説明

耳科学的送達装置

本発明は、少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置に関する。本発明によれば、この装置は、少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなるコアと、前記コアを包む膜とを含んでなり、ここで前記コアはポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択されるエラストマー組成物から作られており、そして前記膜は前記コアと同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から作られており、前記エラストマー組成物はポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択される。本発明は、薬学的活性剤が抗アレルギー剤、抗炎症剤、抗真菌剤、グルココルチコイドおよびそれらの混合物を含んでなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景、特に、実施に関する追加の詳細を提供する場合を例示するために本明細書において使用する刊行物および他の材料は引用することによって本明細書の一部分とされる。特に、特許米国特許第6,056,976号および米国特許第6,299,894号ならびに係属中の米国特許出願No. 09/701,547、提出2000年11月30日 (対応特許: WO 00/00550) およびWO 03/017971は引用することによって本明細書の一部分とされる。
【0003】
同一の病因を有すると考えられ、丸窓膜を通す潅流のために中耳にコルチコステロイドを適用する、突然聴覚消失、メニエール病および耳鳴を治療する概念は、将来の治療として提示されてきている。突然聴覚消失は2:10000の毎年の発生率を有し、そしてメニエール病は1:5000の推定される毎年の発生率を有するが、この症状の慢性的特質のために、罹患率の数値は非常にいっそう高い。ドイツにおいて、約20000人の患者 (8000万人の住人について) は毎年耳鳴の治療を求めており、これらの数値は重症の症例のみを含む。
【0004】
いくつかの刊行物には、突然聴覚消失、メニエール病、耳鳴または他の耳の障害 (例えば、内リンパ水症、内リンパ高血圧、外リンパ高血圧、外リンパ水症、外リンパフィステル、蝸牛内フィステル、めまい、毛髪細胞または神経節細胞の損傷または機能障害に関係する聴力損失) を患う患者の耳の中に配置すべき種々の装置が開示されている。このような装置は、治療剤を種々の耳組織に調節された方法で送達することができる。例えば、治療剤を外耳の外部聴管の中に、あるいは内耳の組織構造に送達することができる、種々の構造が開発されてきている。内耳 (例えば、丸窓膜) の中に導く組織材料を使用する、同一の状況が存在する。
【0005】
この種類の治療に適当な内耳組織構造は、蝸牛、内リンパ嚢/導管および前庭迷路を含んでなる。これらおよび他の内耳組織区域へのアクセスは典型的には種々の構造を通して達成され、このような構造は丸窓膜、卵形窓/あぶみ骨底、輪状靭帯、および耳嚢/側頭骨を包含するが、これらに限定されない。さらに、鼓膜の背後にかつ内耳の前に存在する生理学的空気含有組織のゾーンとしてここで定義される中耳を、また、治療剤の送達に使用することができる。耳および鼻の1つの特殊性は、活性剤の放出を誘導しかつ促進し、そしてそれをターゲット器官に運搬する体液が存在しないことである。
【0006】
これらの疾患を治療するために、コルチコステロイドが普通に使用される。前記装置は丸窓ニッシェまたは他の内耳腔の中に配置することができる。
【0007】
米国特許第6,120,484号には、膜中の開口を通して挿入されるウィック (wick) を含んでなる、薬剤を送達する耳科学的移植片が開示されている。ウィックの1端 (末端) を治療部位と接触させ、そして他端 (基部端) は薬剤源と接触させるためにアクセス可能である。ウィックは毛管作用により薬剤を基部端から末端に運搬する。ウィックは、例えば、ポリ酢酸ビニル、すなわち、毛管作用により薬剤を運搬することができる材料から作られている。移植片はさらにウィックを支持する管状部材を含み、前記管は例えばシリコーンから作られている。この文献には、薬剤の放出速度を調節する方法は記載されていない。
【0008】
他方において、特許出願WO 00/33775には、耳の内部腔に治療剤を調節して送達する装置が表されている。この装置は、その少なくとも一部分が丸窓ニッシェの中に存在するように配置される。放出された治療剤は丸窓ニッシェと接触するようになり、それを通過して内耳に入る。この装置は、前記治療剤と組み合わせた担体媒質から本質的に成る。担体媒質は、生物分解性物質と、少なくとも1種の合成由来の物質とを含んでなることができる。前記物質は、架橋しかつ体温において水と接触したとき膨潤するポリマー物質であることができる。この出願には、治療剤を放出する種々の方法、例えば、拡散、溶媒抵抗、電気拡散、浸透、能動的/受動的輸送またはそれらの組み合わせが開示されている。この文献には、装置の最も深いところに位置する治療剤が最も遅く放出されることが開示されている。こうして、治療剤の放出速度は装置内の相対位置に関係する、すなわち、それは装置の外表面への距離に関係する。
【0009】
また、薬剤を調節して放出するために移植片を鼻の中に使用できることが文献から知られている。このような移植片の1例は米国特許RE 35,408に記載されており、これには比較的に薄いタブの形態の末端部分を含んでなる、薬剤を鼻に送達する金属装置が開示されている。末端部分に好ましい材料はシリコーンゴム (Silastic(商標)) である。薬剤は表面のキャビティまたはポケットの中に、あるいは表面のコーティングの中に含有される。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、患者に対して不快感を引き起こさないか、あるいはそれを最小とする方法で、1種または2種以上の薬学的活性剤を不断に放出することができる耳科学的送達装置を提供することである。
【0011】
特に、本発明の目的は、活性剤の前もって決定した定放出速度を可能とする、鼻または耳科学的適用のための送達装置を提供することである。本発明のそれ以上の目的は、安全かつ再現可能な方法で製作することができ、そして製作プロセスの衛生を信頼性をもって調節することができる、送達装置を提供することである。なお、本発明は、その最終位置の中への導入が安全でありかつ容易であり、ならびに使用が好都合でありかつ安全である、送達装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、添付された特許請求の範囲に開示されている。
本発明による少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置は、構成成分:
- 少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなるコア、前記コアはポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択されるエラストマー組成物から作られている、および
- 前記コアを包む膜、前記膜は前記コアと同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から作られており、前記エラストマー組成物はポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択される、
を含んでなり、そして薬学的活性剤が抗アレルギー剤、抗炎症剤、抗真菌剤、グルココルチコイドおよびそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする。
【0013】
こうして、本発明は、エラストマー組成物および少なくとも1種の活性剤から本質的に成る送達装置に関する。この出願において、用語 「エラストマー組成物」 は単一のエラストマー、1つが他の内側に交錯されているか、または任意の他の形態の混合物である少なくとも2種のエラストマーの混合物を意味し、そしてこの用語はまたエラストマー以外の他の成分、例えば、充填剤を含んでなる組成物を意味する。WO 00/33775に開示されている装置に関する1つの差は、本発明において放出速度がコアの性質および必要に応じて膜の性質により調節されることである。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、前記装置は前記コアを包む膜をさらに含んでなり、前記膜は同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から作られており、前記エラストマー組成物は上に列挙したものの1つである。
こうして、本発明による送達装置は、患者に対して不快感を引き起こさないか、あるいはそれを最小とする方法で、1種または2種以上の薬学的活性剤の不断の放出を可能とし、そして前述の欠点をもたない。
【0015】
耳および鼻における生理学的状態は、例えば、子宮における状態と異なることに注目すべきである。事実、例えば耳において、体液は存在せず、空間である。空気は耳の中を動く唯一の媒質である。したがって、当業者はそれ自体知られている上に列挙したエラストマー組成物が耳科学的適用に適することを容易に予測することができないであろう。
こうして、本発明による装置のコアおよび任意の膜は、下記においてさらに説明される同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から本質的に作られる。
【0016】
膜において使用するエラストマー組成物は、後述するように、1種または2種以上の活性剤の前もって決定した1または2以上の定放出速度を可能とするような組成物である。こうして、本発明の第1の目的は、エラストマー組成物の選択により達成される。第2に、コアはエラストマー組成物から本質的に成る、すなわち、コアは活性剤がその中に分散されているエラストマーマトリックスである。したがって、コアを包む膜が損傷される場合でさえ、活性剤は完全に調節されない方法で放出されることはないであろう。
【0017】
活性剤の放出速度は、膜単独によりまたはコアと一緒に膜により調節可能である。また、放出速度を主としてコアにより調節し、そして膜が放出速度の最後の調節のみを行うようにすることが可能である。本発明による装置の寿命は、治療すべき疾患または障害に関して受注変更することができる。典型的には、それは、例えば、3〜6ヶ月である。
本発明による送達装置の製作はこの分野においてよく知られているが、それを後述する。装置の形状および大きさは、装置を配置すべき腔に関して、非常に自由に選択することができる。また、本発明による装置はヒトならびに動物に適用可能であることが明らかである。
【0018】
また、本発明による装置の部分は、本発明の種々の態様の形態で以後さらに説明するように、任意の数および任意の形態で使用することができる。
【0019】
本発明による装置は、また、2種以上の治療的活性剤を含んでなることができる。本発明の1つの態様によれば、コアは前記少なくとも1種の治療的活性剤を含んでなる1つの部分から成る。本発明の他の態様によれば、コアは各々が少なくとも1種の治療的活性剤を含んでなる少なくとも2つの部分から成る。前記部分のエラストマー組成物は必要な放出速度に従い選択し、そして各部分において同一であるか、あるいは異なることができる。コアが2またはそれ以上の部分から成る態様によれば、部分は並べて配置するか、あるいはコアの1つの部分がコアの他の部分を少なくとも部分的に包むような方法において配置することができる。構造の任意の組み合わせは当然可能であり、そして本発明の範囲内に入る。
【0020】
本発明のそれ以上の態様によれば、膜は少なくとも2つの層から成り、各層はある厚さを有する。層の厚さは同一であるか、あるいは異なることができ、そして各層において使用するエラストマー組成物もまた同一であるか、あるいは異なることができる。また、コアの各前述の部分を包む膜は、膜のエラストマー組成物または構造 (1つまたはいくつかの層) において同一であるか、あるいは異なることができる。厚さまたは材料またはの両方において異なる膜の層の組み合わせは、活性剤の放出速度を調節するそれ以上の可能性を提供する。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、本発明による装置はコアの前記少なくとも2つの部分の少なくとも2つを分離する空間および/またはコアの前記少なくとも2つの部分の少なくとも2つを分離する少なくとも1つの分離膜をさらに含んでなり、前記分離膜はエラストマー組成物から本質的に成る。例えば、3つの部分A、BおよびCから成るコアを有し、部分AおよびBが空間により分離されており、そして部分BおよびCが膜により分離されている、本発明による装置を製造することが可能である。部分AおよびBを分離する空間または膜が存在しないで部分AおよびBが並んでおりかつ部分BおよびCが膜により分離されている装置、あるいは部分AおよびBが第1エラストマー組成物から成る膜により分離されておりかつ部分BおよびCが第1エラストマー組成物と異なる第2エラストマー組成物から成る膜により分離されている装置、ならびに任意の他の組み合わせは、また、本発明の範囲内に入る。
【0022】
本発明のそれ以上の態様によれば、分離膜は治療的活性剤の少なくとも1種に対して透過性または不透過性である。もちろん、第1活性剤に対して透過性であるが、第2活性剤に対して不透過性である膜を使用することが可能である。
【0023】
本発明によれば、前述のエラストマー組成物、すなわち、コア、膜および可能な分離膜のエラストマー組成物は同一であるか、あるいは異なり、そして
- ポリ(ジメチルシロキサン) を含んでなるエラストマー組成物、
- シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなるエラストマー組成物
- ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー組成物、および
- それらの少なくとも2つのの混合物、
から成る群から選択される。
【0024】
本発明の1つの態様によれば、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなるエラストマー組成物のシロキサン単位のSi原子に結合した置換基の1〜49.85% は、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。
本発明の他の態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるエラストマー組成物の前記ポリ(アルキレンオキシド) 基は、ケイ素-炭素結合によりポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端グラフトまたはブロックとしてまたはこれらの形態の混合物として存在する。本発明のなお他の態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド) 基はポリ(エチレンオキシド) 基である。
【0025】
前述のエラストマー組成物をさらに詳細に後述する。また、上に開示した組成物以外のエラストマー組成物、例えば、生物分解性エラストマーを本発明による装置においてさらに使用することができることが明らかである。
本発明のなお他の態様によれば、2種以上の治療的活性剤が存在する場合において、少なくとも2種の治療的活性剤の放出速度は同一であるか、あるいは異なる。また、この装置は所定の活性剤と適当に関連した任意の他の治療的活性物質を含むことができる。
【0026】
当業者は、治療的活性剤の必要な放出速度を容易に決定することができる。治療的活性剤の機能においてエラストマー組成物を選択する方法は、例えば、出願人自身の前の特許および特許出願の中に列挙されており、引用することによって本明細書の一部分とされる。
前述の態様の任意の組み合わせは可能であり、そして本発明の範囲内であり、そして当業者は特定の用途に最も適当な組み合わせを見出すことができるであろう。
【0027】
本発明による装置の製造は当業者にとって明らかである。事実、装置は押出または成形により製造することができる。また、装置は任意の必要な形態および大きさを有することができる。例えば、それは鼻または耳の存在するくぼみの中に適合するように造形することができるか、あるいはそれは1端に拡大部分をもつフックまたはロッドとして造形することができる。一例として、鼻送達装置は典型的には1〜3 cmの長さを有し、そして0.5〜5 mmの直径を有すると言うことができる。いったん装置の最終位置を決定すると、装置の形状および大きさは当業者にとって明らかである。
【0028】
エラストマー組成物
本発明による装置において使用するために、特に装置の膜において使用するために適当なエラストマーの1つは、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーである。
用語「シロキサンをベースとするエラストマー」は、置換基が主として低級アルキル、好ましくは1〜6個の炭素原子のアルキル基、またはフェニル基であり、ここで前記アルキルまたはフェニルが置換または非置換であることができる、ポリ(二置換シロキサン) から作られているエラストマーを包含することを理解すべきである。この種類の広く使用されかつ 好ましいポリマーは、ポリ(ジメチルシロキサン) (PDMS) である。
【0029】
本発明によれば、エラストマー中のシロキサン単位のSi原子に結合した置換基のある量は、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。このようなエラストマーは、異なる方法で製造することができる。1つの態様によれば、エラストマーは単一の架橋したシロキサンをベースとするポリマー、例えば、Si原子におけるアルキル基のある量が3,3,3-トリフルオロプロピル基により置換されているポリ(ジアルキルシロキサン) に基づくことができる。このようなポリマーの好ましい例は、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン) であり、その構造を下記に化合物Iとして示す。
【0030】
【化1】

【0031】
Si原子におけるメチル置換基のほぼ50% が3,3,3-トリフルオロプロピル基で置換されている、この種類のポリマーは商業的に入手可能である。用語「ほぼ50%」は、ポリマーがある量 (置換基の約0.15%) の架橋可能な基、例えば、ビニル基またはビニル末端基を含有しなくてはならないので、3,3,3-トリフルオロプロピル置換の程度が事実50%より多少低いことを意味する。3,3,3-トリフルオロプロピル基のより低い置換度を有する同様なポリマーを容易に合成することができる。
【0032】
エラストマーの膜を横切る活性剤の透過に対する3,3,3-トリフルオロプロピル基の遅延作用は、3,3,3-トリフルオロプロピル基の量に依存する。さらに、この作用は使用する活性剤に高度に依存する。エラストマーが単一のポリマーのみから作られている場合、異なる活性剤について異なる量の3,3,3-トリフルオロプロピル基をもつポリマーを製造し、使用することが必要である。
【0033】
いくつかの異なる活性剤に適当なエラストマーを必要とする場合、特に好ましい他の態様によれば、a) 非フルオロ置換シロキサンに基づくポリマーと、b) フルオロ置換シロキサンに基づくポリマーとを含んでなる混合物を架橋することであり、ここで前記ポリマーはシロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなる。混合物の第1成分、非フルオロ置換ポリマーは、任意のポリ(二置換シロキサン) であることができ、ここで置換基は主として低級アルキル、好ましくは1〜6個の炭素原子のアルキル基、またはフェニル基であり、ここで前記アルキルまたはフェニルは置換または非置換であることができる。最も好ましくは、置換基は1〜6個の炭素原子のアルキル基である。好ましい非フルオロ置換ポリマーはPDMSである。混合物の第2成分、フルオロ置換ポリマーは、例えば、ポリ(ジアルキルシロキサン) であり、ここでSi原子におけるアルキル基のある量は3,3,3-トリフルオロプロピル基で置換されている。
【0034】
このようなポリマーの好ましい例は、前述したポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン) である。この種類の特に好ましいポリマーは、できるだけ高い量の3,3,3-トリフルオロプロピル置換基を有するポリマー、例えば、Si原子におけるメチル置換基のほぼ50% が3,3,3-トリフルオロプロピル基で置換されている、商業的に入手可能ポリマーである。大きい透過遅延作用をもつエラストマーは、前述のポリマーを独占的にまたは主として使用することによって製造することができる。活性剤の透過に対して低い遅延作用をもつエラストマーは、増加する量の非フルオロ置換シロキサンをベースとするポリマーとの混合物を使用することによって得ることができる。
【0035】
本発明において使用できる他のエラストマーは、ポリ(アルキレンオキシド) 基がポリシロキサン単位のアルコキシ末端グラフトとしてまたはブロックとして前記エラストマー中に存在するように、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなり、前記グラフトまたはブロックはポリシロキサン単位にケイ素-炭素結合により結合されている。また、ポリ(アルキレンオキシド) は、述べたオプションのブレンドとして存在することができる。第2エラストマーは、シロキサンに基づくエラストマー、適当にはポリ(ジメチルシロキサン) に基づくエラストマーであることができる。
【0036】
また、前記第2エラストマーは可能ならばポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなることができる。これらのポリ(アルキレンオキシド) 基は、また、ポリ(ジメチルシロキサン) 単位のアルコキシ末端グラフトとしてまたはブロックとして存在することができ、前記グラフトまたはブロックはケイ素-炭素結合によりポリ(ジメチルシロキサン) 単位に結合されている。また、ポリ(アルキレンオキシド) はこのエラストマー中に前述のオプションのブレンドとして存在することができる。
【0037】
本発明の1つの態様によれば、エラストマー組成物は、例えば、PDMSから構成されている、シロキサンに基づくエラストマーと、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなる少なくとも1種の直鎖状ポリシロキサンコポリマーとを含んでなるブレンドであることができる。この場合において、ポリ(アルキレンオキシド) 基は前記ポリマー中にポリシロキサン単位のアルコキシ末端グラフトとしてまたはブロックとして存在し、前記グラフトまたはブロックはケイ素-炭素結合によりポリシロキサン単位に結合されている。
【0038】
もちろん、また、ポリ(アルキレンオキシド) 基はこのポリマー中に前述の形態のブレンドとして存在することができる。この態様において、また、シロキサンに基づくエラストマーはポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなることができ、この場合において、これらのポリ(アルキレンオキシド) 基はエラストマー中にポリシロキサン単位のアルコキシ末端グラフトとしてまたはブロックとして存在し、前記グラフトまたはブロックはケイ素-炭素結合によりポリシロキサン単位に結合されている。また、ポリ(アルキレンオキシド) 基はこのポリマー中に前述の形態のブレンドとして存在することができる。
【0039】
もちろん、エラストマー組成物は、前述したように、1つが他方の内側に交錯されている2つのエラストマーと、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなる少なくとも1種の直鎖状ポリシロキサンコポリマーとから構成されることもできる。
エラストマー組成物のポリ(アルキレンオキシド) 基は、適当には、例えば、ポリ(エチレンオキシド) 基 (PEO基) であることができる。
【0040】
エラストマー組成物のポリシロキサン単位は下記式を有する基であることが好ましい:
-(SiR’R”O)q SiR’R”-
式中R’およびR”は次の通りである:
- 部分的に遊離の基 (前記基は同一であるか、あるいは異なり、そして低級アルキルまたはフェニル基であり、この場合において前記低級アルキルまたはフェニル基は置換または非置換であることができる) 、または下記式を有するアルコキシ末端ポリ(アルキレンオキシド) 基:
【0041】
【化2】

【0042】
(式中alkは低級アルキル、適当にはメチルであり、Rは水素または低級アルキルであり、mは1…30であり、そしてR3は直鎖状または分枝鎖状のC2-C6アルキル基である)
- エラストマー中の他のポリマー鎖に対する、水素またはアルキレン基から形成された、部分的結合、および
- 可能ならば部分的に未反応の基、例えば、水素、ビニルまたはビニル末端アルケン、そして
- qは1…3000である。
【0043】
用語「低級アルキル」は、ここにおいてかつ本発明の説明中においてC1-C6アルキル基を意味する。
前述の遊離のR’およびR”基は適当には低級アルキル基、好ましくはメチルである。
用語「ポリ(アルキレンオキシド) 基」は、前記基が互いに連続的に結合した少なくとも2つのアルキルエーテル基を含んでなることを意味する。
本発明の好ましい態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド) 基は、下記式を有するポリ(アルキレンオキシド) ブロックの形態でエラストマー中に存在する。
【0044】
【化3】

【0045】
式中Rは水素、低級アルキルまたはフェニルであり、
R1は水素または低級アルキルであり、yは2…6であり、そしてmは1…30である。
好ましくは、エラストマーの組み合わせは、鼻送達装置についてPDMSとポリ(エチレンオキシド)-PDMSとであり、そして耳科学的送達装置についてPDMSとフルオロ置換PDMSとである。
エラストマー組成物は、前記エラストマーから作られた膜に十分な強度を与えるために、充填剤、例えば、非晶質シリカを含んでなることが好ましい。また、他の添加剤を含むことができるが、それらは生物適合性でありかつ被検体に対して無害であることが必要であることを考慮する。
【0046】
薬学的活性剤
異なる活性剤を本発明による送達装置において使用することができる。本発明の装置の中に組込むために適当な活性剤は、必要な放出プロファイルおよび治療効果を提供しかつ許容される低レベルの耳毒性および/または鼻毒性を示すものを包含する。本発明による送達装置から放出される活性剤で治療できる症状のいくつかは、鼻炎症性障害、アレルギー反応、喘息および真菌感染ならびに耳炎、急性感染、蝸牛および前庭の障害、めまいおよびメニエール病、突然聴覚消失、感音性聴力損失、耳鳴および動揺病である。治療すべきそれ以上の症状は、内リンパ水症、内リンパ高血圧、外リンパ高血圧、外リンパ水症、外リンパフィステル、蝸牛内フィステルおよび耳内の種々の膜構造中の破壊を包含する。
【0047】
薬学的活性剤の包括的例は、抗微生物剤、例えば、抗菌剤、抗感染症剤、例えば、抗生物質、抗真菌剤および抗ウイルス剤、抗ヒスタミン剤、抗めまい剤 (例えば、メニエール病を治療するための) 、交感神経様作用剤、コルチコステロイド、血管拡張剤 (突然聴覚消失を治療するための) 、遺伝子、ベクター、化学療法剤およびアデノウイルス型剤を包含する。
【0048】
薬学的活性剤の特定の例は下記のものを包含する: アセダプソン、アセジアスルホン、アコニアジド、アクロソキサシン、アミフロキサシン、アミカシン、アミノサリシレート、アミノサリチル酸、ベンズアミドサリシレート、フェニルアミノサリシレート、アモキシシリン、アモキシシリン三水和物、アンホマイシン、アンピシリン、アンピシリン三水和物、アパルシリン、アパラマイシン、アルベカシン、アルサニリン酸、アスポキシシリン、アストロミシン、アボパルシン、アジダムフェニコール、アジドシリン、アジトロマイシン、アズロシリン、アズトレオナム、バカンピシリンバシトラシン、バロフロクサシン、バンベルマイシン、ベカナマイシン、ベネタミンペニシリン、ベンザチンペニシリン、ベンザチンフェノキシメチルペニシリン、ベンジルペニシリン、ビアペネム、ブロジモプリム、カルシウムスルファロキセート、カプレオマイシン、カルバドックス、
【0049】
カルベニシリン、カルフェシリン、カリンダシリン、カルモナム、セファクロル、セファドロキシル、セファピリン、セファトリジン、セファゼドン、セフブペラゾン、セフカネルダロキセート、セフジニル、セフジトレン、セフェピメ、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノックス、セホジジム、セホニシド、セホペラゾン、セホラニド、セホタキシム、セホテタン、セホチアム、セホキシチン、セホゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフミピラミド、セフピロウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリル、セファレキシン、セファレキシン、セファロニウム、セファロリジン、
【0050】
セファロチン、セファマンドール、セファマンドールナフェート、セファマンドール、セファゾリン、セファゾリン、セフラジン、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミテート、クロラムフェニコールスクシネート、クロルキナルドール、クロルテトラサイクリン、シクラシリン、シラスタチン、シノキサシン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシンラクテート、クラリトロマイシン、クラブラン酸、クレミゾールペニシリン、クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシンパルミテート、クリオキノール、クロファジミン、クロホクトール、クロキサシリン、クロキサシリンベンザチン、クロキサシリン、クリスチン、クロシチンスルホメテート、Co-テトロキサジン、Co-トリファモール、Co-トリマジン、Co-トリモキサゾール、クランベリイ、
【0051】
シアセタジド、シクロセリン、ダプソン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、デメクロサイクリン、ジベカシン、ジシクロキサシリン、ジフロキサシン、ジヒドロストレプトマイシン、ジリトロマイシン、ドキシサイクリン、ドキシサイクリンホスファテックス、エノキサシン、エンラマイシン、エンロフロキサシン、エピシリン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストレート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンエチルスクシネート、エリスロマイシングルセプテート、エリスロマイシンラクトビオネート、エリスロマイシンプロピオネート、エリスロマイシンステアレート、エタムブトール、エチオナミド、フィブラシリン、フレロキサシン、フロモキセフ、フルクロキサシリン、フルクロキサシリン、フルクロキサシリン、フルメキニン、フルリスロマイシン、ホルモスルファチアゾール、ホスホマイシン、ホスミドマイシン、フラマイセチン、フラルタドン、フサルフンジン、フシド酸、ジエタノールアミンフシデート、
【0052】
ゲンタマイシン、グラミシジン、グレパフロキサシン、ハルキノール、ヘタシリン、ヘタシリン、ヘキサミン、ヘキサミンヒップレート、ヘキサミンマンデレート、ヒドラバミンフェノキシメチルペニシリン、イミペネム、イセパミシン、イソニアジド、ジョサマイシン、ジョサマイシンプロピオネート、カナマイシン、キタサマイシン、ラタモキセフ、レナンピシリン、レボフロキサシン、リンコマイシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、リメサイクリン、マフェニドアセテート、マガイニンス、マンデル酸、メシリナム、メクロサイクリンスルホサリシレート、メロペネム、メタンピシリン、メタサイクリン、メタニアジド、メチシリン、メトシジン、メチオプリム、メズロシシリン、ミクロノミシン、ミデカマイシン、ミノサイクリン、ミオカマイシン、モシマイシン、モリナミド、メタニアジド、メチシリン、メトシジン、メチオプリム、メズロシリン、
【0053】
ミクロノミシン、ミデカマイシン、ミノサイクリン、ミオカマイシン、モシマイシン、モリナミド、ムピロシン、ナジフロキサシン、ナフシリン、ナリジキシン酸、ネオマイシン、ネオマイシンウンデセノエート、ネチルミシン、ニフロキサジド、ニフルトニノール、ニフルジクル、ニシン、ニトロフラントイン、ニトロフラゾン、ニトロキソリン、ノルフロキサシン、ノシヘプチド、ノボビオシン、オフロキサシン、オレアンドマイシン、オキサシリン、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、パニペネム、パロモマイシン、ペフロキサシンメシレート、ペニメピサイクリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、フェノキシメチルペニシリンカルシウム、フェノキシメチルペニシリンカリウム、フタリルスルファチアゾール、ピペミジン酸、ピペラシリン、ピロミジン酸、
【0054】
ピブアンピシリン、ピブアンピシリン、ピブセファレキシン、ピブメシリナム、プリスチナマイシン、ポリミキシンB、プロカインペニシリン、プロピシリン、プロチオナミド、ピラジナミド、ラモプラニン、リボスタマイシン、リファブチン、リファンピシン、リファマイシン、リファペンチン、リファキシミン、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラミシン、ロキシスロマイシン、ルフロキサシン、スルファジアジン、シッソマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ステアリルスルファミド、ストレプトマイシン、スクシニルスルファチアゾール、スルバクタム、スルベニシリンナトリウム、スルファベンズアミド、スルファシチン、スルファジクラミド、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメチルチアゾール、スルファメトピラジン、スルファメトロール、スルファペリン、スルファキノキサリン、
【0055】
スルファスクシンアミド、スルフェナゾン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジメトキシム、スルファジミジン、スルファフラゾール、アセチルスルファフラゾール、スルファフラゾールジエタノールアミン、スルファグアニジン、スルファグアノール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、アセチルスルファメトキシピリダジン、スルファモキソール、スルファニルアミド、スルファピリジン、スルファソミジン、スルファチアゾール、スルファチアゾール、スルファトルアミド、スルファウレア、スルタミシリン、タルアンピシリン、タルアンピシリンナプシレート、タウロリジン、タゾバクタム、テイコプラニン、テマフロキサシン、テモシリン、テリジドン、テトラサイクリン、テトラサイクリンホスフェート複合体、テトロキソプリム、テノン酸、チアセタゾン、チアンフェニコール、
【0056】
チアンフェニコールグリシネート、チオカルリド、チオストレプトン、チカルシリン、チゲモナム、トブラマイシン、トブラマイシン、トスフロキサシン、トリアセチロレアンドマイシン、トリメトプリム、トロスペクトマイシン、トロバフロキサシン、チロシン、チロシンタートレート、チロトリシン、バンコマイシン、ビオマイシン、ビルギニアマイシンおよびキシボルノール (抗菌剤として); アドレナリン、アドレナリン酸タートレート、アドレナロン、アメジニウムメチルサルフェート、アンギオテンシンアミド、アルブタミン、バンブテロール、ビトルテロールメシレート、ブロキサテロール、ブフェニン、カルブテロール、クレンブテロール、クロナゾリン、クロルプレナリン、デノパミン、ジメプロピオン、ジメトフリン、ジピベフリン、ドブタミン、ドカルパミン、ドーパミン、ドーペキサミン、エホルモテロールフマレート、エフェドラ、エフェドリン、エタフェドリン、エチルノルアドレナリン、エチフェルミン、エチレフリン、
【0057】
フェノテロール、フェノキサゾリン、ゲペフリンタートレート、ヘキソプレナリン、ヘキソプレナリン、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、インダナゾリン、イソエタリン、イソエタリンメシレート、イソメテプテン、イソメテプテンムケート、イソプレナリン、イソキシスプリン、レボノルデフリン、マブテロール、メフェンテルミン、メフェンテルミン、メタラミノールタートレート、メトキサミン、メトキシフェナミン、メチルエフェドリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン酸タートレート、ノルフェネフリン、オクトドリン、オクトパミン、オルシプレナリン、オキセドリン、オキセドリンタートレート、オキシロフリン、オキシロフリン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエフリン酸タートレート、フェニルプロパノールアミン、ホレドリン、ピルブテロールアセテート、プレドナゾリン、プレナルテロール、
【0058】
プロカテロール、プロトキロール、シュードエフェドリン、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルブタモール、サルメテロールキナホエート、テルブタリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、トレトキノール、ツアミノヘプタン、ツロブテロール、チマゾリン、キサモテロール、キサモテロールフマレートおよびキシロメタゾリン (交感神経様作用剤として); アクリバスチン、アンタゾリン、アンタゾリンメシレート、アステミゾール、アザタジンマレエート、アゼラスチン、バミピン、ブロモジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミンマレエート、デキシブロムフェニラミンマレエート、ブクリジン、カルビノキサミンマレエート、セチリジン、クロルシクリジン、クロロピリレンシトレート、クロルフェニラミンマレエート、デキシクロルフェニイラミンマレエート、クロルフェノキサミン、シンナリジン、クレマスチンフマレート、クレミゾール、
【0059】
クロシニジン、シクリジン、シクリジンラクテート、シクリジンタートレート、シプロヘプタジン、デプトロピンシトレート、ジメンヒドリネート、ジメチンデンマレエート、ジメトチアジンメシレート、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミンシトレート、ジフェンヒドラミンジ(アセフィリネート) 、ジフェニルピラリン塩酸塩、ドキシルアミンスクシネート、エバスチン、エンブラミン、エメダスチン、エピナスチン、フルナリジン、ハロピラミン、ヒスタピロジン、ヒスタピロジン、ホモクロルサイクリジン、ヒドロキシエチルプロメタジンクロライド、ヒドロキシジンエンボネート、ヒドロキシジン、イソチペンジル、レボカバスチン、ロラタジン、メブヒドロリン、メブヒドロリンナパジシレート、メクロジン、メフェニドラミウムメチルサルフェート、メピラミン、メピラミンマレエート、メクイタジン、メタピリレンフマレート、メタピリレン、メトジラジン、
【0060】
ミゾラスチン、ニアプラジン、ノベラスチン、オキサトミド、オキソメマジン、フェニンダミンタートレート、フェニラミン、フェニラミンアミノサリシレート、フェニラミンマレエート、フェニルトロキサミンシトレート、ピメチキセン、ピプリンヒドリネート、プロメタジン、プロメタジンテオクレート、プロピオマジン、プロピオマジンマレエート、セタスチン、タジフィリン、テルフェナジン、テナリジンタートレート、テニルジアミン、チアジンアミウムメチルサルフェート、チエチルペラジン、チエチルペラジンマレエート、チエチルペラジンマレエート、トンジルアミン、トルプロパミン、トリメプラジンタートレート、トリメトベンズアミド、トリペレンナミンシトレート、トリペレンナミン、トリプロリジンおよびトリトキナリン (抗ヒスタミン剤として) 。
【0061】
ムスカリン剤および/またはオピオイド剤、例えば、抗コリンエステラーゼインヒビター、例えばネオスチグミンを耳鳴の治療に使用することができる。オピオイド剤はアゴニストであることができる。他の可能な活性剤は次の通りである: モルヒネ、DAMGO、ヘロイン、ヒドロモルホン、デルモルフィン、スピラドリン、U50,488、ジノルフィンA、DPDPE、デルトルフィン、DSLET、オキシモルホン、レボルファノール、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、プロポキシフェン、トラマドール、エトルフィン、EKC、メペリジンまたはそれらの薬学上許容される塩、プロドラッグおよび誘導体。
【0062】
好ましいオピオイドレセプターアゴニスト-アンタゴニストは、ブプレノルフィン、ブトルファノールペンタゾシンおよびナルブフィンを包含するが、これらに限定されない。また、ボツリヌス毒素ならびにベンゾジアゼピントランキライザー、例えば、バリウムおよびアルプラゾラムを使用することができる。 また、局所麻酔剤、例えば、リドカイン、テトラカイン、プリロカイン、ブピバカイン、メピバカイン、プロカインおよび/またはベンゾカインを使用することができる。ループ利尿剤、例えば、フロセミド、エタクリン酸およびブメタニドを耳鳴の治療に使用できることが等しく報告された。
【0063】
また、蝸牛神経機能障害およびメニエール病を軽減するために、前記ボツリヌス毒素を使用することができる。例えば、蝸牛疾患における神経細胞の損傷に有効な薬学的活性剤、ならびに抗ウイルス剤および浸透圧剤、例えば、塩またはグリセリンを本発明による装置において使用することもできる。
【0064】
耳の感染、例えば、耳炎は、アモキシシリン、アンピシリン、シプロフロキサシンとヒドロコルチゾンとの混合物で治療することができる。また、抗感染症剤、例えば、ヨウ素、アミノグルコシド、ペニシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、オフロキサシリン、ゲンタマイシン、セファゾリン、クリンダマイシン、テトラサイクリンおよびそれらのアナローグ、ならびに抗炎症剤、例えば、ステロイドおよび非ステロイドの抗炎症剤が普通に使用される。
【0065】
非ステロイドの抗炎症剤は、例えば、次のような化合物を包含する: プロピオン酸誘導体、例えば、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ミロプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ピルプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、アルミノプロフェン、ブクロキシン酸およびその他; 酢酸誘導体、例えば、アルクロフェナク、アセマタシン、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブフェナク、イソキセパク、フロフェナク、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジドメタラシン、テンクロフェナク、チオピナク、およびその他;
【0066】
フェナミン酸誘導体、例えば、フェナミン酸、フルフェナミン酸、ニフルミン酸、メクロフェナミン酸、トルフェナミン酸、およびその他; ビフェニルカルボン酸誘導体、例えば、ジフルニソール、フルフェニソール、およびその他; オキシカム誘導体、例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、およびその他; シクロスポリン、インドメタシン、およびナプロキセン。他の薬剤は、塩化カリウム、炭酸カリウム、およびその他を包含する。抗プロスタグランジンを使用することもできる。
【0067】
コルチコステロイドのいくつかの特定例は下記のものを包含する: アルクロメタゾンジプロピオネート、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベンダコルト、ベタメタゾン、ベタメタゾンアセテート、ベタメタゾンベンゾエート、ベタメタゾンジプロピオネート、ベタメタゾンバレレート、ブデソニド、シクロメタゾン、シプロシノニド、クロベタソールプロピオネート、クロベタソンブチレート、クロコルトロンピバレート、クロプレドノール、コルチゾンアセテート、コルチバゾール、デフラザコルト、デオキシコルトンアセテート、デオキシコルトンピバレート、デプロドン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンイソニコチネート、ジクロリゾンアセテート、ジフロラゾンジアセテート、ジフルコルトロンバレレート、ジフルプレドネート、ドモプレドネート、エンドリゾン、フルアザコルト、フルクロロロンアセトニド、フルドコルチゾンアセテート、フルメタゾン、
【0068】
フルメタゾンピバレート、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオコルトロンヘキサノエート、フルオコルトロンピバレート、フルオロメトロン、フルオロメトロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニソロン、フルランドレノロン、フルチカゾンプロピオネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンシピオネート、ヒドロコルチゾンヘミスクシネート、ヒドロコルチゾンナトリウムホスフェート、ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート、ヒドロコルチゾンバレレート、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニソロン、メチルプレドニソロンアセテート、
【0069】
メチルプレドニソロンヘミスクシネート、メチルプレドニソロンナトリウムスクシネート、モメタゾンフロエート、パラメタゾンアセテート、プレドニカルベート、プレドニソラメート塩酸塩、プレドニソロン、プレドニソロンアセテート、プレドニソロンヘミスクシネート、プレドニソロンヘキサノエート、プレドニソロンピバレート、プレドニソロンナトリウムメタスルホベンゾエート、プレドニソロンナトリウムホスフェート、プレドニソロンナトリウムスクシネート、プレドニソロンステアグレート、プレドニソロンテブテート、プレドニソン、プレドニソンアセテート、プレドニリデン、プロシノニド、リメキソロン、スプラレナールコルテックス、チキソコルトールピバレート、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンジアセテートおよびトリアムシノロンヘキサアセトニド。
【0070】
また、上に列挙した種々の疾患の治療において抗真菌剤および抗ウイルス剤を使用することは知られている。例えば、抗真菌薬剤は真菌性副鼻腔炎の治療のためにポリマーの中に混入され、そして抗炎症剤および抗感染症剤は慢性細菌性副鼻腔炎の治療のために混入される。抗真菌剤の例は、ニスタチン、グリセオフルビン、ロトリミン、マイコスタチン、ケトコナゾール、アンホテリシンBおよびそれらのアナローグであり、そして抗ウイルス剤の例は、イドキシウリジン、アマンタジン、ビダラビン、インターフェロン、アシクロビア、およびそれらのアナローグである。
【0071】
本発明による装置は、耳硬化症を治療するフッ化物または他の薬剤をさらに含有することができる。
本発明による耳科学的送達装置において使用できる他の薬学的活性剤は、尿素、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、リドカイン、キシロカイン、エピネフリン、免疫グロブリン、塩化ナトリウム、ステロイド、ヘパリン、ヒアウロニダーゼ、アミノグリコシド抗生物質 (ストレプトマイシン/ゲンタマイシン) 、酸化防止剤、ニューロトロフィン、神経増殖因子、種々の治療用ペプチドおよび多糖類を包含する。
【0072】
また、カルシウムチャンネル阻害剤、フリーラジカル捕捉剤、コルチコステロイド、グルタミン-N-メチル-D-アスパルテート (NMDA) のアンタゴニストおよび非NMDAレセプターおよび種々の血栓崩壊剤を聴力損失、耳鳴およびめまいの治療に使用できることが記載された。
鼻装置のために、抗喘息薬剤、例えば、なかでも、β2-アドレノセプターアゴニスト、抗ムスカリン剤、クロモグリケート、ロイコトリエン、キサンチンまたはコルチコステロイド型の抗喘息薬剤を使用することができる。
【0073】
上記リストから明らかなように、送達装置の位置において許容される低レベルの毒性を有する任意の薬学的活性剤を本発明による装置において使用することができる。こうして、上記リストは現在の特許請求の保護範囲を限定するものとして解釈すべきではない。当業者は、特定の目的に使用すべき1種または2種以上の活性剤の量および活性剤の特質ならびに活性剤の任意の混合物の特質を当然決定することができる。
【0074】
鼻装置に適当な適用は、例えば、繰返し起こるアレルギー性鼻炎のようなアレルギーである。耳科学的装置に適当な適用は、例えば、感音性聴力損失、突然聴覚消失、メニエール病および耳鳴である。これらの適用に適当な活性剤は、コルチコステロイド、ゲンタマイシンクラスの抗生物質、増殖因子および抗ウイルス剤である。
【0075】
送達装置の配置
耳科学的装置は、内耳または中耳の中の任意の適当な位置に配置することができる。また、それは部分的に外耳および部分的に中耳に配置することができる。外耳とは、ここにおいて耳介および外耳道を意味する。中耳とは、鼓膜、耳小骨およびエウスタキオ管を意味する。内耳は後および上の半円形管ならびに前庭、顔面および蝸牛の神経を意味する。
【0076】
送達装置は鼓膜を通して導入し、フィブリン接着剤または他の適当な物質で接着して配置することが好ましい。装置が分離するという予期せざる場合において、装置が害を与えない中耳腔の底部に装置はちょうど横たわる。丸窓ニッシェは多数の物質に対して透過性であることが特別に発見された。したがって、本発明による装置は、その少なくとも一部分を丸窓ニッシェ中に配置するために、好都合に造形し、大きさ決定される。
鼻装置は鼻甲介またはエウスタキオ管中に配置することができる。それは下鼻甲介中に配置することが好ましい。
【0077】
耳科学的装置は丸窓ニッシェ中に配置することが好ましい。丸窓は大よそ円筒形であるので、最大の放出表面は、直接的および平行した放出の両方のための、円筒のそれである。
1または2以上の装置を患者の耳または鼻 (1または2以上/鼻孔) に導入することができ、そしてこれらの装置は同一であるか、あるいは異なる活性剤を含有することができる。
下記の非限定的図面および実施例を参照して、本発明をいっそう詳細に後述する。
【0078】
図面の詳細な説明
第1図は本発明の第1態様に従う送達装置を図解し、前記装置はコア1を含んでなる。
第2図は本発明の第2態様に従う送達装置を図解する。この装置はコア1および膜2を含んでなり、前記膜は前記コアを包み、それに対して次に位置する。しかしながら、この図面において、明確さのために、膜2は多少コアからから離れて示されている。
第3図は、患者の耳の中に配置された本発明による装置を図解する。耳は断面図で示されている。この図面は、耳管3、鼓膜4、丸窓ニッシェ5、丸窓膜6および内耳7を示す。さらに、この図面は、丸窓膜付近に位置決定された送達装置8を示す。
【0079】
第4図は、患者の鼻の中に配置された本発明による送達装置を図解する。鼻は断面図で示されている。この図面は、上鼻甲介10、中鼻甲介11、下鼻甲介12およびエウスタキオ管9を示す。さらに、この図面は、下鼻甲介12におけるその使用位置にある送達装置13を示す。
第5図および第6図は下に詳述する。
この明細書において、特記しない限り、用語 「含んでなる」 は「含む」を意味する。すなわち、本発明を特定した特徴を含んでなると記載または規定したとき、同一の発明の種々の態様はまた追加の特徴を含むことができる。
【0080】
実験の部
実施例1
本発明による丸窓移植片で治療したモルモットの同側耳の外リンパ中の治療的活性剤ベクロメタゾンの濃度 (ng/mlまたはpg/μl) を測定した。
薬学的活性剤を含まないPDMS (プラシーボ) 、0.5 mgのベクロメタゾンを含むPDMS (低い投与量の移植片) 、0.5 mgのベクロメタゾンを含むPEO-PDMS (高い投与量の移植片) またはまったく治療しない (検出限界2.25 pg/μl) 移植片を使用した。種々の移植片の製造を後述する。
【0081】
低い投与量の移植片
ビニル-メチル-シロキサン中の39.4部の商用ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) 、0.4部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤、0.02部のエチニルシクロヘキサノールインヒビターおよび10 ppmのPt触媒 (反応種の) を2チャンバーミキサー中で混合した。60部 (重量) の薬剤を2チャンバーミキサー中で混合した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.14 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (0.8 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0082】
高い投与量の移植片
ビニル-メチル-シロキサン中の39.4部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、0.4部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤、0.02部のエチニルシクロヘキサノールインヒビターおよび10 ppmのPt触媒 (反応種の) を2チャンバーミキサー中で混合した。60部 (重量) の薬剤を2チャンバーミキサー中で混合した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.14 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (0.8 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0083】
プラシーボ
ビニル-メチル-シロキサン中の99.4部の商用ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) 、0.4部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤、0.02部のエチニルシクロヘキサノールインヒビターおよび10 ppmのPt触媒 (反応種の) を2チャンバーミキサー中で混合した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.14 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (0.8 mm) に切断した。
【0084】
各々が前述のエラストマー組成物の1つから成り、そして前述の量の治療剤を含むか、あるいは含まない、前述した本発明による装置を、モルモット (各群25匹) の同側耳の外リンパの中に、動物の右側の丸窓の中に導入したが、ただし各群中の1匹の動物を除外した。
ベクロメタゾンの放出を治療後、すなわち、装置の位置決定後第1日、第14日および第28日に測定した。すべてのPEO-PDMS移植片は第28日までに放出したが、5つのPDMS移植片のうちの1つは第28日に放出しないように見えた。こうして、丸窓ポリマー移植片からの薬剤が内耳流体の中へ放出されるという概念は証明された。
一般に、ベクロメタゾンの濃度は、PEO-PDMSポリマーを使用するとき、いっそう高かった。結果を下記表1に記載する。
【0085】
【表1】

【0086】
操作しなかった動物は、第1日および第14日に殺さなかった。第21日に、すべての5匹の動物を殺し、そしてベクロメタゾンの放出は存在しなかった。また、プラシーボを与えた動物において、ベクロメタゾンの放出は存在しなかった。この表において他の結果を見ることができ、そしてこれらの結果は第5図にさらに図解されている。第5図において、正方形は高い投与量の移植片を図解し、そしてロサンジ (losanges) は低い投与量の移植片を図解する。
さらに、鼻装置の放出速度をin vitro で研究した。この研究のために、下記の膜およびコアを製造し、次いで移植片を製造した。
【0087】
実施例2
30%のPEO-b-PDMS膜の製造
29部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、69部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) 、10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.03部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ2部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合した。この混合物を壁厚さ0.3 mmの管様形態に押出し、加熱により硬化した。
【0088】
コアの製造
19.7部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、19.7部のポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.02部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ0.6部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合し、そして60部の薬剤物質を添加した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.6 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (10 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0089】
移植片の製造
11 mmの膜をシクロヘキサンで膨潤させ、そしてコアを挿入した。シクロヘキサンを蒸発させ、そして端をシリコーン接着剤で閉じた。24時間後、端を切断して0.5 mmの端-カップを形成した。
【0090】
実施例3
25%のPEO-b-PDMS膜の製造
24部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、74部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.03部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ2部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合した。この混合物を壁厚さ0.3 mmの管様形態に押出し、加熱により硬化した。
【0091】
コアの製造
19.7部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、19.7部のポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.02部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ0.6部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合し、そして60部の薬剤物質を添加した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.6 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (10 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0092】
移植片の製造
11 mmの膜をシクロヘキサンで膨潤させ、そしてコアを挿入した。シクロヘキサンを蒸発させ、そして端をシリコーン接着剤で閉じた。24時間後、端を切断して0.5 mmの端-カップを形成した。
【0093】
実施例4
20%のPEO-b-PDMS膜の製造
19部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、79部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.03部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ2部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合した。この混合物を壁厚さ0.3 mmの管様形態に押出し、加熱により硬化した。
【0094】
コアの製造
19.7部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、19.7部のポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.02部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ0.6部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合し、そして60部の薬剤物質を添加した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.6 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (10 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0095】
移植片の製造
11 mmの膜をシクロヘキサンで膨潤させ、そしてコアを挿入した。シクロヘキサンを蒸発させ、そして端をシリコーン接着剤で閉じた。24時間後、端を切断して0.5 mmの端-カップを形成した。
【0096】
実施例5
10%のPEO-b-PDMS膜の製造
9部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、89部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.03部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ2部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合した。この混合物を壁厚さ0.3 mmの管様形態に押出し、加熱により硬化した。
【0097】
コアの製造
19.7部の商用ポリ(トリエチレンオキシド-b-デカ(ジメチルシロキサン))トリエチレンオキシドビニルエーテル末端 、19.7部のポリ(ジメチルシロキサン-co-ビニルメチルシロキサン) および10 ppmのPt触媒 (反応種の) および0.02部のインヒビター (エチニルシクロヘキサノール) 、ほぼ0.6部のポリ(水素メチルシロキサン-co-ジメチルシロキサン) 架橋剤を2ロールミル中で混合し、そして60部の薬剤物質を添加した。この混合物をダイに通して必要な寸法 (直径 (OD) 1.6 mm) に押出し、炉中で加熱により架橋した。コアを取出し、冷却し、必要な長さ (10 mm) に切断した。薬剤の含有率はHPLCアッセイに基づいて60 % (w/w) であった。
【0098】
移植片の製造
11 mmの膜をシクロヘキサンで膨潤させ、そしてコアを挿入した。シクロヘキサンを蒸発させ、そして端をシリコーン接着剤で閉じた。24時間後、端を切断して0.5 mmの端-カップを形成した。
【0099】
薬剤の放出試験
次のようにして、移植片からの薬剤の放出速度をin vitro で測定した:
移植片をステンレス鋼製ホルダーに垂直位置に取り付け、そして75 mlの溶解媒質を含有するガラスびんの中に移植片を有するホルダーを入れた。ガラスびんを震蘯水浴中で37℃において100 rpmで震蘯させた。前もって決定した時間間隔で溶解媒質を抜出し、新しい溶解媒質で置換し、そして放出された薬剤をHPLCにより分析した。シンク状態が試験の間に維持されるように、溶解媒質の濃度および媒質交換 (抜出しおよび置換) の瞬間を選択した。
【0100】
結果を第6図に図解する。第6図が示すように、放出速度は膜の特質に明らかに依存する。第6図において、ロサンジ (losanges) は実施例2の結果を図解し、正方形は実施例3の結果を図解し、三角形は実施例4の結果を図解し、そして星形は実施例5の結果を図解する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明の第1態様に従う送達装置を図解する。
【図2】図2は、本発明の第2態様に従う送達装置を図解する。
【図3】図3は、耳における本発明による送達装置を図解する。
【図4】図4は、鼻における本発明による送達装置を図解する。
【図5】図5は、実施例1の結果を図解する。
【図6】図6は、実施例2〜5の結果を図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成成分:
- 少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなるコア、前記コアはポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択されるエラストマー組成物から作られている、および
- 前記コアを包む膜、前記膜は前記コアと同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から作られており、前記エラストマー組成物はポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択される、
を含んでなり、薬学的活性剤が抗アレルギー剤、抗感染症剤、抗喘息剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、抗めまい剤、麻酔剤、オピオイド、血管拡張剤、ムスカリン剤、交感神経様作用剤、コルチコステロイドおよびそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置。
【請求項2】
前記エラストマー組成物がシロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなり、そして前記シロキサンをベースとするエラストマーにおいて、シロキサン単位のSi原子に結合した置換基の1〜49.5% が3,3,3-トリフルオロプロピル基であることを特徴とする、請求項1に記載の送達装置。
【請求項3】
前記エラストマー組成物がポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなり、そして前記ポリ(アルキレンオキシド) 基がケイ素-炭素結合によりポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端グラフトまたはブロックとしてまたはそれらの形態の混合物として存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の送達装置。
【請求項4】
前記ポリ(アルキレンオキシド) 基がポリ(エチレンオキシド) 基であることを特徴とする、請求項3に記載の送達装置。
【請求項5】
前記膜および前記コアが同一エラストマー組成物から作られていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項6】
前記膜および前記コアが異なるエラストマー組成物から作られていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項7】
それが耳科学的送達装置であること、およびエラストマー組成物がポリ(ジメチルシロキサン) と、ポリ(エチレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーとを含んでなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項8】
薬学的活性剤がデキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項9】
耳炎、急性感染、蝸牛および前庭の障害、めまい、メニエール病、突然聴覚消失、感音性聴力損失、耳鳴、動揺病、内リンパ水症、内リンパ高血圧、外リンパ高血圧、外リンパ水症、外リンパフィステル、蝸牛内フィステルおよび耳内の種々の膜構造の破壊から成る群から選択される耳科学的障害を治療するための請求項1〜8のいずれか一項に記載の送達装置。
【請求項10】
鼻炎症性障害、アレルギー反応、喘息および真菌感染から成る群から選択される鼻の障害を治療するための請求項1〜9のいずれか一項に記載の送達装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置を製作するためのエラストマー組成物の使用であって、前記エラストマー組成物はポリ(ジメチルシロキサン) 、シロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマー、ポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーおよびそれらの混合物から成る群から選択され、前記装置は前記少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなるコアと、前記コアを包む膜とを含んでなり、ここで前記コアは前記エラストマー組成物から作られており、そして前記膜は前記コアと同一であるか、あるいは異なるエラストマー組成物から作られており、前記膜の前記エラストマー組成物は前記群から選択され、ここで前記薬学的活性剤は抗アレルギー剤、抗感染症剤、抗喘息剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、抗めまい剤、麻酔剤、オピオイド、血管拡張剤、ムスカリン剤、交感神経様作用剤、コルチコステロイドおよびそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1種の薬学的活性剤を含んでなる耳科学的送達装置を製作するためのエラストマー組成物の使用。
【請求項2】
前記エラストマー組成物がシロキサン単位のSi原子に結合した3,3,3-トリフルオロプロピル基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなり、そして前記シロキサンをベースとするエラストマーにおいて、シロキサン単位のSi原子に結合した置換基の1〜49.5% が3,3,3-トリフルオロプロピル基であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記エラストマー組成物がポリ(アルキレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーを含んでなり、そして前記ポリ(アルキレンオキシド) 基がケイ素-炭素結合によりポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端グラフトまたはブロックとしてまたはこれらの形態の混合物として存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記ポリ(アルキレンオキシド) 基がポリ(エチレンオキシド) 基であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記膜および前記コアが同一エラストマー組成物から作られていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記膜および前記コアが異なるエラストマー組成物から作られていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記装置が耳科学的送達装置であること、およびエラストマー組成物がポリ(ジメチルシロキサン) と、ポリ(エチレンオキシド) 基を含んでなるシロキサンをベースとするエラストマーとを含んでなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
薬学的活性剤がデキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
耳炎、急性感染、蝸牛および前庭の障害、めまい、メニエール病、突然聴覚消失、感音性聴力損失、耳鳴、動揺病、内リンパ水症、内リンパ高血圧、外リンパ高血圧、外リンパ水症、外リンパフィステル、蝸牛内フィステルおよび耳内の種々の膜構造の破壊から成る群から選択される耳科学的障害を治療するための請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
鼻炎症性障害、アレルギー反応、喘息および真菌感染から成る群から選択される鼻の障害を治療するための請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−516558(P2006−516558A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500153(P2006−500153)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000018
【国際公開番号】WO2004/064912
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504058776)シエーリング オサケユイチア (4)
【Fターム(参考)】