説明

肝臓傷害におけるIL−6の使用

本発明は、肝硬変におけるIL−6の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓傷害におけるIL−6の使用の分野におけるものである。特に、本発明は、肝硬変の治療および/または予防用の医薬の製造のためのIL−6の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓傷害の一般的な原因のほとんどは、肝硬変をもたらす。肝硬変は、機能性の肝臓組織の周囲領域に非機能性の瘢痕組織を生じ、再生性肝臓小結節の形成が付随して起こる正常肝臓組織の破壊を伴う。
【0003】
肝臓の損傷または傷害は、多様な原因を有し得る。これは、たとえば、ウイルス感染または細菌感染、アルコール中毒、免疫障害または癌によるものであり得る。
【0004】
ウイルス性肝炎(たとえば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスによるもの)は、マネージメントが不十分な、世界中で大勢の人々を苦しめている疾患である。既知の肝炎ウイルスの種類数は、常に増加している。B型およびC型肝炎ウイルス以外に、ウイルス関連肝炎を引き起こす少なくとも4種類の他のウイルスがこれまでに見出されており、A型、D型、E型およびG型肝炎ウイルスと呼ばれている。
【0005】
時折、通常は毒性のない物質が、乱用すると肝毒性となり得る(たとえば、アセトアミノフェン(APAP)過量摂取およびエタノールなど)。
【0006】
アルコール性肝臓疾患は、世界中に蔓延しているもう1つの疾患であり、アルコールの慢性消費と関連する。免疫性肝炎は稀な自己免疫疾患であり、管理が不十分である。肝臓傷害は、胆管の損傷もまた含む。原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、肝内胆管の破壊を特徴とする自己免疫肝臓疾患である。
【0007】
最近、肝臓傷害は、遺伝子療法の副作用であることがわかった。たとえば、小葉中心肝細胞壊死を特徴とする急性肝細胞性傷害は、肝臓を標的とするウイルス系遺伝子療法の主な副作用である(Nielsen et al., 1998; Bao et al., 1996)。
【0008】
いくつかの研究により、アルコール性肝炎、肝硬変、ウイルス性肝炎および原発性胆汁性肝硬変などの疾患における肝臓への損傷は、Tヘルパー細胞−1(Th1)応答と関連することが示されている(Nishimura and Ohta, 1999)(Okamoto et al., 1998)(Harada et al., 1997)(Lee et al., 1999)(Baroni et al., 1999)。高レベルのFASリガンドおよびそのレセプター(CD95)がB型およびC型肝炎患者の肝臓において報告され(Luo et al., 1997)(Hiramatsu et al., 1994; Okazaki et al., 1996)、したがって、FASリガンドは、肝細胞アポトーシスを導く主な細胞傷害性因子の1つであると考えられている。FASリガンドおよびそのレセプターもまた、アルコール性肝臓疾患において上昇しており、これもまた、Th1サイトカインが、アルコール性肝炎において誘導される自己免疫プロセスに関与していることを示す(Galle et al., 1995; Taieb et al., 1998; Fiore et al., 1999)。
【0009】
肝硬変の治療は、アルコールなどの毒性作用物質の使用中止、ビタミン類サプリメントを含む適切な栄養の摂取、および合併症(発症している場合)の治療を含む。肝臓移植は、現在、唯一の治療法であり、進行した肝硬変を有する人を救済し得る。
【0010】
肝硬変の初期段階では、患者は代償性に分類され、肝臓組織の損傷は起こっているが、患者の肝臓はまだ血中の代謝産物の解毒ができることを意味する。加えて、代償性肝臓疾患を有する患者の多くは症状を示さない。肝硬変の後期段階では、患者は、非代償性に分類され、血中の代謝産物を解毒する能力が弱まったことを意味する。この段階では、以下の臨床特性:出血性食道静脈瘤、腹水、黄疸および脳障害が示され得る(Zakim D, Boyer T D. Hepatology: A Textbook of Liver Disease, 第2版, 第1巻, 1990, W. B. Saunders Company, Philadelphia)。
【0011】
また、肝臓は、切除または傷害後、生物学的に非機能性の瘢痕組織を伴って治癒するのではなく、生物学的に機能性のある実質塊を再生し得る、唯一の哺乳動物の器官であるという点で特異である。
【0012】
大部分の肝臓切除後に患者は術前の肝臓塊を回復できることは周知である(Hadjis, 1990)。したがって、充分な機能性の肝臓塊の再生を誘導する能力は、肝臓機能不全による多くの死亡を抑制し得る重要な進歩となり得る。肝細胞増殖を誘導または増強できることにより、肝臓の悪性腫瘍の切除が許容され、健常肝組織の増加が促進されよう。これにより、残った機能性の肝臓塊が少なすぎることが原因の肝臓機能不全による患者の術後の死亡が抑制される。同じことは、たとえば、本来の肝臓に充分な肝機能を回復し得る割合での再生が誘導されるならば、中毒性、代謝性またはウイルス性の原因による劇症肝不全に罹患した患者についてもあてはまる。
【0013】
Kokudoら(1992)は、外来の添加された因子、特にトランスホーミング増殖因子−α(TGF-α)による、たとえば肝切除術後の硬変した肝臓の再生応答を詳しく調べるための動物モデルを確立した。かかるモデルでは、小結節性肝硬変を、CCL4およびフェノバルビタールの同時投与によって確立した。肝臓でのDNA合成(DNA内への3Hチミジン取込み)を、TGF−α処置ありまたはなしでの(肝切除術後0および12時間後)の肝硬変ラットにおいて部分肝切除術の24時間後に試験した。
【0014】
IL−6は、プロ炎症性サイトカインとしてだけでなく、抗炎症性サイトカインとしても作用する(Jones et al., 2001)。IL−6の機能的特性は、きわめて多様であり、これは、このサイトカインを示すために当初使用されていた用語に反映されている(Horst Ibelgaufts’ COPE: Cytokines Online Pathfinder Encyclopaedia)。
【0015】
IL−6の生物学的活性は、2種類の異なるタンパク質(一方はIL−6レセプターという名称であり(IL-6Rまたはgp80、Jones et al., 2001に概説)、他方は、gp130という名称である(Hirano et al., 1994に概説))を含む膜レセプター系に媒介される。gp80の細胞外ドメインに相当するIL−6Rの可溶性形態(sIL-6R)は、血中および尿中において糖蛋白として見出されるヒトの身体の天然産物である(Novick et al., 1990, 1992)。sIL−6R分子の例外的な特性は、これが、ヒト細胞を含む多くの細胞型に対して強力なアゴニストとして作用することである(Taga et al., 1989 ; Novick et al., 1992)。gp80の細胞質内ドメインがなくても、sIL−6Rはなお、IL−6に応答してgp130の二量体化を誘発することができ、これは、次に、後続のIL−6特異的シグナル伝達および生物学的効果を媒介する(Murakami et al., 1993)。sIL−6Rはgp130との2つの型の相互作用を有し、これらは、ともにIL−6特異的生物学的活性に必須であり(Halimi et al., 1995)、活性なIL−6レセプター複合体は、2つのgp130鎖、2つのIL−6Rおよび2つのIL−6リガンドによって形成される六量体構造であると提案された(Ward et al., 1994; Paonessa et al., 1995)。
【0016】
限定的な細胞分布を有するコグネイトIL−6R細胞型(cellular)の発現とは対照的に(Jones et al., 2001に概説)、膜内外に存在する(trans-membrane spanning)gp130の発現は、ほとんどすべての器官(心臓、腎臓、脾臓、肝臓、肺、胎盤および脳が挙げられる)で見られる(Saito et al., 1992)。
【0017】
IL−6単独では、可溶性IL−6Rが投与されない限り、特異的活性を誘導しないことを示す多くの異なる例がある。たとえば、IL−6は、sIL−6Rと組合せた場合でのみ、マウス骨髄と骨芽細胞との共培養物において破骨細胞形成を誘導する(Jones et al., 2001に概説)。また、多くのニューロン細胞はIL−6を産生することができるが、IL−6自体による刺激に対しては依然、非応答性のままである。しかしながら、ニューロン細胞の分化および生存は、sIL−6Rの作用により媒介され得る(Hirota 1996, Martz 1998)。
【0018】
可溶性IL−6レセプターとIL−6を一緒に連結したキメラ分子が報告されている(Chebath et al., 1997)。これは、IL−6R/IL−6キメラと称されている。このキメラIL−6R/IL−6分子は、可溶性IL−6レセプター(sIL-6R)およびIL−6をコードするcDNAの全コード領域同士を融合することによって作製された。組換えIL−6R/IL−6キメラは、CHO 細胞において産生させた(Chebath et al., 1997、W099/02552)。IL−6R/IL−6は、IL−6とsIL−6Rとの混合物よりも、高い効率でgp130鎖にインビトロで結合する(Kollet et al., 1999)。
【0019】
前記のように、インターロイキン−6シグナル伝達は、gp130とリガンドレセプター複合体とのホモ二量体化によって助長される。続いて、細胞内シグナル伝達が、gpl30会合細胞質内チロシンキナーゼ(JAK1、JAK2およびTYK2)の活性化ならびにSTAT1およびSTAT3のリン酸化によって誘発される(Murakami et al., 1993, Gerhartz et al., 1996)。対照的に、LIF、OSMおよびCNTFの高親和性レセプターは、gpl30とgpl30関連タンパク質(LIFレセプター)間のヘテロ二量体化によって細胞を活性化する(Davis et al., 1993)。かかるホモ二量体またはヘテロ二量体は、Jak−Tykファミリーの細胞質内チロシンキナーゼによる別個のしかし重複するチロシンリン酸化パターンを活性化する(Boulton et al., 1994)。これは、このファミリーのタンパク質に関連する種々の細胞応答に寄与し得る。
【0020】
IL−6シグナル伝達は、肝臓再生に関与する転写因子の誘導に必要であると認識されているが、当該技術分野では、肝臓保護/再生のためのIL−6 投与に関して意見が分かれているようである。一方において、IL−6欠損マウスは、部分肝切除術後に肝臓再生が損なわれたが、肝臓再生はIL−6投与によって再構築されたことが示された(Cressman et al., 1996)。IL−6投与の有益な効果はまた、重篤な病理的状態の肝臓(たとえば、切除後の虚血モデルまたはCCL4単独によって誘導した急性肝臓傷害モデル)においても報告された(それぞれ、Selzner 1999 および Kovalovich 2000)。また、IL−6と可溶性IL−6Rの融合タンパク質も肝臓傷害の治療に有益であることが示された(W099/02552)。しかしながら、肝臓保護/再生に対して有益な効果を有すると報告された高用量のIL−6(たとえば、500〜1000mcgの範囲のIL-6/kg)は、かかる大用量を用いると予期される望ましくない副作用の可能性に関して実現可能とみなされない場合がある。他方では、マウスでの部分肝切除術後の再生の動物モデルにおいて、IL−6Rに融合させたIL−6(Hyper-IL6)でのみ肝臓の再構築の促進が誘導され得るがIL−6単独では誘導され得ないと報告された(Peters et al., 2000)。
【0021】
したがって、広範な肝毒性作用物質および遺伝子治療用ベクターによって引き起こされる肝臓損傷の治療のための新規なストラテジー(特に、速やかな肝細胞増殖を促進するもの)が、このように必要である。
【発明の開示】
【0022】
本発明は、肝臓傷害の治療および/または予防用の、好ましくは、代償性肝硬変または非代償性肝硬変であり得る肝硬変の治療用の(より好ましくは肝臓切除により治療された肝硬変のための)医薬の製造のための、低用量の、好ましくは0.1〜10mcg/kgの範囲のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分もしくは円順列誘導体もしくは塩(すなわち、本発明による物質)使用に関する。本発明による物質は、1つ以上の部位がグリコシル化されたもの、および/またはグリコシル化されていないものであり得る。
【0023】
一実施態様において、本発明は、免疫グロブリン(Ig)と融合させたIL−6の使用を提供し、一方、別の実施態様において、本発明は、可溶性レセプターであるgp80の細胞外部分と融合させたIL−6の使用を提供する。
【0024】
本発明はまた、機能性誘導体が、アミノ酸残基の1個以上の側鎖として存在する1個以上の官能基に結合した部分、好ましくはポリエチレン部分を少なくとも1つ含む本発明による物質の低用量の使用を提供する。
【0025】
ある側面において、本発明による医薬IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を発現する細胞を含有し得る。
【0026】
別の側面において、本発明による医薬は、IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクター、好ましくはレンチウイルス系ベクターを含有し得る。
【0027】
加えて、本発明は、低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩(0.1〜10mcg/kg体重の範囲)を、任意選択で薬学的に許容され得る担体とともに、必要とする患者に投与することを含む、肝臓傷害の治療および/または予防方法を提供する。好ましくは、用量は、0.1mcg/kg、1mcg/kgおよび/または10mcg/kgである。低用量の本発明による物質は、毎日、週3回または週1回投与され得る。
【0028】
本発明による治療方法は、肝臓傷害、好ましくは、肝硬変(これは、代償性肝硬変または非代償性肝硬変であり得る)の治療を意図したものである。本発明の方法にしたがって投与される物質は、1つ以上の部位がグリコシル化されたもの、および/またはグリコシル化されていないものであり得る。
【0029】
また、本発明の方法にしたがって投与される融合タンパク質は、融合免疫グロブリン(Ig)またはそのgp80断片との融合体を含み得る。
【0030】
一実施態様において、本発明による機能性誘導体は、アミノ酸残基の1個以上の側鎖として存在する1個以上の官能基に結合した部分、好ましくはポリエチレン部分を少なくとも1つ含み得る。
【0031】
また、本発明による方法は、IL−6またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を発現する細胞の投与、またはIL−6またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含むベクター、好ましくは、レンチウイルス系ベクターの投与を含む。
【0032】
加えて、本発明は、有効な低用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体を、必要とする患者に投与することを含む、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む、肝臓傷害、たとえば、肝硬変(重症肝硬変または急性肝硬変)の治療方法を提供する。該方法は、末期肝臓機能不全、たとえば肝臓切除外科処置後のもの、急性肝臓機能不全、肝臓切除処置によって引き起こされた傷害に罹患した、前記必要性がある患者の治療のためのものであり得る。該方法はまた、移植ドナーにおいて肝臓拒絶反応により引き起こされた傷害に使用され得る。より詳しくは、本発明による物質の投与は、肝臓切除前、肝臓切除中および/または肝臓切除後に行なわれ得る。好ましくは、本発明による物質の低用量は、0.1〜10mcg/kg体重の範囲であり、毎日、好ましくは週3回、より好ましくは週1回投与する。加えて、有効な低用量の本発明の物質は、IL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターの投与により、必要とする患者に投与され得る。
【0033】
本発明はまた、有効な低用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体を、必要とする患者に投与すること、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む、後に組織生着を行なう肝臓傷害の治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、低用量のIL−6による処置が、硬変した肝臓の肝臓切除モデルにおいて効率的であるという所見に基づく。肝臓のかかる重症の硬変した状態において、低用量のIL−6(0.1〜10mcg/kgの範囲)を用いて得られた有益な結果は、予想外であった。
【0035】
したがって、本発明は、肝臓傷害、たとえば、肝硬変の治療および/または予防用の医薬の製造のための、0.1〜10mcg/kgの範囲の低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩の使用に関する。
【0036】
用語「治療する」および「予防する」は、本明細書で使用する場合、肝硬変の症状または原因(1つまたは複数)ならびに肝硬変に伴う症状または疾患、特に、該疾患と関連する神経構造上および行動上の変化のいずれかまたはすべての予防、抑制、軽減、改善または逆転と理解されたい。
【0037】
用語「肝硬変」は、本明細書で使用する場合、肝臓傷害とも称する。この疾患およびその原因は、「発明の背景」に詳細に記載している。
【0038】
用語「用量」は、1回に投与されるべき量(たとえば、特定量の薬物適用など)に関する。
【0039】
用語「投薬量(dosage)」は、用量の量(size)、頻度および回数の決定および調節に関する。
【0040】
本発明は、肝臓傷害(肝硬変など)の治療および/または予防の新たな可能性を提供する。現在、肝硬変の治療は、アルコールなどの毒性作用物質の回収(withdrawing)、ビタミン類サプリメントを含む適切な栄養の摂取、および合併症(発症している場合)の治療を含む。肝臓移植は、現在、唯一の治療法であり、進行した肝硬変を有する人を救済し得る。したがって、本発明は、実質的な進歩を提示する、すなわち、0.1〜10mcg/kgの範囲の低用量のIL−6は実験的肝硬変において有意に有益な効果を示す。以下の実施例に示すように、0.1〜10mcg/kgの範囲の低用量のIL−6は、肝硬変の確立された動物モデルにおいて試験した異常の改善に関して有意な効果を示した。
【0041】
用語「切除」は、器官または他の構造の一部または全部の摘出をいう。
【0042】
本発明は、速やかな肝細胞増殖を許容する低用量のIL−6の投与による、広範な肝毒性作用物質および遺伝子治療用ベクターによって引き起こされる肝臓損傷の治療に関する。
【0043】
得られた結果は、機能が代償性の肝硬変の存在および切除において、IL−6の腹腔内注射により、大部分の肝臓の切除後での術後死亡率は上昇せず、高用量および低用量の両方を用いた場合で、成熟肝細胞の大量増殖が誘導されることにより、大半の実質組織の喪失に対する生理学的応答が増強されることを明白に示す。
【0044】
また、得られた結果により、STAT−3およびAP−1のIL−6誘導による活性化が、硬変した肝臓における肝細胞性増殖の増強に、ある役割を果たすことが示され、これは、既報のIL−6の「最終的な生物学的効果」をさらに裏付ける。
【0045】
また、一実施態様において、肝臓切除前のIL−6処置により、非肝硬変肝臓に通常存在する(Streetz 2003)が、硬変した肝臓では減衰される、NF−κBの活性化が回復されることが示された。
【0046】
STAT−3およびAP−1に加え、NF−κBも、IL−6での処置後の肝臓の細胞におけるアポトーシスの減少に、ある役割を有することがわかった。これは、硬変した肝臓におけるIL−6誘導性肝臓塊拡張もまた、IL−6の抗アポトーシス効果によって媒介され得ることを示唆する。
【0047】
本発明の別の実施態様では、肝硬変動物において、gp80の発現は、正常対照と比べ、全肝由来および単離した肝細胞由来の両細胞において有意に増大することがわかった(図6)。一方、肝硬変動物において、gp130の発現は、全肝では正常対照と比べて有意に減少したが、肝硬変動物において、gp130の発現は、精製肝細胞由来の細胞では正常対照と比べて有意に増加した(図6)。したがって、得られた結果は、硬変した肝臓由来の肝細胞は、IL−6レセプターのgp80とgp130の両サブユニットを過剰発現することを示し、硬変した肝臓の肝細胞(特に、切除後)は、IL−6処置に対して高度に応答性であり、したがって、肝臓再生の誘導において低用量のIL−6が高用量と同様に有効であることを示唆する。
【0048】
得られた結果では、対照の硬変した未処置ラットに対し、IL−6処置ラットにおいて、新生物発生のリスクの増加は示されていない。特に、重症の形成異常または肝細胞癌(HCC)の発症率は、対照動物では8%(2/25)であり、IL−6動物では3.3(1/30)であった。
【0049】
処置動物間において、再生している硬変した実質における新脈管形成の研究では、硬変した小結節内部の微小血管密度の異常な増加、異型(unpaired)細動脈または未分化内皮は示されなかった。データをHCC発症と相関させた。
【0050】
本明細書で使用する場合、「ムテイン」は、得られる生成物の活性を元のIL−6と比べて大幅に変化させることなく、IL−6の天然に存在する成分のアミノ酸残基の1個以上が、異なるアミノ酸残基で置き換わっているか、もしくは欠損しているか、または1個以上のアミノ酸残基がIL−6の元の配列に付加されているIL−6のアナログをいう。これらのムテインは、公知の合成により、および/または部位特異的突然変異誘発技術、あるいは、これに適当な任意の他の公知の手法により調製される。
【0051】
本発明によるムテインとしては、IL−6をコードする本発明によるDNAまたはRNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸(DNAまたはRNAなど)にコードされるタンパク質が挙げられる。用語「ストリンジェントな条件」は、当業者が慣用的に「ストリンジェント」とよぶハイブリダイゼーションおよびその後の洗浄条件をいう。Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology(前出), Interscience, N. Y., §§6.3 and 6.4 (1987, 1992)、ならびに Sambrook et al.,(Sambrook, J. C., Fritsch, E. F. and Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)を参照のこと。
【0052】
限定されないが、ストリンジェントな条件の例としては、研究対象のハイブリッドの推定Tmより12〜20℃低く、たとえば、2×SSCおよび0.5%SDSで5分間、2×SSCおよび0.1%SDSで15分間;0.1×SSCおよび0.5%SDS、37℃で30〜60分間、次いで、0.1×SSCおよび0.5%SDS、68℃で30〜60分間における洗浄条件が挙げられる。当業者は、ストリンジェントな条件がまた、DNA配列、オリゴヌクレオチドプローブ(10〜40塩基など)または混合オリゴヌクレオチドプローブの長さに依存することを理解している。混合プローブを使用する場合、SSCの代わりにテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)を使用することが好ましい。Ausubel(前出)を参照のこと。
【0053】
任意のかかるムテインは、好ましくは、IL−6のものと充分に重複する(duplicative)アミノ酸配列を有する(たとえば、IL−6と実質的に類似する、またはさらに良好な活性を有する)。
【0054】
IL−6の特徴的な活性は、IL−6レセプターのgp80部分に結合できる能力および/または肝細胞増殖を誘導できる能力である。ムテインが、IL−6レセプターのgp80部分に結合できる実質的な能力および/または肝細胞増殖を誘導できる実質的な能力を有するならば、これは、IL−6と実質的に類似した活性を有するとみなされ得る。したがって、任意の所与のムテインがIL−6と少なくとも実質的に同じ活性を有するか否かは、肝細胞をかかるムテインに供することを含む常套的な実験法によって決定され得、肝細胞増殖を誘導するか否かを、たとえば、BrdUもしくは標識されたメチオニン取込みを測定することにより、または単に細胞(未処理対照細胞とWT IL−6で処理した細胞に関する細胞)を計測することにより決定し得る。IL−6R/IL−6キメラのgp130への結合を測定するためのELISA型アッセイが、WO99/02552の第39頁の実施例7に詳細に記載されている(これは、引用により完全に本明細書に組み込まれる)。当業者には、IL−6のgp80への結合のための類似したELISA型アッセイが開発され得ることが認識されよう。
【0055】
変異体が、GP80の結合性領域への実質的な結合活性を有するならば、これは、IL−6と実質的に類似した活性を有するとみなすことができる。
【0056】
したがって、任意の所定の変異体がIL−6と少なくとも実質的に同じ活性を有するか否かは、かかる変異体を、たとえば、WO99/02552の実施例7に記載のような単純なサンドイッチ結合アッセイに供し、固定されたgp80または可溶性gp80(gp80細胞外断片)に結合するか否かを測定することを含む常套的な実験法によって決定され得る。
【0057】
好ましい実施形態において、任意のかかるムテインは、成熟IL−6の配列と、少なくとも40%の同一性または相同性を有する。より好ましくは、該配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくは、少なくとも90%の同一性または相同性を有する。
【0058】
同一性は、配列の比較により調べる2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係を反映する。一般に、同一性は、比較対象の配列の長さに関して、それぞれ、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の正確なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致をいう。
【0059】
正確な一致がない配列の場合、「同一性%」を決定し得る。一般に、比較対象の2つの配列をアラインメントし、配列間の最大相関関係を得る。これは、配列のいずれか一方または両方に「ギャップ」を挿入し、アラインメントの程度を向上させることを含み得る。同一性%は、比較対象の配列のおのおのの完全長に関して(いわゆる全体アラインメント)(同じまたは非常に類似した長さの配列に特に好適である)、またはより短い規定の長さに関して(いわゆる局所アラインメント)(長さが同じでない配列により適する)決定し得る。
【0060】
2つ以上の配列の同一性および相同性を比較するための方法は、当該技術分野において周知である。このため、たとえば、Wisconsin Sequence Analysis Package,version 9.1(Devereux J et al., 1984)で入手可能なプログラム、たとえば、プログラム BESTFIT and GAPが、2つのポリヌクレオチド間の同一性%ならびに2つのポリペプチド配列間の同一性%および相同性%を決定するために使用され得る。BESTFITは、Smith and Waterman(1981)の「局所相同性」アルゴリズムを使用し、2つの配列間の類似性の最大の単一の領域を見出す。配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラムもまた当該技術分野において公知である(たとえば、BLASTファミリーのプログラム (Altschul S F ら, 1990, Altschul S Fら, 1997, NCBIのホームページ(www.ncbi.nlm.nih.gov)からアクセス可能)および FASTA (Pearson W R, 1990;Pearson 1988)。
【0061】
本発明にしたがって使用され得るIL−6のムテイン、またはこれをコードする核酸としては、本明細書に示した教示および手引きに基づき、必要以上の実験をせずに、当業者により常套的に得られ得る置換ペプチドまたはポリヌクレオチドに実質的に対応する有限な一群の配列が挙げられる。
【0062】
本発明によるムテインに対する好ましい変化は、「保存的」置換として知られるものである。IL−6の保存的アミノ酸置換には、充分に類似した物理化学的特性を有し、かつ群のメンバー間での置換が分子の生物学的機能を保存している一群内の同義アミノ酸が含まれ得る(Grantham, 1974)。特に、挿入または欠失が数個のアミノ酸(たとえば30個未満、好ましくは10個未満)のみを伴い、かつ機能的コンホメーションに必須のアミノ酸(たとえば、システイン残基)が除去または置換されない場合、アミノ酸の挿入および欠失もまた、その機能を改変することなく前記規定配列において行なわれ得ることは明白である。かかる欠失および/または挿入によって生じるタンパク質およびムテインは、本発明の範囲に含まれる。
【0063】
好ましくは、同義アミノ酸群は表Aに規定されるものである。より好ましくは、同義アミノ酸群は表Bに規定されるものであり、最も好ましくは、同義アミノ酸群は表Cに規定されるものである。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
本発明における使用のため、IL−6ポリペプチドのムテインを得るのに使用され得るタンパク質内でのアミノ酸置換の生成の例としては、任意の公知の方法の工程(たとえば、Markらの米国特許第4,959,314号、同第4,588,585号および同第4,737,462号; Kothsらの同第5,116,943号、 Namenらの同第4,965,195号; Chongらの同第4,879,111号;およびLeeらの同第5,017,691号に示されるものなど)ならびに米国特許第4,904,584号(Shawら)に示されたリシン置換タンパク質が挙げられる。
【0068】
本発明との関連において有用なIL−6の特定のムテインは、既報されている(W09403492A1)。さらにまた、EP667872B1には、野生型IL−6と比べて改善された生物学的活性を有する変異型IL−6が記載されている。この他、EP656711B1には、IL−6のスーパーアゴニストを単離するための方法が記載されている。変異型またはスーパーアゴニストは、本発明にしたがって使用され得る。
【0069】
用語「融合タンパク質」は、IL−6、またはムテインもしくはその断片を、別のタンパク質と融合された状態で含有するポリペプチドをいい、これは、体液中で長期の滞留時間を有する。IL−6は、したがって、別のタンパク質、ポリペプチドなど(たとえば、免疫グロブリンまたはその断片)と融合されたものであり得る。
【0070】
「機能性誘導体」は、本明細書で使用する場合、残基の側鎖またはNまたはC末端基として存在する官能基から、当該技術分野において公知の手段により調製され得る、IL−6の誘導体ならびにそのムテインおよび融合タンパク質を包含し、薬学的に許容され得る状態を維持している(すなわち、IL−6の活性に実質的に類似したタンパク質の活性を破壊せず、かつこれを含有する組成物に対して毒性を付与しない)限り、本発明に含まれる。
【0071】
このような誘導体としては、たとえば、ポリエチレングリコール側鎖が挙げられ得、これは、抗原性部位をマスクし、体液中でのIL−6の滞留時間を延長しえる。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアもしくは第一級または第二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体(たとえば、アルカノイルまたは炭素環式アロイル基)またはアシル部分と形成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(たとえば、セリル残基もしくはスレオニル残基のもの)が挙げられる。
【0072】
本発明による「活性画分」は、たとえば、IL−6の断片であり得る。断片という用語は、分子の任意の部分集団、すなわち、所望の生物学的活性を維持したより短いペプチドをいう。断片は、IL−6分子のいずれかの末端からアミノ酸を除去し、得られた断片を、gp80に結合する性質およびまたは肝細胞増殖を誘導する性質について試験することにより容易に調製され得る。ポリペプチドのN末端またはC末端のいずれかから1度に1個のアミノ酸を除去するためのプロテアーゼは公知であり、所望の生物学的活性を維持している断片の測定は、常套的な実験法を伴うに過ぎない。
【0073】
IL−6の活性画分、そのムテインおよび融合タンパク質として、本発明は、タンパク質分子のポリペプチド鎖の任意の断片または前駆体(単独のもの、または分子と会合したもの、または残基(たとえば、糖残基またはリン酸残基)に結合したもの)またはタンパク質分子同士または糖残基との凝集体をさらに包含する。ただし、前記断片はIL−6と実質的に類似した活性(たとえば、gp80のIL−6結合性部位に結合する活性および/または肝細胞増殖を誘導する活性)を有するものとする。
【0074】
本明細書において、用語「塩」は、IL−6分子またはそのアナログのカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方をいう。カルボキシル基の塩は、当該技術分野において公知の手段により形成され得、無機塩(たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄または亜鉛の塩など)、および有機塩基との塩(たとえば、トリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンまたはリシン、ピペラジン、プロカインなどと形成されるものなど)が挙げられる。酸付加塩としては、たとえば、無機酸(たとえば、塩酸または硫酸など)との塩および有機酸(たとえば、酢酸またはシュウ酸など)との塩が挙げられる。もちろん、任意のかかる塩は、IL−6の生物学的活性(たとえば、肝細胞増殖を誘導する能力およびまたはgP80のIL−6結合性部位に結合する能力)を維持していなければならない。
【0075】
IL−6の「アイソフォーム」は、gp80に結合することができるタンパク質、または選択的スプライシングによって生成し得るその断片である。
【0076】
用語「円順列誘導体」は、本明細書で使用する場合、末端同士を直接またはリンカーを介してのいずれかで互いに結合して環状分子を作製し、次いで該環状分子を別の位置で開裂して末端が元の分子の末端と異なる新たな線状分子が作製された線状分子をいう。円順列誘導体のものとしては、その構造が、環化した後開裂された分子に相当する分子が挙げられる。したがって、円順列誘導体分子は、線状分子として最初から合成され、環化工程および開裂工程を経ないものであってもよい。円順列誘導体の調製は、W095/27732に記載されている。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の物質は、1つ以上の部位がグリコシル化されている。
【0078】
IL6R/IL6キメラのグリコシル化された形態は、WO 99/02552 (PCT/IL98/00321)に記載されており、これは、本発明にしたがう非常に好ましいキメラ分子である。該文献に記載されたIL6R/IL6キメラは、組換え糖タンパク質であり、天然に存在する可溶性IL−6レセプターδ−Val(Novickら, 1990)の全コード配列を、天然に存在する成熟IL−6の全コード配列(ともにヒト起源に由来)に融合させて得られたものである。当業者には、グリコシル化されたIL−6が、組換え手段によって、すなわち、真核生物の発現系における発現によって作製され得ることが認識されよう。
【0079】
本発明によるIL−6は、任意の適切な真核生物または原核生物細胞型(たとえば、酵母細胞、昆虫細胞、細菌など)において産生され得る。これは、好ましくは哺乳動物細胞において、最も好ましくは、遺伝子工学的に改変されたCHO細胞(WO 99/02552に記載)において産生される。
【0080】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の物質はグリコシル化されていない。好都合には、該分子を、次いで、グリコシル残基を合成することはできないが、通常、高い産生量の組換えタンパク質を有する細菌細胞において産生させ得る。非グリコシル化されたIL−6の作製は、たとえばEP504751B1に詳細に記載されている。
【0081】
またさらなる実施形態において、本発明による物質は、融合免疫グロブリンを含有する、すなわち、本発明による分子は、免疫グロブリンの全部または一部に融合されている。免疫グロブリン融合タンパク質の作製方法は、当該技術分野でよく知られており、たとえば、WO 01/03737に記載のものである。当業者には、得られる本発明の融合タンパク質が、IL−6の生物学的活性を保持していることが理解されよう。得られる融合タンパク質は、理想的には、改善された性質(たとえば、体液中での滞留時間(半減期)の延長、特異的活性の増大、発現レベルの増加または融合タンパク質の精製の促進など)を有する。
【0082】
好ましくは、本発明による物質は、Ig分子の定常領域に融合させる。該物質は、たとえば、ヒトIgG1の重鎖領域(CH2およびCH3ドメインなど)と融合させ得る。Ig分子の他のアイソフォームもまた、本発明による融合タンパク質の作製に適する(たとえば、アイソフォームIgG2もしくはIgG4、または他のIgクラス(IgMもしくはIgA)など)。融合タンパク質は、単量体または多量体、ヘテロ多量体もしくはホモ多量体であり得る。
【0083】
本発明による物質の機能性誘導体は、該タンパク質の性質、たとえば、安定性、半減期、バイオアベイラビリティ、ヒト身体による耐容性または免疫原性を改善するために、高分子に結合させてもよい。
【0084】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、アミノ酸残基の1個以上の側鎖として存在する1個以上の官能基に結合した部分を少なくとも1つ含有する、本発明による物質の機能性誘導体に関する。
【0085】
非常に好ましい実施形態は、ポリエチレングリコール(PEG)に連結させた本発明の物質に関する。PEG化は、公知の方法、たとえば、WO 92/13095に記載のものなどにより行い得る。
【0086】
好ましくは、本発明の物質は、0.1〜10mcg/kgの範囲の量で使用される。本発明の好ましい実施形態では、該物質を毎日投与する。さらに好ましい実施形態では、該物質を週3回投与する。なおさらに好ましい実施形態では、該物質を週1回投与する。
【0087】
低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩は、本発明にしたがって、肝臓傷害、たとえば、
A−末期肝臓機能不全から慢性肝臓疾患(ウイルス性(HBV、HCV、他の肝炎)の非代償性肝硬変が原因または外毒素(アルコール性)が原因であり得る)
B−肝臓切除外科処置後の肝臓機能不全(たとえば、肝細胞性癌腫の肝臓切除(肝臓遺残組織を伴う)後に引き起こされる)
C−急性肝不全(ウイルス感染(HCV)、中毒性(アルコール, パラセタモール, 乱用, キノコ中毒)が原因、および外傷が原因による)
において使用され得る。
【0088】
本発明による低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩での治療は、肝臓塊を拡張して生存率を改善するため、およびたとえば、末期肝臓機能不全から慢性肝臓疾患を有し、適合ドナーがいなくて肝臓移植を待っている患者の肝臓移植を遅延するために有益であり得る。
【0089】
本発明による低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩での治療は、予期しない術後の肝臓機能不全を示す患者、または術後肝不全を示す患者において有益であり得る。たとえば、続発性新生物により肝臓を切除した患者である。
【0090】
本発明による低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩での治療は、硬変した肝臓の再生および外科処置の回避を補助し得る。
【0091】
本発明のさらなる目的は、肝臓傷害、たとえば肝硬変の治療および/または予防のための、IL−6、そのムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を、任意選択で1種類以上の薬学的に許容され得る担体(希釈剤または賦形剤)とともに含有する医薬組成物を提供することである。
【0092】
「薬学的に許容され得る」の定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げず、かつ投与対象の宿主に対して毒性でない任意の担体を包含することを意味する。たとえば、非経口投与では、IL−6は、ビヒクル(たとえば、生理食塩水, デキストロース溶液, 血清アルビミンおよびリンゲル溶液)中にて注射用の単位投薬形態に製剤化され得る。
【0093】
IL−6は、その投与の必要性がある患者に、種々の様式で投与され得る。投与経路としては、肝臓内、皮内、経皮(たとえば、低速放出製剤にて)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内経路が挙げられる。任意の他の治療上有効な投与経路が使用され得、たとえば、上皮または内皮の組織からの吸収、またはIL−6をコードするDNA分子を患者に投与し(たとえば、ベクターにより)、インビボでIL−6の発現および分泌を引き起こす遺伝子療法によるものである。加えて、IL−6は、生物学的に活性な薬剤の他の成分(たとえば、薬学的に許容され得る界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルなど)とともに投与してもよい。
【0094】
非経口(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内)投与のためには、IL−6は、薬学的に許容され得る非経口用ビヒクル(たとえば、水、生理食塩水、デキストロース溶液)ならびに等張性を維持する添加剤(たとえば、マンニトール)または化学的安定性を維持する添加剤(たとえば、保存剤およびバッファー)と組合せて、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥した散剤として製剤化され得る。製剤は、一般的に用いられる手法によって滅菌する。
【0095】
本発明のさらなる目的は、有効な量/用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体または塩を、任意選択で薬学的に許容され得る担体とともに、必要とする患者に投与することを含む、肝臓傷害、たとえば肝硬変などの治療および/または予防方法を提供することである。
【0096】
「有効な量」は、上記の疾患の経過および重篤度に影響を与え、かかる病理の低減または寛解を導くのに充分な活性成分の量をいう。有効な量は、投与経路および患者の状態に依存する。
【0097】
個体に、単回用量または反復用量として投与される投薬量は、種々の要因(IL−6薬物動態学的性質、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格)、症状の程度、併用療法、処置の頻度ならびに所望の効果が挙げられる)に応じて異なる。確立された投薬範囲の調整および操作は、充分、当業者の能力の範囲である。
【0098】
本発明は、急性的および重症的に傷害された肝臓(肝炎を伴う亜広汎(submassive)壊死の場合など)の治療のため医薬の製造における低用量のIL−6またはムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体の使用に関する。
【0099】
本発明はまた、硬変した肝臓の治療のため、たとえば切除および/または組織生着処置を含む重症の状態の肝臓の治療のため、医薬の製造において、IL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む低用量のIL−6またはそのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体の使用に関する。
【0100】
有効な低用量/量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体を、必要とする患者に投与することを含む、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む肝臓傷害、たとえば肝硬変などの治療方法は、本発明のさらなる目的である。
【0101】
本発明の好ましい実施形態において、0.1〜10mcg/kgの範囲のIL−6の投与量が非常に好ましい。
有効な低量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を、必要とする患者に投与することを含む、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む、肝臓の傷害、たとえば肝硬変の治療方法であって、切除および/または組織生着処置を含む該治療方法は、本発明のさらなる目的である。
【0102】
低用量のIL−6は、移植前、移植中および/または移植後に投与し得る。低用量のIL−6は、切除処置前、切除処置中、切除処置後に、肝臓組織のレシピエントおよび/またはドナーの両者に投与し得る。
【0103】
移植の際、全肝、肝臓の一部、肝臓組織、肝細胞または幹細胞に行なわれる低用量のIL−6の投与が、本発明にしたがって実行された。
【0104】
用語「移植」は、本明細書では、患者自身の身体または別の人(ドナー)から採取した組織または細胞を生着させることをいう。
【0105】
本発明の好ましい実施形態において、0.1〜10mcg/kgの範囲のIL−6の投与量が非常に好ましい。
次に、以下の非限定的な実施例および添付の図面にしたがって本発明をより詳細に説明する。
【0106】
本発明を充分に記載してきたが、当業者には、広範な均等のパラメータ、濃度および条件の範囲内で、必要以上の実験をせずに、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明を行い得ることが認識されよう。
【0107】
本発明を、その特定の実施形態に関して記載したが、さらなる改良が可能であることを理解されたい。本特許出願明細書は、一般的に本発明の原理にしたがう本発明の任意の変形、使用または適応を包含し、本発明が属する技術分野において既知または慣用的な実務の範囲内である場合、および以下の添付の特許請求の範囲に記載された前述の本質的な特徴に適用され得る場合、本開示からのかかる逸脱を含むものとする。
【0108】
本明細書で引用した参考文献、たとえば、学術論文もしくは要約諸、公開もしくは未公開の米国もしくは外国の特許出願、発行済の米国もしくは外国の特許、または任意の他の参考文献などは、引用により本明細書に完全に組み込まれる(引用した参考文献に示されたすべてのデータ、表、数値および文章を含む)。加えて、参考文献内に引用された参考文献の全内容もまた、引用により本明細書に完全に組み込まれる。
【0109】
公知の方法の工程、従来の方法の工程、公知の方法または従来の方法を参照することは、決して、本発明の任意の側面、説明または実施形態が関連技術において開示、教示または示唆されているという是認(admission)ではない。
【0110】
特定の実施形態の前述の説明では、本発明の一般的本質を充分示したため、当該技術分野の技能の範囲内の知識を適用することにより(本明細書に引用した参考文献の内容を含む)、必要以上の実験をせずに、本発明の一般的概念を逸脱することなく、種々の適用用途のために、かかる特定の実施形態は容易に改良および/または適応がなされよう。したがって、かかる適応および改良は、本明細書に示した教示および手引きに基づき、開示した実施形態の均等の範囲の意味に含まれるものとする。また、本明細書における語法または専門用語は、説明の目的のためであって、限定の目的のためではないため、当業者は、本明細書の専門用語または語法を、当業者の知識との組み合わせで、本明細書に示した教示および手引きに鑑みて解釈すべきであることを理解されたい。
【実施例】
【0111】
実施例1
ラットにおける肝硬変の誘導およびIL−6の投与の手順
実験は、いずれの急性外科的ストレス前の「初期の(basal)」硬変した肝臓の機能性の肝臓塊の拡張における、および大部分の外科的切除後の硬変した肝臓の再生応答の増大における、IL−6処置の主な生物学的効果を評価するために構築した。
【0112】
特に、本研究は、肝臓切除処置を受けるヒトの代償性(Child−Pough A)肝硬変を模擬する「代償性肝硬変」のモデルに焦点を当てた。
【0113】
本試験は、雄Sprague Dowleyラット(体重150〜175 gr)において行った。動物を、12時間の明/暗サイクルに維持し、標準的なラット用試料と水を随意に摂取させた。
【0114】
実験用中心葉肝硬変を、四塩化炭素(CCl4)およびフェノバルビタールによって誘導した。CCl4の肝毒性効果を増強させるため、CCl4処置の最初から10回目の最後まで、ラットには、慢性的に、フェノバルビタール(0.35 g/L)を飲用水にて摂取させた。CCl4(オリーブ油中で1:9に希釈)を、1週間に1回、10週間、胃内経路(強制投与)により投与した。0.2ml/kgの開始用量は、各強制投与後、7日間の間、観察した各動物の毎日の体重変化に応じて±0.2ml/kg変化させた。理論的なCCl4用量の半量を強制投与にて第9日および第10日に投与した。10回目の強制投与後にいずれの処置も中止し、ラットを5日間、安静にさせた。
【0115】
IL−6注射の効果を、硬変した肝臓に対する効果および肝臓の切除後の硬変肝実質の再生に対する効果の両方に関して評価した。
【0116】
本試験は、39匹の対照および施術(operation)時に基準を満たした80匹のIL−6動物において行なった。
【0117】
麻酔は、吸入および腹部正中切開により行なう外科的処置のいずれかにより与えた。肝臓間膜(ligament)を、門脈圧亢進による副行循環(collateral circle)の止血(haemostasis)に注意して切開した。肝臓の有茎皮弁(pedicle)を作製し、間膜間を切開した。次いで、肝臓の左葉および正中葉を、肝静脈を個々に結紮した後に切除した。壁縫合(wall closure)は、非吸収性縫合糸での連続縫合により行なった。
【0118】
肝臓機能を、「Child−Pough」臨床パラメータ:
a. 門脈体循環性脳障害による神経損傷の存在または非存在;
b. 腹水の存在または非存在
にしたがって評価した。
【0119】
これらのパラメータは、施術時と致死時の両方において考慮し、これにより、各動物を機能が代償性のまたは非代償性の肝硬変を有するものに分類した。以下の実験において、施術時に代償性肝硬変を有し、「広汎性肝硬変」または「門脈域(porto-portal)線維化を伴う不完全な(incomplete)肝硬変」(それぞれ、肝葉の80〜100%および50〜79%が関与する硬変性変化、非硬変実質における門脈域線維化と関連)を示す動物のみ、軽微な硬変変化を示すものとして体系的に除外とした。
【0120】
すべての組織学的評価は、切除した正中葉および左葉由来のヘマトキシリン−エオシン染色検体に関して行なった。
【0121】
肝細胞増殖は、BrdU取込みによって測定した。BrdU取込みは、抗BrdU抗体によって検出し、BrdU染色肝細胞の割合は、20高倍率視野(40×)で評価した。
【0122】
動物のBrdU条件(assumption)は、結腸粘膜細胞BrdU取込みの解析によって制御された。
【0123】
肝細胞性増殖をBrdU取込みによって評価しようとした場合、ラットには、飲用水にてBrdUを(1 g/L)、最初のIL−6注射から肝臓の切除まで(「初期の」硬変した肝臓に対するIL−6効果)または施術時から致死まで(硬変した肝臓の再生に対するIL−6効果)を摂取させた。
【0124】
前記の肝硬変ラットで対照群を構成した。
【0125】
IL−6を、500、100、10、1または0.1mcg/kgの用量にて投与した肝硬変ラットで、処置群を構成した。IL−6、IL−6 100、IL−6 10、IL−6 1およびIL−6 0.1は、それぞれ、IL−6処置動物、100mcg/kg、10mcg/kg、1mcg/kgおよび0.1mcg/kgのIL−6で処置したラットを示す。用量500mcg/kgおよび100mcg/kgを高用量とし、一方、10mcg/kg〜0.1mcg/kgの範囲の用量を低用量とした。
外科処置の6および5日前にIL−6を500、100、10、1および0.1mcg/kgの用量で腹腔内に投与し、3回目のIL−6注射は、肝臓の切除後の開腹縫合の直前に行なった(同用量)。
【0126】
IL−6注射の効果を、硬変した肝臓に対する効果および肝臓の切除の硬変肝実質の再生に対する効果の両方に関して評価した。
【0127】
硬変した肝臓に対するIL−6効果の評価は:
1.術中死亡率
を考慮した。
【0128】
肝臓の切除後の硬変肝実質の再生に対するIL−6効果の評価は:
1.術後死亡率;
2.致死時の肝臓機能;
3.再生した肝臓塊の割合として測定した肝臓の再生(以下の等式:
肝臓再生率(%)=100×[C−(A−B)]/A
(式中、Aは、肝臓切除時の概算肝臓重量であり[このデータは、15匹の対照および24匹のIL−6処置動物において調査および確認した(データ示さず)]、
Bは、切除した肝臓の重量であり、
Cは、致死時での再生した肝臓の重量である)
により算出)
4.致死時での肝臓試料におけるBrdU取込み
を考慮した。
【0129】
値は、平均値±SDで示した。統計学的解析が一方向ANOVAの後、異なる亜群を比較するダネットt検定によって行なわれた。
【0130】
肝硬変の誘導後、肝臓の左葉および正中葉を切除し、肝臓切除後の硬変肝実質の再生に対するIL−6の薬理学的効果を調べた。以下のパラメータをモニターした:1.術後死亡率、2.致死時での肝臓機能の評価、3.肝臓再生、および4.致死時でのBrdU取込み。
【0131】
実施例2
肝臓切除後の硬変肝実質の再生に対するIL−6の薬理学的効果
肝硬変の誘導後、肝臓の左葉および正中葉を切除した。得られた結果は、機能的代償性肝硬変が存在する場合、IL−6の腹腔内注射は、大部分の肝臓の切除する術中死亡率を増加させないことを示す。
【0132】
肝臓切除後の硬変肝実質の再生に対するIL−6 薬理学的効果を調べた。以下のパラメータをモニターした:1.術後死亡率、2.致死時での肝臓機能の評価、3.肝臓再生、および4.致死時でのBrdU取込み。
【0133】
対照動物の7.1%の死亡率(2/28)に対し、IL−6処置ラットでは2.8%(2/70)が観察された。対照1匹および処置ラット1匹が肝不全で死亡し、その他の2匹は、原因不明で死亡した。処置群では、すべての死亡例が高用量群において起こったことに注目されたい。
【0134】
前記臨床パラメータにしたがう肝臓機能の評価を、94匹のラットにおいて行なった:
a. 門脈体循環性脳障害による神経損傷はまったく観察されなかった;
b. 腹水は、4匹のラットにおいて観察された:1/26対照(4.1%)および3/26 IL−6高用量動物(11.5%)。
【0135】
平均肝臓再生率を、24匹の対照、12匹のIL−6 0.1、12匹のIL−6 1、16匹のIL−6 10、15匹のIL−6 100および11匹のIL−6 500動物から算出すると、以下のとおりである(図2):
a.対照間では、平均値16.5±10.1、中央値16,3;
b.IL−6 0.1動物間では、平均値25.5±15.7、中央値27.5;
c.IL−6 1動物間では、平均値38.4±10.8、中央値40.4;
d.IL−6 10動物間では、平均値29.0±13.4、中央値25.9;
e.IL−6 100動物間では、平均値40.2±9.9、中央値42.1;
f.IL−6 500動物間では、平均値32.2±12.1、中央値31.3。
【0136】
平均値間の差は統計学的に有意であった(tダネット<0.05)。
【0137】
4.致死時でのBrdU取込み
7匹の対照、9匹のIL−6 0.1、8匹のIL−6 1、7匹のIL−6 10、9匹のIL−6 100および7匹のIL−6 500ラットに、肝臓の切除後、BrdUを摂取させた。BrdU染色肝細胞の計測数を示す(図3):
a.対照間では、平均値52.2±14.9、中央値 53;
b.IL−6 0.1動物間では、平均値65.3±8.2、中央値65.3;
c.IL−6 1動物間では、平均値68.4±11.9、中央値65.5;
d.IL−6 10動物間では、平均値60.8±10.0、中央値60.0;
e.IL−6 100動物間では、平均値79.4±8.1、中央値78.4;
f.IL−6 500動物間では、平均値80.9±10.7、中央値83.7。
【0138】
この場合では、平均値間の差は、対照をIL−6 0.1、1、100および500動物と比較した場合、統計学的有意性を有した(tダネット<0.05)。統計学的有意性は、用量10mcg/kgで処置した動物の亜群を考慮した場合は、明白ではなかった。
【0139】
これらのデータは、機能的代償性肝硬変が存在する場合、IL−6の腹腔内注射は:
大部分の肝臓の切除した後の術後死亡率を増加させない;
高容量を用いた場合および低用量(10mcg/kgを除く)を用いた場合ともに、成熟肝細胞の大量増殖を誘導することにより実質組織の大半の喪失に対する生理学的応答を増強する
ことを明白に示す。
【0140】
実施例3
硬変した肝臓における肝細胞性再生に対するIL−6の作用に関与する転写因子
転写因子(これは、IL−6により直接活性化される)、たとえば、STAT−3およびAP−1の、硬変した肝臓における肝細胞性再生に対するIL−6の作用における関与を調べた。また、IL−6処置後に観察された増殖性肝細胞性応答におけるNK−κB活性化の関与の可能性も、機能が代償性の肝硬変の状態において調べた。
【0141】
実験は、実施例1に記載のようにして処置した雄Sprague Dowleyラットにおいて行なった。特に、動物が、既に記載の基準を満たすことを評定することに充分注意した。
【0142】
まず、IL−6注射後の異なる時点で致死させた肝硬変ラットから得た肝臓断片を検査した。ラットは、用量100mcg/kgのIL−6で、すでに記載の注射手順にしたがって処置した。
【0143】
次に、対照または肝臓切除後の異なる時点のIL−6処置ラット(既述したとおりに行なった)から得た肝臓断片を検査した。
硬変肝臓における転写因子活性化に対するIL−6の効果:
シフトアッセイ(実施例4の詳細を参照)により、IL−6腹腔内注射により、硬変した肝臓において明白なSTAT−3活性化が惹起されることが示され、これは、注射の1時間後および2時間後に検出可能であり、4時間後にやや減少した。(図4)。
【0144】
また、IL−6腹腔内注射は、硬変した肝臓において明白なAP−1活性化も惹起することが観察され、これは、注射の1時間後および2時間後に検出可能であり、4時間後ではさらに明白であった(図4)。
【0145】
加えて、シフトアッセイにより、IL−6腹腔内注射は、NF−κBの一過性の活性化を惹起することが観察され、これは、注射の1時間後および4時間後で検出可能であり、2時間後にピークを示した(図4)。第1の注射の24時間後に第2のIL−6用量を注射すると、同一の応答が得られた(図示せず)。
【0146】
肝臓の切除後の硬変した肝臓における転写因子活性化に対するIL−6の効果もまた調べ、以下のことが観察された:
1−対照動物では、肝臓切除により中程度のSTAT−3活性化が誘導され、これは、外科的処置後、1時間後で明白であり、2時間後にさらに増加した。外科的処置の最後でのIL−6腹腔内注射により、早期で増強されたSTAT−3活性化が誘導された(図5)。実際、STAT−3結合活性は、外科処置の30分後に高レベルで存在し、少なくとも4時間持続した。スーパーシフト解析(特異的抗体を用いる)により、STAT−3特異性のシグナルを確認した。
【0147】
2−対照動物では、肝臓切除により、基底レベルを超える中程度のAP−1活性化が誘導され、これは、外科処置の2時間後に観察された。外科的処置の最後でのIL−6腹腔内注射により、早期で増強されたAP−1活性化が誘導された(図5)。実際、AP−1結合活性は、外科処置の30分後に高レベルで存在し、少なくとも4時間持続した。スーパーシフト解析(特異的抗体を用いる)により、STAT−3特異性のシグナルの確認した。
【0148】
3−対照動物では、肝臓切除により、基底レベルを超える有意なNF−κB活性化は誘導されなかった。一方、外科的処置の最後でのIL−6腹腔内注射では、NF−κB活性化が誘導された(図5)。実際、NF−κB結合活性は、外科処置の30分後および60分後に存在し、その後は基底レベルまで減少した。
【0149】
これらの結果は、IL−6誘導性のSTAT−3およびAP−1の活性化が、硬変した肝臓における肝細胞性増殖の増強に、ある役割を果たすことを示し、IL−6の「最終生物学的効果」をさらに裏付ける。
【0150】
NF−κBの試験は、肝臓切除前のIL−6処置により、非肝硬変肝臓において通常存在するNF−κBの活性化(Streetzet al. 2003)が回復するが、硬変した肝臓では減衰することを示す。
【0151】
肝臓の細胞におけるアポトーシスの減少におけるNF−κBの既報の役割は、硬変した肝臓におけるIL−6誘導性肝臓塊拡張が、IL−6の抗アポトーシス効果にも媒介され得ることを示す。
【0152】
実施例4
電気泳動移動度シフトアッセイ
500mgの肝臓を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ)を含有するホモジナイゼーションバッファー(10mM Hepes/KOH pH 7.6、25mM KCl、1mM EDTA、2Mスクロース、10%グリセロール)中でホモジナイズし、100,000gで50分間遠心分離し、核ペレットを得た。核を、溶解バッファー(20mM Hepes−KOH pH7.9、25%グリセロール、420mM NaCl、1.5mM MgCl2、0.2mM EDTA、0.5 ジチオトレイトールおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル)中で溶解し、−80℃で保存した。8マイクログラムの抽出物を、放射性標識二本鎖オリゴヌクレオチド(5ng)とともに、20分間25℃で、結合バッファー(10mMトリス pH7.8、5%グリセロール、1mM EDTA、0.5mMジチオトレイトール、0.5ugのポリdI−dC)中でインキュベートし、非変性5%ポリアクリルアミドゲル(TBE l×中)上で電気泳動した。ゲルを乾燥し、X線フィルムに感光させた。用いたプローブは、高速液体クロマトグラフィーにより精製したオリゴヌクレオチドで、以下の塩基配列のものであった:
1.c−fosプロモーター内の血清誘導性因子結合性エレメント由来のStat3部位
5’−GATCCTCCAGCATTTCCCGTAAATCCTCCAG−3’
2.AP−1部位:5’−CTAGTGATGAGTCAGCCGGATC−3’
3.NF−κB部位:5’−GGATCCTCAACAGAGGGGACTTTCCGAGGCCA−3’。
【0153】
各プローブを、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよびg−32P−ATPで末端標識した。競合実験では、100倍過剰の特異的非標識プローブを、抽出物とともに、放射性標識プローブの添加前に20分間インキュベートした。スーパーシフトアッセイを、30分間、核抽出物を、1μgの抗Stat3抗体(サンタクルーズバイオテック)とともにインキュベートすることにより行なった。ローディングコントロール使用のため、核抽出物を、八量体1に対するDNA結合活性(その部位は、多くのハウスキーピング遺伝子に存在する)についても、以下のプローブ:5’−GATCGAATGCAAATCACTAGCT−3’を用いて解析した。
【0154】
実施例5
慢性肝硬変の状態におけるIL−6レセプターの発現
種々の生理病理学的状態により、IL−6レセプターの発現が変更され得、それにより、IL−6に対する細胞応答性がモジュレートされることが報告されている。その文献では、生理作用(physiologic)として、慢性肝硬変の状態の肝臓におけるIL−6の量の増加が報告されている。したがって、IL−6のこの増加が、特異的膜レセプターの発現の増加とも関連しているのか否かを詳しく調べた。
【0155】
実験は、実施例1に記載のようにして処置した雄Sprague Dowleyラットにおいて行なった。特に、動物が、既に記載の基準を満たすことを評定することに充分注意した。
【0156】
ラットは、用量100mcg/kgのIL−6で、すでに記載の注射手順にしたがって処置した。
【0157】
実験は、肝臓切除時に得た肝臓断片において行なった。正常で肝硬変でない動物由来の肝臓を対照として使用した。
【0158】
硬変した肝臓では、肝細胞とは異なる系統の細胞(Ito、筋線維芽細胞、卵型細胞および炎症性細胞)の増加が見られたため、全肝ホモジネートおよび硬変した肝臓から精製した肝細胞の両方を解析した。同様の手順を正常肝臓においても行なった。
【0159】
肝細胞を、膜構造、特に、レセプターを破壊し得る酵素処置(たとえば、コラゲナーゼなど)を回避する機械的組織分離を用いる革新的な手順により得た(Dr Giovanna Mazzoleni, Dept Biomedical Sciences and Biotechnology, Viale Europa 11, 25100 Brescia, methodological procedure 近刊)。
【0160】
100mgの肝臓または16mgの肝細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ)を含有する1mlの溶解バッファー(150mM NaCl2、10mM トリス/HCl pH7.4、1% Igepal、1%デソシコレート(desossicholate)、0.1%SDS、1mM Na3VO4)中でホモジナイズし、4℃で20分間インキュベートし、12,000gで30分間遠心分離した。40マイクログラムを10%SDS−PAGE上に負荷し、PVDF膜に転写し、gp80およびGp130に対するポリクローナル抗体(サンタクルーズ)でプローブし、ECLで現像した。
【0161】
肝硬変動物では、gp80の発現は、全肝由来の細胞抽出物および単離した肝細胞由来の細胞抽出物の両方において、正常対照と比べて有意に増加した(図6)。
【0162】
肝硬変動物では、gp130の発現は、全肝由来の細胞抽出物において、正常対照と比べて有意に減少した。対照的に、肝硬変動物において、gp130の発現は、精製した肝細胞由来の全細胞抽出物において、正常対照と比べて有意に増加した(図6)。
【0163】
文献データは、肝臓の細胞では、IL−6に対する応答性が、IL−6レセプター複合体の特定のgp80サブユニットの存在に依存することを示す。加えて、gp80の増加またはgp80およびgp130サブユニットの両方の増加により、IL−6に対する細胞応答性の増加が誘導されることが示された。
【0164】
硬変した肝臓由来の肝細胞が、IL−6レセプターのgp80およびgp130の両サブユニットを過剰発現するを示すこれらの結果は、硬変した肝臓の肝細胞がIL−6処置に対して高度に応答性であることを示唆する。
【0165】
実施例6
IL−6が肝硬変ラットの肝臓において発癌性効果を誘導する否かの評価
IL−6により誘導される肝細胞性増殖が、肝細胞性癌腫の発生率の増加と関連するか否かを、処置肝硬変ラット対未処置肝硬変ラットで、さらに詳しく調べた。続いて、新生組織形成または形成異常の存在、さらに、肝細胞癌腫発生のリスク増加のマーカーとみなされる実質組織血管新生の変化の存在を直接証明するため、肝硬変ラットの再生している肝臓を、盲検条件下で、組織学的検査および免疫組織化学的検査に供した。この形態学的評価は、最終的に、種々の癌遺伝子の免疫組織化学的評価によって完結させた。
【0166】
本試験は、実験の最後に得た肝臓検体において行なった(動物致死、実施例2)。
【0167】
実験は、対照ラットおよび用量500および100mcg/kgのIL−6で処置したラットを用い、すでに記載(実施例2)の注射手順にしたがって行なった。
【0168】
すべての組織学的評価は、1匹の動物あたり最低2つのヘマトキシリン−エオシン染色検体において行なった。特に、新生組織形成および形成異常の存在を注意深く詳しく調べた。
【0169】
いくつかの免疫組織化学的評価を、1つの免疫組織化学的反応につき1匹の動物あたり最低2つの検体において行なった。
【0170】
再生している硬変した実質における新脈管形成を詳しく調べた。これには、硬変した肝葉における微小血管密度で示される洞様毛細血管形成の検査、胆道構造と関連しない細動脈(対でない細動脈)の検査および内皮分化の評価を含めた。
【0171】
本試験は:
−毛細血管の証明(demonstration)のための抗第VIII因子抗体;
−細動脈の証明のための抗平滑筋特異的アクチン抗体;
−内皮分化を調べるためのULEXレクチン
により行なった。
【0172】
再生している硬変した実質における癌遺伝子発現の試験では、
−P53;
−MIBI 1;
−Bcl−2
の発現の評価を詳しく行なった。
【0173】
55匹のラット由来の検体をモニターした(25匹の対照、21匹のIL−6 100および9匹のIL−6 500)。2匹の対照(8%)および1匹のIL−6 100(4.8%)は、重症の形成異常または肝細胞性癌腫(HCC)を示した。残りのすべての検体は、様々な程度の肝硬変および肝臓の線維化を示したが、細胞の形成異常またはHCCは示さなかった。
【0174】
また、組織学的解析で形成異常またはHCCを示した3匹の動物は、対でない細動脈に関する試験において陽性であり、さらにまた、2匹の対照は、微小血管密度の試験でも陽性であり、1匹は内皮分化の評価でも陽性であった。
【0175】
残りのすべての検体は、洞様毛細血管形成が肝硬変の重篤度および伝播(diffusion)と直接的に関連することを明白に示し、対照とIL−6処置動物間で微小血管密度の差は観察されなかった。さらにまた、これらの場合では、対照でもIL−6処置動物でも胆道構造と関連しない細動脈は観察されず、すべての場合において、ULEXレクチンでは、再生している内皮の正常分化が示された。
【0176】
P53およびMIBI 1の試験は常に陰性であった。これとは対照的に、4例(1匹の対照、1匹のIL−6 500および2匹のIL−6 100)において、Bcl−2は、限局的に陽性であった。これらの4匹の動物において、組織学的解析および新脈管形成の試験は完全に陰性であり、組織学的解析において形成異常またはHCCを示した3匹の動物は、試験した癌遺伝子の過剰発現を示さなかったことに注目されたい。
【0177】
得られた直接および間接データでは、新生物発生のリスクの増加は示されなかった。
【0178】
特に、重症の形成異常または肝細胞癌の発生率は、対照動物では8%(2/25)であり、IL−6動物では3.3(1/30)であった。
【0179】
処置動物において、再生している硬変した実質における新脈管形成の試験では、硬変した小結節内部での微小血管密度、対でない細動脈または未分化内皮の異常な増加は示されなかった。データは、HCC発症と相関させた。
【0180】
癌遺伝子発現は、ほとんど完全に陰性であった。Bcl−2のみが、対照およびIL−6動物において、それぞれ、4%および13.3%の限局的陽性率を示した。
【0181】
これらの結果は、高用量のIL−6は、肝細胞性癌腫発症と関連する有意な事象を誘導しないことを示す。
【0182】
実施例7
機能的に非代償性の硬変した肝臓に対するIL−6の薬理学的効果
以下の実験の目的は、機能的代償性肝硬変ラットの肝臓に対してIL−6により誘導される効果が、肝臓機能の明白な障害と関連する、より重症の肝硬変においても観察される否かを検証することであった。
【0183】
実験の対象は、機能的非代償性肝硬変を発症し、開腹またはIL−6注射時に腹水の徴候を伴った実施例1の実験のラット、および故意に非代償性肝臓機能を達成するために長期の処置に供した少数の動物である。実験には、13匹の対照および19匹のIL−6の32匹のラットを含めた。IL−6群のうち、11匹の動物には、用量100mcg/kg、3匹に用量500mcg/kg、2匹に用量10mcg/kg、2匹に用量1mcg/kg、および1匹に用量0.1mcg/kgを投与した。
【0184】
対照間では46.2%の死亡率(6/13)に対し、IL−6ラット間では、10.5%(2/19)が観察された。1例では、死亡率は、急性術中出血と関連し、7匹のラット(5匹の対照および2匹のIL−6)は、心肺機能不全により死亡した。
【0185】
割合:(切除した肝臓/ラット体重)×100(13匹の対照動物および19匹のIL−6ラットから外挿)(図7)は:
対照間では、平均値19.44±5.19、中央値18.7;
IL−6動物間では、平均値23.6±7.1、中央値23.8
を示した。
平均値間の差は、統計学的に有意ではなかった(p=0.077)。
【0186】
高用量(H.D.)のIL−6(500および100mcg/kg)で処置したこれらの14匹を考慮すると、結果は:
IL−6 H. D.:平均値23.6±5.0、中央値24.4
であった。
【0187】
この場合、差は統計学的に有意であった(p=0.044)。同じ結果(p=0.034)が、
100mcg/kgのIL−6で処置した11匹のラットのみを考慮した場合にでも得られた:
IL−6 100:平均値24.27±5.3、中央値25.1。
【0188】
割合(切除した肝臓/ラット体重)×100は、10mcg/kgのIL−6で処置したラットでは17.5および15、1mcg/kgで処置したラットでは43.5および27.3、0.1mcg/kgで処置したラットでは15.8であった。
【0189】
5匹の対照および5匹のIL−6ラット(3匹のIL−6 100)に、肝臓の切除前にBrdUを摂取させた。BrdU染色肝細胞の計測数は(図8):
対照間では、平均値17.4±8.6、中央値17.2;
IL−6動物間では、平均値34.3±14.8、中央値42.1
を示した。
【0190】
差は有意ではなかった(p=0.058)。
肝臓切除後の硬変肝実質の再生に対するIL−6の薬理学的効果
1.術後死亡率
対照では42.8%の死亡率(3/7)に対し、IL−6処置ラットでは53%(9/17)が観察された。1例を除くすべての動物は、肝不全により死亡した(1匹のIL−6動物は、内臓摘出により死亡した)。
2.致死時での肝臓機能の評価
すべての動物は、致死時(術後第7日)に重症の腹水を示した。
3.肝臓再生
平均肝臓再生率を、4匹の対照および8匹のIL−6動物(6匹のIL−6 100、1匹のIL−6 500および1匹のIL−6 10)から算出した。
【0191】
a.対照間では、平均値8.6±9.8、中央値7.1;
b.IL−6動物間では、平均値22.5±11.4、中央値22. 3
が観察された(図9)。
【0192】
平均値間の差は統計学的に有意でなかった(p=0.069)。
【0193】
23.5±12.8、13.6および23.2の再生率が、それぞれ、6匹のIL−6 100動物ならびにIL−6 500およびIL−6 10ラットについて算出された。
4.致死時でのBrdU取込み
1匹の対照および4匹のIL−6ラット(3匹のIL−6 100および1匹のIL−6 10)に、肝臓の切除後にBrdUを摂取させた。BrdU染色肝細胞の計測数は:
g.対照ラットにおいて12.9%のBrdU染色肝細胞(hepatocite);
h.3匹のIL−6 100およびIL−6 10ラットにおいて、それぞれ、89.1%、87.6%、33.9%および61.4%
を示した。
【0194】
これらのデータは、機能的非代償性肝硬変が存在する場合、IL−6の腹腔内注射は、機能的代償性肝硬変が存在する場合に検出されるのと同じ生物学的効果を誘発し、IL−6動物間の術中死亡率の明白な低下をもたらすことを示唆する。
【0195】
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【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】対照未処置ラットに対するIL−6処置(高および低IL−6用量による)における術中死亡率を示す。
【図2】未処置対照に対するIL−6処置の表示した用量での肝臓の切除後のIL−6処置後の肝臓再生(generation)の%を示す。
【図3】図2の場合のようなIL−6処置後のBrdU取込み%を示す。
【図4】硬変した肝臓におけるIL−6注射後の転写因子の発現を示す。
【図5】IL−6処置ラットまたは対照未処置肝硬変ラットにおける硬変した肝臓の切除後の転写因子の発現を示す。
【図6】正常ラットおよび肝硬変ラットにおける、全肝または精製した肝細胞でのIL−6レセプターgp80およびgp130の発現を示す。
【図7】対照の機能的非代償性硬変未処置ラットに対するIL−6処置の、表示した用量での[切除した肝臓(g)/ラット体重(g)]×100の割合を示す。
【図8】対照の機能的非代償性硬変未処置ラットに対するIL−6処置由来の切除した肝葉におけるBrdU取込みの%を示す。
【図9】対照の機能的非代償性硬変未処置ラットに対するIL−6処置の、表示した用量での肝臓の切除後の肝臓再生の%を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝臓傷害の治療および/または予防用の医薬の製造のための、低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分または円順列誘導体または塩の使用。
【請求項2】
肝臓傷害が肝硬変である請求項1記載の使用。
【請求項3】
肝硬変が代償性肝硬変である請求項2記載の使用。
【請求項4】
肝硬変が非代償性肝硬変である請求項2記載の使用。
【請求項5】
治療が肝臓切除を含む請求項2記載の使用。
【請求項6】
用量が0.1〜10mcg/kg体重の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
用量が約0.1mcg/kgである請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
用量が約1mcg/kgである請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
用量が約10mcg/kgである請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
IL−6が1つ以上の部位でグリコシル化されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
IL−6がグリコシル化されていない請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
融合タンパク質が免疫グロブリン(Ig)融合を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
融合タンパク質がIL−6およびgp80またはgp80の断片を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
機能性誘導体が、アミノ酸残基の1個以上の側鎖として存在する1個以上の官能基に結合した部分を少なくとも1つ含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記部分がポリエチレン部分である請求項14記載の使用。
【請求項16】
医薬が、IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を発現する細胞を含有する請求項1記載の使用。
【請求項17】
医薬が、IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを含有する請求項1記載の使用。
【請求項18】
ベクターがレンチウイルスベクターである請求項17記載の使用。
【請求項19】
低用量のIL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を、任意には薬学的に許容され得る担体とともに、必要とする患者に投与することを含む、肝臓傷害の治療および/または予防方法。
【請求項20】
肝臓傷害が肝硬変である請求項記載の方法。
【請求項21】
肝硬変が代償性肝硬変である請求項20記載の方法。
【請求項22】
肝硬変が非代償性肝硬変である請求項20記載の方法。
【請求項23】
治療方法が肝臓切除を含む請求項20記載の方法。
【請求項24】
用量が0.1〜10mcg/kg体重の範囲である請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
用量が約0.1mcg/kgである請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
用量が約1mcg/kgである請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
用量が約10mcg/kgである請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を毎日投与する請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を週3回投与する請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を週1回投与する請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
IL−6が1つ以上の部位でグリコシル化されている請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
IL−6がグリコシル化されていない請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
融合タンパク質が免疫グロブリン(Ig)融合を含む請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
融合タンパク質がIL−6およびgp80またはその断片を含む請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
機能性誘導体が、アミノ酸残基の1個以上の側鎖として存在する1個以上の官能基に結合した部分を少なくとも1つ含む請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記部分がポリエチレン部分である請求項35記載の方法。
【請求項37】
IL−6またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を発現する細胞を投与する請求項19記載の方法。
【請求項38】
IL−6またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを投与する請求項19記載の方法。
【請求項39】
ベクターがレンチウイルスベクターである請求項38記載の方法。
【請求項40】
切除を含む肝硬変の治療およびまたは予防方法であって、有効な低用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体を必要とする患者に投与することを含む、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクター、またはこれらを産生する細胞を必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項41】
肝臓傷害の治療または予防方法であって、有効な低用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体を必要とする患者に投与することを含む、低用量のIL6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分もしくは円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項42】
肝臓傷害が肝硬変である請求項41記載の治療方法。
【請求項43】
前記必要とする患者が末期肝臓機能不全に罹患している請求項41または42記載の治療方法。
【請求項44】
前記必要とする患者が肝臓切除外科処置後の肝臓機能不全に罹患している請求項41または42記載の治療方法。
【請求項45】
前記必要とする患者が、急性肝臓機能不全に罹患している請求項41または42記載の治療方法。
【請求項46】
傷害が切除によって引き起こされたものである請求項41記載の治療方法。
【請求項47】
前記必要とする患者が移植ドナーである請求項46記載の治療方法。
【請求項48】
投与を、切除処置前、切除処置中および/または切除処置後に行なう請求項46または47記載の治療方法。
【請求項49】
投与される低用量が0.1〜10mcg/kg体重の範囲である請求項41〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を毎日投与する請求項41〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を週3回投与する請求項41〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
IL−6、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体もしくは塩を週1回投与する請求項41〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
肝硬変が重症である請求項41記載の治療方法。
【請求項54】
肝硬変が急性である請求項41記載の治療方法。
【請求項55】
後に組織生着を行なう肝臓傷害の治療方法であって、有効な低用量のIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体を、必要とする患者に投与することを含む、またはIL−6、そのムテイン、融合タンパク質、活性画分または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを、必要とする患者に投与することを含む治療方法。
【請求項56】
肝臓傷害が肝硬変である請求項55記載の治療方法。
【請求項57】
肝硬変が重症である請求項56記載の治療方法。
【請求項58】
肝硬変が急性である請求項56記載の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−517018(P2007−517018A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546474(P2006−546474)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001158
【国際公開番号】WO2005/060990
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(303066954)アプライド・リサーチ・システムズ・エイアールエス・ホールディング・ナムローゼ・フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】