説明

膜損傷検知方法および膜ろ過装置

【課題】ろ過膜損傷の検知感度を向上でき、低コストで、高精度な膜損傷検出方法および膜ろ過装置を提供する。
【解決手段】膜損傷検知方法は、原水を供給する原水供給手段20と、供給された原水から透過水を得る膜ろ過手段と、透過水の一部を膜ろ過手段に逆洗水として供給する逆洗水供給手段40とを含み、原水供給手段20あるいは逆洗水供給手段40の液体の供給路に気体を混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する工程と、液体の供給路を通じて供給された微細気泡化水に基づいて、当該膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態を計測する工程と、計測された値に基づいて膜ろ過手段の損傷の有無を検知する工程とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ろ過装置における膜損傷検知方法および膜ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地下水や河川表流水などの原水を浄化する浄水施設等において、膜ろ過装置が設置されている。膜ろ過装置は、原水に含まれる濁質や病原性原虫等(以下、濁質と総称する)を分離除去するろ過膜を内蔵した膜ろ過手段(以下、膜モジュールと称す)を有しており、この膜モジュールによって、清澄で、安全なろ過水を生成する機能を有している。一般的に、膜ろ過装置は、複数の膜モジュールを並列に接続するユニット方式や、複数のユニットを並列に配置した系列方式等、浄水量の規模に応じた多数の膜モジュールを備えて構成される。
【0003】
このような膜ろ過装置においては、ろ過工程、逆洗工程、化学洗浄工程等が繰り返し実行されるようになっており、これらの工程に伴う圧力変動や膜材質劣化等により、膜モジュール内のろ過膜が損傷・破損・破断(以下、損傷と称す)する場合がある。仮に、ろ過膜に損傷が生じると、その損傷部分から原水中の濁質が直接流出することとなるため、ろ過水が汚染される状態となる。このため、ろ過膜の損傷が発生した場合には、発生した膜モジュールを迅速に把握特定して早期対策を講じ、損傷していない正常な膜モジュールによる浄水能力を維持することが重要である。
【0004】
ろ過膜の損傷検知方法としては、外圧型膜モジュールを対象に、原水側を空気置換し、透過側に透明管と透過型光電検知器を設置して透過水の気泡数を測定する方式(例えば、特許文献1)や、透過側から逆洗空気を注入し、透明管と光電検知器を設置して透過水の気泡有無を測定する方式(例えば、特許文献2)が知られている。また、原水で充満した密閉原水側に加圧空気を供給し、処理水中の気泡を微粒子モニターで計測する方式(例えば、特許文献3)や、内圧型の原水側から気体または気液混合液を流通させて、透過液の電気抵抗を測定して気泡有無を判定する方式(例えば、特許文献4)がある。さらに、膜ろ過手段の上流側の原水に気泡を添加する方式(例えば、特許文献5)や、空気を溶解させた加圧水を原水に供給してマイクロエアーを発生させ、透過水の気泡数を計測して損傷を検知する方式(例えば、特許文献6)等の空気注入方式がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−342937号公報
【特許文献2】特開2003−144866号公報
【特許文献3】特開平8−173774号公報
【特許文献4】特開2005−349253号公報
【特許文献5】特開2007−7567号公報
【特許文献6】特開2003−112018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記した特許文献1では、外圧型の原水側を空気置換しており、一般的に外圧型の膜モジュールは、透過水側に比べて原水側の容積が数倍大きく設定されるため、置換するのに時間を要して検知が遅れるとともに、その間、ろ過水製造が中断されるという難点を有している。さらに、原水を排水して置換するため、プロセス全体の水回収率を低下させるという問題がある。
また、ろ過膜の損傷には、脱着、切断、小裂傷およびピンホール的なものまで種々のケースがあり、損傷状況によってその損傷面積も変化する。前記した特許文献1から4では、供給する気体の気泡径などに関する配慮がなされておらず、損傷の種類やその度合(損傷面積の度合)によっては検知が困難となったり検知するまでに時間を要したりするといった問題がある。
その点、前記した特許文献5および6では、これらの問題に対処して原水に気泡あるいは空気溶解加圧水を添加している。しかし、特許文献5では添加するための気泡を予め生成し、貯蔵しておく大掛かりな設備を必要とする。また、ろ過膜の損傷は突発的に発生するので、常時、気泡の生成と貯蔵が必要となる。また、特許文献6においても、空気溶解加圧水を生成し、貯蔵する新たな高圧設備が必要であるとともに、空気を溶解するまで水を加圧するので相当量のエネルギーも必要になる。このように、気泡あるいは空気溶解加圧水を添加する方式では、設備および運転コストが嵩むという問題点があった。
【0007】
本発明は、設備による気泡貯蔵の必要がなく、現状設備を有効に利用して微細気泡化水を迅速に生成し、膜ろ過手段に直接供給してろ過膜損傷の検知感度を向上できる、低コストで、高精度な膜損傷検出方法および膜ろ過装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するための手段として本発明は、原水あるいは逆洗水とその供給手段とを利用して微細気泡化水を生成させ、生成した微細気泡化水を濁質源として直接膜ろ過手段に供給し、膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態に基づいて損傷の発生有無、並びに損傷したろ過膜を特定するものである。
ここで、排出水には、膜ろ過手段を透過して得られる透過水のほか逆洗水により排出される排出水がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設備による気泡貯蔵の必要がなく、現状設備を有効に利用して微細気泡化水を迅速に生成し、膜ろ過手段に直接供給してろ過膜損傷の検知感度を向上できる、低コストで、高精度な膜損傷検出方法および膜ろ過装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の膜ろ過装置を内圧型の膜モジュールを備えた膜ろ過装置を例にして詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の膜ろ過装置1は、図1に示すように、主として膜モジュール10、原水供給手段20、ろ過水槽30、逆洗水供給手段40、微細気泡化手段50、濁質計測手段60、損傷判定手段70を備えて構成されている。
【0011】
膜モジュール10は、上下に原水室11,12を備え、これらの原水室11,12の間に透過水室13が配設されている。透過水室13には、およそ数千本の中空糸膜が実装されてなるろ過膜14が配設されており、このろ過膜14を構成する中空糸膜の各両端は、原水室11,12に開口するように設けられている。ここで、原水室11,12と透過水室13との間は、固定壁15a,15bでそれぞれ仕切られており、内蔵されたろ過膜14を介してのみ原水室11,12と透過水室13との間で液体が通流するようになっている。
【0012】
原水室12には、開閉弁2を介して原水が供給される原水管3が接続され、原水室11には、開閉弁4を介して逆洗水が排出される排出管5が接続されている。また、透過水室13の上部には、膜モジュール10から得られたろ過水をろ過水槽30に導くろ過水管6が接続されている。
【0013】
原水管3は、その上流側が、地下水や河川表流水などの原水取水地に通じており、開閉弁2の上流側に、高速回転するポンプ等からなる原水供給手段20が介設されている。そして、原水管3には、この原水供給手段20の上流側に、微細気泡化手段50の気液混合手段52が介設されている。
【0014】
微細気泡化手段50は、空気供給手段51と、気液混合手段52と、前記した原水供給手段20を含んで構成されている。空気供給手段51は、外気を吸気する図示しない吸気口を有して気液混合手段52に外気(空気)を供給するものである。なお、微細気泡化手段50により発生する微細気泡を空気以外の他の気体によって発生させる場合には、吸気口を所望の気体中に開口させる。気液混合手段52は、原水管3を通じて供給される原水(液体)に気体を混合して気体混合液体を生成する機能を有しており、例えば、ラインミキサーでもよいが、供給部分の圧力を低下させるベンチュリー構造の手段を適用すれば、空気供給手段51の押込み圧を低減することができる。このような気液混合手段52により生成された気体混合液体は、下流側の原水供給手段20による回転とせん断力によって気泡が微細化された状態となり、これによって、微細気泡化水が得られる。ここで、原水と空気の供給比率を空気供給手段51等によって調整することにより、均質で、原水の流れに沿って流動し、浮上しにくい微細気泡を生成することができる。
【0015】
排出管5は、後記する逆洗工程時に、その途中に介設された開閉弁4が開かれて、膜モジュール10に供給された逆洗水を排出する役割をなす。
ろ過水管6は、ろ過水を開閉弁7を介してろ過水槽30に導くものであり、その上流側の膜モジュール10との接続口の近傍には、濁質計測手段60が配置されている。
【0016】
濁質計測手段60は、膜モジュール10から得られる透過水(排出水)の濁質状態を計測するものであり、特に限定するものではないが、超音波や光電、音響、電気抵抗などの公知の手段を利用したセンサにて構成されている。濁質計測手段60による計測値は、損傷判定手段70に入力される。
【0017】
損傷判定手段70は、パーソナルコンピュータ等からなる診断装置であり、濁質計測手段60から入力した計測値に基づいて膜モジュール10のろ過膜14の損傷の有無を判定するようになっている。例えば、損傷判定手段70は、後記する通常ろ過モードにおいて、計測値が予め設定された閾値を超える値となったか否か、あるいは計測値の時系列的な変化勾配が所定の傾き以上となったか否か(直近の計測値よりも値が高くなったか否か)等を判定することで、ろ過膜14の損傷の有無を判定(検知)するようになっている。
【0018】
損傷判定手段70は、ろ過膜14に損傷があると判定した場合に、判定信号を制御装置71に出力するようになっている。制御装置71は、損傷判定手段70からろ過膜14の損傷の判定信号を入力すると、膜ろ過装置1の運転を停止制御する等の操作信号を、膜ろ過装置1(原水供給手段20等)に出力して膜ろ過装置1の運転を停止させ、ろ過膜14の交換等に備えるようになっている。
【0019】
また、ろ過水槽30には、逆洗水供給手段40と開閉弁41が配設されており、ろ過水管6に接続された逆洗水管8が挿入されている。
【0020】
次に、このように構成された膜ろ過装置1の通常の運転動作を図2を参照して説明する。通常、膜ろ過装置1は、ろ過工程(S1)、逆洗工程(S2)、フラッシング(リンス洗浄)工程(S3)の3つの工程を繰り返し実行するように構成されている。
はじめに、ろ過工程(S1)では、原水管3の開閉弁2、およびろ過水管6の開閉弁7を開状態にし、他の開閉弁4,41を閉状態にして、原水供給手段20を作動させ、濁質を含む原水を膜モジュール10の原水室12に供給する。原水は、ろ過膜14の内側表面(上流側)で濁質が捕捉除去されて、ろ過膜14の外部(下流側)の透過水室13に透過する。透過した清澄な原水(以下、透過水と称す)は、透過水室13に接続されたろ過水管6を通ってろ過水槽30に一定量貯留される。貯溜された透過水の大部分は、浄水として水道水に供される。
【0021】
このようなろ過工程(S1)が所定時間行われると逆洗工程(S2)に移る。逆洗工程(S2)では、原水供給手段20を停止させ、排出管5の開閉弁4、および逆洗水管8の開閉弁41を開状態にし、他の開閉弁2,7を閉状態にして逆洗水供給手段40を作動させる。逆洗水供給手段40が作動されると、ろ過水槽30に一定量貯留されていたろ過水が、逆洗水管8からろ過水管6を通じて膜モジュール10の透過水室13に供給される。そうすると、ろ過膜14の外部からろ過膜14の内部へろ過水が透過し、その後、原水室11側に排出され、原水室11から排出管5を通じて外部へ排出される。このような逆洗工程(S2)終了後に、リンス洗浄工程(S3)に移る。
【0022】
リンス洗浄工程(S3)では、逆洗工程(S2)終了後、逆洗水供給手段40を停止し、原水管3の開閉弁2、および排出管5の開閉弁4を開状態にし、他の開閉弁7,41を閉状態にして原水供給手段20を作動させる。この工程では原水室12に供給された原水がろ過膜14を透過することなく、原水室11を通って排出管5から排出される。これによって、原水室11,12およびろ過膜14の膜表面が洗浄される。
【0023】
以上のようなろ過工程(S1)からリンス洗浄工程(S3)までを1サイクルとし、リンス洗浄工程(S3)終了後、前記ろ過工程(S1)に移る。これらの運転動作を通常ろ過モードと称し、制御装置71によって、各工程の所要時間、各種手段の作動・停止や開閉動作のタイミング等が指示される。
【0024】
次に、膜損傷検知動作について説明する。はじめに、制御装置71からの指令によって、定期的に通常ろ過モードを膜損傷検知モードに切り替えて行う、膜損傷検知動作について説明する。
膜損傷検知モードは、図3に示すように、通常ろ過モードのろ過工程(S1)が終了する段階で切り替わる。透過・検知工程(S4)では、前記したろ過工程(S1)の運転状態で、微細気泡化手段50を作動させ、空気供給手段51から気液混合手段52に空気を供給し、原水供給手段20の通流を利用して気泡混合原水を生成させ、原水供給手段20を通過することによって、微細気泡化水を生成させる(濁質源としての微細気泡化水を生成する工程)。
【0025】
このように生成された微細気泡化水が膜モジュール10の原水室12に供給されると、ろ過膜14に損傷がある場合には、その損傷部分を通じて、原水と同伴流動する微細気泡も透過水室13側に一緒に流出することとなる。本発明者らの実験知見によれば、損傷部分は膜抵抗が極端に小さくなるか、ほとんど無くなる状態となるので、その流出量は、正常な部分から透過する水量に比較して割合が増加する状態になる。加えて、原水の供給量を低下させる操作を行うと、損傷部分からの流出比率を高めることが可能となることが分かった。これらのことから、原水の供給量を低減させて、透過水全体の微細気泡量を増加させるようにして、ろ過膜14の損傷が検知され易くなるようにしてもよい。
【0026】
そして、ろ過水管6に設置した濁質計測手段60にて、ろ過水の濁質状態を計測する(膜ろ過手段10から排出される排出水の濁質状態を計測する工程)。濁質計測手段60による計測値は、損傷判定手段70に入力され、その計測値に基づいてろ過膜14の損傷の有無が判定される(損傷の有無を検知する工程)。例えば、計測値を、直近の通常ろ過モードにおける濁質状態の計測値と比較して、その差の絶対値が所定の閾値内(範囲内)であるか否かを判定する。そして、計測値が所定の閾値を超えているときには、ろ過膜14に損傷が有ると判定する。この判定に基づいて、損傷判定手段70では、損傷有無の表示、損傷有りの警報などを図示しない表示装置や警報装置に出力するとともに、制御装置71に膜ろ過装置1における次の運転操作について指令をする。なお、濁質状態としては、濁質計測手段60に適用するセンサに対応して、濁度、粒子数、光や超音波の減衰・反射・散乱量、電力・電流値などの各値を指標にすることができる。
【0027】
処置工程(S5)では、制御装置71が損傷判定手段70からの出力情報に基づいて膜ろ過装置1の次の運転操作を実行する。例えば、ろ過膜14の損傷が発生していない場合は、通常ろ過モードに切り替え、逆洗工程(S2)から実施するよう運転操作する。一方、損傷が発生したと判断された場合は、膜ろ過装置1を停止し、膜モジュール10の交換や修復作業の実施を促す。そして、膜モジュール10の交換や修復作業終了後に、通常ろ過モードで再運転を開始する。つまり、ろ過工程(S1)から運転が再開される。
【0028】
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
(1)大掛かりな新たな設備を設けることなく、現状設備を有効に利用して、微細気泡化水を生成して、これを膜モジュール10に供給することができ、設備コストやランニングコストがかからず、経済的である。
(2)大掛かりな気泡貯蔵設備を必要とせず、微細気泡化水を迅速に生成してこれを直接に膜モジュール10に供給することができるので、ろ過膜14の損傷の検知感度を向上させることができる。
(3)迅速に生成された微細気泡化水が膜モジュール10に供給されて、ろ過膜14の損傷が検知されるので、高精度の膜損傷の検知を行うことができる。
(4)通常ろ過モードから膜損傷検知モードへ移行して、定期的に膜損傷検知が行われるので、ろ過膜14の破損箇所が微小である場合であっても、計測値の変化を経時的に記録(記憶)しておく等の操作を行うことで、確実にろ過膜14の損傷が生じていることを検知することができる。
【0029】
なお、前記例では、定期的に膜損傷検知モードが実行されるが、図4に示すように、通常ろ過モードのろ過工程(S1)における濁質計測手段(透過水濁質状態計測手段)60からの計測値に基づいて、損傷判定手段70が、膜損傷検知の割込み判定を必要であるか否かを判定し、割込みが必要であると判定した場合に、制御装置71を介して一時的に膜損傷検知モードを実行するように構成してもよい。
【0030】
図4において、ろ過工程(S1)において、濁質計測手段60からの計測値が、予め設定された閾値(所定値)よりも高い場合(異常である場合、S1’)には、膜損傷検知モードに移行して、透過・検知工程(S4)に移行される。なお、膜損傷検知モードでの動作手順は、前記動作手順と同様である(図2,図3参照)。また、ろ過工程(S1)において、濁質計測手段60からの計測値が、予め設定された閾値(所定値)の範囲内(正常である場合、S1’)には、通常のように、逆洗工程(S2)に移行して、通常ろ過モードが継続される。なお、割込みの要否は、前記した例の他に、例えば、濁質計測手段60の計測値の時系列的な変化勾配が所定の傾き以上である場合等に必要であると判定するように構成することもできる。
【0031】
このような膜ろ過装置1によれば、濁質計測手段60からの計測値に基づいて、必要があるときにのみ、膜損傷検知モードに移行するようになっているので、定期的に膜損傷検知モードに移行する場合に比べてろ過水の生成効率が高まり、効率的な膜ろ過運転を実現することができる。
【0032】
図5および図6に微細気泡化手段50のその他の構成例を示す。図5に示した例では、原水供給手段20の下流側に細孔を有する微細化板53が設けられている点が前記例と異なる。微細化板53は、例えば、直径1mm以下の細孔を少なくとも1個以上有しており、原水供給手段20からの微細気泡化水を細孔から流出させるようになっている。これにより、更に微小な気泡を有する微細気泡化水が生成されるようになり、浮上し難く、原水との流動性が向上するようになる。このような微細気泡化水を膜モジュール10に供給することで、自己上昇する気泡が低減され、損傷時の検知感度をより高めることができる。
【0033】
また、図6は原水供給手段20に分岐管21(分岐路)を設け、この分岐管21に空気供給手段51および気液混合手段52を設けるとともに、微細化板53を設けた点が前記例と異なる。なお、分岐管21には、微細化板53の上流側に、分岐管21用の原水供給手段22が設けられるとともに、原水管3との合流部位の上流側に、開閉弁2’が介設されている。原水供給手段22としては、高速回転するポンプが用いられる。
【0034】
このような構成では、通常ろ過モードにおいて開閉弁2’を閉状態にし、空気供給手段51、原水供給手段22も停止させる。また、膜損傷検知モードでは、開閉弁2’を開状態にし、原水供給手段22を作動させるとともに、空気供給手段51を作動させて気液混合原水を生成する。気泡混合原水は、原水供給手段22の回転とせん断力により気泡が微細化されて微細気泡化水とされ、さらに、微細化板53で超微細な微細気泡化水として生成される。生成された微細気泡化水は、例えば、平均径が数十から百μmの気泡を多数含有するものとなる。分岐管21は、膜モジュール10の近傍の原水管3に接続されているので、微細気泡化水が膜モジュール10に直接的に供給される。
【0035】
なお、この例では、膜損傷検知モードにあるときに、原水供給手段20を停止してもよい。このように、原水供給手段20を停止させると、原水による微細気泡化水の希釈がないので、濃密な微細気泡化水となり、その結果として、膜損傷時の検知感度を向上させることができる。原水供給手段22は、通常設置されている予備機の代用、あるいは、より少容量のものを新たに設置してもよく、微細気泡化水を低廉で、迅速に生成できるという利点が得られる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の膜ろ過装置1’について説明する。
図7に示すように、第2実施形態の膜ろ過装置1’は、外圧型の膜モジュール10’を対象としている点が前記実施形態と異なっており、膜モジュール10’の構成の違いのみで、原水供給系およびろ過・逆洗水系は前記した内圧型とほぼ同様の構成となっている。なお、以下の説明においては、前記実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
膜モジュール10’は、上下に透過水室13a,13bが設けられ、これらの透過水室13a,13bの間に原水室11が配設され、ろ過膜14が透過水室13a,13bに中空糸膜の両端が開口するように配設される。透過水室13a,13bと原水室11は固定壁15a,15bで仕切られ、原水室11の上方に排出管5が設置されている。上部の透過水室13aには、濁質計測手段60を配設したろ過水管6が接続され、このろ過水管6に逆洗水供給手段40と開閉弁41を介設した逆洗水管8が接続される。微細気泡化水の生成は、前記図6で示した構成と同様の微細気泡化手段50によって行われる。
【0038】
このような外圧型の膜モジュール10’を用いた膜ろ過装置1’においても、膜損傷検知モードの実行時に、原水を用いて微細気泡化水を生成し、透過水の濁質状態を濁質計測手段60で計測する内圧型と同様の検知方法を適用することができ、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の膜ろ過装置100について説明する。図8に示すように、本実施形態では、前記した膜モジュール10(図1参照)が複数設置されている膜ろ過設備を対象とした例である。複数設けられた膜モジュール10a〜10nは、内圧型であり、前記第1実施形態で説明したものと同様の構成を有している。配管系は、各膜モジュール10a〜10nに接続される原水分岐管3a’〜3n’と、排出水分岐管5a〜5nと、ろ過水分岐管6a〜6nと、を有している。原水分岐管3a’〜3n’は、途中に開閉弁3a〜3nを介設して原水管3に接続され、排出水分岐管5a〜5nは、途中に開閉弁4a〜4nを介設して排出管5に接続されており、ろ過水分岐管6a〜6nは、途中に図示しない開閉弁を介設してろ過水管6に接続されている。
【0040】
原水管3の上流には、図6に示したものと同様の構成の微細気泡化手段50が設けられている。また、各ろ過水分岐管6a〜6nには、前記濁質計測手段60と同様の濁質計測手段60a〜60nが設置されており、これらのろ過水分岐管6a〜6nが合流したろ過水管6には、合流水濁質計測手段65が設置されている。
【0041】
ここで、合流水濁質計測手段65は、レーザ方式で小数点3〜4桁までの濁度や数十個の微粒子数を計測可能な高感度濁度計や微粒子センサが用いられている。このような合流水濁質計測手段65は、比較的高価であるため、膜ろ過装置100内に1台の割合で設置され、膜ろ過装置100の全体のろ過水を計測により監視(管理)する目的で設置されている。一方、濁質計測手段60a〜60nは、前記の合流水濁質計測手段65よりも計測精度が低く設定されており、比較的安価なものが使用されている。この濁質計測手段60a〜60nは、各膜モジュール10a〜10nの透過水を計測により個別に監視(管理)する目的で設置されている。つまり、原水の濁質状態によっては、濁質計測手段60a〜60nによって異常を感知するまでには計測できない場合でも、合流水濁質計測手段65では、これを感知することが可能となっている。
【0042】
このような膜ろ過装置100における膜損傷検知動作について説明する。なお、基本的動作は、前記実施形態において図4を示して説明した動作と同様であるので、ここでは、適宜図4を参照して説明する。
この膜ろ過装置100では、損傷判定手段70が、合流水濁質計測手段65の計測値を常時、あるいは所定時間毎に入力し、入力した計測値が予め設定された閾値(所定値)を超えた値(透過水状態が異常、図4(S1’))となったか否か、あるいは計測値の時系列的な変化勾配(直近の計測値との増加勾配を含む)が所定の傾き以上であるか否かを判定し、異常であると判定した場合に、膜損傷検知モードに移って透過・検知工程(図4、S4)に移行する。なお、ここでは、合流水濁質計測手段65の計測値は、全体の合流ろ過水に係るものであるので、損傷判定手段70は、膜ろ過装置100の膜モジュール10a〜10nのいずれかに損傷が発生したと判定する。
【0043】
透過・検知工程(図4、S4)では、原水供給手段20を停止して開閉弁2を閉状態にし、次に、開閉弁2’を開状態にして微細気泡化手段50を作動させる。微細気泡化水は、全ての膜モジュール10a〜10nに供給され、その透過水の濁質状態を濁質計測手段60a〜60nで計測する。濁質計測手段60a〜60nの各計測値は、損傷判定手段70に出力され、他の計測値より高い計測値を示しているものを特定し、あるいは計測値が増加傾向を示すものを特定し、その濁質計測手段60a〜60nに対応する膜モジュール10a〜10nが膜損傷を生じたものであると特定する。そして、損傷判定手段70は、損傷有無の表示、損傷有りの警報や損傷した膜モジュール10a〜10nを特定する表示等を出力するとともに、制御装置71に運転操作を指令する。
【0044】
処置工程(図4、S5)では、制御装置71が損傷判定手段70からの出力情報に基づいて膜ろ過装置100の次の運転操作を実行する。損傷が発生していないと判定された場合には、通常ろ過モードに切り替えられ、逆洗工程(図4、S2)から実施するよう運転操作する。また、損傷が発生していると判定し、損傷した膜モジュール(10a〜10nのいずれか)を特定した場合、その配管系が閉状態にされてロックされる。例えば、膜モジュール10bが損傷していると特定された場合には、開閉弁3b,4b、およびろ過水分岐管6bに設けられた図示しない開閉弁が閉状態にされ、その後、通常ろ過モードに切り替えられて、逆洗工程(図4、S2)から実施するよう運転操作する。配管系が閉状態にされてロックされた膜モジュール10bは、交換や修復作業を実施した後、そのロックが解除される。
【0045】
このように、複数の膜モジュール10a〜10nを有する膜ろ過装置100においても、低廉で、迅速に微細気泡化水を生成し、これを膜モジュール10a〜10nに供給して、膜損傷の有無と損傷した膜モジュール10a〜10nの特定を高精度に行うことができる。
しかも、損傷による気泡の漏洩が微量である場合にも、合流水濁質計測手段65によって、損傷を判定することができるので、濁質計測手段60a〜60nの精度が必ずしも高くない場合でも、損傷の発生をいち早く検知することができる。
【0046】
図9に変形例の膜ろ過装置100’を示す。この例では、分岐管21からの微細気泡化水分岐管21a〜21nが、それぞれの膜モジュール10a〜10nと、開閉弁3a〜3nの間の原水分岐管3a’〜3n’に接続されている点で異なっている。この構成において、例えば濁質計測手段60bの計測値が、所定の閾値より高い値を示した場合、あるいは計測値が増加傾向を示した場合等、損傷判定手段70は、膜モジュール10bに損傷が発生したと判定して、警報、表示等を行うとともに、制御装置71に膜損傷検知モードの運転操作を指令する。透過・検知工程(図4、S4)では、原水供給手段20を停止し、原水分岐管3a’〜3n’に設置された開閉弁3a〜3nを閉じる。次に、膜モジュール10bの微細気泡化水分岐管21bの開閉弁2b’を開状態にして、微細気泡化手段50を作動させる。
【0047】
この操作により、損傷の可能性のある膜モジュール10bにのみ、微細気泡化水が供給されることとなり、これによって損傷の有無を正確に判定することができる。損傷の有無は、計測値が直近のろ過工程時よりも高い値を示す場合、あるいは、増加傾向を示す状態であること等から判定することができる。判定後は、微細気泡化手段50を停止し、開閉弁2b’を閉状態にする。
【0048】
処置工程(図4、S5)では、損傷と判定された場合には、膜モジュール10bに係る全ての分岐管3b’,21b,5bの開閉弁3b,2b’,4bおよびろ過水分岐管6bに設けられた図示しない開閉弁を閉状態にし、膜モジュール10b以外の膜モジュール10a,10c(不図示)〜10nを対象に、通常ろ過モードの逆洗工程(図4,S2)から順次実行する。
【0049】
このような膜ろ過装置100’では、通常ろ過モードのろ過工程(図4,S1)中に、任意の濁質計測手段60a〜60nの計測値が異常となった場合に、好適に対処することができ、損傷の可能性のある膜モジュール10bにのみ微細気泡化水を供給することで、損傷有無を正確に判定できる。また、微細気泡化水の生成量も少なくて済み、その分、微細気泡化手段50の作動時間を減少させることができて経済的である。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態の膜ろ過装置200について説明する。
本実施形態では、微細気泡化水を逆洗水で生成して膜損傷を検知するようにした点が異なっている。図10に示すように、膜ろ過装置200は、外圧型の複数の膜モジュール10a’〜10n’が並列に配置されている。膜モジュール10a’〜10n’には、原水管3から分岐した原水分岐管3a’〜3n’と、排出管5に接続されている排出水分岐管5a〜5nと、ろ過水管6に接続されているろ過水分岐管6a〜6nとが接続されている。合流水濁質計測手段65は、前記第3実施形態で説明したものと同様に、ろ過水管6を対象に設置しており、濁質計測手段60a〜60nは、それぞれの排出水分岐管5a〜5nの途中に配設されている。また、原水分岐管3a’〜3n’には、開閉弁3a〜3nが設けられ、排出水分岐管5a〜5nには、開閉弁4a〜4nが設けられ、ろ過水分岐管6a〜6nには、開閉弁6a’〜6n’が設けられている。
【0051】
逆洗水管8には、分岐管21が接続されており、この分岐管21の途中に微細気泡化手段50が設置されている。分岐管21の下流側はさらに分岐されて、各膜モジュール10a’〜10n’の透過水室13bにそれぞれ接続される微細気泡化水分岐管21a〜21nとなっている。各微細気泡化水分岐管21a〜21nの途中には、開閉弁2a’〜2n’が設けられている。
【0052】
このような膜ろ過装置200における膜損傷の検知は、図11に示す手順で実行される。すなわち、通常ろ過モードのろ過工程(S1)において、損傷判定手段70は、合流水濁質計測手段65の計測値が予め設定された閾値を超える値となった場合、あるいは計測値の時系列的な変化勾配が所定の傾き以上である場合等には、膜ろ過装置200の膜モジュール10a’〜10b’のいずれかに損傷が発生したと判断し(S1’)、割込みによる、膜損傷検知モードを実行させる。
【0053】
膜損傷検知モードに移行すると、まず、逆洗工程(S6)を行う。この逆洗工程(S6)は、通常ろ過モードの逆洗工程(S2)と同じ工程となっており、原水供給手段20を停止して開閉弁3a〜3nと、ろ過水の開閉弁7を閉状態にし、開閉弁6a’〜6n’と、開閉弁41とを開状態にして、逆洗水供給手段40を作動させる。そうすると、ろ過水槽30から逆洗水管8を通じてろ過水管6にろ過水が流れ、これがろ過水分岐管6a〜6nを通じて全ての膜モジュール1a〜1nに供給され、各膜モジュール1a〜1nが洗浄される。この逆洗工程により、原水室11側のろ過膜14に捕捉されていた濁質を剥離除去することができる。
【0054】
次に、逆洗工程(S6)の終了後、透過・検知工程(S7)に移行する。透過・検知工程では、逆洗水供給手段40を停止して開閉弁41を閉じ、次に微細気泡化水分岐管21a〜21nの開閉弁2a’〜2n’を開状態にして、微細気泡化手段50を作動させる。そうすると、分岐管21に微細気泡化水が生成されて、これが微細気泡化水分岐管21a〜21nを通じて透過水室13b側に供給され、その後、透過水室13b側からろ過膜14を通じて原水室11側に透過される。この透過水は、それぞれの排出水分岐管5a〜5nを通じて排出水として排出される。
【0055】
これらの排出水の濁質状態を濁質計測手段60a〜60nで計測する。濁質計測手段60a〜60nの計測値は、損傷判定手段70に出力され、損傷判定手段70は、他の計測値より高い計測値を示しているものを特定し、あるいは計測値が増加傾向を示すもの等を特定し、その特定された濁質計測手段60a〜60nに対応する膜モジュール10a’〜10n’を損傷を生じたものであると特定する。そして、損傷判定手段70は、損傷有無の表示、損傷有りの警報や損傷した膜モジュール10a’〜10n’を特定する表示等を出力するとともに、制御装置71に操作指令を出力する。
【0056】
次に、処置工程(S8)に移行し、制御装置71が損傷判定手段70からの出力情報に基づいて膜ろ過装置200の次の運転操作を指令する。損傷が発生していない場合には、通常ろ過モードに切り替えられ、逆洗工程(S2)から実施するように運転操作する。また、損傷が発生していると判定し、損傷した膜モジュール(10a’〜10n’のいずれか)を特定した場合、例えば膜モジュール10b’が損傷した場合には、膜モジュール10b’の全ての開閉弁2b’,3b,4b、6b’が閉状態にされ、その後、通常ろ過モードに切り替えられて、逆洗工程(図11、S2)から実施するよう運転操作する。配管系が閉状態にされてロックされた膜モジュール10b’は、交換や修復作業を実施した後、そのロックが解除される。
【0057】
このような膜ろ過装置200によれば、外圧型の膜モジュール10a’〜10n’を有しており、逆洗水で生成した微細気泡化水を膜モジュール10a’〜10n’の各ろ過膜14中に圧送するようになっているので、損傷がある部分の面積を変化させることがなく、むしろ損傷がある部分を拡大する方向に作用するため、損傷の有無を確実に把握することができる。なお、図10に示した例では、下方の透過水室13bから微細気泡化水を供給するように構成したが、上方の透過水室13aから供給するようにしてもよい。
【0058】
以上、通常ろ過モードから膜損傷検知モードに切替えて膜損傷を検知する方法を説明したが、通常ろ過モードのろ過工程中に微細気泡化水を供給するようにして、膜損傷を検知するように構成してもよい。供給方法としては、図8に示した膜ろ過装置100において、微細気泡化手段50を所定間隔で間欠的に作動させて、微細気泡化水を断続的に供給するようにすることが挙げられる。また、図9および図10に示した膜ろ過装置100’,200において、開閉弁2a’〜2n’を順次開閉するように制御して1モジュールづつ順番に実施するようにしてもよい。また、透過水の濁質状態が異常な場合に、膜損傷検知モードに切替える方式では、微細気泡化水の生成頻度が低いので、空気供給手段51としてボンベを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る膜ろ過装置を示す図である。
【図2】通常ろ過モードにおける手順の説明図である。
【図3】通常ろ過モードおよび膜損傷検知モードにおける手順の説明図である。
【図4】通常ろ過モードおよび膜損傷検知モードにおける手順の説明図である。
【図5】微細気泡化水手段のその他の例を示す図である。
【図6】微細気泡化水手段のその他の例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る膜ろ過装置を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る膜ろ過装置を示す図である。
【図9】変形例の膜ろ過装置を示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る膜ろ過装置を示す図である。
【図11】膜損傷検知モードにおける手順の説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1,1’ 膜ろ過装置
3 原水管
5 排出管
6 ろ過水管
10 膜モジュール(膜ろ過手段)
14 ろ過膜
20 原水供給手段
21 分岐管(分岐路)
30 ろ過水槽
40 逆洗水供給手段
50 微細気泡化水手段
53 微細化板
60 濁質計測手段
65 合流水濁質計測手段
70 損傷判定手段
100,100’,200 膜ろ過装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水から透過水を得る膜ろ過手段と、前記透過水の一部を前記膜ろ過手段に逆洗水として供給する逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置において前記膜ろ過手段の膜損傷を検知する膜損傷検知方法であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路に気体を混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する工程と、
前記液体の供給路を通じて供給された前記微細気泡化水に基づいて、当該膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態を計測する工程と、
計測された値に基づいて前記膜ろ過手段の損傷の有無を検知する工程とを具備したことを特徴とする膜損傷検知方法。
【請求項2】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水から透過水を得る膜ろ過手段と、前記透過水の一部を前記膜ろ過手段に逆洗水として供給する逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置において前記膜ろ過手段の膜損傷を検知する膜損傷検知方法であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路の一部を分岐してその分岐路に気体を混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する工程と、
前記分岐路を通じて供給された前記微細気泡化水に基づいて当該膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態を計測する工程と、
計測された値に基づいて前記膜ろ過手段の損傷の有無を検知する工程とを具備したことを特徴とする膜損傷検知方法。
【請求項3】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水が並列に接続され、供給された前記原水から透過水を得る複数の膜ろ過手段と、前記複数の膜ろ過手段により得られた透過水を合流させてその一部を前記複数の膜ろ過手段の全てに逆洗水として供給可能な逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置において前記膜ろ過手段の膜損傷を検知する膜損傷検知方法であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路の一部を分岐してその分岐路に気体を混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する工程と、
生成した前記微細気泡化水を前記液体の供給路の下流側へ供給し、前記複数の膜ろ過手段の全てに供給する工程と、
前記供給手段により供給された前記微細気泡化水に基づいて前記複数の膜ろ過手段のそれぞれから排出される排出水の合流水の濁質状態を計測する工程と、
合流水の濁質状態の計測値に基づいて、前記複数の膜ろ過手段全体の損傷の有無を判定する工程と、
前記複数の膜ろ過手段における損傷があると判定された場合に、前記複数の膜ろ過手段の個々の排出水の濁質状態を計測する工程と、
前記個々の排出水の濁質状態の計測値に基づいて、前記複数の膜ろ過手段のうちから損傷のある前記膜ろ過手段を特定する工程とを具備したことを特徴とする膜損傷検知方法。
【請求項4】
前記分岐路には細孔を有する微細化板が設けられており、当該微細化板に前記液体を通流させることにより前記微細化気泡水を生成させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の膜損傷検知方法。
【請求項5】
得られた前記透過水の濁質状態を計測し、該濁質状態の計測値が所定の計測値であるときに前記微細気泡化水を生成させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の膜損傷検知方法。
【請求項6】
前記微細気泡化水は、前記膜ろ過手段に内蔵されているろ過膜の上流側に供給されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の膜損傷検知方法。
【請求項7】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水から透過水を得る膜ろ過手段と、前記透過水の一部を前記膜ろ過手段に逆洗水として供給する逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路に設置され、気体供給手段からの気体を前記液体に混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する微細気泡化水生成手段と、
前記液体の供給路を通じて供給された前記微細気泡化水に基づいて当該膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態を計測する濁質計測手段と、
前記濁質計測手段による計測値に基づいて前記膜ろ過手段の損傷の有無を判定する損傷判定手段とを具備したことを特徴とする膜ろ過装置。
【請求項8】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水から透過水を得る膜ろ過手段と、前記透過水の一部を前記膜ろ過手段に逆洗水として供給する逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路の一部を分岐して設けられる分岐路に設置され、気体供給手段からの気体を前記液体に混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する微細気泡化水生成手段と、
前記分岐路を通じて供給された前記微細気泡化水に基づいて当該膜ろ過手段から排出される排出水の濁質状態を計測する濁質計測手段と、
前記濁質計測手段による計測値に基づいて前記膜ろ過手段の損傷の有無を判定する損傷判定手段とを具備したことを特徴とする膜ろ過装置。
【請求項9】
原水を供給する原水供給手段と、供給された前記原水が並列に接続され、供給された前記原水から透過水を得る複数の膜ろ過手段と、前記複数の膜ろ過手段により得られた透過水を合流させてその一部を前記複数の膜ろ過手段の全てに逆洗水として供給可能な逆洗水供給手段とを含む膜ろ過装置であって、
前記原水供給手段あるいは前記逆洗水供給手段の液体の供給路の一部を分岐して設けられる分岐路に設置され、気体供給手段からの気体を前記液体に混合し、濁質源としての微細気泡化水を生成する微細気泡化水生成手段と、
生成した微細気泡化水を前記液体の供給路の下流側へ供給し、前記複数の膜ろ過手段の全てに供給する供給手段と、
前記供給手段により供給された前記微細気泡化水に基づいて前記複数の膜ろ過手段のそれぞれから排出される排出水の濁質状態をそれぞれ計測する複数の濁質計測手段と、
前記供給手段により供給された前記微細気泡化水に基づいて前記複数の膜ろ過手段のそれぞれから排出される排出水の合流水の濁質状態を計測する合流水濁質計測手段と、
前記合流水濁質計測手段による計測値に基づいて前記複数の膜ろ過手段における損傷の有無を判定する損傷判定手段と、
前記損傷判定手段により前記複数の膜ろ過手段における損傷があると判定された場合に、前記複数の濁質計測手段による計測値から、損傷のある前記膜ろ過手段を特定する特定手段とを具備したことを特徴とする膜ろ過装置。
【請求項10】
前記微細気泡化水生成手段は、細孔を有する微細化板を有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の膜ろ過装置。
【請求項11】
得られた透過水の濁質状態を測定する透過水濁質状態計測手段を有し、前記微細気泡化水生成手段は、前記透過水濁質状態計測手段による透過水の計測値が所定の計測値であるときに微細気泡化水を生成することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の膜ろ過装置。
【請求項12】
原水側へ通じる前記液体の供給路は、前記膜ろ過手段に内蔵されているろ過膜内に連通することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の膜ろ過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−296087(P2008−296087A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142030(P2007−142030)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】