説明

腸癌診断のための腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法

本発明は、腸癌診断のための腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法に関し、より具体的には腸癌細胞で特異的にメチル化される腸癌特異的マーカー遺伝子のメチル化を検出して、腸癌診断のための情報を提供する方法に関する。本発明に係るメチル化検出方法と診断用組成物、キット及び核酸チップを利用すると、腸癌を初期形質転換段階で診断できるため、早期診断が可能で、通常の方法より正確でかつ早く腸癌を診断できるため有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸癌診断のための腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法に関し、より具体的には腸癌細胞で特異的にメチル化される腸癌特異的マーカー遺伝子のメチル化を検出して、腸癌診断のための情報を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学が発達した現在においても、癌患者、特に多数を占める固形癌(solid tumor:血液癌を除いた他の癌)患者の場合、5年生存率は50%未満である。全癌患者の約3分の2は、進行された段階で発見され、これらの多くは診断後2年以内に死亡する。このように低い癌の治療効果は、治療法の問題だけではなくて、実際癌を早期に診断できる方法と進行中の癌を正確に診断して治療後の追跡調査が容易でないためである。
【0003】
現在の臨床における癌の診断は、問診(history taking)と身体所見、臨床病理検査を経て癌が疑われた場合、放射線検査及び内視鏡検査に進み、最終的には組織検査で確認される。しかし、現在の臨床検査法では癌の細胞数が10億個、癌の直径が1cm以上になってこそ診断が可能である。こうした場合、既に癌細胞は転移能力を持っており、実際半分以上において癌が既に転移している。一方、癌が直間接に産生する物質を血液内で探す腫瘍マーカー(tumor markers)が癌選別検査(cancer screening)に利用されるが、これは正確度に限界があって、癌が存在しても約半分まで正常と示され、癌が存在しない時にも度々陽性と示されて混乱を引き起こす。また、癌の治療に主に使われる抗癌剤の場合、癌の容積が少ない場合にだけその効果を示す問題点がある。
【0004】
前記のように、癌の診断と治療が共に難しいことは、正常細胞と似た点が多く、非常に複雑で多様な形態を示すためである。癌は、過剰に増殖を繰り返して成長し、死滅することなくずっと生存して、周囲組織を侵して遠位臓器に拡散(転移)されてヒトを死亡させる。免疫機構の攻撃や抗癌治療にも生存して絶えず進化して生存に最も有利な細胞群(クローン)が選択的に増殖する。癌細胞は、多数の遺伝子の変異によって発生する高度な生存能力を持った生存体である。一つの細胞が癌細胞に変わって、臨床から見た悪性の癌塊に発展していくためには、多数の遺伝子に変異が起きなければならない。従って、癌を根源的に診断して治療するためには、遺伝子レベルでアプローチする必要がある。
【0005】
最近、癌の診断に遺伝子検査が積極的に試みられている。最も単純な代表的方法は、血液から白血病の遺伝子指標であるABL:BCR融合遺伝子の有無をPCRで探すことである。これは、正確度が95%以上であり、簡易な検査であり、慢性骨髄性白血病の診断と治療後の結果評価、追跡調査等に有用である。しかし、この方法は、少数の血液癌の場合にだけ適用可能である。
【0006】
また、癌細胞が発現する遺伝子の存在をRT−PCR及びブロッティングで把握することによって、血球細胞中に共に存在する癌細胞を診断する方法も試みられている。しかし、この方法は、前立腺癌と黒色種等の一部の癌だけに適用が可能で、偽陽性率(false positive rate)が多く、検査及び判読方法の標準化が難しく、その有用性にも限界がある(Kopreski, M.S. et al., Clin. Cancer Res., 5:1961, 1999; Miyashiro, I. et al., Clin. Chem., 47:505, 2001)。
【0007】
血清(serum)や血漿(plasma)内のDNAを使う遺伝子検査が最近盛んに行われている。これは、癌細胞から分離して血液に出て、血清内に遊離型DNA(free DNA)として存在する癌関連遺伝子を探す方法である。実際癌患者には血清内DNA濃度が健常者の5〜10倍に増加し、このように増加したDNAは多くが癌細胞から遊離することが明らかになっている。これらの癌から遊離したDNAを持って、癌遺伝子(oncogene)と腫瘍抑制遺伝子の突然変異や消失、機能喪失等、癌に特異な遺伝子異常を分析すると癌を診断することができる。実際、血清から突然変異型のK−Ras癌遺伝子やp53腫瘍抑制遺伝子、p16遺伝子のプロモーターメチル化、さらにマイクロサテライト(microsatellite)の標識と不安定性(instability)等を検査して、肺癌と頭頸部癌、乳癌、大腸癌、肝臓癌等を診断することが盛んに行われている(Chen, X.Q. et al., Clin. Cancer Res., 5:2297, 1999; Esteller, M. et al., Cancer Res., 59:67, 1999; Sanchez-Cespedes, M. et al., Cancer Res., 60:892, 2000; Sozzi, G. et al., Clin. Cancer Res., 5:2689, 1999)。
【0008】
一方、血液外の検体でも癌のDNAを検査することができる。肺癌患者で喀痰や気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage)内に存在する癌細胞及び癌遺伝子の存在を遺伝子検査や抗体検査で探す方法が試みられており(Palmisano, W.A. et al., Cancer Res., 60:5954, 2000; Sueoka, E. et al., Cancer Res., 59:1404, 1999)、腸癌から大便内に存在する癌遺伝子を探す方法(Ahlquist, D.A. et al., Gastroenterol., 119:1219-27, 2000)と尿及び前立腺液内に存在するプロモーターメチル化異常を検査する方法(Goessl, C. et al., Cancer Res., 60:5941, 2000)も試みられている。しかし、多数遺伝子異常を伴って個々癌毎に各自多様な変異を示す癌を正確に診断するためには、多数の遺伝子を同時に、かつ正確に自動分析できる方法が求められるが、まだこのような方法は確立されていない。
【0009】
そこで、最近ではDNAメチル化測定を介して癌を診断する方法が提示されている。特定遺伝子のプロモーターCpGアイランドが過メチル化されている時、その遺伝子の発現は遮断(gene silencing)されることになる。これは、生体内で遺伝子の蛋白質指定コード配列(coding sequence)に突然変異(mutation)がなくてもその遺伝子の機能が消失する主要な機構であり、人体癌で多数の腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor genes)の機能が消失する原因と解釈されている。従って、腫瘍抑制遺伝子のプロモーターCpGアイランドのメチル化を検索することは、癌の研究に多いに役に立ち、これをメチル化特異的PCR(以下、MSPという)や自動塩基分析等の方法で検査して、癌の診断とスクリーニング等に利用しようとする試みが最近盛んに行われている。
【0010】
多くの疾患は、遺伝子の異常によって発生し、遺伝子異常中最も多い形態は遺伝子のコード配列に変化することで、このような遺伝子自らの変化(genetic change)を突然変異という。ある遺伝子に突然変異が起きた時、その遺伝子がコードする蛋白質は、構造と機能が変わって障害と欠損をもたらすことになり、このような突然変異蛋白質は疾病を誘発する。しかし、特定遺伝子に突然変異がなくてもその遺伝子の発現に異常があれば疾病が誘発されうる。代表的な例が遺伝子転写の調節部位、即ちプロモーターCpGアイランドのシトシン塩基部位にメチル基がつくメチル化で、この場合その遺伝子は発現が遮断される。このようなことを遺伝子外変化(epigenetic change)といって、これも突然変異同様子孫細胞に伝達され、同様の効果、即ち該当蛋白質の発現喪失を引き起こす。最も代表的には、癌細胞でプロモーターCpGアイランドのメチル化によって腫瘍抑制遺伝子の発現が遮断されるもので、これは発癌の重要な機構になる(Robertson, K.D. et al., Carcinogensis, 21:461, 2000)。
【0011】
癌を正確に診断しようとしたら、変異遺伝子を把握することだけでなく、その遺伝子の変異が現れる機構を把握することが重要である。以前には遺伝子のコード配列の突然変異、即ち点突然変異や欠失、挿入等の微細変化や肉眼で見える染色体異常に焦点を合わせて研究してきた。しかし、最近では前述したものと同程度に遺伝子外変化が重要なものであると報告されており、代表的なものがプロモーターCpGアイランドのメチル化である。
【0012】
哺乳類細胞のゲノムDNAには、A、C、G、Tの他に5番目の塩基が存在し、これはシトシン環の5番目の炭素にメチル基がついた5−メチルシトシン(5−mC)である。5−mCは、常にCGジヌクレオチドのCにだけつき(5’−mCG−3’)、このようなCGをCpGと表示する。CpGのCは、多くはメチル基がついてメチル化されている。このようなCpGのメチル化は、アル(alu)や転移因子(transposon)と共にゲノム内に反復される塩基配列(repetitive sequence)が発現できないように抑制して、哺乳類細胞で遺伝子外変化が最もよく現れる部位である。このようなCpGの5−mCは、自然に脱アミノ化(deamination)されてTに変わり、これに伴い、哺乳類ゲノム内CpGは正常に表れるべき頻度(1/4x1/4=6.25%)よりずっと低い1%の頻度だけを示す。
【0013】
CpG中に例外的に密集して現れるものがあって、これをCpGアイランドという。CpGアイランドは長さが0.2〜3kbで、C及びG塩基の含有量が50%を越え、CpGの分布百分率が3.75%以上高く集中して現れる部位を示す。CpGアイランドは、全ヒト遺伝体に約45,000個が現れ、特に遺伝子の発現を調節するプロモーター部位に集中して現れる。実際にヒト遺伝子中の約半分を占める重要遺伝子(housekeeping genes)のプロモーターにはCpGアイランドが現れる(Cross, S. et al., Curr. Opin. Gene Develop., 5:309, 1995)。
【0014】
一方、健常者の体細胞(somatic cell)ではこれらの重要遺伝子プロモーター部位のCpGアイランドがメチル化されていないが、発生中に発現しないように刻印された(imprinted)遺伝子と非活性化(inactivation)されたX染色体上の遺伝子はメチル化されている。
【0015】
発癌過程中には、プロモーターCpGアイランドにメチル化が現れ、その該当遺伝子の発現に障害が現れることになる。特に、細胞周期やアポトーシスを調節して、DNAを修復して細胞の付着と細胞間相互協力作用に係り、浸潤と転移を抑制する腫瘍抑制遺伝子のプロモーターCpGアイランドにメチル化が発生する場合、これはコード配列の突然変異と同様にこれら遺伝子の発現と機能を遮断して、その結果、癌の発生と進行が促される。その他にも老化によりCpGアイランドに部分的にメチル化が現れる。
【0016】
興味深い事実は、先天性癌では突然変異が発癌の原因になるか、後天性癌では突然変異が現れない遺伝子の場合、突然変異の代りにプロモーターCpGアイランドのメチル化が現れる。代表的な例として、後天性腎臓癌のVHL(von Hippel Lindau)、乳癌のBRCA1、大腸癌のMLH1、胃癌のE−CADのような遺伝子のプロモーターメチル化がある。それと共に、全体癌中約半分からp16のプロモーターメチル化やRbの突然変異が現れ、残り半分はp53の突然変異やその系列でp73、p14等のプロモーターのメチル化を示す。
【0017】
大事なことは、このようなプロモーターメチル化による遺伝子外変化が、直ちに遺伝子の変化、即ち、コード配列の突然変異を誘発して、これら遺伝子及び遺伝子外の変化が結合して、発癌が進むことである。例えば、MLH1遺伝子は、大腸癌細胞でMLH1遺伝子の一つの対立遺伝子(allele)は突然変異や欠失によって機能が喪失しており、残りの一つの対立遺伝子はプロモーターメチル化のために故障している場合がある。それと共にプロモーターメチル化のためにDNA修復遺伝子であるMLH1の機能が喪失すると、これは、直ちに他の重要遺伝子に突然変異が起きることを容易にして発癌を促す。
【0018】
多くの癌は、CpGに対して以下の三つの共通した特徴を示す。それは、腫瘍抑制遺伝子のプロモーターCpGアイランドの過メチル化、残りのCpG塩基部位の過小メチル化、及びメチル化酵素、即ちDNAシトシンメチルトランスフェラーゼ(DNMT)の活性増加である(Singal, R. & Ginder, G.D., Blood, 93:4059, 1999; Robertson, K. et al., Carcinogensis, 21:461, 2000; Malik, K. & Brown, K.W., Brit. J. Cancer, 83:1583, 2000)。
【0019】
プロモーターCpGアイランドがメチル化されている時、その該当遺伝子の発現が遮断される理由は、明らかになっていないが、メチル化されたシトシンにメチルCpG付着蛋白質(MECP)やCpG付着ドメイン蛋白質(domain protein、MBD)、及びヒストンヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase)が付着しながら染色体のクロマチン構造を変えてヒストンを変化させたためと推測されている。
【0020】
プロモーターCpGアイランドのメチル化が発癌を直接誘発するのか、或いはこれが発癌に対する2次的な変化であるかに対して論議があるが、明らかな事実は、腫瘍関連遺伝子のプロモーターのメチル化が癌の重要な指標であり、従って、これは癌の診断と早期診断、発癌危険の予測、癌の予後予測、治療後追跡調査、抗癌療法に対する反応予測等多方面で利用できる。実際、血液や喀痰、唾、大便、尿等で腫瘍関連遺伝子のプロモーターのメチル化を調べて種々の癌診療に使おうとする試みが最近盛んに行われている(Esteller, M. et al., Cancer Res., 59:67, 1999; Sanchez-Cespedez, M. et al., Cancer Res., 60:892, 2000; Ahlquist, D.A. et al., Gastroenterol., 119:1219, 2000)。
【0021】
プロモーターメチル化を利用した癌診断の正確度を極め、発癌を段階別に分析して、癌と高齢化に伴う変化を鑑別するためには、プロモーターCpGアイランドの全シトシン塩基のメチル化を全て正確に分析できる検査が必要になる。現在、これのための標準的方法は、バイサルファイトゲノムシーケンシング方法である。これは、検体DNAをソジウムバイサルファイトで処理した後、標的遺伝子の検査しようとするCpGアイランド全部位をPCRで増幅した後、その塩基配列を分析する方法である。しかし、この検査は一度に検査できる遺伝子の数や検体の数に限界があって、自動化が難しく、時間と費用がかかる短所がある。
【0022】
ジョーンズホプキンス大学とMDアンダーソン癌センター、ベルリン医大等で癌と関連した遺伝子のプロモーターメチル化に対する研究が盛んに行われている。このようにして得られた基礎資料は、DNA Methylation Society(DMS)で交流がなされており、MethDB(http://www.methdb.de)資料が保存されている。一方、EpiGenX Pharmaceuticals社は、CpGアイランドのメチル化と関連した治療剤を開発しており、Epigenomics社は、DNAチップとMALDI−TOF等の技法でプロモーターメチル化を検査して癌診断に応用しようとする研究を進行中である。
【0023】
そこで、本発明者等は、早期診断、発癌リスク、または癌の予後予測等が可能な効果的な腸癌特異的メチル化マーカーを開発しようと鋭意努力した結果、SDC2(NM_002998、シンデカン2(Syndecan 2))、SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(Single-minded homolog 1)(ショウジョウバエ))及びSORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3(Sortilin-related VPS10 domain containing receptor 3))遺伝子が、腸癌細胞で特異的にメチル化されており、これをバイオマーカーとして利用してメチル化の程度を測定することによって、腸癌を診断できることを確認して、本発明の完成に至った。
【発明の概要】
【0024】
本発明の主な目的は、腸癌診断に効果的に使用できる腸癌で特異的にメチル化される腸癌特異的メチル化バイオマーカーを提供し、これを利用して早期に腸癌を診断するための情報を提供するところにある。
本発明の他の目的は、腸癌で特異的にメチル化されているマーカー遺伝子であるSDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))及びSORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子のメチル化検出方法、及びこれを利用した腸癌診断用キット及び核酸チップを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記目的を達成するために、本発明は下記ステップを含む腸癌診断のための、腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法を提供する:
(a)DNAを含有した臨床サンプルを準備するステップ、及び
(b)前記臨床サンプルのDNAから下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドのメチル化を検出するステップ:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0026】
さらに本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含有する腸癌診断用組成物を提供する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0027】
さらに本発明は、下記ステップを含む腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出を介した腸癌の診断方法を提供する:
(a)DNAを含有した臨床サンプルを準備するステップ、及び
(b)前記臨床サンプルのDNAから(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドがメチル化されると検出される場合、腸癌、またはその進行ステップであると診断するステップ。
【0028】
さらに本発明は、腸癌診断のため(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドの用途を提供する。
【0029】
さらに本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含む断片を増幅するためのPCRプライマー対と前記プライマー対によって増幅されたPCR産物をパイロシーケンスするためのシーケンスプライマーを含有する腸癌診断用キットを提供する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0030】
さらに本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含む断片と厳格な条件下でハイブリダイゼーションできるプローブが固定されている腸癌診断用核酸チップを提供する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0031】
本発明の他の特徴及び具現例は、以下の詳細な説明及び添付された特許請求範囲からより一層明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】健常者と腸癌患者の尿の細胞からCpGマイクロアレイ分析を介して腸癌診断のためのメチル化バイオマーカーを発掘する過程を示した模式図である。
【図2】腸癌CpGマイクロアレイデータから腸癌特異的過メチル化遺伝子を選別する過程を示した模式図である。
【図3】7個のバイオマーカー候補遺伝子の腸癌細胞株及び健常者腸組織でメチル化程度をパイロシーケンスで測定したグラフである。
【図4】3個のメチル化バイオマーカーの腸癌組織及びこれと連接する正常所見組織でのメチル化程度をパイロシーケンス方法で測定したグラフである。
【図5】3個メチル化バイオマーカーの腸癌診断能力を評価するため、ROCカーブ分析を行って腸癌診断に対する感度(sensitivity)及び特異度(specificity)を測定したグラフである。
【図6】SDC2バイオマーカー遺伝子の健常者及び腸癌患者の大便組織でメチル化可否をメチル化特異的PCR方法で検証したものである(Circles:メチル化特異的PCR産物)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
他の方式で定義されない限り、本明細書において使用されたあらゆる技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野に熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。通常、本明細書において使用された命名法は、本技術分野において周知であり、しかも汎用されるものである。
【0034】
本発明は、腸癌で特異的にメチル化されている遺伝子であるSDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))及びSORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子のCpGアイランドをバイオマーカーとして使うことを特徴とする。
【0035】
一観点において、本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含有する腸癌診断用組成物に関する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0036】
本発明において、前記CpGアイランドは、遺伝子のイントロン部位に位置することを特徴とする。この時、SDC2遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+681〜+1800ntまでの配列で、配列番号1の核酸配列を含むことを特徴とする。また、SORCS3遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+851〜+2000ntまでの配列で、配列番号3の核酸配列を含むことを特徴とする。
【0037】
また、前記CpGアイランドは遺伝子のプロモーター部位に位置することを特徴とし、この時、SIM1遺伝子のプロモーター領域は、転写開始点を基準として見る時、−1500〜−501ntまでの配列で、配列番号2の核酸配列を含むことを特徴とする。
【0038】
本発明では、健常者と腸癌患者との間のメチル化程度の差が最も大きい7個のバイオマーカー候補遺伝子を選別した後、この中SDC2、SIM1及びSORCS3遺伝子が腸癌診断に有用であることを確認し、本発明に係るメチル化マーカー遺伝子をスクリーニングする方法は、下記ステップを含む:(a)形質転換細胞及び非形質転換細胞からゲノムDNAを分離するステップ、(b)前記分離したゲノムDNAからメチル化されたDNAに結合する蛋白質と反応させて、メチル化されたDNAを分離するステップ、及び(c)前記メチル化されたDNAを増幅させた後、CpGマイクロアレイにハイブリダイゼーションした後、正常細胞と癌細胞との間のメチル化程度の差が最も大きい遺伝子をメチル化マーカー遺伝子として選定するステップ。
【0039】
前記メチル化バイオマーカー遺伝子の選別方法で腸癌だけでなく、腸癌として進行中の種々の異形症ステップで多様にメチル化される遺伝子を探し出すことができ、選別された遺伝子は腸癌スクリーニング、危険性評価、予測、病名確認、疾病のステップ診断及び治療ターゲットの選定にも使用できる。
腸癌及び様々なステップの異常でメチル化される遺伝子を確認することは、正確かつ効果的に腸癌を早期診断できるようにして、多重遺伝子を使ったメチル化プロファイリングの確立及び治療のための新しいターゲットを確認することができる。加えて、本発明に係るメチル化データは、他の非メチル化関連バイオマーカー検出方法と連係するとさらに正確な腸癌診断システムを確立できる。
【0040】
本発明の前記方法で、検体から得られた少なくとも一つの核酸バイオマーカーのメチル化ステップを決めることを含む様々なステップまたは期(phase)の腸癌進行を診断することができる。腸癌の各ステップの検体から分離した核酸のメチル化ステップを腸組織の細胞増殖性異常を持たない検体から得られた少なくとも一つの核酸のメチル化ステップと比較して、検体の腸癌の特定ステップを確認でき、前記メチル化ステップはハイパーメチル化でありうる。
【0041】
本発明の一例で、核酸は遺伝子の調節部位でメチル化できる。他の例で、メチル化は遺伝子の調節部位の周辺から始まって内部に進行されるため、調節部位の周辺でメチル化を検出することで、細胞形質転換に係る遺伝子を早期診断することができる。
【0042】
本発明の他の実施例では、前記メチル化遺伝子マーカーを利用して腸癌を形成する可能性がある細胞の早期診断が可能である。癌細胞でメチル化されると確認された遺伝子が臨床的に、または形態学的に正常と見える細胞でメチル化されると、前記正常と見える細胞は癌化が進行していることである。従って、正常と見える細胞での腸癌特異的遺伝子がメチル化を確認することで、腸癌を早期診断することができる。
【0043】
本発明のメチル化マーカー遺伝子を利用すると、検体から腸組織の細胞成長性異常(異形症進行)を検出することができる。前記方法は検体から分離した少なくとも一つの核酸を含む試料を少なくとも一つのメチル化状態を決定できる製剤と接触させることを含む。前記方法は一つ以上の核酸で一つ以上の部位のメチル化状態を確認することを含み、前記核酸のメチル化状態は腸組織の細胞成長性異常(異形症進行)を持たない検体の核酸での同じ部位のメチル化状態と差があることを特徴とする。
【0044】
本発明のまた他の実施例では、腸癌で特異的にメチル化される遺伝子のメチル化頻度を検討して、腸癌進行の可能性を持つ組織のメチル化頻度を決めることによって組織の腸癌での発展の可能性を評価することができる。
【0045】
他の観点において、本発明は、下記ステップを含む腸癌診断のための、腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法に関する:
(a)DNAを含有した臨床サンプルを準備するステップ、及び
(b)前記臨床サンプルのDNAから下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドのメチル化を検出するステップ:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0046】
本発明において、前記ステップ(b)は、前記遺伝子のイントロン部位のCpGアイランドのメチル化を検出することを特徴とする。この時、SDC2遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+681〜+1800ntまでの配列で、配列番号1の核酸配列を含むことを特徴とする。また、SORCS3遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+851〜+2000ntまでの配列で、配列番号3の核酸配列を含むことを特徴とする。
【0047】
また、前記CpGアイランドは遺伝子のプロモーター部位に位置することを特徴とし、この時、SIM1遺伝子のプロモーター領域は、転写開始点を基準として見る時、−1500〜−501ntまでの配列で、配列番号2の核酸配列を含むことを特徴とする。
【0048】
本発明において、前記ステップ(b)のメチル化検出ステップは、PCR、メチル化特異的PCR(methylation specific PCR)、リアルタイムメチル化特異的PCR(real time methylation specific PCR)、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ、パイロシーケンス及びバイサルファイトシーケンスからなる群から選択される方法によって行われることを特徴とする。また、前記臨床サンプルは、癌の疑いのある患者、または診断対象由来の組織、細胞、血液、血漿、大便及び尿からなる群から選択されることを特徴とするが、これに制限されるものではない。
【0049】
本発明において、一例として前記遺伝子のメチル化可否を検出する方法は、下記ステップを含んでもよい:(a)DNAを含有した臨床サンプルを準備するステップ、(b)前記臨床サンプルからDNAを分離するステップ、(c)前記分離したDNAをSDC2、SIM1及びSORCS3遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のプロモーターまたはイントロンのCpGアイランドを含む断片を増幅できるプライマーを使って増幅するステップ、及び(d)前記(c)ステップで増幅された結果の生成有無に基づいて、イントロンのメチル化可否を決めるステップ。
【0050】
他の例で、本発明ではSDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及びSORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子のメチル化状態をキットを利用して検出することによって、検体に存在する腸組織の細胞成長性異常(異形症)を診断することができる。
【0051】
また他の観点において、本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含む断片を増幅するためのPCRプライマー対と前記プライマー対によって増幅されたPCR産物をパイロシーケンスするためのシーケンスプライマーを含有する腸癌診断用キットを提供する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0052】
本発明において、前記PCRプライマー対は、配列番号12及び13のプライマー対、配列番号14及び15のプライマー対、及び配列番号16及び17のプライマー対からなる群から選択されるプライマー対であることを特徴とする。
【0053】
さらに本発明において、前記シーケンスプライマーは、配列番号22〜24のプライマーからなる群から選択されることを特徴とする。
【0054】
他の例で、本発明ではSDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及びSORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子のメチル化状態を、核酸チップを利用して検出することによって、検体に存在する腸組織の細胞成長性異常(異形症)を診断することができる。
【0055】
また他の観点において、本発明は、下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、または前記少なくとも一つの遺伝子のプロモーターのCpGアイランドを含む断片と厳格な条件下でハイブリダイゼーションできるプローブが固定されている腸癌診断用核酸チップを提供する:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【0056】
本発明において、前記CpGアイランドは、遺伝子のイントロン部位に位置することを特徴とする。この時、SDC2遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+681〜+1800ntまでの配列で、配列番号1の核酸配列を含むことを特徴とする。また、SORCS3遺伝子のイントロン領域は、転写開始点を基準として見る時、+851〜+2000ntまでの配列で、配列番号3の核酸配列を含むことを特徴とする。また、前記CpGアイランドは遺伝子のプロモーター部位に位置することを特徴とし、この時、SIM1遺伝子のプロモーター領域は、転写開始点を基準として見る時、−1500〜−501ntまでの配列で、配列番号2の核酸配列を含むことを特徴とする。
【0057】
本発明において、前記プローブは、配列番号33〜44で表される塩基配列からなる群から選択されたものであることを特徴とし、その具体的な配列は以下のとおりである。
SDC2
1) 5’-tgggtcgggc ccgcgaggga acggc-3’(配列番号33)
2) 5’-ggggggagcc tgggtcgggc ccgcgaggga acggctccac-3’(配列番号34)
3) 5’-tcgccctcgg cgggtcttgc tgcgtggtct gggaaggacg gaggggaaag-3’(配列番号35)
4) 5’-ggggtccctt cctccgcaca ccatcccccc cgcgccagct ttcctgtttg actgcatgca agttctgggg agatgggggc cagatttaag agacccgcga-3’(配列番号36)
SIM1
1) 5’-gatgggcgcc cccgaaacct ctgcc-3’(配列番号37)
2) 5’-gccccgcgcc cgcccagcag ccccgcagct ccgcggtggt-3’(配列番号38)
3) 5’-gggaagcgga gaggccggcg gtgtcgctgg gttggacggt aggcatgaga-3’(配列番号39)
4) 5’-gggaagcgga gaggccggcg gtgtcgctgg gttggacggt aggcatgaga acagttaaga gatgggcgcc cccgaaacct ctgccgcttg tggggactga-3’(配列番号40)
SORCS3
1) 5’-cgagaggtgg cgtcgttgag cccgg-3’(配列番号41)
2) 5’-cgtcgttgag cccggtctgg cctactccgg cattccgaac-3’(配列番号42)
3) 5’-cgagaggtgg cgtcgttgag cccggtctgg cctactccgg cattccgaac-3’(配列番号43)
4) 5’-cgtcgttgag cccggtctgg cctactccgg cattccgaac tgggcgcccg actgagcatcgcgcctgcct ggcagctgca gcggcccgca gcgcgtgcccggaggggctc-3’(配列番号44)
【0058】
本発明の診断用キットまたは核酸チップを利用すると、検体で腸組織の細胞成長性異常指向(異形症進行度)を決めることができる。前記方法は、検体から分離した少なくとも一つの核酸のメチル化状態を決めることを含み、前記一つが以上の核酸のメチル化ステップは、腸組織の細胞成長性異常指向(異形症)がない検体から分離した核酸のメチル化ステップと比較することを特徴とする。
【0059】
本発明のまた他の実施例では、前記キットまたは核酸チップを利用してマーカー遺伝子のメチル化を検査することによって、形質転換された腸癌細胞を確認することができる。
【0060】
本発明のまた他の実施例では、前記キットまたは核酸チップを利用してマーカー遺伝子のメチル化を検査することによって、腸癌を診断することができる。
【0061】
本発明のまた他の実施例では、正常表現型を示すサンプルを利用して、前記キットまたは核酸チップを利用してマーカー遺伝子のメチル化を検査することによって、腸癌への進行可能性を診断することができる。前記サンプルは、固体または液体組織、細胞、大便、尿、血清、またはプラズマを使うことができる。
【0062】
本発明の詳細な説明等で使われる主な用語の定義は以下のとおりである。
本明細書で使われた「細胞形質転換」は、正常から非正常に、非腫瘍性から腫瘍性に、未分化から分化に、幹細胞から非幹細胞にといった細胞の特徴がある形態から他の形態に変わることを意味する。加えて、前記形質転換は、細胞の形態、表現型、生化学的性質等によって認識される。
【0063】
本明細書で癌の「早期確認」は、転移する前に癌の可能性を発見することであり、好ましくは、検体組織または細胞で形態学的変化が観察される前に発見することである。加えて、細胞形質転換の「早期確認」は、細胞が形質転換される形態になる前に初期ステップで形質転換が起きる可能性が高いことをいう。
【0064】
本明細書で、「ハイパーメチル化」はCpGアイランドのメチル化を意味する。
本明細書で、「サンプル」または「検体サンプル」は、行われる分析の種類によって、個々人、体液、細胞株、組織培養等から得られる全ての生物学的体液を含む幅広い範囲の体液を意味するものである。ほ乳動物から体液及び組織生検を獲得する方法は、通常広く知られている。好ましいソースは、腸の生検(biopsy)である。
【0065】
腸癌に対するバイオマーカー‐正常細胞との比較のための癌細胞の用途
本実施例で、「正常」細胞は、非正常的細胞形態または細胞学的性質の変化を示さない細胞を意味する。「腫瘍」細胞は、癌細胞を意味して、「非腫瘍」細胞は、病症組織の一部であるが、腫瘍部位ではないと判断される細胞を意味する。
本発明は一観点で、腸癌とSDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_005068、シングル−マインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子のハイパーメチル化との間の関連性の発見に基づいたものである。
【0066】
本発明の診断用キット及び核酸チップの他の用途で、検体から分離した少なくとも一つの核酸のメチル化ステップを決めて、検体の腸組織の細胞成長性異常を早期診断することができる。前記少なくとも一つの核酸のメチル化ステップは、腸組織の細胞成長性異常を持たない検体から分離した少なくとも一つの核酸のメチル化状態と比較することを特徴とする。核酸は、CpGアイランドと同じCpG含有核酸であることが好ましい。
【0067】
本発明の診断用キット及び核酸チップの他の用途で、検体から分離した少なくとも一つの核酸のメチル化を決めることを含む検体の腸組織の細胞成長性異常素養を診断することができる。前記核酸は、SDC2(NM_002998、シンデカン2)、SIM1(NM_005068、シングル−マインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)遺伝子、及びそれらの組み合わせであることを特徴とし、前記少なくとも一つの核酸のメチル化工程は、腸組織の細胞成長性異常に対する素養を有しない検体から分離した少なくとも一つの核酸のメチル化状態と比較することを特徴とする。
【0068】
前記「素養」とは、前記細胞成長性異常にかかりやすい性質を意味する。素養を持った検体は、細胞成長性異常を持っていないが、細胞成長性異常が存在するか存在する傾向が増加した検体をいう。
【0069】
本発明は他の観点で、検体の核酸を含む試料を試料のメチル化状態を決定できる製剤と接触させて、一つ以上の核酸の一つ以上の部位のメチル化を確認することを含む検体の腸組織の細胞成長性異常を診断する方法を提供する。ここで、一つ以上の核酸の一つ以上の部位のメチル化は、細胞成長性異常を持たない検体の同じ核酸の同じ部位のメチル化ステップと異なることを特徴とする。
【0070】
本発明の方法は、検体から分離した一つ以上の核酸の一つ以上の部位のメチル化を決めるステップを含む。ここで、「核酸」または「核酸配列」とは、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチドを意味するか、これらの断片、一本鎖、または二本鎖のゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNA、センスまたはアンチセンス鎖のゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNA、PNA(peptide nucleic acid)、または自然起源または合成起源のDNA様またはRNA様物質をいう。核酸がRNAであると、デオキシヌクレオチドA、G、C及びTの代わりに、各々リボヌクレオチドA、G、C及びUに代替できることは、当該分野において通常の知識を有する者には明らかである。
互いに異なってメチル化されたCpGアイランドの存在を検出できる核酸であれば、いずれのものも使用可能である。前記CpGアイランドは、核酸配列でCpGが豊富な部位である。
【0071】
メチル化(methylation)
本発明での精製、または精製されなかった形態のいかなる核酸が使用可能であり、ターゲット部位(例えば、CpG含有核酸)を含有する核酸配列を含有するか含有すると疑われるいかなる核酸が使用可能である。差別的にメチル化できる核酸部位がCpGアイランドで、これは他のジヌクレオチドCpG核酸部位と比較して高いCpG密度を持つ核酸配列である。二重(doublet)CpGは、G*C塩基対の割合で予測した時、脊椎動物DNAからただ20%程度の確率で現れる。特定部位で、二重CpGの密度は、ゲノムの他の部位と比較して10倍も高い。CpGアイランドは、平均G*C割合が約60%で、通常のDNAのG*C割合は平均40%を示す。CpGアイランドは、典型的に約1〜2kbの長さを有し、ヒトゲノムには約45,000個のCpGアイランドが存在する。
【0072】
種々の遺伝子で、CpGアイランドは、プロモーターのアップストリーム(upstream)から始まって、ダウンストリームの転写部位まで拡張される。プロモーターでCpGアイランドのメチル化は、通常遺伝子の発現を抑制させる。さらにCpGアイランドは、遺伝子コード部位の3’部位だけでなく、遺伝子コード部位の5’部位を囲むことができる。従って、CpGアイランドは、プロモーター部位を含む調節部位のコード配列アップストリーム、コード部位(例えば、エクソン領域)、コード部位のダウンストリーム、例えば、エンハンサー部位及びイントロンを含む多くの部位で発見される。
【0073】
通常、CpG含有核酸はDNAである。しかし、本発明の方法は、例えば、DNA、またはDNAとmRNAを含むRNAを含有する試料を適用することができ、ここでDNAまたはRNAは、一本鎖、または二本鎖であってもよく、またはDNA−RNAハイブリッドを含有する試料であることを特徴とする。
【0074】
核酸混合物も使うことができる。検出される特異的な核酸配列は、大きい分子の分画であってもよく、初めから特異配列が全体核酸配列を構成する分離した分子形態で存在してもよい。前記核酸配列は、純粋な形態で存在する核酸である必要はなく、核酸は全体ヒトDNAが含まれているといった複雑な混合物内の小さい分画であってもよい。試料に含まれた核酸のメチル化程度を測定するのに使わるか、メチル化されたCpGアイランドを検出するのに使われる試料に含まれた核酸は、Sambrook等(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY., 1989)に記載された多くの方法で抽出できる。
【0075】
検体から分離した核酸は、検体の生物学的試料によって得られる。腸癌や腸癌の進行ステップを診断したいなら、スクラップや生検で腸組織から核酸を分離しなければならない。このような試料は、当分野で知らされた多くの医学的過程によって得られる。
本発明の一様態で、検体から得られたサンプルの核酸のメチル化程度は、腸組織の細胞成長性異常がない検体の同じ核酸の部分と比較して測定する。ハイパーメチル化とは、一つ以上の核酸でメチル化された対立遺伝子が存在することをいう。腸組織の細胞成長性異常がない検体は同じ核酸を検査した時、メチル化対立遺伝子が現れない。
【0076】
個別遺伝子及びパネル
本発明は、診断または予測マーカーとして、各遺伝子を個別的に使うか、いくつかのマーカー遺伝子を組み合わせてパネルディスプレー形態にして使用でき、何人かのマーカー遺伝子は、全体的なパターンまたはメチル化された遺伝子の目録を介して信頼性及び効率性を向上させることを確認することができる。本発明で確認された遺伝子は、個別的に、または本実施例で記述された遺伝子が組み合わされた遺伝子セットとして使用できる。または遺伝子は共にメチル化された遺伝子の数及びその重要度に応じて順位を付けることができ、重み付けを行ってもよく、癌に発展する可能性のレベルを選定することができる。このようなアルゴリズムは、本発明に属する。
【0077】
メチル化検出方法
メチル化特異的PCR
ゲノムDNAにバイサルファイトを処理すると、5’−CpG’−3部位のシトシンがメチル化された場合にはそのままシトシンで残っており、非メチル化された場合にはウラシルに変わることになる。従って、バイサルファイト処理後変換された塩基配列を対象に、5’−CpG−3’塩基配列が存在する部位に該当するPCRプライマーを作製した。この時、メチル化されたケースに該当するPCRプライマーと非メチル化されたケースに該当する二種類のプライマーを作製した。ゲノムDNAをバイサルファイトに変換させた後、前記二種類のプライマーを利用してPCRを行うと、メチル化された場合にはメチル化された塩基配列に該当するプライマーを使ったものからPCR産物が作られることになり、逆に非メチル化である場合には非メチル化に該当するプライマーを利用したものからPCR産物が作られる。メチル化の有無は、アガロースゲル電気泳動方法で定性的に確認することができる。
【0078】
リアルタイムメチル化特異的PCR
リアルタイムメチル化特異的PCRは、メチル化特異的PCR方法をリアルタイム測定方法に変換したもので、ゲノムDNAにバイサルファイトを処理した後、メチル化されたケースに該当するPCRプライマーをデザインし、これらプライマーを利用してリアルタイムPCRを行うことである。この時、増幅された塩基配列と相補的なTanManプローブを利用して検出する方法とmSybergreenを利用して検出する方法の二方法がある。従って、リアルタイムメチル化特異的PCRは、メチル化されたDNAだけを選択的に定量分析することができる。この時、in vitro methylated DNAサンプルを利用して標準曲線を作成して、標準化のために塩基配列内に5’−CpG−3’配列がない遺伝子を陰性対照群として共に増幅してメチル化程度を定量分析した。
【0079】
パイロシーケンス
パイロシーケンス方法は、バイサルファイトシーケンス方法を定量的なリアルタイムシーケンスに変換した方法である。バイサルファイトシーケンスと同じようにゲノムDNAをバイサルファイトを処理して転換させた後、5’−CpG−3’塩基配列がない部位に該当するPCRプライマーを作製した。ゲノムDNAをバイサルファイトで処理した後、前記PCRプライマーで増幅した後、シーケンスプライマーを利用してリアルタイム塩基配列分析を行った。5’−CpG−3’部位でシトシンとチミンの量を定量的に分析してメチル化程度をメチル化指数として示した。
【0080】
メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCRまたは定量PCR及びDNAチップ
メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCRまたはDNAチップ方法は、メチル化DNAにだけ特異的に結合する蛋白質をDNAと混ぜると、メチル化DNAにだけ特異的に蛋白質が結合するため、メチル化DNAだけを選択的に分離することができる。ゲノムDNAをメチル化DNA特異的結合蛋白質と混ぜた後、メチル化されたDNAだけを選択的に分離した。これら分離したDNAをイントロン部位に該当するPCRプライマーを利用して増幅した後、アガロースゲル電気泳動でメチル化可否を測定した。
また、定量PCR方法でもメチル化可否を測定することができ、メチル化DNA特異的結合蛋白質から分離したメチル化DNAは、蛍光染料で標識して相補的なプローブが集積されたDNAチップにハイブリダイゼーションさせることでメチル化可否を測定することができる。ここで、メチル化DNA特異的結合蛋白質は、MBD2btに制限されない。
【0081】
差別的メチル化の検出−メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ
差別的メチル化の検出は、メチル化されないCpG部位だけを切断するメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼと核酸サンプルを接触させて、非メチル化された核酸を切断することで行える。
【0082】
別の反応で、前記サンプルをメチル化及び非メチル化CpG部位を全部切断するメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼのアイソシゾマー(isochizomer)と接触させて、メチル化された核酸を切断した。
特異的プライマーを核酸サンプルに添加し、通常の方法で核酸を増幅させた。メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼを処理したサンプルで増幅産物が存在し、メチル化及び非メチル化CpG部位を全部切断するメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼのアイソシゾマーを処理したサンプルで増幅産物が存在しなければ、分析された核酸部位にメチル化が起きたことである。しかし、メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼを処理したサンプルで増幅産物が存在しなく、メチル化及び非メチル化CpG部位を全部切断するメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼのアイソシゾマーを処理したサンプルでも増幅産物が存在しないことは、分析された核酸部位にメチル化が起きなかったことである。
【0083】
ここで、「メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ」は、認識部位にCGを含み、Cがメチル化されなかった時と比較してCがメチル化された時に活性を持つ制限酵素である(例えば、SmaI)。メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼの非制限的な例として、MSPI、HpaII、BssHII、BstUI及びNotIが含まれる。前記酵素は単独でまたは組み合わせて使用可能である。他のメチル化感受性制限エンドヌクレオチドとしては、例えば、SacII及びEagIが挙げられるが、これに限定されない。
【0084】
メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼのアイソシゾマーはメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼと同じ認識部位を持つ制限エンドヌクレアーゼであるが、メチル化されたCGsと非メチル化されたCGsを全部切断し、例えば、MSPIが挙げられる。
【0085】
本発明のプライマーは、増幅されるローカスの各鎖と「概ね」相補性を持つように作製され、前述した通り、適当なGまたはCヌクレオチドを含む。これは、重合反応を行う条件でプライマーが対応する核酸鎖とハイブリダイゼーションされるに十分な相補性を持つことを意味する。本発明のプライマーは、増幅過程に使われ、前記増幅過程は、例えば、PCRといった、ターゲットローカスが多くの反応ステップを経ながら幾何級数的な数字に増加する酵素連続反応である。典型的には、一つのプライマー(アンチセンスプライマー)は、ローカスのネガティブ(−)鎖に対して相同性を持って、残りの一つのプライマー(センスプライマー)はポジティブ(+)鎖に対し相同性を持つ。変成された核酸にプライマーがアニーリングされると、DNAポリメラーゼI(Klenow)及びヌクレオチドのような酵素及び反応物によって鎖が伸張され、その結果、ターゲットローカス配列を含有する+と−鎖が新たに合成される。前記新たに合成されたターゲットローカスが鋳型としても使われて、変成、プライマーアニーリング及び鎖身長のサイクルが繰り返されると、ターゲットローカス配列の幾何級数的な合成が進められる。前記連続反応の産物は、反応に使われた特異的プライマーの末端と対応する末端を持つ独立的な二本鎖核酸である。
前記増幅反応は、当分野で普遍的に使われているPCRであることが好ましい。しかし、リアルタイムPCRまたは等温酵素を使った線形増幅といった代替的な方法も使われ、マルチプレックス増幅反応も使用可能である。
【0086】
差別的メチル化の検出−バイサルファイトシーケンス方法
メチル化CpGを含有した核酸を検出する他の方法は、核酸を含有した試料を非メチル化シトシンを変形させる製剤と接触させるステップ及びCpG−特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使って試料のCpG含有核酸を増幅させるステップを含む。ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーは、変形されたメチル化及び非メチル化核酸を区別してメチル化核酸を検出することを特徴とする。前記増幅ステップは、選択的であり、好ましいが必須ではない。前記方法は、変形された(例えば、化学的に変形された)メチル化及び非メチル化DNAを区別するPCR反応に依存するものでる。前記のような方法は、米国特許5,786,146に開示されており、前記特許には、メチル化核酸の検出のためのバイサルファイト(bisulfite)シーケンスと関連して記載されている。
【0087】
キット(Kit)
本発明によると、検体の細胞成長性異常を検出するのに有用なキットを提供している。本発明のキットは、サンプルを入れる仕切られたキャリア手段、サンプルをパイロシーケンスするための5’−CpG−3’塩基配列部位を増幅できるPCRプライマー対を含有する二つ目の容器、及び増幅されたPCR産物をパイロシーケンスするためのシーケンスプライマーを含有する三つ目の容器を含む一つ以上の容器を含む。
キャリア手段は、便、チューブのような一つ以上の容器を含有するのに適しており、各容器は本発明の方法に使われる独立的構成要素を含有する。本発明の明細書で、当分野の通常の知識を有する者は、容器中の必要な製剤を容易に分配することができる。
【0088】
基質
ターゲット核酸部位が増幅されると、核酸配列の存在を検出するために、前記核酸増幅産物は固体支持体(基質)に固定された周知の遺伝子プローブとハイブリダイゼーションできる。
ここで、「基質」は、物質、構造、表面、または、材料、非生物学的で、合成され、無生物、平面、球型、または、特異的結合、平らな表面の物質を含む混合物手段であり、ハイブリダイゼーションまたは酵素認識部位または大多数の他の認識部位または表面、構造または材料で構成された数多くの他の分子種を越える数多くの他の認識部位を含んでもよい。前記基質は、例えば、半導体、(有機)合成メタル、合成半導体、インシュレーター及びドーパント;金属、合金、元素、化合物及びミネラル、合成され、分解され、エッチングされ、リソグラフされ、プリントされマイクロファルリケートされたスライド、装置、構造及び表面;産業的、ポリマー、プラスチック、メンブレン、シリコン、シリケート、ガラス、金属及びセラミック;木、紙、カードボード、綿、ウール、布、製織及び非製織繊維、材料及びファブリックであるが、これに限定されない。
いくつかの形態のメンブレンは、当分野で核酸配列に対し付着力を持つと知られている。このようなメンブレンの特異的で非制限的な例として、ニトロセルロースまたはポリビニルクロライド、ジアゾ化(diazotized)ペーパー及びGENESCREEN(商品名)、ZETAPROBE(商品名)(Biorad)及びNYTRAN(商品名)等の商業的に使われるメンブレンのような遺伝子発現検出用メンブレンが挙げられる。ビーズ、グラス、ウェハー及び金属基質も含まれる。このような目的物に核酸を付着させる方法は、当分野で良く知られている。これとは異なり、液体上でもスクリーニングが行える。
【0089】
ハイブリダイゼーション条件
核酸ハイブリダイゼーション反応で、厳格な特定レベルを達成するために使われる条件は、ハイブリダイゼーションされる核酸の性質によって異なる。例えば、ハイブリダイゼーションされる核酸部位の長さ、相同性程度、ヌクレオチド配列組成(例えば、GC/AT組成比)及び核酸タイプ(例えば、RNA、DNA)等がハイブリダイゼーション条件を選択するのに考慮される。追加的な考慮条件は、核酸が、例えば、フィルター等に固定化されているのか否かである。
非常に厳格に進行される条件の例としては、次のようになる:室温の2XSSC/0.1%SDS(ハイブリダイゼーション条件)、室温の0.2XSSC/0.1%SDS(厳格性が低い条件)、42℃での0.2XSSC/0.1%SDS(普通の厳格性を持つ条件)、68℃で0.1XSSC(高い厳格性を持つ条件。洗浄過程はこれらの中一つの条件を使って行うことができ、例えば高い厳格性を持つ条件、または前記条件が各々使え、前記記載された順に各々10〜15分ずつ、前記記載された条件を全部または一部繰り返して行える。しかし、前述した通り、最適条件は、含まれた特別なハイブリダイゼーション反応によって異なり、実験を介して決めることができる。一般に、重要なプローブのハイブリダイゼーションには高い厳格性を持つ条件が使われる。
【0090】
標識(Label)
重要なプローブは検出できるように標識され、例えば、放射線同位元素、蛍光化合物、バイオ発光化合物、化学発光化合物、金属キレート、または酵素で標識できる。前記のようなプローブを適当に標識することは当分野で広く知られた技術であり、通常の方法で行える。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0092】
実施例1:腸癌特異的メチル化遺伝子の発見
腸癌で特異的にメチル化されたイオマーカーを選別するために、癌患者でない健常者2人のゲノムDNA(Biochain)、腸癌患者12人の手術組織から得た癌組織及びこれと連接する正常所見組織ゲノムDNA500ngを超音波粉砕(Vibra Cell,SONICS)して、約200〜300bpのゲノムDNA切片を作製した。
【0093】
ゲノムDNAからメチル化されたDNAだけを獲得するために、メチル化DNAに結合すると知られるメチル結合ドメイン(Methyl binding domain;MBD)(Fraga et al., Nucleic Acid Res., 31: 1765, 2003)を使った。即ち、6XHisがつけられたMBD2bt 2μgを大腸菌JM110(韓国生命工学研究院生命資源センター、No.2638)ゲノムDNA500ngとプレインキュベートさせた後、Ni−NTAマグネチックビーズ(Qiagen,USA)に結合させた。これに前記超音波粉砕された健常者及び腸癌患者組織細胞から分離したゲノムDNA500ngを結合反応溶液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、50mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、3mM MgCl、0.1%Triton−X100、5%グリセロール、25mg/mL BSA)下で4℃、20分間反応させた後、700mM NaClが含まれた結合反応溶液500μLを利用して3回洗浄した後、MBD2btに結合されたメチル化されたDNAをQiaQuick PCR purification kit(QIAGEN,USA)を使って分離した。
【0094】
以後、前記MBD2btに結合されたメチル化されたDNAをゲノム増幅キット(Sigma,USA,Cat.No.WGA2)を利用して増幅した後、前記増幅されたゲノムDNA4μgをBioPrime Total Genomic Labeling system I(Invitrogen Corp.,USA)を利用して、Cy5で標識した。健常者と腸癌患者との間のメチル化程度を間接的に比較するために標準比較DNAを作製した。標準比較DNAは、メチル化分析のために使った12人の腸癌患者組織のゲノムDNAを同量で混合し、これらのDNAをゲノム増幅キット(Sigma,USA,Cat.No.WGA2)を利用して増幅した後、前記増幅されたゲノムDNA4μgをBioPrime Total Genomic Labeling system I(Invitrogen Corp.,USA)を利用してCy3で標識した。前記標準比較DNA及び健常者と腸癌患者のDNA各々を混合した後、244K human CpGマイクロアレイ(Agilent,USA)にハイブリダイゼーションさせた(図1)。前記ハイブリダイゼーション後、一連の洗浄過程を経た後、Agilent scannerを利用してスキャニングした。マイクロアレイイメージからシグナル値の計算は、Feature Extractionプログラムv.9.5.3.1(Agilent)を利用して、健常者と腸癌患者との間の試料の相対的な強度差を計算した。
【0095】
信頼するほどのハイブリダイゼーションシグナルを持つプローブを選別するために、GeneSpring 7.3プログラム(米国Agilent社)を利用して、cross gene error modelを適用して、Cy3シグナルが合わせて26個のarray中最小の21個のarrayから112.8以上の64,325個のプローブを信頼するほどのシグナルを持つプローブとして選別した。これから腸癌に特異的に過メチル化されているプローブを選別するために、二つの方法で分析した。第一は、健常者の腸組織及び腸癌と連接している正常所見組織を同一グループと見なして、腸癌組織と比較して差別的なメチル化を示すプローブを選別するために分散分析テスト(ANOVA test)を行ってp値が0.05以下である4,498個のプローブを選別した。これから腸癌組織に過メチル化されている1,560個のプローブをさらに選別して、この中から約400bp以内に存在する2個以上の連接したプローブで過メチル化を同時に示す4個のバイオマーカー遺伝子候補(CHST11、IRX5、KCNA1、SDC2、SORCS3)を発掘した(図2)。第二に、早期診断に適するメチル化バイオマーカーを発掘するために、腸癌組織及びこれと連接する正常所見組織を同一グループと見なして、健常者の腸組織と差別的にメチル化されているプローブを、分散分析テストを行ってp値が0.01以下である3,242個のプローブを選別した。3,242個のプローブ中、腸癌組織及びこれと連接した正常所見組織で過メチル化を示す705個のプローブを選別して、これから約400bp以内に存在する2個以上の連接したプローブが同時に過メチル化を示す6個のバイオマーカー候補遺伝子(CHST11、IRX1、IRX5、KCNA1、SIM1、SORCS3)を選別した(図2)。
【0096】
前記二つの方法で分析したバイオマーカー候補遺伝子中4個の遺伝子は共通の遺伝子と確認され、そこで全バイオマーカー候補遺伝子は7個を確保した(表1)。また、CpGマイクロアレイ分析で過メチル化を示すこれらの7個の遺伝子の各プローブに該当する部位の核酸配列に対してMethPrimer(http://itsa.ucsf.edu/〜urolab/methprimer/index1.html)を利用して、CpGアイランドが存在することを確認した。
【0097】
【表1】

【0098】
実施例2:癌細胞株でのバイオマーカー遺伝子のメチル化測定
実施例1で選別されたバイオマーカー候補遺伝子のメチル化状態を追加的に確認するために、各プロモーターまたはイントロン部位に対してパイロシーケンスを行った。
バイサルファイト(bisulfite)を利用してメチル化されないシトシンをウラシルに変形するために、腸癌細胞株Caco−2(韓国細胞株銀行(KCLB No.30037.1)とHCT116(韓国細胞株銀行(KCLB No.10247)から全ゲノムDNAを分離して、その中ゲノムDNA200ngにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research,USA)を利用して、バイサルファイトで処理した。DNAをバイサルファイトで処理すると、非メチル化されたシトシンはウラシルに変形され、メチル化されたシトシンは変化なしに残ることになる。前記バイサルファイトが処理されたDNAを滅菌蒸溜水20μLで溶出させて、パイロシーケンス(pyrosequencing)を行った。
【0099】
前記7個の遺伝子に対するパイロシーケンスを行うためのPCR及びシーケンスプライマーは、PSQ assay designプログラム(Biotage,USA)を利用して設計した。各遺伝子のメチル化測定のためのPCR及びシーケンスプライマーは下記表2及び表3のとおりである。
【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
前記バイファイトで転換されたゲノムDNA20ngをPCRで増幅した。PCR反応溶液(バイサルファイトで転換されたゲノムDNA20ng、10X PCR buffer(Enzynomics,Korea)5μL、Taq polymerase(Enzynomics,Korea)5units、2.5mM dNTP(Solgent,Korea)4μL、PCRプライマー2μL(10pmole/μL))を95℃で5分間処理した後、95℃で40秒、60℃で45秒、72℃で40秒と合わせて45回実施した後、72℃で5分間反応させた。前記PCR産物の増幅可否は、2.0%アガロースゲルを使った電気泳動で確認した。
【0103】
前記増幅されたPCR産物にPyroGold試薬(Biotage,USA)処理した後、PSQ96MAシステム(Biotage,USA)を利用してパイロシーケンスを行った。前記パイロシーケンス後、メチル化指数(methylation index)を計算することによって、メチル化程度を測定した。メチル化指数は、各CpG部位でシトシンが結合する平均率を求めて計算した。
【0104】
前記バイオマーカー候補遺伝子の腸癌細胞株でのメチル化程度をパイロシーケンス方法を利用して定量的に測定した結果、図3のAに示した通り、前記7個のバイオマーカー遺伝子共に最小1個以上の細胞株で高いレベルでメチル化されていることを確認した。前記7個の遺伝子は、腸癌細胞株で高いメチル化レベルを示すことによって、腸癌診断用バイオマーカーとしての有用性を持つ可能性を示した。そこで、下記の通り、これを検証するために組織試料を利用したメチル化検証実験を追加して行った。
【0105】
実施例3:健常者腸組織でのバイオマーカー候補遺伝子のメチル化測定
実施例1の7個のバイオマーカー候補遺伝子が、腸癌診断用マーカーとしての有用性を持つようにしたいのであれば、患者でない健常者の腸組織では低いメチル化レベルを示さなければならず、腸癌組織では高いメチル化レベルを示さなければならない。
【0106】
従って、これを検証するために、一次的に患者でない健常者2人の腸組織(Biochain社)からQIAamp DNA Mini kit(QIAGEN,USA)を使って、ゲノムDNAを分離した後、前記分離したゲノムDNA200ngにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research,USA)を利用して、バイサルファイトを処理した後、滅菌蒸溜水20μLで溶出してパイロシーケンスに使った。
【0107】
前記バイサルファイトで転換されたゲノムDNA20ngをPCRで増幅した。PCR反応溶液(バイサルファイトで転換されたゲノムDNA20ng、10X PCR buffer(Enzynomics,Korea)5μL、Taq polymerase(Enzynomics,Korea)5units、2.5mM dNTP(Solgent,Korea)4μL、PCRプライマー2μL(10pmole/μL))を95℃で5分間処理した後、95℃で40秒、60℃で45秒、72℃で40秒と合わせて45回実施した後、72℃で5分間反応させた。前記PCR産物の増幅の有無は、2.0%アガロースゲルを使った電気泳動で確認した。
【0108】
前記増幅されたPCR産物にPyroGold試薬(Biotage,USA)で処理した後、PSQ96MAシステム(Biotage,USA)を利用して、パイロシーケンスを行った。パイロシーケンス後、メチル化程度はメチル化指数(methylation index)を計算することによって測定した。メチル化指数は、各CpG部位でシトシンが結合する平均率を求めて計算した。この時、実施例2と同様に表2のPCRプライマーと表3のシーケンスプライマーを使った。
【0109】
その結果、図3のBに示したように、7個の遺伝子中IRX1、IRX5、KCNA1及びCHST11は、正常組織で40%以上の高いメチル化レベルを示して、バイオマーカーとしての有用性がないと判断され、従って、バイオマーカー候補から除外された。一方、SIM1、SDC2及びSORCS3は、相対的に低いメチル化程度を示した。従って、これらSIM1、SDC2及びSORCS3遺伝子のバイオマーカーとしての有用性を次のように腸癌患者組織を対象に検証した。
【0110】
実施例4:腸癌患者組織でのバイオマーカー遺伝子のメチル化測定
健常者腸組織で低いメチル化レベルを示すSIM1、SDC2及びSORCS3遺伝子の腸癌診断用バイオマーカーとしての有用性を検証するために、12人の腸癌患者手術組織(保健福祉家族部指定延世(ヨンセ)大学国家指定バイオチップセンター)から確保した腸癌組織とこれと連接する正常所見組織でゲノムDNAを分離した。
前記分離したゲノムDNA200ngにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research,USA)を利用して、バイサルファイトを処理した後、滅菌蒸溜水20μLで溶出してパイロシーケンスに使った。
【0111】
前記バイサルファイトで転換されたゲノムDNA20ngをPCRで増幅した。PCR反応溶液(バイサルファイトで転換されたゲノムDNA20ng、10X PCR buffer(Enzynomics,Korea)5μL、Taq polymerase(Enzynomics,Korea)5units、2.5mM dNTP(Solgent,Korea)4μL、PCRプライマー2μL(10pmole/μL))を95℃で5分間処理した後、95℃で40秒、60℃で45秒、72℃で40秒と合わせて45回実施した後、72℃で5分間反応させた。前記PCR産物の増幅可否は、2.0%アガロースゲルを使った電気泳動で確認した。
【0112】
前記増幅されたPCR産物にPyroGold試薬(Biotage,USA)で処理した後、PSQ96MAシステム(Biotage,USA)を利用して、パイロシーケンスを行った。パイロシーケンス後、メチル化程度はメチル化指数(methylation index)を計算することによって測定した。メチル化指数は、各CpG部位でシトシンが結合する平均率を求めて計算した。この時、実施例2と同様に表2のPCRプライマーと表3のシーケンスプライマーを使った。
前記3個遺伝子のメチル化程度を測定した結果、図4に示したように、SDC2とSIM1遺伝子は、12人の患者全員(100%)で腸癌組織でこれと連接する正常所見組織に比べて高いメチル化レベルを示した。尚、SORCS3遺伝子は、12人の患者中10人(83.3%)の腸癌組織で高いレベルのメチル化を示して、3個の遺伝子全部が腸癌診断用メチル化バイオマーカーとしての有用性が非常に高いことを確認した。表4は、3個バイオマーカー遺伝子の腸癌組織及びこれと連接する正常所見組織でのメチル化平均値を示したものである。腸癌組織と正常所見組織のメチル化レベルが統計的に有意差があるか否かを確認するために、カイ二乗検定を行い、その結果、3個遺伝子全部がp値が0.01以下と高い有意水準を示すことを確認することができた(表4)。
【0113】
【表4】

【0114】
実施例5:3個バイオマーカー遺伝子の腸癌診断能力評価
実施例4で腸癌マーカーとしての有用性を確認したSIM1、SDC2及びSORCS3遺伝子に対し、追加的に腸癌診断に対する能力を評価するために、MedCalcプログラム(MEDCALC,ベルギー)を利用したROCカーブ(Receiver Operating Characteristic)分析を行った。
その結果、図5に示したように、SDC2遺伝子は感度及び特異度が、各々100%、SIM1遺伝子は83.3%、100%、そしてSORCS3遺伝子は83.3%及び100%を示して、腸癌診断に対する能力が非常に優れることを確認することができた。
【0115】
そこで、追加的に前記3個のバイオマーカー中腸癌組織で診断能力が最も優秀なSDC2遺伝子を利用して、大便試料での腸癌診断能力を評価した。
これのために、ネスティッド・メチレーション特異的(nested methylation-specific)PCR(MSP)技法を利用して、4人の健常者及び10人の腸癌患者の大便試料(保健福祉部指定延世(ヨンセ)大学バイオチップ研究センター)からゲノムDNAを分離した。前記分離したゲノムDNA4μgにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research,USA)を利用して、バイサルファイトを処理した後、滅菌蒸溜水20μLで溶出してnested MSP実験に使った。ネスティッドMSP実験に使ったプライマー配列は表5のとおりである。
【0116】
【表5】

【0117】
前記バイサルファイトで転換されたゲノムDNA1μgをPCRで増幅した。PCR反応溶液(バイサルファイトで転換されたゲノムDNA1μg、10X PCR buffer(Enzynomics,Korea)5μL、Taq polymerase(Enzynomics,Korea)5units、2.5mM dNTP(Solgent,Korea)4μL、Outer PCRプライマー2μL(5pmole/μL))を95℃で5分間処理した後、95℃で40秒、60℃で45秒、72℃で40秒と合わせて30回実施した後、72℃で5分間反応させた。前記PCR産物の1/2を取って同様の方法で45回PCRを行って、PCR産物の増幅の有無は2.0%アガロースゲルを使った電気泳動で確認した。
【0118】
その結果、図6に示したように、SDC2遺伝子は4人の健常者では全くメチル化が観察されなかったのに対して、10人の腸癌患者中6人(60%)でメチル化が観察されて、大便を利用した腸癌診断にも有用性を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上述べたように、本発明に係るメチル化検出方法と診断用組成物、キット及び核酸チップを利用すると、腸癌を初期形質転換段階で診断できるため、早期診断が可能で、通常の方法より正確でかつ早く腸癌を診断できるため有用である。
【0120】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ステップを含む腸癌診断のための、腸癌特異的メチル化マーカー遺伝子のメチル化検出方法:
(a)DNAを含有した臨床サンプルを準備するステップ、及び
(b)前記臨床サンプルのDNAから下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、またはそのプロモーターのCpGアイランドのメチル化を検出するステップ:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【請求項2】
前記ステップ(b)は、前記遺伝子のイントロン部位のCpGアイランドのメチル化を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、配列番号1の核酸配列を含むSDC2遺伝子のイントロン部位のCpGアイランドのメチル化を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、配列番号2の核酸配列を含むSIM1遺伝子のプロモーター部位のCpGアイランドのメチル化を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、配列番号3の核酸配列を含むSORCS3遺伝子のイントロン部位のCpGアイランドのメチル化を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)は、PCR、メチル化特異的PCR、リアルタイムメチル化特異的PCR、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ、パイロシーケンス及びバイサルファイトシーケンスからなる群から選択される方法により行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記臨床サンプルは、癌の疑いのある患者、または診断対象由来の組織、細胞、血液、血漿、大便及び尿からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、またはそのプロモーターのCpGアイランドを含有する腸癌診断用組成物:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【請求項9】
前記CpGアイランドは、遺伝子のイントロン部位に位置することを特徴とする請求項8に記載の腸癌診断用組成物。
【請求項10】
前記CpGアイランドは、配列番号1の核酸配列を含むSDC2遺伝子のイントロン部位に位置することを特徴とする請求項8に記載の腸癌診断用組成物。
【請求項11】
前記CpGアイランドは、配列番号2の核酸配列を含むSIM1遺伝子のプロモーター部位に位置することを特徴とする請求項8に記載の腸癌診断用組成物。
【請求項12】
前記CpGアイランドは、配列番号3の核酸配列を含むSORCS3遺伝子のイントロン部位に位置することを特徴とする請求項8に記載の腸癌診断用組成物。
【請求項13】
下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、またはそのプロモーターのCpGアイランドを含む断片を増幅するためのPCRプライマー対と前記プライマー対によって増幅されたPCR産物をパイロシーケンスするためのシーケンスプライマーを含有する腸癌診断用キット:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【請求項14】
前記PCRプライマー対は、配列番号12及び13のプライマー対、配列番号14及び15のプライマー対、及び配列番号16及び17のプライマー対からなる群から選択されるプライマー対であることを特徴とする請求項13に記載の腸癌診断用キット。
【請求項15】
前記シーケンスプライマーは、配列番号22〜24のプライマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の腸癌診断用キット。
【請求項16】
下記遺伝子のうちいずれか少なくとも一つの遺伝子のCpGアイランド、またはそのプロモーターのCpGアイランドを含む断片と厳格な条件下でハイブリダイゼーションできるプローブが固定されている腸癌診断用核酸チップ:
(i)SDC2(NM_002998、シンデカン2)、
(ii)SIM1(NM_05068、シングルマインディドホモログ1(ショウジョウバエ))、及び
(iii)SORCS3(NM_014978、ソーティリン関連VPS10ドメインコンテイニングレセプター3)。
【請求項17】
前記プローブは、配列番号33〜44で表される塩基配列からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項16に記載の腸癌診断用核酸チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509872(P2013−509872A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537798(P2012−537798)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007030
【国際公開番号】WO2011/055916
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(510149367)ゲノミクトリー インコーポレーテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】GENOMICTREE,INC.
【Fターム(参考)】