説明

脈管分岐部を治療する内部人工器官展開システム

【課題】 分岐部(30)の区域で人体の流体搬送導管(血管など)の病的狭窄を治療するための装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、特に、1対の異種ステント(12、14)の1つ以上を運ぶように構成されたステント送出システム(100)に関し、ステント(12、14)のうち少なくとも1つは、分岐部(30)のすぐ近くで血管(46)の広がった部分を治療するのに特に適している。ステント送出システム(100)は、ステントを選択的に送出するように適合されているハンドピース(140)も含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば主要導管が2本の二次導管に分離する区域など、分岐区域の身体の導管、特に血管の治療を可能にする装置に関する。本発明はまた、この装置を配置するための機器にも関する。
【背景技術】
【0002】
直線的血管の狭窄を、一般にステントと呼ばれる半径方向に拡張可能な管状器具によって、治療することが知られている。このステントは、狭窄の区域である限り、特に経皮的経路によって、未拡張状態で血管の内管腔に導入される。所定の位置に届くと、管壁を支え、したがって血管の適切な断面を再確立するような方法で、ステントを拡張する。
【0003】
ステント器具は非弾性材料で作ることができ、この場合、ステントはこれが係合する膨張可能なバルーンによって拡張する。あるいは、ステントは、例えば弾性材料で作られるなど、自己拡張式であってよい。自己拡張ステントは一般的に、これを収縮状態で保持する外装から引き出されると、自発的に拡張する。
【0004】
例えば、米国特許第4,733,065号明細書および第4,806,062号明細書は、既存のステント器具および対応する配置技術を詳述している。
【0005】
従来のステントは、分岐区域に位置する狭窄の治療には完全には適していない。主要導管と二次導管の一方の両方に係合することにより、他方の二次導管が即座に、または遅れて閉塞を引き起こし得るからである。
【0006】
それぞれが金属フィラメントの螺旋状巻線によって形成された第1および第2要素を備えたステントを用いて、脈管分岐部を強化することが知られている。2つの要素の第1要素は、主要脈管の直径に対応する直径を有する第1部分、および二次脈管の第1のものの直径に対応する直径を有する第2部分を有する。第1要素は主要脈管に係合するように意図され、第2要素は第1二次脈管に係合するように意図されている。第2要素は、第2二次脈管の直径に対応する直径を有する。第1要素を所定の位置に入れた後、次に第2要素を、1つまたは複数の巻きを第1要素の巻きと係合させることによって、第1要素と連結する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この機器は、分岐部の強化を可能にするが、その構造の点、および2つの構成要素が半径方向に拡張する可能性が低い点から見て、脈管狭窄または閉塞損傷の治療には不適当なようである。
【0008】
さらに、第1要素の形状は、分岐部の形状に対応していない。分岐部は、主要脈管の端部と二次脈管の端部との間に広がった遷移ゾーンを有する。したがって、この機器によって、この壁を十分に支えること、あるいは、この壁の区域にある切開部を治療することは不可能である。また、これらの2つの要素を別個に配置することは、非常に困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、主要脈管の第1および第2枝脈管への脈管分岐部を治療する方法が提供される。この方法は、自身上にステントを有する送出カテーテルを用意する工程を含み、このステントは近位端および遠位端を有し、近位端が遠位端より小さい直径を有する形状へと自己拡張可能である。カテーテルは、遠位端が分岐部と近接してステントが主要脈管内の治療部位にくるように配置される。ステントは、遠位端が第1および第2枝脈管の両方と連絡するように、主要脈管内に展開される。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、本方法は追加的に、配置工程の前に、治療部位を広げる工程を含んでいてもよい。展開工程は、ステントから抑制部を取り除き、ステントが自己拡張できるようにすることを含んでいてもよい。本方法は追加的に、第1および第2枝脈管の一方に第2ステントを展開する工程を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、ステントの遠位端が、ステントの近位端の直径の少なくとも約105%の直径にまで拡張する。特定の用途では、ステントの遠位端は、ステントの近位端の直径の少なくとも約110%の直径にまで拡張する。
【0012】
本発明の別の態様によると、主要脈管の第1および第2枝脈管への分岐部を治療する展開システムが提供される。この展開システムは、近位端および遠位端を有する細長い可撓性の本体を備える。テーパ状のステントは、本体の遠位端によって担持される。ステントを拘束するための着脱式抑制部も、本体によって担持される。ステントの遠位端は、抑制されていない拡張形状ではステントの近位端より直径が大きい。
【0013】
本展開システムは追加的に、可撓性本体の少なくとも一部を通って軸方向に延びるガイドワイヤ管腔を備えてもよい。ガイドワイヤ管腔は、近位アクセス口および遠位アクセス口を有する。1つの実施形態では、近位アクセス口が可撓性本体に沿って、近位端から遠位方向に間隔をおいて配置される。別の実施形態では、近位アクセス口は、本体の近位端に配置される。
【0014】
着脱式抑制部は、軸方向に移動可能で、可撓性本体の長さ方向に沿って延びる制御要素を備えてもよい。着脱式抑制部はまた、ステントを拘束するための管状の外装を備えてもよい。管状の外装は、軸方向に移動可能な引っ張りワイヤに取り付けることができる。
【0015】
本発明のさらなる態様によると、主要脈管の第1および第2枝脈管への脈管分岐部を治療する方法が提供される。この方法は、分岐部より遠位にある第1枝脈管に実質的に円筒形のステントを展開する工程と、分岐部より近位の主要脈管にテーパ状のステントを展開する工程とを含む。テーパ状ステントは、より小さい近位直径から分岐部に面するより大きい遠位直径まで遠位方向にテーパ状になる。
【0016】
本発明の別の態様によると、ステント展開カテーテルが提供される。このカテーテルは、近位端および遠位端を有する細長い可撓性管状本体を備える。非円筒形の自己拡張式ステントは遠位端によって担持される。近位端にハンドピースが設けられる。非円筒形の自己拡張式ステントから抑制部を制御可能に取り除くために、ハンドピースに制御部が設けられる。ある用途では、制御部は、ステントの部分的展開を示す第1位置と、ステントの完全な展開を示す第2位置とを有する。
【0017】
これらの実施形態は全て、本明細書で開示する本発明の範囲内にあるように意図されている。本発明のこれらの実施形態およびその他の実施形態は、添付図面に関する、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者には容易に理解できるが、本発明は開示された特定の実施形態のいずれかに制限されるものではない。
【0018】
本発明の一般的性質をこのように要約してきたが、その特定の好ましい実施形態およびその変更形態は、添付図面に関する本明細書の詳細な説明から、当業者には明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】拡張状態で示されたステントシステムの第1実施形態の側面図である。
【図2】送出カテーテル上に配置され、半径方向に収縮した状態で示された図1のステントシステムの透視部分破断図である。
【図3】図1のステントシステムで治療可能な分岐部の縦断面図である。
【図4】その中に配置された送出カテーテルを示す、図3の分岐部の断面図である。
【図5】送出カテーテルの一部分上で部分的に収縮した状態で示されたステントシステムの実施形態を示す、図3の分岐部の断面図である。
【図6】拡張し、十分に展開した状態で示されたステントシステムの実施形態を示す、図3の分岐部の断面図である。
【図7】動脈瘤を呈する分岐部と、その中で展開された状態で示されたステントシステムの実施形態との断面図である。
【図8】拡張状態で示された第2実施形態によるステントシステムの側面図である。
【図9】特定の特徴および利点を有するステントシステムを展開するのに使用可能な送出カテーテルの平面図である。
【図9A】図9の送出カテーテルの近位ハンドピースの代替実施形態である。
【図9B】図9の送出カテーテルの代替実施形態である。
【図9C】線9C−9Cを通って切り取った、特に代替引っ張りワイヤ管腔を示す、図9の送出カテーテルの一部の断面図である。
【図9D】線9D−9Dを通って切り取った、特に保持バンドを示す、図9の送出カテーテルの一部の断面図である。
【図9E】図9の送出カテーテルの後退バンド保持アセンブリの詳細図である。
【図10】その上に配置されたステントシステムを含む、図9のカテーテルの遠位部分の部分破断図である。
【図10A】図9Bの送出カテーテルの遠位端アセンブリの代替実施形態である。
【図10B】図10で示した外装の遠位部分の詳細図である。
【図10C】図10の線10C−10Cに沿って切り取った断面図である。
【図11A】図9のカテーテルの遷移部分の平面図である。
【図11B】図11Aの線11B−11Bに沿って切り取った遷移部分の断面図である。
【図11C】図11Aの線11C−11Cに沿って切り取った遷移部分の横断面図である。
【図11D】図11Aの線11D−11Dに沿って切り取った近位シャフトの断面図である。
【図12】特定の特徴および利点を有する送出カテーテルの実施形態の遠位部分の側断面図である。
【図13】その中に配置された送出カテーテルの実施形態を示す分岐部の断面図である。
【図14】部分的に展開した状態の第1ステントを示す分岐部の断面図である。
【図15】十分に展開した状態の第1ステントを示す分岐部の断面図である。
【図16】部分的に展開した状態の第2ステントを示す分岐部の断面図である。
【図17】十分に展開した状態の第2ステントを示す分岐部の断面図である。
【図18】図17のように、第2枝ステントが第2枝内に展開された状態の分岐部の断面図である。
【図19】円筒形のステントを送出する単一ステント送出システムの概略立面図である。
【図20】外装を近位詳細図で示す、図19の単一ステント送出システムの概略立面図である。
【図21】円錐形のステントを送出する単一ステント送出システムの概略立面図である。
【図22】外装を近位詳細図で示す、図21の単一ステント送出システムの概略立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述したように、添付図面は、分岐部の区域で人体内の脈管(例えば導管)を治療するのに使用するステントシステムおよび対応する送出システムを示す。図3は、主要導管または脈管32が2つの二次枝導管または脈管34に分かれる分岐部30を示す。ステントシステムは一般的に、分岐部30の区域で使用するために特に設計された1対の異種ステントを含む。このような異種ステントは、次いで、人体内に挿入するために細長いカテーテル上に配置される。異種ステントは、以下でさらに詳細に記載するように、自己拡張式であってもよいし、周囲にステントを配置できるバルーンなどによって手動で拡張可能なものであってもよい。
【0021】
図1は、図示したもののような分岐部の区域の身体の導管の治療を可能にする拡張式ステントシステム10の一実施形態を示す。図1に拡張状態にて図示されたステントシステム10は、一般的に、第1ステント部分12および第2ステント部分14を備え、これらはそれぞれ2つのセグメントに分割され、したがって網目構造の4つの連続セグメント22、24、26、28を生じることができる。第1ステント12は通常、分岐部の枝導管または脈管34内に配置するように構成され、一方、第2ステント14は通常、主要脈管32内に配置するように構成される。所望に応じて、1つ以上の材料のブリッジ18を介してセグメントを相互に接続してもよい。ステント12、14は通常、収縮位置と拡張位置との間を移動可能である。当業者には明白であるように、ステントは自己拡張式であってもよく、バルーンで拡張可能であってもよい。
【0022】
図示した実施形態によると、ステント12、14は通常、複数の網目セル36を含む拡張可能な網目構造を含む。これらのセグメントの網目セル36は、一実施形態ではステント12、14の縦方向に細長く、図示した実施形態では各ケースでほぼ六角形の形状を有する。ステントセグメント22、24、26および28の形成に使用される網目は、ステントでの使用に適当であることが知られている他の様々な形状を含んでいてもよいことが、当業者には認められる。例えば、適当なステントは、繰り返し四辺形形状、八角形形状、一連の湾曲、または拡大した内径において脈管あるいは導管を実質的に保持するためにステントが拡張可能であるような任意の様々な形状を有する網目を含んでいてもよい。
【0023】
第1ステント12は、2つのセグメント22および24に分割され、これらは全く同一であり、通常は二次枝導管34の一方の直径よりも十分に大きい直径の管状形状を有する。第1ステントが本明細書に記載するように機能するような様々な形状を含んでいてもよいことが当業者には認められる。第1ステント12は、その長さ方向に沿って一定の直径を有する実質的に円筒形の形状まで拡張可能であってもよい。第1ステント12は、特定の所望の配置位置に応じた、ある範囲の長さを有していてよい。例えば、第1ステント12の長さは通常、所望に応じて約1センチメートルから約4センチメートルの間である。
【0024】
第2ステント14は、第1ステント12に非常に近接して展開するように構成されることが好ましく、これもまた、上セグメント26と下セグメント28に分割される。第2ステント14の下セグメント28は通常、管状の断面形状を有し、主要導管32(図3)の直径よりも十分に大きい拡張直径を有する。第2ステント14の上セグメント26は、遠位(上)端38の直径が近位(下)端40の直径より大きいことが好ましい。一実施形態では、第2ステント部分の上セグメントは、ほぼ円錐形の形状を含む。代替実施形態では、第2ステント14は、その全長に沿って遠位方向に半径方向外向きにテーパ状であってよい。しかしながら、いずれの実施形態でも、第2ステント14の遠位端38の拡張した直径は、第1ステント12の近位端42の拡張した直径よりも十分に大きいことが好ましい。例えば、第2ステント14の遠位端38は、第1ステント12の近位端42の直径の少なくとも約105%、好ましくは少なくとも約110%、いくつかの実施形態では120%以上もの直径にまで拡張してよい。第2ステント14は、特定の所望の配置位置に応じた、ある範囲の長さを有していてよい。例えば、第2ステント14は通常、所望に応じて1センチメートルから4センチメートルの間である。
【0025】
図1に図示したような拡張状態では、第2ステント14の上セグメント26は通常、網目セル36を有し、この網目セルの幅は、下セグメント28の網目の幅と比較して、一方では第2ステント14の遠位端38の方向、二重ステント器具10の縦方向の意味で、他方ではブリッジ18の延長部に配置され、直径の反対側の円錐母線の方向、第2ステント14の横方向の意味で、漸進的に増加する。言い換えると、第2ステント14の上セグメント26は、第2ステント14がほぼ漏斗形状に拡張するように、ステント14の遠位端38で近位端40での寸法より大きい寸法を有する多数のセル形状36をもつ網目を含むことが好ましい。
【0026】
図示した実施形態では、このように網目セル36の幅が増加するのは、縦方向に配置された網目セル36の縁48の長さが増加し、さらに2つの対向する縁48間に形成された角度が増加した結果である。
【0027】
したがって、このセグメント26は、拡張した時に第1ステント12の縦軸に対して傾斜した軸線を有する、先端を切り取った形状を有していてよい。この形状は、例えば、二次導管34の端部から主要導管32の端部を分離する、広がった遷移ゾーン46(図3)の区域に示される分岐部の形状に対応する。好ましい実施形態では、第2ステント14を第1ステント12に非常に近接して配置する。例えば、第2ステント14の遠位端38は、第1ステント12の遠位端42から約4mmの距離以内に配置することが好ましく、この距離が約2mm未満であることがさらに好ましく、ステントを互いから1mm以内に配置することが最も好ましい。
【0028】
図1に示した実施形態では、第1ステント12と第2ステント14間の距離は、その間にブリッジ18を設けることによって、ほぼ一定に維持される。ブリッジ18は、第1および第2ステント12、14を相互に接合するため、および/または、各ステント12および14の上セグメント22、24および下セグメント26、28を一つに接合するために設けてよい。ブリッジ18が存在する場合、これはセグメント22、24および26、28の隣接する端部を接続し、通常は幅が小さくなり、ある一定の屈曲を受け、これらのセグメントを相互に関して、特に第1ステント12の下セグメント24を第2ステント14の上セグメント26に関して配向させることを可能にすることができるようになる。
【0029】
さらに、他の実施形態では、ブリッジ18は接続されたセグメントの一つと一体であり、溶接などによって他の接続されたセグメントに別途、接続されていてもよい。例えば、第1および第2ステント12、14を接続するブリッジ18は、第2ステント14の上セグメント26と一体であり、第1セグメント26の下セグメント24と接続してよい。あるいは、ブリッジ18は、第1ステント12の下セグメント24と一体であり、第2ステント14の上セグメント26と接続してよい。
【0030】
さらに他の実施形態では、ブリッジ18は、例えば溶接、接着、または他の接続方法などによって別個にセグメント22、24、26、28に接続された別個の材料片であってよい。これらの実施形態すべてで、第1ステント12は、第2ステント14とは異なる材料片から作ることができる。(例えばレーザ切断技術などによって)第1ステント12を作る元となる管は、第2ステント14を作る元となる管より小さい直径を有していてよい。それぞれの管は、同じ材料で作られていてもよく、作られていなくてもよい。あるいは、第1および第2ステントは、単一の材料片から形成してもよい。
【0031】
第2ステント14のセグメント26および28を、第1ステント12のセグメント22および24より小さい直径の管から作る場合、第1ステントセグメント22および24の半径方向力は、特に断面が大きい時に、第2ステントセグメント26および28の半径方向力より大きくなる。
【0032】
したがって、ブリッジ18は、これらの管の1つから作り、したがってセグメント22および24またはセグメント26および28と一体にすることができる。あるいは、ブリッジ18は別個の材料片であってもよい。
【0033】
さらなる実施形態では、取付けおよび使用中に所望に応じて個々のセグメントを間隔をあけて配置するように、ブリッジ18は省略される。これらの個々のセグメントはそれでも、同じコアおよび外装アセンブリ内で送出され、植え込まれる。
【0034】
2つの連続するセグメント間のブリッジ18は、全部で6個より多くても少なくてもよく、また、多方向の弾性を可能にするオメガ形状以外の形状、特にV字形またはW字形を有することができる。
【0035】
例えば、図8は、抑制されていない、拡張した状態で示した第1ステント12および第2ステント14を有するステントシステム10の他の実施形態を示す。この実施形態によれば、各ステント12、14は、2つのセグメント22、24および26、28に分割され、第1ステント12および第2ステント14を相互に接続する1つ以上の可撓性ブリッジ18を含んでよい。この実施形態では、第1および第2ステント12および14の2つの連続するセグメント22、24および26、28は、複数の(例えば6個の)オメガ形ブリッジ50で接続される。これらのブリッジ50の湾曲した中心部分52は、様々なセグメントが互いに関連して適当な縦方向を向くのを可能にする多方向の弾性を有する。これらのブリッジ50の利点は、ステントを縦方向に連続させることであり、これはステントシステムが高度に湾曲したゾーン内を通るのを容易にし、この湾曲(動脈硬化の場合に危険なことがある)を減らす必要がなくなる。
【0036】
したがって、図8のステントシステム10は、補助的支えを保証し、必要であれば分岐部30内のステントの保持を増加するために、順々に配置されたいくつかのセグメント22、24、26、28を備えることができる。第2ステント14の上セグメント26は、治療される分岐部の解剖学的構造によって必要であるとなれば、第1ステントの縦軸と一致し、この軸に対して傾斜していない軸線を有することができる。
【0037】
あるいは、第1ステント12の下セグメント24は、それ自身が、拡張した状態で、第2ステントの形状と類似した、特定の分岐部では二次導管34を広がった遷移ゾーン46に接続する広がった接続ゾーン(近位方向に直径が増加する)の形状に対応する、広がった形状を有することができる。したがって、第1ステント12の下セグメント24、または第1ステント12全体が、その遠位端に第1直径を有し、近位端にはこれより大きい第2直径を有し、その間に直線形または漸進的に湾曲した(フレア状)テーパがある。したがって、この実施形態によれば、このセグメント24は、この広がった接続ゾーンの形状に対応する形状を有し、その完璧な支えを保証する。
【0038】
自己拡張ステントの製造方法の1つは、ニッケル/チタン合金(例えば、ニチノールという名前で知られる合金を適切に使用することができる)の薄板を基本的形状に適当に切断し、次に得られたブランクを管状形状に丸めることである。ブランクは、互いに近接するようになる、このブランクの反対側の縁部を溶接することによって、円筒形または円錐台形に保つことができる。ステントは、当技術分野で知られているように、金属管素材からレーザ切断によって形成してもよい。あるいは、適当な弾性材料の1本または多数のワイヤ、あるいは薄い小板から、適当な円筒形または非円筒形の管状形状を選択的に屈曲し、形成することによって、ステントを形成してよい。ステントを形成するためには多くの方法および材料が利用可能であり、本明細書にはそのいくつかだけが記載されていることが当業者には理解される。
【0039】
一部のニッケル−チタン合金は、10℃のオーダーの温度で可鍛性であるが、人体の温度にほぼ一致する温度でニュートラルな形状に戻ることができる。図2は、半径方向に収縮した状態で送出カテーテル上に配置されたステントシステム10を示す。一実施形態では、自己拡張ステントは、ニッケル−チタンまたは他の形状記憶合金の構成材料を、変態温度より低い温度にまで冷却することによって、収縮させる。その後、ステントは、変態温度より高い温度に曝露することによって、拡張させることができる。この使用法では、通常の体温以下の変態温度を有する形状記憶合金を使用できる。十分に弾性の材料で作られた自己拡張ステントはまた、半径方向の圧縮力を加えることによって、拡張形状から機械的に収縮させてもよいことが、当業者には認められる。それで、ステントは、材料自体の弾性の影響で拡張することができる。ニッケル−チタン、および、ほんの一部を挙げると、銀−カドミウム(Ag−Cd)、金−カドミウム(Au−Cd)、鉄−白金(Fe−Pt)などの他の合金が、特定の温度範囲内で望ましい超弾性の性質を示す。
【0040】
一実施形態では、ステントが収縮すると、網目セルの縁部48が、この収縮状態で網目セル36がほぼ長方形の形状になるように、網目セル36の横方向の縁部49に対して旋回する。適当な自己拡張ステントを作るために他の材料および製造方法を使用できることが、当業者には認められる。
【0041】
あるいは、使用するステントは、以下でさらに検討するように、潅流がある、またはない状態で膨張可能な膨張性バルーンを使用することにより、手動で拡張可能であってもよい。バルーンで拡張可能なステントを製造する多くの方法が当業者には知られている。バルーンで拡張可能なステントは、ステンレス鋼およびチタン合金などのような所望の機械的特性を有する様々な生体適合性材料で作られていてよい。バルーンで拡張可能なステントは、拡張した状態で、脈管壁を所望の直径に保つのに十分な半径方向の剛性を有することが好ましい。バルーンで拡張可能な第2ステント14の場合、第2ステント14が配置されたバルーンは、特に第2ステント14の所望の形状に合致するように構成される。特に、このようなバルーンは、近位端の直径よりも遠位端の直径が大きいことが好ましい。
【0042】
したがって、本明細書の検討によれば、分岐部30の区域における病的状態の治療を可能にする1対の異種ステントが提供される。このシステムは上述した多くの利点、特に脈管壁の完璧な支えを保証し、配置するのが比較的簡単であるという利点を有する。
【0043】
簡単にするために、抑制されていない拡張した状態で、二次導管の一つの断面より十分に大きい断面を有するセグメントを以下では「二次セグメント」と言い、一方、拡張した状態で、先端を切り取った形状を有するセグメントを以下では「切形セグメント」と言う。
【0044】
二次セグメントは、収縮状態で二次導管に導入するように意図され、拡張した時には導管の壁を支えることが好ましい。この拡張は、導管の区域に位置する狭窄または切開部を治療することを可能にするだけではなく、導管内での装置の完全な固定も保証する。
【0045】
この位置で、切形セグメントは導管の壁を支え、これが十分に支えることができる分岐部の広がった遷移ゾーンの範囲を定める。このように、脈管壁を均一に支持し、したがってこの壁に損傷を与える危険のないこの装置を用いて、この部位で発生する狭窄または切開部を治療することができる。
【0046】
この2つのセグメントは、拡張後に、互いに関連して自身が適切に配向するように構成されてよい。
【0047】
少なくとも切形セグメントを、これに半径方向で不浸透性を与える膜(例えばダクロン(登録商標)またはePTFE)によって被覆すると有利である。この膜によって、自身と導管の壁との間に、治療中の損傷から生じた粒子、例えば動脈硬化性粒子または細胞凝集物を捕捉し、したがって体内でのこのような粒子の移動を回避することが可能になる。したがって、この装置は、さらに、分岐部を通って液体を誘導し、それによって動脈瘤を形成する壁の応力を防ぐことにより、動脈瘤の治療も可能にすることができる。
【0048】
セグメントは、上述したように、切形セグメント用の管が二次セグメント用の管より大きい直径を有する状態で、直径が異なる材料の管から作ることができる。管は、同じ材料から作ってもよい。異なる直径の管を使用すると、切形セグメントは、特に大きい方の直径で、より大きい半径方向力を有することができる。
【0049】
この装置は、二次導管の壁の補助的支えを保証し、必要に応じて、分岐部でステントの固定力を増加するために、順々に配置されたいくつかの二次セグメントを備えることができる。これと同じ目的で、この装置は、主要導管に向けられた切形セグメントの側に、拡張した状態では主要導管の断面より十分に大きい断面を有する、半径方向に拡張可能なセグメントを少なくとも1つ備えることができる。
【0050】
これらの様々な補助的セグメントは、上述したもののような可撓性リンクを用いて互いに、また、前述した2つのセグメントに接続しても、接続しなくてもよい。
【0051】
可撓性リンクは、セグメントの一つと一体であり、他のセグメントと別途、接続することができ、また、可撓性リンクは、溶接などによって両方のセグメントに別個に接続された別個の材料片であってもよい。
【0052】
2つの連続するセグメント間の可撓性リンクは、これらの2つのセグメントの隣接する2つの端部を接続する材料のブリッジ1つ以上で構成されていることが好ましい。前記1つまたは複数のブリッジは、セグメントを形成する材料と同じ材料で作られていることが有利である。
【0053】
各セグメントは、網目がステントの縦方向に細長く、それぞれがほぼ六角形の形状を有している網目構造を有することができる。切形セグメントの網目は、拡張状態で最大の断面を有するこのセグメントの端部の方向、ステントの縦方向の意味で、漸進的に増加する幅を有することができる。
【0054】
このように網目の幅が増加するのは、縦方向に配置された網目の縁部の長さが増加する、および/または、同じ網目の対向する2つの縁部間に形成された角度が増加する結果である。
【0055】
さらに、切形セグメントは、治療される分岐部の解剖学的形状に最適に適合するために、二次セグメントの縦軸と一致せず、この軸に対して傾斜する軸線を有することができる。この場合、切形セグメントの網目の幅はまた、このセグメントと隣接するセグメントとを接続するブリッジの延長部に配置され、直径の反対側の円錐母線の方向、ステントの横方向の意味で、漸進的に増加する。
【0056】
この装置は、自身上で装置が後退できるようにし、人体の温度にほぼ一致する温度でニュートラルな形状に戻ることができるために、人体の温度より非常に低い温度で可鍛性になるが、弾性はない形状記憶金属で作ることができる。この金属は、ニチノールという名前で知られるニッケル/チタン合金であってよい。
【0057】
1つまたは複数のステントを配置するための展開カテーテルは、ステントを配置する手段と、ステントが所定の位置にくると、その拡張を可能にする手段とを備える。これらの手段は、このステントが弾性材料でできている場合には、中に収縮状態でステントが配置された着脱式外装を有するカテーテル、または、このステントが非弾性材料でできている場合には、ステントが配置される膨張性バルーンを含む支持コアを備えることができる。
【0058】
いずれの場合でも、この機器は、本発明によれば、切形セグメントを分岐部の広がったゾーンの区域で正確に配置できるように、患者の身体を通して切形区間の縦方向位置を識別し、それに接近することを可能にする手段を備える。
【0059】
この同じセグメントの拡張がステントの軸に関して均一でない場合、機器は追加的に、最大拡張部を有するこのセグメントの部分を分岐部に関して適当な方法で配置できるように、患者の身体を通して、治療される分岐部に対するステントの角度方向を識別することを可能にする手段を備える。
【0060】
図9を参照すると、ステントシステムは通常、細長い可撓性ステント展開カテーテル100を使用して展開される。文中では、追加の機能がない多数ステント配置カテーテルを主に説明しているが、本明細書に記載されているステント展開カテーテルは、本明細書の開示に鑑みて当業者には容易に理解できるように、例えば、潅流導管を有する、または有さない1つまたは複数の血管形成用バルーン、放射線または薬剤送出能力、またはステントのサイズの特徴などの追加の特徴、またはこれらの特徴の任意の組み合わせを組み込むように、容易に変更することができる。
【0061】
細長い送出カテーテル100は一般的に、近位端アセンブリ102、管状本体111を含む近位シャフト区間110、遠位管状本体113を含む遠位シャフト区間120、および遠位端アセンブリ107を含む。近位端102は、当業者に理解されるように、薬剤、造影剤またはバルーン拡張式ステントの実施形態で膨張剤を注入するなどのために、1つ以上の止血弁および/またはアクセス口106を有するハンドピース140を含むことができる。さらに、近位ガイドワイヤ口172を、オーバーザワイヤー(over-the-wire)の実施形態の中でハンドピース140に設けてもよい(図9A参照)。カテーテル100の近位端に配置したハンドピース140はまた、以下で検討するように、カテーテル遠位端104に配置したステントの展開を制御するように構成されていてもよい。
【0062】
カテーテルの長さは、所望の用途に依存する。例えば、大腿動脈から入って冠状動脈に到達させる適用に使用するには、約120cmから約140cmの範囲の長さが一般的である。頭蓋内または下部頸動脈への適用は、当業者には明白であるように、脈管のアクセス位置に応じて異なるカテーテルシャフト長さを必要とする。
【0063】
カテーテル100は、送出カテーテルの全体的な外径(例えば断面形状)を最小にし、一方で、同時にテーパ状の先端122が遠位に経腔的に進むことができるのに十分なカラムの強度を与えるために、可能な限り小さい外径を有することが好ましい。カテーテル100はまた、外側の軸方向に移動可能な外装114が、ステント118を露出させるために、中心コア112に対して近位方向に後退できるのに十分なカラムの強度を有することも好ましい。送出カテーテル100は、以下でさらに検討し、一般的に当業者には理解されるように、「オーバーザワイヤー(over-the-wire)」タイプまたは「ラピッドエクスチェンジ(rapid exchange)」タイプで提供することができる。
【0064】
末梢血管用途に意図されたカテーテルでは、外装114が一般的に、約0.065インチから約0.092インチの範囲内の外径を有する。冠状血管用途では、外装114は約0.039インチから約0.065インチの範囲内の外径を有することができる。直径の機能的な結果がカテーテルの意図した目的にとって許容可能であれば、好ましい範囲以外の直径も使用することができる。例えば、所定の用途でカテーテル100のいかなる部分の直径の下限も、カテーテルに含まれるガイドワイヤ、引っ張りワイヤまたは他の機能的管腔の数、およびカテーテルを通して送出される膨張流体、造影剤または薬剤の許容できる最低流量、および収縮したステントの最小直径に関連して変化する。
【0065】
例えば、回転時の捻れを回避し、進めるのを助けるように、さらに近位ステント14に非対称の遠位端を有する実施形態では、カテーテル100がトルクを伝達する能力も望ましい。カテーテル100には、任意の様々なトルクおよび/またはカラム強度向上構造、例えば軸方向に延在する剛化ワイヤ、螺旋状に巻いた支持層、またはカテーテル100内に組み込まれるか、その上に積層される編組または織り補強フィラメントを設けることができる。例えば、Chienらの米国特許第5,891,114号明細書を参照されたい。その開示は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0066】
図11Dを参照すると、図9のカテーテルシャフト100の近位区間106を通る断面図が図示されている。図11Dに示した実施形態は、ラピッドエクスチェンジタイプの実施形態を表し、引っ張りワイヤ管腔220を含む1本または多数の管腔押し出し部または皮下注射管を備えてよい。オーバーザワイヤータイプの実施形態では、近位区間106が追加的に、ガイドワイヤ管腔132および引っ張りワイヤ管腔220の近位延長部を備える。近位管111はまた、当業者には理解されるように、バルーンカテーテル実施形態において、膨張管腔を備えてもよい。
【0067】
カテーテルは、遠位端107で、人体の導管内に1つ以上のステントを保持し、展開するように構成されている。図10Aおよび図12を参照すると、送出カテーテル100の遠位端アセンブリ107は通常、内部コア112、軸方向に移動可能な外装114、および任意選択で1つ以上の膨張性バルーン116(図12)を備える。内部コア112は、少なくとも部分的には標準的な0.014インチのガイドワイヤなどのガイドワイヤを追跡するように設計された薄肉管であることが好ましい。外装114は、好ましくはステント118が配置された中心コア112の少なくとも遠位部分120に沿って延びることが好ましい。
【0068】
外装114は、カテーテル100の実質的な長さにわたって延びていてもよく、また、以下で検討するように、近位ガイドワイヤアクセス口172の遠位側で比較的短い長さを有していてもよい。一般に、外装114は約5cm〜約25cmの間の長さである。
【0069】
図10を参照すると、図示した外装114は、近位区間115、遠位区間117および遷移部119を備える。近位区間115は、管状本体113の外径よりわずかに大きい内径を有する。これによって、近位区間115は管状本体113によって滑動自在に運ばれることができる。外装114は、その長さ全体にわたって同じ外径を有するように構築してよいが、図示した外装114は、遷移部119で直径が増加する。外装114の遠位区間117の内径は、本明細書の他の箇所で記載されるように、1つ以上のステントを滑動自在に捕捉するような寸法にされている。図10に図示したもののような直径が増加する実施形態では、遷移部119から遠位端までの遠位区間117の軸方向の長さは、カテーテル100によって運ばれる1つまたは複数のステントを覆うのに十分であることが好ましい。したがって、2つのステントの実施形態の遠位区間117は、一般的に短くとも約3cmであり、多くの場合、約5cm〜約10cmの範囲の長さである。近位区間115の軸方向の長さは、所望の性能特性に応じて大幅に変更することができる。例えば、近位区間115は、1センチメートルまたは2センチメートルという短さであってもよく、また、カテーテルの全長まで長くてもよい。図示した実施形態では、近位区間115は通常、約5cm〜約15cmの範囲の長さである。
【0070】
外装114および内部コア112は、例えば、適当な生体適合性ポリマー材料の押し出し成形などによって、ラピッドエクスチェンジまたはオーバーザワイヤーカテーテル本体を製造する様々な公知の技術のいずれかに従って製造することができる。この用途のための公知の材料としては、高密度および中密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、PEBAX、PEEK、およびその開示が参照により完全に本明細書に組み込まれるSaabの米国特許第5,499,973号明細書に開示されているもの等の様々な他の材料が挙げられる。あるいは、中心コア112および/または外装114の少なくとも近位部分または端から端まで全部分は、カテーテルおよびガイドワイヤの技術分野で理解されているように、金属またはポリマーのばねコイル、1枚壁の皮下注射器の管、または編組補強壁を備えることができる。
【0071】
外装114の遠位部分117は、ステント118を収縮状態で保持するために、そのステント上に同一中心で配置される。そのようなものとして、外装114の遠位部分117は、着脱式抑制部の一形態である。着脱式抑制部は、自己拡張ステントの半径方向外側へのバイアスによる変形に耐えることができるのに十分な半径方向強度を有することが好ましい。外装114の遠位部分117は、外装114のその部分に半径方向の強度およびカラム強度を加えるために、ばねコイル、1枚壁の皮下注射器の管、縞状または編組補強壁などの様々な構造を備えることができる。あるいは、着脱式抑制部は、ステントがいったん血流の流動環境および/または温度に曝露されると、抑制材料が溶解し、したがって自己拡張ステントを放すように、水溶性接着剤または他の材料などのような他の要素を備えてよい。当業者には理解されるように、ポリグリコール酸族の様々な化合物などの、異なる時間間隔にわたって水性環境に被吸収性である多種多様な生体適合物質が知られている。さらに別の実施形態では、着脱式抑制部は、ステントの周囲に配置された複数の縦軸部材を備えてよい。この実施形態によれば、1つから10以上あたりの軸部材を使用して、着脱式抑制部を提供することができる。軸部材は、円筒形のロッド、平坦または湾曲したバー、または適切であると決定される他の形状いずれをも含んでよい。
【0072】
状況によっては、自己拡張ステントが、時間とともに、外装114の内壁に埋まる傾向がある。図9Dおよび図10Aで図示されるように、外装114の材料にステントが埋め込まれるのを防止するために、複数の拡張制限帯121をステント12、14の区間を囲むように設けることができる。帯121は、ステントの設計に応じて、任意の様々な数または位置で設けることができる。図10Aは、4つの近位ステント区間127それぞれ、および5つの遠位ステント区間それぞれの中間点に配置された帯を示す。代替実施形態では、帯121は、隣接するステント区間の端部の上に配置される。帯121は、ステンレス鋼、または任意の他の適当な金属または比較的弾性がないポリマーで作られていてよい。言うまでもなく、自己拡張ステントがプラスチックの外装に埋まるのを防止するために、多くの他の構造も使用することができる。このような代替構造としては、可撓性コイル、編組管、1枚壁の管、または本明細書の開示に鑑みて当業者には理解できる他の抑制構造が挙げられる。
【0073】
外装114の内面および/または中心コア112の外面にはさらに、パラレン(Paralene)、テフロン、シリコーン、ポリイミド−ポリテトラフルオロエチレン複合材料、または当技術分野で知られ、外装114および/または中心コア112の材料に応じて適切であるその他のものなどの滑らかなコーティングまたはライニングを設けることができる。
【0074】
図10Bは、遠位先端の環状の窪み230で受けた外装114の遠位部分を示す。図示するように、外装114の少なくとも遠位部分は、外管213および内管またはコーティング212を有する2層構造を有することができる。外管213の外面は、治療される脈管内で容易に滑動するように構成されることが好ましく、一方、内面は通常、ステントに対して静止摩擦係数が低く、したがって外装がステント上を滑らかに滑動できるように構成される。外管213は、例えばHDPEまたはPEBAXで作るか、それで被覆することができ、また、内管212は、例えばHDPE、PTFEまたはFEPで作るか、それで被覆することができる。しかしながら、内管をPTFEライナーで作った実施形態では、滑らかな内層または管212の遠位端214は、約1mm〜約3mmの範囲内の距離だけ外管213の遠位端216から近位に間隔をあけて配置することが好ましい。これは、PTFE表面の高い滑性のために、ステントが展開中に早まって外装から遠位方向に飛び出してしまうのを防止するのに役立つ。
【0075】
図10は、外装後退システムの一実施形態を示す。図示したシステムは通常、外装引っ張りワイヤ222、引っ張りワイヤスロット224、外装後退帯226、および外装114を含む。外装後退帯226は、外装114の一部に熱で、または接着剤で接着した、あるいは、他の方法で固定した管状の要素でよい。図示した実施形態では、後退帯226は、約0.055インチの外径、約0.0015インチの肉厚、および0.060インチの軸方向の長さを有するステンレス鋼の管の部分を備える。しかしながら、所望の機能をなお達成しつつ、他の寸法を容易に使用することができる。外装後退帯226は、外装114の遠位部分117内で、直径遷移部119のすぐ遠位側に配置される。後退帯226は、後退帯の各端で外装の内面に1対の帯225を熱融着させることにより、外装114の内面に接続することができる(図9E参照)。あるいは、後退帯226は、接着剤、エポキシ樹脂を使用することにより、または、クリンプおよびスエージングまたはこれらの組み合わせなどの機械的方法によって、外装に取り付けることができる。この方法では、後退帯226を外装114から近位に移動させるために必要となる引っ張り力が、臨床で用いられる引っ張りワイヤ222に加えられる近位方向の牽引力を大幅に上回る。引っ張りワイヤ222の遠位端は、溶接、はんだ付け、接着、または他の方法で外装後退帯226に固定することが好ましい。あるいは、引っ張りワイヤ222は外装に直接接着してもよい。
【0076】
引っ張りワイヤスロット224は、外装114が十分に後退できるのに十分な長さであることが好ましい。したがって、引っ張りワイヤスロット224は、図10Aに示すように、少なくともステント止め部218の遠位端から外装114の遠位端までの距離と同じ長さであることが好ましい。2つのステントの展開システムでは、約1cm〜約10cmの範囲内のスロット長さが現在考えられる。外装114が図示されるような遠位位置にある状態で、引っ張りワイヤスロット224は、外装114の近位部分115によって完全に覆われていることが好ましい。あるいは、外装114の近位延長部がカテーテル100の全長に延びる上述の実施形態では、制御装置150に直接取り付けることができ、この場合は図示したような引っ張りワイヤ222およびスロット224を使用しなくてもよい。
【0077】
例えば図9Bおよび図9Cに図示したさらに別の実施形態では、引っ張りワイヤ管腔220は、図示したようなスロットを使用しなくてもよいほど、後退帯226から十分に近位側で終わってよい。
【0078】
引っ張りワイヤ222は、円形、平坦な直線、またはテーパ状などのような当業者に知られている様々な適当な形状を有してよい。まっすぐな円形引っ張りワイヤ222の直径は、約0.008インチ〜約0.018インチの間であってよく、一実施形態では約0.009インチである。別の実施形態では、引っ張りワイヤ222は、0.015インチ、0.012インチ、および0.009インチの直径を有する複数のテーパ状形状、および0.006インチ×0.012インチの平坦な遠位の形状を有する。引っ張りワイヤ222は、ステンレス鋼またはニチノールなどの当業者に知られた様々な適した材料のいずれかから作ることができ、編組または1本のストランドであってよく、テフロン、パラレン(Paralene)などの様々な適した材料で被覆することができる。ワイヤ222は、外装114をコア112に対して近位に後退させるのに十分な引っ張り強度を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤ222は、外装114をコア112およびステント12、14に対して遠位に前進させるのに十分なカラム強度を有することができる。例えば、遠位ステント12が部分的に展開されており、ステント12を再配置することを臨床医が決定した場合、外装114をステント12に対して遠位に前進させ、それによってコア上でステントを再収縮させ、捕捉することができる。
【0079】
一般的に、引っ張りワイヤ222の引っ張り強度または圧縮率はまた、所望の外装114の動作モードに応じて変更してもよい。例えば、上述した実施形態の代替例として、外装114は、引っ張りワイヤ222を軸方向に遠位に前進させることによって遠位に前進させ、ステント118を放すことができる。混成の実施形態では、外装114は近位部分と遠位部分とに分割される。引っ張りワイヤを近位部分に接続して、近位ステントを放すように近位方向に後退することを可能にする。押しワイヤを遠位部分に取り付けて、遠位方向に前進し、それによって遠位ステントを放すことを可能にする。カテーテル100のこれらの構造の詳細、およびワイヤ222の性質は、本明細書の開示に鑑みて当業者に理解されるように、これらの実施形態それぞれの必要に合わせて変更することができる。
【0080】
ステント118は、中心の支持コア112上に担持され、その上で半径方向に収縮する。この収縮によって、ステント118は、導管32および34の断面より小さい断面を有し、以下で記載するように、これらの導管に導入することができる。ステント118は、コア112の隣接部分より小さい直径を有する中心コア112の半径方向内側に窪んだ遠位部分129に配置することが好ましい。図12を参照されたい。この窪み129は、遠位先端122の近位側に面した表面の形態であってよい肩124のような遠位接合部によって、遠位側が画定されていることが好ましい。遠位先端122は、ステントが拡張した時のステント118の外径より小さく、ステントが収縮した時のステント118の直径より大きい外径を有する。その結果、この接合部124は、ステント118が収縮した時にステント118がコア112から遠位に前進することを防止する。
【0081】
環状の肩125などの近位接合表面によってステントが半径方向に収縮した形状にある場合、コア112に対するステント118の近位方向への移動は防止される。遠位接合部124および近位接合部125は、圧縮したステント118を受けるために、コア112内の環状の窪み129の軸方向の端部によって形成された環状端面の形態であってよい。図12を参照のこと。図10Aに図示した一実施形態では、近位接合部125がステント止め部218によって運ばれる。ステント止め部218は、中心コア112と一体にする、または、それに取り付けることができ、外装114の内面と滑動状態で接触するような外径を有する。したがって、圧縮したステント14は、止め部218と外装114との間に嵌らない。
【0082】
展開器具100は、一般的には内部コア112の遠位端に固定された軟質のテーパ状の先端122を有し、通常は当技術分野で知られているようにガイドワイヤ出口126を有する。テーパ状遠位先端122は、治療される分岐部の区域にステントシステム118を配置するために、脈管構造の挿入および非外傷性ナビゲーションを容易にする。遠位先端122は、ポリエチレン、ナイロン、PTFEおよびPEBAXなどのような、医療機器の分野でよく知られた様々なポリマー材料のいずれかから作ることができる。図10に示した実施形態では、遠位先端122は、先端と外装との間の遷移部が平滑な外面を備えるように、外装114の遠位部分がその中に存在できるような大きさおよび構成にされた環状の窪み230を備える。
【0083】
遠位先端122は、一実施形態では、先端122の近位端128で外装114の外径とほぼ同じである外径から、遠位端130でガイドワイヤの外径よりわずかに大きい外径までテーパ状になる。送出カテーテル100の一実施形態における遠位先端122の全長は約3mm〜約12mmであり、一実施形態では、遠位先端は約8mmの長さである。遠位先端122の長さおよびテーパ率は、所望の追跡性および可撓性の特性に応じて変更することができる。先端122は、直線、曲線、または適当であると知られている他のいかなる方法でテーパ状であってよい。
【0084】
図11Bおよび図12を参照すると、中心コア112の遠位部分は、ガイドワイヤ170上のコア112の滑動自在な係合を可能にする縦軸方向の管腔132を有することが好ましい。ガイドワイヤ管腔132は、ガイドワイヤが通ることができる近位アクセス口172および遠位アクセス口126を含むことが好ましい。近位アクセス口172は、図11Aおよび図11Bに示し、以下で検討するように、カテーテル100の長さに沿ったあるポイントに配置してもよく(ラピッドエクスチェンジ)、また、近位アクセス口172は、カテーテル100の近位端102に配置してもよい(オーバーザワイヤー)。ラピッドエクスチェンジタイプの実施形態では、近位アクセス口172は通常、遠位アクセス口126から約25cm以内にあり、遠位アクセス口126から約20cm〜約30cmの間にあることが好ましい。ガイドワイヤ管腔132は、ガイドワイヤ管腔132の長さの相当な部分について、カテーテルの中心線と同心でなくてよい。
【0085】
図11Aおよび図11Bは、近位ガイドワイヤアクセス口172およびガイドワイヤ管腔132を含む、近位シャフト管111と遠位シャフト管113との間の遷移部を示す。ガイドワイヤ管腔132は、共押し出し成形によって延びてもよく、また、近位シャフト管111に対して接着された、収縮包装管により結合させ、または他の方法で保持させた管の別個の区間であってもよい。
【0086】
図11Bに断面図で示した構造では、引っ張りワイヤ管腔220を有する近位シャフト管111は、引っ張りワイヤ管腔220の延長部およびガイドワイヤ管腔132を有する遠位シャフト管113に接合される。図示した実施形態では、近位シャフト管111は、遠位に、コネクタ管230の近位端まで延びる。マンドレル(心棒)を各管腔内で位置決めし、収縮管236を加熱して接合部を接着する。その後に、収縮包装に開口を形成して、ガイドワイヤ管腔132にアクセスできるようにする近位アクセス口172を形成する。
【0087】
一実施形態では、近位シャフト管111は、約0.025インチの外径および約0.003インチの肉厚を有するステンレス鋼の皮下注射器の管を備える。皮下注射管の遠位端123を切断または研磨して、テーパ状の形状にする。テーパ状ゾーンの軸方向の長さは、所望のカテーテル100の可撓性の特性に応じて、広範囲に変化させてよい。一般的に、テーパの軸方向の長さは約1cm〜約5cmの範囲内であり、一実施形態では、約2.5cmである。皮下注射管の遠位端をカテーテルの遠位部分との遷移部でテーパ状にすると、当業者に理解されるように、カテーテルの長さに沿って、相対的に可撓性が低い近位区間から相対的に可撓性が高い遠位区間まで、可撓性特性のスムーズな変化が与えられる。
【0088】
図12を参照すると、ガイドワイヤ管腔132内に配置された状態のガイドワイヤ170が図示されている。当業者には理解できるように、ガイドワイヤ170の直径は、ガイドワイヤ管腔132の内径よりわずかに小さい(例えば約0.001インチ〜0.003インチ)ように図示されている。ガイドワイヤ170とガイドワイヤ管腔132の内径とのきっちりした嵌め合わせを回避することにより、ガイドワイヤ170上のカテーテルの滑動性が向上する。極端に小さい直径のカテーテル設計では、ガイドワイヤ170の外面および/またはガイドワイヤ管腔132の内壁を滑らかな被覆剤でコーティングして、カテーテル100がガイドワイヤ170に対して軸方向に移動する際の摩擦を最小限に抑えることが望ましい。パラレン(Paralene)、テフロン、シリコーン、ポリイミド−ポリテトラフルオロエチレン複合材料、または当技術分野で知られ、ガイドワイヤ170または中心コア112の材料に応じて適切であるその他のものなどの様々なコーティング剤を使用することができる。
【0089】
図12に示すように、膨張管腔134はまた、カテーテル100の長さ全体にわたって延び、近位膨張口を、カテーテルの遠位端によって運ばれる膨張性バルーン116の1つ以上と流体連絡可能に配置することもできる。
【0090】
膨張性バルーン116が存在する場合、これは所望の臨床手順に応じて、図12に図示したステント14などの一方または両方のステントの下に、またはステントの近位あるいは遠位に配置することができる。一実施形態では、図12に図示されるように、ステントは、検討してきたように初めに外装114が近位に後退することで解放される自己拡張式ステントであってよい。その後、ステントを拡大する、および/または、形づくるためにカテーテルを再配置することなく膨張させるように、バルーン16をステント内で同一中心で配置する。ステントを適当なサイズまたは形状にするために、またはステントの後ろに捕捉された物質を圧縮して、管腔の直径を増加させるために(例えば、血管形成)、ステント展開後に膨張することが望ましい。本発明を実施する代替方法では、血管形成は、ステントを展開する前に、ステント展開カテーテル100上のバルーンによって、または別個の血管形成バルーンカテーテル(または回転性関節切除術(artherectomy)、レーザまたは他の再開通器具)によって達成される。その後に、ステント展開カテーテル100を膨張した損傷内に配置し、その後にステントを展開する。したがって、バルーンの膨張は、展開カテーテル100、または異なる処置のカテーテルを使用して達成することができ、治療部位で1つ以上のステントを展開する前に、展開するのと同時に、または展開した後に行ってよい。
【0091】
図9および図9Bに示されるように、カテーテルはまた、カテーテル100の近位端にハンドピース140を含む。ハンドピース140は、以下で説明するように、臨床医によって、ステントシステム118をナビゲートし、展開するように保証されるように構成される。ハンドピース140は、一方または両方のステントの展開の程度を制御し、示すように構成されている制御装置150を含むことが好ましい。制御装置150は一般的に、制御装置150が近位に後退すると、外装114が近位に後退するように、外装114と機械的に連絡している。ステントを露出させるために外装114を遠位に前進させる、あるいは、近位に後退させるなど、軸方向に移動させるために、回転ホイールの遠位への移動、回転運動、または様々な制御装置150の他の動作を代替的に使用してよいことが当業者には認識される。
【0092】
図示した制御装置150は、第1位置から、第1ステント12を部分的に展開するための第2位置、および第1ステント12を完全に展開するための第3位置へと移動可能であることが好ましい。第2ステント14の部分的展開および完全な展開を達成するために、第4位置および第5位置も設けられる。制御装置150は、外装114をコア112に対して後退させると露出する各ステント12または14の量を示すように構成されている表示160を含んでいてもよい。表示160は、展開の進捗を視覚的に示すへこみ、切り欠き、または他のマークを含んでよい。制御装置150はまた、あるいは代替的に様々な切り欠きまたは他の一時的な留め具のいずれかを使用して、可聴および/または触知できるフィードバックを提供し、ステント12、14の部分的および十分な展開に対応する位置へとスライダを「クリック」させることができる。整列可能な電気接触ポイントも使用してよい。所望通りに制御装置150を設けるために、多くの方法および構造が使用可能であることが当業者には認識される。
【0093】
カテーテル100は、当業者には認識されるように、刻印またはその他の方法で接合された、放射線不透過性化合物を含む複数の放射線不透過性マーカ250(図2、図10および図10Aで最もよく分かる)を含んでいてもよい。適当なマーカは、白金、金、バリウム化合物、およびタングステン/レニウム合金などの様々な材料から製造することができる。ある種のマーカ250Aは、環状形状を有し、外装114の全周にわたって延びていてよい。環状マーカ250Aは、第1ステント12の遠位端、第2ステント14の遠位端の区域、およびブリッジ18(図1)の区域、またはステント12、14を分離する空間に配置することができる。第4マーカ252は、ブリッジ18の延長部に配置された第2ステント14の下セグメントの母線と、直径方向反対側の母線とのほぼ中間点に配置することができる。図2は、分岐部内でカテーテルの回転位置を決定するために望ましい位置に外装114に沿って設けられたダイヤモンド形状で厚さの薄いマーカ252を示す。マーカ250および252は、コア112に、外装114に、または外装114ではなく、ブリッジ18上などで直接ステント12、14に押しつけてもよい。
【0094】
図10および図10Aを参照すると、第2ステント14の遠位端に、互いに対して120°の間隔をあけて配置された3つのマーカー253が図示されている。3つのマーカー254も、第1ステント12の近位端に、互いに対して120°の間隔をあけて配置される。各ステント12、14はまた、反対側の端部に単一のマーカー210も含んでよい(例えば、第1ステント12は遠位端に単一のマーカー210を有し、第2ステント14は近位端に単一のマーカー210を有する)。言うまでもなく、当業者の所望に応じて、他のマーカーの配置を使用してもよい。
【0095】
中心マーカー252は、適当な放射線装置を共に用いることにより、2つのステント12、14を分離するブリッジ18の位置を視覚化することを可能にする。したがって、専門家が、広がったゾーン46に対して正確に配置できるように第2ステント14の位置を視覚化することができる。端部マーカー250Aは、専門家が、ステント12、14がそれぞれ主要/第1導管32、二次/枝導管34に正確に配置されていることを確認することを可能にする。
【0096】
図2に示したようなダイヤモンド形マーカー252は、それとしては、放射線装置の半径に直角の方向に向いているか、平行の方向に向いているかに応じて、平面図または側面図で見ることができる。したがって、最大拡張部を有する第2ステント14の部分を、広がった遷移ゾーン46に対して適切な方法で配置できるように、分岐部30に対するステント12、14の角度方向を識別することが可能になる。
【0097】
次に、1対の異種ステントを分岐部の区域に配置し、展開する方法を、図3〜6および図13〜17を参照して検討する。以下の検討の部分は2つの異種ステント部分の送出に関するが、本発明の特定の態様を実現しながら、これより多い、あるいは少ない数のステントおよび/または同様の拡張構成を有するステントも使用してよいことが、当業者には認識される。
【0098】
上記で概説し、図13〜17に図示したようなステントシステムの送出方法は、治療する分岐部30の位置を突きとめることと、適当な送出カテーテル100を用意することと、その上にステント12、14が配置された送出カテーテルの遠位部分107を、治療する分岐部の枝内に配置することと、枝脈管34内で第1ステント12を部分的に展開することと、必要に応じて第1ステント12の位置を観察および調整することと、そして、第1ステント12を十分に展開することとを含む。第2ステント14は部分的に展開され、X線透視法で視覚化された状態で引っ張りワイヤ管腔220を通して造影剤を注入するなどして、再び位置を観察することが好ましい。第2ステント14の位置は、必要に応じて調節してよく、最後に第2ステント14を十分に展開する。人体内の血管または他の流体導管を通してカテーテルをナビゲートする方法は当業者にはよく知られており、したがって本明細書では検討しない。
【0099】
送出カテーテル100は、上述した実施形態のいずれかに従って、送出カテーテルに沿って外装114を軸方向に移動させることにより、ステント12、14を選択的に展開し、それによってステントシステム10を選択的に露出させることができるように、構築することができる。これは、外装114を分岐部に対して固定して保持し、中心コア112を選択的に遠位に前進させることによって達成することができる。したがって、本発明は、ステント展開の一方法として、外装を近位に後退させるのではなく、中心コア(内部外装)を遠位に前進させることによって、1つ以上のステントを展開することを企図する。ステントシステムは、代替的に、中心コアを分岐部に対して固定して保持し、選択的に外装114を近位に後退させることによって展開することができる。カテーテルはまた、外装を遠位に前進させ、それによって中心コア112上に部分的に展開したステントを再び収縮させ、再配置または取り出すように構成してもよい。
【0100】
適当な放射線装置を用いて部分的に展開したステントの部分を視覚化するために、カテーテルを通してステントを配置した領域まで造影剤を導入することができる。当業者には多くの適当な造影剤が知られている。造影剤は、任意のステントシステム10の展開段階で導入してよい。例えば、造影剤は、第1ステント12を部分的に展開した後、第1ステント12を十分に展開した後、第2ステント14を部分的に展開した後、または第2ステント14を十分に展開した後に導入することができる。
【0101】
ステントシステム10の展開の程度は、上述したようなハンドピース140上のインジケータによって目に見えるようにすることが好ましい。ハンドピース140および外装は、ハンドピース140上の制御装置が作動すると、外装114が遠位先端122およびステント12、14に対して近位に移動するように構成することが好ましい。ハンドピース140および外装114はまた、外装がステント12、14に対して遠位に前進し、したがって場合によってはコア112上のステント12、14の一方を再収縮するように構成してもよい。これは、外装114の部分に取り付けた遠位端223、およびハンドピース140に取り付けるように構成されている近位端を有する引っ張りワイヤ222を設けることによって達成することができる。あるいは、ハンドピース140を省略し、後退ワイヤ222を臨床医が直接操作してもよい。
【0102】
図4〜6に図示した代替実施形態では、第1および/または第2ステント12、14を1つの動作で展開し、したがってステント12、14を十分に展開する前に再配置する工程を省略することができる。次に、ステント12、14の完全な拡張を可能にするために、図5および図6に示したように外装114を徐々に引っ込める。
【0103】
好ましい実施形態では、第2ステント14を第1ステント12のすぐ近傍に配置する。例えば、第2ステント14の遠位端38を、第1ステント12の近位端42から約4mm以内の距離に配置してよく、この距離は約2mm未満であることがさらに好ましく、第1および第2ステント12、14を互いから1mm以内に配置することが最も好ましい。第1および第2ステント12、14の相対的な配置は、上述したように、少なくとも部分的にはブリッジ18の有無に依存することが当業者には認識される。いずれのブリッジ18の軸方向の可撓性も、一方のステントの他方に対する移動性の程度に影響を及ぼす。したがって、ステントシステム10は、治療する特定の分岐部に最も適切であるように選択することが好ましい。
【0104】
上述したように、ステント12、14は、自己拡張式であってもよく、また、バルーンで拡張可能(例えば、実質的に非弾性の材料で作られる)であってもよい。したがって、第1ステントおよび/または第2ステントを部分的に展開する工程は、ステントが配置されているバルーン内に膨張流体を導入することを含むか、あるいはステントが自己拡張できるようにしてもよい。バルーンで拡張可能な第2ステント14の場合、第2ステント14が配置されているバルーン116(図12A)は、特に第2ステント14の特定の形状に対応するように構成することができる。特に、このようなバルーンは、近位端より遠位端でより大きい直径を有することが好ましい。
【0105】
ステント12、14が完全に拡張した後、コア112およびガイドワイヤ170を含む送出カテーテル100の遠位端を、患者の導管および脈管構造から引き出すことができる。あるいは、分岐部の一方または両方の枝に配置し、展開される送出カテーテルに追加のステントをも設けることができる。例えば、図6または図17に示すように第2ステント14を展開した後、第3ステントを第2枝脈管内に配置し、展開できるように、カテーテル100およびガイドワイヤ170を第2枝脈管内に後退させて、再配置してもよい。
【0106】
図18を参照すると、分岐部の両方の枝脈管をステントで十分に支持するように、第2枝ステント13を第2枝脈管に展開してよい。第2枝ステント13は、当技術分野でよく知られ、本明細書の他の箇所で開示しているもののような自己拡張ステントか、バルーン拡張式ステントであってよい。第2枝ステント13は、主要ステント14および/または第1枝ステント12の前または後に展開してよい。本発明の1つの用途では、主要脈管ステント14および第1枝ステント12を、本明細書で既に記載したように配置する。バルーンカテーテルまたは自己拡張式ステント展開カテーテルなどのステント展開カテーテル(図示せず)は、分岐部へと経腔的に前進させ、主要脈管ステント14を通して前進させる。次に、第2枝脈管ステント13を、端部同士を接触させるか、主要枝ステント14の遠位端から間隔をおいて配置するか、それと重ね合わせるように、第2枝脈管内で位置合わせすることができる。次に、第2枝脈管ステント13を展開し、展開カテーテルを取り出してよい。
【0107】
当業者には明白であるように、本明細書に記載したステントシステム10およびステント送出システム100は、人間の患者の脈管系および他の流体導管系で一般的に見られる多くの病的状態を治療するのに有用である。この装置を用いた治療は、動脈硬化症あるいは内細胞増殖の場合、または導管壁の局所的あるいは非局所的切開を矯正する際に、または動脈瘤の場合に動脈瘤嚢を除去しながら正常な直径の分岐部を再生する際に、分岐部の適当な直径を再確立することを含むことができる。
【0108】
本発明に従って展開した1つ以上のステントは、分岐部位で時間とともに溶出する薬剤をコーティングするか、その他の方法で薬剤を保持してよい。例えば再狭窄抑制剤、血小板凝集抑制剤、または内皮形成促進剤などの治療に役立つ様々な薬剤のいずれかを使用することができるが、これらに制限されない。適当な薬剤のいくつかとして、ラパマイシン、アンギオペプチン、および平滑筋細胞増殖を阻止できる単一クローン抗体などの平滑筋細胞増殖阻害剤;デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、アセチルサリチル酸、およびメサラミン、リポキシゲナーゼ阻害剤などの抗炎症剤;ベラパミル、ジルチアゼムおよびニフェジピンなどのカルシウム流入遮断剤;パクリタキセル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シクロスポリン、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、エポシロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、スクアラミンおよびチミジンキナーゼ阻害剤などの抗悪性腫瘍/抗増殖/抗細胞分裂剤;L−アルギニン;アストリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシドおよびニトロフイラントインなどの抗菌剤;リドカイン、ブピバカインおよびロピバカインなどの麻酔剤;リシドミン、モルシドミン、NO−タンパク質付加体、NO−多糖類付加体、ポリマーあるいはオリゴマーNO付加体あるいは化学的複合体などの酸化窒素(NO)供与体;D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、エノキサパリン、ヒルジン、Warafinナトリウム、ジクマロール、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、抗血小板剤およびダニ抗血小板因子などの抗凝血剤;インターロイキン、インターフェロンおよびフリーラジカル捕捉剤;成長因子、成長因子受容体アンタゴニスト、転写活性化因子、および翻訳促進剤などの血管細胞増殖促進剤;成長因子阻害剤(例えばPDGF阻害剤−−トラピジル)、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制体、翻訳抑制体、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素で構成された2官能分子、抗体と細胞毒素で構成された2官能分子などの血管細胞成長阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤、チマーゼ阻害剤、例えばトラニラスト、ACE阻害剤、例えばエナラプリル、MMP阻害剤(例えばアイロマスタット、メタスタット)、GP
IIb/IIIa阻害剤(例えばインターグリリン、アブシキマブ)、セラトニンアンタゴニスト、および5−HT吸収阻害剤;コレステロール低下剤;血管拡張剤;および内因性血管活性メカニズムを妨害する薬剤が挙げられる。ポリヌクレオチドのシーケンスは、p15、p16、p18、p19、p21、p27、p53、p57、Rb、nFkBおよびE2Fデコイなどの抗再狭窄剤、チミジンキナーゼ(「TK」)およびそれらの組み合わせ、ならびに細胞増殖の妨害に有用な他の薬剤としても機能する。活性物質の選択は、所望の臨床結果、および特定の患者の病状および禁忌の性質を考慮して行うことができる。薬剤を含んでいても、含んでいなくても、本明細書で開示されるステントはいずれも、生体吸収性材料から作ることができる。
【0109】
図3で示した分岐部30は、断面の狭窄を生じる突出部35を有し、これは導管32および34内を循環する液体の流れを妨げる。脈管分岐部の場合、これらの突出部は、例えば動脈硬化症または細胞増殖による。本明細書に記載するステントシステムによって、導管32、34および広がった遷移ゾーン46の適当な直径を再確立することによって、この分岐部を治療することができる。
【0110】
図7に示すように、ステントシステム10は、動脈瘤242の治療にも使用することができる。動脈瘤242は、血管壁の疾患または弱化に起因する血管の局所的、病的な血液が充満した膨張部分と定義される。したがって、動脈瘤の区域に「代用」血管壁を設けることが望ましい。このために、第1または第2ステント12、14は、導管32、34内を循環する流体に対して実質的に不透過性であるフィルム240で少なくとも部分的に被覆されてよい。ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度および中密度ポリエチレンなど、多くの適当なフィルムが当業者には知られている。フィルムは、ステント12、14に縫合してもよく、また、ステントが脈管32内で拡張すると、フィルム240がステントと脈管壁の間に閉じ込められて保たれるように、ステントの周囲に巻きつけてもよい。そして、ステントは分枝部30を通って液体を導き、その結果として動脈瘤242を形成する血管壁への圧迫を防止する。
【0111】
ある実施形態では、第1(円筒形)ステント12および第2(テーパ状)ステント14はそれぞれ、個々の送出カテーテルに設けることができる。図19〜22を参照し、分岐部の病状の治療のために単一のステントを展開するのに使用するステント送出システムの実施形態を以下に記載する。
【0112】
図19および図20は、拡張した状態にある時にほぼ直線または円筒の形状を有する単一のステントを展開するように形成されたシステムを示し、例えばステント12は上記の実施形態の円筒形ステント12とほぼ同じであってよい。このシステムは一般的に、ほぼ上述した通りであり、カテーテルの遠位端に配置された単一のステント12を有する細長い送出カテーテル100を含む。ステント12は、保持帯121などの複数の半径方向抑制部を有する後退可能な外装114で囲まれている。図示した実施形態では、ステント12を圧縮した状態に保持するために、5つの保持帯121が設けられている。あるいは、他の個数の保持帯121も使用することができる。例えば、1個、2個、3個、4個、または6個以上の保持帯121を特定のステントの所望に応じて使用することができる。
【0113】
図20は、外装114の近位側の詳細とともに、図19のシステムを示す。直線のステント12とともに使用する送出システムは一般的に、環状の肩125を持つステント止め部218を含み、外装114が後退すると、ステント12の近位端がこれに接触する。図20に示すように、ステント止め部218は、後退帯226で外装114に取り付けられた引っ張りワイヤ222に加わる近位方向の力によって外装が後退すると、近位マーカー254に接触する(このようなマーカーを有する実施形態の場合)。
【0114】
図21および図22は、拡張した状態にある時にほぼ円錐形または他のテーパ形状を有する単一のステントを展開するように形成されたシステムを示す。例えば、円錐形ステント14は、上記の主要枝ステント14と同じまたは同様であってよい。図21のシステムは一般的に、ほぼ上述した通りであり、カテーテル100の遠位端に配置された単一の円錐形ステント14を有する細長い送出カテーテル100を含む。ステント14は、複数の保持帯121などの半径方向保持構造を含むことができる後退可能な外装114で囲まれている。図示した実施形態では、ステント14を圧縮した状態に保持し、外装114に押し込むのに耐えるために、4つの保持帯121が設けられている。一実施形態によれば、この個数の保持帯が円錐形ステント14に特に適している。あるいは、他の個数の保持帯121も使用することができる。例えば、1個、2個、3個、5個、または6個以上の保持帯121を特定の円錐形ステントの所望に応じて使用することができる。
【0115】
図22は、外装114の近位側の詳細とともに、図21のシステムを示す。円錐形ステント14とともに使用する送出システムは、外装が後退すると、ステント14が接触する縁部を与えるように形成された、外装内に配置された環状の肩125を持つステント止め部218を含むことができる。図21および図22に示す本実施形態のステント止め部218は、円錐形ステント14の近位マーカー210があるスロット211を備える。これとは対照的に、円筒形ステントとともに使用するように形成された図19および図20に図示した実施形態では、あるいは特定の円錐形ステントの設計を考慮して不必要であれば、このスロット211は省略してよい。
【0116】
単一のステントで使用するように構成された送出システムは、多くの場合、本明細書の開示を考慮して当業者には明白であるように、上記の2個のステントの送出システムとは異なるサイズである。例えば、単一ステント送出カテーテルでステントを受ける窪み129の軸方向の長さは、多くの場合、2個ステント用カテーテルより多少短い。一般に、冠状動脈の分岐部において使用する単一テーパ状ステント用システムでステントを受ける窪み129の軸方向の長さは、約8mmから約18mmの範囲内であり、多くの場合、約10mmから約13mmの範囲内である。冠状動脈への適用に使用するテーパ状ステントは、通常、軸方向の長さが少なくとも10mmであり、例えば10mm、11mm、12mmおよび13mmを使用することができる。冠状動脈への適用のためには、近位側の拡張した直径は、一般的に、約3mmから約6mmの範囲内であり、多くの場合、約3.5mmから約5.5mmであり、一実施形態では、近位側の拡張した直径は約4.5mmである。遠位側の拡張した直径は、一般的に、約5mmから約8mmの範囲内であり、多くの場合、約5.5mmから約7.5mmである。冠状動脈への適用に使用するテーパ状ステントの一実施形態では、遠位側の拡張した直径は約6.5mmである。一実施形態では、単一ステント用カテーテルの外装114および内管腔は、2個ステント用システムにおいて対応する部分より約11mm短くすることができる。
【0117】
頸動脈または胆管への適用に使用するテーパ状ステントは、通常、約15mmから約20mmまでの範囲内、多くの場合、約17mm〜約19mmの間の軸方向の長さを有する。ある特定の実施形態では、頸動脈または胆管への適用に使用するテーパ状ステントは、約18mmの軸方向の長さを有する。頸動脈または胆管への適用のためには、近位側の拡張した直径は、一般的に、約8mmから約12mmの範囲内であり、多くの場合、約9mmから約11mmであり、一実施形態では、近位側の拡張した直径は約10mmである。遠位側の拡張した直径は、一般的に、約11mmから約15mmの範囲内であり、多くの場合、約12mmから約14mmである。冠状動脈への適用に使用するテーパ状ステントの一実施形態では、遠位側の拡張した直径は約13mmである。一般に、遠位側の拡張した直径は、通常、軸方向の長さの少なくとも約40%であり、多くの場合、遠位側の拡張した直径は軸方向の長さの50%を超える。
【0118】
記載されたステントシステムは、上述したように、患者のいかなる数の分岐部を治療するように構成してもよい。例えば、左冠状動脈および右冠状動脈の両方の分岐部、回旋動脈の分岐部、頸動脈、大腿部、腸骨、膝窩、腎臓または他の冠状動脈の分岐部である。あるいは、この装置は、気管分岐部または胆管分岐部などの非脈管分岐部に、例えば一般的な胆管と胆嚢管の間、または主要な胆管の分岐部の区域に使用することができる。
【0119】
本明細書では特定の好ましい実施形態および実施例について記載してきたが、本発明の主題は、特に開示された実施形態を超えて、他の代替実施形態および/または本発明の使用およびその明白な変更および同等物にまで及ぶことが当業者には理解される。したがって、本明細書で開示した本発明の主題の範囲は、上述した特定の開示された実施形態に制限されず、請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要脈管と第1および第2枝脈管の分岐部を治療する展開システムであって、
近位端および遠位端を有する、細長い可撓性の本体と、
前記本体の遠位端の窪みに担持された第1ステントと、
前記ステントを前記可撓性本体上に保持するための着脱式抑制部とを備え、
前記ステントの遠位端が、抑制されていない拡張形状では前記ステントの近位端より直径が大きい展開システム。
【請求項2】
さらに、前記可撓性本体の少なくとも一部を通って軸方向に延びるガイドワイヤ管腔を備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ管腔が近位アクセス口および遠位アクセス口を有し、
前記近位アクセス口が前記可撓性本体に沿って、前記近位端から遠位方向に間隔をおいて配置される、請求項2に記載の展開システム。
【請求項4】
前記ガイドワイヤ管腔が近位アクセス口および遠位アクセス口を有し、
前記近位アクセス口が前記可撓性本体の近位端に配置される、請求項2に記載の展開システム。
【請求項5】
前記着脱式抑制部が、軸方向に移動可能で、前記可撓性本体の長さ方向に沿って延びる制御要素を備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項6】
前記着脱式抑制部が管状の外装を備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項7】
前記着脱式抑制部が引っ張りワイヤを備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項8】
前記着脱式抑制部が溶解性の中膜を備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項9】
さらに、前記本体の遠位端に担持された第2ステントを備える、請求項1に記載の展開システム。
【請求項10】
前記第1および第2ステントが、互いと異なる幾何学的拡張形状を有する、請求項9に記載の展開システム。
【請求項11】
前記第2ステントが、近位端、遠位端および全体を通して実質的に一定の半径を有する、実質的に円筒形の抑制されていない拡張形状を有する、請求項10に記載の展開システム。
【請求項12】
前記第1ステントの拡張した直径が、遠位方向に半径方向外側にテーパ状になる、請求項1に記載の展開システム。
【請求項13】
前記第1および第2ステントが、ステントをカテーテルから外すと、前記第1ステントの遠位端と前記第2ステントの近位端とが、植え込まれた状態で、約4mm以内の距離だけ分離されるように、カテーテルによって運ばれる、請求項9に記載の展開システム。
【請求項14】
前記距離が約2mm以内である、請求項13に記載の展開システム。
【請求項15】
近位端および遠位端を有する、細長い可撓性の管状本体と、
約5mmから約20mmの範囲内の軸方向の長さを有する前記本体上の窪みと、
前記窪みに担持された非円筒形の自己拡張式ステントと、
前記近位端上のハンドピースと、
前記ステントを展開するための前記ハンドピース上の制御部とを備えるステント展開カテーテル。
【請求項16】
さらに、オーバーザワイヤー構成のガイドワイヤ管腔を備える、請求項15に記載のステント展開カテーテル。
【請求項17】
さらに、ラピッドエクスチェンジ構成のガイドワイヤ管腔を備える、請求項15に記載のステント展開カテーテル。
【請求項18】
主要脈管の第1および第2枝脈管への脈管分岐部を治療するシステムであって、
前記分岐部より遠位にある第1枝脈管内に展開するように形成された実質的に円筒形のステントと、
前記分岐部より近位の主要脈管内に展開するように形成されたテーパ状のステントとを備え、
前記テーパ状ステントが、約10mmから約20mmの範囲内の長さを有し、より小さい近位直径から前記分岐部に面するより大きい遠位直径まで遠位方向にテーパ状になるシステム。
【請求項19】
さらに、前記円筒形ステントと前記テーパ状ステントの少なくとも一方を解放するように形成された、近位方向に後退可能な外装を有する送出カテーテルを備える、請求項18に記載の脈管分岐部を治療するシステム。
【請求項20】
主要脈管の第1および第2枝脈管への脈管分岐部を治療するシステムであって、
自身上に第1ステントを有する送出カテーテルを備え、
前記第1ステントが近位端および遠位端を有し、少なくとも約10mmの長さを有し、前記近位端が前記遠位端より小さい直径を有する形状へと自己拡張可能であり、
前記ステントの送出まで、前記第1および第2ステントの少なくとも一方を圧縮した状態に維持するように形成された着脱式抑制部を備え、
前記第1ステントの遠位端が、前記第1ステントの近位端の直径の少なくとも約105%である直径まで拡張するシステム。
【請求項21】
前記第1ステントの遠位端が、前記第1ステントの近位端の直径の少なくとも約110%である直径まで拡張する、請求項1に記載の主要脈管の第1および第2枝脈管への脈管分岐部を治療するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−30109(P2012−30109A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227159(P2011−227159)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【分割の表示】特願2004−551962(P2004−551962)の分割
【原出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504395257)バイオセンサーズ インターナショナル グループ、リミテッド (16)
【Fターム(参考)】