説明

脚式移動ロボット

【課題】搭載するカメラ(撮像素子)に太陽光などの高輝度の光源が写り込まれるときも、撮影対象を適切な輝度値で撮影するようにした脚式移動ロボットを提供する。
【解決手段】撮像素子によって撮像された画像に高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、ハンドを駆動して高輝度の入射光を遮断する(S18からS28)、頭部を回転させて高輝度の入射光を回避する(S36からS48)、あるいは脚部を駆動して回避することで、高輝度撮像部位の輝度を低減する輝度低減動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は脚式移動ロボットに関し、より具体的には視覚センサとしてのCCDカメラ(撮像素子)を備えると共に、それに太陽光などの高輝度の光源が写り込まれるときも撮影対象を適切な輝度値で撮影するようにした脚式移動ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1において、太陽光などの高輝度の光源がカメラの画角内に写り込まれるとき、撮像素子面上に内部反射で発生するゴーストの位置、形状などを予測し、撮影画像のどの部分がゴーストか判定し、判定されたゴースト部分を撮影者の指定により、あるいは自動的に補正(低減処理)する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−129084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の技術はいわゆるデジタルカメラやビデオカメラであり、ユーザが人などの撮影対象に向けて操作して撮影するカメラについての技術であるが、その種のカメラを脚式移動ロボットなどの移動体に搭載して視覚センサとして使用することがある。
【0004】
そのような場合、図9に示す如く、太陽光やスポットライトなどの高輝度光源が撮像素子に撮像されるとき、光源の影響で暗部にいる本来撮影したい人などの撮影対象の輝度値が潰れてしまい、撮影対象を特定できないことがある。図9で実際には人は画面に右側に存在する。
【0005】
従ってこの発明の目的は上記した課題を解決し、搭載するカメラ(撮像素子)に太陽光などの高輝度の光源が写り込まれるときも、撮影対象を適切な輝度値で撮影するようにした脚式移動ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る脚式移動ロボットにあっては、撮影対象を含む外界からの入射光によって画像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子によって撮像された画像に高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、前記高輝度撮像部位の輝度を低減する輝度低減動作を実行する輝度低減動作実行手段とを備える如く構成した。
【0007】
請求項2に係る脚式移動ロボットにあっては、基体と、前記基体に連結される腕部と、前記腕部に連結されるハンドとを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記ハンドを駆動して前記高輝度の入射光を遮断することで前記高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成した。
【0008】
請求項3に係る脚式移動ロボットにあっては、前記撮影対象が人であると共に、前記輝度低減動作実行手段は、人の画像パラメータを保持しつつ、前記ハンドを駆動して前記高輝度の入射光を遮断する如く構成した。
【0009】
請求項4に係る脚式移動ロボットにあっては、基体と、前記基体に連結されると共に、前記撮像素子が搭載される頭部とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記頭部を回転させて前記高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成した。
【0010】
請求項5に係る脚式移動ロボットにあっては、基体と、前記基体に連結される頭部と脚部と腕部とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記脚部を駆動して前記高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成した。
【0011】
尚、上記で「高輝度の入射光」とは光源などの輝度が比較的高い入射光を、「高輝度撮像部位」とは高輝度の入射光によって画像に撮像される部位を意味する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る脚式移動ロボットにあっては、撮影対象を含む外界からの入射光によって画像を撮像する撮像素子によって撮像された画像に高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、その輝度を低減する輝度低減動作を実行する輝度低減動作実行手段とを備える如く構成したので、太陽光などの高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるときも、その輝度を低減することで人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができる。
【0013】
請求項2に係る脚式移動ロボットにあっては、ハンドなどを少なくとも有すると共に、ハンドを駆動して高輝度の入射光を遮断することで高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成したので、上記した効果に加え、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができる。
【0014】
請求項3に係る脚式移動ロボットにあっては、撮影対象である人の画像パラメータを保持しつつ、ハンドを駆動して高輝度の入射光を遮断する如く構成したので、上記した効果に加え、撮影対象である人を確実に撮影することができる。
【0015】
請求項4に係る脚式移動ロボットにあっては、撮像素子が搭載される頭部などを少なくとも有すると共に、頭部を回転させて前記高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成したので、同様に、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができると共に、高輝度撮像部位が比較的大きいときも確実に撮影対象を撮影することができる。
【0016】
請求項5に係る脚式移動ロボットにあっては、基体に連結される脚部などを少なくとも有すると共に、脚部を駆動して前記高輝度撮像部位の輝度を低減する如く構成したので、同様に、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができると共に、高輝度撮像部位が比較的大きいときも一層確実に撮影対象を撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に即してこの発明に係る脚式移動ロボットを実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0018】
図1はこの実施例に係る脚式移動ロボットの正面図、図2は図1に示すロボットの側面図である。
【0019】
図1に示すように、脚式移動ロボット(移動体。以下単に「ロボット」という)10は、左右2本の脚部12L,12R(左側をL、右側をRとする。以下同じ)を備える。脚部12L,12Rは、基体14の下部に連結される。基体14の上部には頭部16が連結されると共に、側方には左右2本の腕部20L,20Rが連結される。左右の腕部20L,20Rの先端には、それぞれハンド(エンドエフェクタ)22L,22Rが連結される。この実施例にあっては、脚式移動ロボットとして、2本の脚部と2本の腕部を備えた、1.3m程度の身長を有するヒューマノイド型のロボットを例にとる。
【0020】
図2に示すように、基体14の背部には格納部24が設けられ、その内部には電子制御ユニット(以下「ECU」と呼ぶ)26およびバッテリ(図示せず)などが収容される。
【0021】
図3は、図1に示すロボット10をスケルトンで表す説明図である。以下、図3を参照し、ロボット10の内部構造について関節を中心に説明する。尚、図示のロボット10は左右対称であるので、以降L,Rの付記を省略する。
【0022】
左右の脚部12は、それぞれ大腿リンク30と下腿リンク32と足部34とを備える。大腿リンク30は、股関節を介して基体14に連結される。図3では、基体14を基体リンク36として簡略的に示すが、基体リンク36は、関節38を介して上半部36aと下半部36bとが相対変位自在に構成される。
【0023】
大腿リンク30と下腿リンク32は膝関節を介して連結されると共に、下腿リンク32と足部34は足関節を介して連結される。股関節は、Z軸(ヨー軸)回りの回転軸40と、Y軸(ピッチ軸)回りの回転軸42と、X軸(ロール軸)回りの回転軸44とから構成される。即ち、股関節は3自由度を備える。
【0024】
膝関節はY軸回りの回転軸46から構成され、1自由度を備える。足関節はY軸回りの回転軸48とX軸回りの回転軸50とから構成され、2自由度を備える。このように、左右の脚部12のそれぞれには3個の関節を構成する6個の回転軸(自由度)が与えられ、脚部全体としては合計12個の回転軸が与えられる。
【0025】
脚部12は、アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。脚部12を駆動する脚部アクチュエータは基体14と脚部12の適宜位置に配置された12個の電動モータからなり、上記した12個の回転軸を個別に駆動する。
【0026】
また、左右の腕部20は、それぞれ上腕リンク52と下腕リンク54を備える。上腕リンク52は、肩関節を介して基体14に連結される。上腕リンク52と下腕リンク54は、肘関節を介して連結されると共に、下腕リンク54とハンド22は手首関節を介して連結される。
【0027】
肩関節はY軸回りの回転軸56とX軸回りの回転軸58とZ軸回りの回転軸60とから構成され、3自由度を備える。肘関節はY軸回りの回転軸62から構成され、1自由度を備える。手首関節はZ軸回りの回転軸64とY軸回りの回転軸66とX軸回りの回転軸68とから構成され、3自由度を備える。このように、左右の腕部20のそれぞれには3個の関節を構成する7個の回転軸(自由度)が与えられ、腕部全体として合計14個の回転軸が与えられる。
【0028】
腕部20も、脚部12と同様に図示しないアクチュエータによって駆動される。腕部20を駆動する腕部アクチュエータは基体14と腕部20の適宜位置に配置された14個の電動モータからなり、上記した14個の回転軸を個別に駆動する。ロボット10は脚部アクチュエータあるいは腕部アクチュエータの動作が制御されて各回転軸が適宜な角度で駆動されることにより、脚部12あるいは腕部20に所望の動きが与えられる。
【0029】
ハンド22には、5本の指部70が設けられる。指部70は図示しないハンドアクチュエータによって動作自在とされ、腕部20の動きに連動して物を把持する、あるいは適宜な方向を指差すなどの動作が実行可能とされる。
【0030】
頭部16は、基体14に首関節を介して連結される。首関節はZ軸回りの回転軸72とY軸回りの回転軸74とから構成され、2自由度を備える。回転軸72,74も、図示しない頭部アクチュエータによって個別に駆動される。頭部アクチュエータの動作を制御して回転軸72,74を適宜な角度で駆動することにより、頭部16を所望の方向に向けることができる。基体リンク36も関節38に配置されたアクチュエータ(図示せず)を駆動することで、上半部36aと下半部36bが相対回転させられる。
【0031】
左右の脚部12には、それぞれ力センサ(6軸力センサ)76が取り付けられ、床面から脚部12に作用する床反力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。左右の腕部20にも同種の力センサ78がハンド22と手首関節の間で取り付けられ、腕部20に作用する外力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
【0032】
基体14には傾斜センサ80が設置され、鉛直軸に対する基体14の傾斜角度とその角速度などの状態量を示す信号を出力する。頭部16には、人などの撮影対象を含む外界からの入射光によって撮像する、2個(左右)の撮像素子、具体的にはCCDカメラ(以下「カメラ」という)82が設置される。また、頭部16には、マイクロフォン84aとスピーカ84bからなる音声入出力装置84が設けられる。
【0033】
上記したセンサなどの出力は、ECU26(図2に示す)に入力される。ECU26はマイクロコンピュータからなり、図示しないCPUや入出力回路、ROM、RAMなどを備える。
【0034】
図4は、ロボット10の構成をECU26の入出力関係を中心に示すブロック図である。
【0035】
図示の如く、ロボット10は、上記したセンサなどに加え、回転軸40などのそれぞれに配置されたロータリエンコーダ群86と、ジャイロセンサ88と、GPS受信器90と、人(撮影対象)が携行するICタグ92に無線系で接続されてICタグ92から発信されるICタグ情報を受信するICタグ信号受信器(リーダ)94を備える。
【0036】
ロータリエンコーダ群86はそれぞれ、回転軸40などの回転角度、即ち、関節角度に応じた信号を出力する。ジャイロセンサ88は、ロボット10の移動方向と距離に応じた信号を出力する。GPS受信器90は衛星から発信された電波を受信し、ロボット10の位置情報(緯度と経度)を取得してECU26に出力する。
【0037】
ICタグ信号受信器94は、ICタグ92に記憶されると共に、それから発信される識別情報(RFID(Radio Frequency ID)、具体的にはICタグ92の携行者である人を識別する識別情報)を無線系で受信してECU26に出力する。
【0038】
ECU26は、力センサ76、傾斜センサ80およびロータリエンコーダ群86などの出力に基づいて歩容を生成して歩行制御を行う。具体的には、前記した脚部アクチュエータ(符号100で示す)の動作を制御して脚部12を駆動してロボット10を移動(歩行)させる。歩容生成および歩行制御については本出願人が提案した特許第3726081号に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0039】
また、ECU26は、歩行制御などに付随して腕部アクチュエータ(符号102で示す)とハンドアクチュエータ(符号104で示す)の動作を制御して腕部20とハンド22を駆動すると共に、頭部アクチュエータ(符号106で示す)の動作を制御して頭部16の向きを調整する。
【0040】
さらに、ECU26は、カメラ(撮像素子)82に高輝度撮像部位が撮像されているとき、その輝度を低減させる輝度低減動作を実行する。
【0041】
図5は、ECU26が輝度低減動作を実行するときの構成を機能的に示すブロック図である。
【0042】
図示の如く、そのときのECU26の動作を機能別に見ると、ECU26は、ステレオ処理部26aと、ヒストグラム生成部26bと、露出パラメータ設定部26cと、画像処理部26dと、行動生成部26eとからなる。
【0043】
ステレオ処理部26aは、移動体(ロボット)10に搭載された2個のカメラ(撮像素子)82の出力を入力し、ステレオ処理によって視差から画素ごとの距離情報を算出する。カメラ82の画素の数は320×240とする。ステレオ処理部26aは、濃淡画像データから3次元(3D)データを算出して出力する。
【0044】
ヒストグラム生成部26bは撮影された画像の輝度値ヒストグラムを作成すると共に、距離ごとに、あるいは距離に応じて重み付けを行う。
【0045】
露出パラメータ設定部26cは、撮像したい距離の輝度値から露出パラメータ(より具体的にはシャッタ速度)を設定する。カメラ82はロボット10に搭載されて視覚センサとして機能する関係上、自ら撮影対象を捜索して撮影することはなく、撮影画像から撮影対象を抽出しなければならない。そのため、カメラ82の絞りは最小に固定され、近距離、具体的には0.5mから2.5m程度で焦点が合うように調整される。従って、露出パラメータとしてはシャッタ速度のみが調整自在とされる。
【0046】
画像処理部26dは、ロボット10が移動するとき、視覚センサとしての画像処理を行う。
【0047】
行動生成部26eは、カメラ82に光源などの高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、その輝度を低減する輝度低減動作を実行する。
【0048】
次いで、上記したECU26の動作をさらに詳細に説明する。
【0049】
図6は、図5と同様、ECU26が輝度低減動作するときの処理を示すフロー・チャートの前半部、図7はその後半部である。
【0050】
以下説明すると、S10において人(撮影対象)がいるか否か判断する。これは人が携行するICタグ92から発信される識別情報を受信するICタグ信号受信器94の出力から判断する。
【0051】
S10で否定されるときは上記した処理を繰り返すと共に、肯定されるときはS12に進み、移動して人に接近し、S14に進んで所定距離以内に接近した後、S16に進んでさらに接近する。
【0052】
次いでS18に進み、画像の中の高輝度撮像部位の方向と位置が検出されたか否か判断し、肯定されるときはS20に進み、最適なハンド22の姿勢を算出すると共に、否定されるときはS22に進み、ハンド22の姿勢としてデフォルト(既定値)を採用する。
【0053】
次いでS24に進み、ハンド22を太陽光などの光源、より正確には高輝度撮像部位にかざす、即ち、ハンド22を駆動して光源などの高輝度の入射光を遮断するように動作させる。
【0054】
次いで、S26に進み、ハンド22の位置を近づけ(基体14に向けて引き寄せ)、S28に進み、光源、より正確には高輝度撮像部位よりもハンド22が大きくなったか、換言すれば高輝度の入射光がハンド22で遮断されたか否か判断し、否定されるときはS24に戻って上記の処理を繰り返す。
【0055】
図8は、上記したハンド22による高輝度撮像部位の輝度低減動作を説明する説明図である。
【0056】
図示の如く、ロボット10はハンド22Rを駆動し、光源からの高輝度の入射光(光軸)を遮断するように動作する。ハンド22Rの位置はA,B,Cの順で自身の頭部16に搭載されるカメラ82に近づき、光源からの入射光を遮断する面積も増加する一方、人についての撮像部位を遮断する可能性も増加する。
【0057】
従って、S18からS28までの処理においては、人についての撮像部位を保持しつつ、換言すれば人の画像パラメータを保持しつつ、光源からの高輝度の入射光を完全に遮断する位置、即ち、可能な限りAに近い位置となるように、ハンド22を駆動する。
【0058】
図6の説明に戻ると、次いでS30に進み、人の露出パラメータ、即ち、シャッタ速度を算出し、S32に進み、人の画像から顔を抽出の可能性を判断する。
【0059】
次いでS34に進み、顔が抽出できないか否か判断し、肯定されるときはS36に進み、光源などの高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位の輝度値の最大値が顔の輝度値を超えるか否か判断し、肯定されるときはS38に進み、頭部16の回転量を算出する。
【0060】
次いでS40に進み、光源などの高輝度の入射光(光軸)をずらす(回避する)ための頭部16の移動の方向と大きさを算出し、S42に進み、目標方向に対する頭部16の移動指令値を決定し、S44に進み、それに従って頭部16を移動(回転)させ、S46に進み、リミット処理を行う。即ち、S18からS28までのハンド22の駆動によって高輝度撮像部位の輝度を十分に低減できなったと判断されることから、頭部16を回転させて高輝度の入射光を回避することとする。
【0061】
次いでS48に進み、顔の抽出処理を実行し、S50に進み、顔が抽出できたか否か判断する。S50で否定されるときはS52(図7)に進み、高輝度撮像部位の輝度値の平均値が抽出された顔の輝度値を超えるか否か判断する。S52で肯定されるときはS54に進み、歩容(回転など)の修正量を算出する。尚、S52で否定されるときはS54をスキップする。
【0062】
次いでS56に進み、算出された修正量に従って歩容指令値を出力し、S58に進み、脚部12を駆動して歩行制御を実行する。その後でS18に戻り、上記の処理を繰り返す。尚、S34で否定されるとき、あるいはS50で肯定されるときは顔を抽出できたことから以降の処理をスキップする。
【0063】
この実施例に係る脚式移動ロボット10にあっては、人などの撮影対象を含む外界からの入射光によって画像を撮像する撮像素子(CCDカメラ)82と、前記撮像素子によって撮像された画像に高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、前記高輝度撮像部位の輝度を低減する輝度低減動作を実行する輝度低減動作実行手段(ECU26、ステレオ処理部26a、ヒストグラム生成部26b、露出パラメータ設定部26c、画像処理部26d、行動生成部26e,S10からS58)とを備える如く構成したので、太陽光などの高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるときも、その輝度を低減することで人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができる。
【0064】
また、基体14と、前記基体に連結される腕部20と、前記腕部に連結されるハンド22とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記ハンド22を駆動して前記高輝度の入射光を遮断することで前記高輝度撮像部位の輝度を低減する(S18からS28)如く構成したので、上記した効果に加え、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができる。
【0065】
また、前記撮影対象が人であると共に、前記輝度低減動作実行手段は、人の撮像部位、換言すれば人の画像パラメータを保持しつつ、前記ハンド22を駆動して前記高輝度の入射光を遮断する(S18からS28)如く構成したので、上記した効果に加え、撮影対象である人を確実に撮影することができる。
【0066】
また、基体14と、前記基体に連結されると共に、前記撮像素子が搭載される頭部16とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記頭部16を回転させて前記高輝度撮像部位の輝度を低減する(S36からS46)如く構成したので、同様に、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができると共に、高輝度撮像部位が比較的大きいときも確実に撮影対象を撮影することができる。
【0067】
また、基体14と、前記基体に連結される頭部16と脚部12と腕部20とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記脚部12を駆動して前記高輝度撮像部位の輝度を低減する(S54からS58)如く構成したので、同様に、撮像素子や画像処理の性能を上げることなく、人などの撮影対象を適切な輝度値で撮影することができると共に、高輝度撮像部位が比較的大きいときも一層確実に撮影対象を撮影することができる。
【0068】
尚、上記において、撮影対象として人を予定したが、それ以外にロボット10の作業で予定される道具やワークなどの物体であっても良い。
【0069】
また上記において、撮影対象の有無を撮影対象が携行するICタグ92から発信される識別情報を受信するICタグ信号受信器94の出力から判断するようにしたが、カメラ82の出力から判断しても良い。さらには外部からコマンドを入力して教示しても良い。
【0070】
また上記において、移動体の例として脚式移動ロボット、具体的には2足歩行ロボットを例示したが、それに限られるものではなく、自律移動自在であればどのようなものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の実施例に係る脚式移動ロボットの正面図である。
【図2】図1に示すロボットの側面図である。
【図3】図1に示すロボットをスケルトンで示す説明図である。
【図4】図1に示すロボットの構成を電子制御ユニット(ECU)の入出力関係を中心に示すブロック図である。
【図5】図4に示す電子制御ユニットが高輝度撮像部位の輝度低減動作を行なうときの構成を機能的に示すブロック図である。
【図6】図5と同様、電子制御ユニットが高輝度撮像部位の輝度低減動作を行なうときの処理を示すフロー・チャートの前半部である。
【図7】図6フロー・チャートの後半部である。
【図8】図6の処理の中のハンドによる輝度低減動作を説明する説明図である。
【図9】この実施例に係るカメラ(撮像素子)で撮影を予定する場面の一例である。
【符号の説明】
【0072】
10:脚式移動ロボット(移動体、ロボット)、12:脚部、14:基体、20:腕部、26:ECU(電子制御ユニット)、26a:ステレオ処理部、26b:ヒストグラム生成部、26c:露出パラメータ設定部、26d:画像処理部、26e:行動生成部、82:CCDカメラ(撮像素子。カメラ)、92:ICタグ、94:ICタグ信号受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象を含む外界からの入射光によって画像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子によって撮像された画像に高輝度の入射光によって撮像された高輝度撮像部位があるとき、前記高輝度撮像部位の輝度を低減する輝度低減動作を実行する輝度低減動作実行手段とを備えたことを特徴とする脚式移動ロボット。
【請求項2】
基体と、前記基体に連結される腕部と、前記腕部に連結されるハンドとを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記ハンドを駆動して前記高輝度の入射光を遮断することで前記高輝度撮像部位の輝度を低減することを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボット。
【請求項3】
前記撮影対象が人であると共に、前記輝度低減動作実行手段は、人の画像パラメータを保持しつつ、前記ハンドを駆動して前記高輝度の入射光を遮断することを特徴とする請求項2記載の脚式移動ロボット。
【請求項4】
基体と、前記基体に連結されると共に、前記撮像素子が搭載される頭部とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記頭部を回転させて前記高輝度撮像部位の輝度を低減することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の脚式移動ロボット。
【請求項5】
基体と、前記基体に連結される頭部と脚部と腕部とを少なくとも有すると共に、前記輝度低減動作実行手段は、前記脚部を駆動して前記高輝度撮像部位の輝度を低減することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の脚式移動ロボット。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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