説明

腹膜透析カテーテル

【課題】持続注入腹膜透析(CFPD)のために新規のカテーテルを提供すること。
【解決手段】外部患者部分から延びる移植可能な部分を有するチューブ14であって、当該移植可能な部分は、当該外部患者部分と当該移植可能な部分の遠位末端との間に湾曲セグメントを有する、チューブ;当該外部患者部分中の第1の管腔ポートから当該移植可能な部分の湾曲セグメント中の第1の管腔ポートまで、当該チューブを通って延びる第1の管腔;および当該外部患者部分中の第2の管腔ポートから当該移植可能な部分中の第2の管腔ポートまで、当該チューブを通って延びる第2の管腔であって、当該移植可能な部分中の当該第2の管腔ポートは、当該湾曲セグメント中の第1の管腔部分から間隔が開いている、第2の管腔;を備える、透析カテーテル10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、カテーテルに関連する。より詳細に述べれば、本発明は2本の流体流路を有する二重内腔カテーテルに関する。上記カテーテルを腹膜透析に使用して、透析液の患者への注入と患者からの除去を同時に行うことができる。本発明はまた、カテーテルを埋込み、使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
腎不全および腎機能低下は、透析によって処置されている。透析は、健常者では正常に機能する腎臓によって除去されるはずの老廃物、毒素および過剰の水を、体から除去する。腎機能の代わりとなる透析処置は生命を救うので、多くの人々にとって必要不可欠である。腎不全患者は少なくとも腎臓の濾過機能の代用なしには生き続けることができない。
【0003】
血液透析および腹膜透析は、腎機能の喪失を処置するために一般的に使用されている二種類の透析である。血液透析処置は、患者から老廃物、毒素および過剰の水分を除去するためにその患者の血液を利用する。患者は血液透析器につながれ、患者の血液はポンプで上記機器を通過する。カテーテルを患者の静脈および動脈に挿入し、血流を血液透析器に接続する。老廃物、毒素および過剰の水を患者の血液から除去し、その血液は患者に再注入される。血液透析処置は数時間続き、一般には処置施設で1週間に約3または4回行われる。
【0004】
腹膜透析は、患者の腹腔に注入する透析溶液および透析液を使用する。この透析液は患者の腹腔の腹腔膜と接触する。老廃物、毒素および過剰の水は患者の血流から腹腔膜を通って透析液に入る。老廃物、毒素および水分の血流から透析液への移行は、拡散および浸透圧によって起きる。使用ずみの透析液は患者の腹腹腔から導き出され、老廃物および毒素および水は患者から除去され、透析液は交換される。
【0005】
腹膜透析カテーテルは、新鮮な透析液を腹腔に運搬し、使用ずみ透析液を腹腔から除去するために使用される。代表的には、腹膜カテーテルは腹腔に埋込まれ、長期間埋込まれたままになる。例えば、平均的カテーテルは、約18−24カ月埋込まれたままになるが、カテーテルが2年以上埋込まれることも稀ではない。
【0006】
連続携帯式腹膜透析(CAPD)や自動腹膜透析法を含む種々のタイプの腹膜透析がある。CAPDは手動透析処置であり、患者は埋込まれたカテーテルを排液管に接続し、使用ずみ透析液を腹腔から排出させる。その後患者は新鮮な透析液の袋と接続し、手動で上記新鮮な透析液をカテーテルを通して患者の腹腔に流入させる。その後患者はカテーテルを上記新鮮な透析液の袋から分離し、透析液を腹腔内に留置させ、老廃物、毒素および過剰の水が患者の血流から透析溶液に移行する。留置期間後、患者は上記手動透析法を繰り返す。患者はその日に、排液、充填および留置を1日数回、例えば約4回繰り返す。各処置サイクルは、代表的には、約3−4時間を要する。患者によって行われる手動腹膜透析は、非常に多くの時間と患者の努力を必要とする。患者は日常的に不便であり、患者のクォリティー・オブ・ライフを高めるために処置法を改善する余地が十分残されている。
【0007】
自動腹膜透析は、透析処置が排液、充填および留置サイクルを含むという点で連続腹膜透析に類似している。しかし透析機械は、3〜4サイクル、一般的には一晩中、患者が眠っている間も自動的に腹膜透析処置を行う。透析機械は埋込まれたカテーテルと流体連絡している。透析機械はまた、新鮮な透析溶液の袋のような新鮮な透析液源にも、排液管にも流体連絡している。透析機械は、使用ずみ透析液を腹腔からカテーテルを介して排液管に送る。その後、この透析機械は、新鮮な透析液を透析液源からカテーテルを通して患者の腹腔内に送る。透析機械は、透析液を腹腔内に留置させ、老廃物、毒素、および過剰の水を患者の血流から透析溶液に移行させることができる。透析機械はコンピューターでコントロールされるので、患者が透析機械に繋がれている間、例えば一晩中でも自動的に透析処置を行うことができる。数回の排液、充填および留置サイクルが、処置の間に生じる。また、代表的には、自動的透析処置をいったん打ち切る際には最後の充填を行い、患者は透析機械から離れることができ、透析液が腹腔内に留まっている間、日常的機能を続けることができる。自動腹腔透析は、手動による排液、留置および充填工程の実行から患者を解放し、患者の透析処置およびクォリティー・オブ・ライフを改善することができる。
【0008】
患者の腹膜透析を行うために患者に移植するための種々のカテーテルが存在する。既存の腹腔内カテーテルには単一管腔および二重管腔カテーテルがある。単一管腔カテーテルは、カテーテル全体に単一の流体流路を有し、二重管腔カテーテルは二つの流体流路を有する。単一管腔カテーテルは、いかなる時点でも流体を一方向にのみ、すなわち患者内にまたは患者の外に流す。二重管腔カテーテルは流体を患者内および患者外の両方に同時に流すことができる。カテーテルは外科的に患者に埋込まれ、そのカテーテルは流体を患者に流し込み、患者から排出させるので、カテーテルの改良およびカテーテルの埋込法および使用法の改善は有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、特に持続注入腹膜透析(CFPD)のために新規のカテーテルを提供する。CFPDにおいて、透析液は連続的に、すなわち同時に患者内におよび患者から流れる。上記新しいカテーテルは二つの管腔を有する。一つの管腔は新鮮な透析液を患者内に注入し、他の管腔は使用ずみ透析液を患者から除去する。よって、新鮮な透析液は患者内に流入し、同時に使用ずみ透析液が患者から外に出され得る。新しいカテーテルを用い、透析機械を使用して透析処置が自動的に行われることが見込まれる。
【0010】
新しいカテーテルは、このカテーテルが使用ずみ透析液を腹腔から除去する位置からかなり離れた腹腔内の位置に新鮮な透析液を運搬する。カテーテルの患者流入部位と患者流出部位との分離は、腹腔内における透析液の混合を高めやすくする。また、透析液が患者の流入部位から腹腔を通って流出部位に流れる際に、透析液は腹腔膜の相対的に広い面積に接触しやすくなる。透析液がカテーテルの患者流入部位から直接患者流出部位に流れ、分路を作り、腹腔膜との接触が最小になるという状態は回避されやすくなる。患者流入部位において、上記カテーテルは流入管腔からの流体開口部を有し、この流体開口部は、患者流出部位の患者流出管腔への流体開口部から離れる方向に向いている。患者流体流入口のこの方向も透析液混合を高め、腹腔内における分流を最小にする傾向がある。
【0011】
本発明によるカテーテルの一つは患者の近位末端外側から上方に延び、患者に入り、予備成形された湾曲部に至る。近位末端には患者流入および流出管腔の開口部があり、透析液供給管および排液管を備える透析機械と接続する。患者流入管腔は、近位端から予備成形された湾曲部の患者流入口に延びている。カテーテルはさらに、予備成形された湾曲部から下方に延び、患者の腹腔内部の遠位端に至る。患者流出管腔は近位端から遠位端の患者流出口まで延びている。カテーテルの遠位端はコイル形を有することができる。患者に埋込まれる際には予備成形された湾曲部は腹腔の上部領域に置かれ、コイル状の遠位端は腹腔の下方に位置する。患者が腹腔に流体を満たして仰向けに(背中をつけて)横たわる通常の腹膜透析のCTスキャンおよびMRIの画像には、明らかに二つの流体だまりが示される。たまりの一つは肝臓および脾臓の近くの上部腹腔領域に見いだされる。第2のたまりは腸の塊によって上部流体だまりから分離された下部骨盤領域にある。本発明のカテーテルの形は、新鮮な透析液が直接注入される上部たまりに(カテーテルの)患者流入部分が配置されるように考案されている。一度注入されると、最初の透析液は腸の塊を通って下方に濾過され、策略的に下方プールに置かれた患者流出部分に入る。このプロセスは使用ずみの透析液との混合を改善し、腹腔膜の広い面積を“より新鮮な”透析液にさらし、毒素および水の除去を高める。カテーテルのこの形はカテーテルの位置を腹腔内に維持するためにも役立ち、すなわち予備成形された湾曲部の患者流入口が腹腔内の高い位置に置かれ、患者流出端が腹腔の低い位置に置かれる。これはカテーテル先端の移動によるカテーテルへの大網癒着(これはカテーテル液流の障害となる)の減少および阻止に役立つ。
【0012】
透析処置中、流体は近位端から患者流入管腔を通って、患者流入口から腹腔へと流れる。腹腔内のこの流体は腹腔膜に接触し、腹腔内の液と混合し、老廃物、毒素および水を除去し、患者の遠位カテーテル端の流出口の方に流れる。その後流体は遠位端から患者流出管腔を通ってカテーテル近位端にまで流れ、患者から除去される。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1) 以下:
外部患者部分から延びる移植可能な部分を有するチューブであって、当該移植可能な部分は、当該外部患者部分と当該移植可能な部分の遠位末端との間に湾曲セグメントを有する、チューブ;
当該外部患者部分中の第1の管腔ポートから当該移植可能な部分の湾曲セグメント中の第1の管腔ポートまで、当該チューブを通って延びる第1の管腔;および
当該外部患者部分中の第2の管腔ポートから当該移植可能な部分中の第2の管腔ポートまで、当該チューブを通って延びる第2の管腔であって、当該移植可能な部分中の当該第2の管腔ポートは、当該湾曲セグメント中の第1の管腔部分から間隔が開いている、第2の管腔、
を備える、透析カテーテル。
・(項目2) 上記チューブの移植可能な部分上に少なくとも1つの移植片カフをさらに備える、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目3) 上記湾曲セグメント中の第1の管腔ポートが、当該湾曲セグメントの外側の放射状表面に複数の開口部を備える、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目4) 上記複数の開口部が実質的に丸い穴である、項目3に記載の透析カテーテル。
・(項目5) 上記複数の開口部がスロットである、項目3に記載の透析カテーテル。
・(項目6) 上記移植可能な部分が、上記遠位端でコイル形状である、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目7) 上記移植可能な部分中の第2の管腔ポートが、複数の穴を備える、項目6に記載の透析カテーテル。
・(項目8) 上記移植可能な部分中の第2の管腔ポートが、複数のスロットを備える、項目6に記載の透析カテーテル。
・(項目9) 上記移植可能な部分が、上記遠位端で実質的に直線形状を有する、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目10) 上記移植可能な部分中の第2の管腔ポートが複数の穴を備える、項目9に記載の透析カテーテル。
・(項目11) 上記移植可能な部分中の第2の管腔ポートが複数のスロットを備える、項目9に記載の透析カテーテル。
・(項目12) 上記チューブが、上記第1の管腔と第2の管腔との間に中隔を有する単一のチューブである、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目13) 上記湾曲セグメント中の第1の管腔ポートが、患者の流入ポートである、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目14) 上記移植可能な部分中の第2の管腔ポートが、患者の流出ポートである、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目15) 上記第1の管腔が、上記移植可能な部分の遠位端の前で終結する、項目1に記載の透析カテーテル。
・(項目16) 以下:
患者の流入管腔への流入ポートおよび患者の流出管腔への流出ポートを有する接続部分;
当該接続部分から延び、そして当該患者の流入管腔への患者流入開口部を有する、患者流入部分;
当該患者流入部分から延びる分離部分;ならびに
当該分離部分から延び、そして当該患者の流出管腔への患者流出開口部を有する、患者流出部分、
を備える、透析カテーテル。
・(項目17) 項目16に記載の透析カテーテルであって、上記カテーテルが実質的に応力を受けない状態で存在する場合、接続部分は実質的に直線状であり、上記患者流入部分が湾曲状であり、そして上記分離部分が実質的に直線状である、透析カテーテル。
・(項目18) 上記患者流出部分がコイル状である、項目17に記載の透析カテーテル。
・(項目19) 上記患者流出部分が実質的に直線状である、項目17に記載の透析カテーテル。
・(項目20) 項目16に記載の透析カテーテルであって、上記患者流入部分が、上記カテーテルの移植可能な部分の最上部分であり、そして上記患者流出部分が、上記カテーテルの移植可能な部分の最低部分である、透析カテーテル。
・(項目21) 項目16に記載の透析カテーテルであって、上記接続部分、上記患者流入部分、上記分離部分、および上記患者流出部分が、上記患者流入管腔と上記患者流出管腔との間に内部中隔を有する可撓性のチューブをさらに備える、透析カテーテル。
・(項目22) 上記患者流入部分が湾曲形状を有する、項目16に記載の透析カテーテル。
・(項目23) 上記患者流入管腔への患者流入開口部が、上記患者流出管腔への患者流出開口部と離れる方向に存在する、項目16に記載の透析カテーテル。
・(項目24) 項目16に記載の透析カテーテルであって、上記カテーテルは、上記患者流入管腔および上記患者流出管腔を有する単一のチューブを備え、ここで、当該チューブは、当該患者流入管腔および当該患者流出管腔の両方を有するチューブから、上記患者流入部分と遠位カテーテル末端との間の位置に当該患者流出管腔のみを有するチューブへ移行する、透析カテーテル。
・(項目25) 腹膜透析カテーテルであって、当該カテーテルは、第1の管腔および第2の管腔を有する可撓性の単一のチューブを備え、当該第1の管腔は、第1の流体開口部から第2の流体開口部に延び、当該第2の管腔は、第3の流体開口部から第4の流体開口部に延び、当該第1の流体開口部および当該第3の流体開口部は、当該カテーテルの外部患者部分に存在し、当該第2の流体開口部および第4の流体開口部は、当該カテーテルの移植可能な部分に位置し、そして互いに間隔が開いており、当該カテーテルの移植可能な部分は、ほぼ非直線形状を有する、腹膜透析カテーテル。
・(項目26) 上記第2の流体開口部が、上記移植可能な部分の非直線形状部分に位置する、項目25に記載の腹膜透析カテーテル。
・(項目27) 上記第2の流体開口部および第4の流体開口部が、上記カテーテルの外部への流体開口部がない、実質的に直線のチューブ部分によって分離される、項目25に記載の腹膜透析カテーテル。
・(項目28) 上記第2の流体開口部が、上記移植可能な部分の垂直的に最上部分に位置し、そして上記第4の流体開口部が、上記移植可能な部分の垂直的に最低部分に位置する、項目25に記載の腹膜透析カテーテル。
・(項目29) 透析カテーテルであって、以下:
実質的に直線状の接続部分;
当該接続部分から延びる、非直線状の患者流入部分;
当該患者流入部分から延びる、分離部分;
当該分離部分から延びる、患者流出部分;
当該接続部分から当該患者流入部分に延びる、患者流入管腔;および
当該接続部分から当該患者流出部分に延びる、患者流出管腔、
を備える、透析カテーテル。
・(項目30) 上記分離部分が、実質的に直線形状である、項目29に記載の透析カテーテル。
・(項目31) 上記患者流出部分が、コイル形状である、項目29に記載の透析カテーテル。
・(項目32) 上記患者流入部分が、約180°の湾曲形状である、項目29に記載の透析カテーテル。
・(項目33) 第1および第2の管腔を有する、腹膜透析カテーテルであって、以下:
当該第1および第2の管腔への流体ポートを有する透析機器接続部分;
当該接続部分から延び、そして当該第2の管腔への流体ポートを有する、非直線状部分;
当該非直線状部分から延びる、分離部分;および
当該分離部分から延び、そして当該第1の管腔への流体ポートを有する、遠位端部分、
を備える、腹膜透析カテーテル。
・(項目34) 上記第1の管腔が、患者流入管腔であり、そして上記第2の管腔が、患者流出管腔である、項目33に記載の腹膜透析カテーテル。
・(項目35) 上記非直線状部分が、湾曲形状を有し、そして当該非直線状部分の流体ポートが、上記遠位端部分の流体ポートと反対の方向を向く、項目33に記載の腹膜透析カテーテル。
・(項目36) カテーテルを介して流体を流す方法であって、当該方法は、以下の工程:
当該カテーテルの近位端の第1の管腔に流体を流す工程;
当該第1の管腔の湾曲経路へ、当該第1の管腔中の当該流体を流す工程;
当該湾曲経路中の流体開口部を通して、当該カテーテルの外へ、当該湾曲経路中の当該流体を流す工程;
当該カテーテルの遠位端の第2の管腔中へ、当該湾曲経路中の開口部から、当該カテーテルを出る流体を流す工程;および
当該カテーテルの近位端の流体開口部に、かつ当該カテーテルの外へ、当該第2の管腔中の当該流体を流す工程、
を包含する、方法。
・(項目37) カテーテルを患者に移植する方法であって、当該方法は、以下の工程:
当該カテーテルの内側にスタイレットを有する当該カテーテルを直線状にする工程;
当該直線状にしたカテーテルを下に向けながら、患者の腹膜腔中へ、進入切開部を通して当該直線状にしたカテーテルの遠位端を挿入する工程;
当該カテーテルを当該腹膜腔内に進めながら、当該遠位端が当該腹膜腔の下部領域に位置し、そして遠位インプラント・カフが、当該患者の腹直筋に配置されるまで、当該カテーテルから当該スタイレットの一部を取り出す工程;
当該患者の外側の当該スタイレットおよびカテーテルの部分を下向きに、そして当該患者の内側の当該スタイレットおよびカテーテルの部分を上向きに回転させる工程;および
当該カテーテルを、当該進入切開部の下に出口部位を有する皮下トンネルを通して引き抜く工程、
を包含する、方法。
【0013】
本発明の種々の利点は添付の図面を参照し、添付の請求を含むこの開示を読むことによって明らかになる。これら利点は望ましいが、本発明の実施において必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の原理によるカテーテルの平面図である。
【図2】図2は、患者に埋込まれた図1のカテーテルの略図である。
【図3】図3は、図1のカテーテルの外部カテーテル端面の末端図である。
【図4】図4は、線IV−IVに沿って切った図1のカテーテルの断面図である。
【図5】図5は、患者流入管腔からの流体口を示す図1のカテーテルの部分の斜視図である。
【図6】図6は、線VI−VIに沿って切った図1のカテーテルの断面図である。
【図7】図7は、患者流入管腔からのまた別の流体口を示す図1のカテーテル部分の斜視図である。
【図8】図8は、図7の別の実施形態を示す図1の線VI−VIに沿う断面図である。
【図9】図9は、線IX−IXに沿った図1のカテーテルの断面図である。
【図10】図10は、患者流入部分から分離部分に移行する図1のカテーテルの一部分の縦断面図である。
【図11】図11は、別の断面を示す、線IX−IXに沿った図1のカテーテルの断面図である。
【図12】図12は、図11の別の実施形態に従う、患者流入部分から分離部分に移行する図1のカテーテルの一部分の縦断面図である。
【図13】図13は、線XIII−XIIIに沿った、図1のカテーテルの断面図である。
【図14】図14は、図13に従う、図1のカテーテルの一部分の斜視図である。
【図15】図15は、患者流出管腔への別の流体ポートを示す、図1の線XIII−XIIIに沿った断面図である。
【図16】図16は、図15の患者流入管腔への流体ポートの別の実施形態を示す、図1のカテーテルの一部分の斜視図である。
【図17】図17は、別の断面を示す、線XIII−XIIIに沿った図1のカテーテルの断面図である。
【図18】図18は、別の断面を示す、線XIII−XIIIに沿った図1のカテーテルの断面図である。
【図19】図19は、別の断面を示す、線XIII−XIIIに沿った図1のカテーテルの断面図である。
【図20】図20は、本発明の原理に従う、別のカテーテルの一部分の平面図である。
【図21】図21は、患者に埋め込まれた図1のカテーテルを示す、患者の部分断面図である。
【図22】図22は、患者に埋め込まれた図1のカテーテルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態で作製され得るが、ここでは、好ましい実施の形態が本開示に記載され、添付の図面に示される。本開示は本発明の原理を例示するものであり、本発明の広範な局面は、例示される実施形態のみに制限されない。
【0016】
本発明の原理に従う新しいカテーテル10は、図1に例として示される。カテーテル10が、腹膜透析を行うために患者の腹膜腔に埋め込まれる。図2を参照すると、カテーテル10は、患者12に埋め込まれた形で、点線によって部分的に示される。カテーテル10は、透析液の腹膜腔内への注入および腹膜腔からの除去を可能にする。特に、カテーテル10は、持続注入腹膜透析治療を可能にする。持続注入腹膜透析とは、透析液が、同時に腹膜腔内へ流れることおよび腹膜腔外へ流れることを意味する。このカテーテル10を使用して、他のタイプの腹膜透析を行い得る。
【0017】
カテーテル10は、可撓性チューブ14を通る2つの管腔または流体流路を有する、2管腔カテーテルである。一方の管腔は、流体を患者の外部からカテーテル10を通って患者内へ流すこと、すなわち、透析液を腹膜腔内に注入することを可能にする。第2の管腔は、反対方向の流体の流れを提供する。第2の管腔は、流体を腹膜腔からカテーテル10を通って流し、そして患者から排出するのを可能にする。カテーテル10の2つの管腔に起因して、持続注入腹膜透析が可能である。しかし、カテーテル10は、透析液を、患者へおよび患者から同時に流すことなく、使用され得る。例えば、任意の所定の時点において、流体が一方の管腔中のみを流れるように、透析治療を制御し得る。また、所望の場合、一方の管腔のみを使用し、もう一方の管腔は使用されない。カテーテル10は、複数の管腔を有する単一のチューブ14として示され、そして説明されるが、他の構造も使用され得る。例えば、カテーテル10は、その縦方向の長さに沿って共に接続された、2つの単一管腔のチューブから作製され得る。
【0018】
カテーテル10は、患者内への埋め込みに適切な可撓性の医薬用チューブ14から作製される。図1を参照すると、カテーテル10は、4つの主要部分、すなわち、接続部分16、患者流入部分18、流入/流出分離部分20および患者流出部分22を有するように、記載されている。接続部分16は、外部カテーテル末端24(近位端)から、接合部26へ延び、患者流入部分18に通ずる。患者流入部分18は、接合部26から接合部28に延びで分離部分20に通ずる、湾曲した部分である。分離部分20は、患者流入部分18に接続する接合部28から、患者流出部分22に接続する接合部30に延びる。患者流出部分22は、接合部30から内部カテーテル末端32(遠位端)にまで延びる。接合部26、28、30の位置、ならびに部分16、18、20、22の長さおよび形状は、本発明の実施形態に依存して変化し得る。
【0019】
図1および2を参照すると、カテーテル10の接続部分16は、カテーテル10を透析液供給及び除去システム(示されず)(例えば、自動連続注入腹膜透析システム)に接続する機能を提供する。外部カテーテル末端24は、患者12の体外に置かれ、自動連続注入腹膜透析システムに接続される。カテーテル10は、患者12に埋め込まれた場合、全体的に縦方向に置かれ、患者流入部分18は、垂直方向上向きに、腹膜腔の上部領域の方向に配置される。接続部分16は、垂直方向下向きに延び、出口34で患者12の外に延びる。分離部分20も、患者流入部分18から垂直方向下向きに延びる。患者流出部分22は、下向きで、腹膜腔の底部の方向に配置される。
【0020】
外部カテーテル末端24の端面図が、図3に示される。患者流入管腔36は、流体をカテーテル末端24のポート38から患者内に流すのを可能にする。患者流出管腔40は、流体をカテーテル末端24のポート42から患者外に流し出すのを可能にする。隔壁44は、患者流入管腔および患者流出管腔36、40を、互いに分離する。よって、患者流入管腔および患者流出管腔36、40は、2管腔カテーテル10を介して流体を患者内におよび患者外に同時に流すことを可能にする。
【0021】
図1および図2を参照すると、接続部分16はまた、患者へのカテーテル10の固定を提供する。接続部分16上の1以上のインプラント・カフ46、48が、カテーテル10を患者に固定する。インプラント・カフ46、48は、ポリエステルフェルトとでもよいし、カフ内への組織成長を可能にする他の材料でもよい。カテーテル10が患者に埋め込まれる場合、カフ46は、患者の皮膚の下に位置付けられ、カフ48は、患者の直筋に包理される。皮下組織が、インプラント・カフ46、48内へ成長し、カテーテル10を患者に固定する。カテーテル10が患者内に埋め込まれる場合、外部カテーテル末端24からカフ46近くまでのカテーテル10の部分は、患者の外側にあり、外部患者部分50と呼ばれる。カテーテル10の残りは、患者内部に埋め込まれ、埋め込み可能部分52と呼ばれる。図1に示すように、埋め込み可能部分52は、ほぼ非線形であるが、埋め込み可能部分52の一部は、実質的に線形であり得る。
【0022】
図1および図3を参照すると、放射線不透過性ストライプ54が、カテーテル10の長さに沿って延びる。好ましくは、放射線不透過性ストライプ54は、患者流出管腔40に沿って延びるが、放射線不透過性ストライプ54は、所望のように、カテーテル10の任意の位置に配置され得る。X線下で、放射線不透過性ストライプ54は、患者内部にあるカテーテル10の位置を示す。
【0023】
図4は、図1の接続部分16の線IV−IVの断面図を示す。接続部分16の断面(図4)は、外部カテーテル末端24から接合部26までの接続部分16の長さに沿って、ほぼ同一である。但し、カフ46および48は、図4に示されない。また、接合部26領域の断面は、患者流入部分18の断面に依存して、接続部分16が患者流入部分18に移行するにつれて変化し得る。
【0024】
図1および図5を参照すると、患者流入部分18は、患者流入管腔36への流体開口部(ポート)56を有し、透析液が患者流入管腔36から出て、そして腹膜腔に注入されるのを可能にする。患者流入部分18は、湾曲した形に予備成形され、湾曲部分を形成する。好ましくは、流体開口部56は、湾曲した流入部分18の外側半径方向表面に沿った、カテーテルチューブ壁を通過する複数の丸い孔である。湾曲部分は、好ましくは、約180゜の弧を描くが、より大きいまたはより小さい程度の湾曲が使用され得る。カテーテル10が患者に埋め込まれる場合、患者流入部分18は、ほぼ腹膜腔の上部領域の方向に配置され、カテーテル10の残りの部分は、下方に延びる。
【0025】
図6は、図1の線VI−VIに沿った、患者流入部分18の断面図を示す。患者流入部分18の断面は、管腔36、40の形状に依存して、接続部分16から分離部分20まで一貫する(但し、接合部26、28の移行部は除く)。患者流入管腔36の患者流入部分18の流体開口部56は、複数の丸い孔である。所望の場合、孔の形状および大きさは、流入部分の長さに沿って変化し、より均一な流れパターンまたは特異的な流速分布を作成し得る。図5に示すように、2列の孔56が、等しい間隔で並んでいる。2列の孔56は、長手方向に互いにずれているが、このずれは、カテーテルの適切な機能に必要でない。図6に示すように、2列の孔における孔56の中心線は、約90゜の角度を形成するが、他の角度も使用され得る。孔56の位置は、腹膜腔内の透析液の徹底的な混合を可能にする。図1を参照して、流体孔56は、患者流出部分22から離れる方向に面する。よって、患者流入部分18中の孔56から腹膜腔に入る透析液は、曲がりくねった通路を通って患者流出部分22に到達する。これは、腹膜に対する透析液の接触を増強しそして混合を改善する傾向をもたらす。腹膜との改善された透析液の接触およびより良好な混合は、患者の透析治療効果を改善し得る。
【0026】
患者流入部分18は、湾曲した形状を有するものとして説明してきた。用語「湾曲(した)」は、チューブ14の滑らかな曲線以外の構造(例えば、非線形形状)を意図する。カテーテル10に沿って近位端24から上方に従って、患者流入部分18は、カテーテル10の長手方向を下向きの方向に逆転し、遠位端32に達する。流体開口部56を有するのに加えて、患者流入部分18は、接続部分16および分離部分20を共に結合する。よって、「湾曲(した)」という用語は、多くの異なる形状(例えば、逆U字形、逆V字形、線の端で直角を有する直線ライン、および接続部分16を分離部分20に接続する他の構造)を意図する。また、患者流入部分18は、湾曲部分として予備成形され、一般には、その湾曲形状を保持する。チューブ14は、可撓性であるが、形状保持チューブ14は、患者の体内に埋め込まれた場合に、患者流入部分18の湾曲形状を保持する傾向を有する。カテーテル10のチューブ14全体は、可撓性で、形状保持特性を有する。
【0027】
別の患者流入部分58が、図7および図8に示される。患者流入部分18の流体開口部56の丸い孔(図5および図6)の代わりに、患者流入部分58は、細長いスロット60を有し、透析液を腹膜腔に流すことを可能にする。また、この患者流入管腔は、隔壁64によって分離された2つの患者流入管腔62である。隔壁64は、両方の患者流入管腔62間を流体の流れを可能にする開口部を有し得る。流体開口部56は、所望の場合、丸い孔およびスロット以外の形状(例えば、細長い孔)を有し得る。
【0028】
図1を参照すると、カテーテル10の埋込まれる部分52には分離部分20がある。分離部分20は可撓性チューブ14のほぼ真っすぐな部分であり、それは患者流入部分18と患者流出部分20とを相互に分離する。上記のように、カテーテル10が患者に埋込まれると、患者流入部分18は一般的に腹腔の上部領域に置かれ、透析液を患者に供給する。分離部分20により、患者流出部分22は腹腔の下部領域へ下がり、患者流入部分18から離れる。分離部分20があるため、患者流入部分18から患者内に流れ込んだ透析液は、腹腔内を長距離移動して患者流出部分22に達する。透析液が腹腔内を長い距離流れることはまた、透析治療を改善する傾向を有する、なぜならば透析液は腹膜のより広い部分(表面積)と接触し、新鮮な透析液と使用ずみの透析液とのより良い混合が起き得るからである。
【0029】
図9は、患者流入部分18を有するジャンクション28から患者流出部分22を有するジャンクション30までの分離部分20の断面図である。この実施形態において、分離部分20には患者流出管腔40はあるが、患者流入管腔36はない。なぜならば患者流入管腔36は途中で打ち切られているからである。図10は患者流入部分18と分離部分20との間のジャンクション28領域のカテーテル10の長手軸断面図を示す。患者流入管腔36は末端66で終わる。カテーテル10は二重管腔カテーテルから単一管腔カテーテルに移行する。
【0030】
図11および図12は別の分離部分68の断面を示す。この実施形態において、分離部分68は患者流入管腔70および患者流出管腔72を両方有する。隔壁74が患者流入管腔と流出管腔70、72とを分離する。この実施形態において、患者流入管腔70は遠位カテーテル末端32において、またはその前に、打ち切られるか閉鎖され得る。
【0031】
患者流出部分22は図1に示される。患者流出部分22は予備成形されたコイル状を有する。流体開口部(ポート)76および開いた遠位端32は患者流出管腔40に通じており、流体はカテーテル10を通って腹腔を出ることができる。図13および図14を参照すると、流体開口部は好ましくは、ジャンクション30から遠位端32までのチューブ14の外周のほぼ全体にある複数の孔76である。流体開口部76を有する患者流出部分22は患者流入部分18および流体開口部56からは非常に離れた位置にある。よって透析液は、腹腔の上部領域に置かれる患者流入部分18から、腹腔の下部領域に置かれる患者流出部分22まで達するには非常に長い距離を流れなければならない。カテーテル10による上記透析液の流入および流出は同時に起き得る。
【0032】
図15および図16は別の患者流出部分78を示す。この実施形態においては、孔76の代わりに流体開口部が複数の細長いスロット80である。数個の隔壁82が一つに結合し、外側チューブ部分84を一緒に支えている。患者流出管腔は隔壁82によって数本の患者流出管腔86に分割されている。上記隔壁82は、流体が患者流出管腔86のいずれかの間を通過できるような開口部をもつことができる。患者流出部分の流体開口部76は所望により孔およびスロット以外の形をとることができることは当然である。
【0033】
図17〜図19は患者流出部分22のまた別の断面を示す。図17において、患者流出部分88は放射線不透過性ストライプ54を有するチューブ側だけにスロット80を有する。管腔90は、開いた遠位端32からおよび/または流体開口部から隔壁82を介して、管腔86に流体を運搬し患者外に排出するので、患者排出管腔の一部である。管腔90は患者流入管腔36の一部であってもよいが、遠位端32で、またはその前に閉鎖末端を有している。図17の患者流出部分88では、放射線不透過性ストライプ54の反対側にはスロットがないから、管腔90周囲の構造的強度はより大きくなり得る。従って、管腔90は、カテーテル10の装着中に管腔90内に挿入する補強用スタイレットをより多く含むことができる。図18の患者流出部分92は図17の患者流出部分88に似ている。ただし、図18の実施形態のスロット80は放射線不透過性ストライプの反対側チューブにある。図19の患者流出部分94は図17の患者流出部分88に似ている。ただしスロット80の代わりに孔76が配設される。
【0034】
図20はカテーテル10の別の実施形態を示す。この実施形態において、カテーテル10は患者流出部分22以外は上述の実施形態とほぼ同じである。可撓性の患者流出部分96は図1に示される患者流出部分22のコイル形ではなくむしろ実質的に真っすぐの形を有する。患者流出部分96は患者流出管腔40のための口、例えば複数の孔76またはスロット80等を有する。図13、図15および図17〜図19に示される患者流出部分の断面は図20の患者流出部分96にも適用できる。
【0035】
患者へのカテーテル10の埋込みをここに説明する。一般にカテーテル10は、例えば本発明の新しいカテーテルによる改良を加えた開放式外科的切開、腹腔鏡および経皮的方法等を含む容認できるカテーテル埋込み法によって埋込むことができる。開放外科的切開法は既存の腹膜透析カテーテルのためには最も一般的に用いられる埋込法であるから、カテーテル10の開放外科的切開埋込法を記載することにする。本発明のこの開示は医学的テキストではないし、したがって以下に記載する処置工程は完全に正式な医学的処置を示すものではない。医学の専門家が全ての適切な手順を決定し、適用すべきである。
【0036】
(I.患者側の準備)
カテーテル装着のための準備は一般的腹部手術のために受け入れられている病院の手順に従わなければならない。
1.患者の腸および膀胱を空にする。必要ならば浣腸を使用する。
2.挿入領域を剃り、入口と出口の位置に滅菌インクペンで印をつける。図21を参照すると、入口部位98を出口部位100の直上約3−6cm、または出口部位100の上で少し横にずれた位置に定める。このように入口および出口部位98、100の位置は、カテーテル10の外部患者部分50を下向きに、埋込まれる部分52は患者流入部分18が上向きになるようにするものである。
3.滅菌領域を準備する。ベータダイン(Betadine)でごしごし洗った後、入口と出口のマークを付け直す必要があるかも知れない。
4.最初の切開領域を局所麻酔し、トンネルを作り、その後皮膚穿刺を行う。可能な限り全身麻酔は避ける。
5.これでカテーテル10装着のための患者側の準備はできた。
【0037】
(II.カテーテルの埋込み)
1.皮膚104および皮下組織106を通して3〜4cmの横切開102を行う。上記横切開102は前直筋鞘108の下まで続く。
2.直筋線維110を分離して後直筋鞘112を露出する。
3.後直筋鞘112、横筋膜114、および壁側腹膜116を切開する。この切開は、カテーテル10の挿入に必要な程度以上には大きくしない。
4.カテーテル挿入後の封止を助けるために、巾着縫合117を上記切開周囲に行う。
5.上記カテーテル10を滅菌生理食塩液浴中に入れ、カフ46、48を圧して捕捉空気を残らず除去する。
6.図21および図22を参照し、補強スタイレット118をカテーテル10の患者流出管腔40(放射線不透過性ストライプによって確認される管腔)に挿入する。上記スタイレット118はカテーテル10を硬直させ、湾曲した患者流入部分18およびコイル状の患者流出部分22を真っすぐに延ばし、挿入しやすくする。上記スタイレット118はカテーテル10の遠位端32より少なくとも1cmは短くし、腸120の穿孔またはその他の腹腔内損傷を避けなければならない。
7.図22に示すように、カテーテル10は最初は下方を、下部骨盤の方を向き、スタイレット118は下を指している。コイル状の患者流出部分22の実施形態では、ひとたびカテーテル先端(遠位端32)が骨盤腔の深部に達すると、スタイレット118をゆっくり約20cm引き抜き、同時にカテーテル10をより深く進めて、コイルをコイル状に再形成させ、骨盤の下部にとどまらせる。
8.カテーテル先端(遠位端32)が、コイル形または直線形のいずれにせよ、骨盤内の下方に正しく置かれると、スタイレット118をさらに10cm引き抜き、その間カテーテル10を同じだけ内部に進める。この時点でスタイレット118は固定されていなければならず、その間カテーテル10を、遠位カフ48が直筋110にしっかり収まるまで、だが腹膜122を貫通しない程度に、腹膜122の方に進める。
9.患者の外側のスタイレット118およびカテーテル10部分を約135゜下方に回すと、患者の内側のスタイレット118およびカテーテル10部分が図22に示すように上向きになり、患者流入部分18は肝臓近くの腹部上方部分に押し上げられる。この段階中、カテーテル10はできるだけ腹壁近くに保持されなければならない。理想的配置では、カテーテル10が図21に示すように腸塊(腸120)と後腹壁との間の領域に横たわる。
10.巾着縫合117がカテーテル10の周囲をしっかり締める。所望ならばカフ48を直筋110に固定するために追加的縫合を行うことができる。
【0038】
(III.皮下トンネル)
1.カテーテル管腔36、40の一つにトンネル形成具を挿入する。
2.入口部位98の位置の直ぐ下、または下方でわずかに片寄っている、あらかじめマークをつけた出口100の位置に、小さいメスで穿刺を作る。
3.図21を参照し、カテーテル10に取り付けたトンネル形成具を最初の入口切開102から、皮膚104の下を進め、出口部位100のメス穿刺から外に出し、真っすぐの、応力を受けない皮下トンネルを形成する。カテーテル10をこのトンネルを通って引っ張り、カテーテル10が真っすぐになり、近位カフ46が皮膚表面の約2cm下になるようにする。
【0039】
(IV.仕上げ操作)
1.カテーテル10の近位端24にアダプタを取り付け、生理食塩液を管腔36に注入し、管腔40から排出することによってカテーテルを通る流れを評価する。
2.流体が流れることが確認されたならば、入口部位の切開102を閉鎖する。出口部位100の縫合は勧められない。
3.カテーテル10を皮膚に固定し、出口の傷を適切に手当する。
【0040】
透析は必要なだけ早く始めることができるが、2週間以内は勧められない。
【0041】
カテーテル10および上記の実施法は、患者組織から腹腔122へ、応力を受けない真っすぐのトンネルを作り出す。また、出口部位100は下方を向き、カテーテル10の外部患者部分50は下向きに配置される。カテーテル10ではインプラント・カフの間隔は近くてよい(インプラント・カフ46、48の距離は小さい)。従って、腹壁組織内のインプラント・カフ46、48間が短い長さカテーテルチューブのみが、患者の腹腔壁組織内に配置される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態を図示し、説明したが、本発明の精神および範囲から顕著に逸脱せずに多数の変化および改良を行うことが可能である。そこで発明者はこのような変化および改良が添付の請求項に含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書および図面に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−195734(P2009−195734A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113093(P2009−113093)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願2002−533927(P2002−533927)の分割
【原出願日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】