説明

耐熱性高分子の小片およびそれを含有した成形体

【課題】 耐熱性の高分子フィルムの製造時に副生されがちな耳部などの再生に有効であり、かつ成形体に含有せしめて有効利用が可能な耐熱性高分子小片とその製法を提供する。
【解決手段】 体積平均粒子径Dが150μm以下である耐熱性高分子の小片であって、該小片が少なくともその小片を形成する外面の2面が互いに平行である平行面でありその平行面を隔てる距離が150μm以下である耐熱性高分子の小片と、耐熱性高分子のシート又はフィルムを、破砕又は細幅に裁断又は細幅に裁断されたものをその長さ方向に短小化断裁する工程の少なくとも一種以上の工程を有する製造工程から得られる小片およびこれらの小片を含有せしめた耐熱性高分子成形体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性に優れた高分子の粉末や粒子である小片(以下、粉体ともいう)とこの小片を含有した成形体に関し、詳しくはポリイミドフィルムなどの耐熱性高分子のフィルムから簡便に得られる小片とこの小片を含有した成形体に関し、耐熱性高分子のフィルムにおける成形時に産出してしまう耳部や端部やまた厚み斑などの著しい規格外のフィルムを再生利用できる耐熱性高分子の小片およびそれを含有した成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
融点が400℃以上か又は400℃以下に明確な融点を示さない、溶媒に不溶などの不溶不融の挙動をとる耐熱性高分子は高温で使用する分野や溶媒を使用する分野や機械的摩擦で高温となる分野などで多用されている。
これらの耐熱性高分子としては前記挙動を示す高分子であり、例えばポリイミド、ポリベンザゾール、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミド、フェノールホルマリン縮合体、エポキシ系縮合体、フッ素系高分子、シリコーン系高分子などが挙げられるが、これらの中でも優れた機械的性質、電気的性質、成形性、高耐熱性などの総合的観点からポリイミド、ポリベンザゾール、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミドが多用されている。
耐熱性高分子としての芳香族ポリイミドの成形体は、例えば、芳香族ポリイミドの粉末を圧縮成形して圧粉体(グリーン体)を形成し、次いで無圧の状態で窒素などの不活性雰囲気中で焼結して成形される(特許文献1参照)。このように非溶融性のポリイミド樹脂の成形体の製造方法は、セラミックスや粉末冶金と同じ成形方法であり、成形に際しては、成形時の摩擦抵抗を軽減させる、成形品の内部応力を緩和させるなど、成形加工性を改良する目的でフッ素樹脂が添加されることが知られている。更に、このようにして得られるフッ素樹脂を添加したポリイミド樹脂の成形体は、上記のような成形時の効果の結果、密度分布が小さい均質なものとなり、外観上ラミネーションなども生じない優れた成形品が得られる。また、ポリイミド樹脂の成形品の摺動特性などを改良する目的でもフッ素樹脂を添加することが古くから知られている。
【特許文献1】特公昭49−005737号公報
【0003】
耐熱性高分子の一種である芳香族ポリイミド小片や粉末の製造方法は、例えばポリアミド酸溶液を第3級アミン存在下に加熱して芳香族ポリイミド粉末を得る方法(特許文献2、3参照)、また、ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との略等モルを、生成するポリイミドが1質量%以上溶解しないアミド系溶媒に155℃より低い温度で溶解した低い回転粘度の均一な溶液を、攪拌しながら160℃〜300℃の温度に短時間で昇温し、前記範囲内の温度に維持して対数粘度が0.2〜1である芳香族ポリイミドを生成させ微細な粒子として析出させるポリイミド粉末の製造法(特許文献4参照)、熱に不融性でかつ有機溶媒に不溶性のポリイミドを生成しうる少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれと略等量の少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとを、アミド系極性溶媒又はフェノール系極性溶媒の中から選ばれた少なくとも1種の極性溶媒を主成分とする有機溶媒中100〜200℃の温度で加熱重合させて上記ポリイミドの粒子をスラリー状に沈殿析出させる第1の工程と、この工程で生成したスラリーから上記ポリイミド粒子をろ別ないし遠心分離する第2の工程と、さらにこの工程で得られたポリイミド粒子を上記同様の極性溶媒を主成分とする有機溶媒で洗浄する第3の工程とにより、平均粒子系1〜20μmの球状多孔性のポリイミド粉体を得ることを特徴とするポリイミド粉体の製造方法(特許文献5参照)、また、ポリアミド酸を良溶媒中に溶解して、対数粘度が0.1〜10dl/gで、固形分濃度が50質量%以下であるポリアミド酸溶液とし、該ポリアミド酸溶液を真空下あるい大気圧以上の加圧下で、100℃〜400℃の温度で加熱処理して、溶媒中にポリイミド粒子を沈澱させ、この溶媒中から平均粒子径が200μm以下であり、X線回折によるポリマーの結晶化度が50%以上のポリイミドパウダーを直接採取する製造方法(特許文献6参照)、30モル%以上の2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸成分を含むビフェニルテトラカルボン酸二無水物の部分エステル化物と芳香族ジアミンとを反応させて、生成した固体状態のポリイミド前駆体を分離取得し、好適には150〜300℃で加熱して脱水閉環するポリイミド粉末の製法(特許文献7参照)など多数提案されている。
【特許文献2】特公昭39−030060号公報
【特許文献3】特開平04−142332号公報
【特許文献4】特開昭57−200452号公報
【特許文献5】特公昭61−026926号公報
【特許文献6】特開平07−033875号公報
【特許文献7】特開2000−128893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記のポリイミド粉末は、いずれもポリアミド酸を経由するなどしてのポリイミド粉末を得るための直接粉末を得る方法であり、溶媒の分離・除去などを伴い、その粉末の大きさと粒子径分布の制御においても多くの課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、耐熱性高分子例えばポリイミドなどを一定厚さ以下にフィルム化してそのフィルムを直接破砕することや細幅に裁断してさらに断裁するなどして小片化することで、一定厚さ以下シートやフィルムに由来して少なくとも厚さが一定厚さ以下となる小片(以下粉末とも称す)を得ることができ、また、一定厚さのフィルムを製造する際に、やむなく産出する耳部や端部などの規格外となるシートやフィルムの一部、またやむなく産出する規格外のシートやフィルムを再利用することができる耐熱性高分子例えばポリイミドなどの小片と該小片を含有する成形体を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、体積平均粒子径Dが150μm以下である耐熱性高分子の小片であって、該小片が少なくともその小片を形成する外面の2面が互いに平行である平行面を有し、その平行面を隔てる距離が150μm以下であることを特徴とする耐熱性高分子の小片である。また厚さ150μm以下の耐熱性高分子のフィルムを、破砕又は細幅に裁断又は該細幅に裁断されたものをその長さ方向に短小化断裁する工程の少なくとも一種以上の工程を有する製造工程から得られる小片であって、小片の体積平均粒子径Dが150μm以下であることを特徴とする耐熱性高分子の小片である。好ましい態様は、耐熱性高分子がポリイミドである前記の耐熱性高分子の小片である。また、耐熱性高分子がポリイミドベンゾオキサゾールである前記の耐熱性高分子の小片、あるいは耐熱性高分子がポリベンザゾールである前記の耐熱性高分子の小片である。
また、本発明は前記のいずれかの耐熱性高分子の小片を2〜70質量%配合してなる耐熱性高分子成形体である。好ましい態様は、耐熱性高分子成形体がポリイミドからなるフィルム又はシートである前記の耐熱性高分子成形体であり、また耐熱性高分子成形体がポリイミドからなるフィルム又はシートであって、当該ポリイミドフィルム又はシートの厚さdがとしたとき、{0.7D<d<10.0D}の関係式を満足する前記のポリイミド成形体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の耐熱性高分子の小片は、耐熱性高分子の厚さが一定値以下のフィルムを裁断するなどして得られる小片であり、体積平均粒子径Dが150μm以下でありかつ一定方向の厚さが一定値以下で揃ったものとなり、これらを含有せしめたフィルムやシートが、それらの作製段階で例えばコーターなどから排出される際含有された小片が一定方向の厚さが一定値以下で揃ったものであるために、製造されたシートやフィルムの表面への突出が抑えられたものとなるなど、成形上の利点を有し、かつ規格外のフィルムを再利用しうる利点をも有しており、経済的にも効果的であり、耐熱性高分子のフィルムの製造において資するところ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の耐熱性高分子は、特に限定されるものではないが、例えばポリベンゾオキサゾールやポリベンゾチアゾールやポリベンゾジアゾールなどのポリベンザゾール、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類および又は芳香族ジカルボン酸とを反応させて得られる全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの非溶融性であって極性溶媒にこれらの高分子又はその前駆体を溶解又は分散したドープからフィルムを成型するところの高分子であって、400℃以上の高融点又は400℃以下に明確な融点を有しない耐熱性の高分子からなるものである。
【0008】
これらの耐熱性高分子高分子の中でも、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドが好ましく、さらにポリイミドが好ましく、特に好ましいのはポリイミドベンゾオキサゾールである。
以下、ポリイミドについて小片の製造と成形体の製法について詳述する。
ポリイミド製造特にフィルムやシートの製造における、重合反応はまず溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からポリイミドの前駆体フィルムであるグリーンフィルム(シート)を成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミン類の中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が好適なジアミンである。
本発明で特に好適に用いられるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
【化5】

【0014】
【化6】

【0015】
【化7】

【0016】
【化8】

【0017】
【化9】

【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

【0020】
【化12】

【0021】
【化13】

【0022】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
【0023】
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
【0024】
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
【0025】
3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
【0026】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0027】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、
【0028】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0029】
3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
【化17】

【0035】
【化18】

【0036】
【化19】

【0037】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、
【0038】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0039】
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0040】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。
重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは20〜2000Pa・sであり、より好ましくは200〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0以上が好ましく、4.0以上がさらに好ましく、なおさらに5.0以上が好ましい。
【0041】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
【0042】
支持体上で乾燥し、自己支持性となったフィルムは支持体より剥離され、150〜500℃の温度にて最終乾燥、および熱処理によるアミド酸の脱水閉環がなされポリイミドフィルムとなる。
上記のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することもできる。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
これらのポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸又は2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
【0043】
本発明の耐熱性高分子(ポリイミド)小片の製法は、厚さ150μm以下の耐熱性高分子のシート又はフィルムを、破砕又は細幅に裁断又は細幅に裁断されたものをその長さ方向に短小化断裁する工程の少なくとも一種以上の工程を有する製造工程が望ましく、この製造工程に使用される小片の原料としての耐熱性高分子のシート又はフィルムは、上記したフィルムやシートのその厚さが好ましくは150μm以下のものであって、該シートやフィルムを製造する際の耳部や端部、又はやむなく規格外となったフィルム又はシートが好ましく使用される。
かかる製法によって得られた耐熱性高分子(ポリイミド)の小片は、その原料としてのフィルム持つ一定厚さのものから得られた小片であるから、その形状において、少なくともその小片を形成する外面の2面が互いに平行である平行面でありその平行面を隔てる距離が一定厚さである特徴を有しており、成形体がシートやフィルムに含有され成形する際に、流体内抵抗などからして、その平行面で揃う傾向を有しており、その結果として混入量を上げてもフィルム面などからの小片の突出が少ない成形体が得られ易い。
【0044】
本発明の耐熱性高分子(ポリイミド)成形体は特に限定されるものではないが好ましくはシートやフィルムであり、その厚さは特に限定されないが5.0mm程度以下の厚さのものが好ましい。これらの成形体の製法は、例えば上記したフィルム製造におけるように、ポリアミド酸溶液に前記小片を適宜混ぜた液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させ、小片含有のポリイミドシートを得る方法や、そのようにして得られたシートを複数枚重ね合わせてプレスなどにより積層する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
本発明の成形体は、同一組成の耐熱性高分子小片と耐熱性高分子成形体の構成でもよく、また異組成の耐熱性高分子小片と耐熱性高分子成形体の構成でもよく、後者の場合には耐熱性高分子小片の性状と耐熱性高分子成形体の性状の差異を適宜選択採用することで従来にない性状のシートや成形体を製造することが可能となる。
【実施例】
【0045】
実施例などで使用される評価方法は以下のとおりである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルムやシートの厚さ
ポリイミドフィルムやシートの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
【0046】
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度(単に伸度とも表示する)
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を求めた。
【0047】
4.体積平均粒子径
疎水性高分子粉末を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量%を添加したイオン交換水に、超音波洗浄機を用いて分散し、レーザー散乱式粒度分布計LB−500(堀場製作所社製)により測定した。
【0048】
参考例1
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を0.81質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。このポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は5.0であった。
【0049】
参考例2
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部にN,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、N,N−ジメチルアセトアミドにコロイダルシリカ粒子を分散した分散体であるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)4.05質量部(うちコロイダルシリカは0.81質量部含む)、およびピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で40時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。これの還元粘度は4.5であった。
【0050】
参考例3
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を0.76質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。これの還元粘度は3.7であった。
【0051】
参考例4
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P30(日本触媒株式会社製)を0.73質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。これの還元粘度は4.5であった。
【0052】
(耐熱性高分子フィルムの作製)
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液を、それぞれ支持体上に送液するギヤーポンプを使用して送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ21μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する、それぞれの幅60cmポリイミドフィルムを得、両端部(耳部)をそれぞれ5cmずつスリットし、中央部のみの幅50cmのフィルムを製品とした。得られたポリイミドフィルム製品の性能などの測定結果を表1に記載する。
【0053】
(耐熱高分子フィルムの小片の作製)
(1)上記、各ポリイミドフィルムを得る際に、スリットした両端部(幅5cmのもの)を事務用シュレッダーにて、幅3mm程度に裁断し、得られた短冊体をさらに斜め方向からシュレッダーに挿入し薄片状とした。得られた薄片状物をさらにフリーザーミルに仕込み、約5分間粉砕操作を行い、厚さ15μm、平均粒子径(体積平均径)50μm、幅と長さが共に約40μmの小片を得た。
(2)また、別法として、このスリットした両端部(幅5cmのもの)を幅100μmにさらにスリットし、得られた細幅の糸条体を揃えて長さ100μmに断裁し、粗篩によって断裁ミス、断裁屑、その他の微細屑を取り除き、厚さ15μmで幅と長さが共に100μmの各薄小片を得た。この小片の体積平均粒子径は66μmであった。
以下(1)、(2)の方法を使用して、表1に示す小片(粉体)を得た。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例1〜5、比較例1
(耐熱性高分子フィルムの小片を含有した成形体としてのフィルムの作製)
表1に示す箔小片を、参考例1で得られたポリアミド酸溶液に、それぞれ質量比でポリアミド酸に対して30質量%となるように添加し、分散して各分散液を得た。この液を、ギヤーポンプを使用して送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、350μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ150μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で4分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で7分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する実施例1〜5と比較例1のそれぞれの幅60cm、厚さ125μmのポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
【0056】
【表2】

実施例の全てのフィルムにおいて、大きな突出のない良好な表面を持つ、強度の高いフィルムが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の耐熱性高分子の小片を含有せしめたフィルム又はシートは、小片のフィルム表面への突出が抑えられるなどの成形上の利点を有し、かつフィルム又シートの製造工程で発生する規格外のシートやフィルムを再利用しうる利点をも有しており、経済的にも効果的であり、耐熱性高分子のシートやフィルムの製造においても資するところ大である。また、これらの小片を含有せしめた耐熱性高分子成形体は、強度や耐熱性に優れた外観良好なフィルムなどが得られ、電子機器の部品や機械部品として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径Dが150μm以下である耐熱性高分子の小片であって、該小片が少なくともその小片を形成する外面の2面が、互いに平行である平行面を有し、その平行面を隔てる距離が150μm以下であることを特徴とする耐熱性高分子の小片。
【請求項2】
厚さ150μm以下の耐熱性高分子のフィルムを、破砕又は細幅に裁断又は細幅に裁断されたものをその長さ方向に短小化断裁する工程の少なくとも一種以上の工程を有する製造工程から得られる小片であって、小片の体積平均粒子径Dが150μm以下である請求項1記載の耐熱性高分子の小片。
【請求項3】
耐熱性高分子がポリイミドである請求項1又は2いずれかに記載の耐熱性高分子の小片。
【請求項4】
耐熱性高分子がポリイミドベンゾオキサゾールである請求項1又は2いずれかに記載の耐熱性高分子の小片。
【請求項5】
耐熱性高分子がポリベンザゾールである請求項1又は2いずれかに記載の耐熱性高分子の小片。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性高分子の小片を2〜70質量%配合してなる耐熱性高分子成形体。
【請求項7】
耐熱性高分子成形体がポリイミドからなるフィルム又はシートである請求項6記載の耐熱性高分子成形体。
【請求項8】
耐熱性高分子成形体がポリイミドからなるフィルム又はシートであって、当該ポリイミドフィルム又はシートの厚さをdとしたとき、耐熱性高分子の体積平均粒子径Dとの間に{0.7D<d<10.0D}の関係式を満足することを特徴とする請求項6又は7いずれかに記載のポリイミド成形体。

【公開番号】特開2006−131753(P2006−131753A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322272(P2004−322272)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】