説明

胃食道インプラントを保持するデバイス及び方法

体腔内に医療用インプラントを保持する様々な方法及びデバイスについて説明する。一つの態様によれば、医療用インプラントの少なくとも一部分(16)を体腔内に配置し、体腔の壁を整形して、その整形された壁(14)が医療用インプラントの体腔を外れる移動を防ぐ。整形された体壁は組織ポケット、トンネル、又はインプラントの移動に抗する他の遮蔽体を形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は一般に胃食道インプラントデバイスの分野に関し、特にこのようなインプラントを患者の胃食道接合領域又は胃の中に保持するデバイス及び方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
人体の胃S及びそれに関連する特徴の解剖図を図1Aに示す。食道Eは口から胃Sへ食物を送る。zライン即ち胃食道接合Zは、食道の薄い組織と胃壁の厚い組織との間の不規則形状の境界である。胃食道接合領域Gは、食道Eの末端、zライン、及び胃Sの基部を包囲する領域である。
【0003】
胃Sは、その基端に胃底Fを、その末端に幽門洞Aを含む。幽門洞Aは、小腸の基端領域の十二指腸Dへ付着する幽門Pへ入る。幽門P内にあるのは、十二指腸から胃への食物の還流を防ぐ括約筋である。十二指腸Dの末端に位置する小腸の中間領域は空腸Jである。
【0004】
図1Bは胃壁を形成する組織層を示す。最外層は漿膜層即ち「漿膜」Sであり、胃壁の内層である最内層は粘膜層即ち「粘膜」MUCである。粘膜下組織SM及び多層筋層Mは粘膜と漿膜との間に位置する。
【0005】
様々な形式のインプラントを食道又は胃内に配置可能である。これらは胃食道還流症の治療のために移植された人工弁を含んでいる。胃インプラントにおける他の分野は肥満症抑制のための人工インプラントである。これらは胃の内室に繋止される膨張自在バルーンなどの空間占有デバイスを含んでいる。他の肥満抑制インプラントは米国特許出願第09/940,110号(出願日:2001年8月27日)、米国特許出願第10/118,211006号(出願日:2002年4月8日)、米国仮特許出願第60/379,306号(出願日:2002年5月10日)、米国特許出願第10/345,666号及び第10/345,1104号(出願日:2003年1月16日)に示されて説明されている。これらの出願は本願の譲受人の名義であり、それらの出願の開示事項は本明細書に参照により組み込まれている。これらのデバイスの特定の形態は胃基部における人工ポーチの位置決めに関する。例えば図2Aに示す形式の人工ポーチ2は、図2Bに示すように胃基部内又は胃食道接合領域に配することができる。このポーチは制限体として働き、食道から胃への食物の流れを制限することにより摂取される食物量を抑制する。
【0006】
この種のポーチ2は基部開口4及び小径末端開口6を含み、食道からの咀嚼食物を集める小さな貯蔵器を形成するので、一回に消費できる食物の量を制限する。その小さな容積(容積約2cc乃至300cc程度であるが、好ましくは10から30ccの範囲である)のために、ポーチは一回に消費できる食物量を制限するように機能する。時間が経つにつれて、貯蔵所内の食物は末端開口を通じて胃へ下降する。
【0007】
ポーチは、食物で満たされるにつれて膨らんで、上部胃及び下部食道括約筋に対して圧力を加えて、患者に満腹感を感じさせる。他の形式の制限器は上述した従来の出願及び本願に開示されている。
【0008】
ポーチ2又は他の制限インプラントは可撓性材料から形成してもよい。このような材料の例は、ポリエステル(例えばDacron(商標)ポリエステル)、ePTFEファブリック(例えばGoreTex商標ファブリックその他)、ポリウレタン(例えばChronoFlex(商標)ポリウレタン、ナイロンファブリック、シリコン、他のポリメリック材料、及び生体内吸収性材料(例えばPLLA、PGA、PCL、ポリ−アミヒドリドその他)を含むが、これらに限定されるものではない。ポーチ2の場合、ポーチの側面を通じて食物の通過を防ぐ材料が最適であるが、これは必須事項ではない。この材料は、可撓性、半可撓性及び/又は非可撓性材料の組成から形成でき、これらはポーチに可撓性の程度が異なる個別の領域を与えて、その様々な場所におけるポーチの膨張を可能にさせるか又は制限させる。例えば、充分に可撓な出口ポートを有するポーチを与えて、大きな食物片が摂取された場合の閉塞を防止するか及び/又はポーチからの食物の出口圧力を調整することが望ましく、一方、ポーチの基端は剛にして膨らみを防ぐようにしてもよい。ポーチの個別の領域におけるポーチの断面厚さを変化させることにより、様々な程度の可撓性をポーチに構築してもよい。その材料は潤滑で生体内適合の化学的不活性材料、例えばパラレインで被覆して基体との摩擦を低減するようにしてもよく、これはデバイス上の食物の付着及び堆積を防止するのに役立つ。
【0009】
制限インプラントは、支持部材によって補強又は支持されるように構成してもよく、例えば柔らかいメッシュ、ケージ構造、リブ、リング等である。支持部材はステンレス鋼、ポリマー、形状記憶材料(例えばニチノール、形状記憶合金、又は形状記憶ポリマー)、或いは材料の厚い領域により形成してもよい。インプラントは自己膨張性に構成して、展開デバイス又はカテーテルから排出される際に、ポーチが径方向に弾けて解放されて膨張状態になるようにしてもよい。
【0010】
胃/食道におけるポーチ2その他のインプラントは、縫合8a,8b或いは他の手段、例えばクリップ又は適切な接着剤を用いて基端開口4の境界の周りの繋止点にて所定位置に固定される。このインプラントは、縫合8a,8b又は他の繋止手段を受け入れるようにポーチ2上の隆起区画9のような補強区画を含んでもよい。図2Bに示すように、クリップ又は縫合などの繋止手段が用いられ、繋止手段は胃壁を縫合糸8aにより完全に貫通する(「全厚」縫合又はクリップと称する)か、或いは胃壁を縫合糸8bにより部分的に貫通する(「部分厚」縫合又はクリップと称する)。ポーチと組織との間の縫合をなすために有益なことが判明している一つの縫合取り付けデバイスは、ニューヨーク、ビクターのLSI Solutionsから入手可能な“Sew−Right”縫合デバイスである。ポーチは食道組織へ取り付けてもよいのであるが、より好ましくは、Zラインの下に縫合/クリップを施すことにより、胃壁の厚い組織への取り付けを可能とさせる。
【0011】
胃の内側に固定されると、インプラント及びそれに関連する繋止手段は、胃の運動と咀嚼された食物によりポーチに対して加わる力とに起因する相当な力を受ける。このような力は、例えばポーチ2などの制限インプラント、或いは他の形態の胃食道インプラント、例えば胃食道逆流症の治療のために食道内に移植された人工弁、又は空腹調節のための空間占有インプラントに対して働く。時間を経るにつれて、このような力は、繋止点における胃/食道組織の糜爛に起因して胃壁又は食道壁からのインプラントの脱落を引き起こす。従って胃及び/又は食道内に長期間に亘ってインプラントを保持する繋止機構を与えることが好ましい。
【0012】
概要
医療インプラントを体腔内に保持するための様々な方法及びデバイスが開示される。一つの態様によれば、一つ以上の襞を形成して、その襞に対して医療デバイスを結合させるか、或いは着座させる。襞を形成する組織層の間にパッチを配置して、組織層の間に形成される組織癒着を補強してもよい。
【0013】
図面の詳細な説明
添付図面は、胃食道接合領域を含めて、胃又は食道内のインプラントの保持を促進するために個々に或いは互いに組み合わせて使用可能な多数の方法及び部品を示す。
【0014】
これらの方法及び部品は(1)組織を整形するか、或いはインプラントの位置において組織とインプラントとの間の物理的結合の有無によらずに組織構造がインプラントの保持を扶助する方式で組織構造を修正し、(2)デバイスを所定位置に繋止し、及び/又は(3)インプラントの周りの力(例えば食物の圧力又は胃の運動からのもたらされる力)の均一分布を促進して、インプラントが組織に接触又は繋止される箇所における組織糜爛のおそれを最小化する。本願は図2Aの制限デバイスに対する代替的実施例についても説明する。
【0015】
本願の目的のために、用語「制限デバイス」「飽食デバイス」「閉塞デバイス」又は「飽食ポーチ」は、様々な方式のうちの少なくとも一つにより体重減量を意図したデバイス又はポーチを意味するものとして用いられる。これらは以下の事項を含むが、それらに限定されるものではない。即ち食道から胃への食物の通過速度を緩慢にすること、摂取可能な食物量の物理的制限、及び/又は身体の部分(例えば胃、食道、食道括約筋等)に対して圧力を及ぼして患者に満腹感を経験させること、及び/又は空腹感を調節若しくは空腹感に影響する体内のホルモン又は他の物質のレベルに作用し、及び/又は身体に吸収された摂取食物の量に作用することである。本明細書に説明した繋止デバイス及び方法は、本明細書に特に説明したものに限らず、食道、胃食道接合領域、及び胃の他の部分(胃基端、胃底、胃洞等を含む)内に配置可能な様々な形式の飽食インプラントに有益である。
【0016】
このデバイスは少なくとも一つのキットとして与えられ、本明細書に説明した任意の移植処置及び/又は保持方法に応じた用途についての仕様を更に含んでもよい。選択的に、このようなキットはデバイス及びそれに関連した方法に関して説明した他のシステム部品、及びこれらのデバイス及び方法に関係する他の材料又は品目を更に含んでもよい。例えば、キットは内視鏡又は腹腔鏡ステープル、縫合、及び/又は切除器具、案内ワイア、位置決めマンドレル、処置の実行に必要とされる他のツールを含んでもよい。
【0017】
実施例は飽食デバイスの内容で説明したが、保持の容易化及び/又は力の均一分布の促進について説明した構成要素及び方法は、他の形式のインプラントにも同様に適することに留意されたい。これらのインプラントは、胃内又は胃腸管の他の場所への胃食道還流症治療用人工弁、胃刺激器、薬物を溶離するpHモニタ及び薬物溶出デバイス、生物製剤、細胞を含むが、これらに限定されるものではない。このような薬物溶出デバイスは、レプチン(飽食感を形成するホルモン)、グーレリン(空腹感を形成するホルモン)、オクトレオチド(これはグーレリンレベルを低減し、ひいては空腹感を低減させる)、インシュリン、化学療法薬、施術後の外傷、潰瘍、裂傷等に対する助けとなる天然生物製剤(例えば成長因子、サイトカイン)を溶離するデバイスを含む。他の例においてインプラントは基盤を与えてもよく、この基盤には特定の種類の細胞が粘着して成長し、食道管に対して生物学的活性遺伝子生成物を与える。他の代替例として、インプラントは治療目的で局所的な線源を与えることができる線源のための基盤を与えてもよく、又は診断配位子を固定して食道管を採取し、特定の標準状態又は病的状態の検証をなす基盤を与えてもよく、或いは、カメラ又は他の撮像デバイスを介して食道管を撮像するための繋止点を与えてもよい。
【0018】
本明細書に説明した実施例は、食道管系の外側の身体部分にインプラントを保持するのに広く適用可能であることに留意されたい。従って用語「インプラント」とは、飽食デバイスのみならず、食道、胃食道接合領域、胃、食道管内の他の場所、又は他の中空器官、体内管、及び体腔内にインプラント可能な医療デバイスを意味するものとして用いる。
【0019】
整形技術を用いる保持方法
図3乃至図24はインプラント及びインプラント法を示し、これは身体組織の表面を貫いてインプラントを物理的に結合する接合(例えば縫合、ステープル、クリップ等)を用いてインプラントを身体組織へ結合することを最小化するか若しくは大幅に避ける。これらの実施例においては、インプラントの一部分は身体組織の整形により身体内に形成された組織構造により捕捉される。以下の説明から明らかなように、このような組織構造は、デバイスを保持するように胃の内側に狭窄的に形成してもよく、インプラントの移動に対抗して組織の領域の付着及び/又は胃組織における襞の形成により形成されたポケット、トンネル、棚又は他の遮蔽体としてもよい。この組織構造は、食道から胃を通過する内視鏡処置、及び/又は腹腔鏡若しくは外科処置を用いて形成してもよい。
【0020】
図3は胃組織に形成された襞12により保持される制限インプラント10を示す。この襞は、組織の区画を把持し、この組織を纏めてポケット状の組織構造14を形成するように縫合することにより形成できる。このような構造は、その構造が組織により束縛された内部空間を有し、且つ少なくとも一つの開口が当該内部空間へ延出するという意味で「ポケット状」である。このポケットの内壁は、互いに接触するように置いて、シャツのポケット内の空間が潰れるのと同様な方式で内部空間を潰すようにしてもよい。このポケットは、内部空間の対向する両側が開口しており、器具、或いは医療デバイスの一部がポケットを通過するという意味で「トンネル状」でもある。必要とあれば、このような開口は一つのポケットに二つより多く設けてもよい。他の実施の形態では、ポケットはより中空状又はトンネル状とすることができる。
【0021】
インプラント10は脚部材16を含んでおり、これは襞12のポケット14内に保持される。移植処置の間、脚部材はポケット14へ挿入してもよく、或いは襞12を脚部材16の周りに形成する場合には、その襞の形成の前にインプラントを位置決めしてもよい。
【0022】
制限インプラント10は制限部品18を含み、これは例えば食道と胃との間又は胃の一領域と胃の他の領域との間の流路の有効断面積を低減させることにより、胃への食物の流れを緩慢にさせる任意の形態としてもよい。例えば制限要素は、図2Aのポーチ2にみられるのと同様なポーチとしてもよく、又は制限リング18a(図3、図4A,図4B参照)又はノッチ付ディスク18b(図4C及び図4D)、或いはメッシュスクリーンとしてもよい。制限要素は、部分的に閉塞させるバルーン18bとしてもよく、これは萎んだ状態において、内視鏡19(図4E及び図4F)を用いる可視化の下にインプラントしてから、空気又はガスなどの膨張媒体源に接続された膨張管21を用いて膨張させることができる。バルーン18bは食物を通す開口を含むように環状等にしてもよく、或いはその外側周りに食物流を可能とするように形状付けてもよい。他の代替例においては、図4A及び図4Bのリング18aのようなリングを設けてもよく、付加的な制限要素(例えばポーチ、ディスク、バルーン等)を移植処置の前又は後にリングへ個別に取り付け可能としてもよい。この種の配置構成の一例を図37Eに示す。この例によれば、施術者は特定の患者に要求される制限量を選択及び変更することができる。
【0023】
脚部材16は、胃、例えば胃洞、胃底又は胃の他の領域へよく形成された組織ポケットに保持されて、依然としてデバイスの制限オリフィスを胃の基端に位置決めするのに充分な長さである。これに代えて脚部材16は、胃食道接合領域又は胃の他の基端部分における襞により保持されるようにより短くしてもよい。この組織襞を用いてインプラントを保持する概念は、胃の他の領域(及び身体全体)に配置可能なインプラントによく適用できるのであって、胃基端における拘束を与えるインプラントの使用に限定されるものではない。
【0024】
図4Aのインプラント10aは、部材16aの端部における軟性ストップ24のような保持要素を含む。これらの要素はポケットへの通過のために変形して、そのポケットを出ると膨らむ。膨張自在要素も同様に用いることができる。図4Bに示す他の代替例のように、軟性ストップは鉤又はフック24aに置き換えてもよく、これは真っ直ぐにされた向きではポケット14を通じて配置され、この配置に続いて、曲げられた向きへ変形又は調節可能である。
【0025】
ポケットの形成
ポケットの向きは、襞及び/又は保持すべきインプラントの向きにより達成される目的に応じて選択できる。図3を再度参照すると、ポケット14はより垂直な向き(即ち胃食道接合領域からほぼ半径方向に離れる)を持つように形成してもよく、これは後続の図面に示すように胃の一部のやや周辺周りに整列するようなより水平なポケットとは対照的である。図5Aを参照すると、ポケット14は胃の内側でマンドレル22の周りの組織の折り曲げ部20を引き出して、この折り曲げ部を縫合24を用いて纏めて付着させることにより形成された襞12を含んでもよい。次いでマンドレルを取り除いて、所定位置にポケット14を残すようにする。その後、図5Bに示すようにインプラント10の脚16をポケット14へ挿入する。時間を経るにつれて、適切に保持された組織の領域は互いに粘着するが、これは身体の生理学的又は生物学的反応、例えば繊維性組織又は瘢痕性組織の形成、新たな組織の成長、或いは対向する組織層の成長、治癒、癒着に起因する。本願において用語「粘着」とは、何らかの生理学的又は生物学的反応(これは上記に列挙したものを含むが、それらに限定されるものではない)の結果としての対向組織層の粘着を意味するように用いるものとする。
【0026】
図6Aは腹腔鏡又は開口外科処置のもとに胃の外面へ近づける外科用ステープラー28を用いた襞12の形成を示す。図示のようにステープラー28は、その顎の最遠端部分にステープル30を設けているが、その顎のより基端の部分32にはステープルは存在しない。襞を形成するためには、顎を胃組織の区画上に締め付けて、ステープル30を組織へ貫通させる。図9Bに示すように、顎の基端部分32(図6A)内にある組織の区画は、ステープルで留められていないので、組織ポケット14が形成される。図6Dの上部断面図を参照すると、このような組織ポケット14の幾つかは胃の周りに形成できるので、図3に示すように、制限デバイスの部分(例えば脚部材16)はポケット14内に配置できる。以下に詳細に説明するように、組織襞を形成する組織の結合方式は、胃壁に沿って生じる膨張力F(図6D)に対して襞が耐えるように選択せねばならない。
【0027】
図7は胃壁の一部分の上部断面図であって、(例えば食道を挿通させる内視鏡法で)垂直襞12を胃の内側から形成して、組織ポケット14を形成できることを示している。これは胃へ経口導入される内視鏡的ステープル、縫合デバイス、又はクリップアプライヤーを用いて実行できる。
【0028】
図8A及び図8Bは、図7に示すような組織ポケットを、食道を経て胃へ挿通される内視鏡デバイスを用いて形成する方法を示す。これらの方法は胃壁を通じる外科的又は腹腔鏡処置を利用して実行してもよい。
【0029】
これらの方法によれば、内視鏡的把持器36(図8A)、コークスクリュー機構38(図8B)、吸引器40(図8B)又は他のデバイスを食道を経て胃へ挿通し、これを用いて胃壁の内面上の組織の折り曲げ部42を挟む。縫合(又はクリップ、ステープル等)を折り曲げ部42へ挿通させ、折り曲げ部を引き出して互いに接触させて図7に示す形態にする。図8Cに示すように、折り曲げ部42を一緒に結合する前に、各々の折り曲げ部42を通じて縫合又はステープルの列46を加えることが望ましい。
【0030】
選択的に、縫合/ステープル等は、牛心膜片、テフロン片、又はポリカーボネイト片などの強化部材のパッチまたはストリップ44(図7)に挿通させて、接触組織層が互いに粘着する時間が経過するまで身体組織内のステープル/縫合の保持を促進するようにしてもよい。代替的に、図26A乃至図30Bに関連して説明した形式の綿撒糸、T形バー等を組織粘着が生じる時間が経過するまで縫合/ステープルを強化するように用いてもよい。
【0031】
時間が経ると、組織表面の間の粘着形態は縫合により接触状態に保持されるので、組織表面の間には、縫合のみの使用により達成されるよりも非常に強い結合状態が形成される。所望とあれば、溶ける縫合糸即ち生体吸収性縫合糸を用いて襞を形成してもよい。
【0032】
図8A乃至図8Cに示す処置は、胃外面の漿膜組織内層の粘着に部分的に依存する点で特に有益である。漿膜組織層は、互いに適切に保持された際に比較的に強い結合状態を形成するように粘着することが判明している。図8A乃至図8Cの処置は、組織折り曲げ部又はタブ20が互いに粘着した後においても、或る程度の内部胃組織の粘着を進めるので、内側胃組織の対向領域の粘着を最適化するためには、内側組織表面の修正が更に必要なこともあろう。特に、内壁面の良好な粘着は、胃内壁内層組織の粘膜層の一部を除去して、互いに適切に縫合された組織面が漿膜、粘膜下層又は筋層である場合に達成されるものと考えられる。
【0033】
図8Cを参照すると、組織粘着を促進する一つの表面修正方法は、点線で示すように胃の内側の各組織折り曲げ部20の粘膜面の切除、焼灼(RF、レーザー、或いは化学的焼灼)又は剥離を含む。この修正方法は、折り曲げ部が適切に配置されて互いに縫合される前に実行するのが理想的である。切除、焼灼、剥離がなされる深さに依存して、粘膜層の下の粘膜下層、筋層、又は漿膜層が露呈し、図8Dに示すように、各折り曲げ部の対応する剥離/切除部分が適切に配置されて、互いに縫合/ステープリングされる。これは、組織の露呈領域を互いに縫合し、時間が経つにつれて対向面をしっかりと粘着させることを可能にする。この処置の間、施術者は着色剤又は他のマーカーを用いて露呈領域に印を付けることにより、露呈領域が互いに適切に配置させる時を経た際にも組織を容易に識別できるようにすることが有益であろう。
【0034】
図8Eは、図8A乃至図8Dに関連して説明した方法を用いて形成された襞12a及び組織ポケット14aの斜視図である。図示から明らかなように、襞は長い漿膜接触線220を含む。粘膜又は粘膜下層接触線222(図8Dに示すように組織修正がなされたものとする)は比較的に小さい。漿膜接触線220に沿って形成される粘着は、粘膜又は粘膜下層接触線222に沿って形成される粘着よりも強いと考えられるので、襞は、矢印Xで示される寸法が矢印Yで示される寸法よりも大きくなるように寸法付けることが望ましい。この形態は、胃に対して働く最大の力(図6Dの力F参照)が漿膜粘着により担われることを可能とする。図8Fに示すように、図8Eの襞を延伸させたものを形成して、接触領域の長さを更に延伸させることにより、粘着組織の強度を最適化させてもよい。充分に長い粘着からもたらされる他の形態を図8Gに示す。
【0035】
図9Aは漿膜接触220の領域における大きな部分及び粘膜又は粘膜下層接触222の比較的に小さい領域に依存する組織ポケット14bの他の形態を示す。更に、図9Bに示すように、粘着をもたらす接触線は、胃によって及ぼされる主要な力Fに対して「せん断(in shear)」に向き付けられているので、このような力に応答して引き離される傾向を低減できる。これは、力Fに対して接触線が「剥離する(in peel)」ように向き付けられた図6Dのポケット14とは対照的である。
【0036】
図9Cは、襞12cを形成する接触線がせん断に向き付けられた組織ポケット14cの他の形態を示す。この形態は、三つの襞部分を利用して非常に長い漿膜接触領域220を形成している。
【0037】
図10A,図11D及び図36Aは、形成可能な組織構造の代替形状を示し、ここでは漿膜接触線が剥離状の粘着を形成しているが、粘膜粘着線ではなく漿膜粘着線を利用するという点で図6Dの襞とは異なっている。
【0038】
図10Aを参照すると、襞12dを形成するために、胃内室内の組織を互いに挟み付けて、胃外側上に漿膜層を引き出して互いに接触させることにより、折り曲げられた組織タブ20dを形成している。孔15がタブ20dに形成されており、この孔15の周りにステープラー17又は縫合糸等を配置することにより、漿膜粘着が形成されるまで、組織を纏めて挟み付けた状態に保持する。図10Bに示すように、複数のタブ20dを形成し、制限デバイスの一部(例えば図3に示す複数の脚16)をタブ内の孔15へ通して、インプラントを胃内に固定するようにしてもよい。これに代えて、インプラントは縫合又はクリップを用いてタブ20dから懸架させてもよい。
【0039】
他の代替例として、図10Aの襞は、孔20dを廃し、縫合糸又はクリップを用い、この縫合糸又はクリップを組織へ通して組織をインプラントへ結合することにより、組織ポケットを伴わずに用いてもよい。この代替例の変形例は以下に図36A乃至図36Fを関連して説明する。
【0040】
図11Dに示す形式の構造を形成するために、胃内室内の組織を再び挟み付けて、漿膜層を図11Aに示すように接触するように引き出し、折り曲げられたタブ20eを形成する。次に、ステープル17又は縫合糸等を用いて、タブ20eを通るC字状(又は類似の形状)線を規定する。図11Bに示すように、切除21は胃組織の全厚を通じて形成される。切除21は全厚の切除であるので、ステープル17を用いて胃内室を胃の外側から封止する。
【0041】
切除21を形成した後、切除21を取り囲む組織の領域を図11Bにおける矢印で示すように下向きに折り曲げる。タブ20eの残りの部分を図11Dに示すように開口して漿膜ポケット14eを形成し、これは胃の粘膜側(内側)から到達可能である。このポケットの内室を形成する漿膜組織には、それを胃酸から保護する小さなステント状デバイス又は他のライナーを敷いてもよい。時間が経ると、粘膜組織層は、このポケットの漿膜内室を越えて(及び/又はステント或いはライナーを越えて)成長するので、これを胃酸環境から更に保護する。
【0042】
図12A乃至図12Gは、漿膜組織面が適切に保持された際に、形成された強い粘着の利点を有する組織ポケットを形成する他の方法を示す。図12Aを参照すると、ロッド226が胃の外面上に位置しており、縫合糸228がロッド226に取り付けられて胃壁を通過している。この縫合糸228は、内視鏡把持器((図示せず)を用いて内側へ引き出して、図12Cに示す形式の組織の区画230を張る。所望とあれば、ロッド226を省いてもよく、この場合には、一対の縫合糸228aを胃内室から胃壁を通過させて胃内室へ戻し、内視鏡把持器232を用いて内側へ引き出して、点線で示すように組織を張らせる。
【0043】
次に図12Dに示すように、張られた組織を横断してステープル又は縫合糸の線234を胃の粘膜側から施すことにより、胃の内面に閉止したポケット236を形成する。(ロッド226を使用しているならば)ロッド226はポケット236に取り囲まれる。ステープリ留め/縫合は、内視鏡ステープラー238aを食道から胃へ通過させるか、或いは外科的ガストロノミー部位を通じて胃へ導入される腹腔鏡ステープラー238bを用いて実行でき、これらは図12Cに示してある。ステープラー/縫合デバイスは、次のような特性を有することが好ましい。即ち、漿膜組織を纏めて充分に封止して、完全な漿膜粘着に先立つ胃の漏洩を防ぐが、ステープリングされた組織の治癒を促進する良好な血液流を保証する縫合/ステープル線234を形成することである。例えば、交換ステープルが既に取り除かれているステープルカートリッジを有するように変更された従来のステープラーは、この目的を達成する。
【0044】
図12Cに示すように、縫合/ステープリングに先立ち、張られた組織230の周りにカラー240を配置することにより、壁組織に張力を加えて、縫合又はステープリングを促進してもよい。
【0045】
縫合線234は、図12Eに示すように組織の漿膜層を纏めて保持するので、ポケット236が共に保持される。ポケットの端部242を切断し、ポケット216を組織ポケット244へ折り曲げ、これは胃内室へ開口する端部を有する。(ロッド226を用いているならば)ロッド226はポケット244から取り出す。他の実施の形態として、組織は、ポケットを維持する粘着を形成するように共に治癒することが好ましい。
【0046】
組織ポケット244は漿膜組織で形成されているので、ポケット224にはステント状デバイス246又は他のライナーを敷くことが望ましくは、これらはポケットを補強し、且つ漿膜面を胃酸環境から保護する。
【0047】
他の実施の形態では、この処置は、所望のインプラントを胃内に保持するのに必要な数の複数のポケットを形成するように連続される。次いでインプラント(又はインプラントの部分)を胃内に保持するためにポケットへ供給する。一例として、デバイス10(図3)のようなデバイスの脚16をポケットを通じて延伸させてもよい。これに代えて、他の形態のインプラント(例えば、診断又は治療剤又はデバイス、図12GのC字状バー(これにはインプラントやデバイスの占める空間が取り付けられる)を包含するカプセル)をポケット244内に配置してもよい。薬物溶出カプセル又は同様なインプラントは、この方法又は他の方法を用いして形成するポケット内に完全に適合するように寸法付けられる。ポケットにおける開口はカプセルの挿入に続いて閉止して、カプセルにより溶出した薬物がポケットの壁から胃へ通過するようにしてもよい。
【0048】
第三の代替例として、部材をポケット内に配置して、体重減量に用いられる胃バルーン又は他の空間占有デバイス、或いは治療又は診断デバイスのような他の形式の医療デバイスに繋いでもよい。
【0049】
図43A乃至図43Dはインプラント10のようなインプラントを保持するために組織ポケットを形成する他の方法を示す。図43Aを参照すると、先ずインプラント10を所望のインプラント位置へ配置し、関節付マンドレル400などの少なくとも一つの器具を用いて所定位置へ保持して、ポケットを脚16の周りに形成する。これに代えて、各ポケットは、図12Dに関連して説明したガイド226のような一時的ガイドの回りに形成してもよく、この場合、脚16は後にポケットへ通される。
【0050】
次に、図43Aに示すように切除/ステープリングデバイス402を胃の外面へ進めて胃を把持するのに用いて、二つの対向する胃壁とデバイス10の一つの脚16(又はガイド226)とを切除/ステープリングデバイスの顎の間に捕捉する。好ましくは、切除/ステープリングデバイス402は腹腔鏡処置を用いて導入するが、この処置は切開外科的技法を用いても実行できる。
【0051】
切除/ステープリングデバイス402を用いて、胃の対抗する両壁を通る切り欠き又は孔404を形成し、図43C及び図43Dに示すように、壁の粘膜面を共にステープリングすることにより、孔404の対向側におけるアタッチメントの行又は列406を形成する。ステープルは、対向する胃壁を互いに結合して脚16(又はガイド226)の周りに組織ポケット408を形成すると共に、胃の内容物の腹膜への漏洩に対して孔404を封止するのにも役立つ。時間が経ると、孔404の内面の四つの切除縁410が治癒して、対向する胃壁の間の強い粘着線を形成する。行/列406は図示のように直線状になるか、或いは他の適切な形態を採り得る。切除孔404に対する一つの代替例として、図10Aに関連して説明した形式の一つ以上の孔を組織を通じて形成し、上述のようにステープル/縫合糸の環状(又は他の代替的形状)配置により包囲してもよい。また、本願の何れかの箇所に説明したようなステープルに代えて、他のアタッチメント機構を用いてもよい。
【0052】
図43E乃至図43Iに示す第2の連続段階を用いて第2の粘着線を形成してもよい。上述のようにしてポケット408を形成した後、このポケットの両壁上にある漿膜組織領域412を、新たに形成されたトンネル(図43E参照)の周りで部分的又は全体的に被包して、被包姿勢で繋止する。例えば図43Fに示すように、漿膜組織領域412をポケット408の周りで部分的に被包して、この領域412とポケットの外壁との間の漿膜対漿膜接触を形成してもよい。この領域412は、縫合糸、ステープル、クリップ、接着剤又は何らかの適宜な手段を用いてポケットの外壁へ繋止される。最終的には、漿膜層は互いに粘着して第2の封止線を形成して、胃内容物の腹腔内への漏洩に対する保護を与える。
【0053】
図43Gは、領域412がポケット408の周りを完全に被包して、互いに及び/又はポケットを包囲する組織へ繋止されることを示す。図43Hは、補強及び/又は内部成長促進材料をポケット408を完全に又は部分的に取り囲むように配置することを示す。この材料は合成又は非合成メッシュ、多孔性材料、溝穴付材料、又は他の材料(これを通じて粘着が形成されるか若しくは組織が成長する)としてもよい。例えば、ポリプロピレン、Goretex又はDacron(共に商標)の名称の下に販売される材料、又は組織移植材料(例えばWilson Cook Medical,Incにより販売されるSurgisis材料)を含むが、これらに限定されるものではない。この材料は、生物学的製剤などの組織内成長促進物質により処理してもよい。このような材料を用いるならば、漿膜組織層の間に形成される粘着は、材料の隙間へ及び/又はこの隙間の上を通過し、組織層の間の結合を補強するのに役立つ。本明細書に説明したポケットを形成する他の方法のように、方法の段階は、保持すべきデバイスの各部品(例えば脚16)について繰り返されることが好ましい。図43Iに示すように、ポケット408をずらすことにより、孔404の一側上の切除縁410aを孔の対向側の切除縁410bに隣接させて互いに固定して、図43Iにおける領域414として示す領域における漿膜対漿膜粘着を更に促進させてもよい。
【0054】
例えばデバイス10の脚16を保持する組織ポケット形成の他の方法を図44A乃至図44Cに示す。先ず、一対の切り込み500a、500bを胃壁を通じて形成する。脚16を最上位部の切り込み500aを胃の外側へ進め、下側の切り込み500bを通じて胃へ再び挿入して、図44Bに示すように、脚16の一部分を胃の外面に対して位置するように残す。脚の自由端は、この脚が定位置から滑り出さないように、図示のように屈曲した形態を含んでもよい。次に、脚の露呈部分502の対向側にある漿膜組織領域504を脚部分502へ折り畳んで、縫合糸又は他の適宜な手段を用いて互いに粘着する。漿膜対漿膜粘着がこれらの組織504の間に形成されて、胃が封止されると共に、脚が捕捉される。
【0055】
組織面修正
図8C及び図8Dに関連して説明したように、胃内室面が適切に配置されて粘着を誘発する際には、組織面を修正して、粘膜下層、漿膜、筋層組織(粘膜組織ではない)を用いて粘着を形成することが有益であろう。図13A乃至図14Bは、この目的のために胃内室面を変えるための様々な方法を示す。
【0056】
一つの例として、単独のデバイスを用いて、表面組織の領域を修正すると共に、修正された組織表面を接合することができる。図13A及び図13Bは切除及び縫合デバイス48を示し、これは胃内室から組織層を薄く切り、組織の残りの部分へ縫合糸を通す。特に、このデバイスは、組織の隣接表面領域を修正して、修正された表面領域を引き出して、互いに接触させて粘着を促進して組織ポケットを形成することができる。
【0057】
図13Aを参照すると、デバイス48はハンドル52から延伸する細長いシャフト50を含む。ハンドル52には、当業者には公知の方法を用いて少なくとも一つの面でシャフト50を関節操作するための手段が設けられている。
【0058】
図13Bを参照すると、デバイス48の末端に凹所54が形成されている。縫合糸ルーメン56、針ルーメン58、及び切刃ルーメン60は、シャフト50を通じて延伸して、凹所へ別々に開口している。このデバイスは選択的に吸引源(図示せず)を設けてもよく、これは吸引を加えて組織を凹所54へ引き出すことを可能にする。この目的のために、凹所の内室へ露呈した複数の入口を有する第4のルーメンを設けて、これを吸引源へ接続可能としてもよい。
【0059】
縫合糸62は縫合糸ルーメン56内に配置される。縫合糸62は、その末端に縫合糸留め64を有し、これは凹所54へのルーメン56の開口に隣接して位置している。縫合針66は針ルーメン58内を摺動する。針ルーメン58と縫合糸ルーメン56とは、施術中に針66が針ルーメン58から延出して、凹所内に位置する組織を通じて縫合糸留め64に係合するように向き付けられる。以下に詳述するように、縫合針66の後続の退縮は、縫合糸留め64及び縫合糸の端部を組織を通じて針ルーメン58へ導く。
【0060】
切刃68は切刃ルーメン60内を摺動自在であり、凹所54内に位置する組織から層を薄く切る。ハンドル52(図13A)は、切刃68と針66とを共に伸張及び退縮させるアクチュエータ(図示せず)を含む。
【0061】
次にデバイス48の使用について図13C乃至図13Hを参照して説明する。
【0062】
先ず、デバイス48を内視鏡的視覚化の下に胃へ導入する。このデバイス48を目標の胃組織へ接触するように位置させて、組織を凹所54へ引き出す。このことは、組織面に対して凹所54を押し下げるか、或いは組織を凹所54へ引き出すように構成された吸引源を起動することにより達成できる。既に説明したように、また図13に示すように、組織は複数の組織層を含む。即ち、胃内面にある粘膜MUC、この粘膜MUCの下の粘膜下層SM、筋層M、及び胃外面にある漿膜Sである。凹所54の寸法及び刃68の位置は、一つ又は複数の組織層を刃68で除去するのに適量の組織が凹所54へ引き出されるように選択する。好ましい例では、粘膜MUCを粘膜下層SMが露呈するように除去するか、或いは粘膜と粘膜下層SMとの双方を筋層Mが露呈するように除去する。例示のために、粘膜MUCの除去は図13C乃至図13Fに関連して説明する。
【0063】
組織が凹所54へ引き出されると、切刃68を凹所54へ進めて(図13D)粘膜MUCを薄く切り取ることにより、粘膜下層の露呈領域E1が残る(図13E)。RFエネルギ源(図示せず)を切刃68へ電気的に接続して、切除中又は切除後に組織を凝固させて、出血を抑制し、且つ組織治癒を促進する。焼灼エネルギを用いるのであれば、接地電極をデバイスの使用中に患者に接触するように配置する。
【0064】
次に(或いは切刃68の前進と同時に)、縫合針66を組織を通じて駆動して、縫合糸留め64(図13D)に係合させ、この縫合糸留め64と縫合糸の端部とを組織を通じてデバイス48へ後退させる。この組織は凹所54から開放されて、縫合糸端部をデバイスの基端から回収して、図示のように組織に縫合糸のループを残す。
【0065】
次に、隣接する場所で処置を(好ましくはデバイス48と同一のユニットを用いるが、代替的には第2のユニットを用いて)繰り返して、粘膜下層の第2の露呈パッチE2を形成して、図13Fに示すように組織を通じて第2の縫合糸70を配置する。粘膜下層組織の露呈パッチE1及びE2を、例えば縫合糸62,70を引っ張ることにより、互いに接触させて組織ポケット72を形成する(図13G)。縫合糸を互いに繋止させて、露出パッチの間に接触を保持する。
【0066】
最終的に、露呈した粘膜下層(又は筋層)表面は互いに粘着して、強い組織粘着を形成し、これは胃内に組織ポケットを保持する。図13Gに示すように、胃内室とポケット72の内室との双方は正常な粘膜MUCに囲まれて留まる。
【0067】
図13Hを参照すると、インプラント10の脚部材16は組織ポケット72内に固定されている。これは後日に実行することにより、組織がインプラントによる負荷を受ける前に組織粘着を生じさせるようにする。組織ポケット72は、着色料又は他のマーカーを用いて、インプラント10を何時固定したかを容易に識別できるようにしてもよい。
【0068】
脚部材16の長さによっては、このようなポケット72は一つか二つのみが脚部材16の保持のために必要となるであろうし、或いは各脚部材を図示のように細長い配列の複数のポケット72により保持できるであろう。
【0069】
対向組織面の間の組織粘着の最適化を達成するように組織表面を修正するためには、他の技術を使用してもよい。図14Aを参照すると、図13Bの切刃68の実施例は、RFループスネアー(RF loop snare)74に置き換えてもよい。使用中には、ループスネアは、組織が凹所54へ引き出された際に組織がループを通るように向き付けられる。組織が凹所内に位置したならば、スネアー(これはRFエネルギーで印加される)を基端方向に退縮させて、目標の組織層を薄く切り取る。
【0070】
他の代替例を図14Bに示し、ここでは切刃は、凹所内に配置されたRF電極板76に置き換えてある。凹所54へ引き出された組織は、電極版76に接触するように引き出されて焼灼される。
【0071】
組織ポケット内のインプラントの配置
図15A及び図15Bは、デバイス48で形成された形式のポケットを用いてインプラント10を固定するための一つの方法を示す。図15Aを参照すると、中空案内シース78は、患者の口を経て食道を通る。インプラント10は、各脚16に及び必要とあればインプラント本体18に個々に取り付けられた複数のマンドレル80を用いて、流線型姿勢で案内シースを通過して胃へ至る。これらマンドレル80は、胃内の所望の位置への脚の操作を可能とするように操縦できることが好ましい。インプラント10が胃へ入った後は、インプラントはその拡張姿勢へ拡げることが可能となるか、若しくはその拡張姿勢へ拡がる。内視鏡82を案内シース78を通じて胃へ通す。
【0072】
次に腹腔鏡的切開を腹腔へ形成し、トロカール84を切開内に配置して、腹腔を問う業者には公知の処置を用いて吹送する。縫合デバイス48(或いは腹腔鏡ステープラー又はクリップアプライヤーなどの他の形式のデバイス)をトロカール84を介して、且つ内視鏡視覚化を用いて、デバイス脚部材16の周りの襞組織ポケットへ通す。この腹腔鏡的処置を各脚部材16について繰り返す。勿論、切開外科的処置を腹腔鏡的処置の代わりに実行してもよい。侵襲性の少ない処置では、縫合デバイス48は、外科的又は腹腔鏡的切開によるのではなく、食道を通じて胃へ導入してもよい。
【0073】
既に説明したように、インプラントを導入する前に組織ポケット72を形成することが好ましい。前置形成された組織ポケット72は、図13D乃至図13Gに関連して説明したように、或いは代替的な方法を用いて、襞状にできる。
【0074】
脚16を組織ポケット72へ送る一つの方法を図16A及び図16Bに示す。インプラント10の導入準備において、複数の案内ワイア86の末端を食道を通じて胃へ下降させる。この案内ワイアの本数はインプラント10における脚16の数に整合するように選択する。
【0075】
連接内視鏡的把持器88を食道を通じて胃へ通し、その末端が組織ポケット72の基端から出るまで、組織ポケットの末端へ送り込む。把持器88を案内ワイアの一本に係合させ、この案内ワイアを組織ポケットを介して引っ張ることにより、この案内ワイアの末端をポケットの末端から延出させる。この処置を各案内ワイアについて繰り返す。身体の外ででは、インプラント10の各脚16を一本ずつの案内ワイアの基端へ取り付ける。次いで把持器88を案内ワイア86の末端に係合させて、案内ワイア86の末端102を身体の外へ引き出すことにより、インプラントを食道を通じて胃へ向って牽引する。インプラント10が胃へ到達したら、案内ワイア86の末端を個々に操作して、各脚16を対応する一つの組織ポケット72へ別々に引き込む。
【0076】
組織ポケットを用いるインプラントの繋止について、インプラント10に関して説明したが、他の形式のインプラントについても、一つ又は複数の組織ポケットを用いて保持できることに留意されたい。例えば、薬物溶出カプセルを組織ポケット内に配置してもよく、或いは、薬物溶出デバイスが、組織ポケット内に保持される一つ又は複数の繋止部材に取り付けられたカプセルを含んでもよい。同様な配置構成は、上述した形式の診断又は治療インプラントの他の形態について構成してもよい。
【0077】
代替的方法
図17乃至図24、及び図34乃至図36Fは胃壁をインプラントの保持促進のために整形できる代替的な方法を示す。
【0078】
図17に示す構成は、インプラント又は身体組織の間の縫合或いは他の物理的な取り付けを伴わずに使用できるという点で有益である。しかしながら、この構成は、部分的に厚みのある縫合又は繋止部材(これは壁厚の一部分のみが通過する)、或いは胃食道接合領域、食道、又は胃の壁の全厚に亘って浸通する「全厚」縫合又は繋止部材と共に用いることもできる。
【0079】
図17を参照すると、胃内に配置可能な要素は、くびれ区画92を有する砂時計形状ライナー90と、ライナー90内に配置可能なポーチ2のようなインプラントとを含む。好ましくは、ライナー90の輪郭は、図示のようにポーチ2の基端部分の輪郭を描いている。このライナー90は、ポーチ2の胃内の上下移動を制限するように充分に剛である。
【0080】
リング94を砂時計形状ライナー90のくびれ部分を取り囲む体壁の外表面に配置することにより、身体壁組織をライナー90の砂時計形状に適合させて、図示のように狭窄を形成することにより胃の形を変える。必要とあれば、リング94は、部分的厚縫合又は全厚縫合、鉤、クリップ等を用いて所定位置へ固定してもよい。このリング94は図31Gに関連して以下に説明するようにカラー56と同様な特徴を有してもよい。
【0081】
リング94、ライナー90、及びポーチ2の相対位置は、リングがライナー90を所定位置に保持し、次いでライナーがポーチ2を所定位置に保持するようにしてある。選択的な装着スタッド96をポーチ2へ接続し、部分的厚縫合又は全厚縫合を用いてライナー90を通じて身体壁へ縫合する。この種のスタッドの更なる詳細について、図29A乃至図29Fに関連して説明する。このライナー90は胃の粘膜内層を糜爛から保護し、ライナー90とリング94との双方は、それら自体の表面により引き起こされる組織糜爛を防止/最小化するように、それら自体が充分に柔軟である。
【0082】
図17の配置構成の選択的な特徴として、ライナー90から末端方向に延出する胃底要素98を含む。この胃底要素98は摂取された食物に晒される胃底の領域を低減させる機能を果たす。時間を経ると、胃底要素の存在は胃内の細胞にグーレリン、空腹の感覚を起すホルモンの生成を減少させる。従って、患者が経験する空腹感の全体的な度合いが低減するので、患者の体重減少をもたらし得る。胃底要素と周囲組織との間の接触は、患者に満腹感を経験させることにより体重減量に付加的に貢献する。
【0083】
図17の構成の他の付加的な特徴は、基端シュート100を含み、これはポーチ2を食道へ延出する。これはリング94の上の領域における胃の拡張を制限するので、患者による過食に対して付加的な制限を与える。
【0084】
図18に示す他の構成は、図17の構成に類似するが、リング94の上下の組織の間に延在する縫合を加えて、組織に襞104を形成してリングを所定位置に保持している。この襞104は、リングの上下の組織を把持することにより形成されて、組織の把持された束を纏めて縫合することにより形成される(図12A及び図12B並びにそれらに関連する説明を参照)。明らかに、この実施例及び既に説明した実施例において、ステープル又はクリップを縫合の所定位置へ用いることができる。綿撒糸又は繋止部材106は、以下に説明するような形式としてもよく、縫合糸の自由端へ取り付けて、それらが組織を通じて摺動することを防止してもよい。時間が経ると、漿膜及び/又は粘膜組織層は、符合108で示す領域で襞が共に粘着する結果として、互いに接触するので、襞の強度が増大する。上述した形式の組織の薄い切除、焼灼、剥離等を付加的に用いて、最適な組織粘着を保証するようにしてもよい。この実施例は、リング94を省くことにより、或いは単純に襞を用いて胃内に砂時計形状ライナー90及びポーチ2を保持する狭細部分を形成することにより変更してもよい。
【0085】
図19は、図18の構成の変形例を示し、ここでは全ての要素を内視鏡的に移植することにより、腹腔鏡的又は外科的段階についての必要性をなくしている。図19の実施例において、リング94を胃内に保持して、図示のように砂時計形状ライナー90及びポーチ2を取り囲む。襞104は胃の中から施される縫合糸(又はクリップ、ステープル等)を用いて形成し、図示のようにリング94を保持する。図18及び図19の実施例においては生体吸収性縫合糸を用いてもよく、この場合、襞を横断して生じる粘着が生じたならば、この縫合糸は身体により吸収されて、身体組織のみにより補足されたリング94が残る。図17乃至図19の構成の各々において、リング94は胃の機能若しくは摂食の挙動に影響するように寸法付けられているが、望ましくは、リング94はそのような影響を持たないように寸法付けることにより、ポーチ2が施術者により取り除かれた際には、リング94が患者の通常の摂食に干渉することなく所定位置に残るようにする。
【0086】
図20Aは胃を見降して見た上部斜視図である。この図はリング94の保持に用いられた襞104を示す。複数の襞104は、図示のようにリング94の周囲に互いに離隔して配置できる。図20Bは、縫合糸は縫合線102aで示すように組織の内粘膜層のみに挿通してもよく、或いは縫合線102bで示すように内粘膜及び外部漿膜層に挿通させてもよいことを示している。
【0087】
図18及び図19に関連して説明したように、リング94は制限デバイス及び/又は関連する構成要素(例えばライナー90)を胃内の移動に抗して保持する目的で胃を「形付ける」ために用いられる。図20Cに示す他の例のように、リング94aはよりディスク状にして、襞組織のみならず、一体的又は取り外し自在な制限オリフィス114を受け入れる窓110を含めるようにしてもよい。ングの外径は、この外径と周囲組織との間の大量の食物通過を充分に防止できるように、周囲組織に対して封止することが好ましい。
【0088】
このリング94は、縫合糸、クリップ等を用いてインプランを取り付けることができる繋止部材としての役割もなせる。図20Dに示す他の代替例においては、バー116(又はフック、個々のリング、フック、ボタン、バー等)を組織襞104を用いて支持して、その処置と同一又は後続の処置の間に制限デバイスをそれに取り付けてもよい。これらの各実施例では、インプラントは主として組織襞により支持されているので、インプラントを組織へ接合するための縫合糸又はクリップに対する依存度は最小化若しくは全く無くすことができる。これは即ちインプラントを胃内の所定位置へ保持するのに要する時間を削減できるということである。
【0089】
図21A及び図21Bは、襞104は、リング、バー又は他の構成要素を伴うことなく、組織に折り曲げ部を形成して、この折り曲げ部へ縫合糸を通すことにより単純に形成してもよいことを示している。綿撒糸118は、組織から滑り出すことがないように、縫合糸102の端部へ接続してもよい。例えば図18及び図19に示したのと同様な構成により、襞104は、図示の如く胃がライナー90を支持するように胃を「形付ける」ために用いられる。
【0090】
図22A乃至図24は付加的な構成を示し、ここではインプラントの保持を促進するためにリング又はバンドが用いられる。図22Aの配置構成では、リング94又は拘束バンドをインプラント2aの上下に配置して、胃内のデバイスの基端及び末端方向移動を防止する「止め部」を与えている。インプラント2bの下にリング94のみを用いる同様な構成を図22Bに示す。第3の代替例として、リング94は省いて、その代わりに襞をインプラントの上下(又は下方のみ)で組織に形成して、インプラントの移動を防ぐようにしてもよい。
【0091】
図23においては、リング94又はバンドを再びインプラントの下に配置して、インプラントの末端方向移動に対する停止部を形成している。この構成におけるインプラント2cは、リング94上の領域で自由に浮遊する膨張自在若しくは自己膨張型バルーン120の形態を採ってもよい。このバルーン120は胃食道接合領域の大きな割合を占めているので、矢印で示すように食物が通過できるのは外バルーンと周囲身体組織との間の空間のみとすることにより、摂取される食物を制限している。
【0092】
図24は図22Bの実施例の他の変形例を示し、ここではリング94が複数の磁性要素を含み、これら磁性要素はインプラント2dの基端にある限りは同一の極性を有する。従って、インプラント2dとリング94との間の斥力はインプラント2dの末端移動を防止する。
【0093】
図25は、インプラントデバイスを後刻に取り付けることができるフレームワークを胃内に形成するように意図された構成要素の配置を示す。その構成要素は、胃の内壁の周囲に配置可能なメッシュバンド122を含んでいる。内側綿撒糸124はメッシュバンド122の内壁に沿って離間されている。外側綿撒糸126は胃の外壁に沿って離間されている。綿撒糸124,126は縫合糸128によりメッシュバンドへ接続されている。時間が経ると、メッシュバンドは壁組織へ移動する。外側綿撒糸126はメッシュバンドが壁組織を通じて完全に移動することを防止し、一方、内側綿撒糸124は、メッシュバンドが内側へ移動して胃内室の壁組織から離れることを防止する。最終的に、メッシュバンドは壁組織内に包み込まれて丈夫な構造体を形成し、ここにはポーチ2などのインプラントを縫合糸、クリップ又は他のデバイスを用いて取り付けることができる。
【0094】
図34A及び図35Aは、胃壁組織を整形し、この整形組織に対してインプラントを着座させる実施例を示す。図34Aに示すように、胃壁を整形して、食道Eから胃Sへ延伸するトンネル220を形成してもよい。このトンネル220は、線222に沿って組織を縫合/ステープリングすることにより内視鏡的又は外科的に形成できる。図34Aに示すように、制限デバイス224は、整形壁組織から形成された組織トンネル220内に配置可能な膨張自在ステント状構造を含んでもよい。
【0095】
図35Aを参照すると、代替的な整形方法は、胃へ延伸してインプラントを着座させることができる場所を形成するように一つ以上の縫合/ステープル線226を形成することを含む。例えば、制限ポーチ228又は閉塞胃バルーン230をその形成された場所に着座させることにより、整形壁組織がインプラントの腸管食道管への下降を防止する。図34A及び図35Aの実施例において、縫合/ステープル線に沿う組織面は最終的には互いに粘着する。所望とあれば、この縫合/ステープル線の向き付けは、整形組織が、患者の摂食を減らすためのインプラントを支持するプラットホームを与え、インプラントを取り除けば、整形組織に起因する制限を経験することなく人間が摂食できるように選択する。
【0096】
図36A乃至図36Fは胃壁をインプラントの保持のために整形する他の実施例を示す。この方法によれば、組織の周方向隆起を胃内壁の周辺、例えば胃食道接合領域に形成して、この周方向隆起をインプラントの保持に用いてもよい。図36Bを参照すると、漿膜襞は、内視鏡的把持器240、フック、叉状器具、又は同様なデバイスを用いて胃内室の領域を係合させることにより形成される。係合した壁領域を内側へ引っ張ることにより、外側漿膜組織の区画が引き出されて互いに接触して漿膜対漿膜襞242(図36D)を形成する。内視鏡器具により係合された襞によれば、縫合糸243、ステープラー又は他のファスナーを図36Bに示すように襞242に挿通して、襞を保持する。複数の襞242を胃の内周に形成することにより、胃壁を包囲する襞組織の周方向隆起244(図36E)を形成する。時間が経ると、対向漿膜層は粘着を形成する。次いで制限インプラント246を図36Fに示すように隆起244の近傍で胃内に配置する。
【0097】
一つの実施形態によれば周方向隆起は物理的遮蔽体として働き、これは、図22Bにおけるリング94により整形された壁で移動を防止するのと同様な方式で、インプラントの胃基部からの移動を防止する。これに代えてインプラントは、図36Fに示すように縫合糸248、ステープル又はクリップを用いて隆起244へ物理的に接合してもよい。これは次のように実行できる。即ち、内視鏡的器具を用いて隆起244を把持して、隆起244を食道の方向へ引き出し、インプラント246を隆起244と接触するように進めつつ、隆起を内視鏡的器具により保持すると共に、縫合糸/ステープル等をインプラント及び隆起244に挿通させる。本願の何れかの箇所で説明したように、広い表面領域に亘って力を分散させる目的で、綿撒糸250を図示のように用いてもよい。
【0098】
インプラント246の取り付けは、周方向隆起を形成するのと同一の処置中に実行してもよく、或いは、後日に、即ち隆起がインプラントにより及ぼされる応力を受ける前に粘着を形成させてから実行してもよい。
【0099】
図37A乃至図37Dは、周方向隆起を形成する壁組織の漿膜対漿膜襞を用いると共に、この隆起へインプラントを固定するための僅かに変形された方法を示す。図37A及び図37Bを参照すると、組織は、又状部材241を含む内視鏡的器具240aを用いて襞状にされている。襞を形成するためには、叉状部材241を用いて胃壁組織を基端方向へ引っ張りながら、縫合針243又は他の締結器具を末端方向へ進めて、縫合糸、t字状バー、リベット又は他の締結部材を図37Bに示す如く襞組織へ下向きに駆り出す。力を消散させる要素(例えば綿撒糸)を組織面に対して力を消散させるように用いてもよい。
【0100】
図37Cを参照すると、このような襞を壁の周辺に幾つか(例えば2乃至4)形成して周方向隆起244a(図37C)を形成している。
【0101】
インプラントの導入は襞の形成の直後に実行してもよく、或いは対向する組織の上述のような粘着後の後日に実行してもよい。インプラントを導入する一つの方法においては、フック状末端を有する複数のワイア252をシース254に挿通させて、周方向隆起244aを引っ掛けるために用いる。複数の小孔(図示せず)を有するインプラント246aは、その小孔の各々を対応する一本のワイア252に嵌めこむことにより、これらワイア上を滑動する。このインプラント246aは圧縮されてシース254へ通されて、このシースを通じて進んで隆起244aに接触し、その間にはワイア252上の張力を保持する。このインプラント246aは、図36Fに関連して説明したように縫合糸、t字状バー叉は他の締結部材を用いて隆起244aへ物理的に接続してもよい。この段階はワイア252上に張力を連続的に加えることにより実行してもよい。図37Dに示すように、かくしてインプラント246aの一部は隆起に対して図37に示すように着座して置かれる。
【0102】
様々な形式のインプラントをこの方法を用いて本願で説明した他の方法のように保持することができるが、図37Dに示すインプラント246aは、図4Aのインプラント10a上に見られるリング18aと同様なリング247を用いている。リングを利用する他の実施例のように、リングはそれ自体で制限デバイスとして働くが、制限デバイスをリングと組み合わせて用いてもよい。例えば、制限デバイスはリング247に対して、取り付けてもよく、懸架させてもよく、着座させてもよく、或いは挿入させてもよい。
【0103】
リング247は、ポーチ2に関連して上述した任意の材料から形成してもよく、これはシリコン、ポリウレタン、叉は様々な種類のポリマーの一つを含む。環状バンドからなる補強要素をリング247を通じて延在させてもよく、これはステンレス鋼、ポリマー、形状記憶材料(例えばニチノール、形状記憶合金、叉は形状記憶ポリマー)からなる。このリングは自己膨張性に構成して、展開シースから排出されると、径方向にばね状に開いて拡張状態になるようにしてもよい。これに代えて、このリングは膨張媒体、例えばガス、液体(例えば食塩水)を用いるか、光化学的又は熱可塑性ポリマーを用いて膨張自在としてもよい。他の代替例として、リングは、耐用寿命を過ぎると体内で分解又は腐蝕する材料から形成してもよい。
【0104】
このリング247は図37Eに示すように環状溝258を有するエプロン256を含んでもよい。リングについては様々な材料を用いてもよく、これはPET、ナイロン、或いは本明細書で説明した他の材料のうちの任意の材料を含む。上述したポーチ2と同様な特性を有する制限挿入体260は図示のようにリング247へ挿入可能である。制限挿入体260は制限開口を有し、これは挿入体を通じて胃へ通過する食物の速度を緩慢にするように寸法付けられている。制限挿入体を選択することができるので、施術者には、特定の患者に対してどの程度の制限を用いるかについての選択が与えられる。
【0105】
挿入体260はリム262を含み、これは溝258にスナップ係合してリング及び挿入体を係合させる。図37Fは胃へ向って食道を見降ろした図であって、襞244に対して配置されたインプラント246aを示す。図37Gは同様な図であって、挿入体260がインプラント246aへ取り付けられた後のインプラント246aを示す。
【0106】
この形式のインプラントを用いる一つの方法においては、施術者がリング247をインプラントした後、患者がインプラントの存在になじむ数日が経過するまで、挿入体260の配置を遅らせてもよい。後に、挿入体260を内視鏡的に食道を通じて胃へ下降させて、所定位置にスナップ係合させることができる。後日、施術者は挿入体260を取り除いて、これを患者の必要性に応じて、より制限的なもの(即ち、より小さな出口オリフィスを有するもの)、或いは制限が少ない挿入体(即ち大きな出口オリフィスを有するもの)に交換することを選択できる。所望とあれば挿入体は、耐用寿命が経過した後に分解又は腐蝕する材料から形成することにより、この挿入体を取り除く必要性を無くしてもよい。
【0107】
外部補強
本明細書に説明した幾つかの構成要素は外部補強デバイスとして働く。図2Bについて説明したように、ポーチ2のようなインプラントは、全厚縫合糸8aをポーチ2から隣接する胃組織を挿通させてポーチに戻すことにより、所定位置に縫合又はクリップ留めできる。しかしながら、或る患者には、壁の外面に位置する外部補強デバイスに縫合糸8aを挿通させることにより、縫合糸を「補強」することが望ましいこともあろう。このような形式の外部補強デバイスの幾つかついては上述した。
【0108】
外部補強デバイスの例は、綿撒糸130(図26A)、又はt字状バー132(図26B)を含み、その各々は、広い表面領域に亘って縫合糸に対して及ぼされる力を分散させる。綿撒糸又はt字状バーは、全く大きくてもよく(例えば10乃至30mm径)、或いは非常に小さくてもよく(例えば1乃至2mm径)、これは特定の用途に応じて定められる。綿撒糸又はt字状バーに適する材料は、シリコン、フェルト、及び/又はポーチを構成するのに用いるために上記に列挙した材料を含む。Tバーは縫合糸端部に圧接された金属バーから形成してもよい。
【0109】
綿撒糸130の移植処置の間、ポーチ2(図2)のようなインプラントを内視鏡的に胃へ導入しつつ、綿撒糸を腹腔鏡的又は外科的処置により胃の外面に接触するように配置してもよい。縫合糸は胃内から胃壁を挿通させ、綿撒糸を挿通させて、胃の内室へ戻す。所望とあれば、これは二つの手順で実行してもよい。例えば第1の腹腔鏡的処置では綿撒糸を腹腔鏡的に胃の外壁上に縫い付け、第2の内視鏡的処置ではインプラントを食道を通じて胃へ挿通させて、ここで縫合糸をインプラント、胃壁、及び綿撒糸の間へ挿通する。
【0110】
tバーの移植処置の間、tバーが取り付けられている縫合糸の端部を内視鏡的処置により胃の外壁に隣接して位置させて、その自由端を胃壁及び内側に位置するインプラント壁を通じて縫合する。
【0111】
図27Aは代替的な外部補強デバイスを示し、これは「モリ ボルト(moly bolt)」型ファスナー134の形態を採り、このファスナー134は内視鏡的処置により食道を通じて胃へ導入できる。図27Bを参照すると、移植処置の間、インプラント(例えばポーチ2)を胃に対して位置させ、ファスナー134をインプラントの内室からインプラント壁を通じて胃壁に挿通させる。各ファスナー134は、その末端部分136に取り付けられた内部ワイア又は紐(図示せず)を含む。ファスナー134の末端部分136は、それらのワイア又は紐を引っ張ることにより、図27Cに示す姿勢へ拡張することにより、ファスナー134を所定位置へ繋止する。
【0112】
外部補強デバイスの他の形式を図28A乃至図28Cに示す。図28Aの実施例において、膨張自在バルーン138は胃内室からインプラント及び胃壁を(モリ ボルト型ファスナーについて図27Bに示したのと同様な方式で)挿通してから膨らんで、この膨張したバルーンが胃の内面に留まる。
【0113】
図28B及び図28Cは図26Aに関して説明した綿撒糸に対する代替例を示す。図26Aの綿撒糸のように、図28B及び図28Cの綿撒糸は胃の外壁上に位置し、縫合糸は綿撒糸を通じてインプラントを胃壁に取り付ける。図28Bに示すように、綿撒糸130aには粗い面を持たせて、それらが胃壁の縫合開口を通じて滑動することを防いでもよい。図28Cは、綿撒糸130bをメッシュ、又は細胞内成長を促進することが知られる他の材料から形成することにより、時間が経ると胃壁組織が綿撒糸へ成長して繋止を増強することを示している。
【0114】
綿撒糸130に対する他の代替例として、胃の外面上にゲル滴を射出することにより、ここで綿撒糸を形成してもよく、そのゲルは組織面上で凝固する形式である。このゲルは、胃壁に胃の外側から進入する内視鏡的処置により導入してもよく、或いは、胃内室から胃壁を挿通する針を用いてゲルを射出する内視鏡的処置により供給してもよい。ゲルが綿撒糸に硬化したならば、胃壁を挿通する縫合糸、クリップ等を用いて、インプラントを硬化ゲル綿撒糸へ繋止できる。他の代替例として、ゲルを胃壁組織の漿膜と粘膜層との間に射出して、胃壁内にゲル綿撒糸を形成してもよい。
【0115】
勿論、上述の外部補強デバイスは、胃内室に配置されたインプラントに対して何らかの方法で接続せねばならない。図29Aは胃内のインプラントへ取り付け得る「スタッド」型ファスナー96を示しており、これは外部補強デバイス(図29Aには図示しない)にも接続される。ファスナー96は、ピン144を有する第1のボタン142と、そのピン144を受け入れる孔を有する第2のボタン146とを含む。図29Bに示すように、ピン144をインプラント(例えばポーチ2)の壁に挿通して、一方のボタン142をインプラントの外面におき、他方のボタン146をポーチの外面におく。次いでファスナー96を外部補強デバイス、例えば図示のように胃の外壁上に位置する綿撒糸130などに接続する。
【0116】
図29B乃至図31Fに示すように、ファスナー96を綿撒糸130へ接続するのに様々なデバイスを用いてもよい。インプラントは図29Bに示すのみであるが、図29C乃至図29Fにおいても、当然にインプラントを(例えば図29Bに示す方式で)ファスナーへ取り付けることに留意されたい。
【0117】
図29Bを参照すると、縫合糸148は胃壁を通じて縫い付けて、適宜な手段を用いてファスナー96と綿撒糸130との両方へ取り付けてもよい。例えば、縫合糸148をファスナー96へ固定するためには、縫合糸をピン144へ結ぶか、或いはボタン142における開口を通じてピン144における孔へ糸通しして、その中に縫合糸を固定するようにピン144を圧接してもよい。この目的のために様々な形式の縫合糸を使用でき、これは例えばモノフィラメント、組み紐縫合糸、コットン、シルク又は生体吸収性縫合糸である。ファスナー96と綿撒糸130との間の縫合糸の長さ部分には、高張力をかけてもよく、張力を緩くしてもよい。図29Cを参照すると、縫合糸に張力を保つことが望ましいならば、綿撒糸130とファスナー96とは同一の極性に磁化し、矢印で示されるような互いに相手に向かう移動に対して抗するようにすることにより、縫合糸の張力が保持される。代替的に、図29Dに示すように、綿撒糸130とファスナー96とを反対極性に磁化して、これらの間の磁力が綿撒糸、インプラント及びファスナーを胃組織に対して共に保持するようにしてもよい。この実施例は、綿撒糸130とファスナー96との間に延在する剛性ポスト(例えばステンレス鋼、ニチノール、プラスチック)を利用して、組織を綿撒糸130とファスナー96との間の圧縮から保護できる。他の代替例として、磁化の使用を伴うことなく、剛性ポスト150は綿撒糸130とファスナー96との間の接続を与え得る。図29E及び図29Fに示すように、綿撒糸138とファスナー96との間の物理的な接続体は、組織内成長を促進する材料、例えばニチノール、ステンレス鋼、ポリマー、又は生体吸収材料から形成されたチェーン152a又はメッシュ152bから形成してもよい。
【0118】
図30Aを参照すると、外部補強部材は代替的に自己均衡繋止部材により与えてもよい。これは、胃壁を通じて延在する縫合糸148により接続された一対のバルーン綿撒糸154a,154bの形態を採ってもよく、その一方のバルーン154aを胃内に、且つ他方のバルーン154bを胃の外側に配置する。縫合糸は好ましくは各バルーンの内室を通じて延在させ、隣接する胃壁から最も遠い点でバルーンに取り付ける。インプラント(図示せず)は胃内に配置したバルーン154aに隣接する縫合糸に接続されている。図30Bに示されるように、一対のバルーンの寸法付けは、力が一方のバルーン154aを胃壁から引き離す方向に引く際(例えばインプラントが食物の圧力に応じて内側に引っ張る際)に、他方のバルーンが圧縮されて壁に対して平たくされることにより、有効綿撒糸寸法を増大させて、力が広い領域に亘って分散させるようにする。バルーン綿撒糸は、他の弾性構造体、例えば3次元メッシュ、ステント状フレーム構造体、変形可能エラストマー、又は力を受けたときに変形するが、その力の解放に伴い初期形状を取り戻す他の構造体に置き換えてもよい。
【0119】
カラー
外部補強デバイスの他の形態は胃の外面を取り囲む外部カラーである。図31乃至図31Iは様々なカラー形態を示す。これらの構成の幾つかは、インプラントを綿撒糸型デバイスに接続するために図29B乃至図29Fに示したものを含めて、縫合糸又は他の接続方法を用いてインプラントを物理的に接続することを意図している。これらの接続は、図29Aのスタッドファスナーの有無によらずになせる。インプラントへ接続されると、カラーは綿撒糸130のような働きをなして、インプラントの周りの力の均一な分散を促進する。このカラーと綿撒糸とは、カラーが胃外壁を取り囲み、且つカラーの外面上の綿撒糸が、カラー及び胃壁を挿通する縫合糸を用いてデバイスへ接続されるように組み合わせてもよい。この形態では、カラーが力の分散に役立ち、且つ綿撒糸による胃壁の糜爛を防止する。
【0120】
他の形態については、カラーは、インプラントへは物理的に接続されないが、デバイスの移動を規制するように配置することも可能である。
【0121】
図31A乃至図31Fの実施例は、繋止点156へ繋止されたインプラントデバイスを持つように設計されている。このカラーは、任意の一つの繋止点に大きな力を構築するのではなく、より均一に力を分散させるように可撓になるように意図されている。図31Aの実施例において、カラー158の可撓性は、そのブリーツ付構造からもたらされる。胃の中のインプラント2は、カラーに対して符号158で示される位置で繋止点156へ取り付けられる。図31Bのカラー160はコイルスプリングから形成されている。これらの実施例の両方においては、カラーの可撓性は、繋止点156を胃と共に移動させることを可能とするのであって、そのような胃の移動が生じる際に繋止点に力を構築するものではない。
【0122】
同様な特性は図31C乃至図31Eの実施例に見出せる。図31Cの実施例において、カラー162はステンレス鋼、ポリマー、又は多方向に可撓性を有するニチノールメッシュから形成される。図31Eのカラー164は、その薄い可撓性ポリマーシートの使用に起因して、多方向に伸縮させる能力もある。図31Fの実施例において、カラー166は弾性部材170に取り付けられた複数の個別綿撒糸168を含む。図31Dは、入れ子式要素174a、174bから形成された膨張自在カラー172を示す。スプリング部材176を要素174aに接続して、カラーを膨張させて胃へ接触させる。
【0123】
図31G、図31H及び図31Iを参照すると、カラーは単純な円形又は長円形状リングとすることができる。これは図31Gのカラー178のような環状、或いは図31Hのカラー180のように胃の外壁のテーパー形状に整合するテーパー形状を持たせてもよい。このカラーは剛でも可撓でもよい。代替的に、図31Iを参照すると、カラー182は可撓であるが、カラーの剛性を増大するように起動し得る張力ケーブルを含んでいる。これらの実施例によれば、インプラントへ取り付けられた縫合糸を胃壁を通じて縫い付けてカラーへ取り付けるか、或いは、カラーをインプラントから物理的に離隔して留めるが、図17に関連して詳述したようにインプラントの位置を保持するように働かせるようにしてもよい。
【0124】
図32Aは胃外壁を包囲するカラー178の正面断面図を示す。図示のように、カラー178には組織の損傷を最小化するようにD字状断面を持たせてもよい。
【0125】
カラーは胃の周りを被包するように意図されているので、その設計は、細長い形態で胃洞へ導入してから、胃の周りのループを形成するように取り付けられた自由端を持たせるようにせねばならない。図32Bに示すように、カラー178は一端にスロット184を、反対側端にタブ186を含んでもよい。タブ186はカラーをループ状に形成するようにスロット内で係合可能である。タブ186上に隆起したボタン188はスロット内の凹所190にスナップ嵌合して、カラーを閉止ループに係止する。カラーの寸法は、タブ186をスロットへ挿入する前に所望の寸法に切断することにより、予め選択できる。
【0126】
代替的に図32Cに示すように、カラー178はスリーブ192を含んでもよく、これは矢印に示すようにカラー上を摺動して、カラー178が胃の周りに位置したときに、カラーの端部を共に保持する。
【0127】
代替的な制限デバイス
ポーチ2の可撓な性質は、胃の運動に応答してポーチを移動させるので、ポーチを所定位置に保持する縫合糸又は繋止具に加わる応力は小さいか若しくは皆無である。これはインプラントが胃壁から離脱する可能性を最小化させる点で望ましいと考えられる。他の制限デバイス及びそれを保持する方法を図20C、図22A、図22B、図23、及び図24に示す。
【0128】
図33A乃至図33Dは、離脱の虞を最小化させる代替的な特徴を有する制限デバイスを示す。これらのデバイスは、本願に説明した様々な取り付けデバイスの有無によらずに使用できる。
【0129】
図33Aは剛性リング194を示し、これは胃食道接合領域内に配置可能であり、縫合糸又はポーチ2について説明したのと同様な他の手段を用いて取り付けられる。リング194は内視鏡的挿入のためには可撓にして、後続の移植処置中には(例えば取り外し自在膨張チューブを用いて高圧で膨張させることにより)剛性リングに転換自在になるようにして、胃の運動を規制する。このような胃の運動の規制は、縫合糸又は繋止具に加わる応力を最小化させるので、ひいては離脱の虞を低減させる。
【0130】
リング194は食物が通過する流通制限オリフィスを含む。所望とあれば、リング194は、オリフィス196を包囲する円周領域を含んでもよく、これは独立に膨張又は収縮自在であるので、オリフィス出口の径を調整する。
【0131】
図33Bは代替的な制限デバイス198を示し、これはテーパー状形態を有するので、胃によりデバイスに対して加えられた力(矢印で示す)及びデバイス198内のテーパー状通路200を食物が通過することにより加えられた力がデバイスを胃食道接合領域内により緊密に着座させる。他の実施例におけるように、デバイス198を胃壁へ取り付けるために縫合糸、繋止具、クリップ、接着剤等を使用してもよい。
【0132】
図33Cは繋止点204の間にプリーツを付けた制限デバイス202を示す。プリーツは、デバイス202がそれに対する力に応答して拡大することにより、繋止点における応力を最小化させることを可能とする。他の制限デバイスのように、デバイス202は制限オリフィス206を含む。
【0133】
図33Dの制限デバイス208は複数の個別の部材210から形成されており、その各々の部材は、縫合糸、クリップ又は同様なものを用いて、繋止点212において胃食道接合領域の組織へ個別に取り付け可能である。これら個別の部材210は、共同で胃食道接合領域における制限体を形成することにより、患者により摂取される食物をできる限り少なくする。その制限量は、部材210の寸法を削減することにより低減できる。この個別の部材210は互いに物理的に離れているので、胃の運動は繋止具に加える応力は少ないか若しくは皆無である。
【0134】
組織強度を増大させる組織修正
所望とあれば、胃、食道、又は胃食道接合の組織は、機械的研削、RF焼灼/凝固、レーザー焼灼、又は化学的剥離などの技術を用いて処置することができ、これは例えば瘢痕組織の層を形成することにより組織を強化することができる。シアノアクリレートコーティング又は内成長抑制剤を組織に施すことにより、組織を強化してもよい。これらの形態の組織修正は、インプラントデバイスが縫合糸、ステープル等を用いて組織へ物理的に接続される実施例に用いてもよく、或いは、そのような物理的接続は無いが、組織強度の強化が糜爛の防止のために望ましい実施例に用いてもよい。
【0135】
組織粘着の強化
上述の実施例の多くは、対向する組織層の間の組織粘着の形成に依存している。図38を参照すると、強化パッチ300を組織層(例えば図示のように漿膜層、或いはそれに代えて粘膜層)の間に配置してもよい。このパッチは、組織内成長を促進する付着物(scaffolding)として働き、及び/又は形成される粘着を強化するように働く。
【0136】
このパッチは、合成又は非合成メッシュ、多孔性材料、溝付き材料、或いは任意の他の材料(それを通じて粘着が形成されるか、又はその上で組織が成長する材料)とすることができる。例として以下を含むが、これらに限定されるものではない。即ち、ポリプロピレン、Goretex又はDracronの商標名の下に販売される材料、Wilson Cook Medical,Incにより販売されるSurgisis材料などの組織移植材料である。この材料は生物製剤のような組織内成長促進物質で処理してもよい。縫合糸(これは生体吸収性としてもよい)、綿撒糸、t字状バー、又は他の締結手段を用いて、少なくとも組織層が共に粘着結合するまで、組織層を纏めて保持する。最終的には、粘着が組織層の間(及びパッチ内及び/又はパッチの間隙上)に形成されて、組織層の間の結合を強化するのに役立つ。この種のパッチは、組織層層の間に組織粘着を形成する実施例に関連して用いてもよい。幾つかの実施例は図39A乃至図42Bに示されている。
【0137】
図39A及び図39Bは図36Fの実施例と同様な実施例を示し、ここでは漿膜襞242が形成されて、周方向隆起244を形成し、且つ制限インプラント246が隆起244へ取り付けられるか、或いは物理的接続を伴わずに隆起に対して着座する。しかしながら図39A/Bの実施例は、パッチ300が漿膜層の間に位置している点で異なっている。繋止スタッド又は綿撒糸250は図示のように漿膜組織層及びパッチ300を通じて襞を固定し、(所望とあれば)制限デバイスなどのインプラントのための取り付け点として働く。
【0138】
図40は図12Eと同様な実施例を示し、ここではポケット236は漿膜対漿膜接合を用いて形成されるが、漿膜組織層の間のパッチ300を含むように変更されている。パッチ300はループ状に形成された材料の紐から形成して、図示のようにポケット236の一部分の裏を覆い、この覆われたポケット部分をポケット236内に位置するデバイス要素(図示せず)により加えられる摩擦から保護するようにしてもよい。代替的に、図41Aに示すように、図38に示す形式の襞を形成し、次いで組織折り曲げ部の最内層部分を除去して切り欠き302を形成する。パッチ300はループ状に形成して、襞を形成する漿膜層の間の所定位置へ繋止し、そのループは図示のように胃へ延在する。この形態を用いると、デバイス要素はパッチにより形成されたループ内に配置できる。
【0139】
図41Aの実施例の代替例として、パッチ300はループ300mp所定位置に延長部306を含んでもよい。制限デバイス(図示せず)は、縫合糸又は他のファスナーを用いて延長部306へ接続してもよく、或いは制限デバイスを延長部306に対して物理的な取り付けを伴わずに単純に着座させてもよい。延長部306はメッシュ要素として図示されているが、この延長部はパッチと同様な材料で形成する必要はないことに留意されたい。これに代えて、延長部は、任意の種類の材料として、それに対して制限デバイスを接合することができるか又は着座させることができる形状(例えばフック状)を持たせてもよい。他の代替例として、一つ又は複数の延長部306を食物の胃への通路を遮るように構成して、それら自体が、個別のデバイスを追加することなく、肥満調整デバイスとしての機能を果たすようにしてもよい。
【0140】
図8Cに類似する実施例を図42A及び図42Bに図示する。ここでは一対の漿膜襞が形成されて、そのおのおのは漿膜層の間のパッチ300を有する。二つの襞の折り曲げ部20は、図42Bに示すように互いに接続されて襞の間のポケット304を形成する。折り曲げ部20の端部は、図8C及び図8Dに関して説明したように取り付けに先立って切断してもよく、或いは切断することなく残してもよい。更に、他のパッチを折り曲げ部の間に配置して、最終的にそれらの間に成長する粘着を補強するようにしてもよい。
【0141】
様々な構成要素及び方法を本明細書に説明した。これらの実施例は例示として与えられたものであって、本発明の目的を限定することを意図するものではない。上述した実施例の様々な特徴は、多数の付加的な実施態様をなすための幾多の手法と組み合わせ得ることに留意されたい。また、様々な材料、寸法、形状、移植位置等について、開示された実施例を用いて説明したが、それらの開示事項以外のものも本発明の主旨を越えることなく利用できる。例えば、保持方法及びデバイスは胃食道系内の使用に限定されるものではなく、体内の他の場所に位置するインプラントのために用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1A】図1Aは人体の胃と小腸の一部との概略図である。
【図1B】図1Bは胃壁の一部の断面斜視図であって、胃壁を形成する組織層を示す図である。
【図2A】図2Aは減量促進に用いられる形式の制限デバイスの斜視図である。
【図2B】図2Bは食道及び胃基部の縦断面図であって、胃食道接合領域にインプラントされた図2Aの制限デバイスを示す図である。
【図3】図3は人間の胃の基部における組織縫合により保持された制限デバイスを示す斜視図である。
【図4A】図4Aは制限要素としてリングを利用する制限インプラントの代替的な実施例の斜視図である。
【図4B】図4Bは制限要素としてリングを利用する制限インプラントの代替的な実施例の斜視図である。
【図4C】図4Cは制限要素としてノッチ付ディスクを利用する制限インプラントの代替的な実施例の斜視図である。そのインプラントは胃食道接合領域に位置して示してある。
【図4D】図4Dは胃食道接合領域内に位置するインプラントを示す正面断面図である。
【図4E】図4Eは図3と同様な斜視図であって、胃食道接合領域内に保持された膨張自在制限インプラントを示し、膨張チューブ及び内視鏡も併せて示す図である。
【図4F】図4Fは図4Eと同様な図であるが、それに続いてインプラントが膨張し、膨張チューブは依然として制限インプラントに取り付けられている状態で示す図である。
【図5A】図5Aは壁の襞を用いて形成された垂直組織ポケットの形成を示す胃壁の前方斜視図である。
【図5B】図5Bは胃の内室へ向って下向きに見た斜視図であって、図5Aに示す形式の襞により形成されたポケットへの図4Aのインプラントの配置を示す図である。
【図6A】図6Aは胃及び食道の概略図であって、医療用ホッチキスを用いる組織ポケットの形成を示す図である。
【図6B】図6Bは図6Aにおける6B−6Bで示される面に沿って破断した組織ポケットの断面図である。
【図6C】図6Cは胃基部の側断面図である。
【図6D】図6Dは図6Cにおける6D−6Dで示される面に沿って破断した断面図であって、組織ポケットを形成するように胃壁に形成された襞の一形態を示す図である。
【図7】図7は胃壁の一部の断面図であって、組織ポケットが胃の内側から形成されている図6A及び6Bの構成に対する変形例を示す図である。
【図8A】図8Aは胃の側断面図であって、胃壁に襞を形成するように組織を纏めて引き出す方法を示す図である。
【図8B】図8Bは胃の側断面図であって、胃壁に襞を形成するように組織を纏めて引き出す方法を示す図である。
【図8C】図8Cは図8A及び図8Bと同様な図であって、胃壁に組織ポケットを形成するように纏めて引き出された組織に折り目を付ける方法を更に示す図である。
【図8D】図8Dは図8A及び図8Bと同様な図であって、胃壁に組織ポケットを形成するように纏めて引き出された組織に折り目を付ける方法を更に示す図である。
【図8E】図8Eは胃壁の一部分の上部断面図であって、組織ポケットを形成するように形付けられる襞の様々な形状を示す図である。
【図8F】図8Fは胃壁の一部分の上部断面図であって、組織ポケットを形成するように形付けられる襞の様々な形状を示す図である。
【図8G】図8Gは胃壁の一部分の上部断面図であって、組織ポケットを形成するように形付けられる襞の様々な形状を示す図である。
【図9A】図9Aは図9Bの組織ポケットの一つについての更に詳細な図である。
【図9B】図9Bは図6Dと同様な胃の断面図であって、組織ポケットを形成するのに用いられる襞の代替的な形状を示す図である。
【図9C】図9Cは胃壁の一部分の上部断面図であって、組織ポケットを形成する襞の他の配置構成を示す図である。
【図10A】図10Aは胃壁の一部分の断面斜視図であって、使用可能な襞の更に他の形態を示す図である。
【図10B】図10Bは図6Dと同様な胃の上部断面図であって、胃壁における上述のような三つ襞を示す図である。
【図11A】図11Aは組織ポケットを形成する更に他の襞形成方法を示す連続的な断面斜視図である。
【図11B】図11Bは組織ポケットを形成する更に他の襞形成方法を示す連続的な断面斜視図である。
【図11C】図11Cは組織ポケットを形成する更に他の襞形成方法を示す連続的な断面斜視図である。
【図11D】図11Dは組織ポケットを形成する更に他の襞形成方法を示す連続的な断面斜視図である。
【図12A】図12Aは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12B】図12Bは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12C】図12Cは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12D】図12Dは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12E】図12Eは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12F】図12Fは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図12G】図12Gは組織ポケットを形成するように襞を形成する更に他の方法を示す胃の基部の連続的な断面斜視図である。
【図13A】図13Aは組織面を修正して組織に襞を形成する縫合器の縦側面である。
【図13B】図13Bは図13Aの縫合器の末端部分の断面図である。
【図13C】図13Cは組織ポケットを形成するための図13A及び図13Bの縫合器の使用を示す図である。
【図13D】図13Dは組織ポケットを形成するための図13A及び図13Bの縫合器の使用を示す図である。
【図13E】図13Eは組織ポケットを形成するための図13A及び図13Bの縫合器の使用を示す図である。
【図13F】図13Fは組織ポケットを形成するための図13A及び図13Bの縫合器の使用を示す図である。
【図13G】図13Gは組織ポケットを形成するための図13A及び図13Bの縫合器の使用を示す図である。
【図13H】図13Hは組織ポケット内の制限インプラントの位置決め部分を示す図である。
【図14A】図14Aは切除ワイアループを用いる組織修正デバイスの代替的な実施例の末端部分の側断面図である。
【図14B】図14Bは切除接触板を用いる組織修正デバイスの更に代替的な実施例の末端部分の側断面図である。
【図15A】図15Aは図3に示す形式の制限デバイスの移植を概略的に示す図である。
【図15B】図15Bは図3に示す形式の制限デバイスの移植を概略的に示す図である。
【図16A】図16Aは制限デバイスを部分的に胃の内側の組織ポケットへ挿通させる内視鏡法を概略的に示す図である。
【図16B】図16Bは制限デバイスを部分的に胃の内側の組織ポケットへ挿通させる内視鏡法を概略的に示す図である。
【図17】図17は胃及び食道部分の断面図であって、制限デバイスと、このデバイスを所定位置へ保持する部品の配置構成とを示す図である。
【図18】図18は胃及び食道部分の断面図であって、制限デバイスと、このデバイスを所定位置へ保持する部品の配置構成とを示す図である。
【図19】図19は胃及び食道部分の断面図であって、制限デバイスと、このデバイスを所定位置へ保持する部品の配置構成とを示す図である。
【図20A】図20Aは胃を俯瞰した上部斜視図であって、リングを胃の内側に保持する襞の使用を示す図である。
【図20B】図20Bは図20Aにおける面20B−20Bに沿って破断して見た襞及びリングの断面図である。
【図20C】図20Cは図20Aと同様な上部斜視図であって、胃の内側に代替的なリングを保持する襞の使用を示す図である。
【図20D】図20Dは胃を俯瞰した上部斜視図であって、胃の内側に複数の部材を保持する襞の使用を示す図である。
【図21A】図21Aは胃の上部断面図であって、胃の内側に形成された襞を示す図である。
【図21B】図21Bは胃の内側にライナーを保持する襞の使用を示す襞の縦断面図である。
【図22A】図22Aは食道及び胃の断面正面図であり、インプラントを保持するように胃壁を形付けるリングの使用を示す図である。
【図22B】図22Bは食道及び胃の断面正面図であり、インプラントを保持するように胃壁を形付けるリングの使用を示す図である。
【図23】図23は食道及び胃の断面正面図であり、インプラントを保持するように胃壁を形付けるリングの使用を示す図である。
【図24】図24は食道及び胃の断面正面図であり、インプラントを保持するように胃壁を形付けるリングの使用を示す図である。
【図25】図25は胃基部の断面正面図であり、胃の内側の繋止構造を形成する方法を示す図である。
【図26A】図26Aは外部胃壁の部分を概略的に示す図であり、内側に位置する制限デバイスに対する外部補強として壁へ繋止される綿撒糸を示す図である。
【図26B】図26Bは図26Aと同様な概略図であって、内側に位置する制限デバイスに対する外部補強として壁へ繋止されるT状バーを示す図である。
【図27A】図27Aは下部食道及び胃基部の外部の概略図であって、内部配置制限デバイスの繋止を促進するために用いられる「モリブデン ボルト」形式の外部補強部材を示す図である。
【図27B】図27Bは胃壁を通じての外部補強デバイスの導入を示す側断面図である。
【図27C】図27Cは、図27Bに続いて制限デバイスを所定位置へ繋止させる外部補強デバイスの膨張を示す側断面図である。
【図28A】図28Aは下部食道及び胃基部の外部の概略図であって、内部に位置する制限デバイスの繋止を容易にするために用いられる外部補強部材の四つの付加的な実施例を示す図である。
【図28B】図28Bは下部食道及び胃基部の外部の概略図であって、内部に位置する制限デバイスの繋止を容易にするために用いられる外部補強部材の四つの付加的な実施例を示す図である。
【図28C】図28Cは下部食道及び胃基部の外部の概略図であって、内部に位置する制限デバイスの繋止を容易にするために用いられる外部補強部材の四つの付加的な実施例を示す図である。
【図29A】図29Aは内側に位置した制限デバイスを外側の補強部材に接続するのに用いることができるスタッド式の締結具の斜視図である。
【図29B】図29Bは図29Aのデバイスを胃の組織(断面で示す)を通じて外側に位置する外部補強デバイスへ接続する手段の例を示す縦側面図である。
【図29C】図29Cは図29Aのデバイスを胃の組織(断面で示す)を通じて外側に位置する外部補強デバイスへ接続する手段の例を示す縦側面図である。
【図29D】図29Dは図29Aのデバイスを胃の組織(断面で示す)を通じて外側に位置する外部補強デバイスへ接続する手段の例を示す縦側面図である。
【図29E】図29Eは図29Aのデバイスを胃の組織(断面で示す)を通じて外側に位置する外部補強デバイスへ接続する手段の例を示す縦側面図である。
【図29F】図29Fは図29Aのデバイスを胃の組織(断面で示す)を通じて外側に位置する外部補強デバイスへ接続する手段の例を示す縦側面図である。
【図30A】図30Aは胃組織へ接続された自己均衡外部補強デバイスの側断面図であって、平衡状態における補強部材を示す図である。
【図30B】図30Bは胃組織へ接続された自己均衡外部補強デバイスの側断面図であって、力に応答する補強部材の変化を示す図である。
【図31A】図31Aは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31B】図31Bは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31C】図31Cは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31D】図31Dは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31E】図31Eは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31F】図31Fは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31G】図31Gは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31H】図31Hは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図31I】図31Iは下部食道及び胃基部の概略図であって、外部カラーの異なる実施例を示す図である。
【図32A】図32Aは食道末端、胃基部及び外部カラーの縦側断面図である。
【図32B】図32Bは図32Aに示すカラーの真直形態の斜視図である。
【図32C】図32Cは、図32Bに示す形式であるが、代替的な係止機構を有するカラーの斜視図である。
【図33A】図33Aは代替的な制限デバイスの一例であって、剛体リングの形態を採る制限デバイスの斜視図である。
【図33B】図33Bは代替的な制限デバイスの他の例であって、テーパー形状を採る制限デバイスの斜視図である。
【図33C】図33Cは代替的な制限デバイスの更に他の例であって、ベローズ形状を採る制限デバイスの斜視図である。
【図33D】図33Dは代替的な制限デバイスの他の例であって、胃における制限体を集合的に形成する個別の区画の集まりを含む制限デバイスの斜視図である。
【図34A】図34Aは通路を含むように形を整えられた胃の縦側面図である。
【図34B】図34Bは通路に繋止された制限デバイスを示す胃の断面図である。
【図35A】図35Aはインプラントの保持のために形を整えられた胃の断面図である。
【図35B】図35Bは形を整えられた胃壁により保持されたインプラントを示す図である。
【図35C】図35Cは形を整えられた胃壁により保持されたインプラントを示す図である。
【図36A】図36Aは円周状襞を形成する組織の整形の方法及びインプラントを保持するための円周状襞の使用法を示す胃の連続的な断面図である。
【図36B】図36Bは円周状襞を形成する組織の整形の方法及びインプラントを保持するための円周状襞の使用法を示す胃の連続的な断面図である。
【図36C】図36Cは円周状襞を形成する組織の整形の方法及びインプラントを保持するための円周状襞の使用法を示す胃の連続的な断面図である。
【図36D】図36Dは円周状襞を形成する組織の整形の方法及びインプラントを保持するための円周状襞の使用法を示す胃の連続的な断面図である。
【図36E】図36Eは円周状襞を形成する組織の整形の方法及びインプラントを保持するための円周状襞の使用法を示す胃の連続的な断面図である。
【図37A】図37Aは図36A乃至図36Fに示される方法に対する変形例を示す連続的な断面図である。
【図37B】図37Bは図36A乃至図36Fに示される方法に対する変形例を示す連続的な断面図である。
【図37C】図37Cは図36A乃至図36Fに示される方法に対する変形例を示す連続的な断面図である。
【図37D】図37Dは図36A乃至図36Fに示される方法に対する変形例を示す連続的な断面図である。
【図37E】図37Eは制限インサートの支持リングに対する挿入を示す図である。
【図37F】図37Fはオリフィスの挿入前の支持リングを示す図である。
【図37G】図37Gはオリフィスの挿入後の支持リングを示す図である。
【図38】図38は組織層の間の補強パッチを用いる襞を示す図である。
【図39A】図39Aは図36Fに示す襞の形成に類似するが、組織層の間の補強パッチを用いる襞の形成を示す図である。
【図39B】図39Bは図36Fに示す襞の形成に類似するが、組織層の間の補強パッチを用いる襞の形成を示す図である。
【図40】図40は図12Eの組織ポケットと同様な組織ポケットにおける補強パッチの使用を示す図である。
【図41A】図41Aは襞の補強のための補強パッチの代替的な使用及び制限デバイスの保持における使用を示す図である。
【図41B】図41Bは襞の補強のための補強パッチの代替的な使用及び制限デバイスの保持における使用を示す図である。
【図42A】図42Aは、図8Cに関連して説明した方法に類似するが、補強パッチの使用を加えた方法を示す図である。
【図42B】図42Bは、図8Cに関連して説明した方法に類似するが、補強パッチの使用を加えた方法を示す図である。
【図43A】図43A乃至図43Hは胃の内側に組織ポケットを形成する代替的な方法を示す図であって、図43Aは胃の内側のインプラントの位置決めを示す図である。
【図43B】図43Aは切除ステープル器を用いる胃の外側への腹腔鏡的処置を示す図である。
【図43C】図43Cは腹腔鏡器具を用いて形成された切断及び粘着線を示す図である。
【図43D】図43Dは図43Cにおける面43D−43Dに沿って破断した断面図である。
【図43E】図43Eは胃の外側に接触する漿膜組織領域の引抜処置を示す図である。
【図43F】図43Fは図43Dと同様な断面図であって、引抜かれた漿膜組織領域を固定する方法を示す図である。
【図43G】図43Gは図43Dと同様な断面図であって、引抜かれた漿膜組織領域を固定する方法を示す図である。
【図43H】図43Hは図43Dと同様な断面図であって、引抜かれた漿膜組織領域を固定する方法を示す図である。
【図43I】図43Iは図43Fと同様な断面図であって、切除組織縁の選択的に片寄らせた取り付けを更に示す図である。
【図44A】図44A乃至図44Cは胃の内側に組織ポケットを形成する他の代替的方法であって、図44Aは胃壁を通じる切除の形成を示す図である。
【図44B】図44Aは切除によるインプラントの編み込み部分を示す図である。
【図44C】図44Cは胃の外側における漿膜組織領域の一体的な引抜及び付着を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体胴内に医療用インプラントを保持する方法であって、
医療用インプラントを設ける段階と、
体胴内の壁に組織ポケットを形成し、この組織ポケットは体胴の内室へ露呈した第1の開口を有する形成段階と、
前記医療用インプラントの少なくとも一部分を前記組織ポケット内に保持する段階とを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記形成段階が体胴の壁上に体組織の領域を付着する段階を含む方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記組織ポケットを形成してから、この組織ポケットに前記医療用インプラントの前記一部分を挿入する段階を含む方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントの前記一部分を前記壁に接触させて、この医療用インプラントの一部分の周りに前記組織ポケットを形成する段階を含む方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
前記組織ポケットが第2の開口を含み、
前記保持段階が、前記医療用インプラントを位置決めして、前記医療用デバイスの第1の部分が第1の開口から延出し、且つ前記医療用デバイスの第2の部分を第2の開口から延出させることを含み、
前記医療用デバイスの第2の部分が保持要素を含み、この保持要素は、前記保持段階中に第2の開口へ通じる前記保持要素の通路に抗するように寸法付けられている方法。
【請求項6】
請求項5の方法において、前記位置決めする段階は、前記保持要素を拡張させて、前記医療用インプラントの前記組織ポケットからの解放を阻止することを含む方法。
【請求項7】
請求項6の方法において、前記拡張させる段階が、前記保持要素を膨張させることを含む方法。
【請求項8】
請求項5の方法において、前記位置決め段階が、前記保持要素を変形させて、前記医療用インプラントの前記組織ポケットからの解放を阻止することを含む方法。
【請求項9】
請求項5の方法において、前記医療用インプラントに前記組織ポケット内に保持可能な脚部材を含めて、この脚部材上に前記保持要素を位置させる方法。
【請求項10】
請求項5の方法において、前記保持要素がクリップであり、前記位置決め段階は前記クリップを第1及び第2の開口を通じて延在させる方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントは、体組織へ物理的に侵襲し且つ前記医療用インプラントに物理的に接続されるファスナーを使用することなく前記組織ポケット内に保持される方法。
【請求項12】
請求項2の方法において、前記付着させた組織領域を互いに粘着させる段階を更に含む方法。
【請求項13】
請求項2の方法において、前記体胴が、内側及び外側を有する胃であって、前記付着させる段階は、第1の領域からの漿膜組織と第2の領域からの漿膜組織とを互いに接触させるように、組織の領域を付着する方法。
【請求項14】
請求項13の方法において、前記漿膜組織の付着領域を互いに付着させて組織粘着を形成する段階を更に含む方法。
【請求項15】
請求項2の方法において、前記体胴が、内側及び外側を有する胃であって、前記付着させる段階は、組織の内側領域を付着する方法。
【請求項16】
請求項15の方法において、前記組織の付着内部領域が粘膜組織を含む方法。
【請求項17】
請求項1の方法において、前記体胴が胃であって、前記方法が胃の内側から接近可能な前記組織ポケットを形成する方法。
【請求項18】
請求項2の方法において、前記体胴が胃であって、前記体組織の領域が胃の外面上にある方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、前記粘着段階が、完全に被覆された組織ポケットを形成するように前記領域を付着し、且つこの組織ポケットに少なくとも一つの開口を形成する方法。
【請求項20】
請求項18の方法において、
前記方法が、外側胃組織を組織折り曲げ部を形成するのに適切な位置へ引き出すことを含み、
前記方法が、前記組織折り曲げ部に切り欠きを形成して、その中に窓を形成することを含み、
前記付着段階は、前記窓を取り囲む組織の対向する層を付着することを含み、前記組織ポケットは前記切り欠きにより穿たれた前記組織の対向層の間に延在することを含む方法。
【請求項21】
請求項18の方法において、
前記方法が、外側胃組織を組織折り曲げ部を形成するのに適切な位置へ引き出すことを含み、
前記付着段階は、前記胃の折り曲げ部を通じて延在する孔を形成し、且つ組織の対向層を前記孔を取り囲む領域に付着し、
前記組織ポケットは前記組織の対向する層を通じて延在する前記孔を含む方法。
【請求項22】
請求項2の方法において、前記付着段階が前記体組織の領域を縫合糸を用いて纏めて付着させる方法。
【請求項23】
請求項2の方法において、前記付着段階が前記体組織の領域をステープルを用いて纏めて付着させる方法。
【請求項24】
請求項2の方法において、前記付着段階が前記体組織の領域をクリップを用いて纏めて付着させる方法。
【請求項25】
請求項2の方法において、前記付着段階が前記体組織の領域を接着剤を用いて纏めて付着させる方法。
【請求項26】
請求項2の方法において、前記方法が前記組織を互いに接触させるのに先立って体組織の領域の少なくとも一つを修正することを含む方法。
【請求項27】
請求項26の方法において、前記修正する段階が、前記体組織の領域の少なくとも一つを除去することを含む方法。
【請求項28】
請求項26の方法において、前記体組織の離間した領域の少なくとも一つを切除することを含む方法。
【請求項29】
請求項28の方法において、前記体組織の領域の少なくとも一つから組織層を整形することを含む方法。
【請求項30】
請求項26の方法において、前記体組織の領域を互いに粘着させる段階を更に含む方法。
【請求項31】
請求項26の方法において、前記体組織の少なくとも一つの領域が粘膜組織であり、前記修正段階が前記粘膜組織の一部を除去して、その下側に位置する組織層を露呈させることを含む方法。
【請求項32】
請求項31の方法において、前記修正段階が粘膜下組織層を露呈させる方法。
【請求項33】
請求項31の方法において、前記修正段階が漿膜組織層を露呈させる方法。
【請求項34】
請求項31の方法において、前記修正段階が筋組織層を露呈させる方法。
【請求項35】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントは薬物送達デバイスである方法。
【請求項36】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントは診断デバイスである方法。
【請求項37】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントは抗還流デバイスである方法。
【請求項38】
請求項1の方法において、前記体腔が胃であって、前記医療用インプラントは体重減量のためのデバイスである方法。
【請求項39】
請求項38の方法において、前記医療用インプラントが拡張自在な空間占有体であって、前記方法が胃内で前記空間占有体を拡張させて胃の有効容積を減少させることを含む方法。
【請求項40】
請求項38の方法において、前記医療用インプラントが流量制限デバイスであって、前記方法が前記流量制限デバイスを胃への食物の流量を制限するように配置することを含む方法。
【請求項41】
請求項1の方法において、前記医療用インプラントを体腔内に形成された複数の組織ポケットを用いて保持する段階を含む方法。
【請求項42】
請求項41の方法において、前記医療インプラントが複数の脚部材を含み、前記方法が体腔内に複数の組織ポケットを形成して、前記脚部材を前記組織ポケット内に保持することを含む方法。
【請求項43】
請求項1の方法において、前記体腔が胃であって、前記組織ポケットが食道を通じて胃へ挿通される器具を用いて形成される方法。
【請求項44】
請求項43の方法において、前記体腔が胃であって、前記組織ポケットが食道を通じて胃へ挿通される器具のみを用いて形成される方法。
【請求項45】
請求項1の方法において、前記体腔が胃であって、前記組織ポケットは腹腔壁へ挿通される器具を用いて形成される方法。
【請求項46】
ヒトの胃壁に形成された少なくとも一つの組織ポケット内に保持可能な肥満調節装置であって、
ヒトの胃壁に形成された組織ポケット内に保持されるように寸法付けられた部材と、
この部材に取り付けられた体重減量要素とを備える装置。
【請求項47】
請求項46の装置において、前記体重減量要素が制限デバイスを含み、この制限デバイスは、食道から胃への通路を事実上狭めて、胃への食物流量を制限するように寸法付けられている装置。
【請求項48】
請求項46の装置において、前記体重減量要素が拡張自在な空間占有デバイスを含み、このデバイスは、胃の有効容積を減少させるように寸法付けられている装置。
【請求項49】
請求項46の装置において、前記体重減量要素は、空腹調節剤を包含する薬物溶出デバイスを含む装置。
【請求項50】
請求項46の装置において、前記部材は、前記装置へ取り付けられて体組織へ物理的に侵襲するファスナーを用いることなく、組織ポケット内へ保持可能である装置。
【請求項51】
請求項46の装置において、前記装置は、組織ポケットが第1及び第2の開口を含んで形成されたヒトの胃内に配置可能であり、前記部材は保持用を含み、この保持要素は第2の開口を通じる保持要素の移動を防いで、前記部材の組織ポケットからの解放を防ぐように寸法付けられている装置。
【請求項52】
請求項51の装置において、前記保持要素が、前記部材の組織ポケットからの解放を防止するように拡張自在である装置。
【請求項53】
請求項52の装置において、前記保持要素が膨張自在である装置。
【請求項54】
請求項52の装置において、前記保持要素は、径が低減した姿勢へ圧縮である装置。
【請求項55】
請求項51の装置において、前記保持要素が前記部材の組織ポケットからの解放を防止するように変形可能である装置。
【請求項56】
請求項51の装置において、前記保持要素が組織ポケットの第1の開口及び第2の開口を通じて延在するクリップである装置。
【請求項57】
請求項47の装置において、前記制限デバイスがリングである装置。
【請求項58】
請求項47の装置において、前記制限デバイスがメッシュスクリーンである装置。
【請求項59】
請求項47の装置において、前記制限デバイスが膨張自在なバルーンである装置。
【請求項60】
請求項47の装置において、前記制限デバイスがポーチである装置。
【請求項61】
請求項46の装置において、ヒトの胃の表面組織を付着させることにより形成された組織ポケット内に保持されるように寸法付けされた前記部材を複数含む装置。
【請求項62】
請求項46の装置において、少なくとも3つの前記部材を含む装置。
【請求項63】
医療用インプラントシステムであって、
体内に挿入可能であり、体腔の壁上の体組織の領域を付着させて組織ポケットを形成する器具と、
体腔内に配置可能な医療用インプラントとを備え、その医療用インプラントは、体腔内に形成された組織ポケット内に保持するように寸法付けられた少なくとも一つの部分を含むインプラントシステム。
【請求項64】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが薬物送達デバイスであるインプラントシステム。
【請求項65】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが診断デバイスであるインプラントシステム。
【請求項66】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが抗還流デバイスであるインプラントシステム。
【請求項67】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが体重減量を誘発するように胃内に配置可能であるインプラントシステム。
【請求項68】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが胃の有効容積を低減するように胃内に配置可能な拡張自在空間占有体であるであるインプラントシステム。
【請求項69】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが、胃への食物の流量を制限するように胃内に配置可能な流量制限デバイスであるインプラントシステム。
【請求項70】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記器具が縫合器具であるインプラントシステム。
【請求項71】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記器具がステープリング器であるインプラントシステム。
【請求項72】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記器具がクリップアプライアーであるインプラントシステム。
【請求項73】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントは、前記器具を用いて形成された複数の組織ポケット内に保持されるように寸法付けられた複数の脚部材を含むインプラントシステム。
【請求項74】
請求項63のインプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントは、体組織に物理的に侵襲し且つ前記医療用インプラントに物理的に接続されるファスナーを使用することなく、組織ポケット内に保持可能であるインプラントシステム。
【請求項75】
医療用インプラントを壁を有する体腔内に保持する方法であって、
体腔内に医療用インプラントの少なくとも一部を配置し、
体腔の壁を整形することにより、その整形された壁が前記医療用インプラントが体腔を外れる移動を防ぐ方法。
【請求項76】
請求項75の方法において、前記整形された壁は、前記医療用インプラントへ取り付けられて壁の組織へ物理的に侵襲するファスナーを用いることなく、前記医療要因プラントの移動を防止する方法。
【請求項77】
請求項75の方法において、前記配置する段階は、前記整形する段階に先立って実行される方法。
【請求項78】
請求項75の方法において、前記配置段階は、前記整形段階の後に実行される方法。
【請求項79】
請求項75の方法において、前記整形段階は、壁上に組織ポケットを形成することを含み、前記医療用インプラントの少なくとも一部分は組織ポケット内に保持される方法。
【請求項80】
請求項75の方法において、前記整形段階は、整形インプラントを壁に接触させるように配置する段階を含む方法。
【請求項81】
請求項80の方法において、前記整形段階は、整形インプラントを胃の外面に接触させるように配置する段階を含む方法。
【請求項82】
請求項80の方法において、前記整形段階は、整形インプラントを胃の内面に接触させるように配置する段階を含む方法。
【請求項83】
請求項80の方法において、前記整形段階は、周方向バンドを壁に接触させるように配置する段階を含む方法。
【請求項84】
請求項83の方法において、体腔が胃であって、前記整形段階は、整形ライナーを胃壁の内面に配置する段階を含む方法。
【請求項85】
請求項84の方法において、前記ライナーが首部分を含み、前記整形段階が前記周方向バンドを壁に接触するように配置して、整形ライナーを胃壁の内面に配置する段階を含む方法。
【請求項86】
請求項75の方法において、前記整形段階は、組織の領域を纏めて付着させることを含む方法。
【請求項87】
請求項86の方法において、前記付着させる段階は、トンネルを形成し、且つ前記方法は前記インプラントの少なくとも一部を前記トンネル内に配置することを含む方法。
【請求項88】
請求項87の方法において、前記インプラントが拡張自在部分を含み、前記配置する段階は、前記拡張自在部分を前記トンネルを取り囲む組織に接触するように配置することを含む方法。
【請求項89】
請求項87の方法において、体腔が胃であって、前記付着段階は胃基端にトンネルを形成し、このトンネルは少なくとも部分的に食道に隣接する方法。
【請求項90】
請求項85の方法において、前記付着段階は、体腔の一つの領域から体腔の他の領域への前記インプラントの通路を遮るように配置された遮蔽体を形成する方法。
【請求項91】
請求項90の方法において、体腔が胃であって、前記遮蔽体が前記インプラントの腸管へ向う移動を防ぐ方法。
【請求項92】
請求項91の方法において、前記遮蔽体が胃の基部に形成され、前記配置段階が前記インプラントを前記遮蔽体と食道との間に配置する方法。
【請求項93】
請求項74の方法において、前記医療用インプラントが胃内に配置可能な閉塞性デバイスである方法。
【請求項94】
請求項74の方法において、前記医療用インプラントが胃内に配置可能な制限デバイスである方法。
【請求項95】
請求項74の方法において、前記医療用インプラントが胃内に配置可能な抗還流デバイスである方法。
【請求項96】
請求項74の方法において、前記医療用インプラントが薬物溶出デバイスである方法。
【請求項97】
請求項75の方法において、前記医療用インプラントが診断デバイスである方法。
【請求項98】
請求項75の方法において、前記医療用インプラントが治療用デバイスである方法。
【請求項99】
請求項19の方法において、前記組織ポーチに第2の開口を形成する段階を更に含む方法。
【請求項100】
請求項1の方法において、前記保持段階が前記医療用インプラント全体をポケット内に保持する方法。
【請求項101】
請求項100の方法において、前記医療用インプラントをポケット内に位置させた後に前記開口を閉止する段階を更に含む方法。
【請求項102】
医療用インプラントを胃組織へ取り付ける方法であって、
壁を有する胃内に医療用インプラントを配置する段階と、
前記医療インプラントを胃の外面に接触して位置する外部補強デバイスへ、胃壁を通じて前記インプラントから前記外部補強デバイスへ延在するコネクタを用いて取り付ける段階とを含む方法。
【請求項103】
請求項102の方法において、前記外部補強デバイスが綿徹糸である方法。
【請求項104】
請求項102の方法において、前記外部補強デバイスがt字状バーである方法。
【請求項105】
請求項102の方法において、前記外部補強デバイスがバンドである方法。
【請求項106】
請求項102の方法において、前記外部補強デバイスが補強用材料のパッチである方法。
【請求項107】
胃の中へインプラントを配置する方法であって、
胃の壁に複数の襞を形成して、少なくとも一つの組織隆起を形成する段階と、
インプラントを組織隆起に接触して配置する段階とを含む方法。
【請求項108】
請求項107の方法において、前記形成する段階が、胃の壁上の体組織の領域を付着させる段階を含む方法。
【請求項109】
請求項108の方法において、前記付着させる段階が縫合糸を用いて実行される方法。
【請求項110】
請求項108の方法において、前記付着段階がt字状バーを用いて実行される方法。
【請求項111】
請求項108の方法において、前記付着段階が綿徹糸を用いて実行される方法。
【請求項112】
請求項108の方法において、前記付着段階が漿膜組織の区画を適切な位置に配置させて、前記方法が、漿膜組織の対向する区画の相互の粘着を生じさせる段階を更に含む方法。
【請求項113】
請求項112の方法において、前記粘着を生じさせる段階が前記配置させる段階に先立って実行される方法。
【請求項114】
請求項107の方法において、前記配置段階が前記インプラントを前記組織隆起へ締結することを含む方法。
【請求項115】
請求項107の方法において、前記形成する段階が食道を通じて胃へ挿通される内視鏡機器を用いて実行される方法。
【請求項116】
請求項115の方法において、前記形成段階が、
組織係合デバイスを食道を通じて胃へ延伸させる段階と、
前記組織係合デバイスにより組織を係合させて、その係合した組織を基端方向へ引き出して襞を形成する段階と、
この引き出し段階中に襞を通じてファスナーを前進させる段階とを含む方法。
【請求項117】
請求項107の方法において、前記配置段階が、
組織係合部材を食道を通じて胃へ延伸させる段階と、
前記組織隆起の係合部分を前記要素により係合させて、その係合した組織を基端方向へ引き出す段階と、
この係合段階中に前記組織隆起に抗して前記インプラントを前進させる段階とを含む方法。
【請求項118】
請求項117の方法において、前記組織係合部材が、組織係合末端を有する複数の細長い部材を含み、前記前進させる段階が前記インプラントを前記細長い部材へ摺動的に取り付けて、前記インプラントを前記部材に沿って末端方向へ摺動させることを含む方法。
【請求項119】
請求項107の方法において、前記インプラントが肥満調節インプラントである方法。
【請求項120】
請求項107の方法において、制限要素を前記インプラントへ取り付ける段階を更に含み、この制限要素は開口を有し、その開口は患者により摂取された食物が前記開口を通じて胃へ流れるように向き付けられており、その開口は、この開口を通じる食物の流速が、前記制限要素が存在しない場合の胃への食物の流速よりも遅くなるように寸法付けられている方法。
【請求項121】
請求項120の方法において、前記制限要素が第1の制限要素であり、前記方法は第1の制限要素を取り除いて、第2の制限要素を取り付ける段階を含み、その第2の制限要素は開口を有し、この開口は、この開口を通じる食物の流速が、第1の制限要素の開口を通じる胃への食物の流速とは異なるように寸法付けられている方法。
【請求項122】
請求項107の方法において、前記インプラントが胃−腸還流症を抑制するデバイスである方法。
【請求項123】
請求項1の方法において、組織ポケットを形成する段階が、
対向する胃壁領域の間の取り付け線を形成して組織ポケットを形成する段階と、
第1の線から離間した第2の取り付け線を形成する段階と、
第1の線と第2の線との間の場所において対向する胃壁の各々を通じる開口を形成し、この開口は少なくとも四つの切除組織縁により境界付けられる段階と、
前記切除された組織縁を治癒させて、対向する胃壁領域の間の封止を形成する段階とを含む方法。
【請求項124】
請求項123の方法において、第1の線と第2の線とが実質的に直線である方法。
【請求項125】
請求項124の方法において、第1の線と第2の線とが円形パターンを形成し、前記開口はその円形パターン内に形成される方法。
【請求項126】
請求項123の方法において、第1の線と第2の線との少なくとも一方が非直線である方法。
【請求項127】
請求項123の方法において、第1の線及び第2の線を形成する段階が、組織締結デバイスを腹腔鏡処置的に導入して、この締結デバイスを用いて前記線を形成することを含む方法。
【請求項128】
請求項123の方法において、前記開口を形成する段階が前記組織締結デバイスを用いて前記開口を形成する方法。
【請求項129】
請求項128の方法において、第1及び第2の線を形成する段階と、前記開口を形成する段階とが実質的に同時に実行される方法。
【請求項130】
キットであって、
胃内に配置可能な医療用インプラントと、
移植法の説明に用いる指示とを備え、この指示は、
胃の壁に組織ポケットを形成し、この組織ポケットは胃の内室へ露呈された第1の開口を有する段階と、
前記医療用インプラントの少なくとも一部を前記組織ポケット内に保持する段階とを含むキット。
【請求項131】
請求項130のキットにおいて、腹腔鏡的な切除及び締結器具を更に含むと共に、前記説明に用いる指示は前記腹腔鏡的な切除及び締結器具を用いて組織ポケットを形成するキット。
【請求項132】
請求項130のキットにおいて、前記医療用インプラントは体重減量のためのインプラントであるキット。
【請求項133】
請求項132のキットにおいて、前記医療用インプラントは摂取された食物の食道から胃への流れを遅くするように寸法付けられているキット。
【請求項134】
請求項133のキットにおいて、前記医療用インプラントは閉塞デバイスであるキット。
【請求項135】
請求項133のキットにおいて、前記医療用インプラントは制限デバイスであるキット。
【請求項136】
キットであって、
胃内に配置可能な医療用インプラントと、
請求項1乃至45、75乃至101、102乃至129の少なくとも何れか一項に記載の移植法の方法を説明するのに用いる指示とを備えるキット。
【請求項137】
胃組織内に襞を形成する方法であって、
体組織の対向する層の間にパッチを配置する段階と、
対向する組織の間に前記パッチを通じて粘着を生じさせる段階とを含む方法。
【請求項138】
請求項137の方法において、前記組織層は漿膜層である方法。
【請求項139】
請求項137の方法において、前記組織層は粘膜層である方法。
【請求項140】
請求項137の方法において、前記インプラントを胃内に保持することを更に含むと共に、前記インプラントの一部を前記パッチへ結合することを含む方法。
【請求項141】
請求項137の方法において、前記パッチは延長要素を含み、前記配置段階は前記延長要素を胃内室へ突出させる方法。
【請求項142】
請求項141の方法において、前記方法は更にインプラントを胃内に保持すると共に、このインプラントを前記延長要素へ接続することを含む方法。
【請求項143】
請求項142の方法において、前記延長要素はループを含み、前記方法は、このループに前記医療用デバイスの一部分を通過させることを含む方法。
【請求項144】
請求項137の方法において、前記襞は前記組織層の間にポケットを形成し、前記方法は前記パッチの一部に前記ポケットの内側を覆わせることを含む方法。
【請求項145】
請求項137の方法において、前記方法は更にインプラントを胃内に保持すると共に、このインプラントを前記襞に接触するように配置する段階を更に含む方法。
【請求項146】
医療用インプラントシステムであって、
体腔の壁上の体組織の領域を付着させて襞を形成するために身体へ挿入可能な器具と、
前記体組織の領域の間に配置可能なパッチと、
少なくとも、前記体組織の領域の間に粘着が形成されるまで、襞を保持する保持手段とを備える医療用インプラントシステム。
【請求項147】
請求項146の医療用インプラントシステムにおいて、
体腔内に配置可能であり、前記襞により体腔内に保持されるように構成された医療用インプラントを更に備える医療用インプラントシステム。
【請求項148】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが薬物送達デバイスである医療用インプラントシステム。
【請求項149】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが診断デバイスである医療用インプラントシステム。
【請求項150】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが抗還流デバイスである医療用インプラントシステム。
【請求項151】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントが体重を減量するように胃内に配置可能である医療用インプラントシステム。
【請求項152】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントは、胃の有効容積を減少させるように胃内で拡張自在な空間占有体である医療用インプラントシステム。
【請求項153】
請求項147の医療用インプラントシステムにおいて、前記医療用インプラントは、胃への食物の流量を制限するように胃内に配置可能な流量制限デバイスである医療用インプラントシステム。
【請求項154】
請求項146の医療用インプラントシステムにおいて、前記器具は縫合器具である医療用インプラントシステム。
【請求項155】
請求項146の医療用インプラントシステムにおいて、前記器具はステープリング器具である医療用インプラントシステム。
【請求項156】
請求項146の医療用インプラントシステムにおいて、前記器具はクリップアプライヤーである医療用インプラントシステム。
【請求項157】
請求項146の医療用インプラントシステムにおいて、前記保持手段は、縫合糸、ステープル、クリック、ファスナー、t字状バー、綿撤糸、接着剤、及びスタッドからなるグループから選択される医療用インプラントシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図29D】
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【図29E】
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【図29F】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図31D】
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【図31E】
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【図31F】
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【図31G】
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【図31H】
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【図31I】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図34A】
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【図34B】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図36A】
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【図36B】
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【図36C】
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【図36D】
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【図36E】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図37E】
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【図37F】
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【図37G】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図43C】
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【図43D】
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【図43E】
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【図43F】
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【図43G】
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【図43H】
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【図43I】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【公表番号】特表2007−508053(P2007−508053A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534310(P2006−534310)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033007
【国際公開番号】WO2005/037152
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】