説明

肝機能保護作用組成物

様々な原因で生じる肝機能の障害に対し、機能保護及び障害予防作用を有し、なおかつ安全性に優れた組成物を提供する。本発明者らは、セレンを含有しなくとも、酸化型補酵素Qに肝機能保護作用があること、さらに、還元型補酵素Qでは、より強い肝機能保護作用のあることを見出した。セレン含有量が0.01重量%未満である酸化型補酵素Q、または還元型補酵素Qを主成分とする組成物を用いることにより肝機能を保護することができる。本発明により、安全性の高い、健康の維持に優れた効果を発揮する組成物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、補酵素Qを含む肝機能保護作用組成物に関する。
【背景技術】
肝臓は生体の化学工場に例えられ、胆汁の生成、3大栄養素である炭水化物、蛋白質、脂肪の代謝調節・貯蔵、老廃物や有害物質の分解・解毒、造血・血液量の調節等生体に欠かせない多種多様の重要な働きを受け持っている重要な臓器である。ウイルス感染、アルコールの過剰摂取、薬物中毒、食生活の乱れ、ストレス、喫煙等により前述した機能は障害を受け、急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性脂肪肝、肝臓癌などの疾患に至る。
肝細胞がウイルス、アルコール、薬物などで障害を受けると、細胞中のグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(以下GOTと略記する。)やグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(以下GPTと略記する。)などの酵素が血液中に漏れ出てくるため、これらの血液中における酵素活性が上昇する。従って、血液中のこれらGOT、GPT活性は肝臓の機能障害を示す指標として広く一般に用いられている。
肝機能障害の予防または治療に使用される薬剤としては、抗ウイルス剤、免疫抑制剤、グルタチオン等が知られている。また、肝機能の保護・増強・改善に有効とされる飲食品としては、ウコン、セサミン、マリアアザミ、ゴマリグナンなどが知られている。
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分であり、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として存在していることが知られている。補酵素Qは、ミトコンドリア内において酸化と還元を繰り返すことで電子伝達系における伝達成分としての機能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸化作用を示すことが知られている。ヒトでは、補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ、補酵素Q10が主成分である。
補酵素Q10の重要な特徴として、その安全性が高いことが挙げられる。ラットに対する慢性毒性試験では、1200mg/Kg/日、52週間の連日投与でも、全く毒性的影響はなかったことが報告されている(K.D.Williams,et al,J.Agric.Food Chem.,47 3756−3763,1999.)。1200mg/kgは、ヒト(体重50Kg)に換算すると、60g/日となり、健康食品として欧米で用いられている補酵素Q10の常用量が100〜300mg/日であるので、補酵素Q10の安全性には全く問題がないことが判る。
酸化型補酵素Q10が、日本ではうっ血性心不全薬として、欧米では健康食品として広く用いられている。補酵素Q10の肝機能保護に関連した使用例としては、酸化型補酵素Q10のラットへの腹腔内投与による四塩化炭素で惹起される肝機能障害の抑制効果(T.Takahashi,et al,Biol.Pharm.Bull.,19 1005−1012,1996.)、酸化型補酵素Q10と0.01〜0.1重量%のセレンとを含んだ肝臓疾患のための医薬処方(特開平11−199477号公報)等の報告があるが、実質的にセレンを含まず酸化型補酵素Q10を含む組成物を経口摂取した際の肝機能障害に対する保護作用及び還元型補酵素Q10の摂取による肝機能障害に対する保護作用は知られていない。
還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10が還元された物質であるが、空気中で容易に酸化を受け、酸化型補酵素Q10に変換されるために製品としての使用は、従来行われてこなかった。我々は、以前に酸化型補酵素Q10単独に比較して、還元型補酵素Q10を混合することにより、補酵素Q10トータルとしての経口吸収性が高まることを見出した(特開平10−109933号公報)が、肝機能保護作用に関して還元型補酵素Q10が酸化型型補酵素Q10に比較して優れた効果を示すかどうかは明らかではなかった。
【発明の開示】
本発明の目的は、肝機能保護作用を有し、なおかつ安全性に優れた物質を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく研究した結果、セレンを含有しなくとも、酸化型補酵素Qに肝機能保護作用があること、さらに、還元型補酵素Qでは、酸化型補酵素Qより強い肝機能保護作用のあることを見出した。
すなわち、本発明は下記式(1);

(式中、nは1〜12の整数を表す)で表される還元型補酵素Qを含む肝機能保護作用組成物に関する。
一側面では、本発明は、上記還元型補酵素Qを有効成分とする肝機能保護剤を提供する。
また、本発明は、下記式(2);

(式中、nは1〜12の整数を表す)で表される酸化型補酵素Q、およびセレンを含む肝機能保護作用組成物であって、セレンの含有量が0.01重量%未満である肝機能保護作用組成物に関する。
一側面では、上記本発明は、また、酸化型補酵素Qを有効成分とする肝機能保護剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ラット血漿中のGPT活性の経時的な変化を表した折れ線グラフである。縦軸は、血漿中のGPT活性を示している。横軸は四塩化炭素投与からの経過時間を示している。データは、溶媒対照群、還元型補酵素Q10(約2%の酸化型補酵素Q10を含む)群、酸化型補酵素Q10群を表している。n=4の平均値±標準誤差で示した。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、肝機能の保護とは、肝機能を各種障害から保護する作用及び肝機能を障害から予防する作用を意味する。上記の肝機能の保護の例として、例えば四塩化炭素の投与による血中GPT、GOT活性の上昇を抑えることが挙げられる。
補酵素Qは、下記式(1);

(式中、nは1〜12の整数を表す)、および下記式(2);

(式中、nは1〜12の整数を表す)で表される。式(1)は還元型補酵素Qであり、式(2)は酸化型補酵素Qである。酸化型補酵素Qおよび還元型補酵素Qを得る方法としては特に限定されず、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Qを得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の酸化型補酵素Q区分あるいは還元型補酵素Q区分を濃縮する方法などを採用することが出来る。酸化型補酵素Qを得たい場合には、公知の方法により得ることができる(例えば、特開昭53−38690号公報参照)。還元型補酵素Qを得る場合には、必要に応じて上記酸化型補酵素Qに対し、水素化ほう素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)等の一般的な還元剤を添加し、常法により上記酸化型補酵素Qを還元して還元型補酵素Qとした後にクロマトグラフィーによる濃縮を行っても良い。また、既存の高純度酸化型補酵素Qに上記還元剤を作用させる方法によっても還元型補酵素Qを得ることが出来る。
本発明で使用できる補酵素Qは、前記式(1)および式(2)で表されるように、側鎖の繰り返し単位(式中n)が1〜12のものを使用することが出来るが、なかでも側鎖繰り返し単位が10のもの、すなわち補酵素Q10が特に好適に使用できる。ヒトでは、補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ補酵素Q10が主成分だからである。
本発明の肝機能保護作用組成物(以下本発明の組成物という)は、一側面では、還元型補酵素Qを含む組成物である。一側面では、本発明の組成物は、酸化型補酵素Qおよびセレンを含み、セレンの含有量が0.01重量%未満である組成物である。
本発明の還元型補酵素Qを含む組成物において、還元型補酵素Qの含有量としては、0.001〜99重量%が望ましい。更に望ましくは0.01〜20重量%である。
本発明の酸化型補酵素Qおよびセレンを含む組成物であって、セレンの含有量が0.01重量%未満である組成物において、酸化型補酵素Qの含有量としては、0.001〜99重量%が望ましい。更に望ましくは、0.01〜20重量%である。
還元型補酵素Qを含む組成物は、酸化型補酵素Qをさらに含んでもよい。この場合、補酵素Q全体に対する還元型補酵素Qの含有量は特に制限はないが、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がとりわけ好ましい。
本発明の酸化型補酵素Qを含む組成物は、セレンを含有しなくとも肝機能保護作用を有する。セレンの含有量としては、0.01重量%未満が好ましく、0.001重量%未満がより好ましい。
セレンの含有量が少ないまたはセレンを含まない組成物は、セレンによる生体への望ましくない影響が小さい点で有利である。
組成物中のセレン含有量は以下に示す方法で測定することができる。試料の適量をチューブに採り、10mlの濃硝酸を加え、室温下で一晩放置する。チューブの温度を130℃まで徐々に上げ、茶色のガスを発生させ、液量が1mlになるまでそのまま温度を維持する。その後、チューブの温度を室温に戻し、3mlの過塩素酸を加える。チューブの温度を150℃まで徐々に上げ、二酸化窒素の茶色のガスから過塩素酸の白色のガスの発生に変わり、液量が1〜2mlになるまで温度を維持する。その後、チューブの温度を室温まで戻し、6Nの塩酸を2ml添加する。それを130℃で1時間処理する。上記の処理サンプルに6Nアンモニア溶液を加え、pHを1〜2に調整する。0.1%ジアミノナフタレン(DAN)溶液と50℃で20分間反応させたて、シクロヘキサンで抽出する。シクロヘキサン相に含まれるセレン−ジアミノナフタレン複合体を分光蛍光分析(励起波長380nm、蛍光波長520nm)により測定し、試料中のセレン含量を算出する。
組成物中の還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10含量は以下に示す方法で測定することができる。試料50mgに水0.1ml、メタノール0.4ml、ヘキサン0.6mlをこの順で加える。これを約30秒間激しく振とうし、その後遠心分離により二層に分離する。有機溶媒層を定容量分取し、窒素ガスを用いて直ちに蒸発乾固させる。これに0.2mlのエタノールを添加し、定量分析用サンプルとする。還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10の定量分析は以下の条件に従い、高速液体クロマトグラフィーを用いて実施する。
カラム:長さ25cm、直径4.6mm、YMC−PACK ODS−A(株式会社ワイエムシィ製)
移動相:メタノール:ヘキサン(85:15、v/v)
検出波長:290nm
流速:1.0ml/min
本発明の組成物は、医薬品製剤、機能性食品、食品素材、あるいは動物用飼料などに使用することができる。ここでいう機能性食品とは、経口サプリメント、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品など医薬品以外で経口的に摂取することにより、健康の維持あるいは改善を目的とする製品を意味している。
本発明の組成物を作製する際の補酵素Qの含有量、剤型、保存方法および保存形態は、医薬品製剤、健康食品、食品、動物用医薬品、動物用飼料などの用途に応じて適宜決定できる。
本発明の組成物を含む医薬品製剤の、剤型としては特に限定されず、例えば、液剤であってもよく、粉末剤であってもよく、結合剤を加えて顆粒剤としてもよく、粉末をコーティング剤でコーティングしてもよく、粉末剤あるいは顆粒剤、あるいはコーティング剤をカプセルに充填してカプセル剤としてもよい。上記液剤としては特に限定されず、例えばドリンク剤、注射剤、点滴用剤などがあげられる。また、天然油、油状の高級脂肪酸、高級脂肪酸モノグリセライド、界面活性剤またはこれらの混合物などを加え、油状のまま充填してソフトカプセル剤とすることもできる。この場合においては、ゼラチンを主体としたものまたはその他の水溶性高分子物質を主体としたもの等を使用することもできる。また、このようなカプセルにはマイクロカプセルも含まれる。
本発明の組成物または医薬品製剤の投与形態は液状、固体状のいずれの形態であってもよく、投与方法は、経口、注射、点滴、坐剤による投与、本発明の組成物含有食品を食する、など様々な方法を用いることができる。一般的には、簡便に摂取出来ることから、経口投与することが好ましいが、経口投与が困難である場合など、経口以外、例えば注射などの投与方法で本発明の組成物を投与することは何ら問題はない。
本発明の組成物は、更には、従来用いられている肝機能保護作用を有する食品類に補酵素Qを含有させることもできる。
これらの組成物のうち、還元型補酵素Qを含む肝機能保護用組成物中には、還元型補酵素Qを酸化から防護するために抗酸化剤を添加することが望ましいが、剤型によっては、添加しなくてもよい場合もある。この時に用いることが出来る抗酸化剤としては、クエン酸、クエン酸誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、リコペン、ビタミンA、カロテノイド類、ビタミンB、ビタミンB誘導体、フラボノイド類、ポリフェノール類、グルタチオン、セレン、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンE,ビタミンE誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン還元酵素、カタラーゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらの組成物のうち、還元型補酵素Qを含む肝機能保護用組成物中には同様に酸化防止の観点から、キレート剤を用いることも出来る。この時に用いることの出来るキレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸およびその塩、エチレンジアミンジ酢酸およびその塩、ヒドロキシイミノジ酢酸およびその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸およびその塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸およびその塩、ニトリロトリ酢酸およびその塩、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸およびその塩、ジカルボキシメチルグルタミン酸テトラナトリウム塩、ジヒドロキシメチルグリシン、1、3−プロパンジアミンテトラ酢酸およびその塩、1、3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラ酢酸およびその塩、グルコン酸ナトリウム塩、ヒドロキシエチルイデンジホスホン酸、ニトリロトリス、ホスホノブタントリカルボン酸、およびこれらの混合物が挙げられる。更に、以上の抗酸化剤とキレート剤を併用することもできる。
本発明の組成物には、更に、上記補酵素Qの他に薬剤学的および食品衛生学的に許容される他の素材を常法により適宜添加混合してもよい。このようなものとしては特に限定されず、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、健康食品素材、栄養補助食品素材、ビタミンなどが挙げられる。
上記賦形剤としては特に限定されず、例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。上記崩壊剤としては特に限定されず、例えば、澱粉、寒天、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、トラガント等が挙げられる。上記滑沢剤としては特に限定されず、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が挙げられる。上記結合剤としては特に限定されず、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガント、シェラック、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ソルビトール等が挙げられる。上記コーティング剤としては特に限定されず、アラビアゴム、オパドライ、カゴソウ、カスターワックス、カルボキシビニルポリマー、カルメロース、含水二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、酢酸ビニル樹脂、ステアリン酸、セタノール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記着色剤としては特に限定されず、例えば、医薬品あるいは食品に添加することが許可されているものなどを使用することができる。上記凝集防止剤としては特に限定されず、例えばステアリン酸、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ酸などが挙げられる。上記吸収促進剤としては特に限定されず、例えば高級アルコール類、高級脂肪酸類、グリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤などが挙げられる。上記溶解補助剤としては特に限定されず、例えばフマル酸、コハク酸、りんご酸などの有機酸などが挙げられる。上記安定化剤としては特に限定されず、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチルなどが挙げられる。上記健康食品素材としては特に限定されず、肝機能保護作用を有する食品類(例えば、フラバンジェノール、ウコン、セサミン、マリアアザミ、ゴマリグナンなど)、漢方薬(例えば、胃苓湯、温経湯、温清飲、黄耆建中湯、黄連解毒湯、黄連湯、葛根湯、加味帰脾湯、加味逍遙散、甘麦大棗湯、桔梗湯、帰脾湯、九味檳榔湯、荊芥連翹湯、桂皮加芍薬大黄湯、桂皮加芍薬湯、桂皮加竜骨牡蛎湯、桂枝湯、桂枝人参湯、桂枝茯苓丸、啓脾湯、香蘇散、五虎湯、五積散、牛車腎気丸、五淋散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂皮乾姜湯、柴胡桂枝湯、柴胡清肝湯、柴朴湯、柴苓湯、酸棗仁湯、滋陰降火湯、四逆散、四君子湯、四物湯、炙甘草湯、芍薬甘草湯、十全大補湯、十味敗毒湯、小建中湯、小柴胡湯、小青竜湯、消風散、辛夷清肺湯、神秘湯、真武湯、清上防風湯、清暑益気湯、清心蓮子飲、清肺湯、疎経活血湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、大建中湯、大柴胡湯、大柴胡湯去大黄、大承気湯、大防風湯、治打撲一方、調胃承気湯、釣藤散、腸癰湯、猪苓湯、猪苓湯合四物湯、通導散、桃核承気湯、当帰飲子、当帰建中湯、当帰芍薬散、当帰湯、二陳湯、女神散、人参湯、人参養栄湯、排膿散及湯、麦門冬湯、八味地黄丸、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、白虎加人参湯、茯苓飲、茯苓飲合半夏厚朴湯、平胃散、防巳黄耆湯、防風通聖散、補中益気湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、麻杏甘石湯、麻子仁丸、木防已湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、六君子湯、立効散、竜胆瀉肝湯、苓甘姜味辛夏仁湯、六味丸など)、茶葉(例えば、緑茶、玄米茶、抹茶、煎茶、ほうじ茶、焙茶、ジャスミン茶、ウーロン茶、紅茶、黒茶、花茶、青茶、白茶、など)、ハーブ(例えばイタリアンパセリ、エリキャンペーン、オリーブ、オレガノ、カールドン、カモミール、カレープラント、キャットニップ、キャラウェイ、クリスマスローズ、クリムソンクローバ、コーンフラワー、コモンマロウ、サラダバーネット、サントリナ、シナモン、ジャスミン、ステビア、セージ、セイヨウボダイジュ、センテッドゼラニウム、セントジョーンズワート、ソープワート、ソロモンズシール、タイム、タンジー、チャービル、チャイブ、ナスタチウム、ナツメ、バジル、ハニーサックル、ヒソップ、フラックス、フェンネル、フォックスグローブ、ブラックリーホーリーホック、フレンチマリーゴールド、ベトニー、ヘリオトロープ、ベルガモット、ヘンプアグリモニー、ヘンルーダ、ポットマリーゴールド、ボリジ、ホワイトホアハウンド、マートル、マーレイン、マジョラム、ミント、ヤロウ、ラベンダー、レディースベッドストロー、レモングラス、レモンバーベナ、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ロケット、ワイルドストロベリー、ワイルドパンジー、わすれな草など)、プロポリス、イチョウ葉、青汁およびこれらの抽出物などが挙げられる。上記健康食品素材は、肝機能保護作用を有する食品類、例えば、フラバンジェノール、ウコン、セサミン、マリアアザミ、ゴマリグナンなどが好ましい。上記栄養補助食品素材としては特に限定されず、アミノ酸類、金属イオン類、蛋白質類、糖類、脂肪酸類、酵母抽出物、野菜抽出物、魚肉抽出物、果実、果実抽出物などが挙げられる。上記ビタミンとしては特に限定されず、ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC、ピロロキノリンキノンなどが挙げられる。
本発明で得られる組成物を適宜用いることで、哺乳動物、例えばヒト及び動物の肝機能を有効に保護することができる。
【実施例】
以下に実施例及び製剤例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および製剤例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
四塩化炭素による肝障害モデルを用いて補酵素Q10の障害保護及び予防効果を評価した。SD系ラット(6週齢、雄)に、酸化型補酵素Q10あるいは還元型補酵素Q10(但し、約2%の酸化型補酵素Q10を含む)の大豆油溶液を100mg/kgの投与量で経口投与した。それから約16時間後に頚静脈から抗凝固剤としてヘパリンを用いて採血を行い、その1時間後に50%四塩化炭素(ナカライテスク社製)/オリーブオイル(和光純薬工業社製)を2.0ml/kgの投与量で腹腔内に投与した。四塩化炭素投与から24、48、72時間後に採血を行った。採取した血液を遠心分離し、血漿を得た。得られた血漿中のGPT活性をトランスアミナーゼCII−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。
第1図はラット血漿中のGPT活性の測定結果を示したものである。四塩化炭素投与から24時間後の血漿中のGPT活性は,溶媒対照群に比較して、酸化型補酵素Q10投与群では約60%に、また還元型補酵素Q10投与群では約25%に抑制された。このように溶媒対照群、酸化型補酵素Q10投与群、還元型補酵素Q10投与群の順に血漿中のGPT活性が低くなる傾向は48時間後、72時間後においても観察された。以上の結果から補酵素Q10の投与により肝機能障害が抑制されることが判る。また、還元型補酵素Q10の投与は酸化型補酵素Q10の投与よりも強く肝機能障害を抑制することが判る。
(製剤例1)
オリーブオイルを60℃に加温し、同様に60℃で溶融した補酵素Q10(還元型補酵素Q10:酸化型補酵素Q10=85:15)を加え溶解した。これにビタミンEを少しずつ加えて均質とし、常法によりソフトカプセル化した。1カプセル中に補酵素Q10として20mgを含有するソフトカプセル製剤を得た。
補酵素Q10 20重量部
ビタミンE 15重量部
オリーブ油 350重量部
(製剤例2)
補酵素Q10(還元型補酵素Q10:酸化型補酵素Q10=85:15)をアセトンに溶解し、次いでこれを結晶セルロース(微粉末)に吸着させた後、乾燥した。これをコーンスターチと混合し、常法により散剤とした。
補酵素Q10 10重量部
結晶セルロース 40重量部
コーンスターチ 55重量部
(製剤例3)
補酵素Q10(還元型補酵素Q10:酸化型補酵素Q10=85:15)をアセトンに溶解し、次いでこれを結晶セルロース(微粉末)に吸着させた後、乾燥した。これにコーンスターチ、乳糖、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウムを混合し、次いでポリビニルピロリドンの水溶液を結合剤として加えて常法により顆粒化した。これに滑沢剤としてタルクを加えて混合した後、1錠に補酵素Q10を20mg含有する錠剤に打錠した。
補酵素Q10 20重量部
コーンスターチ 25重量部
乳糖 15重量部
カルボキシメチルセルロースカルシウム 10重量部
結晶セルロース 40重量部
ポリビニルピロリドン 5重量部
ステアリン酸マグネシウム 3重量部
タルク 10重量部
(製剤例4)
下記成分を常法により顆粒化した後、ゼラチン硬カプセルに充填した。1カプセル中に補酵素Q10を20mg含有するカプセル剤を得た。
補酵素Q10(還元型補酵素Q10:酸化型補酵素Q10=85:15)20重量部
結晶セルロース 40重量部
コーンスターチ 20重量部
乳糖 62重量部
ステアリン酸マグネシウム 2重量部
ポリビニルピロリドン 3重量部
(製剤例5)
オリーブオイルを60℃に加温し、同様に60℃で溶融した酸化型補酵素Q10を加え溶解した。これにビタミンEを少しずつ加えて均質とし、常法によりソフトカプセル化した。1カプセル中に酸化型補酵素Q10を20mg含有するソフトカプセル製剤を得た。
酸化型補酵素Q10 20重量部
ビタミンE 15重量部
オリーブ油 350重量部
【産業上の利用可能性】
本発明により、安全性が高く、肝機能障害を予防、低減することが可能な組成物を提供することができる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1);

(式中、nは1〜12の整数を表す)で表される還元型補酵素Qを含む肝機能保護作用組成物。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の組成物であって、還元型補酵素Qが還元型補酵素Q10である肝機能保護作用組成物。
【請求項3】
請求の範囲第1項または第2項記載の肝機能保護作用組成物であって、還元型補酵素Qの含有量が0.001〜99重量%である組成物。
【請求項4】
健康食品素材をさらに含有する請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の医薬品製剤。
【請求項6】
粉末剤またはカプセル剤の形態である、請求の範囲第5項の医薬品製剤。
【請求項7】
ドリンク剤、注射剤または点滴用剤の形態である、請求の範囲第5項の医薬品製剤。
【請求項8】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の機能性食品。
【請求項9】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の動物用飼料。
【請求項10】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物を、哺乳動物に投与することを含む哺乳動物の肝機能を保護する方法。
【請求項11】
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物を、哺乳動物に経口投与することを含む哺乳動物の肝機能を保護する方法。
【請求項12】
下記式(2);

(式中、nは1〜12の整数を表す)で表される酸化型補酵素Q、およびセレンを含む肝機能保護作用組成物であって、セレンの含有量が0.01重量%未満である肝機能保護作用組成物。
【請求項13】
請求の範囲第12項に記載の肝機能保護作用組成物であって、経口投与用の組成物。
【請求項14】
請求の範囲第12項または第13項記載の組成物であって、酸化型補酵素Qが酸化型補酵素Q10である肝機能保護作用組成物。
【請求項15】
請求の範囲第12項〜第14項のいずれかに記載の肝機能保護作用組成物であって、酸化型補酵素Qの含有量が0.001〜99重量%である組成物。
【請求項16】
さらに健康食品素材をさらに含有する請求の範囲第12項〜第15項のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
請求の範囲第12項〜第16項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の医薬品製剤。
【請求項18】
顆粒剤、粉末剤またはカプセル剤の形態である、請求の範囲第17項の医薬品製剤。
【請求項19】
ドリンク剤、注射剤または点滴用剤の形態である、請求の範囲第17項の医薬品製剤。
【請求項20】
請求の範囲第12項〜第16項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の機能性食品。
【請求項21】
請求の範囲第12項〜第16項のいずれかに記載の組成物を含む、肝機能保護用の動物用飼料。
【請求項22】
請求の範囲第12項〜第16項のいずれかに記載の組成物を、哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の肝機能を保護する方法。

【国際公開番号】WO2005/051370
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515747(P2005−515747)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016485
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】