説明

肥満症の治療に使用するためのペプチド

本発明は、1以上のメラノコルチン受容体タイプを調節することにおいて有効な新規なペプチド化合物、該化合物の治療における使用、それを必要としている患者に対して当該化合物を投与することを含んでなる治療方法、医薬の製造における該化合物の使用に関する。本発明の化合物は、肥満の治療、並びに肥満に付随する種々の疾患または状態の治療に関して特に興味あるものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、一定の三量体化部分に接合されたペプチドに関する。
【発明の背景】
【0002】
肥満症は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM))、異脂肪血症、冠動脈性心疾患、および骨関節炎、並びに種々の悪性腫瘍等のような、多くの非常に普通の疾患の発症についての周知の危険因子である。また、それは減少した運動性および低下したクオリティー・オブ・ライフによって、顕著な問題を引き起こす。肥満の発生、またそれによるこれら疾患の発生は、産業化された世界全体の至る所で増加している。現在のところ、少数の薬理学的治療のみが利用可能であるに過ぎない:即ち、シブトラミン(アボット社;セロトニン作動性および非アドレナリン機構を介して作用する)およびオルリスタット(ロッシュファーマ社;腸からの脂肪の取り込みを低減する)である。しかし、重篤な(更には致死的な)および普通の疾患における危険因子としての肥満の重要な影響のため、肥満の治療に有用な医薬化合物が未だ必要とされている。
【0003】
肥満症の用語は、脂肪組織の過剰を意味する。この点において、肥満症は、健康に危険を与える何等かの程度の脂肪過多とみなすのが最良である。正常な固体と肥満固体との間の区別は近似できるに過ぎないが、肥満症により与えられる健康の危険は、おそらく脂肪過多と共に増大する連続系である。本発明に関しては、25以上の肥満度指数(BMI=キログラムでの体重をメートルでの身長の二乗で除算したもの)を持った固体は肥満とみなされるべきである。
【0004】
穏やかな肥満症でさえも、若年死、並びに糖尿病、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、胆嚢疾患およびある種の癌のような症状の危険を増加させる。産業化された西側世界では、肥満症の蔓延が過去数十年の間に著しく増加した。肥満症およびその健康上の結果の高度の蔓延のため、その予防および治療は高度の公衆衛生的優先事項であるべきである。
【0005】
エネルギー摂取が消費を超える場合、超過カロリーは脂肪組織に優先的に蓄積され、また、この正味のプラスのバランスが長期に亘れば肥満が生じる。即ち、体重バランスには二つの要素が存在し、その何れの側(摂取または消費)での異常も肥満症に結びつくことがあり得る。
【0006】
プロオピオメラノコルチン(POMC)は、メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)およびアドレノコルチコトロピン(ACTH)を含むβ-エンドルフィンおよびメラノコルチンペプチドの前駆体である。POMCは、メラニン細胞、下垂体および視床下部のニューロンを含む幾つかの抹消および中枢の組織において発現される。該POMC前駆体は、異なる組織において異なる仕方でプロセッシングされ、発現部位に応じて異なるメラノコルチンペプチドの発現がもたらされる。下垂体の前葉においては、主にACTHが産生されるのに対して、中葉および視床下部ニューロンにおける主要なペプチドは、α-MSH、β-MSH、デスアセチル-α-MSHおよびβ-エンドルフィンである。ACTHおよびα-MSHを含む幾つかのメラノコルチンは、脳室内注射によってラットに投与されたときに食欲抑制作用を有することが示されている[Vergoni et al, European Journal of Pharmacology 179, 347-355 (1990)]。食欲抑制効果はまた、人工的な環状α-MSH類似体であるMT-IIでも得られる。
【0007】
五つのメラノコルチン受容体サブタイプのファミリーが同定されている(メラノコルチン受容体1〜5;MC1、MC2、MC3、MC4およびMC5とも呼ばれる)。MC1、MC2およびMC5は、主に抹消組織で発現されるのに対して、MC3およびMC4は主に中枢で発現される。しかし、MC3は幾つかの抹消組織でも発現される。エネルギーホメオスタシスに関与することに加えて、MC3受容体は、幾つかの炎症性疾患にも関与することが示唆されている。MC3アゴニストは、このような疾患、例えば通風性関節炎に対して積極的な効果を有することができるであろう。MC5は主に抹消で発現され、外分泌および炎症に関与することが示唆されている。MC4ノックアウトマウスが肥満症を発症するので、MC4は、体重および摂食行動の調節に関与することが示されている[Huzar et al., Cell 88, 131-141 (1997)]。更に、アグーチタンパク質(MC1、MC3およびMC4アンタゴニスト)の異所性中枢発現、またはマウス脳において内因的に生じるMC3およびMC4アンタゴニスト(アグーチ遺伝子関連タンパク質、AGRP)の過剰発現は、これら二つのアンタゴニストの過剰発現が肥満症の発症を導くことを立証した[Kleibig et al., PNAS 92, 4728-4732 (1995)]。更に、AGRPのC末端断片のicv注射は、摂食を増大させ、また摂食に対するα-MSHの阻害効果を打ち消す。
【0008】
ヒトにおいて、MC4におけるフレームシフト変異に起因すると思われる肥満を持った家族の幾つかの事例が記載されている[例えば、Yeo et al., Nature Genetics 20, 111-112 (1998); Vaisse et al., Nature Genetics 20, 113-114 (1998)参照]。
【0009】
結論として、MC4アゴニストは、食欲抑制薬またはエネルギー消費調節薬として働くことができ、また肥満または肥満関連疾患の治療、並びに他の疾患、障害、またはMC4の活性化によって寛解され得る病状の治療に有用であることができるであろう。
【0010】
MC4アンタゴニストは、悪液質または摂食障害の治療のために有用である可能性があり、また虚弱高齢患者における消耗状態の治療のために有用であり得る。更に、MC4アンタゴニストは、慢性疼痛、神経症、神経障害および神経性炎症の治療のために使用してもよい。
【0011】
本発明者等は驚くべきことに、特定のペプチドが、中枢三量体分子に適用されたときに1以上のメラノコルチン受容体、即ち、MC1、MC2、MC3、MC3、またはMC5受容体に対する高い調節効果等の改善された性質を有することを見出した。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一つの実施形態において、当該化合物はメラノコルチン受容体のリガンドである。
【0013】
本発明の一実施形態において、当該化合物はMC4受容体のリガンドである。
【0014】
本発明の一実施形態において、当該化合物はMC4受容体のアゴニストである。
【0015】
本発明の一実施形態において、当該化合物はMC4受容体の選択的アゴニストである。この点において、選択性はMC1、MC3および/またはMC5に関する当該化合物の活性に対するものと理解されるべきである。化合物がMC1、MC3および/またはMC5アゴニストとしてよりも、MC4アゴニストとして顕著に強いときには、選択的なMC4アゴニストであると看做される。MC1およびMC4に対する化合物のアゴニスト力価は、後述のアッセイIV(MC1)およびアッセイV(MC4)に記載した受容体結合アッセイにおいて決定される。もし、化合物がMC1に関してよりもMC4に関して10倍以上、例えば50倍以上、例えば100倍以上強ければ、MC1に比較して選択的なMC4アゴニストであると看做される。MC3、MC4およびMC5に関する化合物のアゴニスト力価は、アッセイII(MC3およびMC5)およびアッセイIII(MC4)に記載の機能的アッセイにおいて決定されてよい。もし、化合物がMC3に関してよりもMC4に関して10倍以上、例えば50倍以上、例えば100倍以上強ければ、MC3に比較して選択的なMC4アゴニストであると看做される。もし、化合物がMC5に関してよりもMC4に関して10倍以上、例えば50倍以上、例えば100倍以上強ければ、MC5に比較して選択的なMC4アゴニストであると看做される。特別の側面において、本発明の化合物は、MC1に比較して、MC3に比較して、MC5に比較して、MC1およびMC3に比較して、MC1およびMC5に比較して、MC3およびMC5に比較して、またはMC1、MC3およびMC5に比較して、選択的なMC4アゴニストである。
【0016】
本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、選択的なMC4アゴニストおよびMC3アンタゴニストである。この点において、化合物は、それが上記で述べたようにMC1およびMC5に比較して選択的なMC4アゴニストであり、またアッセイIIに記載した通り測定したときにMC3に拮抗するときには、それは選択的なMC4アゴニストおよびMC3アンタゴニストと看做される。100 nM未満、例えば10 nM未満、5 nM未満のIC50値をもった化合物は、MC3アンタゴニストと看做される。
【0017】
一実施形態において、本発明の化合物は、選択的MC3アゴニストで且つ選択的MC4アゴニストである。この点において、化合物は、それがMC1およびMC5に対するアゴニストとしてよりも、MC3およびMC4に対するアゴニストとして顕著に強ければ、それは選択的なMC3およびMC4アゴニストと看做される。MC1およびMC3に関する化合物の選択性は、アッセイIVに記載したようにしてMC1について測定された力価を、アッセイIIに記載したようにして測定されたMC3についての力価と比較することによって決定されてよい。もし、化合物がMC1に関してよりもMC3に関して10倍以上、例えば50倍以上、例えば100倍以上強ければ、それはMC1に比較して選択的なMC3アゴニストであると看做される。MC3およびMC5に関する化合物の選択性は、アッセイIIに記載したようにして測定された力価を比較することによって決定されてよい。もし、化合物がMC5に関してよりもMC3に関して10倍以上、例えば50倍以上、例えば100倍以上強ければ、それはMC5に比較して選択的なMC3アゴニストであると看做される。化合物のMC3およびMC5に比較したMC4選択性は、上記で述べたようにして決定される。
【0018】
本発明の化合物はメラノコルチン受容体を調節し、従って、それはメラノコルチン受容体活性の調節により治療できる疾患または状態を治療するために特に適していると思われる。特に、本発明の化合物は、MC4の活性化を介しての、疾患または状態の治療のために適していると思われる。
【0019】
一実施形態において、本発明は、耐糖能異常(IGT)の2型糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0020】
一実施形態において、本発明は、2型糖尿病からインスリン要求性糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0021】
一実施形態において、本発明は、肥満症を治療し、または過体重を防止する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0022】
一実施形態において、本発明は、食欲を調節する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0023】
一実施形態において、本発明は、満腹感を誘導する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0024】
一実施形態において、本発明は、首尾よく減量した後の体重増加を防止する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0025】
一実施形態において、本発明は、エネルギー消費を増大させる方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0026】
一実施形態において、本発明は、過体重または肥満に関連した疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0027】
一実施形態において、本発明は、過食症を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0028】
一実施形態において、本発明は、気晴らし食いを治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0029】
一実施形態において、本発明は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、および若年死のリスクから選択される疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0030】
特に、本発明の化合物は、肥満または過体重の患者における疾患の治療に適する可能性がある。従って、本発明はまた、肥満症の患者において、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、および若年死のリスクから選択される疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、任意に1以上の治療的に活性な追加の化合物と共に、有効量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0031】
加えて、MC4アゴニストは、インスリン感受性に対して、報酬系を調節することにより薬物乱用に対して、また出血性ショックに対して積極的な効果を有することができるであろう。更に、MC3およびMC4アゴニストは解熱効果を有し、両者とも抹消神経再生に関与することが示唆されている。MC4アゴニストはまた、ストレス応答を低減することが知られている。更なる側面において、本発明は、患者においてMC4を活性化する方法であって、前記患者に対して、有効量の本発明による化合物を投与することを含んでなる方法に関する。
【0032】
上記で述べた全ての治療方法において、本発明の化合物は単独で投与されてより。しかし、上記で示したように、それは1以上の追加の治療的に活性な化合物と組み合わせて、逐次的にまたは同時に投与されてもよい。
一つの側面において、本発明は、1以上の医薬的に許容可能なキャリアまたは賦形剤問い共に、任意に1以上の追加の治療的に活性な化合物または物質と組み合わせて、0.05〜約1000mg、例えば約0.1〜約500mg、例えば約0.5mg〜約200mgの本発明の化合物を含有する、単位投与量形態の医薬組成物に関する。
【0033】
本発明はまた、本発明の化合物の使用であって、過体重または肥満症、過食症、気晴らし食い、アテローム製動脈硬化症、高血圧症、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌(特に子宮体癌、乳癌、大腸癌および前立腺癌)、性的機能障害、および若年死のリスクから選択される疾患または状態を治療するための医薬の製造における使用に関する。
【0034】
本発明はまた、単独で、または任意に1以上の追加の治療的に活性な化合物または物質と組み合わせた本発明の化合物の使用であって、IGTから2型糖尿病への進行を遅延させること;2型糖尿病からインスリン要求性糖尿病への進行を遅延させること;肥満を治療もしくは過体重を治療すること;食欲を調節すること;満腹感を誘導すること;首尾よく減量した後の体重再増加を防止すること;またはエネルギー消費を増大させることにおいて有効な医薬の製造における使用に関する。
【0035】
従って、本発明は、なかでも記一般式Iの化合物、並びにその医薬的に許容可能な塩、プロドラッグ、および溶媒和物に関する:
【化13】

【0036】
ここで、
Cxは、三つの独立のアームを有する中央部分を表し;
各Wは、独立に、C1-6-アルキレン、C1-6-アルキレンオキシ、C2-6-アルケニレン、C2-6-アルキニレン、ヒドロキシ-C1-6-アルキレン、ヒドロキシ- C2-6-アルケニレン、C2-6-アルケニレンオキシ、C2-6-アルカノイレン、C2-6-アルケノイレン、または結合を表し;
各R’は、独立に1以上の基Aおよび任意に1以上の基Bの鎖からなり、前記基は、R’が1以上の基Bを含むときには何れかの順序で連結され、但し、Wに結合されたカルボニル基に結合する各R’の末端は基Aで始まり;
ここでのAは、
【化14】

【0037】
であり、
ここでのrは0、または1〜50の整数であり、
nおよびmは独立に≧2の整数でああり;
Bは、
【化15】

【0038】
であり、
ここでのX、VおよびZは、-CR1R2-、C3-8-シクロアルキレン、C4-8-シクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、-O-、-S-、-N(R’’)-、-OCH2CH2O-、-OCH2-、および-CH2O-から独立に選択され;
R1およびR2は、独立に、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C3-8-シクロアルキル、およびC4-8-シクロアルケニルから選択され、またはR1およびR2は一緒になってC2-6-アルキレンブリッジを形成し;
R’’は、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C3-8-シクロアルキル、およびC4-8-シクロアルケニルから選択され;
q、kおよびlは、独立に、0、1、2、3、4、5および6から選択され、但し、q、kおよびlは全てが0ではなく;
Y’は、基Yから誘導される部分であり、これにはMC4受容体のリガンドであるペプチドPから誘導されるペプチド部分P’が共有結合される。
【0039】
本発明のもう一つの側面において、ペプチドP(これは本発明の化合物においてYに共有結合され、それによってP’Y’を形成する)は、独立に式Aのものである:
R1-X-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-R2 (式A)
ここで、
N-末端NH2-基に結合されたR1は、存在しないか、またはC1-4-アルカノイルもしくはアンカー基RXを表し、該アンカー基RXは任意にリンカーSを介してXに結合され、該リンカーSは、存在するときはβ-アラニン、Glu、Gly-Gln、Gly-Glu、Gly-Hisおよび
【化16】

【0040】
から選択され、ここでのyは1、2、3、4または5であり;
Xは、結合、アミノ酸残基、またはジペプチド残基もしくはトリりペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X1は、結合または側鎖に官能基を備えたアミノ酸残基を表し、これには任意にリンカーSを介してアンカー基RXが結合されてよく、該リンカーSは、存在するときにはβ-アラニン、Glu、Gly-Gln、Gly-Glu、Gly-Hisおよび
【化17】

【0041】
から選択され、ここでのyは1、2、3、4または5である。
【0042】
前記アンカー基RXは、例えば、天然に存在するアミノ酸残基または合成のアミノ酸残基であってよい。
【0043】
本発明の適切な実施形態において、前記アンカー基RXは、次式X、XaまたはXbの基を表すか、
【化18】

【0044】
或いは、Rxは、前記基Yと反応してY’P’を形成してよいケト官能基またはアルデヒド官能基をもったC2-6-アルカノイルもしくはC3-6-アルケノイルを表し;
X2は、結合、アミノ酸残基、またはジ-、トリ-もしくはテトラ-ペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X3は、結合またはアミノ酸残基を表し、前記アミノ酸残基は任意に、X10への架橋を形成することができ;
X4は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸でよく;
X5は、His、Ala、Nle、Met、Met(O)、Met(O2)、Gln、Gln(ε-アルキル)、Gln(ε-アリール)、Asn、Asn(ε-アルキル)、Asn(ε-アリール)、Ser、Thr、Cys、F-Pro、Pro、Hyp、(S)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、Trp、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、2-ピリジルアラニン、3-ピリジルアラニン、4-ピリジルアラニン、2-チエニルアラニン、3-チエニルアラニン、4-チアゾリルアラニン、2-フリルアラニン、3-フリルアラニン、およびPheから選択されるアミノ酸残基を表し、前記Pheのフェニル部分は任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ベンゾイル、メチル、トリフルオロメチル、またはシアノで置換され;
X6は、D-Pheを表し、該D-Pheのフェニル部分は任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチル、またはシアノで置換され;
X7は、Argを表し;
X8は、Trpまたは2-ナフチルアラニンを表し;
X9は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X10は、結合またはアミノ酸残基を表し、該アミノ酸残基は任意に、X3への科挙言うを形成することができ;
X11は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
R2は、-OHまたは-NR5R6を表し、ここでのR5およびR6は独立に、水素、C1-8アルキル、C2-8アルケニルまたはC2-8アルキニルを表し;
各Pは独立に、ラクタムまたはジスルフィド架橋を介してX3からX10へと任意に環化され;加えて、各Pは一つのアンカー基のみを含んでなり、且つ各Pは少なくとも7アミノ酸残基を含んでなる。
【0045】
既に示したように、本発明はまた、治療における上記式Iの化合物の使用;式Iの化合物を含有する医薬組成物;それを必要としている患者に対して、有効量の上記式Iの化合物を投与することを含んでなる治療方法;および医薬の製造における式Iの化合物の使用に関するものである。
【定義】
【0046】
構造の前綴り:Cx-y-アルキル、Cx-y-アルケニル、Cx-y-アルキニル、またはCx-y-シクロアルキルの使用は、x〜yの炭素原子を有する指定されたタイプのラジカルを意味する。
【0047】
「C1-6-アルキル」または「C1-6-アルキレン」の用語は、1〜6の炭素原子を有する飽和の分岐もしくは直鎖の炭化水素基を意味する。典型的なC1-6-アルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよび対応する二価のラジカルが含まれる。
【0048】
「C2-6-アルケニル」または「C2-6-アルケニレン」の用語は、2〜6の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を意味する。典型的には、C2-6-アルケニル基には、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1,3-ブタジエニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、1-エチルプロパ-2-エニル、1,1-(ジメチル)プロパ-2-エニル、1-エチルブタ-3-エニル、1,1-(ジメチル)ブタ-2-エニル、および対応する二価のラジカルが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
「C2-6-アルキニル」または「C2-6-アルキニレン」の用語は、2〜6の炭素原子および少なくとも一つの三重結合を有する、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を意味する。典型的なC2-6-アルキニル基には、ビニル、1-プロピニル、2-プロピニル、イソプロピニル、1,3-ブタジイニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、1-エチルプロパ-2-イニル、1,1-(ジメチル)プロパ-2-イニル、1-エチルブタ-3-イニル、1,1-(ジメチル)ブタ-2-イニル、および対応する二価のラジカルが含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
「C1-6-アルキルオキシ」、「C1-6-アルキレンオキシ」、「C2-6-アルケニルオキシ」、「C2-6-アルケニレンオキシ」、「C2-6-アルキニルオキシ」または「C2-6-アルキニレンオキシ」の用語は、-O-C1-6-アルキル、-O-C1-6-アルキレン、-O-C2-6-アルケニル、-O-C2-6-アルケニレン、-O-C2-6-アルキニル、または-O-C2-6-アルキニレンを意味し、ここでのC1-6-アルキル(レン)、C2-6-アルケニル、またはC2-6-アルキニルは上記で定義した通りである。典型的な例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、およびイソヘキソキシ等である。
【0051】
「ハロゲン」の用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを示すものである。
【0052】
本発明の文脈においては、「-トリイル」の用語が使用され、これは三つの結合点を備えた異なるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、または芳香族ラジカルを意味する。
【0053】
「C3-8-シクロアルキル」または「C3-8-シクロアルキレン」の用語は、3〜8の炭素原子を有する単環式の炭素環基を意味する。代表的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル等である。
【0054】
「C4-8-シクロアルケニル」または「C4-8-シクロアルケニレン」の用語は、4〜8の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する単環式の炭素環非芳香族基を表すC4-8-シクロアルケニル、または対応する二価ラジカルを意味する。代表的な例は、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニル等である。
【0055】
ここで使用する「アリール」または「アリーレン」の用語は、環式芳香族環系、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル等、並びに対応するビラジカル(例えば、o-、m-およびp-フェニレン)を含むことを意図する。アリールまたはアリーレンはまた、炭素環系の部分的に水素化された誘導体をも含むものである。このような部分的に水素化された誘導体の非限定的な例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、および1,4-ジヒドロナフチル等である。
【0056】
ここで使用する「ヘテロアリール」または「ヘテロアリーレン」の用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環芳香族環系、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル(チアナフテニル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフリリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、およびアクリジニル等、並びに対応するビラジカルを含むものである。
【0057】
ここで使用する「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクリレン」の用語は、それぞれヘ、上記で定義したテロアリールまたはヘテロアリーレンの完全に水素化された誘導体を意味する。
【0058】
ここで用いるヘテロアリール-C1-6-アルキルの用語は、上記で定義したヘテロアリールおよび上記で定義したC1-6-アルキルを意味する。
【0059】
ここで用いる「アリール-C1-6-アルキル」および「アリール-C2-6-アルケニル」の用語は、上記で定義したアリール、並びに上記でそれぞれ定義したC1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニルを意味する。
【0060】
ここで用いる「アシル」の用語は、-(C=O)-C1-6-アルキルを意味し、ここでのC1-6-アルキルは上記で定義した通りである。
【0061】
ここで用いる「C2-6-アルカノイル」または「C2-6-アルカノイレン」の用語は、それぞれ、-(C=O)-C1-5-アルキルまたは-(C=O)-C1-5-アルキレンを意味する。
【0062】
ここで用いる「C3-6-アルケノイル」または「C3-6-アルケノイレン」の用語は、それぞれ、-(C=O)-C2-5-アルケニルまたは-(C=O)-C2-5-アルケニレンを意味する。
【0063】
本発明の内容において、「医薬的に許容可能な塩」の用語は、患者に有害でない塩を示すものである。そのような塩には、医薬的に許容可能な酸付加塩、医薬的に許容可能な金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、燐酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の代表的な例には、蟻酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、蓚酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。医薬的に許容可能な無機または有機の酸付加塩の更なる例には、本明細書の一部として援用するJ. Pharm. Sci. 1977, 66, 2に列挙された医薬的に許容可能な塩が含まれる。関連の金属塩の例には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が含まれる。アルキル化アンモニウム塩の例には、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0064】
ここに使用される化合物の「治療的に有効な量」は、所定の疾患および/またはその合併症の臨床症状を治癒、緩和、または部分的に阻止するために充分な量を意味する。これを達成するのに適切な量が、「治療的に有効な量」として定義される。各目的のための有効な量は、疾患または創傷の重篤度、並びに患者の体重および全身状態に依存するであろう。適切な投与量の決定は、値のマトリックスを構築し、該マトリックスの異なる点において試験することによりルーチンの実験を使用して達成することができ、これらは全て熟練した医師または獣医師の通常の知識の範囲内であることが理解されるであろう。
【0065】
ここに使用される「治療」および「治療する」の用語、並びにそれらの変形は、疾患または病気のような症状と闘う目的での患者の管理および看護を意味する。この用語は、患者が患っている所定の症状についての全スペクトルの治療、例えば、疾患、障害または症状の進行を遅らせ、症候群および合併症を緩和または除去し、当該疾患、障害または症状を治癒または排除し、するために、および/または該症状を防止するために、問題の活性化合物を投与することを含むものである。ここで予防とは、疾患、症状、または障害と闘う目的での、患者の管理および看護として理解されるべきものであり、当該症状または合併症の発症を防止するために問題の活性化合物を投与することを含むものである。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特に人間であるが、更に、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジおよびブタのような他の動物の治療も本発明の範囲に含まれる。
【0066】
ここに使用される「溶媒和物」の用語は、溶質(この場合は本発明による化合物)および溶媒によって形成された、定義された化学量論的複合体である。溶媒は、例えば水、エタノールまたは酢酸であってよい。問題の溶媒が水である溶媒和物は、屡々「水和物」と称され、従って、このような水和物は本発明の範囲内である。
【0067】
加えて、次の略語は示された意味を有する:
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【0068】
ここで用いる追加の略号には、Dab[(S)-1,2-ジアミノ酪酸]およびDap[(S)-2,3-ジアミノプロピオン酸]が含まれる。
【0069】
本発明の内容において、「アゴニスト」の用語は、問題の受容体タイプを活性化させる物質(リガンド)を示すものである。
【0070】
本発明の内容において、「アンタゴニスト」の用語は、アゴニストの効果を阻止し、中和し、または打ち消す物質(リガンド)を示すものである。
【0071】
より詳細に言えば、受容体リガンドは次のように分類されてよい。
【0072】
受容体を活性化させる受容体アゴニスト:部分的アゴニストもまた、受容体を活性化させるが、その効果は完全なアゴニストよりも低い。部分的アゴニストは、受容体の部分的アンタゴニストとして作用し、完全なアゴニストの効果を部分的に阻害する。
【0073】
受容体中性アンタゴニストは、アゴニストの作用を阻止するものであるが、受容体の構成的活性には影響しない。
【0074】
受容体逆アゴニストは、アゴニストの作用を阻止すると同時に、受容体の構成的活性を減弱させるものである。完全な逆アゴニストは、受容体の構成的活性を完全に減弱させるであろう;部分的な逆アゴニストは、受容体の構成的活性をより小さい範囲で減弱させるであろう。
【0075】
ここで用いる「アンタゴニスト」の用語は、中性アンタゴニストおよび部分的アンタゴニスト、並びに逆アゴニストを含むものである。「アゴニスト」の用語は、完全なアゴニスト並びに部分的アゴニストを含むものである。
【発明の説明】
【0076】
本発明の一つの側面において、当該ペプチドは固相上でアセンブリーされ、標準の固相化学を用いて、選択されたアミノ酸が、結合基として作用する適切な側鎖を備えたアミノ酸で置換される。このようなアミノ酸置換の例は、非限定的に例示すれば、セリンのシステインでの置換、フェニルアラニンのチロシンでの置換、またはアルギニンのリジンでの置換である。或いは、結合基は、ポリマーの修飾後結合を可能にする適切なアミノ酸、または同じ目的に役立つ小有機分子との、ペプチドC-末端またはN-末端における酵素に指令されたカップリングによって導入される。本発明のこの側面を支える酵素には、非限定的な例として、逆に、カルボキシペプチダーゼおよびプロテアーゼが含まれる。
【0077】
本発明の化合物の一実施形態において、三つの全てのペプチドP(これはP'Y'におけるP'を形成する)は同一である。
【0078】
<式Aの環式ペプチド>
ペプチドPは、環式または非環式であってよい。一実施形態においては、ペプチドPにおけるX3とX10の間に架橋が存在し、該架橋は、CysおよびホモCysから独立に選択されるX3およびX10部分の間に形成されるジスルフィド結合の存在によって、或いはX3の側鎖におけるカルボン酸部分とX10の側鎖におけるアミン部分の間、またはX10の側鎖におけるカルボン酸部分とX3の側鎖におけるアミン部分の間形成されるラクタム結合の存在によって、当該ペプチド、従って式Iの化合物を環状にする。
【0079】
一実施形態において、式AにおけるXは結合である。
【0080】
一実施形態において、式AにおけるX1は結合を表す。
【0081】
一実施形態において、式AにおけるX2はNleを表す。
【0082】
一実施形態において、式AにおけるX3はGluまたはAspを表し、X10はLys、Orn、DabまたはDapを表す。もう一つの実施形態において、X3はGluまたはAspを表し、X10はLysを表す。更なる実施形態において、X3はGluを表し、X10はLysを表す。
【0083】
一実施形態において、X4は結合を表す。
【0084】
一実施形態において、X5はHisを表す。もう一つの実施形態において、X5は3-PyAla、 Hyp、GlnまたはAsnを表す。
【0085】
一実施形態において、X9は結合を表す。
【0086】
一実施形態において、X11は結合を表す。
【0087】
一実施形態において、R2は-NH2を表す。
【0088】
一実施形態において、X6-X7-X8-X9-X10はD-Phe-Arg-Trp-Lysを表す。
【0089】
<式Aの非環式ペプチド>
一実施形態において、式Aの化合物、従って式Iの化合物は非環式である。
【0090】
一実施形態において、Xは結合を表す。
【0091】
一実施形態において、Xは、例えばSerのようなアミノ酸残基を表す。
【0092】
一実施形態において、X1は、Lys(Nεβ-Ala-RX)を表す。
【0093】
一実施形態において、X1は結合を表す。
【0094】
一実施形態において、X2はTyr-Ser-Nleを表す。
【0095】
一実施形態において、X2はSer-Nleを表す。
【0096】
一実施形態において、X2はSer-Tyr-Ser-Nleを表す。
【0097】
一実施形態において、X3はGluを表す。
【0098】
一実施形態において、X4は結合を表す。
【0099】
一実施形態において、X5はHisを表す。
【0100】
一実施形態において、X5はGln、Hyp、3-PyAla、AlaまたはSerを表す。
【0101】
一実施形態において、X9はGlyを表す。
【0102】
一実施形態において、X10はLysまたはArgを表す。
【0103】
一実施形態において、X11はPro-Valを表す。
【0104】
一実施形態において、R2は-NH2を表す。
【0105】
更なる実施形態において、X6-X7-X8-X9-X10はD-Phe-Arg-Trp-Lysを表す。
【0106】
本発明の一側面において、本発明の化合物は、下記の中の式によって表される:
【化23】

【0107】
ここでのR’、W およびY’、並びに P’は上記で定義した通りである。
【0108】
本発明の一側面において、Wは結合またはC1-6-アルキレンである。
【0109】
本発明の更なる側面において、本発明の化合物は、下記の式一つによって更に詳細に表される:
【化24】

【0110】
ここでのR’およびY’、並びに P’は上記で定義した通りである。
【0111】
本発明の一側面において、式IのAにおけるパラメータrは、0または1〜25の整数であり;nおよびmは上記で定義した通りである。パラメータrは、適切には0〜10の範囲、例えば0〜5(即ち、0、1、2、3、4または5)、例えば0〜3(即ち、0、1、2、または3)である。
【0112】
本発明の一側面において、rは0、1、2または3である。
【0113】
本発明の一側面において、nおよびmは15以下である。本発明の一側面において、nおよびmは10以下である;本発明の一側面において、nおよびmは6以下である。本発明の一側面において、nおよびmは、2、3、4または5から独立に選択される。本発明の一側面において、nおよびmは、2または3から独立に選択される。
【0114】
本発明の一側面において、Aは下記の構造の何れかである:
【化25】

【0115】
本発明のもう一つの側面において、式IのR’における要素Bの中のX、VおよびZは、独立に、-CR1R2-、-O-、-S-、-NR’’-、-OCH2CH2O-、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、-OCH2- または-CH2O-を表し、ここでのR1、R2およびR’’は上記で定義した通りである。
【0116】
一つの側面において、X、VおよびZは、独立に-CR1R2-であり、ここでのR1およびR2は上記で定義した通りである。
【0117】
もう一つの側面において、X、VおよびZは独立に、-OCH2CH2O-、-OCH2- または-CH2O-を表す。
【0118】
更なる側面において、X、VおよびZは一緒になって、-(CH2)1-4-、-CH2(OCH2CH2)1-6OCH2- または-CH2OCH2-を表す。
【0119】
もう一つの側面において、X、V およびZは一緒になって、-(CH2)3- または-CH2OCH2-を表す。
【0120】
本発明の更なる側面において、Bは、下記構造のうちの一つを有する:
【化26】

【0121】
本発明の一側面において、X、VおよびZは独立に、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す。
【0122】
一つの側面において、Vは、o-、m-またはp-フェニレンである。
【0123】
一つの側面において、Vは、C3-8-シクロアルキレンまたはC3-8-シクロアルケニレンである。
【0124】
もう一つの側面において、Vは、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、またはシクロヘキセニレンである。
【0125】
更にもう一つの側面において、Vは、モルホリン、ピペラジン、ジオキサンまたはチオフェンから誘導されたジラジカルである。
【0126】
基Y’’(これは上記式においてYに繋がり、またペプチドに結合されるときにはY’に繋がるモノマービルディングブロックとして定義することができる)は、二つの反応性官能基を有している。それは、三量体化分子をアセンブリーするときに、R’の特徴に応じて基Aまたは基Bと反応する。従って、R’が、R’の最後の構成要素としてBを含むように選択されるならば、Y’’は酸誘導体に結合され得る反応性官能基を含むべきである。R’が、R’の最後の構成要素としてA基を含むように選択されるならば、Y’’はアミンと反応するために適した反応性官能基を含むべきである。
【0127】
Y’’およびYの他の官能基は、ペプチドと反応できるべきである;これは、例えば、天然に存在するペプチドの側鎖であることができ、その幾つかは、当該配列の内部またはN末端もしくはC末端においてアミノ酸に結合された適切な官能基もしくは部分を含んでいる。
【0128】
「反応性官能基」の用語は、限定するものではなく例示として、遊離のアミノ基、カルボキシ基、チオール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アシル基、クロロ蟻酸エステル基、炭酸アリールオキシ基、ヒドロキシ基もしくはアルデヒド基、p-ニトロフェニルもしくはスクシンイミジルのようなカーボネート基、カルボニルイミダゾール基、塩化カルボニル基;インサイチューで活性化されるカルボン酸;ハロゲン化カルボニル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルのような活性化されたエステル、1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、ホスホロアミダイトおよびH-ホスホネートを含むもののようなエステル、インサイチューで活性化されるホスホトリエステルもしくはホスホジエステル、イソシアネートもしくはイソチオシアネート、更に加えて、-NH2、-OH、-N3、-NHR’、-OR’、-ONH2、アルキンのような基、または下記の何れかを意味する:
ヒドラジン誘導体 -NH-NH2,
ヒドラジンカルボキシレート誘導体 -O-C(O)-NH-NH2,
セミカルバジド誘導体 -NH-C(O)-NH-NH2,
チオセミカルバジド誘導体 -NH-C(S)-NH-NH2,
カルボン酸ジヒドラジド誘導体 -NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2,
カルバジド誘導体 -NH-NH-C(O)-NH-NH2,
チオカルバジド誘導体 -NH-NH-C(S)-NH-NH2,
アリールヒドラジン誘導体 -NH-C(O)-C6H4-NH-NH2,
ヒドラジド誘導体 -C(O)-NH-NH2;
オキシルアミン誘導体、例えば、-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2および-NH-C(S)-O-NH2.
存在する他の官能基は、保護基によって適切に保護されてよい。適切な保護基が当業者に知られており、その例は、Green & Wuts “Protection groups in organic synthesis”, 3.ed. Wiley-interscienceの中に見ることができる。
【0129】
従って、本発明の一側面において、各Y は独立に次の構造である:
【化27】

【0130】
ここで、nは≧0の整数である。
【0131】
更なる側面において、三つの全てのY基は下記の構造を有する:
【化28】

【0132】
本発明の一側面において、各基R’の構造は、独立に下記から選択される:-A-、-A-B-、-A-B-A-、-A-B-A-B-、-A-B-A-B-A-および-A-B-A-B-A-B-。
【0133】
一つの側面において、三つのすべてのR’基は同一である。
【0134】
もう一つの側面において、三つのR’基のうちの二つは同一である。
【0135】
更なる側面においては、三つの異なるR’基が存在する。
【0136】
本発明の更なる側面は、治療に使用するための本発明による化合物(式Iの化合物)を提供する。
【0137】
本発明によれば、三量体化分子が記載した方法に従ってアセンブリーされ、その後にペプチドがカップリングされる。マレイミド部分を有する三量体化分子は、ペプチド上の有利システインとのマイケル反応を介して該ペプチドにカップリングされる。アミノオキシ部分を有する三量体化分子は、ペプチド上のケト基またはアルデヒド基とのオキシム形成を介して該ペプチドにカップリングされる。これらペプチドは、アミン、チオール、ケト基、アルデヒド基または水酸基のような、基Yと反応する反応性官能基を含んでよい。
【0138】
<医薬組成物>
本発明の化合物は、単回または複数回投与の何れかにおいて、単独でまたは薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤と組み合わせて投与されてよい。本発明によ医薬組成物は、レミングトン(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 2000)に開示されたような従来の技術に従う他の既知のアジュバントおよび賦形剤と共に、薬学的に許容可能なキャリアまたは希釈剤と共に処方されてよい。
【0139】
医薬組成物は、経口、経直腸、経鼻、経肺、局所(バッカルおよび舌下を含む)、経皮、大槽内、腹腔内、膣内、非経腸的(皮下、筋肉内、蜘蛛膜下腔内、静脈内、皮内を含む)経路のような何れか適切な経路により投与されるために特別に処方されてよく、非経腸的経路および舌下経路が好ましい。好ましい経路は、治療すべき患者の一般条件および年齢、治療すべき状態の性質並びに選択された活性成分に依存することが理解されるであろう。
【0140】
経口投与用の医薬組成物には、硬質もしくは軟質カプセル、錠剤、トローチ、ドラジェー、丸薬、ロゼンジ、粉末および顆粒のような固形の投与量形態が含まれる。適切な場合、これらは腸溶性コーティングのようなコーティングを施して調製することができ、或いは、それらは当技術で周知の方法による持続放出または遅延放出のように、活性成分の制御された放出を与えるように処方することができる。
【0141】
経口投与のための液体投薬形態には、溶液、乳剤、水性または油性懸濁液、シロップおよびエリキシールが含まれる。
【0142】
非経腸的投与のための医薬組成物には滅菌の水性および非水性注射溶液、分散液、懸濁液または乳液、並びに使用に先立って無菌注射剤溶液または分散液の中で再構成される無菌粉末が含まれる。デポジット注射可能な製剤もまた、本発明の範囲内にあることが想定される。
【0143】
他の適切な形態には、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、経皮パッチ、インプラント等が含まれる。
【0144】
典型的な経口投与量は、1日当たり約0.001〜約100mg/kg体重、好ましくは1日当たり約0.01〜約50mg/kg体重、更に好ましくは、1日当たり約0.05〜約10mg/kg体重の範囲であり、これらは1回以上、例えば1〜3回の投与回数で投与される。正確な投与量は、投与の頻度およびモード、治療される患者の性別、年齢、体重および一般状態、治療される状態の性質および重篤度、並びに当業者に明らかな他の要因に依存するであろう。
【0145】
当該製剤は、当業者に既知の方法によって、単位投与量形態で便利に提供されてよい。1日当たり1回以上(例えば1日当たり1〜3回)投与される経口投与のための典型的な単位投与量形態は、0.05〜約1000mg、好ましくは約0.1〜約500mg、更に好ましくは約0.5mg〜約200mgである。
【0146】
静脈内、蜘蛛膜下腔内、筋肉内、および類似の投与のような非経腸的経路については、典型的には、投与量は経口投与について用いる投与量の約半分程度である。
【0147】
本発明に従って使用するための化合物は、一般には、遊離物質またはその薬学的に許容可能な塩として利用される。その例は、遊離塩基の有用性を有する化合物の酸付加塩、および遊離酸の有用性を有する化合物の塩基付加塩である。「薬学的に許容される塩」の用語は、本発明に従って使用するための化合物の非毒性塩を意味し、該塩は、遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることによって、或いは酸を適切な有機塩基または無機塩基と反応させることによって調製される。本発明に従って使用するための化合物、例えば式(I)の化合物が遊離塩基を含んでいる場合、そのような塩は、該化合物の溶液または懸濁液を、化学当量の薬学的に許容可能な酸で処理することにより、従来方法で調製される。本発明に従って使用するための化合物、例えば式(I)の化合物が遊離酸を含むとき、そのような塩は、該化合物の溶液または懸濁液を薬学的に許容可能な塩基で処理することにより、従来の方法で調製される。ヒドロキシ基を有する化合物の生理学的に許容可能な塩は、ナトリウムまたはアンモニウムイオンのような適切な陽イオンと組み合わされた前記化合物の陰イオンを含んでいる。薬学的に許容可能でない他の塩も本発明の化合物の調製において有用である可能性があり、これらもまた本発明の更なる側面を形成する。
【0148】
非経腸的投与については、本発明に従って使用するための化合物の、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、またはゴマ油、またはピーナッツ油中の溶液が用いられてよい。必要であれば、そのような水溶液は適切に緩衝されるべきであり、また液状希釈剤は、最初に十分な食塩水またはグルコースで等張にされるべきである。水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内の投与のために特に適している。使用される滅菌水性溶媒は全て、当業者に既知の標準技術によって容易に入手可能である。
【0149】
適切な薬学的キャリアには、不活性な固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒が含まれる。固体キャリアの例は、ラクトース、白土、蔗糖、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびセルロースの低級アルキルエーテルである。液体キャリアの例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水である。同様に、前記キャリアまたは希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような、当該技術において周知の何れかの徐放性材料を、単独で、またはワックスと組合せて含んでよい。次いで、本発明に従って使用するための化合物および薬学的に許容可能なキャリアを組み合わせることにより形成された医薬組成物は、開示された投与ルートに適した種々の投与量形態で容易に投与される。該製剤は、薬学の技術分野において既知の方法により、単位投与量形態で便利に提供されてよい。
【0150】
経口投与に適した本発明の製剤は、各々が予め定義された量の活性成分を含有し、且つ適切な賦形剤を含有したカプセルまたは錠剤のような、不連続単位として提供されてよい。更に、経口的に利用可能な製剤は、粉末もしくは顆粒、水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液、または水中油エマルジョンもしくは油中水エマルジョンの形態であってよい。
【0151】
経口的に使用することを目的とした組成物は、何れか既知の方法に従って調製してよく、また斯かる組成物は、薬学的に洗練され且つ味覚のよい製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択された1以上の薬剤を含有してよい。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物として、有効成分を含有してよい。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性な希釈剤;顆粒化剤および崩壊剤、例えばコーンスターチもしくはアルギン酸;結合剤、例えば糊、ゼラチン、アカシア;および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってよい。錠剤は、コーティングされなくてもよく、または腸管内での崩壊および吸収を遅延させることにより長期に亘る持続作用を提供するために、既知の技術によりコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルおよびジステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料が用いられてよい。更に、制御放出用の浸透圧治療用錠剤を形成するために、それらは、本明細書の一部として援用する米国特許第4,356,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載された技術によってコーティングされてもよい。
【0152】
経口的に使用するための製剤は、活性成分が不活性な固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合される硬質ゼラチンカプセル、または活性成分が水または油性媒質(例えばピーナッツ油、流動パラフィン、またはオリーブ油)と混合される軟質ゼラチンカプセルとして提供されてよい。
【0153】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された、本発明により使用するための化合物を含有してよい。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカンスゴム、アカシアゴムであってよく;分散剤または湿潤剤は、レシチンのような天然に存在する燐脂質、脂肪酸アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチル−エノキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分的エステルとの縮合生成物(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトール由来の部分的エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)であってよい。水性懸濁液はまた、1以上の着色剤、1以上の風味剤、および1以上の甘味剤(例えば蔗糖、またはサッカリン)を含有してよい。
【0154】
油性懸濁液は、有効成分を、植物油(例えば落花生油、オリーブ油、胡麻油、やし油)、または流動パラフィンのような鉱油中に懸濁させることによって処方されてよい。油性懸濁液は、増粘剤(例えば密蝋、固形パラフィン、セチルアルコール)を含有してよい。上記のような甘味剤および調味料薬剤は、味のよい経口の調製を提供するために添加されてよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することによって保存されてよい。
【0155】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散可能な粉末および顆粒は、前記活性化合物を、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1以上の保存剤との混合物において提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上記で既述したものにより例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤が更に存在してもよい。
【0156】
本発明に従って使用するための化合物を含む医薬組成物は、更に、水中油エマルションの形態であってもよい。油相は、植物油(例えばオリーブ油、落花生油)、鉱油(例えば流動パラフィン)、またはそれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアラビアゴムもしくはトラガカントゴム、天然に存在する燐脂質、例えば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されたエステルもしくは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、並びに前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってよい。エマルションはまた、更に甘味剤および風味剤を含有してよい。
【0157】
シロップおよびエリキシールは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、蔗糖)と共に処方されてよい。そのような処方は、更に粘滑剤、防腐剤および風味剤、並びに着色剤を含有してよい。当該医薬組成物は、滅菌された注射可能な水性懸濁液もしくは油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上記で述べた適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、既知の方法により製剤化されてよい。滅菌された注射可能な製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌された注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってよい。使用してよい許容可能な担体および溶媒には、水、リンゲル液および等張食塩水が含まれる。更に、滅菌された不揮発性油が、溶媒または懸濁媒質として便利に使用される。この目的のために、合成のモノもしくはジグリセリドを使用した如何なるブランドの不揮発性油が使用されてもよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸にも、注射剤の調製における用途が存在する。
【0158】
当該組成物はまた、本発明の化合物を直腸投与するための坐薬の形態であってよい。これらの組成物は、薬物を、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製することができる。このような材料には、例えばカカオバター、およびポリエチレングリコールが含まれている。
【0159】
局所的使用については、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、懸濁溶液等が想定される。この適用目的のためには、局所適用には口腔洗浄薬およびうがい薬が含まれるべきである。
【0160】
本発明の化合物はまた、小さな単層小胞、大きな単層小胞、および多重層小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与されてよい。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成されてよい。
【0161】
加えて、本発明の化合物のうち幾つかは、水または普通の有機溶媒と共に溶媒和物を形成する可能性がある。そのような溶媒和物もまた、本発明の範囲内に包含されるものである。
従って、更なる側面では、本発明に従って使用するための化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグと、1以上の薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤を含有する医薬組成物が提供される。
【0162】
経口投与のために固形キャリアが使用される場合、当該製剤は錠剤であってよく、粉末またはペレットの形態で硬質ゼラチンカプセルの中に配置されてよく、またはトローチまたはロゼンジの形態であることができる。固形キャリアの量は広範に変化するであろうが、通常は約25mg〜約1gであろう。液体キャリアが使用されるとき、当該製剤は、シロップ、エマルジョン、軟質ゼラチンカプセル、滅菌注射液(例えば水性もしくは非水性液体の懸濁液もしくは溶液)であってよい。
【0163】
<投与量および併用療法>
本発明に従って用いるときの本発明の化合物の典型的な投与量は、1日当たり約0.001〜約100 mg/kg体重、例えば1日当たり約0.01〜約50 mg/kg体重、例えば1日当たり約0.01〜約10 mg/kg体重、例えば1日当たり約0.01〜約1 mg/kg体重の範囲であり、これらは1回以上、例えば1〜3回の投与回数で投与される。正確な投与量は、投与の頻度およびモード、治療される患者の性別、年齢、体重および一般状態、治療される状態の性質および重篤度、何らかの同時に治療されるべき疾患、並びに当業者に明らかな他の要因に依存するであろう。
【0164】
既述したように、本発明はなかでも、1以上の医薬的に許容可能なキャリアまたは賦形剤と共に、任意に1以上の追加の治療的活性化合物もしくは物質と組み合せて、本発明の化合物を含有する医薬組成物に関する。該組成物は、適切には、約0.05 mg〜約1000 mg、例えば約0.1 mg〜約500 mg、例えば約0.5 mg〜約200 mgの本発明の化合物を含有する、単位投与量形態であってよく、1日当り1回以上、例えば1日当り1〜3回の経口投与を目的とした典型的な単位投与量形態は、かかる量、即ち、約0.05 mg〜約1000 mg、例えば約0.1 mg〜約500 mg、例えば約0.5 mg〜約200 mgの本発明の化合物を適切に含有してよい。
【0165】
上記で述べた全ての治療方法において、本発明の化合物は単独で、または1以上(即ち、1または2または3…等)の本発明の追加の化合物と組み合わせて投与されてよい。更に、本発明の化合物または本発明の2以上(即ち、2または3または4…等)の化合物の組み合せは、1以上の他の治療的活性物質または化合物(即ち、本発明の範囲内にない物質または化合物)と組み合わせて、逐次的または同時に投与されてもよい。
【0166】
適切な追加の治療的化合物、薬剤または物質は、例えば、糖尿病治療剤、高脂血症治療剤、肥満治療剤、高血圧治療剤、および糖尿病に由来または付随する合併症の治療のための薬剤から選択されてよい。
【0167】
適切な糖尿病治療剤には、インスリン、その全てを本明細書の一部として援用するWO 95/07931、WO 97/31022、およびWO 2005/012347(ノボ・ノルディスクA/S)に開示されたような延長または遅延された活性プロファイルを示す誘導体または類似体を含む、インスリンの誘導体または類似体;本明細書の一部として援用するWO 98/08871(ノボ・ノルディスクA/S)に開示されたようなGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の誘導体;本明細書の一部として援用する米国特許第6,458,924号(Knudsen et al.)に開示されたようなGLP-1類似体の誘導体;並びに経口的に活性な血糖降下剤が含まれる。
【0168】
経口的に活性な適切な血糖降下剤には次のものが含まれる:イミダゾリン;スルホニル尿素;ビグアニド;メグリチニド(meglitinides);オキサジアゾリジンジオン;チアゾリジンジオン;インスリン抵抗性改善剤;α-グルコシダーゼ阻害剤;膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤、例えば、本明細書の一部として援用するWO 97/26265、WO 99/03861およびWO 00/37474(ノボ・ノルディスクA/S)に開示されたカリウムチャンネル開放剤;オルミチグリニド(ormitiglinide)のようなカリウムチャンネル開放剤;ナテグリニドまたはBTS-67582のようなカリウムチャンネル阻止剤;全て本明細書の一部として援用するWO 99/01423およびWO 00/39088(ノボノルディスクA/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示されたようなグルカゴンアンタゴニスト;本明細書の一部として援用するWO 00/42026(ノボノルディスクA/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示されたGLP-1アゴニスト;DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤;PTPase(タンパク質チロシンホスファターゼ)阻害剤;グルコキナーゼ活性剤、例えば本明細書の一部として援用するWO 2004/002481(ノボ・ノルディスクA/S)およびホフマン・ラ・ロシュ社のWO 02/08209に記載されたもの等;糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤;グルコース取り込み調節剤;GSK-3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)阻害剤;脂質代謝を修飾する化合物、例えば抗超高脂血症剤および抗高脂血薬;食物摂取を低下させる化合物;並びにPPAR(ペルオキシゾーム増殖因子に活性化される受容体)アゴニスト、およびRXR(レチノイドXの受容体)アゴニスト、例えばALRT-268、LG-1268またはLG-1069が含まれる。
【0169】
適切な追加の治療的に活性名物質の他の例には、インスリンまたはインスリン類似体;スルホニル尿素、例えばトルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリド、グリカジド、またはグリブリド;ブグアミド、例えばメトホルミン;およびメグリチニド、例えばラパグリニドまたはセナグリニド/ナテグリニドガ含まれる。
【0170】
適切な追加の治療的に活性な物質の更なる例には、チアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善剤、例えばトログリタゾン、シグリタゾン(ciglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、イサグリタゾン(isaglitazone)、ダルグリタゾン(darglitazone)、エングリタゾン(englitazone)、CS-011/CI-1037もしくはT 174、または本明細書の一部として援用するWO 97/41097(DRF-2344)、WO 97/41119、WO 97/41120、WO 00/41121およびWO 98/45292(Dr. Reddy’s Reserch Foundation)に開示された化合物が含まれる。
【0171】
適切な追加の治療的活性物質の追加の例には、インスリン抵抗性改善剤、例えば、GI 262570、YM-440、MCC-555、JTT-501、AR-H039242、KRP-297、GW-409544、CRE-16336、AR-H049020、LY510929、MBX-102、CLX-0940、GW-501516、および本明細書の一部として援用するWO 99/19313(NN622/DRF-2725)、WO 00/50414、WO 00/63191、WO 00/63192およびWO 00/63193(Dr. Reddy’s Reserch Foundation)、並びにWO 00/23425 WO 00/23415、WO 00/23451、WO 00/23445、WO 00/23417、WO 00/23416、WO 00/63153、WO 00/63196、WO 00/63209、WO 00/63190およびWO 00/63189(ノボノルディスクA/S)に開示された化合物が含まれる。
【0172】
適切な治療的活性物質の更なる例には、次のものが含まれる:
・αグルコシダーゼ阻害剤、例えばフォグリボース(voglibose)、エミグリテート(emiglitate)、ミグリトール(miglitol)またはアカルボース;
・グリコーゲンフォスフォリラーゼ阻害剤、例えばWO 97/09040(ノボノルディスクA/S)に開示された化合物;
・グルコキナーゼ活性化剤;
・膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤、例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS-67582またはレパグリニド。
【0173】
他の適切な追加の治療的活性物質には、抗超高脂血症剤または抗高脂血症剤、例えばコレスチラミン、コレスチポール(colestipol)、クロフィブレート、ジェムフィブロジル(gemfibrozil)、ロバスタチン、プラバスタチン(pravastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プロブコール(probucol)、またはデキストロチロキシンが含まれる。
【0174】
追加の治療的活性物質として適した更なる物質には、抗肥満剤または食欲調節剤が含まれる。このような薬剤は、CART(コカイン・アンフェタミンに調節された転写)アゴニスト、NPY(ニューロペプチドY)アンタゴニスト、Y2およびY4受容体アゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オーレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)アゴニスト、CRF BP(副腎皮質刺激ホルモン放出因子結合蛋白質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、CL-316243、AJ-9677、GW-0604、LY362884、LY377267もしくはAZ-40140のようなβ3アドレナリン作動性アゴニスト、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アゴニスト、MC1(メラノコルチン1)アゴニスト、MCH(メラニン細胞濃縮ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再吸収阻害剤[例えばフルオキセチン(fluoxetine)、セロキサット(seroxat)またはシタロプラム(citalopram)]、セロトニンおよびノルエピネフリン再吸収阻害剤、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、プロラクチンまたは胎盤ラクトゲンのような成長因子、成長ホルモン放出化合物(成長ホルモン分泌促進剤)、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、TRH(チレオトロピン放出ホルモン)アゴニスト、UCP 2または3(脱共役タンパク質2または3)調節剤、化学的脱共役剤、レプチンアゴニスト、DA(ドーパミン)アゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR調節剤、RXR調節剤、TRβアゴニスト、アドレナリン作動性CNS刺激剤、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、本明細書の一部として援用するWO 00/42023、WO 00/63208およびWO 00/64884に開示されたようなヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、エキセンジン-4、GLP-1アゴニストおよび毛様態神経栄養因子からなる群から選択されてよい。
更なる適切な抗肥満剤は、ブプロピオン(抗うつ薬)、トピラメート(topiramate;抗痙攣薬)、エコピパム(ecopipam;ドーパミンD1/D5アンタゴニスト)、ナルトレキソン(オピオイドのアンタゴニスト)、およびペプチドYY3-36(Batterham et al, Nature 418, 650-654 (2002))である。
【0175】
本発明の方法において、本発明の化合物と組み合わせて使用するための追加の治療的活性物質として適切な抗肥満剤は、レプチンである。
【0176】
適切な抗肥満剤の更なる実施形態は、ペプチドYY3-36である。
【0177】
適切な抗肥満剤の追加の実施形態は、セロトニンおよびノルエピネフィリン再吸収阻害剤、例えばシブトラミンである。
【0178】
適切な抗肥満剤の他の実施形態は、リパーゼ阻害剤、例えばオルリスタットである。
【0179】
適切な抗肥満剤の更なる実施形態は、アドレナリン作動性CNS刺激剤、例えばデキストロアンフェタミン、アンフェタミン、フェンテルミン、マチンドール、フェンジメトラジン(phendimetrazine)、ジエチルプロピオン、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。
【0180】
適切な追加の治療的活性化合物の他の例には、血圧降下薬が含まれる。血圧降下薬の例は、β遮断剤、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロル、プロプラノロールおよびメトプロロール;ACE(アンギオテンシン転換酵素)阻害剤、例えばベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル(fosinopril)、リシノプリル、キナプリルおよびラミプリル(ramipril);カルシウムチャネル遮断薬、例えばニフェジピン、フェロジピン(felodipine)、ニカルジピン(nicardipine)、イスラジピン(isradipine)、ニモジピン(nimodipine)、ジルチアゼムおよびベラパミル;並びにα遮断剤、例えばドキサゾシン(doxazosin)、ウラピジル(urapidil)、プラゾシンおよびテトラゾシン(terazosin)である。
【0181】
本発明の使用および方法の一定の実施形態において、本発明の化合物は、上記で述べた適切な追加の治療的活性化合物または物質の二以上、例えばメトホルミンおよびスルホニル尿素(例えばグリブリド);スルホニル尿素およびアカルボース;ナテグリニドおよびメトホルミ;アカルボースおよびメトホルミンン;スルホニル尿素、メトホルミンおよびトログリタゾン;インスリンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびメトホルミン;インスリン、メトホルミンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびトログリタゾン;インスリンおよびロバスタチン;等と組み合わせて投与または適用してよい。
【実施例】
【0182】
用いられる略語の一覧
AcOEt 酢酸エチル
DCM ジクロロメタン
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA エチルジイソプロピルアミン
DMAP 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMEM ダルベッコの改変イーグル培地
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EGTA 1,2-ジ(2-アミノエトキシ)エタン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸
FCS 仔牛血清
Fmoc 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
HBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HEPES 2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-1-イル]-エタンスルホン酸
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HSA ヒト血清アルブミン
MeCN アセトニトリル
α-MSH α型のメラニン細胞刺激ホルモン
Mtt 4-メチルトリチル
MTX メトトレキサート
NMP N-メチルピロリドン
Pbf 2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
PBS リン酸塩緩衝サリン
PEI ポリエチレンイミン
PyBop (ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサ
フルオロホスフェート
TFA トリフルオロ酢酸。
【0183】
調製の一般的方法
一般手順(A)
工程A:
ペプチドの三量体形成に要求される分子は、アミン及び酸からのアミド結合の形成を介して組立てられる。この場合、二官能または三官能分子が関与し、ここでは1つの基のみが反応し、他の基は標準的な保護基を用いて保護することができる。
【0184】
合成は、当業者に知られた手順を用いて(例えばT. W. Greene, P. G. M. Wuts, Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., 1991 John Wiley & Sons, Inc. New York)、一般式においてAで表されるジアミンビルディングブロックのモノ保護から開始する。
【化29】

一般式においてBで表される二酸ビルディングブロックを、当業者に知られた手順を用いて保護することができる(例えばT. W. Greene, P. G. M. Wuts, Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., 1991 John Wiley & Sons, Inc. New York)。
【化30】

工程B:
次なる工程は、異なるビルディングブロックの間でのアミド結合形成を含んでいる。例えば、中央の三官能の酸を、当業者に知られた標準的なアミド結合形成条件を用いて、3つのモノ保護されたジアミンとカップリングさせる。好ましくは、当該酸は、例えばジイソプロピルカルボジイミドのようなカルボジイミドを用いて活性化され、活性エステル、例えばベンゾトリアゾイルエステルが形成される。次いで、該活性エステルを、上記モノ保護されたジアミンと反応させる:
【化31】

活性エステルとアミンとの反応は、第三級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンの添加により促進することができる。
【0185】
その後、トリアミンを、モノ保護化されたモノ活性化二酸B、または前記アームを終端させる部分を含んだ活性酸(例えばβ-マレイミドプロピオン酸)とさらに反応させる前に、当業者に既知の標準的な方法で保護基を除去し(例えばT. W. Greene, P. G. M. Wuts, Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., 1991 John Wiley & Sons, Inc. New York)、該分子をペプチドまたはタンパク質上の官能基(一般式においてYで表される)と反応させる。下記反応はC部分の取り込みを示す。
【化32】

この酸の活性化および反応は当業者に知られており、この手順において既に先に記載されているた。終端基をアームにセットするに先立ち、アームを、ここに記載した手順を用いて、二酸(B)、およびジアミン(A)を続けて付加することにより伸張させることができる。
【0186】
一般手順(B)
スルファニル-ピロリジン-2,5-ジオン部分は、当該チオールを含んだペプチドを水中に溶解させることにより形成してよい。溶解を促進するために、有機溶媒を添加してよい。
【0187】
溶液を緩衝して、例えばpH 0〜pH 10、pH 3〜pH 6、またはpH 5のような適切なph値にし、例えば0〜60℃のような適切な温度に維持する。当該マレイミドを添加し、下記反応スキームに従ってスルファニル-ピロリジン-2,5-ジオン部分を形成する:
【化33】

pHの選択は、例えば使用すべきペプチドの溶解度により決定される。ペプチドの溶解度は、ペプチドのpKaにより大体は決定される。通常、所与のペプチドの溶解度は、pH がペプチドのpKaに等しい場合には、その最小の値である。pH値が7〜14の間である場合、他の求核アミノ酸側鎖は、マレイミド部分と反応することができ、前記の考慮に充分な注意を払いながら反応を行うpHを選択することは、当業者の技量の範囲内である。
【0188】
一般手順(C)
オキシム部分は、ケトまたはアルデヒド官能基を含むペプチドを水中に溶解させることにより形成してよい。溶解度を増すために、有機溶媒を添加してもよい。溶液を、例えばpH 0〜pH 10の間、pH 3、およびpH 6またはpH 5のような適切なpH値に緩衝させ、例えば0〜60℃のような適切な温度で維持する。当該ヒドロキシルアミンを添加し、下記反応スキームに従ってオキシム部分が形成される:
【化34】

pHの選択は、例えば使用すべきペプチドの溶解度により決定される。ペプチドの溶解度は、かなりの程度、該ペプチドのpKaによって決定される。通常、所与のペプチドの溶解度は、pH がペプチドのpKaに等しい場合には、その最小の値である。前記の考慮に充分な注意を払いながら反応を行うpHを選択することは、当業者の技量の範囲内である。
【0189】
本発明の全ての化合物は、当業者により、標準的なカップリングおよび脱保護工程を用いて合成することができる。全ての必要な機器および合成方法の記述は、“The Fine Art Of Solid Phase Synthesis”, 2002/3 Catalog, Novabiochem.において見出すことができる。
【0190】
環化工程の典型的な例は以下のとおりである:
例A:N{4-[4-(2-{[3-(2-{2-[3-(アセチルアミノ)-プロポキシ]-エトキシ}-エトキシ)-プロピルカルバモイル]-メトキシ}-アセチルアミノ)-ブトキシイミノ]-シクロヘキサンカルボニル-Gly-Ser-Gln-His-Ser-Nle-c[Glu-Hyp-D-Phe-Arg-Trp-Lys]-NH2}3
【化35】

図中、2つのRは、三量体の他の2つのアームを表し、これは1つのアームを合理的な尺度で示すことができるように折り畳まれている。
【0191】
ペプチドの合成
【化36】

1.a 保護されたペプチジル樹脂4-オキソシクロヘキサンカルボニル-Gly-Ser(tBu)-Gln(Trt)-His(Trt)-Ser(tBu)-Nle-Glu(2-フェニルイソプロピルオキシ)-Hyp(tBu)-D-Phe-Arg(Pmc)-Trp(Boc)-Lys(Mtt)-(Rink樹脂)を、Fmoc戦略に従い、Applied Biosystems 431A ペプチド合成器(0.25mmol スケール)で、同製造者の供給する「FastMoc UV」プロトコールを用いて合成したが、該プロトコールはNMP(N-メチル ピロリドン)中におけるHBTU[2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3 テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]媒介性のカップリング、およびFmoc保護基の脱保護のUVモニタリングを採用している。合成に用いられる出発樹脂は、ローディングが0.51mmol/gの(4-((2',4'-ジメトキシフェニル)-(Fmoc-アミノ)メチル)-フェノキシポリスチレン樹脂(Rink樹脂)(Novabiochem) 0.50gであった。用いた保護化アミノ酸誘導体はFmoc-Lys(Mtt)-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-Arg(Pmc)-OH、Fmoc-D-Phe-OH、Fmoc-Hyp(tBu)-OH、Fmoc-Glu(2-フェニルイソプロピルオキシ)-OH 及びFmoc-Nle-OHであった。
【0192】
1.b (1.a)から得られた樹脂を、DCM 中の5 x 10mL 2% トリフルオロ酢酸(TFA)、2% トリエチルシラン(TES)を用いて、60分間、通常の混合に供して処理した。樹脂を、NMP、5%DIEAを含んだNMP、及びNMPで洗浄した。ペプチドを、NMP(5mL)中のHOBt(1.0mmol)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート 1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(1.0mmol)及びDIEA(2.0mmol)を用い、4h通常の混合に供して環化させた。樹脂をNMP及びDCMで洗浄した。
【0193】
1.c (1.c)から得られた樹脂を60分室温で10mLのTFA 中の2.5%水および2.5% TESと共に撹拌することにより、ペプチドを開裂させた。開裂混合物を濾過紙、濾液を、窒素流により濃縮しておよそ1mLにまで濃縮した。この油状物から粗製のペプチドを、50mL ジエチルエーテルを用いて沈殿させ、50mL ジエチルエーテルを用いて3回洗浄した。
【0194】
粗製の環状ペプチドを、分取用RP-HPLCにより精製した。
【0195】
三量体化部分の合成
【化37】

2.a ジアミンのモノ保護
50gのジアミン(4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン)を、250mLのジクロロメタン中に溶解させた。17.5mLのトリフルオロ酢酸を、この透明で無色の溶液に滴下添加した。2000mLのジクロロメタン中の49.5gのジ-tert-ブチル-ジカルボン酸塩を、前記溶液に滴下添加した。反応混合物を一晩室温で撹拌し、ついで真空下で濃縮して、透明な黄色の油状物を得た。
【0196】
この油状物をジクロロメタン中の撹拌に溶解させ、所望の化合物を2 x 0,1N HCl(250mL)中に抽出した。
【0197】
水相を、280mL 1N NaOHで処理した。塩基性の水相を250mLのジクロロメタンで2回抽出した。合体した有機相を塩水(200mL)で洗浄した。ジクロロメタンを真空下で蒸発させ、透明で薄黄色の油状物を得た。
【0198】
2.b 中央ユニットへのモノ-boc-アミンの付加
1gのニトリロトリ酢酸を、15mLのテトラヒドロフラン中に溶解させた。4gの1 ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び2.6mLのジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を添加し、混合物を30分撹拌した。5.4gのモノ-boc-アミン及び2.7mLのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を前記活性エステルに添加した。反応混合物を一晩室温で撹拌した。
【0199】
反応混合物を真空下で濃縮し、水と酢酸エチルとの間で分配した。酢酸エチル相を真空下で濃縮して、半結晶状の油状物を10g得た。該油状物を、ジクロロメタン中の30% メタノールを用いたシリカ上のクロマトグラフィに供した。油状物をプラグとしてのカラムを通過させた。画分を真空下で濃縮し、残留物(remanence)を酢酸エチル中に再び溶解させた。溶液をカルボン酸水素ナトリウム飽和物で、および最後に硫化水素ナトリウムで洗浄した。酢酸エチル相を真空下で濃縮し、ついでアセトニトリルでストリッピングした。
【0200】
残った油状物を、ジクロロメタン中の50%トリフルオロ酢酸 100mL 中に溶解させ、ついで室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。
【0201】
混合物を、水と酢酸エチルとの間で分配した。水相を、酢酸エチルを用いて2回洗浄し、ついで凍結乾燥させて黄色の油状物を9.5g得た。
【0202】
2.c アンカーユニットの作製
6gの(4-アミノブトキシ)カルバミン酸 1,1-ジメチルエチルエステル(WO 2005014049 A2)を20mL ピリジン中に溶解させ、4.1gの無水二グリコール酸を添加した。透明な黄色の溶液を100℃で3時間撹拌した。ついで反応混合物を0.5N HCl(150mL)中に注ぎ、水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去して黄色の油状物を得た。
【0203】
2.d 三量体化部分へのアンカーユニットの付加
2.c からの0.66gの酸を、5mL ジクロロメタン中に溶解させ、0.29mL トリエチルアミンを添加した。溶液を氷上で冷却し、5mL ジクロロメタン中の0.25mL 塩化ピバロイルを添加した。混合物を1時間撹拌した。2.bからの0.53gのテトラアミンを、5mL中に0.29mL トリエチルアミンとともに溶解させた。この溶液に、上記混合無水物を添加し、該混合物を一晩撹拌した。
【0204】
溶媒を真空下で除去し、得られた油状物を、アセトニトリル/水+0.1%TFAを用いた逆相のHPLCにより精製した。boc-保護基を、ジクロロメタン中の10% TFA を用いた処理により除去した。最終生成物を、逆相 HPLCにより生成することができる。好ましくは、分子は、三量体形成の直前に脱保護され、未精製の状態で用いられる。
【0205】
ペプチドの三量体形成
3.a 21mgのペプチド(1.c)を2mL 水中に溶解させ、この溶液を、6mgの前記非保護化トリスオキシアミン(2.d)に添加した。該混合物を1時間室温で撹拌した。ついで最終生成物をアセトニトリル/水/0.1% TFAを用いた逆相 HPLC上で精製した。MS-データ:(M+4H)4+ = 1533。
【0206】
<薬理学的方法>
アッセイ(I)
- 自由に摂食させるラットモデルを用いた、MC4類似体の食欲に対する
有効性試験のための実験プロトコール
TAC:SPRDラットまたはウィスターラット(M&B Breeding and Research Centre A/S、デンマーク)を、実験に使用する。ラットは、実験の開始時には、体重が200-250 gである。ラットは、実験開始の少なくとも10〜14日前に届き、そのときの体重は180〜200 gである。化合物の各投与量を、8匹のラットからなる群ごとに試験する。8匹のラットからなる賦形剤(vehicle)の群を、試験のそれぞれの組に含める。
【0207】
動物が届いたら、それらを、昼間に消灯し且つ夜間に点灯することを意味する逆転した明/暗周期(7:30 amに消灯し、7:30 pmに点灯)の中に、個別に収容する。ラットは通常、電灯が消えているときに食物取り込みを開始し、夜間に一日の食物取り込みの大部分を行うため、この設定により、食物取り込みの開始時間が、消灯される7:30 amとなる変化がもたらされる。10-14日間の順化の期間に、ラットは、自由に食物および水を摂取できる。この期間に、動物は、少なくとも3回取り扱われる(handled)。実験は、ラットの飼育檻おいて行われる。投与の直前に、ラットを、体重により様々な治療群(n = 8)にランダム化する。それらに対し、体重に従って、7:00 amから7:45 amの間に、腹腔内(ip)、経口(po)、または皮下(sc)で、1-3 mg/kgの溶液を投与する。投与の時間を、それぞれの群で記録する。投与後、ラットは、それぞれの飼育檻に戻され、そこで食物および水を摂取することができる。個別に、食物消費量を7時間毎に、次いで24時間後、時には48時間後に記録する。実験期間の終了時に動物を安楽死させる。
【0208】
各々のデータを、マイクロソフトエクセルのシートに記録する。異常値のためのGrubbs統計的評価試験を適用し、異常値を除外し、結果を、GraphPad Prismプログラムを用いて、グラフで表す。
【0209】
アッセイ(II)
- AlphaScreen(商標) cAMP検出キットを用いた、メラノコルチン受容体3および5
(MC3およびMC5) cAMP機能試験
MC3およびMC5のためのcAMP試験を、それぞれMC3およびMC5受容体を安定して発現する細胞(HEK293またはBHK細胞の何れか)に対して行う。受容体は、PCRにてcDNAからクローン化し、pcDNA3発現ベクターに挿入する。安定したクローンを、1 mg/mlのG418を用いて選択する。
【0210】
約80〜90%の集密度の細胞を、PBSで3回洗浄し、Verseneでプレートから剥がし、PBSで希釈する。次に、それらを1300 rpmで2分間遠心分離し、上清を除く。細胞を、刺激緩衝液(stimulation buffer)で2度洗浄し、次いで、最終濃度が1x106または2x106 cells/mlになるように刺激緩衝液に再懸濁する。25μLの細胞懸濁液を、25μLの試験化合物または参照化合物(全て刺激緩衝液中に希釈されている)を含むマイクロタイタープレートに添加する。プレートを、低い振盪速度に設定したプレート振盪機にて、室温(RT)で30分間インキュベートする。反応を、抗cAMP抗体の結合したアクセプタービーズを25μL添加して停止させ、2分後、ウェル毎に、溶解緩衝液中でビオチン化cAMPが結合したドナービーズ50μLを添加する。次に、プレートをプラスティックで封着し、30分間振盪し一晩静置させる。その後、Alpha(商標)マイクロプレートリーダーで計測する。
【0211】
EC50値を、ウインドウズ(商標)プログラムGraphPad(商標) Prism (GrapfPad(商標) Software、USA)を用いて、投与量/応答曲線(最小で6点)の非線形回帰分析によって算出する。全ての結果は、nMで表される。
【0212】
MC3機能的cAMP試験における拮抗性活性を測定するため、MC3受容体を、3 nMのα-MSHで刺激し、強力な拮抗剤(antagonist)の量を増加させて阻害する。拮抗剤に対するIC50値は、50%のMC3刺激を阻害する濃度として定義される。
【0213】
アッセイ(III)
- メラノコルチン受容体4 (MC4) cAMP試験
MC4受容体を発現するBHK細胞を、強力なMC4作用薬(agonist)で刺激し、cAMPの刺激の度合いを、Flash Plate (登録商標) cAMP試験 (NEN(商標) Life Science Products、cat. No. SMP004)を用いて測定する。
【0214】
MC4受容体をコードするcDNAをBHK570/KZ10-20-48に形質移入し、MC4受容体が発現する安定なクローンを選択することにより、MC4受容体を発現するBHK細胞を作製する。MC4受容体cDNA、並びにMC4受容体が発現する細胞株は、Euroscreen(商標)から購入してよい。細胞を、DMEM、10%FCS、1 mg/ml G418、250 nM MTXおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン中で生育させる。
【0215】
約80〜90%の集密度の細胞を、PBSで3回洗浄し、Verseneでプレートから剥がし、PBS中で希釈する。次に、それらを1300 rpmで2分間遠心分離し、上清を除く。細胞を、刺激緩衝液(stimulation buffer)で2度洗浄し、次いで、最終濃度が0.75x106 cells/mlになるように刺激緩衝液に再懸濁する(その消費量:96穴マイクロタイタープレートごとに7 ml)。50μLの細胞懸濁液を、50μLの試験化合物または参照化合物(全て水に希釈されている)を含むFlash Plateに添加する。該混合液を5分間振盪し、次にRTで25分間静置させる。反応を、100μLのDetection Mixをウェルごとに添加して停止させる(Detection Mix = 11 mlのDetection Buffer + 100μL (~2μCi) のcAMP [125I]トレーサー)。次に、プレートをプラスティックで封着し、30分間振盪し、一晩(または2時間)静置させ、次いでTopcounterで計測する(2分/ウェル)。一般に、試験方法は、Flash Plateキットのプロトコールに記載された通りとする(Flash Plate (登録商標) cAMP試験 (NEN(商標) Life Science Products、cat. No. SMP004))。しかしながら、cAMP基準物は、0.1% HASおよび0.005% Tween(商標) 20中に希釈され、刺激緩衝液中には希釈されない。
【0216】
EC50値を、ウインドウズ(商標)プログラムGraphPad(商標) Prism(GrapfPad(商標) Software、USA)を用いて、投与量/応答曲線(最小で6点)の非線形回帰分析によって算出する。全ての結果は、nMで表される。
【0217】
アッセイ(IV)
- メラノコルチン受容体1(MC1)結合試験
MC1受容体結合試験を、MC1受容体を安定に発現するBHK細胞膜にて行った。試験は、全量250μLで行った:25μLの125NDP-α-MSH (終濃度が22 pM)、25μLの試験化合物/対照物、および200μLの細胞膜(35μg/ml)。試験化合物をDMSO中に溶解させる。放射標識したリガンド、膜および試験化合物は、緩衝液(25 mM HEPES、pH 7.0、0.1 mM CaCl2、1 mM MgSO4、1 mM EDTA、0.1% HASおよび0.005% Tween(商標) 20)の中に希釈させる。サンプルを、Greinerマイクロタイタープレートにて30℃で90分間インキュベートし、GF/Bフィルターで分離する。該フィルターは、濾過により非結合の放射標識リガンドから結合した放射標識リガンドを分離する前に、0.5% PEI中で60分間、予め湿らせ(pre-wetted)、および2〜3回NaCl(0.9%)で洗浄する。濾過後、フィルターを氷冷した0.9% NaClで10回洗浄する。フィルターを50℃で30分間乾燥させ、封着し、30μLのMi-croscint 0 (Packard、cat. No. 6013616)を各ウェルに加える。プレートを、Topcounterで計測する(1分/ウェル)。
【0218】
データを、ウインドウズ(商標)プログラムGraphPad(商標) Prism (GrapfPad(商標) Software、USA)を用いて、結合曲線の非線形回帰分析によって分析する。
【0219】
アッセイ(V)
- メラノコルチン受容体41(MC4)結合試験
ヒトMC4受容体を発現する組み換えBHK細胞への、125NDP-α-MSHのin vitro結合(濾過試験)
試験は、5 mlのminisorbバイアル (Sarstedt No. 55.526)または96穴フィルタープレート (Millipore MADVN 6550)にて、ヒトMC4受容体を発現するBHK細胞(スウェーデン、ウプサラ、Wikberg教授より頂いた)を用いて行う。BHK細胞は、試験まで-80℃で保存し、試験は、直接この細胞懸濁液の希釈液で、更なる調製をすることなく行う。懸濁液は、最大10%の特異的結合が得られるよう希釈する。即ち、約50-100倍希釈を行う。試験は、全量が200μLで行う:50μLの細胞懸濁液、50μLの125NDP-α-MSH (終濃度は、ほぼ79 pM)、50μLの試験化合物および50μLの結合緩衝液 (pH 7)(混合し、25℃で2時間インキュベートする)[結合緩衝液:25 mM HEPES (pH 7.0)、1 mM CaCl2、1 mM MgSO4、1 mM EGTA、0.02%バシトラシンおよび0.2% BSA]。試験化合物は、H2Oに溶解し、結合緩衝液で希釈する。放射標識リガンドおよび膜は、結合緩衝液に希釈する。インキュベートの処理を、5 mlの氷冷した0.9% NaClで希釈して停止させ、続いて0.5% ポリエチレンイミンで1時間前処理したWhatman GF/Cフィルターを通して急速濾過する。フィルターを、5 mlの氷冷したNaClで3回洗浄する。フィルター上に保持される放射能を、Cobra II オートガンマカウンターを用いて計測する。
【0220】
データを、ウインドウズ(商標)プログラムGraphPad(商標) Prism (GrapfPad(商標) Software、USA)を用いて、結合曲線の非線形回帰分析によって分析する。
【0221】
アッセイ(VI)
- エネルギー消費の評価
TAC:SPRDラットまたはウィスターラット(M&B Breeding and Research Centre A/S、デンマーク)を使用する。順化の少なくとも1週間後に、ラットを、個々に代謝容器(metabolic chanber)(Oxymax system, Columbus Instruments, コロンバス、オハイオ州、USA;システムは毎日較正する)に入れる。測定の間、動物は、自由に水を摂取することが可能であるが、食物は、容器内に提供されない。明:暗の周期は、6:00に電灯を切り替えて、12時間:12時間とする。動物を容器内に入れて約2時間が経過した後(即ち、基底のエネルギー消費に達したとき)、試験化合物または賦形剤(vehicle)を投与し(po、ipまたはsc)、および試験化合物の作用時間を確立するために、記録を続ける。それぞれの動物のデータ(酸素消費、二酸化炭素生成および流速)を、10〜18分おきに、計22時間収集する[2時間は順応(基底)のため、20時間は測定のため]。流入空気におけるO2およびCO2含量の変化の収集を、10〜18分ごとの周期で行う。
【0222】
データから、代謝体重(metabolic weight) [(kg体重)0.75]当りの酸素消費量および二酸化炭素生成量、並びに動物当りの熱を測定する。酸素消費量(VO2)は、主なエネルギー消費の興味あるパラメータとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iの化合物、並びにその医薬的に許容可能な塩、プロドラッグ、および溶媒和物:
【化1】

ここで、
Cxは、三つの独立のアームを有する中央部分を表し;
各Wは、独立に、C1-6-アルキレン、C1-6-アルキレンオキシ、C2-6-アルケニレン、C2-6-アルキニレン、ヒドロキシ-C1-6-アルキレン、ヒドロキシ-C2-6-アルケニレン、C2-6-アルケニレンオキシ、C2-6-アルカノイレン、C2-6-アルケノイレン、または結合を表し;
各R’は、独立に1以上の基Aおよび任意に1以上の基Bの鎖からなり、前記基は、R’が1以上の基Bを含むときには何れかの順序で連結され、但し、Wに結合されたカルボニル基に結合する各R’の末端は基Aで始まり;
ここでのAは、
【化2】

であり、
ここでのrは0、または1〜50の整数であり、
nおよびmは独立に≧2の整数でああり;
Bは、
【化3】

であり、
ここでのX、VおよびZは、-CR1R2-、C3-8-シクロアルキレン、C4-8-シクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、-O-、-S-、-N(R’’)-、-OCH2CH2O-、-OCH2-、および-CH2O-から独立に選択され;
R1およびR2は、独立に、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C3-8-シクロアルキル、およびC4-8-シクロアルケニルから選択され、またはR1およびR2は一緒になってC2-6-アルキレンブリッジを形成し;
R’’は、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C3-8-シクロアルキル、およびC4-8-シクロアルケニルから選択され;
q、kおよびlは、独立に、0、1、2、3、4、5および6から選択され、但し、q、kおよびlは全てが0ではなく;
Y’は、基Yから誘導される部分であり、これにはMC4受容体のリガンドであるペプチドPから誘導されるペプチド部分P’が共有結合される。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、下記構造のうちの一つによって表される化合物:
【化4】

ここで、R’、W、Y’およびP’は請求項1で定義した通りである。
【請求項3】
請求項1またはに記載の化合物であって、Wが、結合またはC1-6-アルキレンである化合物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の化合物であって、下記構造のうちの一つによって表される化合物:
【化5】

ここで、R’、Y’およびP’は請求項1で定義した通りである。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の化合物であって、rが0であるか、または1〜25の整数である化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、rが0であるか、または1〜10の整数である化合物。
【請求項7】
請求項5または6に記載の化合物であって、rが0、1、2、3、4または5である化合物。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載の化合物であって、rが0、1、2または3である化合物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物であって、Aが
【化6】

である化合物。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物であって、X、VおよびZは、独立に、-CR1R2-、-O-、-S-、-NR’’-、-OCH2CH2O-、-OCH2CH2-、-CH2CH2O-、-OCH2-、または-CH2O-を表し、ここでのR1、R2およびR’’は請求項1で定義した通りである化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、X、VおよびZは独立、-CR1R2-を表す化合物。
【請求項12】
請求項10に記載の化合物であって、X、VおよびZは独立に、-OCH2CH2O-、-OCH2-、または-CH2O-を表す化合物。
【請求項13】
請求項10に記載の化合物であって、X、VおよびZが一緒になって、-(CH2)1-4-、-CH2(OCH2CH2)1-6OCH2-、または-CH2OCH2-を表す化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、X、VおよびZが一緒になって、-(CH2)3-、または-CH2OCH2-を表す化合物。
【請求項15】
請求項10〜14の何れか1項に記載の化合物であって、Bが
【化7】

である化合物。
【請求項16】
請求項1〜9の何れか1項に記載の化合物であって、X、VおよびZが独立に、アリーレンまたはヘテロアリーレンを表す化合物。
【請求項17】
請求項16に記載の化合物であって、Vが、フェニレンである化合物。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物であって、Vが、o-フェニレン、m-フェニレン、またはp-フェニレンである化合物。
【請求項19】
請求項1〜9の何れか1項に記載の化合物であって、Vが、C3-8-シクロアルキレンまたはC4-8-シクロアルケニレンである化合物。
【請求項20】
請求項19に記載の化合物であって、Vが、シクロペンチレン、シクロへキシレンまたはシクロヘキセニレンである化合物。
【請求項21】
請求項1〜9の何れか1項に記載の化合物であって、Vが、モルホリン、ピペラジン、ジオキサンまたはチオフェンから誘導されたジラジカルである化合物。
【請求項22】
請求項1〜21の何れか1項に記載の化合物であって、各Yが独立に
【化8】

であり、ここでのnが≧0の整数である化合物。
【請求項23】
請求項22に記載の化合物であって、全ての三つのY基が、
【化9】

である化合物。
【請求項24】
請求項1〜23の何れか1項に記載の化合物であって、各基R’が独立に、-A-、-A-B-、-A-B-A-、-A-B-A-B-、-A-B-A-B-A-、および-A-B-A-B-A-B-から選択される化合物。
【請求項25】
請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物であって、三つのR’基が全て同一である化合物。
【請求項26】
請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物であって、三つのR’基のうちの二つが同一である化合物。
【請求項27】
請求項1〜24の何れか1項に記載の化合物であって、三つの異なるR’基を含んだ化合物。
【請求項28】
請求項1〜27の何れか1項に記載の化合物であって、各Pが独立に、
R1-X-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-R2 (式A)
であり、
ここで、
N-末端NH2-基に結合されたR1は、存在しないか、またはC1-4-アルカノイルもしくはアンカー基RXを表し、該アンカー基RXは任意にリンカーSを介してXに結合され、該リンカーSは、存在するときはβ-アラニン、Glu、Gly-Gln、Gly-Glu、Gly-Hisおよび
【化10】

から選択され、ここでのyは1、2、3、4または5であり;
Xは、結合、アミノ酸残基、またはジペプチド残基もしくはトリりペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X1は、結合または側鎖に官能基を備えたアミノ酸残基を表し、これには任意にリンカーSを介してアンカー基RXが結合されてよく、該リンカーSは、存在するときにはβ-アラニン、Glu、Gly-Gln、Gly-Glu、Gly-Hisおよび
【化11】

から選択され、ここでのyは1、2、3、4または5であり;
前記アンカー基RXは、次式X、XaまたはXbの基を表すか、
【化12】

或いは、Rxは、前記基Yと反応してY’P’を形成してよいケト官能基またはアルデヒド官能基をもったC2-6-アルカノイルもしくはC3-6-アルケノイルを表し;
X2は、結合、アミノ酸残基、またはジ-、トリ-もしくはテトラ-ペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X3は、結合またはアミノ酸残基を表し、前記アミノ酸残基は任意に、X10への架橋を形成することができ;
X4は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸でよく;
X5は、His、Ala、Nle、Met、Met(O)、Met(O2)、Gln、Gln(ε-アルキル)、Gln(ε-アリール)、Asn、Asn(ε-アルキル)、Asn(ε-アリール)、Ser、Thr、Cys、F-Pro、Pro、Hyp、(S)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、Trp、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、2-ピリジルアラニン、3-ピリジルアラニン、4-ピリジルアラニン、2-チエニルアラニン、3-チエニルアラニン、4-チアゾリルアラニン、2-フリルアラニン、3-フリルアラニン、およびPheから選択されるアミノ酸残基を表し、前記Pheのフェニル部分は任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ベンゾイル、メチル、トリフルオロメチル、またはシアノで置換され;
X6は、D-Pheを表し、該D-Pheのフェニル部分は任意にハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチル、またはシアノで置換され;
X7は、Argを表し;
X8は、Trpまたは2-ナフチルアラニンを表し;
X9は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
X10は、結合またはアミノ酸残基を表し、該アミノ酸残基は任意に、X3への科挙言うを形成することができ;
X11は、結合、アミノ酸残基またはジペプチド残基を表し、ここでのアミノ酸は天然に存在するアミノ酸または合成アミノ酸であってよく;
R2は、-OHまたは-NR5R6を表し、ここでのR5およびR6は独立に、水素、C1-8アルキル、C2-8アルケニルまたはC2-8アルキニルを表し;
ここで、各Pは独立に、ラクタムまたはジスルフィド架橋を介してX3からX10へと任意に環化され;
但し、各Pは一つのアンカー基のみを含んでなることを条件とし;
更に、各Pが少なくとも7アミノ酸残基を含んでなることを条件とする。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物であって、三つの全てのPが同一である化合物。
【請求項30】
請求項28または29に記載の化合物であって、X3とX10の間には、CysおよびホモCysから選択されるX3部分およびX10部分の間に形成されたジスルフィド架橋の存在によって、またはX3の側鎖におけるカルボン酸部分とX10の側鎖におけるアミン部分の間、もしくはX10の側鎖におけるカルボン酸部分とX3の側鎖におけるアミノ部分の間に形成されたラクタム結合の存在によって、式Iの化合物を環状にするブリッジが存在する化合物。
【請求項31】
請求項28〜30の何れか1項に記載の化合物であって、X2がNleを表す化合物。
【請求項32】
請求項28〜31の何れか1項に記載の化合物であって、X3がGluまたはAspを表し、X10がLys、Orn、DabまたはDapを表す化合物。
【請求項33】
請求項32に記載の化合物であって、X3がGluまたはAspを表し、X10がLysを表す化合物。
【請求項34】
請求項32または33に記載の化合物であって、X3がGluを表し、X10がLysを表す化合物。
【請求項35】
請求項28〜34の何れか1項に記載の化合物であって、R2が-NH2を表す化合物。
【請求項36】
請求項28〜35の何れか1項に記載の化合物であって、X6-X7-X8-X9-X10が、D-Phe-Arg-Trp-Lysを表す化合物。
【請求項37】
IGTの2型糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項38】
2型糖尿病からインスリン要求性糖尿病への進行を遅延させる方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項39】
肥満症を治療し、または過体重を防止する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項40】
食欲を調節する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項41】
満腹感を誘導する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項42】
首尾よく減量した後の体重増加を防止する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項43】
エネルギー消費を増大させる方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項44】
過体重または肥満に関連した疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項45】
過食症を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項46】
気晴らし食いを治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項47】
アテローム性動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、および若年死のリスクから選択される疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項48】
肥満症の患者において、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、および若年死のリスクから選択される疾患または状態を治療する方法であって、それを必要としている肥満症の患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を、任意に1以上の追加の治療的活性化合物と組合わせて投与することを含んでなる方法。
【請求項49】
請求項37〜48の何れか1項に記載の方法であって、前記追加の治療液活性化合物が、糖尿病治療剤、高脂血症治療剤、肥満治療剤、高血圧治療剤、および糖尿病から生じまたは糖尿病に付随する合併症を治療するための薬剤からなる群から選択される方法。
【請求項50】
患者においてMC4を活性化する方法であって、前記患者に対して、有効量の請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項51】
請求項37〜50の何れか1項に記載の方法であって、請求項1〜36の何れか1項に記載の前記化合物が、約0.05 mg〜約1000 mgの該化合物を含有する単位投与量形態で前記患者に投与される方法。
【請求項52】
請求項37〜51の何れか1項に記載の方法であって、前記請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物が、非経腸的投与または舌下投与により投与される方法。
【請求項53】
治療において使用するための、前記請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物。
【請求項54】
請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物を含有してなる医薬組成物。
【請求項55】
請求項1〜36の何れか1項に記載の化合物の使用であって:IGTから2型糖尿病への進行を遅延させるため;2型糖尿病からインスリン要求性糖尿病への進行を遅延させるため;肥満を治療もしくは過体重を予防するため;食欲を調節するため;満腹感を誘導するため;首尾よく減量した後の体重再増加を防止するため;エネルギー消費を増大させるため;過体重または肥満症に関連した疾患もしくは状態を治療するため;過食症を治療するため;気晴らし食いを治療するため;アテローム硬化症、高血圧、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、または若年死のリスクを治療するため;または、肥満症の患者において、2型糖尿病、耐糖能異常(IGT)、異脂肪血症、冠動脈心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的機能障害、または若年死のリスクを治療するための、医薬の製造における使用。

【公表番号】特表2008−535893(P2008−535893A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505877(P2008−505877)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061465
【国際公開番号】WO2006/108818
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】