説明

腫瘍細胞の増殖、遊走および浸潤に影響を与えるために有用な物質および方法

miR-221およびmiR-222が、PTENおよびTIMP3腫瘍サプレッサーを下方制御し、結果として、TRAIL抵抗性を生じることを開示する。本発明は、研究ツール、診断ツール、および治療ツール、およびこの知見と関連した方法を提供する。TRAIL抵抗性を有するヒト肝細胞癌および非-小細胞肺癌について、診断、予後診断、および治療することが、本明細書中で特に記載され。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の交互参照
[0001] 本件出願は、米国仮出願No. 61/263,655の利益を主張し、2009年11月23日に出願されており、その開示を本明細書中で参照により援用する。
【0002】
連邦により支援された研究に関する記述
[0002] 本発明は、いずれの政府の支援も受けておらず、政府は本発明に対して何ら権利を有さない。
【0003】
発明の分野
[0003] 本発明は、一般的には、分子生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は癌関連技術に関する。本発明の特定の側面には、miR-22lおよびmiR-222に関連した診断、治療、および予後診断における用途が含まれる。特に、肝臓癌および肺癌の診断、治療および予後診断が、本明細書中で検討される。
【0004】
[0004] 本発明は、部分的には、以下の知見の発見に基づいている:
・肝細胞増殖因子受容体(MET)への肝細胞増殖因子の結合が、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERKl/2)およびJun N末端キナーゼ(JNK)のリン酸化を亢進制御し、
・それが続いて、Jun転写活性化を亢進制御し、
・それが続いて非コーディングマイクロRNA(miR-221およびmiR-222)の発現を亢進制御し、
・それが続いてホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)およびメタロプロテアーゼの組織阻害剤3(TIMP3)の発現を下方制御し、
・それが続いて、腫瘍壊死因子アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)誘導化細胞死に対する耐性を付与し、そして肺および肝臓の癌細胞の腫瘍原性を亢進する。
【0005】
[0005] 本発明は、この知見に由来する知識を使用して、研究ツール、診断方法、および治療方法および治療用組成物を提供する。本発明は、腫瘍細胞を薬物誘導性アポトーシスに対して感作するために、そして腫瘍細胞の生存、増殖および浸潤性能力を阻害するためにも、産業的に利用可能である。
【背景技術】
【0006】
発明の背景
[0006] 初期検出および標準的な処理における進展にもかかわらず、非小細胞肺癌(NSCLC)および肝細胞癌(HCC)は、しばしば進行した段階で診断され、そして予後が悪い。アポトーシスを促進することは、薬物開発の可能な目的である。TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)は、現在臨床試験が行われている;しかしながら、NSCLCおよびHCCを含む多数の腫瘍のTRAILに対する抵抗性が、その臨床応用のための障害となっている。
【0007】
[0007] miRNAは、19〜25 ntの小型の非コーディングRNAであり、mRNA翻訳をブロックするか、および/またはその安定性を負に制御することができる。この時、500以上の異なるmiRNAが、ヒト細胞中で同定され、そして証拠から、miRNAレベルの制御が多数の細胞型および組織の増殖および分化と関連していることが示される。無調節なmiRNA発現は、固形の悪性癌および造血性の悪性癌と関連しており、そしていくつかのmiRNAがオンコジーンまたは腫瘍サプレッサー遺伝子として機能することができるという証拠が存在する。miR-221およびmiR-222は、癌に関連する最も脱制御されたmiRNAのうちのものである。それらの発現は、甲状腺癌、肝細胞癌およびメラノーマ細胞を含む様々な固形腫瘍において非常に亢進制御されている。miR-221およびmiR-222の発現の亢進は、いくつかの癌細胞系列の増殖、アポトーシス、および遊走と因果関係を有している。しかしながら、癌一般におけるmiR-221およびmiR-222およびNSCLCおよびHCC具体的な場合のmiR-221およびmiR-222を媒介する分子的メカニズムは、本発明の前にはほとんど知られていない。
【0008】
[0008] PTENは、ヒト癌における腫瘍サプレッサーであり、そして細胞増殖とアポトーシスのレギュレーターである。機能的には、PTENは、細胞質中のホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸(PIP3)を、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PIP2)に変換し、それによりP13キナーゼ(PI3K)の活性を直接的にアンタゴナイズする。PTENの不活性化は、PI3K/AKT経路の構成的な活性化を生じ、そしてその後にタンパク質合成、細胞周期進行、遊走および生存の増加を生じる。さらに、様々な研究により、PTENのタンパク質ホスファターゼ活性が、いくつかの経路を介して、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化を阻害することが示された。PTENは、TRAILに対する耐性を含む多剤耐性の発生と関連している。AKTの構成的活性化は、細胞遊走と肺癌および肝臓癌を含む異なる腫瘍タイプへの浸潤に寄与する。
【0009】
[0009] TIMP3は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)と呼ばれるタンパク質群の一つである。MMPは、胚発生、組織リモデリングおよび骨リモデリング、創傷治癒、および血管生成などの正常な生理学的プロセスにおいて、細胞外マトリクス(ECM)の崩壊と関連するzincプロテアーゼのファミリーである。細胞外マトリクスのなかで、4つの構成分子(TIMP1〜TIMP4)が存在するメタロプロテアーゼ組織阻害剤(TIMP)は、1:1の化学量論で活性部位と結合することにより、MMPの活性を阻害する。血管平滑筋およびメラノーマ細胞系列中でのTIMP3の過剰発現は、浸潤を阻害し、そしてアポトーシス細胞死を促進する。TIMP3は、イニシエータカスパーゼ8および9の両方共の活性化を誘導することが報告された。TIMP3は、血管生成および腫瘍形成と関連した。
【0010】
[0010] METは、c-Metとしても知られているが、肝細胞増殖因子(HGF)/散在性因子(SF)の膜受容体である。METは、上皮由来の細胞により通常は発現されているが、一方HGFの発現は、間葉由来の細胞に限定される。HGF刺激に際して、METは、癌細胞の浸潤性増殖を刺激し、そして主としてERK1/2およびJNKのリン酸化の増加を介して、それらの転移性能力を増加させる。
【0011】
[0011] リン酸化JNKは、癌タンパク質、c-Junを活性化し、それがホモ二量体またはそのパートナー分子であるc-Fosとのヘテロ二量体として、アクチベータータンパク質1(AP-1)転写因子を形成することが知られている。HGF/SFおよびその受容体、METの異所性の発現が、しばしば様々なヒト悪性腫瘍の予後の悪さと相関している。悪性細胞に対するそれらの特異的な毒性により、組換え型のTRAILは、アポトーシスに基づく抗腫瘍剤である。しかしながら、多数のヒト癌細胞は、依然としてTRAIL誘導型のアポトーシスに対して耐性であるが、しかしそのような耐性のメカニズムは明らかになっていない。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 本発明は、c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3を発現することができる細胞において、c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENまたはTIMP3を阻害すること、そしてTRAILの発現パターン変化を観察することを含む、細胞内におけるTRAILの発現パターンを変化させる方法を提供する。
【0013】
[0013] c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3を発現することができる細胞においてc-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENまたはTIMP3を過剰発現させること、そしてTRAILの発現パターン変化を観察することをを含む、細胞内におけるTRAILの発現パターンを変化させる方法もまた提供される。
【0014】
[0014] 少なくとも2個が、以下のもの:miR-221およびmiR-222およびc-Jun;miR-221およびmiR-222およびPTEN;miR-221、miR-222およびTIMP3;miR-221およびmiR-222、c-JunおよびPTEN;miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3;そしてmiR-221およびmiR-222、c-JunおよびTIMP3;からなる群から選択される、細胞サンプル中で少なくとも2個の核酸の発現レベルを同定することを含む、細胞サンプルにおけるTRAILの発現パターンを同定するための方法もまた、提供される。
【0015】
[0015] 以下のもの:c-Jun;PTENおよびTIMP3からなる群から選択される少なくとも1個の核酸も発現する細胞において、miR-221およびmiR-222を阻害することを含む、TRAIL抵抗性細胞における遺伝子発現を変化させる方法もまた、提供される。
【0016】
[0016] 以下のもの:c-Jun;PTENおよびTIMP3からなる群から選択される少なくとも1個の核酸も発現する細胞において、miR-221およびmiR-222を過剰発現することを含む、TRAIL抵抗性細胞における遺伝子発現を変化させる方法もまた、提供される。
【0017】
[0017] 少なくとも1個の試験細胞をアンチセンスmiR-221およびmiR-222と接触させること、そしてPTENおよびTIMP3からなる群から選択される核酸の発現の増加を観察することを含む、核酸発現阻害を有する試験細胞を同定する方法もまた、提供される。
【0018】
[0018] 患者から得られた癌細胞サンプルにおいてmiR-221およびmiR-222の発現レベルおよび以下のもの:c-Jun;PTENおよびTIMP3からなる群から選択される核酸の少なくとも1個の核酸発現レベルを検出することを含む、癌を有すると診断された患者の臨床的結果を予測する方法であって、ここで対照と比較して腫瘍サンプルにおいて、miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の上昇が、PTENまたはTIMP3発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下と組み合わされた場合、生存の低下を示し、あるいは対照と比較して腫瘍サンプルにおいて、miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加が、c-Jun発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加と組み合わされた場合、生存の低下を示す、前記方法もまた、提供される。
【0019】
[0019] さらに、本発明は、miR-221およびmiR-222およびPTENを発現する腫瘍細胞におけるmiR-221およびmiR-222活性を阻害すること、そしてPTENの下方制御阻害を観察すること、を含む、miR-221およびmiR-222およびPTENを発現する腫瘍細胞におけるPTEN発現の下方制御を阻害するための方法もまた、提供する。PTEN発現下方制御阻害がPTEN転写解析を介して観察される方法と同様に、PTEN発現下方制御阻害がTRAIL感受性を介して観察される場合もまた好ましいが、miR-221およびmiR-222活性が、アンチセンスmiR-221およびmiR-222を介して阻害される、上述の方法が好ましい。
【0020】
[0020] その他の態様において、候補薬剤をin vitroでスクリーニングして、TRAIL抵抗性癌細胞中でのmiR-221およびmiR-222の発現の発現を低下させそしてPTENの発現を上昇させる薬剤を選択すること、それによりTRAIL抵抗性癌の治療のための薬剤を同定することを含む、TRAIL抵抗性癌の治療のための療法剤を同定するための方法が提供される。
【0021】
[0021] miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加と、PTEN発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下との組み合わせにより同定されるTRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物に対して、PTEN発現の下方制御を阻害することができる療法剤を投与することを含む、TRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物を治療する方法もまた、提供される。
【0022】
[0022] miR-221およびmiR-222の少なくとも1個の分子識別子およびPTENの少なくとも1個の分子識別子を含む、試験細胞におけるPTENのmiR-221およびmiR-222上方制御を同定するためのキットであって、ここで分子識別子が以下のもの:プローブ;プライマー;抗体;または低分子;からなる群から選択される、前記キットもまた、提供される。
【0023】
[0023] 本明細書中のいずれかの方法において、好ましい方法は、以下のもの:癌細胞;TRAIL抵抗性癌細胞;非小細胞肺癌;およびHCCからなる群から選択される細胞を利用する。
【0024】
[0024] 本発明のさらに別の側面において、TIMP3およびmiR-221およびmiR-222を発現することができる細胞において、TIMP3を発現しそしてmiR-221およびmiR-222を発現する細胞においてmiR-221およびmiR-222活性を変化させること、そしてTIMP3発現の変化を観察することを含む、TIMP3発現の制御を変化させるための方法を提供される。
【0025】
[0025] TIMP3も発現する細胞においてmiR-221およびmiR-222を発現すること、そしてTIMP3発現阻害を検出すること、を含む、TIMP3を発現することができる細胞においてTIMP3発現を阻害するための方法もまた提供される。
【0026】
[0026] 試験細胞をアンチセンスmiR-221& miR-222と接触させること、そしてTIMP3発現における増加を観察すること、を含む、TIMP3発現阻害を有する、含む、接触する細胞を同定するための方法もまた、提供される。
【0027】
[0027] 試験細胞サンプルがmiR-221およびmiR-222の核酸およびTIMP3核酸を含むかどうかを同定することを含む、TRAIL抵抗性細胞を同定するための方法もまた提供される。。
【0028】
[0028] 候補薬剤をin vitroでスクリーニングして、TRAIL抵抗性癌細胞においてmiR-221およびmiR-222の発現を減少させ、そしてTIMP3の発現を増加させる薬剤を選択し、それによりTRAIL抵抗性癌の治療のための薬剤を同定することを含む、TRAIL抵抗性癌の治療のための療法剤を同定するための方法もまた、提供される。
【0029】
[0029] 患者から得られた癌細胞サンプル中でのmiR-221、miR-222およびTIMP3発現レベルを検出する工程を含む、癌と診断された患者の臨床的結果を予測する方法であって、ここで対照と比較して、腫瘍サンプルにおいてmiR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加が、TIMP3発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下と組み合わされた場合、生存の低下を示す、前記方法もまた、提供される。
【0030】
[0030] miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加と、TIMP3発現レベルの1.5倍またはそれ以上の低下との組み合わせにより同定されるTRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物に対して、TIMP3発現の下方制御を阻害することができる療法剤を投与することを含む、TRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物を治療する方法もまた、提供される。
【0031】
[0031] miR-221およびmiR-222の少なくとも1個の分子識別子およびTIMP3の少なくとも1個の分子識別子を含む、試験細胞におけるTIMP3のmiR-221およびmiR-222亢進制御を同定するためのキットであって、ここで分子識別子は、以下のもの:プローブ;プライマー;抗体;または低分子;からなる群から選択される、前記キットもまた、提供される。
【0032】
[0032] 細胞が、以下のもの:癌細胞;TRAIL抵抗性癌細胞;非小細胞肺癌;および肝細胞癌;からなる群から選択される、好ましい方法もまた提供される。
[0033] miR-221、miR-222およびTIMP3を発現する腫瘍細胞におけるmiR-221およびmiR-222活性を阻害する工程、そしてTIMP3の下方制御阻害を観察する工程、を含む、miR-221、miR-222およびTIMP3を発現する腫瘍細胞におけるTIMP3発現の下方制御を阻害するための方法もまた、提供される。miR-221およびmiR-222の活性が、アンチセンスmiR-221およびmiR-222を介して阻害され、またはTIMP3発現下方制御の阻害が、TRAIL感受性を介して観察され、またはTIMP3発現下方制御の阻害が、TIMP3翻訳解析を介して観察される、上述した方法もまたこのましい。
【0033】
[0034] この開示の上述のそしてその他の特徴および利点は、添付する図面を参照して進行するいくつかの態様の以下の詳細な説明からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
[0035] 特許または出願ファイルは、1またはそれ以上のカラーで描かれた図面および/または1またはそれ以上の写真を含んでも良い。カラー図面および/または写真を含む特許または特許出願公開のコピーは、請求によりそして必要な費用の支払いに基づいて、特許庁(the Patent Office)により提供される。
【図1−1】[0036] 図1A〜1H。PTENおよびTIMP3は、miR-221およびmiR-222の標的である: [0037] 図1A。PTENおよびTIMP3の3'UTRは、1箇所の予測miR-221およびmiR-222結合部位を含有する。図1Aにおいて、miR-221 & miR-222のシード領域の、PTENおよびTIMP3の3'UTRと一緒のアラインメントが示される。標的変異生成の部位は、赤色で示される。(図1Aは、SEQ ID NO: 26〜29を開示しており、そして出現の順番ではSEQ ID NO: 26、30、28、および31である); [0038] 図1B。強制的なmiR-221およびmiR-222の発現の後のMEG01細胞中でのqRT-PCR; [0039] 図1C。PTENおよびTIMP3の3' UTRは、miR-221およびmiR-222の標的である。野生型(柱状図の左側)または変異型(柱状図の右側)のPTENおよびTIMP3 3' UTRを含む、pGL3-PTENおよびpGL3-TIMP3を、MEG01細胞中にトランスフェクトさせた。ホタルルシフェラーゼ発現の相対的発現を、トランスフェクション対照に対して標準化した。リポーターアッセイを3回おこない、本質的に同一の結果が得られた。
【図1−2】[0040] 図1D。強制的なmiR-221およびmiR-222の発現の後のH460細胞におけるqRT-PCR; [0041] 図1E。miR-221およびmiR-222の強制的な発現は、H460 NSCLC中でのPTENタンパク質およびTIMP3タンパク質の内在性レベルを低下させる。H460細胞は、スクランブル化またはmiR-221またはmiR-222のいずれかを72時間トランスフェクトさせた。PTEN発現およびTIMP3発現を、ウェスタンブロットにより評価した。ローディング対照を、抗Bアクチン抗体を使用して得た; [0042] 図1F。抗miRのトランスフェクション後の、Calu-1細胞中でのmiR-221 & miR-222下方制御を示すqRT-PCR; [0043] 図1G。抗miR-221および抗miR-222を使用することによるmiR-221およびmiR-222の下方制御の後の、PTEN発現およびTIMP3発現を示すウェスタンブロット。抗miR-221および抗miR-222は、Calu-1細胞系列中でPTEN発現およびTIMP3発現を上昇させることができた; [0044] 図1H。H460細胞中でのmiR-221およびmiR-222の強制的発現の後のPTENおよびTIMP3 mRNAのqRT-PCR。PTEN mRNAは、miR-221およびmiR-222により下方制御されたが、TIMP3 mRNAはされなかった。データは、SDとして示される。
【図2】[0045] 図2A〜2B。PTENおよびTIMP3発現は、NSCLCおよびHCCにおけるmiR-221およびmiR-222の発現とは逆に関連している; [0046] 図2A。miR-221およびmiR-222の発現レベルを、NSCLCについての15μgの全RNAおよびHCC細胞についての10μgの全RNAを使用して、ノーザンブロット解析により評価した。ウェスタンブロット抗PTENおよびTIMP3 を、様々なNSCLCおよびHCCから単離された全タンパク質抽出物(50μg)を使用して、行った; [0047] 図2B。miR-221およびmiR-222およびPTEN mRNAのqRT-PCRを、“Supplemental Experimental Procedures”の節に記載するように、RNAを様々なNSCLCおよびHCCから抽出することにより、行った。miR-221およびmiR-222は、様々なNSCLCおよびHCC 細胞の全てにおいて、PTEN mRNA発現と逆相関していた。データは、SDとして示す。
【図3−1】[0048] 図3A〜3L。PTENおよびTIMP3は、HCCのin vitroにおいて、およびin vivoにおいて、miR-221およびmiR-222の直接的な標的である; [0049] 図3A。ウェスタンブロットは、miR-221およびmiR-222の過剰発現または下方制御の後、Sk-Hep1およびSnu-387細胞においてPTENおよびTIMP3発現を示す。miR-221およびmiR-222は、Sk-Hep1においてPTENおよびTIMP3発現を下方制御することができた;逆に、抗miR-221およびmiR-222は、Snu-387細胞においてPTENおよびTIMP3発現を上昇させることができた; [0050] 図3B。22人の肺癌患者の肺組織および10人の正常の肺組織についてのqRT-PCR。正常なクラスの10人の被験体および腫瘍のクラスの22人の被験体についてのmiR-221/miR-222とPTEN mRNAとの間の関連性を、ピアソンの相関係数(r)およびそれぞれのp値、全てはp 0.05で有意、を使用して、統計的に算出した。ピアソンの相関は、正常サンプルおよび腫瘍サンプルにおいて、miR-221、miR-222とPTEN mRNAとの間で逆相関であることを示唆していた。
【図3−2】[0051] 図3C。肝細胞癌および正常肝臓組織サンプルに対するIHCおよびISH。miR-221/miR-222(青色)およびPTEN/TIMP3(赤色)の発現は、肝臓癌において、そして隣接する正常組織/肝硬変肝臓組織において、逆相関していた。これらの組織を、in situハイブリダイゼーション、その後PTENおよびTIMP3についての免疫組織化学により、miR-221およびmiR-222の発現について解析した。肝臓癌細胞は、miR-221/miR-222を幅広く発現しており、そして稀にPTENまたはTIMP3を発現したが(図3G、3H、3K、3L)、一方で隣接する非悪性肝臓は、PTENまたはTIMP3を幅広く発現しており、そして稀に検出可能なmiR-221/miR-222を有した(図3A、3B、3E、3F)。miR-221/miR-222の両方およびTIMP3発現が見られる肝細胞癌の場合、miR-221を発現する癌細胞(大きな矢印、図3K;TIMP3は図3L中矢印で示される)は、TIMP3を発現する細胞(図3K、小さな矢印)とは異なっていた。図3C〜3I、3H & 3E;3D〜3J肝臓では発現されていないmiR-302を陰性対照として使用した。80人のヒトHCCを解析した。スケールバーは、25 mを示す。
【図4−1】[0052] 図4A〜4E。miR-221およびmiR-222は、PTENおよびTIMP3を標的化することにより、NSCLCおよびHCCにおいてTRAIL抵抗性を誘導する; [0053] 図4A。5種の異なるHCCに対する増殖アッセイ。細胞を、Super Killer TRAIL(400ng/ml)とともに24時間インキュベートし、そして生存率を追加の方法に記載したように評価した。低いmiR-221発現およびmiR-222発現を有するHuh7、HepG2およびSk-Hep1は、高くmiR-221/miR-222を発現するPLC/PLF 5およびSnu-387と比較して、TRAIL誘導性アポトーシスに対してより感受性であった。4回の独立した実験の平均SDを、3重にして報告した。
【図4−2】[0054] 図4B。細胞死は、miR-221/miR-222の強制的発現およびPTENまたはTIMP3の下方制御の後、Sk-Hep1細胞において生じる。細胞は、対照miRまたはpre-miR-221またはpre-miR-222のいずれかによりトランスフェクトされた。トランスフェクションの24時間後、細胞をSuper Killer TRAILを用いて24時間処置した。アポトーシスを、Annexin-FITCまたは(図4C)カスパーゼGlo 3/7キットのいずれかを用いて評価した。TRAIL抵抗性は、miR-221/miR-222過剰発現またはPTENおよびTIMP3下方調節の後に、増加した。
【図4−3】[0055] 図4D。miR-221/miR-222の細胞死に対する作用。H460細胞を、対照siRNAまたは対照miRまたは100 nmolのPTENおよびTIMP3 siRNAのいずれかにより、トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、細胞をSuper Killer TRAILにより24時間処置した。アポトーシスを、カスパーゼ3/7活性または(図4E)Annexin Vにより、評価した。アポトーシス細胞の割合は、PTENおよびTIMP3下方制御の後に減少した。エラーバーは、SDを示す。t試験により、*p<0.05、**p<0.001。
【図5−1】[0056] 図5A〜5G。抗miR-221およびmiR-222は、AKT経路の阻害を通じて、NSCLCおよびHCCにおいてTRAIL抵抗性よりも重要である; [0057](図5A〜5C)miR-221/miR-222の強制的発現の後のH460細胞におけるウェスタンブロット。miR-221およびmiR-222の強制的発現は、AKT/ERKs経路の活性化およびメタロペプチダーゼの活性化を誘導する。
【図5−2】[0058] 図5B。抗miR-221/miR-222によるmiR-221およびmiR-222のノックダウンの後の、Snu-387細胞におけるウェスタンブロット。AKT経路の阻害は、miR-221およびmiR-222の下方制御の結果として示される; [0059] 図5D〜5E。PTENまたはTIMP3ノックダウンの後のウェスタンブロット。Erksリン酸化およびPAK1 活性化は、ともにPTENおよびTIMP3に依存的である。AKT経路の活性化は、PTEN依存的であるが、一方TIMP3サイレンシングは、メタロペプチダーゼの発現を誘導する。
【図5−3】[0060] 図5F〜5G。抗miRとAPI2/トリシリビンによるAKT経路阻害の細胞死に対する効果。Calu-1およびSnu-387細胞を、抗miR22l/222により72時間トランスフェクトし、またはAPI2/トリシリビンにより48時間処置した。miR-221およびmiR-222の下方調節および/またはAkt経路の阻害は、カスパーゼ3/7活性により評価した場合、Calu-1細胞株およびSnu-387細胞株の両方において、アポトーシスの割合の増加を誘導した。エラーバーはSDを示す。t試験により、**p<0.001。
【図6−1】[0061] 図6A〜6D。異所性miR-221およびmiR-222の発現は、H460細胞の細胞周期分布およびH460細胞の遊走/浸潤能力に影響を与える; [0062] 図6A。pre-miR(スクランブル化)、miR-221およびmiR-222、siRNA(スクランブル化)、siRNA PTENによりトランスフェクトされたH460細胞のフローサイトメトリー分布。H460トランスフェクト細胞は、PTENの下方制御の結果として、G1期の減少およびS期およびG2-M期の対応する増加を示した。
【図6−2】[0063] 図6B〜6C。miR-221およびmiR-222は、H460細胞の細胞遊走活性を制御している。遊走アッセイは“Experimental Procedures”に記載されるように、行った。
【図6−3】[0064] 図6D。miR-221およびmiR-222は、H460およびSk-Hep1細胞の浸潤能力に影響を与える。ヒストグラムは、陰性対照miRNA、miR-221、miR-222、siPTENおよびsiTIMP3でトランスフェクションした後に、マトリゲルコートされたメンブレンを通して浸潤した、細胞の割合を報告する。分散の一方向性解析(ANOVA)を行い、浸潤値の平均の間の差異を試験した。シェッフ(Scheffe)の多重比較法を使用して、各平均対の間での差異を試験した。有意差が、スクランブル化vs miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3 H460トランスフェクト細胞の間で見出された(p値0.001)。同一の結果が、Bonferroni and Sidak法を使用して得られた。エラーバーは、SDを示す。t試験により*p<0.001。スケールバーは25 mを示す。倍率は、すべてのパネルに付いて同一である。
【図7−1】[0065] 図7A〜7M。METオンコジーンは、miR-221およびmiR-222の活性化を制御する; [0066] (図7A、7B、7C。Calu-1、Snu-387およびGTL16中での、miR対照およびsiRNA METでのトランスフェクションの後の、miR-221およびmiR-222の相対的発現レベル。miR-221およびmiR-222の発現は、METノックダウンの後に減少した。
【図7−2】[0067] 図7D、7E、7F。Calu-1、Snu-387およびGTL16細胞中での、siRNA METトランスフェクション後のウェスタンブロット。METノックダウンにより、miR-221およびmiR-222発現レベルが減少したが、それにより様々な細胞株のすべてにおいてPTENおよびTIMP3の亢進制御が生じた。GTL16細胞は、4μMのMET阻害剤SU11274を用いて24時間さらに処置した。MET阻害により、miR-221およびmiR-222標的の発現レベルが上昇した; [0068] 図7G、7H、7I。miR-221/miR-222転写開始部位にわたる2種の異なるアンプリコンを使用することによる、c-Jun(AP-1)相互作用性領域の同定。ChIP 解析を、H460 c-Jun陰性細胞、Calu-1およびSnu-387のc-Jun陽性細胞から取得したクロマチンを用いて行った。BS:結合部位。
【図7−3】[0069] 図7J。アニソマイシン(10 M)を用いて30分間処置した後のHuh7細胞におけるmiR-221およびmiR-222のqRT-PCR。アニソマイシンは、miR-221およびmiR-222の亢進制御を誘導した; [0070] 図7K。アニソマイシンは、Huh7細胞におけるc-Jun 活性化およびPTENおよびTIMP3の下方制御を誘導した。全溶解物を、抗PTEN抗体および抗TIMP3抗体を使用したウェスタンブロットにより解析した。エラーバーはSDを示す。
【図8】[0071] 図8。METは、AP-1(c-Jun)転写因子を介したmiR-221およびmiR-222の活性化を誘導する。増殖因子がc-Met活性化を決定し、それが次にAP-1を介してそしてしたがってmiR-221およびmiR-222亢進制御を介して、PTENおよびTIMP3の下方制御を生じ、そしてそれに引き続くアポトーシス耐性、細胞遊走および浸潤を引き起こす、というモデルが報告される。
【図9】[0072] 図9A〜9H。肺癌およびその隣接する良性組織における、miR-221/miR-222およびPTEN/TIMP3のIHCおよびISH; [0073] miR-221/222発現(青色)およびPTEN/TIMP3発現(赤色)は、肺癌およびその隣接する正常組織において逆相関した。これらの組織を、miR-221およびmiR-222の発現について、in situハイブリダイゼーション、その後“Supplemental Experimental Procedures”において記載されるように、PTENおよびTIMP3についての免疫組織化学により、解析した。癌細胞の大多数は、miR-221およびmiR-222について陽性であったが、PTEN(図9F-9G)およびTIMP3(図9I-9J)について陰性であった。逆に、正常細胞は、miR-221/miR-222については陰性であったが(図9A-9B-9D-9E)、一方PTENおよびTIMP3については陽性であった。いくつかの癌(図9Iおよび9J)において、miR-221/miR-222発現がTIMP3発現により明らかであった;しかしmiRNA発現が癌細胞では明らかであるが、線維形成性組織の周辺細胞ではTIMP3発現が明らかであった; [0074] 図9C-9H。H&E 小さな矢印はmiR-221、miR-222を、大きな矢印はTIMP3。92種のヒト肺癌を解析した; [0075] 図9K-9L。miRNA 221/222発現と肺の組織学の相関。miR-221およびmiR-222は、肺のこの扁平上皮癌における均等な分布パターンを示した。図9Kは、隣接する線維化した肺組織に浸潤する腫瘍細胞の病巣において、強力なシグナルを示す(大きな矢印)。このシグナルは、癌細胞中で、細胞質および核膜に基づく局在化を示す(図9L、高倍率)。対照的に、稀な良性細胞のみが隣接する線維化した組織中でmiR-222を発現しているが(小さな矢印)、それは癌細胞により浸潤されている。スケールバーは25 mを示す。
【図10】[0076] 図10A-10B。miR-221およびmiR-222の亢進制御またはPTEN/TIMP3ノックダウンの後の、HepG2およびHuh7細胞におけるカスパーゼ3/7活性。カスパーゼ3/7活性検出に関して、細胞を96ウェルプレートで培養し、100 nM miR-221およびmiR-222により72時間トランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、細胞をTRAIL 400 ng/mlで24時間処置し、そしてカスパーゼGlo 3/7アッセイキットを製造者の指示に従って使用して解析した。HepG2およびHuh7細胞は、TRAILに対して耐性になり、miR-221およびmiR-222の強制的発現またはPTEN/TIMP3の下方制御の後にアポトーシスを生じた。データは、±SDとして示す。
【図11−1】[0077] 図11A-11C。TIMP3過剰発現は、Calu-1 TRAIL抵抗性細胞中でアポトーシスを誘導する; [0078] 図11A。PTEN、TIMP3およびPTEN/TIMP3亢進制御の後の、Calu-1細胞におけるカスパーゼ3/7活性。細胞を96ウェルプレート中で培養し、PTEN、TIMP3またはその両方で72時間トランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、細胞をTRAIL 400ng/mlで24時間処置し、そしてカスパーゼGlo 3/7アッセイキットを製造者の指示に従って使用して解析した。Calu-1細胞は、TRAILに対して感受性になり、PTEN、TIMP3またはPTEN/TIMP3両方を過剰発現した後に、アポトーシスを誘導した。
【図11−2】[0079] 図11B。PTENおよびTIMP3の細胞死に対する作用。Calu-1細胞を、PTENプラスミドおよびTIMP3プラスミドのいずれかを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を400 ng/mlのSuper Killer TRAILで24時間処置した。アポトーシスを、Annexin Vにより評価した。アポトーシス細胞の割合は、PTENおよびTIMP3の亢進制御の後に上昇する; [0080] 図11C。TIMP3過剰発現後のCalu-1細胞におけるウェスタンブロット。50μgの全抽出物をSDS PAGEポリアクリルアミドゲル上にロードし、そしてメンブレンを示された抗体によりブロッティングした。TIMP3過剰発現は、外因性のアポトーシス経路および内因性のアポトーシス経路の両方を活性化する。エラーバーは、SDを示す。t試験により*p<0.001。
【図12−1】[0081] 図12A-12G。PTENおよびTIMP3のサイレンシングの、H460細胞のin vivoでの腫瘍形成性に対する作用; [0082] 図12A-12B。shPTENおよびshTIMP3の安定的トランスフェクションの後の、H460異種移植片におけるPTENおよびTIMP3発現を示すウェスタンブロット。注射から35日目に、マウスを犠死させ、腫瘍をウェスタンブロットにより解析した; [0083] 図12C-12D。ヌードマウスでの注射後35日のそしてビヒクル(PBS)またはTRAILでの処置後の、H460細胞におけるsh対照、shPTENおよびshTIMP3の腫瘍生着サイズの比較。PTENおよびTIMP3ノックダウンは、TRAIL抵抗性をin vivoで増加した。画像は、各カテゴリー5匹の中での平均サイズの腫瘍を示す。
【図12−2】[0084] 図12E-12F-12G。sh対照、sh PTENおよびshTIMP3で安定的にトランスフェクトされたH460細胞を注射したヌードマウス中での生着腫瘍の増殖曲線。データは、SDとして示される。*p 0.001。
【図13】[0085] 図13A-13B。異所性miR-221およびmiR-222の発現は、細胞周期分布およびSk-Hep1細胞の遊走/浸潤能力に影響を与える; [0086] 図13A。空ベクター、miR-221およびmiR-222、siRNA PTENでトランスフェクトされたSk-Hep1細胞の、フローサイトメトリー分布。3回の独立試行の平均を報告する; [0087] 図13B。miR-221およびmiR-222は、Sk-Hep1細胞の細胞遊走能力を制御する。8μmの多孔性メンブレンを有するトランスウェル挿入チャンバーを、アッセイのために使用した。トランスフェクションの後、細胞をPBSで洗浄し、そして150,000個の細胞を、血清不含培養液中、上部チャンバーに添加した。下チャンバーを、10% FBSを含有する培養液で満たした。遊走性の細胞を定量するため、上部チャンバーの細胞を綿棒ぬぐいを使用して取り出し、そして遊走した細胞をPBS、25%グルタルアルデヒド中で固定し、そしてCrystal Violet染色により染色した。4箇所のランダムな視野をカウントした。スケールバーは25 mを示す。倍率はパネルすべてで同一である。
【図14】[0088] 図14A-14B。2’-O me抗miR-221 & miR-222は、Calu-1およびSnu-387細胞の細胞遊走および浸潤能力を低下させる; [0089] 図14A。8μmの多孔性メンブレンを有するトランスウェル挿入チャンバーを、アッセイ用に使用した。トランスフェクションの後、細胞をPBSで洗浄し、そして50,000個の細胞を、血清不含培養液中、上部チャンバーに添加した。下部チャンバーを、10% FBSを含有する培養液で満たした。遊走性細胞を定量するため、上部チャンバー上の細胞を、綿棒ぬぐいを使用して取り出し、そして遊走した細胞をPBS、25%グルタルアルデヒド中で固定し、そしてCrystal Violet染色により染色した。5箇所のランダムな視野をカウントした。miR-221 & miR-222ノックダウンにより、Calu-1およびSnu-387細胞遊走が低下する; [0090] 図14B。miR-221およびmiR-222は、Calu-1およびSnu-387細胞浸潤能力に影響を及ぼす。ヒストグラムは、陰性対照miRNA、抗miR-221、または抗miR-222でトランスフェクションした後に、マトリゲルコートされたメンブレンを通して浸潤した細胞の割合を報告する。データは、3回の異なる測定の±SDとして示される。スケールバーは25 mを示す。
【図15−1】[0091] 図15A-15F。c-Junは、その活性化を決定するmiR-221/miR-222プロモータに結合する; [0092] 図15A。MET阻害剤SU11274を使用することによるMET阻害後の、GTL 16細胞中でのqRT-PCR。非処置細胞と比較した場合、miR-221 & miR-222を約40%下方制御した。
【図15−2】[0093] 図15B。4種の異なる細胞株におけるc-Junおよびc-Fos発現レベル。50μgの全溶解物を、12%ポリアクリルアミドゲル上にロードした。Calu-1およびSnu-387は、高いc-Jun発現を示し、Huh7は低い発現レベルを示し、そしてH460においてはc-Jun発現が存在しなかった。c-Fos発現レベルは、Calu-1細胞において非常に高く、その他のすべての細胞株においてそれよりも低い; [0094] 図15C。MET、c-Jun、およびc-Fosの下方制御の後のCalu-1細胞に対するqRT-PCR。10μl PCR中、全5 ngのRNAを使用した。TaqManΔCT値を、合成lin-4 miRNAからの標準曲線を使用して、絶対的コピー数に変換した。データを、U44およびU48 rRNAと比較した、様々なmiRの相対発現として表す。miR-221およびmiR-222は、METおよびc-Junの後に下方制御されるが、siRNAによるc-Fosノックダウンでは下方制御されず、このことからc-Junが、miR-221およびmiR-222活性化に関わる転写因子であることが示される; [0095] 図15D-15E。異なる部位のmiR-221およびmiR-222プロモータ(-150、-600、-1000)を有し、そしてsiRNA MET、siRNA c-Jun、siRNA c-Fosを有するリポータープラスミドによるコトランスフェクションの後の、Calu-1細胞におけるルシフェラーゼアッセイ。METおよびc-Jun siRNAは、miR-221およびmiR-222ルシフェラーゼ活性を減少させることができたが、c-Fos siRNAはできなかった; [0096] 図15F。c-Metおよびc-Junサイレンシングの後のウェスタンブロット。METノックダウンは、JNK1/2リン酸化を低下させる。c-Junサイレンシングは、PTENおよびTIMP3の発現の増加を生じる。データは、±SDとして示される。
【図16】[0097] 図16A-16H。PTEN、TIMP3およびMETの同時標識。IHCおよびISHを、72種の肺腫瘍サンプルに対して行った; [0098] 図16A:c-MetのみのIHC(茶色); [0099] 図16B:TIMP3のみ(赤色); [00100] 図16C:肺癌におけるc-Met/TIMP3同時標識; [00101] 図16D:ヘマトキシリンカウンター染色により示される核。c-Metは、癌細胞においてのみ発現され(大きな矢印)、一方TIMP3は、周囲の良性細胞において発現される(小さな矢印)。c-Metが存在する場合、TIMP3は存在せず、そしてまたその逆である; [00102] 図16E。肝細胞癌におけるc-Met(赤色)およびTIMP3(茶色)の同時局在(60種の腫瘍サンプルを解析した)。腫瘍細胞はc-Metを発現し、そしてそのTIMP3発現は明らかではない。パネルはまた、線維形成間質中の複数の浸潤病巣により特徴づけられる、ヘマトキシリン染色された癌の特徴を示す; [00103] 図16F。同一の視野をNuanceにより解析し、蛍光赤色はc-Metを示し、蛍光黄色はTIMP3を示し、そして蛍光緑色はc-MetとTIMP3とで同時標識された細胞を示す。明らかなように、癌細胞の中で、c-MetおよびTIMP3で同時標識されたものは存在しない; [00104] 図16G。c-MetとPTENとの肺癌における同時局在化。c-Met染色(赤色)は、癌細胞におけるc-Metについて典型的な細胞膜パターンを示す(大きな矢印)。それらの細胞に隣接するのは間質であり、その良性の線維芽細胞およびマクロファージは、PTENを発現するが(茶色の小さな矢印)、c-METは発現しない; [00105] 図16H。H&E スケールバーは25 mを示す。倍率は、すべてのパネルで同一である。
【図17−1】[00106] 図17A 17E。METサイレンシングは、Calu-1およびSnu-387細胞での細胞遊走および浸潤を低下し、そしてin vivoでのTRAIL感受性を亢進する; [00107] 図17A。8μmの多孔性メンブレンを有するトランスウェル挿入チャンバーを、遊走アッセイ用に使用した。トランスフェクションの後、細胞をPBSで洗浄し、そして50.000個の細胞を、結成不含培養液中、上部チャンバーに添加した。下部チャンバーを、10% FBSを含有する培養液で満たした。遊走している細胞を定量化するため、上部チャンバー上の細胞を綿棒ぬぐいを使用して取り出し、そして遊走性の細胞をPBS、25%グルタルアルデヒド中で固定し、そしてCrystal Violet染色で染色した。5箇所のランダムな視野をカウントした。
【図17−2】[00108] 図17B。METは、Calu-1およびSnu-387細胞の浸潤能力に影響する。ヒストグラムは、siRNA陰性対照またはsiRNA METでのトランスフェクション後の、マトリゲルコートされたメンブレンを通して浸潤した細胞の割合を報告する。データは、3回の異なる測定の平均±標準誤差として表される; [00109] 図17C。shMET安定的トランスフェクション後の、Calu-1異種移植片におけるMET発現を示すウェスタンブロット。注射から35日に、マウスを技師させ、そして腫瘍をウェスタンブロットにより解析した; [00110] 図17D 17E。sh対照およびshMETで安定的にトランスフェクトされたCalu-1細胞を注射したヌードマウスにおける、生着した腫瘍の増殖曲線。データはSDとして示される。*p 0.01。スケールバーは25 mを示す。倍率はすべてのパネルで同一である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
配列表
[00111] 本件出願は、EFSウェブを介して提出しそして本明細書中でその全体を参照により援用する。ASCII形式のコピーは、2010年11月22日に作製した、「604_51413_SEQLIST_OSU 10076.txt」というファイル名であり、そして7,374 bytesのサイズである。
【0036】
[00112] 添付する配列表中で列挙する核酸配列およびアミノ酸配列は、37 C.F.R. 1.822に規定されるヌクレオチド塩基についての標準的な文字略称およびアミノ酸についての3文字コードを使用して示される。核酸配列それぞれの一方の鎖のみが示されるが、相補鎖は表示される鎖を参照することにより含まれるものと理解される。
【0037】
詳細な説明
[00113] 本発明は、miR-221およびmiR-222の活性化が、少なくとも部分的に、METオンコジーンおよびc-Jun転写因子により制御され、それがついでPTENおよびTIMP3を下方制御することを提示する。
【0038】
[00114] METシグナリングの活性化は、肝臓癌および肺癌の発生において観察される頻繁な遺伝的事象である。AP-1は、Jun(c-Jun、JunB、JunD)、Fos(c-Fos、FosB、Fra-1およびFra-2)、MafおよびATFサブファミリーに属する二量体塩基性領域ロイシンジッパータンパク質の複合体である。c-Junは、その群の中で最も強力な転写活性化因子であり、その転写活性はJunBにより減弱化されそして時々はアンタゴナイズされる。Fosタンパク質は、ホモ二量体を形成することができないが、Junタンパク質と安定的なヘテロ二量体を形成し、そしてそれによりそれらのDNA結合活性を亢進する。
【0039】
[00115] 本願発明の発明者らは、これらの2種類のAP-1サブファミリーに焦点を当て、そして特にc-Junおよびc-Fosに焦点を当てたが、バイオインフォマティックスサーチ(TESSデータベース)によりATF-1およびJunDもまた、miR-221およびmiR-222活性化に関与する潜在的な転写因子でありうることを見出した。本発明は、c-JunはmiR-221およびmiR-222 活性化に関わるがc-Fos はかかわらず、そしてc-Junは1箇所の結合部位をmiR-221/miR-222プロモータ領域に有することを示した。AP-1の誘導は、JNKカスケードによりほとんどが媒介される。
【0040】
[00116] JNKカスケードを活性化する抗生物質であるアニソマイシンを使用することにより、本発明の発明者らは、c-Junリン酸化の結果として、Huh7肝細胞癌細胞におけるmiR-221/miR-222発現の増加を見出した。興味深いことに、本発明の発明者らがHuh7細胞を血清不含培養液中で増殖させたとき、本発明の発明者らはmiR-221およびmiR-222またはPTENおよびTIMP3の発現レベルにおける変動を何も観察せず、このことはMET活性化がmiR-221およびmiR-222の転写制御およびその後の細胞遊走のために重要であることを示した。
【0041】
[00117] この問題に対応するため、本発明の発明者らは、METサイレンシングの後のCalu-1細胞およびSnu-387細胞の遊走および浸潤を検討した。両方の細胞株の遊走能力および浸潤能力を、METオンコジーンのサイレンシングの後に減少させた(図17A 17B)。
【0042】
[00118] さらに、c-MetがshMETプラスミドを使用することによりサイレンシングされたCalu-1細胞の異種移植片モデルが(図17C)、Calu-1 shMET細胞を注射されたマウスが、sh対照を注射されたマウスと比較して、TRAIL誘導性アポトーシスに対してより感受性であることを示した(図17D 17E)。このように、METは、対照腫瘍を越えてin vivoで、腫瘍増殖の利点だけでなく、TRAIL誘導性アポトーシスに対する抵抗性もまた付与する。したがって、METオンコジーンは、c-Jun転写因子およびJNK活性化を介して、miR-221およびmiR-222レベルを制御し、そしてしたがって、細胞の浸潤および遊走を制御する(図8)。
【0043】
[00119] 一緒に合わせると、これらのデータは、miR-221およびmiR-222が腫瘍形成および転移を促進するMETを介したメカニズムに光を当てている。NSCLCおよびHCCのTRAIL誘導性アポトーシスを感作するための、MET受容体および/またはmiR-221およびmiR-222を標的化するこのようなアプローチが本発明に含まれるが、しかし肺癌および肝細胞癌の予防または阻害におけるアプローチもまた、本発明に含まれる。
【0044】
[00120] 本発明において、NSCLCおよびHCCから誘導された細胞株の幅広いパネルにおいて、miR-221およびmiR-222制御を媒介する主要なmRNA標的およびシグナリング経路を同定する。In vitro実験およびin vivo実験は、NSCLCおよびHCCにおけるmiR-221およびmiR-222のレベルの亢進が、PTENおよびTIMP3の下方制御と相関していることを示しており、このことはこれら2つのマイクロRNAがこれらのタイプの癌においてはPTENおよびTIMP3の下方制御において原因因子である事を示唆している。
【0045】
[00121] 本発明の発明者らは、miR-221およびmiR-222の作用を調べ、そして細胞生存およびTRAIL抵抗性に対するそれらの標的を調べた。興味深いことに、本発明の発明者らは、miR-221/miR-222の強制的な発現の後、またはPTENおよびTIMP3の下方制御の後、PTENの下方制御がTIMP3の下方制御よりもわずかにより効果的であったが、TRAIL感受性NSCLCおよびHCC細胞が、TRAIL誘導性アポトーシスに対して抵抗性になったことを見出した。
【0046】
[00122] 本発明は、miR-221およびmiR-222の発現が、TRAIL抵抗性NSCLCおよびHCC細胞には“必須”ではないことが証明されたので、miR-221およびmiR-222の発現に影響を与える方法を提供する。重要なことは、miR-221/miR-222発現レベルに基づく腫瘍の層化を、予後診断ツールとして使用して、NSCLCおよびHCCの処置において、TRAIL感受性またはTRAIL抵抗性を示すことができる。
【0047】
[00123] 本発明はまた、miR-221およびmiR-222がAKT経路の活性化を誘導するPTEN発現をブロックすることが開示されており、miR-221およびmiR-222が、細胞増殖およびPTEN/AKT径路を標的化することによる浸潤性において重要な役割を果たすことが示されている。この関連で、細胞周期解析により、G1期からS期へのシフトと緊密に関連している細胞増殖の増加が証明され、これはPTENの修飾およびG1/S細胞周期チェックポイントの公知のレギュレーターでありかつPTENの下流エフェクターでもあるp27kip1の修飾と一致している。
【0048】
[00124] miR-221およびmiR-222を過剰発現しているNSCLCおよびHCC細胞は、TRAIL抵抗性だけではなく、miR-221およびmiR-222をより低いレベルで発現する細胞と比較して、遊走および浸潤能力の増加も示す。
【0049】
[00125] さらに、miR-221およびmiR-222は、PTENおよびTIMP3発現の直接的な抑制を介して、そしてAKTおよびERKリン酸化が関連する下流径路の直接的な抑制を介して、そしてMMP-3およびMMP-9の活性化を介して、細胞の遊走、浸潤および増殖を促進することが示される。
【0050】
[00126] さらに、H460腫瘍異種移植片におけるPTENおよびTIMP3の喪失は、顕著な腫瘍増殖の効果(advantage)だけでなく、in vivoでも対照腫瘍を超えるTRAIL誘導性アポトーシスに対する抵抗性を付与した。興味深いことに、TIMP3ノックダウン腫瘍は、対照腫瘍と比較してより多く血管が通っており、血管生成および腫瘍形成におけるその役割が強調される。
【0051】
[00127] NSCLCおよびHCCの、in vitroおよびin vivoでの腫瘍細胞の増殖、遊走、および浸潤の重要なレギュレーターとしての、miR-221およびmiR-222の特定は、肝臓癌および肺癌の腫瘍形成および腫瘍の振る舞いにおけるこれらのmiRNAの役割についての洞察を提供する。
【0052】
[00128] miR-221およびmiR-222の作用および細胞生存およびTRAIL抵抗性に対するそれらの標的を、調べた。興味深いことに、miR-221/miR-222の強制的な発現、またはPTENおよびTIMP3の下方制御の後、TRAIL感受性NSCLCおよびHCC細胞は、TRAIL誘導性アポトーシスに対して抵抗性になったが、PTENの下方制御は、TIMP3の下方制御よりもわずかながら有効性が高かった。このことは、miR-221 & miR-222の過剰発現が、TRAIL抵抗性NSCLCおよびHCC細胞の“必要条件”であることを示している。
【0053】
[00129] 重要なことは、miR-221/miR-222発現レベルに基づく腫瘍の層化を予後判断のツールとして使用して、NSCLCおよびHCCの処置におけるTRAIL感受性またはTRAIL抵抗性を予測することができる。
【0054】
[00130] 略語
DNA:デオキシリボ核酸
HCC:肝細胞癌
IL:インターロイキン
ISH:In situハイブリダイゼーション
miR:マイクロRNA
miRNA:マイクロRNA
mRNA:メッセンジャーRNA
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
pre-miRNA:前駆体マイクロRNA
qRT-PCR:定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応
RNA:リボ核酸
siRNA:低分子干渉RNA
snRNA:低分子核RNA
SVM:指示ベクター機構。
【0055】
[00131] 用語
[00132] 上述の一般的記載および以下の詳細な説明の両方共、例示および説明のみを目的としたものであり、そしてここでの開示の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。この出願においては、単数形を使用する場合に、具体的にそうと記載していない限りは、複数も含まれる。
【0056】
[00133] 単語“a”または“an”の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において“含む”との用語とともに使用される場合、“1”を意味するが、しかし“1またはそれ以上”、“少なくとも1”、および“1または1より多く”の意味とも一致している。
【0057】
[00134] 同様に、“含む”、“含有する”、そして“含まれる”、またはそれらの単語の修飾型、例えば、これらには限定されないが“comprises”、“contained”、および“including”等の使用は、限定することを意図していない。用語“および/または”は、これの前後の用語を一緒にしてもよくまたは別々にしても良いことを意味する。説明の目的のため、しかし限定のためではなく、“Xおよび/またはY”は、“X”または“Y”または“XおよびY”を意味することができる。
【0058】
[00135] miRNAは、ゲノム配列または遺伝子から誘導されることが理解される。この点、用語“遺伝子”は、所定のmiRNAについての前駆体miRNAをコードするゲノム配列について単に言及するために使用される。しかしながら、本発明の態様には、その発現に関与するmiRNAのゲノム配列、例えばプロモータまたはその他の制御配列、が関与していていもよい。
【0059】
[00136] 用語“miRNA”は、一般的に、一本鎖分子のことを意味するが、しかし特定の態様においては、本発明に関与する分子は、同一の一本鎖分子の別の領域とまたは別の核酸と、部分的に相補的(鎖の全長にわたり10〜50%の相補性)、実質的に相補的(鎖の全長にわたり50%より大きく100%未満の相補性)または完全に相補的である、領域または追加の鎖も包含する。このように、核酸は、1またはそれ以上の相補的な(1または複数の)鎖または自己相補的な(1または複数の)鎖を含み、または分子を含む具体的な配列の“(1または複数の)相補鎖”を含む、分子を包含しうる。例えば、前駆体miRNAは、自己相補的な領域を有していてもよく、それは100%までの相補的miRNAプローブであり、そしてそれらの標的に対して、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、または100%相補的であってもよい。
【0060】
[00137] 本明細書中で使用される用語“それらの組み合わせ”は、前述の用語の列挙されたアイテムのすべての順列および組み合わせのことを意味する。例えば、“A、B、C、またはそれらの組み合わせ”は、以下のもの:A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、のうち少なくとも1個が含まれることを意図し、そして特定の文脈において順番が重要な場合には、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、またはCABもまた含まれる。
【0061】
[00138] 逆の言及をしない限り、従来からの使用法に従って、技術的用語を使用する。分子生物学分野における一般的な用語の定義はBenjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994(ISBN-0-19-854287-9); Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994(ISBN-0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995(ISBN-1-56081-569-8)に見出すことができる。
【0062】
[00139] この開示の様々な態様のレビューを容易にするため、以下の具体的な用語の説明を提供する:
[00140] 補助的療法:主要な治療と組み合わせて使用され、主要な治療のこうかを高めるための治療。例えば、HCCと診断された患者は、主要な治療として肝臓の切除を行う場合があり、そしてアンチセンスmiR-221およびmiR-222治療は補助的療法と考えられている。
【0063】
[00141] 候補:本明細書中で使用する場合、治療のための“候補”は、TRAIL抵抗性TRAIL発現パターンを有する患者である。
[00142] 臨床的結果:疾患または症状、例えばHCC、のための治療後の患者または治療なしの患者の健康状態のことをいう。臨床的結果には、死亡までの時間の長さの増加、死亡までの時間の長さの減少、生存の機会の増加、死亡のリスクの増加、生存、疾患フリーの生存、慢性的疾患、転移、進行性または攻撃的疾患、疾患再発、死亡、そして治療に対する好ましい反応または好ましくない反応、が含まれるが、これらには限定されない。
【0064】
[00143] 対照:“対照”は、実験サンプル、例えばTRAIL抵抗性癌を有する患者から得られた腫瘍サンプルなどと比較するために使用された、サンプルまたは標準のことをいう。いくつかの態様において、対照は、健康患者から得られた肝臓サンプルまたはHCCと診断された患者から得られた非癌性組織サンプルである。いくつかの態様において、対照は、歴史的な対照または標準値である(すなわち、以前に試験された対照サンプルまたはベースラインまたは正常値を示すサンプル群、例えば、非癌性組織における試行発現パターンのレベルを示すサンプル群)。
【0065】
[00144] サイトカイン:その他の細胞の振る舞いに影響する幅広い造血性細胞および非造血性細胞により生成されるタンパク質。サイトカインは、生得的免疫応答および獲得性免疫応答の両方共に重要である。
【0066】
[00145] 生存の低下:本明細書中で使用される場合、“生存の低下”は、患者の死亡までの時間の長さの低下、または患者についての死亡のリスクの増加、のことをいう。
[00146] 発現レベルの検出:例えば、“miR-221およびmiR-222の発現レベルの検出”は、サンプル中のmiR-221およびmiR-222の量の定量のことをいう。miR-221およびmiR-222の発現の検出、またはいずれかのマイクロRNAの検出は、当該技術分野において公知のいずれかの方法または本明細書中で記載されるいずれかの方法を使用して、例えばqRT-PCRにより、達成することができる。miR-221およびmiR-222の発現の検出には、成熟型のmiR-221およびmiR-222またはmiR-221およびmiR-222発現と相関する前駆体型のいずれかの発現を検出することが含まれる。典型的には、miRNA検出方法には、配列特異的検出、例えばRT-PCRによる検出、が関連する。miR-221およびmiR-222特異的プライマーおよびプローブは、当該技術分野において公知でありそして配列の機能の変化を生じさせない修飾が含まれる、前駆体型および成熟型のmiR-221およびmiR-222核酸配列を使用して設計することができる。
【0067】
[00147] 肝細胞癌(HCC):HCCは、肝臓の原発性の悪性腫瘍であり、典型的には、ウイルス性肝炎、肝臓毒または肝硬変(しばしばアルコール依存症により生じる)に由来する炎症性の肝臓を有する患者において生じる。
【0068】
[00148] マイクロRNA(miRNA、miR):遺伝子発現を制御する一本鎖RNA分子。マイクロRNAは、一般的には21〜23ヌクレオチドの長さである。マイクロRNAは、pri miRNAとして知られる一次転写物から、前駆体(pre)miRNAと呼ばれる短いステムループ構造へ、そして最終的には機能的な、成熟マイクロRNAへとプロセッシングされる。成熟マイクロRNA分子は、部分的には1またはそれ以上のメッセンジャーRNA分子に対して相補的であり、そしてそれらの主要な機能は遺伝子発現を下方制御することである。マイクロRNAは、RNAi径路を介して遺伝子発現を制御する。
【0069】
[00149] miR-221およびmiR-222発現:本明細書中で使用される場合、“低いmiR-221およびmiR-222の発現”および“高いmiR-miR-221およびmiR-222発現”は、サンプル、例えば健康な肝臓サンプルまたはHCCの肝臓サンプル、において見出されるmiR-221およびmiR-222のレベルのことを言う、相対的な用語である。いくつかの態様において、低いそして高いmiR-221およびmiR-222の発現は、非癌性肝臓サンプルおよびHCC肝臓サンプルの群においてmiR-221およびmiR-222レベルの比較により決定される。低い発現および高い発現は、サンプル中でのmiR-221およびmiR-222の発現が平均または中央値miR-221およびmiR-222発現レベルよりも上(高い)または下(低い)であるかどうかに基づいて、各サンプルに対して割り当てることができる。各サンプルについて、サンプルと、高い発現または低い発現を有することが知られている、対照サンプルまたは参照サンプルとの比較により、標準値との比較により、高いまたは低いmiR-221およびmiR-222発現を、決定することができる。低いおよび高いmiR-221およびmiR-222発現には、前駆体または成熟型またはmiR-221およびmiR-222、または両方とものいずれ化の発現が含まれていてもよい。
【0070】
[00150] 患者:本明細書中で使用する場合、用語“患者”には、ヒトおよび非ヒト動物が含まれる。治療のために好ましい患者は、ヒトである。“患者”および“被験体”は、本明細書中では互換的に使用される。
【0071】
[00151] 医薬的に許容可能なビヒクル:本明細書中の開示において有用な医薬的に許容可能な担体(ビヒクル)は、従来からのものである。RemingtonのPharmaceutical Sciences(E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975))は、1またはそれ以上の治療用の化合物、分子または薬剤の医薬的な送達のために適した組成物および製剤を記載する。
【0072】
[00152] 一般的には、担体の性質は、使用される具体的な投与様式に依存する。例えば、製剤は通常、注射可能な液体医薬的に許容可能で生理学的に許容可能な液体、たとえば水、生理食塩水、緩衝塩類溶液、水溶性デキストリン、グリセロール、などをビヒクルとして通常は含む。固体の組成物(例えば、粉末、ピル、錠剤またはカプセル型)に関して、従来からの非毒性固体担体には、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、スターチ、またはステアリン酸マグネシウムが含まれていてもよい。生物学的に天然の担体に加えて、投与される医薬的な組成物が、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤あるいは乳化剤、保存剤、そしてpH緩衝化剤など、例えば酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ナトリウムを含有していても良い。
【0073】
[00153] 疾患を予防し、治療し、または軽減する:疾患(例えば、HCC)を“予防する”は、疾患の完全な発症を阻害することを意味する。“治療する”は、疾患または病理学的状態の兆候または症候を軽減する治療的介入の完全なもののことを意味する。“軽減する”は、疾患の兆候または症候の数または重症度を軽減することを意味する。
【0074】
[00154] スクリーニング:本明細書中で使用する場合、“スクリーニング”は、TRAIL発現パターンに影響する候補薬剤を評価しそして同定するために使用されるプロセスに関する。いくつかの事例においては、スクリーニングには、候補薬物(例えば、抗体、低分子またはサイトカイン)をTRAIL抵抗性癌細胞と接触させ、そして薬剤のTRAIL発現パターンに対する作用を試験することが関連する。マイクロRNAの発現は、当該技術分野において公知のまたは本明細書中において記載された多数の技術のいずれかを使用して、例えばマイクロアレイ解析によりまたはqRT-PCRにより、定量化することができる。
【0075】
[00155] 低分子:分子、典型的には約1000 Daltons未満の分子量を有し、またはいくつかの態様において、約500 Daltons未満の分子量を有し、ここで分子は、測定可能な範囲で、標的分子の活性を修飾することができるものである。
【0076】
[00156] 治療薬:診断および治療の両方を含む一般的な用語。
[00157] 治療剤:化学化合物、低分子、またはその他の組成物、例えば、被験体に対して適切に投与された場合に、所望の治療効果または予防効果を雄黄することができる、アンチセンス化合物、抗体、プロテアーゼ阻害剤、ホルモン、ケモカインまたはサイトカインと記載される。例えば、TRAIL抵抗性癌細胞用の治療剤には、TRAIL抵抗性癌細胞の発生または転移を防止しまたは阻害する薬剤が含まれる。本明細書中で使用する場合、“候補薬剤”は、スクリーニングをして、療法剤がTRAIL抵抗性癌について療法剤として機能することが示されるように選択された化合物である。いくつかの態様において、候補薬剤は、薬剤が細胞をTRAIL抵抗性癌細胞へと変換する場合、療法剤として特定される。“インキュベートする”には、薬剤が細胞または組織と相互作用するための十分な長さの時間が含まれる。“接触する”には、薬剤を固体形状または液体形状中で細胞または組織とインキュベートすることが含まれる。薬剤を細胞または組織と接触させるかまたはインキュベートすることを含む。細胞または組織を薬剤を“治療”することには、薬剤を細胞または組織と接触させることまた細胞または組織ともにインキュベートすることが含まれる。
【0077】
[00158] 治療上有効量:薬剤で処置される被験体または細胞において所望の効果を達成するために十分な特定の医薬または療法剤の量。例えば、これは、miR-221およびmiR-222およびc-Junの発現を低下させ、またはPTENおよび/またはTIMP3を増加させることと組み合わせてmiR-221およびmiR-222の発現を低下させ、それにより患者におけるTRAIL抵抗性癌細胞を予防し、治療し、または軽減する、療法剤の量であっても良い。薬剤の有効量は、処置される被験体または細胞、そして治療用組成物の投与様式を含む(しかしそれらには限定されない)、いくつかの因子に依存する。
【0078】
[00159] TRAIL発現パターン:細胞、細胞培養物、または組織サンプルにおける、c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3を含む4つの遺伝子の対比できる発現レベル。
【0079】
[00160] TRAIL抵抗性TRAIL発現パターン:c-JunおよびmiR-221およびmiR-222発現が高く、そしてPTENおよびTIMP3発現が対照と比較して少ないTRAILの発現パターン。
[00161] TRAIL抵抗性癌細胞、TRAIL抵抗性癌、TRAIL抵抗性腫瘍細胞または腫瘍、など:TRAILによりチャレンジを受けた場合、対照と比較して、TRAILに反応してアポトーシスを起こさないかまたはほとんど起こさないことが見出される、細胞(in vitro、in situ、in vivo)。この定義は、定義を満たすために、推定TRAIL抵抗性細胞のTRAILのチャレンジ試験を必要としない;むしろ、サンプリング、染色、表現型マーカーまたは遺伝子マーカーの同定、既知のTRAIL状態、またはTRAIL抵抗性のその他の示唆のいずれか、がこの定義の意味に含まれる。
【0080】
[00162] TRAIL感受性TRAIL発現パターン:対照と比較して、c-JunおよびmiR-221およびmiR-222発現が低く、そしてPTENおよびTIMP3発現が高い、TRAILの発現パターン。
[00163] 腫瘍、新生物、悪性または癌:異常で調節不能の細胞増殖の結果。新生物、悪性、癌および腫瘍は、しばしば互換的に使用され、そして過剰な細胞分裂を生じる組織または細胞の異常な増殖のことをいう。個体における腫瘍の量は、腫瘍の数、体積、または重量として測定することができる“腫瘍負荷”である。転移しない腫瘍は、“良性”と言われる。周囲組織に浸潤しおよび/または転移することができる腫瘍は、“悪性”と言われる。
【0081】
[00164] 腫瘍節転移(TNM):悪性腫瘍のTNM分類は、患者体内での癌の程度を記述するための癌病期システムである。Tは、原発性腫瘍のサイズおよびその腫瘍が周囲の組織に浸潤したかどうかを記述する;Nは、浸潤されたいずれかのリンパ節を記述する;そしてMは、転移を記述する。TNMは、癌の広がりの程度を分類するための世界的に認定されている標準の一つに基づくコンセンサスをもたらすため、International Union Against Cancerにより開発されそして維持されている。TNM分類は、American Joint Committee on CancerおよびInternational Federation of Gynecology and Obstetricsによっても利用されている。
【0082】
[00165] いくつかの態様において、対照は、同一の患者から得られた非癌性組織サンプルである。その他の態様において、対照は、健康な被験体、例えば健康な肝臓ドナー、から得られた肝臓サンプルである。別の事例において、対照は、歴史的な値から算出された標準である。腫瘍サンプルおよび非癌性組織サンプルは、当該技術分野において知られているいずれかの方法により得ることができる。例えば、腫瘍サンプルおよび非非癌性組織サンプルは、肝臓切除を受けたHCC患者から得ることができ、またはそれらは皮下ニードルを使用した抽出により、微小切開により、またはレーザー捕捉により、得ることができる。対照(非癌性)サンプルを、例えば、死体ドナーまたは健康な肝臓ドナーから得ることができる。
【0083】
[00166] いくつかの態様において、スクリーニングは、候補薬剤を細胞と接触させることを含む。細胞は、患者から得られた初代細胞であってもよく、または細胞は不死化細胞または形質転換細胞であってもよい。
【0084】
[00167] 候補薬剤は、タンパク質、ペプチド、低分子、抗体または核酸などのどのようなタイプの薬剤であってもよい。いくつかの態様において、候補薬剤はサイトカインである。いくつかの態様において、候補薬剤は低分子である。スクリーニングには、ハイスループットスクリーニングおよび化合物の個々のまたは小さなグループのスクリーニングの両方共が含まれる。
【0085】
[00168] RNA発現を検出する方法
[00169] 前駆体マイクロRNA(pre-miRNAs)の配列および成熟miRNAの配列は、Sanger Instituteによりオンラインで利用可能なmiRB aseデータベースなど、公に利用可能である(Griffiths-Jones et al., Nucleic Acids Res. 36:D154-D15 8, 2008;Griffiths-Jones et al., Nucleic Acids Res. 34:D140-D144, 2006;およびGriffiths Jones, Nucleic Acids Res. 32:D109-D111, 2004を参照)。
【0086】
[00170] RNA発現の検出および定量は、当該技術分野において周知の多数の方法のいずれか一つにより(例えば、U.S.特許出願公開No. 2006/0211000および2007/0299030を参照、本明細書中で参照により援用される)、そして以下に記載するように、達成することができる。RNAファミリーメンバー、特異的プローブおよびプライマーについての既知の配列を使用することは、適宜以下に記載される検出方法において使用するために設計することができる。
【0087】
[00171] 幾つかの事例において、RNA検出方法には、サンプル、例えば細胞サンプルまたは組織サンプル、から核酸を単離することが必要である。RNA、そして特にmiRNAを含む核酸を、当該技術分野において公知のいずれかの適切な技術を使用して単離することができる。例えば、フェノールに基づく抽出は、RNAの単離のための一般的な方法である。フェノールに基づく試薬は、細胞および組織の破壊とその後のRNAの汚染物質からの分離のために、変性剤とRNase阻害剤との組み合わせを含有する。フェノールに基づく単離手順は、10〜200ヌクレオチドの範囲のRNA種を回収することができる(例えば、前駆体および成熟miRNA、5Sおよび5.8SリボゾームRNA(rRNA)、およびU1低分子核RNA(snRNA))。さらに、TRIZOLTMまたはTRI REAGENTTMを使用する抽出手順などの抽出手順は、すべての大小のRNAを、精製し、そしてmiRNAを含有しそして低分子干渉RNA(siRNA)を含有する生物学的サンプルから全RNAを単離するための効率的な方法である。
【0088】
[00172] マイクロアレイ
[00173] マイクロアレイは、顕微鏡的な、核酸、タンパク質、低分子、細胞またはその他の物質の配列されたアレイであり、複雑な生化学的サンプルの並行解析を可能にする。DNAマイクロアレイは、様々な核酸プローブからなり、固相支持体に化学的に結合された捕捉プローブとして知られており、それは、マイクロチップ、ガラススライドまたはミクロスフェアサイズのビーズであってもよい。マイクロアレイを使用して、例えば、多数のメッセンジャーRNA(mRNA)のおよび/またはmiRNAの発現レベルを同時的に測定することができる。
【0089】
[00174] マイクロアレイは、細く尖らせたピンを用いたガラススライド上への印刷、予め製造されたマスクを使用する光リソグラフィー、ダイナミックマイクロミラー装置を使用する光リソグラフィー、インクジェット印刷、またはマイクロ電極アレイ上の電気化学をふくむ、様々な技術を使用して製造することができる。
【0090】
[00175] miRNAのマイクロアレイ解析は、例えば(これらの手順はいずれかのRNA解析のために修飾型で使用することができるが)当該技術分野において公知のいずれかの方法を使用して達成することができる(例えば、PCT国際公開No. WO 2008/054828;Ye et al., Nat. Med. 9(4):416-423, 2003;Calin et al., N. Engl. J. Med. 353(17):1793-1801, 2005、それぞれを本明細書中で参考により援用する)。一例において、RNAは、細胞または組織サンプルから抽出され、小さなRNA(18〜26ヌクレオチドのRNA)は、変性性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用した全RNAから単離されたサイズである。オリゴヌクレオチドリンカーは、低分子RNAの5'末端および3'末端に結合し、そして得られたライゲーション生成物を、10サイクルの増幅を含むRT-PCR反応のためのテンプレートとして使用する。センス鎖PCRプライマーは、その5'末端に結合された蛍光色素を有し、それによりPCR生成物のセンス鎖を蛍光標識する。PCR生成物を変性し、そしてついでマイクロアレイに対してハイブリダイズさせる。アレイ上の対応するmiRNA捕捉プローブ配列に相補的な標的核酸としても言及されるPCR生成物は、塩基対形成を介して、捕捉プローブが固定化されているスポットに対してハイブリダイズする。スポットは、ついで、マイクロアレイレーザースキャナを使用して励起する際に、蛍光を発する。各スポットの蛍光強度を、ついで、多数の陽性対照および陰性対照を使用して、特定のmiRNAのコピー数そしてアレイデータ正規化法の点で評価し、特定のmiRNAの発現レベルの評価を生じる。
【0091】
[00176] 代わりの方法において、細胞または組織サンプルから抽出した低分子RNA画分(miRNAを含む)を含有する全RNA を、低分子RNAのサイズ選択なしに直接的に使用し、そしてT4 RNAリガーゼ、および蛍光標識された短いRNAリンカーのいずれかを使用して3'末端標識する。RNAサンプルを、30℃にて2時間インキュベーションし、その後80℃にて5分間T4 RNAリガーゼを加熱不活性化することにより標識する。アレイ上の対応するmiRNA捕捉プローブ配列に相補的な蛍光標識されたmiRNAは、塩基対形成を介して、捕捉プローブが固定化されているスポットに対してハイブリダイズする。マイクロアレイスキャニングおよびデータプロセシングは、上述したように行う。
【0092】
[00177] 使用されるもの以外に、スポット化されたオリゴヌクレオチドマイクロアレイ、事前に製造されたオリゴヌクレオチドマイクロアレイ、およびスポット化された長いオリゴヌクレオチドアレイを含む、いくつかのタイプのマイクロアレイが存在している。スポット化されたオリゴヌクレオチドマイクロアレイにおいて、捕捉プローブは、miRNA配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドである。このタイプのアレイは、比較すべき異なる2つの蛍光色素で標識された2つのサンプル(例えば、非癌性組織とHCC肝臓組織)由来のサイズ選択された低分子RNAの増幅されたPCR生成物と典型的にはハイブリダイズする。あるいは、低分子RNA画分(miRNAを含む)を含有する全RNAを、2つのサンプルから抽出し、そして低分子RNAのサイズ選択を行うことなしに直接的に使用し、そしてT4 RNAリガーゼおよび2つの異なる蛍光色素により標識された短いRNAリンカーを使用して、3'末端標識する。サンプルを混合し、そして、一つの単一マイクロアレイに対してハイブリダイズすることができ、その後スキャニングし、1つのアッセイにおいて、亢進制御されたmiRNA遺伝子および下方制御されたmiRNA遺伝子を可視化することが可能になる。
【0093】
[00178] 事前に製造されたオリゴヌクレオチドマイクロアレイまたは単一チャネルマイクロアレイの場合、プローブを、既知のmiRNAまたは示されたmiRNAの配列にマッチする用に設計する。完全なゲノムをカバーする商業的に利用可能なデザインも存在する(例えば、AffymetrixまたはAgilentから)。これらのマイクロアレイは、遺伝子発現の絶対値の推定をもたらし、そしてしたがって、2つの条件の比較には2つの別個のマイクロアレイの使用を必要とする。
【0094】
[00179] スポット化された長いオリゴヌクレオチドアレイは、50〜70 merのオリゴヌクレオチド捕捉プローブから構成され、そしてインクジェット印刷またはロボティック印刷のいずれかにより生成される。短いオリゴヌクレオチドアレイは、20〜25 merのオリゴヌクレオチドプローブ殻構成され、そして光リソグラフィー合成(Affymetrix)またはロボティック印刷により、生成される。
【0095】
[00180] 定量的RT-PCR
[00181] 定量的RT-PCR(qRT-PCR)は、ポリメラーゼ連鎖反応の生成物の量を迅速に測定するために使用される、ポリメラーゼ連鎖反応の修飾である。qRT-PCRは、遺伝的配列、例えばmiR、がサンプル中に存在するかどうか、そして存在する場合に、サンプル中のコピー数を決定することを目的として、一般的に使用される。miRNAを含め核酸分子の発現を決定することができるPCRのいずれかの方法は、。当該技術分野において公知のqRT-PCR法にはいくつかの変法があり、それらのうちの3つを以下に記載する。
【0096】
[00182] 定量的ポリメラーゼ連鎖反応のための方法には、アガロースゲル電気泳動を介して、SYBR Green(二本鎖DNA色素)の使用、および蛍光レポータープローブの使用が含まれるが、これらには限定されない。後者の2つは、リアルタイムで解析することができる。
【0097】
[00183] アガロースゲル電気泳動により、未知のサンプルおよび既知のサンプルは、既知の濃度の同様のサイズの、増幅のための標的DNAの文節により調製される。両反応とも、同一の条件で、同一の時間の長さ(好ましくは同一のプライマー、または同様のアニーリング温度の少なくともプライマーを使用する条件)で実行される。アガロースゲル電気泳動を使用して、それらの元のDNAおよびスペアプライマーからの反応生成物を分離する。既知のサンプルおよび未知のサンプルの相対量を測定して、未知の量を決定する。
【0098】
[00184] SYBR Green色素の使用は、アガロースゲル法よりも正確であり、そしてリアルタイムの結果を生じることができる。DNA結合色素は、すべての新たに合成された二本鎖DNAに結合し、そして蛍光強度の増加を測定し、その結果、初期濃度を測定することができる。しかしながら、SYBR Greenは、予期せぬPCR生成物のいずれか並びにプライマー二量体を含むすべての二本鎖DNAを標識し、潜在的な複雑化および人工物を誘導する。蛍光二本鎖DNA色素を添加して、反応を通常の通り調製する。反応を実行し、そして蛍光レベルをモニタリングする(二本鎖DNAに結合した際に、色素のみが蛍光を発生する)。標準的なサンプルまたは標準的な曲線を参照して、PCRにおける二本鎖DNA濃度を測定することができる。
【0099】
[00185] 蛍光リポータープローブ法は、配列特異的核酸に基づくプローブを使用して、それによりプローブ配列のみを定量するが、すべての二本鎖DNAを定量するわけではない。蛍光リポーターとクエンチャーを隣接する位置に保持するようにして伴うDNAに基づくプローブ(いわゆる二重標識プローブ)を用いて、一般的に実行される。リポーターとクエンチャーとが近接していることにより、その蛍光が阻害される;プローブの分解の際にのみ、蛍光が検出される。このプロセスは、関連するポリメラーゼの5'から3'へのエキソヌクレアーゼ活性に依存する。
【0100】
[00186] リアルタイム定量的PCR反応を、二重標識プローブの添加により調製する。二本鎖DNAテンプレーの変性の際、プローブは、テンプレートDNAの目的とする領域において、その相補的配列に結合することができる。PCR反応混合物を活性化してポリメラーゼを活性化する場合、ポリメラーゼは、プライマーが結合した一本鎖テンプレートDNAに相補的な鎖の合成を開始する。ポリマー化が継続されるにつれて、ポリマー化がその相補的配列に結合したプローブに近づき、ついでそれがポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性により加水分解され、それにより蛍光リポーターとクエンチャー分子とが分離される。このことは、蛍光の増加を生じ、それを検出する。リアルタイムPCR反応の温度サイクルのあいだ、各PCRサイクルにおいて加水分解された二重標識プローブから放出される蛍光の増加がモニタリングされ、それがDNAの最終量、そしてその結果DNAの初期量の正確な測定を可能にする。
【0101】
[00187] In Situハイブリダイゼーション
[00188] In situハイブリダイゼーション(ISH)は、核酸ハイブリダイゼーションの技術を単一細胞レベルに適用しそして外挿し、そして細胞化学、免疫細胞化学および免疫組織化学の技術と組み合わせて、形態および維持されそして同定される細胞マーカーの同定を可能にし、組織および血液サンプルなどの集団中の特定の細胞に配列の局在化を可能にする。ISHは、相補的な核酸を使用して、組織の部分または組織切片中で(in situ)、または組織が小さい場合にはその組織全体中で(ホールマウントISH)、1またはそれ以上の特定の核酸配列を局在化するハイブリダイゼーションのタイプである。RNA ISHを使用して、miRNAの発現などの組織中の発現パターンをアッセイすることができる。
【0102】
[00189] サンプル細胞または組織を処理して、透過性を高めてmiRNA特的プローブなどのプローブが細胞に進入することを可能にする。プローブを処理した細胞に対して添加し、適切な温度でのハイブリダイズを可能にし、そして過剰なプローブを洗い流す。相補的なプローブを、放射性標識、蛍光または抗原性タグにより標識し、それにより組織中のプローブの位置および量をオートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡またはイムノアッセイを使用して決定することができる。サンプルは、非癌性組織サンプルまたはHCC肝臓サンプルなどの本明細書中で記載されるいずれのサンプルであってもよく。miR-26のファミリーメンバーの配列が知られているため、miR-26のプローブを設計し、それによりプローブはmiR-26を特異的に結合する。
【0103】
[00190] In Situ PCR
[00191] In situ PCRは、ISHの前の標的核酸配列のPCRに基づく増幅である。RNAの検出のため、細胞内逆転写酵素工程を導入して、in situ PCR の前にRNAテンプレートから相補的なDNAを生成する。これにより、低コピー数のRNA配列の検出が可能になる。
【0104】
[00192] in situ PCRの前に、細胞または組織サンプルを固定し、そして透過化して形態を保持し、そしてPCR試薬が増幅すべき細胞内配列に接近する事ができるようにする。標的配列のPCR増幅は、次に、懸濁物中に保持された無傷細胞で、またはガラススライド上の細胞遠心調製物または組織切片に直接行われる。前者のアプローチの場合、PCR反応混合物中に懸濁された固定された細胞を、従来型のサーマルサイクラーを使用して温度的にサイクルさせる。PCRの後、細胞をISHまたは免疫組織化学により細胞内PCR生成物を可視化して、ガラススライド上に細胞遠心する。ガラススライド上でのIn situ PCRを、サンプルをPCR混合物により重層することによりカバースリップの下で行い、それをついでシールして、反応混合物の蒸発を防止する。温度サイクリングを、従来型のサーマルサイクラーのヒートブロックの上部に直接にまたは特別に設計されたサーマルサイクラーのいずれかにガラススライドを設置することにより、または温度サイクルオーブンを使用することにより、達成することができる。
【0105】
[00193] 細胞内PCR生成物の検出は、一般的に2つの異なる技術、PCR生成物特異的プローブを用いたISHによる間接的in situ PCR、または標識ヌクレオチド(ジゴキシゲニン11-dUTP、フルオレセインdUTP、3H-CTPまたはビオチン16-dUTPなど)の直接的検出を介したISHを行わない直接的in situ PCR、の一つにより達成され、それが温度サイクリングの間にPCR生成物中に取り込まれる。
【0106】
[00194] 予後診断の予測マーカーとしてそしてTRAIL抵抗性癌細胞の治療の治療剤の同定のための、miR-221およびmiR-222およびc-Jun、PTENおよびTIMP3の使用。
[00195] miR-221およびmiR-222、c-Jun、PTENおよびTIMP3の発現パターンは、TRAIL抵抗性患者における生存予後診断の予測因子であることが、本願明細書中で開示される。同一患者または健康被験体から採取された非癌性組織と比較して、miR-221およびmiR-222およびc-Junの高発現、およびPTENおよびTIMP3の低発現を伴うTRAIL抵抗性癌細胞サンプル(例えば、組織バイオプシーサンプル)は、生存の低下を示す。このように、腫瘍におけるTRAIL抵抗性発現パターンの状態を、TRAIL抵抗性癌患者の予後診断における臨床的ツールとして使用することができる。
【0107】
[00196] いくつかの態様において、TRAIL抵抗性腫瘍サンプルにおける本願明細書におけるマーカーの発現レベルを、同一患者から採取した周囲の非癌性組織におけるTRAIL抵抗性発現パターンと直接的に比較する。
【0108】
[00197] その他の態様において、腫瘍サンプルにおけるTRAIL抵抗性発現パターンを、たとえば肝臓ドナーなどの健康被験体から得られた肝臓サンプルにおけるTRAIL抵抗性発現パターンと比較する。いくつかの場合、対照サンプルとして使用される非癌性組織は、死体から得られる。その他の態様において、腫瘍サンプルにおけるTRAIL抵抗性発現パターンを、歴史的な値に基づく標準レベルと比較する。例えば、被験体コホートから得られた非癌性組織肝臓組織サンプルにおける平均TRAIL抵抗性発現パターンに基づいて、標準を設定することができる。例えば、被験体のコホートは、臨床試験において登録されたHCC患者のグループであってもよい。被験体のコホートは、死体ドナーのグループであってもよい。
【0109】
[00198] 対照と比較して、HCC腫瘍サンプルにおけるTRAIL抵抗性発現パターンを見出すこと患者に関する予後診断の悪さを示唆し、そして患者を特別の治療法に関する良好な候補として同定する。本明細書中で使用する場合、“保護診断の悪さ”は、一般的に生存の低下を意味し、あるいは言い換えると、死亡のリスクの増加または死亡までの時間の低下を意味する。予後診断の悪さは、その他の器官への癌の広がり(転移)の増加などの、疾患の重症度の増加のこともいう。一態様において、それぞれのマーカーが、対照と比較して発現の少なくとも1.5倍の増加または減少する場合、TRAIL抵抗性発現パターンが見出される。その他の態様において、TRAIL抵抗性発現パターンが、対照と比較して、TRAIL抵抗性発現パターンのマーカーの、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、または少なくとも4倍の増加または減少により示される。
【0110】
[00199] TRAIL感受性発現パターンを有するTRAIL抵抗性腫瘍を伴う患者が生存のより良好な機会を有することの知見は、PTENおよびTIMP3の発現を増加するとともにc-Jun、miR-221およびmiR-222の発現を減少する化合物を、TRAIL抵抗性腫瘍の治療のために治療剤として有用である。
【0111】
[00200] このように、TRAIL抵抗性 TRAILの発現パターンからTRAIL感受性TRAIL発現パターンへの変換を促進する薬剤を選択するためのスクリーニング候補薬剤をin vitroで含む、TRAIL抵抗性癌細胞の治療のための治療剤を同定する方法が、本願明細書中で提供される。いくつかの態様において、スクリーニング候補薬剤をTRAIL抵抗性癌細胞と接触させ、そしてTRAIL発現パターンの何らかの変化を検出することを含む。TRAIL抵抗性癌細胞は、患者殻得られた初代細胞、患者から得られた不死化細胞または形質転換細胞であってもよく、または細胞は、商業的に利用可能な不死化細胞株、例えばMHCC97、HepG2、Hep3BまたはSNU 423細胞(これらには限定されない)であってもよい。
【0112】
[00201] 候補薬剤による治療の後のTRAIL感受性発現パターンの変換により、TRAIL抵抗性癌の治療のための療法剤として薬剤を同定する。疾患の治療のための治療剤を同定するための候補薬剤をスクリーニングする方法は、当該技術分野において周知である。RNAおよびタンパク質の発現レベルを検出する方法は、当該技術分野において公知であり、そしてマイクロアレイ解析、RT-PCR(qRT-PCRを含む)、in situハイブリダイゼーション、in situ PCR、およびノザンブロット解析(これらには限定されない)などの本明細書中に記載されるものである。一態様において、スクリーニングは、ハイスループットのスクリーニングを含む。別の態様において、候補薬剤は個別にスクリーニングされる。
【0113】
[00202] 候補薬剤は、核酸分子、タンパク質、ペプチド、抗体、脂質、低分子、化学物質、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、または(1または複数の)TRAIL発現パターンを直接的または間接的に変化させるその他のタイプの分子のいずれか(これらには限定されない)などのいずれかのタイプの分子であってもよい。いくつかの態様において、候補薬剤は、NFκB/IL-6シグナル伝達径路において役割を果たす分子である。その他の態様において、候補薬剤は、IL-10、STAT3またはインターフェロン誘導性因子シグナル伝達ネットワークにおいて役割を果たす分子である。一態様において、候補薬剤は、サイトカインである。別の態様において、候補薬剤は低分子である。
【0114】
[00203] TRAIL抵抗性癌の特徴付けを行うための方法もまた、本明細書中に記載され、ここでTRAIL抵抗性癌の少なくとも1個の特徴は、1またはそれ以上の以下のもの:TRAIL抵抗性癌の有無;TRAIL抵抗性癌の診断;TRAIL抵抗性癌の予後診断;治療結果の予測;治療結果のモニタリング;TRAIL抵抗性癌の化学療法治療および/または放射線療法への適切性などの、TRAIL抵抗性癌の治療に対する適切性;TRAIL抵抗性癌のホルモン治療への適切性;TRAIL抵抗性癌の侵襲性外科的治療による除去への適切性;TRAIL抵抗性癌の組み合わせアジュバント療法への適切性;からなる群から選択される。
【0115】
[00204] TRAIL抵抗性癌の検出のためのキット、c-JunおよびmiR-221およびmiR-222またはmiR-221およびmiR-222およびPTENおよび/またはTIMP3を含む少なくとも1個の検出プローブを含むキットもまた、本明細書中に記載される。キットは、オリゴヌクレオチドアレイの形式であってもよく、オリゴヌクレオチドアレイを含むものであっても良い。
【0116】
[00205] 以下の工程:i)少なくとも1個の組織サンプルをTRAIL抵抗性癌に罹患する患者から単離する工程;ii)少なくとも1個の組織サンプルの同定を行う工程および/または検出プローブを使用して、TRAIL発現パターンを同定する工程;iii)工程ii)において同定された少なくとも1個の特徴に基づき、患者の生理学的状態を診断する工程;iv)工程iii)において得られた診断に基づいて、患者がTRAIL抵抗性癌の治療から利益を得る工程;を含む、治療のためのTRAIL抵抗性癌患者の適切性を決定するための方法もまた、本明細書中に記載される。
【0117】
[00206] 特定の態様において、癌の少なくとも1個の特徴は、1またはそれ以上の以下のもの:癌の有無;癌のタイプ;癌のの起源;癌の診断;癌の予後診断;治療結果の予測;治療結果のモニタリング;癌の化学療法処置および/または放射線療法処置に対する適切性などの、癌の治療に対する適切性;癌のホルモン治療に対する適切性;癌の侵襲性外科手術による除去に対する適切性;癌の組み合わせアジュバント療法に対する適切性;殻なる群から選択される。
【0118】
[00207] 癌の治療に対する適切性を決定するための方法もまた、本明細書中で記載され、ここで、癌の少なくとも1個の特徴は、例えば、癌の化学療法処置および/または放射線療法処置に対する適切性などの、癌の治療に対する適切性;癌のホルモン処置に対する適切性;癌の侵襲的外科手術による除去に対する適切性;癌の組み合わせアジュバント療法に対する適切性;である。
【0119】
[00208] 以下の工程:i)癌に罹患した患者から、少なくとも1個の組織サンプルを単離する工程;および、ii)少なくとも1個の組織サンプルを特徴付けて、TRAIL発現パターンを同定する工程;を含む、癌患者の可能性のある予後診断を決定するための方法もまた、本明細書中で記載され、ここでこの特徴は、癌患者の可能性のある予後診断を決定することができる。
【0120】
[00209] 以下の実施例は、特定の具体的特徴および/または態様を説明するために提供される。これらの実施例は、記載される特定の特徴または態様をその開示に限定することを目的としていない。
【実施例】
【0121】
[00210] 実施例
[00211] 実施例I:miR-221およびmiR-222はPTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRを直接的に標的とする
[00212] 推定miR-221およびmiR標的を同定するため、バイオインフォマティックス検索(Targetscan, Pictar, RNhybrid)を行った。候補標的の中で、ヒトPTENの3’ UTR(ヌクレオチド200〜207、NM_000314)およびヒトTIMP3の3’ UTR(ヌクレオチド2443〜2449、NM_000362)が、hsa miR-221およびhsa miR-222のシード配列とマッチした領域を含有した(図1A)。PTENおよびTIMP3がmiR-221およびmiR-222の標的に対するものであるかどうかを確認するため、miR-221/miR-222結合部位を含有するPTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRを、ルシフェラーゼのオープンリーディングフレームの下流にクローニングした。これらのリポーター構造物を使用して、MEG01細胞をトランスフェクトし、それらは非常に低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現し(図1B)、そして非常にトランスフェクト性が高かった(Freson et al., 2005)。トランスフェクションに際したこれらのmiRの発現の増加は、qRT-PCRにより確認し(図1B)、ルシフェラーゼ発現に顕著に影響し、ルシフェラーゼ活性として測定された(図1C)。逆に、ルシフェラーゼアッセイをPTEN mRNAの3’ UTRおよびTIMP3 mRNAの3’ UTRを有するプラスミドを使用して行った場合、miR-221およびmiR-222に対する結合部位が部位特異的変異生成により不活性化された場合、miR-221およびmiR-222阻害作用の一貫した減少が観察された(図1C)。これらのマイクロRNAがH460細胞環境においてPTEN発現およびTIMP3発現に影響を及ぼすか謳歌を確認するため、H460細胞中での異所性miR-221およびmiR-222の発現の結果を解析した。トランスフェクションに際したこれらのmiRの発現の増加は、qRT-PCRにより確認され(図1D)、そしてその後PTENおよびTIMP3の内在性レベルに対する作用を、ウェスタンブロットにより解析した(図1E);miR-221およびmiR-222の過剰発現は、スクランブル化pre-miRでトランフェクトされたH460細胞と比較して、PTENおよびTIMP3の内在性レベルが顕著に減少した。逆に、2’-O me抗miR-221および2’-O me抗miR-222によるmiR-221およびmiR-222のノックダウンは、高レベルの内在性miR-221およびmiR-222を有するCalu-1肺由来細胞中でqRT-PCR(図1F)により確認され、PTENおよびTIMP3のタンパク質レベルを増加した(図1G)。興味深いことに、定量的RT-PCRにより、PTEN mRNAレベルは、miR-221およびmiR-222トランスフェクト細胞(図1H)中で強力に減少したが、TIMP3 mRNAレベルは減少せず、このことはmiR-221およびmiR-222がPTEN mRNAの分解を誘導したが、TIMP3はこれらのマイクロRNAにより転写レベルのみが制御されていることを示唆していることを見出した。PTEN 3’UTRおよびTIMP3 3’UTRは、したがって、miR-221およびmiR-222の標的に向けられている。
【0122】
[00213] 実施例II:miR-221およびmiR-222は、NSCLCおよびHCCにおけるPTEN発現およびTIMP3発現と逆相関している
[00214] miR-221およびmiR-222の内在性レベルを、正常の対応物と比較して、初代NSCLCおよびHCCの大きなパネルにおいて、ノーザンブロットにより評価した。miR-221およびmiR-222発現は、正常な肺細胞および肝臓細胞においてはほとんど検出不可能であったが、腫瘍細胞株の大半で非常に発現している。さらに、ウェスタンブロットにより評価する場合、miR-221およびmiR-222 RNAの発現とPTENおよびTIMP3のタンパク質発現との間の逆相関が、解析された殆どの細胞株において見い出され(図2A)、qRT-PCRによっても確認された(図2B)。強制的なmiR-221およびmiR-222発現の後のTIMP3 mRNAの下方制御が観察されなかったため、TIMP3 mRNA発現レベルは試験しなかった(図1H)。これらの結果は、miR-221およびmiR-222の高発現がNSCLCおよびHCCにおいてPTENおよびTIMP3を負に制御するように作用するメカニズムの一つであることが示唆される。
【0123】
[00215] これらのマイクロRNAがHCCにおいてもPTENおよびTIMP3の内在性レベルに影響を与えるかどうかを確認するため、低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現するSk-Hep1細胞株中でのmiR-221およびmiR-222の異所性発現の作用の解析を行った。図3Aにおいて示されるように、PTENおよびTIMP3タンパク質は、miR-221およびmiR-222の過剰発現に際して、Sk-Hep1細胞において減少された。逆に、高レベルの内在性miR-221およびmiR-222を発現するSnu-387細胞における2'-O me抗miR-221および2'-O me抗miR-222によるmiR-221およびmiR-222のノックダウンは、PTENおよびTIMP3のタンパク質レベルを増加した(図3A)。
【0124】
[00216] miR-221およびmiR-222が培養におけるNSCLCおよびHCC由来細胞の両方共においてPTENおよびTIMP3発現を下方制御することに注目して、in vivoでの制御を研究した。この質問に回答するため、PTEN mRNAおよびmiR-221 & miR-222発現を、正常ヒト肺組織サンプルと比較して、初代肺腫瘍試料におけるqRT-PCRにより研究した。miR-221およびmiR-222は、正常ヒト肺サンプルにおいてほとんど検出不能であり、そして解析されたすべての腫瘍サンプルにおいて非常に発現されていた。調べられた22個の初代肺腫瘍のうち、実際に全てがPTENの下方制御を示し、そしてmiR-221およびmiR-222の発現を超えたていた(図3B)。これらのデータはさらに、PTENがin vivoにおいてもmiR-221およびmiR-222の直接的な標的であるとの知見を支持している。
【0125】
[00217] これらの知見を裏付けるため、5’-dig標識LNAプローブを使用して、肝細胞癌および正常肝臓組織に対してin situハイブリダイゼーション解析を行い、その後PTENおよびTIMP3に対する免疫組織化学を行った(図3C)。miR-221/ miR-222およびPTEN/TIMP3発現は、肝臓癌および隣接する正常肝臓組織/肝硬変の肝臓組織において、逆相関していた。肝臓癌細胞は、miR-221/miR-222の高発現を示し、そしてPTENまたはTIMP3を稀に発現したが(図3CG-H-K-L)、一方で隣接する非悪性肝臓はPTENおよびTIMP3を広く発現し、そして検出可能なmiR-221/miR-222シグナルは稀にしか示さなかった(図3CA-B-E-F)。miR-221/ miR-222およびPTEN/TIMP3発現は、肺癌および隣接する正常肺組織においても逆相関した(図9)。癌細胞の大半は、miR-221およびmiR-222について陽性であり、そしてPTENについて陰性であり(図9F-9G)、そしてTIMP3について陰性である(図9I-9J)。図9I〜9Jにおいて、miRNA発現が癌細胞において明らかとなり、そしてTIMP3発現が周囲細胞において明らかになった。強力なmiR-222シグナル(大きな矢印)が、隣接する線維化肺組織中に浸潤している腫瘍細胞病巣中で見出された(図9K〜9L)。
【0126】
[00218] 実施例III:MiR 221およびmiR-222は、PTENおよびTIMP3を標的化することにより、NSCLCおよびHCC中でTRAIL抵抗性を誘導する
[00219] miR-221およびmiR-222および/またはPTEN-TIMP3サイレンシングの、NSCLCおよびHCCの両方の細胞生存およびTRAIL抵抗性に対する作用を、研究した。まず、5つのHCC由来細胞株に対して増殖アッセイを行い、それらのうちの3つ(HepG2、Sk-Hep1およびHuh 7)で低いmiR-221 / miR-222発現が、そして2つ(PLC/PRF-5およびSnu-387)で高いmiR-221 / miR-222発現レベルが、見出された(図4A)。細胞を24時間にわたりTRAILに暴露し、その後細胞増殖をMTTアッセイを使用して評価した。興味深いことに、低レベルのmiR-221およびmiR-222を発現する細胞は、TRAIL誘導性の細胞死を生じ、これら非常に低い増殖速度を意味しており、一方でmiR-221およびmiR-222を過剰発現する細胞は、可溶性TRAILに暴露した場合に感受性を示さなかった(図4A)。
【0127】
[00220] さらに、TRAIL感受性細胞株Sk-Hep1細胞(図4B-4C)、HepG2およびHuh7(図10A-10B)に対するAnnexin-FITCおよびカスパーゼ3/7アッセイにより、miR-221およびmiR-222過剰発現の後に、並びにPTEN siRNAおよびTIMP3 siRNAによるPTENおよびTIMP3サイレンシングの後に、約30〜40%のTRAIL抵抗性の増加が示された。カスパーゼ3/7活性(図4D)およびAnnexin-FITCアッセイ(図4E)により決定されたように、TRAIL感受性 H460細胞はまた、PTENおよびTIMP3ノックダウンの後にTRAIL誘導性アポトーシスにより抵抗性となったが、PTENサイレンシングはTIMP3と比較してより効率的であった。
【0128】
[00221] さらに、これらの標的のTRAIL誘導性アポトーシスに対する寄与をさらに評価するため、PTENおよびTIMP3配列をpCruz-HAプラスミド(Santa Cruz)中にクローニングし、そして使用してCalu-1 TRAIL抵抗性細胞をトランスフェクトした。カスパーゼ3/7活性(図4D)およびAnnexin-FITC染色(図11A-11B)により決定されたように、Calu-1細胞は、PTENおよびTIMP3の回復後、単独でまたは組み合わせて、TRAIL誘導性アポトーシスに対してより感受性になった。TRAIL誘導性アポトーシスにおけるTIMP3の役割をさらに調べるため、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、poly-ADPリボースポリメラーゼ(PARP)、およびTRAILシグナル伝達径路に関連するいくつかの分子の発現を、Calu-1細胞株中でのTIMP3過剰発現の後に、ウェスタンブロットにより試験した(図11C)。興味深いことに、切断断片の出現により評価した場合、PARPおよびカスパーゼカスケードの活性化が観察された。さらに、チトクロームc発現が増加する一方で、Mcl-1発現が下方制御された(図11C)。
【0129】
[00222] これらの結果をすべてまとめると、外的なおよび内的なアポトーシス径路の両方にTIMP3が関与することが示唆され、そしてTRAIL誘導性アポトーシスにおけるその役割が強調される。Snu-387細胞におけるTIMP3の回復の後に、同一の結果が得られた(データは示さず)。
【0130】
[00223] さらに、H460細胞におけるmiR-221およびmiR-222の強制的な発現の後、またはSnu-387細胞におけるmiR-221/miR-222サイレンシングの後、PI3K/AKT径路に関与するいくつかのタンパク質の発現および/または活性化が行われた。図5Aに示されるように、PI3K、AKTおよびそのリン酸化基質である、ホスホグリコーゲン合成酵素キナーゼ3、の発現レベルを、miR-221およびmiR-222の異所性発現により評価し、そして対照的に、Snu-387細胞におけるmiR-221およびmiR-222のノックダウンにより減少し、このことは、miR-221およびmiR-222が、PTEN/AKT径路を標的化することを示唆している(図5B)。
【0131】
[00224] これらのタンパク質の活性化および発現レベルのさらなる検討をお行った。対照miRでトランスフェクトされたH460細胞と比較して、ERKリン酸化およびPAK1発現の増加が見出された(図5C)。興味深いことに、TIMP3下方制御の結果の可能性として、メタロペプチダーゼ3およびメタロペプチダーゼ9の発現の増加も見出された(図5A〜5C)。以前のタンパク質の活性化が、PTENおよび/またはTIMP3依存的であったかどうかを試験するため、PTENおよびTIMP3をH460細胞中でサイレンシングした。図5Dおよび図5Eにおいて示されるように、ERKおよびPAK1の活性化は、両方共PTENおよびTIMP3依存的であり、一方AKTリン酸化はPTEN依存的であり、そしてMMP3およびMMP9は、TIMP3ノックダウンの後に亢進制御される。
【0132】
[00225] 最後に、AKT阻害がmiR-221 & miR-222-誘導性細胞生存およびTRAIL抵抗性よりも重要であるかどうかと関連しているため、AKT阻害を研究した。Calu-1およびSnu-387を、2’-Oメチル(2’-O me)抗miR-221およびmiR-222オリゴリボヌクレオチドによりトランスフェクトした。2'-O meスクランブル化miRでトランスフェクトした細胞を対照として使用した。カスパーゼ3/7アッセイにより評価する場合、miR-221およびmiR-222の発現のブロックにより、これらの細胞をTRAIL誘導性アポトーシスに対してかなり感作した(図5〜5G)。さらに、Calu-1およびSnu-387細胞をTRAILとともにまたはTRAILなしで、特異的AKT阻害剤、API-2/トリシリビン、により、処置した。図5Fおよび5Gに示されるように、API-2は、miR-221 & miR-222活性化AKTを無効化し、そしてmiR-221およびmiR-222-誘導性細胞生存およびTRAIL抵抗性を顕著に阻害した。
【0133】
[00226] 次に、PTENおよびTIMP3の有り無しで腫瘍の増殖を直接的に比較するため、ノックダウン遺伝子発現用に設計された短いヘアピンRNA(shRNA)構造物を使用して、H460細胞中のPTENおよびTIMP3をサイレンシングした。いずれかの公知の細胞mRNAの特異的な分解を生じないスクランブル化shRNA配列をコードするshRNAプラスミドを、対照として使用した。PTENおよびTIMP3破壊の腫瘍増殖およびTRAIL抵抗性に対する結果は、H460 PTENおよびTIMP3ノックダウン細胞をヌード・マウスの右背部に移植することにより、in vivoで評価した。TRAIL治療を、肺癌が定着した5日後に開始した。PTENおよびTIMP3の喪失(図12A)は、顕著な腫瘍増殖効果だけでなく、対照腫瘍を超えるTRAIL誘導性アポトーシスへの抵抗性をもたらした(図124B-12C-12D-2E-12F-12G)。
【0134】
[00227] 結論として、PTENおよびTIMP3は、TRAIL抵抗性における重要な標的であり、そしてNSCLCおよびHCC細胞における腫瘍形成において重要な役割を果たしている。
[00228] 実施例IV:miR-221およびmiR-222によるPTENおよびTIMP3の下方制御は、NSCLCおよびHCC細胞における遊走および浸潤を誘導する
[00229] 腫瘍形成におけるmiR-221/miR-222の機能的役割を直接的に試験するため、H460およびSk-Hep1細胞においてこれらの2種のマイクロRNAを過剰発現させ、またはPTENおよびTIMP3をサイレンシングした。ついで、細胞周期解析により、miR-221およびmiR-222およびPTEN siRNA H460トランスフェクト細胞は、G1期の減少およびS期およびG2-M期の対応する増加を示した(図6A)。72時間のトランスフェクションの後、解析により、miR-221およびmiR-222またはPTENノックダウンにより誘導されるより初期のDNA合成の開始が示され、これがG1期細胞の素早い減少と並行しており、増殖効果に寄与することが示された(図6A)。同一の変化がSk-Hep1細胞において観察された(図13A)。
【0135】
[00230] 次に、本発明の発明者らは、miR-221およびmiR-222の過剰発現のNSCLCおよびHCC細胞の細胞遊走および浸潤に対する作用を解析した。興味深いことに、miR-221およびmiR-222過剰発現の後並びにPTENおよびTIMP3の下方制御の後に、H460およびSk-Hep1(図113B)細胞の遊走性(図6B〜6C)および浸潤性(図6D)能力に対する顕著な増加が観察された。逆に、miR-221およびmiR-222が2'-O me抗miR-221およびmiR-222によるトランスフェクションにより下方制御された場合、Calu-1およびSnu-387細胞の両方において、細胞の遊走および浸潤の減少が観察された(図14A〜14B)。
【0136】
[00231] 実施例V:METは、AP-1転写因子を介してmiR-221およびmiR-222の活性化を調節する
[00232] METは、Calu-1およびSnu-387細胞において、そしてDNA増幅のためMETオンコジーンを過剰発現することが以前に報告された(Giordano et al., 1989)胃細胞株(GTL16)において、siRNAを使用することによりサイレンシングした。最初に、miR-221 & miR-222発現レベルを、qRT-PCRにより評価した。METノックダウンの後、miR-221およびmiR-222の発現により、解析したすべての細胞株において下方制御された(図7A-7B-7C)。同一の結果が、GTL16細胞をMET阻害剤、SU11274で処置することにより、得られた(図15A)。
【0137】
[00233] 次に、免疫染色により、MET下方制御または阻害の後にPTENおよびTIMP3発現レベルの増加が観察され、このことは、METがmiR-221およびmiR-222の活性化に関与していることを示している(図7D-7E-7F)。
【0138】
[00234] 次に、バイオインフォマティックス検索により(TESSデータベース:http://www.cbil.upenn.edu/cgi bin/tess/tess)、miR-221/miR-222プロモータに結合しそして転写的に活性化することが予測されるMET径路に関与する唯一の転写因子が、AP-1であったことが見出された。AP-1は、JunおよびFosのサブファミリーに属する、二量体の塩基性領域ロイシンジッパータンパク質である。c-Junは、そのグループの中では、最も強力な転写活性化因子である。
【0139】
[00235] AP-1ファミリーに属する因子のどれがmiR-221/miR-222転写活性化に関与しているのかを同定するため、4種の異なる細胞株(H460、Calu-1、Huh7およびSnu-387)中でのmiR-221およびmiR-222発現とc-Junおよびc-Fos タンパク質レベルとの間の相関性を、研究した(図S7B)。c-Junおよびc-Fosを高度に発現するCalu-1を、MET siRNA、c-Jun siRNAまたはc-Fos siRNAとコトランスフェクトした。続くqRT-PCR増幅により、陰性対照と比較して、METおよびc-Junの下方制御により、miR-221およびmiR-222発現レベルの約45〜50%の減少を生じたが、c-Fosノックダウンによっては生じなかったことが示された(図S7C)。
【0140】
[00236] これらの結果をさらに確認するため、ルシフェラーゼアッセイを行った。以前の研究において、本発明の発明者らは、miR-221およびmiR-222が2.1 kb RNAの単一種で転写され、そしてその転写がmiR-222ヘアピン構造の5'末端から-150 bp/ 50 bpに位置する上流配列により制御されていることを見出した。以前に同定したmiR-221およびmiR-222のプロモータ領域がMET/AP1により影響を受けるかどうかを決定するため、+3〜-150、+3〜-600、+3〜-1000(+1の位置がmiR-222ヘアピンの5’末端に対応する)をカバーするフラグメントをプロモータを含まずにルシフェラーゼ遺伝子を保有するpGL3basicベクター(Di Leva et al., 未公開データ)中に含有するリポータープラスミドを使用して、ルシフェラーゼアッセイを行った(図7G)。pGL3b、-150、-600および-1000 pGL3bを、MET siRNA、c-Jun siRNAまたはc-Fos siRNAとともにCalu-1細胞中にコトランスフェクトした(図15D-15E)。
【0141】
[00237] 続くルシフェラーゼアッセイは、pGL3b空ベクターによるトランスフェクションにより決定される基準活性と比較して、METおよびc-Junの下方制御が、ルシフェラーゼ活性の約45%の減少を生じることを示した;本発明の発明者らc-Fos siRNAトランスフェクションの後に、の後に、ルシフェラーゼ活性の減少を観察しなかった(図15D-15E)。
【0142】
[00238] これらのデータは、c-JunはMET径路に関与する転写因子であるが、c-Fosは異なり、これがNSCLCおよびHCC細胞におけるmiR-221およびmiR-222の活性化の原因となるこを示す。
【0143】
[00239] プロモータ領域は、c-Jun修飾に対して反応性であり、c-JunのmiR-221およびmiR-222プロモータに対する直接的な結合を確認するため、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイを行った。最初に、バイオインフォマティックス解析により、唯一のAP-1推定結合部位が、pre-miR-222の5’末端の約130 bp上流に位置していることを見出した。予想AP-1結合部位を考慮して、全部で2つのクロマチン領域を解析した(図7G):1つはAP-1結合部位をカバーし、そして2つめは陰性対照として、pre-miR-222の5’末端の約1700 nt上流であり、この後者では本発明の発明者らは、AP-1に対する予想結合部位は、いずれも見出さなかった。c-Jun陽性Calu-1およびSnu-387細胞のChIPアッセイは、プロモータの近接するChIP解析領域2への顕著なAP-1結合を示した(図7H-7I)。c-Jun ChIPによるクロマチン濃縮は、c-Jun陰性H460細胞において何も観察されず、このことは、ChIPアッセイの特異性を証明する。
【0144】
[00240] 最終的に、低レベルのmiR-221 & miR-222を示すHuh7細胞を、JNKキナーゼを活性化することができる抗生物質であるアニソマイシン、およびAP-1、miR-221およびmiR-222およびPTEN-TIMP3発現レベルを確認した。qRT-PCRにより確認されたところでは、アニソマイシンによるc-Jun活性化の後(図7M)、miR-221およびmiR-222発現が増加し(miR-221:80%、miR-222:40%)(図7L)、一方PTENおよびTIMP3発現レベルは劇的に減少した(図7M)。JNKがc-Metとc-Junの中間のシグナル伝達因子であることをさらに証明するため、そしてc-JunノックダウンがPTENおよびTIMP3発現の増加を引き起こすことをさらに証明するため、Calu-1細胞においてc-Metおよびc-Junを研究し、そしてJNK1/2リン酸化およびPTENおよびTIMP3発現をそれぞれ解析した。図S7Fにおいて示されるように、METノックダウンにより、JNK1/2リン酸化が減少し、一方miR-221およびmiR-222の下方調節の結果として、c-JunサイレンシングがPTEN/TIMP3発現を増加する。
【0145】
[00241] METとPTEN/TIMP3とのin vivoでの直接的に関連性が存在するかどうかを調べるため、免疫組織化学解析を、肺癌および肝臓癌および正常サンプルに対して行った。MET/PTEN正常細胞において広く発現しており、METが存在せず、そしてc-Metが癌細胞において限定的に表現される(図16)。これらのデータは、少なくとも部分的にはJNK、AP-1を介して、そして特にc-Jun転写因子を介して、METがmiR-221およびmiR-222の制御に関連していることが確認される。
【0146】
[00242] 実施例VI:実験手順
[00243] ルシフェラーゼアッセイ
[00244] ヒトPTENおよびTIMP3遺伝子の3’ UTRを、以下のプライマー:
PTEN Fw 5'-TCT AGA GAC TCT GAT CCA GAG AAT GAA CC-3'[SEQ ID No: 1]、および
PTEN Rw 5'-TCT AGA GTT GCC ACA AGT GCA AAG GGG TAG GAT GTG-3'[SEQ ID No: 2];
TIMP3 Fw 5'-TCT AGA CTG GGC AAA GAA GGG TCT TTC GCA AAG C-3’[SEQ ID No: 3]、および
TIMP3 Rw 5’-TCT AGA TTC CAA TAG GGA GGA GGC TGG AGG AGT CTC-3’[SEQ ID No: 4];
を使用してPCR増幅し、そしてRenillaルシフェラーゼ停止コドンpGL3対照ベクター(Promega)の下流にクローニングし、p3’UTR-PTENプラスミドおよびp3’UTR-TIMP3プラスミド作製した。
【0147】
[00245] これらの構造物を使用して、逆PCRにより、p3’-UTRmut-PTENプラスミド-プライマー:
Fw:5'-GTT GAA AAA AGG TTG GGG GCG GGT GTC ATG TAT ATA C-3'[SEQ ID No: 5];
Rw:5'-GTA TAT ACA TGA CAC CCG CCC CCA ACC TTT TTT CAA C-3'[SEQ ID No: 6];
p3’-UTRmut-TIMP3プラスミド-プライマー:
Fw:5'-GTA TAA TTT AAA ATC ATT GGG CGG CGG GAG ACA CTT CTG TAT TTC-3'[SEQ ID No: 7];
Rw:5'-GAA ATA CAG AAG TGT CTC CCG CCG CCC AAT GAT TTT AAA TTA TAC-3'[SEQ ID No: 8]
を生成した。
【0148】
[00246] MeG01細胞を、1μgのp3’UTR-PTENまたはp3’UTR-TIMP3、およびp3’UTRmut-PTENプラスミドまたはp3’UTR-TIMP3プラスミド、そして1μgのRenillaルシフェラーゼ発現構造物pRL-TK(Promega)を、リポフェクトアミン2000(Invitrogen)を使用して、コトランスフェクトした。細胞をトランスフェクション後24時間後に回収し、そして製造者の指示書に従ってDualルシフェラーゼアッセイ(Promega)によりアッセイした。3回の独立した実験を三重にして行った。
【0149】
[00247] 肺癌および肝臓癌サンプルおよび細胞株
[00248] 全部で、32個の瞬間凍結正常肺組織および悪性肺組織(19人の男性および13人の女性、中央値年齢:70.0、幅:55〜82)および60個の瞬間凍結した正常肝臓組織と60個の悪性肝臓組織を、Ohio State University Medical Center(Columbus, OH)にて採取した。その他の72個の癌肺組織および正常(24)肺組織を、US Biomax, Incから購入した。すべてのヒト組織を、Ohio State Institutional Review Boardにより承認されたプロトコルに従って得た。
【0150】
[00249] In vivo実験
[00250] 動物実験は、研究所のガイドラインに従って行った。NCI H460細胞は、shPTENおよびTIMP3プラスミド(Santa Cruz)を使用して安定的にトランスフェクトした;Calu-1細胞を、shMETを使用して安定的にトランスフェクトした。ピューロマイシン中で10日間選択した後、5×106(H460)または7×106(Calu-1)の生存細胞を、6週齢のオスヌードマウス(Charles RiverBreeding Laboratories, Wilmington,MA)の右脇腹の皮下に注射した。治療は、腫瘍細胞接種の5日後(H460異種移植の場合)または10日後(Calu-1異種移植の場合)に、TRAIL/Apo2(10 mg/kg/d)またはビヒクル(PBS)の腹腔内注射を毎日行うことにより開始し、5日のサイクルを2回行った。腫瘍のサイズは、デジタルキャリパーにより5日ごとに評価した。腫瘍体積は、長さ(l)および幅(w)を測定することによりそして体積を算出することにより(V=lw2/2)、測定した。注射の35日後、マウスを犠死させ、そして腫瘍サンプルを、PTEN、TIMP3およびMETの発現に関してウェスタンブロットにより解析した。対照と処置動物のあいだで統計的に有意であることを、Studentのt試験を使用して評価した。動物実験を、Ohio State Universityの研究所の動物ケアおよび使用についての委員会の承認の後に行った。
【0151】
[00251] 統計解析
[00252] Studentのt試験および一方向性ANOVA解析を使用して、優位性を決定した。すべてのエラーバーは、平均の標準誤差を示す。Pearsonの相関係数を計算して、正常vs腫瘍のクラスで、miR-221/miR-222とPTENとの間の関連性を試験した。P値を算出することにより評価するすべての試験についての統計的優位性は、P<0.05であった。
【0152】
[00253] ウェスタンブロット解析
[00254] NSCLCおよびHCC細胞由来の全タンパク質を、放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)バッファー(0.15 mM NaCl、0.05 mM Tris-HCl、pH 7.5、1% Triton、0.1% SDS、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、および1% Nonidet P40)を用いて抽出した。サンプル抽出物(50μg)を、ミニゲル装置(Bio-Rad Laboratories)を使用して7.5〜12%のSDS-ポリアクリルアミドゲル(PAGE)上で分離し、Hybond-C extraニトロセルロースに転写した。メンブレンを、0.05% Tween 20を含有するTris-緩衝化塩類溶液中の5%無脂肪ドライミルクを使用して1時間ブロッキングし、一次抗体とともに一晩インキュベートし、洗浄し、そして二次抗体とともにインキュベートし、そして化学蛍光発光により可視化した。以下の一次抗体を使用した:抗-PTEN、抗-c-Jun、抗-p-c-Jun、抗-Fos、抗-p-JNK、抗-MMP3、抗-Mcl 1(Santa Cruz)、抗-TIMP3(Millipore)、抗-PI3K(BD Biosciences)、抗-ERK、抗-リン酸化ERK、抗-AKT、抗-p-AKT、抗-GSK3b、抗-p-GSK3b(Ser9)、抗-PAK1、抗-カスパーゼ8、3および9、抗-PARP、抗-チトクロームc(Cell signaling)、及ぼい抗- MMP9、抗-FADD(Abcam)、抗-アクチン抗体(Sigma)。二次抗-ウサギまたは抗-マウス免疫グロブリンG(IgG)抗体ペルオキシダーゼ複合体(Chemicon)を使用した。
【0153】
[00255] ルシフェラーゼアッセイ
[00256] miR-222/ 221の上流の推定制御領域(+1〜-150 nt、+1〜-600、+1〜-1000(+1の位置は、miR-222ヘアピンの5’末端に対応する)を含有するDNAフラグメントを、増幅し、そしてpGL3basic(Promega)中にクローニングした。Meg01細胞を、Lipofectamine 2000(Invitrogen)、1.0 gのpGL3basic空ベクターまたは上述のゲノムフラグメントを含有する1.0 gのpGL3、200 ngのRenillaルシフェラーゼ発現構造物pRL-TK(Promega)およびMET、c-Jun、c-Fos siRNAを用いてトランスフェクトした。48時間後、4この細胞を溶解し、そして製造者の指示書に従ってDualルシフェラーゼアッセイ(Promega)によりアッセイした。3回の独立した実験を三重にして行った。クローニングに使用したプライマーは、以下のもの:
-1000pGL3b Forw:5'-gctagccctagccaccttatcgaaaatagcattcc-3'[SEQ ID No: 9];
-600 pGL3b Forw:5'-gctagcctgacatgctagtgagcacctgc-3'[SEQ ID No: 10];
-150 pGL3b Forw:5'-gctagcccagaggttgtttaaaattacgta 3'[SEQ ID No: 11];
miR-222 pGL3b Rev:5'-ctcgagagctgggtgatcctttgccttctg-3'[SEQ ID No: 12]
であった。
【0154】
[00257] リアルタイムPCR
[00258] リアルタイムPCRを、標準的TaqMan PCR KitプロトコルをApplied Biosystems 7900HT配列検出システム(Applied Biosystems)上で使用して行った。10μlのPCR反応物には、0.67μlのRT生成物、1μlのTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)、0.2 mMのTaqManプローブ、1.5 mMのフォワードプライマーおよび0.7 mMのリバースプライマーが含まれた。反応物を、96ウェルプレート中で95℃にて10分間インキュベートし、ついで95℃にて15秒および60℃にて1分のサイクルを40サイクル行った。すべての反応を、三重にして行った。閾値サイクル(CT)を、蛍光が固定閾値を超えた画分サイクル数として定義する。遺伝子発現の相対的定量のための比較CT方法(Applied Biosystems)を使用して、miRNA発現レベルを決定した。y軸は、2(-CT)を示し、または異なるmiRの相対的発現を示す。miRs発現は、U44およびU48 rRNAと比較して計算され、そして104をかけたものである。実験を各データ点について三重にして行い、そしてデータ解析をソフトウェア(Bio-Rad)を使用して行った。
【0155】
[00259] RNA抽出およびノザンブロッティング
[00260] 全RNAを TRIzol溶液(Invitrogen)を製造者の指示書に従って用いて抽出し、そしてRNAの完全性をAgilent BioAnalizer 2100(Agilent, Palo Alto, CA, USA)を用いて評価した。ノザンブロッティングをCalin et al., 2002により記載されるように行った。プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA(miRNA登録)の相補的配列であった:
miR-221、5’-GAAACCCAGCAGACAATGTAGCT-3’[SEQ ID No: 13]、
miR-222、5’-GAGACCCAGTAGCCAGATGTAGCT-3’[SEQ ID No: 14]。
【0156】
[00261] miRNA発現のアンチセンス阻害
[00262] 2’-Oメチル(2’-O me)オリゴリボヌクレオチドを、Fidelityにより合成した。2'-O me抗miR-221および2'-O me抗miR-222の配列は、以下のとおりである:
5'-gaaacccagcagacaauguagcu[SEQ ID No: 15]および
5'-gagacccagtagccagatgtagct[SEQ ID No: 16]。
2'-O me GFP miR(5'-aaggcaagcugacccugaagu[SEQ ID No: 17])を対照として使用した。細胞を6ウェルプレート中で24時間増殖させ(ウェル当たり1.7×106)、そして100 nmoli/L/wellの2'-O me-オリゴリボヌクレオチドをリポフェクトアミン2000によりトランスフェクトした。RNAおよびタンパク質を、トランスフェクションの72時間後に抽出した。
【0157】
[00263] 細胞死および細胞増殖の定量化
[00264] 細胞を96ウェルプレートに三重にしてまき、そして37℃にて5% CO2インキュベーター中でインキュベートした。Super Killer TRAIL(Alexis Biochemicals)を24〜48時間、400 ng/mlで使用した。細胞生存率を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)-Cell Titer 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を、製造者のプロトコルに従って試験した。代謝的に活性な細胞を、20 plのMTTを各ウェルに添加することにより検出した。1時間のインキュベーションの後、プレートをMultilabel Counter(Bio-Rad Laboratories)中で解析した。アポトーシスを、Annexin V-FITCアポトーシス検出キットの後に、フローサイトメトリー解析およびカスパーゼ3/7活性化をおこなうことにより、評価した。細胞を、100 mmディッシュ当たり1.8×106細胞でまき、10% FBS/RPMI中で一晩増殖させ、リン酸緩衝化塩類溶液(PBS)で洗浄し、その後400 ng/mlのTRAILを用いて、24時間処置した。インキュベーションの後、細胞を冷PBSにより洗浄し、そしてトリプシン処置によりプレートから取り出した。再懸濁した細胞を冷PBSにより洗浄し、そしてFITC結合アネキシン-V抗体(Roche Applied Science)を製造者の指示に従って使用して染色した。ついで、細胞(サンプル当たり5×105)をフローサイトメトリー解析に供した。フローサイトメトリー解析を、記載として取り扱われる(Garofalo et al., 2007)。TRAILで処置したH460細胞の画分は、アポトーシス細胞集団として取り扱われる。示されるアポトーシスの割合は、対応する非処置対照において見出されたバックグラウンドレベルに対して補正した。統計的解析を、2サンプルt試験を使用し行い、均等な分散であると考えられ、そしてP値を2テール試験に基づいて計算した。カスパーゼ3/7活性の検出のため、細胞を96ウェルプレート中で培養し、400 ng/mlのTRAILにより処置し、そしてカスパーゼGlo 3/7 Assayキット(Promega)を製造者の指示に従って使用して解析した。連続的な変数を、平均値±標準偏差(s.d.)として表す。
【0158】
[00265] クロマチン免疫沈降
[00266] クロマチン免疫沈降を、de Belle et al., 2000により記載される方法を若干変更して行った。H460、Calu-1およびSnu-387細胞株由来の細胞(5×106)を、1%ホルムアルデヒド中で37℃にて10分間固定した。細胞を氷冷1 PBSにより洗浄し、1×PBS+プロテアーゼ阻害剤中でスクレーピングし、そして遠心分離により回収した。細胞溶解バッファー[50 mmol/L Tris HCl(pH 8.0)、10 mmol/L EDTA、および1% SDS]+プロテアーゼ阻害剤中に再懸濁した細胞ペレットを、超音波処理した。DNA-タンパク質複合体を、5 gの抗c-Jun抗体(Santa Cruz)またはウサギポリクローナルIgG対照(Zymed)を使用して、免疫沈降した。
【0159】
[00267] 免疫沈降されたクロマチンにおける架橋を、プロテアーゼKとともに65℃にて一晩加熱することにより取り除き、そしてDNAをMinElute Reaction Cleanupカラム(Qiagen)により精製し、そして水に再懸濁した。精製されたクロマチンを、PCRに供し、そして生成物を2%アガロースを使用するゲル電気泳動により解析した。以下のプライマーを使用した:
[00268] 領域1F:5'-GATGTGGAGAATAGATACCTTTGAG-3'[SEQ ID No: 18]
[00269] 領域1R:5'-GGCACTGCCTACAAACCAGAGCATA-3'[SEQ ID No: 19]
[00270] 領域2F:5'-GTCACTCAGTCAGTATCTGTTGGA-3'[SEQ ID No: 20]
[00271] 領域2R:5'-GTGTGTAATTCAAGGTAAAGTTTTC-3'[SEQ ID No: 21]。
【0160】
[00272] 抗PTEN siRNAおよび抗TIMP3 siRNAsトランスフェクション
[00273] 細胞を、80%コンフルエントになるまで培養し、そして遺伝子発現をノックダウンするために設計された4つの標的特異的20〜25 nt siRNAのプールである、100 nMの抗PTEN SMARTpool siRNAまたは100 nMの抗TIMP3 SMARTpool siRNAまたは対照siRNA(Dharmacon)とともにリポフェクトアミン2000を使用して一過性にトランスフェクトした。
【0161】
[00274] ホルマリン固定、パラフィン包埋組織切片の、miRNAロック化核酸in situハイブリダイゼーション
[00275] In situハイブリダイゼーション(ISH)を、ペプシン(1.3 mg/ml)中にて30分間消化することが含まれる、以前に記載されたプロトコル(Nuovo et al., 2009)を使用して、脱パラフィン化ヒト肺組織および肝臓組織上で行った。5'末端にジゴキシゲニンが結合されている、6箇所に分散されたロック化核酸(LNA)修飾塩基を含有するプローブの配列は、以下のものである:
miR-221、5'-GAAACCCAGCAGACAATGTAGCT [SEQ ID No: 13]、
miR-222、5’-GAGACCCAGTAGCCAGATGTAGCT [SEQ ID No: 14]。
【0162】
[00276] プローブカクテルおよび組織miRNAを、60℃にて5分間同時に変性し、その後37℃にて一晩かけてハイブリダイゼーションを行いそして0.2×SSCおよび2%ウシ血清アルブミン中4℃にて10分間、低ストリンジェントな洗浄を行った。クロモーゲンニトロブルーテトラゾリウムおよびブロモクロロインドリルホスフェート(NBT/BCIP)上で、アルカリホスファターゼの作用により、プローブ標的複合体を見た。陰性対照には、プローブの使用が含まれ、それによりそのような組織中で陰性の結果が得られるはずである。PTENタンパク質、TIMP3タンパク質およびMETタンパク質の同時標識を促進するためのカウンター染色は使用しなかった。miRNAについてのin situハイブリダイゼーションの後、以前に記載されたように(Nuovo et al., 2009)、スライドを、PTEN(1:800、30分間の細胞調製)、TIMP3(1:1300、30分間の細胞調製)およびMET(1:20、、30分間の細胞調製)についての最適条件を使用して、免疫組織化学用に解析した。免疫組織化学、本発明の発明者らは、Ventana Medical Systemsに由来するUltrasensitive Universal Fast Redシステムを使用した。本発明の発明者らは、正常な肝臓組織および肺組織を、これらのタンパク質についての対照として使用した。次に、PTEN、TIMP3およびmiR-221およびmiR-222を発現する腫瘍細胞の割合を、それぞれの標的の共局在化(miR-221またはmiR-222およびPTENまたはTIMP3のいずれか)について強調しつつ解析した。
【0163】
[00277] 材料
[00278] 細胞培養用の培養液、血清および抗生物質は、Life Technologies, Inc.(Grand Island, NY, USA)より購入した。タンパク質電気泳動試薬は、Bio-Rad Laboratoriesから購入し(Richmond, VA, USA)、ウェスタンブロット試薬およびECL試薬は、GE Healthcare(Piscataway, NJ, USA)から購入した。その他のすべての化学物質は、Sigma(St Louis, MO, USA)から購入した。
【0164】
[00279] 肺癌および肝臓癌サンプルおよび細胞株
[00280] ヒトCalu-1およびA549細胞株を、10%加熱非働化ウシ胎児血清(FBS)および2 mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地中で増殖させた。Hel299細胞株、H460細胞株、A459細胞株、H1975細胞株、H1299細胞株、H1573細胞株、H23細胞株、PLCRF15細胞株、SNU-387細胞株、Snu-423細胞株、Snu-475細胞株を、10%加熱非働化FBSおよび2mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを含有するRPMI中で増殖させた。Sk-hepl、Hep-G2、HepG2C3A、Hep3B、Huh7を、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミンおよび100 U/mlペニシリン-ストレプトマイシンを添加したMEM中で増殖させた。正常な肝臓細胞を、10%ウシ胎児血清、2 mM L-グルタミン、1%の肝細胞増殖サプリメント(HGS)および100 U/mlのペニシリン-ストレプトマイシンを添加した肝細胞増殖培地(Sciencell)中で増殖させた。
【0165】
[00281] 遊走アッセイ
[00282] 8μm多孔性メンブレン(Greiner bio-one)を有するトランスウェル挿入チャンバーを、アッセイのために使用した。細胞をPBSを用いて3回洗浄し、そして血清不含培養液中で上部チャンバーに添加された。底部チャンバーには、10% FBSを含有する培養液を充填した。細胞を、37℃にて24時間、5% CO2加湿インキュベーター中でインキュベートした。遊走性細胞を定量するため、上部チャンバー上の細胞を、綿棒ぬぐいを使用して取り出し、そして遊走した細胞を、PBS中、25%グルタルアルデヒドで固定し、そしてCrystal Violet染色により染色し、位相差顕微鏡のもとで可視化し、そして撮像した。Cristal violet染色された細胞を、酢酸およびメタノール(1:1)中でさらに可溶化し、吸光度を595 nmで測定した。結果は、3回の独立した実験の平均±S.Dである。
【0166】
[00283] 浸潤アッセイ
[00284] H460およびSK-Hep-1細胞を、300 Lの血清不含ダルベッコ改変イーグル培地中、三重にして、8μm多孔性を含有するメンブレンを有するBD Falcon HTS FluoroBlokインサート(BD Biosciences)の上部チャンバー中に、配置した。インサートを、ダルベッコ改変イーグル培地およびウシ胎児血清(10%)を化学誘引物質として含有する24-ウェルプレートの底部チャンバーウェル中に、配置した。メンブレンのポアを通過して底部チャンバーに遊走した細胞を、リン酸緩衝化塩類溶液(PBS)中37℃にて30分間、8 g/mLのカルセインAM(Molecular Probes, Eugene, OR)により標識化した。遊走細胞の蛍光を、485 nmの励起波長および530 nmの放出波長で蛍光光度計を使用して定量し、そして任意蛍光単位として記述した。データは、4回の別個の測定の平均±標準誤差として表される。
【0167】
[00285] PTENおよびTIMP3プラスミド
[00286] PTEN cDNAおよびTIMP3 cDNAを、1工程RT-PCRキット(Invitrogen)を製造者の指示書に従って使用することにより、H460細胞RNAから得た。PCRフラグメントは、以下のプライマー:
NotI-TIMP3 HA:5' gcggccgcatgaccccttggctcgggctcatcgtgct 3'[SEQ ID No: 22]
BglII-TIMP3 HA:5' agatctcagggtctggcgctcaggggtctgt 3'[SEQ ID No: 23]
NotI-PTEN HA:5' gcggccgcatgacagccatcatcaaagagatcgttag 3'[SEQ ID No: 24]
XbaI-PTEN HA:5' tctagaggtgttttatccctcttgataaaaaaaaattca 3'[SEQ ID No: 25]
[00287] を使用することにより増幅し、その後NotI-XbaI(PTEN)またはNotI-BglII(TIMP3)を用いて消化した後、pCRUZ-HA(Santa Cruz)中にクローニングした。すべてのベクターは、配列決定により調節した。
【0168】
[00288] 標的解析
[00289] バイオインフォマティックス解析を、これらの具体的なプログラムにより行われた:Targetscan(1)、Pictar(2)およびRNhybrid(3)。(1)http://www.targetscan.org/、(2)http://pictar.bio.nyu.edu/、そして(3)http://bibiserv.techfak.unibielefeld.de/。
【0169】
[00290] 実施例VII:HCC腫瘍サンプル中のTRAILの発現パターンのTRAIL感受性を示す、患者におけるHCCを治療する方法
[00291] 本実施例は、治療としてのTRAIL治療に対して好ましい反応を有する可能性がある。
【0170】
[00292] あるHCC患者に関して、TRAIL療法は、生存を長期化することができる(Sun et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol., 132(7):458-465, 2006)。しかし、TRAIL療法から最も利益を得ると考えられる患者を、治療を開始する前に同定することは、利点である。
【0171】
[00293] 対照(同一の患者から得られた非癌性肝臓組織など)と比較して、腫瘍サンプル中でTRAIL感受性のTRAILの発現パターンを発現するHCC患者の予後診断は、TRAILでの治療語に顕著に改善されることが、本明細書中で開示される。対照的に、腫瘍サンプル中でTRAIL抵抗性TRAILの発現パターンを発現する患者は、TRAIL治療の後に生存の顕著な増加を示さず、そしてしたがってそのような補助的治療に対する良好な候補ではない。
【0172】
[00294] HCCと診断された患者は、治癒を目指して、肝臓切除を最初に受ける。HCC腫瘍サンプルおよび非癌性組織サンプルを、患者から取り出した肝臓組織の一部から得る。ついで、TRIZOLTMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、c-JunおよびmiR-221およびmiR-222に対して特異的なプライマーを、場合によってPTENおよび/またはTIMP3と組み合わせて使用して、RT-PCRに供する。アッセイを、c-Junなしで、miR-221およびmiR-222およびPTENおよび/またはTIMP3とともに行うこともできる。これらのアッセイを行なって、腫瘍組織中および非癌性組織中の関連するRNAの発現レベルを決定する。TRAIL感受性発現パターンは、非癌性組織と比較して腫瘍組織中で見られ、患者は、TRAIL補助療法の候補である。
【0173】
[00295] したがって、患者を、当該技術分野において公知の方法に従って、治療有効量のTRAIL αにより治療する。TRAILの容量および投与処方は、患者の健康状態やHCCの病期などの様々な因子により変動するものである。典型的には、TRAILを、時間をかけて多数回投与する。
【0174】
[00296] 実施例VIII:低発現のmiR-26によるHCC患者についての代替処方方法
[00297] 本実施例は、肝臓切除を行わずに、HCCと診断された患者を治療するための方法を記載する。HCCと診断された患者がTRAIL療法のための良い候補であるかどうかを決定するため、HCC腫瘍サンプルを、非癌性肝臓組織サンプルとともに、肝臓切除を行わない患者から得る。組織サンプルを、当該技術分野において公知のいずれかの方法にしたがって得ることができる。例えば、組織サンプルを、皮下注射ばりを使用するバイオプシー手順を行なって所望の組織を取り出すことにより得ることができる。
【0175】
[00298] ついで、TRIZOLTMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、miR-26に対して特異的なプライマーを使用して、RT-PCRに供し、腫瘍組織および非癌性組織におけるmiR-26の発現レベルを決定する。TRAIL感受性のTRAIL発現パターンは、非癌性組織と比較して腫瘍組織中で見られる場合、患者は、療法の候補である。
【0176】
[00299] したがって、患者を、当該技術分野において公知の方法に従って、治療有効量の治療剤により治療する。容量および投与処方は、患者の健康状態やHCCの病期などの様々な因子により変動するものである。典型的には、治療を、時間をかけて多数回投与する。
【0177】
[00300] 実施例IV:HCC腫瘍サンプルにおいて、TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンを示す患者におけるHCCを治療する方法
[00301] 本実施例は、患者が、HCC腫瘍中で、TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンを示す場合に、HCCと診断された患者を治療する方法を記載する。
【0178】
[00302] HCCと診断された患者は、治癒を目指して、肝臓切除を最初に受ける。HCC腫瘍サンプルおよび非癌性組織サンプルを、患者から取り出された肝臓組織の部分から得る。ついで、TRIZOLTMを使用する等の当該技術分野において周知の低分子RNAの抽出のためのいずれかの適切な方法を使用して、RNAを組織サンプルから単離する。ついで、精製されたRNAを、miR-26に対して特異的なプライマーを使用して、RT-PCRに供し、腫瘍組織および非癌性組織におけるmiR-26の発現レベルを決定する。TRAIL抵抗性のTRAILの発現パターンが、非癌性組織と比較して、腫瘍組織中で見出される場合、患者は、TRAIL補助療法に好ましいようには反応しないようである。したがって、患者は、TRAIL療法を受けないが、しかしその他の治療様式が、TRAIL感受性に変換すると考えられる。あるいは、患者は、疾患再発の手術後の兆候についてモニタリングされる。
【0179】
[00303] 実施例IX:HCC患者を診断する方法
[00304] 一つの特定の側面において、被験体が肝細胞癌(HCC)を有するかまたはそれを発症することのリスクを有するかどうかを診断するための方法が、本明細書中に提示される。この方法には、一般に、被験体から得られた試験サンプル中のTRAILの発現パターンを測定することが含まれ、そして対照サンプル中のTRAILの発現パターンのレベルと比較して試験サンプル中のTRAILの発現パターンが逸脱するかどうかを決定することが、HCCを有するかまたは発症するリスクを有するかの被験体の指標である。特定の態様において、少なくとも1個の遺伝子生成物のレベルは、ノザンブロット解析を使用して測定する。同様に、特定の態様において、試験サンプル中の少なくとも1個の遺伝子生成物のレベルが、対照サンプル中の対応するmiR遺伝子生成物のレベルよりも少なく、および/または試験サンプル中の少なくとも1個のmiR遺伝子生成物のレベルが、対照サンプル中の対応するmiR遺伝子生成物のレベルよりも多い。
【0180】
[00305] 実施例X:miR遺伝子生成物の測定
[00306] 少なくとも1個のmiR遺伝子生成物のレベルを、被験体から得た試験サンプル由来のRNAを逆転写することにより測定し、標的オリゴデオキシヌクレオチドのセットを提供することができる;標的オリゴデオキシヌクレオチドの、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイに対するハイブリダイズにより、試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する;そして、試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルを、対照サンプルから生成されたハイブリダイゼーションプロファイルと比較する。少なくとも1個のmiRNAのシグナルにおける変化は、HCCを有するか、またはHCCを発症するリスクを有するかのいずれかが、被験体の指標である。
【0181】
[00307] 実施例XI:診断用途および治療用途
[00308] 別の側面において、被験体におけるHCCを治療する方法であって、少なくとも1個のmiRNAのシグナルが、対照サンプルから生成されたシグナルと比較して、脱制御されている(例えば、下方制御されるかおよび/または亢進制御される)。
【0182】
[00309] 被験体から得られた試験サンプルからRNAを逆転写し、標的オリゴデオキシヌクレオチドのセットを提供することにより、被験体が、1またはそれ以上の不都合な被験体内のマーカーと関連したHCCを有するかまたHCCを発症するリスクを有するか、を診断する方法も提供する;標的オリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイとハイブリダイズさせて、試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供する;そして、試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルを、対照サンプルから生成されるハイブリダイゼーションプロファイルと比較する。シグナルの変化は、被験体が癌を有するか、または癌を発症するリスクを有することの指標である。
【0183】
[00310] TRAILの発現パターン遺伝子の少なくとも2個の遺伝子生成物が、対照細胞と比較して、被験体の癌細胞中で下方制御されているかまたは亢進制御されている、HCCを有する被験体のHCCを治療する方法もまた、提供される。少なくとも2個の遺伝子生成物が癌細胞中で下方制御される場合、この方法は、被験体に対して有効量の少なくとも2個の単離された遺伝子生成物を投与し、それにより被験体内での癌細胞の増殖を阻害することを含む。2つまたはそれ以上の遺伝子生成物が癌細胞中で亢進制御される場合、この方法は、被験体に対して少なくとも1個の遺伝子生成物の発現を阻害するための有効量の少なくとも1個の化合物を投与し、それにより被験体における癌細胞の増殖を阻害することを含む。被験体におけるHCCを治療する方法もまた、本明細書中で提供され、この方法は、以下の工程:対照細胞と比較して、HCC細胞中で、少なくとも2個のTRAIL発現遺伝子生成物の量を決定する工程;そして、以下の工程:癌細胞中で発現される遺伝子生成物の量が、対照細胞中で発現される遺伝子生成物の量よりも少ない場合に、被験体に対して有効量の少なくとも2個の遺伝子生成物を投与すること;または癌細胞中で発現される遺伝子生成物の量が対照細胞中で発現される遺伝子生成物の量よりも多い場合に、被験体に対して有効量の少なくとも2個の遺伝子生成物の発現を阻害するための少なくとも1個の化合物を投与して、それにより被験体における癌細胞の増殖を阻害すること;により、HCC細胞により発現される遺伝子生成物の量を変化させる工程;を含む。
【0184】
[00311] 実施例XII:組成物
[00312] 少なくとも2個の単離されたTRAILの発現パターンの遺伝子生成物および医薬的に許容可能なキャリアを含む、TRAIL抵抗性癌を治療するためのもまた、提供される。特定の態様において、医薬組成物は、適切な対照細胞と比較して、HCC細胞注で下方制御される遺伝子生成物に対応する遺伝子生成物を含む。
【0185】
[00313] 別の特定の態様において、医薬組成物は、少なくとも1個の発現レギュレーター(例えば、阻害剤)化合物及び医薬的に許容可能なキャリアを含む。
[00314] 適切な対照細胞と比較して、HCC細胞において亢進制御されるかまたは下方制御される遺伝子生成物に対して特異的な少なくとも1個の発現レギュレーター化合物を含む医薬組成物もまた、提供される。
【0186】
[00315] 実施例XIII:キット
[00316] 本明細書注で記載される組成物のいずれも、キットに含まれていてもよい。非限定的な事例において、miRNAを単離するための試薬、miRNAを標識するための試薬、および/またはアレイを使用してmiRNA集団を評価するための試薬が、キット中に含まれる。このキットには、miRNAプローブを生成しまたは合成するための試薬がさらに含まれていてもよい。このキットは、適切な容器手段中に、標識ヌクレオチドまたは実質的に標識されている非標識ヌクレオチドを取り込むことにより、miRNAを標識するための酵素が含まれていてもよい。反応バッファー、標識バッファー、洗浄バッファー、またはハイブリダイゼーションバッファー、などの1またはそれ以上のバッファー、miRNAプローブを調製するための化合物、およびmiRNAを単離するための構成成分が含まれていてもよい。その他のキットには、miRNAに対して相補的なオリゴヌクレオチドを含む核酸アレイを製造するための構成成分が含まれていてもよく、そしてしたがって、例えば、固相支持体を含んでいてもよい。
【0187】
[00317] アレイを含めいずれかのキットの態様に関して、本明細書中のいずれかの配列のすべてまたは一部に対して同一なまたは相補的な配列を含有する核酸分子であってもよい。
【0188】
[00318] キットの構成成分は、水性媒体または凍結乾燥形状のいずれかでパッケージすることができる。このキットの容器手段には、一般的に少なくとも1個のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたはその他の容器手段が一般的に含まれており、その中に構成成分を配置し、そして好ましくは適切に分注することができる。キット中に1以上の構成成分が存在する場合(標識試薬および標識が一緒にパッケージングされていてもよい)、キットは、第2、第3またはその他の追加の容器を一般的に含有してもよく、その中に追加の構成成分を別個に配置してもよい。しかしながら、構成成分の様々な組み合わせは、バイアル中に含まれていてもよい。本発明のキットには、典型的には核酸を含有するための手段および、商業的販売のために厳重に密封されたいずれかその他の試薬容器が含まれていてもよい。その様な容器には、インジェクション成型されたプラスチック容器またはブロー成型されたプラスチック容器が含まれていてもよく、その中に所望のバイアルを保持してもよい。
【0189】
[00319] キットの構成成分が、1および/またはそれ以上の液体溶液中で提供される場合、液体溶液は、1つの好ましい溶液である滅菌水溶液を含む水溶液である。キット中に含まれていてもよいその他の溶液は、混合サンプル由来のmiRNAを単離しおよび/または濃縮することが関連する溶液である。
【0190】
[00320] しかしながら、キットの構成成分は、乾燥粉末として提供されてもよい。試薬および/または構成成分が、乾燥粉末として提供される場合、粉末は、適切な溶媒を添加することにより再構成することができる。溶媒が別の容器手段において提供されてもよいことが想定される。キットには、標識miRNAの単離を促進する構成成分が含まれてもよい。miRNAを保持しまたは維持する構成成分またはその分解から保護する構成成分が含まれていてもよい。構成成分は、RNAse不含であってもよく、またはRNAseに対して保護するものであってもよい。
【0191】
[00321] 同様に、このキットは、一般に、適切な手段で、それぞれの個別の試薬または溶液のための別個の容器を一般的に含んでもよい。キットには、キット構成成分の使用およびキットに含まれないいずれかその他の試薬の使用についてのための説明書が含まれていてもよい。説明書には、実施することができるバリエーションが含まれていてもよい。その様な試薬は、本発明のキットの態様であることが企図される。同様に、キットは、上述した特定のアイテムに限定されず、そしてmiRNAの操作または特性決定のために使用されるいずれかの試薬が含まれていてもよい。
【0192】
[00322] miRNAアレイの文脈において検討された態様のいずれかは、本発明のスクリーニングまたはプロファイリング方法またはキットにおいてより一般的に使用することができることもまた、企図される。言い換えると、特定のアレイにおいて含まれていてもよいことを記述するいずれかの態様は、miRNAプロファイリングの文脈においてより一般的に実施することができ、そしてアレイ自体が関与する必要はない。
【0193】
[00323] いずれかのキット、アレイまたはその他の検出技術またはツール、またはいずれかの方法は、これらのmiRNAのいずれかをプロファイリングすることに関連していてもよいこともまた、企図される。同様に、miRNAアレイの文脈において検討されたいずれかの態様は、本発明の方法におけるアレイフォーマットによりまたはそれによらずに、実施することができることが企図される;言い換えると、miRNAアレイ中のいずれかのmiRNAを、当業者にとって公知の技術にしたがって本発明方法のいずれかにおいてスクリーニングまたは評価することができる。アレイフォーマットは、実施すべきスクリーニング方法および診断方法に必要とはされない。
【0194】
[00324] 治療用途、予後診断用途、または診断用途のためにmiRNAアレイを使用するためのキットおよびその様な使用は、本発明の発明者らにより本明細書中で企図される。このキットには、miRNAアレイ、並びにアレイ上のmiRNAについての標準的または正規化miRNAプロファイルに関する情報が含まれていてもよい。同様に、特定の態様において、対照RNAまたはDNAは、キット中に含まれていてもよい。対照RNAは、標識および/またはアレイ解析のための陽性対照として使用することができるmiRNAであってもよい。
【0195】
[00325] 現在の技術の方法およびキットは、幅広くそして抽象的に本明細書中で記載される。より狭い種の概念および抽象的な開示に含まれる中位の抽象的な群のぞれぞれが、現在の技術の一部をも形成する。このことには、現在の技術の抽象的な記載が含まれるが、ただし切断される物質が具体的に本明細書中で記載されたものであるかどうかに関わらず、抽象的なものからいずれかの主題を取り出すことの条件または負の限定となる。
【0196】
[00326] 実施例XIV:アレイ調製およびスクリーニング
[00327] miRNAアレイの調製および使用もまた、本明細書中で提示され、そのようなアレイは、核酸分子の配置されたマクロアレイまたはマイクロアレイ(プローブ)であり、それが複数のmiRNA分子または前駆体miRNA分子と完全にまたはほぼ相補的であるかまたは複数のmiRNA分子または前駆体miRNA分子と同一であり、そして空間的に分離された組織中に支持体物質上に配置される。マクロアレイは、典型的にはニトロセルロースまたはナイロンのシートであり、その上にプローブをスポッティングする。マイクロアレイは、核酸プローブをより高密度で配置し、それにより10,000個までの核酸分子を典型的には1〜4 cm2の領域中に固定化することができる。
【0197】
[00328] 核酸分子、たとえば、遺伝子、オリゴヌクレオチド、などを、基質上にスポッティングし、またはオリゴヌクレオチド配列をin situで基質上に固定化することにより、マイクロアレイを製造することができる。スポッティングされたまたは固定化された核酸分子は、1 cm2あたり約30個またはそれ以上、1 cm2あたり、約100個まで、またはさらに1000個、の非同一核酸分子の、高密度のマトリクスパターンで適用することができる。マイクロアレイは、典型的には、フィルターアレイのニトロセルロースに基づく材料とは対照的に、コーティングしたガラスを固体支持体として使用した。核酸サンプルに相補的なmiRNAの配列したアレイを有することにより、各サンプルの位置をトラッキングし、そして元のサンプルと関連づけることができる。
【0198】
[00329] 複数の異なる核酸プローブが安定的に固体支持体の表面に結合している様々な異なるアレイデバイスは、当業者に公知である。アレイ用の有用な基質には、ナイロン、ガラスおよびシリコンが含まれる。アレイは、平均プローブ長さ、プローブの配列またはタイプ、プローブとアレイ表面およびアレイ表面等とのあいだの共有結合または非共有結合を含む結合の性質など、を含む、多数の異なる方法で変化させることができる。本明細書中で記載される標識方法およびスクリーニング方法およびアレイは、プローブがmiRNAを検出すること以外のいずれかのパラメータに関するその有用性には限定されない;結果的に、方法および組成物は、様々な種類のmiRNAアレイを使用することができる。
【0199】
[00330] 本発明の原理を適用することができる多数の可能性のある態様を考慮して、説明される態様は、本発明の単なる好ましい実施例であり、そして本発明の範囲を限定することを目的とされるべきではないことが理解される。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって規定される。本願出願人は、したがって、本発明を、これらの請求項の範囲および思想の中に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3を発現することができる細胞においてc-Jun、miR-221およびmiR-222およびPTENまたはTIMP3を阻害すること、そしてTRAILの発現パターン変化を観察することを含む、細胞内におけるTRAILの発現パターンを変化させる方法。
【請求項2】
c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3を発現することができる細胞において、c-Jun、miR-221およびmiR-222、PTENまたはTIMP3を過剰発現させること、そしてTRAILの発現パターン変化を観察することを含む、細胞内におけるTRAILの発現パターンを変化させる方法。
【請求項3】
少なくとも2個が、以下のもの:miR-221およびmiR-222およびc-Jun;miR-221およびmiR-222およびPTEN;miR-221、miR-222およびTIMP3;miR-221およびmiR-222、c-JunおよびPTEN;miR-221およびmiR-222、PTENおよびTIMP3;およびmiR-221およびmiR-222、c-JunおよびTIMP3;からなる群から選択される、細胞サンプル中で少なくとも2個の核酸の発現レベルを同定することを含む、細胞サンプルにおけるTRAILの発現パターンを同定するための方法。
【請求項4】
c-Jun;PTENおよびTIMP3からなる群からなる群から選択される少なくとも1個の核酸も発現する細胞において、miR-221およびmiR-222を阻害することを含む、TRAIL抵抗性細胞における遺伝子発現を変化させる方法。
【請求項5】
c-Jun;PTENおよびTIMP3;からなる群からなる群から選択される少なくとも1個の核酸も発現する細胞において、miR-221およびmiR-222を過剰発現することを含む、TRAIL抵抗性細胞における遺伝子発現を変化させる方法。。
【請求項6】
少なくとも1個の試験細胞をアンチセンスmiR-221およびmiR-222と接触させること、そしてPTENおよびTIMP3からなる群からなる群から選択される核酸の発現の増加を観察することを含む、核酸発現阻害を有する試験細胞を同定する方法。
【請求項7】
患者から得られた癌細胞サンプルにおいてmiR-221およびmiR-222の発現レベルおよび以下のもの:c-Jun;PTENおよびTIMP3からなる群からなる群から選択される核酸の少なくとも1個の核酸発現レベルを検出することを含む、癌を有すると診断された患者の臨床的結果を予測する方法であって、
ここで対照と比較して腫瘍サンプルにおいて、miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の上昇が、PTENまたはTIMP3発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下と組み合わされた場合、生存の低下を示し、あるいは
対照と比較して腫瘍サンプルにおいて、miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加が、c-Jun発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の上昇と組み合わされた場合、生存の低下を示す、
前記方法。
【請求項8】
miR-221およびmiR-222およびPTENを発現する腫瘍細胞におけるmiR-221およびmiR-222活性を阻害すること、そしてPTENの下方制御阻害を観察すること、を含む、miR-221およびmiR-222およびPTENを発現する腫瘍細胞におけるPTEN発現の下方制御を阻害するための方法。
【請求項9】
miR-221およびmiR-222活性が、アンチセンスmiR-221およびmiR-222を介して阻害される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
PTEN発現の下方制御阻害が、TRAIL感受性を介して観察される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
PTEN発現の下方制御阻害が、PTEN転写解析を介して観察される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
候補薬剤をin vitroでスクリーニングして、TRAIL抵抗性癌細胞中でのmiR-221およびmiR-222の発現を低下させそしてPTENの発現を上昇させる薬剤を選択すること、それにより、TRAIL抵抗性癌の治療のための薬剤を同定すること、を含む、TRAIL抵抗性癌の治療のための療法剤を同定するための方法。
【請求項13】
miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加と、PTEN発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下との組み合わせにより同定されるTRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物に対して、PTEN発現の下方制御を阻害することができる療法剤を投与することを含む、TRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項14】
miR-221およびmiR-222の少なくとも1個の分子識別子およびPTENの少なくとも1個の分子識別子を含む、試験細胞におけるPTENのmiR-221およびmiR-222上方制御を同定するためのキットであって、ここで分子識別子が以下のもの:プローブ;プライマー;抗体;または低分子;からなる群から選択される、前記キット。
【請求項15】
細胞が、以下のもの:癌細胞;TRAIL抵抗性癌細胞;非-小細胞肺癌腫;および肝細胞癌;からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
TIMP3発現かつmiR-221およびmiR-222発現細胞においてmiR-221およびmiR-222活性を変化させること、そしてTIMP3発現変化を観察すること、を含む、TIMP3およびmiR-221およびmiR-222を発現することができる細胞において、TIMP3発現の制御を変化させるための方法。
【請求項17】
TIMP3を発現することもできる細胞において、miR-221およびmiR-222を過剰に発現させること、そしてTIMP3発現阻害を観察すること、を含む、TIMP3を発現することができる細胞においてTIMP3発現を阻害するための方法。
【請求項18】
試験細胞をアンチセンスmiR-221およびmiR-222と接触させること、そしてTIMP3発現の増加を観察すること、を含む、TIMP3発現阻害を有する細胞を同定するための方法。
【請求項19】
試験細胞サンプルが、miR-221およびmiR-222核酸およびTIMP3核酸を含むかどうかを同定することを含む、TRAIL抵抗性細胞を同定するための方法。
【請求項20】
候補薬剤をin vitroでスクリーニングして、TRAIL抵抗性癌細胞において、miR-221およびmiR-222の発現を低下させ、そしてTIMP3の発現を増加させる薬剤を選択すること、それによりTRAIL抵抗性癌の治療のための薬剤を同定すること、を含む、TRAIL抵抗性癌の治療のための療法剤を同定するための方法。
【請求項21】
患者から得られた癌細胞サンプル中でのmiR-221、miR-222およびTIMP3発現レベルを検出する工程を含む、癌と診断された患者の臨床的結果を予測する方法であって、ここで、対照と比較して、腫瘍サンプルにおいてmiR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加が、TIMP3発現のレベルの1.5倍またはそれ以上の低下と組み合わされた場合、生存の低下を示す、前記方法。
【請求項22】
miR-221およびmiR-222のレベルの1.5倍またはそれ以上の増加と、TIMP3発現レベルの1.5倍またはそれ以上の低下との組み合わせにより同定されるTRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物に対して、TIMP3発現の下方制御を阻害することができる療法剤を投与することを含む、TRAIL抵抗性腫瘍細胞を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項23】
miR-221およびmiR-222の少なくとも1個の分子識別子およびTIMP3の少なくとも1個の分子識別子を含む、試験細胞におけるTIMP3のmiR-221およびmiR-222亢進制御を同定するためのキットであって、ここで分子識別子は、以下のもの:プローブ;プライマー;抗体;または低分子;らなる群から選択される、前記キット。
【請求項24】
細胞が、以下のもの:癌細胞;TRAIL抵抗性癌細胞;非小細胞肺癌;および肝細胞癌;からなる群から選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
miR-221、miR-222およびTIMP3を発現する腫瘍細胞におけるmiR-221およびmiR-222活性を阻害する工程、そしてTIMP3の下方制御阻害を観察する工程、を含む、miR-221、miR-222およびTIMP3を発現する腫瘍細胞におけるTIMP3発現の下方制御を阻害するための方法。
【請求項26】
miR-221およびmiR-222の活性が、アンチセンスmiR-221およびmiR-222を介して阻害される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
TIMP3発現下方制御の阻害が、TRAIL感受性を介して観察される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
TIMP3発現下方制御の阻害が、TIMP3翻訳解析を介して観察される、請求項25に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【公表番号】特表2013−511291(P2013−511291A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541156(P2012−541156)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057758
【国際公開番号】WO2011/063382
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(502071023)ジ・オハイオ・ステート・ユニバーシティ (12)
【Fターム(参考)】