説明

胃腸の健康を改善するための方法及び組成物

胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の胃腸の健康を維持又は改善するための方法であって、胃腸の健康の維持又は改善は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、胃腸の健康を維持又は改善する量の組成物を動物に投与することによって行われ、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する、方法。一般に、この組成物は、下痢を予防又は治療するため又は便性状を改善するために動物に投与される。さらに、この組成物は、胃腸の健康を維持又は改善するために、少なくとも1種のプロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、下痢止め薬、微生物細胞外多糖、又はそれらの組合せとともに投与してもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2009年8月5日出願の米国特許仮出願第61/273506号の優先権を主張するものである。その出願の開示内容は、ここで参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野:
[0002]本発明は概して、胃腸の健康を維持及び改善するための方法及び組成物に関し、特に、胃腸の健康を維持及び改善するための新規な食品組成物の使用に関する。
【0003】
関連技術の説明:
[0003]動物は、それらの通常の福祉のために良好な胃腸の健康を必要とするが、残念なことに、胃腸の健康障害はよく起こる。胃腸の健康障害は、非常に重篤になる可能性があり、医師の診察を必要とすることがある。胃腸の健康障害は、下痢、便性状不良、又は別の症状を引き起こし得る様々な原因から生じる。さらに、動物は、良好な胃腸の健康を維持するために、食物を効率的に及び適切に消化しなければならない。しかしながら、胃腸の健康障害は、通常の食物消化を妨げ、動物の健康及びウェルネスに有害な影響を及ぼす。
【0004】
[0004]多くの胃腸障害には、動物又はその世話をする人にとって極めて不快となり得る軟水様便である下痢が伴う。下痢と闘うための多くの方法が、当技術分野において知られている。例えば、米国特許出願公開第20070166295A1号は、イヌ及びネコなどの小家畜において下痢を治療するための組成物を開示している。この組成物は、カオリン、ペクチン、及びプロバイオティクスを含有する。米国特許第5516798号は、メチルアミンを用いて下痢を治療するための方法を開示している。米国特許第5576001号は、粉末化された形態でニンジン、米、バナナ及びグルコースを含む下痢の治療のための組成物を開示している。米国特許第5741807号は、感染性及び非感染性の下痢を治療又は予防するためにヒスチジンを使用することを開示している。米国特許第6926891号は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の菌株を用いた下痢の治療を開示している。米国特許第6835376号は、病原性細菌によって引き起こされる下痢を予防するためにラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を使用することを開示している。米国特許出願公開第20050260170A1号は、病原性細菌によって引き起こされる下痢を予防するためにビフィズス菌を使用することを開示している。米国特許第6998119号は、下痢を予防することができるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌を含有する飼料組成物を開示している。米国特許出願公開第20070248582A1号は、下痢の予防のために乳酸菌を使用することを開示している。同様に、便性状不良は、下痢をもたらさない軽度の形態の胃腸の健康障害の指標となることが多い。
【0005】
[0005]胃腸の健康を維持及び改善するための現在の方法では、食餌の変更、胃腸の健康をもたらすと考えられる様々な食物の投与、又は胃腸の健康を維持又は改善するのに有用であると考えられる様々な薬物の投与を行うことが多い。これらの方法は有用であるが、問題を解決していない。したがって、動物において胃腸の健康を維持及び改善するための新しい方法及び組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]したがって、本発明の目的は、胃腸の健康を維持又は改善するのに有用な方法及び組成物を提供することである。
【0007】
[0007]本発明の別の目的は、下痢を予防又は治療するのに有用な方法及び組成物を提供することである。
【0008】
[0008]本発明のさらなる目的は、便性状を改善するのに有用な方法及び組成物を提供することである。
【0009】
[0009]本発明の別の目的は、動物の健康及びウェルネスを促進するのに有用な方法及び組成物を提供することである。
【0010】
[0010]本発明の別の目的は、任意選択の栄養を機能不全の腸管を有する動物に提供するための方法を提供することである。
【0011】
[0011]これらの及び他の目的は、動物において胃腸の健康を改善するための新規な方法及び組成物を用いて達成される。本方法は、胃腸の健康障害を起こしやすい又は患っている動物に、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、胃腸の健康を維持又は改善する量の組成物を投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、組成物は少なくとも80の消化係数を有する。
【0012】
[0012]本組成物は、驚くべきことに、胃腸の健康を維持又は改善するため、特に、下痢を予防又は治療するため及び便性状を改善するために有効である。したがって、本組成物を用いて、動物の健康及びウェルネスを促進することができる。
【0013】
[0013]本発明のさらなる目的、特徴及び利点は当業者には明らかであろう。
【発明の詳細な説明】
【0014】
定義:
[0014]「動物」とは、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している任意の動物を意味する。動物は、動物が状態又は疾患を発症する可能性が高いということを示す症状を動物が示す場合、この疾患又は状態に「かかりやすい」。動物は、動物が状態又は疾患を発症したことの指標となる症状を動物が示す場合、この疾患又は状態に「罹患している」。
【0015】
[0015]「伴侶動物」とは、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、アレチネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどの家畜化されている動物を意味する。
【0016】
[0016]「ともに(併せて)」とは、本発明の組成物又は化合物(例えば、下痢止め薬)の少なくとも1種が、(1)食品組成物中で一緒に、又は(2)同じ又は異なる頻度で同じ又は異なる投与経路を用いてほぼ同じ時間に又は定期的に、別々に、動物に投与されることを意味する。「定期的に」は、組成物、食品組成物、及び化合物が、特定の組成物、食品組成物、及び化合物について許容できる投薬スケジュールで投与されること、及び食品組成物が、特定の動物に関して必要に応じて常法に従って動物に投与又は給餌されることを意味する。「ほぼ同じ時間」は、一般に、組成物、組成物成分、下痢止め薬、及び食品組成物が、同時に又は互いに約72時間以内に投与されることを意味する。「ともに(併せて)」は特に、下痢止め薬などの胃腸管改善剤が指示された期間投与され、組成物が無期限に投与される投与スキームを含む。
【0017】
[0017]「単一パッケージ」とは、キット構成要素が、少なくとも1つの容器内で又は少なくとも1つの容器と物理的に関連付けられ、製造、流通、販売又は使用に際して1つのユニットとみなされることを意味する。容器としては、缶、袋、箱、ボトル、シュリンクラップ包装、ホチキス又は他の手段で固定された構成要素、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限られるものではない。単一パッケージは、製造、流通、販売又は使用に際して1つのユニットとみなされるように物理的に関連付けられていれば、食品組成物が別々に入った複数の容器であってもよい。
【0018】
[0018]「仮想パッケージ」とは、ユーザーに他の構成要素の入手法を知らせる、少なくとも1つの物理的又は仮想的なキット構成要素に関する説明書により、キット構成要素が関連付けられていること、例えば、1つの構成要素と、ユーザーに、ウェブサイトを訪れ、記録されたメッセージに接触し、視覚的メッセージを閲覧し、又は世話をする人又はインストラクターに問い合わせて、キットの使用方法に関する指示を得るよう指示する説明書と、を含む袋の形で関連付けられていることを意味する。
【0019】
[0019]「動物の健康及び/又はウェルネス」とは、疾患又は慢性病が存在しないことだけでなく、動物の物理的、精神的、及び社会的な完全な福祉を意味する。
【0020】
[0020]「下痢止め薬」とは、下痢を予防又は治療するのに有用な任意の化合物、組成物(本発明の組成物以外の)、又は薬物を意味する。
【0021】
[0021]「抗胃炎薬」とは、胃炎を予防又は治療するのに有用な任意の化合物、組成物(本発明の組成物以外の)、又は薬物を意味する。
【0022】
[0022]「抗腸炎薬」とは、腸炎を予防又は治療するのに有用な任意の化合物、組成物(本発明の組成物以外の)、又は薬物を意味する。
【0023】
[0023]「糞便の質」という語は、「便性状」という語と同義である。
【0024】
発明:
[0024]一態様において、本発明は、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の胃腸の健康を維持又は改善するための方法を提供する。本方法は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、胃腸の健康を維持又は改善する量の組成物を動物に投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、組成物は少なくとも80の消化係数を有する。
【0025】
[0025]一実施形態において、本方法は、下痢を予防又は治療することによって胃腸の健康を維持又は改善することを含む。別の実施形態において、本方法は、便性状を改善することによって胃腸の健康を改善することを含む。さらなる実施形態において、本方法は、胃炎の予防又は治療を含む。別の実施形態において、本方法は、腸炎の予防又は治療を含む。さらに別の実施形態において、本方法は、胃腸の健康障害と関連した嘔吐を予防又は治療することを含む。
【0026】
[0026]別の態様において、本発明は、動物の胃腸の健康を維持又は改善するのに適した組成物を提供する。本組成物は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有し、組成物は少なくとも80の消化係数を有する。
【0027】
[0027]本発明は、特定の量の炭水化物、食物繊維(ある特定の量の不溶性繊維及び可溶性繊維を含む)、ω−3脂肪酸(ω−6脂肪酸に比例)、及び比較的高い消化係数を含有する食品組成物が、動物に摂取されたときに、特に下痢を予防又は治療すること又は糞便の質に有利に影響を及ぼすことによって胃腸の健康に有益な影響を及ぼすという発見に基づいている。
【0028】
[0028]動物が摂取するのに適した任意の炭水化物又は炭水化物源を、本組成物において使用することができる。そのような炭水化物源は、全粒穀物、ひいて粉にした穀物、穀物成分、米粉、小麦、トウモロコシ、オート麦、雑穀、大豆、大麦、ライ麦、モロコシ、綿実、キャノーラ種子、菜種、亜麻仁、亜麻種子、穀粉、ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、ニンジン、エンドウ、又はそれらの組合せを包含する。加えて、動物、魚、又は家禽組織中に含有されるグリコーゲンを炭水化物供給源とすることができる。
【0029】
[0029]本組成物は、約1%〜約20%、好ましくは約2%〜約16%、最も好ましくは約4%〜約12%の量の炭水化物を含む。
【0030】
[0030]動物が摂取するのに適した任意の可溶性繊維を、本発明の組成物において使用することができる。そのような可溶性繊維は、グアール、カラギーナン、アラビアゴム、カッシア、及びアルギン酸塩などのゴム;ペクチン;オート麦;オート麦ふすま;フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、及びイヌリンなどのオリゴ糖;レンズマメ;インゲンマメ;ぶちインゲンマメ(pinto bean);白インゲン;チコリー;オオバコ種子、エンドウ;ジャガイモ;サツマイモ;又はそれらの組合せを包含する。好ましい可溶性繊維は、イヌリン、オオバコ種子、チコリー、及びオート麦ふすまである。
【0031】
[0031]動物が摂取するのに適した任意の不溶性繊維を、本発明の組成物において使用することができる。そのような不溶性繊維は、大豆繊維、大豆皮、ビートパルプ、エンドウ繊維、トウモロコシふすま、落花生殻、柑橘類パルプ、果物のしぼりかす、小麦ふすま、セルロース、マメ科のエンドウ豆の外皮、豆外皮、インゲンマメ、レンズマメ、白インゲン、又はそれらの組合せを包含する。好ましい不溶性繊維は、セルロース、エンドウ繊維、オート麦繊維、落花生殻、豆外皮、及び大豆皮である。
【0032】
[0032]様々な実施形態において、可溶性及び不溶性繊維の両方の適切な混合を確実にするために、繊維源のブレンドが使用される。
【0033】
[0033]本組成物は、約3%〜約10%、好ましくは約4%〜約8%、最も好ましくは約5%〜約7%の総食物繊維を含む。総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維、好ましくは約12%〜約36%の可溶性繊維及び約88%〜約64%の不溶性繊維、最も好ましくは約15%〜約35%の可溶性繊維及び約85%〜約65%の不溶性繊維を含む。
【0034】
[0034]組成物中の各成分についての適した量は、組成物を摂取する動物の種;組成物中に含まれる特定の成分;動物の年齢、体重、全身の健康状態、性別、及び食餌;動物の摂取率;動物の胃腸の健康の既往歴などの様々な因子に応じて決定する。
【0035】
[0035]本組成物は、少なくとも80、好ましくは少なくとも85、最も好ましくは少なくとも90の消化係数を有する。
【0036】
[0036]本組成物は、胃腸の健康を維持又は改善するため又は健康又はウェルネスを促進するために有効な任意の量で動物に投与される。典型的には、本組成物は、動物の食餌の、すべてでないとしても、大部分を構成する食物として動物に給餌される。量は、動物の大きさ及び動物の栄養要求量などの因子に応じて決定する。当業者は、胃腸の健康に影響を及ぼすため及び健康又はウェルネスを促進するために必要とされる組成物の量を容易に決定することができる。
【0037】
[0037]本組成物は、経口投与のための任意の適した形態、例えば、嗜好性の高い食品組成物を用いて動物に経口的に投与される。
【0038】
[0038]本組成物は、当業者に既知のビタミン、ミネラル、充填剤、嗜好性向上剤、結合剤、フレーバー、安定剤、乳化剤、甘味料、着色料、緩衝剤、塩、コーティングなどのさらなる成分を含有してもよい。安定剤は、防腐剤、共力剤及び金属イオン封鎖剤、パッケージングガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、及び湿潤剤などの組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向のある物質を包含する。乳化剤及び/又は増粘剤の例は、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、及び加工デンプンを包含する。組成物中のそのような添加物の量は、典型的には、約5重量%までである。
【0039】
[0039]一実施形態において、本組成物を製剤化して、米国飼料検査官協会(AAFCO)によって確立された基準に従って、「完全な及びバランスのとれた」栄養を動物、好ましくは、イヌ又はネコなどの伴侶動物に提供する。別の実施形態において、本組成物は、ペット用食品組成物、例えば、乾燥キブル及びウェットフード組成物である。
【0040】
[0040]様々な実施形態において、本発明の方法は、本組成物を、少なくとも1種のプロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、及び下痢止め薬などの胃腸の健康改善剤とともに投与するステップをさらに含む。
【0041】
[0041]プロバイオティクスは、摂取されたときに特定の医学的状態の予防及び治療において有益な作用を有する生きた微生物である。プロバイオティクスは、コロニー形成抵抗性として知られている現象によって生物学的作用を発揮すると考えられる。プロバイオティクスは、固有の嫌気的叢が消化管中の潜在的に有害な(大部分が好気性の)細菌の濃度を制限するプロセスを容易にする。酵素を供給すること又は胃腸管中の酵素活性に影響を及ぼすことなどの他の作用機序もまた、プロバイオティクスに起因すると考えられている他の機能の一部の説明となり得る。プレバイオティクスは、結腸中の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主の健康に有益な影響を及ぼす難消化性の食品成分である。プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(FOS)、キシロオリゴ糖(XOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、及びマンノオリゴ糖(典型的には、ペットフードなどのヒト以外の食物用)を包含する。プレバイオティクス、フラクトオリゴ糖(FOS)は、小麦、タマネギ、バナナ、ハチミツ、ニンニク、及びリーキなどの多くの食物において天然に見出される。FOSはまた、チコリー根から単離すること又はスクロースから酵素により合成することもできる。結腸におけるFOS発酵は、結腸中のビフィズス菌の数を増加させること、カルシウム吸収を増加させること、糞便重量を増加させること、胃腸の通過時間の短縮、及び血中脂質レベルをおそらく低下させることを包含する多数の生理学的作用をもたらす。ビフィズス菌の増加は、化合物を生成して潜在的な病原体を阻害することによって、血中アンモニアレベルを減少させることによって、及びビタミン及び消化酵素を生成することによって、ヒトの健康に有益となると想定されている。乳酸菌又はビフィズス菌などのプロバイオティクス細菌は、腸管の微生物バランスを改善し、抗体産生及び白血球の食作用(貪食又は殺菌)活性の増強をもたらすことによって免疫反応にプラスに影響を及ぼすと考えられる。ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)は、高齢者において細胞性免疫のいくつかの側面を増強するために有効なプロバイオティクス栄養補助食品であるだろう。プロバイオティクスは、全身の細胞性免疫反応を増強し、他の点では健康な成人において自然免疫を高めるための栄養補助食品として有用であり得る。プロバイオティクスは、多くの種類の細菌及び他の微生物を包含するが、一般に、特定の種及び亜種、例えば、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)SF68であり、以下の細菌及び他の微生物の限定的な属から選択される:ラクトバチルス(Lactobacilllus)、ビフィドバクテリウム、ラクトコッカス(Lactococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)及びサッカロマイセス(Saccharomyces)。動物に投与されるプロバイオティクス及びプレバイオティクスの量は、プレバイオティクス及びプロバイオティクスの種類及び性質並びに動物の種類及び性質、例えば、年齢、体重、全身の健康状態、性別など、微生物の枯渇の程度、有害な細菌の存在、並びに動物の食餌に基づいて当業者によって決定される。一般に、プロバイオティクスは、腸管微生物叢の健康な維持のために1日当たり約1〜約200億コロニー形成単位(CFU)、好ましくは1日当たり約50億〜約100億生菌の量で動物に投与される。一般に、プレバイオティクスは、消化管中の健康な微生物叢をプラスに刺激するのに十分な量で投与され、これらの「善玉」菌を増殖させる。典型的な量は、1食当たり約1〜約10グラム又は動物に推奨される1日の食物繊維の約5%〜約40%である。プロバイオティクス及びプレバイオティクスは、任意の適した手段によって、組成物の一部にすることができる。一般に、胃腸改善剤は組成物と混合されるか、あるいは例えば振りかけるか噴霧することにより組成物の表面に適用される。胃腸改善剤がキットの一部である場合、胃腸改善剤は、他の材料と又はそれ自体のパッケージ中で混合することができる。
【0042】
[0042]本発明において有用な抗胃炎薬は、胃炎の抑制に有用であることが当業者に知られている任意の下痢止め薬、例えば、制酸薬;酸遮断薬;抗生物質;オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、及びエソメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤などである。
【0043】
[0043]本発明において有用な抗腸炎薬は、腸炎の抑制に有用であることが当業者に知られている任意の下痢止め薬、例えば、抗生物質、下痢止め薬などである。
【0044】
[0044]本発明において有用な下痢止め薬は、下痢の抑制に有用であることが当業者に知られている任意の下痢止め薬、例えば、ロペラミド、ジフェノキシラート、膵臓リパーゼ、及びアヘンチンキである。ホリスティックな下痢止め薬及び組成物、例えば、ペパーミント及びショウガなどもまた本発明に包含される。下痢止め薬は、下痢止め薬に適切な任意の方法を用いて、下痢を予防又は治療するのに十分であることが当業者に知られている量で、動物に投与される。下痢止め薬は、下痢の発生又は重症度を減少させることによって胃腸管に有益な作用を有する。
【0045】
[0045]さらなる実施形態において、本発明の方法は、本組成物を、少なくとも1種の微生物細胞外多糖とともに投与するステップをさらに含む。
【0046】
[0046]本発明において有用な微生物細胞外多糖は、下痢を予防又は治療することができる任意の微生物細胞外多糖である。本発明において使用するのに適した微生物細胞外多糖の例は、一般に、スフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphingomonas paucimobilis)、アグロバクテリウム次亜種(Agrobacterium biovar)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、アルカリゲネス種(Alcaligenes species)、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、シゾフィラム・コムネ(Schizophyllum commune)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)及びスクレロチウム・グルカニカム(Sclerotium glucanicum)からなる群より選ばれる細菌から合成されるそれらの微生物細胞外多糖を包含する。いくつかの実施形態において、微生物細胞外多糖は、ラムザン、カードラン、キサンタンガム、スクレログルカン、PS−10ゴム、PS−21ゴム、PS−53ゴム、アルカリゲネス種の多糖、PS−7ゴム、ジェランガム、カードラン、細菌のアルギン酸塩、デキストラン、プルラン、パン酵母グリカン、細菌セルロース、6−デオキシ−ヘキソース含有多糖、及びそれらの組合せからなる群より選ばれる。
【0047】
[0047]好ましい一実施形態において、微生物細胞外多糖は、ジェランガムを含む。ジェランガムは、スフィンゴモナス・パウシモビリス(エロデア(elodea))(ATCC31461)の発酵により生じる直鎖状多糖である。ゴムの産業的調製は、スフィンゴモナス・パウシモビリスをグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含有する発酵培養液中に接種して、2:1:1の比で四糖繰り返し単位を形成することによって行うことができる。そのネイティブな形態では、ジェランガムは、1個の繰り返し単位当たり1.5個のアシル基、アセチル及びグリセラートによって高度にアシル化されている。ジェランガムの基本的な下痢止め活性が顕著に減少しない限りは、アシル基の数及び種類の両方の変更を行うことができる。これらの異なる形態は、ゲルライト(Gelrite)(登録商標)、K9A50並びに、ケルコゲル(Kelcogel)LT(登録商標)、ケルコゲルF、及びケルコゲルLT100(登録商標)を含むがこれらに限定されない他のケルコ(Kelco)ジェランガムを包含する様々な商品名でCPケルコ(CP Kelco)から入手することができる。明細書の全体において使用されている「ジェラン」は、天然ゴム又は下痢止め機能が維持される限り、アシル修飾されたゴムを指す。
【0048】
[0048]一般に、微生物細胞外多糖は、約0.05g/kg/日〜約2g/kg/日の量で投与される。特定の組成物における微生物細胞外多糖の量は、動物が1日のうちに消費する組成物の量に基づいて当業者が調整することができる。
【0049】
[0049]本組成物は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、下痢止め薬及び微生物細胞外多糖を様々に組み合わせて併せて投与することができる。例えば、本組成物は、胃腸の健康を維持するために、プレバイオティクスとともに投与することができる。同様に、本組成物は、下痢を治療するため及び胃腸の健康を改善するために、プロバイオティクス及び下痢止め薬とともに投与することができる。同じく、本組成物は、下痢を治療するため及び胃腸の健康を改善するために、プロバイオティクス、プレバイオティクス、及び下痢止め薬とともに投与することができる。
【0050】
[0050]様々な実施形態において、本組成物は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、下痢止め薬、及び微生物細胞外多糖からなる群より選ばれる胃腸の健康改善剤の少なくとも1種をさらに含む。胃腸改善剤は、胃腸の健康を維持又は改善するのに十分な量で、特に、本発明の組成物と組み合わせて組成物に添加される。
【0051】
[0051]別の態様において、本発明は、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の健康又はウェルネスを促進するための方法を提供する。本方法は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、健康又はウェルネスを促進する量の組成物を動物に投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する。
【0052】
[0052]本組成物は、動物の健康又はウェルネスを促進し、動物の健康又はウェルネスの不良、例えば、慢性の下痢をもたらす状態を予防又は治療する。本方法は、高齢動物、老齢動物、肥満動物、太りすぎの動物を包含する、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患していると決定された任意の年齢又は分類の動物、及び動物において健康又はウェルネスの不良を引き起こす状態にかかりやすいか又はそれに罹患していると決定された動物の健康又はウェルネスを促進するのに有用である。動物に投与される本発明の組成物の量は、胃腸の健康を維持又は改善するために本明細書において記載されているものと同じ量、典型的には動物の食餌の大部分である。
【0053】
[0053]本組成物の動物への投与は、動物の胃腸の健康を維持又は改善するため、特に、下痢を予防又は治療するため及び便性状を改善するのに有用である。特に、本組成物の動物への投与は、時々下痢を起こす傾向のある動物において下痢を予防すること、及び既に下痢を起こしている動物において下痢を低減させることが示された。同様に、本組成物の動物への投与は、下痢まで進行していない胃腸の健康障害を有する動物において便性状を改善することが示された。
【0054】
[0054]本発明の方法及び組成物は、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している、鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、マウス、ヒツジ、及びブタ動物を包含する様々なヒト及びヒト以外の動物に有用である。いくつかの実施形態において、動物は、イヌ又はネコなどの伴侶動物、好ましくはイヌ又はネコ、最も好ましくはネコである。
【0055】
[0055]別の態様において、本発明は、パッケージであって、該パッケージは、本発明の組成物を含有するのに適した材料と、該パッケージに貼られたラベルと、を含み、該ラベルは、胃腸の健康を改善するため、特に、下痢を予防又は治療するため又は便性状を改善するのに有用な組成物が該パッケージ内に含まれることを示す言葉、絵、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ又は他の手段又はそれらの組合せを備える、パッケージを提供する。
【0056】
[0056]典型的には、そのような手段は、パッケージに印刷された形で、「胃腸の健康を維持する」、「胃腸の健康を促進する」、「糞便の質を改善する」、「下痢の重症度及び/又は長さを低減させる」、「健康及びウェルネスを促進する」といった文言又は同等の表現を備える。本組成物を含有するのに適した任意のパッケージ又はパッケージ材料、例えば、紙、プラスチック、ホイル、金属などから作られた袋、箱、瓶、缶、小袋などが、本発明において有用である。好ましい一実施形態において、パッケージは、ラベルに応じて、ヒト、イヌ又はネコなどの特定の動物に適合させた食品組成物、好ましくはイヌ又はネコのための伴侶動物用食品組成物を含有する。
【0057】
[0057]さらなる態様において、本発明は、胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の胃腸の健康を維持又は改善するのに適したキットを提供する。キットは、適宜、単一パッケージ内の別々の容器又は仮想パッケージ内の別々の容器に、本発明の組成物と、(1)少なくとも1種の胃腸管改善剤、(2)少なくとも1種の微生物細胞外多糖、(3)前記組成物及び他のキット構成要素を組み合わせて、胃腸の健康の維持又は改善、特に下痢の予防若しくは治療又は便性状の改善に有用な組成物を生成する方法に関する指示、及び(4)前記組成物及び他のキット構成要素の(特に動物の利益のための)使用方法に関する指示、のうちの少なくとも1つと、を含む。
【0058】
[0058]好ましい実施形態において、胃腸の健康改善剤は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、及び下痢止め薬の少なくとも1種である。
【0059】
[0059]キットが仮想パッケージを含む場合、キットは、少なくとも1つの物理的なキット構成要素と組み合わされた仮想環境内の指示に限定される。キットは、胃腸の健康を維持又は改善するのに十分な量で組成物及び他の構成要素を含有する。典型的には、組成物及び他の適したキット構成要素は、動物が摂取する直前に混合される。一実施形態において、キットは、本発明の組成物及び動物に摂取されたときに動物の健康に有益な少なくとも1種の化合物又は材料を含有するパケットを含有する。キットは、組成物及び他のキット構成要素を混合するためのデバイス又は混合物を入れるためのデバイス、例えば、フードボウルなどのさらなる品目を含有してもよい。別の実施形態において、組成物は、動物において良好な健康状態を促進するビタミン及びミネラルなどのさらなる栄養サプリメントと混合される。
【0060】
[0060]別の態様において、本発明は、(1)胃腸の健康を維持又は改善するために本発明の組成物を使用すること、(2)便性状を改善するために本組成物を使用すること、(3)下痢を予防又は治療するために本組成物を使用すること、(4)本組成物を他の材料と混合すること、(5)本組成物を動物に投与すること、(6)本組成物を、少なくとも1種の胃腸の健康改善剤と組み合わせて動物に投与すること、及び(7)胃腸の健康を維持又は改善するため、特に、下痢を予防及び治療するため又は便性状を改善するために本発明のキットを使用すること、の少なくとも1つに関する情報又は指示を伝達するための手段を提供する。この手段は、情報又は指示を含む文書、デジタルストレージメディア、光学ストレージメディア、オーディオプレゼンテーション、又はビジュアルディスプレイを含む。ある特定の実施形態において、伝達する手段は、情報又は指示を含む文書、デジタルストレージメディア、光学ストレージメディア、オーディオプレゼンテーション、又はビジュアルディスプレイを含む。好ましくは、伝達手段は、そのような情報又は指示を含む表示されたウェブサイト又はパンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、又はビジュアルディスプレイである。有用な情報は、(1)本組成物及び/又は他の成分を組み合わせるため及び投与するための方法及び技術、及び(2)動物又はそれらの世話をする人が、本発明及びその使用に関する質問がある場合に使用するための問い合わせ情報のうちの少なくとも1つを包含する。有用な指示は、混合する量並びに投与の量及び頻度を包含する。伝達手段は、本発明を使用すること及び本発明を動物に投与するための承認された方法を伝達することの利益について教示するのに有用である。
【0061】
[0061]さらなる態様において、本発明は、任意選択の栄養を機能不全の腸管を有する動物に提供するための方法であって、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する組成物を動物に投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する方法を提供する。
【0062】
[0062]本明細書において表されるすべてのパーセントは、特に断らない限り、「乾物ベース」で組成物の重量によるものである。「乾物ベース」とは、組成物中の成分のパーセントが、組成物中の水分が除去された後に測定されることを意味する。
【0063】
[0063]本明細書において表される投薬量は、特に断らない限り、1日当たり体重1キログラム当たりのグラム(g/kg/日)である。
【0064】
[0064]本発明は、本明細書に記載の特定の方法、手順及び試薬に限定されるものではない。なぜならば、当業者には理解されるように、それらは変わり得るものだからである。さらに、本明細書で使用される用語は、専ら特定の実施形態を記載するためのものであり、開示又は請求の範囲を限定するものではない。
【0065】
[0065]本明細書において、範囲内の1つ1つの値を列挙及び記載することを避けるため、範囲は簡略に記す。範囲の上限値、下限値又は端値として、必要に応じて範囲内の任意の適切な値を選択することができる。
【0066】
[0066]本明細書では、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、単語の単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。したがって、“a”、“an”及び“the”は一般にその語の複数形を含む。例えば、“a composition”又は“a method”は、その“composition”又は“method”の複数を含む。同様に、“comprise”、“comprises”及び“comprising”は、排他的ではなく包含的に解釈されるべきである。同様に、“include”、“including”及び“or”は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り包含的に解釈されるべきである。同様に、“examples”という語は、特に用語の列挙が後に続く場合は、例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。
【0067】
[0067]特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術的・科学的用語、当技術分野の用語、及び頭字語は、本発明の分野又は当該用語が使用される分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の全ての組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料は本発明の実施に際して使用することができるが、本明細書には、好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が記載されている。
【0068】
[0068]本明細書で引用又は参照された全ての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的論文及び他の文献は、ここで参照されることにより、法律で許容される範囲でその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献についての議論は、単にその主張内容を要約することを意図したものである。そのような特許、特許出願、出版物又は文献又はそれらの任意の一部が関連技術又は先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物及び他の文献が関連技術又は先行技術であるとのいかなる主張に関しても、その正確性及び妥当性について異議を申し立てる権利は特に留保されている。
【実施例】
【0069】
[0069]本発明は、さらに以下の実施例により具体的に説明される。ただし、これらの実施例は単に説明のために挙げられたものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定することを意図したものでないことは理解されよう。
【0070】
[0070]以下の食品組成物を実施例において使用した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
[0071]以下の方法を用いて便性状を評価した。便性状は、1〜7の間のスコアを用いて糞便スコアリングシステムを用いて決定した。正常な糞便は、2又は3のスコアがつけられる。各スコアの説明は以下の通りである。
スコア1:非常に硬く乾燥している。体外に排出するのに大いに努力を必要とする。
スコア2:固まっているが、硬くはない。柔らかいはずである。分割された外観。持ち上げたときに地面にほとんど又は全く残留物が残らない。
スコア3:丸太様、分割がほとんど又は全く見られない。湿った表面。持ち上げたときに残留物を残すが形態を保つ。
スコア4:非常に湿っている(べちゃべちゃしている)。はっきりした丸太形状が見られる。持ち上げたときに残留物を残し、形態を保てない。
スコア5:非常に湿っているが、はっきりした形状。はっきりした丸太としてではなく堆積物として存在する。持ち上げたときに残留物を残し、形態を保てない。
スコア6:テクスチャーを有するが、明確な形状を有さない。堆積物として又はシミとして生じる。持ち上げたときに残留物を残す。
スコア7:水様。テクスチャーなし。平ら。液溜まりとして生じる。
【0074】
[0072]下痢は一般に、過度に水様の糞便、増加した便の量のいずれか、又は両方と定義される。しかしながら、境界は必ずしも十分に定義されているわけではない。一般的な規定として、7点尺度において5以上の糞便スコアは、下痢を示唆する。便性状不良は、4以上のスコアによって示される。
【0075】
実施例1:
[0073]自然発生的な下痢を有する16匹のネコに、市販されている缶詰めの食品組成物を給餌して、ネコの食餌を標準化した(「ベースライン」)。次いで、ネコを2つの(2)群に分け、食品組成物A(FCA)又は食品組成物B(FCB)のいずれかを4週間給餌した(フェーズ1)。フェーズ1の最後の週の間、糞便スコアリング(7=非常に水様;2〜3は最適である;1は非常に硬く乾燥している)によって下痢を評価した。次いで、さらに4週間、FCAを給餌されたネコをFCBに次いで切り替え、FCBを給餌されたネコをFCAに切り替え(フェーズ2)、フェーズ2の最後の週の間、糞便スコアリングを繰り返した。結果を表1に示す。
【0076】
[0074]表1を参照すると、ネコFCBは、ネコFCAと比較して、糞便スコアの顕著に大きな改善を有した。他のデータは、FCAを給餌されたネコについて、ネコのわずか12.5%が正常な便を生じたことを示す。対照的に、FCBを給餌されたネコの43.8%は、正常な便(2又は3の糞便スコアと定義される)を生じた。
【0077】
【表3】

【0078】
実施例2:
[0075]自然発生的な下痢又は便性状不良を有する15匹のネコに、FCBを4週間給餌した後、下痢を、糞便スコアリング(7:非常に水様;2〜3:最適;1:非常に硬く乾燥している)を用いて評価した。結果を表2に示す。
【0079】
[0076]表2を参照すると、データは、下痢が顕著に低減し、平均糞便スコアが、平均して、1単位を超えて改善した(小さくなった)ことを示す。慢性の下痢を有するネコの45%超が、FCBを給餌した場合、食餌単独によって改善した。データはまた、FCBを給餌された動物の便性状が改善したことを示す。
【0080】
【表4】

【0081】
[0077]本明細書では、本発明の代表的な好適な実施形態が開示されている。特定の用語が使用されているが、それらは単に一般的かつ説明的な意味で使用したものであり、限定を意図したものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に記載の通りである。上述の教示内容を踏まえると、本発明の多くの修正及び改変が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、特に記載されている以外の形態でも実施可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の胃腸の健康を維持又は改善するための方法であって、該方法は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、胃腸の健康を維持又は改善する量の組成物を動物に投与するステップを含み、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する、方法。
【請求項2】
胃腸の健康の維持又は改善が下痢の予防又は治療を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下痢が慢性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
胃腸の健康の改善が便性状の改善を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
胃腸の健康の維持又は改善が胃炎の予防又は治療を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
胃腸の健康の維持又は改善が腸炎の予防又は治療を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
胃腸の健康の維持又は改善が嘔吐の予防又は治療を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物を少なくとも1種の胃腸の健康改善剤とともに投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
胃腸の健康改善剤は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、下痢止め薬、又はそれらの組合せである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物を少なくとも1種の微生物細胞外多糖とともに投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
微生物細胞外多糖は、ラムザン、カードラン、キサンタンガム、スクレログルカン、PS−10ゴム、PS−21ゴム、PS−53ゴム、アルカリゲネス種の多糖、PS−7ゴム、ジェランガム、カードラン、細菌のアルギン酸塩、デキストラン、プルラン、パン酵母グリカン、細菌セルロース、6−デオキシ−ヘキソース含有多糖、及びそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
微生物細胞外多糖が約0.05g/kg/日〜約2g/kg/日の量で前記動物に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
動物の胃腸の健康を維持又は改善するのに有用な組成物であって、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、胃腸の健康を維持又は改善する量の組成物を含み、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する、組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の胃腸の健康改善剤をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
胃腸の健康改善剤は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗胃炎薬、抗腸炎薬、下痢止め薬、又はそれらの組合せである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の微生物細胞外多糖をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
微生物細胞外多糖は、ラムザン、カードラン、キサンタンガム、スクレログルカン、PS−10ゴム、PS−21ゴム、PS−53ゴム、アルカリゲネス種の多糖、PS−7ゴム、ジェランガム、カードラン、細菌アルギン酸塩、デキストラン、プルラン、パン酵母グリカン、細菌セルロース、6−デオキシ−ヘキソース含有多糖、及びそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
微生物細胞外多糖を約0.05g/kg/日〜約2g/kg/日の量で前記動物に投与するのに十分な微生物細胞外多糖を含有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
動物の健康又はウェルネスを促進するための方法であって、該方法は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する、健康又はウェルネスを促進する量の組成物を動物に投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する、方法。
【請求項21】
パッケージであって、
該パッケージは、請求項14に記載の組成物を含有するのに適した材料と、該パッケージに貼られたラベルと、を含み、
該ラベルは、胃腸の健康を維持又は改善するため又は健康及びウェルネスを促進するのに有用な組成物が該パッケージ内に含まれることを示す言葉、絵、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ又は他の手段又はそれらの組合せを備える、パッケージ。
【請求項22】
胃腸の健康障害にかかりやすいか又はそれに罹患している動物の胃腸の健康を維持又は改善するのに適したキットであって、適宜、単一パッケージ内の別々の容器又は仮想パッケージ内の別々の容器に、請求項14に記載の組成物と、(1)少なくとも1種の胃腸管改善剤、(2)少なくとも1種の微生物細胞外多糖、(3)前記組成物及び他のキット構成要素を組み合わせて胃腸の健康を維持又は改善する方法に関する指示、及び(4)前記組成物及び他のキット構成要素の使用方法に関する指示、のうちの少なくとも1つと、を含むキット。
【請求項23】
(1)胃腸の健康を維持又は改善するために本発明の組成物を使用すること、(2)便性状を改善するために本発明の組成物を使用すること、(3)下痢を予防又は治療するために本発明の組成物を使用すること、(4)本発明の組成物を他の材料と混合すること、(5)本発明の組成物を動物に投与すること、(6)本発明の組成物を、少なくとも1種の胃腸の健康改善剤と組み合わせて動物に投与すること、及び(7)胃腸の健康を維持又は改善するため、特に下痢を予防及び治療するため又は便性状を改善するために本発明のキットを使用すること、の少なくとも1つに関する情報又は指示を伝達するための手段であって、前記情報又は指示を含む文書、デジタルストレージメディア、光学ストレージメディア、オーディオプレゼンテーション又はビジュアルディスプレイを含む手段。
【請求項24】
表示されたウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告又はビジュアルディスプレイからなる群より選ばれる、請求項23に記載の手段。
【請求項25】
任意選択の栄養を機能不全の腸管を有する動物に提供するための方法であって、該方法は、約1%〜約20%の炭水化物、約3%〜約10%の総食物繊維(該総食物繊維は、約10%〜約40%の可溶性繊維及び約90%〜約60%の不溶性繊維を含む)、及び約0.1%〜約10%のω−3脂肪酸を含有する組成物を動物に投与するステップを含み、ここで、ω−6対ω−3脂肪酸の比は約1:1〜約15:1であり、該組成物は少なくとも80の消化係数を有する、方法。
【請求項26】
前記組成物は約2%〜約16%の炭水化物を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物は約4%〜約12%の炭水化物を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物は約4%〜約8%の繊維を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物は約5%〜約7%の繊維を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項30】
前記総食物繊維は約12%〜約36%の可溶性繊維及び約88%〜約64%の不溶性繊維を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項31】
前記総食物繊維は約15%〜約35%の可溶性繊維及び約85%〜約65%の不溶性繊維を含む、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は少なくとも85の消化係数を有する、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が少なくとも90の消化係数を有する、請求項1、20又は25に記載の方法。
【請求項34】
前記プロバイオティクスはエンテロコッカス・フェシウムSF68である、請求項10に記載の方法。
【請求項35】
約2%〜約16%の炭水化物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項36】
約4%〜約12%の炭水化物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項37】
約4%〜約8%の繊維を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項38】
約5%〜約7%の繊維を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項39】
前記総食物繊維は約12%〜約36%の可溶性繊維及び約88%〜約64%の不溶性繊維を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項40】
前記総食物繊維は約15%〜約35%の可溶性繊維及び約85%〜約65%の不溶性繊維を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項41】
少なくとも85の消化係数を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項42】
少なくとも90の消化係数を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項43】
前記プロバイオティクスはエンテロコッカス・フェシウムSF68である、請求項16に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−501044(P2013−501044A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523608(P2012−523608)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/002179
【国際公開番号】WO2011/016866
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】