腺癌の特殊な抗体とその使用法
【課題】 例えば肺の腺癌,胃の腫瘍,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,胸部の腺管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌、または子宮の腺癌などを早期に医学的に検出し、長期の寿命を確保すること。
【解決手段】
SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3との配列に殆んど等しいアミノ酸配列を備えるポリペプチドであって、前記ポリペプチドが腫瘍性細胞とは明確に結合するが、非腫瘍性の細胞には結合することがないものとする精製ポリペプチドを提供する。
【解決手段】
SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3との配列に殆んど等しいアミノ酸配列を備えるポリペプチドであって、前記ポリペプチドが腫瘍性細胞とは明確に結合するが、非腫瘍性の細胞には結合することがないものとする精製ポリペプチドを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は癌の診断と処置、より詳しく述べると、哺乳動物、例えばヒトの腫瘍の診断、検査、モニターおよび治療に有用である抗体などのポリペプチドに関する。
【0002】
医療分野における最近の進歩によって、癌の患者の生存率が極めて改善されてはいるが、癌に関連する疾病に基づく死亡者の多くの方々を腫瘍の早期診断によって阻止しなければならないのである。したがって、最初に診断をした際に、患者で恐怖に陥いられている方々は、既に疾病の最終段階に達しているのである。
【0003】
女性たちの凡そ75%は病勢が進んだ段階(第III期または第IV期)に達していると、卵巣癌の症状が漠然となり、表立たなくなってしまう。極めて積極的な外科的の治療手段と新規な化学療法であっても、進行した段階に入っている卵巣の癌をわずらっている女性の生存年数は約15%が5年を越えることがないというのが、過去30年以上、変わることが無いのである。これを言い換えるならば、卵巣に癌が出来ていると診断された(第1期)の女性の凡そ90%は5年間生存できるというわけである。
【0004】
腫瘍(例えば、肺の腺癌,鱗状の肺癌腫,腸管型胃の腫瘍,汎発型の胃の腫瘍,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,胸部の小葉腫瘍,胸部の腺管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌または子宮の腺癌)の早期で改善された医学的検出と処置とが必要なことは明らかで、それによって腫瘍の処置の機会を増し、長期生存に関する優れた予後へと導くのである。
【0005】
ここにおいて、この発明の概要について説明する。即ち、腫瘍性の細胞に関する抗原決定基の特異性に反応するSAM−6と呼ぶポリペプチドを発見したのである。このポリペプチドは極めて優秀な診断上の手段となるものであるばかりか、細胞の増殖を抑え、細胞に結合している腫瘍性の細胞類をアポトーシス、つまり枯死させるのである。腫瘍性の疾患の治療に特有の結果をもたらすのである。
【0006】
この発明は腫瘍の診断や治療に利用することができるモノクローナルの抗体類であるポリペプチドを主体とするものである。したがって、この発明の第一の態様においては、腫瘍細胞に結合する精製ポリペプチドを特色とするもので、そのポリペプチドはアミノ酸配列順がSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3と同一であって、そのポリペプチドは特にBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687)細胞23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201)細胞、COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21)細胞、COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)細胞とLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞であって、腫瘍性の細胞には結合しない。
【0007】
この発明の第二の態様では、この発明は腫瘍性の細胞に結合している精製ポリペプチドを特色とするものであって、このポリペプチドはSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3の順序と殆んど同一のアミノ酸配列を備えている。そして前記ポリペプチドは、特に新生物細胞に結合する。BXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687)細胞23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201)細胞、COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21)細胞、COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)細胞とLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞とに結合し、非新生物の細胞には結合しない。そして、前記腫瘍性の細胞は、肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃癌,散在性の胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸部の消化管小葉癌腫,胸部の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌である。
【0008】
この発明の第三の態様では、この発明は腫瘍性の細胞に結合している精製ポリペプチドに特徴を有する。前記ポリペプチドはSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3の配列に殆んど一致するアミノ酸配列を具備し、前記ポリペプチドは肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃の腺癌,散在性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平癌腫,食道の腺癌,乳房の無定形状癌腫,乳房の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌で非新生物の細胞でないものである。
【0009】
この発明の以上の好ましい三つの実施態様において、ポリペプチドが腫瘍性の細胞に結合すると細胞の増殖を抑制するが、非新生物の細胞の細胞の増殖は抑制しない。
【0010】
この発明の前記最初の三つの実施態様のうちの第2番目の好ましい態様においては、ポリペプチドは低濃度のリポプロテイン(LDL)および/または酸化した低濃度のリポプロテイン(oxLDL)に結合し、そしてまた極めて低濃度のリポプロテイン(VLDL)に結合し、腫瘍性の細胞に結合すると、脂質が細胞内に蓄積するようになるが非新生物の細胞に脂質の細胞内蓄積を招くことはない。
【0011】
この発明の前記最初の三つの実施態様の第3番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチドは腫瘍性の細胞のアポトーシスを誘導し、これを結合するが、非新生物の細胞を誘導することはない。
【0012】
この発明の前記最初の三つの態様の第4番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチドはその抗体または機能的なフラグメントを包含する。例えば機能的なフラグメントはVL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’およびF(ab’)2から成っている群中から選択することができる。更に、機能的なフラグメントにはSEQ ID NO:1および/または3の配列と同様であるか、或はSEQ ID NO:1および/または3の配列のフラグメントを含ませることができる。
【0013】
この発明の前記最初の三つの態様の第5番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチド核酸配列はL鎖の可変領域(VL)のSEQ ID NO:2のヌクレオチド67−99(CDR1),145−165(CDR2)および262−288(CDR3)と同様の核酸配列から成っている。しかし、ポリペプチド核酸配列の相補性の決定的領域(CDRs)は重鎖の可変領域(VH)のヌクレオチド91−105(CDR1),148−198(CDR2)およびSEQ ID NO:4の295−330(CDR3)と全く同じである。
【0014】
この発明の前記第4番目の態様はアミノ酸配列SEQ ID NO:1またはアミノ酸配列SEQ ID NO:3を具備する精製ポリペプチドを特性とする。
【0015】
第5番目の態様においては、この発明は精製ポリペプチドはSEQ ID NO:1および3のアミノ酸配列を包含している。
【0016】
この発明の前記最初の第5番目の態様の最初の実施態様では、ポリペプチド酸配列の相補性決定領域(CDRs)が軽鎖(VL)のSEQ ID NO:1の可変領域のアミノ酸配列Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1)と、Gln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)と、Gln−Ala−Trp−Asp−Ser−Ser−IIe−Val−Val(CDR3)と殆んど同じである。しかし、ポリペプチドアミノ酸配列の相補性決定領域(CDRs)は重鎖(VH)のSEQ ID NO:3の可変領域のアミノ酸配列Ser−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−IIe−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)とAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)と殆んど同じである。
【0017】
この発明の前記最初の第5番目の態様の第二の好ましい実施態様では、ポリペプチドは単クローン性の抗体、例えばヒトの単クローン性の抗体である。
【0018】
第6番目の態様では、この発明は第1番目の態様のポリペプチドを表わす細胞を特徴とし、第9番目の態様では、第3番目の態様のポリペプチドを表わしている。
【0019】
この発明の第7番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:1に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴とするものである。
【0020】
この発明の第8番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:3に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴とするものである。
【0021】
この発明の第9番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:1または3に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴としており、この態様に関する好ましい実施例においては、ポリペプチドはSEQ ID NO:1または3或はSEQID NO:1と3との両者の配列を含んでいる。
【0022】
第10番目の態様においては、この発明は前記第6番目の態様による細胞を生成する方法を特徴としている。この方法は次の段階から成っている。即ち、(a)リンパ球を異形骨髄腫細胞で溶融させる条件下で接触してハイブリドーマを融解し、(b)前記ハイブリドーマが腫瘍細胞の増殖を抑制するか否かを決定するが、非新生物細胞の増殖を抑制せず、(c)BXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)の細胞の少くとも一種に結合していて、非腫瘍性の細胞には結合しない。
【0023】
第11番目の態様の特徴は前記第7番目の態様の細胞を発生する方法に関するものである。この方法は次の諸段階、即ち、(a)異形骨髄腫細胞でリンパ球を融解し、その融解によってハイブリドーマ、即ち融合雑種腫瘍細胞を融解し、(b)結合している腫瘍細胞の脂質の細胞内の蓄積を招くポリペプチドを発生するが、非腫瘍細胞に脂質の細胞内の蓄積は招くことがなく、(c)ハイブリドーマが、少くともBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞の少くとも一種の細胞と、特に結合し、非新生物の細胞には結合しないポリペプチドを生成するか否かを決定する。
【0024】
この発明の第12番目の態様では、哺乳動物、例えばヒトの腫瘍を診断する方法に関するこの発明の最初の5つの態様のいずれかの態様の精製ポリペプチドを用いるものを特徴とする。この方法には次に述べる段階がある。即ち、(a)この発明の最初の第13番目の態様中のいずれかの一つの態様の精製ポリペプチドを哺乳動物の細胞または組織試料と接触し、そして(b)精製ポリペプチドが細胞または組織試料に結合するか否かを検出するものであって、精製ポリペプチドに結合すれば、その哺乳動物は腫瘍を有することを指示するものである。そして(C)ハイブリドーマが、少なくともBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞であり、非腫瘍形成細胞でないか否かを決定する。
【0025】
この発明の第13番目の好ましい態様では、腫瘍は肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,散在性胃癌,結腸の癌,前立腺の癌,食道の鱗状細胞癌腫,食道の癌,胸部の小葉の癌腫,胸部の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌,または子宮の腺癌である。この態様の更に好ましい態様においては、ポリペプチドは抗体またはポリペプチドを、放射性核種,蛍光のマーカー,酵素,細胞毒素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る種類の中から選択された検出能物質に結合することができる。この態様における更に好ましい態様においては、ポリペプチドは抗体であるか、或は放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒素,サイトカイン及び成長抑制物質から成る群の中から選択された検出物質に配合されている。更に、ポリペプチドはタンパク質精製標識例えば、裂開性タンパク質精製標識に接合することができる。
【0026】
この発明の第14番目の態様においては、この発明は、その最初に述べた5種類の態様中の、いずれかの一つの態様の精製ポリペプチドを哺乳動物、例えばヒトの増殖性障害を処理する方法に使用することを特徴とするものである。この方法には、細胞試料を前記態様の最初の7種類のうちの、いずれかの一つの精製ポリペプチドと接触される段階を含んでいて、細胞に精製ポリペプチドを結合することによって、その細胞中の倍数性が減する効果がある。
【0027】
この発明の第14番目の態様の中の好ましい複数の実施態様において、増殖性異常症は肺の腺癌,扁平肺癌腫,本能型胃癌,散在性型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,乳房の小葉の癌,胸の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌、そして子宮の腺癌である。この実施態様の好ましい態様は、更に、抗体或はポリペプチドが放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞毒素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類中から選択された検出物質に随伴している。望ましい検出物質は細胞の枯死を招くものである。更に、ポリペプチドはタンパク質精製付端、例えば分割することの出来るタンパク質精製タグに結合させることが出来る。
【0028】
第15番目の態様において、この発明は哺乳動物、例えばヒトの増殖性障害を処理する方法に、その最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを使用することにある。この方法は細胞を、この発明の最初の七つの態様のいずれかの精製ポリペプチドと接触させる段階を必要としている。
【0029】
この発明の第16番目の望ましい態様では、増殖性障害は胃の腺癌,結腸直腸の腺癌,扁平細胞肺癌,肺腺癌,食道の扁平細胞癌腫,膵臓の腺癌,膀胱の尿路癌,腎臓の腎性細胞の尿路上皮癌,腎臓の腎性細胞の腎性細胞癌腫,前立腺の腺癌,乳房の管路癌腫,乳房の小葉癌腫,卵巣の腺癌,子宮内膜の腺癌,そして子宮の腺癌である。なお、この態様における更に好ましい実施態様は、ポリペプチドが抗体であるか、或はポリペプチドが放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞親和性,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類中から選択された検出能物質に結合されている。望ましいことには、検出能物質は細胞の抑制細胞増殖を行うことが出来るものであることである。更に、ポリペプチドはタンパク質精製標識、例えば裂けることが出来るタンパク質精製標識に共役させることが出来る。
【0030】
第17番目の態様において、この発明は哺乳類、例えばヒトの増殖性障害を治療する方法に関する、この発明の前記最初の5つの態様のいずれかの一種の精製ポリペプチドを用いることを特徴とするものである。この方法は細胞を、この発明の最初に述べた七種類の態様のうちの任意の精製ポリペプチドと細胞とを接触する手段を包含している。そこで、精製ポリペプチドを細胞と結合すると、前記細胞を枯死させる。
【0031】
この発明の第18番目の好ましい態様においては、増殖性疾病は胃癌,結腸大腸,腸の腺癌,扁平細胞肺癌,肺の腺癌,食道の扁平細胞癌,膵臓の腺癌,膀胱の尿路上皮癌,腎臓の腎性細胞癌,前立腺の腺癌,胸部の管の癌,卵巣の腺癌,子宮内膜の腺癌,子宮の腺癌である。この第18番目の態様に関する更に好ましい態様はポリペプチドが抗体であるか、或はポリペプチドは放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞毒素,サイトカイン、そして成長抑制因子から成るものから選択された検出能物質に結合されている。好ましくは、検出能物質は細胞の抑制細胞増殖が出来るものであることである。更に、ポリペプチドはタンパク精製標識、例えば、分割をすることの出来るタンパク質精製標識に随伴することが出来る。
【0032】
この発明の第19番目の態様では、細胞の増殖を阻止する薬剤の生産に関して薬学医学的に許容できるキャリアに、この発明の前記最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する薬剤でヒトの躰内の腫瘍性細胞を処理することを特徴とするのである。
【0033】
この発明の第20番目の態様においては、ヒトの体内の腫瘍性の細胞を、脂質の無傷の蓄積を誘導する薬剤の生産に当って、薬学医学上許容することが出来る担体を、この発明の前記最初に述べた5つの態様のうちのそれぞれの精製ポリペプチドを含有する医薬によりヒトの体内の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするのである。
【0034】
この発明の第21番目の態様においては、アポプトシス(細胞消滅)を行う薬剤を製造する薬学医学上許容することの出来るキャリアに関するこの発明の前記最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する薬剤を用いてヒトの躰の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするのである。
【0035】
この発明の第22番目の態様は、ヒトの躰内の腫瘍性の細胞のすべての増殖を阻止し、脂質の蓄積を招き、アポトーシス(細胞の枯死)を招来させる薬剤の製造のための薬学医学について許容することの出来るキャリアに関する前記最初に述べた5つの態様のいずれもの精製ポリペプチドを含有する薬剤を用いてヒトの躰内の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするものである。
【0036】
この発明の第23番目の態様では、この発明は前記最初に挙げた五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する診断上の薬品を提供することを特徴とするものである。
【0037】
この発明の第24番目の態様においては、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4の配列を含む分離核酸分子を特徴とするものである。
【0038】
この発明の第25番目の態様においては、この発明は仲介物(ベクター)、例えばプラスミドまたはウイルス性の表徴ベクターであって、この発明の第24番目の態様の核酸分子を含有するものを特徴とするものである。
【0039】
定義
「検出可能物質」とは検出を促進する診断上の物質に結合されている化合物のことである。このような「検出可能物質」は診断上の物質に結合されている共有結合または非共有結合のものである。更に、結合は直接または間接の結合である。「検出可能物質」の例を挙げると、タンパク質浄化標識,細胞親和性,酸素分泌,常磁性のラベル,酵素原質,補助因子,酵素抑制物質,色素,放射性核種,化学ルミネッセントラベル,蛍光の標識,成長抑制物質,細胞分裂,抗体,ビオチンが挙げられる。
【0040】
「診断物質」とは、この明細書に記載する効力検定、並に当該技術において標準である他の手段のいずれかを利用して腫瘍性の細胞を検出するのに用いることが出来る化合物のことである。
「診断物質」の例を挙げると、次のものがある。次の細胞、即ち、BXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)またはLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)で、しかも非腫瘍性細胞でないもののうちの少くとも一つに特に結合している抗体である。更に、「診断物質」は抑制細胞の増殖を抑制し、また、それが腫瘍性の細胞に結合する時にだけで、腫瘍性の細胞でなければ、その増殖を抑えない。
【0041】
「診断上の薬品」で検出できる腫瘍性の細胞の例を挙げると、肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃癌,散在性型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の鱗状細胞の癌,食道の腺癌,胸部の小葉癌,胸部の管の癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌或は子宮の腺癌がある。更に、「診断上の薬品」とは、例えばペプチド,ポリペプチド,合成有機分子,自然発生有機分子,核酸分子およびそれらの成分で、同様に一種乃至数種の検出物質を共有し、または診断上の薬品に連鎖した一種もしくは数種の検出物質を共有するもの、または非共有連鎖物質を含む。
【0042】
前記ポリペプチドに関連して使用した「機能的断片」とは、等身(full−length)ポリペプチドの少くとも生物学的活動度を保持する断片をいう。この生物学的活動度の例を挙げると、特に抗原に結合する能力を備え、アポプトシスおよび/または細胞増殖抑制能力を備えている。これらの生物学的活動度は、例えば、この発明において述べる効力検定手段のいずれかを利用して行うことが出来る。
【0043】
抗体の機能的な断片の例を挙げると、VL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’またはF(ab’)2断片である。(例えばヒューストン(Huston)外著、細胞生体物理学22:189−224,1993;およびハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)著「抗体」(Antibodies):研究所マニュアル,コオルド,スプリング,ハーバー,ラボラトリー(ALaboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory),1988)。好ましくは、「機能的な断片」は、例えばSEQ ID NO:1または3のアミノ酸配列の5,10,15,20,15,30,50,75または100近接アミノ酸の断片を含有するか、或はSEQ ID NO:1または3のアミノ酸配列の断片に等しいアミノ酸配列のものである。更に好ましい態様においては、「機能的な断片」はSEQ ID NO:1または3の配列の断片に等しい。この種の「機能的な断片」はSEQ ID NO:1または3の5,10,15,20,15,30,50,75または100近接アミノ酸を含有するか、SEQ ID NO:1または3の総てのアミノ酸配列とすることが出来る。SEQ ID NO:1または3の5,10,15,20,15,30,50,75または100の近接アミノ酸を含有することができる。
【0044】
ここで用いた「相補性決定領域」とは、免疫グロブリンの超可変部領域を意味する。この用語はVLとVH領域とは均一に変えられるものではなく、むしろ、それらのアミノ酸の変動の多くは三つの短い超可変領域配列順序に集中される。それは抗体の特異性について欠くことができない。CDRsの同定はBLASTソフトウェア(アルトシュル,ステェフェンF.(Altschul,Stephen F.),トーマスL.マデン(Thomas L.Madden),アレジ
ng),ツェング ツァング(Zheng Zhang),ウェブ ミラー(Webb Miller),及びダビッド J.リップマン(David J.Lipman)(1997年著))と、「グラップト BLAST及びPSI−BLAST:「タンパク質データーベース探索用プログラムの新時代」核酸Res.25;3389−3402.(NCBIデータベース)。
【0045】
この発明で用いている「ハイブリドーマ」とは、例えば、骨髄腫のような腫瘍性の細胞で活性化されたリンパ球などの正常な細胞の溶融によって作り出された細胞である。少くとも2種類の細胞の融合によって生じたハイブリッド細胞は免疫学的活性化細胞によって生成したものと同様の単クローン抗体或はT細胞生成物を生成する。更に、これらの細胞は、腫瘍性の親と同様に不滅である。
【0046】
この発明で使用している「抑制抗体細胞増殖」とは、細胞の体型と細胞の分裂能の正常な速度で別個の細胞の分裂の速度の減少を表わす。細胞増殖の抑制は、当該技術における標準である多数の方法、例えば、この明細書に述べたMTT細胞増殖の分析、BrdU結合および3Hチミジン アップティクを利用して分析することができる。この種の分析は、例えば、オースベル(Ausubel)その他の発表による「分子生物学におけるカレント プロトコルス」(Current Protocols in Molecular Biology),ワィリイ インターサイエンス,ニューヨーク(Wiely Interscience,New York),2001;およびサンブルーク、その他の発表による「分子クローニング(Molecular Cloning):ア.ラボラトリ マニュアル(A Laboratory Manual),コルド スプリング ハーバー ラボラトリ(Cold Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク,1989年に記載されている。その望ましい態様にあっては、細胞増殖の抑制は20%,40%,50%または75%である。更に好ましい態様では、細胞増殖の抑制は、80%,90%,95%または細胞増殖の完全なる阻止である。
【0047】
この発明の明細書で記載の「脂質の結合」とは脂質、特に低濃度リポプロテイン(LDL)および/またはoxLDLとポリペプチドとの相互作用のことで、これは腫瘍性の細胞の細胞周期を激しく干渉するのである。その干渉は最終的にはリピドの蓄積を招くのである。ポリペプチドが腫瘍性の細胞またはホイター(wheater)と相互に作用して複合体を形成する脂質と相互に作用するか、またはポリペプチドが腫瘍性の細胞の表面にレセプターと共に直接に相互に作用するかは不明である。
【0048】
抗体であるポリペプチドは、その単量体で、またはその五量体の形で活動する。
【0049】
ここで述べた「リピドの細胞内の蓄積」とは細胞内のリピドの濃度の増加、特に、その種の細胞のリピドの通常の濃度に較べて細胞内のリピド、特に低濃度のリポタンパク質(LDL)および/またはoxLDLの濃度の増加をいう。LDLは精製されたポリペプチドによって培養された細胞中に増加したコレステロールエステルとトリグリセリドをクロマトグラフィー分析することによって形成する細胞内に豊富になった細胞内のコレステロール血症とトリグリセリドをクロマトグラフィー法で分析することによって細胞内に濃縮された脂質であることが判る。専らLDLだけが、これらの内容を形成する。その結果、細胞内の脂質の蓄積によって細胞を自滅させる。即ち、腫瘍細胞の「リポプトシス(Lipoptosis)」とする細胞内の脂質の蓄積に導くのである。
【0050】
細胞内の脂質の蓄積は、次に記載の文献に記載の蛍光染色法のスーダン(Sudan)IIIの方法(グリーンスパン,P.),(Greenspan P.),メィヤー(Mayer),E.P.,及びD.ナイル レッド(Fowler D.Nile Red)の細胞内リピド小滴.J.セル,バイオル(Biol),100,965−973,1985)に記載されている染色法などを利用して分析し視覚化することができる。
【0051】
この明細書に述べている「誘発性細胞の自滅」とは先行文献に明瞭に定義されている細胞の特徴の様相である。(例えば、ウィリー外、ビァール,J.(Wyllie et.al.,Br.J)著「癌」80付録1:34−37,1999;カー(Kerr)外著「癌」26:239−257,1972)に明記されている細胞の特性の兆候に当てはまる。これらの兆候は、細胞の小気泡,DNA濃縮,F−アクチンの含量変化,ミトコンドリア集合体および細胞膜ポテンシャルの変化を招く。枯死の誘発は、例えば細胞死滅ELISA,TUNEL染色,DNA染色,例えばHoechst33258およびアクリジン オレンジ,Mito Tracker RedR染色液(分子の探針,Eugene,OR)、およびAnnexin VR染色法(ベクトン ディッキンソン,NJ(Becton Dickinson,NJ)がある。ここで用いている「誘導アポプトーシス」は対照細胞集団と比較すると、アポプトーシスの変化を受ける細胞の数を増加することを言う。例えば、アポプトーシスの増加は10%,20%,40%,50%、または75%とである。好ましい態様においては、アポプトーシスの誘導で対照細胞集団に見られる以上に、2−ヒダ,3−ヒダ,10−ヒダ或は100−ヒダ以上である。
【0052】
この発明で使用されている「腫瘍性の細胞」とは、細胞分割を行う細胞のことで、不適当な状態の中で、細胞分割を行うものではない。例えば、「腫瘍性細胞」とは、該当する非腫瘍性細胞は細胞分割をすることなく、その代りに「腫瘍性細胞」は通常の細胞周期検査制御に反応するものではない。
【0053】
ここに於て用いている「増殖性の疾患」とは、細胞の異常な増殖に基因する障害を言う。増殖性の疾患の特例を挙げると数多の腫瘍、例えば肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,散在性癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌,食道の腺癌,胸部の管の癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌または子宮の腺癌などである。しかし、増殖性の疾病は転換ウイルスで感染される結果にもよるのである。
【0054】
この発明に於て述べている「タンパク質精製標識」とは、ペプチド、例えばエピトーブ標識で、これはタンパク質の精製を促進するために共有的に、または非共有的にタンパク質に添加される。この種のタンパク質が抗体に高度の親和性で結合すること、或はビオチン或はアビジンなどの別種のペプチドに結合することは望ましいことである。エピトープ標識に関して市販のものの例を挙げると、His−標識,HA−標識,FLAGR−標識およびc−Myc−標識がある。しかし、抗体で認められているエピトープもタンパク質精製標識として使用することができる。例えば、アウスベル(Ausbel)外著、[Molecular Biology(分子生物学)における流動プロトコル(Current Protocols),ニューヨーク,2001番地ウィレイ インターサイエンス社(Wiley Interscience)発行」を参照のこと。タンパク質精製標識は、酵素、例えばトロンビン、或は化学薬品、例えば臭化シアノジェン臭化物を用いてタンパク質から分割することが出来る。
【0055】
ポリペプチド、例えば抗体について用いられる物質について、「特に認識」することは、粒状のタンパク質、例えば抗原が、それと等量の別種のタンパク質に比較して、その親和力が優れているということである。例えば、抗体、例えばBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)またはLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)、またはBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687)細胞で、好ましくは、その抗原について、それと異なる他の抗体で関連する抗原を具備する前記の抗体と等量のものよりも、少くとも2−ヒダ,5−ヒダ,10−ヒダ,30−ヒダまたは100−ヒダ大きい。ポリペプチドが他のポリペプチドと結合することは、ここに述べたことと、技術上の標準的な手段、例えば、ウエスタン(Western)分析ELISA、または免疫沈降などの多くの方法で調べることが出来る。
【0056】
「実質的に同一」とは、基準となるアミノ酸(例えばSEQ ID NO:1または3)或は核酸の配列(例えば、SEQ ID NO:2または4)にポリペプチドまたは核酸が少くとも75%,80%,85%,または90%類似しているということである。望ましい態様にあっては、ポリペプチド或は核酸配列が基準となるアミノ酸または核酸配列に少くとも95%,98%,99%或は100%類似しているということである。ポリペプチドについては、比較する配列の長さは通常、少くとも5,10または15アミノ酸で、好ましくは少くとも20または25近接アミノ酸である。更に望ましい態様では、比較配列の長さは少くとも30,50,75,90,95或は100隣接アミノ酸或は標準の長さのアミノ酸配列である。核酸については、比較配列の長さは、一般に、少くとも15,30または45近接ヌクレオチドで、望ましくは少くとも60近接ヌクレオチドである。更に望ましい態様にあっては、比較配列の長さは少くとも75,150,225,270,285或は300近接ヌクレオチド或は全長ヌクレオチド配列である。
【0057】
配列識別はデフォルト設定に関する配列分析ソフトウェアを利用して測定する。(例えば、アメリカ合衆国 ウィスコンシン州 マディソン,WI53705ユニバーシティ アベニュー1710,ユニバーシティ オブ ウィスコンシン バイオテクノロジー センター ジェネティクス コンピューター グループ(the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,WI 53705)のセクエンス アナライジィズ ソフトウェア パッケージ(Sequence Analysis Software Package)。
【0058】
このソフトウェアは数多の置換,削除および他の修飾についてホモロジーの度合を割り当てて類似する配列を合わせることが出来る。保有力性のある代用物は、次に掲げるグループ内の物から成っている。即ち、グリシン,アラニン,バリン,イソロイシン,ロイシン;アスパラギン酸,グルタミン酸,アスパラギン,グルタミン;セリン,トレオニン;リジン,アルギナー;およびフェニルアラニン,チロシン。
【0059】
多数の配列は、これをドイツのヨーロッパ分子生物研究所(European Molecular Biology Laboratory)とイギリス,ケンブリッジのヨーロッパ無機生物学研究所(European Bioinformaties Institute)のジュリーD.トンプソン(Julie D Thompson)とトビイ ギブソン(Toby Gibson)とデズモンド ヒギンズ(Desmond Higgins)によって作成されたクラスタル(Clustal)W(1.4)プログラムで、ペア式整列モード(pairwise alignment mode)を「スロー(slow)」に設定し、10.0の開放ギャップ ペナルティ(open gap penalty)0.1を含む対をなす整列モードを設定し、「ブローサム」(blosum)と類似するマトリックスを設定する。更に、多重アライメントパラメータが10.0の開放ギャップ ペナルティ(open gap penalty)、0.1の延長ギャップ ペナルティ(extend gap penalty)を含むことが出来、同様に類似するマトリックスを「ブロサム」(blosum),40%,分岐,間隙距離8に設定する。
【0060】
「精製した」または「分離した」とは、自然に随伴している別の成分から離すことの意味である。一般的に、因子は、これが重量で少くとも50%の場合には、タンパク質、抗体および天然に結合されている有機分子が無く、核酸分子の配列に通常の通り、位置している核酸配列とは関係していない。遺伝因子は少くとも、重量で75%、更に好ましくは少くとも、重量で90%、より好ましくは重量で少くとも99%、純粋とする。この純粋な要素は化学的合成、天然資源から要素の分離、または要素を自然には生成しない組換え増殖細胞から製造する。タンパク質、小胞および細胞小器官は標準とする技術、例えばオースベル(Ausbel)外の記載の技術(カレント プロトコルス イン モレキュラ バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology),ウィレイ インターサイエンス社(Wiley Interscience),ニューヨーク,2001発行を参照。その因子は出発物質が純粋な場合には、少なくとも2.5あるいは10倍で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法,カラムクロマトグラフィー,光学不透明度,HPLC分析,またはウエスタン(Western)分析(オーサベル氏他著「分子生物学」ニューヨーク,2001)(Ausube et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Intersience,New York,2001)を利用して測定する。精製の望ましい方法は、免疫沈降,コラムクロマトグラフィー,つまり免疫沈降クロマトグラフィーと、ニッケルアフィニティカラム,磁気数珠状免疫清浄化,及びプレート・バウンド抗体によるパンニングである。
【0061】
図1について説明すると、同図は腫瘍組織に関する抗体SAM−6による免疫組織化学による染色を示す。SAM−6抗体パラフィン切片2(μm)の特異性を調べるために濃度4μg/mlの濃度で抗体SAM−6と類似する濃度の同一基準標本で関連の無いヒトを対照とする調査をした。形態学的な分析のために、一つのサンプルをヘマトキシリン/エオシン(H&E)で更に着色した。図1の個々の画像は、Aが乳房の侵襲性の癌;Bは結腸の腺癌、Cは食道の扁平細胞腺癌(最初の倍率×200)。図1の映像は抗体SAM−6が腫瘍細胞だけに反応しているが、悪性腫瘍の領域は着色されていない。
【0062】
図2は正常な組織に抗体SAM−6をもって染色した免疫組織化学を示す。パラフィン切片(2μm)は濃度4μg/mlで抗体SAM−6に培養されている。形態学的に試料を分析するために、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)で着色した。試料を図2に示す。それぞれの映像;A,肺;B,子宮;C,結腸;D,睾丸(最初の倍率×200)である。健康な組織を染色していないために、SAM−6は悪性の組織に特に明示したレセプターに結合してある。
【0063】
図3はウエスタンプロット分析,アポプトーシス検定および形態学的分析によって、SAM−6抗体の特異性と機能的な分析を示す。図3のそれぞれの図、Aは胃の癌腫ライン23132/87と膵臓癌腫ラインBXPC−3とがニトロセルロースにプロットしてあり抗体SAM−6で汚染されている。Bは抗体SAM−6のアポートシスの活動度が細胞死亡診断検出ELISAPLUSによって調べられている。胃癌細胞ライン23132/87,膵臓癌細胞ラインBXPC−3,鼻の隔膜細胞癌ラインRPMI−2650と正常の鼻の上皮の細胞(HNEpC−C)とが抗体SAM−6と48時間4μg/mlの濃縮の複基準制御とによって培養されている。アポートシス細胞の量は415nmにおけるフォトスペクトロメトリー415nmで、基準波長490nmで決定される。Cは腫瘍細胞形態学の抗体誘導変化である。図3Aによれば、SAM−6は約140KDaの分子量で膜分子に結合している。図3BのプロットはSAM−6が3種類のテストした癌細胞体型、つまり胃,膵臓および鼻の中隔癌細胞の枯死を誘発することを示すもので、正規の鼻の中隔上皮細胞におけるものではない。図3Cにおいては、抗体SAM−6誘導枯死の形態学的の変化が胃癌および膵臓癌細胞に示されている。未処理の腫瘍細胞は同種の単一層において成長する。抗体SAM−6で処理した後、細胞は更に細長くなり、平坦になり、極めて顕著な細胞部の伸長部で更に分裂される。細胞の喪失、細胞の接触および付着は48時間後に、はっきりと観察される。(細胞の数の減少は癒着による喪失の結果として溶液中に入り込んだ細胞に起因する。)
【0064】
図4は電子顕微鏡を走査してSAM−6抗体誘導アポートシスの細胞の映像を示す。この技術によって細胞の形態学的で細菌外アポートシスの効果を研究する。検査のために、胃癌細胞ライン23132/87を抗体SAM−6または濃度10μm/mlにて適応する時間をかけて培養した。その試料を電子顕微鏡で走査し、相違する時間をかけてZEISS DSM962によって分析した。図4に示すそれぞれの映像A,B,Cは複基準制御抗体を示し、D,E,FはSAM−6抗体、横棒は20μm、倍率は×3800、横棒は20μmを示す。G,H,IはSAM−6細胞消滅効果を示し、Gはストレス線維×7000、横棒は10μmを示す。図4Hは神経核の腫脹,×20000,横棒は2μmを示す。Iはアポプトニック体(apoptonic body),×40000,横棒はμmを示す。図4に示すように、2時間後にSAM−6処理された最初の形態学的な変化はストレス線維の形成物を含んでいる(図4D,E)、そして細胞−細胞接触の僅かな減力となっている。24時間後に形態学的な変化を観測した。細胞−細胞接触は無限に低い(図4E)、細胞は拡大されるか凝縮され、細胞核は膨張されている(図4H)、そして細胞の自死が増加している。最も劇的な効果は48時間後に判った。多くの構造のプラズマ膜の変化がアポトーシスの細胞に見受けられた。細胞粘着の喪失,膜分節の平滑化,縮小および外方袋状化が細胞損傷および細胞死に関連したマーカーとして認められた。萎縮腫瘍細胞,膜小胞の巨大なパッケージ,細胞消滅体に関する最も重要な点が密集している(図4F)。(高倍率で示してある平滑面アポートシスの本体は食細胞崩壊の生体内における再循環と対照し、死亡した細胞に残存する生体内における小胞を示す。)
【0065】
図5は電子顕微鏡(TEM)装置に透過した結果を示す。細胞内のアポトーシスの作用を探索するために、胃癌細胞に関してSAM−6をもって電子顕微鏡による検討を行った。24時間後、細胞に激しい変化と、細胞内の原形質の形を観察した(図5E)。細胞は拡大され、この段階では、細胞の容量は減少されていなかった。細胞は紡錘状になり、極めて顕著に細胞質が伸長して大きく分極された。細胞核の大きさが増加し、その表面は滑らかで、特有の不規則性を失い、調節することによって切り込みのある形に見えた。更に重要なことは、24時間後に、細胞質中に脂質小胞の劇的な蓄積がはっきりと見えるようになった(図5E)。調査中の腫瘍細胞の殆んどに、それぞれの細胞核の近くに脂肪酸の堆積が見受けられた。48時間後に、SAM−6処理をした細胞は細胞自死の最終段階に達した(図5F)。最も重要な構造変化は細胞と細胞との接触の消失,細胞の縮小,細胞核の激しい凝縮とプラズマと細胞核膜の退化とである。腫瘍細胞中に蓄積された脂質小胞の集合体は極めて拡大して示してある(図5G)。そして細胞核の退化は(図5H)に、2種の腫瘍細胞の細胞表面からの細胞自死体の形態は(図5I)に示してある。
【0066】
図6はスダンIII染色実験の結果を示す。抗体誘導リピド蓄積を検査するために、スダンIIIによる染色を行った。この染色は中性のリピドと脂肪酸の検出のために独得のものである。図6は胃癌の細胞と膵臓癌細胞に関する培養の48時間後に得たデータを示すもので、抗体SAM−6についてと、関連することのないヒト対照IgMとについて示す。胃癌細胞ライン23132/87は抗体SAM−6で処理した時の中性のリピドの抗体誘導蓄積をはっきりと示している(図6A)。無関係なヒト対照IgMで処理した細胞は前と類似の細胞内の変化を提示していない。膵臓癌細胞ラインBXPC−3でも同じ結果が観察された(図6B)。
【0067】
図7はナイル赤染色実験の結果を示す。細胞のリピドもまた蛍光染料ナイル赤で染色することによって視覚化することができる。ここにおいて、特定の波長(26,27)で調べたとき、無極或は中性脂質染料黄金および有極リピド染色ダークレッドであった。胃癌細胞(23132/87)を抗体SAM−6で48時間培養して脂質の蓄積を研究した。蛍光は中性リピドについて488nmにて測定され、極性リピドについて543nmにて測定された。図7AとDとは無極の中性リピドに関する黄色の染色を示し、図7BとEとは極性リピドに関する赤色の染色を示し、図7CとFとは両方の重畳を示す。予期した通り、SAM−6処理細胞の中性リピドに関する強度の黄色蛍光染色は48時間後に見ることが出来る(図7D)。多量の膜タンパクを示す対照(図7B)に比較して極脂質について染色されたSAM−6処理細胞に関して増加が見受けられる(図7E)。抗体SAM−6は枯死を増加するので、多量の極脂質が更に多くの膜小胞の形成を招く。即ち、細胞の自滅体を招くのである。図7CとFに見られるように、極のリピドは赤色を呈し、明瞭でないリピドは黄色と若干がオレンジ色を呈すると思われる。ナイル赤の赤色蛍光性は極めて激しく、黄金色蛍光測定になる可能性があり、明確な差別が中性のものと極性リピド染色との間にされることが出来る。これらの結果をすべて取り上げ、更にSAM−6抗体が癌細胞に中性リピドの滞留を招くものである。
【0068】
図8AはoxLDLの量がCuSO4をLDLの培養により増加していることを示す。しかしLDLがCuSO4で培養されなくても、その酸化した形(oxLDL)でLDLが可成り多量であることを示している。
【0069】
図8BはoxLDLがSAM−6抗体の好ましい結合相手であることを示す。15時間CuSO4で培養されたサンプルは3時間で培養したサンプルよりも多量のSAM−6抗体が結合している。同基準標本として、ヒトとは関係のないlgM(クロンプアlgMディアノヴァ)(Chrompure lgM,Dianova)を用いた。
【0070】
図9aは薄層クロマトグラフィーで分析した培養された細胞のリピドの組成を示す。左側における最初の列と右側の最後の列とは異なる分子量のものが載せてある。第二列目と第三列目とはSAM−6抗体で培養する細胞のリピド組成を示す。対照抗体で培養した細胞と比較して、SAM−6抗体で処理した細胞はトリグリセリドとコレステロールエステルとのような極めて高分子量の脂質を含有することを示した。
【0071】
図9bは図9aに示した実験の高分子量の脂質を薄層クロマトグラフィーによって更に分析された結果を示す。左側の最初の列と右側の最終列とは異なる分子量の基準のものである。二列目と三列目とはSAM−6抗体で培養した細胞の脂質組成を示す。SAM−6抗体で処理した細胞を対比抗体で培養した細胞に比較すると余分にコレステロールとトリグリセリドとを含有している。
【0072】
図10Aと10BとはSAM−6抗体または対照抗体で処理された腫瘍接種マウスを用いての生体内での実験の結果を示す。図10Aによると、SAM−6で処理したマウスの腫瘍の平均重量は96.2グラムであり、対照抗体で処理したマウスの腫瘍の平均重量は150.5グラムであった。図10Bは腫瘍の重量に該当する腫瘍の容積の分析を示す。SAM−6で処理したマウスの腫瘍の平均容積は126.3mm3で、これに対して対照抗体で処理したマウスの腫瘍の平均容積は158.2mm3である。
【0073】
配列一覧表
配列一覧表にはアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)(1)とヒト単クローン性の抗体SAM−6の短鎖(VL)の可変領域の核酸配列(SEQ ID NO:2)(2)とを示す。
【0074】
配列表3と4とはアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)(3)と、ヒト単クローン抗体SAM−6の長鎖(VH)の可変領域の核酸配列(SEQ ID NO:4)(4)とである。
【0075】
詳細な説明
この発明は抗体などのポリペプチド類と、腫瘍の処置と診断とにそれらを使用することを特徴とするものである。特に数多の癌として認められているヒト単クローン性の抗体(SAM−6)を特徴とする。この単クローン性の抗体は、これら腫瘍を認識するだけでなく、細胞に結合したときに腫瘍性の細胞の自滅を導き、これら細胞の増殖を阻止し、また、これら両者の作用をするのである。更に、抗体(SAM−6)は細胞自滅および/または細胞増殖の抑制を招く脂質の細胞内の蓄積をも誘導するのである。したがって、SAM−6単クローン性の抗体或はその断片は、これらポリペプチドと相補的に結合される特異のものであり、これらポリペプチドによって認識される抗原の種であって、腫瘍を診断し、治療するための各種の方法に利用することが出来る。
【0076】
抗体とポリペプチド
抗体は個人の健康の維持に不可欠な役目を果すものである。特に、抗体は血清中に存在し、バクテリア,ウイルスおよび毒素などの種々の病原体を除去する助けをするものである。抗体は2本の重いチェーンと2本の軽いチェーンとから成るY字形タンパク質構造から成っている。各チェーンはモジュラ構造を備えている。即ち、軽いチェーンは2つのドメインから成っていて、各々の重いチェーンは少くとも4つのドメインから成っている。抗原結合部位は重いチェーンからの1つのドメイン(VHドメイン)と軽いチェーンからの1つのドメイン(VLドメイン)によって形成されている。確かに、小さい抗原結合部位はこれら2つのドメインを結合するか、或はジスルフィド結合またはペプチド結合による共有によって製造する。抗原結合ドメインは、抗体の他のドメインよりもアミノ酸配列において頗る変化するものであり、それ故に、定数(C)ドメインに対して可変(V)ドメインと名付けられている。抗体の定数ドメインは、抗体エフェクタ機構、即ち補体の崩壊および細胞媒介殺害などを誘発する。
【0077】
抗体は遺伝子再配列に関連する方法でB−リンパ球によって造られる。これらの細胞の発育の間に、変異する領域をコード化する遺伝子が遺伝成分から組立てられる。VHドメインの場合には、3つの成分、つまり再配列されていないVH遺伝子,Dセグメント及びJHセグメントである。VLドメインの場合には、2つの成分、つまり再配列されていないVL(VラムダまたはVカッパ)遺伝子とJL(JラムダまたはJカッパ)区域である。これらの遺伝子の区域の不規則な組み合わせと、再配列したVHとVLドメインの不規則な組み合わせとで、同様に種々の性質を持つ抗原に結合することが出来る。
【0078】
一般に、この発明のポリペプチドはBXPC−3,23132/87,COLO−206F,COLD−699およびLOU−NH91に結合する凡ゆる薬剤であるが、非腫瘍性の細胞には結合しない。ポリペプチドはヒト−モノクローナル抗体(例えば、SAM−6)、或はその機能的断片などの抗体でも差支えない。全体的に見て、この発明のポリペプチドは腫瘍性の組織と腫瘍性の細胞との両者に専ら結合することが出来るのであるが非腫瘍性の組織または細胞には結合しない。ポリペプチドはまた、これが結合する腫瘍性の細胞の増殖を抑止することが出来るが、非腫瘍性の細胞の増殖を抑えることは無い。望ましいことに、ポリペプチドは細胞の枯死と非腫瘍性細胞の増殖とを誘起することが出来るけれども、非腫瘍性の細胞は、以上のようにすることは出来ない。それゆえ、ポリペプチドは哺乳動物の癌の検出、観察、および治療に極めて有用である。最新の発明の方法で取扱われている癌は、結腸直腸の癌,卵巣の癌,扁平細胞肺癌腫,小細胞肺癌腫,小房および管の乳癌,黒色腫,乳癌,肺癌、例えば肺腺癌,胃癌,膵臓癌、例えば膵臓腺癌,グリオーマ,ブドウ状肉腫,胃腸管系の癌,脳腫瘍,食道癌、例えば食道扁平細胞癌腫,胃癌,骨肉腫,線維肉腫,膀胱癌,前立腺癌、例えば摂護腺癌,腎臓癌,卵巣癌,睾丸の癌,子宮内膜の癌,頸部の癌,子宮の腺癌,ホジキン病(リンパ肉芽腫),リンパ腫、および皮膚白血病である。これらのポリペプチドは肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸管型胃癌,散在型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の腺癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌、または子宮の腺癌には特に効果がある。
【0079】
製造法
この発明に基づくポリペプチドは、小規模で、また大規模で、或は営利目的の市場に対して、周知の方法で製造することが出来る。例えば、モノクロナール抗体、例えばSAM−6は、ハイブリドーマ細胞ラインで製造出来る。この種の細胞ラインは腫瘍、例えば胃癌,結腸癌腫または膵臓癌腫などにかかっている患者、つまり異形骨髄腫細胞で誘導された脾臓リンパ球またはリンパ結節リンパ球の溶融によって生じたものである。模範となる異形骨髄腫細胞ラインは、例えば、HAB−1(ボルマー(Vollmers)外、「癌」74:1525−1532頁,1994),CB−F7(デルビッグ(Delvig)外、Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),K6H6B5(デルビッグ外,Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),H7NS,934(デルビッグ外,Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),SHM−D33(ブロン(Bron)外、Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:3214−3217,1984),およびB6B11(ボリソバ(Borisova)外,Vopr.Virusol,44:172−174,1999)。癌の患者のリンパ管から採取してヒトのモノクロナール抗体を生成することは、その癌患者の腫瘍に対する免疫反応によって発生される抗体の分離として認められる。
【0080】
一般的に、リンパ節或は脾臓の部分は、結腸癌腫や膵臓の癌腫などの癌を有する患者から手術によって除かれる。リンパ球は機械的な手段によって細胞懸濁液として調製され、次で、例えば細胞の融解を招く条件のもとで異形骨髄腫細胞線を以て、例えば1:2または1:3の割合で溶解される。例えば、異形骨髄細胞線HAB−1は以上の目的のために使用される。なお、前記細胞線はマウス骨髄腫NS−0でヒトリンパ球の融解により生成される。
【0081】
異形骨髄腫細胞系で、癌患者から得られたリンパ管の融解にしたがって、ハイブリドーマまたはトリオマ(trioma)を発生する抗体が発生される。一度び構成されると、ハイブリドーマは通常安定して生長し、抗体の発生が順調で、数ヵ月間に多量の培養物が(フラスコや、ミニパーム(miniperm)や、発酵槽など)に安定して生長する。フラスコ内での抗体の生成は0.01−0.1mg/mLの範囲で、ミニパーム内では0.1−0.5mg/mLの範囲である。細胞融合は周知技術で行うことが出来、例えば40%ポリエチレングリコールを使用する方法も含まれている。ハイブリドーマもHAT(ハイポベンシン−アミノプテリン−チミジン)(Hypovanthin−aminopterin−thymidin)を含有する培地で培養することが出来、上澄みはELISA効力検定を利用して抗体の生産物を分離することが出来る。次で、陽性のクローンをアタッチメント抑制で試験し、一般に入手することの出来る腫瘍細胞株を用いて試験する。陽性のクローンを、更に腫瘍と正常な組織との免疫ペルオキシターゼを使用して試験した。このようにしてクローンを自家移植と同種異系の腫瘍性の細胞とで、その反応性を基礎として選択することが出来る。抗体は陽イオン交換、疎水性の相互作用、大きさの選択、或は親和力クロマトグラフィーなどの方法と、更にこれら方法を組み合わせた方法、例えばボルマー氏(Vollmers)外により(腫瘍学レポート)(Onclogy Reports)(5:35−40,1998)に記載されている方法で、集団培養物から精製することが出来る。抗体の生産の後で、トリオマ(trioma)によって造った抗体の付加的な機能と免疫組織化学の試験を行った。例えば、ハイブリドーマによって作製した抗体について、アポトーシスを誘導する性能と、細胞の増殖を抑制する性能とを、またそれら両方の性能を、何等の処理を行った細胞と比較してテストすることが出来る。また、抗体は非腫瘍性細胞と比較して腫瘍性細胞の系統BXPC−3,23132/87,COLO−206F,COLO−699またはLOU−NH91などとの特別な結合についての能力について試験することも出来る。
【0082】
また、その代りに、抗体を含むポリペプチド或はその断片を、E.大腸菌またはイースト、例えば、S.セレビシアエ(cerevisiae)などの増殖細胞におけるポリペプチド或は抗体を圧出することによって造ることが出来る。例えば、この発明の抗体は次に述べるように認めることが出来る。抗体もしくはその断片は、凡そ107或はそれ以上の抗体のライブラリ(library)を発生する線維状のバクテリオファージに挿入される。各ファージはそれに包含されている核酸によって符号化されるその表面に抗体を発現する。このようにして、この発明の抗体はこの明細書中に記載されている機能および組織化学的効力検定によって調査され、検出され、その遺伝子は、その後において、選択され、E.coliと表現される。このシステムは、例えば米国特許第5,876,691号に示されている。
【0083】
抗体または抗体の破片もまた、例えば、組換え方法を利用して直接に合成して発生させることが出来る。これらの方法は技術上、基本的な手段である。例えば、核酸配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して増産することが出来る。RCRに関する技術は技術上公知であって、米国特許第4,683,195号に開示されている。標準的な前記の方法を用いれば、ハイブリドーマによって発現されたモノクロナール抗体の配列が得られ、抗体の機能的な断片を増幅することが出来る。例えば、全部のRNAが腫瘍特定単クローン性の抗体を発現するハイブリドーマから分離することが出来る。次でcDNAが反転トランスクリプターゼを使用するRNAから発生され、重鎖と軽鎖との可変領域の機能的な断片を含有するcDNAsをPCRを用いて増幅する。PCR生成物は次で清浄化され、表現ベクター、例えばプラスミドまたはウイルス性のベクターにクローン化される。多くの標準ベクターを利用することが出来、適切なベクターの選択は、例えば、ベクターに組入れたDNAのサイズとベクターで変えられる増殖細胞のサイズとによる。
【0084】
ポリペプチドのアミノ酸変異体の分離抗体、例えばSAM−6抗体などのポリペプチドのアミノ酸配列の変形体は抗体を符号化するのに適切なヌクレオチド変化により、或は所望のポリペプチドの生体外での合成によって製造することが出来る。この種の変異体には、例えば、SAM−6抗体のアミノ酸配列内における残留物の欠失または挿入物或は置換物を含む。最終構成物が所望の特徴、例えば腫瘍性の細胞のアポプトーシス(枯死)を招く作用で、非腫瘍性細胞でなかったり、または腫瘍性細胞の増殖を抑える能力のもので、非腫瘍性の細胞でないとすれば、削除、挿入、そして変換を最終構造に達するようにすることが出来る。また、アミノ酸の変化とは抗体の移転後の過程、例えばグリコシル化部位の数または位置を変えること、膜の固着特性の変更、またはタンパク質分解の分裂に対するその感受性の変更などである。
【0085】
抗体のようなポリペプチドのアミノ酸配列を変更しようとするには、変位部位の位置と変異の性質とは変更されるべき特質に依存する。変異の部位は個別的に、または列をなして、例えば、最初に保存性アミノ酸で選択し、次で前記で得た結果による多くの遊離基で、またはターゲット残基を削除することによって行う。
【0086】
ポリペプチドの突然変異生成についての特別の残基または部位を同定するための有用な方法を「アラニン走査突然変位生成」と言って、例えばカンニングハム(Cunningham)氏とウエルズ(Wells)氏著(サイエンス244:1081−1085頁,1989)に記載されている。ここで、ターゲット残基の残留物或はグループ(例えば、arg,asp,his,lys及びgluなどの帯電した残留物)が確認され、そして細胞内部或は細胞外部の周囲の水溶性の環境によってアミノ酸の相互作用に影響して中性もしくは陰電気を帯電したアミノ酸(最も望ましくはアラニンまたはポリアラニン)に取って代った。次で、置換に対して機能的な感度を示すドメインが置換の場所において、或は置換の部位に関して導入されて精製された。このようにして、アミノ酸配列の変化を導く位置が前以て決定され、突然変位の現象は予定されなかった。例えば、特定の場所における突然変位を利用するために、アラニンスキャニングまたは出任せの突然変異生成がターゲットコードン或は置換領域において行なわれ、圧縮された変種が、例えば、腫瘍性の細胞を枯死させる能力があり、非腫瘍性の細胞は、これを無視し、腫瘍性細胞の増殖を阻止して、非腫瘍性細胞の増殖には何等の影響を及ぼさない性能を現わす。
【0087】
代用の突然変異生成について頗る興味のある部位はポリペプチドの生物学的活動に影響するのに役立つ部位を含んでいる。これらの部位は、少くとも三つの同様に維持された部位の配列に属し、比較的保存性に富んでいる。例えば、翼状部はval,leuまたはlieで置換することができ、argはlys,glnまたはasnで置換されることができ、aspはgluで代えることができ、cysはserで置換でき、glnはasnで代えることができ、gluはaspで代替えでき、glyはproで、hisはasn,gln,lysまたはargで代えることができる。ileはleu,val,met,ala、またはpheで置換されることができ、leuはile,val,met,ala、またはpheで置換することができ、lysはarg,gln、またはasnで置換することができ、metはleu,phe、またはileで置換することができ、pheはleu,val,ileまたはalaで置換することができ、proはglyで置換することができ、serはthrで置換することができ、thrはserで置換することができ、trpはtyrで置換することができ、thrはserで置換することができ、trpはtyrで置換することができ、tyrはtrp,phe,thr、またはserで置換することができ、valはile,leu,metまたはpheで置換することが出来る。
【0088】
検出することが出来る物質で抗体の接合
必要に応じて、抗体(例えば、SAM−6などのモノクロナール抗体)、またはその断片を検出することができる物質に連結して、哺乳動物の適当な検知可能な病原体の選択物をポリペプチドの意図的な使用に依存し、当業者にとっては明瞭に判るに相違ない。この発明により検出可能な薬剤は、例えば、蛋白質精製標識,細胞毒素,酵素,常磁性のラベル,酵素培養基,補足因子,酵素反応抑制剤,染料,放射性核種、およびビオチンである。
【0089】
蛋白質精製標識はポリペプチドの分離を促進するために、この発明のポリペプチドに共役させることが出来る。標識の例としては、His−標識,HA−標識,FLAGR−標識、及びC−Myc−標識を使用することが出来る。酵素の或は化学開裂部位はポリペプチドと標識の一部分との間で処理されるので、標識は精製によって除去することが出来る。適当な毒素とはジフテリアの毒素、プセウドモナス外毒素A,リシンおよびコレラの毒素のことである。適当な酵素標識を挙げると、リンゴ酸塩ヒドロゲナーゼ,ブドウ状球菌ヌクレアーゼ,デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ,アルコールデヒドロゲナーゼ,アルファグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ,トリオースリン酸塩イソメラーゼ,ペルオキシダーゼ,アルカリフォスファターゼ,アスパラギナーゼ,グルコースオキシダーゼ,リボヌクレアーゼ,ウレアーゼ,カタラーゼ,グルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ,グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼがある。適当とするラジオアイソトープのラベルには、3H,125I,131I,32P,35Sおよび14Cがある。好ましくは、ラジオアイソトープは10−5,000Kev範囲、より望ましくは100−500Kevを放出する。常磁性のアイソトープもポリペプチドに接合することができて、癌の診断と治療とに生体に使用される。この種の共役抗体を使用することは生体に関して核磁気共鳴イメージングをする。このような方法は既に記載されている。(例えば、シーファ(Schaefer)氏外著,JACC 14:472−480ページ,1989年発行;シャーブ(Shreve)氏外著,雑誌,レソン(Reson)Med.3:336−340ページ,1986年発行;ウォルフ,フィシオル(Wolf,Physiol)著,Phys.Med.NMR 16:93−95頁,1984年刊;ウェスベイ(Wesbey)氏外著,Physiol,Chem.Phys.Med.NMR 16:145−155頁,1984年刊、およびラング(Runge)氏外著,Invest.Radiol.19:408−415頁,1984年刊)。代るべきものとして、放射性同位元素を使って識別した抗体も、結合している標識付き抗体を組織の外科的な除去を要する放射免疫誘導手術に用いることも出来る。このようにして、識別した抗体を非腫瘍性の組織と区別することによって、腫瘍性細胞の方へと手術を進める。腫瘍イメージングは望ましい一時的な放射性同位元素である。半減期が1時間乃至11.4日間の種々の放射性のある金属が、スカンジウム−47(3.4日間),ガリウム−67(2.8日間),ガリウム−68(68分間),テクネチウム−99m(6時間),インジウム−111(3.2日間)およびラジウム−223(11.4日間)などの抗体類に共役するために利用することが出来る。そのガリウム−67,テクネチウム−99mおよびインジウム−111はガンマカメラ映像化のために好ましく、ガリウム−68は陽電子放出断層撮影のために望ましく、ガリウム−68は陽電子放出断層撮影のために好ましく、スカンジウム−47とラジウム−223(およびその他のアルファ放出放射性核種)は腫瘍の治療について好ましいものである。
【0090】
適切な蛍光マーカーの例を挙げると、フルオレスセイン,イソチオシレート,ローダミン,フィコエリトリン,フィコシアニン,アロフィコシァニン,オプサルデヒド及びフルオレスカミンがある。化学ルミセンスマーカーにはルミナルラベル,イソルミナルラベル,芳香性アクリジニウムエステルラベル,イミダゾールラベル,アクリジニウム塩ラベル,蓚酸エステルラベル,イソルミナルラベル,芳香族アクリジニウムエステルラベル,イミダゾールラベル,アクリジニウム塩ラベル,シュウ酸エステルラベル,ルシフェリンラベル,ルシフェラーゼラベルおよびエクオリンラベルがある。当業者は、その他の適切なラベルを承知しており、この発明に応じて使用することが可能である。単クローン性の、或はその断片などの、この発明によるポリペプチドについて検知することが出来る結合は単クローン性の抗体、またはその断片を当業者が周知の規準となる技術を利用して達成することが出来る。基準となる抗体共役技術はケネディ(Kennedy)氏外著(クリン.チム.アクタ(Clin Chim Acta)70,1−31頁,1976年)およびシューアス(Schurs)氏外著クリン.チム.アクタ(Clin Chim Acta)81,1−40頁1977年)に記載されており、例えば、グルタルアルデヒド法,過ヨウ素酸塩法,ジマレイミド法,m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−コハク酸イミドエステル法がある。抗体は当業者が周知の数多の技術の何等か、例えば米国特許第4,444,744号を利用して識別することが出来る。これらの方法の総ては、この明細書に掲載した文献に示されている。
【0091】
この発明においては、異なる標識または同一標識のポリペプチドの特性が同一または異なる腫瘍細胞または腫瘍細胞類形と結合されている異なる抗原または異なるエピトープを使用することが出来る。このような組み合せは、特定の場合において、検出,局所限定および/または治療効果を高めることができ、また一種の腫瘍或は腫瘍の類型より以上に広範囲な検査範囲に広げることが出来る。
【0092】
抗癌剤に接合されたポリペプチド
この発明のポリペプチドは腫瘍性の細胞のアポプトシース,非腫瘍性細胞の抑制細胞の増殖、或は前記の両者を含むけれども、ポリペプチドは腫瘍性の細胞を殺す薬剤またはその増殖を阻止する物質に接合する。抗体または抗体の断片などのポリペプチドのターゲッティングは腫瘍の破壊を高めるために腫瘍に対して細胞に有毒な、或は抗増殖性物質の導出を招く。それゆえ、ポリペプチドは哺乳類、特にヒトの患者の癌の処理や予防に用いることが出来る。ポリペプチドに関連する細胞毒性物質はポリペプチドが結合している腫瘍細胞または腫瘍を破壊または損傷する。この種の物質の例としては、プロ−ドラッグ、即ちサイトカインを活性化する化学療法薬剤或はラジオアイソトープ,酵素類がある。
【0093】
適切な化学療法薬剤は当業者にとって周知のものであって、例えばタキソール,ミトラマイシン,デオキシコーホルミシン,マイトマイシン−C,L−アスパラギナーゼ,インターフェロン類(特にIFN−アルファ),エトポシド,テニポシド,アントラサイクリン類(例えば、ダウノマイシン及びドキソルビシン),メトトレキサート,ビンデシン,新カルジノスティン,シスプラチン,クロラムブチル,サイトシン,アラビノシド,5−フッ化リジン,メルファラン,リシンおよびカリチェアマイシン)。化学療法の薬品は当業者にとって周知の方法を利用して抗体に配合することが出来る。
【0094】
細胞毒性物質として用いるのに適切な放射性同位体は、当業者には周知で、例えばIまたは212Atなどのアスタチンがある。これらの同位体はポリペプチドに付加されることができ、当業者が周知の通常の技術を利用して共有結合させたり、あるいは共有結合させることができる。
【0095】
細胞毒性物質もプロドラッグに有効な酵素とすることが出来る。これは不活性のプロドラッグを腫瘍部位において細胞毒性型に変え、「抗体指定酵素プロドラッグ療法」と呼ばれる。このようにして、ポリペプチド酵素配合体は受療者に対して投薬することができ、治療をすべき腫瘍の領域に局在化されることが出来る。次で、プロドラッグは患者に投薬することのできる制癌剤となり、「抗体指定酵素プロドラッグ療法」と呼ばれる。それからプロドラッグは患者に投薬されて、細胞素性薬剤となって腫瘍の部位に定位して、局在性の酵素の影響を受けて治療するようになる。模範的な酵素は細菌性のカルボキシペプチダーゼG2(CPG2)であって、その用途は、例えばWO88/07378号に記載されている。ポリペプチド酵素配合体は、希望であればWO89/00427号の述べるところに従って、腫瘍の近辺でない体の部分の酵素を不活性化する。
【0096】
別の代案として、この発明のポリペプチドに接合されている細胞素性物質はインターロイキン−2(IL−2),インターロイキン−4(IL−4)、或は腫瘍ネクローシス・ファクターアルファ(TNF−alpha)などのサイトカインとすることが出来る。ポリペプチドは腫瘍に対するサイトカインを標的とするので、サイトカインは他の組織に何等の影響を及ぼすことなく、腫瘍を損傷し、或は破壊する。サイトカインは通常の組換え型DNA技術を利用してDNA準位でポリペプチドに融解する。
【0097】
更に、例えばゲニステイン,タモキシフェン或はシクロホスアミドなどの細胞増殖の抑制物質を、この発明のポリペプチドで共役することが出来る。
【0098】
用量
この発明の治療法について、患者に対するこの発明のポリペプチドの投与はその投与に対する特定の様式,用量または投与間隔の頻度について考慮するものではない。即ち、この発明は筋肉内,静脈内,腹腔内,脈管内,関節内,病巣内,皮下或は腫瘍細胞の増殖を抑制することにより腫瘍性の細胞の枯死によって腫瘍性細胞の数を減少させるのに適当とする投与量であれば、どのような経路をとっても問題とすることはない。これらの複合体は患者に対して1回量または多数の用量を投与する。多数の用量を投与する場合には、その投与を、例えば、1日,2日,1週間,2週間或は1ヵ月などのいずれかに分ける。例えば、ポリペプチド(例えばSAM−6のような単クローン性の抗体)を1週間に1回、例えば、2,3,4,5,6,7,8,10,15,20週間またはそれ以上の週に1回投与する。どのような特別の場合でも、一定の投与秩序を乱すことなく、特定の投与規定を、その個人に対して調節し、人への投与あるいは管理を専門医として判断する必要がある。精確な投与量は使用されるポリペプチドによって異なり、ポリペプチドが結合するリガンドとポリペプチドの浄化値によって異なる。例えば、低量の投与では十分に、対腫瘍性効果を挙げない場合には、SAM−6抗体の投与量を増加することが出来る。これとは反対に患者から腫瘍が消滅した場合には、SAM−6抗体の用量を減らすことが出来る。
【0099】
担当している医師が最終的に適切とする量および用量を投与している間は、モノクロナール抗体またはその断片は、例えば、体重1kg当り1日約0.1mg乃至50mg或は体重1kg当り毎週0.7mg乃至350mgの範囲内とする。治療に有効な量は例えば約0.50mg/kg乃至20.0mg/kg,更に望ましくは、約0.50mg/kg乃至15.0mg/kgで、例えば約0.2,0.3,0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,7.0,8.0,8.5,9.0,10.0,11.0,12.0,13.0,14.0または15.0mg/kg体重を毎日、または隔日、或は1週に1回とする。例えば、適当な投与量は、前述したように投薬された場合、ポリペプチドの量は細胞の枯死を招き、少くとも20%以上が基礎量(未処理)レベルである。一般に、適当な用量と処置と治療法とが治療および/または予防に良い影響を及ぼす。このような反応は、治療した患者を治療をしなかった患者と較べて、治療した患者は臨床の成果(例えば、病状の軽減、完成または部分的或は長期無症候生存)を達成することが認められたのである。この発明によるならば、ポリペプチドの投与は、当業者にとって周知となっている凡ゆる通常の効力検定によって、未処理の者に対して、少くとも20%,40%,50%または75%以上、腫瘍性の細胞を枯死に導いている。更に好ましいことには、増殖が未処理に較べて80%,90%,95%、または100%まで阻止されている。
それとはまた別個に、ポリペプチドを投与すると、腫瘍性の細胞の増殖を当業者が周知の標準的な効力検定によって測定した場合に、未処理の場合よりも少なくとも20%,40%,50%,または75%まで抑制することができる。
それ以上に望ましいことには、増殖が当業者が周知している凡ゆる標準の効力検定で未処理のそれよりも80%,90%,95%,あるいは100%も下位に増殖をおさえることができる。最高に望ましいことは、ポリペプチドが、増殖を阻止し、未処理の対照細胞に関して腫瘍性の細胞を枯死に導くことである。
こうした反応は当業者が周知の技術で観察することが出来る。一般に、医薬の組成に関して、抗体の量は宿主のkg当り約25μgから5mg/kgの範囲内である。適当とする用量は患者のサイズにより変わるが、一般的には約0.1mLから約5mLである。
【0100】
薬剤の組成の形成
この発明のポリペプチドは適当な手段を以て抗腫瘍性の性質を有する部位に達した時に集中させる結果を招くようにすることにある。ポリペプチドは任意の適当な保菌組織中に割合適当とする量を含ませることができ、通常、組成の総重量の1−95(重量)%の量を存在させる。その組成は親(例えば、皮下,静脈内,筋肉、または腹腔内)に配剤するのに適する。薬剤の組成は通常の薬剤の処理(例えば、レミングトン(Remington)著:「ザ サイエンス アンド プラクティス オブ ファーマシイ」(The Science and Practice of Pharmacy)(20版),A.R.ジェナロ,リピンコット,ウィリアム及びウィルキンス著(A.R.Gennaro,Lippincott Williams and Wilkins),2000及びエンサイクロペチア オブ ファーマセウチカル テクノロジー(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology),著作者,ジェー.スワービック及びジー,シー,ボヤン(J.Swabrck and J.C,Boyan),1988−1999頁,マルセル デッカー(Marcel Dekker)社,ニューヨーク)を参照されたい。
【0101】
医薬の組成は処方箋に基づく投薬の形式で、或は通常の毒性の無い医薬として認められる基材および補助剤を含有する適切な投薬装置または挿入管を介して、注射,注入、また体内移植(皮下,静脈,筋肉内,腹腔内など)に送り込むことが出来る。もしも腫瘍性の細胞が(例えば白血病で)血液と直接に接触していたり、或は腫瘍には専ら静脈(I.V.)のルートで接近することが出来る。腫瘍が、例えば胞腹腔或は腹膜の空洞などの限られた場所に生じた場合には、血流を経て送るよりも、直接に空洞中に送り込むことが出来る。このような調合剤の組成および製法は医薬の調剤の技術に於ては周知である。その調剤法はレミントン(Remington)のザ サイエンス アンド プラクティス オブ ファーマシィ スプラ(The Sience and Practice of Pharmacy supra.)に記載されている。
【0102】
癌の進行の診断と監視
以上に説明したように、この発明は哺乳類,好ましくはヒトの患者の腫瘍を検出或は診断する方法に関連するものである。一般的に、この発明のポリペプチドの投与は細胞の枯死或は増殖の削減に敏感に働くものである。
【0103】
この発明のポリペプチドは腫瘍または腫瘍の細胞に特効のものであって、通常の細胞または組織には作用しない。したがって、このポリペプチドは腫瘍の内部の腫瘍性の細胞に結合するが、正常な周囲の組織には影響を与えないので、哺乳動物における腫瘍の検出と処理、つまりその両者を行うものである。例えば、生体組織検査を行った結果、すべて腫瘍が除かれたことが証明されたり、或は患者から除かれた腫瘍がポリペプチドとは結合していない細胞によって完全に囲まれていることが立証されることにより、腫瘍が全部除去されたことが判る。標識の選択は最適の敏感度を呈する組合せを決定することを基礎とし、またそれを選別するものとする。
【0104】
検出の感度を良好にするために、多数の腫瘍の標識を所定のサンプル或は個人で効力検定する。このようにして、抗体或は異なる抗原に関する機能的断片特定のポリペプチドを単独の効力検定または多数の効力検定で組合わせることが出来る。更に、腫瘍に対する多様なプライマー或はプローブを同時に使用することも出来る。標識の選択は最適の感受性を示す組合せを決める基底となる。
【0105】
生体内での腫瘍の検出
一般に、哺乳動物についての腫瘍の診断は、哺乳動物(例えばヒトの患者)から生物の試料を得て、この試料をこの発明のポリペプチド(例えば、SAM−6のような単クローン性の抗体)と接触させ、その試料において、腫瘍性細胞の対照試料との反応性或は結合の度合を検出する。なお、この対照試料は、癌が診断された哺乳類からの、或は腫瘍があるか否か判っていない他の患者からの健康な組織から得た非腫瘍性細胞とする。したがって、この発明の方法は、通常では検出をすることが出来ない、極く早期の腫瘍もしくは転位の検出に特に有用である。それが故に、患者の腫瘍の診断だけでなく、この発明の方法は哺乳動物における腫瘍の進行の観測にも利用することが出来る。その目的のためには、腫瘍の診断に用いる下記に述べた効力検査を、時間を問題に入れることなく、ポリペプチドと結合するレベルを検査する。例えば、効力検定は6ヵ月から1年の期間に亘って、24−72時間毎に行う。そして、それから後、必要に応じて実行する。一般に、腫瘍は時を問題とすることなくポリペプチドの結合の度合が増加した患者においては進行しているのである。これとは対照的に、ポリペプチドの結合が時間の経過によっても一定であったり、或は減少している場合には、腫瘍は進行していないのである。その代り、前述したように、この発明のポリペプチドは、外科手術によって、腫瘍が哺乳動物から完全に除かれたか否かを知るための腫瘍細胞の存在を調べるのにも利用することが出来る。
【0106】
ポリペプチドは、好ましくは、検出を容易にするか、ポリペプチドの反応の測定を容易にする検知可能な物質に結合させることである。生物学上のサンプルは腫瘍性の細胞を含んでいる、例えば、血液,唾液,血清,粘液,痰,尿或は涙などが挙げられる。生物学的試料もまた組織の部分で、固定された組織,新鮮な組織または凍結組織とする。腫瘍は生物学的試料について抗体の反応性のレベルが増加して、対照試料以上に生物学的試料についての抗体の反応性のレベルが上昇する場合に得られた試料である。その増加率は、対照レベルよりも上で、少くとも10%,20%,30%,40%,50%以上である。結合または反応性のレベルは当業者が周知の方法で決定することが出来、更にその詳細については後述する。
【0107】
生体外での診断の効力検定
この発明のポリペプチドを用いての腫瘍の診断は当業者が周知の任意の方法で行うことが出来るもので、サンプルについてポリペプチドの標識を検出する結合剤を用いて行う。例えば、ハーロー氏とラン氏(Harlow and Lane)著,「抗体類」(Antibodies)ア ラボラトリー マニュアル,コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor)1998年刊を参照のこと。例えば、ポリペプチドは酵素結合免疫吸収剤の効力検定(ELISA),ウエスタン吸取り、または組織試料の腫瘍細胞の自位検出に用いることが出来る。例えば、ELISA効力検定は生物学的試料の腫瘍細胞に結合する固相に固定化された抗体にポリペプチドを使用することを必要とする。結合腫瘍細胞は検出試薬を使用して検出できるもので、この検出試薬は遺伝子群を含み、抗体/腫瘍細胞複合体に明確に結合する。こうした検出試薬には、例えば、抗体に特別に結合する結合物質があり、その例を挙げると、抗免疫グロブリン,タンパク質G,タンパク質A,またはレクチンなどである。これらに代るべきものとして、競合的の効力検定を利用することが出来る。それについてポリペプチドは抗体であって、抗原は抗体に対して特異性のもので、報告者グループで標識され、生物学的試料を以て抗体の培養後に固定された抗体に結合する。試料の成分が抗体に対して標識された抗原の結合を抑制する要素の範囲は固定された抗体について試料の反応性を指示するものである。患者の腫瘍の診断は2−抗体サンドイッチ効力検定によって決定される。この効力検定は固体支持台に固定された抗体と最初に接触することによって行なわれるもので、前記固定支持台は通常、マイクロタイタープレートの空所で試料内のポリペプチドが固定された抗体に結合される。自由にされた試料は固定したポリペプチド−抗体複合体と検出試薬とから除かれる。(なお前記検出試薬はポリペプチドに異なる部位に結合することの出来る第二の抗体とすることが望ましく)、検出試薬はレポーター群が加えられている。固定支持台に残存する検出試薬の量は固定支持台に結合し、特異のレポーター群について適当とする方法を用いて決定される。例えば、腫瘍の存在の有無、結腸直腸の腺癌、固相支持体に結合したままのレポーター群、これは一般に前決定遮断値に相当するシグナルに比較される。結腸直腸の腺癌などの腫瘍の存在の有無を決定するために、前決定カットオフ値に該当するシグナルに固相支持に結合したままのレポーター群から検出したシグナルを前以て決定された遮断値に相当するシグナルと比較する。腫瘍の検出に当っての遮断値は、抗体が腫瘍の無い患者からの試料と比較した時に得られた平均シグナルである。
【0108】
レポーター・グループを検出するのに用いられる方法はレポーター・グループの性質による。放射性のグループに関して、シンチレーション計算法またはX線写真法を用いることができる。分光器法も色素,発光群および蛍光群を検出するのに用いることができる。ビオチンも異なるレポーター類(一般に放射性或は蛍光群または酵素)と共にアビジンを用いて検出することが出来る。酵素レポーター類は基質を(一般に限定された時間)添加して、反応物質を分光器を用いる分析またはその外の分析で検出することが出来る。
【0109】
この発明のポリペプチドは腫瘍細胞の自然位検出または定量測定について組織学的に用いることが、例えば、免疫蛍光法または免疫電子顕微鏡検査法によって出来る。こうした手段を利用することは、検体の腫瘍細胞の検出に役立つだけでなく、その空間分布の測定にも役立つのである。別の例としては、生物学的試料はスライド上の腫瘍細胞を含んでいる生物学的物質の塗抹標本とすることができ、生物学的物質中の腫瘍細胞の検出を顕微鏡の塗抹標本を調べるか、或は血球計算によって標本を調べることによって行うことが出来る。
【0110】
腫瘍の生体検出
代りとなるものとして、この発明の抗体は腫瘍の検出とその所在部位の検出とのために生体に用いることが出来る。この種の方法は、哺乳動物、望ましくはヒトの被検者に、この発明のポリペプチド、例えば検出物質で標識されたSAM−6などを注射することで、例えば、米国特許第4,444,744号に開示されている。例えば、ポリペプチドは患者に対して、薬理学的に不活性の放射性同位体で放射性標識をつけることが出来、患者に投薬される。放射性同位体はフォトスキャンニング装置を用いて哺乳動物に関して検出することができ、目標値に関して増加していれば、腫瘍の検出と位置の確認とに反映する。
【0111】
治療
哺乳動物の腫瘍の診断と監視とに加えて、この発明は、また、哺乳動物、好ましくはヒトの患者の腫瘍を処理する方法を特徴とするものである。その方法は、一般的に、患者に対して、この発明のポリペプチドの生物学的に有効とする量を投与することにある。ポリペプチドは、例えば、静脈または動脈内への注入と同様に、静脈,皮下,粘膜、または空洞内の注射によって、哺乳動物に投与される。したがって、ポリペプチドは患者の血流中にSAM−6抗体として静脈注射するとか、或はポリペプチドを腫瘍の部位に直接注入するか、或は腫瘍細胞に近い場所に注入することが出来る。かくして、ポリペプチドは、全身的に注入することが出来るものであって、例えば、患者の血液の流れの中にSAM−6抗体として静脈注射するか、またはポリペプチドを腫瘍に直に注射し、あるいは腫瘍の細胞に近接する部位に注射する。
【0112】
一般的に、前述したように、この発明のポリペプチドの腫瘍性細胞との結合によって、その細胞の枯死を招き、細胞の増殖を減少させ、対照検体について共に相対的に細胞の枯死と減少との両者を行う。その代りとして、抗体は補体の経路について活性化され、最終的には細胞を枯死に至らせる細胞膜に穿刺すべき孔をあける結果となる。
【0113】
必要に応じて、ポリペプチドを前に述べた薬剤または毒素に共役させることが出来る。一度び細胞の表面に結合されると、細胞酵素を切り裂く細胞変成を包み込み、そして共役状態から活性化し、或は薬剤または毒素を遊離する。細胞DNAから僅かに離れた場所において、識別に用いる放射性同位元素抗体について、腫瘍性の細胞に結合して、放射線の放射によって、次の再現時期内に細胞を枯死に導く。例えば、腫瘍が被検者から検出されて、その局部に限定されていることが判れば、通常、患者の体重70kgを基準として、一回の投与量を25乃至250mCi for131I、好ましくは50nCi乃至150mCi注射する。その注射は静脈内注射,動脈内注射,リンパ管内注射,腔内照射療法とすることができ、それを1回以上繰り返す。放射性同位元素を用いて識別されたポリペプチドまたはポリペプチド混合物の分割用量、例えば20−120mCi(体重70kgの患者に対して)を数回投薬すると治療にとって極めて有効である。したがって、無処置の細胞の放射を通常、比例的に増加して行うことなく腫瘍に対し細胞の枯死を高度にする。
【0114】
標識されたポリペプチドを使用する治療法は初期の治療法としては頗る利点があるが、この治療と合わせて別の抗腫瘍治療法、例えば放射線および化学療法、および外科の補助などを行うことも出来る。この種の腫瘍に対するポリペプチドの投与は、外科手術では取り除くことが出来ない小さな転位の場合に、特に有効である。
【0115】
ポリペプチドと他の抗腫瘍治療法との組み合せについて
腫瘍に対する化学療法の薬剤および/または放射線療法および/または外科手術による除去を、この発明の幾つもの方法のいずれかと任意に組み合わせて行うことが出来る。化学療法の薬剤として用いることができる化学物としては、次のものが挙げられる。即ち、アルキル化薬剤,抗代謝物,天然の生成物およびその誘導薬,ホルモン類およびステロイド類(合成類似化合物を含む)、及び合成薬がある。アルキル化薬剤(例えば窒素マスタード,エチレン基誘導体,アルキルスルホン酸,ニトロソウレア及びトリアジン)はウラシルマスタード,クロルメチン,シクロホスファミド(CytoxanR),イフォスファミド,メルファラン,クロラムブシル,ピポブロマン,トリエチレン−メラミン,トリエチレントリホスラミン,ブスルファン,カルムスチン,ロムスチン,ストレプトゾシン,ダカルバシン及びテモゾロミドを含んでいる。天然の生成物とその派生物(ビンカアルカロイド,抗腫瘍抗生物質,酵素,リンホカイン及びエピポドフィロトキシン)もまた使用することが出来、それらは、例えば、ビンブラスチン,ビンクリスチン,ビンデシン,ブレオマイシン,ダクチノマイシン,ダウノマイシン,ドキシルビシン,エピルビシン,イダルビシン,パクリタキセル(パクリタクセルはタキソール,ミトラマイシン,デオキシルコ・フォルマイシン,マイトマイシン−C,L−アスパラギナーゼ,インターフェロン、特に、IFN−alpha),エトポシド、及びテニオポシドとして市販されている。ホルモン及びステロイド(合成アナログを含む)は、例えば、17−アルファ−エチニルストラジオール、ジエチルスチルベストロール,テストステロン,プレドニソン,フルオキシメステロン,ドロモスタノロン,プロピオン酸塩,テストラクトン,酢酸メゲストロール,タモキシフェン,メチルプレドニソロン,メチルテストステロン,プレドニソロン,トリアムシノロン,クロロトリアニセン,ヒドロキシプロゲステロン,アミノグルテチミド,エストラムスチン,酢酸メドロキシンプロゲステロン酢酸塩,ロイプロライド,フルタミド,トレミフェネ、またはゾラデックス、である。模範的な合成薬(白金配位複合体のような無機質の複合体を含んでいる)には、シスプラチン,カルボプラチン,ヒドロキシ尿素,アムサクリン,プロカルバジン,ミトタン,ミトクサントロン,レバミソール及びヘキサメチレンテトラミンを挙げることが出来る。
【0116】
これらの化学療法の薬剤の多くの安全で有効な投与についての方法と投薬量とは当業者に周知されている。更に、その投与は標準文献に記載されている。例えば、化学療法の薬剤の多くの投与は「フィシィシアンス・デスク・リフェレンス」(Physicians’Desk Reference)(PDR、例えば、1996年版(メディカル・エコノミックス・コンパニー,モントバル,ニュージャージー 07645−1742,USA)(Medical Economics Company,Montvale,N.J.07645−1742,USA)、に記載されていて、その書籍の説明を参考文献として、この明細書に組入れたものとする。
【0117】
次に記載する幾つもの例は、この発明の実例を述べるものであって、この発明をこれらの実例にのみに限定すべきではない。
【0118】
例1 原料と方法
細胞培養
この研究に当っては、次のヒトの細胞株を用いた。BXPC−3(膵臓の腺癌),23132/87(胃の腺癌),COLO−206F(コロン癌腫),COLO−699(肺の腺癌)およびLOU−NH91(肺の鱗状細胞癌腫細胞),RPMI−2650(鼻の隔壁鱗状細胞癌腫細胞)およびHNEpC−c(正常の鼻の上皮の細胞)。
細胞株はRPMI−1640培養地(PAA,ウィーン,オーストリア)で10%ウシ胎児血清(FCS)で補充された10%胎児の脛の漿液(FCS),2mMグルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシン(共に1%)と加湿した37℃の5%CO2雰囲気において培養された。効力検定に関して述べるために、細胞を集合するように生長させ、トリプシン/EDTAで分離し、これを使用する前にリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で2度洗浄した。
【0119】
ハイブリドーマの製作
次に述べるようにしてHAB−1異種骨髄腫に永続性のリンパ球を融合した。そしてHAB−1異種骨髄腫を添加物なく毎分1500回転の速度で5分間遠心分離した。次で、脾臓あるいはリンパ節の一方から得た溶けたリンパ球或はリンパ結節から解凍したリンパ管を得た。それから、これらの細胞に何等の添加物を加えることなく、これをRPMI1640を用いて2回洗ってから、5分間、毎分1500回転して遠心分離して、ノイバウエル細胞計算室で計算した。また再び細胞を洗浄し、HAB−1細胞とリンパ球とを1:2乃至1:3の割合に混合して、毎分1500回転させて8分間、その混合物を遠心分離した。前以てポリエチレングリコール1500(PEG)を37℃に暖めて、注意深くPEGをペレットに滴下し、50mlの管をゆっくりと回転して、ペレット上にPEGを流した。次で、ペレットをゆっくりと再び懸濁して、37℃の水浴で正確に90秒間、その管を回転した。次で、添加物なしのRPMIの10mlで細胞を2回洗い、毎分1500回転で5分間、遠心分離した。RPMI1640の1mlをHATサプリメント(PAA,ウイーン,オーストリア)と10%FCS,1%グルタミン、および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(“RPMI 1640 HAT”)を24−well板の各wellに加えた。それから、24−well板を37℃定温器に配置して、RPMI 1640 HAT培養基を毎週取り替えた。4週間乃至6週間後に、細胞培養物の上澄の物質を酵素連鎖性の免疫吸着物効力検定(ELISA)における抗体を生産するために分離した。
【0120】
このプロトコルを用いて、発生されたトリオマス(triomas)の凡そ80%乃至90%は、生長することが出来るものであって、その凡そ50%は分泌免疫グロブリンである。陽性のクローンは自家移植の腫瘍組織部分に関して免疫組織化学的に試験され、それによって後に再びクローンにされる。
【0121】
cDNA合成とRT−PCR
抗体の配列順序を得るために、キアゲン(Qiagen)からRNASEキット(Kit)を用いてトリオマ(trioma)から総てのRNAを分離した。全体のRNAは技術上基準とされている方法を利用して作成した。なお、技術上の基準としては、クレーン氏(Krern)氏外著(クリン.Exp.免疫学)(Clin.Exp.Immurol.115:168−175頁,1999)、に記載されている。ハイブリドーマ細胞株SAM−6から得た全体のRNAからのcDNA合成は製造家の指示によるギブコ(Gibco)BRL(エゲンステイン,ドイツ)(Eggenstin,Germany)M−MLV レーバース トランスクリプターゼ(Reverse Transcriptase)を用いる5μgトータルRNAで行なわれたハイブリドーマ細胞株から得た完全なRNAからcDNAを合成する。VHとVL遺伝子の増幅修飾物質は1.75mM MgCl2で、25μl容量で、0.4pMプライマー、各dNTDの200μM、および1U Taqポリメラーゼ(MBIフェルメンタス,St.レオン−ロト,ドイツ)(MBI Fermentas,St.Leon−Rot,Germany)で行われた。PCR−生成物は次のサイクルプロフィールを使用して増産された。即ち、(VH3とVH4プライマーについて)2分間;95℃、次で30秒間94℃で35サイクル;30秒間65℃,VLプライマーについて、それぞれVH1,VH2,VH5,VH6について60℃、そしてVLプライマーに関して52℃;72℃で4分間の最終延長。
【0122】
抗体の配列決定法
PCRをジェットソーブ(Jetsorb)ゲル抽出装置(ゲノームト,バド,オインハウゼン,ドイツ)(Genomed,Bad Oeynhausen,Germany)を使用してPCR生成物のゲル抽出に従った2%アガロースでゲル電気泳動法(ロス,カルスルー,ドイツ)(Roth,Karlsruhe,Germany)で精製した。次で、PCR生成物はpCR−Script Amp SK+クローン化装置(スッラターゲン,ハイデルベルグ,ドイツ)(Stratagene,Heidelberg,Germany)を使用してクローン化した。10個の陽性のクローンをダイデォキシ(DyeDeoxy)ターミネーションサイクル配列装置(アプライト バイオシステムズ インク.,ウェイテルスタッド,ドイツ)(Applied BioSystems Inc.,Weiterstadt,Germany)を用いて配列され、ABIPrism373自動化DNA配列装置)で分析された(前記の両要素はT3とT7プライマーを使用して配列された)。それらの配列はウインドウズ(Windows)配列比較ソフトウェアーのDNASISとゲンバンク(GenBank)及びIMG T/V−QUESTデータベースを使用して分析された。インターナショナル免疫遺伝学(“IMGT”)データベースは、ユニバーシティ モントペエリア,モントペエリア,フランス(Universite Montpellier,Montpellier,France)のマリー・ポール・レフランク(Marie−Paule Lefranc)によって配位されている。
【0123】
パラフィン部分の免疫組織化学の染色
パラフィンに埋没させたヒトの組織を切片(2μm)にした。そしてパラフィンを次のようにして除いた。
【0124】
パラフィンの除去:
・キシレン1 5滴
・キシレン2 5滴
・100%エタノール1 5滴
・100%エタノール2 5滴
・メタノール(70ml)+H2O2(500μl) 5滴
・90%エタノール1 3滴
・90%エタノール2 3滴
・80%エタノール1 3滴
・80%エタノール2 3滴
・70%エタノール1 3滴
・70%エタノール2 3滴
・Tris/NaClで1回洗う
・加熱:300ml dest.圧力加熱器にクエン酸を入れて5分間加熱
・BSA/PBS,顕微鏡のスライド1枚当り150μlで15分遮断
・Tris/NaClで1回洗浄
・第一の抗体:顕微鏡のスライド1枚当り150μl,加湿された容器において37℃の温度で2.5時間培養
・Tris/NaClで3回洗浄
・第二の抗体:顕微鏡のスライド1枚当り150μl,室温で加湿した容器内にて45分間培養(700μlPBS+300μlAB−2プラズマ+20μl抗体)
・Tris/NaClで3回洗浄
・PBSに10分間置く
・ジアミノベンチジン(0.05%)−過酸化水素(0.02%)で10分間培養:顕微鏡スライド当たり150μl
・H2Oで3回洗浄,次で蒸留したH2Oで1回洗浄
・血毒素中に5分間入れておく
・水道水を10乃至15分流す中に置く
・蒸留したH2Oで洗浄
・グリセロールゼラチンで被覆
【0125】
腫瘍細胞膜抽出物の調製
腫瘍細胞よりの細胞膜の分離は、例えばエンセル氏(Hensel)外の(Int.J.Cancer81:229−235,1999)に記載されているように、技術上の標準的な方法を利用して、その記載の通りに行なわれた。特に、融合した腫瘍細胞(BXPC−3と23132/87)はPBSで二度洗浄し、細胞剥離器で組織回収し、低張緩衝液(20mM HEPES,3mMCl,3mM MgCl2)中に再度懸濁し、冷蔵庫に入れて15分培養した。次で細胞を5分間音波によって破砕し、核を10分間10,000×gにて遠心分離して小球(ペレット)にした。上澄み液は膜を小球にするためにスウイング−アウト(swing−out)ローターで、100,000×gについて40分間遠心分離した。できた小球を低張緩衝液で洗浄した後に、その小球を膜溶解緩衝液(50mM HEPES pH7.4,0.1mM EDTA,10%グリセロール及び1%三重陽子X−100)に再び懸濁した。完全なタンパク質分解酵素抑制因子(ボエヒリンジァー,マンハイム,ドイツ)(Boehringer,Mannheim,Germany)もまた総ての溶液に加えられた。
【0126】
ウエスタンブロッティング
ウエスタンブロットは、例えばヘンセル氏外(Hensel et at.)の(イント.J.カンサー81:229−235頁,1999)(Int.J.Cancer 81:229−235,1999)に記載の標準技術を用いて行なわれた。要約すると、ブロット法を利用したニトロセルロース膜を3%低脂肪ミルクパウダーを含有するPBSで遮断し、次で、SAM−6ヒト1gM抗体または関連のないヒト対照IgM(クロムピウア IgM,ジアノバ)(ChromPure IgM,Dianova)の20−40μgで1時間痂皮形成を行った。二次抗体(ペルオキシダーゼ連結ウサギ抗ヒトIgM抗体1:1,000,ジァノバ)をピアース(Pierce)(KMF,St.オーガスチン,ドイツ)(KMF,St.Augustin,Germany)からスーパーシグナル(SUPERSIGNAL)化学ルミネッセンス キットで検出した。
【0127】
超微構造研究
癒着性進行性胃癌細胞株23132/87を指示された期間10μg/ml SAM−6抗体または関連のないヒト対照IgMで指示された時間をかけて培養した。次で載せたガラスをソエレエンセン(Soerensen)緩衝液pH7.4(ラスター電子顕微鏡のため)で2.5%グルタルアルデヒド(電子顕微鏡)或は6.25%グルタルアルデヒドで固定し、顕微鏡検査分析のために調製した。細胞の形態学を電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡とを走査して調べた。
【0128】
ズダンIII染色
細胞内のリピドを染色するために、胃癌細胞23132/87をガラス・スライド上で成育した。付着細胞を抗体SAM−6(30μg/ml)で48時間培養した。リン酸塩緩衝生理的食塩水で2回洗浄した後に、細胞を60%イソプラパノールで5分間固定した。使用前に、ズダンIII株の60%溶液(100%イソプラパノール中ズダン0.5%)を一晩成熟し、濾過して、固定した細胞に加えた。15分後に、細胞を蒸留したH2Oで洗浄し、60%イソプラパノール中で分化し、再び洗浄し、それから6分間メイヤーズヘマラム洗色液で洗色した。最後に、細胞を10分間洗浄し、蒸留したH2Oで洗い、グリセロゼラチンを付けた。
【0129】
ナイルレッド染色
フェノキサジン染料で染色する中性のリピドを(グリーンスパン,P.,メイヤー,EP.,とフォウラー,D.ナイルレッド:ア セレクティブ フローレスセント フォア イントラセルラー リピド ドロップレット.J.セルビオル.100,965−973,1985)(Greenspan,P.,Mayer,E.P.,and Fowler,D.Nile Red:A Selective Fluorescent Stain for Intracellular Lipid Droplets.J.Cell Biol.100,965−973,1985)に以前に述べた通りに行なった。簡単に述べると、胃癌細胞23132/87をガラス板上にて生長させ、付着細胞を48時間SAM−6抗体(30g/ml)で培養し、それから5分間1.5%グルタアルデヒドで固定し、HEPES緩衝液で洗浄し、HEPES緩衝液(アセトンについて1mg/mlナイルレッドの保存溶液)の1:200希釈液で培養した。HEPES緩衝液で更に洗浄した後に、細胞核を8分間DAPI(水で1:1000に希釈)で染色した。それから細胞を再度洗浄してフルオロマウント−G(Fluoromount−G)(SOUTHERN バイオテクノロジー ASS.,InC.,米国)(SOUTHRN Biotechnology Ass.,Inc.,USA)に乗せた。蛍光分析をLeica TCS SP2同焦点レーザー顕微鏡で行った。極性脂質は暗赤色(543nm)に染色され、中性の脂質は黄色(488nm)に染色され、細胞核は青色(350nm)に染色された。
【0130】
oxLDLの検出
LDL(シグマ,タウフキルヘン,ドイツ)(Sigma,Taufkirchen,Germany)が20μM CuSO4で15時間づつ3回かけて培養して酸化させた。酸化されたLDLの量をメルコディア酸化LDL ELISA(メルコディア,ウプサラ,スェーデン(Mercodia,Uppsale,Sweden)で決定した。
【0131】
メルコディア酸化LDL ELISAは固相2部位酵素免疫学的検定である。これは直接のサンドイッチテクニックを基本とするもので、2つの単クローン性の抗体を酸化させたアポリタンパクB分子について異なる抗原の決定因子に指向される。試料の培養酸化LDLが抗酸化LDLと反応しているうちに、抗体はミクロ滴定に十分に結合する。非反応性細胞質成分を除去するための洗浄後に、ペルオキシダーゼ接合抗ヒトアポリポタンパクB抗体は酸化したLDLを固相に結合することを認めるものである。2番目の培養と結合していない酵素の標識を付けた抗体とを除く単一の洗浄後に、結合配合体を3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMB)と反応させて検出した。その反応は450nmで分光測光的に読み取れる比色法の端点を付与するために加えて停止された。
【0132】
SAM−6−oxLDL相互作用計量
可撓性の平底96−井戸型平板(ベクトン ディッキンソン ラブウワー ヨーロッパ,フランス)(Becton Dickinson Labware Europe,France)を4℃の温度で一晩中、異なる酸化LDLで培養した。次で、平板を1時間10%FCSを含有するRPMI−1640媒質を用いて遮断した。その後に、その平板を37℃の温度で1時間PBSで薄めた60μg/ml SAM−6抗体で培養した。PBSで3回洗浄してから、PBSで1:1,000に希薄したHRP−連結二次抗体(ウサギ抗ヒトIgM,ダコ,ハンバーグ,ドイツ(Dako,Hamburg,Germany)で培養した。それから倍地をPBSで一度洗浄し、クエン酸塩緩衝液で二度洗浄し、OPD(ダコ サイトマチオン,グロストラップ,デンマーク)(Dako Cytomation,Glostrup,Denmark)とエライザーリーダー(ELISA−reader)において490nmの測定とを行った。
【0133】
細胞内で強化された脂質のクロマトグラフィー分析
BXPC−3細胞類を、それぞれヒトに無関係の対照免疫グロブリン(クロムピューア IgM,ダィアノバ,ドイツ)(Chrompure IgM,Dianova,Germany)を24時間30μg SAM−6抗体を培養した。次で、細胞類をトリプシン/EDTAを用いて剥離し、次でPBSでSteppsを2度洗浄した。細胞ペレットを使用するまで20℃で貯蔵した。リピドを細胞ペレットから取り出した。その取り出されたリピドは250μlクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解され、10回別々に25μlが(SiO2,シリカゲルで被覆された)薄層クロマトグラフィー平板の起始点において拡散培養された。外部右側と左側とにおいて、異なる周知のリピド(コレステロールエステル,コレステロール,トリグリセリド,オレイン酸,ホスパチジレサノルアミン,ホスファチジルコリン,スフィンゴミエリン)が詰められた。極性を持たないために脂質ヘキサン/酢酸エチル/酢酸(90/10/1)がリン脂質等、クロロホルム/メタノール/H2O(70/30/5)の
アゾール試薬(酢酸で溶解されたアニスアルデヒト/硫酸)を用い色付けが最適の状態になるまで150℃での加熱を続けた。
【0134】
生体におけるSAM−6活動度の検出
生体における腫瘍細胞の生長に関する抗体SAM−6の効果を確定するために、scid−マウス/ヒト膵臓腫癌細胞システムを用いた。C,B−17/IcrHanHad−scid mice(ハーラン ウィンケルマン ゲーエムベーハー,ボルチェン,ドイツ)(Harlan Winkelmann GmbH,Borchen,Germany)(材齢6−8週,n=10per group)を皮下にat day 0で2×106ヒト膵臓腺癌細胞株(BXPC−3)を接種し、1,3,5,7および9日毎にSAM−6抗体にi.p.ポスト癌腫細胞をSAM−6抗体(200μg)の注射で行った。複数の実験対照用マウスに同じ濃度で関連の無いヒトIgM(クロンピューアIgM,ディアノバ,ハンブルグ,ドイツ)(Chrompure IgM,Dianova,Hamburg,Germany)を同じ濃度で注射した。可視腫瘍生長を実験中肉眼で測定した。それらの実験は腫瘍が最大の許容サイズ(day25)に到達した時に終了したので、実験対称マウスは犠牲になり、腫瘍容量と腫瘍重量とが測定された。
【0135】
例2 SAM−6単クローン性抗体を表現する細胞株の発生
前述した通り、ヘテロ骨髄腫細胞株HAB−1(ファラー氏外著,Br.J.癌62:595−598頁,1990)(Faller,et.al.,Br.J.Cancer 62:595−598,1990)で癌患者の脾臓或はリンパ節から得たリンパ球を溶融してハイブリドーマを発現するSAM−6モノクローナル抗体を得た。リンパ様の線源は患者の年齢や性別について前以てそれを選択しなかった。終結の細胞は3つの細胞の融合のように、トリオマ(trioma)として知られているハイブリドーマの型式のものである。正常のB−リンパ球のように、このトリオマ(trioma)は抗体を造り出す能力がある。トリオマの特殊性は3種類の細胞の融合のようなものである。正常のB−リンパ球のように、このトリオマは抗体を作り出す能力を備えている。抗体の特殊性はトリオマを発生するために利用された患者からの最初のリンパ球の特異性によってきまるのである。
【0136】
ハイブリドーマ上澄みはELISA効力検定に使用する抗体生産のために選別される。ELISAに次で、抗体が腫瘍の特異的反応性のために他の部位に移植するのに逆らって免疫組織化学的に一次検定された。SAM−6抗体が腺癌の患者の胃から発生された。
【0137】
ヒトのモノクローナル抗体SAM−6の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)と核酸配列(SEQ ID NO:2)を図8aと8bとに示してある。ヒトのモノクロナール抗体SAM−6の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)と核酸配列(SEQ ID NO:4)は図9aと9bとに示してある。図8bと9bとにおいては、異なる相補性決定領域(CDRs)が示してある。ポリペプチド配列の相補性決定領域(CDRs)はアミノ酸配列から成っていて、その配列は次に示すアミノ酸配列と実質的に同一である。その配列は、Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1),Gln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)と軽鎖(VL)の可変領域のGln−Ala−Trp−Asp Ser−Ser−lle−Val−Val(CDR3)である。一方、ポリペプチドアミノ酸配列の補足性決定領域(CDRs)は次に示すアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列から成っている。前記アミノ酸配列はSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−lle−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)及びL鎖(VH)の可変領域のSEQ IDNO:3のAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)である。ポリペプチドアミノ酸配列の相補性の決定領域(CDRs)は次に示すアミノ酸配列と全く同一のアミノ酸配列から成っている。なお、前記アミノ酸配列は、次の通りである。軽鎖(VH)の可変領域のSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−lle−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)及びAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)。
【0138】
例3 抗体の免疫組織化学の特性
ハイブリドーマによって分泌されたモノクロナール抗体を特徴づけるために、原料と方法とに述べられているように免疫ペルオキシダーゼ効力検定を利用して抗体を正常のパネルと腫瘍組織に対して抗体を試験した。この効力検定によって、抗体によって染色された組織と抗原の分布の概観が判った。
【0139】
腫瘍細胞については明確であるが、通常の組織については特に明確でない抗体が更に特徴づけられた。最初、これらの抗体を異なる患者たちから得た同じタイプの腫瘍に対してテストした。次で、これらの抗体を別の臓器の腫瘍に対してテストし、最後に正常の組織について試験した。これらの効力検定で、ヒトSAM−6モノクローナル抗体が同一であることを認めた。この研究で生成され、記載した腫瘍に反応する抗体はIgM/λ複基準のものである(表1を参照)。
【表1】
【0140】
このヒトモノクロナールIgM抗体の遺伝の原点を調べるために、VH及びVL遺伝子を増幅し、クローン化して配列した。その配列を、最も同族体の生殖細胞遺伝子と同定し、体細胞の突然変位を検出するために多数の同族体の生殖細胞系遺伝子と同定するためにIMGT/V−QUESTについて生殖細胞系と比較した。その結果は表2に示してある。
【表2】
【0141】
生殖細胞遺伝子についてのVH領域の高度相同性(100%)と低R/S比率は、抗体の親和性亢進の指示であって、その抗体が抗原近接性に基づいて変化されなかったことを示す。VL体節の塩基配列は快適相同性VL生殖細胞遺伝子に対して更に高い。そのデータはSAM−6抗体が自然非親和性の成熟した抗体のファミリーに属することを示している。
【0142】
自己腫瘍に関する最初の検査の後に、抗体の反応パターンを免疫組織化学染色を利用してパラフィン埋設癌腫と通常の組織とに染色した。SAM−6抗体は正常の組織と共に結合作用を示さなかった(表3参照)。
【表3】
【0143】
前記と対比して、SAM−6抗体が異なる腫瘍組織に対する反応パターンを表4に示す。
【表4】
【0144】
抗体SAM−6の陽性反応は明瞭に陽性反応が胃の腺癌に限定されず、その他、胸の侵入性小葉癌腫にも観察された(図1A)、また結腸の腺癌も観察され(図1B)、そして食道の扁平細胞癌腫も観察された(図1C)。これらの実験に使用した陽性対照抗体はヒト細胞5/6に対抗するマウスモノクロナール抗体であった(“CK5/6;”ダコA/Sデンマーク)またはヒトサイトケラチンに対抗するマウスモノクロナール抗体であった(“CAM5.2;”ベクトン ディクキンソン,ニュージャージ)(CAM5.2;Becton Dickinson,New Jersey)。
【0145】
抗体で認められた抗原を調べるために、株化癌腫細胞株の膜抽出物で行なわれた。抗体SAM−6は胃癌腫細胞株23132/87と膵臓腺癌細胞株BXPC−3とに一本の特異沈降線を生成した。抗体SAM−6は凡そ140kDaの膜タンパクと反応した(図3A)。IgM抗体が膜抽出物非特異性結合を除外するために、対照として非関連ヒト対照IgMを使用した。
【0146】
例4 抗体が枯死を誘導するか否かの決定
抗体が細胞を枯死に導くのであれば多くの効力検定基準を利用することが出来る。
【0147】
例えば、SAM−6抗体が細胞死を招く程度を分析するために細胞死探知エライザPLS(ローシュ,マンハイム,ドイツ)(Roche,Mannheim,Germany)を利用した。細胞死探知エライザはDNAとヒストンとのそれぞれに対して作用した定量サンドイッチ−酵素−免疫測定法原理を基礎とするものであった。その効力検定は細胞の枯死で死んだ細胞の細胞質に放出されたモノ−及びオリゴー ヌクレオソームを特定するのに役立つのである。
【0148】
特に、1×104腫瘍細胞(BXPC−3,23132/87,RPMI−2650及びHNEpC−c)を96−井戸型平板の上に平に載せて、CO2恒温器において7%CO2を37℃で24時間、濃度の異なるヒトIgM−抗体の存在中で培養した。無関係なIgM抗体で枯渇した細胞培養上澄みが負の制御として役立った。培養期間後に、細胞を10分間かけて遠心分離し、その上澄みを除去した。その結果生じた細胞を、次で、室温において30分間、溶解−緩衝液を用いて培養した。その上澄みを遠心分離した後、これをストレプトアビシン被覆マイクロタイタープレート(MTP)と免疫試薬(10%抗ヒストン−ビオチン,10%抗DNA−ペルオキシターゼ)(抗−DNAPOD)と80%培養緩衝液をMTP振盪機を毎分250回転させ、室温において2時間、その培養前に添加した。次に、潜伏期の後に、非結合成分を培養緩衝液で洗液段階により除去した。PODはABTSTMで側光法で基質(1ABTSTM(2,2’−アジノ−di[3−エチル−ベンズ−チアゾン−スフォナト]5ml基質緩衝剤)の錠剤として決定された。抗体−誘導細胞死は対照液としてABTSTMと比較して405nmの波長でELISA(酵素標識免疫吸着測定法)を利用して、この反応の結果として形成された緑色沈殿物の色の強度を決定して測定された(凡そ490nmの参考波長)。この色の強度を基準として、抗体誘導細胞の枯死のレベルを計算した。これらの検査によって培養の48時間後、癌腫細胞に細胞死が誘発された(図3B)。
【0149】
同図のY軸は参考波長415nm及び490nm(A415−A490)における吸光度の差で、負の制御はRPM1 1640培養液である。SAM−6抗体の濃度は上澄みにおいて、両方とも4μg/mlであった。
【0150】
例5 抗体が細胞の増殖を阻止するか否かの決定
細胞の増殖は技術上標準とされている多くの方法、例えばテトラゾリウム塩類によって効力検定することが出来る。黄色テトラゾリウム塩3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−y1)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(“MTT”)(シグマ,セント.ルイ,MO)(Sigma,St.Louis,MO)、が代謝性的に能動性の細胞により、一部NADH及びNADPHなどの当量を減ずるミトコンドリアの脱水素酵素の作用によって幾分か減少する。結果的に細胞内の紫ホルマザンが光学分析手段によって可溶化され定量化される。MTT細胞増殖効力検定は細胞増殖の速度を測定し、代謝性事象は細胞を枯死に導き、細胞の生存能力は縮小する。
【0151】
MTT効力検定のために、細胞(23132/87)の抗トリプシン性を破壊し、10%ウシ胎児血清(FCS)、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(完全培地)を含有するPRMI−1460媒質10mlに前記細胞を再び懸濁した。次で細胞を計数し、1×106細胞/mlに希釈した。この懸濁物の50μlを96−井戸型平板の容器中でピペット操作し、凡そ5×104細胞/容器のものとした。容器の最初の列は空所にしておいた。次に、各容器に対して完全な培養液に希釈した抗体の50μlを加えた。次で、96−井戸型平板を37℃恒温器内で24時間かけて培養した。潜伏期の後に、50μl MTT溶液(PBS中に5mg/ml)を各容器に加えた。96−井戸型平板を37℃で30分間培養し、800gにおいて5分間遠心分離した。その上澄みを吸引し、ジメチル−サルフォ酸化物(DMSO)を各容器に加え、細胞ペレットを再懸濁した。ELISA(酵素標識免疫吸着測定器)にて540nmの波長と690nmの基準波長とで吸収が決定された。
【0152】
24時間後、腫瘍細胞株はSAM−6抗体抑制細胞株の細胞増殖を抑制した。その間、枯渇した細胞培養上澄みは変化することが無かった(表5参照)。
【表5】
【0153】
例6 腫瘍の生体イメージング
結腸癌腫のような腫瘍にかかっていると思われる患者には、放射性ヨウ素化SAM−6抗体の投与量を与えることができ、或は他の腫瘍の特効薬ポリペプチドを与えることが出来、この明細書に記載した方法を用いて放射性標識を付けた非特異性抗体を与えることが出来る。画像化するための腫瘍の集積はゴールデンバーグ(Goldenberg)氏外の方法によって実行することが出来る(N.Engl,J.Med.,298:1384,1978)。静脈注射によって、131I−SAM−6抗体とTc−99m標識付非特異的抗体を患者に投薬することも出来る。試薬I.V.の投薬に先立って、患者を抗体調合製剤(標識なし)に対する過敏性或は同種類の抗体に対して抗体調合製剤を予備調査する。131Iの甲状腺摂出率を遮断するために、ルゴール液を、放射性ヨウ素化抗体を注入する1日または数日前に、日に2回または3回5滴経口投与する。人体のいろいろな部位の画像および観察を標識を付した調合薬の注射後4,8及び24時間に行う。もしも、腫瘍、例えば、結腸直腸の腺癌が、ガンマカメラによって、デランド(Deland)氏外(Cancer Res.40:3046,1980)によって、131Iと標識されたような131I標識付きanti−CEA抗体とTc−99m−標識付きヒト血清アルブミンからTc−99m計数の減殺で画像化するガンマカメラで検出される。注射後8時間に、画像化されたイメージングは通常、明瞭で、24時間まで走査してもイメージングを明瞭で改善される。
【0154】
例7 標識付き抗体混合物を用いる腫瘍の治療
腫瘍である診断をされた患者、例えば胸の癌であると診断を受けた女性の患者をこの発明のポリペプチドを用いて次のように処置した。ルゴール用機器を毎回3回例えば7滴投与した。次で、131I−SAM−6抗体の治療投与量を患者に投薬した。例えば、131Iの50mCiの投与量を3週間、各週に与え、次いで感覚を個人差を考慮し、例えば3ヶ月間、血液額の毒性が中断するまで繰り返した。正確な処置の治療方式は、処置を管理する医師によって一般的に決められる。放射性ヨウ素抗体を生理的食塩水50ml中に静脈内に投与した。3度目投与後に、最初の腫瘍の大きさが減少し、転移も注目された。特に第2回目の治療サイクル、あるいは10週間後に注目されたのである。
【0155】
例8 共役抗体を用いる処理
腫瘍、例えば胸と肺とに転位した乳癌の女性の患者を131I−SAM−6,10B−SAM−6及びTc−99mの標識付き非特異的抗体の溶液を用いて治療した。(無菌の生理食塩水50ml中の)131I−標識付きSAM−6抗体の量は体重70kgの患者を対称として投与された131I活動度の100mCiを供給するのに充分であった。この投薬量は抗体の分子当り40−80ホウ素−10原子を具備する抗体の3.3mgに同等する。
腫瘍は前記例6の方法を適用して最初に精密に局在化された。更に、ルゴール液を、前記の例に述べたように、患者に継続して投与した。熱中性子の完全に照準のあった線束を特定の腫瘍部位に集束した。8−20分間に送られた400−800放射線吸収線量の外部中性子ビームが各腫瘍部位に作用し、個人を基礎として間隔を調節して放射性標識付きまたは標識無しで、腫瘍局在抗体の投与が任意に繰り返えされた。しかし同時に外部放射療法を行うことなしに総量3200の放射線吸収線量を越えることがなければ、治療することが適用された。所望するならば、この治療に加えて、化学療法薬などの抗腫瘍形成物質を患者に投与することも出来る。
【0156】
その他の実施態様
この発明は、その特定の複数の実施態様に関して説明したのであるが、更なる変更を行うことが出来ることは了解されることと確信する。この発明は各種の変更、用法、適応手段をも包含するものであって、この方面の当業者はこれまでに詳述した主要な内容を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】この発明における腫瘍組織についての抗体SAM−6による免疫組織化学による染色法を示す。
【図2】正常な組織に関する抗体SAM−6による免疫化学療法染色法を示す。
【図3A】胃癌細胞株23132/87と膵臓癌腫腺BXPC−3から抽出した膜タンパク質がニトロセルローズに吸い取り、抗体SAM−6で着色したものを示す図。
【図3B】抗体SAM−6のアポトーシス活動度を細胞死亡検出ELISAPLUSによって探索したものを示す図。
【図3C】抗体SAM−6誘導アポトーシスの形態学的な変化を胃癌についてと、膵臓癌腫細胞とについて示す図。
【図4】電子顕微鏡を走査してSAM−6抗体アポトーシスの細胞を誘導した映像を示す。
【図5】透過型電子顕微鏡(TEM)検査の結果を示す。
【図6】誘導リピド蓄積を検査するために、スダンIIIによる染色検査法の結果を示す。
【図7】細胞のリピドをナイルレッド検査法による実験の結果を示す。
【図8A】CuSO4でLDLを培養してoxLDLの量が増加することを示す。
【図8B】oxLDLがSAM−6抗体の好ましい結合パートナーであることを示す。
【図9a】薄層クロマトグラフィーで分析した培養細胞のリピドの組成を示す。
【図9b】薄層クロマトグラフィーによって更に分析された図9aに示した実験の高分子リピド。
【図10a】SAM−6抗体または制御抗体で処理された腫瘍接種マウスで生体内でで行った実験の結果を示す。
【図10b】SAM−6抗体または制御抗体で処理された腫瘍接種マウスで生体内でで行った実験の結果を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は癌の診断と処置、より詳しく述べると、哺乳動物、例えばヒトの腫瘍の診断、検査、モニターおよび治療に有用である抗体などのポリペプチドに関する。
【0002】
医療分野における最近の進歩によって、癌の患者の生存率が極めて改善されてはいるが、癌に関連する疾病に基づく死亡者の多くの方々を腫瘍の早期診断によって阻止しなければならないのである。したがって、最初に診断をした際に、患者で恐怖に陥いられている方々は、既に疾病の最終段階に達しているのである。
【0003】
女性たちの凡そ75%は病勢が進んだ段階(第III期または第IV期)に達していると、卵巣癌の症状が漠然となり、表立たなくなってしまう。極めて積極的な外科的の治療手段と新規な化学療法であっても、進行した段階に入っている卵巣の癌をわずらっている女性の生存年数は約15%が5年を越えることがないというのが、過去30年以上、変わることが無いのである。これを言い換えるならば、卵巣に癌が出来ていると診断された(第1期)の女性の凡そ90%は5年間生存できるというわけである。
【0004】
腫瘍(例えば、肺の腺癌,鱗状の肺癌腫,腸管型胃の腫瘍,汎発型の胃の腫瘍,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,胸部の小葉腫瘍,胸部の腺管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌または子宮の腺癌)の早期で改善された医学的検出と処置とが必要なことは明らかで、それによって腫瘍の処置の機会を増し、長期生存に関する優れた予後へと導くのである。
【0005】
ここにおいて、この発明の概要について説明する。即ち、腫瘍性の細胞に関する抗原決定基の特異性に反応するSAM−6と呼ぶポリペプチドを発見したのである。このポリペプチドは極めて優秀な診断上の手段となるものであるばかりか、細胞の増殖を抑え、細胞に結合している腫瘍性の細胞類をアポトーシス、つまり枯死させるのである。腫瘍性の疾患の治療に特有の結果をもたらすのである。
【0006】
この発明は腫瘍の診断や治療に利用することができるモノクローナルの抗体類であるポリペプチドを主体とするものである。したがって、この発明の第一の態様においては、腫瘍細胞に結合する精製ポリペプチドを特色とするもので、そのポリペプチドはアミノ酸配列順がSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3と同一であって、そのポリペプチドは特にBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687)細胞23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201)細胞、COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21)細胞、COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)細胞とLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞であって、腫瘍性の細胞には結合しない。
【0007】
この発明の第二の態様では、この発明は腫瘍性の細胞に結合している精製ポリペプチドを特色とするものであって、このポリペプチドはSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3の順序と殆んど同一のアミノ酸配列を備えている。そして前記ポリペプチドは、特に新生物細胞に結合する。BXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687)細胞23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201)細胞、COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21)細胞、COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)細胞とLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞とに結合し、非新生物の細胞には結合しない。そして、前記腫瘍性の細胞は、肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃癌,散在性の胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸部の消化管小葉癌腫,胸部の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌である。
【0008】
この発明の第三の態様では、この発明は腫瘍性の細胞に結合している精製ポリペプチドに特徴を有する。前記ポリペプチドはSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:3の配列に殆んど一致するアミノ酸配列を具備し、前記ポリペプチドは肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃の腺癌,散在性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平癌腫,食道の腺癌,乳房の無定形状癌腫,乳房の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌で非新生物の細胞でないものである。
【0009】
この発明の以上の好ましい三つの実施態様において、ポリペプチドが腫瘍性の細胞に結合すると細胞の増殖を抑制するが、非新生物の細胞の細胞の増殖は抑制しない。
【0010】
この発明の前記最初の三つの実施態様のうちの第2番目の好ましい態様においては、ポリペプチドは低濃度のリポプロテイン(LDL)および/または酸化した低濃度のリポプロテイン(oxLDL)に結合し、そしてまた極めて低濃度のリポプロテイン(VLDL)に結合し、腫瘍性の細胞に結合すると、脂質が細胞内に蓄積するようになるが非新生物の細胞に脂質の細胞内蓄積を招くことはない。
【0011】
この発明の前記最初の三つの実施態様の第3番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチドは腫瘍性の細胞のアポトーシスを誘導し、これを結合するが、非新生物の細胞を誘導することはない。
【0012】
この発明の前記最初の三つの態様の第4番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチドはその抗体または機能的なフラグメントを包含する。例えば機能的なフラグメントはVL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’およびF(ab’)2から成っている群中から選択することができる。更に、機能的なフラグメントにはSEQ ID NO:1および/または3の配列と同様であるか、或はSEQ ID NO:1および/または3の配列のフラグメントを含ませることができる。
【0013】
この発明の前記最初の三つの態様の第5番目の好ましい実施態様においては、ポリペプチド核酸配列はL鎖の可変領域(VL)のSEQ ID NO:2のヌクレオチド67−99(CDR1),145−165(CDR2)および262−288(CDR3)と同様の核酸配列から成っている。しかし、ポリペプチド核酸配列の相補性の決定的領域(CDRs)は重鎖の可変領域(VH)のヌクレオチド91−105(CDR1),148−198(CDR2)およびSEQ ID NO:4の295−330(CDR3)と全く同じである。
【0014】
この発明の前記第4番目の態様はアミノ酸配列SEQ ID NO:1またはアミノ酸配列SEQ ID NO:3を具備する精製ポリペプチドを特性とする。
【0015】
第5番目の態様においては、この発明は精製ポリペプチドはSEQ ID NO:1および3のアミノ酸配列を包含している。
【0016】
この発明の前記最初の第5番目の態様の最初の実施態様では、ポリペプチド酸配列の相補性決定領域(CDRs)が軽鎖(VL)のSEQ ID NO:1の可変領域のアミノ酸配列Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1)と、Gln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)と、Gln−Ala−Trp−Asp−Ser−Ser−IIe−Val−Val(CDR3)と殆んど同じである。しかし、ポリペプチドアミノ酸配列の相補性決定領域(CDRs)は重鎖(VH)のSEQ ID NO:3の可変領域のアミノ酸配列Ser−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−IIe−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)とAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)と殆んど同じである。
【0017】
この発明の前記最初の第5番目の態様の第二の好ましい実施態様では、ポリペプチドは単クローン性の抗体、例えばヒトの単クローン性の抗体である。
【0018】
第6番目の態様では、この発明は第1番目の態様のポリペプチドを表わす細胞を特徴とし、第9番目の態様では、第3番目の態様のポリペプチドを表わしている。
【0019】
この発明の第7番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:1に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴とするものである。
【0020】
この発明の第8番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:3に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴とするものである。
【0021】
この発明の第9番目の態様においては、アミノ酸配列SEQ ID NO:1または3に等しい配列から成っているポリペプチドを示す細胞を特徴としており、この態様に関する好ましい実施例においては、ポリペプチドはSEQ ID NO:1または3或はSEQID NO:1と3との両者の配列を含んでいる。
【0022】
第10番目の態様においては、この発明は前記第6番目の態様による細胞を生成する方法を特徴としている。この方法は次の段階から成っている。即ち、(a)リンパ球を異形骨髄腫細胞で溶融させる条件下で接触してハイブリドーマを融解し、(b)前記ハイブリドーマが腫瘍細胞の増殖を抑制するか否かを決定するが、非新生物細胞の増殖を抑制せず、(c)BXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)の細胞の少くとも一種に結合していて、非腫瘍性の細胞には結合しない。
【0023】
第11番目の態様の特徴は前記第7番目の態様の細胞を発生する方法に関するものである。この方法は次の諸段階、即ち、(a)異形骨髄腫細胞でリンパ球を融解し、その融解によってハイブリドーマ、即ち融合雑種腫瘍細胞を融解し、(b)結合している腫瘍細胞の脂質の細胞内の蓄積を招くポリペプチドを発生するが、非腫瘍細胞に脂質の細胞内の蓄積は招くことがなく、(c)ハイブリドーマが、少くともBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞の少くとも一種の細胞と、特に結合し、非新生物の細胞には結合しないポリペプチドを生成するか否かを決定する。
【0024】
この発明の第12番目の態様では、哺乳動物、例えばヒトの腫瘍を診断する方法に関するこの発明の最初の5つの態様のいずれかの態様の精製ポリペプチドを用いるものを特徴とする。この方法には次に述べる段階がある。即ち、(a)この発明の最初の第13番目の態様中のいずれかの一つの態様の精製ポリペプチドを哺乳動物の細胞または組織試料と接触し、そして(b)精製ポリペプチドが細胞または組織試料に結合するか否かを検出するものであって、精製ポリペプチドに結合すれば、その哺乳動物は腫瘍を有することを指示するものである。そして(C)ハイブリドーマが、少なくともBXPC−3(ATCC受け入れ番号No.CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号No.ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号No.ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号No.ACC196)およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号No.ACC393)細胞であり、非腫瘍形成細胞でないか否かを決定する。
【0025】
この発明の第13番目の好ましい態様では、腫瘍は肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,散在性胃癌,結腸の癌,前立腺の癌,食道の鱗状細胞癌腫,食道の癌,胸部の小葉の癌腫,胸部の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌,または子宮の腺癌である。この態様の更に好ましい態様においては、ポリペプチドは抗体またはポリペプチドを、放射性核種,蛍光のマーカー,酵素,細胞毒素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る種類の中から選択された検出能物質に結合することができる。この態様における更に好ましい態様においては、ポリペプチドは抗体であるか、或は放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒素,サイトカイン及び成長抑制物質から成る群の中から選択された検出物質に配合されている。更に、ポリペプチドはタンパク質精製標識例えば、裂開性タンパク質精製標識に接合することができる。
【0026】
この発明の第14番目の態様においては、この発明は、その最初に述べた5種類の態様中の、いずれかの一つの態様の精製ポリペプチドを哺乳動物、例えばヒトの増殖性障害を処理する方法に使用することを特徴とするものである。この方法には、細胞試料を前記態様の最初の7種類のうちの、いずれかの一つの精製ポリペプチドと接触される段階を含んでいて、細胞に精製ポリペプチドを結合することによって、その細胞中の倍数性が減する効果がある。
【0027】
この発明の第14番目の態様の中の好ましい複数の実施態様において、増殖性異常症は肺の腺癌,扁平肺癌腫,本能型胃癌,散在性型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,乳房の小葉の癌,胸の管の癌腫,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌、そして子宮の腺癌である。この実施態様の好ましい態様は、更に、抗体或はポリペプチドが放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞毒素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類中から選択された検出物質に随伴している。望ましい検出物質は細胞の枯死を招くものである。更に、ポリペプチドはタンパク質精製付端、例えば分割することの出来るタンパク質精製タグに結合させることが出来る。
【0028】
第15番目の態様において、この発明は哺乳動物、例えばヒトの増殖性障害を処理する方法に、その最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを使用することにある。この方法は細胞を、この発明の最初の七つの態様のいずれかの精製ポリペプチドと接触させる段階を必要としている。
【0029】
この発明の第16番目の望ましい態様では、増殖性障害は胃の腺癌,結腸直腸の腺癌,扁平細胞肺癌,肺腺癌,食道の扁平細胞癌腫,膵臓の腺癌,膀胱の尿路癌,腎臓の腎性細胞の尿路上皮癌,腎臓の腎性細胞の腎性細胞癌腫,前立腺の腺癌,乳房の管路癌腫,乳房の小葉癌腫,卵巣の腺癌,子宮内膜の腺癌,そして子宮の腺癌である。なお、この態様における更に好ましい実施態様は、ポリペプチドが抗体であるか、或はポリペプチドが放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞親和性,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類中から選択された検出能物質に結合されている。望ましいことには、検出能物質は細胞の抑制細胞増殖を行うことが出来るものであることである。更に、ポリペプチドはタンパク質精製標識、例えば裂けることが出来るタンパク質精製標識に共役させることが出来る。
【0030】
第17番目の態様において、この発明は哺乳類、例えばヒトの増殖性障害を治療する方法に関する、この発明の前記最初の5つの態様のいずれかの一種の精製ポリペプチドを用いることを特徴とするものである。この方法は細胞を、この発明の最初に述べた七種類の態様のうちの任意の精製ポリペプチドと細胞とを接触する手段を包含している。そこで、精製ポリペプチドを細胞と結合すると、前記細胞を枯死させる。
【0031】
この発明の第18番目の好ましい態様においては、増殖性疾病は胃癌,結腸大腸,腸の腺癌,扁平細胞肺癌,肺の腺癌,食道の扁平細胞癌,膵臓の腺癌,膀胱の尿路上皮癌,腎臓の腎性細胞癌,前立腺の腺癌,胸部の管の癌,卵巣の腺癌,子宮内膜の腺癌,子宮の腺癌である。この第18番目の態様に関する更に好ましい態様はポリペプチドが抗体であるか、或はポリペプチドは放射性核種,蛍光の標識,酵素,細胞毒素,サイトカイン、そして成長抑制因子から成るものから選択された検出能物質に結合されている。好ましくは、検出能物質は細胞の抑制細胞増殖が出来るものであることである。更に、ポリペプチドはタンパク精製標識、例えば、分割をすることの出来るタンパク質精製標識に随伴することが出来る。
【0032】
この発明の第19番目の態様では、細胞の増殖を阻止する薬剤の生産に関して薬学医学的に許容できるキャリアに、この発明の前記最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する薬剤でヒトの躰内の腫瘍性細胞を処理することを特徴とするのである。
【0033】
この発明の第20番目の態様においては、ヒトの体内の腫瘍性の細胞を、脂質の無傷の蓄積を誘導する薬剤の生産に当って、薬学医学上許容することが出来る担体を、この発明の前記最初に述べた5つの態様のうちのそれぞれの精製ポリペプチドを含有する医薬によりヒトの体内の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするのである。
【0034】
この発明の第21番目の態様においては、アポプトシス(細胞消滅)を行う薬剤を製造する薬学医学上許容することの出来るキャリアに関するこの発明の前記最初の五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する薬剤を用いてヒトの躰の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするのである。
【0035】
この発明の第22番目の態様は、ヒトの躰内の腫瘍性の細胞のすべての増殖を阻止し、脂質の蓄積を招き、アポトーシス(細胞の枯死)を招来させる薬剤の製造のための薬学医学について許容することの出来るキャリアに関する前記最初に述べた5つの態様のいずれもの精製ポリペプチドを含有する薬剤を用いてヒトの躰内の腫瘍性の細胞を処理することを特徴とするものである。
【0036】
この発明の第23番目の態様では、この発明は前記最初に挙げた五つの態様のいずれかの精製ポリペプチドを含有する診断上の薬品を提供することを特徴とするものである。
【0037】
この発明の第24番目の態様においては、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4の配列を含む分離核酸分子を特徴とするものである。
【0038】
この発明の第25番目の態様においては、この発明は仲介物(ベクター)、例えばプラスミドまたはウイルス性の表徴ベクターであって、この発明の第24番目の態様の核酸分子を含有するものを特徴とするものである。
【0039】
定義
「検出可能物質」とは検出を促進する診断上の物質に結合されている化合物のことである。このような「検出可能物質」は診断上の物質に結合されている共有結合または非共有結合のものである。更に、結合は直接または間接の結合である。「検出可能物質」の例を挙げると、タンパク質浄化標識,細胞親和性,酸素分泌,常磁性のラベル,酵素原質,補助因子,酵素抑制物質,色素,放射性核種,化学ルミネッセントラベル,蛍光の標識,成長抑制物質,細胞分裂,抗体,ビオチンが挙げられる。
【0040】
「診断物質」とは、この明細書に記載する効力検定、並に当該技術において標準である他の手段のいずれかを利用して腫瘍性の細胞を検出するのに用いることが出来る化合物のことである。
「診断物質」の例を挙げると、次のものがある。次の細胞、即ち、BXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)またはLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)で、しかも非腫瘍性細胞でないもののうちの少くとも一つに特に結合している抗体である。更に、「診断物質」は抑制細胞の増殖を抑制し、また、それが腫瘍性の細胞に結合する時にだけで、腫瘍性の細胞でなければ、その増殖を抑えない。
【0041】
「診断上の薬品」で検出できる腫瘍性の細胞の例を挙げると、肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸管型胃癌,散在性型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の鱗状細胞の癌,食道の腺癌,胸部の小葉癌,胸部の管の癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌或は子宮の腺癌がある。更に、「診断上の薬品」とは、例えばペプチド,ポリペプチド,合成有機分子,自然発生有機分子,核酸分子およびそれらの成分で、同様に一種乃至数種の検出物質を共有し、または診断上の薬品に連鎖した一種もしくは数種の検出物質を共有するもの、または非共有連鎖物質を含む。
【0042】
前記ポリペプチドに関連して使用した「機能的断片」とは、等身(full−length)ポリペプチドの少くとも生物学的活動度を保持する断片をいう。この生物学的活動度の例を挙げると、特に抗原に結合する能力を備え、アポプトシスおよび/または細胞増殖抑制能力を備えている。これらの生物学的活動度は、例えば、この発明において述べる効力検定手段のいずれかを利用して行うことが出来る。
【0043】
抗体の機能的な断片の例を挙げると、VL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’またはF(ab’)2断片である。(例えばヒューストン(Huston)外著、細胞生体物理学22:189−224,1993;およびハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)著「抗体」(Antibodies):研究所マニュアル,コオルド,スプリング,ハーバー,ラボラトリー(ALaboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory),1988)。好ましくは、「機能的な断片」は、例えばSEQ ID NO:1または3のアミノ酸配列の5,10,15,20,15,30,50,75または100近接アミノ酸の断片を含有するか、或はSEQ ID NO:1または3のアミノ酸配列の断片に等しいアミノ酸配列のものである。更に好ましい態様においては、「機能的な断片」はSEQ ID NO:1または3の配列の断片に等しい。この種の「機能的な断片」はSEQ ID NO:1または3の5,10,15,20,15,30,50,75または100近接アミノ酸を含有するか、SEQ ID NO:1または3の総てのアミノ酸配列とすることが出来る。SEQ ID NO:1または3の5,10,15,20,15,30,50,75または100の近接アミノ酸を含有することができる。
【0044】
ここで用いた「相補性決定領域」とは、免疫グロブリンの超可変部領域を意味する。この用語はVLとVH領域とは均一に変えられるものではなく、むしろ、それらのアミノ酸の変動の多くは三つの短い超可変領域配列順序に集中される。それは抗体の特異性について欠くことができない。CDRsの同定はBLASTソフトウェア(アルトシュル,ステェフェンF.(Altschul,Stephen F.),トーマスL.マデン(Thomas L.Madden),アレジ
ng),ツェング ツァング(Zheng Zhang),ウェブ ミラー(Webb Miller),及びダビッド J.リップマン(David J.Lipman)(1997年著))と、「グラップト BLAST及びPSI−BLAST:「タンパク質データーベース探索用プログラムの新時代」核酸Res.25;3389−3402.(NCBIデータベース)。
【0045】
この発明で用いている「ハイブリドーマ」とは、例えば、骨髄腫のような腫瘍性の細胞で活性化されたリンパ球などの正常な細胞の溶融によって作り出された細胞である。少くとも2種類の細胞の融合によって生じたハイブリッド細胞は免疫学的活性化細胞によって生成したものと同様の単クローン抗体或はT細胞生成物を生成する。更に、これらの細胞は、腫瘍性の親と同様に不滅である。
【0046】
この発明で使用している「抑制抗体細胞増殖」とは、細胞の体型と細胞の分裂能の正常な速度で別個の細胞の分裂の速度の減少を表わす。細胞増殖の抑制は、当該技術における標準である多数の方法、例えば、この明細書に述べたMTT細胞増殖の分析、BrdU結合および3Hチミジン アップティクを利用して分析することができる。この種の分析は、例えば、オースベル(Ausubel)その他の発表による「分子生物学におけるカレント プロトコルス」(Current Protocols in Molecular Biology),ワィリイ インターサイエンス,ニューヨーク(Wiely Interscience,New York),2001;およびサンブルーク、その他の発表による「分子クローニング(Molecular Cloning):ア.ラボラトリ マニュアル(A Laboratory Manual),コルド スプリング ハーバー ラボラトリ(Cold Spring Harbor Laboratory),ニューヨーク,1989年に記載されている。その望ましい態様にあっては、細胞増殖の抑制は20%,40%,50%または75%である。更に好ましい態様では、細胞増殖の抑制は、80%,90%,95%または細胞増殖の完全なる阻止である。
【0047】
この発明の明細書で記載の「脂質の結合」とは脂質、特に低濃度リポプロテイン(LDL)および/またはoxLDLとポリペプチドとの相互作用のことで、これは腫瘍性の細胞の細胞周期を激しく干渉するのである。その干渉は最終的にはリピドの蓄積を招くのである。ポリペプチドが腫瘍性の細胞またはホイター(wheater)と相互に作用して複合体を形成する脂質と相互に作用するか、またはポリペプチドが腫瘍性の細胞の表面にレセプターと共に直接に相互に作用するかは不明である。
【0048】
抗体であるポリペプチドは、その単量体で、またはその五量体の形で活動する。
【0049】
ここで述べた「リピドの細胞内の蓄積」とは細胞内のリピドの濃度の増加、特に、その種の細胞のリピドの通常の濃度に較べて細胞内のリピド、特に低濃度のリポタンパク質(LDL)および/またはoxLDLの濃度の増加をいう。LDLは精製されたポリペプチドによって培養された細胞中に増加したコレステロールエステルとトリグリセリドをクロマトグラフィー分析することによって形成する細胞内に豊富になった細胞内のコレステロール血症とトリグリセリドをクロマトグラフィー法で分析することによって細胞内に濃縮された脂質であることが判る。専らLDLだけが、これらの内容を形成する。その結果、細胞内の脂質の蓄積によって細胞を自滅させる。即ち、腫瘍細胞の「リポプトシス(Lipoptosis)」とする細胞内の脂質の蓄積に導くのである。
【0050】
細胞内の脂質の蓄積は、次に記載の文献に記載の蛍光染色法のスーダン(Sudan)IIIの方法(グリーンスパン,P.),(Greenspan P.),メィヤー(Mayer),E.P.,及びD.ナイル レッド(Fowler D.Nile Red)の細胞内リピド小滴.J.セル,バイオル(Biol),100,965−973,1985)に記載されている染色法などを利用して分析し視覚化することができる。
【0051】
この明細書に述べている「誘発性細胞の自滅」とは先行文献に明瞭に定義されている細胞の特徴の様相である。(例えば、ウィリー外、ビァール,J.(Wyllie et.al.,Br.J)著「癌」80付録1:34−37,1999;カー(Kerr)外著「癌」26:239−257,1972)に明記されている細胞の特性の兆候に当てはまる。これらの兆候は、細胞の小気泡,DNA濃縮,F−アクチンの含量変化,ミトコンドリア集合体および細胞膜ポテンシャルの変化を招く。枯死の誘発は、例えば細胞死滅ELISA,TUNEL染色,DNA染色,例えばHoechst33258およびアクリジン オレンジ,Mito Tracker RedR染色液(分子の探針,Eugene,OR)、およびAnnexin VR染色法(ベクトン ディッキンソン,NJ(Becton Dickinson,NJ)がある。ここで用いている「誘導アポプトーシス」は対照細胞集団と比較すると、アポプトーシスの変化を受ける細胞の数を増加することを言う。例えば、アポプトーシスの増加は10%,20%,40%,50%、または75%とである。好ましい態様においては、アポプトーシスの誘導で対照細胞集団に見られる以上に、2−ヒダ,3−ヒダ,10−ヒダ或は100−ヒダ以上である。
【0052】
この発明で使用されている「腫瘍性の細胞」とは、細胞分割を行う細胞のことで、不適当な状態の中で、細胞分割を行うものではない。例えば、「腫瘍性細胞」とは、該当する非腫瘍性細胞は細胞分割をすることなく、その代りに「腫瘍性細胞」は通常の細胞周期検査制御に反応するものではない。
【0053】
ここに於て用いている「増殖性の疾患」とは、細胞の異常な増殖に基因する障害を言う。増殖性の疾患の特例を挙げると数多の腫瘍、例えば肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,散在性癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌,食道の腺癌,胸部の管の癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌または子宮の腺癌などである。しかし、増殖性の疾病は転換ウイルスで感染される結果にもよるのである。
【0054】
この発明に於て述べている「タンパク質精製標識」とは、ペプチド、例えばエピトーブ標識で、これはタンパク質の精製を促進するために共有的に、または非共有的にタンパク質に添加される。この種のタンパク質が抗体に高度の親和性で結合すること、或はビオチン或はアビジンなどの別種のペプチドに結合することは望ましいことである。エピトープ標識に関して市販のものの例を挙げると、His−標識,HA−標識,FLAGR−標識およびc−Myc−標識がある。しかし、抗体で認められているエピトープもタンパク質精製標識として使用することができる。例えば、アウスベル(Ausbel)外著、[Molecular Biology(分子生物学)における流動プロトコル(Current Protocols),ニューヨーク,2001番地ウィレイ インターサイエンス社(Wiley Interscience)発行」を参照のこと。タンパク質精製標識は、酵素、例えばトロンビン、或は化学薬品、例えば臭化シアノジェン臭化物を用いてタンパク質から分割することが出来る。
【0055】
ポリペプチド、例えば抗体について用いられる物質について、「特に認識」することは、粒状のタンパク質、例えば抗原が、それと等量の別種のタンパク質に比較して、その親和力が優れているということである。例えば、抗体、例えばBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)またはLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)、またはBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687)細胞で、好ましくは、その抗原について、それと異なる他の抗体で関連する抗原を具備する前記の抗体と等量のものよりも、少くとも2−ヒダ,5−ヒダ,10−ヒダ,30−ヒダまたは100−ヒダ大きい。ポリペプチドが他のポリペプチドと結合することは、ここに述べたことと、技術上の標準的な手段、例えば、ウエスタン(Western)分析ELISA、または免疫沈降などの多くの方法で調べることが出来る。
【0056】
「実質的に同一」とは、基準となるアミノ酸(例えばSEQ ID NO:1または3)或は核酸の配列(例えば、SEQ ID NO:2または4)にポリペプチドまたは核酸が少くとも75%,80%,85%,または90%類似しているということである。望ましい態様にあっては、ポリペプチド或は核酸配列が基準となるアミノ酸または核酸配列に少くとも95%,98%,99%或は100%類似しているということである。ポリペプチドについては、比較する配列の長さは通常、少くとも5,10または15アミノ酸で、好ましくは少くとも20または25近接アミノ酸である。更に望ましい態様では、比較配列の長さは少くとも30,50,75,90,95或は100隣接アミノ酸或は標準の長さのアミノ酸配列である。核酸については、比較配列の長さは、一般に、少くとも15,30または45近接ヌクレオチドで、望ましくは少くとも60近接ヌクレオチドである。更に望ましい態様にあっては、比較配列の長さは少くとも75,150,225,270,285或は300近接ヌクレオチド或は全長ヌクレオチド配列である。
【0057】
配列識別はデフォルト設定に関する配列分析ソフトウェアを利用して測定する。(例えば、アメリカ合衆国 ウィスコンシン州 マディソン,WI53705ユニバーシティ アベニュー1710,ユニバーシティ オブ ウィスコンシン バイオテクノロジー センター ジェネティクス コンピューター グループ(the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,WI 53705)のセクエンス アナライジィズ ソフトウェア パッケージ(Sequence Analysis Software Package)。
【0058】
このソフトウェアは数多の置換,削除および他の修飾についてホモロジーの度合を割り当てて類似する配列を合わせることが出来る。保有力性のある代用物は、次に掲げるグループ内の物から成っている。即ち、グリシン,アラニン,バリン,イソロイシン,ロイシン;アスパラギン酸,グルタミン酸,アスパラギン,グルタミン;セリン,トレオニン;リジン,アルギナー;およびフェニルアラニン,チロシン。
【0059】
多数の配列は、これをドイツのヨーロッパ分子生物研究所(European Molecular Biology Laboratory)とイギリス,ケンブリッジのヨーロッパ無機生物学研究所(European Bioinformaties Institute)のジュリーD.トンプソン(Julie D Thompson)とトビイ ギブソン(Toby Gibson)とデズモンド ヒギンズ(Desmond Higgins)によって作成されたクラスタル(Clustal)W(1.4)プログラムで、ペア式整列モード(pairwise alignment mode)を「スロー(slow)」に設定し、10.0の開放ギャップ ペナルティ(open gap penalty)0.1を含む対をなす整列モードを設定し、「ブローサム」(blosum)と類似するマトリックスを設定する。更に、多重アライメントパラメータが10.0の開放ギャップ ペナルティ(open gap penalty)、0.1の延長ギャップ ペナルティ(extend gap penalty)を含むことが出来、同様に類似するマトリックスを「ブロサム」(blosum),40%,分岐,間隙距離8に設定する。
【0060】
「精製した」または「分離した」とは、自然に随伴している別の成分から離すことの意味である。一般的に、因子は、これが重量で少くとも50%の場合には、タンパク質、抗体および天然に結合されている有機分子が無く、核酸分子の配列に通常の通り、位置している核酸配列とは関係していない。遺伝因子は少くとも、重量で75%、更に好ましくは少くとも、重量で90%、より好ましくは重量で少くとも99%、純粋とする。この純粋な要素は化学的合成、天然資源から要素の分離、または要素を自然には生成しない組換え増殖細胞から製造する。タンパク質、小胞および細胞小器官は標準とする技術、例えばオースベル(Ausbel)外の記載の技術(カレント プロトコルス イン モレキュラ バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology),ウィレイ インターサイエンス社(Wiley Interscience),ニューヨーク,2001発行を参照。その因子は出発物質が純粋な場合には、少なくとも2.5あるいは10倍で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法,カラムクロマトグラフィー,光学不透明度,HPLC分析,またはウエスタン(Western)分析(オーサベル氏他著「分子生物学」ニューヨーク,2001)(Ausube et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Intersience,New York,2001)を利用して測定する。精製の望ましい方法は、免疫沈降,コラムクロマトグラフィー,つまり免疫沈降クロマトグラフィーと、ニッケルアフィニティカラム,磁気数珠状免疫清浄化,及びプレート・バウンド抗体によるパンニングである。
【0061】
図1について説明すると、同図は腫瘍組織に関する抗体SAM−6による免疫組織化学による染色を示す。SAM−6抗体パラフィン切片2(μm)の特異性を調べるために濃度4μg/mlの濃度で抗体SAM−6と類似する濃度の同一基準標本で関連の無いヒトを対照とする調査をした。形態学的な分析のために、一つのサンプルをヘマトキシリン/エオシン(H&E)で更に着色した。図1の個々の画像は、Aが乳房の侵襲性の癌;Bは結腸の腺癌、Cは食道の扁平細胞腺癌(最初の倍率×200)。図1の映像は抗体SAM−6が腫瘍細胞だけに反応しているが、悪性腫瘍の領域は着色されていない。
【0062】
図2は正常な組織に抗体SAM−6をもって染色した免疫組織化学を示す。パラフィン切片(2μm)は濃度4μg/mlで抗体SAM−6に培養されている。形態学的に試料を分析するために、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)で着色した。試料を図2に示す。それぞれの映像;A,肺;B,子宮;C,結腸;D,睾丸(最初の倍率×200)である。健康な組織を染色していないために、SAM−6は悪性の組織に特に明示したレセプターに結合してある。
【0063】
図3はウエスタンプロット分析,アポプトーシス検定および形態学的分析によって、SAM−6抗体の特異性と機能的な分析を示す。図3のそれぞれの図、Aは胃の癌腫ライン23132/87と膵臓癌腫ラインBXPC−3とがニトロセルロースにプロットしてあり抗体SAM−6で汚染されている。Bは抗体SAM−6のアポートシスの活動度が細胞死亡診断検出ELISAPLUSによって調べられている。胃癌細胞ライン23132/87,膵臓癌細胞ラインBXPC−3,鼻の隔膜細胞癌ラインRPMI−2650と正常の鼻の上皮の細胞(HNEpC−C)とが抗体SAM−6と48時間4μg/mlの濃縮の複基準制御とによって培養されている。アポートシス細胞の量は415nmにおけるフォトスペクトロメトリー415nmで、基準波長490nmで決定される。Cは腫瘍細胞形態学の抗体誘導変化である。図3Aによれば、SAM−6は約140KDaの分子量で膜分子に結合している。図3BのプロットはSAM−6が3種類のテストした癌細胞体型、つまり胃,膵臓および鼻の中隔癌細胞の枯死を誘発することを示すもので、正規の鼻の中隔上皮細胞におけるものではない。図3Cにおいては、抗体SAM−6誘導枯死の形態学的の変化が胃癌および膵臓癌細胞に示されている。未処理の腫瘍細胞は同種の単一層において成長する。抗体SAM−6で処理した後、細胞は更に細長くなり、平坦になり、極めて顕著な細胞部の伸長部で更に分裂される。細胞の喪失、細胞の接触および付着は48時間後に、はっきりと観察される。(細胞の数の減少は癒着による喪失の結果として溶液中に入り込んだ細胞に起因する。)
【0064】
図4は電子顕微鏡を走査してSAM−6抗体誘導アポートシスの細胞の映像を示す。この技術によって細胞の形態学的で細菌外アポートシスの効果を研究する。検査のために、胃癌細胞ライン23132/87を抗体SAM−6または濃度10μm/mlにて適応する時間をかけて培養した。その試料を電子顕微鏡で走査し、相違する時間をかけてZEISS DSM962によって分析した。図4に示すそれぞれの映像A,B,Cは複基準制御抗体を示し、D,E,FはSAM−6抗体、横棒は20μm、倍率は×3800、横棒は20μmを示す。G,H,IはSAM−6細胞消滅効果を示し、Gはストレス線維×7000、横棒は10μmを示す。図4Hは神経核の腫脹,×20000,横棒は2μmを示す。Iはアポプトニック体(apoptonic body),×40000,横棒はμmを示す。図4に示すように、2時間後にSAM−6処理された最初の形態学的な変化はストレス線維の形成物を含んでいる(図4D,E)、そして細胞−細胞接触の僅かな減力となっている。24時間後に形態学的な変化を観測した。細胞−細胞接触は無限に低い(図4E)、細胞は拡大されるか凝縮され、細胞核は膨張されている(図4H)、そして細胞の自死が増加している。最も劇的な効果は48時間後に判った。多くの構造のプラズマ膜の変化がアポトーシスの細胞に見受けられた。細胞粘着の喪失,膜分節の平滑化,縮小および外方袋状化が細胞損傷および細胞死に関連したマーカーとして認められた。萎縮腫瘍細胞,膜小胞の巨大なパッケージ,細胞消滅体に関する最も重要な点が密集している(図4F)。(高倍率で示してある平滑面アポートシスの本体は食細胞崩壊の生体内における再循環と対照し、死亡した細胞に残存する生体内における小胞を示す。)
【0065】
図5は電子顕微鏡(TEM)装置に透過した結果を示す。細胞内のアポトーシスの作用を探索するために、胃癌細胞に関してSAM−6をもって電子顕微鏡による検討を行った。24時間後、細胞に激しい変化と、細胞内の原形質の形を観察した(図5E)。細胞は拡大され、この段階では、細胞の容量は減少されていなかった。細胞は紡錘状になり、極めて顕著に細胞質が伸長して大きく分極された。細胞核の大きさが増加し、その表面は滑らかで、特有の不規則性を失い、調節することによって切り込みのある形に見えた。更に重要なことは、24時間後に、細胞質中に脂質小胞の劇的な蓄積がはっきりと見えるようになった(図5E)。調査中の腫瘍細胞の殆んどに、それぞれの細胞核の近くに脂肪酸の堆積が見受けられた。48時間後に、SAM−6処理をした細胞は細胞自死の最終段階に達した(図5F)。最も重要な構造変化は細胞と細胞との接触の消失,細胞の縮小,細胞核の激しい凝縮とプラズマと細胞核膜の退化とである。腫瘍細胞中に蓄積された脂質小胞の集合体は極めて拡大して示してある(図5G)。そして細胞核の退化は(図5H)に、2種の腫瘍細胞の細胞表面からの細胞自死体の形態は(図5I)に示してある。
【0066】
図6はスダンIII染色実験の結果を示す。抗体誘導リピド蓄積を検査するために、スダンIIIによる染色を行った。この染色は中性のリピドと脂肪酸の検出のために独得のものである。図6は胃癌の細胞と膵臓癌細胞に関する培養の48時間後に得たデータを示すもので、抗体SAM−6についてと、関連することのないヒト対照IgMとについて示す。胃癌細胞ライン23132/87は抗体SAM−6で処理した時の中性のリピドの抗体誘導蓄積をはっきりと示している(図6A)。無関係なヒト対照IgMで処理した細胞は前と類似の細胞内の変化を提示していない。膵臓癌細胞ラインBXPC−3でも同じ結果が観察された(図6B)。
【0067】
図7はナイル赤染色実験の結果を示す。細胞のリピドもまた蛍光染料ナイル赤で染色することによって視覚化することができる。ここにおいて、特定の波長(26,27)で調べたとき、無極或は中性脂質染料黄金および有極リピド染色ダークレッドであった。胃癌細胞(23132/87)を抗体SAM−6で48時間培養して脂質の蓄積を研究した。蛍光は中性リピドについて488nmにて測定され、極性リピドについて543nmにて測定された。図7AとDとは無極の中性リピドに関する黄色の染色を示し、図7BとEとは極性リピドに関する赤色の染色を示し、図7CとFとは両方の重畳を示す。予期した通り、SAM−6処理細胞の中性リピドに関する強度の黄色蛍光染色は48時間後に見ることが出来る(図7D)。多量の膜タンパクを示す対照(図7B)に比較して極脂質について染色されたSAM−6処理細胞に関して増加が見受けられる(図7E)。抗体SAM−6は枯死を増加するので、多量の極脂質が更に多くの膜小胞の形成を招く。即ち、細胞の自滅体を招くのである。図7CとFに見られるように、極のリピドは赤色を呈し、明瞭でないリピドは黄色と若干がオレンジ色を呈すると思われる。ナイル赤の赤色蛍光性は極めて激しく、黄金色蛍光測定になる可能性があり、明確な差別が中性のものと極性リピド染色との間にされることが出来る。これらの結果をすべて取り上げ、更にSAM−6抗体が癌細胞に中性リピドの滞留を招くものである。
【0068】
図8AはoxLDLの量がCuSO4をLDLの培養により増加していることを示す。しかしLDLがCuSO4で培養されなくても、その酸化した形(oxLDL)でLDLが可成り多量であることを示している。
【0069】
図8BはoxLDLがSAM−6抗体の好ましい結合相手であることを示す。15時間CuSO4で培養されたサンプルは3時間で培養したサンプルよりも多量のSAM−6抗体が結合している。同基準標本として、ヒトとは関係のないlgM(クロンプアlgMディアノヴァ)(Chrompure lgM,Dianova)を用いた。
【0070】
図9aは薄層クロマトグラフィーで分析した培養された細胞のリピドの組成を示す。左側における最初の列と右側の最後の列とは異なる分子量のものが載せてある。第二列目と第三列目とはSAM−6抗体で培養する細胞のリピド組成を示す。対照抗体で培養した細胞と比較して、SAM−6抗体で処理した細胞はトリグリセリドとコレステロールエステルとのような極めて高分子量の脂質を含有することを示した。
【0071】
図9bは図9aに示した実験の高分子量の脂質を薄層クロマトグラフィーによって更に分析された結果を示す。左側の最初の列と右側の最終列とは異なる分子量の基準のものである。二列目と三列目とはSAM−6抗体で培養した細胞の脂質組成を示す。SAM−6抗体で処理した細胞を対比抗体で培養した細胞に比較すると余分にコレステロールとトリグリセリドとを含有している。
【0072】
図10Aと10BとはSAM−6抗体または対照抗体で処理された腫瘍接種マウスを用いての生体内での実験の結果を示す。図10Aによると、SAM−6で処理したマウスの腫瘍の平均重量は96.2グラムであり、対照抗体で処理したマウスの腫瘍の平均重量は150.5グラムであった。図10Bは腫瘍の重量に該当する腫瘍の容積の分析を示す。SAM−6で処理したマウスの腫瘍の平均容積は126.3mm3で、これに対して対照抗体で処理したマウスの腫瘍の平均容積は158.2mm3である。
【0073】
配列一覧表
配列一覧表にはアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)(1)とヒト単クローン性の抗体SAM−6の短鎖(VL)の可変領域の核酸配列(SEQ ID NO:2)(2)とを示す。
【0074】
配列表3と4とはアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)(3)と、ヒト単クローン抗体SAM−6の長鎖(VH)の可変領域の核酸配列(SEQ ID NO:4)(4)とである。
【0075】
詳細な説明
この発明は抗体などのポリペプチド類と、腫瘍の処置と診断とにそれらを使用することを特徴とするものである。特に数多の癌として認められているヒト単クローン性の抗体(SAM−6)を特徴とする。この単クローン性の抗体は、これら腫瘍を認識するだけでなく、細胞に結合したときに腫瘍性の細胞の自滅を導き、これら細胞の増殖を阻止し、また、これら両者の作用をするのである。更に、抗体(SAM−6)は細胞自滅および/または細胞増殖の抑制を招く脂質の細胞内の蓄積をも誘導するのである。したがって、SAM−6単クローン性の抗体或はその断片は、これらポリペプチドと相補的に結合される特異のものであり、これらポリペプチドによって認識される抗原の種であって、腫瘍を診断し、治療するための各種の方法に利用することが出来る。
【0076】
抗体とポリペプチド
抗体は個人の健康の維持に不可欠な役目を果すものである。特に、抗体は血清中に存在し、バクテリア,ウイルスおよび毒素などの種々の病原体を除去する助けをするものである。抗体は2本の重いチェーンと2本の軽いチェーンとから成るY字形タンパク質構造から成っている。各チェーンはモジュラ構造を備えている。即ち、軽いチェーンは2つのドメインから成っていて、各々の重いチェーンは少くとも4つのドメインから成っている。抗原結合部位は重いチェーンからの1つのドメイン(VHドメイン)と軽いチェーンからの1つのドメイン(VLドメイン)によって形成されている。確かに、小さい抗原結合部位はこれら2つのドメインを結合するか、或はジスルフィド結合またはペプチド結合による共有によって製造する。抗原結合ドメインは、抗体の他のドメインよりもアミノ酸配列において頗る変化するものであり、それ故に、定数(C)ドメインに対して可変(V)ドメインと名付けられている。抗体の定数ドメインは、抗体エフェクタ機構、即ち補体の崩壊および細胞媒介殺害などを誘発する。
【0077】
抗体は遺伝子再配列に関連する方法でB−リンパ球によって造られる。これらの細胞の発育の間に、変異する領域をコード化する遺伝子が遺伝成分から組立てられる。VHドメインの場合には、3つの成分、つまり再配列されていないVH遺伝子,Dセグメント及びJHセグメントである。VLドメインの場合には、2つの成分、つまり再配列されていないVL(VラムダまたはVカッパ)遺伝子とJL(JラムダまたはJカッパ)区域である。これらの遺伝子の区域の不規則な組み合わせと、再配列したVHとVLドメインの不規則な組み合わせとで、同様に種々の性質を持つ抗原に結合することが出来る。
【0078】
一般に、この発明のポリペプチドはBXPC−3,23132/87,COLO−206F,COLD−699およびLOU−NH91に結合する凡ゆる薬剤であるが、非腫瘍性の細胞には結合しない。ポリペプチドはヒト−モノクローナル抗体(例えば、SAM−6)、或はその機能的断片などの抗体でも差支えない。全体的に見て、この発明のポリペプチドは腫瘍性の組織と腫瘍性の細胞との両者に専ら結合することが出来るのであるが非腫瘍性の組織または細胞には結合しない。ポリペプチドはまた、これが結合する腫瘍性の細胞の増殖を抑止することが出来るが、非腫瘍性の細胞の増殖を抑えることは無い。望ましいことに、ポリペプチドは細胞の枯死と非腫瘍性細胞の増殖とを誘起することが出来るけれども、非腫瘍性の細胞は、以上のようにすることは出来ない。それゆえ、ポリペプチドは哺乳動物の癌の検出、観察、および治療に極めて有用である。最新の発明の方法で取扱われている癌は、結腸直腸の癌,卵巣の癌,扁平細胞肺癌腫,小細胞肺癌腫,小房および管の乳癌,黒色腫,乳癌,肺癌、例えば肺腺癌,胃癌,膵臓癌、例えば膵臓腺癌,グリオーマ,ブドウ状肉腫,胃腸管系の癌,脳腫瘍,食道癌、例えば食道扁平細胞癌腫,胃癌,骨肉腫,線維肉腫,膀胱癌,前立腺癌、例えば摂護腺癌,腎臓癌,卵巣癌,睾丸の癌,子宮内膜の癌,頸部の癌,子宮の腺癌,ホジキン病(リンパ肉芽腫),リンパ腫、および皮膚白血病である。これらのポリペプチドは肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸管型胃癌,散在型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の腺癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌、または子宮の腺癌には特に効果がある。
【0079】
製造法
この発明に基づくポリペプチドは、小規模で、また大規模で、或は営利目的の市場に対して、周知の方法で製造することが出来る。例えば、モノクロナール抗体、例えばSAM−6は、ハイブリドーマ細胞ラインで製造出来る。この種の細胞ラインは腫瘍、例えば胃癌,結腸癌腫または膵臓癌腫などにかかっている患者、つまり異形骨髄腫細胞で誘導された脾臓リンパ球またはリンパ結節リンパ球の溶融によって生じたものである。模範となる異形骨髄腫細胞ラインは、例えば、HAB−1(ボルマー(Vollmers)外、「癌」74:1525−1532頁,1994),CB−F7(デルビッグ(Delvig)外、Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),K6H6B5(デルビッグ外,Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),H7NS,934(デルビッグ外,Hum.抗体ハイブリドーマ6:42−46,1995),SHM−D33(ブロン(Bron)外、Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:3214−3217,1984),およびB6B11(ボリソバ(Borisova)外,Vopr.Virusol,44:172−174,1999)。癌の患者のリンパ管から採取してヒトのモノクロナール抗体を生成することは、その癌患者の腫瘍に対する免疫反応によって発生される抗体の分離として認められる。
【0080】
一般的に、リンパ節或は脾臓の部分は、結腸癌腫や膵臓の癌腫などの癌を有する患者から手術によって除かれる。リンパ球は機械的な手段によって細胞懸濁液として調製され、次で、例えば細胞の融解を招く条件のもとで異形骨髄腫細胞線を以て、例えば1:2または1:3の割合で溶解される。例えば、異形骨髄細胞線HAB−1は以上の目的のために使用される。なお、前記細胞線はマウス骨髄腫NS−0でヒトリンパ球の融解により生成される。
【0081】
異形骨髄腫細胞系で、癌患者から得られたリンパ管の融解にしたがって、ハイブリドーマまたはトリオマ(trioma)を発生する抗体が発生される。一度び構成されると、ハイブリドーマは通常安定して生長し、抗体の発生が順調で、数ヵ月間に多量の培養物が(フラスコや、ミニパーム(miniperm)や、発酵槽など)に安定して生長する。フラスコ内での抗体の生成は0.01−0.1mg/mLの範囲で、ミニパーム内では0.1−0.5mg/mLの範囲である。細胞融合は周知技術で行うことが出来、例えば40%ポリエチレングリコールを使用する方法も含まれている。ハイブリドーマもHAT(ハイポベンシン−アミノプテリン−チミジン)(Hypovanthin−aminopterin−thymidin)を含有する培地で培養することが出来、上澄みはELISA効力検定を利用して抗体の生産物を分離することが出来る。次で、陽性のクローンをアタッチメント抑制で試験し、一般に入手することの出来る腫瘍細胞株を用いて試験する。陽性のクローンを、更に腫瘍と正常な組織との免疫ペルオキシターゼを使用して試験した。このようにしてクローンを自家移植と同種異系の腫瘍性の細胞とで、その反応性を基礎として選択することが出来る。抗体は陽イオン交換、疎水性の相互作用、大きさの選択、或は親和力クロマトグラフィーなどの方法と、更にこれら方法を組み合わせた方法、例えばボルマー氏(Vollmers)外により(腫瘍学レポート)(Onclogy Reports)(5:35−40,1998)に記載されている方法で、集団培養物から精製することが出来る。抗体の生産の後で、トリオマ(trioma)によって造った抗体の付加的な機能と免疫組織化学の試験を行った。例えば、ハイブリドーマによって作製した抗体について、アポトーシスを誘導する性能と、細胞の増殖を抑制する性能とを、またそれら両方の性能を、何等の処理を行った細胞と比較してテストすることが出来る。また、抗体は非腫瘍性細胞と比較して腫瘍性細胞の系統BXPC−3,23132/87,COLO−206F,COLO−699またはLOU−NH91などとの特別な結合についての能力について試験することも出来る。
【0082】
また、その代りに、抗体を含むポリペプチド或はその断片を、E.大腸菌またはイースト、例えば、S.セレビシアエ(cerevisiae)などの増殖細胞におけるポリペプチド或は抗体を圧出することによって造ることが出来る。例えば、この発明の抗体は次に述べるように認めることが出来る。抗体もしくはその断片は、凡そ107或はそれ以上の抗体のライブラリ(library)を発生する線維状のバクテリオファージに挿入される。各ファージはそれに包含されている核酸によって符号化されるその表面に抗体を発現する。このようにして、この発明の抗体はこの明細書中に記載されている機能および組織化学的効力検定によって調査され、検出され、その遺伝子は、その後において、選択され、E.coliと表現される。このシステムは、例えば米国特許第5,876,691号に示されている。
【0083】
抗体または抗体の破片もまた、例えば、組換え方法を利用して直接に合成して発生させることが出来る。これらの方法は技術上、基本的な手段である。例えば、核酸配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して増産することが出来る。RCRに関する技術は技術上公知であって、米国特許第4,683,195号に開示されている。標準的な前記の方法を用いれば、ハイブリドーマによって発現されたモノクロナール抗体の配列が得られ、抗体の機能的な断片を増幅することが出来る。例えば、全部のRNAが腫瘍特定単クローン性の抗体を発現するハイブリドーマから分離することが出来る。次でcDNAが反転トランスクリプターゼを使用するRNAから発生され、重鎖と軽鎖との可変領域の機能的な断片を含有するcDNAsをPCRを用いて増幅する。PCR生成物は次で清浄化され、表現ベクター、例えばプラスミドまたはウイルス性のベクターにクローン化される。多くの標準ベクターを利用することが出来、適切なベクターの選択は、例えば、ベクターに組入れたDNAのサイズとベクターで変えられる増殖細胞のサイズとによる。
【0084】
ポリペプチドのアミノ酸変異体の分離抗体、例えばSAM−6抗体などのポリペプチドのアミノ酸配列の変形体は抗体を符号化するのに適切なヌクレオチド変化により、或は所望のポリペプチドの生体外での合成によって製造することが出来る。この種の変異体には、例えば、SAM−6抗体のアミノ酸配列内における残留物の欠失または挿入物或は置換物を含む。最終構成物が所望の特徴、例えば腫瘍性の細胞のアポプトーシス(枯死)を招く作用で、非腫瘍性細胞でなかったり、または腫瘍性細胞の増殖を抑える能力のもので、非腫瘍性の細胞でないとすれば、削除、挿入、そして変換を最終構造に達するようにすることが出来る。また、アミノ酸の変化とは抗体の移転後の過程、例えばグリコシル化部位の数または位置を変えること、膜の固着特性の変更、またはタンパク質分解の分裂に対するその感受性の変更などである。
【0085】
抗体のようなポリペプチドのアミノ酸配列を変更しようとするには、変位部位の位置と変異の性質とは変更されるべき特質に依存する。変異の部位は個別的に、または列をなして、例えば、最初に保存性アミノ酸で選択し、次で前記で得た結果による多くの遊離基で、またはターゲット残基を削除することによって行う。
【0086】
ポリペプチドの突然変異生成についての特別の残基または部位を同定するための有用な方法を「アラニン走査突然変位生成」と言って、例えばカンニングハム(Cunningham)氏とウエルズ(Wells)氏著(サイエンス244:1081−1085頁,1989)に記載されている。ここで、ターゲット残基の残留物或はグループ(例えば、arg,asp,his,lys及びgluなどの帯電した残留物)が確認され、そして細胞内部或は細胞外部の周囲の水溶性の環境によってアミノ酸の相互作用に影響して中性もしくは陰電気を帯電したアミノ酸(最も望ましくはアラニンまたはポリアラニン)に取って代った。次で、置換に対して機能的な感度を示すドメインが置換の場所において、或は置換の部位に関して導入されて精製された。このようにして、アミノ酸配列の変化を導く位置が前以て決定され、突然変位の現象は予定されなかった。例えば、特定の場所における突然変位を利用するために、アラニンスキャニングまたは出任せの突然変異生成がターゲットコードン或は置換領域において行なわれ、圧縮された変種が、例えば、腫瘍性の細胞を枯死させる能力があり、非腫瘍性の細胞は、これを無視し、腫瘍性細胞の増殖を阻止して、非腫瘍性細胞の増殖には何等の影響を及ぼさない性能を現わす。
【0087】
代用の突然変異生成について頗る興味のある部位はポリペプチドの生物学的活動に影響するのに役立つ部位を含んでいる。これらの部位は、少くとも三つの同様に維持された部位の配列に属し、比較的保存性に富んでいる。例えば、翼状部はval,leuまたはlieで置換することができ、argはlys,glnまたはasnで置換されることができ、aspはgluで代えることができ、cysはserで置換でき、glnはasnで代えることができ、gluはaspで代替えでき、glyはproで、hisはasn,gln,lysまたはargで代えることができる。ileはleu,val,met,ala、またはpheで置換されることができ、leuはile,val,met,ala、またはpheで置換することができ、lysはarg,gln、またはasnで置換することができ、metはleu,phe、またはileで置換することができ、pheはleu,val,ileまたはalaで置換することができ、proはglyで置換することができ、serはthrで置換することができ、thrはserで置換することができ、trpはtyrで置換することができ、thrはserで置換することができ、trpはtyrで置換することができ、tyrはtrp,phe,thr、またはserで置換することができ、valはile,leu,metまたはpheで置換することが出来る。
【0088】
検出することが出来る物質で抗体の接合
必要に応じて、抗体(例えば、SAM−6などのモノクロナール抗体)、またはその断片を検出することができる物質に連結して、哺乳動物の適当な検知可能な病原体の選択物をポリペプチドの意図的な使用に依存し、当業者にとっては明瞭に判るに相違ない。この発明により検出可能な薬剤は、例えば、蛋白質精製標識,細胞毒素,酵素,常磁性のラベル,酵素培養基,補足因子,酵素反応抑制剤,染料,放射性核種、およびビオチンである。
【0089】
蛋白質精製標識はポリペプチドの分離を促進するために、この発明のポリペプチドに共役させることが出来る。標識の例としては、His−標識,HA−標識,FLAGR−標識、及びC−Myc−標識を使用することが出来る。酵素の或は化学開裂部位はポリペプチドと標識の一部分との間で処理されるので、標識は精製によって除去することが出来る。適当な毒素とはジフテリアの毒素、プセウドモナス外毒素A,リシンおよびコレラの毒素のことである。適当な酵素標識を挙げると、リンゴ酸塩ヒドロゲナーゼ,ブドウ状球菌ヌクレアーゼ,デルタ−5−ステロイドイソメラーゼ,アルコールデヒドロゲナーゼ,アルファグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ,トリオースリン酸塩イソメラーゼ,ペルオキシダーゼ,アルカリフォスファターゼ,アスパラギナーゼ,グルコースオキシダーゼ,リボヌクレアーゼ,ウレアーゼ,カタラーゼ,グルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ,グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼがある。適当とするラジオアイソトープのラベルには、3H,125I,131I,32P,35Sおよび14Cがある。好ましくは、ラジオアイソトープは10−5,000Kev範囲、より望ましくは100−500Kevを放出する。常磁性のアイソトープもポリペプチドに接合することができて、癌の診断と治療とに生体に使用される。この種の共役抗体を使用することは生体に関して核磁気共鳴イメージングをする。このような方法は既に記載されている。(例えば、シーファ(Schaefer)氏外著,JACC 14:472−480ページ,1989年発行;シャーブ(Shreve)氏外著,雑誌,レソン(Reson)Med.3:336−340ページ,1986年発行;ウォルフ,フィシオル(Wolf,Physiol)著,Phys.Med.NMR 16:93−95頁,1984年刊;ウェスベイ(Wesbey)氏外著,Physiol,Chem.Phys.Med.NMR 16:145−155頁,1984年刊、およびラング(Runge)氏外著,Invest.Radiol.19:408−415頁,1984年刊)。代るべきものとして、放射性同位元素を使って識別した抗体も、結合している標識付き抗体を組織の外科的な除去を要する放射免疫誘導手術に用いることも出来る。このようにして、識別した抗体を非腫瘍性の組織と区別することによって、腫瘍性細胞の方へと手術を進める。腫瘍イメージングは望ましい一時的な放射性同位元素である。半減期が1時間乃至11.4日間の種々の放射性のある金属が、スカンジウム−47(3.4日間),ガリウム−67(2.8日間),ガリウム−68(68分間),テクネチウム−99m(6時間),インジウム−111(3.2日間)およびラジウム−223(11.4日間)などの抗体類に共役するために利用することが出来る。そのガリウム−67,テクネチウム−99mおよびインジウム−111はガンマカメラ映像化のために好ましく、ガリウム−68は陽電子放出断層撮影のために望ましく、ガリウム−68は陽電子放出断層撮影のために好ましく、スカンジウム−47とラジウム−223(およびその他のアルファ放出放射性核種)は腫瘍の治療について好ましいものである。
【0090】
適切な蛍光マーカーの例を挙げると、フルオレスセイン,イソチオシレート,ローダミン,フィコエリトリン,フィコシアニン,アロフィコシァニン,オプサルデヒド及びフルオレスカミンがある。化学ルミセンスマーカーにはルミナルラベル,イソルミナルラベル,芳香性アクリジニウムエステルラベル,イミダゾールラベル,アクリジニウム塩ラベル,蓚酸エステルラベル,イソルミナルラベル,芳香族アクリジニウムエステルラベル,イミダゾールラベル,アクリジニウム塩ラベル,シュウ酸エステルラベル,ルシフェリンラベル,ルシフェラーゼラベルおよびエクオリンラベルがある。当業者は、その他の適切なラベルを承知しており、この発明に応じて使用することが可能である。単クローン性の、或はその断片などの、この発明によるポリペプチドについて検知することが出来る結合は単クローン性の抗体、またはその断片を当業者が周知の規準となる技術を利用して達成することが出来る。基準となる抗体共役技術はケネディ(Kennedy)氏外著(クリン.チム.アクタ(Clin Chim Acta)70,1−31頁,1976年)およびシューアス(Schurs)氏外著クリン.チム.アクタ(Clin Chim Acta)81,1−40頁1977年)に記載されており、例えば、グルタルアルデヒド法,過ヨウ素酸塩法,ジマレイミド法,m−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−コハク酸イミドエステル法がある。抗体は当業者が周知の数多の技術の何等か、例えば米国特許第4,444,744号を利用して識別することが出来る。これらの方法の総ては、この明細書に掲載した文献に示されている。
【0091】
この発明においては、異なる標識または同一標識のポリペプチドの特性が同一または異なる腫瘍細胞または腫瘍細胞類形と結合されている異なる抗原または異なるエピトープを使用することが出来る。このような組み合せは、特定の場合において、検出,局所限定および/または治療効果を高めることができ、また一種の腫瘍或は腫瘍の類型より以上に広範囲な検査範囲に広げることが出来る。
【0092】
抗癌剤に接合されたポリペプチド
この発明のポリペプチドは腫瘍性の細胞のアポプトシース,非腫瘍性細胞の抑制細胞の増殖、或は前記の両者を含むけれども、ポリペプチドは腫瘍性の細胞を殺す薬剤またはその増殖を阻止する物質に接合する。抗体または抗体の断片などのポリペプチドのターゲッティングは腫瘍の破壊を高めるために腫瘍に対して細胞に有毒な、或は抗増殖性物質の導出を招く。それゆえ、ポリペプチドは哺乳類、特にヒトの患者の癌の処理や予防に用いることが出来る。ポリペプチドに関連する細胞毒性物質はポリペプチドが結合している腫瘍細胞または腫瘍を破壊または損傷する。この種の物質の例としては、プロ−ドラッグ、即ちサイトカインを活性化する化学療法薬剤或はラジオアイソトープ,酵素類がある。
【0093】
適切な化学療法薬剤は当業者にとって周知のものであって、例えばタキソール,ミトラマイシン,デオキシコーホルミシン,マイトマイシン−C,L−アスパラギナーゼ,インターフェロン類(特にIFN−アルファ),エトポシド,テニポシド,アントラサイクリン類(例えば、ダウノマイシン及びドキソルビシン),メトトレキサート,ビンデシン,新カルジノスティン,シスプラチン,クロラムブチル,サイトシン,アラビノシド,5−フッ化リジン,メルファラン,リシンおよびカリチェアマイシン)。化学療法の薬品は当業者にとって周知の方法を利用して抗体に配合することが出来る。
【0094】
細胞毒性物質として用いるのに適切な放射性同位体は、当業者には周知で、例えばIまたは212Atなどのアスタチンがある。これらの同位体はポリペプチドに付加されることができ、当業者が周知の通常の技術を利用して共有結合させたり、あるいは共有結合させることができる。
【0095】
細胞毒性物質もプロドラッグに有効な酵素とすることが出来る。これは不活性のプロドラッグを腫瘍部位において細胞毒性型に変え、「抗体指定酵素プロドラッグ療法」と呼ばれる。このようにして、ポリペプチド酵素配合体は受療者に対して投薬することができ、治療をすべき腫瘍の領域に局在化されることが出来る。次で、プロドラッグは患者に投薬することのできる制癌剤となり、「抗体指定酵素プロドラッグ療法」と呼ばれる。それからプロドラッグは患者に投薬されて、細胞素性薬剤となって腫瘍の部位に定位して、局在性の酵素の影響を受けて治療するようになる。模範的な酵素は細菌性のカルボキシペプチダーゼG2(CPG2)であって、その用途は、例えばWO88/07378号に記載されている。ポリペプチド酵素配合体は、希望であればWO89/00427号の述べるところに従って、腫瘍の近辺でない体の部分の酵素を不活性化する。
【0096】
別の代案として、この発明のポリペプチドに接合されている細胞素性物質はインターロイキン−2(IL−2),インターロイキン−4(IL−4)、或は腫瘍ネクローシス・ファクターアルファ(TNF−alpha)などのサイトカインとすることが出来る。ポリペプチドは腫瘍に対するサイトカインを標的とするので、サイトカインは他の組織に何等の影響を及ぼすことなく、腫瘍を損傷し、或は破壊する。サイトカインは通常の組換え型DNA技術を利用してDNA準位でポリペプチドに融解する。
【0097】
更に、例えばゲニステイン,タモキシフェン或はシクロホスアミドなどの細胞増殖の抑制物質を、この発明のポリペプチドで共役することが出来る。
【0098】
用量
この発明の治療法について、患者に対するこの発明のポリペプチドの投与はその投与に対する特定の様式,用量または投与間隔の頻度について考慮するものではない。即ち、この発明は筋肉内,静脈内,腹腔内,脈管内,関節内,病巣内,皮下或は腫瘍細胞の増殖を抑制することにより腫瘍性の細胞の枯死によって腫瘍性細胞の数を減少させるのに適当とする投与量であれば、どのような経路をとっても問題とすることはない。これらの複合体は患者に対して1回量または多数の用量を投与する。多数の用量を投与する場合には、その投与を、例えば、1日,2日,1週間,2週間或は1ヵ月などのいずれかに分ける。例えば、ポリペプチド(例えばSAM−6のような単クローン性の抗体)を1週間に1回、例えば、2,3,4,5,6,7,8,10,15,20週間またはそれ以上の週に1回投与する。どのような特別の場合でも、一定の投与秩序を乱すことなく、特定の投与規定を、その個人に対して調節し、人への投与あるいは管理を専門医として判断する必要がある。精確な投与量は使用されるポリペプチドによって異なり、ポリペプチドが結合するリガンドとポリペプチドの浄化値によって異なる。例えば、低量の投与では十分に、対腫瘍性効果を挙げない場合には、SAM−6抗体の投与量を増加することが出来る。これとは反対に患者から腫瘍が消滅した場合には、SAM−6抗体の用量を減らすことが出来る。
【0099】
担当している医師が最終的に適切とする量および用量を投与している間は、モノクロナール抗体またはその断片は、例えば、体重1kg当り1日約0.1mg乃至50mg或は体重1kg当り毎週0.7mg乃至350mgの範囲内とする。治療に有効な量は例えば約0.50mg/kg乃至20.0mg/kg,更に望ましくは、約0.50mg/kg乃至15.0mg/kgで、例えば約0.2,0.3,0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,7.0,8.0,8.5,9.0,10.0,11.0,12.0,13.0,14.0または15.0mg/kg体重を毎日、または隔日、或は1週に1回とする。例えば、適当な投与量は、前述したように投薬された場合、ポリペプチドの量は細胞の枯死を招き、少くとも20%以上が基礎量(未処理)レベルである。一般に、適当な用量と処置と治療法とが治療および/または予防に良い影響を及ぼす。このような反応は、治療した患者を治療をしなかった患者と較べて、治療した患者は臨床の成果(例えば、病状の軽減、完成または部分的或は長期無症候生存)を達成することが認められたのである。この発明によるならば、ポリペプチドの投与は、当業者にとって周知となっている凡ゆる通常の効力検定によって、未処理の者に対して、少くとも20%,40%,50%または75%以上、腫瘍性の細胞を枯死に導いている。更に好ましいことには、増殖が未処理に較べて80%,90%,95%、または100%まで阻止されている。
それとはまた別個に、ポリペプチドを投与すると、腫瘍性の細胞の増殖を当業者が周知の標準的な効力検定によって測定した場合に、未処理の場合よりも少なくとも20%,40%,50%,または75%まで抑制することができる。
それ以上に望ましいことには、増殖が当業者が周知している凡ゆる標準の効力検定で未処理のそれよりも80%,90%,95%,あるいは100%も下位に増殖をおさえることができる。最高に望ましいことは、ポリペプチドが、増殖を阻止し、未処理の対照細胞に関して腫瘍性の細胞を枯死に導くことである。
こうした反応は当業者が周知の技術で観察することが出来る。一般に、医薬の組成に関して、抗体の量は宿主のkg当り約25μgから5mg/kgの範囲内である。適当とする用量は患者のサイズにより変わるが、一般的には約0.1mLから約5mLである。
【0100】
薬剤の組成の形成
この発明のポリペプチドは適当な手段を以て抗腫瘍性の性質を有する部位に達した時に集中させる結果を招くようにすることにある。ポリペプチドは任意の適当な保菌組織中に割合適当とする量を含ませることができ、通常、組成の総重量の1−95(重量)%の量を存在させる。その組成は親(例えば、皮下,静脈内,筋肉、または腹腔内)に配剤するのに適する。薬剤の組成は通常の薬剤の処理(例えば、レミングトン(Remington)著:「ザ サイエンス アンド プラクティス オブ ファーマシイ」(The Science and Practice of Pharmacy)(20版),A.R.ジェナロ,リピンコット,ウィリアム及びウィルキンス著(A.R.Gennaro,Lippincott Williams and Wilkins),2000及びエンサイクロペチア オブ ファーマセウチカル テクノロジー(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology),著作者,ジェー.スワービック及びジー,シー,ボヤン(J.Swabrck and J.C,Boyan),1988−1999頁,マルセル デッカー(Marcel Dekker)社,ニューヨーク)を参照されたい。
【0101】
医薬の組成は処方箋に基づく投薬の形式で、或は通常の毒性の無い医薬として認められる基材および補助剤を含有する適切な投薬装置または挿入管を介して、注射,注入、また体内移植(皮下,静脈,筋肉内,腹腔内など)に送り込むことが出来る。もしも腫瘍性の細胞が(例えば白血病で)血液と直接に接触していたり、或は腫瘍には専ら静脈(I.V.)のルートで接近することが出来る。腫瘍が、例えば胞腹腔或は腹膜の空洞などの限られた場所に生じた場合には、血流を経て送るよりも、直接に空洞中に送り込むことが出来る。このような調合剤の組成および製法は医薬の調剤の技術に於ては周知である。その調剤法はレミントン(Remington)のザ サイエンス アンド プラクティス オブ ファーマシィ スプラ(The Sience and Practice of Pharmacy supra.)に記載されている。
【0102】
癌の進行の診断と監視
以上に説明したように、この発明は哺乳類,好ましくはヒトの患者の腫瘍を検出或は診断する方法に関連するものである。一般的に、この発明のポリペプチドの投与は細胞の枯死或は増殖の削減に敏感に働くものである。
【0103】
この発明のポリペプチドは腫瘍または腫瘍の細胞に特効のものであって、通常の細胞または組織には作用しない。したがって、このポリペプチドは腫瘍の内部の腫瘍性の細胞に結合するが、正常な周囲の組織には影響を与えないので、哺乳動物における腫瘍の検出と処理、つまりその両者を行うものである。例えば、生体組織検査を行った結果、すべて腫瘍が除かれたことが証明されたり、或は患者から除かれた腫瘍がポリペプチドとは結合していない細胞によって完全に囲まれていることが立証されることにより、腫瘍が全部除去されたことが判る。標識の選択は最適の敏感度を呈する組合せを決定することを基礎とし、またそれを選別するものとする。
【0104】
検出の感度を良好にするために、多数の腫瘍の標識を所定のサンプル或は個人で効力検定する。このようにして、抗体或は異なる抗原に関する機能的断片特定のポリペプチドを単独の効力検定または多数の効力検定で組合わせることが出来る。更に、腫瘍に対する多様なプライマー或はプローブを同時に使用することも出来る。標識の選択は最適の感受性を示す組合せを決める基底となる。
【0105】
生体内での腫瘍の検出
一般に、哺乳動物についての腫瘍の診断は、哺乳動物(例えばヒトの患者)から生物の試料を得て、この試料をこの発明のポリペプチド(例えば、SAM−6のような単クローン性の抗体)と接触させ、その試料において、腫瘍性細胞の対照試料との反応性或は結合の度合を検出する。なお、この対照試料は、癌が診断された哺乳類からの、或は腫瘍があるか否か判っていない他の患者からの健康な組織から得た非腫瘍性細胞とする。したがって、この発明の方法は、通常では検出をすることが出来ない、極く早期の腫瘍もしくは転位の検出に特に有用である。それが故に、患者の腫瘍の診断だけでなく、この発明の方法は哺乳動物における腫瘍の進行の観測にも利用することが出来る。その目的のためには、腫瘍の診断に用いる下記に述べた効力検査を、時間を問題に入れることなく、ポリペプチドと結合するレベルを検査する。例えば、効力検定は6ヵ月から1年の期間に亘って、24−72時間毎に行う。そして、それから後、必要に応じて実行する。一般に、腫瘍は時を問題とすることなくポリペプチドの結合の度合が増加した患者においては進行しているのである。これとは対照的に、ポリペプチドの結合が時間の経過によっても一定であったり、或は減少している場合には、腫瘍は進行していないのである。その代り、前述したように、この発明のポリペプチドは、外科手術によって、腫瘍が哺乳動物から完全に除かれたか否かを知るための腫瘍細胞の存在を調べるのにも利用することが出来る。
【0106】
ポリペプチドは、好ましくは、検出を容易にするか、ポリペプチドの反応の測定を容易にする検知可能な物質に結合させることである。生物学上のサンプルは腫瘍性の細胞を含んでいる、例えば、血液,唾液,血清,粘液,痰,尿或は涙などが挙げられる。生物学的試料もまた組織の部分で、固定された組織,新鮮な組織または凍結組織とする。腫瘍は生物学的試料について抗体の反応性のレベルが増加して、対照試料以上に生物学的試料についての抗体の反応性のレベルが上昇する場合に得られた試料である。その増加率は、対照レベルよりも上で、少くとも10%,20%,30%,40%,50%以上である。結合または反応性のレベルは当業者が周知の方法で決定することが出来、更にその詳細については後述する。
【0107】
生体外での診断の効力検定
この発明のポリペプチドを用いての腫瘍の診断は当業者が周知の任意の方法で行うことが出来るもので、サンプルについてポリペプチドの標識を検出する結合剤を用いて行う。例えば、ハーロー氏とラン氏(Harlow and Lane)著,「抗体類」(Antibodies)ア ラボラトリー マニュアル,コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor)1998年刊を参照のこと。例えば、ポリペプチドは酵素結合免疫吸収剤の効力検定(ELISA),ウエスタン吸取り、または組織試料の腫瘍細胞の自位検出に用いることが出来る。例えば、ELISA効力検定は生物学的試料の腫瘍細胞に結合する固相に固定化された抗体にポリペプチドを使用することを必要とする。結合腫瘍細胞は検出試薬を使用して検出できるもので、この検出試薬は遺伝子群を含み、抗体/腫瘍細胞複合体に明確に結合する。こうした検出試薬には、例えば、抗体に特別に結合する結合物質があり、その例を挙げると、抗免疫グロブリン,タンパク質G,タンパク質A,またはレクチンなどである。これらに代るべきものとして、競合的の効力検定を利用することが出来る。それについてポリペプチドは抗体であって、抗原は抗体に対して特異性のもので、報告者グループで標識され、生物学的試料を以て抗体の培養後に固定された抗体に結合する。試料の成分が抗体に対して標識された抗原の結合を抑制する要素の範囲は固定された抗体について試料の反応性を指示するものである。患者の腫瘍の診断は2−抗体サンドイッチ効力検定によって決定される。この効力検定は固体支持台に固定された抗体と最初に接触することによって行なわれるもので、前記固定支持台は通常、マイクロタイタープレートの空所で試料内のポリペプチドが固定された抗体に結合される。自由にされた試料は固定したポリペプチド−抗体複合体と検出試薬とから除かれる。(なお前記検出試薬はポリペプチドに異なる部位に結合することの出来る第二の抗体とすることが望ましく)、検出試薬はレポーター群が加えられている。固定支持台に残存する検出試薬の量は固定支持台に結合し、特異のレポーター群について適当とする方法を用いて決定される。例えば、腫瘍の存在の有無、結腸直腸の腺癌、固相支持体に結合したままのレポーター群、これは一般に前決定遮断値に相当するシグナルに比較される。結腸直腸の腺癌などの腫瘍の存在の有無を決定するために、前決定カットオフ値に該当するシグナルに固相支持に結合したままのレポーター群から検出したシグナルを前以て決定された遮断値に相当するシグナルと比較する。腫瘍の検出に当っての遮断値は、抗体が腫瘍の無い患者からの試料と比較した時に得られた平均シグナルである。
【0108】
レポーター・グループを検出するのに用いられる方法はレポーター・グループの性質による。放射性のグループに関して、シンチレーション計算法またはX線写真法を用いることができる。分光器法も色素,発光群および蛍光群を検出するのに用いることができる。ビオチンも異なるレポーター類(一般に放射性或は蛍光群または酵素)と共にアビジンを用いて検出することが出来る。酵素レポーター類は基質を(一般に限定された時間)添加して、反応物質を分光器を用いる分析またはその外の分析で検出することが出来る。
【0109】
この発明のポリペプチドは腫瘍細胞の自然位検出または定量測定について組織学的に用いることが、例えば、免疫蛍光法または免疫電子顕微鏡検査法によって出来る。こうした手段を利用することは、検体の腫瘍細胞の検出に役立つだけでなく、その空間分布の測定にも役立つのである。別の例としては、生物学的試料はスライド上の腫瘍細胞を含んでいる生物学的物質の塗抹標本とすることができ、生物学的物質中の腫瘍細胞の検出を顕微鏡の塗抹標本を調べるか、或は血球計算によって標本を調べることによって行うことが出来る。
【0110】
腫瘍の生体検出
代りとなるものとして、この発明の抗体は腫瘍の検出とその所在部位の検出とのために生体に用いることが出来る。この種の方法は、哺乳動物、望ましくはヒトの被検者に、この発明のポリペプチド、例えば検出物質で標識されたSAM−6などを注射することで、例えば、米国特許第4,444,744号に開示されている。例えば、ポリペプチドは患者に対して、薬理学的に不活性の放射性同位体で放射性標識をつけることが出来、患者に投薬される。放射性同位体はフォトスキャンニング装置を用いて哺乳動物に関して検出することができ、目標値に関して増加していれば、腫瘍の検出と位置の確認とに反映する。
【0111】
治療
哺乳動物の腫瘍の診断と監視とに加えて、この発明は、また、哺乳動物、好ましくはヒトの患者の腫瘍を処理する方法を特徴とするものである。その方法は、一般的に、患者に対して、この発明のポリペプチドの生物学的に有効とする量を投与することにある。ポリペプチドは、例えば、静脈または動脈内への注入と同様に、静脈,皮下,粘膜、または空洞内の注射によって、哺乳動物に投与される。したがって、ポリペプチドは患者の血流中にSAM−6抗体として静脈注射するとか、或はポリペプチドを腫瘍の部位に直接注入するか、或は腫瘍細胞に近い場所に注入することが出来る。かくして、ポリペプチドは、全身的に注入することが出来るものであって、例えば、患者の血液の流れの中にSAM−6抗体として静脈注射するか、またはポリペプチドを腫瘍に直に注射し、あるいは腫瘍の細胞に近接する部位に注射する。
【0112】
一般的に、前述したように、この発明のポリペプチドの腫瘍性細胞との結合によって、その細胞の枯死を招き、細胞の増殖を減少させ、対照検体について共に相対的に細胞の枯死と減少との両者を行う。その代りとして、抗体は補体の経路について活性化され、最終的には細胞を枯死に至らせる細胞膜に穿刺すべき孔をあける結果となる。
【0113】
必要に応じて、ポリペプチドを前に述べた薬剤または毒素に共役させることが出来る。一度び細胞の表面に結合されると、細胞酵素を切り裂く細胞変成を包み込み、そして共役状態から活性化し、或は薬剤または毒素を遊離する。細胞DNAから僅かに離れた場所において、識別に用いる放射性同位元素抗体について、腫瘍性の細胞に結合して、放射線の放射によって、次の再現時期内に細胞を枯死に導く。例えば、腫瘍が被検者から検出されて、その局部に限定されていることが判れば、通常、患者の体重70kgを基準として、一回の投与量を25乃至250mCi for131I、好ましくは50nCi乃至150mCi注射する。その注射は静脈内注射,動脈内注射,リンパ管内注射,腔内照射療法とすることができ、それを1回以上繰り返す。放射性同位元素を用いて識別されたポリペプチドまたはポリペプチド混合物の分割用量、例えば20−120mCi(体重70kgの患者に対して)を数回投薬すると治療にとって極めて有効である。したがって、無処置の細胞の放射を通常、比例的に増加して行うことなく腫瘍に対し細胞の枯死を高度にする。
【0114】
標識されたポリペプチドを使用する治療法は初期の治療法としては頗る利点があるが、この治療と合わせて別の抗腫瘍治療法、例えば放射線および化学療法、および外科の補助などを行うことも出来る。この種の腫瘍に対するポリペプチドの投与は、外科手術では取り除くことが出来ない小さな転位の場合に、特に有効である。
【0115】
ポリペプチドと他の抗腫瘍治療法との組み合せについて
腫瘍に対する化学療法の薬剤および/または放射線療法および/または外科手術による除去を、この発明の幾つもの方法のいずれかと任意に組み合わせて行うことが出来る。化学療法の薬剤として用いることができる化学物としては、次のものが挙げられる。即ち、アルキル化薬剤,抗代謝物,天然の生成物およびその誘導薬,ホルモン類およびステロイド類(合成類似化合物を含む)、及び合成薬がある。アルキル化薬剤(例えば窒素マスタード,エチレン基誘導体,アルキルスルホン酸,ニトロソウレア及びトリアジン)はウラシルマスタード,クロルメチン,シクロホスファミド(CytoxanR),イフォスファミド,メルファラン,クロラムブシル,ピポブロマン,トリエチレン−メラミン,トリエチレントリホスラミン,ブスルファン,カルムスチン,ロムスチン,ストレプトゾシン,ダカルバシン及びテモゾロミドを含んでいる。天然の生成物とその派生物(ビンカアルカロイド,抗腫瘍抗生物質,酵素,リンホカイン及びエピポドフィロトキシン)もまた使用することが出来、それらは、例えば、ビンブラスチン,ビンクリスチン,ビンデシン,ブレオマイシン,ダクチノマイシン,ダウノマイシン,ドキシルビシン,エピルビシン,イダルビシン,パクリタキセル(パクリタクセルはタキソール,ミトラマイシン,デオキシルコ・フォルマイシン,マイトマイシン−C,L−アスパラギナーゼ,インターフェロン、特に、IFN−alpha),エトポシド、及びテニオポシドとして市販されている。ホルモン及びステロイド(合成アナログを含む)は、例えば、17−アルファ−エチニルストラジオール、ジエチルスチルベストロール,テストステロン,プレドニソン,フルオキシメステロン,ドロモスタノロン,プロピオン酸塩,テストラクトン,酢酸メゲストロール,タモキシフェン,メチルプレドニソロン,メチルテストステロン,プレドニソロン,トリアムシノロン,クロロトリアニセン,ヒドロキシプロゲステロン,アミノグルテチミド,エストラムスチン,酢酸メドロキシンプロゲステロン酢酸塩,ロイプロライド,フルタミド,トレミフェネ、またはゾラデックス、である。模範的な合成薬(白金配位複合体のような無機質の複合体を含んでいる)には、シスプラチン,カルボプラチン,ヒドロキシ尿素,アムサクリン,プロカルバジン,ミトタン,ミトクサントロン,レバミソール及びヘキサメチレンテトラミンを挙げることが出来る。
【0116】
これらの化学療法の薬剤の多くの安全で有効な投与についての方法と投薬量とは当業者に周知されている。更に、その投与は標準文献に記載されている。例えば、化学療法の薬剤の多くの投与は「フィシィシアンス・デスク・リフェレンス」(Physicians’Desk Reference)(PDR、例えば、1996年版(メディカル・エコノミックス・コンパニー,モントバル,ニュージャージー 07645−1742,USA)(Medical Economics Company,Montvale,N.J.07645−1742,USA)、に記載されていて、その書籍の説明を参考文献として、この明細書に組入れたものとする。
【0117】
次に記載する幾つもの例は、この発明の実例を述べるものであって、この発明をこれらの実例にのみに限定すべきではない。
【0118】
例1 原料と方法
細胞培養
この研究に当っては、次のヒトの細胞株を用いた。BXPC−3(膵臓の腺癌),23132/87(胃の腺癌),COLO−206F(コロン癌腫),COLO−699(肺の腺癌)およびLOU−NH91(肺の鱗状細胞癌腫細胞),RPMI−2650(鼻の隔壁鱗状細胞癌腫細胞)およびHNEpC−c(正常の鼻の上皮の細胞)。
細胞株はRPMI−1640培養地(PAA,ウィーン,オーストリア)で10%ウシ胎児血清(FCS)で補充された10%胎児の脛の漿液(FCS),2mMグルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシン(共に1%)と加湿した37℃の5%CO2雰囲気において培養された。効力検定に関して述べるために、細胞を集合するように生長させ、トリプシン/EDTAで分離し、これを使用する前にリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で2度洗浄した。
【0119】
ハイブリドーマの製作
次に述べるようにしてHAB−1異種骨髄腫に永続性のリンパ球を融合した。そしてHAB−1異種骨髄腫を添加物なく毎分1500回転の速度で5分間遠心分離した。次で、脾臓あるいはリンパ節の一方から得た溶けたリンパ球或はリンパ結節から解凍したリンパ管を得た。それから、これらの細胞に何等の添加物を加えることなく、これをRPMI1640を用いて2回洗ってから、5分間、毎分1500回転して遠心分離して、ノイバウエル細胞計算室で計算した。また再び細胞を洗浄し、HAB−1細胞とリンパ球とを1:2乃至1:3の割合に混合して、毎分1500回転させて8分間、その混合物を遠心分離した。前以てポリエチレングリコール1500(PEG)を37℃に暖めて、注意深くPEGをペレットに滴下し、50mlの管をゆっくりと回転して、ペレット上にPEGを流した。次で、ペレットをゆっくりと再び懸濁して、37℃の水浴で正確に90秒間、その管を回転した。次で、添加物なしのRPMIの10mlで細胞を2回洗い、毎分1500回転で5分間、遠心分離した。RPMI1640の1mlをHATサプリメント(PAA,ウイーン,オーストリア)と10%FCS,1%グルタミン、および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(“RPMI 1640 HAT”)を24−well板の各wellに加えた。それから、24−well板を37℃定温器に配置して、RPMI 1640 HAT培養基を毎週取り替えた。4週間乃至6週間後に、細胞培養物の上澄の物質を酵素連鎖性の免疫吸着物効力検定(ELISA)における抗体を生産するために分離した。
【0120】
このプロトコルを用いて、発生されたトリオマス(triomas)の凡そ80%乃至90%は、生長することが出来るものであって、その凡そ50%は分泌免疫グロブリンである。陽性のクローンは自家移植の腫瘍組織部分に関して免疫組織化学的に試験され、それによって後に再びクローンにされる。
【0121】
cDNA合成とRT−PCR
抗体の配列順序を得るために、キアゲン(Qiagen)からRNASEキット(Kit)を用いてトリオマ(trioma)から総てのRNAを分離した。全体のRNAは技術上基準とされている方法を利用して作成した。なお、技術上の基準としては、クレーン氏(Krern)氏外著(クリン.Exp.免疫学)(Clin.Exp.Immurol.115:168−175頁,1999)、に記載されている。ハイブリドーマ細胞株SAM−6から得た全体のRNAからのcDNA合成は製造家の指示によるギブコ(Gibco)BRL(エゲンステイン,ドイツ)(Eggenstin,Germany)M−MLV レーバース トランスクリプターゼ(Reverse Transcriptase)を用いる5μgトータルRNAで行なわれたハイブリドーマ細胞株から得た完全なRNAからcDNAを合成する。VHとVL遺伝子の増幅修飾物質は1.75mM MgCl2で、25μl容量で、0.4pMプライマー、各dNTDの200μM、および1U Taqポリメラーゼ(MBIフェルメンタス,St.レオン−ロト,ドイツ)(MBI Fermentas,St.Leon−Rot,Germany)で行われた。PCR−生成物は次のサイクルプロフィールを使用して増産された。即ち、(VH3とVH4プライマーについて)2分間;95℃、次で30秒間94℃で35サイクル;30秒間65℃,VLプライマーについて、それぞれVH1,VH2,VH5,VH6について60℃、そしてVLプライマーに関して52℃;72℃で4分間の最終延長。
【0122】
抗体の配列決定法
PCRをジェットソーブ(Jetsorb)ゲル抽出装置(ゲノームト,バド,オインハウゼン,ドイツ)(Genomed,Bad Oeynhausen,Germany)を使用してPCR生成物のゲル抽出に従った2%アガロースでゲル電気泳動法(ロス,カルスルー,ドイツ)(Roth,Karlsruhe,Germany)で精製した。次で、PCR生成物はpCR−Script Amp SK+クローン化装置(スッラターゲン,ハイデルベルグ,ドイツ)(Stratagene,Heidelberg,Germany)を使用してクローン化した。10個の陽性のクローンをダイデォキシ(DyeDeoxy)ターミネーションサイクル配列装置(アプライト バイオシステムズ インク.,ウェイテルスタッド,ドイツ)(Applied BioSystems Inc.,Weiterstadt,Germany)を用いて配列され、ABIPrism373自動化DNA配列装置)で分析された(前記の両要素はT3とT7プライマーを使用して配列された)。それらの配列はウインドウズ(Windows)配列比較ソフトウェアーのDNASISとゲンバンク(GenBank)及びIMG T/V−QUESTデータベースを使用して分析された。インターナショナル免疫遺伝学(“IMGT”)データベースは、ユニバーシティ モントペエリア,モントペエリア,フランス(Universite Montpellier,Montpellier,France)のマリー・ポール・レフランク(Marie−Paule Lefranc)によって配位されている。
【0123】
パラフィン部分の免疫組織化学の染色
パラフィンに埋没させたヒトの組織を切片(2μm)にした。そしてパラフィンを次のようにして除いた。
【0124】
パラフィンの除去:
・キシレン1 5滴
・キシレン2 5滴
・100%エタノール1 5滴
・100%エタノール2 5滴
・メタノール(70ml)+H2O2(500μl) 5滴
・90%エタノール1 3滴
・90%エタノール2 3滴
・80%エタノール1 3滴
・80%エタノール2 3滴
・70%エタノール1 3滴
・70%エタノール2 3滴
・Tris/NaClで1回洗う
・加熱:300ml dest.圧力加熱器にクエン酸を入れて5分間加熱
・BSA/PBS,顕微鏡のスライド1枚当り150μlで15分遮断
・Tris/NaClで1回洗浄
・第一の抗体:顕微鏡のスライド1枚当り150μl,加湿された容器において37℃の温度で2.5時間培養
・Tris/NaClで3回洗浄
・第二の抗体:顕微鏡のスライド1枚当り150μl,室温で加湿した容器内にて45分間培養(700μlPBS+300μlAB−2プラズマ+20μl抗体)
・Tris/NaClで3回洗浄
・PBSに10分間置く
・ジアミノベンチジン(0.05%)−過酸化水素(0.02%)で10分間培養:顕微鏡スライド当たり150μl
・H2Oで3回洗浄,次で蒸留したH2Oで1回洗浄
・血毒素中に5分間入れておく
・水道水を10乃至15分流す中に置く
・蒸留したH2Oで洗浄
・グリセロールゼラチンで被覆
【0125】
腫瘍細胞膜抽出物の調製
腫瘍細胞よりの細胞膜の分離は、例えばエンセル氏(Hensel)外の(Int.J.Cancer81:229−235,1999)に記載されているように、技術上の標準的な方法を利用して、その記載の通りに行なわれた。特に、融合した腫瘍細胞(BXPC−3と23132/87)はPBSで二度洗浄し、細胞剥離器で組織回収し、低張緩衝液(20mM HEPES,3mMCl,3mM MgCl2)中に再度懸濁し、冷蔵庫に入れて15分培養した。次で細胞を5分間音波によって破砕し、核を10分間10,000×gにて遠心分離して小球(ペレット)にした。上澄み液は膜を小球にするためにスウイング−アウト(swing−out)ローターで、100,000×gについて40分間遠心分離した。できた小球を低張緩衝液で洗浄した後に、その小球を膜溶解緩衝液(50mM HEPES pH7.4,0.1mM EDTA,10%グリセロール及び1%三重陽子X−100)に再び懸濁した。完全なタンパク質分解酵素抑制因子(ボエヒリンジァー,マンハイム,ドイツ)(Boehringer,Mannheim,Germany)もまた総ての溶液に加えられた。
【0126】
ウエスタンブロッティング
ウエスタンブロットは、例えばヘンセル氏外(Hensel et at.)の(イント.J.カンサー81:229−235頁,1999)(Int.J.Cancer 81:229−235,1999)に記載の標準技術を用いて行なわれた。要約すると、ブロット法を利用したニトロセルロース膜を3%低脂肪ミルクパウダーを含有するPBSで遮断し、次で、SAM−6ヒト1gM抗体または関連のないヒト対照IgM(クロムピウア IgM,ジアノバ)(ChromPure IgM,Dianova)の20−40μgで1時間痂皮形成を行った。二次抗体(ペルオキシダーゼ連結ウサギ抗ヒトIgM抗体1:1,000,ジァノバ)をピアース(Pierce)(KMF,St.オーガスチン,ドイツ)(KMF,St.Augustin,Germany)からスーパーシグナル(SUPERSIGNAL)化学ルミネッセンス キットで検出した。
【0127】
超微構造研究
癒着性進行性胃癌細胞株23132/87を指示された期間10μg/ml SAM−6抗体または関連のないヒト対照IgMで指示された時間をかけて培養した。次で載せたガラスをソエレエンセン(Soerensen)緩衝液pH7.4(ラスター電子顕微鏡のため)で2.5%グルタルアルデヒド(電子顕微鏡)或は6.25%グルタルアルデヒドで固定し、顕微鏡検査分析のために調製した。細胞の形態学を電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡とを走査して調べた。
【0128】
ズダンIII染色
細胞内のリピドを染色するために、胃癌細胞23132/87をガラス・スライド上で成育した。付着細胞を抗体SAM−6(30μg/ml)で48時間培養した。リン酸塩緩衝生理的食塩水で2回洗浄した後に、細胞を60%イソプラパノールで5分間固定した。使用前に、ズダンIII株の60%溶液(100%イソプラパノール中ズダン0.5%)を一晩成熟し、濾過して、固定した細胞に加えた。15分後に、細胞を蒸留したH2Oで洗浄し、60%イソプラパノール中で分化し、再び洗浄し、それから6分間メイヤーズヘマラム洗色液で洗色した。最後に、細胞を10分間洗浄し、蒸留したH2Oで洗い、グリセロゼラチンを付けた。
【0129】
ナイルレッド染色
フェノキサジン染料で染色する中性のリピドを(グリーンスパン,P.,メイヤー,EP.,とフォウラー,D.ナイルレッド:ア セレクティブ フローレスセント フォア イントラセルラー リピド ドロップレット.J.セルビオル.100,965−973,1985)(Greenspan,P.,Mayer,E.P.,and Fowler,D.Nile Red:A Selective Fluorescent Stain for Intracellular Lipid Droplets.J.Cell Biol.100,965−973,1985)に以前に述べた通りに行なった。簡単に述べると、胃癌細胞23132/87をガラス板上にて生長させ、付着細胞を48時間SAM−6抗体(30g/ml)で培養し、それから5分間1.5%グルタアルデヒドで固定し、HEPES緩衝液で洗浄し、HEPES緩衝液(アセトンについて1mg/mlナイルレッドの保存溶液)の1:200希釈液で培養した。HEPES緩衝液で更に洗浄した後に、細胞核を8分間DAPI(水で1:1000に希釈)で染色した。それから細胞を再度洗浄してフルオロマウント−G(Fluoromount−G)(SOUTHERN バイオテクノロジー ASS.,InC.,米国)(SOUTHRN Biotechnology Ass.,Inc.,USA)に乗せた。蛍光分析をLeica TCS SP2同焦点レーザー顕微鏡で行った。極性脂質は暗赤色(543nm)に染色され、中性の脂質は黄色(488nm)に染色され、細胞核は青色(350nm)に染色された。
【0130】
oxLDLの検出
LDL(シグマ,タウフキルヘン,ドイツ)(Sigma,Taufkirchen,Germany)が20μM CuSO4で15時間づつ3回かけて培養して酸化させた。酸化されたLDLの量をメルコディア酸化LDL ELISA(メルコディア,ウプサラ,スェーデン(Mercodia,Uppsale,Sweden)で決定した。
【0131】
メルコディア酸化LDL ELISAは固相2部位酵素免疫学的検定である。これは直接のサンドイッチテクニックを基本とするもので、2つの単クローン性の抗体を酸化させたアポリタンパクB分子について異なる抗原の決定因子に指向される。試料の培養酸化LDLが抗酸化LDLと反応しているうちに、抗体はミクロ滴定に十分に結合する。非反応性細胞質成分を除去するための洗浄後に、ペルオキシダーゼ接合抗ヒトアポリポタンパクB抗体は酸化したLDLを固相に結合することを認めるものである。2番目の培養と結合していない酵素の標識を付けた抗体とを除く単一の洗浄後に、結合配合体を3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMB)と反応させて検出した。その反応は450nmで分光測光的に読み取れる比色法の端点を付与するために加えて停止された。
【0132】
SAM−6−oxLDL相互作用計量
可撓性の平底96−井戸型平板(ベクトン ディッキンソン ラブウワー ヨーロッパ,フランス)(Becton Dickinson Labware Europe,France)を4℃の温度で一晩中、異なる酸化LDLで培養した。次で、平板を1時間10%FCSを含有するRPMI−1640媒質を用いて遮断した。その後に、その平板を37℃の温度で1時間PBSで薄めた60μg/ml SAM−6抗体で培養した。PBSで3回洗浄してから、PBSで1:1,000に希薄したHRP−連結二次抗体(ウサギ抗ヒトIgM,ダコ,ハンバーグ,ドイツ(Dako,Hamburg,Germany)で培養した。それから倍地をPBSで一度洗浄し、クエン酸塩緩衝液で二度洗浄し、OPD(ダコ サイトマチオン,グロストラップ,デンマーク)(Dako Cytomation,Glostrup,Denmark)とエライザーリーダー(ELISA−reader)において490nmの測定とを行った。
【0133】
細胞内で強化された脂質のクロマトグラフィー分析
BXPC−3細胞類を、それぞれヒトに無関係の対照免疫グロブリン(クロムピューア IgM,ダィアノバ,ドイツ)(Chrompure IgM,Dianova,Germany)を24時間30μg SAM−6抗体を培養した。次で、細胞類をトリプシン/EDTAを用いて剥離し、次でPBSでSteppsを2度洗浄した。細胞ペレットを使用するまで20℃で貯蔵した。リピドを細胞ペレットから取り出した。その取り出されたリピドは250μlクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解され、10回別々に25μlが(SiO2,シリカゲルで被覆された)薄層クロマトグラフィー平板の起始点において拡散培養された。外部右側と左側とにおいて、異なる周知のリピド(コレステロールエステル,コレステロール,トリグリセリド,オレイン酸,ホスパチジレサノルアミン,ホスファチジルコリン,スフィンゴミエリン)が詰められた。極性を持たないために脂質ヘキサン/酢酸エチル/酢酸(90/10/1)がリン脂質等、クロロホルム/メタノール/H2O(70/30/5)の
アゾール試薬(酢酸で溶解されたアニスアルデヒト/硫酸)を用い色付けが最適の状態になるまで150℃での加熱を続けた。
【0134】
生体におけるSAM−6活動度の検出
生体における腫瘍細胞の生長に関する抗体SAM−6の効果を確定するために、scid−マウス/ヒト膵臓腫癌細胞システムを用いた。C,B−17/IcrHanHad−scid mice(ハーラン ウィンケルマン ゲーエムベーハー,ボルチェン,ドイツ)(Harlan Winkelmann GmbH,Borchen,Germany)(材齢6−8週,n=10per group)を皮下にat day 0で2×106ヒト膵臓腺癌細胞株(BXPC−3)を接種し、1,3,5,7および9日毎にSAM−6抗体にi.p.ポスト癌腫細胞をSAM−6抗体(200μg)の注射で行った。複数の実験対照用マウスに同じ濃度で関連の無いヒトIgM(クロンピューアIgM,ディアノバ,ハンブルグ,ドイツ)(Chrompure IgM,Dianova,Hamburg,Germany)を同じ濃度で注射した。可視腫瘍生長を実験中肉眼で測定した。それらの実験は腫瘍が最大の許容サイズ(day25)に到達した時に終了したので、実験対称マウスは犠牲になり、腫瘍容量と腫瘍重量とが測定された。
【0135】
例2 SAM−6単クローン性抗体を表現する細胞株の発生
前述した通り、ヘテロ骨髄腫細胞株HAB−1(ファラー氏外著,Br.J.癌62:595−598頁,1990)(Faller,et.al.,Br.J.Cancer 62:595−598,1990)で癌患者の脾臓或はリンパ節から得たリンパ球を溶融してハイブリドーマを発現するSAM−6モノクローナル抗体を得た。リンパ様の線源は患者の年齢や性別について前以てそれを選択しなかった。終結の細胞は3つの細胞の融合のように、トリオマ(trioma)として知られているハイブリドーマの型式のものである。正常のB−リンパ球のように、このトリオマ(trioma)は抗体を造り出す能力がある。トリオマの特殊性は3種類の細胞の融合のようなものである。正常のB−リンパ球のように、このトリオマは抗体を作り出す能力を備えている。抗体の特殊性はトリオマを発生するために利用された患者からの最初のリンパ球の特異性によってきまるのである。
【0136】
ハイブリドーマ上澄みはELISA効力検定に使用する抗体生産のために選別される。ELISAに次で、抗体が腫瘍の特異的反応性のために他の部位に移植するのに逆らって免疫組織化学的に一次検定された。SAM−6抗体が腺癌の患者の胃から発生された。
【0137】
ヒトのモノクローナル抗体SAM−6の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)と核酸配列(SEQ ID NO:2)を図8aと8bとに示してある。ヒトのモノクロナール抗体SAM−6の重鎖の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)と核酸配列(SEQ ID NO:4)は図9aと9bとに示してある。図8bと9bとにおいては、異なる相補性決定領域(CDRs)が示してある。ポリペプチド配列の相補性決定領域(CDRs)はアミノ酸配列から成っていて、その配列は次に示すアミノ酸配列と実質的に同一である。その配列は、Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1),Gln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)と軽鎖(VL)の可変領域のGln−Ala−Trp−Asp Ser−Ser−lle−Val−Val(CDR3)である。一方、ポリペプチドアミノ酸配列の補足性決定領域(CDRs)は次に示すアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列から成っている。前記アミノ酸配列はSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−lle−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)及びL鎖(VH)の可変領域のSEQ IDNO:3のAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)である。ポリペプチドアミノ酸配列の相補性の決定領域(CDRs)は次に示すアミノ酸配列と全く同一のアミノ酸配列から成っている。なお、前記アミノ酸配列は、次の通りである。軽鎖(VH)の可変領域のSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1),Val−lle−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)及びAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)。
【0138】
例3 抗体の免疫組織化学の特性
ハイブリドーマによって分泌されたモノクロナール抗体を特徴づけるために、原料と方法とに述べられているように免疫ペルオキシダーゼ効力検定を利用して抗体を正常のパネルと腫瘍組織に対して抗体を試験した。この効力検定によって、抗体によって染色された組織と抗原の分布の概観が判った。
【0139】
腫瘍細胞については明確であるが、通常の組織については特に明確でない抗体が更に特徴づけられた。最初、これらの抗体を異なる患者たちから得た同じタイプの腫瘍に対してテストした。次で、これらの抗体を別の臓器の腫瘍に対してテストし、最後に正常の組織について試験した。これらの効力検定で、ヒトSAM−6モノクローナル抗体が同一であることを認めた。この研究で生成され、記載した腫瘍に反応する抗体はIgM/λ複基準のものである(表1を参照)。
【表1】
【0140】
このヒトモノクロナールIgM抗体の遺伝の原点を調べるために、VH及びVL遺伝子を増幅し、クローン化して配列した。その配列を、最も同族体の生殖細胞遺伝子と同定し、体細胞の突然変位を検出するために多数の同族体の生殖細胞系遺伝子と同定するためにIMGT/V−QUESTについて生殖細胞系と比較した。その結果は表2に示してある。
【表2】
【0141】
生殖細胞遺伝子についてのVH領域の高度相同性(100%)と低R/S比率は、抗体の親和性亢進の指示であって、その抗体が抗原近接性に基づいて変化されなかったことを示す。VL体節の塩基配列は快適相同性VL生殖細胞遺伝子に対して更に高い。そのデータはSAM−6抗体が自然非親和性の成熟した抗体のファミリーに属することを示している。
【0142】
自己腫瘍に関する最初の検査の後に、抗体の反応パターンを免疫組織化学染色を利用してパラフィン埋設癌腫と通常の組織とに染色した。SAM−6抗体は正常の組織と共に結合作用を示さなかった(表3参照)。
【表3】
【0143】
前記と対比して、SAM−6抗体が異なる腫瘍組織に対する反応パターンを表4に示す。
【表4】
【0144】
抗体SAM−6の陽性反応は明瞭に陽性反応が胃の腺癌に限定されず、その他、胸の侵入性小葉癌腫にも観察された(図1A)、また結腸の腺癌も観察され(図1B)、そして食道の扁平細胞癌腫も観察された(図1C)。これらの実験に使用した陽性対照抗体はヒト細胞5/6に対抗するマウスモノクロナール抗体であった(“CK5/6;”ダコA/Sデンマーク)またはヒトサイトケラチンに対抗するマウスモノクロナール抗体であった(“CAM5.2;”ベクトン ディクキンソン,ニュージャージ)(CAM5.2;Becton Dickinson,New Jersey)。
【0145】
抗体で認められた抗原を調べるために、株化癌腫細胞株の膜抽出物で行なわれた。抗体SAM−6は胃癌腫細胞株23132/87と膵臓腺癌細胞株BXPC−3とに一本の特異沈降線を生成した。抗体SAM−6は凡そ140kDaの膜タンパクと反応した(図3A)。IgM抗体が膜抽出物非特異性結合を除外するために、対照として非関連ヒト対照IgMを使用した。
【0146】
例4 抗体が枯死を誘導するか否かの決定
抗体が細胞を枯死に導くのであれば多くの効力検定基準を利用することが出来る。
【0147】
例えば、SAM−6抗体が細胞死を招く程度を分析するために細胞死探知エライザPLS(ローシュ,マンハイム,ドイツ)(Roche,Mannheim,Germany)を利用した。細胞死探知エライザはDNAとヒストンとのそれぞれに対して作用した定量サンドイッチ−酵素−免疫測定法原理を基礎とするものであった。その効力検定は細胞の枯死で死んだ細胞の細胞質に放出されたモノ−及びオリゴー ヌクレオソームを特定するのに役立つのである。
【0148】
特に、1×104腫瘍細胞(BXPC−3,23132/87,RPMI−2650及びHNEpC−c)を96−井戸型平板の上に平に載せて、CO2恒温器において7%CO2を37℃で24時間、濃度の異なるヒトIgM−抗体の存在中で培養した。無関係なIgM抗体で枯渇した細胞培養上澄みが負の制御として役立った。培養期間後に、細胞を10分間かけて遠心分離し、その上澄みを除去した。その結果生じた細胞を、次で、室温において30分間、溶解−緩衝液を用いて培養した。その上澄みを遠心分離した後、これをストレプトアビシン被覆マイクロタイタープレート(MTP)と免疫試薬(10%抗ヒストン−ビオチン,10%抗DNA−ペルオキシターゼ)(抗−DNAPOD)と80%培養緩衝液をMTP振盪機を毎分250回転させ、室温において2時間、その培養前に添加した。次に、潜伏期の後に、非結合成分を培養緩衝液で洗液段階により除去した。PODはABTSTMで側光法で基質(1ABTSTM(2,2’−アジノ−di[3−エチル−ベンズ−チアゾン−スフォナト]5ml基質緩衝剤)の錠剤として決定された。抗体−誘導細胞死は対照液としてABTSTMと比較して405nmの波長でELISA(酵素標識免疫吸着測定法)を利用して、この反応の結果として形成された緑色沈殿物の色の強度を決定して測定された(凡そ490nmの参考波長)。この色の強度を基準として、抗体誘導細胞の枯死のレベルを計算した。これらの検査によって培養の48時間後、癌腫細胞に細胞死が誘発された(図3B)。
【0149】
同図のY軸は参考波長415nm及び490nm(A415−A490)における吸光度の差で、負の制御はRPM1 1640培養液である。SAM−6抗体の濃度は上澄みにおいて、両方とも4μg/mlであった。
【0150】
例5 抗体が細胞の増殖を阻止するか否かの決定
細胞の増殖は技術上標準とされている多くの方法、例えばテトラゾリウム塩類によって効力検定することが出来る。黄色テトラゾリウム塩3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−y1)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(“MTT”)(シグマ,セント.ルイ,MO)(Sigma,St.Louis,MO)、が代謝性的に能動性の細胞により、一部NADH及びNADPHなどの当量を減ずるミトコンドリアの脱水素酵素の作用によって幾分か減少する。結果的に細胞内の紫ホルマザンが光学分析手段によって可溶化され定量化される。MTT細胞増殖効力検定は細胞増殖の速度を測定し、代謝性事象は細胞を枯死に導き、細胞の生存能力は縮小する。
【0151】
MTT効力検定のために、細胞(23132/87)の抗トリプシン性を破壊し、10%ウシ胎児血清(FCS)、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(完全培地)を含有するPRMI−1460媒質10mlに前記細胞を再び懸濁した。次で細胞を計数し、1×106細胞/mlに希釈した。この懸濁物の50μlを96−井戸型平板の容器中でピペット操作し、凡そ5×104細胞/容器のものとした。容器の最初の列は空所にしておいた。次に、各容器に対して完全な培養液に希釈した抗体の50μlを加えた。次で、96−井戸型平板を37℃恒温器内で24時間かけて培養した。潜伏期の後に、50μl MTT溶液(PBS中に5mg/ml)を各容器に加えた。96−井戸型平板を37℃で30分間培養し、800gにおいて5分間遠心分離した。その上澄みを吸引し、ジメチル−サルフォ酸化物(DMSO)を各容器に加え、細胞ペレットを再懸濁した。ELISA(酵素標識免疫吸着測定器)にて540nmの波長と690nmの基準波長とで吸収が決定された。
【0152】
24時間後、腫瘍細胞株はSAM−6抗体抑制細胞株の細胞増殖を抑制した。その間、枯渇した細胞培養上澄みは変化することが無かった(表5参照)。
【表5】
【0153】
例6 腫瘍の生体イメージング
結腸癌腫のような腫瘍にかかっていると思われる患者には、放射性ヨウ素化SAM−6抗体の投与量を与えることができ、或は他の腫瘍の特効薬ポリペプチドを与えることが出来、この明細書に記載した方法を用いて放射性標識を付けた非特異性抗体を与えることが出来る。画像化するための腫瘍の集積はゴールデンバーグ(Goldenberg)氏外の方法によって実行することが出来る(N.Engl,J.Med.,298:1384,1978)。静脈注射によって、131I−SAM−6抗体とTc−99m標識付非特異的抗体を患者に投薬することも出来る。試薬I.V.の投薬に先立って、患者を抗体調合製剤(標識なし)に対する過敏性或は同種類の抗体に対して抗体調合製剤を予備調査する。131Iの甲状腺摂出率を遮断するために、ルゴール液を、放射性ヨウ素化抗体を注入する1日または数日前に、日に2回または3回5滴経口投与する。人体のいろいろな部位の画像および観察を標識を付した調合薬の注射後4,8及び24時間に行う。もしも、腫瘍、例えば、結腸直腸の腺癌が、ガンマカメラによって、デランド(Deland)氏外(Cancer Res.40:3046,1980)によって、131Iと標識されたような131I標識付きanti−CEA抗体とTc−99m−標識付きヒト血清アルブミンからTc−99m計数の減殺で画像化するガンマカメラで検出される。注射後8時間に、画像化されたイメージングは通常、明瞭で、24時間まで走査してもイメージングを明瞭で改善される。
【0154】
例7 標識付き抗体混合物を用いる腫瘍の治療
腫瘍である診断をされた患者、例えば胸の癌であると診断を受けた女性の患者をこの発明のポリペプチドを用いて次のように処置した。ルゴール用機器を毎回3回例えば7滴投与した。次で、131I−SAM−6抗体の治療投与量を患者に投薬した。例えば、131Iの50mCiの投与量を3週間、各週に与え、次いで感覚を個人差を考慮し、例えば3ヶ月間、血液額の毒性が中断するまで繰り返した。正確な処置の治療方式は、処置を管理する医師によって一般的に決められる。放射性ヨウ素抗体を生理的食塩水50ml中に静脈内に投与した。3度目投与後に、最初の腫瘍の大きさが減少し、転移も注目された。特に第2回目の治療サイクル、あるいは10週間後に注目されたのである。
【0155】
例8 共役抗体を用いる処理
腫瘍、例えば胸と肺とに転位した乳癌の女性の患者を131I−SAM−6,10B−SAM−6及びTc−99mの標識付き非特異的抗体の溶液を用いて治療した。(無菌の生理食塩水50ml中の)131I−標識付きSAM−6抗体の量は体重70kgの患者を対称として投与された131I活動度の100mCiを供給するのに充分であった。この投薬量は抗体の分子当り40−80ホウ素−10原子を具備する抗体の3.3mgに同等する。
腫瘍は前記例6の方法を適用して最初に精密に局在化された。更に、ルゴール液を、前記の例に述べたように、患者に継続して投与した。熱中性子の完全に照準のあった線束を特定の腫瘍部位に集束した。8−20分間に送られた400−800放射線吸収線量の外部中性子ビームが各腫瘍部位に作用し、個人を基礎として間隔を調節して放射性標識付きまたは標識無しで、腫瘍局在抗体の投与が任意に繰り返えされた。しかし同時に外部放射療法を行うことなしに総量3200の放射線吸収線量を越えることがなければ、治療することが適用された。所望するならば、この治療に加えて、化学療法薬などの抗腫瘍形成物質を患者に投与することも出来る。
【0156】
その他の実施態様
この発明は、その特定の複数の実施態様に関して説明したのであるが、更なる変更を行うことが出来ることは了解されることと確信する。この発明は各種の変更、用法、適応手段をも包含するものであって、この方面の当業者はこれまでに詳述した主要な内容を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】この発明における腫瘍組織についての抗体SAM−6による免疫組織化学による染色法を示す。
【図2】正常な組織に関する抗体SAM−6による免疫化学療法染色法を示す。
【図3A】胃癌細胞株23132/87と膵臓癌腫腺BXPC−3から抽出した膜タンパク質がニトロセルローズに吸い取り、抗体SAM−6で着色したものを示す図。
【図3B】抗体SAM−6のアポトーシス活動度を細胞死亡検出ELISAPLUSによって探索したものを示す図。
【図3C】抗体SAM−6誘導アポトーシスの形態学的な変化を胃癌についてと、膵臓癌腫細胞とについて示す図。
【図4】電子顕微鏡を走査してSAM−6抗体アポトーシスの細胞を誘導した映像を示す。
【図5】透過型電子顕微鏡(TEM)検査の結果を示す。
【図6】誘導リピド蓄積を検査するために、スダンIIIによる染色検査法の結果を示す。
【図7】細胞のリピドをナイルレッド検査法による実験の結果を示す。
【図8A】CuSO4でLDLを培養してoxLDLの量が増加することを示す。
【図8B】oxLDLがSAM−6抗体の好ましい結合パートナーであることを示す。
【図9a】薄層クロマトグラフィーで分析した培養細胞のリピドの組成を示す。
【図9b】薄層クロマトグラフィーによって更に分析された図9aに示した実験の高分子リピド。
【図10a】SAM−6抗体または制御抗体で処理された腫瘍接種マウスで生体内でで行った実験の結果を示す。
【図10b】SAM−6抗体または制御抗体で処理された腫瘍接種マウスで生体内でで行った実験の結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3との配列に殆んど等しいアミノ酸配列を具備するポリペプチドであって、前記ポリペプチドをBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と明確に結合し、非腫瘍性細胞とは結合するものではないものとする腫瘍性の細胞に結合することを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞に明確に結合し、非新生物の細胞に結合することなく、そして前記腫瘍性の細胞が肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,広汎性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌,食道の腺癌,胸の食道小葉の癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮細胞の腺癌である腫瘍性の細胞に結合することを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3の配列に実質的に同一のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,散在型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌及び子宮細胞の腺癌に特に結合し、非腫瘍性の細胞とは結合することが無いことを特徴とする腫瘍性の細胞と結合する精製ポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが腫瘍性の細胞に結合した際に細胞の増殖を阻害しても、非腫瘍性細胞の細胞増殖はこれを阻止することが無いようにしたことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドを低濃度のリポプロテイン(LDL)および/または酸化した低濃度のリポプロテイン(oxLDL)と結合すること、および/または極く低濃度リポプロテイン(VLDL)と結合し、そして非腫瘍性の細胞に結合した時に脂質の細胞内の滞留を誘発するが、非腫瘍性の細胞の枯死を招くことが無いことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが腫瘍性の細胞と結合すると腫瘍性の細胞の枯死を招かせるが、非腫瘍性細胞の枯死を招来することが無いことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドが抗体あるいは抗体の機能的断片から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドをVL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’及びF(ab’)2から成る部類より選択した機能的断片とすることを特徴とする前記請求項7に記載の精製ポリペプチド。
【請求項9】
前記ポリペプチドをSEQ ID NO:1と実質的に同じであるL鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列あるいは/およびSEQ ID NO:3と実質的に同じであるH鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列のものとすることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項10】
前記ポリペプチドを前記SEQ ID NO:2と実質的に同じであるL鎖(VL)の可変領域の核酸配列あるいは/およびSEQ ID NO:4と実質的に同じであるH鎖(VH)の可変領域の核アミノ酸配列のものとすることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項11】
前記機能的断片が前記SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3の配列の断片から成ることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項12】
前記機能的断片が前記SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3と実質的に同じである断片から成ることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドが前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2のヌクレオチド67−99(CDR1),145−165(CDR2)および262−288(CDR3)に実質的に同じである核酸配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項16】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:4のヌクレオチド91−105(CDR1),148−198(CDR2)および295−330(CDR3)に実質的に同じである核酸配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項17】
前記SEQ ID NO:1のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項18】
前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項19】
前記SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項20】
前記SEQ ID NO:1のアミノ酸配列
Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1)またはGln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)またはGln−Ala−Trp−Asp−Ser−Ser−IIe−Val−Val(CDR3)および/またはSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1)またはVal−IIe−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)またはAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)SEQ ID NO:3に実質的に同じであるアミノ酸配列から成る少くとも一つの相補性決定領域(CDR)またはその機能の断片を具備することを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18または19に記載の精製ポリペプチド。
【請求項21】
前記ポリペプチドをモノクロナール抗体とすることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項22】
前記モノクロナール抗体をヒトモノクロナール抗体とすることを特徴とする前記請求項21に記載の精製ポリペプチド。
【請求項23】
前記請求項1,2または3の前記ポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項24】
前記SEQ ID NO:1の前記アミノ酸配列と実質的に同じである配列から成るポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項25】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1の前記配列から成ることを特徴とする前記請求項24に記載の細胞。
【請求項26】
前記SEQ ID NO:3の前記アミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とするポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項27】
前記ポリペプチドが前記SEQ ID NO:3の配列から成ることを特徴とする前記請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
前記SEQ ID NO:1と3との前記アミノ酸配列から成ることを特徴とするポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項29】
前記細胞をハイブリドーマとすることを特徴とする前記請求項23乃至28のいずれかの1項に記載の細胞。
【請求項30】
(a)ヘテロミエロマ細胞でリンパ球を融合し、その融合でハイブリドーマに良好な結果を及ぼす状態の下で、異質骨髄腫細胞系とリンパ球とを接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが腫瘍性細胞の増殖を抑制するポリペプチドを生成するか否かを決定する段階と、
(c)前記リンパ球がBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞に特に結合するポリペプチドを生成し、非新生物細胞を生成しないか否かを決定する段階とから成ることを特徴とする前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項31】
(a)ヘテロミエロマ細胞でリンパ球を融合し、その融合でハイブリドーマに良好な結果を及ぼす状態の下で、異質骨髄腫細胞系とリンパ球とを接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが腫瘍性細胞が結合しているリピドの細胞内の滞留を誘導するポリペプチドを生成するが、非新生物の細胞内にリピドの滞留を招かないか否かを決定する段階と、
(c)前記ハイブリドーマが、特にBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206Fに結合するものの、非新生物細胞内の滞留を誘導しないか否かを決定する段階と、
(d)前記ハイブリドーマがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)、及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と特に結合し、非新生物の細胞とは結合しないか否かを決定する段階とから成ることを特徴とする前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項32】
(a)リンパ球を異種骨髄細胞と融合し、その融合をリンパ球に転帰するようにしてリンパ管を異種骨髄腫と接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが結合している腫瘍性細胞の枯死を招ねかせるポリペプチドを生成するが非腫瘍性細胞の枯死を誘導しないか否かを決定する段階と、
(c)前記ハイブリドーマがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)、およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と特に結合し、非腫瘍性細胞とは結合しないか否かを決定する段階とから成る前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項33】
(a)哺乳動物の細胞または組織試料を前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドと接触する段階と、
(b)前記精製ポリペプチドを前記細胞または組織試料と結合し、それによって前記精製ポリペプチドが前記細胞または組織試料との結合が新生物を具備する前記哺乳動物の表示となるか否かを検出する段階とから成るものとする哺乳動物に関する新生物の診断の方法において前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項34】
前記哺乳動物をヒトとする前記請求項33に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項35】
前記腫瘍を肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平上皮癌,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮細胞の腺癌とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項36】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項37】
前記ポリペプチドが放射性核種,蛍光遺伝標識,酵素,サイトタキシン,サイトカインおよび成長阻害剤から成る部類より選択された検出可能物質に抱合されることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項38】
前記ポリペプチドがタンパク質精製標識に共役されることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項39】
前記タンパク質精製標識を裂けることができるようにして成る前記請求項38に記載の使用法。
【請求項40】
前記細胞または前記組織標本の細胞の増殖に還元を招く前記精製ポリペプチドを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,18,19,20或は21の前記精製ポリペプチドを細胞または組織試料に接触する段階から成る前記の方法を哺乳類の増殖を処理する方法に関する前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドを使用することを特徴とする方法。
【請求項41】
前記哺乳類をヒトとすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項42】
前記増殖の異常を肺の腺癌,扁平肺細胞癌腫,腸型胃癌,散在性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌とすることを特徴とする前記請求項40に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項43】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項44】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類から選択した検出可能物質に複合したものとすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項45】
前記検出可能物質を前記細胞または組織試料の細胞の増殖を抑制することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項44に記載の使用法。
【請求項46】
前記ポリペプチドをタンパク質精製標識に接合したことを特徴とする前記請求項44に記載の使用法。
【請求項47】
前記タンパク質精製標識を割ることが可能のものとしたことを特徴とする前記請求項46に記載の使用法。
【請求項48】
前記精製ポリペプチドを前記細胞または組織試料に前記細胞のリピド或は前記組織試料の細胞のリピドとを結合させることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,18,19,20または21の前記精製ポリペプチドと、細胞または組織試料と接触する段階から成る前記方法を哺乳動物の増殖性障害を処理する方法に関し前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドを以てすることを特徴とする使用法。
【請求項49】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項50】
前記増殖障害が肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌であることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項51】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項52】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類より選択した検出をすることが出来る物質に抱合されていることを特徴とする前記請求項48に記載の使用法。
【請求項53】
前記検出することの出来る物質を前記細胞または組織試料の細胞増殖を抑制することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項52に記載の使用法。
【請求項54】
前記ポリペプチドをタンパク質精製標識が共役されるようにしたことを特徴とする前記請求項52に記載の使用法。
【請求項55】
前記タンパク質精製標識が分割することが出来るものであることを特徴とする前記請求項54に記載の使用法。
【請求項56】
前記精製ポリペプチドが前記細胞または組織試料と結合することによって、前記細胞または組織試料を枯死させるように誘導する結果にする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドを細胞または組織試料と接触させる手段から成るものとする哺乳動物についての増殖する障害を処理する方法に前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドを用いることを特徴とする精製ポリペプチドの用法。
【請求項57】
前記哺乳動物をヒトとすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項58】
前記増殖の障害を肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌とすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項59】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項60】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類より選択することが出来る物質に抱合されていることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項61】
前記検出可能物質を前記細胞または組織試料の枯死を誘導することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項60に記載の使用法。
【請求項62】
前記ポリペプチドがタンパク質精製標識に結合されていることを特徴とする前記請求項60に記載の使用法。
【請求項63】
前記タンパク質精製標識を分割可能のものとすることを特徴とする前記請求項62に記載の使用法。
【請求項64】
細胞の増殖を抑制する薬剤を製造するための製薬上許容することが出来る保菌者に用いることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載した精製ポリペプチド。
【請求項65】
リピドの細胞内の滞留を誘引する薬剤を製造するために製薬上許容することが出来る保菌者に与える前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載した精製ポリペプチド。
【請求項66】
細胞の枯死を招く薬物の製造のために製薬上許容することが出来ることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチド。
【請求項67】
細胞の増殖を抑制し、リピドの細胞内の蓄積を誘導し、そして細胞の枯死を誘導する製薬上許容することの出来る保菌者に与える前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19或は20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチド。
【請求項68】
前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチドから成ることを特徴とする診断用薬。
【請求項69】
SEQ ID NO:2または4の配列から成る隔離核酸分子。
【請求項70】
前記請求項69に記載の核酸から成るベクター。
【請求項71】
前記請求項70のベクターから成る細胞。
【請求項1】
SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3との配列に殆んど等しいアミノ酸配列を具備するポリペプチドであって、前記ポリペプチドをBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と明確に結合し、非腫瘍性細胞とは結合するものではないものとする腫瘍性の細胞に結合することを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞に明確に結合し、非新生物の細胞に結合することなく、そして前記腫瘍性の細胞が肺の腺癌,扁平細胞肺癌,腸型胃癌,広汎性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌,食道の腺癌,胸の食道小葉の癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮細胞の腺癌である腫瘍性の細胞に結合することを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3の配列に実質的に同一のアミノ酸配列を有し、前記ポリペプチドが肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,散在型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌及び子宮細胞の腺癌に特に結合し、非腫瘍性の細胞とは結合することが無いことを特徴とする腫瘍性の細胞と結合する精製ポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが腫瘍性の細胞に結合した際に細胞の増殖を阻害しても、非腫瘍性細胞の細胞増殖はこれを阻止することが無いようにしたことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドを低濃度のリポプロテイン(LDL)および/または酸化した低濃度のリポプロテイン(oxLDL)と結合すること、および/または極く低濃度リポプロテイン(VLDL)と結合し、そして非腫瘍性の細胞に結合した時に脂質の細胞内の滞留を誘発するが、非腫瘍性の細胞の枯死を招くことが無いことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドが腫瘍性の細胞と結合すると腫瘍性の細胞の枯死を招かせるが、非腫瘍性細胞の枯死を招来することが無いことを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドが抗体あるいは抗体の機能的断片から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドをVL,VH,FV,Fc,Fab,Fab’及びF(ab’)2から成る部類より選択した機能的断片とすることを特徴とする前記請求項7に記載の精製ポリペプチド。
【請求項9】
前記ポリペプチドをSEQ ID NO:1と実質的に同じであるL鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列あるいは/およびSEQ ID NO:3と実質的に同じであるH鎖(VH)の可変領域のアミノ酸配列のものとすることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項10】
前記ポリペプチドを前記SEQ ID NO:2と実質的に同じであるL鎖(VL)の可変領域の核酸配列あるいは/およびSEQ ID NO:4と実質的に同じであるH鎖(VH)の可変領域の核アミノ酸配列のものとすることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項11】
前記機能的断片が前記SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3の配列の断片から成ることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項12】
前記機能的断片が前記SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3と実質的に同じである断片から成ることを特徴とする前記請求項8に記載の精製ポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドが前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:2のヌクレオチド67−99(CDR1),145−165(CDR2)および262−288(CDR3)に実質的に同じである核酸配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項16】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:4のヌクレオチド91−105(CDR1),148−198(CDR2)および295−330(CDR3)に実質的に同じである核酸配列から成ることを特徴とする前記請求項1,2または3のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項17】
前記SEQ ID NO:1のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項18】
前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項19】
前記SEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列から成ることを特徴とする精製ポリペプチド。
【請求項20】
前記SEQ ID NO:1のアミノ酸配列
Ser−Gly−Asp−Lys−Leu−Gly−Asp−Lys−Tyr−Ala−Cys(CDR1)またはGln−Asp−Ser−Lys−Arg−Pro−Ser(CDR2)またはGln−Ala−Trp−Asp−Ser−Ser−IIe−Val−Val(CDR3)および/またはSer−Tyr−Ala−Met−His(CDR1)またはVal−IIe−Ser−Tyr−Asp−Gly−Ser−Asn−Lys−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Gly(CDR2)またはAsp−Arg−Leu−Ala−Val−Ala−Gly−Lys−Thr−Phe−Asp−Tyr(CDR3)SEQ ID NO:3に実質的に同じであるアミノ酸配列から成る少くとも一つの相補性決定領域(CDR)またはその機能の断片を具備することを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18または19に記載の精製ポリペプチド。
【請求項21】
前記ポリペプチドをモノクロナール抗体とすることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかに記載の精製ポリペプチド。
【請求項22】
前記モノクロナール抗体をヒトモノクロナール抗体とすることを特徴とする前記請求項21に記載の精製ポリペプチド。
【請求項23】
前記請求項1,2または3の前記ポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項24】
前記SEQ ID NO:1の前記アミノ酸配列と実質的に同じである配列から成るポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項25】
前記ポリペプチドがSEQ ID NO:1の前記配列から成ることを特徴とする前記請求項24に記載の細胞。
【請求項26】
前記SEQ ID NO:3の前記アミノ酸配列と実質的に同じである配列から成ることを特徴とするポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項27】
前記ポリペプチドが前記SEQ ID NO:3の配列から成ることを特徴とする前記請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
前記SEQ ID NO:1と3との前記アミノ酸配列から成ることを特徴とするポリペプチドを形質発現する細胞。
【請求項29】
前記細胞をハイブリドーマとすることを特徴とする前記請求項23乃至28のいずれかの1項に記載の細胞。
【請求項30】
(a)ヘテロミエロマ細胞でリンパ球を融合し、その融合でハイブリドーマに良好な結果を及ぼす状態の下で、異質骨髄腫細胞系とリンパ球とを接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが腫瘍性細胞の増殖を抑制するポリペプチドを生成するか否かを決定する段階と、
(c)前記リンパ球がBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞に特に結合するポリペプチドを生成し、非新生物細胞を生成しないか否かを決定する段階とから成ることを特徴とする前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項31】
(a)ヘテロミエロマ細胞でリンパ球を融合し、その融合でハイブリドーマに良好な結果を及ぼす状態の下で、異質骨髄腫細胞系とリンパ球とを接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが腫瘍性細胞が結合しているリピドの細胞内の滞留を誘導するポリペプチドを生成するが、非新生物の細胞内にリピドの滞留を招かないか否かを決定する段階と、
(c)前記ハイブリドーマが、特にBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206Fに結合するものの、非新生物細胞内の滞留を誘導しないか否かを決定する段階と、
(d)前記ハイブリドーマがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)、及びLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と特に結合し、非新生物の細胞とは結合しないか否かを決定する段階とから成ることを特徴とする前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項32】
(a)リンパ球を異種骨髄細胞と融合し、その融合をリンパ球に転帰するようにしてリンパ管を異種骨髄腫と接触する段階と、
(b)前記ハイブリドーマが結合している腫瘍性細胞の枯死を招ねかせるポリペプチドを生成するが非腫瘍性細胞の枯死を誘導しないか否かを決定する段階と、
(c)前記ハイブリドーマがBXPC−3(ATCC受け入れ番号CRL−1687),23132/87(DSMZ受け入れ番号ACC201),COLO−206F(DSMZ受け入れ番号ACC21),COLO−699(DSMZ受け入れ番号ACC196)、およびLOU−NH91(DSMZ受け入れ番号ACC393)細胞と特に結合し、非腫瘍性細胞とは結合しないか否かを決定する段階とから成る前記請求項29に記載の細胞を生成する方法。
【請求項33】
(a)哺乳動物の細胞または組織試料を前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドと接触する段階と、
(b)前記精製ポリペプチドを前記細胞または組織試料と結合し、それによって前記精製ポリペプチドが前記細胞または組織試料との結合が新生物を具備する前記哺乳動物の表示となるか否かを検出する段階とから成るものとする哺乳動物に関する新生物の診断の方法において前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項34】
前記哺乳動物をヒトとする前記請求項33に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項35】
前記腫瘍を肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平上皮癌,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮細胞の腺癌とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項36】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項37】
前記ポリペプチドが放射性核種,蛍光遺伝標識,酵素,サイトタキシン,サイトカインおよび成長阻害剤から成る部類より選択された検出可能物質に抱合されることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項38】
前記ポリペプチドがタンパク質精製標識に共役されることを特徴とする前記請求項33に記載の使用法。
【請求項39】
前記タンパク質精製標識を裂けることができるようにして成る前記請求項38に記載の使用法。
【請求項40】
前記細胞または前記組織標本の細胞の増殖に還元を招く前記精製ポリペプチドを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,18,19,20或は21の前記精製ポリペプチドを細胞または組織試料に接触する段階から成る前記の方法を哺乳類の増殖を処理する方法に関する前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドを使用することを特徴とする方法。
【請求項41】
前記哺乳類をヒトとすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項42】
前記増殖の異常を肺の腺癌,扁平肺細胞癌腫,腸型胃癌,散在性胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌とすることを特徴とする前記請求項40に記載の精製ポリペプチドの使用法。
【請求項43】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項44】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類から選択した検出可能物質に複合したものとすることを特徴とする前記請求項40に記載の使用法。
【請求項45】
前記検出可能物質を前記細胞または組織試料の細胞の増殖を抑制することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項44に記載の使用法。
【請求項46】
前記ポリペプチドをタンパク質精製標識に接合したことを特徴とする前記請求項44に記載の使用法。
【請求項47】
前記タンパク質精製標識を割ることが可能のものとしたことを特徴とする前記請求項46に記載の使用法。
【請求項48】
前記精製ポリペプチドを前記細胞または組織試料に前記細胞のリピド或は前記組織試料の細胞のリピドとを結合させることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,18,19,20または21の前記精製ポリペプチドと、細胞または組織試料と接触する段階から成る前記方法を哺乳動物の増殖性障害を処理する方法に関し前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20に記載の精製ポリペプチドを以てすることを特徴とする使用法。
【請求項49】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項50】
前記増殖障害が肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌であることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項51】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項48の使用法。
【請求項52】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類より選択した検出をすることが出来る物質に抱合されていることを特徴とする前記請求項48に記載の使用法。
【請求項53】
前記検出することの出来る物質を前記細胞または組織試料の細胞増殖を抑制することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項52に記載の使用法。
【請求項54】
前記ポリペプチドをタンパク質精製標識が共役されるようにしたことを特徴とする前記請求項52に記載の使用法。
【請求項55】
前記タンパク質精製標識が分割することが出来るものであることを特徴とする前記請求項54に記載の使用法。
【請求項56】
前記精製ポリペプチドが前記細胞または組織試料と結合することによって、前記細胞または組織試料を枯死させるように誘導する結果にする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドを細胞または組織試料と接触させる手段から成るものとする哺乳動物についての増殖する障害を処理する方法に前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20の精製ポリペプチドを用いることを特徴とする精製ポリペプチドの用法。
【請求項57】
前記哺乳動物をヒトとすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項58】
前記増殖の障害を肺の腺癌,扁平細胞肺癌腫,腸型胃癌,拡散型胃癌,結腸の腺癌,前立腺の腺癌,食道の扁平細胞癌腫,食道の腺癌,胸の小葉癌,胸の管癌,膵臓の腺癌,卵巣の腺癌および子宮の腺癌とすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項59】
前記ポリペプチドを抗体とすることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項60】
前記ポリペプチドを放射性核種,蛍光標識,酵素,細胞毒,サイトカインおよび成長抑制物質から成る部類より選択することが出来る物質に抱合されていることを特徴とする前記請求項56に記載の使用法。
【請求項61】
前記検出可能物質を前記細胞または組織試料の枯死を誘導することが出来るものとすることを特徴とする前記請求項60に記載の使用法。
【請求項62】
前記ポリペプチドがタンパク質精製標識に結合されていることを特徴とする前記請求項60に記載の使用法。
【請求項63】
前記タンパク質精製標識を分割可能のものとすることを特徴とする前記請求項62に記載の使用法。
【請求項64】
細胞の増殖を抑制する薬剤を製造するための製薬上許容することが出来る保菌者に用いることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載した精製ポリペプチド。
【請求項65】
リピドの細胞内の滞留を誘引する薬剤を製造するために製薬上許容することが出来る保菌者に与える前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載した精製ポリペプチド。
【請求項66】
細胞の枯死を招く薬物の製造のために製薬上許容することが出来ることを特徴とする前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチド。
【請求項67】
細胞の増殖を抑制し、リピドの細胞内の蓄積を誘導し、そして細胞の枯死を誘導する製薬上許容することの出来る保菌者に与える前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19或は20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチド。
【請求項68】
前記請求項1,2,3,4,5,6,17,18,19または20のいずれかの1項に記載の精製ポリペプチドから成ることを特徴とする診断用薬。
【請求項69】
SEQ ID NO:2または4の配列から成る隔離核酸分子。
【請求項70】
前記請求項69に記載の核酸から成るベクター。
【請求項71】
前記請求項70のベクターから成る細胞。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【公表番号】特表2008−507951(P2008−507951A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543403(P2006−543403)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012970
【国際公開番号】WO2005/047332
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
2.WINDOWS
【出願人】(507274087)パトリス・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012970
【国際公開番号】WO2005/047332
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【公序良俗違反の表示】
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【出願人】(507274087)パトリス・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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