説明

腫瘍組織など病変組織の局部を熱で切除する熱切除装置

切除される病変組織や腫瘍組織範囲の先端に配置されるプローブまたはニードルを備えた腫瘍組織など病変組織の局部的な部分を熱で切除する熱切除装置である。前記プローブまたはニードルには、細いワイヤや糸のような細長い部材として少なくとも光ガイドが、支持される。前記プローブまたはニードルの一端部には、熱の電磁エネルギーが放出され、前記プローブまたはニードルの他端部には、前記電磁エネルギーを生成するエネルギー源が接続されている。前記光ガイドは、レーザー光線のような前記電磁エネルギーを放射する放射先端まで伸ばされている。前記電磁エネルギーを生成するエネルギー源の活性化/非活性化を制御する制御手段が備えられた熱切除装置において、前記放射先端によって所定のサイズを有する体積の中に放出される前記電磁エネルギーが生成される病変組織範囲において、加熱動作を監視する監視手段と、電磁波照射を放出する源に対して所定の距離および位置に設けられた、測定センサで測定される熱の移動機能に基づいて動作する動作手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍組織などの病変組織を熱で切除する熱切除装置に関する。その熱切除装置は、切除される病変組織や腫瘍組織範囲の先端に配置されるプローブ(probe)またはニードル(needle)を有する。前記プローブまたはニードルは、細いワイヤや糸のような細長い部材として少なくとも光ガイドを支持する。プローブまたはニードルの一端部は、熱電磁エネルギーを放射する端部である。光ガイドは、レーザー光線のような前記電磁エネルギーを放射する先端によって、前記プローブまたはニードルの一端部で切れている。また、プローブまたはニードルの他端部は、電磁エネルギーを生成する源に接続されている。その熱切除装置は、その電磁エネルギーを生成する源の活性化/非活性化を制御する制御手段を有する。
【背景技術】
【0002】
このような種類の装置は公知であり、特に、腫瘍組織を除去する医学分野で用いられている。そのような装置の利点としては、除去作業において侵襲することがほとんどなく、患者は短い入院期間で退院することが可能である。
【0003】
米国特許US5222953には、熱切除装置(熱アブレーション装置)が記載されている。その熱切除システムでは、熱切除を行うために細いカニューレまたはニードルが、用いられている。そのカニューレやニードルには、温度を検出するための光ファイバやセンサが設けられている。また、その装置には、治療される病変組織で自動的にカニューレやニードルを置換するための機器が、設けられている。その装置は、以下のように動作する。最初に、カニューレは、光ファイバ、または、他の画像技術を用いて治療される範囲に正確に配置される。そして、その範囲をレーザー光線のような電磁エネルギーで放射する。正常な組織の加熱および火傷のリスクを避けるために、センサによって絶え間なく温度を監視する。その温度センサは、シンプルな熱電対であり、放射する先端の位置と相対的に配置される。その温度センサは、放射体(エミッタ)から影響されることなく組織の温度を測定するだけである。そのセンサから放射体までの距離は、治療される臓器の状況や推測に基づいて決定される。例えば、治療される臓器の特別な組織の伝達/拡散動作に基づいて決定される。
【0004】
また、米国特許US-A-5100388には、胃袋や腸など空洞器官にできる腫瘍組織の熱切除装置が記載されている。その装置は、腫瘍組織に熱を伝達する薬剤のような流体を使用する。その液体は、カニューレを用いて治療される範囲における器官の中に送られる。ここで使用するカニューレは、その内部で液体の範囲を定める膨張式の構成部品に設けられている。この方法は、液体およびその熱動作が、その膨張式の構成部品によって規定される特定の範囲に限定される。
【0005】
さらに、米国特許US-B1-6302878には、熱切除によって腫瘍組織を治療する装置が記載されている。この装置には、電磁エネルギーを吸収する機能、および、その電磁エネルギーを熱に変える機能を有する手段が設けられている。この手段は、異なる分子構造、酸化マンガン、炭素粉末などを有する酸化鉄のような異なる物質で作ることができる。そして、その手段に用いられる物質は、固体または液体で使用することができる。固体の状態では、表面上の病変組織を治療するために用いられる。一方、液体の状態では、内部の組織を治療するために用いられる。この場合、酸化物は、治療する病変組織に注入される液体で薄められる。そして、そのような手段は、病変組織すべてを完全に治療することが可能となる。熱生成手段は、熱効果を避けることによって治療される範囲に熱伝達を集める際に助けになる。あるいは、治療される範囲の近くに健康な組織における熱効果を制限することにより、治療される範囲に熱伝達を集める手助けになる。
【0006】
現在、約10mmの直径の小さな腫瘍を切除するためのこれらの装置のさまざまな研究がなされている。その一方で、大きな腫瘍に関しては、まだその治療(処置)が難しい状況である。しかしながら、腫瘍組織の完全な切除において、プローブや他の手段による処置が必要となる。
【0007】
光ガイドは、通常、細い繊維状の光ファイバから構成される。光ファイバは、伝達した光量の減少する減衰作用(attenuation)や、ニードルまたはプローブにおける挿入される光ガイドの端部部分が、非常に小さい直径であるという事実によって、ニードルまたはプローブの侵襲の影響を防止するといった大きな利点がある。その一方で、ある腫瘍病変が、重要な種類の機能を有する器官で密集された解剖学的領域にあった場合には、プローブまたはニードルの挿入が、比較的高度の損傷要素に関係する可能性がある。
【0008】
光源は、通常レーザー光源から成る。そのレーザー光源は、放射する組織の温度を必要なレベルまで上昇させるために適する必要な光の強さを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述したような電磁エネルギーを放射する装置による熱切除の実用は、まだいくつかの問題がある。特に、非常に大きな病変組織領域を治療するときに、さらなる問題が生じる。この場合、大きな病変組織の治療の問題は、プローブまたはニードルの先端のマーキング(marking)によって、簡単に解決することができる。例えば、超音波など様々な画像手段で画像を取得して、病変の全体のサイズに沿って治療するために必要な範囲、すなわち、治療する組織範囲に対して、プローブまたはニードルを動かすことによって、大きな病変組織を治療することが可能である。しかしながら、この場合において、治療する範囲でのプローブまたはニードルの移動には問題がある。つまり、容易に放射を受けることが可能な範囲を完全に治療した際に、前記範囲の異なる部分だけに放射をするために、電磁エネルギーを放射する先端の向きを定めるときに問題が生じる。すなわち、病変組織のより大きい範囲に属する部分的な範囲で治療する場合、必要な治療効果を決定するのに十分な方向を決定する際に問題がある。また、この問題に加えて、電磁エネルギーの放射で動作しているそのような熱切除装置には、さらなる問題がある。熱切除装置は、組織を加熱する際に、水蒸気が発生する。水蒸気が発生すると、処置(治療)を監視する超音波映像のような簡単で安価な方法を用いることができなくなる。つまり、超音波映像がその発生した水蒸気により見えなくなってしまうため、その装置を使用することができなくなる。
【0010】
また、より一般的な視点から見ると、大きな範囲における加熱効果の均一な分配を得るには問題が生じる。すなわち、光線のガイドファイバ(guide fiber)の出力端部、いわゆるファイバ先端に直接さらされる組織領域よりも大きい範囲、または、体積(volume)において、問題が起こる。レーザー光線のガイドファイバの出力端部に直接隣接した領域は、とても小さな領域、または、とても小さな体積である。そのため、加熱動作は、この小さな領域でとても深いところまで行わなければならない。ところが、その加熱動作は、前記出力端部からの距離が遠くなるので、すぐに低下する。ゆえに、先端に直接隣接する領域において、過剰な加熱動作を出したり、不十分な方法でより遠い範囲を治療したりする危険性がある。したがって、先端を囲んでいる体積で、熱または熱効果の実質的な空間分布を学習する手段、または、制御する手段を有する必要がある。そして、加熱効果を制御するために先端からの距離によって決める手段も有する必要がある。それにより、望ましい処置が可能となる。
【0011】
組織とレーザー光線のような電磁エネルギーの間の相互作用を理解するために、さまざまな研究がなされている。図1は、組織のレーザー揮発と呼ばれている工程において、組織のレーザー照射のエネルギーが、どのように働くかを考慮して図式的に示す。それは、腫瘍組織の切開で用いられる工程である。組織除去において、3つのステップがある。組織によって取得できる温度範囲を参照して、以下の通りに定義する。凝固は、55℃〜100℃の間の温度で、組織の加熱状態を定義する。水蒸気は、100℃〜400℃の間で加熱ステップを定義する。加熱が400℃を上回るとき、燃焼が起こる。組織の質量損失は、まず初めに、治療された範囲の放射束(flux)に起因しているということがわかっている。1000J/cm2を上回る値の放射束に関しては、指摘される効果は、組織の白化(whitening)に相当する。ポップコーン蒸発(popcorn vaporization)と呼ばれる現象は、1000〜1500J/cm2の間の熱エネルギー放射束で起こる。また、その一方で、その放射束が1500J/cm2を上回るとき、炭化と燃焼が起こる。
【0012】
どのように加熱が組織で分散されるか究明するために、非常に綿密な研究がなされている。特に、健康的な組織と病変組織との接点部分において、研究されている。基本的な研究で、熱分散を決定するパラメータが複雑であるということが明らかになっている。このため、全ての状態で適することができる概略ルールを一般化したり、分離したりすることが難しい。特に、レーザー光線による放射後、熱拡散が組織に働く方法は、放射束だけでなく、組織によって電磁波照射の吸収を参照する組織の質にとりわけ依存する。この場合、それぞれ異なる種類の組織が異なる動きをする。そのため、一般的な法則を見つけ出すことは難しい。
【0013】
現在、蒸気生成に関する問題は、異なる組織構成要素の放射に対する異なる反応を用いることにより、組織の中に含まれる水で蒸気を生成せずに組織に最大限の加熱効果を与えるために、エネルギー供給を調整しようとする試み以外は、対処されていない。蒸気生成を避けるために採用される解決策は、レーザー光源の他の動作である。つまり、レーザー光線パルス(laser light pulse)によって組織を放射することである。しかしながら、その解決策は、一定にかつ調整された放射によって得ることができる熱切除効果がとても小さいので、満足なものではない。
【0014】
したがって、本発明は、既知の方法の欠点を解決するために第1に、前述に述べた種類の公知の熱切除装置を改善することを目指す。すなわち、実質的に簡単で、かつ、安全な方法で、部分的な範囲を燃やす危険性や、不十分な方法で他の部分的な範囲を加熱することなく、比較的大きな病変組織範囲を治療することができると共に、同時に、できるだけ安全に病変組織の全部を治療することができる装置を提供する。
【0015】
また、オペレータによって直接コントロールする制御をできる限り減らす方法で、自動的に、あるいは、ほとんど自動的に行える熱切除装置をさらに提供すると共に、切除工程を標準化できる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述した種類の装置を提供することにより上述の目的を達成する。その手段として、電磁エネルギーによって生成される病変組織の領域における加熱動作の分配を監視する。その電磁エネルギーは、所定のサイズを有する体積(volume)の中に放射する放射先端で放出される。そして、電磁波照射を放出する源に対して、所定の距離および位置に設けられた測定センサで発生される熱を移動する機能に基づいて作用する。
【0017】
前記距離が、前記プローブまたはニードルの一端部から前記病変組織までの距離に相当する。
【0018】
前記動作手段によって、温度、水素指数(pH)、電気伝導率、熱伝導率、光吸収スペクトル、または、相対変化のようなパラメータの絶対値が測定される。
【0019】
前記監視手段は、前記組織の加熱温度の機能として治療される病変組織の物理的かつ化学的パラメータを測定するセンサで、熱の伝送関数に基づいて動作する。前記センサは、電磁波放射の放出源から一定の距離で設けられている。前記センサは、前記放出源と当該センサとの間に設けられた治療される病変組織の物理的パラメータまたは前記化学的パラメータの変化を測定する。
【0020】
加熱効果の分配制御は、また、病変組織の物理的パラメータを検出することによって行うことができる。その病変組織は、非常に大きな病変組織領域の部分で発生する温度をチェックするような温度によって変化する。この場合、測定は、異なる部分を治療するためのニードルまたはプローブを動かす自動的な手段との組み合わせることで提供されることができる。または、前述した異なる手段を1つ以上組み合わせて提供されることができる。
【0021】
さらに、本発明の特徴によれば、本発明の装置は、その装置の加熱温度による物理的パラメータを測定するセンサを少なくとも有する。そのセンサは、センサの所定位置で放射先端から一定の距離で支持される。また、そのセンサは、前記放射先端とセンサとの間に構成される病変組織の前記物理的パラメータの変化を測定する。そして、それはセンサの測定信号を処理する手段である。そのセンサは、前記測定信号に基づいて、病変組織領域の加熱温度を決定するセンサである。同様に、電磁ビームを調整する信号(シグナル)手段、および/または、前記測定信号に基づいて動作する放射先端を動かす自動手段である。
【0022】
そのほかにも、センサと組み合わせて、電気、温度、音、光、レーザー、化学薬品、電気化学、発光、RF波形変化、水素指数pH、位置、マイクロ運動(micro-movement)、選択的な組織タイプであってもよい。
【0023】
予め定められた解剖学的区域において、所定の種類の病変組織に対して、加熱効果、熱拡散、熱変化と測定される物理的なパラメータの間の相関関数が、決定される。前記相関関数は、テーブル比較で抽出されて、格納される。そして、前記物理的パラメータを測定するセンサによって生成される信号を評価する。
【0024】
前記特徴と組み合わせて、本発明の前記装置は、加熱動作の制御分布手段を構成することができる。したがって、全てのサイズにおいて減少した形を作ることができる異なる実施例を提供することは可能である。そして、特にレーザー光線のような電磁波照射によって、熱切除プローブまたはニードルで一体化されることができる。
【0025】
第1の一般的な実施形態は、病変組織領域の異なる部分において、放射する先端によって電磁波照射を分配するか、放出するか、示すための能動的手段(active means)から成る病変組織領域で、電磁エネルギーによって生成される加熱動作の制御分布手段を用いるために好都合に提供する。
【0026】
この場合、放射先端によって放射される放射線または光線、例えば、光ファイバの端部によって放射されるレーザー光線は、交差する拡散器のような拡散光学的方法で偏向される。あるいは、そのようなレーザー光線は、光ファイバや他の誘導装置(other guide)から抜け出すときに、それが有する伝搬の方向から手段を反射するか、投射することによって偏向される。その偏向、反射、投射、または、拡散効果は、放射線またはレーザー光線の強さ、方向、および、インプレッション(impression)に関して、前記手段の温度から、あるいは、治療された組織領域から独立させてもよい。それは、様々な方法で自動的に得られることができる。例えば、温度によって形および/またはサイズを変える反射器、投射器、拡散器を支持する手段を用いることによって、得ることができる。そのような機械的変形を用いることによって、レーザー光線を有する反射器や、投射器、拡散器の向きを変えることが可能である。つまり、形状記憶材料のケースなどといった可逆式で、繰り返し性のある機械的変形によって、レーザー光線を有する反射器などの方向を変えることができる。
【0027】
前記能動的手段は、電磁波照射を拡散する手段、集中する手段、または、反射する手段から構成されてもよい。ここで、能動的手段とは、病変組織領域の異なる部分において、放射先端によって放射される電磁波照射を分配したり、投射したり、あるいは、示したりする手段である。その電磁波照射は、温度によって変化する。また、電磁波照射のレーザー光線の方向および/またはインプレッションで、前記レーザー光線によって照らされた病変組織領域の部分に、電磁エネルギーのレーザー光線が、投射する。電磁波照射を拡散したり、集光したり、反射したりする後の手段の間は、有利である。つまり、温度、あるいは、温度による変化により支持される形やサイズの支持物を用いて、方向付け可能な方法で支持される。そして、その支持物は、囲んでいる周囲と熱接触し、放射先端から放射される電磁波照射によって放射する放射により加熱を受ける。
【0028】
異なる実施形態は、電磁光線の伝搬方向に、そして、温度によりそれらの長さが変わる支持手段に取り付けられる温度計によって、移動可能な方法で支持されるために反射部材を有する。
【0029】
特に、伝搬の特定の方向を有するレーザー光線のような電磁波照射を拡散する手段で考慮され、その拡散する手段から伝搬方向である横方向に拡散されるとき、電磁波照射を拡散するその手段は、所定のサイズを有することができる。そして、温度によって変化する透過性および/または拡散指数を有する構成にすることができる。前記物質は、前記範囲で部分的な熱によって、そのサイズの異なる範囲で電磁波照射を拡散するために異なる状態となる。
【0030】
本発明のさらに別の異なる実施形態は、電磁波照射によって生成される熱を分配する分配手段を有することができる。
【0031】
本発明は、さまざまな実施形態が可能である。第1の変形例として、それらの電磁波照射によって生成される熱を分配する分配手段から成る。前記分配手段は、放射先端から放出された電磁波照射によって生成された熱を送る機械的な手段である。これら手段は、放射先端を通り越えて電磁波照射の伝搬方向において、軸方向に突出する1つ以上のワイヤ、ベルト、および/または、フラップ(flap)から有利に傘のように構成されることができる。前記ワイヤ、ベルト、および/または、フラップは、温度によって変形することができる材料から成る。放射先端は、前記ワイヤ、ベルト、フラップ、および/または、その放射先端の内部において、電磁ビームを方向付けたり、送ったりする手段に設けられる。前記ワイヤ、ベルト、フラップが次第に暖かくなるとき、それらの形状は変化し、他方に対して一方を広く開けるために動く。あるいは、それらは外側に放射状に角度で動く。
【0032】
さらなる変形例としては、治療される範囲または領域の内部に存在する液体を加熱するために提供する。そして、治療される範囲において、前記加熱された液体を動かすために提供する。つまり、格納された熱を運ぶことが可能である。電磁波照射によって組織を加熱するときに、特に前記流体は、組織内に存在する水によって、自然に作られる蒸気から成る。
【0033】
この場合、本発明によって、電磁波照射による熱切除の欠点と見なされる蒸気は、治療される全ての体積の上で広範囲に加熱効果を得るため、熱媒体になる。
【0034】
蒸気、または、他の流体の動作は、流体ジェットのような押し込み手段によって起こってもよい。あるいは、蒸気を吸引したり、流体を運んだりすることによって発生してもよい。
【0035】
また、前記流体を押し込む手段の代替手段として、超音波のような音響波の源によって生成される機械的な圧力波から構成することができる。この場合には、低周波の超音波で、かつ、三角パルスまたはのこぎり波パルスが有利である。
【0036】
さらに、制御手段に対する可能な変形例として、熱拡散は、病変組織に相当する領域において、血管および/またはリンパの循環を制御する手段を備える。
【0037】
血管またはリンパの循環を制御するそのような変形の手段としては、磁性物質を有することが有利である。磁性物質には、磁性物質を操作する部分的な磁場を生成する手段を有している。その磁性物質は、かん流によって熱拡散に対する障害を作り出している血管および/またはリンパの流れを防ぐ塊を局部的に作る。
【0038】
病変組織の領域において、局所的に血を凝固させる手段を備えることも可能である。
【0039】
この場合には、病変組織から離れる方向に動かすことによって、プローブまたはニードルの放射先端から熱移動の有利な変化を得ることができる。
【0040】
上述に記載した本発明における実施形態や実施手段は、種々変形したり、組み合わせたりすることでさまざまに提供することができる。そして、それらは、切除される全てのサイズで、安全に加熱分配の制御を生成するために技術的に互換性を持つ。
【0041】
本発明は、また、腫瘍組織のような局所化された病変組織の熱切除する方法に関するものである。その方法は、以下のステップで構成される。所定のエネルギーと周波数を有する電磁波照射を生成する工程と、前記電磁波照射、病変組織、あるいは、病変組織部分で、それら病変組織範囲の病変組織の温度、または、所定の値までその部分的な病変組織の温度を上昇させるために、局所的に予め定めた期間放射する工程と、で構成される。
【0042】
また、その病変組織の加熱温度によって、病変組織の物理的なパラメータを測定する工程を有することを特徴とする。その測定は、放射先端から特定の距離に対して所定の位置で行われる。放射先端と測定ポイントとの間に構成される病変組織の前記物理的パラメータの変化は、測定される。その一方で、測定信号は、測定信号に基づいて、前記病変組織領域の加熱温度を決定することにより、処理される。同様に、信号を生成したり、前記測定信号に基づいて、電磁ビームの調整および/または放射先端の動作を自動的に制御したりする。
【0043】
その他にも、組み合わせることにより、電気、温度、音、光、レーザー、化学薬品、電気化学、発光、RF波形、水素指数pH、位置、マイクロ運動、選択的な組織パラメータを測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】治療される病変組織領域の範囲あるいは体積(volume)に相当する範囲、または、体積において、端部処置状態を検出する手段を提供する本発明の第1実施形態を示す。
【図2】図1に示された装置で得られることができる治療領域を示す。
【図3】本発明の第2実施形態である変形例を示す。
【図4】本発明の第2実施形態の別な変形例を示す。
【図5】本発明の第2実施形態における装置の変形例を示す。
【図6】本発明の第2実施形態における装置の別の変形例を示す。
【図7】本発明の第3実施形態における装置の変形例を示す。
【図8】本発明の第3実施形態における装置の別の変形例を示す。
【図9】本発明の第1実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の装置および方法の改善は、従属項の目的である。以下、本発明の一実施形態に係る基準ビーム発生装置を、図1ないし図8を参照して説明する。
【0046】
図1は、治療される病変組織領域の範囲あるいは体積(volume)に相当する範囲、または、体積において、端部処置状態を検出する手段を提供する本発明の第1実施形態である。図2は、図1に示された装置で得られることができる治療領域である。図3は、本発明の第2実施形態である変形例を示す。図2において、第2実施形態では、レーザー光線を分配する、投射する、あるいは、示す能動的手段が、大きな範囲でさまざまな部分を治療するために自動的に偏向され、病変組織が、局所化される。そして、第2実施形態は、熱膨張された流体から構成される前記レーザー光線を投射する反射鏡を動かす手段を有する。図3は、本発明の第2実施形態である変形例を示す。図4は、本発明の第2実施形態の別な変形例を示す。図5は、本発明の第2実施形態における装置の変形例を示す。図5は、本発明の第2実施形態における装置の変形例を示す。図6は、本発明の第2実施形態における装置の別の変形例を示す。図7は、本発明の第3実施形態における装置の変形例を示す。図8は、本発明の第3実施形態における装置の別の変形例を示す。図8において、温度は、温度およびレーザー光線が投射される範囲によって、レーザー光線の出力を変化させる放射先端の構造に影響を及ぼす。図9は、本発明の第1実施形態である。図9において、電磁エネルギーによって生成された熱を分配する手段が、治療される組織領域において適時、分配される、拡散される、あるいは、広がることを目的とする物質を有する。その物質は、レーザー放射によって加熱されて、治療される組織に注ぐことにより熱を分配する。
【0047】
図を参照することにより、病変組織の熱切除用、特にレーザー光線による加熱で熱切除用のプローブまたはニードルは、図式的に表示される。
【0048】
それらプローブまたはニードルの構造は、それ自体は知られている。そして、実質的なさまざまな図は、それらプローブまたはニードルの配置を示す。
本発明は、前述した問題を解決することを目的とする。
【0049】
特に、レーザー光線で加熱することによって熱切除する従来の方法および装置は、米国特許US4592353, 米国特許US4692244, 米国特許US 4736743のなどに記載されている。
【0050】
図1に示すように、レーザー光線を放射する先端(放射先端)に相当する熱切除するためのニードルまたはプローブの先端を示す。上述の文書から起因するように、レーザー光線は、レーザー源によって生成される。そして、それは、放射先端が提供されるニードルまたはプローブの端部まで細い光ファイバを通って送られる。図1において、前記ニードルと前記光ファイバは、番号1で表示される。また、矢印2は、レーザー放射光線またはレーザービームの伝搬方向を示す。治療される範囲に向けられ、レーザー光線を放射する前記放射先端は、番号101で示す。また、図1において、最も外側部分の腫瘍領域が治療医学専門によって(60分程度)達成されるとき、検出器で指示する端部で病変領域を治療する。
【0051】
病変組織で動作を得て、その病変組織範囲で拡大することに必要な熱特性に相当する熱処理を可能にするために、部分的なものさえ、その範囲を参照してできるだけ大きくして、病変組織が局所化される、あるいは、完全にその範囲内になくなる。すなわち、前記範囲の最も外側部分の境界に、その病変組織は、局所化される。本発明は、検出器の放射先端から特定の距離で関連付けすることを提供する。図1において、検出器3は、放射される組織の物理的パラメータ、または、化学的パラメータを検出する。その放射される組織は、温度を参照して変化することができる。加熱動作は、放射先端からの距離によって変化する。そのため、組織の物理的パラメータまたは化学的パラメータに基づいて検出された距離と限界温度が、その物理的パラメータまたは化学的パラメータによって変化する。同様に、最も高い加熱範囲では、温度が、予め定められた許容の最も高い加熱温度以下である。
【0052】
実質上、治療される組織の所定の物理的パラメータまたは化学的パラメータの変化に関して、加熱動作を移動する機能は、定義される。そして、前記物理的パラメータまたは化学的パラメータを測定することができるプローブの最大距離が、定義される。そのため、最適処置温度が前記プローブによって決定される際、放射先端に最も近い組織は、所定の最も高い温度を超える温度のような影響が及ばない。
【0053】
伝搬軸に沿って2つの方向に、レーザー放射を分配するための適切な拡散器を先端に設けること。その範囲で起こる処理を自動的に測定することが可能である。すなわち、プローブまたはニードルの放射先端から出ている放射伝搬の前後方向で、その放射先端に対して実質的に対称に配置される。
【0054】
温度に基づく物理的パラメータまたは化学的パラメータとして、多くの物理的または化学的パラメータを選択することができる。最初に、治療される組織の種類と、その物理的または化学的特徴とによって、その物理的パラメータまたは化学的パラメータが決まる。
【0055】
代表的な種類の物理的パラメータ、または、化学的パラメータとして、電気パラメータ、熱パラメータ、音響パラメータ、光パラメータ、電気化学パラメータなどがある。
【0056】
例えば、RF信号の伝搬における効果、あるいは、組織の熱動作によって生じる発光効果を測定することが可能である。PH、変化位置、または、微小の動作は、測定されることができる別の効果である。
【0057】
熱転送機能を測定するのに用いられる物理的パラメータまたは化学的パラメータが、決定されると、その後、測定用プローブの種類を見つけることが可能となる。
【0058】
上述したものと組み合わせて、レーザー放射によって生じる加熱効果を移す周知の動作を有する物質で、治療される範囲に広がることを提供することが可能となる。この場合、プローブまたはニードルは、前記物質を注入する手段を有する。あるいは、局所化される投与が、さまざまな各投与装置によって行われる。
【0059】
例えば、図2に示す円4によって範囲を定められるような病変部位があった場合、まず検出器3は、その範囲の温度を検出する。その温度は、加熱動作の等方的な分配と見なされる理想的な治療温度に相当する。そして、前記円4の体積は、すべて理想的に提供される手段で治療することが可能となる。放射先端から検出器3(probe)までの距離Dは、実際は、円4の半径に相当する。その距離Dは、検出器3(probe)が理想的な治療温度を検出したとき、放射先端101に直接接触して設けられている組織の温度が、予め定められた最高温度を超えることがないようになっている。
【0060】
したがって、放射先端に隣接する範囲で組織の過剰な熱の危険性を有することなく、病変組織を除去する比較的大きな範囲で正確に治療をすることが可能である。
【0061】
図3には、レーザー放射による熱切除用のプローブまたはニードルの第1実施形態を示す。そのプローブまたはニードルは、病変組織領域の異なる部分において、電磁波照射を分配したり、放出したり、示したりする能動的方法で制御する手段を有する。つまり、電磁波照射光線または電磁波照射ビームの方向および/またはインプレッション(impression)のようなパラメータを分配したり、集中させたり、反射したり、放出したりする電磁波照射の温度に基づく変化によって、得られる。そして、前記電磁波照射光線または電磁波照射ビームによって、病変組織領域の部分が照らし出される。図3において、使い捨ての透明なチューブである。温度が上昇すると、その流体が蒸発し反射鏡を適用範囲で自動的に動かすので、そのチューブは、流体で拡張される。
【0062】
この第1実施形態において、放射先端101寄りのニードルまたはプローブの先端は、反射鏡201を備えている。その反射鏡201は、1つ以上の方向に応じて、例えば円錐ビームに沿って、出力レーザー放射を反射するために、向きを定められる。この場合には、反射鏡201は、図3中の矢印2によって示めされるレーザー放射を受け取って、矢印2′に示すように、そのレーザー放射を後ろに反射する。また、反射鏡201は、放射先端に設けられたスライド拡張部301に支持される。そのスライド拡張部301は、例えば流体で充填される。それを囲んでいる組織によって達成される温度に従って、流体は温かくなり、矢印Fの方向に反射鏡201を押し出すように拡大する。ゆえに、反射された放射は、図3中の円Zで示す病変組織領域Zの異なる部分の方へと次第に方向付けられる。図3に表示される状態は、できるだけ大きく線形動作に対応する最も遠い位置にその反射鏡を設置している。明らかに、反射鏡の移動距離の拡大は、リミットストップ(limit stop)によって決定されることができる。そして、治療される範囲に設けられる最も大きな拡大に基づく移動可能なものとして、おそらく提供されることができる。
【0063】
この場合、ニードルまたはニードルは、動作可能な前記リミットストップ手段を引くか、押すための柔軟な調整をさらに備えている。
【0064】
有用な方法に関しては、図3に示すような実施形態を提供することによって、初期条件で、加熱動作が行われないとき、その反射鏡201が、図3中の右側に示すように、放射先端の最も外側部分に近いリミットストップ位置に動かされるだろう。最初の放射によって発揮される熱作用は、放射先端により近い範囲を加熱する。その間、流体は、反射鏡201を左の方に押すように拡大し始めることを阻止する。
【0065】
放射先端101の端部側にある治療範囲Zの境界を決めている右縁に、初期治療の状態で放射先端を設けることによって、その反射鏡の動作は、治療される範囲Zの方向の正反対の境界で、次第にそれに接近する方向で起こる。前記境界領域に相当する位置で動きのリミットストップを定義することによって、反射鏡の自動的な動きは、治療される全体積で、あるいは、治療される広い部分で実質的に均一に分配される加熱効果を得るあらゆる人の干渉することなく、治療範囲Zの全範囲でレーザー放射を自動的に分配することが可能となる。
【0066】
図4の変形例において、反射鏡201は、自動制御回転支持部に設けられている。特に、自動回転と自動軸移動の両方を可能にするために、前記反射鏡を支持する手段が、温度によって伸長可能な支持手段と組み合わせられることができる。それにより、熱の加熱動作のために反射鏡の軸移動および伸張可能な手段を含んで、前記反射鏡の回転支持手段を制御する。反射鏡201の軸移動の代わりに、反射する光線の方向を変えるために、反射鏡を振動させることも可能である。また、図4において、自動制御で回転する先端によって、治療範囲を治療する。
【0067】
例えば、反射鏡が、分岐点(fork)の2つの分岐を接続する軸に関して振動するように、その分岐点で設けられる場合、前記反射鏡、または、前記反射鏡の振動軸の放射状のアーム(radial arm)に、力学的に連結されるならば、加熱効果によって伸長可能な部材は、その反射鏡を制御することができる。前記拡大動作は、振動軸に垂直な方向で生じる。そして、少なくとも振動するアームに対して垂直な構成部品で、前記アームと固定されたマッチ(stationary match)との間に設けられる。アームの仕組みは、簡単な構成なので表示していない。そのアームは、ニードルまたはプローブの方向軸に、すなわち、分岐点の振動軸に対して垂直な方向に、向きを定める反射鏡を支持するシャフトを回転させるために用いてもよい。
【0068】
図5は、第3実施形態を示す。第3実施形態における放射先端には、形状記憶のチューブ部材5が設けられている。チューブ部材5は、レーザー放射が先端105で放出される、および/または、横に拡散される光ファイバを、それぞれ収容する。前記チューブ部材に隣接する組織を加熱する熱効果に起因して、前記チューブ部材の形状が変わったとき、レーザー放射は、治療される病変組織の異なる部分に分配される。ニードルまたはプローブの先端には、2、3以上のチューブ部材5が、それぞれ独立して設けられている。そのニードルまたはプローブの先端に届く主な光ファイバは、前記チューブ部材5のそれぞれに分割される。前記チューブ部材は、温度が次第に上昇した際に、それらが放射状に外側に動くような形状記憶で形成されている。つまり、前記チューブ部材は、温度変化によって、治療される範囲のさまざまな部分で放射を投射したり、拡散したりするように動く。チューブ部材の温度による変化は、そのチューブ部材を囲んでいる組織による間接加熱と、そのチューブ部材を通る放射による直接加熱との両方で行ってもよい。または、前記効果と組み合わせて行うことも可能である。
【0069】
図6は、第3実施形態の変化例を示す。治療される組織を構成する範囲のサイズにおける加熱効果の分配は、先端がとがった傘で動的に形成されたニードルにより行われる。その先端がとがった傘は、空洞または空洞ではなく形成されている。あるいは、その傘をワイヤで形成してもよい。先端がとがった傘は、図6中の番号6で記載されている。そして、その傘6は、形状記憶材料で構成されているので、腫瘍などの病変組織の周囲の範囲で動くことが可能である。その範囲が特定の温度に到達するとき、先端のとがった傘またはワイヤの傘は、中央部分に向かって徐々にそれ自体を移動する。
【0070】
その傘の変形は、取られる放射先端の温度を提供することができる。治療されるために考えられる範囲の直径と同等の長さのニードルを返す転換を作動する手段が、設けられている。この場合、傘6は、ニードルを伸ばしたり縮めたりすることによって、広がったり、小さくなったりする。そのニードルの先端は、前記ワイヤあるいは先端がとがった筒状の先端になっている。とがった先端は、熱を伝導する材料のファイバで形成されている。あるいは、光を通すために空洞になっている。また、そのとがった先端は、動く方向に伸縮して最初から組み込まれている。あるいは、ニードルがカニューレの端部に対して引っ込められる。ニードルの軸に対して外側の半径方向に曲がる際には、複数のとがった先端が、一方のとがった先端が他方のとがった先端に徐々に近づくように動かされる。一方、カニューレ端部に対するニードルの動作、すなわち、端部から大きな出力をするとがった先端まで導く動きは、カニューレが、それらの前進動作、および/または、半径方向に曲がる前進動作を可能な場合に、ニードルおよび/またはカニューレの中心軸に対して外側にカニューレが動くことができる。
【0071】
前述した場合において、以下の点に注意すべきである。カニューレに関して、ニードルの軸移動は、とがった先端の一方を他方に近づける。または、とがった先端を曲げるニードルにおいて、とがった先端各々から離れるように相互に動くこととなる。この作用は、温度に基づいて、自動的に得られることができる。例えば、軸方向にスライドする端部ブッシング(end bushing)をカニューレに設けて、熱によって伸張可能な材料で軸方向にスライドして動くことにより、得られる。ゆえに、その端部ブッシングが、熱によってとがった先端を軸方向に動かす。
【0072】
前述した実施例に代わるものとして、または、前述した実施例と組み合わせて提供することができるこの実施形態は、透明性における変化、および/または、拡散指数によって電磁波光線の拡散変化を用いる原則に基づいている。その拡散指数は、拡散部材の温度によって変化することができる。拡散部材は、そのサイズの異なる領域で、当該領域の局所的な熱に従って、電磁波放射を拡散する異なる状態となる。
【0073】
レーザー放射を表面的に横に拡散させる放射先端が、従来技術で知られている。そして、そのような従来技術の放射先端は、例えば、米国特許US5370649に詳細に記載されている。
【0074】
温度に基づいてレーザー放射を拡散するその特性を変化させるカバーおよび/または材料と組み合わせて、そのような放射先端を設けることによって、多様化された処置は、温度に基づいて病変組織範囲で行うことができる。
【0075】
図7および図8の例では、前記放射先端が所定の長さを有する。そして、それは、実際に広範囲で効果を拡散することによって、その長さで放射することを目的とする。図7において、使い捨ての透明なチューブである。そのチューブは、温度によって変形する。ゆえに、レーザー光線出力や温度範囲を変形させる。
【0076】
区分されたセグメントまたは範囲の一部、あるいは、前記細長い先端101の一部が、所定の温度に達するとき、前記細長い先端101の一部は、拡散係数を減らすことができたり、完全に不透明になったりすることができる。
【0077】
図8の実施形態において、側方拡散である放射先端101が、さまざまなセグメント(segment)601からできている。各セグメント601は、温度によって電磁波照射を拡散する特性を有している。この場合、セグメント化された放射先端は、温度に基づいて、さまざまに変化する処理を有することが可能である。温度条件が、セグメントを変化させるとき、前記拡散特性の所定の変化温度に達して、それに関連する範囲の処理を終えるので、レーザー光線は、異なる範囲、例えば、近くの範囲を治療する隣接したセグメントによって、自動的に拡散される。
【0078】
図9は、電磁波照射によって生成された熱を分配する手段を有する本発明の実施形態を示す。その電磁波照射は、適時に組織領域で分配されたり、拡散されたりすることを目的とする物質で構成されている。そして、その物質は、レーザー放射によって加熱されて、治療される組織に振りまくことにより熱を分配する。図9に示すように、ニードルの放射先端は、ノズル7を有する。そのノズル7は、熱を分配したり、加熱動作を調整したり、加熱動作を作ったりする目的で、局所的に物質を注入するために設けられている。
【0079】
第1の実施形態によれば、熱を保存したり、温度を調整したりする物質を注入するための注入手段が、設けられている。特に、そのような物質は、状態の変化に応じて所定の温度を有する。例えば、流体からガス状のものへ、および/または、固体から流体へ、または、その逆も同様に変化する。また、その所定の温度は、組織の熱処理温度に相当する。前記物質と組み合わせることによって、所定の体積の中、および/または、所定の体積の外に、前記物質を含んだり保持したりするための手段を設けることができる。特に、その所定の体積とほぼ同時に起こる。熱切除処理を受ける病変組織は、設けられる。
【0080】
温度を調整する動作を含んでいる場合において、物質は、その強磁性の性質によって、あるいは、物体を運ぶ前記物質と、強磁性の特性とを結びつけることによって、得られることができる。そのため、治療される組織範囲にほぼ相当する体積において、温度を調整する物質を分配するために、あるいは、治療される前記組織範囲を包む表面に沿って物質を周囲に分配するために、空間位置や大きさのような局所化される磁界を生成する手段を設けることも可能である。つまり、物質を分配するために、病変組織だけに広がる大きさ、および/または、治療される病変組織範囲を囲む領域で、局所化される磁界を生成する手段を設けることができる。
【0081】
前述した最後の変形例に関して、熱を調整したり、熱を蓄えたりする物質は、治療される病変組織範囲の外側における熱伝搬のバリアとして作用するときに、特に有利である。
そして、強磁性の運搬のために生成された磁界は、前記治療される病変組織範囲の被覆ジャケット(enveloping jacket)において、物質を集結させる。また、温度を調整する物質は、35〜38℃で蒸発あるいは溶解する。
【0082】
温度調整をする物質、および/または、強磁性の性質を持つ物質は、微泡(micro-bubbles)および/または微小球体(micro-balls)を含まれることができる。その微泡、または、微小球体は、温度を調整する物質、および/または、強磁性物質である。
【0083】
さらに、注入する手段を有する変形例としては、熱を蓄える流体が、局所的に提供される。特に、物質が、流体からガス状に状態変化する所定の温度を有する。そして、その温度は、組織の熱処理温度に相当する。また、注入器は、放射先端の電磁ビームを放出する出力で、出力する。その注入気には、流体を機械的に押すための手段が設けられている。
【0084】
熱を持った流体を機械的に押す手段は、さまざまな方法で行うことができる。例えば、前記流体を押すための手段は、自然のリンパ管または血液の流れで構成される直接運搬するキャリアで構成されていてもよい。
【0085】
前記流体を押す手段と組み合わせ、あるいは、その手段に代わるものとしては、流体噴射で構成することができる。前記噴射を供給するノズルあるいは前記噴射は、プローブまたはニードルの先端に設けることが可能である。
【0086】
さらに、前記流体を押す手段は、超音波のような音波の源によって生成される機械式の圧力波で、構成することができる。この場合には、三角波、または、のこぎり波のような低周波数超音波が、有利である。
【0087】
特定の実施形態は、熱を蓄積する流体を有する。その流体は、熱エネルギーと放射先端から出力する電磁ビームで、組織を加熱することによって生成される蒸気とを運ぶ。
【0088】
また、可能な実施形態として、制御手段に関して、熱拡散は、物質を使用することを提供する。その物質は、病変組織範囲で、血管および/またはリンパの循環を変えることができる。そのような制御手段の変形において、血管および/またはリンパの循環は、磁性物質で有利に構成される。また、磁性物質が動く局所的磁界を生成する手段が設けられる。その磁性物質は、かん流によって熱拡散に対するバリアを生成する血管および/またはリンパの流れを防ぐ局所的な塊を作る。別の変形例では、病変組織範囲において、局所的に血を固める手段で構成することも可能である。
【0089】
この場合には、プローブまたはニードルの放射先端から離れる方向に、熱転送機能の有利な変化が行われる。
【符号の説明】
【0090】
1 ニードル
2、2′ レーザー放射光線、または、光線の伝送方向
3 検出器
5 チューブ部材
6 傘(umbrella)
7 ノズル
101 放射先端
105 先端
201 反射鏡
301 スライド拡張部
D 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切除される病変組織や腫瘍組織範囲の先端に配置されるプローブまたはニードルを備えた腫瘍組織など病変組織の局部的な部分を熱で切除する熱切除装置であって、
前記プローブまたはニードルには、細いワイヤや糸のような細長い部材として少なくとも光ガイドが、支持され、
前記プローブまたはニードルの一端部には、熱の電磁エネルギーが放出され、
前記光ガイドが、レーザー光線のような前記電磁エネルギーを放射する放射先端まで伸ばされていて、
前記プローブまたはニードルの他端部には、前記電磁エネルギーを生成するエネルギー源が接続され、かつ、
前記電磁エネルギーを生成するエネルギー源の活性化/非活性化を制御する制御手段が備えられた熱切除装置において、
前記放射先端によって所定のサイズを有する体積の中に放出される前記電磁エネルギーが生成される病変組織範囲において、加熱動作を監視する監視手段と、電磁波照射を放出する源に対して所定の距離および位置に設けられた、測定センサで測定される熱の移動機能に基づいて動作する動作手段と、を有し、
前記距離が、前記プローブまたはニードルの一端部から前記病変組織までの距離に相当し、そして、
前記動作手段によって、温度、水素指数(pH)、電気伝導率、熱伝導率、光吸収スペクトル、または、相対変化のようなパラメータの絶対値が測定される
ことを特徴とする熱切除装置。
【請求項2】
加熱温度に基づく前記病変組織の物理的パラメータを測定するセンサが、少なくとも備えられ、
前記放射先端から所定の位置で、当該放射先端から一定の距離で支持される前記センサによって、前記放射先端と前記センサとの間に配置される前記病変組織の物理的パラメータの変化が測定され、前記センサの測定信号が処理され、そして、前記病変組織領域の加熱温度が、前記測定信号に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の熱切除装置。
【請求項3】
前記センサによって測定される処置温度を示す信号手段が、さらに備えられていることを特徴とする請求項2に記載の熱切除装置。
【請求項4】
電磁波によって送られる輝度、および/または、エネルギーを自動的に調節する調節手段が備えてられていることを特徴とする請求項2に記載の熱切除装置。
【請求項5】
前記センサの測定信号に基づいて操作される前記放射先端を自動的に動かす自動手段が、さらに備えられていることを特徴とする請求項2または4に記載の熱切除装置。
【請求項6】
前記センサに代わる手段として、または、前記センサと前記手段との組み合わせによって、電気、温度、音、光、レーザー、化学、電気、発光、RF波形変化、水素指数pH、位置、マイクロ運動(micro-movement)、選択的な組織タイプ(selective-tissue type)が、測定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱切除装置。
【請求項7】
予め定められた解剖学的領域において、所定の種類の病変組織に対して測定される物理的なパラメータにおける加熱効果、熱拡散、および、熱変化の間の相関関数が、決定され、
前記相関関数が、前記物理的パラメータを測定するセンサによって生成される信号を比較し評価するテーブルにおいて、サンプリングされると共に格納され、かつ、
前記比較テーブルを格納して、比較工程および評価工程を実行する中央演算処理装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱切除装置。
【請求項8】
前記中央演算処理装置には、比較および評価プログラムを読み込んで実行する記憶装置が備えられていることを特徴とする請求項7に記載の熱切除装置。
【請求項9】
前記病変組織領域において、前記電磁波エネルギーによって生成される加熱動作の制御分布手段が備えられていて、
前記制御分布手段には、前記病変組織領域の異なる部分で、前記放射先端から放出される電磁波照射を分配する分配手段、放出する放出手段、または、指し示す指示手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱切除装置。
【請求項10】
前記病変組織領域の異なる部分には、前記分配手段、前記放出手段、または、前記指示手段が、温度に基づいて変化する前記電磁波照射を拡散したり、集めたり、反射したりする手段が構成され、かつ、
前記電磁波照射のレーザー光線の方向および/またはインプレッション(impression)では、電磁エネルギーのレーザー光線が、当該レーザー光線によって照らされる病変組織領域の部分に投射されることを特徴とする請求項9に記載の熱切除装置。
【請求項11】
前記分配手段が、所定の大きさを有する前記電磁波照射を拡散する部材で形成された放射先端から構成されて、前記部材が、温度によって変化する透過性および/または拡散指数を有する物質で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の熱切除装置。
【請求項12】
前記電磁波照射で生成される熱を分配する分配手段が、備えられ、
前記分配手段が、前記放射先端から放出された前記電磁波照射で生成された熱を送る機械的な固体の手段で構成され、
前記分配手段が、前記放射先端を通って電磁波照射の伝搬方向において、軸方向に突出する1つ以上のワイヤ、ベルト、および/または、フラップ(flap)で傘のように構成され、
前記ワイヤ、ベルト、および/または、フラップが、温度に基づいて変形する材料で形成され、
前記放射先端が、前記ワイヤ、ベルト、フラップ、および/または、その放射先端の内部において、電磁ビームを方向付けたり、送ったりする手段に設けられ、そして、
前記ワイヤ、ベルト、フラップが、次第に温かくなった際に、それらの形状が変化されて、他方に対して一方を広く開けるために動かされる、または、外側に放射状に角張って動かされることを特徴とする請求項9に記載の熱切除装置。
【請求項13】
水蒸気などのような熱を持つ流体を注入する注入手段が備えられ、かつ、前記流体が、供給先端で放出される前記放射先端によって加熱されていることを特徴とする請求項9に記載の熱切除装置。
【請求項14】
流体を注入する注入手段、および/または、吸引する吸引手段が備えられていて、前記流体によって、処置範囲に設けられた熱を持つ流体が押し込められることを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載の熱切除装置。
【請求項15】
前記熱を持つ流体が、電磁波照射の加熱動作によって処置範囲で生成された水蒸気から構成され、かつ、
前記注入手段/吸引手段によって、それぞれ供給先端から離れたり、近づいたりする方向で、前記水蒸気を拡散したり動かしたりするために、押し込みブロー(pushing blow)および/または引き上げ吸引が、発生される
ことを特徴とする請求項14に記載の熱切除装置。
【請求項16】
押し込み手段が、低周圧力波、特に、三角パルスまたはのこぎり波パルスによる低周波の超音波パルスから構成されることを特徴とする請求項14に記載の熱切除装置。
【請求項17】
腫瘍組織など病変組織の局部的な熱切除方法であって、
所定のエネルギーおよび周波数を有する電磁波照射を生成する工程と、
前記処置範囲における病変組織の温度、または、当該病変組織の一部の温度を所定の値まで上昇させるために、前記電磁波照射と共に、予め定めた時間で局部的に病変組織範囲または当該病変組織範囲の一部を放射する工程と、を備えた病変組織の熱切除方法において、
前記病変組織の加熱温度に基づいて、当該病変組織の物理的なパラメータを測定する工程を備え、
前記測定が、放射先端から特定の距離に対して所定の位置で行われ、
前記放射先端と測定ポイントとの間に構成される病変組織の前記物理的パラメータの変化が測定されて、そして、
測定信号が、当該測定信号に基づいて、前記病変組織領域の加熱温度を決定することにより処理されると共に、電磁ビームの調整および/または放射先端の動作を自動的に制御されることを特徴とする熱切除方法。
【請求項18】
前記工程を組み合わせることによって、電気、温度、音、光、レーザー、化学薬品、電気化学、発光、RF波形、水素指数pH、位置、マイクロ運動、選択的な組織パラメータが、測定されることを特徴とする請求項17に記載の熱切除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−540993(P2009−540993A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517216(P2009−517216)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056514
【国際公開番号】WO2008/003642
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503427359)ブラッコ イメージング ソチエタ ペル アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】