説明

膜蒸気濃縮器

オプションの気化器と、蒸気流導管と、対向流導管と、オプションの湿度コントローラとを備え、上記蒸気流導管及び上記対向流動管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定する、蒸気を濃縮する装置。複数の交互に並ぶ蒸気流導管及び対応の対向流導管が存在し得る。交互に並ぶ蒸気流導管及び対向流導管は、例えば、層状構成又は同心で同軸の管状配置であり得る。また、(1)溶液を気化して、有効成分の濃度がほぼ上記第1の比にある蒸気を形成する、気化するステップと、(2)膜の第1の側へ蒸気の流れを提供するステップと、(3)膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより第1の側における上記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップとを含む、溶媒中の有効成分を含み第1の有効成分:溶媒比を有する溶液から濃縮された有効成分を生成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表面の消毒又は滅菌に使用され得るような、蒸気を濃縮する方法及び装置に関する。本方法及び本装置は、医療器具を消毒又は滅菌するのに特に適しているが、その使用に限定されない。
【背景技術】
【0002】
特に閉塞面、接合面、及び内腔面を処理する場合に、病原菌破壊において最大限の効力を発揮しながら60℃を超える温度を必要としない滅菌プロセス及び滅菌装置があることが非常に望ましい。
【0003】
高温の使用は、複雑で高価な滅菌器具につながり、さらに重要なことに、多くの材料に損傷を与え得る。これは、患者の安全及び装置の費用の両方に関して問題である。
【0004】
消毒法は、過酸化水素を用いることが望ましい。低濃度の過酸化水素は、安全に輸送、販売、及び取り扱いができ、非常によく知られており、その使用に対してほとんど又は全く規制障壁がない。しかしながら、出発材料として高濃度過酸化水素を必要とするような方法には問題がある。例えば、商業的な蒸気プロセス及びプラズマプロセスは、特別な梱包及び取り扱い措置が必要な腐食性且つ刺激性の60%過酸化物溶液を出発材料として使用する。
【0005】
本明細書全体を通した従来技術の説明は、かかる従来技術が広く知られていると認めるものとも、当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成すると認めるものとも見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点の少なくとも一部を回避又は改善する、医療器具を消毒又は滅菌する改良された方法及び装置を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
蒸気を濃縮してその特性を改善することができる改良された方法及び装置を提供することが、本発明の好ましい実施の形態の目的である。
【0008】
文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的な意味で、すなわち「含むがこれに限定されない」という意味で解釈されるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、第1の蒸気及び少なくとも第2の蒸気の混合物中の第1の蒸気を濃縮する装置であって、方法は、
蒸気流導管と、
対向流導管と、
を備え、上記蒸気流導管及び上記対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定し、i)膜は、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され、且つ/又はii)装置の動作条件が、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され得る、装置を提供する。
【0010】
蒸気流及び対向流は、逆方向であってもよく、同じ方向であってもよく、又は任意の他の方向、例えば直交流であってもよい。
【0011】
好ましくは、蒸気の混合物中の1つ又は複数の他の蒸気よりも1つの蒸気を優先的に拡散させるように選択され得る動作条件は、膜の両側での温度制御若しくは圧力制御、又は蒸気の混合物に対して膜の反対側における湿度若しくはガス流を含む。
【0012】
第2の態様によれば、本発明は、第1の蒸気及び少なくとも第2の蒸気の混合物中の第1の蒸気を濃縮する装置であって、方法は、
複数の交互に並ぶ蒸気流導管と対応の対向流導管とを備え、
上記各蒸気流導管及び隣接する対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定し、i)膜は、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され、且つ/又はii)装置の動作条件が、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され得る、装置を提供する。
【0013】
交互に並ぶ蒸気流導管及び対向流導管は、層状構成であり得る。代替的に、これらは、同心で同軸の管状配置であり得る。
【0014】
各蒸気流導管は、入口及び出口を備える。各対向流導管は、入口及び出口を備える。好ましくは、蒸気流及び対向流は逆方向である。しかしながら、これらは、同じ方向であってもよく、又は任意の他の方向、例えば直交流であってもよい。
【0015】
好ましくは、装置は蒸気流導管と連通する気化器をさらに備える。
【0016】
また好ましくは、装置は対向流導管に入る対向流の湿度を制御する湿度制御手段をさらに備える。
【0017】
第3の態様によれば、本発明は、第1の蒸気及び少なくとも第2の蒸気の混合物中の第1の蒸気を濃縮する装置であって、方法は、
蒸気流導管と、
少なくとも2つの対向流導管と、
を備え、上記蒸気流導管及び上記対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定し、i)膜は、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され、且つ/又はii)装置の動作条件が、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され得る、装置を提供する。
【0018】
第4の態様によれば、本発明は、第1の蒸気及び少なくとも第2の蒸気の混合物中の第1の蒸気を濃縮する装置であって、方法は、
少なくとも2つの蒸気流導管と、
対向流導管と、
を備え、上記蒸気流導管及び上記対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定し、i)膜は、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され、且つ/又はii)装置の動作条件が、少なくとも第2の蒸気よりも第1の蒸気を優先的に拡散させるように選択され得る、装置を提供する。
【0019】
1つの好ましい実施の形態では、各蒸気流導管は入口及び出口を備え、各対向流導管は入口及び出口を備え、蒸気流及び対向流は、同じ方向又は逆方向である。
【0020】
別の好ましい実施の形態では、各蒸気流導管は入口及び出口を備え、各対向流導管は蒸気流の方向に対して角度を成す方向に対向流を向ける。
【0021】
第5の態様によれば、本発明は、溶媒中の有効成分を含み第1の有効成分:溶媒比を有する溶液から濃縮された有効成分を生成する方法であって、
(1)溶液を気化して、有効成分の濃度がほぼ第1の比にある蒸気を形成する、気化するステップと、
(2)膜の第1の側へ蒸気の流れを提供するステップと、
(3)膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより第1の側における上記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
を備える、方法を提供する。
【0022】
第6の態様によれば、本発明は、蒸気を濃縮する方法であって、
(1)膜の第1の側へ、溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する蒸気の流れを提供するステップと、
(2)膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより第1の側における上記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
を備える、方法を提供する。
【0023】
濃縮蒸気を用いて物品を消毒及び/又は滅菌することが好ましい。
【0024】
蒸気は、水蒸気及び殺生物剤から成る蒸気であることが好ましく、すなわち、溶媒は水であることが好ましい。最も好ましくは、殺生物剤又は有効成分は、ペルオキシ化合物であり、最も好ましくは、過酸化水素である。本発明は、有効成分:溶媒比を増大させるいかなる状況も包含する。有効成分は、有効成分+溶媒の合計の0.1%(又はそれ未満)等、非常に少量で存在して、溶媒のすべて又は実質的にすべてが除去される時点まで、すなわち100%有効成分になるまで濃縮され得る。過酸化水素は、通常は30重量%〜35重量%水溶液として販売されているため、一実施の形態では、第1の有効成分:溶媒比は、好ましくは35重量%未満、より好ましくは約30重量%である。
【0025】
第2の有効成分:溶媒比は、100%以下の任意のレベルであり得る。場合によっては、これは、好ましくは60重量%を超え、より好ましくは約70重量%であり、いくつかの好ましい実施の形態では、80%又は90%を超えることさえある。ガスの対向流は、第2の比がそれ以上増大することができないような速度及び時間で(for a time:時間にわたって)提供されることが好ましい。
【0026】
好ましくはガスは空気であり、より好ましくは、調湿空気である。
【0027】
半透過性の布地又は膜は、織布若しくは不織布であってもよく、又はシート若しくはフィルム、又はそれらの組み合わせであってもよく、単層構成又は多層構成であってもよい。
【0028】
本明細書において、「膜」という用語は、文脈上許容される限り、選択された特性を有するようなすべての布地及び膜を含むように用いられる。膜は、本質的に疎水性であっても親水性であってもよい。
【0029】
本明細書において、文脈上許容される限り、布地又は膜への言及は、単純な透過にのみ適した布地又は膜だけでなく浸透気化法に適した布地又は膜を含み、透過への言及は、浸透気化法への言及を含む。説明されている以外の膜が用いられてもよく、これには、浸透気化法に適した膜又は他の透過膜若しくは半透膜が含まれ得る。極めて好ましい膜は、Kimguard(商標)である。
【0030】
極めて好ましい実施の形態では、初期濃度が少なくとも3%〜6%、好ましくは20%〜35%、より好ましくは30%〜35%である過酸化物溶液が気化される。
【0031】
過酸化物蒸気を残して、水蒸気が膜を透過する。蒸気中の過酸化物は、さらに濃縮される。
【0032】
さらに濃縮された過酸化物蒸気は、おそらく単位体積当たりではるかに高い滅菌剤濃度を得ることができるため、従来技術の過酸化水素蒸気よりも滅菌剤として大幅に効果的である。
【0033】
蒸気流導管に入る空気は、膜が微生物を透過可能ではないため無菌である。
【0034】
第7の態様によれば、本発明は、膜が、浸透気化法のプロセスによって1つ又は複数の蒸気を除去するように選択される、上記の態様のいずれか1つに記載のプロセスを提供する。
【0035】
本発明は、殺生物剤としての過酸化水素に関して本明細書で説明されるが、殺生物剤が別の過酸化物又はペルオキシ化合物である場合にも同様に適用可能であり、或いは他の既知の気化可能な殺生物剤又は適当な溶媒(水である必要はない)に溶解させた殺生物剤と共に用いることもできる。好ましくは、蒸気は、膜外部に隣接する空気(又は他の流体)の外部流によってその後除去される。
【0036】
第8の態様によれば、本発明は、物品を消毒又は滅菌する方法であって、
(1)溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する溶液を気化するステップと、
(2)膜の第1の側へ蒸気の流れを提供するステップと、
(3)膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより第1の側における第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
(4)ステップ2からの蒸気を、物品を消毒又は滅菌するのに十分な時間にわたって物品と接触させるステップであって、膜は、選択膜又は非選択膜から成る群から選択される、接触させるステップと、
を含む、方法を提供する。
【0037】
1つの好ましい実施の形態では、方法は大気圧以上で実行される。
【0038】
別の好ましい実施の形態では、方法は大気圧未満で実行される。
【0039】
好ましくは、ガスの対向流は、第2の比がそれ以上増大することがない平衡比に達するような速度及び時間で提供される。
【0040】
第9の態様によれば、本発明は、物品を消毒又は滅菌する方法であって、
(1)少なくとも一部が膜である壁を有する容器内に物品を封入するステップと、
(2)溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する蒸気を提供するステップと、
(3)容器の外部にある膜の側へガスの別の流れを提供して、それにより第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させて濃縮蒸気を生成する、ガスの別の流れを提供するステップと、
(4)滅菌を可能にするのに十分な時間にわたって物品を濃縮蒸気と接触させたままにするステップと、
を含む、方法を提供する。
【0041】
好ましくは、膜は微生物を透過不可能であり、物品は容器内で滅菌されて無菌で保管される。
【0042】
好ましい実施の形態では、例えば35%の濃度の過酸化水素水溶液が最初に気化され、続いて蒸気が1つのチャンバ内で膜を通した水の除去によって濃縮される。続いて、濃縮蒸気は、定義されたような膜を壁又はその一部として有する袋又は他の容器であることが望ましい別のチャンバに入れられて、続いてこのチャンバがシールされる。これにより、物品を第2の容器内で滅菌して無菌で保管することができると共に、残留している過酸化水素及び水の除去が可能となる。好ましくは、本発明は特に、過酸化物濃度が70重量%を超え、水濃度が30重量%未満である蒸気を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(曲線A)大気圧での濃度に伴う水/過酸化物混合物の沸点の変化の仕方、及び(曲線B)ガス組成の変化の仕方を示す、米国特許第4,797,255号明細書からの図の再掲である。
【図2】本発明の第1の単純な実施形態の図である。
【図3】本発明の予備濃縮器を示す滅菌装置の図である。
【図4】本発明の予備濃縮器を示す滅菌装置のより詳細な概略図である。
【図5】本発明のさらなる実施形態を示す。
【図6】本発明の一実施形態における蒸気及び対向流の流れパターンを示す。
【図7】積層アレイを用いるような本発明の実施形態で膜を隔てるために用いられ得るプレートを示す。
【図8】本発明の膜濃縮器からの結果を示す。
【図9】本発明の装置と共に消毒配置にある超音波プローブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明を滅菌及び消毒に関して説明するが、本発明の予備濃縮器及び予備濃縮方法を、例えば薬剤の送出、塗装/印刷、食品の調製、材料の製造等、濃縮蒸気が望まれるさまざまな分野において使用できることが理解されるであろう。例えば、いくつかのそのようなプロセスが説明されており(米国特許第6,451,254号明細書、米国特許第6,673,313号明細書、及び米国特許第6,656,426号明細書)、それらはすべて、溶液を気化させる前に、真空ポンプによって水を優先的に蒸発させるように圧力を下げて水を除去することにより、過酸化水素溶液を濃縮することを必要とする。
【0045】
本発明の包括的な予備濃縮プロセスは、以下に照らして行われ、図3を参照して見ることができる。滅菌対象の物品1が、滅菌チャンバ2に入れられる。滅菌チャンバ2は、任意の適当な容器であり得るが、膜からできている袋、又は膜の窓3を有するシール容器であることが有利である。
【0046】
本発明の予備濃縮器チャンバ4が、滅菌チャンバ2の上流に接続される。滅菌チャンバ2及び予備濃縮器4は、予備濃縮器と滅菌チャンバとの間の流れを弁5によって開閉できるように接続される。
【0047】
気化器6が、予備濃縮器チャンバの上流に接続される。出発濃度が好ましくは約30%〜35%である過酸化水素溶液が気化される。
【0048】
気化器において、例えばホットプレート等の電気的に加熱された表面によって過酸化水素水が加熱され、続いて例えばインペラ、ブロア等によって気化領域から除去される。代替的に、ホットプレートに向けられるジェットによって過酸化水素水が加えられる場合、ジェットが蒸気を移動させてもよい。代替的に、蒸気は、真空によって気化器から抜き取られてもよい。
【0049】
気化器6には、バルク供給源7から連続的又は間欠的に滅菌剤溶液が供給されてもよく、又は単発投与システム、例えば1回若しくは複数回の滅菌サイクルに十分な溶液を提供するカートリッジが設けられてもよい。代替的に、滅菌溶液をカプセル内に予め包装して提供してもよく、このカプセルが気化器の発熱体と接触するように適合させた気化器内にカプセルを入れてもよい。この場合、溶液を蒸気として放出することができるようにカプセルを穿孔する手段が設けられる。
【0050】
続いて、未濃縮の過酸化水素蒸気は、気化器6の上流のファン8によって予備濃縮器4へと進められる。気化器6によって形成された蒸気は、好ましい実施形態では空気であるガス流によって運ばれる。無菌濾過空気源を必要としない点が、従来技術に対する本発明の好ましい実施形態の大きな利点である。その代わりに、本発明は、無菌でない空気を滅菌チャンバから引き出し、使用時に再循環させながら滅菌することができる。しかしながら、好ましい場合、無菌濾過空気を使用してもよい。ガス流は、必ずしも空気である必要はなく、例えば窒素若しくはアルゴン等の不活性ガスであってもよく、又は酸素若しくはオゾンであってもよい。
【0051】
一般的には、予備濃縮器4は、蒸気を膜9の一方の面10に曝露する一方で、空気流をこの膜の他方の面11にわたって移動させることによって動作する。これが、蒸気からの水の優先的な蒸発をもたらして、過酸化水素に関する蒸気の濃縮をさらに進める。水の優先的な蒸発の結果として、予備濃縮器4内の蒸気は、過酸化水素に関してさらに濃縮されて濃度が60%以上に達する。
【0052】
高濃度の蒸気が形成されると、続いてこれが滅菌対象の物品と接触する。
【0053】
予備濃縮器の動作には、2つの考えられる好ましいモードがある。
【0054】
バッチ式の濃縮プロセスである第1の動作モードでは、濃縮器4と滅菌チャンバ2との間の経路が閉じられ、35%の過酸化水素水の蒸気が、予備濃縮器チャンバ4へ送り込まれる。予備濃縮器チャンバは、続いて(両方の弁5及び12を閉じることによって)隔離され、予備濃縮器4内の蒸気が続いて濃縮される。予備濃縮器での濃縮は、過酸化物の最大濃度に達するまで行われる。この最大濃度に達すると、予備濃縮器と滅菌チャンバとの間の経路が弁5を開くことによって開かれ、濃縮蒸気が滅菌チャンバ2へ導入される。
【0055】
連続的な濃縮プロセスである第2の代替的な動作モードでは、予備濃縮器4と滅菌チャンバ2との間の経路が開いたままである。35%の過酸化水素水溶液の蒸気が、ファン8の推進によって予備濃縮器チャンバ4に入って予備濃縮器を連続的に通過する。蒸気が予備濃縮器4を通過するとき、水が優先的に除去される。予備濃縮器における蒸気の滞留時間は、予備濃縮器を出るときまでに最大限の過酸化物濃度に達するような長さであることが好ましい。
【0056】
蒸気は、予備濃縮器4に連続的に導入してもよく、又は間欠的に、例えば2分間の期間にわたって例えば2秒間オン/18秒間オフ、若しくは5秒間オン/15秒間オフにして導入してもよい。
【0057】
しかしながら、バッチ式モードa)又は連続モードb)のいずれが使用されるかにかかわらず、さらには連続モード又はバッチ式モードの何らかの組み合わせが使用される場合でも、予備濃縮器4を出て滅菌チャンバ2に入る蒸気は、達成可能な最大の過酸化水素濃度にあることが好ましい。
【0058】
濃縮蒸気は、滅菌チャンバ2に導入されると、滅菌対象の物品1に接触して表面の病原菌に対して作用する。このとき、滅菌チャンバ2を予備濃縮器4からシールすることができる。続いて、濃縮蒸気が滅菌対象の物品に接触を許される。滅菌対象の物品は、必要になるまで滅菌チャンバ内に保管しておくことができる。これにより、残留している過酸化水素及び水の除去も可能になる。
【0059】
各ステップをさらに詳述すると、図4に示されているように、サイクルは、気化チャンバ6内での27%〜35%の過酸化水素の気化から始まる。気化器は、連続的に、又は気化が間欠的であるように適当なデューティサイクルに従って機能し得る。蒸気は、由来するバルク溶液と同じ組成を有する。
【0060】
生成されると、蒸気は、ブロアファン8によって膜濃縮器システム4へと搬送され、そこで蒸発によって濃縮される。
【0061】
膜濃縮器4は、反対側に別の空気流がある膜層にわたって蒸気が流れる多層デバイスであることが好ましい。水及び過酸化水素の分圧差に起因して、膜濃縮器において水蒸気の一部の選択的な除去が生じる。蒸気は、所定の濃度で、又は過酸化水素の濃縮がそれ以上生じることがないように「最後まで」濃縮されて濃縮器を出る。
【0062】
単純な一実施形態では、図2に見られるように、膜濃縮器は、流れ層、エンドプレート、タイロッド、及び膜シートという4つの主要構成要素から成るモジュール式の積み重ね可能なアセンブリである。図5は、濃縮器モジュールの好ましい積み重ねを示している。
【0063】
流れ層10及び11は、内側の大きな開放領域及び外縁と平行に延びる4つのスロット(坑道)を有する薄い正方形又は矩形のプレート12によって画定され、4つのスロット(坑道)のうち2つがスロットを介して内側空間に接続されている。流れ層の向き(正方形断面が使用される場合)によって、任意の特定の坑道に共通する層の数が決まるため、この組み立て法によって2つの異なる流線で単一のアセンブリを動作させることができる。
【0064】
エンドプレート13は、膜アセンブリへの外部の配管又はデバイスの接続を可能にし、各エンドプレートが、2つの坑道スロットに対応する2つの接続点を有する。これらのエンドプレートのスロットは、流れを接続ごとに1つの特定の坑道へ向けるマニホルドを形成し、接続は、それらが確実に異なる坑道にアクセスするように互いに90度ずれている。
【0065】
例えば、5つの流れ層が、交互の向き、すなわち互いに90度の向きで互いに上下に積み重ねられ、膜材料のシートによって隔てられている場合、一方が2つの流れ層15を有し他方が3つの別個の流れ層16を有している2つの流れ層群が、ブロック内に形成される。これらの流れ層は、蒸気接続(この場合は15)又は直交流/対向流接続(この場合は16)に割り当てられ、それらの流量の調節によって拡散の制御が可能である。
【0066】
タイロッドは、エンドプレート間で層を圧縮して蒸気シールを作り出すために使用されるが、ブロックを適切なシール配置で嵌め合わせることを可能にする任意の設計を使用さすることができる。膜材料9は、層間のガスケットとしても働く。
【0067】
周囲温度での過酸化水素の蒸気圧は無視できる程度であり、膜濃縮器では水が優先的に蒸発する。しかしながら、システムを出るいずれの過酸化水素の流れに対する予防措置として、対向流は触媒分解器モジュールに直接取り込まれてそこで安全に処理される。
【0068】
この例の膜9は、ポリプロピレンを用いており疎水性で細菌侵入に耐性がある内層を有する3層の無塵積層布地である、KIMGUARD(商標)製であることが好ましい。2つの外層が、耐摩耗性及び強度を与える。この布地は、多層布地であるため実際の孔径はないが、粒子の通過を0.2ミクロン未満の粒子に限定する蛇行路を提供する微視的なチャネルがあるため透過性であり、すなわち0.2ミクロン未満の微生物に対しては非透過性である。この布地は、布地のチャネルを通して過酸化水素蒸気又は水蒸気を透過させることができる。これらのチャネルは、チャンバ内への細菌の通過を許さない。Kimguardは、3.8kPaの静水撥水性(疎水性の指標)と、70ニュートンの横寸法引張荷重及び130ニュートンの縦方向引張荷重とを有する。
【0069】
膜9は、水の除去を促進する一方で微生物を透過不可能である任意の他の適当な膜であってもよい。水蒸気及び過酸化水素蒸気を透過可能であり細菌を透過不可能である他の布地及び膜、例えばTYVEK(商標)及びSPUNGUARD(商標)を用いることができる。しかしながら、ここで用いられる条件下では、TYVEK(商標)よりもKIMGUARD(商標)の方が過酸化水素蒸気に対して2倍〜3倍も透過性が高いことが分かっている。本明細書で後述するように、NAFION(商標)(親水性である)等の他の膜材料を使用することもできる。
【0070】
NAFION(商標)は、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ3,6,ジオキサ−4−メチル−オクテン−スルホン酸の共重合体である。このような材料は、親水性であり、非常に大量の水和水を有する。NAFION(商標)は、22重量%の水を吸収することができる。この変形形態では、吸収が一次反応として進行する。浸透気化法と呼ばれる連続プロセスで、水分子が膜を通過し、続いて外部の湿度との平衡に達するまで周囲空気中に蒸発する。膜の外側における外部空気流が、外表面から水分を迅速に除去させ、浸透気化法プロセスを加速する。分子が開いた孔を通って単に拡散する単純な透過とは異なり、浸透気化法では、膜は、分子を膜の片側から他方の側へ選択的に引き出すのに有効であり、これを異なるタイプの化学分子ごとに異なる速度で行うことができる。
【0071】
上述の実施形態では、滅菌剤は、溶媒として働く35重量%の水溶液としての過酸化水素溶液である。水は、過酸化物との併用に好ましい溶媒である。大気圧において、水は100℃で沸騰するが、過酸化水素は151℃よりも高い温度で沸騰する。過酸化水素は、760mmにおいて151.4℃で沸騰する。米国特許第4,797,255号明細書からの図1は、(曲線A)大気圧での濃度に伴う水/過酸化物混合物の沸点の変化の仕方、及び(曲線B)ガス組成の変化の仕方を示す。図示のように、純水は、大気圧において100℃で沸騰する。蒸気中の過酸化水素の濃度が、大気圧において100℃未満ではごくわずかであることが図1から明らかである。
【0072】
水のほかに、溶媒は、例えば使用される滅菌剤と組み合わせて選択される水性又は非水性のアルコールであってもよい。水にエチルアルコールを添加することで、溶媒の沸点を低下させる共沸混合物が得られ、そうしない場合に可能な温度よりも低い温度で水を「留去する」ことが可能になる。他の共沸剤の添加も、同様に有益であると考えられる。蒸気からの水等の溶媒の除去を促進するための共沸混合物の使用は、本発明の範囲内にある。いくつかの殺生物剤に関して、非水性の溶媒又は適当な溶媒の組み合わせを使用することができることが想定される。
【0073】
過酸化水素の場合、水が留去されるにつれて滅菌剤の濃度が上昇する。35%の過酸化物溶液が本発明において出発材料として使用される場合、得られる蒸気の過酸化物の濃度は、例えば60%〜80%となるであろう。これには、出発材料を比較的安全に取り扱うことができ、プロセス中に濃縮が生じ、その後でそれ以上過酸化物を取り扱う必要がないという利点がある。
【0074】
35%よりも低い濃度又は高い濃度の溶液を、出発材料として使用することができ、1%又は3%の過酸化水素溶液並びに40%の溶液で優れた結果が得られている。記載されている好ましい実施形態は、滅菌剤として過酸化水素水溶液を使用しているが、他の過酸化物及びペルオキシ化合物の溶液、並びにペルオキシ錯体の溶液(有機溶媒中の非水溶性の錯体を含む)が使用されてもよい。ハロ化合物、フェノール化合物、ハロゲンフェノール化合物、及び他の既知の殺生物剤を含むがこれに限定されない、過酸化物以外の滅菌剤も、溶媒を適切に選択して本発明において使用することができる。
【0075】
消毒対象の物品が、超音波プローブ20、例えば診断の目的で体腔へ挿入可能なタイプのプローブの一部である例では、(図9に例示されているように)プローブ20の処理対象の部分がチャンバ2内に封入される。この場合、チャンバは、物品全体がチャンバ内にある必要がなく、プローブの処理対象の部分のみを封入処理するように設計される特別な形状のチャンバである。プローブは、電源コードがプローブに入る場所であるパッキン押えを囲むシールによって、チャンバ内に懸架することができる。
【0076】
続いて、蒸気がチャンバ2内へ搬送され、標的表面に施される。超音波デバイスは、デバイスのパネルのいずれかを介してチャンバに挿入され得る。考えられる1つの入れ方は、ねじ蓋を介して上からであり、チャンバへの挿入時にデバイスのコードがねじ蓋に締着されて所定位置に保持される。濃縮器からチャンバへの蒸気の通過は、逆止弁5によって調節される。逆止弁5及び12は、デバイスがバッチ式、連続、又は両方の何らかの組み合わせのいずれで動作するかを制御することができる。
【0077】
デバイスがバッチ式で動作する場合、濃縮が生じた後の適時に弁5が開かれる。
【0078】
デバイスが連続的に運転される場合、弁は開いたままであり、蒸気の流量及び滞留時間が、チャンバを出るときに最大であるように事前に較正される。
【0079】
通常、チャンバ2は、ステンレス鋼又はアルミニウム等の熱伝導性の金属で構成される。過酸化物の分解の危険を減らすために、テフロン等のさまざまなコーティングをチャンバの内部に施すことができる。消毒チャンバは、導電性金属表面に施されるヒータトレースワイヤを使用して電気的に加熱される。代替的又は付加的に、加熱した空気をチャンバに吹き込むことができる。ブロアに供給されるチャンバ雰囲気は、チャンバの入口の反対側に配置される別のチャンバ接続部からもたらされる。チャンバ自体は、気化サイクル(約1分〜1.5分)が完了すると作動する弁によって、発生及び循環回路から隔離される。この隣接回路からの隔離は、「停止時間」又はより一般的には「保持」時間と呼ばれる。
【0080】
処理対象の物体1の表面は、表面を滅菌するのに十分な時間にわたって蒸気に曝露される。得られる濃縮蒸気は、接合面の透過及び直接的には露出されていない閉塞面の処理に極めて有効である。
【0081】
チャンバ2は、膜又は布地で完全に形成されてもよく、又は少なくとも一部が膜又は布地である壁を有してもよく、本明細書に記載のプロセスの要件を考慮した任意の適当な形状及び設計とすることができ、微生物を透過不可能である任意の方法でシールすることができる。本明細書に提示した教示に基づいて、他の膜又は布地を選択することができる。容器は、気化器回路に永久接続されてもよく、又は管・挿口接続、適当なコネクタ、若しくは他の手段によって着脱可能であってもよい。
【0082】
停止時間(約1分〜2分)が完了すると、システムは、触媒分解モード又は単純に「空」に移行する。このサイクルにおいて、吸引ファンが作動してチャンバにつながる逆止弁を操作する(圧力下で開く)一方で、別の弁が新鮮な空気を制御された速度でチャンバに入れることができる。このサイクルは、蒸気を触媒分解器モジュールへ移動させ、触媒分解器モジュールにおいて、触媒を使用して過酸化水素が無害な水蒸気及び酸素に変換される。触媒分解器モジュールは、金属酸化物焼成セラミックハニカム層で、同様に処理されて適切な容器に梱包されたセラミックビーズを挟んで構成される。触媒の量は、チャンバから抽出される過酸化物の量及びチャンバからの流量に比例する。このサイクルの完了には約1分を要し、完了すると、チャンバにアクセスして消毒された標的デバイスを取り出すことができる。滅菌の達成はより厄介であり、滅菌の達成に要する時間が大幅に長くなり得ることを理解されたい。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態では、接続導管を横切って検出器まで赤外線ビームを通してビームの減衰を測定することによって、予備濃縮器から滅菌チャンバへ通過する蒸気の蒸気密度を測定することができる。赤外線は、好ましくは、過酸化物蒸気があればそれを示す周波数であることが好ましい。蒸気の組成、温度、及び滞留時間を知ることで、所望であれば結果の認証が可能となる。
【0084】
予備濃縮器は、過酸化物を所定の理論上の最大濃度で含む蒸気を常に出力するように動作させることにより、滅菌プロセスのいずれの時点でも過酸化物の濃度を判断する必要をなくすことができる。
【0085】
本発明は、滅菌剤又は消毒剤としての過酸化水素に関して本明細書で説明されているが、他の過酸化物、ペルオキシ化合物、又はいずれかの錯体を使用することができる。ハロゲン化殺生物剤、フェノール系殺生物剤、及び四元化合物殺生物剤を含むがこれに限定されない、他の種類の殺生物剤を使用することもでき、水以外の溶媒を使用することが有利であり得る。同様に、本発明は、主に35%の過酸化物を有する出発溶液に関して本明細書で例示されているが、他の出発濃度も、約20%〜35%の間の濃度が好ましいものを使用することができる。
【0086】
本明細書で教示される原理を、減圧を必要とせずに、膜を通した透過又は浸透気化法によるそのような蒸気プロセスで過酸化物を濃縮するために適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を濃縮する装置であって、
蒸気流導管と、
対向流導管と、
を備え、前記蒸気流導管及び前記対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定する、蒸気を濃縮する装置。
【請求項2】
前記蒸気流導管と連通する気化器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記対向流導管に入る対向流の湿度を制御する湿度制御手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
複数の交互に並ぶ蒸気流導管及び対応の対向流導管をさらに備え、
前記各蒸気流導管及び隣接する対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
交互に並ぶ蒸気流導管及び対向流導管は、層状構成である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
交互に並ぶ蒸気流導管は、同心で同軸の管状配置である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
蒸気流導管と、
少なくとも2つの対向流導管と、
を備え、前記蒸気流導管及び前記対向流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つの蒸気流導管と、
交互に並ぶ流導管と、
を備え、前記対向流導管及び前記蒸気流導管の少なくとも一部が、膜の両側それぞれを画定する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
各蒸気流導管は入口及び出口を備え、各対向流導管は入口及び出口を備え、前記蒸気流及び前記対向流は、同じ方向又は逆方向である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
各蒸気流導管は入口及び出口を備え、各対向流導管は、前記蒸気流の方向に対して角度を成す方向に対向流を向ける、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
溶媒中の有効成分を含み第1の有効成分:溶媒比を有する溶液から濃縮された有効成分を生成する方法であって、
(1)前記溶液を気化して、有効成分の濃度がほぼ前記第1の比にある蒸気を形成する、気化するステップと、
(2)膜の第1の側へ前記蒸気の流れを提供するステップと、
(3)前記膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより前記第1の側における前記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
を備える、溶媒中の有効成分を含み第1の有効成分:溶媒比を有する溶液から濃縮された有効成分を生成する方法。
【請求項12】
蒸気を濃縮する方法であって、
(1)膜の第1の側へ、溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する蒸気の流れを提供するステップと、
(2)前記膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより前記第1の側における前記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
を備える、蒸気を濃縮する方法。
【請求項13】
前記有効成分は殺生物剤であり、前記濃縮蒸気を用いて物品を消毒及び/又は滅菌する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒は水である、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記有効成分は過酸化水素又はペルオキシ化合物である、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の有効成分:溶媒比は35重量%未満である、請求項11ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の有効成分:溶媒比は60重量%を超える、請求項11ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ガスの対向流は、前記第2の比がそれ以上増大することがない平衡比に達するような速度及び時間で提供される、請求項11ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスは空気又は調湿空気である、請求項11ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記布地又は膜は、織布若しくは不織布、又はシート若しくはフィルム、又はそれらの組み合わせであり、且つ単層構成又は多層構成である、請求項11ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記膜は疎水性である、請求項11ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記膜はKimguardである、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記膜は浸透気化法に適する、請求項11ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記蒸気は、過酸化物の初期濃度が6%〜35重量%である過酸化物水蒸気である、請求項11ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記膜は、浸透気化法のプロセスによって1つ又は複数の蒸気を除去するように選択される、請求項11ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
物品を消毒又は滅菌する方法であって、請求項9ないし25のいずれか1項に記載の方法によって濃縮された適当な殺生物溶液を、蒸気として前記物品と接触させることを含む、物品を消毒又は滅菌する方法。
【請求項27】
物品を消毒又は滅菌する方法であって、
(1)溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する溶液を気化するステップと、
(2)膜の第1の側へ前記蒸気の流れを提供するステップと、
(3)前記膜の第2の側へガスの別の流れを提供して、それにより前記第1の側における前記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させる、ガスの別の流れを提供するステップと、
(4)前記ステップ2からの前記蒸気を、前記物品を消毒又は滅菌するのに十分な時間にわたって該物品と接触させるステップと、
を備える、物品を消毒又は滅菌する方法。
【請求項28】
大気圧以上で実行される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
大気圧未満で実行される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ガスの対向流は、前記第2の比がそれ以上増大することがない平衡比に達するような速度及び時間で提供される、請求項27ないし29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
物品を消毒又は滅菌する方法であって、
(1)少なくとも一部が膜である壁を有する容器内に前記物品を封入するステップと、
(2)溶媒中の有効成分から成り第1の有効成分:溶媒比を有する蒸気を提供するステップと、
(3)前記容器の外部にある前記膜の側へガスの別の流れを提供して、それにより前記前記第1の有効成分:溶媒比を該第1の有効成分:溶媒比よりも大きい第2の有効成分:溶媒比へ増大させて濃縮蒸気を生成する、ガスの別の流れを提供するステップと、
(4)滅菌を可能にするのに十分な時間にわたって前記物品を前記濃縮蒸気と接触させたままにするステップと、
を備える、物品を消毒又は滅菌する方法。
【請求項32】
前記膜は、微生物を透過不可能であり、前記物品は、前記容器内で滅菌されて無菌で保管される、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−517737(P2010−517737A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547491(P2009−547491)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000108
【国際公開番号】WO2008/092203
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508034624)サバン ヴェンチャーズ ピーティーワイ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】