説明

脱塩のための改善された方法

本発明は脱塩された水性液を製造するための方法を提供する。この方法は、ガス抜きされた水性液(115)を逆浸透膜(110)を通過させることを含む。この方法はさらに、ガス抜きされた水性液(115)を生成させるために水性液をガス抜きする工程(105)を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水脱塩(淡水化)のための改善された方法、およびこの方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的な規模の脱塩方法としての逆浸透(RO)は、国際的な市場の大きなシェアを占めている。大規模な脱塩のための市場は急速に成長しつつあり、政府と企業によって同様に支持されている。UN(国連)は今世紀を「海洋水淡水化の世紀」と呼んだ。1998年にはROは脱塩のための世界的な市場のおよそ40%を占めると見積もられたが、これは多段フラッシュ(MSF)法(蒸発法)に次ぐものである。
【0003】
逆浸透は、ブラインすなわち濃縮物中に塩類を単離させるために透水性の半透膜(membrane)を境にして差圧を加える膜技術である。用いられる差圧は一般に、およそ35〜100atmの範囲である。プロセスの効率は決定的に、膜を通る水の流量(flux)に依存する。「海水系における回収率と透過流量の増大によって脱塩プロセスの経済性を改善することができる」(Hussain, A.R. Desalination(脱塩)165(2004)11-22)。最近の事例研究によれば、流量の20%の減少の主要な要素は「詰まりと圧縮」によるものである(Polasek, V他、Desalination 156(2003)239-247)、言い換えると、膜の内部で何らかの形で流れが遮断されることによるものであると考えられる、と示唆されている。
【0004】
半透膜を製造するための材料は、流速と性能を決定づける自明のパラメーターである。現在でも広く用いられている最も初期のRO膜は、酢酸セルロース(CA)から製造される。しかし、薄膜複合材がより一般的になりつつある。FILMTEC薄膜半透膜は、大きな水の流量を可能にするために「薄い芳香族ポリアミド遮断層」からなり、そしてこれの下には「厚い微孔質のポリスルホン下層」がある(FILMTEC、製品情報:FILMTEC半透膜)。最近の研究はハイブリッドシステム、すなわち多段フラスコ(MSF、蒸発法)とROの混成による最適化に焦点を当てている。これらのハイブリッドは、収量を改善するとともに運転資金を低減させるために用いられる。
【0005】
逆浸透(RO)膜は一般に、適当な可溶性ポリマー(通常は酢酸セルロース)の界面沈殿、あるいは複合ポリイミド/ポリスルホン半透膜の形成によって製造される。膜は非対称(asymmetric)であって、非常に薄い表面層すなわち遮断層だけが溶質に対するバリヤーとして作用することが重要である。これらの膜の表面はまた、横断する流れのろ過を促進して詰まりが低減されるように、滑らかである。薄い表面である「表皮層」は典型的に厚さが約2ミクロンであるが、ナノサイズの細孔を有し、そして膜の本体として機械的強度を担う微孔質または織物の支持体によって支持されている。市販の酢酸セルロース膜を貫く断面の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0006】
表皮層は半透膜の活性な部分であり、直径が1nmの範囲の極めて微細な細孔を有している。これらの細孔は水だけを通過させ、従って、塩溶液に十分に高い圧力(典型的に10〜100バールの範囲)が加わるときに塩水を脱塩するために用いることができる。細孔の表面は本質的に疎水性であり、その一つの理由は、微細な細孔の内部の環境は塊状の水よりもずっと低い誘電率を有するためであろうと考えられる。例えば、(トリ-)酢酸セルロース(CA)においては、セルロースのほとんど全てのヒドロキシル基が酢酸エステル基で置き換えられていて、そのため水に十分に水素結合することができない。酢酸セルロースはまた、3.5〜4.5という低い誘電率を有していて、それに対して水の誘電率は80である。従って、これらの微細な細孔は水とイオンをはじくが、しかし水は十分に高い圧力において細孔の中に侵入することができる。イオンの塩は大部分が遮断され、従って、脱塩のために半透膜を用いることができる。海水については、濃縮した塩溶液から細孔の中に水を侵入させるために、その自然の浸透圧(約25バール)よりも高い加圧を用いなければならない。水の分子は、塊状の水と比較して、細孔の中では高いエネルギー状態を有することを理解しなければならない。
【0007】
現在の逆浸透システムに伴う不利な点は、脱塩されて生成される水の流量が比較的少ないことである。このことは、増大した圧力および/または半透膜の増大した表面積を使用することによって少なくとも部分的には克服されるかもしれない。しかし、これらの解決策の両者とも、増大した費用を必然的に伴い、また増大した補修管理の努力も要するかもしれない。
【発明の開示】
【0008】
発明の目的
本発明の目的は、上記の不利益の一つ以上を実質的に克服するか、あるいは少なくとも改善することである。
【0009】
発明の概要
本発明の第一の面において、脱塩された水性液を製造するための方法が提供され、この方法は、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させることを含む。
【0010】
この方法はクロスフロー(横断流:crossflow)逆浸透を含んでいてもよい。クロスフロー逆浸透は、ガス抜きされた水性液を、このガス抜きされた水性液の浸透圧よりも大きな膜横断圧力(transmembrane pressure)の下で逆浸透膜の第一の表面を横切って通過させることを含んでいてもよい。第一の表面は、溶解した塩の通過を制限する逆浸透の遮断層すなわち表皮層に隣接する表面であってもよい。逆浸透膜はいかなる適当な形状であってもよく、例えば平らなシート、らせん巻き、中空の繊維、ひだ状のシートなどである。これらの形状は当分野でよく知られている。
【0011】
この方法は、逆浸透によって少なくとも部分的に除去することのできる溶質を有するあらゆるガス抜きされた水性液に適用することができる。溶質は極性溶質であっても、またイオンの溶質であってもよい。溶質は塩類であってもよい。ガス抜きされた水性液は、一つのそのような溶質を含んでいても、あるいは一つよりも多くのそのような溶質の混合物を含んでいてもよい。適当な水性液は海水であり、これにおいては溶質は塩化ナトリウムと少量のその他の塩類である。本発明の文脈において「脱塩される(desalinated)」という用語および関連する用語(例えば、脱塩すること、脱塩)は、水性液中の溶質(一つまたは複数)の少なくとも一部の除去を指す、と理解される。この用語は必ずしも100%の除去を表すのではなく、溶質(一つまたは複数)の除去の程度は、溶質の種類、その濃度、逆浸透膜の種類、プロセスにおいて用いられる流量および/またはその他の因子に依存するだろう。除去の程度すなわち脱塩の程度は通常、上記の因子に応じて約50%を超え、あるいは約80%を超えるだろう。
【0012】
ガス抜きされた水性液は、部分的にガス抜きされていてもよい。それは例えば、少なくとも80%ガス抜きされ、あるいは少なくとも90%または95%ガス抜きされてもよい。
【0013】
この方法はまた、ガス抜きされた水性液を用意することを含んでいてもよい。この用意することは、水性液をガス抜きすることによって、ガス抜きされた水性液を生成することを含んでいてもよい。ガス抜きすることは、このガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させる前に行われる。従って、この方法は、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させる前に、水性液をガス抜きする工程を含んでいてもよい。ガス抜きを行うことに続いて、通過を行う間にガスが実質的に全く溶解しないようにして、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させてもよい。ガス抜きされた水性液をガス(例えば空気)と接触させずに、逆浸透膜を通過させてもよい。ガスに対して実質的に不透過性の密封された導管を介して、水性液を逆浸透膜に通してもよい。
【0014】
ガス抜きする工程は、水性液を減圧蒸留することを含んでいてもよい。それは、水性液を膜蒸留することを含んでいてもよい。それは、水性液を多孔質膜を通過させることを含んでいてもよく、これは水性液をこの膜を通過させるには不十分な膜横断圧力の下で行なわれる。それは、水性液を通過させる表面から離れた膜の側に減圧を適用して行ってもよい。このプロセスにおいて、水性液からのガスと蒸気は多孔質膜を通過し、そして水性液は多孔質膜を通過しない。蒸気は凝縮されて、液体の蒸留物を形成してもよい。蒸留物は精製された水性液であってもよい。それは、ガス抜きする工程に導入される水性液よりも低い溶質の濃度を有していてもよい。減圧蒸留からの蒸留物は回収してもよく、そして/または、少なくとも部分的に脱塩された水性液と一緒にしてもよい。減圧蒸留する工程は膜蒸留を含んでいてもよい。ガス抜きする工程は、場合により、水性液を加熱することを含んでいてもよい。加熱は、もし行われる場合、約40℃〜約95℃の間の温度とすることができ、ただし、ガス抜き装置(すなわち、ガス抜き装置における膜および/またはガス抜き装置のその他の要素)は損傷することなくその温度に耐えることができなければならない。この工程はまた、場合により、ガス抜きされた水性液を冷却することを含んでいてもよく、例えば室温まで冷却し、あるいはガス抜きされた水性液が逆浸透装置をそこで用いられる圧力において損傷しない温度まで冷却する。あるいは、本発明の方法は、水性液を加熱せずに行ってもよい。これは、プロセスのエネルギー消費量を低減するために行われるだろう。水性液を導管、パイプ、その他のものを通過させることや水性液をポンプで送り込むことによって小さな加熱効果が与えられるかもしれない、ということが理解されるだろう。しかし、このプロセスは、水性液を加熱することを意図したプロセスを行うことなく、行ってもよい。
【0015】
ガス抜きする工程は、水性液中に溶解したガスの少なくとも80%、90%または95%を除去することを含んでいてもよい。この方法は、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させる工程を行う前においてガス抜きされた水性液中に溶解している塩類の濃度が、脱塩された水性液中に溶解している塩類の濃度よりも少なくとも5倍高いようなものであってもよい。逆浸透膜を通過するガス抜きされた水性液の流量(flux)は、ガス抜きされていない同じ水性液を用いて同じ膜横断圧力において逆浸透膜を通過する流量よりも少なくとも10%多いだろう。
【0016】
ガス抜きされた水性液の部分を逆浸透膜を通過させる工程は、ガス抜きされた水性液の浸透圧よりも少なくとも10%高い膜横断圧力を用いて行われるだろう。
この方法は、少なくとも部分的に脱塩を行う前に水性液から粒状物質を除去することを含んでいてもよい。除去することは、水性液(ガス抜きされているか、あるいはガス抜きされていないもの)を、粒状物質を除去することの可能なフィルターを通過させることを含んでいてもよい。フィルターは、1以上の奥行きフィルター(depth filter)、中膜フィルター(media filter)、微孔質膜(例えば0.1、0.22、0.4または0.5ミクロンの細孔サイズの微孔質膜)あるいはその他の適当なフィルターを含んでいてもよい。この方法はまた、例えば沈降、遠心分離、超遠心分離、脱イオンなどの、1以上のその他の精製プロセスを含んでいてもよい。
【0017】
本発明の第二の面において、ガス抜き装置と逆浸透装置を含む水処理装置が提供され、この装置によれば、操作する際に、ガス抜きされた水性液がガス抜き装置から逆浸透装置へ通され、このときこの通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにされる。
【0018】
水処理装置は、ガス抜き装置を逆浸透装置へ接続する液体導管を有していてもよく、この液体導管はガス抜きされた水性液を逆浸透装置へ通すことができて、この通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しない。ガス抜き装置は減圧蒸留装置、例えば膜蒸留装置を含んでいてもよい。水処理装置はまた、減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮して蒸留物を生成するための凝縮器を有していてもよい。ガス抜き装置は、ガスで飽和した水性液から溶解したガスの少なくとも80%を除去することができるものであってよい。水処理装置は、水性液中に溶解した塩類の濃度を少なくとも80%低減させることができるものであってよい。
【0019】
ガス抜き装置は1以上の多孔質膜を有していてもよい。ガス抜き装置は、膜によって減圧部分と液体部分に分割されていてもよい。液体部分は、液体がガス抜き装置への入口とガス抜き装置からの出口の両者と通じるようになっていてもよい。その出口は、逆浸透装置へ通じる液体導管と連通していてもよい。ガス抜き装置には、このガス抜き装置の減圧部分に減圧を与えるための真空ポンプが付設されていてもよい。ガス抜き装置は、場合により、水性液を例えば約40℃〜約95℃の間の温度に加熱するための加熱器を有していてもよい。ガス抜き装置は、場合により、ガス抜きを行った後に、このガス抜きされた水性液を例えば室温まで冷却するための冷却器を有していてもよい。あるいは、本発明の装置は加熱器を有していなくてもよい。
【0020】
逆浸透装置は1以上の逆浸透膜を有していてもよい。逆浸透膜(一つまたは複数)は逆浸透装置を供給領域と透過領域に分割していてもよい。逆浸透膜は、この逆浸透膜の表皮層が供給領域に隣接していて、そして逆浸透膜の支持層が透過領域に隣接しているように配置されていてもよい。供給領域は保留物(または濃縮物)の出口に接続されていて、透過領域は透過物の出口に接続されている。透過物の出口は清浄な水の貯蔵器に接続されていてもよく、それはガス抜き装置からの蒸留物(凝縮液)を受け入れるための凝縮器にも接続されていてもよい。
【0021】
典型的に、本発明の水処理装置は、同じ水性液を用いるがしかしガス抜き装置を用いずに同じ膜横断圧力において逆浸透膜を通過する水性液の流量よりも少なくとも10%多い逆浸透膜を通過する水性液の流量を発生させることができる。
【0022】
逆浸透装置は、ガス抜き装置によって生成されるガス抜きされた水性液の浸透圧よりも少なくとも10%高い逆浸透膜を横切る膜横断圧力を与えることのできる加圧器を有していてもよい。加圧器はポンプを有していてもよい。加圧器は液体の導管に付設されていてもよい。加圧器へ入る液体はガス抜き装置から供給することができ、そして加圧器は逆浸透装置への供給物としての加圧されてガス抜きされた水性液を供給することができる。
【0023】
本発明の第三の面において、脱塩された水性液を製造するために水処理装置を使用する方法が提供され、その装置はガス抜き装置と逆浸透装置を有していて、前記の方法は次の工程を含む:
− 水性液をガス抜き装置を通過させ、それによりガス抜きされた水性液を生成すること;
− ガス抜きされた水性液を逆浸透装置へ通し、この通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにすること;そして
− ガス抜きされた水性液の部分を、脱塩された水性液が生成するのに十分な圧力の下で逆浸透装置における逆浸透膜を通過させること。
【0024】
水処理装置は本発明の第二の面において説明した通りのものであってよい。この方法はさらに、ガス抜き装置からの蒸気を凝縮させて蒸留物を形成し、そしてこの蒸留物を逆浸透装置からの脱塩された水性液と一緒にすることを含んでいてもよい。
【0025】
本発明はまた、本発明によるプロセスまたは方法によって製造された脱塩された水性液も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の詳細な説明および好ましい態様
本発明の好ましい態様を添付図面を参照して以下に説明するが、これは例として示すにすぎない。
【0027】
本発明は脱塩された水性液を製造するための方法を提供し、この方法は、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させることを含む。この方法はクロスフロー(横断流:crossflow)逆浸透を含んでいてもよく、あるいは静止逆浸透または行き止まり(dead-ended)逆浸透を含んでいてもよい。
【0028】
クロスフロー逆浸透は、ガス抜きされた水性液を、このガス抜きされた水性液の浸透圧よりも大きな膜横断圧力の下で逆浸透膜の表皮層を横切って通過させること(すなわち、表皮層に隣接する半透膜の表面を通過させること)を含んでいてもよい。このプロセスにおいて、ガス抜きされた水性液は逆浸透膜の供給側から透過側へ通っていく。表皮層は供給側に配置されていてもよい。半透膜の供給側における圧力は透過側における圧力よりも大きくなければならない。供給側と透過側の間の差圧は「膜横断圧力(transmembrane pressure)」と呼ばれる。従って、ガス抜きされた水性液の部分は、次に逆浸透膜を通過する。塩類および/またはその他の溶質は、その少なくとも一部は膜によって戻される。このようにして、透過物(すなわち、膜を通過するガス抜きされた水性液)は脱塩される、すなわち、溶質は水性液から少なくとも一部が除去される。それにより、膜を通過しないガス抜きされた水性液(すなわち保留物または濃縮物)は、溶質について増大した濃度を有する。透過物に対する保留物の比率は方法の操作パラメーター、例えば膜横断圧力や水性液の特徴(溶質の濃度や特徴など)に依存するだろう。その比率は、およそ1:1と約100:1の間、すなわちおよそ1:1と50:1の間、1:1と20:1の間、1:1と10:1の間、1:1と5:1の間、1:1と2:1の間、2:1と100:1の間、5:1と100:1の間、10:1と100:1の間、20:1と100:1の間、50:1と100:1の間、2:1と20:1の間、2:1と10:1の間、5:1と50:1の間、5:1と10:1の間、10:1と50:1の間、あるいは10:1と20:1の間、例えばおよそ1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、または100:1であり、あるいは100:1よりも大きいであろう。
【0029】
表皮層は溶質(溶解した塩類および/またはその他の溶質など)の通過を制限するので、膜を通過する水は溶質について低下した濃度を有する。溶質は、逆浸透膜によって少なくとも部分的に除去されるいかなる溶質であってもよい。それらは例えば、塩類、イオン種、溶解したイオン、有機分子(荷電しているか、または荷電していないもの)、あるいはその他の除去可能な種であってよい。水溶液は1以上の塩類を含んでいてもよく、場合により1以上の他の溶質と水を伴っていてもよい。水溶液は逆浸透装置またはガス抜き装置に逆効果(例えば分解や酸化など)を及ぼす成分を含んでいないだろう。水性液は海水であってもよい。水性液に溶解するであろう種および除去されるであろう種としては、炭酸塩、塩化物、ナトリウム、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、重炭酸塩、臭化物、ストロンチウム、ホウ素、シリカおよびフッ化物がある。(ガス抜きする前と後のいずれかでの)水性液中の溶質の濃度(個々に、または合計で)は通常、約10%(w/w、w/vまたはモル%)未満であるか、あるいは約5、2、1、0.5、0.2または0.1%未満、あるいはおよそ0.1〜10%、0.5〜10%、1〜10%、3〜10%、5〜10%、0.1〜5%、0.1〜2%、0.1〜1%、0.1〜0.5%、0.5〜5%、1〜5%または2〜4%、例えばおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10%であろう。10%を超える濃度を用いることもできるが、しかし逆浸透膜を通る流量は一般に、あらゆる所定の膜横断圧力について、濃度が増大するほど低下する、ということが理解されるだろう。
【0030】
逆浸透膜はいかなる適当な形状であってもよく、例えば平らなシート、らせん巻き、中空の繊維、ひだ状のシートなどである。これらの形状は当分野でよく知られている。逆浸透膜は、いかなる適当な逆浸透膜であってもよい。これらは当分野でよく知られている。逆浸透膜は非対称な膜であってもよい。逆浸透膜は酢酸セルロースの膜であってもよい。逆浸透膜は複合膜であってもよい。逆浸透膜はポリアミドまたはポリイミドの膜、例えば芳香族ポリアミドまたはポリイミドの膜を含んでいてもよい。ポリアミドの膜は支持層、例えばポリスルホンの支持体に結合されていてもよい。支持体は微孔質のもの、および/または大孔質(macroporous)のものであってもよい。
【0031】
先に言及したように、本発明の文脈において「脱塩すること」という用語は、水性液中の溶質(一つまたは複数)の少なくとも一部の除去を指す。本発明の方法によって達成される(または装置によって達成可能な)除去の程度すなわち脱塩の程度は約50%を超え、あるいは約60、70、80、90、95、96、97、98または99%を超え、そして例えば約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8または99.9%であろう。この除去の程度とは、水性液の全溶解物質または水性液中のあらゆる個々の溶質または溶質の群を指すであろう。
【0032】
本発明において逆浸透に供されるガス抜きされた水性液は、少なくとも約80%ガス抜きされていてもよく、あるいは少なくとも約85、90、95または99%ガス抜きされていて、例えば約80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、99.95、99.96、99.97、99.98または99.99%ガス抜きされていてもよい。ガス抜きされた水性液中のガスの濃度はおよそ0.1〜200マイクロモルであり、すなわちおよそ0.1〜100、0.1〜50、0.1〜20、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.1〜0.2、1〜200、10〜200、50〜200、100〜200、1〜100、10〜100、1〜20または10〜50マイクロモル、例えばおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180または200マイクロモルであろう。
【0033】
本発明の方法はまた、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させる前に、水性液をガス抜きして、それによってガス抜きされた水性液を生成させる工程を含んでいてもよい。通過を行う間にガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにして、ガス抜きされた水性液を逆浸透装置を通過させてもよい。ガスに対して実質的に不透過性の密封された導管を介して、ガス抜きされた水性液を逆浸透装置に通してもよい。本発明の文脈において、このことは、導管に侵入するガスが十分に少なく、そのことにより、逆浸透膜を通る液体の流量が、ガス抜きされていない供給流れが逆浸透膜を通るであろう流量よりも多いことと関連する。同様に、ガスを逆浸透装置に通す方法は、ガス抜きされた水性液中に溶解しているガスが十分に少なく、そのことにより、逆浸透膜を通る水性液の流量が、ガス抜きされていない水性液を用いる場合よりも多い(例えば、少なくとも約5、10、15または20%多い)ようにするものであろう。この通過の間にガス抜きされた水性液の中に溶解するガスの量は、この水性液が大気と平衡しているとき、水性液中に溶解しているガスの量の約10%未満であってよく、あるいはガスの前記の量のおよそ5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05または0.01%未満であってよい。水性液は、この水性液を少なくとも部分的に減圧蒸留する(例えば膜蒸留する)ことによってガス抜きすることができる。このプロセスの一例においては、水性液を膜を通過させるには不十分な膜横断圧力の下で、この水性液を多孔質膜を通過させる。多孔質膜は微孔質のものか、あるいはナノポーラス(nanoporous)のものであってよい。それは疎水性のものであってよい。それは例えばポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)またはフルオロカーボン(例えばフッ化ポリビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)))または他の何らかの疎水性材料(例えば疎水性ポリマー)から製造されていてもよい。それは約5〜約500nmの細孔サイズ、あるいは約5〜200、5〜100、5〜50、5〜10、10〜500、50〜500、100〜500、200〜500、10〜100、10〜50、30〜50または50〜100nm、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450または500nmの細孔サイズを有していてもよい。この細孔サイズは最大の細孔サイズまたは平均の細孔サイズであってよい。膜横断圧力は、水性液を通過させる表面から離れた膜の側に減圧を適用することによって加えることができる。減圧は約100ミリバール未満の絶対圧を有していてもよく、あるいは約50、20、10、5、2、1、0.5、0.2または0.1ミリバール未満、例えば約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100ミリバールの絶対圧を有していてもよい。多孔質膜の細孔サイズが小さくなるほど、特定の水性液については、水性液を膜を通過させずに膜横断圧力が大きくなるであろう、すなわち、減圧の絶対圧が低くなるであろう、ということが理解されるだろう。
【0034】
ガス抜きする工程は、場合により、水性液を加熱することを含んでいてもよい。液体中のガスの溶解度は一般に液体の温度が上昇するほど低下する、ということがよく知られている。従って、加熱はガス抜きを促進するであろう。加熱は、もし行われる場合、約40〜約95℃の温度で行うことができて、すなわちおよそ40〜70、50〜95または70〜95℃、例えば約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95℃の温度で行うことができる。加熱は減圧蒸留とともに、あるいはそれとは別個に行ってもよい。通常、加熱だけでは(すなわち減圧蒸留を行わない場合)、限られたガス抜きしかもたらされない(例えば約80%以下、または約50〜80%)。ガス抜きする工程はまた、場合により、ガス抜きを行った後にガス抜きされた水性液を冷却することを含んでいてもよく、例えば室温まで冷却し、あるいはガス抜きされた水性液が逆浸透装置をそこで用いられる圧力において損傷しない温度まで冷却する。ガス抜きされた水性液はおよそ10〜30℃、すなわちおよそ10〜20、20〜30または15〜25℃、例えば約10、15、20、25または30℃に冷却してもよい。
【0035】
減圧蒸留からの蒸留物は回収してもよく、そして/または、少なくとも部分的に脱塩された水性液と一緒にしてもよい。このことは、本発明の方法によって除去される溶質が不揮発性または低揮発性のものである場合に特に有益であろう。というのは、この場合、減圧蒸留の工程によって、減圧蒸留装置(すなわちガス抜き装置)への供給物と比較して蒸留物中の溶質の濃度が低下するからである。一般に、塩類などのイオンの固体は低揮発性である。回収することは、減圧蒸留からのガスおよび/または蒸気を凝縮器に通すか、凝縮器を通過させるか、あるいは凝縮器を通り過ぎた所に通すことを含んでいてもよい。それはガスおよび/または蒸気から液体を凝縮させることを含んでいてもよい。凝縮器はガスおよび/または蒸気から水性液を回収するためのいかなる適当な装置であってもよい。それは、水性液が凝縮するようにガスおよび/または蒸気の温度を低下させるために、例えば冷却器またはチラー(chiller)または熱交換器を含んでいてもよい。
【0036】
水性液を逆浸透に供する前に水性液をガス抜きするためのその他のプロセスも用いてもよい、ということが理解されるだろう。これらは当業者によく知られている。それは次の1以上のことを含んでいてもよい:すなわち、水性液を沸騰させること(そして次に、場合により、ガス抜きされた水性液を冷却すること)、水性液を1以上の(例えば1、2、3または4の)凍結ポンプ融解サイクル(freeze-pump-thaw cycle)に供すること、水性液中で極めて低い溶解度を有するガス(例えばヘリウム)を用いて水性液を散布すること、あるいは当分野で知られているその他の方法、である。沸騰させる工程は、もし行われる場合、大気圧で行うことができて、あるいは大気圧未満(例えば約1〜約1000ミリバール、すなわちおよそ10〜1000、100〜1000、500〜1000、1〜500、1〜200、1〜100、1〜50、1〜10、10〜500、100〜500または5〜200ミリバール、例えば約1、5、10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000ミリバール)で行うことができる。沸騰させる工程が大気圧未満で行われる場合、沸騰する温度は水性液の標準沸点未満であることが明らかであろう。沸騰させる工程は大気圧よりも高い圧力で行ってもよい。沸騰によって約90%よりも大きなガス抜きの度合いが得られ、あるいはそれは約95、96、97、98、99または99.5%よりも高いかもしれない。必須のことではないが、ガス抜きのためのプロセスは連続したプロセスであるのが好ましく、それにより、本発明のプロセスを用いて脱塩された水性液を連続して製造することが容易になる。
【0037】
本発明のプロセスは、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させる前の水性液中の溶質(溶解した塩など)の濃度が、脱塩された水性液中に溶解している塩の濃度よりも少なくとも5倍高い、すなわち少なくとも10、20、50または100倍高い(例えばおよそ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450または500倍高い)ものであろう。本発明の方法は、ガス抜きされていない同じ水性液を用いて同じ膜横断圧力において逆浸透膜を通過する流量よりも少なくとも5%多いものである逆浸透膜を通過したガス抜きされた水性液の流量を与え、すなわちそれは少なくとも10、15または20%多く、例えばおよそ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25または30%多いであろう。
【0038】
液体を逆浸透膜を通過させるために、少なくともその液体の浸透圧である膜横断圧力を加える必要がある。一般に、浸透圧を上回る膜横断圧力の過剰分が大きいほど、逆浸透膜を通過する流量は多くなる。本発明のプロセスにおける膜横断圧力は、ガス抜きされた水性液の浸透圧よりも少なくともおよそ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450または500%大きく、例えば膜横断圧力はガス抜きされた水性液の浸透圧よりもおよそ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000%大きいであろう。典型的な膜横断圧力は約10〜約120気圧であり、ガス抜きされた水性液の浸透圧、膜を通す所望の流量などに依存して、およそ10〜100、10〜80、10〜60、20〜120、20〜100、20〜50、35〜100、35〜120、35〜50、50〜120または50〜100気圧、例えばおよそ10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115または120気圧であろう。
【0039】
水性液を逆浸透装置の中に通す前に、(ガス抜きする前または後のいずれかに)水性液を前処理する(例えばpH調整する)必要があるかもしれず、あるいはそれを行う必要はないかもしれない。従って、本方法はそのような前処理を含んでいても、あるいは含んでいなくてもよい。用いられる場合、前処理は供給液に化学物質(例えば酸、塩基、軟化剤)を添加することなく行われるかもしれない。それはガス抜きする前かガス抜きした後に行われるかもしれない。それは例えば、水性液を脱イオンすることを含むかもしれない。それは水性液をイオン交換カラムを通過させることを含むかもしれない。従って、本発明の装置は、場合により、水性液を逆浸透装置の中に通す前にこれを脱イオンすることができるように配置されたイオン交換カラムを含むかもしれない。脱塩する前の水性液のpHは、約5〜約9、すなわちおよそ6〜9、7〜9、5〜7、5〜6、6〜7、7〜8または6〜8、例えばおよそ5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5または9であろう。pHは、逆浸透膜を加水分解させないか、溶解させないか、あるいは分解させないものであるかもしれない。
【0040】
本発明はまた、上で説明した方法を実施するのに適した水処理装置を提供する。この装置はガス抜き装置と逆浸透装置を含む。操作する際に、ガス抜きされた水性液がガス抜き装置から逆浸透装置へ通され、このときこの通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにされる。この通過は、ガスに対して実質的に不透過性の導管を通すものであってもよい。
【0041】
逆浸透装置はハウジングに収容された逆浸透膜を含む。ハウジングは逆浸透膜に加えられる圧力(すなわち膜横断圧力)に耐えることのできる材料から構成されていてもよい。それは例えばステンレス鋼またはその他の適当な金属から成っていてもよい。それは非汚染性の材料から構成されていてもよい。逆浸透膜は非対称な構造を有していてもよい。それは、溶質に対して部分的または完全なバリヤーとして作用することのできる薄い表面層(表皮層または遮断層)を有していてもよい。薄い表面層は厚さが約2ミクロンであってもよく、あるいは厚さが約1〜約5ミクロン、すなわちおよそ1〜3、1〜2、2〜5、3〜5または2〜4ミクロン、例えばおよそ1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5ミクロンであってもよい。それはナノサイズの細孔を有していてもよく、その細孔はおよそ0.5〜10nmの平均直径のもの、すなわちおよそ0.5〜5、0.5〜2、0.5〜1、1〜10、2〜10、5〜10または1〜5nm(例えばおよそ0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5nm)の平均直径のものであってもよい。薄い表面層は粗い多孔質の支持層によって支持されていてもよい。支持体は微孔質のものであってもよい。それは勾配を有する細孔(漸進的な大きさの細孔)を有していてもよい。それは織物の支持体であってもよい。それは薄い表面層と一体になっていてもよく、あるいは薄い表面層とは分離していて、それに取りつけられていてもよい。支持層は薄い表面層と同じ材料のものであっても、あるいは異なる材料のものであってもよい。支持層は逆浸透膜に機械的強度を与えるであろう。
【0042】
水処理装置は減圧蒸留装置から蒸留物を回収するための凝縮器を有していてもよい。凝縮器は蒸留装置からのガス/蒸気の中の蒸気(例えば水蒸気)の少なくとも50%を除去することができて、それによって液体の蒸留物を与えるものであってもよい。それは蒸気の少なくとも60、70、80、90、95または99%(例えば、蒸気のおよそ50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98または99%)を除去することができて、それによって液体の蒸留物を与えるものであってもよい。液体の蒸留物は逆浸透装置からの透過物と一緒にすることによって、脱塩された水または精製された水の最終的な溜めを与えてもよい。液体の蒸留物、およびそれとは独立した脱塩された水または精製された水の最終的な溜めは、脱塩する前の水性液中に溶解している塩の濃度よりも少なくとも約10倍低い溶質(例えば溶解した塩)の濃度を有していてもよく、あるいはその濃度は少なくともおよそ20、50または100倍低い(例えばおよそ10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450または500倍低い)。水性液を減圧蒸留する(それによって水性液をガス抜きする)工程によって水性液中の1以上の溶質の濃度が増大するかもしれず、何故ならば、その工程の間に、溶質が除去されることなく幾らかの水が水性液から除去されるかもしれないからである、ということが理解されるべきである。濃度の増大量はその工程の間に水性液から除去される水の比率に依存し、従って、減圧蒸留装置の操作条件(減圧、温度、流量、滞留時間、形状など)に依存するだろう。その増大量は約0.1〜約50%、すなわちおよそ0.1〜20、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.5〜50、0.5〜20、0.5〜10、1〜50、1〜10、5〜10、5〜50、10〜50、20〜50、10〜30、0.5〜5、0.5〜2または1〜5%、例えばおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45または50%であろう。
【0043】
ガス抜き装置は、ガスで飽和した水性液から溶解したガスを少なくとも約80%除去することができ、あるいは溶解したガスを少なくともおよそ85、90、95または99%、例えばおよそ80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5または99.9%除去することができるだろう。
【0044】
逆浸透装置は、逆浸透膜を横切る所望の膜横断圧力を与えることのできる加圧器を有していてもよい。加圧器は、必要とされる圧力を与えることのできるポンプ(例えば容量形ポンプ)を有していてもよい。加圧器は、逆浸透装置の中の供給流れの圧力を調整するために、保留物の出口に接続された導管を絞るための絞り体(constrictor)を有していてもよい。
【0045】
本発明の装置は、1以上のその他の精製モジュールと適切に結合されていてもよい。適当なモジュールとしては、溶解、懸濁、乳化または分散した物質を水性液から除去することのできる蒸留装置、隔膜ミクロフィルター、充填床フィルター、奥行きフィルター(depth filter)、らせん巻きフィルター、限外フィルター、脱イオン器、イオン交換器、遠心分離器、超遠心分離器、沈降器、およびその他のモジュールがある。これらのモジュールの1以上のものは、高分子(例えば、溶解した物質であって、例えば約2000、5000または10000よりも大きな分子量を有するもの)を少なくとも部分的に除去することができるだろう。モジュールの1以上のものは、懸濁した固体、例えば約0.1ミクロンを超える粒度あるいは0.2、0.5または1ミクロンを超える粒度を有する固体を少なくとも部分的に除去することができるだろう。これらのモジュールの位置は当業者であれば容易に明らかであろう。例えば、ガス抜き装置または逆浸透装置あるいは両者の詰まりを低減させるために、水性液またはガス抜きされた水性液から懸濁した固体を除去するためのガス抜き装置の前の前処理用として、あるいはガス抜き装置と逆浸透装置の間の前処理用として、ミクロフィルターを用いることができる。脱イオン器は、例えば逆浸透装置の前の前処理用として、あるいは逆浸透装置の後の研磨フィルターとして用いることができる。本発明のプロセスはさらに、装置のあらゆる部分の詰まりを逆転または防止するための1以上の断続する浄化工程を含んでいてもよい。これらは化学的および/または物理的浄化工程を含んでいてもよい。
【0046】
本発明の装置によって脱塩された水性液を製造する速度は、水処理装置のサイズ、さらには装置の構造および水性液の特徴に依存する。従って、脱塩された水性液を所望の速度で与えるために、装置の規模を大きくするか、あるいは小さくするかしてもよい。生産量は、例えば約0.1〜約1000リットル/時であり、あるいは1000リットル/時よりも多いかもしれない(例えば2、3、4、5、10、50または100メガリットル/時)。それはおよそ0.1〜100、0.1〜10、0.1〜1、1〜1000、10〜1000、100〜1000、500〜1000、1〜100、10〜100、1〜10、50〜500または100〜500リットル/時であり、例えばおよそ0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000リットル/時であろう。あらゆる特定の製造速度に対する規模の調整は、日常的な処理事項であることが理解されるだろう。規模の調整は例えば、パイプ、導管およびチューブのサイズ、ポンプ(すなわち、逆浸透装置のための加圧器およびガス抜き装置のための真空ポンプ)の容量、およびガス抜き装置と逆浸透装置における半透膜の膜表面積、およびその他のパラメーターの調整を必要とするかもしれない。
【0047】
装置の構成要素の能力を互いに調和させる必要がある。ガス抜き装置を出るガス抜きされた水性液の流れが逆浸透装置への供給物の流れと調和すべきであることは明らかであろう。従って、ガス抜き装置の処理能力が逆浸透装置の能力と調和するのが好ましい(もっとも、ガス抜きされた水性液の過剰な生産物を迂回させるための流出弁を設けることは可能である)。また、ガス抜き装置の減圧部分の容積のために必要なレベルの減圧を与えるために、ガス抜き装置のための減圧を与える真空ポンプは適切なサイズにするべきである。逆浸透装置の中で所望の膜横断圧力を与えるために、加圧器は適切なサイズにするべきである。
【0048】
逆浸透の基本的なモデルは合理的によく理解されているが、しかし、それの水の輸送の選択性を決定することに関係する正確な機構はまだ十分には理解されていない。例えば、これらの半透膜を通る流量は予想されたよりも少なく、現在、これについて一般的に受け入れられた説明はまだ存在しない。逆浸透膜の表皮層における細孔は典型的に約1nmの幅と2ミクロンの長さを有し、これらの細孔の中に存在する水は表皮層を通して大きな圧力勾配を受ける。圧力が解放されるとき、塊状の水への相当する圧力の適用によってキャビテーションが生じる。キャビテーションの度合いは、差圧、平衡、溶解したガスが存在するか否か、および水が収容される容器の壁の特徴を含めた因子の範囲に依存する。関連する分野において、設備におけるキャビテーションがその通路を通る水の取り込みを制限する、ということが報告されている。酢酸セルロースなどの典型的な逆浸透膜の細孔壁は比較的疎水性である。
【0049】
発明者らは、大きな差圧の下で操作されるとき、逆浸透膜の表皮層における微細な細孔の中である程度のキャビテーションが生じるようである、と理論づけしている。さらに、これらの細孔の小さな直径は、形成された空洞が特定の時間にわたって細孔のかなりの部分を占め、そのため膜を通る流量を少なくする、ということを示唆している。この状態は図2に概略的に示される。これは、現行の逆浸透膜を通して観察される低い流量を説明するかもしれない。大気と平衡している水中の溶解ガスの濃度は、この溶解ガスが核形成の潜在的な原因となるのに十分なものである。例えば、1nmの直径の2ミクロンの細孔を満たすのに必要な水の分子の数は約50000であり、標準大気条件の下で塊状の水における50000の水分子につき約1の溶解ガスの分子が存在する。従って、大きな差圧の下で細孔を通過するこれらのガスの分子が水のキャビテーションの核を形成することができ、特に、これらの水の分子が高いエネルギー状態にあると仮定すればそうである、と考えるのが合理的であると思われる。
【0050】
大量の高度にガス抜きされた水の商業的な入手可能性は、1994年に中空繊維の疎水性多孔質膜が開発されたことで、初めて可能になった。ガス抜きのためにこれらの膜を使用するために、ガスを含む標準的な水または塩溶液を疎水性の繊維の配列の中空になった中心部を通過させるが、この繊維は多くの極めて微細な細孔(約0.01ミクロン)を有し、繊維の外側が減圧下におかれる。微細な疎水性の細孔の中で生じるラプラス圧力(Laplace pressure)のために、溶液は細孔を通って流れることができないが、しかし水蒸気と溶解ガスは可能である。これらの蒸気とガスは減圧系によって運び去られる。これらの膜は現在、ppbレベルまで酸素を含まない水を製造するために工業的に用いられている。この水は、その錆びない特性のために、例えば冷却水として用いることができる。この程度までガス抜きされた水は、約99.98%のガス抜きレベルに相当する。大気と平衡した水は通常、約1mMの溶解ガス濃度を有する。このレベルのガス抜きは、水中でのキャビテーションを防ぐのに強い影響を及ぼす。
【0051】
ガス抜きされた水または塩溶液を製造することに加えて、中空繊維の膜は脱塩された水も製造する。というのは、中空繊維の細孔を通過する水蒸気は純粋であり、そして容易に回収することができるからである。このプロセスは「減圧蒸留」または「膜蒸留」と呼ばれる。
【0052】
大きな静水圧の差があるとき、水を透過させる多孔質膜は蒸気とガスのキャビテーションを生じさせやすく、これにより水が膜の細孔を流通することが制限されるだろう。細孔の中での空洞の形成は、水中での溶解ガスの存在によって促進されるかもしれない。従って、発明者らは、これらのガスを除去することによりキャビテーションが低減または防止され、それにより、水を浄化するために用いられる多孔質膜を通る流量が増大するかもしれない、と仮定した。逆浸透(RO)膜は大きな差圧の下で作用し、従って、キャビテーションが低減した流れに非常に影響を受けやすいだろう。RO膜は予想されるよりも低い水の流量を有するということが十分に確立されているが、しかしこの理由は公開された文献の中ではまだ究明されていない。
【0053】
発明者らは、驚くべきことに、逆浸透膜のための供給流れとして用いられる水性液から溶解しているガスを少なくとも部分的に除去すること(すなわち、ガス抜きすること)によって所定の膜横断圧力について膜を通る流量を実質的に増大させることができることを見いだした。例えば、水処理装置によって、ガス抜きされた供給水を用いる脱塩のプロセスによって海水または塩水から飲料水を効果的に製造することができる。本発明の態様において、水処理装置の第一段階(ガス抜き装置)は、供給水をガス抜きするためのポリプロピレンまたはテフロン(登録商標)の中空繊維フィルターを有する。この装置は二つの機能を有する。すなわち、それは減圧蒸留プロセスによって浄化された水を生成し、また供給水をガス抜きする。次いで、このガス抜きされた供給水は逆浸透装置において用いられ、それにより同じ膜横断圧力を用いて従来の装置におけるよりも大きな流量で精製された水が製造される。
【0054】
ここで、市販のRO装置を用いて得られる実験的証拠が提示され、これは供給水をガス抜きすることによって生成流量の平均の増大量が約20%になることを論証するものであり、上で説明した提示されたキャビテーションのモデルと一致する。中空繊維のガス抜きフィルター(例えば疎水性の膜を使用するもの)と逆浸透装置の組み合わせを、脱塩された水を製造するための極めて有効で新奇な方法として用いることができる。例えば、ここで説明している水処理装置を用いて、海水を飲用に適した水に大量に転換することができる。
【0055】
ここで説明している水浄化装置の例を示す流れ図を図3に示す。汲み上げの方法は、大気ガスを逆浸透装置へ送られる塩溶液と再平衡させない、ということが重要である。図3を参照すると、装置100はガス抜き装置105と逆浸透装置110を含む。装置105および110は液体導管115によって接続されている。液体導管115は、少なくとも部分的にガス抜きされた液体をガス抜き装置105から逆浸透装置110へ送ることができ、この通過を行う間にガスの実質的な量は溶解しない。ガス抜き装置105は減圧蒸留装置、特に中空繊維の膜蒸留装置を含む。ガス抜き装置105は、ガス抜き装置105の中空繊維によって減圧部分と液体部分に分割される。液体部分は入口117および導管115の両者と液体が流通し、また中空繊維の内腔(lumens)(中空のコア)を有している。装置105には、装置105の減圧部分に減圧を与えるための真空ポンプ(図示せず)が付設され、真空ポンプは中空繊維の外側に隣接している。中空繊維は多孔質である。中空繊維の細孔サイズは、装置105へ送られる水性供給物の表面張力によってこの水性供給物が細孔を通過するのが妨げられるほどに十分に小さく、しかし水蒸気が細孔を通過できるほどに十分に大きい。装置105には、水性供給液を装置105に入れて、従って装置110に入れるための入口117が付設されている。入口117には、場合により、供給液から粒状物質を除去するためのミクロフィルター(図示せず)、例えば0.2ミクロンの細孔サイズの膜フィルターが付設されていてもよい。ガスと蒸気は蒸気の出口120を通って装置105から出る。出口120は、出口120を通過する蒸気とガスから浄化水を凝縮することのできる凝縮器(図示せず)に接続されていてもよい。導管115にはポンプ125が付設されていて、このポンプは、装置110を作動させるのに十分な圧力の下で、装置105からのガス抜きされた液体を導管115を通して逆浸透装置110へ送ることができる。装置110はハウジング130に収容された逆浸透膜(図示せず)を有する。逆浸透膜は中空の繊維膜またはひだ状のシート膜であってもよく、あるいはその他の何らかの形状を有していてもよい。逆浸透膜は装置110を供給領域と透過領域に分割する。逆浸透膜の表皮層が供給領域に隣接していて、そして逆浸透膜の支持層が透過領域に隣接している。供給領域は保留物の出口135に接続されていて、そして透過領域は透過物の出口140に接続されている。透過物の出口140は清浄な水の貯蔵器(図示せず)に接続されていてもよく、それはまたガス抜き装置105からの凝縮液を受け入れるための凝縮器にも接続されていてもよい。
【0056】
運転する際には、脱塩すべき水が(矢印150の方向に)入口117を通って装置100に入り、そしてガス抜き装置105の中の中空の繊維膜の内腔を通過する。真空ポンプによって中空繊維の外側に減圧が加えられ、それにより水の中に溶解したガスが除去され、そして水の部分が蒸発する。蒸発した部分は(矢印155の方向に)蒸気の出口120を通って装置105から出て、そして浄化された水は蒸発した部分から凝縮器によって凝縮される。水の蒸発していない部分(すなわち液体)は、ポンプ125によって(矢印160の方向に)導管115を通して逆浸透装置110へ送られる。ポンプ125は装置110の供給領域の中で水を所望の操作圧力に加圧する。これにより水は装置110の逆浸透膜を通って透過領域へ送られるが、しかし膜は溶解した塩類とその他の特定の溶質の通過を制限する。得られた脱塩された水(透過物)は(矢印165の方向に)透過物の出口140を通って装置110から出て、清浄な水の貯蔵器へ送られる。逆浸透膜によって戻された(すなわち、通過しなかった)塩類などの溶質を含む、装置110へのガス抜きされた供給水の部分は、(矢印170の方向に)保留物の出口135を通って装置110から出る。保留物の出口135には、場合により、装置110の供給領域での圧力を制御するために出口135の部分を絞るための絞り体(constrictor)が付設されていてもよい。従って、運転する際には、装置110の供給領域での圧力は、ポンプ125および/または絞り体(図示せず)を制御または調節することによって、制御または調節することができる。凝縮器からの浄化水は、清浄な水の貯蔵器(図示せず)の中で装置110からの透過物と一緒にしてもよい。
【0057】
先行技術の方法を上回る本発明のプロセスの利点としては、(a)減圧蒸留プロセスにおいて廃棄されたガス抜きされた塩溶液が逆浸透装置のための供給物として用いられ、そして(b)溶解しているガスを除去することによって逆浸透装置の効率が高められ、それにより同じ操作圧力(膜横断圧力)またはもっと低い操作圧力においてより大きな流量が可能になる、ということがある。中空の繊維ユニットによって生成されるガス抜きの度合いは、その操作流量と関係する。従って、水溶液のガス抜きのレベルは、逆浸透装置における最適な流れを生成させるために変化させることができる。
【実施例】
【0058】
方法/装置
1.7×5.5のテフロン(登録商標)の中空繊維ガス抜きカートリッジであるMembrana Minimodule(Membrana、Charlotte、ノースカロライナ州)が、Katadyn Powersurvivor 40E逆浸透脱塩装置(McIntyre Marine、Coomera、クイーンズランド州)に供給される供給水を処理するために用いられた。InPro 6900溶解酸素電極装置(Mettler-Toledo 社(メルボルン、オーストラリア)製)を用いてガス抜きを監視するために、溶解酸素レベルが用いられた。この装置は高い精度(1%以下)と1ppbの低さの検出限界を有していて、水、空気および液体溶媒の中の溶解酸素レベルを測定することができた。
【0059】
脱塩装置からの廃水がフラスコの中に供給され、そして中空繊維カートリッジへ供給水を供給するために同じフラスコが用いられた。図4における装置の写真を参照されたい。これにより水は再循環され、水を連続して供給することなく運転時間が延長され、一方、中空繊維カートリッジを通しての再循環によって高い度合いのガス抜きを達成することができた。水質を監視するために、再循環した溶液の導電率が用いられた。水のガス抜きの度合いを監視するために、溶解酸素プローブも用いられた。供給水の組成を一定に保つために、脱塩された生成水(透過した水)が回収され、そして再循環水の貯蔵器へ戻された(図4を参照されたい)。
【0060】
それぞれ50mlの生成水が製造されるのに要する時間を測定することによって、生成水の流量が記録された。純粋な蒸留水について、流量が最初に記録された。大気と平衡したレベルの溶解ガスを伴った水について、流量がまず記録された。実験を数回繰り返した後、中空繊維カートリッジに減圧が加えられ、そして95%を超える度合いのガス抜きを達成するために約1時間にわたって水が再循環された。次いで、もう一度、供給物としてのガス抜きされた水を用いて、生成速度について数回の繰返しの測定が行われた。減圧が再び除かれ、そして水は大気ガスと再平衡された。ガスの再添加(re-gassing)が行われた後、最初の値との一貫性を確保するために、流量が再度繰り返して測定された。
【0061】
結果の要約
供給水がガス抜きされたとき、大気レベルのガスと平衡した供給水と比較して、持続的に高い流量が達成された。溶解ガスについて大気と平衡したレベルである7752ppbの平均の溶解酸素レベルにおいて供給水が供給されたとき、50mlの処理水が平均で42.8秒(すなわち、約4.2リットル/時の流量)で産出された。それに対して、溶解ガスが約96%除去された水を示すものである321ppbの平均の溶解酸素レベルの水が、50ml当り37.5秒の平均の流量(すなわち、約4.8リットル/時の流量)で製造された。
【0062】
この装置を用いて一連のガス添加、ガス抜き、およびガスの再添加を行った実験について得られた結果を図5に示す。全ての調査において、ガス抜きした供給水について明らかに増大した流量が観察された。図5に要約された結果はまた、「ガス添加したもの」の区分と「ガス抜きしたもの」の区分の中でさえも、溶解酸素のレベルと生成物の流量の間に相関関係があることも示している。これは、ガス抜きのレベルが高いほど、生成物の流量がいっそう改善されることを示唆している。図5は流量に関するデータを示し、そしてガス添加したものの実験とガス抜きしたものの実験における溶解ガスのレベルも、流量にわずかに影響することを実証している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は凍結破壊された市販の酢酸セルロースの逆浸透膜の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2】図2は逆浸透膜の表皮層における狭い細孔の中の蒸気またはガスのキャビテーションの概略図である。
【図3】図3は本発明による水浄化装置の概略図である。
【図4】図4は実施例で用いられた二段脱塩装置の写真である。
【図5】図5は実施例の脱塩装置を使用して行う通常の供給水とガス抜きされた供給水を用いた生成物の流量のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩された水性液を製造するための方法であって、ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させることを含む、前記方法。
【請求項2】
クロスフロー逆浸透を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水性液をガス抜きすることによって、ガス抜きされた水性液を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ガス抜きする工程に続いて、前記の通過を行う間にガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにして、ガス抜きされた水性液が逆浸透膜に通される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガス抜きする工程は、水性液を減圧蒸留することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
減圧蒸留からの蒸留物が回収される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
減圧蒸留からの蒸留物は脱塩された水性液と一緒にされる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
減圧蒸留は膜蒸留を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ガス抜きする工程は、水性液中に溶解したガスの少なくとも80%を除去することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記の通過を行う前のガス抜きされた水性液中に溶解している塩類の濃度が、脱塩された水性液中に溶解している塩類の濃度よりも少なくとも5倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
逆浸透膜を通過するガス抜きされた水性液の流量は、ガス抜きされていない同じ水性液を用いて同じ膜横断圧力において逆浸透膜を通過する流量よりも少なくとも10%多い、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガス抜きされた水性液の部分を逆浸透膜を通過させる工程は、ガス抜きされた水性液の浸透圧よりも少なくとも10%高い膜横断圧力を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ガス抜き装置と逆浸透装置を含む水処理装置であって、操作する際に、ガス抜きされた水性液がガス抜き装置から逆浸透装置へ通され、このときこの通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにされる、前記水処理装置。
【請求項14】
ガス抜き装置を逆浸透へ接続する液体導管を有していて、この液体導管はガス抜きされた水性液を逆浸透装置へ通すことができて、この通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しない、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項15】
ガス抜き装置は減圧蒸留装置を含む、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項16】
減圧蒸留装置からの蒸気を凝縮して蒸留物を生成するための凝縮器を有する、請求項15に記載の水処理装置。
【請求項17】
減圧蒸留装置は膜蒸留装置を含む、請求項15に記載の水処理装置。
【請求項18】
ガス抜き装置は、ガスで飽和した水性液から溶解したガスの少なくとも80%を除去することができる、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項20】
前記装置は、水性液中に溶解した塩類の濃度を少なくとも80%低減させることができる、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項21】
前記装置は、同じ水性液を用いるがしかしガス抜き装置を用いずに同じ膜横断圧力において逆浸透膜を通過する水性液の流量よりも少なくとも10%多い逆浸透膜を通過する水性液の流量を発生させることができる、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項22】
逆浸透装置は、ガス抜き装置によって生成されるガス抜きされた水性液の浸透圧よりも少なくとも10%高い逆浸透膜を横切る膜横断圧力を与えることのできる加圧器を有している、請求項13に記載の水処理装置。
【請求項23】
脱塩された水性液を製造するために水処理装置を使用する方法であって、前記装置はガス抜き装置と逆浸透装置を有していて、次の工程:
− 水性液をガス抜き装置を通過させ、それによりガス抜きされた水性液を生成すること;
− ガス抜きされた水性液を逆浸透装置へ通し、この通過を行う間に、ガス抜きされた水性液の中にガスが実質的に全く溶解しないようにすること;そして
− ガス抜きされた水性液の部分を、脱塩された水性液が生成するのに十分な圧力の下で逆浸透装置における逆浸透膜を通過させること;
を含む、前記方法。
【請求項24】
ガス抜き装置からの蒸気を凝縮させて蒸留物を形成し、そしてこの蒸留物を逆浸透装置からの脱塩された水性液と一緒にすることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ガス抜きされた水性液を逆浸透膜を通過させることを含む方法によって製造された、脱塩された水性液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−542002(P2008−542002A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512650(P2008−512650)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000694
【国際公開番号】WO2006/125263
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507192415)マードック ユニバーシティ (3)
【Fターム(参考)】