説明

肝疾患予防及び治療用生薬組成

【課題】肝疾患の予防及び治療に有効な薬草組成物の提供。
【解決手段】カワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケの薬草からなり、更に加えてアシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選ばれた少なくとも一つの薬草を含む併合薬草組成、及び肝臓保護薬としての上記生薬組成及び薬剤組成の使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝疾患の予防及び治療への要請にしたがって、カワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケ薬草抽出物を含む生薬組成と肝臓保護薬としてのこの生薬組成及び薬剤組成の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肝疾患は、現在種々の好ましくない環境、例えば汚染物質、飲み過ぎ、タバコなどのような有害物質、そしてまた、休息により回復できるけれども、免疫系疾患のような他の病気を起こし易い生理的ストレスに曝されたヒトで最もよく起こる病気の一つである。四塩化炭素、D−ガラクトサミンなどのような有害物質は、細胞膜損傷に起因して肝臓及び腎臓に有害となることが報告されている。(ブルーカー、ジェイブイ、ファンダメンタルアンドアプライドトキシコロジー(Fund. Appl. Toxicology)、6巻、16−34頁、1986年)。
【0003】
遊離基再生禁止作用を持つ天然物資源から導かれた幾つかの薬剤が今まで報告されている。例えばキク科に属するミルクシッスル(マリアアザミ)の果実から単離のシリマリン(SLD)、チョウセンゴミシなどから単離された五味子の合成類似体のBBD(ビフェニルジメチルジカルボン酸エステル)がある。(カラジー、エイビー(Caragy A.B.)、フードテクノロジー(Food Technolgy)、46巻、65−68頁、1992年;リアンジュン、ワイ等(Liang jun, Y. et al.)、バイオケイミストリーアンドバイオフィジック リサーチコミュニケーション(Biochem. And Biophsy. Res. Comm.)、212巻、360―366頁、1995年)。
【0004】
しかしながら、これまで肝疾患の治療と予防或いは肝機能改善に有効且つ安全な薬剤開発が要請されてきた。
【0005】
キク科に属するカワラヨモギの薬草であるカワラヨモギ薬草、ハマヨモギなどは、スコパロン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ピネン、カピリン、カピレン、カプラリン、ステアリン酸、パルミチン酸などを含み、黄疸や皮膚炎などの治療が報告されている。最近この植物のエタノール可溶抽出物が肝損傷及び肝細胞の脂質過酸化を抑制することが報告された。(木村等(Kimura, Y. et al)、ケミカルファルマスーティカルブレティン(Chem. Pharm. Bull.)、33巻(5号)、2028−2034頁、1985年)。
【0006】
キク科に属するオオバナオケラ根茎のソウジュツなどは、アトラクチロン、アトラクチロールなどを含むことが報告され、関節リュウマチ、下痢、食欲不振などの治療に使用されている。昔から中国では気付け薬として用いられてきた。(チェン、ゼットエル等(Chen, Z. L. et al.)プランタメディカ(Planta Med )、53巻、493頁、1987年;チェン、ゼットエル等(Chen, Z. L. et al.)、フィトケミストリー(Phytochemistry)、45巻(4号)、765頁、1997年)。
【0007】
ツメレンゲ薬草であるオロスタキス薬草、アオノイワレンゲなどは、ベンケイソウ科に属し、喀血、マラリアなどの治療に用いられた。
【0008】
サルノコシカケ科に属するキノコのカワラタケは、エルゴステロール、コリオラン、クレスチン−D−グルカン、テレホール酸などを含むことが報告されている。最近このキノコが間接的に免疫機構を活性化してガン細胞の成長を抑制することが報告された。(キム、ビーケイ等(Kim, B.K. et al.)シンガポールアーカイブファルマシューティカルリサーチ(Sing. Arch. Pharm. Res.)、2巻、153頁、1979年)。
【0009】
サルノコシカケ科に属するキノコのチョレイマイタケは、エルゴステロール、エルゴスタ−4、6、8(14)、22−テトラエンー3−オン、2−ヒドロキシテトラコサン酸、ビチオンなどを含有することが報告されている。最近このキノコが抗ガン活性、抗菌活性及び肝機能の改善効果を示すことが報告された。(ハ、ワイディー等(Ha, Y.D. et al.)、コリアンジャーナルオブポストハーベストサイエンスアンドテクノロジー(Korean J. Postharvest Sci. Technol.)、8巻(4号)、481頁、2001年)。
アンゲリカ属に属するアシタバの栽培薬草であるアシタバ薬草はビタミンB1、B2、B6、B12、カルシウム、鉄、リンなどを含むことが報告され、糖尿病、倦怠感、高血圧などの防止での使用されている。
オモダカ科に属するサジオモダカ根茎のタクシャなどはアリソールA,B、エピアリソールA,アルカロイドなどを含むことが報告され、下痢、嘔吐などの治療での使用されている。
【0010】
モクレン科に属するカラホオ樹皮のコウボク、ホオノキなどは、マグノロール、ホオノキオール、マグノフロリン、アノナイン、精油などを含むことが報告され、咳、胃ガン、嘔吐などの治療での使用されている。
マメ科に属するウラルカンゾウの根である甘草などは、グリシルリジンのようなトリテルペノイドサポニン、リキリチン、ネオリキリチン、ネオイソリキリチンなどのような幾つかのフラボノイドを含むことが報告され、咳、胃潰瘍、高血圧などの治療での使用されている。
【0011】
生姜科に属する生姜の根茎であるジンガーなどは、ジンジベーロール、ジンギベレン、フェランドレン、カンフェン、シトラール、リナロール、メチルヘプテノン、ジンジェロールなどを含むことが報告され、咳、胃潰瘍、高血圧などの治療での使用されている。
サルノコシカケ科に属するマツホドの白部であるブクリョウは、パキマン、ブクリョウ酸、エルゴステロール、ヒスチジンなどを含み、細菌感染、不安感、嘔吐などの治療での使用が報告されている。
【0012】
ハラタケ科に属するヒメマツタケ全体のアガリカス茸はセレビステロール、エルゴステロール、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、キチングルカン、グルコマンナンなどを含むことが報告され、癌、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの治療での使用されている。
【0013】
しかしながら、肝疾患に対する上記薬草抽出物の併合治療効果について、上に引用したいずれの文献にも報告も開示もされていない。上述引用文献は、ここに参照することによって本願に含める。
【0014】
それ故本発明者達は、肝臓保護効果を増強するのに有効な薬草処方を見出すため、上記の併合薬草抽出物の薬剤効果の研究を試み、ついに本発明者達は上記併合生薬が肝臓保護薬として肝疾患の治療と予防に有効であることを見出した。
【発明の開示】
【0015】
一様態では、本発明は肝疾患の予防及び治療用のカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケの併合薬草抽出物を含む薬剤組成を提供する。
【0016】
本発明は又、薬剤的に容認される担体を一緒にして、活性成分として肝疾患の予防と治療に有効な量の上記抽出物を含む薬剤組成を提供する。
本発明は又上記抽出物の有効量を薬剤的に容認される担体と一緒に哺乳類に投与して、哺乳類の肝細胞を保護する事によって肝疾患を治療する方法を提供する。
本発明は又、ヒト又は哺乳類の肝疾患の治療又は予防に用いる薬物調合及び製造に上記抽出物の使用を提供する。
【0017】
本発明は又、食品的に容認される添加物と一緒にして、肝疾患の予防と改善に有効な量、活性成分として肝細胞を保護し肝疾患の保護と改善用の上記抽出物を含む健康機能食品を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0018】
従って、本発明の目的は、薬剤的に容認される担体と一緒にして、活性成分として肝疾患予防及び治療用に有効量のカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケの併合薬草抽出物を含む薬剤組成を提供することである。
本発明は又、肝疾患の予防と治療用の上記併合薬草に以外に、アシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選択された少なくとも一つの薬草を加えた併合薬草抽出物から成る薬剤組成を提供する。
本発明の他の目的は、ヒト又は哺乳類での肝疾患の治療又は予防に用いる薬物製造に上記抽出物の使用を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、薬剤的に容認される担体と一緒にして、有効量の上記抽出物を哺乳類に投与して哺乳類の肝細胞を保護する肝疾患の治療方法を提供することである。
ここに開示の抽出物は、肝疾患治療又は予防において、併合薬物抽出物、即ちカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケからなり、各薬草の乾燥重量ベースの混合比(w/w%)が、好ましくは1−10:1−10:0.1−5:0.5−5:0.5−10、より好ましくは1−5:1−5:0.5−3:0.5−3:0.5−6である。
【0020】
更に、ここに開示の抽出物は、肝疾患治療又は予防において、併合薬物抽出物、即ちカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケからなり、且つアシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選択された少なくとも一つの薬草が加えられた薬草抽出物を含み、各薬草の乾燥重量ベースの混合比(w/w%)が好ましくは0.1−5:1−10:0.1−5:0.1−5:0.1−5:0.1−5:1−10、更に好ましくは0.5−3:1−5:0.5−3:0.5−3:0.5−3:0.5−3:0.5−3、0.5−3:0.5−3:0.5―3:0.5−3:1−5である。
【0021】
本発明の一形態によると食品的に容認される添加物と一緒にして、肝疾患の予防と改善に有効な量の活性成分として肝細胞を保護して肝疾患の保護と改善用の上記抽出物を含む健康機能生食品を提供する。
【0022】
ここに開示の肝疾患は、急性及び慢性の肝炎、肝腫大、肝腫瘍、肝硬変及び肝癌であり、好ましくは肝硬変及び肝炎である。
【0023】
本発明に用いることのできる薬草は、技術の当業者には明白であり、同一又は類似の目的に使用されてきた、肝疾患の予防と治療用に置き換えることのできる同一属の植物から成る。
【0024】
本発明の新規組成は、その粉砕された形、それからの抽出された形、或いはそれからの乾燥抽出された形で使用される。
【0025】
上記抽出形状の生薬組成は、蒸留水、メタノール、エタノールなどのような低級アルコール又はその混合物、好ましくは水で抽出して得る。
肝疾患治療用の薬剤組成は、その組成全重量ベースの本発明の上記薬草組成を0.01乃至95w/w%、好ましくは0.5乃至80w/w%含有できる。
新規薬草組成は、以下の好ましい実施形態によって作成できる。
本発明で、上記生薬組成は以下の方法で作成される。薬草、即ちカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケ、もし必要ならアシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸で、これらを洗浄、乾燥して、適当比(w/w)で混合する。上記混合物を粉砕して粉末型の生薬組成を得る。
【0026】
上記粉砕生薬組成を体積5乃至20倍、好ましくは10乃至15倍の蒸留水、メタノール、エタノールなどのようなアルコール又はその混合物、好ましくは水かエタノールと水との混合物と混合し、温度ゼロ乃至室温、好ましくは4乃至6℃で12時間から48時間、好ましくは20乃至24時間の間アンフルラージュするか、又は温度80乃至120℃、好ましくは105℃で、1乃至24時間、好ましくは2乃至5時間の間、2乃至5回加熱して環流抽出するか、又は超音波処理、環流又は在来抽出法により抽出して水溶性抽出型の生薬組成を得る。
【0027】
更に、薬草抽出物を濾過し減圧下80乃至90℃で濃縮する。抽出物を体積10乃至60倍の水で1乃至5回共沸蒸留により濃縮し、次いで凍結乾燥か真空乾燥して乾燥抽出形状の生薬組成を得る。
【0028】
本発明の他の目的は、肝疾患の治療や予防に有効な組成調合用に上述の本発明抽出物の調合工程を提供することである。
【0029】
本発明の更なる他の目的は、肝疾患の予防と治療用活性成分として上記工程で得た粉砕型、抽出型又は乾燥抽出型の上記生薬抽出物を含む薬剤組成を提供することである。
【0030】
上記工程で調合された本発明の新規組成によりラット実験モデルのグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)とグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)レベルを大幅に減少し肝線維症を抑制する。この抽出物の経口急性毒性試験で、この抽出物は死亡数、臨床的兆候、体重変化及び死体解剖での総括所見で明白な影響はなかった。
【0031】
肝疾患治療用薬剤組成は、その組成の全重量ベースでの本発明の上記生薬組成を約0.01乃至95w/w%、好ましくは0.5乃至80w/w%含有できるであろう。
【0032】
本発明は更には、肝疾患予防と治療に、活性成分として有効な量の上記抽出物含有肝臓保護薬を提供する。
【0033】
本発明は更には、肝疾患の予防と治療に、肝臓保護薬のような薬物調合用新規抽出物の使用を提供する。
【0034】
本発明は更に有効量の生薬組成とその薬剤的に容認される担体を哺乳類に投与することからなる哺乳類の肝疾患治療方法を提供する。
【0035】
新規組成は更に、使用法に従い在来の担体、補助剤又は希釈剤を含有できる。この担体は好ましくはその使用利用法にしたがって適正物が使用されるが、限定されない。適切希釈剤はレミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Science)(マック出版社(Mack Publishing Co.)、イーストン(Easton)、ペンシルバニア州(PA)の本文に載っている。
【0036】
以下、次の調合法と賦形済は単に模範的なもので、本発明を決して限定する物ではない。
本発明による生薬組成は、薬剤的に容認される担体、賦形剤又は希釈剤、例えば乳酸、ブドウ糖、蔗糖、ソルビトール、マニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、安息香酸メチルヒドロキシエステル、安息香酸プロピルヒドロキシエステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油含有の薬剤組成を提供できる。その処方は更に充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香味料、乳化剤、防腐剤などを含有できる。本発明の組成は、技術的に周知のいずれかの方法を用いて患者に投与後、活性成分が迅速または持続又は遅くれて放除できるように処方する。
【0037】
例えば本発明組成は、注射するのによく使われる油、プロピレングリコール又は他溶剤に溶解できる。担体の適切例としては、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物油、ミリスチン酸イソプロピルエステルなどがあるが、これらに限定はされない。局所投与では本発明化合物は軟膏及びクリームの形で処方できる。
【0038】
生薬組成含有薬剤処方は経口投薬型(粉末、錠剤、カプセル剤、軟カプセル剤、水溶薬、シロップ剤、エリキシル錠剤、粉末、小袋、顆粒)又は局所調合(クリーム、軟膏、水薬、ゲル、芳香性軟膏、パッチ、ペースト、噴霧溶液、エアロゾルなど)、座薬又は減菌注入可能調合(溶液、懸濁物、乳化物)のようないずれの形でも調合できる。
【0039】
本発明の生薬組成の薬剤投薬形態は薬剤的に容認される塩の形で使用できるばかりでなく、単独又は適切な関連物と同様に他薬剤活性化合物と一緒に使用できる。
【0040】
新規組成の望ましい用量は、被験者の状態と体重、薬剤形態、投与経路と期間に依存して変わり、技術の熟知者が選択できる。しかし望ましい効果を得るには通常本発明の新規組成を一日当たり重量で0.01−10g/kg、好ましくは1乃至5g/kgの範囲量での投与が推奨される。用量は一日に1回又は複数回投与できる。組成に関しては生薬組成は組成全重量ベースの重量で0.01乃至80%の間、好ましくは重量で0.5乃至50%を含む。
【0041】
本発明の薬剤組成は、哺乳類(ラット、マウス、家畜又はヒト)のような被験動物に種々の手段で投与できる。あらゆる投与形態が考えられる。例えば経口、直腸、静脈、筋肉内、皮下、皮内、髄膜内、硬膜外又は脳室内注入によって投与できる。
【0042】
本発明の一様態に従うと肝疾患の予防と改善に有効量の活性成分で肝細胞を保護し、食品的に容認される添加物と一緒にして、肝疾患の保護と改善用の上記抽出物を含む健康機能食品が提供される。
【0043】
新規健康機能食品の生薬組成は、その粉末形状、抽出形状或いは乾燥抽出物形状で使用される。
【0044】
胃腸機能障害症の予防と改善用の健康機能食品の組成は、全組成重量ベースで上記生薬組成を約0.01乃至95w/w%、好ましくは0.5乃至80w/w%含有できる。
【0045】
上記生薬組成は、胃腸機能障害症の予防と改善用の食品、添加物又は飲料に添加できる。胃腸機能障害症の予防と改善目的には、食品又は飲料中の上記生薬組成量は健康食品組成用の全食品重量の約0.1乃至15w/w%、好ましくは1乃至10w/w%の範囲であり、健康飲料組成100mlの比率当たり1乃至30g、好ましくは3乃至10gの範囲である。
【0046】
本発明の健康飲料組成が指示比率で上記生薬組成を不可欠成分として含有する限り、他成分が在来飲料のように種々の脱臭剤又は天然炭水化物である他液体成分についての特別な制限はない。前述の天然炭水化物例は、ブドウ糖、果糖などのような単糖類、麦芽糖、蔗糖などのような二糖類、デキストリン、シクロデキストリンのような在来糖、キシリトールのような糖アルコール及びエリスリトールなどである。前述のもの以外の除臭剤としてはタウマチンのような天然の除臭剤、レバウジオシドA、グリシルリジンなどのようなステビア抽出物及びサッカリン、アスパルテームなどのような合成除臭剤が好んで用いられる。上述天然炭水化物の量は一般に、本飲料組成100mlの比率に付き約1乃至20g、好ましくは5乃至12gの範囲である。
【0047】
前述組成以外の成分は、種々の栄養剤、ビタミン、ミネラル又は電解質、合成香味料、着色剤及びチョコレートやチーズなどの場合の改良剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド接着剤、pH制御剤、安定剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料で用いる炭酸化剤などである。上述のもの以外の成分は天然果汁作成用果汁、果汁飲料及び野菜飲料であり、その成分は独立又は組み合わして使用できる。成分比率はそれほど重要ではないが、通常本成分100w/w%当たり約0乃至20w/w%範囲である。
【0048】
ここでの前述生薬組成含有の追加可能食品例は、種々の食品、飲料、ガム、複合ビタミン剤、健康改善食品などがある。
技術の熟知者には、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の組成、使用及び調合で、種々の修正と変形が可能なことは明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下の実施例と実験実施例は、範囲を制限すること無しに本発明を更に説明する意図である。
【実施例1】
【0050】
併合処方(MC)の調合
ソウルのキョンドン市場で購入されたカワラヨモギ薬草2g、ビャクジュツ1.7g、オロスタキス薬草1g、カワラタケ0.7g及びチョレイマイタケ1gを洗浄し、この薬草重量ベースで10倍量の水を加えた。溶液を12時間そのまま放置し、真空下105℃で2時間第一回目の環流抽出を行った。第一回目で得た抽出物を濾過し、生成残留物を真空下で第二回目の環流抽出に付した。抽出物を濾過篩い(モデル番号140、106μm)で濾過し、各濾過抽出物を集めた。収集濾液を抽出物の最終体積が約1リッターに達し、抽出物の比重が約1.2乃至1.3(ブリックス、60以上)になるまで80−90℃で環流濾過に付した。抽出物を60℃で、熱風ドライヤーで水分量が5%以下になるまで乾燥し、乾燥固体を砕き、濾過材(番号50、300μm)で濾過して新規粉末抽出物(以後MCと呼ぶ)を得た。
【実施例2】
【0051】
複合処方(AC)の調合
ソウルのキョンドン市場で購入したカワラヨモギ薬草2g、ビャクジュツ1.7g、オロスタキス薬草1g、カワラタケ0.7g、チョレイマイタケ1g、アシタバ薬草0.7g、タクシャ1.7g、コウボク0.7g、甘草0.5g、ジンガー0.3g、ブクリョウ0.7g及びアガリカス茸1.3gを洗浄し、実施例1と同様の環流抽出を行って新規粉末抽出物(以後ACと呼ぶ)を得た。
【実験実施例1】
【0052】
ラットモデルでの四塩化炭素誘導による慢性肝臓損傷に対する効果
実施例で得た新規抽出物の肝臓損傷に対する抑制効果を調べるため、以下の実験を以下の方法で実施した。
【0053】
1−1試薬と実験動物
四塩化炭素(シグマ社(Sigma Co.))、オリーブ油(シグマ社(Sigma Co.))、アラニンアミノ基転位酵素(ALT、GPT、スタンバイオ社(Stanbio Co.))及びアスパラギン酸アミノ基転位酵素(AST、GOT、スタンバイオ社(Stanbio Co.))を実験で用いるため営利会社から購入した。
体重約200gのオスのスプラーグ・ドーレーラットを実験で使用し、餌(ハーランテクラッド社(Harlan Teklad)、米国)と水へのアクセスを許した。全動物を使用前少なくとも1週間、温度21―24℃、湿度60−80%、明暗周期12時間の制御環境に維持した。
【0054】
1−2 四塩化炭素慢性肝臓損傷に対する効果
肝臓損傷に対する効果を評価するためオリーブ油と四塩化炭素(1:1)の混合溶液を三日間用量1.0mg/kgで各実験ラットに腹腔内投与して急性肝細胞毒を誘導した。一時間後、1%CMC(カルボキシメチルセルロース)に懸濁の種々濃度の抽出物、即ち6mg/kg、30mg/kg及び60mg/kgを試験群として四日間ラットに経口投与し、同量の生理食塩水のみを負の対照として処理した。試験最終日に麻酔実験動物から血液1.5mlを貯蔵し、再灌流で固定した。血液試料を3000rpmで20分間遠心分離し、各試料の各GOT及びGPTレベルをCH100+装置(セアック社(SEAC Co.))を用いて決定した。試験群と試験行程を以下の表1に示す。
表1

【0055】

図1a及び1bに見られるように、実施例1(HA――MC群)で得られた新規抽出物での処置例は特に投与量30mg/kgと60mg/kgで用量依存的に肝臓損傷ラットモデルのGOT及びGPTレベルを著しく抑制した(P<0.05、P<0.01**)。更に図2a及び2bに見られるように、実施例2(HA―AC群)で得られた新規抽出物での処置例は特に投与量範囲全てで、即ち12mg/kg、60mg/kgと120mg/kgで用量依存的に肝臓損傷ラットモデルのGOT及びGPTレベルを著しく抑制した(P<0.05、P<0.01**)。
従って本発明の新規抽出物は肝機能の緩和に有効であることが確認された。
【実験実施例2】
【0056】
ラットモデルでのコラーゲン分布とGOT及びGPTレベルの抑制に対する効果
実施例で得られた新規抽出物の肝硬変改善効果を調べるため、以下の実験を以下の方法で実施した。
【0057】
2−1試薬と実験動物
DMN(ジメチルニトロサミン、シグマ社(Sigma Co.))、アラニンアミノ基転位酵素(ALT、GPT、スタンバイオ社(Stanbio Co.))及びアスパラギン酸アミノ基転位酵素(AST、GOT、スタンバイオ社(Stanbio Co.))を実験で用いるため営利会社から購入した。
【0058】
体重約270gのウイスターラットを実験で使用し、餌(ハーランテクラッド社(Harlan Teklad)、米国)と水へのアクセスを許した。全動物を使用前少なくとも1週間温度21―24℃、湿度60−80%、明暗周期12時間の制御環境に維持した。
【0059】
コラーゲン分布への効果とGOT及びGPTへの抑制効果
肝硬変に対する効果を評価するため1%DMNを三日間用量10μg/kg/dayで各実験ラットに腹腔内投与して肝硬変を誘導した。抽出物MCを30mg/kg/dayとAC抽出物60mg/kg/dayを試験群ラットに4週間経口投与し、同量の生理食塩水のみを負の対照として処理した。試験最終日に麻酔実験動物から血液1.5mlを貯蔵し再灌流で固定した。血液試料を3000rpmで20分間遠心分離し、図3a及び3bに示すように各試料の各GOT及びGPTレベルをCH100+装置(セアック社(SEAC Co.)を用いて決定した。
【0060】
肝臓組織でのコラーゲン分布を調べるためコラーゲン部のみを染色するマッソン三重染色法を用い、単離肝臓組織を自動組織分析器(シタデル(Citadel)2000、シャンドン社(Shandon Co.))で包埋し、組織マイクロトーム(ライカ社(LEICA RM2145))で4μm幅片にスライスした。各組織について5つの病変を選び病変の線維素比を画像解析システムで決定した。この比の平均値を計算しコラーゲン量に変換した。(図4参照)。
図4に見られるように実施例1(HA−MC群)で得られた新規抽出物、そして同様に実施例2(HA−AC群)で得た新規抽出物による処置群では肝臓損傷ラットモデルのGOTとGPTレベルが用量依存的に顕著に抑制された。更に実施例1及び2で得た新規抽出物の処遇群のコラーゲン量はそれぞれ1.21及び1.05を示したが、対照群と正常群はそれぞれ2.93及び0.53を示した。
【0061】
従って、本発明の新規抽出物は、肝硬変の進行抑制に顕著に有効であることが確認された。
【実験実施例3】
【0062】
急性毒性の評価
新規抽出物の毒性を調べるため、ラットの急性毒性試験を実施した。
15匹のオス及びメスSDラットを三群に分け、新規抽出物を三つの用量、即ち1g/kg、2g/kg及び5g/kgで各5匹のラットに14日間投与し、対照群は水で処理した。体重変化、血液分析及び組織試験のような毒性兆候を4週間観察した。
実験の結果、新規抽出物投与のラットでの死亡例はなく、重量増加、組織試験などでの顕著な異常もなかった。この結果により新規抽出物、即ちHA―MC及びHA−ACは安全であることが確認された。
【0063】
以下、賦形剤の配合法と種類を説明するが、本発明はこれらに限定されない。代表的調合例を以下に記載する。
注入調合
HA−MC 100mg
メタ重亜硫酸ナトリウム 3.0mg
メチルパラベン 0.8mg
プロピルパラベン 0.1mg
注射用蒸留水 適量
注射調合は活性成分をpH7.5に制御しながら溶解し、全成分を2mlのアンプルに満たし、在来の注射調合法で減菌して調合した。
粉末調合
HA−MC 500mg
コーンスターチ 100mg
乳糖 100mg
タルク 10mg
粉末調合は上記成分を混合し密封包装に入れて調合した。
錠剤調合
HA−AC 200mg
コーンスターチ 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
錠剤調合は上記成分を混合し錠剤化して調合した。
カプセル剤調合
HA−MC 100mg
乳糖 50mg
コーンスターチ 50mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 適量
錠剤調合は上記成分を混合し在来ゼラチン調合法によりゼラチンカプセルに満たして調合した。
液体調合
HA−AC 1000mg
砂糖 20g
多糖類 20g
レモン香味料 20g
液体調合は活性成分を溶解し、全成分を1000mlアンプルに満たし在来液体調合法で減菌して調合した。
健康食品の調合
HA−MC 1000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンA酢酸塩 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB0.13mg
ビタミンB0.15mg
ビタミンB0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル混合物 適量
硫酸第一鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
一カリウムリン酸塩 15mg
二カルシウムリン酸塩 55mg
クエン酸カリ 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
上述のビタミンとミネラル混合物は多様に変えられる。そのような変更は本発明の精神と範囲から逸脱しているとは見なされない。
健康飲料の調合
HA−AC 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
アプリコット濃縮物 2g
タウリン 1g
蒸留水 900ml
健康飲料の調合は上記成分を溶解し、混合し、85℃で1時間攪拌し、濾過し、次に全成分を1000mlのアンプルに満たし、在来健康飲料調合法で減菌して調合した。
本発明は記載のようにこの物を多様に変形できることは明白である。そのような変更は本発明の精神と範囲から逸脱しているとは見なされず、その変更の全ては技術の熟知者には明白で、以下の請求項の範囲内に含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明で記載されたように、本併合薬草組成は肝臓機能に強力な保護活性を示し、GOTとGPTレベルの増加を抑制すると共に肝硬変を予防する。
本発明の新規組成は肝疾患の予防と治療に有用で、安全且つ有効な肝臓保護薬として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明の上述及びその他の対象や特徴や他の利点が、付随図面と関連して、以下の詳細記述からより明白に理解される。
【図1】実施例1の生成抽出物による四塩化炭素誘導ラットでの血清GOT結果(1a)及びGPT結果(1b)への用量依存効果を示す。
【図2】実施例2の生成抽出物による四塩化炭素誘導ラットでの血清GOT結果(2a)及びGPT結果(2b)への用量依存効果を示す。
【図3】実施例の生成抽出物による肝硬変誘導ラットでの血清GOT結果(3a)及びGPT結果(3b)への抑制効果を示す。
【図4】実施例の生成抽出物による肝組織のコラーゲン分布への効果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝疾患の予防と治療に有効な量、活性成分として、薬剤的に容認される担体と一緒にして、カワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケからなる併合薬草抽出物から成る薬剤組成。
【請求項2】
この薬剤組成がカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケを各薬草の乾燥重量ベースの混合比(w/w%)が1−10:1−10:0.1−5:0.5−5:0.5−5の範囲である請求項1の薬剤組成。
【請求項3】
この薬草が肝疾患の予防と治療用に請求項1で示した併合薬草以外に、アシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選択された少なくとも一つの薬草を含む請求項1の薬剤組成。
【請求項4】
この薬剤組成がアシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選択の少なくとも一つの薬草を各薬草の乾燥重量ベースの混合比(w/w%)が0.1−5:1−10:0.1―5:0.1−5:0.1−5:0.1−5:1−10の範囲である請求項3の薬剤組成。
【請求項5】
生薬組成がその粉末形状、抽出形状又は乾燥抽出物形状で用いる請求項1−4のいずれか一つの薬剤組成、
【請求項6】
この抽出溶剤が蒸留水、低級アルコール及びその混合物からなる一群から選んだ請求項1又は3の薬剤組成。
【請求項7】
この生薬組成がその組成の全重量ベースの約0.01乃至95w/w%である請求項1又は3の薬剤組成。
【請求項8】
この肝疾患が急性又は慢性の肝炎、肝腫大、肝腫瘍、肝硬変又は肝癌である請求項1乃至4のいずれか一つの薬剤組成。
【請求項9】
この薬剤組成が容認される担体で粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、懸濁物、乳化物、シロップ、エアロゾル、局所薬、座薬又は減菌注入で供与される請求項1乃至4のいずれか一つの薬剤組成。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか一つの薬剤組成の調合プロセスで、薬草を洗浄、乾燥及び適切比(w/w)で混合するか、別に追加薬草を生薬組成作成段階で混合し、その薬草を粉砕し、粉砕組成を5倍量の蒸留水、メタノール、エタノールなどのようなアルコール又はその混合物と混合し、温度ゼロ乃至室温範囲で12時間乃至48時間範囲の間アンフラージュするか、又は温度80乃至100℃で1乃至24時間範囲の間で2乃至5回加熱し、抽出物を濾過し減圧下で80乃至90℃で濃縮し、体積10乃至60倍の水と1乃至5回共沸蒸留し、凍結乾燥又は真空乾燥で乾燥して乾燥抽出形状の生薬組成を得るプロセス。
【請求項11】
肝疾患の予防及び改善に有効な量、活性成分として、食品として容認される添加物と共に肝細胞を保護することで肝疾患の予防又は改善にカワラヨモギ薬草、ビャクジュツ、オロスタキス薬草、カワラタケ及びチョレイマイタケからなる併合薬草抽出物から成る健康機能食品。
【請求項12】
この薬草が請求項11に示した併合薬草以外に、アシタバ薬草、タクシャ、コウボク、甘草、ジンガー、ブクリョウ及びアガリカス茸からなる一群から選んだ少なくとも一つの薬草を含む請求項11の健康機能食品。
【請求項13】
生薬組成がその粉末形状、抽出形状又は乾燥抽出物形状で用いる請求項11又は12の健康機能食品。
【請求項14】
この健康機能食品が粉末、顆粒、カプセル剤又は飲料の形で供与される請求項11又は12の健康機能食品。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−126410(P2007−126410A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−321359(P2005−321359)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(505411745)
【Fターム(参考)】