、例えば、Cu−Sn合金、Cu−Ni合金、Cu−Ag合金などが挙げられる。更に、耐屈曲性ケーブル用導体は、その表面にSn、Ni、又はAgのめっき膜を有していてもよい。すなわち、タフピッチ銅で線材を構成すると共に、その線材表面にSn、Ni、又はAgのめっき膜を設けるようにしてもよい。
【0025】
耐屈曲性ケーブル用導体は、単線材に限定されるものではなく、この単線材を複数本撚り合わせてなる撚線材であってもよい。
【0026】
本実施の形態に係る耐屈曲性ケーブル用導体は、特にJIS C3102に準拠した導体をターゲットとしており、導体径は0.1mm以上、0.7mm以下、好ましくは0.1mm以上、0.26mm以下及び0.29mm以上、0.7mm以下とされる。
【0027】
次に、本実施の形態の製造方法を説明する。
【0028】
本実施の形態に係る耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法は、単一組成の銅(又は銅合金)で構成される線材を最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるようにスキンパス加工(冷間加工)を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成するものである。このスキンパス加工の加工率(減面率)は0.8%以上、6.0%以下、好ましくは2.0%以上、3.8%以下とされる。
【0029】
このようにして得られた本実施の形態に係る耐屈曲性ケーブル用導体の周囲を絶縁層で被覆することで、耐屈曲性ケーブルが得られる。絶縁層の構成材としては、耐屈曲性ケーブルの絶縁層として慣用的に用いられているものが適用可能である。
【0030】
スキンパス加工の加工率の下限値を0.8%以上としたのは、これより低い加工率は加工率の制御自体が困難であるためである。また、加工率の下限値を好ましくは2.0%以上としたのは、耐屈曲性が従来の耐屈曲性ケーブル用導体(以下、従来導体という)と比較して1.1倍以上となるためである。耐屈曲性の基準を1.1倍としたのは、耐屈曲性のばらつきが平均値(1.0)に対して±1割(0.1)程度あるためである。ここで言う従来導体とは、単一組成の銅(又は銅合金)で構成される線材を最終線径まで伸線し、焼鈍したものである。
【0031】
一方、スキンパス加工の加工率の上限値を6.0%以下としたのは、加工率がこれより大きくなると、伸び率が15%を下回るためである。また、加工率の上限値を好ましくは3.8%以下としたのは、これより大きくなると伸び率が20%を下回るためである。
【0032】
この伸び率の基準値は、JIS C3102から定めており、伸び率20%以上が好ましいのは、より広範囲の線径の規格を満たすためである。具体的には、伸び率15%以上では、線径0.1mm以上、0.26mm以下、伸び率20%以上では、線径0.1mm以上、0.26mm以下及び0.29mm以上、0.7mm以下の範囲でJIS C3102の規格を満たす。
【0033】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0034】
本実施の形態に係る耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法では、線材などの表面つや出し又はひずみ矯正のために行っていたスキンパス加工を、最終線径近くまで伸線し、焼鈍した導体線材に対して施している。具体的には、導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるようにスキンパス加工を、加工率0.8〜6.0%の範囲で施している。これによって、得られた最終線材(耐屈曲性ケーブル用導体)の表面に塑性加工による圧縮応力が残留し、最終線材の表面に加工硬化が生じる。この加工硬化が生じても、最終線材の引張強さは殆ど(又はあまり)向上しない。
【0035】
この加工硬化された最終線材に、繰り返し曲げなどの外的応力が加えられて最終線材の表面に引張応力が作用しても、この引張応力は圧縮残留応力によって相殺されるので、本実施の形態の耐屈曲性ケーブル用導体は疲れ強さが著しく改善される。
【0036】
また、加工硬化が生じるのは最終線材の表面のみであるため、加工率が0.8〜6.0%の範囲であれば、最終線材の伸びが著しく減少することはなく、結果として、破断時の伸び率15%以上を確保することができる。同様の理由により、加工率が0.8〜6.0%の範囲であれば、最終線材の内部に歪みが大量に導入されることはなく、結果として、98%IACS以上の導電率を確保することができる。
【0037】
本実施の形態においては、導体線材に施す冷間加工としてスキンパス加工を例に挙げて説明を行ったが、スキンパス加工の代わりに、ショットピーニング加工、レーザーピーニング加工、又はジェットピーニング加工を施すようにしてもよい。この場合においても、ショット粒の衝撃エネルギによって最終線材の表面に圧縮残留応力が導入され、最終線材の表面に加工硬化が生じるので、スキンパス加工と同様の作用効果が得られる。
【実施例】
【0038】
(従来例)
タフピッチ銅(酸素含有量300〜350ppm)からなる線径8mmの線材を線径0.9mmまで冷間伸線加工した後、通電による焼鈍を施し、中間材を作製した。こうして得られた中間材を線径0.262mmまで冷間伸線加工した後、再び、通電による焼鈍を施し、導体A(導体線材)を作製した。
(実施例1)
導体Aを線径0.261mmまでスキンパス加工し、実施例1の導体を得た。このスキンパスの加工率(減面率)は0.8%である。
(実施例2)
導体Aを線径0.260mmまでスキンパス加工し、実施例2の導体を得た。このスキンパスの加工率は1.5%である。
(実施例3)
導体Aを線径0.259mmまでスキンパス加工し、実施例3の導体を得た。このスキンパスの加工率は2.3%である。
(実施例4)
導体Aを線径0.258mmまでスキンパス加工し、実施例4の導体を得た。このスキンパスの加工率は3.0%である。
(実施例5)
導体Aを線径0.257mmまでスキンパス加工し、実施例5の導体を得た。このスキンパスの加工率は3.8%である。
(実施例6)
導体Aを線径0.256mmまでスキンパス加工し、実施例6の導体を得た。このスキンパスの加工率は4.5%である。
(実施例7)
導体Aを線径0.255mmまでスキンパス加工し、実施例7の導体を得た。このスキンパスの加工率は5.3%である。
(実施例8)
導体Aを線径0.254mmまでスキンパス加工し、実施例8の導体を得た。このスキンパスの加工率は6.0%である。
(比較例1)
導体Aを線径0.253mmまでスキンパス加工し、比較例1の導体を得た。このスキンパスの加工率は6.8%である。
(比較例2)
導体Aを線径0.247mmまでスキンパス加工し、比較例2の導体を得た。このスキンパスの加工率は11.1%である。
【0039】
表1に実施例1〜8、比較例1,2及び従来例の導体の、スキンパス加工前後の線径及びそのときの加工率を示す。
【0040】
ここで加工率は、伸線前と伸線後の横断面(伸線方向と垂直な面)面積の差を伸線前の横断面面積で規格化し、百分率で表現したものである(JIS H0500)。なお、加工率はマイクロメータにて測定した線径から算出した。
【0041】
【表1】

【0042】
次に、実施例1〜8、比較例1,2及び従来例の導体に対し、引張強さ、0.2%耐力、伸び率、導電率、耐屈曲性及びビッカース硬さの評価を行った。この評価方法を次に記す。
【0043】
引張試験は、条件を試験片長100mm、歪速度20mm/minで実施し、その結果から、引張強さ、0.2%耐力、伸び率を評価した。
【0044】
導電率は、ダブルブリッジ法にて測定した電気抵抗値からJIS C3002に従って算出した。ダブルブリッジ法による電気抵抗値の測定条件は、試料長は500mm、測定温度は20℃とした。この結果、いずれの導体も100%IACS以上の優れた導電率を有しており、J1S C3102を満たしていた。
【0045】
耐屈曲性は、左右90゜曲げを繰り返し、導体が疲労破断するまでの回数を用いて評価した。屈曲条件は、曲げ半径40mm、屈曲速度13回/分とした。また、この試験では導体に荷重を負荷するが、本評価では28〜29gの荷重を負荷している。この荷重は、各導体の引張破断荷重の2%に当たる。
【0046】
ビッカース硬さは、押付け荷重10g、押付け時間15秒の試験条件にて測定した。
【0047】
表2に実施例1〜8、比較例1,2及び従来例の導体の、加工率、引張強さ、0.2%耐力、伸び率及び耐屈曲性を示す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2によれば、加工率の増大と共に、耐屈曲性及び0.2%耐力は向上するため、耐屈曲性を向上させる場合、本発明の加工率の範囲(0.8〜6.0%)においては、加工率を極力大きくすることが望ましい。
【0050】
一方、伸び率は加工率の増大と共に減少する。このため、加工率の上限は、伸び率が15%以上を満たす範囲、即ち加工率6.0%以下とし、また、好ましくは伸び率が20%以上を満たす範囲、すなわち加工率3.8%以下とした。この伸び率15%、20%の規定は、前述のとおりである。
【0051】
また、加工率の下限は、加工率制御の困難性から0.8%以上とし、好ましくは2.0%以上とした。これは、表2の耐屈曲性の値は平均値であって、実際の耐屈曲性は平均値に対して±1割程度ばらつきがあると考えられる。よって、従来例の導体の耐屈曲性(1.0)以上を満足するには、耐屈曲性が1.1以上必要であり、これを満足するのは実施例3〜8の導体である。これを基にして好ましい加工率の下限(2.0%以上)が決定された。
【0052】
表3に実施例1〜8、比較例1,2及び従来例の導体の、加工率及び導体中央の硬さを基準とした導体表面の硬さ(表面部と中央部の硬さの比)を示す。
【0053】
【表3】

【0054】
表3によれば、加工率と導体中央の硬さを基準とした導体表面の硬さは、実施例、比較例いずれも、従来例よりも大きく、導体表面部が導体中央部よりも1割硬い(表面部硬さ/中央部硬さ:1.1)ことがわかる。
【0055】
以上から、導体線材に加工率0.8%以上、6.0%以下の範囲でスキンパス加工を施すことで、屈曲特性向上及び伸び率15%以上が達成できる。また、導電率は、100%IACS以上が達成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一組成の銅又は銅合金で構成される耐屈曲性ケーブル用導体において、最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成したことを特徴とする耐屈曲性ケーブル用導体。
【請求項2】
上記最終線材の表面部と中央部の硬さの比が1.09〜1.11である請求項1記載の耐屈曲性ケーブル用導体。
【請求項3】
上記最終線材の0.2%耐力が160MPa以上、245MPa以下、導電率が98%IACS以上である請求項1又は2記載の耐屈曲性ケーブル用導体。
【請求項4】
上記最終線材が、その表面にSn、Ni、又はAgのめっき膜を有する請求項1〜3いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体。
【請求項5】
上記最終線材を複数本撚り合わせてなる撚線材で形成された請求項1〜4いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の耐屈曲性ケーブル用導体の周囲を絶縁層で被覆したことを特徴とする耐屈曲性ケーブル。
【請求項7】
単一組成の銅又は銅合金で構成される耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法において、線材を最終線径近くまで伸線し、焼鈍して導体線材を作製し、その導体線材に、最終線径まで、かつ、破断時の伸び率が15%以上となるように冷間加工を施して、最終線材の表面部を中央部より硬く形成することを特徴とする耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法。
【請求項8】
上記冷間加工の加工率が0.8%以上、6.0%以下である請求項7記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法。
【請求項9】
上記冷間加工がスキンパス加工である請求項7又は8記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法。
【請求項10】
上記冷間加工がピーニング加工である請求項7又は8記載の耐屈曲性ケーブル用導体の製造方法。

【公開番号】特開2008−115423(P2008−115423A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299509(P2006−299509)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】