説明

脱穀機の揺動選別装置

【課題】選別処理物の揺動方向への流れをスムースにし、揺動による篩い選別が効果的に行えるようにする。
【解決手段】選別処理物の移送方向上手側から、移送棚(16)、第1シーブ群(17)、第2シーブ群(18)、ストロ−ラック(19)の順に設けた揺動選別棚(15)を、扱室(2)の下方に前後方向揺動自在に設け、該揺動選別棚(15)には、該揺動選別棚(15)の揺動方向に沿うプレート(28)と、第1シーブ群(17)のシーブ(26)面または第2シーブ群(18)のシーブ(27)面に接触して付着物を除去するスクレーパ(29)とからなる複数の清掃部材(30)を、該揺動選別棚(15)の揺動方向と直交する左右方向に互いに間隔をおいて設け、これら各清掃部材(30)を左右方向に往復揺動させる駆動機構(34,35,36,37,38,39,40)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀処理された処理物を受け入れて揺動選別する脱穀機の揺動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀処理物を受け入れて揺動選別する揺動選別棚には、シーブに付着した藁屑を除去する清掃装置を設けた構成のものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例では、単なる平板状のプレートを横移動させることによってシーブ上の藁屑を除去すると云うものであり、充分な藁屑の除去作用が期待できないものである。
本発明は、左右横方向に並列させたプレートとスクレーパとからなる複数の清掃部材を揺動選別棚の前後の揺動方向に沿わせて設けることによって、選別処理物の揺動方向への流れをスムースにし、揺動による篩い選別が効果的に行えるようにすることを目的とする。
【0005】
また、清掃部材を揺動選別棚の揺動方向に対して直交する左右方向に往復揺動させ、清掃部材のスクレーパによりシーブ上の藁屑を確実に除去できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、選別処理物の移送方向上手側から、移送棚(16)、第1シーブ群(17)、第2シーブ群(18)、ストロ−ラック(19)の順に設けた揺動選別棚(15)を、扱室(2)の下方に前後方向揺動自在に設け、該揺動選別棚(15)には、該揺動選別棚(15)の揺動方向に沿うプレート(28)と、前記第1シーブ群(17)のシーブ(26)面または第2シーブ群(18)のシーブ(27)面に接触して付着物を除去するスクレーパ(29)とからなる複数の清掃部材(30)を、該揺動選別棚(15)の揺動方向と直交する左右方向に互いに間隔をおいて設け、これら各清掃部材(30)を左右方向に往復揺動させる駆動機構(34,35,36,37,38,39,40)を設けたことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置とする。
【0007】
プレート(28)とスクレーパ(29)とからなる清掃部材(30)が揺動選別棚(15)の揺動方向に沿うように配置してあるので、清掃部材(30)が揺動選別棚(15)上の選別処理物の搬送に支障となることがなく、また、選別処理物の片寄りもなく、流れがスムーズとなって揺動選別が良好に行える。
【0008】
また、清掃部材(30)は左右方向に往復揺動するので、藁屑の除去作用が効果的に行え、スクレーパ(29)の作用によってシーブ面に付着する藁屑などの付着物を的確に除去することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記清掃部材(30)を、移送棚(16)の後側に続く第1シーブ群(17)の設置範囲内で、且つ、選別後の2番物を揺動選別棚(15)上に還元する2番還元口(9)よりも後方の部位に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀機の揺動選別装置とする。
【0010】
第1シーブ群(17)上には、扱ぎ始めの選別処理物が移送棚(16)を経て多量に送られてくるため、この第1シーブ群(17)上では多量に含む藁屑によって詰まりが発生し易くなるが、左右方向に往復揺動するスクレーパ(29)が有効に作用し、藁屑の除去によって篩い選別効果を高めることができる。
【0011】
また、二番還元物の全量が清掃部材(30)の作用を受けるので、二番還元物がスクレーパ(29)の揺動運動によって脱粒処理され、枝梗付着粒やカギ又の単粒化が促進される。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記清掃部材(30)の左右方向の揺動速度を、揺動選別棚(15)の前後方向の揺動速度よりも遅い速度に設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀機の揺動選別装置とする。
【0013】
揺動選別棚(15)の前後揺動速度が清掃部材(30)の左右方向の揺動速度よりも速くなっているので、揺動選別棚(15)上での選別処理物の揺動移送作用が清掃部材(30)の左右揺動に阻害されることなくスムーズに行え、篩い選別が良好に行える。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記揺動選別棚(15)の前後方向の単位時間当たりの揺動回数をAとし、該揺動選別棚(15)の前後方向の揺動ストロークをBとし、前記清掃部材(30)の左右方向の単位時間当たりの揺動回数をCとし、該清掃部材(30)の揺動ストロークをDとした場合、A×B>C×Dの関係が成立するように設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の脱穀機の揺動選別装置とする。
【0015】
揺動選別棚(15)上の単位時間当たりの前後方向移動量が清掃部材(30)の左右方向の移動量よりも多くなるので、清掃部材(30)の作用により選別処理物が停滞することなく後方に揺動移送することができるようになり、所期通りの篩い選別が行える。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記清掃部材(30)は、左右方向に往復揺動する揺動アーム(40)によって揺動駆動する構成とし、脱穀クラッチを入り切りする脱穀クラッチレバー(45)の入り操作に関連して往復揺動を開始する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀機の揺動選別装置とする。
【0017】
脱穀作業開始にあたり、脱穀クラッチレバー(45)により脱穀クラッチを入り操作すると、脱穀装置の各部の駆動に伴い揺動選別棚(15)が前後方向に揺動駆動され、清掃部材(30)は、上下方向の軸を回動中心として左右に往復揺動される揺動アーム(40)によって左右方向へ強制的に往復動されることになる。
【0018】
従って、揺動選別棚(15)と清掃部材(30)の揺動開始に伴い、それぞれの機能を発揮しながら清掃作用と篩い選別を効果的に行うことができ、操作性も向上する。
請求項6記載の発明は、前記清掃部材(30)は、脱穀クラッチが入り操作されてから所定時間経過後に往復揺動を開始する構成としたことを特徴とする請求項5記載の脱穀機の揺動選別装置とする。
【0019】
揺動選別棚(15)の揺動駆動開始後、新たに選別処理物が投入されるまでの間、藁屑が後方に送られつつ、シーブ上の藁屑を取り除くことができ、清掃性能が向上する。
揺動選別棚(15)の揺動が停止した状態で清掃部材(30)を揺動駆動すると、横方向に藁屑が送られて揺動選別棚(15)の側壁との間で圧縮され、スクレーパ(29)に過負荷がかかる問題点を解消することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、プレート(28)とスクレーパ(29)とからなる清掃部材(30)が揺動選別棚(15)の前後方向の揺動方向に沿うように配置されているので、清掃部材(30)が揺動選別棚(15)上の選別処理物の搬送に支障をきたすことがなく、また、選別処理物の片寄りもなく、後方への送り作用がスムーズとなって篩い選別を良好に行うことができる。
【0021】
また、清掃部材(30)は左右方向に往復揺動するので、藁屑の除去作用が効果的に行え、スクレーパ(29)の作用によってシーブ面に付着する藁屑などの付着物を的確に除去することができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、第1シーブ群(17)上では、左右方向に揺動運動するスクレーパ(29)が有効に作用するので、藁屑の詰まりがなく、藁屑の除去によって篩い選別効果を高めることができる。また、二番還元物も清掃部材(30)の作動範囲内を通過するので、二番還元物がスクレーパ(29)の揺動運動によって脱粒処理されることになり、枝梗付着粒やカギ又の単粒化を促進することができる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、揺動選別棚(15)の前後方向の揺動速度が清掃部材(30)の左右方向の揺動速度よりも速くなっているので、揺動選別棚(15)上での選別処理物の揺動移送作用が清掃部材(30)の揺動作用によって阻害されることがなくスムーズに行え、篩い選別を良好に行うことができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するものでありながら、揺動選別棚(15)上の選別処理物の単位時間当たりの移動量が清掃部材(30)による左右方向の移動量よりも多くなるので、選別処理物が停滞することなく後方に揺動移送することができ、所期通りの篩い選別を良好に行うことができる。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、脱穀クラッチレバー(45)による脱穀クラッチの入り操作によって、揺動選別棚(15)と清掃部材(30)の揺動作動が開始されるので、それぞれの機能を発揮しながら清掃作用と篩い選別を効果的に行うことができ、操作性も向上する。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、請求項5の発明効果を奏するものでありながら、清掃部材(30)が脱穀クラッチ入り後、所定時間経過後に揺動作動を開始するので、揺動選別棚(15)の揺動駆動開始後、新たに選別処理物が投入されるまでの間、藁屑を後方に送りつつ、シーブ上の藁屑を取り除くことができ、清掃性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】脱穀機の側断面図
【図2】同上要部の正断面図
【図3】脱穀機の要部の側断面図
【図4】同上要部の横断平面図
【図5】清掃部材の側面図
【図6】清掃部材の要部の平面図
【図7】同上正面図
【図8】清掃部材の要部の平面図
【図9】清掃部材の斜視図
【図10】清掃部材の往復動連動機構を示す作動図
【図11】制御ブロック図
【図12】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2に示す脱穀機(脱穀部)は、次のような構成になっている。
すなわち、脱穀部1は、扱室2の一側に張設された脱穀フィードチェン4により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室2内で駆動回転する扱胴3により脱穀処理するよう構成している。扱室2の下半周部には受網5が張設され、扱胴3の上部を覆う扱胴カバー6は、扱室の一側を支点として揺動開閉する構成である。扱室2のフィードチェン4側とは反対側には、扱室からの2番処理物を受け入れて脱粒処理する2番処理胴7が扱胴3と平行して2番処理室8内に軸架されている。2番処理室8の終端側には2番処理胴7により前方側に送られた2番物を揺動選別棚の前方始端側(移送棚)上に還元する二番還元口9が開口されている。また、2番処理胴7の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴10が排塵処理室11内に架設されている。
【0029】
なお、前記扱室2は、前側板2aと中側板2b,2cとの間に構成され、扱室終端の排塵口12は中側板2bと2cとの間に形成されている。そして、扱胴3を前記排塵口12より後方に延長して中側板2cと後側板2d との間にささり粒回収室13を構成している。
【0030】
扱室下方の揺動選別装置(揺動選別棚)15は、揺動機構14を介して前後方向に揺動運動し、脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながら篩い選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚16、第1シーブ群17、第2シーブ群18、ストロ−ラック19の順に配置し、且つ、前記第2シーブ群18の下方にグレンシ−ブ20、1番戻し棚21a、2番戻し棚21bを配置した構成としている。
【0031】
また、揺動選別棚7の下方には選別方向の上手側から順に、唐箕22と、1番螺旋23、2番螺旋24と、その上方に排塵フアン25を設けて排塵選別室を構成している。
前記第1シーブ群17は、前記ささり粒回収室13より前方に配置され、前後方向に所定間隔を開けて上下方向に傾斜する固定状態の固定シーブ(シーブ)26からなる。第2シーブ群18は、第1シーブ群17からの処理物及びささり粒回収室13からの処理物を受け入れて篩い選別するように構成され、傾斜角変更自在な可動シーブ(シーブ)27からなる。
【0032】
第1シーブ群17には、揺動選別棚15の揺動方向に平行で且つ左右方向所定間隔置きに配置したプレート28と、各固定シーブ(シーブ)26の上面に接触して付着物を除去するスクレーパ29とを合成樹脂で一体成形した複数の清掃部材30,30,30…を備えている。これら複数の清掃部材30,30,30…は、前後の連結部材31,31と左右の補強板32,32とによって互いに一体的に連結され、第1シーブ群17に対して左右方向(シーブ26の長手方向)に往復移動可能に支持されている。
【0033】
プレート28は、上下方向垂直状に立設してあり、そして、各プレート28には固定シーブ26の断面形状に合わせたガイド穴33を穿設し、各ガイド穴33に各固定シーブ26を挿通してスライド案内する構成としている。
【0034】
スクレーパ29は、上下方向に傾斜する固定シーブ26の傾斜上面に接触して摺接移動により付着物を除去するものであり、また、このスクレーパ29には移動方向に対して所定角度に傾斜する傾斜刃縁29aを有し、プレート28を挟んで左右対称に設け、平面視で略ハの字型の刃縁29a,29aを有した形状とすることで、左右の往復揺動に対する付着物の除去が無理なく確実に行えるようにしている。また、このスクレーパ29は、正面視で山型の昇り傾斜面が設けられ、左右方向への移動に伴いその昇り傾斜面によって各シーブ面上の付着物が上方に掬い上げられるようになっている。前記スクレーパ29の傾斜刃縁29a,29a端部には藁屑の拡散作用を助長する突起29b,29bが設けられている。突起29aによって藁屑の拡散効果が高まり、揺動選別棚15による篩い選別を補助する効果ある。
【0035】
また、各清掃部材30は、駆動モータ34の回転駆動により、互い違いに引き操作する一対の操作ケーブル37a,37b、往復回動する天秤アーム38、天秤アーム軸39、往復回動する揺動アーム40等の連動機構を介して左右方向に往復動すべく連動構成している。
【0036】
駆動モータ34を駆動すると、クランクアーム35の回転により、クランクピン36に連結された一対の操作ケーブル37a,37b が互い違いに引き操作され、天秤アーム38の往復回動によって天秤アーム軸39を回動中心として揺動アーム40が左右に往復揺動するようになっている。そして、この揺動アーム40に連結ピン40a及び長孔41を介して連結された清掃部材30が左右方向へ強制的に往復動されるようになっており、しかも、この左右方向の揺動速度は、前後方向に揺動する揺動選別棚15の揺動速度の方が速くなるように設定してある。つまり、清掃部材の左右揺動速度は、揺動選別棚による後方への送り作用に支障をきたさない程度の速度となるよう遅く設定している。尚、これら駆動モータ34、クランクアーム35、クランクピン36、ケーブル37、天秤アーム38、天秤アーム軸39、揺動アーーム40によって駆動機構が構成される。
【0037】
また、前後方向に揺動する揺動選別棚15は、この単位時間当たりの揺動回数をA回/秒及び揺動ストロークをBmmとし、左右方向に揺動する清掃部材30は、この単位時間当たりの揺動回数をC回/秒及び揺動ストロークをDmmとした場合、A×B>C×Dの関係に設定してある。つまり、揺動選別棚15上の選別処理物の単位時間当たりの移動量が清掃部材30による左右方向の移動量より多くなるので、選別処理物が停滞することなく後方に揺動移送することができるようになり、所期通りの揺動篩い選別が良好に行える。
【0038】
前記クランクピン36と操作ケーブル37bとの間には、スプリング42及びプレート43を介して連結保持させて、ケーブル37に無理な加重が掛からないように構成している。
【0039】
前記駆動モータ34は、脱穀クラッチレバー45により脱穀クラッチを入り操作すると、駆動モータ34への駆動スイッチ46が自動的に入り、該駆動モータ34の駆動によって清掃部材30が揺動運動を開始するよう連動構成している。脱穀クラッチ入りによって揺動選別棚15と清掃部材30の揺動作動が開始されるので、それぞれの機能を発揮しながら清掃作用と篩い選別を効果的に行うことができる。
【0040】
また、前記清掃部材30は、脱穀クラッチ入り後、所定時間経過後に揺動作動を開始すべく連動構成している。これによれば、揺動選別棚15の揺動駆動開始後、新たに選別処理物が投入されるまでの間、藁屑が後方に送られつつ、チャフシーブ上の藁屑を取り除くことができ、清掃性能を高めることができる。
【0041】
更に、清掃部材30の作動停止は、脱穀クラッチ「切」と同時に停止するよう連動構成しておくと、新たに選別処理物が投入されない脱穀停止時に清掃部材30の駆動が停止するので、省エネと耐久性の確保が可能となる。また、脱穀クラッチ「切」後、清掃部材30が所定時間経過後まで作動して停止するようにすることもでき、シーブ上面を清掃後に停止することで、次回起動時のスクレーパ29の負荷を低減することができる。
【0042】
清掃部材30の作動(揺動)速度は、揺動選別棚15の移送棚16上に設けられた選別処理物量を感知する層圧センサ47の感知量に応じて可変制御する構成としている。選別処理物が多い時は、清掃部材30の揺動速度を速く、少ない時は清掃部材30の揺動速度を低下させて処理速度を適正化する。
【0043】
つまり、層圧センサ47による処理物量の検出結果はコントローラ48に入力され、駆動モータ34の回転速度は速度検出センサ49によって検出されコントローラ48に入力される。そして、選別処理物量に対する清掃部材30の作動速度が予め設定された速度と比較して遅いと判断した場合には、駆動モータ34の回転速度をアップし、また、選別処理物量に対する清掃部材30の作動速度が速いと判断した場合には、駆動モータ34の回転速度をダウンさせる。要するに、選別処理物量の多少に応じて清掃部材30の揺動速度を変更し、多い時には高速に揺動させることで、シーブ上の付着物を確実に除去することができる。
【0044】
なお、上記選別処理物量に応じた清掃部材30の揺動速度制御において、刈取作業速度や作物の乾湿度合等により清掃部材30の揺動速度を変更できるように構成することもできる。低速作業時や乾いた作物条件では清掃部材30の揺動速度を遅くして清掃部材30や駆動部にかかる負荷を軽減し、逆に、高速作業時や湿材では作動を速めることによって清掃部材30の機能効果を高めることができる。
【0045】
また、清掃部材30の揺動速度の変更手段を操作席の近傍に設けておくと便利であり、作動速度の調節が容易に行える。
【符号の説明】
【0046】
2 扱室
9 二番還元口
15 揺動選別棚
16 移送棚
17 第1シーブ群
18 第2シーブ群
19 ストローラック
26 固定シーブ
28 プレート
29 スクレーパ
30 清掃部材
34 駆動モータ
40 揺動アーム
45 脱穀クラッチレバー
46 モータ駆動スイッチ
35 クランクアーム
36 クランクピン
37 ケーブル
38 天秤アーム
39 天秤アーム軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別処理物の移送方向上手側から、移送棚(16)、第1シーブ群(17)、第2シーブ群(18)、ストロ−ラック(19)の順に設けた揺動選別棚(15)を、扱室(2)の下方に前後方向揺動自在に設け、該揺動選別棚(15)には、該揺動選別棚(15)の揺動方向に沿うプレート(28)と、前記第1シーブ群(17)のシーブ(26)面または第2シーブ群(18)のシーブ(27)面に接触して付着物を除去するスクレーパ(29)とからなる複数の清掃部材(30)を、該揺動選別棚(15)の揺動方向と直交する左右方向に互いに間隔をおいて設け、これら各清掃部材(30)を左右方向に往復揺動させる駆動機構(34,35,36,37,38,39,40)を設けたことを特徴とする脱穀機の揺動選別装置。
【請求項2】
前記清掃部材(30)を、移送棚(16)の後側に続く第1シーブ群(17)の設置範囲内で、且つ、選別後の2番物を揺動選別棚(15)上に還元する2番還元口(9)よりも後方の部位に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀機の揺動選別装置。
【請求項3】
前記清掃部材(30)の左右方向の揺動速度を、揺動選別棚(15)の前後方向の揺動速度よりも遅い速度に設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀機の揺動選別装置。
【請求項4】
前記揺動選別棚(15)の前後方向の単位時間当たりの揺動回数をAとし、該揺動選別棚(15)の前後方向の揺動ストロークをBとし、前記清掃部材(30)の左右方向の単位時間当たりの揺動回数をCとし、該清掃部材(30)の揺動ストロークをDとした場合、A×B>C×Dの関係が成立するように設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の脱穀機の揺動選別装置。
【請求項5】
前記清掃部材(30)は、左右方向に往復揺動する揺動アーム(40)によって揺動駆動する構成とし、脱穀クラッチを入り切りする脱穀クラッチレバー(45)の入り操作に関連して往復揺動を開始する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀機の揺動選別装置。
【請求項6】
前記清掃部材(30)は、脱穀クラッチが入り操作されてから所定時間経過後に往復揺動を開始する構成としたことを特徴とする請求項5記載の脱穀機の揺動選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−229398(P2011−229398A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99633(P2010−99633)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】