説明

肥満の予防及び/又は治療薬

【課題】肥満の予防及び/又は治療薬を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む肥満の予防及び/又は治療薬。


〔R1 は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C5のアルコキシ基、又はC2〜C6のジアルキルアミノ基を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子又はC1〜C5のアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、ヒドロキシル基、−O−(CH2n−COOH(nは1〜5の整数を表わす。)、又はO−CO−(CH2l−COOH(lは1〜3の整数を表わす。)を表わし、R4は−N(R5)(R6)(R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子又はC1〜C8のアルキル基を表わす。)などを表わし、mは0〜5の整数を表わす。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肥満が多彩な疾病発症の基盤になっていることは、疫学調査、アディポサイエンスや関連するブレインサイエンスの急速な進歩などによって解明されるようになってきた。なかでも肥満に伴って糖尿病、高血圧、高脂血症が、一個人に複数集積し、動脈硬化性疾患の発症にとってきわめて危険なトリガーになることも知られている。このような病態はメタボリックシンドロームとして、現在、国内外の注目を集めている(非特許文献1)。
【0003】
日本内科学会など8学会の委員で構成されたメタボリックシンドローム診断基準検討委員会が2005年4月に発表した「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」では、メタボリックシンドロームを構成する因子の中でも内臓脂肪の蓄積が主要な役割を担っており、本診断基準では必須項目となっている(非特許文献2)。これは内臓脂肪から分泌される生理活性物質の異常亢進やアディポネクチンの低下などにより高血圧、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、高血糖などの複数のリスクファクターが一個人に集積し、心血管疾患発症と密接に関連することが国内外の臨床試験によって実証されているためである。予防医学的見地からも内臓脂肪蓄積を標的にした治療に重点を置くことが示されている。
【0004】
また、わが国の肥満は欧米に比べると、その頻度や病的意義といった点で趣を異にする。わが国ではbody mass index(BMI)が30kg/mを超える肥満の頻度は全人口の3%に満たず、欧米の頻度より一桁少ない。これに反し、肥満に起因する糖尿病や高脂血症の発症率は欧米のそれに匹敵し、既述の3%未満という数に見合わない。このような疫学上の知見を考慮し、肥満を医学的に正しい治療対象にするには、内臓脂肪蓄積の多寡を盛り込む必要があることは明らかである(非特許文献1)。
【0005】
下記式(2):
【0006】
【化1】

【0007】
で表わされる塩酸サルポグレラートに代表される特定構造のアミノアルコキシビベンジル類は5HT受容体に高い選択性を示し、血圧にほとんど影響を与えないことが報告されており、さらに、重篤な副作用もほとんどなく、高い安全性を示す薬剤である。塩酸サルポグレラートについては、これまで脳循環障害、虚血性心疾患、末梢循環障害等の疾患における、血栓生成及び血管収縮に基づく種々の微小循環障害の改善に有効であることが知られている(特許文献1)。
【0008】
近年、塩酸サルポグレラートが糖尿病ラットにおいてインスリンの抵抗性を改善し、血糖値を低下させ、体重を減少させたことが報告されている(非特許文献3)。しかし塩酸サルポグレラートが肥満の予防及び/又は治療薬として有用であることは従来知られていない。
【0009】
【特許文献1】特開平2−304022号公報
【非特許文献1】日本肥満学会誌 第12巻 臨時増刊号,2006:p1-3
【非特許文献2】日本内科学会雑誌 第94巻 第4号,2005:p188-203
【非特許文献3】J Cardiovasc Pharmacol 43(2),2004:p266-270
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、アミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質の新規な用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、アミノアルコキシビベンジル類が肥満の予防及び/又は治療薬として有用であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【0013】
【化2】

【0014】
〔式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C5のアルコキシ基、又はC2〜C6のジアルキルアミノ基を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子又はC1〜C5のアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、ヒドロキシル基、−O−(CH2n−COOH(式中、nは1〜5の整数を表わす。)、又はO−CO−(CH2l−COOH(式中、lは1〜3の整数を表わす。)を表わし、R4は−N(R5)(R6)(式中、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子又はC1〜C8のアルキル基を表わす。)又は
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Aはカルボキシル基で置換されていてもよいC3〜C5のアルキレン基を表わす。)を表わし、mは0〜5の整数を表わす。〕
[2]下記式(2)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【0017】
【化4】

【0018】
[3]下記式(3)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【0019】
【化5】

【0020】
[4]塩酸塩の形態である上記[2]又は[3]に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[5]肥満が内臓脂肪の増加を伴うことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[6]肥満がメタボリックシンドロームを伴うことを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[7]肥満が内臓脂肪症候群又は代謝異常症候群を伴うことを特徴とする上記[6]に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[8]肥満が糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、又は慢性動脈閉塞症を伴うことを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[9]慢性動脈閉塞症が閉塞性動脈硬化症又はバージャー病である上記[8]に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
[10]肥満の予防及び/又は治療薬を製造するための上記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質の使用。
[11]肥満の予防及び/又は治療薬を製造するための上記式(2)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質の使用。
[12]肥満の予防及び/又は治療薬を製造するための上記式(3)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質の使用。
[13]塩酸塩の形態である上記[11]又は[12]のいずれかに記載の使用。
[14]肥満が内臓脂肪の増加を伴うことを特徴とする[10]〜[13]のいずれかに記載の使用。
[15]肥満がメタボリックシンドロームを伴うことを特徴とする[10]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[16]肥満が内臓脂肪症候群又は代謝異常症候群を伴うことを特徴とする[15]に記載の使用。
[17]肥満が糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、又は慢性動脈閉塞症を伴うことを特徴とする[10]〜[14]のいずれかに記載の使用。
[18]慢性動脈閉塞症が閉塞性動脈硬化症又はバージャー病である[17]記載の使用。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば肥満の予防及び/又は治療薬を提供することができる。さらに本発明によれば肥満を伴う疾患の予防及び/又は治療薬を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の予防及び/又は治療薬は、上記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分として含む。
1は水素原子;塩素原子、弗素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等のC2〜C6のジアルキルアミノ基を示す。R2は水素原子;塩素原子、弗素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基を示す。R3は水素原子;ヒドロキシル基;−O−(CH22 −COOH、−O−(CH23−COOH等の−O−(CH2n−COOH(式中、nは1〜5の整数を示す);−O−CO−(CH22−COOH、−O−CO−(CH23−COOH等の−O−CO−(CH2l−COOH(式中、lは1〜3の整数を示す)を示す。R4はアミノ基、若しくはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等の炭素数1〜8のアルキル基を1〜2個有するアミノ基を示すか、又はトリメチレンアミノ基、ペンタメチレンアミノ基、3−カルボキシペンタメチレンアミノ基等の環にカルボキシル基が置換していてもよい4〜6員のポリメチレンアミノ基を表わす。
【0023】
上記一般式(1)に包含される化合物のうち、本発明に好ましく用いられる化合物のいくつかを表1に示す。
【0024】

【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
これらのなかでも、アミノアルコキシ基−OCH2C(R3)H−(CH2m−R4がフェニル基の2−位に結合している化合物が好ましい。また、R1は水素原子、C1〜C5のアルコキシ基、又はC2〜C6のジアルキルアミノ基が好ましく、R2は水素原子が好ましく、R4は少なくとも1個のC1〜C8のアルキル基を有するアミノ基又はトリメチレン基ないしはペンタメチレン基を有する4〜6員のポリメチレンアミノ基であるのが好ましく、mは0〜2の整数であることが好ましい。特に好ましいのは、R1がメトキシ基であり、R2が水素原子であり、R3が水酸基であり、R4がジメチルアミノ基であり、mが1であるNo.15の化合物(以下、本明細書においてこの化合物を「M−1」と呼ぶ場合がある)及びそのコハク酸エステルであるNo.14の化合物である。
上記一般式(1)で表わされる化合物の薬学的に許容される塩を形成する酸としては、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸、酢酸、コハク酸、アジピン酸、プロピオン酸、酒石酸、マレイン酸、蓚酸、クエン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等が用いられる。また、上記一般式(1)で表わされる化合物、その薬学的に許容される塩又はそのエステルの溶媒和物又は水和物も用いることができる。これらのうちで特に好ましいのは、下記式(4)で表わされる(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロピル水素スクシナートの塩酸塩である(以下、本明細書において、この物質を「塩酸サルポグレラート」ということもある)。
【0027】
【化6】

【0028】
上記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学的に許容される塩及びそのエステルは公知であり、特開昭58−32847号公報に記載の方法又はそれに準じた方法により容易に合成できる。なお、上記式(4)で表わされる塩酸サルポグレラートは、田辺三菱製薬株式会社より「アンプラーグ(登録商標)」として市販されており、本発明においては市販の「アンプラーグ」をそのまま使用することも可能である。
【0029】
本発明において肥満とはbody mass index(BMI)が25kg/m以上であり、さらに内臓脂肪型肥満と判断されたものをいう。ここで、BMIは、BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)により算出する。また内臓脂肪はX線コンピューター断層撮影(CTスキャン)による測定がより正確とされ、臍部横断面スライスにおける内臓脂肪面積が100cm以上の場合に内臓脂肪型肥満と判断される。しかしCTスキャンを用いる方法は病院へ行く手間や費用がかかるため、ウエスト周囲径を測ることで代替しても良い。ウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上の場合には、内臓脂肪面積100cm以上に相当するとされている(日本肥満学会誌 第12巻 臨時増刊号,2006「肥満症治療ガイドライン 2006」参照)。
【0030】
本発明において内臓脂肪を減少させるとは、内臓脂肪面積の減少もしくはウエスト周囲径の縮小のことを指す。
【0031】
本発明における肥満の予防及び/又は治療薬は、肥満を伴う疾患の予防及び/又は治療のための医薬として有用である。このような疾患として例えば、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、代謝異常症候群等)が挙げられる。また、糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症、高血圧、狭心症(好ましくは慢性安定狭心症及び不安定狭心症など)、心筋梗塞、及び慢性動脈閉塞症(好ましくは閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
本発明の肥満の予防及び/又は治療薬を医薬として用いる場合の投与方法は当業者が適宜選択可能である。例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉注射、腹腔内注射等の非経口投与、又は経口投与のいずれの投与経路を選択することも可能である。投与量は患者の年齢、健康状態、体重などの条件、同時に投与される医薬がある場合にはその種類や投与頻度などの条件、あるいは所望の効果の性質等により適宜決定することができる。一般的には、有効成分の1日投与量は0.5〜50mg/kg体重、通常1〜30mg/kg体重であり、一日あたり1回あるいはそれ以上投与することができる。
【0033】
本発明の肥満の予防及び/又は治療薬を医薬として用いる場合には、上記の有効成分と1種又は2種以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。経口投与に適した医薬組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、エリキシル剤等を挙げることができ、非経口投与に適した医薬組成物としては、例えば、液剤あるいは懸濁化剤等の殺菌した液状の形態の医薬組成物を例示することができる。
【0034】
医薬組成物の調製に用いられる製剤用添加物の種類は特に制限されず、種々の医薬組成物の形態に応じて適宜の製剤用添加物を選択することが可能である。製剤用添加物は固体又は液体のいずれであってもよく、例えば固体担体や液状担体などを用いることができる。固体担体の例としては通常のゼラチンタイプのカプセルを用いることができる。また、例えば、有効成分を1種又は2種以上の製剤用添加物とともに、あるいは製剤用添加物を用いずに錠剤化することができ、あるいは粉末として調製して包装することができる。これらのカプセル、錠剤、粉末は、一般的には製剤の全重量に対して5〜95重量%、好ましくは5〜90重量%の有効成分を含むことができ、投与単位形態は5〜500mg、好ましくは25〜250mgの有効成分を含有するのがよい。液状担体としては水、あるいは石油、ピーナツ油、大豆油、ミネラル油、ゴマ油等の動植物起源の油又は合成の油が用いられる。また、一般に生理食塩水、デキストロースあるいは類似のショ糖溶液、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類が液状担体として好ましく、特に生理食塩水を用いた注射液の場合には通常0.5〜20%、好ましくは1〜10%重量の有効成分を含むように調製することができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。なお、以下で用いた塩酸サルポグレラートは、特開昭58−32847号公報の記載に従って合成したものを用いた。
【0036】
実施例1 8週齢のC57BL/6マウスを高脂肪食(HFD)群、正常食(NC)群に分け、4週間飼育した。その後、それぞれの群を4群に分け、塩酸サルポグレラートを4週間、0、3、10、30mg/kg/day経口投与した。4週後、体重(body weight)、腸間膜脂肪率(Mesenteric fat weight/Body weight 腸間膜脂肪重量/体重)及び皮下脂肪率(Subcutaneous fat weight/Body weight 皮下脂肪重量/体重)を測定した。
【0037】
それぞれの結果を図1から3に示す。塩酸サルポグレラートを10及び30mg/kg/day投与した高脂肪食群において、腸間膜脂肪率の有意な減少が確認された。
この結果より、肥満の予防及び/又は治療に対して塩酸サルポグレラートは有効であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば新規な肥満の予防及び/又は治療薬を提供することができる。さらに、本発明によれば肥満に起因する疾患の予防及び/又は治療薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】4週後の各群の体重(body weight)を示した図である。
【図2】4週後の各群の腸間膜脂肪率(Mesenteric fat weight/Body weight)を示した図である。
【図3】4週後の各群の皮下脂肪率(Subcutaneous fat weight/Body weight)を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【化1】

〔式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1〜C5のアルコキシ基、又はC2〜C6のジアルキルアミノ基を表わし、R2は水素原子、ハロゲン原子又はC1〜C5のアルコキシ基を表わし、R3は水素原子、ヒドロキシル基、−O−(CH2n−COOH(式中、nは1〜5の整数を表わす。)、又は−O−CO−(CH2l−COOH(式中、lは1〜3の整数を表わす。)を表わし、R4は−N(R5)(R6)(式中、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子又はC1〜C8のアルキル基を表わす。)又は
【化2】


(式中、Aはカルボキシル基で置換されていてもよいC3〜C5のアルキレン基を表わす。)を表わし、mは0〜5の整数を表わす。〕
【請求項2】
下記式(2)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【化3】

【請求項3】
下記式(3)で表わされるアミノアルコキシビベンジル類、その薬学上許容し得る塩、そのエステル、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物よりなる群から選ばれる物質を有効成分とする肥満の予防及び/又は治療薬。
【化4】

【請求項4】
塩酸塩の形態である請求項2又は3に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
【請求項5】
肥満が内臓脂肪の増加を伴うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
【請求項6】
肥満がメタボリックシンドロームを伴うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
【請求項7】
肥満が内臓脂肪症候群又は代謝異常症候群を伴うことを特徴とする請求項6に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
【請求項8】
肥満が糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDL血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、又は慢性動脈閉塞症を伴うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。
【請求項9】
慢性動脈閉塞症が閉塞性動脈硬化症又はバージャー病である請求項8に記載の肥満の予防及び/又は治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−208122(P2008−208122A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22385(P2008−22385)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【出願人】(504136993)独立行政法人国立病院機構 (37)
【Fターム(参考)】