説明

耐摩耗性導電部材及びその製造方法

【課題】優れた耐摩耗性と高い導電性を兼ね備え、優れた耐久性を発揮する耐摩耗性導電部材と、このような部材の製造方法を提供する。
【解決手段】5×10−6Ω・cm以下の比電気抵抗を有する軟質金属基材、例えば銅製基材の表面に、5以上の比重を有し、14×10−6Ω・cm以下の比電気抵抗を有する金属微細粒子、例えばタングステンから成る金属微細粒子を衝突させることにより、軟質金属基材の表面に、上記のような金属微細粒子が分散した組織を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性と耐摩耗性に優れ、例えば種々の電気接点、電極、モータ用の整流子やブラシ、鉄道用の架線(トロリー線)やパンタグラフのすり板などに好適に用いられる耐摩耗性導電部材と、当該部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現今の鉄道車両、例えば新幹線等の高速鉄道車両に用いられるパンタグラフのすり板と架線との電気接点となる摺動部においては、車両の高速化に伴う摩擦速度の上昇や電流の増大によって、摩耗寿命が非常に短くなっている。このために、摺動部材には、導電性と耐摩耗性を両立させることに対するニーズが非常に高いものとなっている。
しかし、導電材料として使われている銅系材料では、一般に耐摩耗性が著しく低い。一方、耐摩耗性に優れる合金鋼やセラミックス材料では、導電性が大幅に悪化(電気抵抗が高い)してしまい、両特性を最大限に発揮することにできる材料は存在していない。すなわち、導電性と耐摩耗性の特性は、典型的なトレードオフ特性であることが分かる。
【0003】
このため、現状では、銅系材料を基材として、これに種々の固体潤滑剤を混合し、導電特性を大きく犠牲にして、耐摩耗性を向上させた材料を混合した銅合金系焼結材料が使われている(非特許文献1参照)。
また、上記のようなトレードオフ特性の改善を図るべく、硬い微粒子を電極またはノズルチップ表面にショットし、表面の金属組織を微細化することにより、耐摩耗性を高めることが行われている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記引用文献記載の技術において、使用する金属の材質自体は、いずれも、銅等に代表される非鉄金属材料であるために、摺動する相手の接点となる金属材料との凝着性を大きく改善することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−150483号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「しゅう動電気接点と層状固体潤滑剤」,トライボロジスト第53巻,第11号(2008)、p.731
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した先行技術文献からも分かるように、優れた耐摩耗性と高い導電性(低い電気抵抗)を同時に発現できる材料の開発が強く求められている。このような耐摩耗性と導電性を兼ね備えた材料によれば、摩耗条件が過酷な鉄道用の給電部品だけに留まらず、電極、電気接点やIT分野の実装技術分野への応用が期待できる。
【0008】
本発明は、鉄道車両や各種電気機器などの摺動部に用いられる導電性材料における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、優れた耐摩耗性と高い導電性を兼ね備え、優れた耐久性を発揮する耐摩耗性導電部材と、このような部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、材料や表面処理など、鋭意検討を繰り返した結果、例えば、銅に代表される電気良導性軟質金属材料に、タングステンに代表される硬質金属微粒子を衝突させ、もって軟質金属表面下に金属微粒子を分散させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の耐摩耗性導電部材は、5×10−6Ω・cm以下の比電気抵抗を有する軟質金属基材の表面下に、5以上の比重を有し、14×10−6Ω・cm以下の比電気抵抗を有する金属微細粒子が分散していることを特徴とする。
また、本発明による上記耐摩耗性導電部材の製造方法においては、上記軟質金属基材、すなわち比電気抵抗が5×10−6Ω・cm以下の軟質金属基材の表面に、上記金属微細粒子、すなわち比重が5以上で、比電気抵抗が14×10−6Ω・cm以下の金属微細粒子を衝突させて、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比電気抵抗が5×10−6Ω・cm以下という良好な導電性を備えた軟質金属基材の表面下に、5以上の高比重を有し、比電気抵抗が14×10−6Ω・cm以下という比較的良好な導電性を備えた金属微細粒子を分散させたため、高い導電性と耐摩耗性を同時に発揮することができ、導電部材の耐用寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例におけるボールオンディスク摩擦摩耗試験の要領を示す概略説明図である。
【図2】本発明の実施例1により得られたディスク試験片の表面近傍部における元素の分布を示すEPMA分析画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の耐摩耗性導電部材について、その実施形態や製造方法などと共に、さらに詳細に説明する。なお、本発明において、「%」については、特記しない限り質量百分率を意味するものとする。
【0014】
本発明の耐摩耗性導電部材は、上記したように、比電気抵抗が5×10−6Ω・cm以下の軟質金属基材の表面に、5以上の比重を有し、かつ比電気抵抗が14×10−6Ω・cm以下の金属微細粒子が基材金属中に分散した組織を有するものである。
すなわち、導電性の良好な軟質基材の表面部に、比重が比較的高く、しかも導電性にも比較的優れた金属微細粒子が分散することによって、電気伝導性をほとんど損なうことなく、基材表面の硬さを増すことができると共に、異種金属分散層の形成によって耐凝着性を大幅に改善させることができ、導電性と耐摩耗性との両立が可能となり、導電部材としての耐久性が向上することになる。
【0015】
本発明の耐摩耗性導電部材において、軟質金属基材及び金属微粒子の比電気抵抗をそれぞれ5×10−6Ω・cm以下及び14×10−6Ω・cm以下とするのは、軟質金属基材及び金属微粒子の比電気抵抗がこれらの値をそれぞれ超えると、電気抵抗の増加によって、導電部材としての機能が損なわれることによる。
また、上記金属微細粒子の比重を5以上としたのは、その比重が5未満となると、粒子が軟質基材に投射されたときのエネルギーが不足するために表面への分散による硬さの増加が不十分となることによる。なお、このような条件を満たす金属材料の代表例としては、例えば、タングステンやタンタルを挙げることができる。また、これら金属を50%以上含有する金属を用いることも可能である。
【0016】
一方、上記軟質金属基材としては、ビッカース硬度Hvが150以下のものを適用することが望ましく、具体的な材料としては、金、銀、銅、あるいはこれら金属を50%以上含有する合金を挙げることができる。なお、基材のビッカース硬度としてHv150以下が望ましいのは、投射粒子が軟質基材中へ練り込まれ易いためであり、後述する製造方法による基材金属中への金属微細粒子の分散が容易になることによる。
【0017】
本発明の耐摩耗性導電部材の表面粗さ、すなわち金属微細粒子が分散した表面の粗さについては、JIS B 0601に規定される最大高さ粗さRzで、1〜10μmであることが望ましい。Rzが10μmを超えると摩擦係数が増加する一方、分散層が形成されるのに必要な投射時のエネルギーを有する条件においては、1μmに満たない表面粗さを得ることが困難となる傾向がある。
【0018】
本発明の耐摩耗性導電部材は、上記のような材料から成る軟質金属基材のごく表面に、上記のような材料から成る金属微細粒子を分散させたものであり、このような金属微細粒子の分散によって、その電気抵抗の値が分散前の基材に較べて多少増加することは避けられない。
このような抵抗値の増加幅は、少ないほど好ましいことは言うまでもないが、その増加率が5%未満であれば、導電部材としての機能が実質的に損なわれることはなく、抵抗値の増加率が5%を超えない程度に、金属微細粒子を分散させることが望ましい。
なお、ここで言う抵抗値の増加率とは、後述する実施例において説明する方法による測定値を意味する。
【0019】
また、本発明の耐摩耗性導電部材は、その表面に、金属微細粒子が分散した組織、言い換えると金属微細粒子の分散によって硬さが向上した硬化層を備えていることになり、このような硬化層の厚さとしては、1〜50μmの厚さに形成することが望ましい。
すなわち、当該硬化層の厚さが1μmに満たない場合には、十分に耐摩耗性を向上させることができず、逆に50μmを超えると、導電部材としての導電性が損なわれる可能性があることによる。この硬化層は、5〜20μmの厚さであることがより好ましい。
【0020】
なお、本発明において、硬化層とは、軟質金属基材の原質部の硬さに対して10%以上の硬さを有している領域を意味するものであって、このような硬さの領域である限り、必ずしも金属微細粒子が分散した領域のみに限定されるものではない。
すなわち、粒子分散による硬化層(第1の硬化層)の直下位置に、金属微細粒子が分散していない硬化層(第2の硬化層)、つまり基材原質部よりも10%以上硬化した領域が存在していてもよく、これら第1及び第2の硬化層の合計厚さが1〜50μmであればよい。
【0021】
本発明の耐摩耗性導電部材は、軟質金属基材、例えば銅に代表されるような比電気抵抗が5×10−6Ω・cm以下の軟質金属基材の表面に、金属微細粒子、例えばタングステンに代表されるような比重が5以上で、比電気抵抗が14×10−6Ω・cm以下の金属微細粒子を衝突させ、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させることによって製造することができる。
これによって、金属微細粒子が軟質金属基材の表面下に、変形あるいは粉砕した状態で埋め込まれ、基材金属中に分散して、基材表面に第1の硬化層が形成されると共に、その直下位置には、粒子の衝突によって基材金属が微視的に変形し、加工硬化による第2の硬化層が形成される。
【0022】
これに用いる装置や、金属微細粒子のサイズ、衝突速度などの諸条件、さらに処理結果としての粒子の分散密度などについては、特に限定はなく、上記した硬化層が合計で1〜50μmの厚さに形成できる程度であればよい。
例えば、金属微細粒子を基材に衝突させるための装置としては、空気噴射式やインペラ式の噴射装置を用いることができる。また、金属微細粒子としては、53μmメッシュアンダー、より好ましくは10μmメッシュアンダーのものを用いることができ、当該金属粒子の衝突時の速度としては、毎秒50m以上とすることが望ましい。
【0023】
本発明の耐摩耗性導電部材においては、その表面(金属微細粒子の分散面)に、さらに錫微粒子の分散層を形成したり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)から成るコーティング層を形成したりすることができる。また、耐摩耗性導電部材の表面上に形成したDLCコーティング層のさらにその上に錫微粒子の分散層を形成することも必要に応じて望ましい。
これらによって、基材表面、すなわち相手部材との当接面における摩擦低減と、耐摩耗性のさらなる向上を図ることができる。
【0024】
なお、錫微粒子の分散層は、その表面に錫微粒子を衝突させることによって形成することができる。
また、DLCコーティング層の成膜方法としては、例えば、イオン化蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマイオン注入成膜法、ホローカソードアーク蒸着法、真空アーク蒸着法などを適用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
(1)ディスク試験片の作製
軟質導電性基材として、JIS H 3100に規定されるタフピッチ銅C1100材(比電気抵抗:1.67×10−6Ω・cm)を選び、直径33mm、厚さ3mmの円板形基材を作製した。この表面をRa0.02μmの粗さとなるように研磨した。
次いで、金属微細粒子として、純タングステン(比重:19.3、比電気抵抗:5.65×10−6Ω・cm)又は純タンタル(比重:16.6、比電気抵抗:12.5×10−6Ω・cm)から成る微細粒子を用いて、種々の条件のもとに、研磨表面に投射処理を施し、ディスク試験片とした(実施例1〜5)。
【0027】
また、さらなる摩擦低減を目的に、前記処理面に対して、さらに錫微粒子による投射処理を施したり(実施例6,7)、投射面を軽く研磨し、微細な鋭利凸部に滑らかな曲面を形成させたりした後、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、DLCコーティング層を付加した(実施例8,9)。
なお、これら実施例に対する比較材としては、上記円板形の純銅基材から成る非処理の試験片(比較例1)、電気摺動部材に一般的に用いられる焼結合金(Cu−30%WS−6%Sn−1%Ag)から成る同一サイズの試験片(比較例2)、及び上記円板形の純銅基材にシリコンカーバイド粒子による投射処理を施したディスク試験片(比較例3)を用いた。
【0028】
(2)投射処理面の調査
得られた各ディスク試験片について、針式表面粗さ計を用い、JIS B 0601に準拠して、投射処理面の最大高さ粗さRzを測定すると共に、金属粒子の分散状況を観察した。
【0029】
(3)硬化層の厚さ
マイクロビッカース硬度計を用いて、25gf荷重で10秒間保持することによって、各ディスク試験片における基材の板厚方向の硬度分布を測定し、硬化層厚さとして、母材(基材原質部)部分の硬さに対して10%以上硬化している領域の厚さを測定した。
【0030】
(4)電気抵抗値増加率の測定
試験片用の基材として、厚さ0.5mm、100mm×100mmの板状をなすタフピッチ銅C1100材を用い、この表面に、上記した各ディスク試験片と同様の処理を施した後、10mm×40mmの短冊状に切り出し、電気抵抗値の測定用試験片とした。
そして、各短冊状試験片の長手方向両端部を電気抵抗端子ではさみ、電気抵抗値をそれぞれ5回測定し、その平均値を求め、何も処理していない銅サイズのタフピッチ銅の抵抗値(0.4902Ω)を基準「100」として、それに対する比率を算出した。
【0031】
(5)摩擦摩耗試験
上記によって得られた各ディスク試験片を用いて、ボールオンディスク摩擦摩耗試験を実施し、ディスク試験片の摩擦、摩耗特性を評価した。
すなわち、図1は、その試験要領を示す斜視説明図であって、同図に示すように、ディスク試験片Dの上にボールBが配置されており、固定されたボールBが回転するディスク試験片上を摺動するようになっている。
【0032】
ボールBは、4mmの直径を有し、同様にタフピッチ銅C1100材から成るものであって、Ra0.02μmの表面粗さに研磨されている。
図中に矢印で示すように、ディスク試験片Dに対してボールBを垂直方向に2Nの一定加重で押し付け、室温の大気中において、すべり速度0.05m/sで、15分間の摩擦試験を行った。この時、摩擦係数の測定と共に、ディスク試験片の摩耗量(摩耗痕の最大深さ)と、凝着摩耗の厳しさを示す相手ボールの表面粗さの測定も行った。なお、各ディスク試験片ごとに、新しいボールとの組み合わせで試験を実施した。
【0033】
上記した各試験結果を処理条件と共に表1に併せて示す。
【0034】
【表1】

【0035】
その結果、何らの処理も施されていないタフピッチ銅C1100材から成るディスク試験片による比較例1においては、電気抵抗値が最も低く、最も良好な導電性を示すものの、摩擦摩耗試験では、摩擦初期から0.5を超える非常に高い摩擦係数を示し、ディスク試験片の摩耗深さが大きい値を示すと共に、激しい凝着摩耗を生じ、相手ボールの摺動痕の表面粗さが著しく大きい値を示す結果となった。
【0036】
また、電気摺動部材に使われている焼結合金から成るディスク試験片を用いた比較例2においては、摩擦摩耗試験による摩擦係数は0.24と、ある程度の低い値を示すものの、電気抵抗値については、上記比較例1による純銅材(タフピッチ銅)の場合に比べて1桁以上も高い値となることが確認された。
また、純銅材(タフピッチ銅)から成る円板形基材に、硬いセラミックス粒子であるSiCを用いた投射処理を施したディスク試験片による比較例3においては、電気抵抗値が低く、導電性が良好であり、摩擦試験でもディスク表面が硬化することによって摩耗深さが多少は改善されてはいるものの、相手ボールとの凝着が顕著となり、結果としてディスク試験片の摩耗量も、後述する本発明の実施例よりも大きな値を示すことが判明した。
【0037】
これらの比較例に対して、本発明の実施例においては、電気摺動部材に使われている焼結合金から成る比較例2に較べても、電気抵抗値が著しく低く(導電性に優れ)、摩擦摩耗試験においても非常に優れた耐摩耗性を示すことが確認された。
さらには、金属微細粒子の分散により改質された表面に、さらに錫微粒子を投射した実施例6,7や、上記改質表面に、さらにDLCをコーティングした実施例8,9においては、低い電気抵抗値、高い耐摩耗性を維持しながら、摩擦係数をさらに低減させることができることが判明した。
【0038】
図2は、上記実施例の代表例として、実施例1により得られた試験片の表面近傍部のEPMA分析画像情報を示すものであって、表面近傍部には、Cu(銅)の分布状態を示す図中にCuの減少部分(赤色部)が認められる一方、W(タングステン)の分布状態を示す図中には、黄色〜緑色で示されるWの濃化部分が認められ、基材金属である銅中にタングステンが分散していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上、説明してきたように、本発明は、例えば、銅等の導電性軟質基材から成る電気摺動部材に対して、優れた耐摩耗性を付与することによって、大幅な寿命向上を図ることができるばかりでなく、高い導電性も維持できることから、高電流を流すことができ、製品となるモータ等の小型化にも貢献することができる。また、当然のことながら、摩擦条件がそれほど厳しくない電気接点部位やIT産業での実装分野においても、接点部位の高寿命化やパッケージの小型化にも貢献することができ、本発明の工業的な適用分野は極めて大きいものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比電気抵抗が5×10−6Ω・cm以下の軟質金属基材の表面下に、5以上の比重を有し、かつ比電気抵抗が14×10−6Ω・cm以下の金属微細粒子が分散していることを特徴とする耐摩耗性導電部材。
【請求項2】
表面粗さが最大高さ粗さRzで1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項3】
上記軟質金属基材の硬さがビッカース硬度でHv150以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項4】
上記軟質金属基材が金、銀、銅、又はこれら金属を質量比で50%以上含有する合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項5】
金属微細粒子が分散したことによる電気抵抗値の増加率が5%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項6】
上記金属微細粒子がタングステン、タンタル、又はこれら金属を質量比で50%以上含有する合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項7】
軟質金属基材の表面下に硬化層を備え、当該硬化層の厚さが1〜50μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項8】
上記硬化層が、上記金属微細粒子が基材金属中に分散して成る第1の硬化層と、該硬化層の直下に位置する第2の硬化層から成ることを特徴とする請求項7に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項9】
ダイヤモンドライクカーボンのコーティング層を表面に備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項10】
錫微粒子の分散層を表面に備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の耐摩耗性導電部材を製造するにあたり、上記軟質金属基材の表面に上記金属微細粒子を衝突させて、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させることを特徴とする耐摩耗性導電部材の製造方法。
【請求項12】
軟質金属基材の表面に金属微細粒子を衝突させるに際して、空気噴射式又はインペラ式などの噴射装置を用いることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
軟質金属基材表面への衝突時における金属微細粒子の速度が50m/秒以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
上記金属微細粒子のサイズが53μmメッシュアンダーであることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つの項に記載の製造方法。
【請求項15】
上記軟質金属基材の表面に上記金属微細粒子を衝突させて、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させた後、当該表面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングすることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つの項に記載の製造方法。
【請求項16】
上記軟質金属基材の表面に上記金属微細粒子を衝突させて、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させた後、当該表面に錫微粒子を衝突させることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つの項に記載の製造方法。
【請求項17】
上記軟質金属基材の表面に上記金属微細粒子を衝突させて、当該金属微粒子を基材金属表面下に分散させた後、当該表面にダイヤモンドライクカーボンをコーティングし、さらに錫微粒子を衝突させることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つの項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−242160(P2010−242160A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91932(P2009−91932)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000192903)神奈川県 (65)
【出願人】(506146909)株式会社不二ダブリュピーシー (8)
【出願人】(000154082)株式会社不二機販 (25)
【Fターム(参考)】