説明

脱落防止構造付免震装置

【課題】地震による振動や余震が断続的に起こり、振幅が大きくなったときに免震装置の一部が脱落して免震機能が失われることを未然に防ぐための脱落防止構造付免震装置を提供すること。
【解決手段】上部構造物に固定された上側部材に複数の下向凹面部材を固定し、基礎部材に固定された下側部材5に複数の上向凹面部材6を固定し、該下向凹面部材と上向凹面部材6との間に転動部材7を介在させ、上側部材と下側部材5に固定した上側ガイドレールと下側ガイドレール8間に脱落防止用の摺動ボルト4を介在させたことを特徴とし、且つ、上側ガイドレールと下側ガイドレール8とが互いにクロスして配置されていることを特徴とする脱落防止構造付免震装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱落防止構造付免震装置に関し、特に地震による振動や余震が断続的に起こり、振幅が大きくなったときに免震装置の一部が脱落して免震機能が失われることを未然に防ぐための脱落防止構造付免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の免震装置が開発されているが、その殆どが建築物や床上の電子機器に対して、免震効果を有するバネやゴムの反発効果や下端部の滑動方式及び球体の転動方式のものが多く存在する。例えば、特開2007−24123号や特許第3058364号等が開発されている。
【0003】
【特許文献1】 特開平2007−24123号公報
【特許文献2】 特許第3058364号公報
【0004】
前記せる特開平2007−24123号は、免震用基盤上に球体を回転自在にとせる構造であり、また、前記せる特許3058364号は、電子機器の筐体底部にボルトを螺合させて脚体とし、その先端を曲面とし、凹面状受け皿上で滑動させるものであった。
【0005】
しかしながら、振幅の滑動範囲が限られており大きな振幅時に対応することができなくなる問題点があった。
【0006】
特開平2007−24123号では、狭い範囲で球体が転動するものであるから、使用対象が家屋等の建築物のような場合は、増幅される振幅に対応することが難しいものであった。
【0007】
また、前記せる特許3058364号は、電子機器の筐体底部にボルトを螺合させて脚体としたものであるから、脚体のフレキシビリティが無く、破損し易いものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の脱落防止構造付免震装置の課題は、地震による振動や余震が断続的に起こり、振幅が大きくなったときに免震装置の一部が脱落して免震機能が失われることを未然に防ぐための脱落防止構造付免震装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上部構造物に固定された上側部材に複数の下向凹面部材を固定し、基礎部材に固定された下側部材に複数の上向凹面部材を固定し、該下向凹面部材と上向凹面部材との間に転動部材を介在させ、上側部材と下側部材に固定した上側ガイドレールと下側ガイドレール間に脱落防止用の摺動ボルトを介在させたことを特徴とし、且つ、上側ガイドレールと下側ガイドレールとが互いにクロスして配置されていることを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。また、摺動ボルトは脱落防止用と共に摺動ボルトに嵌着された共振防止用スプリングは共振防止と上下動振動時のスプリング効果を有するものである。
【0010】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に支持部を介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、且つ、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0011】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にボールベアリングホルダーを介してボールベアリングを取付け、該ボールベアリングが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って回動自在に当接されており、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、ボールベアリングはストッパー部で停止し、且つ、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0012】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に首振り用ゴムを介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が前方ガイドの曲面に沿って上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止する構成としたことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0013】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に首振り用ゴムを介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0014】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って回動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、ローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0015】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると、前方のガイドに沿って筐体の前部が上昇し、ローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0016】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、前方のローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【0017】
また、筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に支持部を介して首振機能付マーブルを取付け、該首振機能付マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、首振機能付マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の脱落防止構造付免震装置免震は、地震による振動や余震が断続的に起こり、振幅が大きくなったときに免震装置の一部が脱落して免震機能が失われることを未然に防ぐことができる。
【0019】
また、地震による振動や余震が断続的に生じた場合に、自動販売機等の筐体の重心が筐体の後方に移動し、筐体等の前倒が防止される効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に示す実施例に基づき、本発明の脱落防止構造付免震装置について具体的に説明する。図面に於いて、図1は本発明に係る脱落防止構造付免震装置の上側部材の平面図である。図2は本発明に係る脱落防止構造付免震装置の下側部材の平面図である。図3は図2の斜視図である。図4は本発明に係る脱落防止構造付免震装置の側面図である。図5は本発明に係る脱落防止構造付免震装置の揺動時の側面図である。図6は脱落防止構造の部分斜視図である。図7は脱落防止構造の部分断面図である。図8は脱落防止構造の部分断面図である。図9は脱落防止構造の部分断面図である。図10は脱落防止構造の部分断面図である。図11は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図12は図11のA−A線の断面図である。図13は図11の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図14は図13のB−B線の断面図である。図15は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図16は、図15のA−A線の断面図である。図17は図15の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図18は図17のB−B線の断面図である。図19は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図20は図19のA−A線の断面図である。
図21は図19の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図22は図21のB−B線の断面図である。図23は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図24は図23のA−A線の断面図である。図25は図23の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図26は図25のB−B線の断面図である。図27は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図28は図27のA−A線の断面図である。図29は図27の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図30は図29のB−B線の断面図である。図31は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
図32は図31のA−A線の断面図である。図33は図31の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図34は図33のB−B線の断面図である。図35は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図36は図35のA−A線の断面図である。図37は図35の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図38は図37のB−B線の断面図である。図39は筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。図40は図39のA−A線の断面図である。図41は図39の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。図42は図41のB−B線の断面図である。図43は免震装置を筐体に取付けた正面図である。図44は免震装置を筐体に取付け筐体が前方に移動した側面図である。
【0021】
図面に示すように、上部構造物9に固定された上側部材1に複数の下向凹面部材2を固定し、基礎部材10に固定された下側部材5に複数の上向凹面部材6を固定し、それぞれ対応する下向凹面部材2と上向凹面部材6との間に転動部材7を介在させている。
【0022】
上側部材1と下側部材5に固定した上側ガイドレール3と下側ガイドレール8間に脱落防止用の摺動ボルト4を介在させている。
【0023】
図6に示すように、上側ガイドレール3と下側ガイドレール8とが互いにクロスして配置されており、双方のクロス部分に摺動ボルト4が摺動自在に嵌装されている。
【0024】
地震の振動や横揺れに対応して図4の静止状態から図5に示すように転動部材7が転動して上側部材1が上方に持ち上げられる作用が付勢されると、上側ガイドレール3の位置は図8及び図10の静止状態から図7及び図9の位置に移動する。
【0025】
図7及び図8に示す移動状態の場合でも、摺動ボルト4は上部部材1の全方向への移動にも外れずに摺動するようになっており、ボルト頭部42は共振防止用スプリング41を介して下側ガイドレール8に保持され、ボルト先端はナット43にて上側ガイドレール3に保持されている。
【0026】
したがって、上下振動や横揺れが断続的に生じても上側部材1と下側部材5とは元の復元位置に戻り、免震装置としての機能が維持される。
【0027】
以下、図11乃至図14に基づき他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13は筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側に支持部18を介して自在マーブル19が取付けられている。
【0028】
該自在マーブル19は該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の据付固定部16に設けたガイド17に沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が図13乃至図14に示すように上昇し、自在マーブル19はストッパー部171で停止し、且つ、筐体12の重心が後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。
【0029】
図43は自動販売機等の筐体12に免震装置20を取付けた正面図であり、図44では筐体12の前方が上昇して重心が後方へ移動する状態を示したものであり、以下に説明する他の実施例の場合も前記せる図44に示す同じ結果となり、筐体12の前倒が防止される。
【0030】
以下、図15乃至図18に基づき、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側にボールベアリングホルダー22を介してボールベアリング21が取付けられている。
【0031】
該ボールベアリング21が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の据付固定部16に設けたガイド17に沿って回動自在に当接されており、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると、筐体12の前部が図17乃至図18に示すように上昇しボールベアリング21はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。
【0032】
以下、図19乃至図22に基づいて、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側に首振り用ゴム23を介して、自在マーブル19が取付けられている。
【0033】
該自在マーブル19が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の据付固定部16に設けたガイド17に沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が前方ガイド17の曲面に沿って上昇し、自在マーブル19はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止する構成となっている。
【0034】
以下、図23乃至図26に基づいて、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側に首振り用ゴム23を介して、自在マーブル19が取付けられている。
【0035】
該自在マーブル19が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の前後の据付固定部16に設けたガイド17に沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が図25乃至図26に示すように上昇し、自在マーブル19はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。
【0036】
以下、図27乃至図30に基づいて、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側にローラーホルダー25を介して、ローラー24が回転自在に取付けられている。なお、据付固定部16に当接されるローラーホルダー25は、双方又は一方に突起部27が設けられ、据付固定部16との摩擦により共振防止され、また、ストッパー部171には緩衝用ゴム(図示せず)を破損防止や防音の為に嵌着してもよく、緩衝用ゴム(図示せず)を嵌着しなくても脱落防止構造付免震装置としての性能は変わらない。
【0037】
該ローラー24が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の前後の据付固定部16に設けたガイド17に沿って回動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が図44に示すように上昇し、ローラー24はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。
【0038】
据付固定部16は前方と後方に二分されて構成されているが、下記に示す図31乃至図33の場合は、据付固定部16は一体的に形成されている。
【0039】
以下、図31乃至図34に基づき、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側にローラーホルダー25を介して、ローラー24が取付けられている。
【0040】
該ローラー24が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側に一体的に形成された据付固定部16に設けたガイド17に沿って回動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると、前方のガイドに沿って筐体の前部が上昇し、ローラー24はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。なお、据付固定部16に当接されるローラーホルダー25は、双方又は一方に突起部27が設けられ、据付固定部16との摩擦により共振防止され、また、ストッパー部171には緩衝用ゴム(図示せず)を嵌着してもよい。
【0041】
以下、図35乃至図38に基づいて、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側にローラーホルダー25を介して、ローラー24が取付けられている。
【0042】
該ローラー24が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側の前後に二分されて形成された据付固定部16に設けたガイド17に沿って回動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が図32に示すように上昇し、前方のローラー24はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。なお、据付固定部16に当接されるローラーホルダー25は、双方又は一方に突起部27が設けられ、据付固定部16との摩擦により共振防止され、また、ストッパー部171には緩衝用ゴム(図示せず)を嵌着してもよい。
【0043】
次いで、図39乃至図42に基づき、他の実施例について説明する。
筐体12に固定された筐体脚部13が筐体脚部取付用C型鋼15の背部に強固に固定されており、該筐体脚部取付用C型鋼15の内側に支持部18を介して、首振機能付マーブル26が取付けられている。
【0044】
該首振機能付マーブル26が該筐体脚部取付用C型鋼15の内側前後の据付固定部16に設けたガイド17に沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体12が前方へスライドすると筐体12の前部が図41に示すように上昇し、首振機能付マーブル26はストッパー部171で停止し、筐体12の重心が図44に示すように後方へ移動して筐体12の前倒を防止するように構成されている。
【0045】
なお、図31、図33、図35及び図37において、後方に配置したローラーホルダー25の下部に設けられた突起部27は通常は据付固定部16に接触しており、その接触部の摩擦力によって、共振防止の効果があり、筐体12への収納物の出し入れや、少しの強風を受けても容易に摺動することはない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明した本発明の脱落防止構造付免震装置によれば、特に地震による振動や余震が断続的に起こり、振幅が大きくなったときに免震装置の一部が脱落して免震機能が失われることを未然に防ぎ、且つ、自動販売機等の筐体の前倒を防止するため、産業上の利用可能性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】 本発明に係る脱落防止構造付免震装置の上側部材の平面図である。
【図2】 本発明に係る脱落防止構造付免震装置の下側部材の平面図である。
【図3】 図2の斜視図である。
【図4】 本発明に係る脱落防止構造付免震装置の側面図である。
【図5】 本発明に係る脱落防止構造付免震装置の揺動時の側面図である。
【図6】 脱落防止構造の部分斜視図である。
【図7】 脱落防止構造の部分断面図である。
【図8】 脱落防止構造の部分断面図である。
【図9】 脱落防止構造の部分断面図である。
【図10】 脱落防止構造の部分断面図である。
【図11】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図12】 図11のA−A線の断面図である。
【図13】 図11の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図14】 図13のB−B線の断面図である。
【図15】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図16】 図15のA−A線の断面図である。
【図17】 図15の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図18】 図17のB−B線の断面図である。
【図19】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図20】 図19のA−A線の断面図である。
【図21】 図19の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図22】 図21のB−B線の断面図である。
【図23】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図24】 図23のA−A線の断面図である。
【図25】 図23の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図26】 図25のB−B線の断面図である。
【図27】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図28】 図27のA−A線の断面図である。
【図29】 図27の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図30】 図29のB−B線の断面図である。
【図31】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図32】 図31のA−A線の断面図である。
【図33】 図31の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図34】 図33のB−B線の断面図である。
【図35】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図36】 図35のA−A線の断面図である。
【図37】 図35の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図38】 図37のB−B線の断面図である。
【図39】 筐体の下部に設置した他の実施例を示す免震装置の部分側面図である。
【図40】 図39のA−A線の断面図である。
【図41】 図39の筐体が前方へ移動した場合の部分側面図である。
【図42】 図41のB−B線の断面図である。
【図43】 免震装置を筐体に取付けた正面図である。
【図44】 免震装置を筐体に取付け、筐体が前方に移動した側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 上側部材
2 下向凹面部材
3 上側ガイドレール
4 摺動ボルト
41 共振防止用スプリング
42 ボルト頭部
43 ナット
5 下側部材
6 上向凹面部材
7 転動部材
8 下側ガイドレール
9 上部構造物
10 基礎部材
11 据付コンクリート
12 筐体
13 筐体脚部
14 脚固定部
15 筐体脚部取付用C型鋼
16 据付固定部
17 ガイド
171 ストッパー部
18 支持部
19 自在マーブル
20 免震装置
21 ボールベアリング
22 ボールベアリングホルダー
23 首振り用ゴム
24 ローラー
25 ローラーホルダー
26 首振機能付マーブル
27 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造物に固定された上側部材に複数の下向凹面部材を固定し、基礎部材に固定された下側部材に複数の上向凹面部材を固定し、該下向凹面部材と上向凹面部材との間に転動部材を介在させ、上側部材と下側部材に固定した上側ガイドレールと下側ガイドレール間に脱落防止及び共振防止用の摺動ボルトを介在させたことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項2】
上側ガイドレールと下側ガイドレールとが互いにクロスして配置されていることを特徴とする請求項1記載の脱落防止構造付免震装置。
【請求項3】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に支持部を介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、且つ、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項4】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にボールベアリングホルダーを介してボールベアリングを取付け、該ボールベアリングが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って回動自在に当接されており、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、ボールベアリングはストッパー部で停止し、且つ、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項5】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に首振り用ゴムを介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が前方ガイドの曲面に沿って上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止する構成としたことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項6】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に首振り用ゴムを介して自在マーブルを取付け、該自在マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、自在マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項7】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、後方に配置したローラーホルダーの下部に設けられた突起部が据付固定部に接触しており、その接触部の摩擦力によって共振防止され、筐体への収納物の出し入れや、少しの強風を受けても容易に摺動することがなく、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って回動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、ローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項8】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、後方に配置したローラーホルダーの下部に設けられた突起部が据付固定部に接触しており、その接触部の摩擦力によって共振防止され、筐体への収納物の出し入れや、少しの強風を受けても容易に摺動することがなく、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると、前方のガイドに沿って筐体の前部が上昇し、ローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項9】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側にローラーホルダーを介してローラーを取付け、該ローラーが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、前方のローラーはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項10】
筐体に固定された筐体脚部を筐体脚部取付用C型鋼の背部に固定し、該筐体脚部取付用C型鋼の内側に支持部を介して首捩機能付マーブルを取付け、該首振機能付マーブルが該筐体脚部取付用C型鋼の内側の前後の据付固定部に設けたガイドに沿って摺動自在に当接され、振動を受けた筐体が前方へスライドすると筐体の前部が上昇し、首振機能付マーブルはストッパー部で停止し、筐体の重心が後方へ移動して筐体の前倒を防止するように構成したことを特徴とする脱落防止構造付免震装置。
【請求項11】
据付固定部に当接されるローラーホルダーは、双方又は一方に突起部が設けられ、据付固定部との摩擦により共振防止され、また、ストッパー部には緩衝用ゴムが嵌着自在に構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項10記載の脱落防止構造付免震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2010−25328(P2010−25328A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209090(P2008−209090)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(390027661)株式会社金澤製作所 (29)
【Fターム(参考)】