説明

腫瘍マーカー及び癌に対する治療標的としてのTBC1D7

本発明は、癌、特に肺癌もしくは食道癌、又は発癌においてTBC1D7遺伝子によって果たされる役割に関し、癌、特に肺癌又は食道癌をTBC1D7遺伝子の1つ又は複数に対する二本鎖分子、又はそのような二本鎖分子を含む組成物、ベクターもしくは細胞を投与することによって治療及び/又は予防するための方法を特徴とする。本発明はまた、TBC1D7の中から選択された1つ又は複数の過剰発現遺伝子を用いた、肺の診断、又は肺癌、特にNSCLCもしくはSCLC又は食道癌を有する患者の予後の評価/判定のための方法も特徴とする。その目的のために、TBC1D7は肺癌又は食道癌に関する新規バイオマーカーとして役立つ可能性がある。また、肺癌又は食道癌におけるTBC1D7のうち1つ又は複数の過剰発現に及ぼすそれらの影響を指標として用いて、肺癌又は食道癌を治療又は予防するための化合物を同定する方法も開示する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌の検出又は診断の方法であって、患者由来の生物試料におけるTBC1D7の発現レベルを決定する段階を含み、該遺伝子の正常対照レベルと比較した該レベルの上昇が、該対象が癌に罹患しているか又は癌を発症するリスクを有することを示し、その発現レベルが以下からなる群より選択されるいずれか1つの方法によって決定される方法:
(a)TBC1D7のmRNAを検出する段階、
(b)TBC1D7によってコードされるタンパク質を検出する段階、及び
(c)TBC1D7によってコードされるタンパク質の生物活性を検出する段階。
【請求項2】
前記上昇が、正常対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
患者由来の生物試料が生検試料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
癌が肺癌及び食道癌からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
TBC1D7の転写産物又は翻訳産物と結合する検出用試薬を含む、癌の検出又は診断のためのキット。
【請求項6】
肺癌及び/又は食道癌の患者の予後を評価するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)生物試料におけるTBC1D7の発現レベルを検出する段階;及び
(b)検出された発現レベルを対照レベルと比較する段階;及び
(c)(b)の比較に基づいて患者の予後を判定する段階。
【請求項7】
対照レベルが予後良好な対照レベルであり、該対照レベルと比較した発現レベルの上昇が予後不良と判定される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記上昇が対照レベルを少なくとも10%上回る、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記発現レベルが、以下からなる群より選択されるいずれか1つの手段によって決定される、請求項6記載の方法:
(a)TBC1D7のmRNAを検出すること;
(b)TBC1D7によってコードされるタンパク質を検出すること;及び
(c)TBC1D7によってコードされるタンパク質の生物活性を検出すること。
【請求項10】
癌の治療もしくは予防又は癌細胞成長の阻害のための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
a)試験化合物を、TBC1D7によってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
b)該ポリペプチドと試験化合物との間の結合活性を検出する段階;及び
c)該ポリペプチドと結合する化合物を選択する段階。
【請求項11】
癌の治療もしくは予防又は癌細胞成長の阻害のための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
a)試験化合物を、TBC1D7を発現する細胞と接触させる段階;及び
b)TBC1D7の発現レベルを低下させる化合物を選択する段階。
【請求項12】
癌の治療もしくは予防又は癌細胞成長の阻害のための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
a)試験化合物を、TBC1D7によってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
b)段階(a)のポリペプチドの生物活性を検出する段階;及び
c)該ポリペプチドの生物活性を、試験化合物の非存在下で検出される生物活性と比較して抑制する化合物を選択する段階。
【請求項13】
生物活性が細胞増殖活性又は浸潤活性である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
癌の治療もしくは予防又は癌細胞成長の阻害のための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
a)試験化合物を、TBC1D7遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現するレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階、
b)該レポーター遺伝子の発現又は活性を測定する段階;及び
c)該レポーター遺伝子の発現又は活性のレベルを、試験化合物の非存在下におけるレベルと比較して低下させる化合物を選択する段階。
【請求項15】
TBC1D7ポリペプチドと14-3-3ζポリペプチド、RAB17ポリペプチド又はTSC1ポリペプチドとの間の結合の阻害のための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)TBC1D7ポリペプチド又はその機能的等価物を、試験薬剤の存在下で、14-3-3ζ、RAB17又はTSC1ポリペプチド又はその機能的等価物と接触させる段階;
(b)該ポリペプチド間の結合を検出する段階;
(c)段階(b)で検出された結合レベルを、試験薬剤の非存在下で検出されるレベルと比較する段階;及び
(d)段階(c)において試験薬剤の非存在下で検出されたレベルと比較して、結合レベルを低下させるか阻害する試験薬剤を選択する段階。
【請求項16】
TBC1D7の機能的等価物が、14-3-3ζ結合ドメイン、RAB17結合ドメイン又はTSC1結合ドメインを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
癌が肺癌又は食道癌である、請求項10、11、12及び14記載の方法。
【請求項18】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖分子であって、センス鎖が配列番号18又は19からなる群より選択される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含み、
アンチセンス鎖が該センス鎖に対して相補的なヌクレオチド配列を含み、該センス鎖及び該アンチセンス鎖が互いにハイブリダイズして該二本鎖分子を形成し、該二本鎖分子がTBC1D7遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、二本鎖分子。
【請求項19】
約19〜約25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである、請求項18記載の二本鎖分子。
【請求項20】
一本鎖ヌクレオチド配列を介して連結されたセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む単一のヌクレオチド転写物である、請求項18記載の二本鎖分子。
【請求項21】
前記ポリヌクレオチドが、一般式:
5'-[A]-[B]-[A’]-3'
を有し、式中、[A]が、配列番号18又は19を含むヌクレオチド配列であり;[B]が、約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A’]が、[A]に対して相補的なヌクレオチド配列である、請求項20記載の二本鎖分子。
【請求項22】
TBC1D7遺伝子を発現する細胞が、膀胱癌細胞、胃癌細胞、結腸及び直腸癌細胞、乳癌細胞、食道癌細胞、肺癌細胞、リンパ腫細胞、膵癌細胞並びに精巣癌細胞の群から選択される、請求項18記載の二本鎖分子。
【請求項23】
センス鎖核酸及びアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドのそれぞれ又は両方を含むベクターであって、該センス鎖核酸が配列番号18又は19のヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に対して相補的なヌクレオチド配列を含み、該センス鎖及び該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして該二本鎖分子を形成し、該ベクターがTBC1D7遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、ベクター。
【請求項24】
ポリヌクレオチドが約19〜約25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである、請求項23記載のベクター。
【請求項25】
二本鎖分子が、一本鎖ヌクレオチド配列を介して連結されたセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む単一のヌクレオチド転写物である、請求項23記載のベクター。
【請求項26】
ポリヌクレオチドが一般式:
5'-[A]-[B]-[A’]-3'
を有し、式中、[A]が、配列番号18又は19を含むヌクレオチド配列であり;[B]が、約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A’]が、[A]に対して相補的なヌクレオチド配列である、請求項25記載のベクター。
【請求項27】
対象における癌の治療もしくは予防の方法であって、TBC1D7に対する二本鎖分子の薬学的有効量、又はTBC1D7遺伝子を発現する細胞と接触して細胞増殖を阻害する該二本鎖分子を含むベクターの薬学的有効量と、薬学的に許容される担体とを該対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項28】
二本鎖分子が請求項18記載のものであり、ベクターが請求項23記載のものである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
癌が肺癌及び食道癌から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項30】
TBC1D7に対する二本鎖分子の薬学的有効量、又はTBC1D7遺伝子を発現する細胞と接触して細胞増殖を阻害する該二本鎖分子を含むベクターの薬学的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、癌の治療又は予防のための組成物。
【請求項31】
二本鎖分子が請求項18記載のものであり、ベクターが請求項23記載のものである、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
癌が肺癌及び食道癌の群から選択される、請求項30記載の組成物。
【請求項33】
以下からなる群より選択されるポリペプチド;
(a)YWITRRFVNQLNTKYRDSLP(配列番号28)を含むポリペプチド、及び
(b)YWITRRFVNQLNTKYRDSLP(配列番号28)からなるポリペプチドと機能的に等価なポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、
配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドの生物学的機能を欠くポリペプチド。
【請求項34】
請求項33記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項35】
生物学的機能が細胞増殖活性又は浸潤活性である、請求項33記載のポリペプチド。
【請求項36】
20〜60残基からなる、請求項33記載のポリペプチド。
【請求項37】
細胞膜透過性物質によって修飾されている、請求項33記載のポリペプチド。
【請求項38】
以下の一般式:
[R]-[D];
を有し、式中、[R]が細胞膜透過性物質を表し;[D]がYWITRRFVNQLNTKYRDSLP(配列番号28)を含む断片配列のアミノ酸配列;又は該断片配列を含むポリペプチドと機能的に等価なポリペプチドのアミノ酸配列を表し、該ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドの生物学的機能を欠き、[R]及び[D]が直接的に連結されてもよく、又はリンカーを介して間接的に連結されてもよい、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項39】
細胞膜透過性物質が以下のものからなる群より選択されるいずれか1つである、請求項38記載のポリペプチド:
ポリアルギニン/RRRRRRRRRRR/配列番号43;
Tat/RKKRRQRRR/配列番号29;
ペネトラチン/RQIKIWFQNRRMKWKK/配列番号30;
ブフォリンII/TRSSRAGLQFPVGRVHRLLRK/配列番号31;
トランスポータン/GWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL/配列番号32;
MAP(両親媒性ペプチドモデル)/KLALKLALKALKAALKLA/配列番号33;
K-FGF/AAVALLPAVLLALLAP/配列番号34;
Ku70/VPMLK/配列番号35;
Ku70/PMLKE/配列番号36;
プリオン/MANLGYWLLALFVTMWTDVGLCKKRPKP/配列番号37;
pVEC/LLIILRRRIRKQAHAHSK/配列番号38;
Pep-1/KETWWETWWTEWSQPKKKRKV/配列番号39;
SynB1/RGGRLSYSRRRFSTSTGR/配列番号40;
Pep-7/SDLWEMMMVSLACQY/配列番号41;及び
HN-1/TSPLNIHNGQKL/配列番号42。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C−D】
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【図3E−F】
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【図4A−B】
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【図4C】
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【図4D−F】
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【図5A】
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【図5B−C】
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【図5D】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−501168(P2012−501168A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509342(P2011−509342)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/JP2009/003895
【国際公開番号】WO2010/023838
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】