説明

耐熱性粘着テープ

【課題】既存のエポキシ樹脂を用いた場合と同等の電気的、機械的及び耐熱特性を有すると共に、高い難燃性、及び炭化絶縁破壊を良好に抑制することができる耐トラッキング性等の特性を全て併せ持ち、且つ必要なテープ厚さ、及び十分な柔軟性を有しており,必要以上に巻回数を多くすることなく、十分な機能を発揮することができる新規な難燃耐熱性粘着テープの提供。
【解決手段】ポリエステルポリウレタン樹脂溶液に難燃剤、及びポリイソシアネート系架橋剤を添加した樹脂組成物を、坪量10〜100g/mのポリエステル不織布に含浸してなる含浸シート1の少なくとも一方の面に前記樹脂組成物層2が少なくとも1層以上積層されてなるテープ支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層3を設けてなる難燃耐熱性粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐熱性と難燃性と粘着特性並びに炭化絶縁破壊を良好に抑制することができる耐トラッキング性等を有する電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子分野の各業界では、システムを構成する電気機器は高い耐熱性、難燃性を有していることが求められ、各規格が定められている。電気・電子機器中に組み込まれているトランスでは、更に、絶縁性、バリア性を有している構造であることが要求される。更に、トランスに用いられる粘着テープは、高い耐熱性、難燃性、絶縁性、バリア性、耐トラッキング性を有している電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープであることが必要不可欠とされ、粘着テープの機能を発揮するうえで高い粘着力等が必要とされる。
粘着テープの諸特性を向上させるうえでは、粘着テープの使用量を多くすることも必要となる。諸特性を発揮するために一定の巻回数及び特定の厚さが必要となる。一定の巻回数以上の巻回数をとすれば、必要とされる厚さを達成することはできる。一定の巻回数程度の巻回数とすると、必要とされる厚さを達成することは難しいことがある。生産性を図るうえからは、一定の巻回数程度の巻回数とし、必要とされる厚さを確実に達成することが必要となる。
そのためには、粘着テープを構成する支持体は、特定の厚さを確保することが必要であり、巻回数に応じて全体として必要とされる厚さとすること及びそのために柔軟性を有していることが要求されている。
前記の要求に応えるために、粘着テープを構成する支持体は樹脂加工してその目的に応じている。支持体にエポキシ樹脂を含浸させると、電気的、機械的及び熱的な特性に優れたものであり、他の絶縁材料として用いられる材料との相溶性がよいことから、エポキシ樹脂が常用される。
具体的には、200nm〜600nmの波長で重合を開始させることができる、少なくとも1種の有機金属カチオン開始剤0.1〜2%、及び少なくとも1種の促進剤を含む光重合したエポキシ組成物により被塗された基材を含む柔軟テープ支持体の発明がある(特許文献1、特許文献2 )。
前記の発明では重合の際に大がかりな装置を必要とするばかりでなく、テープの支持体は適当な柔軟性を有していないことから、光重合法を用いる方法は適切でない。このため、本発明者らはエポキシ樹脂を重合させるためにメラミン樹脂による硬化を行って製造してきた。しかしながら、この場合にはホルムアルデヒドの大量発生が見られる。エポキシ樹脂の硬化に際してホルムアルデヒドの発生を防止する適当な方法が無く、エポキシ樹脂以外の樹脂を利用することが求められている。
【0003】
エポキシ樹脂を用いる改良として、絶縁層の上にポリエステルフィルムとアラミド不織布とを貼り合わせて構成したテープをアラミド不織布面が外側となるよう巻回し更にこのテープの上にコロナ防止テープを巻回すると共に、ポリエステル樹脂20〜50%、エポキシ樹脂1〜25%及びポリイミド樹脂1〜15%の3種類の樹脂から構成した樹脂組成物である含浸樹脂とする発明がある(特許文献3 特許第3396967号明細書)。この発明にあってもエポキシ樹脂を用いることを止めることはせず、依然として部分的にエポキシ樹脂の利用を継続して行っている状態にある。
【0004】
本発明者は上記従来技術に鑑み、エポキシ樹脂と同様の電気的、機械的及び熱的な特性を有し、取り扱いに便利な耐熱性粘着テープに対する要求が高まっていること、使用に際して、必要以上に巻回数を多くすることなく、一定のある程度の厚さを有しており、柔軟性がある耐熱性粘着テープの開発が必要とされていることを実感した。
【特許文献1】特表08−502527号公報
【特許文献2】特開昭58−2372号公報
【特許文献3】特許第3396967号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、既存のエポキシ樹脂を用いた場合と同様の機能を有する電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープであり、既存のこの種の粘着テープを用いた場合と同様の巻回数により、その厚さを確保できる柔軟な粘着テープの支持体を有する電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意前記課題に取り組み以下のことを見出して、本発明の難燃耐熱性粘着テープの発明を完成させた。
(1)既存の難燃耐熱性粘着テープでは難燃耐熱性粘着テープの支持体に問題があること、具体的には、従来の難燃耐熱性粘着テープの支持体は樹脂を浸漬した不織布で構成されており、この樹脂を浸漬した不織布に粘着剤層を設けて耐熱性粘着テープを形成していることを見出した。
その理由は、支持体と粘着剤は直接接触している結果、得られる難燃耐熱性粘着テープの厚みは十分でない。そこで、難燃耐熱性粘着テープの支持体は、樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シートとし、少なくともその一方の面に樹脂組成物が少なくとも1層以上積層されてなることとして、厚みを確保した積層シートを完成させ、この積層シートの片面又は両面に粘着剤層を設けることにより、難燃耐熱性粘着テープの厚さを意図する厚さにすることができる。
(2)難燃耐熱性粘着テープを前記のように厚くしたにもかかわらず電気絶縁性、耐熱性及び柔軟性を保つことは以下のようにして可能となる。前記樹脂組成物の樹脂分であるポリエステルポリウレタンを採用し、このポリエステルポリウレタンを、開発された架橋技術により硬化、架橋することにより、電気絶縁性、耐熱性を上昇させることができると共に、耐熱性粘着テープに柔軟性を与えることができる。樹脂組成物には、難燃剤を添加することにより、耐熱性粘着テープ及び耐熱性粘着テープを構成する支持体を難燃化させることができる。結果として、実用性の高い耐熱性、又は難燃耐熱性電気絶縁用粘着テープを開発することができた。
(3)以上の(1)及び(2)の結果、該難燃耐熱性粘着テープは、高い電気絶縁性、耐熱性、難燃性、及び必要とする厚み及び柔軟性を併せて要する耐熱性粘着テープを得ることができる。
難燃耐熱性粘着テープは、高い耐熱性とある程度以上の厚みと柔軟性を併せて要する用途には十分に対応することができる。
(4)前記樹脂組成物の樹脂分としてポリエステルポリウレタンを採用し、硬化、架橋することは以下のようにして行った。
不織布は、坪量10〜100g/mのポリエステル不織布とし、この不織布にポリエステルポリウレタン樹脂組成物を含浸してなる含浸シートの少なくとも一方の面に該樹脂組成物による層を少なくとも1層以上積層させ、更にポリエステルポリウレタン樹脂を架橋剤により硬化、架橋させてなるテープ支持体は、エポキシ樹脂と同等の電気的、機械的及び熱的な特性を有し、且つ柔軟性に優れ、新規な耐熱性粘着テープの支持体を得ることができ、難燃耐熱性粘着テープの支持体、難燃耐熱性粘着テープ、電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープを得ることを可能にする。
(5)上記の含浸シートの少なくとも一方の面にポリエステルポリウレタン樹脂組成物が少なくとも1層以上積層されてなる耐熱性粘着テープの支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を設けて粘着テープを得ることができる。粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニールエーテル系粘着剤から選択される少なくとも1種類の粘着剤を用いることができる。又、難燃剤を添加することにより電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープを得ることができる。
(6)得られた電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープについて以下の試験を行い、その特性を確認した。
(a)定められた高温下に長時間(187℃×7日)の間、熱劣化することによる粘着テープの絶縁性、及び強度等の試験結果が、劣化が起こりにくい性質〔加熱後保持率:絶縁破壊電圧100%以上、引張強さ70%以上、伸び80%以上〕を示し、及びIEC Pub.60085(1984)による耐熱区分が、F種絶縁(155℃)であると言う耐熱性粘着テープの特徴を有すること。
(b)UL510耐湿性試験において,絶縁破壊電圧の保持率が、90%以上であり、耐湿性に優れていること。
(c)JIS C 2134(IEC112)に準じて測定された比較トラッキング指数(CTI値)が、600V以上であり、汚染や潤湿の環境下、600Vの高い印加電圧においても表面に沿っての炭化絶縁破壊並びに厚み方向への炭化絶縁破壊を共に良好に抑制することができる特性を有すること。
(d)UL510〔電気絶縁用テープ規格〕燃焼試験においても、合格すると言う難燃特性を有すること。
(e)耐熱性、電気絶縁性、難燃性、粘着特性等が、従来の電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープより優れていること。
【発明の効果】
【0007】
既存のエポキシ樹脂を用いた場合と同等の電気的、機械的及び熱的な特性を有し、耐熱性粘着テープとして用いたときに作業工程では定められた巻回数において一定の厚さを得ることができ、且つ柔軟なテープとすることができる新規な電気絶縁用難燃耐熱性粘着テープ、及びそのテープの支持体を得ることができる。
本発明の難燃耐熱性粘着テープは、耐熱性、耐トラッキング性、難燃性及び粘着特性に優れることから,具体的な用途として、バリア用(スイッチングトランス、コンデンサー、スペーサー等)、リチウム電池パック内の絶縁用、電池パッケージ用、層間絶縁用(トランスの1次一2次間等)、コイル用等を挙げることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の難燃耐熱性粘着テープ支持体の構造について図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は、本発明の耐熱性粘着テープの支持体を示す断面図である。図1では、樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の一方の面に前記樹脂組成物と同じ樹脂組成物による層(2)が形成されている。図2では、樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の両面に前記樹脂組成物と同じ樹脂組成物(2)による層が形成されている。
【0009】
本発明の難燃耐熱性粘着テープは前記難燃耐熱性粘着テープ支持体の含浸シート(1)側又は前記樹脂組成物積層側(2)に粘着剤層(3)が形成される(図3及び4)。本発明の難燃耐熱性粘着テープは、樹脂組成物積層(2)を設けていない従来の耐熱性粘着テープの厚さと比較すると、粘着剤層(3)と樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の一方の面に、或いは両面に形成される前記樹脂組成物と同じ樹脂組成物による層(2)の厚さだけ、厚いテープとすることができる。
又、難燃耐熱性粘着テープ支持体の含浸シート(1)と粘着剤層(3)、又は含浸シート(1)と樹脂組成物層(2)と粘着剤層(3)は良く接着している状態である。
【0010】
図1の樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の一方の面に前記樹脂組成物と同じ樹脂組成物による層(2)が形成されている難燃耐熱性粘着テープ支持体、及び図2の樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の両面に前記樹脂組成物と同じ樹脂組成物による層(2)が形成されている難燃耐熱性粘着テープ支持体について説明する。
【0011】
樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シート(1)の不織布の材質は、特に限定されるものではないが、不織布として、例えば、木綿、麻、羊毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、プロミックス等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル系、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ビニリデン、ポリオレフィン系、ポリウレタンクラール、フルオロカーボン系、ノボロイド系等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、スラグ繊維、金属繊維等の無機繊維、木材パルプ等が用いられる。本発明において粘着テープの支持体は熱可塑性樹脂を用いた樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シートの少なくとも一方の面に前記樹脂組成物による層が少なくとも1層以上積層されて形成することから、安定性等の観点からは、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維等を用いることが好ましい。中でも、ポリエステル系繊維を用いることが最も好ましい。
不織布の引っ張り強度を満足するために不織布の厚みは、特に限定されるものではないが、30〜150μm、好ましくは50〜100μmである。
【0012】
ポリエステル不織布が用いられる場合には、例えば、スパンボンド不織布、二一ドル不織布又は水流絡合不織布である。不織布の硬化は、機械的に、熱的に又は化学的に行う。
使用されるポリエステル不織布は、坪量は、広い範囲のものが使用可能であるが、10〜150g/m、好ましくは15〜100g/mである。又、本発明で使用する不織布として、特に限定されないが、一般に23℃での流れ方向(MD)と幅方向(TD)の引っ張り強度がいずれも1.0〜3.5kgf/20mmである不織布を使用することが好ましい。
坪量が15〜100g/mの範囲のものが好適に使用される。坪量が15g/m未満では、得られた粘着テープの強度が不足して再剥離の用途があった場合は、テープ切れが発生する恐れがあるし、100g/m超となると、強度は十分でも作業時にテープの柔軟性、カット性等が悪くなるのみならず、価格面でも不利となる。不織布の坪量は、より好ましくは30〜80g/mの範囲である。
【0013】
樹脂組成物含浸層、及び樹脂組成物積層に用いる樹脂としては、(1)ポリウレタン樹脂、及び(2)ポリエステルポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0014】
ポリエステルポリウレタン樹脂は、有機ジイソシアネート(A)、分子量500〜5000のポリエステルジオール(B)、分子量500未満の鎖延長剤(C)を反応させて得られる。
【0015】
ポリエステルポリウレタン樹脂の製造において使用される有機ジイソシアネート(A)としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p一フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシー4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルー4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキ
サン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
ポリエステルジオール(B)としては、分子量が500〜5000の範囲にあるものが挙げられる。ポリエステルジオールのカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸等の芳香族ジカノレボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。
【0017】
ポリエステルジオールのグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、及びプロピレンオキサイド付加物等がある。
【0018】
長鎖ジオール(B)は、ポリエステルポリウレタン樹脂の機械的特性を高めるためにポリエステルジオールであって、分子量500〜5000のものを使用するのがよい。分子量が500未満ではウレタン基の濃度が大きくなり、樹脂の柔軟性や溶剤溶解性が低下するという不都合が生じる。又、分子量が5000を超えると、ウレタン基濃度が低下してしまい、ポリエステルポリウレタン樹脂の特有な強靭性や耐摩耗性等が低下する。
【0019】
ポリエステルポリウレタン樹脂の製造時に使用される上記の分子量500未満の鎖延長剤(C)は、1分子中に活性水素を2個以上含み、ポリエステルポリウレタン樹脂中のウレタン基、或いはウレア基濃度を調整し、ポリエステルポリウレタン樹脂に特有な強靭性を付与する効果がある。
【0020】
鎖延長剤(C)の具体的な化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の直鎖グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の分岐グリコール、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミノアルコール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミンあるいは水等が挙げられる。
【0021】
本発明で好適に用いられるポリエステルポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステルジオール(1)/ポリエステルジオール(2)/ネオペンチノレグリコール/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物である。ポリエステルジオール(1)としては、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/50/50/50モル比のものであり、ポリエステルジオール(2)としてはアジピン酸/1,4−ブタンジオーノレ/ネオペンチルグリコール=100/75/25モル比のものである。
【0022】
又、このポリエステルジオール(1)/ポリエステルジオール(2)の配合比率及びウレタン基の濃度を制御することにより、ポリエステルポリウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、任意に制御可能である。
【0023】
ポリエステルポリウレタン系樹脂組成物をポリエステル不織布に含浸する操作は以下のようにして行う。
【0024】
有機溶剤にポリエステルポリウレタン樹脂を加え、室温下に撹拌することによりポリエステルポリウレタン樹脂を溶解させて、ポリエステルポリウレタン樹脂溶解液を得ることができる。溶剤にはメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等を用いる。用いる溶媒の量は適宜定めることができる。一般的には、ポリエステルポリウレタン樹脂100質量部に対して100から900質量部の溶剤を用いる。
【0025】
又、得られるポリエステルポリウレタン樹脂溶解液に架橋剤を添加し、ポリエステルポリウレタン樹脂組成物を調製することができる。ポリエステルポリウレタン樹脂組成物を含浸、又は積層したポリエステル不織布を加熱することにより、硬化、架橋することができる。
架橋剤については、後述する。
【0026】
難燃性を付与するために前記のポリエステルポリウレタン樹脂溶解液に難燃剤を添加・分散しておくことにより、ポリエステル不織布にポリエステルポリウレタン樹脂組成物を含浸、又は積層させた支持体を難燃化させることができる。溶剤で溶解させて得られたポリエステルポリウレタン樹脂溶解液に難燃剤を添加し、十分に撹拌し難燃剤をポリエステルポリウレタン樹脂溶解液中に均一に分散する。
難燃剤については、後述する。
【0027】
ポリエステルポリウレタン樹脂組成物をポリエステル不織布に含浸させる際に10から50%程度の濃度とすることが好ましい。又、ポリエステルポリウレタン樹脂組成物中にポリエステル不織布を浸し、取り出して乾燥する。このようにしてポリエステルポリウレタン樹脂組成物がポリエステル不織布の中に十分にしみ込むと同時に両面側にポリエステルポリウレタン樹脂組成物の被膜を得ることができる。
又、必要に応じてポリエステル不織布の片面のみにポリエステルポリウレタン樹脂組成物を積層させる場合には、ポリエステル不織布の片面のみにポリエステルポリウレタン樹脂組成物の溶液を噴霧又は塗布することにより積層させて、乾燥する方法もある。
【0028】
上記難燃剤には、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン系難燃剤、含ハロゲンリン系難燃剤、窒素系難燃剤等を使用することができる。
具体的には、塩素系難燃剤は、塩素化パラフィン、デクロラン、パークロロシクロデカン、及びハロゲン化リン酸エステル等がある。ここで、パークロロシクロデカンとは、1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14−ドデカクロロー1,4,4A,5,6,6A,7,10,10A,11,12,12A−ドデカハイドロー1,4:7,10−ジメタノジベンゾ(A,E)シクロオセテンを意味する。商品名「DECHLORANEPLUS」として市販されているものが使用できる。又、ハロゲン化リン酸エステルとしては、2−トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート及び2−トリス(クロロプロピノレ)ホスフェート等が使用できる。
臭素系難燃剤は、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン等がある。
アンチモン系では、三酸化アンチモン等がある。
【0029】
リン酸エステル系難燃剤は、特に限定されるものではないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステルや、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル2,6キシレニルホスフェート、トリス(tブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステルや、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等がある。
【0030】
窒素含有リン酸塩化合物系難燃剤は、特に限定されないが、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ポリリン酸メロン、リン酸エステルアミド、リン酸グアニジン等が挙げられる。
難燃剤の添加割合は、ポリエステルポリウレタン樹脂100重量部に対して20から200重量部である。
【0031】
ポリエステルポリウレタン樹脂を硬化、架橋させるために添加する架橋剤は以下の通りである。
架橋剤には、各種ポリイソシアネート、特にジイソシアネートを用いることができ、特に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネートの1種以上が好ましい。
これらの架橋剤は、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性した架橋剤、又はジイソシアネート化合物3分子が結合したイソシアヌレート型の架橋剤として用いることが特に好ましい。これらの架橋剤は、樹脂の官能基と反応して架橋する。架橋剤の添加量は樹脂100重量部に対し、10〜40重量部とすることが好ましい。
【0032】
樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シートの少なくとも一方の面に前記樹脂組成物が少なくとも1層以上積層されてなる耐熱性粘着テープの支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層を設けて耐熱性粘着テープを形成する。調製された粘着剤の塗工方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ロールコーターやリバースコーター等で上記支持体の少なくとも一方に1層、又は2層以上塗布され、加熱して溶剤を揮発させることにより本発明の難燃耐熱性粘着テープが得られる。粘着剤層の厚みは、通常10〜60μmで、好ましくは30〜40μm程度である。
【0033】
粘着剤には、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を用いることができる。
【0034】
ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレンーブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、更にはスチレンーイソプレンースチレン系ゴム、スチレンーブタジエンースチレン系ゴム等が挙げられる。
これらのゴム系粘着剤は単独、或いは複数種類を混合して使用することができる。
【0035】
アクリル系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合性モノマーを共重合した共重合体が挙げられる。この(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合性モノマーを共重合した共重合体を用いることにより、粘着剤の接着力、耐熱性等を向上させ得る。
“(メタ)アクリル酸エステル”との用語は、本明細書中においては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意図している。又、本明細書中における“(メタ)”とは全て上記と同様のことを意図している。
【0036】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等が挙げられる。
又、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合される共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N一ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アノレキノレアミノアルキルエステルを挙げることができる。
アクリル系ポリマー(a)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーが好ましい。前記アクリル系オリゴマー(b)の重量平均分子量は1万以上10万以下であることが好ましい。又、前記粘着剤は、アクリノレ系ポリマー(a)100重量部に対して、更に可塑剤1〜10重量部と、粘着付与樹脂5〜100重量部とを含有していてもよい。アクリル系ポリマー(a)と、アクリル系オリゴマー(b)との溶解度パラメーター(SP値)の差は、1.0[(J/cm1/2]以上であることが好ましい。
【0037】
前記シリコーン系粘着剤としては、例えば、重量平均分子量が400〜20000のポリジメチルシロキサンを硬化させた硬化物を用いることができる。
【0038】
前記ポリビニルエーテル系粘着剤としては、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル等が挙げられる。
【0039】
前記粘着剤中には、本発明の難燃耐熱性粘着テープの各特性を損なわない範囲で、必要に応じて、粘着性付与剤、酸化防止剤、耐候剤、充填剤、補強剤、加工助剤、防錆剤、防かび剤、軟化剤、安定剤、増量剤、着色剤等の慣用の添加剤等の各種添加剤を1種、又は2種以上を組み合わせて加えることができる。
【0040】
又、前記粘着剤には難燃剤を添加しておくことにより難燃化とすることができる。難燃剤は前記ポリエステルポリウレタン樹脂に添加したもの同様のものを用いることができる。
【0041】
本発明の難燃耐熱性粘着テープとしての機能は、電気、電子、OA機器、家電、航空機、船舶、車両等の各分野での使用において、各種機器内部の高温化や畜熱に十分に耐えることができ、且つその高熱によっても発火する危険性がなく、発火しても速やかに消火する機能を有する。又、長期間高温加熱されても各特性とも低下することがなく、テープの柔軟性を十分に保つ性能を有している。又、汚染や潤湿の環境下、600Vの高い印加電圧においても表面に沿っての炭化絶縁破壊並びに厚み方向の炭化絶縁破壊を共に良好に抑制することができる。
【0042】
本発明の難燃耐熱性粘着テープは、高度の耐熱性と難燃性、及び優れた粘着特性を有すると共に、高い絶縁破壊電圧と耐電圧、及び表面に沿っての炭化絶縁破壊並びに厚み方向の炭化絶縁破壊を共に良好に抑制することができる耐トラッキング性等の特性を全て併せ持つことから、電気・電子部品類の絶縁用、トランス類の層間絶縁用、スイッチングトランスやコンデンサーやスペーサー等のバリア用、リチウム電池パック内の絶縁用、電池パッケージ用等に用いることが好ましいが、その他の用途、例えば、電気製品の外装用、建築材料、自動車部品、火気取り扱い現場での養生用等にも用いることができる。
【0043】
以下、本発明を実施例で更に具体的に説明し、同時に比較例により従来の場合を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中において「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を示すものである。
【実施例1】
【0044】
〈樹脂組成物Aの調製の実施例〉
ポリエステルポリウレタン樹脂(商品名:デスモコール540 バイエルマテリアルサイエンス社製)100部のメチルエチルケトンとトルエンの溶解液を撹拌しながら、塩素系難燃剤(商品名:デクロラン#35 オキシデンタルケムカル社製)40部、三酸化アンチモン20部を徐々に添加し,難燃剤を充分に分散させた後、ポリイソシアネート20部、及び適量の有機溶剤を加え、均一になるまで充分に撹拌し、ポリエステルポリウレタン樹脂組成物(以下樹脂組成物Aと言う)を調製した。
【実施例2】
【0045】
〈樹脂組成物Bの調製の実施例〉
ポリエステルポリウレタン樹脂(商品名:ニポラン2304 濃度35% 日本ポリウレタン社製)286部の溶液を撹拌しながら、塩素系難燃剤(商品名:デクロラン#35 オキシデンタルケムカル社製)40部、三酸化アンチモン20部を徐々に添加し,難燃剤を充分に分散させた後、ポリイソシアネート20部、及び適量の有機溶剤を加え、均一になるまで充分に撹拌し、ポリエステルポリウレタン樹脂組成物(以下樹脂組成物Bと言う)を調製した。
【実施例3】
【0046】
〈従来の樹脂組成物Cの調製の実際例〉
エポキシ樹脂溶液(商品名:YP−50EK濃度35% 東都化成社製)の固形物100部に対して、メラミン樹脂(商品名:サイメルー211 濃度80% 三井東圧化学社製)25部を添加した混合溶液を撹拌しながら、塩素系難燃剤(商品名:デクロラン#35 オキシデンタルケムカル社製)40部、三酸化アンチモン20部を徐々に添加し,難燃剤を充分に分散させた後、適量の有機溶剤を加え、均一になるまで充分に撹拌し、エポキシ樹脂組成物(以下樹脂組成物Cと言う)を調製した。
【実施例4】
【0047】
〈粘着剤の調製のための実施例〉
ブチルアタリレート75部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、アクリル酸4.5部、2一ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1部を酢酸エチルに溶解し、窒素ガス雰囲気下、67℃で5時間反応させ、固形分を40%に希釈し、重量平均分子量約60万のアクリル酸エステル共重合体液体(以下アクリル系粘着剤と言う)を調製した。
【実施例5】
【0048】
〈粘着剤組成物の調製のための実施例〉
アクリル系粘着剤の固形分100部に対して、テルペンフェノール樹脂(商品名:YSポリスター2100 ヤスハラケミカル社製)12部を予め溶解させた溶液、塩素系難燃剤(商品名:デクロラン#35 オキシデンタルケムカル社製)20部と三酸化アンチモン10部を予め溶剤で均一に分散させたもの、ポリイソシアネート4部、及び適量の有機溶剤を加え、均一になるまで充分に撹拌し、粘着剤組成物を調製した。
【実施例6】
【0049】
(樹脂組成物Aを用いて難燃耐熱性粘着テープを製造する)
前記調製した樹脂組成物Aを、坪量60g/mのポリエステル不織布(商品名:マリックス ユニチカ社製)に含浸・乾燥して得られた含浸シートの片面に、同樹脂組成物を乾燥後の全体の厚さが120μmになるように塗布して得られた基材シートの含浸面に、上記調製した粘着剤組成物を乾燥後の全体の厚さが150μmになるように塗布して、本発明の難燃耐熱性粘着テープを得た。
【実施例7】
【0050】
(樹脂組成物Aを用いて難燃耐熱性粘着テープを製造する)
前記調製した樹脂組成物Aを、坪量60g/mのポリエステル不織布(商品名:マリックス ユニチカ社製)に含浸・乾燥して得られた含浸シートの両面に、同樹脂組成物を乾燥後の全体の厚さが160μmになるようにそれぞれ塗布して得られた基材シートの片面に、上記調製した粘着剤組成物を乾燥後の全体の厚さが200μmになるように塗布して、本発明の難燃耐熱性粘着テープを得た。
【実施例8】
【0051】
(樹脂組成物Bを用いて難燃耐熱性粘着テープを製造する)
前記調製した樹脂組成物Bを、坪量60g/mのポリエステル不織布(商品名:マリックス ユニチカ社製)に含浸・乾燥して得られた含浸シートの片面に、同樹脂組成物を乾燥後の全体の厚さが120μmになるように塗布して得られた基材シートの含浸面に、上記調製した粘着剤組成物を乾燥後の全体の厚さが150μmになるように塗布して、本発明の難燃耐熱性粘着テープを得た。
【0052】
比較例
前記調製した樹脂組成物Cを、坪量60g/mのポリエステル不織布(商品名:マリックス ユニチカ社製)に含浸・乾燥して得られた含浸シートの片面に、同樹脂組成物を乾燥後の全体の厚さが120μmになるように塗布して得られた基材シートの含浸面に、上記調製した粘着剤組成物を乾燥後の全体の厚さが150μmになるように塗布して、難燃耐熱性粘着テープを得た。
【0053】
以上、各実施例及び比較例として得られたテープサンプルの諸特性を以下の方法で試験し、評価を行った。その結果を〔表1〕に記載した。
【0054】
〔テープ厚さ〕JIS C 2107に準じて、測定した。
【0055】
〔粘着力〕JIS C 2107に準じて、測定した。
【0056】
〔保持力〕JIS Z 0237に準じて測定を行った。但し、被着体への貼着面積を10mm×20mmとし、荷重200g、温度120℃の条件下で、30分間で、テープがずれた距離を測定した。
【0057】
〔タック〕JIS Z 0237に準じて、傾斜角度10℃で、測定した。
【0058】
〔引張強さ〕JIS C 2107に準じて、測定した。
【0059】
〔伸び〕JIS C 2107に準じて、測定した。
【0060】
〔強さ(こわさ)〕P8125〔荷重曲げ方法による板紙のこわさ試験方法〕に従って、測定した。
【0061】
〔絶縁破壊電圧〕JIS C 2107に準じて、測定した。
【0062】
〔電食系数〕JIS C 2107〔電線引張強さ法による電解腐食〕に準じて、測定した。
【0063】
〔熱劣化試験〕(UL温度定格155℃)テープを187℃、7日間の条件で、熱劣化試験を行う。常態と加熱後の引張強さ、伸び及び絶縁破壊電圧をそれぞれ測定し,次の式により保持率を計算により求めた。
保持率(%)=加熱後の測定値÷常態の測定値×100
【0064】
〔UL510耐湿試験〕テープを23℃、96%RHの条件で96時間処理する。常態と耐湿試験後の絶縁破壊電圧をそれぞれ測定し,次の式により保持率を計算により求めた。
保持率(%)=耐湿試験後の測定値÷常態の測定値×100
【0065】
〔比較トラッキング指数〕(CTI値)JIS C 2134(IEC112)に準じて、測定した。
【0066】
〔UL510燃焼試験〕〔電気絶縁用テープ規格〕燃焼試験に準じて、燃焼試験を行った。
【0067】
〔ホルムアルデヒド〕テープを150℃で1時間加熱し、発生したホルムアルデヒドをUVラベル化剤であるDNPH(2,4一ジニトロフェニルヒドラジン)が充填されたカートリッジに捕集し、アセトニトリルで脱着後、HPLCで定量した。
【0068】
【表1】

【0069】
表1から明らかなように、本発明の難燃耐熱性粘着テープは、エポキシ樹脂と同等、又は同等以上の電気的、機械的及び熱的な特性を有し、187℃の高温において、長時間で熱劣化させても、電気絶縁性が低下することがなく、テープの強度及び柔軟性も十分に保っている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の難燃耐熱性粘着テープ支持体の構造を示す断面図
【図2】本発明の難燃耐熱性粘着テープ支持体の構造を示す断面図
【図3】本発明の難燃耐熱性粘着テープの構造を示す断面図
【図4】本発明の難燃耐熱性粘着テープの構造を示す断面図
【符号の説明】
【0071】
1:樹脂組成物を含浸した不織布
2:樹脂組成物による層
3:粘着剤層
4:背面剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物を不織布に含浸してなる含浸シートの少なくとも一方の面に前記樹脂組成物による層が少なくとも1層以上積層されてなることを特徴とする耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項2】
前記樹脂組成物の樹脂分がポリエステルポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項3】
前記樹脂組成物は、架橋剤により硬化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項4】
前記不織布が、坪量10〜100g/mのポリエステル不織布であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項5】
前記樹脂組成物には、難燃剤が添加されていることを特徴とする難燃耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項6】
前記難燃剤は、ハロゲン系、アンチモン系、燐系、金属水酸化物系、窒素系であることを特徴とする請求項5記載の難燃耐熱性粘着テープの支持体。
【請求項7】
請求項1〜5いずれか1項に記載の粘着テープの支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項8】
前記粘着剤が,ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニールエーテル系粘着剤から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項7記載の難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項9】
請求項7又は8記載の耐熱性粘着テープの粘着層には、難燃剤が添加されていることを特徴とする難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項10】
187℃の高温下に7日間熱劣化試験の結果が、劣化が起こりにくい性質〔加熱後保持率:絶縁破壊電圧100%以上、引張強さ70%以上、伸び80%以上〕をもつこと、及びIECPub.60085(1984)による耐熱区分が、F種絶縁(155℃)であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項11】
UL510耐湿性試験において,絶縁破壊電圧の保持率が、90%以上であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項12】
JIS C 2134(IEC112)に準じて測定された比較トラッキング指数(CTI値)が、600V以上であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項13】
UL510〔電気絶縁用テープ規格〕燃焼試験において、合格することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の難燃耐熱性粘着テープ。
【請求項14】
前記難燃耐熱性粘着テープが、電気絶縁用であることを特徴とする請求項7〜13いずれか1項に記載の難燃耐熱性粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−76261(P2010−76261A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247282(P2008−247282)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000145079)株式会社寺岡製作所 (23)
【Fターム(参考)】