説明

脂肪酸ナイアシン抱合体およびそれらの使用

本発明は、脂肪酸ナイアシン抱合体、有効量の脂肪酸ナイアシン抱合体を含む組成物、および有効量の脂肪酸ナイアシン抱合体を投与することを含む、代謝性疾患を治療または予防するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年9月1日出願の米国仮出願第61/238,903号、2010年2月26日出願の米国仮出願第61/308,524号、および2010年3月10日出願の米国仮出願第61/310,952号の利益を主張する。そうした出願の全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、脂肪酸ナイアシン抱合体、有効量の脂肪酸ナイアシン抱合体を含む組成物、および有効量の脂肪酸ナイアシン抱合体を投与することを含む、代謝性疾患を治療または予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サケ、マス、ニシンおよびマグロ等の油の多い冷水魚は、食物由来海洋オメガ−3脂肪酸、主要な海洋由来オメガ−3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の源である。ナイアシンおよび海洋オメガ−3脂肪酸(EPAおよびDHA)は両方とも、心疾患、冠状動脈心疾患、アテローム性動脈硬化症を軽減し、かつ脂質異常症、高コレステロール血症または2型糖尿病、および代謝性疾患を有する患者の死亡率を引き下げることが示されている。高用量のナイアシン(1日当たり1.5gから4g)は、肝臓内でアポリポ蛋白B(“ApoB”)を低下させ、アポリポ蛋白A1(“ApoA1”)増加により高密度リポ蛋白質(“HDL”)を上昇させることにより、超低密度リポ蛋白質(“VLDL”)レベルを改善することが示されている。ナイアシンはさらにTG合成の主要な酵素であるジアシルグリセロール・アシル基転移酵素−2(Kamanna,V.S.;Kashyap,M.L.Am.J.Cardiol.2008,101(8A),20B−26B)を抑制し得る。不運にもナイアシンは、その治療有用性を損なう多くの作用を肝臓の他に有する。ナイアシンの最も一般的な副作用は顔面紅潮であり、患者が許容可能な用量を制限し得る。顔面紅潮は血管中のGPR109受容体を介して生じると考えられている。
【0004】
オメガ−3脂肪酸は、血糖正常者および肥満者のインスリン感受性および耐糖能を改善することが示されている。オメガ−3脂肪酸はまた、炎症性表現型を有する肥満および非肥満患者のインスリン抵抗性を改善することが示されている。過体重の高血圧患者における脂質、グルコースおよびインスリン代謝は、オメガ−3脂肪酸による治療を介して改善することが示されている。オメガ−3脂肪酸(EPA/DHA)はまた、トリグリセリドを減少し、心血管系イベントの危険性を有する患者の死亡率改善に加え、不整脈によって引き起こされる突然死の危険性を減らすことが示されている。オメガ−3脂肪酸はまた、脂質異常症治療で使用される栄養補助食品の一部として摂取されている。
【0005】
ナイアシンおよびオメガ−3脂肪酸の効果を相乗的に提供する能力は、前述の疾患を治療する上で多大な利点を提供するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、脂肪酸ナイアシン抱合体、およびナイアシンまたは脂肪酸の単独または併用投与で達成し得ない改善治療を達成する際の脂肪酸ナイアシン抱合体の実証された効果に一部基づく。これらの新規抱合体は、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、冠状動脈心疾患、高コレステロール血症、2型糖尿病、高コレステロール、メタボリック症候群および心血管系疾患を含む代謝性疾患の治療や予防に有用である。
【0007】
従って1つの態様において、脂肪酸に共有結合したナイアシンを含む分子抱合体が記載されており、前記脂肪酸はオメガ−3脂肪酸および生体内でオメガ−3脂肪酸に代謝される脂肪酸からなる群から選択され、前記抱合体は少なくとも1つのアミドを含み、前記抱合体は加水分解して遊離ナイアシンおよび遊離脂肪酸を生成することが可能である。
【0008】
別の態様において、式Iの化合物:
【化1】

およびその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体もしくは立体異性体が記載されており、
式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−D、−Cl、−F、−CN、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NH(C(O)C−Cアルキル)、−N(C(O)C−Cアルキル)、−C(O)H、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−C−Cアルキル、−O−C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキルおよび−S(O)−Cアルキルからなる群から選択され、WおよびWは、それぞれ独立して、無、O、S、NH、NRであるか、あるいはWおよびWが同時にOとなり得ないことを条件として、WおよびWは一緒になってイミダゾリジンまたはピペラジン基を形成し得、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して−H、−D、−CH、−OCH、−OCHCH、−C(O)OR、−O−Z、もしくはベンジルであるか、またはa、b、cおよびdのうち2つが、それらが結合する単一の炭素と一緒になってシクロアルキルもしくは複素環を形成し、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して0または1であり、Lは、それぞれ独立して−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S−S−、
【化2】

であり、
式中、Lの表記は、表示されているように左から右の一方向に制限されておらず、むしろLの左側または右側のどちらかが式Iの化合物のW側に結合され得る。gは、それぞれ独立して2、3または4であり、hは、それぞれ独立して1、2、3または4であり、mは、0、1、2または3であり、Rは、それぞれ独立してHもしくはC−Cアルキルであるか、または両方のR基は、それらが結合する窒素と一緒になった場合、複素環を形成し、Rは、それぞれ独立してe、H、またはOH、NH、COR、CONH、フェニル、COH、イミダゾールもしくはアルギニンで任意に置換し得る直鎖または分岐鎖C−C10アルキルであり、eは、それぞれ独立してHまたは天然アミノ酸の側鎖の任意の1つであり、Zは、それぞれ独立して、少なくとも下記の1つ
【化3】

が化合物中にあるという条件下で、−H、
【化4】


であり、rは、それぞれ独立して2、3、または7であり、sは、それぞれ独立して3、5、または6であり、tは、それぞれ独立して0または1であり、vは、それぞれ独立して1、2、または6であり、RとRは、それぞれ独立して、−H、−D、−C−Cアルキル、−ハロゲン、−OH、−C(O)C−Cアルキル、−O−アリール、−O−ベンジル、−OC(O)C−Cアルキル、−C−Cアルケン、−C−Cアルキン、−C(O)C−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NH(C(O)C−Cアルキル)、−N(C(O)C−Cアルキル)、−SH、−S(C−Cアルキル)、−S(O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキルであり、Rは、それぞれ独立して−H、−C(O)−C−Cアルキル、またはOR、NRもしくはハロゲンで任意に置換される直鎖または分岐鎖C−Cアルキルであり、ただし、m、n、o、pおよびqがそれぞれ0であり、WとWはそれぞれ無であり、
Zは
【化5】

である場合、tは0でなければならず、m、n、o、pおよびqがそれぞれ0であり、WとWが互いに無の場合、Zは
【化6】

であってはならない。
【0009】
式Iでは、1つ以上のいかなるHも重水素と置換され得る。式Iではさらにメチル置換基がC−Cアルキルに置換され得ることが理解される。
【0010】
また、少なくとも1つの脂肪酸ナイアシン誘導体を含む医薬製剤が記載される。
【0011】
本明細書ではまた、脂肪酸ナイアシン誘導体の治療に感受性が高い疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体を投与することによる方法が記載される。
【0012】
本明細書ではまた、代謝性疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体を投与することによる方法が記載される。
【0013】
本発明はまた、有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体および薬学的許容可能な担体を含む医薬組成物を包含する。前記組成物は代謝性疾患の治療または予防に有用である。本発明は、薬学的に許容可能なプロドラッグ、水和物、塩、鏡像異性体、立体異性体、またはそれらの混合物として提供される脂肪酸ナイアシン誘導体を包含する。
【0014】
本発明の詳細は下記添付の記載において記載される。本明細書に記載された、類似または等価の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することが可能であるが、例示的な方法および材料が以下に記載される。他の本発明の特徴、目的、および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈が明確に他を示していない限り、単数形は複数を含む。特に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、一般的に、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で引用された全ての特許および刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】HepG2細胞のアポB分泌における化合物1−7の効果を示す。
【図2】SREBP−lc標的遺伝子における脂肪酸ナイアシン誘導体の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
代謝性疾患は、対象者の代謝を妨げる各種医学的障害である。代謝は対象者の体が食物をエネルギーに変換するために使用する過程である。代謝性疾患を有する対象者の代謝は、なんらかの方法で中断される。脂肪酸ナイアシン誘導体は代謝性疾患を治療または予防する能力を有する。
【0017】
脂肪酸ナイアシン誘導体はナイアシン類似体およびオメガ−3脂肪酸が単一分子抱合体にまとまるように設計されている。脂肪酸ナイアシン誘導体の活性は、分子複合体の個々の構成成分の合計に比べ実質的に大きく、脂肪酸ナイアシン誘導体によって誘導される活性に相乗効果があることを示す。
(定義)
【0018】
以下の定義は脂肪酸ナイアシン誘導体に関連して使用される。
【0019】
“脂肪酸ナイアシン誘導体”という用語は、本明細書に記載の脂肪酸ナイアシン誘導体の、あらゆる可能な異性体、立体異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグを包含する。
【0020】
冠詞“一”および“一つの”は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本開示で使用される。例として、“1つの要素”は1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0021】
特記しない限り、用語“および/または”は、“および”もしくは“または”のどちらかを意味するように本開示で使用される。
【0022】
特に定義しない限り、“アリール”という用語は、1から2の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を示し、フェニル、ビフェニルまたはナフチルなどの単環式または二環式基を含む。2つの芳香環(二環式など)を包含する位置は、アリール基の芳香環が、単一の点で結合(例えば、ビフェニル)、または融合(例えば、ナフチル)することが可能である。アリール基は、必要に応じて任意の連結点で1つ以上の置換基、例えば、1から5個の置換基によって置換されていてもよい。置換基はそれら自体が任意に置換される。
【0023】
“C−Cアルキル”は、1−3個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を指す。C−Cアルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルである。
【0024】
“C−Cアルキル”は、1から4個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を指す。C−Cアルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルである。
【0025】
“C−Cアルキル”は、1から5個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を指す。C−Cアルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、およびネオペンチルである。
【0026】
“C−Cアルキル”は、1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を指す。C−Cのアルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、およびネオペンチルである。
【0027】
“シクロアルキル”という用語は、3から6個の炭素原子を含む環状炭化水素を指す。シクロアルキル基の例はこれらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。シクロアルキル上のいかなる置換水素もハロゲン、C−Cアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ基で置換し得ることが理解される。
【0028】
本明細書中で使用される“複素環”という用語は、3から6個の原子を含む環状炭化水素を指し、そこでは少なくとも1つの原子は、O、N、またはSである。複素環の例は、これらに限定されないが、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、チアン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、ピペラジン、オキサジン、ジチアン、およびジオキサンである。
【0029】
本明細書で使用される“天然アミノ酸の側鎖のいずれか”という用語は、以下のアミノ酸、すなわちイソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、アルギニン、セリン、ヒスチジン、およびチロシンのいずれかの側鎖を意味する。
【0030】
本明細書で使用される“脂肪酸”という用語は、オメガ−3脂肪酸と、生体内でオメガ−3脂肪酸に代謝される脂肪酸を意味する。脂肪酸の非限定的な例は、オール−シス−7,10,13−ヘキサデカトリエン酸、α−リノレン酸(ALAまたはオール−シス−9,12,15−オクタデカトリエン酸)、ステアリドン酸(STDまたはオール−シス−6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸)、エイコサトリエン酸(ETEまたはオール−シス−11,14,17−エイコサトリエン酸)、エイコサテトラエン酸(ETAまたはオール−シス−8,11,14,17−エイコサテトラエン酸)、エイコサペンタエン酸(EPAまたはオール−シス−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸)、ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸またはオール−シス−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸)、ドコサヘキサエン酸(DHAまたはオール−シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸)、テトラコサペンタエン酸(オール−シス−9,12,15,18,21−ドコサヘキサエン酸)、またはテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸またはオール−シス−6,9,12,15,18,21−テトラコセン酸)である。
【0031】
本明細書中で使用される“ナイアシン”という用語は、ナイアシンおよびその任意の誘導体として知られている分子を意味する。
【0032】
“対象者”は、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはサル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルのような非ヒト霊長類であり、 “対象者”および“患者”という用語は、本明細書において同じ意味で使用される。
【0033】
本発明はまた、有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を包含する。本発明は、薬学的に許容可能なプロドラッグ、水和物、薬学的に許容可能な塩などの塩、鏡像異性体、立体異性体、またはそれらの混合物として提供される脂肪酸ナイアシン誘導体を包含する。
【0034】
代表的な“薬学的に許容可能な塩”は、例えば水溶性および水不溶性の塩を含み、酢酸塩、アムソネート(amsonate)(4,4−ジアミノスチルベン−2,2−ジスルホン酸)、ベンゼンスルホン酸、ベンゾネート(benzonate)、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カムシレート、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸、グルタミン酸、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マグネシウム、リンゴ酸、マレイン酸塩、マンデル酸、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエート、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1−メタン−ビス−2−ヒドロキシ−3−ナフトエート、アインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロ酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、次サリチル酸、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシレート、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩などが挙げられる。
【0035】
本明細書中で使用される“代謝性疾患”という用語は、高脂血症を伴う疾患、疾患や症候群を指し、代謝性疾患、代謝性疾患、メタボリックシンドロームという用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0036】
脂肪酸ナイアシン誘導体に関連して使用されるとき、“有効量”とは、代謝性疾患を治療または予防するために有効な量である。
【0037】
本開示で使用される“担体”という用語は、担体、賦形剤、および希釈剤を包含し、薬剤を1つの臓器、あるいは体の一部から、他の臓器または体の一部に運ぶまたは輸送することに関与した、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤またはカプセル化材料などの材料、組成物または溶媒を意味する。
【0038】
対象者に関する“治療する”という用語は、対象者の疾患の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療は、障害を治癒、改善、または少なくとも部分的に和らげ得る。
【0039】
特に明記しない限り、“障害”という用語は、疾患、症状、または病気を意味し、互換的に使用され、本開示で使用されている。
【0040】
本開示で使用される“投与する”、“投与すること”、または“投与”という用語は、化合物もしくは化合物の薬学的に許容可能な塩または組成物を患者に直接的に投与すること、あるいは、化合物もしくは化合物の薬学的に許容可能な塩のプロドラッグ誘導体もしくは類似体または組成物を対象者に投与し、対象者内における活性化合物の相当量を形成し得ることを指す。
【0041】
本開示で使用される“プロドラッグ”という用語は、代謝手段(例えば、加水分解など)により脂肪酸ナイアシン誘導体へ生体内で変換可能な化合物を意味する。
【0042】
以下の略語は、本明細書中で使用され、示された定義を有する。すなわち、BocとBOCはtert−ブトキシカルボニル、BocOは、ジ−tert−ブチルジカーボネート、BSAはウシ血清アルブミン、CDIは1,1’−カルボニルジイミダゾ−ル、DCCはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミン、DMAPは4−ジメチルアミノピリジン、DMEMはダルベッコ改変イーグル培地、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DOSSはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、EDCとEDCIは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ELISAは酵素結合免疫吸着検定法、EtOAcは酢酸エチル、FBSはウシ胎児血清、hは時間、HATUは2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、HIVはヒト免疫不全ウイルス、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、oxoneはペルオキシ一硫酸カリウム、Pd/Cは炭素上のパラジウム、TFAはトリフルオロ酢酸、TGPSはトコフェロールプロピレングリコールスクシナート、およびTHFはテトラヒドロフランである。
(化合物)
【0043】
従って、1つの態様において、本発明は、共有結合したナイアシンと脂肪酸を含む分子抱合体を提供し、前記脂肪酸はオメガ−3脂肪酸および生体内でオメガ−3脂肪酸に代謝される脂肪酸からなる群から選択され、前記抱合体は少なくとも1つのアミドを含み、前記抱合体は加水分解して遊離ナイアシンと遊離脂肪酸を生成することが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態において、脂肪酸は、オール−シス−7,10,13−ヘキサデカトリエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸およびテトラコサヘキサエン酸からなる群から選択される。他の実施形態において、脂肪酸はエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸から選択される。いくつかの実施形態において、加水分解は、酵素によるものである。
【0045】
別の態様において、本発明は、式Iによる脂肪酸ニコチン酸誘導体:
【化7】


およびその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体、および立体異性体を提供し、
式中、R、R、R、R、R、R、R、R、W、W、L、a、c、b、d、e、g、h、m、n、o、p、q、Z、r、s、tおよびvは、少なくとも下記の1つ
【化8】


が化合物中にあるという条件下で、上記の式Iで定義された通りである。
【0046】
いくつかの実施形態において、Rは、Cl、F、またはCNである。
【0047】
いくつかの実施形態において、Rは−CHまたは−CHCHである。
【0048】
いくつかの実施形態において、WはNHである。
【0049】
いくつかの実施形態において、WはNHである。
【0050】
いくつかの実施形態において、WはOである。
【0051】
いくつかの実施形態において、WはOである。
【0052】
いくつかの実施形態において、aとcはそれぞれ独立してHまたはCHである。
【0053】
いくつかの実施形態において、mは0である。
【0054】
他の実施形態において、mは1である。
【0055】
いくつかの実施形態において、Lは、−S、または−S−S−である。
【0056】
いくつかの実施形態において、Lは−O−である。
【0057】
いくつかの実施形態において、Lは
【化9】

である。
【0058】
いくつかの実施形態において、Lは
【化10】

である。
【0059】
いくつかの実施形態において、Lは
【化11】

である。
【0060】
いくつかの実施形態において、Lは
【化12】

である。
【0061】
いくつかの実施形態において、Lは
【化13】

である。
【0062】
いくつかの実施形態において、Lは
【化14】

である。
【0063】
いくつかの実施形態において、1つのbはO−Zであり、Zは
【化15】

であり、tは1である。
【0064】
いくつかの実施形態において、1つのdは、C(O)ORである。
【0065】
いくつかの実施形態において、n、o、p、およびqはそれぞれ1である。
【0066】
いくつかの実施形態において、n、o、p、およびqの2つはそれぞれ1である。
【0067】
他の実施形態において、n、o、p、およびqの3つはそれぞれ1である。
【0068】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化16】

であり、rは2である。
【0069】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化17】

であり、rは3である。
【0070】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化18】

であり、rは7である。
【0071】
他の実施形態において、1つのZは
【化19】

であり、sは3である。
【0072】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化20】

であり、sは5である。
【0073】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化21】

であり、sは6である。
【0074】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化22】

であり、vは1である。
【0075】
他の実施形態において、1つのZは
【化23】

であり、vは2である。
【0076】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化24】

であり、vは6である。
【0077】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化25】

であり、sは3である。
【0078】
いくつかの実施形態において、1つのZは
【化26】

であり、sは5である。
【0079】
他の実施形態において、1つのZは
【化27】

であり、sは6である。
【0080】
いくつかの実施形態において、tは1である。
【0081】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、LはOである。
【0082】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、Lは−S−S−である。
【0083】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化28】

である。
【0084】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ0であり、Lは
【化29】

である。
【0085】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、m、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1である。
【0086】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化30】

である。
【0087】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化31】

である。
【0088】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、mは1であり、nとoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化32】

である。
【0089】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、mは1であり、nとoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化33】

である。
【0090】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、Lは
【化34】

である。
【0091】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、LはNRである。
【0092】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、m、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、1つのcは−CH、および他方のCは−CHである。
【0093】
いくつかの実施形態において、rは2であり、sは6であり、WとWはそれぞれNHであり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化35】

である。
【0094】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは−S−S−である。
【0095】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは−O−である。
【0096】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは
【化36】

である。
【0097】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは
【化37】

である。
【0098】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは
【化38】

である。
【0099】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、Lは
【化39】

である。
【0100】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1である。
【0101】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、n、o、p、およびqの2つはそれぞれ1である。
【0102】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、WとWはそれぞれNHである。
【0103】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、LはOである。
【0104】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、Lは−S−S−である。
【0105】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化40】

である。
【0106】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ0であり、Lは
【化41】

である。
【0107】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、m、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1である。
【0108】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化42】

である。
【0109】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化43】

である。
【0110】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、Lは
【化44】

である。
【0111】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化45】

である。
【0112】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、n、o、p、およびqはそれぞれ1であり、LはNRである。
【0113】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、m、nおよびoはそれぞれ0であり、pおよびqはそれぞれ1であり、1つのcは−CHであり、他方のcは−CHである。
【0114】
いくつかの実施形態において、rは3であり、sは5であり、mは1であり、nおよびoはそれぞれ1であり、pおよびqはそれぞれ0であり、Lは
【化46】

である。
【0115】
式Iにおいて、Hのいずれか1つ以上は重水素で置換されてもよい。式Iではまた、メチル置換基がC−Cアルキルで置換可能であることが理解される。
【0116】
他の例示的な実施形態において、式Iの化合物は下記で明らかにされる。
【0117】
N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド (I−1);
【0118】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−2);
【0119】
N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド (I−3);
【0120】
N−(2−(1−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−2,5−ジオキソピロリジン−3−イルチオ)エチル)ニコチンアミド (I−4);
【0121】
メチル3−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドアセトキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−5);
【0122】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル6−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート (I−6);
【0123】
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミド (I−7);
【0124】
N−(2−(5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド (I−8);
【0125】
(2S,3R)−メチル3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−9);
【0126】
(2S,3R)−メチル3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−10);
【0127】
(S)−メチル6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート (I−11);
【0128】
(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−12);
【0129】
(S)−メチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサノエート (I−13);
【0130】
(S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−14);
【0131】
(S)−メチル6−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート (I−15);
【0132】
(S)−6−((5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,ll,14,17−ペンタンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−16);
【0133】
(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−17);
【0134】
(S)−5−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ペンタン酸 (I−18);
【0135】
(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−5−(ニコチンアミド)ペンタン酸 (I−19);
【0136】
4−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)ブタン酸 (I−20);
【0137】
2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−4−(ニコチンアミド)ブタン酸 (I−21);
【0138】
3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)プロパン酸 (I−22);
【0139】
2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−3−(ニコチンアミド)プロパン酸 (I−23);
【0140】
2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−4−(ニコチンアミド)ブタン酸 (I−24);
【0141】
(S)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサノエート (I−25);
【0142】
(S)−l,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル5−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ペンタノエート (I−26);
【0143】
(S)−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−5−(ニコチンアミド)ペンタノエート (I−27);
【0144】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル4−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−28);
【0145】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−4−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−29);
【0146】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)プロパノエート (I−30);
【0147】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−3−(ニコチンアミド)プロパノエート (I−31);
【0148】
1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−4−(ニコチンアミド)ブタノエート (I−32);
【0149】
N−(4−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドブチル)ニコチンアミド (I−33);
【0150】
N−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドプロピル)ニコチンアミド (I−34);
【0151】
N−(l−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−メチルプロパン−2−イル)ニコチンアミド (I−35);
【0152】
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−メチルプロピル)ニコチンアミド (I−36);
【0153】
N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチルアミノ)エチル)ニコチンアミド (I−37);
【0154】
N−(3−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチルアミノ)プロピル)ニコチンアミド (I−38);
【0155】
N−(2−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドプロピルアミノ)エチル)ニコチンアミド (I−39);
【0156】
N−(2−((3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドプロピル)(エチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−40);
【0157】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(イソブチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−41);
【0158】
N−(2−(N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)アセトアミド)エチル)ニコチンアミド (I−42);
【0159】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(2−モルホリノエチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−43);
【0160】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(3−(ピペラジン−1−イル)プロピル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−44);
【0161】
N−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−オキソプロピル)ニコチンアミド (I−45);
【0162】
N−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−モルホリノプロピル)ニコチンアミド (I−46);
【0163】
N−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ピペラジン−1−イル)プロピル)ニコチンアミド(I−47);
【0164】
N−(3−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)ニコチンアミド (I−48);
【0165】
N−(5−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−3−ヒドロキシペンチル)ニコチンアミド (I−49);
【0166】
N−(5−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−3−モルホリノペンチル)ニコチンアミド (I−50);
【0167】
N−(5−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−3−(ピペラジン−l−イル)ペンチル)ニコチンアミド (I−51);
【0168】
(S)−((R)−l−(ニコチンアミド)プロパン−2−イル)2−((5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)プロパノエート (I−52);
【0169】
(S)−((R)−l−(ニコチンアミド)プロパン−2−イル)2−((5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−3−メチルブタノエート (I−53);
【0170】
N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エトキシ)エチル)ニコチンアミド (I−54);
【0171】
N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチルチオ)エチル)ニコチンアミド (I−55);
【0172】
(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−1−(ニコチンアミド)プロパン−2−イル ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノエート (I−56);
【0173】
(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−4−メトキシ−3−(ニコチンアミド)−4−オキソブタン−2−イル ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサノエート (I−57);
【0174】
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−6−メチルニコチンアミド (I−58);
【0175】
N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)−6−メチルニコチンアミド (I−59);
【0176】
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−6−エチルニコチンアミド (I−60);
【0177】
6−エチル−N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド (I−61);
【0178】
6−クロロ−N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミド (I−62);
【0179】
6−クロロ−N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド (I−63);
【0180】
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−6−フルオロニコチンアミド (I−64);
【0181】
6−フルオロ−N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド (I−65);
【0182】
6−シアノ−N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミド (I−66);
【0183】
6−シアノ−N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド (I−67);
【0184】
(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(2−メチルニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−68);
【0185】
(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(2−メチルニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−69);
【0186】
(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(2−エチルニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−70);
【0187】
(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(2−エチルニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−71);
【0188】
(S)−2−(2−クロロニコチンアミド)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)ヘキサン酸 (I−72);
【0189】
(S)−6−(2−クロロニコチンアミド)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)ヘキサン酸 (I−73);
【0190】
(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(2−フルオロニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−74);
【0191】
(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(2−フルオロニコチンアミド)ヘキサン酸 (I−75);
【0192】
(S)−2−(2−シアノニコチンアミド)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)ヘキサン酸 (I−76);
【0193】
(S)−6−(2−シアノニコチンアミド)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)ヘキサン酸 (I−77);
【0194】
N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)−6−メチルニコチンアミド (I−78);
【0195】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)−6−メチルニコチンアミド (I−79);
【0196】
N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)−6−メチルニコチンアミド (I−80);
【0197】
N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)−6−エチルニコチンアミド (I−81);
【0198】
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)−6−エチルニコチンアミド (I−82);
【0199】
N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)−6−エチルニコチンアミド (I−83);
【0200】
6−クロロ−N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド (I−84);
【0201】
6−クロロ−N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−85);
【0202】
6−クロロ−N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド (I−86);
【0203】
6−シアノ−N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド (I−87);
【0204】
6−シアノ−N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド (I−88);
【0205】
6−シアノ−N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド (I−89);
【0206】
本発明はまた、アテローム性動脈硬化症、脂質代謝異常、冠状動脈性心臓病、高コレステロール血症、2型糖尿病、高コレステロール、メタボリック症候群および心血管疾患を含む代謝性疾患の治療または予防など、代謝性疾患の治療方法を包含する。
【0207】
1つの実施形態において、前記方法は、トリグリセリドまたはVLDLやLDLの放出減少、コレステロール逆輸送増加もしくはHDL濃度増加を惹起するために十分な量の脂肪酸ナイアシン誘導体と細胞を接触させることを含む。
【0208】
本発明で提供されるものはまた、対象者の代謝性疾患または代謝性疾患症状の抑制、予防または治療の方法である。そのような疾患の例としては、これらに限定されないが、アテローム性動脈硬化症、脂質代謝異常、高トリグリセリド血症、高血圧、心不全、不整脈、低HDL濃度、高LDL濃度、突然死、安定狭心症、冠動脈性心疾患、急性心筋梗塞、心筋梗塞の二次予防、心筋症、心内膜炎、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高コレステロール血症、脳卒中、高脂血症、高リポ蛋白血症、慢性腎臓病、間欠性跛行、高リン血症、頚動脈硬化症、末梢動脈疾患、糖尿病性腎症、HIV感染における高コレステロール血症、急性冠症候群(ACS)、非アルコール性脂肪性肝疾患、動脈閉塞性疾患、脳動脈硬化症、脳血管障害、心筋虚血、および糖尿病性自律神経障害を含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、対象者は有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体を投与される。
【0210】
本発明はまた、代謝性疾患の治療または予防、もしくは代謝性疾患の抑制、もしくはこれら活性の1つ以上のために有用な医薬組成物を包含する。前記組成物は、内服使用に適合し得、有効量の脂肪酸ナイアシン誘導体と薬学的に許容可能な担体を含むことが可能である。脂肪酸ナイアシン誘導体は、それらが非常に低い末梢毒性または末梢無毒性を示す点で特に有用である。
【0211】
脂肪酸ナイアシン誘導体は、代謝性疾患の治療や予防、または対象者の発症を予防するために十分な量でそれぞれ投与され得る。
【0212】
脂肪酸ナイアシン誘導体の投与は、治療薬の投与の任意の方法を実施し得る。これらの方法は、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、膣、頬、直腸などの全身投与もしくは局部投与、または局所投与法などを含む。
【0213】
意図された投与方法に応じて、前記組成物は、例えば注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、徐放性カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、乳剤、シロップ、粉末、液体、懸濁液などの固体、半固体または液体の剤形にすることが可能であり、時には単位投与で従来の医薬品治療と一致している。同様に、それらはまた、静脈内(ボーラス投与および点滴の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の投与方法、製薬分野の当業者に周知である全ての使用形態で投与可能である。
【0214】
例示的な薬学的組成物は、錠剤、およびゼラチンカプセルであり、脂肪酸ナイアシン誘導体と、
a)精製水、水素添加または部分的に水素添加された植物油などのトリグリセリド油、またはそれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ひまわり油、紅花油、EPAやDHAなどの魚油またはそれらのエステルもしくはトリグリセリドまたはそれらの混合物、オメガ−3脂肪酸またはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/またはグリシンなどの希釈剤、
b)シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコールなどの潤滑剤、錠剤も同様に、
c)必要に応じて、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、グルコースまたはβ−ラクトースのような天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、ワックスおよび/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤、
d)デンプン、寒天、メチルセルロ−ス、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物などの崩壊剤、
e)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤、
f)ツイーン80、ラブラソール(Labrasol)、HPMC、DOSS、カプロイル909、ラブラファック、ラブラフィル(Labrafil)、ペセオール(Peceol)、トランスキュトール(transcutol)、カプムル(Capmul)MCM、カプムル(Capmul)PG−12、カプテックス(captex)355、ゲルシア(Gelucire)、ビタミンE TGPSまたはその他の許容可能な乳化剤などの乳化剤や分散剤、および/または、
g)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−シクロデキストリン、PEG400、PEG200など化合物の吸収を高める薬剤、のような薬学的に許容可能な担体を含む。
【0215】
液体、特に注射液は、組成物が例えば溶解、分散などによって調製され得る。例えば、脂肪酸ナイアシン誘導体は、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒に溶解または混合され、それにより注射用等張溶液または懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質などのタンパク質は脂肪酸ナイアシン誘導体を可溶化するために使用され得る。
【0216】
脂肪酸ナイアシン誘導体はまた、脂肪性の乳剤または懸濁液から、担体としてプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールを使用して調製され得ることが可能な坐剤として製剤化され得る。
【0217】
脂肪酸ナイアシン誘導体はまた、小型単一ラメラ小胞、大型単一ラメラ小胞および多層小胞などのリポソーム送達系の方法で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む様々なリン脂質から形成され得る。いくつかの実施形態において、脂質成分の薄膜は、米国特許第5,262,564号(その内容は参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、薬物の水溶液と水和され、薬物をカプセル化する脂質層を形成する。
【0218】
脂肪酸ナイアシン誘導体はまた、脂肪酸ナイアシン誘導体が結合する個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により送達され得る。脂肪酸ナイアシン誘導体はまた、標的薬物担体として可溶性ポリマーと結合され得る。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパンアミドフェノール(polyhydroxyethylaspanamidephenol)、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシドポリリシンを含むことが可能である。さらに、脂肪酸ナイアシン誘導体は、薬物の放出制御達成に有用なポリ乳酸、ポリエプシロンカプロラクトン(polyepsilon caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体などの生分解性ポリマーのクラスに結合され得る。1つの実施形態において、脂肪酸ナイアシン誘導体はポリカルボン酸系ポリマー、またはポリアクリレートなどのポリマーに共有結合されない。
【0219】
非経口注射剤投与は一般的に皮下、筋肉内または静脈内注射および点滴に使用される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液または注射前の液体への溶解に適した固体形態のいずれかとして従来の形態で調製され得る。
【0220】
組成物はそれぞれ、従来の混合、顆粒化またはコーティング方法に従って調製し得、本発明の医薬組成物は、脂肪酸ナイアシン誘導体を重量や体積で約0.1%から約80%、約5%から約60%、もしくは約1%から約20%で含むことが可能である。
【0221】
脂肪酸ナイアシン誘導体を利用する投薬計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、病状;治療される症状の重症度;投与経路;患者の腎機能や肝機能;および使用される特定の脂肪酸ナイアシン誘導体を含む様々な要因に基づき選択される。当業者の医師または獣医は、疾患状態の進行を予防、相殺または抑止するために必要な薬剤の有効量を容易に決定し、処方することが可能である。
【0222】
示された効果を得るために使用される場合、本発明の有効投与量は、1日あたり約20mgから約5,000mgの範囲の脂肪酸ナイアシン誘導体である。生体内または生体外使用のための組成物は、約20mg、50mg、75mg、100mg、150mg、250mg、500mg、750mg、1,000mg、1,250mg、2,500mg、3,500mgまたは5,000mgの脂肪酸ナイアシン誘導体を含むことが可能である。1つの実施形態において、組成物は、数えることが可能な錠剤の形態である。脂肪酸ナイアシン誘導体の効果的な血漿中濃度は1日につき体重1kgあたり約0.002mgから約100mgの範囲で設定可能である。脂肪酸ナイアシン誘導体の適切な用量は、Goodman,L.S.;Gilman,A.The Pharmacological Basis of Therapeutics,5th.ed.;MacMillan:New York,1975,pp.201−226に記載されるように決定され得る。
【0223】
脂肪酸ナイアシン誘導体は、1日1回で投与され得、また1日の総投与量は1日2回、3回または4回の分割用量で投与され得る。さらに、脂肪酸ナイアシン誘導体は、適切な鼻腔内溶媒の局所使用または当業者にそれらの様式が周知の経皮パッチを使用する経皮的な経路を介して鼻腔内形態で投与され得る。経皮送達システムの方法で投与されるため、前記用量投与は、投薬計画全体を通して断続的ではなく、連続的にし得る。他の例示の局所的な製剤は、クリーム、軟膏、ローション、エアゾールスプレーおよびジェルを含み、脂肪酸ナイアシン誘導体の濃度は、重量/重量または重量/容量で約0.1%から約15%の範囲である。
(製造方法)
(脂肪酸ナイアシン誘導体の製造方法)
【0224】
式Iの脂肪酸ナイアシン誘導体を製造するために有用な合成経路の例が以下の実施例に記載され、スキーム1から9に一般化される。
【化47】

スキーム中、R、r、およびsは、上記に定義される。
【0225】
式Bのモノ−BOC保護アミンは、商業的供給源から入手、またはKrapcho et al.Synthetic Communications 1990,20,2559−2564に概説された手順に従って調製され得る。化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用してアミンBとアミド化され得、CHClまたはジオキサンなどの溶媒におけるTFAやHClなどの酸によるBOC基の脱保護によって結合した化合物Cを生成する。DIEAのようなアミン存在下でHATUなどのカップリング剤による化合物Cの活性化の後に、式Dの脂肪酸添加によって、式Eの化合物を生成する。
【化48】

スキーム中、R、rおよびsは、上記に定義されている。
【0226】
式Fのアシル化アミンは、Andruszkiewicz et al.Synthetic Communications 2008,38,905−913に概説された手順を用いて調製され得る。化合物AはDCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用してアミンFとアミド化され得、CHClまたはジオキサンなど溶媒中のTFAやHClなどの酸によるBOC基の脱保護によって、結合した化合物Gを生成する。DIEAのようなアミンの存在下でHATUなどのカップリング剤による化合物Gの活性化の後に、式Dの脂肪酸添加によって、式Hの化合物を生成する。
【化49】

スキーム中、rおよびsは、上記に定義されている。
【0227】
化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用して対応するアミンI(iは0、1、2または3)と共にアミド化され得、CHClまたはジオキサンなど溶媒中のTFAまたはHClなどの酸によるBOC基の脱保護によって、結合した化合物Jを生成する。DIEAのようなアミン存在下でHATUなどのカップリング剤による化合物Jの活性化の後に、式Dの脂肪酸添加によって、式Kの化合物を生成する。NaOHまたはLiOHなど塩基性条件下におけるエステルの加水分解は対応する酸を生成し、それはグリシドールと結合し得、式Lの化合物を生成する。
【化50】

スキーム中、rおよびsは、上記に定義されている。
【0228】
アミンMは、Dahan et al.J.Org.Chem.2007,72,2289−2296に概説された手順を用いて調製し得る。化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用してアミンMと結合され得、CHClまたはジオキサンなど溶媒中のTFAやHClなどの酸によるBOC基の脱保護によって、結合した化合物Nを生成する。DIEAのようなアミンの存在下でHATUなどのカップリング剤による化合物Nの活性化の後に、式Dの脂肪酸添加によって、式Oの化合物を生成する。
【化51】

スキーム中、rおよびsは、上記に定義されている。
【0229】
化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用し、商業的に入手可能なアミンPでアミド化され得、化合物Qを生成する。化合物QにおけるBOC基は、CHClまたはジオキサンなどの溶媒中におけるTFAやHClなどの酸で除去され得、生成したアミンは、DIEAのようなアミンの存在下でHATUなどのカップリング剤を用いて式Dの脂肪酸と結合可能であり、式Rの化合物を生成する。当業者には、式Q中の硫黄基は、Hやオキソンなどの酸化剤を使用して、対応するスルホキシドまたはスルホンに酸化され得る。
【化52】

スキーム中、R、rおよびsは、上記に定義されている。
【0230】
アミンTは、Dahan et al.J.Org.Chem.2007,72,2289−2296に概説された手順を用いて商業的に入手可能なジアミンから調製され得る。化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用してアミンTとアミド化され得、化合物Uを生成する。化合物UのBOC基は、CHClまたはジオキサンなどの溶媒中におけるTFAまたはHClなどの酸で除去され得、生成したアミンは、DIEAのようなアミンの存在下でHATUを用いて式Dの脂肪酸に結合され得、式Vの化合物を生成する。当業者には、化合物Uのヒドロキシル基は、Pd/Cなどの触媒上での標準的なメシル化作用とそれに続くアジ化ナトリウムとの置換および水素化により、さらにアシル化またはアミノ基に変換され得る。前記アミンは、アシル化またはアルキル化され得、続いてBOC基が除去される。生成したアミンは、式Dの脂肪酸と結合することが可能であり、式Wの化合物を生成する。
【化53】

スキーム中、rおよびsは、上記のように定義されている。
【0231】
化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用して、商業的に入手可能なアミンXでアミド化され得、化合物Yを生成する。化合物YのBOC基は、CHClまたはジオキサンなどの溶媒中におけるTFAやHClなどの酸で除去され得る。生成したアミンは、DIEAのようなアミンの存在下でHATUなどのカップリング剤を用いて式Dの脂肪酸に結合され得、式Zの化合物を生成する。
【化54】

スキーム中、rおよびsは、上記に定義されている。
【0232】
化合物Aは、DCC、CDI、EDCなどのカップリング試薬、または必要に応じて第三級アミン塩基および/または触媒、例えばDMAPを使用して、商業的に入手可能なシステインメチルエステルでアミド化され得、化合物AAを生成する。商業的に入手可能なマレイミド誘導体BBは、HATUやEDCIなどのカップリング剤を用いて式Dの脂肪酸に結合され得、式CCの化合物を生成する。化合物AAは、アセトニトリルなどの溶媒中で式CCの化合物に結合され得、式DDの化合物を生成する。
【化55】


スキーム中、R、a、rおよびsは、上記に定義されている。
【0233】
商業的に入手可能なアミノ酸エステルEEは、ECDIやHATUなどのカップリング試薬を使用して式Dの脂肪酸と結合され得、続いてメチルエステルのアルカリ加水分解によって、式FFの化合物を生成する。式FFの化合物はEDCIやHATUなどのカップリング剤を用いて商業的に入手可能なBOC−アミノ酸誘導体GGに結合され得る。BOC基はTFAまたはHClなどの酸で除去され得、式HHの化合物を生成し、その化合物はその後化合物Aに結合され得、式IIの化合物を生成する。
【実施例】
【0234】
本開示は、以下の実施例によりさらに示されており、本明細書に記載の特定の手順に本開示の範囲または精神を制限するものとして解釈されるべきではない。実施例は特定の実施形態を説明するために提供されており、それによって本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。様々な他の実施形態、それらの変更例、および等価物が本開示の精神および/または添付された請求の範囲から逸脱することなく当業者に示し得ることがさらに理解されるべきである。
(実施例1)
HepG2細胞のアポB分泌における脂肪酸ナイアシン誘導体の効果
【0235】
ナイアシンは、生体内でHDL/LDLコレステロールの血清濃度を増加させることが報告されている。同様に、ナイアシンは、HepG2細胞培養の培養上清中で、アポA1の分泌を増加させ(Jin,F−Y.et al.Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.1997,17(10),2020−2028)、一方、アポBの分泌を阻害することが報告されている(Jin,F−Y.et al.Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.1999,19,1051−1059)。独立して、DHAは非常に異なる機序により、同様にアポBを低下することが報告されている(Pan,M.et al.J.Clin.Invest.2004,113,1277−1287)。このように、HepG2細胞からのアポB分泌は、ナイアシン−DHA抱合体とこれに加えて同誘導体に対する、細胞に基づく読み出しとしての有用性を有している。
【0236】
HepG2細胞(ATCC)は96ウェルプレートに1ウェル当たり10,000細胞で播種される。一晩接着後、増殖培地(DMEM中に10%FBSを含有)は除去され、細胞は0.1%無脂肪酸牛血清アルブミン(BSA、Sigma)を含むDMEM中で24時間血清欠乏状態にされる。細胞はその後化合物と共に処理される。5mMのナイアシンが、陽性対照として使用される。全ての処理は、計3回で実施される。化合物処理と同時に、アポB分泌は、モル比5:1の0.1オレイン酸と無脂肪酸BSAの複合体を添加することにより刺激される。化合物とオレイン酸のインキュベーションは24時間実施される。培養上清は除去され、アポB濃度はELISAキット(Mabtech AB)を用いて測定される。アポB分泌のパーセント抑制率(percent inhibition)は、溶媒が処理されたウェルに対する正規化データにより決定される。所与の化合物に関し、IC50(50%のアポB分泌が阻害される濃度)はまた、4パラメータ−適合阻害曲線モデル(Graph Pad Prism(登録商標))を使用することにより決定され得る。各実験において、細胞毒性に起因する化合物の効果がモニターされ得るように、細胞生存率がATPライト1−ステップキット(Perkin Elmer)を用いて決定される。
脂肪酸ナイアシン抱合体I−7は、3種の濃度(50μΜ、100μΜ、200μΜ)においてHepG2細胞で評価された。アポB分泌のレベルは5mMの濃度でナイアシンと比較され、評価された。ナイアシンに比べ、脂肪酸ナイアシン抱合体1−7は、非常に低い薬物濃度でアポBの顕著な阻害を示した。
(実施例2)
SREBP−lc標的遺伝子における脂肪酸ナイアシン誘導体の効果
HepG2細胞(ATCC)は96ウェルプレートに1ウェル当たり20,000細胞で播種された。一晩接着後、増殖培地(DMEM中に10%FBSを含有)が除去され、細胞は1%無脂肪酸ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma社)を含むDMEMで24時間血清欠乏状態にされた。細胞はその後、4つの物質のうち1つにより、1%BSAまたはモル比5:1の0.1%オレイン酸と無脂肪酸BSAの複合体で50μΜの最終濃度で処理された(4つの物質は、化合物I−7、化合物I−8、遊離ナイアシンと遊離DHAの組み合わせ、または遊離ナイアシンと遊離EPAの組み合わせである)。細胞は6時間培養され、その後PBSで洗浄された。RNAは標準プロトコル(Applied Biosystem StepOne Real−time PCRの手順書で説明されている)に従って、cells to cDNA試薬を用い逆転写された。3種の特定遺伝子FASN(脂肪酸シンターゼ)、SCD(ステアロイルCoAデサチュラーゼ)およびApoA1(アポリポタンパク質A1)の転写物のリアルタイムPCRは、TaqManアッセイにより実施された。3つの例全てにおいて、18S−VIC(登録商標)は、正規化コントロールとして使用された。図2に示すように、HepG2細胞が化合物I−7および化合物I−8の50μΜの存在下においてオレイン酸で刺激された時、FASNとSCDの遺伝子発現に統計学的に有意な抑制が観察され、ApoAl遺伝子発現に増加が観察された。遊離ナイアシンと遊離DHAまたはナイアシンと遊離EPAのいずれかの組み合わせを含む2つのグループは、50μΜの最終濃度で、前記の3つの特定遺伝子の発現に有意な変化を生じなかった。
(化合物)
【0237】
以下の非限定的な化合物の例は、脂肪酸ナイアシン誘導体のさらなる実施形態を説明するのに役立つ。実施例に記載されているいかなる実施形態も、脂肪酸ナイアシン誘導体の形態であり、それ自体として、上記の方法および組成物における使用に適していることが理解されるべきである。
(実施例3)
N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミド(I−7)の調製
【化56】

【0238】
典型例では、ニコチン酸(2.0g,16.2mmol)は塩化オキサリル(1.4mL,16.2mmol)と一緒にCHCl(20mL)に溶解された。DMFを数滴加えた後、反応混合物は、全ての固体が溶解し全てのガスの発生が停止するまで室温で撹拌された(1時間)。酸塩化物のこの新規調製溶液は、CHCl(200mL)中にtert−ブチル2−アミノカルバミン酸エチル(2.6g、16.2mmol)およびEtN(3.4mL、24.2mmol)を含む溶液に0℃で滴下された。結果として得られる反応混合物は室温まで加温され、2時間攪拌された。その後、反応混合物は、濃塩水での洗浄、NaSOでの乾燥、減圧条件下での濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl)による精製は、tert−ブチル2−(ニコチンアミド)カルバミン酸エチル(3.1g、74%)を生成した。
【0239】
tert−ブチル2−(ニコチンアミド)カルバミン酸エチル(3.1g、11.7mmol)はTFAを25%含むCHCl(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で1時間静置された。この時点で、生成した大量の沈殿物と透明な濾過液は除去された。残りの固形物は乾燥され、N−(2−アミノエチル)ニコチンアミド(1.6g)のTFA塩を生成した。
【0240】
N−(2−アミノエチル)ニコチンアミド(5.0mmol)のTFA塩は、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(5.0mmol)、HATU(5.5mmol)およびDIEA(15mmol)と一緒にCHCN(20mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間攪拌され、EtOAcで希釈された。有機層はNaHCO飽和水溶液、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過および濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール−CHCl)による精製は、N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミドを生成した。質量分析法はC3041:475.32;実測値:[M+H]476を算出した。
(実施例4)
N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド(I−8)の調製
【化57】

【0241】
N−(2−アミノエチル)ニコチンアミドのTFA塩(1.6g、5.7mmol)は、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸(1.7g、5.7mmol)、HATU(2.4g、6.3mmol)およびDIEA(3mL,17mmol)と一緒にCHCN(15mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間攪拌され、EtOAcで希釈された。有機層はNaHCO飽和水溶液、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過および濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール−CHCl)による精製は、N−(2−(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド(1.6g、62%)を生成した。質量分析法は、C2839:449.3;実測値:[M+H]450を算出した。
(実施例5)
N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド(I−3)の調整
【化58】

【0242】
シスタミン二塩酸塩(1.0g、4.44mmol)はメタノール(50mL)に溶解された。トリエチルアミン(1.85mL、3当量)が室温で添加され、MeOH(5mL)中の溶液としてBocO(0.97g、4.44mmol)が滴下された。結果として得られる反応混合物は室温で3時間撹拌された。減圧条件下で濃縮後、得られた残渣を1Mの水性NaHPO(20mL)に溶解した。水層は、ペンタン/EtOAc(10mL)の1:1溶液で洗浄され、1モルNaOH水溶液でpH9に塩基性化され、EtOAcで抽出された。結合した有機層は、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われ、tert−ブチル2−(2−(2−アミノエチル)ジスルファニル)カルバミン酸エチル(500mg、44%)を生成した。
【0243】
これとは別に、ニコチン酸(246mg、2.0mmol)がtert−ブチル2−(2−(2−アミノエチル)ジスファニル)カルバミン酸エチル(503mg、2.0mmol)、EDCI(422mg、2.2mmol)と一緒にCHCN(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で4時間攪拌され、その後EtOAcで希釈された。有機層はNaHCO希釈水溶液、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl)による精製は、tert−ブチル2−(2−(2−(ニコチンアミド)エチル)ジスルファニル)カルバミン酸エチル(400mg、56%)を生成した。
【0244】
tert−ブチル2−(2−(2−(ニコチンアミド)エチル)ジスルファニル)カルバミン酸エチル(200mg、0.56mmol)はTFAを25%含むCHCl溶液(5mL)に溶解され、室温で4時間放置された。反応混合物はその後減圧下で濃縮され、N−(2−(2−(2−アミノエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミドのTFA塩を生成した。この物質は、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(184mg、0.56mmol)、HATU(234mg、0.62mmol)およびDIEA(0.30mL)と一緒にCHCN(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAcで希釈され、飽和水溶性NaHCOと濃塩水で順次洗浄された。有機層はNaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール−CHCl)による精製は、(N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド(300mg、86%)を生成した。質量分析法は、C3245:567.3;実測値:[M+H]568を算出した。
(実施例6)
(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド(I−1)の調整
【化59】

【0245】
典型的な例では、水酸化ナトリウム(400mg、10mmol)はメタノール(70mL)に溶解され、2−(2−アミノエトキシ)エタンアミン二塩酸塩(1.0g、5.65mmol)が添加された。結果として得られる反応混合物は室温で30分間攪拌された。その後15分間にわたり、室温で、THF(15mL)中にBocO(740mg、3.40mmol)を含む溶液が滴下された。結果として得られる反応混合物は室温で18時間撹拌された。反応混合物はその後減圧条件下で濃縮された。結果として得られる残渣はCHCl(200mL)中に溶解され、室温で4時間激しく撹拌された。混合物は濾過され、濾過液は減圧条件下で濃縮され、tert−ブチル2−(2−アミノエトキシ)カルバミン酸エチル(850mg、74%)を生成した。
【0246】
tert−ブチル2−(2−アミノエトキシ)カルバミン酸エチル(420、2.06mmol)は、ニコチン酸(253mg、2.06mmol)およびEDCI(434mg、2.3mmol)と一緒にCHCN(20mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で18時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAc(20mL)で希釈され、飽和水溶液NaHCO、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。得られた残渣はシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/メタノール比は9:1)により精製され、tert−ブチル2−(2−(ニコチンアミド)エトキシ)カルバミン酸エチル(280mg、44%)を生成した。質量分析法は、C1523:309.17;実測値:[M+H]310を算出した。
【0247】
tert−ブチル2−(2−(ニコチンアミド)エトキシ)カルバミン酸エチル(140mg、0.453mmol)はTFAを25%含むCHCl(10mL)に溶解された。反応混合物は室温で2時間放置され、その後減圧条件下で濃縮され、N−(2−(2−アミノエトキシ)エチル)ニコチンアミドのTFA塩を生成した。この材料は、その後(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(148mg、0.453mmol)、HATU(190mg、0.498mmol)およびDIEA(0.24mL)と一緒にCHCN(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAcで希釈され、飽和水溶性NaHCOおよび濃塩水で順次洗浄された。有機層は、NaS0上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィーによる精製(CHCl/メタノールの比が9:1)は、N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド(75mg、31%)を生成した。質量分析法は、C3146:526.34;実測値:[M+H]527を算出した。
(実施例7)
N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド(I−2)の調整
【化60】

【0248】
N1−(2−アミノエチル)−N1−メチルエタン−1,2−ジアミン(5.0g、42.7mmol)はCHCl(100mL)に溶解され、0℃に冷却した。CHCl(10mL)中のBocO溶液(0.93g、4.27mmol)は、その後15分間にわたり0℃で滴下された。結果として得られる反応混合物は0℃で30分間撹拌され、次いで室温まで加温した。室温で2時間攪拌後、反応混合物はCHCl(100mL)で希釈された。有機層は、濃塩水(3×25mL)で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過および濃縮が行われ、tert−ブチル2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)カルバミン酸エチル(1.1g)を生成した。
【0249】
tert−ブチル2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)カルバミン酸エチル(400mg、1.84mmol)は、ニコチン酸(227mg、1.84mmol)およびEDCI(353mg、2.02mmol)と一緒にCHCN(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で18時間攪拌され、その後EtOAcで希釈された。有機層は、飽和水溶液NaHCO、濃塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。結果として得られる残渣はシリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール−CHCl)で精製され、tert−ブチル2−(メチル(2−(ニコチンアミド)エチル)アミノ)カルバミン酸エチル(180mg、30%)を生成した。質量分析法は、C16Η26Ν:322.2;実測値:[M+H]323を算出した。
【0250】
tert−ブチル2−(メチル(2−(ニコチンアミド)エチル)アミノ)カルバミン酸エチル(90mg、0.279mmol)は、TFAを25%含むCHCl溶液(5mL)で溶解され、室温で3時間放置された。反応混合物は減圧条件下で濃縮され、N−(2−((2−アミノエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミドのTFA塩を生成した。この材料は、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(90mg、0.279mmol)、HATU(117mg、0.31mmol)およびDIEA(0.15mL)と一緒にCHCN(10mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAcで希釈され、飽和水溶性NaHCOおよび濃塩水で順次洗浄した。有機層は、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール−CHCl)による精製は、N−(2−((2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)(メチル)アミノ)エチル)ニコチンアミド(30mg,20%)を生成する。質量分析法は、C3348:532.38;実測値:[M+H]533を算出した。
(実施例8)
(2S,3R)−メチル3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート(I−9)の調整
【化61】

【0251】
L−アラニンメチルエステル塩酸塩(0.85g、6.1mmol)は(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(2.0g、6.1mmol)、EDCI(1.3g、6.72mmol)およびDIEA(1.3mL)と一緒にCHCN(20mL)で溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAcで希釈され、NaHCO希釈水溶液および濃塩水で洗浄された。有機層は、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われ、(S)−メチル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノエート(2.0g、79%)を生成した。
【0252】
(S)−メチル2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノエート(2.0g,4.8mmol)は、5モルNaOH水溶液(5mL)と一緒にTHF(8mL)に溶解され、室温で3時間激しく撹拌された。反応混合物は水で希釈され、減圧条件下で濃縮された。その後十分な6NのHClが追加され、pH2に調整した。結果として得られる混合物はEtOAcで抽出された。結合した有機層はNaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われ、(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパン酸を生成した。これは、N−Boc−L−スレオニンメチルエステル(1.11g、4.78mmol)、HATU(2.0g、5.3mmol)およびDIEA(1.2mL)と一緒にCHCN(15mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で6時間撹拌され、EtOAcで希釈された。有機層はNaHCO、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCI)による精製は、(2S,3R)−メチル2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)ブタノエート(1.0g)を生成した。
【0253】
(2S,3R)−メチル2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)ブタノエート(300mg、0.488mmol)は4モルHC1を含むジオキサン(2mL)中に溶解され、室温で10分間放置された。その後、反応混合物はEtOAcで希釈され、減圧条件下で濃縮され、(2S,3R)−メチル2−アミノ−3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)ブタノエートのHCl塩を生成した。この材料は、ニコチン酸(60mg、0.488mmol)、HATU(204mg、0.54mmol)およびDIEA(0.25mL、1.46mmol)と一緒にCHCN(5mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で1時間攪拌され、減圧条件下で濃縮された。結果として得られる油状残渣はシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/メタノールの比は9:1)により精製され、(2S,3R)−メチル3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート(120mg、40%)を生成した。質量分析法は、C3649:619.36;実測値:[M+H]620を算出した。
(実施例9)
(2S、3R)−メチル3−((S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエート(I−10)の調整
【化62】

【0254】
(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸(EPA)がDHAの代わりに使用されることを除き、上記に概説された(2S,3R)−メチル3−((S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)プロパノイルオキシ)−2−(ニコチンアミド)ブタノエートの調製と同じ合成順序が使用された。質量分析法は、C3447:593.35;実測値:[M+H]594を算出した。
(実施例10)
(S)−メチル6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(I−11)の調製
【化63】

【0255】
H−リジン(BOC)−OMe塩酸塩(500mg、1.68mmol)は、ニコチン酸(207mg、1.68mmol)、EDCI(354mg、1.85mmol)およびDIEA(0.90mL)と一緒にCHCN(10mL)に溶解した。結果として得られる反応混合物は室温で18時間攪拌され、EtOAcで希釈された。有機層は、NaHCO希釈水溶液、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl)による精製は、(S)−メチル6−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(520mg、85%)を生成した。
【0256】
(S)−メチル6−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(260mg、0.71mmol)は、4モルのHC1を含むジオキサン(2mL)中に溶解され、室温で1時間放置された。反応混合物はEtOAcで希釈され、減圧条件下で濃縮され、(S)−メチル6−アミノ−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエートのHCl塩を生成した。この材料は、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(233mg、0.71mmol)、HATU(297mg、0.78mmol)およびDIEA(0.4mL)と一緒にCHCN(5mL)に溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間攪拌され、EtOAcで希釈された。有機層は、NaHCO希釈水溶液、濃塩水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、減圧条件下で濾過と濃縮が行われた。シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/メタノール比は9:1)による精製は、(S)−メチル6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(280mg、72%)を生成した。質量分析法は、C3549:575.37;実測値:[M+H]576を算出した。
(実施例11)
(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸(I−12)の調製
【化64】

(S)−メチル−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(40mg、0.0695mmol)は、80μLの5モル水酸化ナトリウム溶液と一緒に2mLのTHFに溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後、2NのHClでpH4に酸性化され、EtOAcで抽出された。結合した有機層は乾燥され(NaSO)、減圧条件下で濃縮され、31mgの(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸を生成した。質量分析法は、C3447:561.36;実測値:[M+H]562を算出した。
(実施例12)
(S)−メチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(I−13)の調製
【化65】

H−リジン(BOC)−OMe塩酸塩(500mg、1.68mmol)は、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸(EPA,509mg、1.68mmol)、HATU(702mg、1.85mmol)およびDIEA(880μL、5.04mmol)と一緒に25mlのCHCNに溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後EtOAc(70mL)で希釈され、濃塩水(20mL)で洗浄された。有機層は乾燥(NaSO)され、減圧条件下で濃縮された。結果として得られる残渣はシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl、90%のCHClに勾配溶離、10%メタノール)で精製され、870mgの(S)−メチル6−(tert−ブトキシカルボニル)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)ヘキサノエート(収率95%)を生成した。質量分析法は、C3252:544.39;実測値:[M+H]545を算出した。(S−メチル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)ヘキサン酸(870mg、1.60mmol)は4NのHClを含むジオキサン4mL中に溶解し、室温で10分間放置した。反応混合物は、EtOAc10mLで希釈され、減圧条件下で濃縮され、(S)−メチル6−アミノ−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)ヘキサノエートのHCl塩を生成した。この残基は、ニコチン酸(197mg、1.60mmol)、HATU(669mg、1,76mmol)およびDIEA(836mL、4.8mmol)と一緒に5mlのCHCNに溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間攪拌され、EtOAc(20mL)で希釈された。有機層は濃塩水(20mL)で洗浄され、乾燥され(NaSO)、減圧条件下で濃縮された。結果として得られる残渣はクロマトグラフィー(95%CHCl、5%メタノール)により精製され、300mgの(S)−メチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサノエートを生成した。質量分析法はC3347:549.36;実測値:[M+H]550を算出した。
(実施例13)
(S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸(I−14)の調製
【化66】

(S)−メチル2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサノエート(140mg、0.225mmol)は、水酸化ナトリウム水溶液(水2mL中に35mg含む)と一緒に2mLのTHFに溶解された。結果として得られる反応混合物は室温で2時間撹拌された。反応混合物はその後、2NのHClでpH4に酸性化され、次いでEtOAcで抽出された。結合した有機層は、乾燥(NaSO)され、減圧条件下で濃縮され、31mgの(S)−2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸を生成した。質量分析法はC3447:561.36;実測値:[M+H]562を算出した。質量分析法はC3245:535.34;実測値:[M+H]536を算出した。
【0257】
本発明は、本発明の幾つかの態様を示すことを意図している実施例に開示された特定の実施形態によって範囲が限定されるものではなく、機能的に等価であるいかなる実施形態も本発明の範囲内にある。実際に、ここに示したものおよび本明細書中の記載に加え、本発明の様々な変更が当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
(均等物)
【0258】
当業者は、ただの日常的な実験を用いて本明細書で述べた本発明の特定の態様に対する多数の均等物を認識し、または確認することができるだろう。このような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシンおよびオメガ−3脂肪酸または生体内でオメガ−3脂肪酸に代謝される脂肪酸から選択される脂肪酸を含む分子抱合体であって、前記抱合体は少なくとも1つのアミドを含む、分子抱合体。
【請求項2】
式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、鏡像異性体もしくは立体異性体
(式中、
、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−D、−Cl、−F、−CN、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NH(C(O)C−Cアルキル)、−N(C(O)C−Cアルキル)、−C(O)H、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)OC−Cアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−C−Cアルキル、−O−C−Cアルキル、−S(O)C−Cアルキルおよび−S(O)−Cアルキルからなる群から選択され、
およびWは、それぞれ独立して、無、O、S、NH、NRであるか、あるいはWおよびWが同時にOとなり得ないことを条件として、WおよびWは一緒になってイミダゾリジンまたはピペラジン基を形成し得、
a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、−H、−D、−CH、−OCH、−OCHCH、−C(O)OR、−O−Z、もしくはベンジルであるか、またはa、b、cおよびdのうち2つが、それらが結合する単一の炭素と一緒になってシクロアルキルもしくは複素環を形成し、
n、o、pおよびqは、それぞれ独立して0または1であり、
Lは、それぞれ独立して−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S−S−、
【化2】

であり、
gは、それぞれ独立して2、3または4であり、
hは、それぞれ独立して1、2、3または4であり、
は、それぞれ独立してHもしくはC−Cアルキルであるか、または両方のR基は、それらが結合する窒素と一緒になった場合、複素環を形成し得、
は、それぞれ独立してe、H、またはOH、NH、COR、CONH、フェニル、COH、イミダゾールもしくはアルギニンで任意に置換し得る直鎖または分岐鎖C−C10アルキルであり、
eは、それぞれ独立してHまたは天然アミノ酸の側鎖の任意の1つであり、
Zは、それぞれ独立して、少なくとも下記の1つ
【化3】

が化合物中にあるという条件下で、−H、または
【化4】

であり、
rは、それぞれ独立して2、3、または7であり、
sは、それぞれ独立して3、5、または6であり、
tは、それぞれ独立して0または1であり、
vは、それぞれ独立して1、2、または6であり、
とRは、それぞれ独立して、水素、重水素、−C−Cアルキル、−ハロゲン、−OH、−C(O)C−Cアルキル、−O−アリール、−O−ベンジル、−OC(O)C−Cアルキル、−C−Cアルケン、−C−Cアルキン、−C(O)C−Cアルキル、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−NH(C(O)C−Cアルキル)、−N(C(O)C−Cアルキル)、−SH、−S(C−Cアルキル)、−S(O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキルであり、
Rは、それぞれ独立して−Hまたは−C−Cアルキルであり、
ただし、m、n、o、pおよびqがそれぞれ0であり、WとWはそれぞれ無であり、Zは
【化5】

である場合、tは0でなければならず、
m、n、o、pおよびqがそれぞれ0であり、WとWが互いに無である場合、Zは
【化6】

であってはならない)。
【請求項3】
Zが
【化7】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
tが1である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
rが2であり、sが6である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
rが3であり、sが5である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
rが7であり、sが3である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
Lが−S−S−である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
Lが−O−である、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
Lが
【化8】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
Lが
【化9】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
Lが
【化10】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
Lが
【化11】


である、請求項5に記載の化合物。
【請求項14】
n、o、pおよびqがそれぞれ1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項15】
n、o、pおよびqのうち2つがそれぞれ1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項16】
およびWがそれぞれNHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項17】
mが1であり、n、o、pおよびqがそれぞれ1であり、LがOである、請求項5に記載の化合物。
【請求項18】
mが1であり、n、o、pおよびqがそれぞれ1であり、Lが−S−S−である、請求項5に記載の化合物。
【請求項19】
mが1であり、nおよびoがそれぞれ0であり、pおよびqがそれぞれ1であり、Lが
【化12】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項20】
mが1であり、n、o、pおよびqがそれぞれ0であり、Lが
【化13】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項21】
m、nおよびoがそれぞれ0であり、pおよびqがそれぞれ1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項22】
mが1、nおよびoがそれぞれ0であり、pおよびqがそれぞれ1であり、Lが
【化14】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項23】
mが1であり、nおよびoがそれぞれ1であり、pおよびqがそれぞれ0であり、Lが
【化15】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項24】
mが1であり、n、o、pおよびqがそれぞれ1、Lが
【化16】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項25】
mが1であり、n、o、p、およびqがそれぞれ1であり、LがNRである、請求項5に記載の化合物。
【請求項26】
m、n、oがそれぞれ0であり、pおよびqがそれぞれ1、1つのcが−CHであり、他方のcが−CHである,請求項5に記載の化合物。
【請求項27】
mが1であり、nおよびoがそれぞれ1であり、pおよびqがそれぞれ0であり、Lが
【化17】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、N−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエトキシ)エチル)ニコチンアミド;N−(2−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ジスルファニル)エチル)ニコチンアミド;およびN−(2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19ヘキサンアミドエチルアミノ)エチル)ニコチンアミドからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が、1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル6−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)ヘキサノエート;および1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル4−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−(ニコチンアミド)ブタノエートからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、N−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)ニコチンアミド;N−(2−(5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミドエチル)ニコチンアミド;およびN−(1−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド−2−メチルプロパン−2−イル)ニコチンアミドからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、(S)−6−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸;(S)−2−((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸;(S)−6−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,l1,14,17−ペンタンアミド)−2−(ニコチンアミド)ヘキサン酸;(S)−2−((5Z,8Z,llZ,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,1l,14,17−ペンタンアミド)−6−(ニコチンアミド)ヘキサン酸;および2−(2−(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−4−(ニコチンアミド)ブタン酸からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、(S)−((R)−l−(ニコチンアミド)プロパン−2−イル)2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)プロパン酸;(S)−((R)−1−(ニコチンアミド)プロパン−2−イル)2−((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタンアミド)−3−メチルブタノエートからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項33】
請求項2に記載の化合物および薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項34】
代謝性疾患を治療するための方法であって、前記方法は、それを必要とする患者に有効量の請求項2に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記代謝性疾患が、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂肪肝疾患、アテローム性動脈硬化症、冠性心疾患、2型糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、メタボリック症候群または心血管疾患から選択される、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503872(P2013−503872A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527967(P2012−527967)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047262
【国際公開番号】WO2011/028689
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512054056)カタバシス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】