説明

膨張性成形バルーン

チューブを形成する少なくとも二つの螺旋状包装パス、および該チューブに連結される膨張手段を有する膨張装置が提供される。該チューブは、多断面セグメント化領域を有する低プロフィール連続膨張装置を形成する少なくとも一つの領域中に構成され接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張性バルーン、さらに詳細には、医療処置用の膨張性成形バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテルは技術上周知である。こうしたカテーテルは、狭窄血管の拡張、ステントおよび他の移植片の配置、血管の一時的な閉塞、脊柱コンパクション、脊椎圧縮およびコンパクション、血管用途、および他の医療処置を含む多様な医療処置に用いられる。
【0003】
一般的な用途において、バルーンは血管系における望ましい位置に進められる。次に、バルーンは医療処置により圧力膨張する。その後、圧力をバルーンから抜き、放置してバルーンを収縮させ、カテーテルの除去を可能とする。バルーンが、容易に圧力膨張し、なお、また、膨張圧力を抜くと容易に収縮する材料から形成されねばならないことは理解することができる。
【0004】
これらなどの処置は、一般に、低侵襲的であると考えられ、多くの場合、患者の身体への悪影響を最小化するやり方で行われる。結果として、カテーテルは、多くの場合、処理しようとする領域から離れた場所から挿入される。例えば、冠動脈を含む血管形成術の間、バルーンカテーテルは、一般的に、患者の鼠径部の大腿動脈中に挿入され、次に、こうした血管を通して患者の冠動脈中に入る。これらのカテーテルは、一般的に、ある種の造影剤を含んで、処置を行う医者が身体を通してのカテーテルの進行を監視することを可能とする。しかし、カテーテルのバルーン部分が医者には見えないので、バルーンは医者の注意なしでは過剰膨張することが可能である。これは、特に、膨張バルーン材料の最大応力をいっそう容易に超えることができ、バルーンが破裂するかまたは破壊されることを引き起こすので、大きな径のバルーンが医療処置に用いられる場合に関係する。
【0005】
バルーンカテーテル装置の二つの主形体、コンプライアントおよびノンコンプライアント形体がある。血管形成術用カテーテルは、小型で小径断面に折り畳まれた、比較的強いが、しかし、一般に非弾力性の材料(例えば、ポリエステル)製のバルーンを用いる。これらの比較的硬いカテーテルは、血管中の小型で堅い堆積物に対して用いられる。強度および剛性に対する必要性のせいで、これらの装置は、格付け径に応じて、通常約8以下〜12気圧の高い膨張圧力を用いるように格付けされる。それらは、それらが通常定格径以下に膨張し、過大な加圧のせいでの破裂までこの径を超えて感知できるほどには膨張しない点において、径に関して自己限定的である傾向にある。バルーンの非弾力性材料は、一般に、小型の堆積物に有効であるが、一方で、それは収縮すると不均一に潰れやすく、バルーンが膨張前にあったものよりも実質的に大きな断面積の平らな折り畳まれたバルーンを残す。これらタイプのバルーンの収縮時平らな断面を取る傾向性のせいで、収縮最大幅は、piを掛けた定格径の2分の1に相当する寸法に近づく傾向がある。この拡大し折り畳まれたバルーンは、とりわけ小さな血管から除去することが困難であることが可能である。さらに、これらのバルーンが非弾力性材料から作製されるので、それらの収縮を終わらせるための時間は弾力性バルーンよりも本質的に遅い。
【0006】
対照的に、塞栓摘出術用カテーテルは、バルーンとして柔らかく極めて弾力性のある材料(例えば、天然ゴムラテックス)を用いる。これらのカテーテルは、ラテックスなどの柔らかく粘着性の材料が有効な抽出手段を提供する血栓などの柔らかい堆積物を除くために用いられる。ラテックスおよび他の高弾力性材料は、一般に、内圧の増大と共に材料が破裂するまで連続的に膨張する。結果として、これらのカテーテルは、一般に、望ましいサイズまで適正に膨張させるために、体積(例えば、0.3cc)で評価される。比較的弱いけれども、これらのカテーテルは、それらが膨張および続く収縮後それらの初期サイズおよび寸法にすぐに戻る傾向があるという利点を有する。これらのタイプのバルーンカテーテルに用いられるエラストマー材料の弱い性質は、それらの用途を一般的に4〜5mm径未満の小さな径のバルーン用途に制限してきた。膨張性バルーン材料中に生じる応力は、フープ応力と定義され、膨張圧力と膨張バルーン内径の積を膨張バルーンの壁厚で割った関数である。従って、フープ応力はバルーン径の増大と共に直線的に増大する。それゆえに、塞栓摘出術用弾力性バルーンカテーテルを強化するための努力がなされてきた。
【0007】
エラストマー系および非エラストマー系両方の材料から構築される一部のカテーテルバルーンは、これまで記載されてきた。米国特許第4,706,670号明細書には、エラストマー系チューブ製で縦方向に非弾力性のフィラメントにより強化されたシャフトにより構築されるバルーン膨張カテーテルが記載されている。この装置は、バルーンが膨張する際に、バルーン部の長さの減少のオフセットを可能とするために、シャフトの可動部分を組み込む。一つの改善されたバルーンは、バルーン部中の強化フィラメントを教示する米国特許第4,706,670号明細書中に開示されている。米国特許第5,647,848号明細書には、連続モノフィラメント、アラミド、ポリエチレン、鋼、ポリエステル、ガラス、炭素、およびセラミックスの束を含む螺旋状に延びる繊維からなる構造体が教示されている。繊維は、バルーンを加圧していない時にバルーン軸に対して中立角度54.73度未満である角度で置かれるように、エラストマー中に位置付けられる。硬い繊維の利用により、バルーンは、その十分膨張した状態においてノンコンプライアントである。バルーンの構成成分の独立の動きに関しては望ましいが、剛性の違いは、バルーンおよび繊維の構成に応じて、エラストマー系バルーン中に望ましくない歪モーメントを導入することができる。
【0008】
弁形成術、大動脈ステントグラフト配置、小児縮窄症、ASD/PFO(心房中隔欠損症/卵円孔開存症)用サイジングバルーン、心内膜処置、ステント配置および椎体形成術を含む脊椎圧縮およびコンパクションなどの一部の医療処置は、比較的大きな径のバルーン(サイズ)の使用を必要とすると共に、膨張および続く収縮の後にその初期のサイズおよび寸法に戻るであろう小さな未膨張径を有するバルーンから大きな恩恵を受けるであろう。弾力性バルーンカテーテルを強化するための手段は、現在、大径バルーン用途に対する低プロフィールおよび高破裂圧力両方の要求事項に対応できていない。従って、膨張時に形状プロフィールを保持することができると共に、高い膨張圧力に耐えることができる大径バルーンに対する技術上の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、多様な手術処置においてカテーテルと共に用いるために適する成形バルーンを提供する。本発明の成形バルーンは、大きな外径に到達し、それらの形状を保持しながら高い膨張圧力に耐えるように作製することができる。これらのバルーンは収縮時にそれらの膨張前の形状に近づく収縮を示す。加えて、本発明の成形バルーンは、膨張バルーンの中心または開放領域を通して血流を提供するように作製することができる。さらに、本発明の成形バルーンは、膨張バルーンの中心部分を通して装置または放射性元素などの処理元素を搬送する目的のためのカテーテルに取り付けることができる;あるいは、二つのバルーンは、血管、チューブまたはオリフィスの中心でデバイスまたは処理元素を集中させるために用いることができる。
【0010】
本発明の成形バルーンは、成形バルーン中に構成され、その形状に固定される中空体に形成される複数の包装複合フィルム層を含む。この構成された成形バルーンを材料の外側構成層とともに重ね合わせることおよびヒートセットすることを含む形状を固定するための手段が提供される。好ましい実施態様において、複合フィルムは、高強度多孔質強化ポリマーおよび多孔質強化ポリマーの少なくとも片側面上に被覆されるポリマーの連続相を含む。さらに好ましい実施態様において、多孔質強化ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。ePTFE膜はエラストマーにより被覆され、該エラストマーはePTFE膜の孔中に吸収され、それらを埋める。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】開放領域を有する膨張折り畳み成形バルーンの遠心端略図を示す。
【図2】開放領域なしでの膨張折り畳み成形バルーンの遠心端略図を示す。
【図3】多孔質強化ポリマー上の二つのポリマー皮膜層を有する複合フィルムの断面図を示す。
【図4】多孔質強化ポリマー上の一つのポリマー皮膜層を有する複合フィルムの断面図を示す。
【図5】二つのポリマー皮膜層および多孔質強化ポリマー全体を通して吸収されるポリマーを有する複合フィルムの断面図を示す。
【図6】芯ワイヤー周りに螺旋状に包装される複合フィルムの略図を示す。
【図7】非膨張領域を形成する第2包装体層の略図を示す。
【図8】バルーン長さに沿って多くの非膨張領域の略図を示す。
【図9】膨張バルーン長さに沿っての多くの非膨張領域の略図を示す。
【図10】外側構成層を有する膨張折り畳み成形バルーンの略図を示す。
【図11】カテーテルに取り付けられ、血管中に配置される膨張折り畳み成形バルーンの略図を示す。
【図12】カテーテルに取り付けられ、血管および血流中に配置される膨張折り畳み成形バルーンの略図を示す。
【図13】カテーテルに取り付けられ、二つのバルーン間に固定される処理元素を有する血管中に配置される二つの膨張折り畳み成形バルーンの略図を示す。
【図14】外側構成層を有する螺旋状に成形されたバルーンの略図を示す。
【図15】開放領域を有する螺旋状に成形されたバルーンの略図を示す。
【図16】中空中心多室バルーンを示す。
【図17】中空中心コイル状バルーンを示す。
【図18】コイル状バルーンを示す。
【図19】処理装置を有する螺旋成形バルーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は多様な手術処置で用いるための成形バルーンカテーテルを提供する。成形バルーンは、高膨張圧力に耐えながら大きな外径を得ることができる。バルーンはカテーテルに取り付けることが可能であり、バルーン材料の少なくとも二つのパスからなる。
【0013】
本発明のバルーン材料は、多孔質強化層および連続ポリマー層を含む複合フィルムである。多孔質強化ポリマー層は、シート形体で作製することができる薄くて強い多孔質膜である。多孔質強化ポリマーは、オレフィン、PEEK、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、およびポリテトラフルオロエチレンに限定されないがそれらを含むポリマー群から選択することができる。多孔質強化ポリマーは、バシーノ(Bacino)への米国特許第5,476,589号明細書または米国特許出願第11/334,243号明細書の教示に従って作製される延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。
【0014】
一つの好ましい実施態様において、ePTFE膜は、一つの方向に高度に方向付けられる(延伸される)ように異方性である。690メガパスカルを超える1方向におけるマトリクス張力値を有するePTFE膜は好ましく、960メガパスカルを超えるものはなおさらに好ましく、1,200メガパスカルを超えるものは最も好ましい。ePTFE膜の例外的に高いマトリクス張力値は、複合材料が膨張バルーン構造における極めて高いフープ応力に耐えることを可能とする。加えて、ePTFE膜の高いマトリクス張力値は、極めて薄い層が用いられることを可能とし、これは収縮バルーンプロフィールを縮小する。小さなプロフィールは、バルーンを小さな動脈または静脈またはオリフィス中に位置付けることができるために必要である。バルーンが身体の一部の領域中に位置付けられるために、バルーンカテーテルは小さな曲がり半径を通して動くことができねばならず、より薄い壁付きチューブは、一般的に、一段としなやかであり、このようにして血管壁に折り目を付けたり、損傷を引き起こすことなしで、曲げることができる。
【0015】
別の好ましい実施態様において、ePTFE膜は比較的機械的に均質である。機械的にバランスの取れたePTFE膜は、それから作製される複合フィルムが耐えることができる最大のフープ応力を増大させることができる。
【0016】
本発明の連続ポリマー層は、多孔質強化ポリマーの少なくとも一つの側面上に被覆される。連続ポリマー層は、好ましくは、コポリマーを含む芳香族および脂肪族ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、シリコーン、好ましくは熱可塑性シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、THVおよびラテックスに限定されないがそれらなどのエラストマーである。本発明の一つの実施態様において、連続ポリマー層は多孔質強化ポリマーの1側面上だけに被覆される。連続ポリマー層は多孔質強化ポリマーの両側面上に被覆される。好ましい実施態様において、連続ポリマー層は多孔質強化ポリマー中に吸収され、吸収ポリマーは多孔質強化ポリマーの孔を埋める。
【0017】
連続ポリマー層は、積層、トランスファ・ロール被覆、巻線棒被覆(wire-wound bar coating)、逆巻被覆、および溶液被覆または溶液吸収に限定されないがそれらを含むあらゆる従来法を通して多孔質強化ポリマーに塗布することができる。好ましい実施態様において、連続ポリマー層は多孔質強化ポリマー中に吸収される溶液である。この実施態様において、連続ポリマー層は、適する溶媒中に溶解し、巻線棒被覆法を用いて多孔質強化ポリマー上に且つその全体を通して被覆される。被覆多孔質強化ポリマーは、次に、溶媒オーブンを通過し、溶媒は多孔質強化ポリマー上に且つその全体を通して被覆される連続ポリマー層を残して除去される。シリコーンが連続ポリマー層として用いられる場合などの一部のケースにおいて、被覆多孔質強化ポリマーは溶媒の除去を必要としないことが可能である。別の実施態様において、連続ポリマー層は、多孔質強化ポリマーの少なくとも一つの側面上に被覆され、それが続いて硬化することができる「素地」状態に保持される。例えば、紫外線(UV)硬化性ウレタンは、連続ポリマー層として用い、多孔質強化ポリマー上に被覆することが可能である。多孔質強化ポリマーを含む複合フィルムおよびUV硬化性ウレタン連続ポリマー層は、次に、包装してバルーンの少なくとも一つの層を形成し、続いてUV線にさらし、硬化することができる。
【0018】
個々のパスはバルーンの縦軸に関して類似の角度で置かれるバルーン材料の1以上の層からなる。一つの層は別の厚さの上、周り、側または下に、包装するか、折り畳むか、置くか、または編み込むことが可能であるバルーン材料の一つの厚さであると考えられる。縦パスは、周囲または隣接部から識別可能な領域または分野を形成するために巻きつけられる材料の独特の層または一連の層を含む。例えば、一つのパスは縦軸に対して90度角度で包装されるバルーン材料の多層を含むことが可能である。次に、縦軸に関して異なる角度で包装されるバルーン材料層が、この代表的なパスの側面に位置することが可能であり、このようにしてパスの境界を規定する。
【0019】
バルーン材料の一つのパスは、螺旋状、放射状または縦に方向付けることが可能である。バルーン材料層とは、適するバルーン材料の片、糸、層、フィラメント、膜、またはシートを含むことを意味する。螺旋状に方向付けられる層において、材料は、膨張時互いに対して釣り合い力角度を形成するように方向付けられる。該層は、さらに、続くパスにおいてそれら自体の上に巻くことが可能である。
【0020】
膨張成形バルーン1は、図1に描くように、通常従来型のチューブで構成される血管形成術型バルーンにより達成可能であるであろうものよりも一段と大きな径3を有するように作製することができる。膨張成形バルーン1は、それが多くのより小さなバルーンセグメントからなるので、より大きな外径3で高膨張圧力に耐える。「成形バルーン」とは、単一管状バルーンが、管状バルーンの折り畳み、捻り、包装、巻きつけまたは他の機械操作を通して望ましい構造に構成され、次に、膨張時単一管状バルーンが望ましい構造または形状に膨張するように望ましい該構造に拘束されることを意味する。包装バルーンにおいて、包装バルーン材料パス2の少なくとも一つは外側構成層19と接触する。少なくとも二つの螺旋状包装層を有する未構成チューブを含む膨張性成形バルーンなどの膨張装置は、実質的に未構成チューブよりも短くある膨張性形体に固定することが可能である。「実質的により短い」とは、延ばされた未構成チューブが固定膨張形体よりも少なくとも20%長く、多くの実施態様において、未構成チューブ長の2倍を超えることを意味する。膨張性形体は、図1、2、および14〜18に描くように外径3を有する膨張性成形バルーンであり、バルーン中心を走り抜けると共に膨張成形バルーンの最外壁間の距離を測るラインの長さにより規定される。膨張成形バルーン1の内径4は、膨張成形バルーン1の外径3よりも小さく示される。膨張バルーンセグメント径5は、膨張成形バルーン1の外径3よりも小さく、示すように膨張成形バルーン1の外壁から内径4までを測定する。多非膨張領域6は存在することが可能である。バルーンを通しての通路を可能とする開放領域7も、また達成可能である。すべての成形バルーンが内径4を形成する中空中心を含むとは限らない。外側構成層19は、バルーンを望ましい形状に保持するために用いられる。加えて、膨張成形バルーン1は、多孔質強化ポリマー9、および多孔質強化ポリマー9の少なくとも一つの側面上の連続ポリマー層10を組み込む図3〜5に示す複合フィルム8からバルーンが作製されるので、高膨張圧に耐え、なお大きな外径3を達成することができる。図5に示すように、複合フィルムは、さらに、多孔質強化層の孔またはスペースに浸透する吸収ポリマー11を含むことが可能である。加えて、血流は図12に描くように成形バルーン1の開放領域7を通して、またはセグメントのスペース間において達成することができる。本発明の好ましい多孔質強化ポリマーはePTFE膜である。極めて薄くて強く異方性の膜は、バルーンが大きな径を達成し、高膨張圧に耐えることを可能とすることが望ましい。ePTFE膜は、大きな径のバルーンが高圧に膨張される場合に作り出される高フープ応力に耐えるために必要な強化を提供する。異方性膜は一つの方向における強度を提供するように高度に方向付けられるものである。
【0021】
本発明の成形バルーンは、複数の包装バルーンパス2を含む。該パスは類似の角度で包装されるフィルムまたは膜の1以上の層から作製される。該層は互いの上に望ましい厚さまで蓄積することが可能である。該包装体層はフィルムまたは膜からなる。本発明の複合フィルム8は、図3〜5に描くように、多孔質強化ポリマー9および連続ポリマー層10を含むことが可能である。多孔質強化ポリマー9は、好ましくは、シート形体に作製することができる薄くて強い多孔質膜である。多孔質強化ポリマー9は、オレフィン、PEEK、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、およびポリテトラフルオロエチレンに限定されないがそれらを含むポリマーの群から選択することができる。一つの好ましい実施態様において、多孔質強化ポリマー9は、ePTFE膜の参考のため本明細書に包含されるバシーノへの米国特許第5,476,589号明細書の教示に従って作製される延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。それは、異常に強くあり、異常に薄くあり、異常に小さい孔径であるが、しかし、極めて高い空気流通量を有する。それは、0.05〜0.4ミクロン間の孔径、10〜60psi間の泡立ち点、1.05〜1.20間の孔径分布値、0.9〜17ポンド/力間のボール破裂強度、20フレーザーおよび10ガーレー秒間の空気流量、1.0〜25.4ミクロン間の厚さ、および5〜200nm間範囲にある繊維径を有する。
【0022】
連続ポリマー層10は、好ましくは、コポリマーを含む芳香族および脂肪族ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、シリコーン、熱可塑性シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、THV、およびラテックスに限定されないがそれらなどのエラストマーである。本発明の一つの実施態様において、連続ポリマー層10は図4に示すように多孔質強化ポリマー9の片側上のみに被覆される。図3に描くように、連続ポリマー層10は多孔質強化ポリマー9の両側上に被覆することができる。図4に描くように、好ましい実施態様において、連続ポリマー層10は多孔質強化ポリマー9中に吸収することができると共に、吸収されたポリマー11は多孔質強化ポリマー9の孔の一部または全部を埋める。本発明の連続ポリマー層10は図3および4に描くように多孔質強化ポリマー9の少なくとも片側上に被覆される。連続ポリマー層は、積層、トランスファ・ロール被覆、巻線棒被覆、逆巻被覆、および溶液被覆または溶液吸収に限定されないがそれらを含むあらゆる従来法を通して多孔質強化ポリマーに塗布することができる。好ましい実施態様において、連続ポリマー層は図5に描くように多孔質強化ポリマーの少なくとも片側中に吸収される溶液であり、多孔質強化ポリマー9の両側上に連続ポリマー層10を形成する。この実施態様において、連続ポリマー層ポリマーは、適する溶媒中に溶解し、巻線棒被覆法を用いて多孔質強化ポリマー上に且つその全体を通して被覆される。被覆多孔質強化ポリマーは、次に、溶媒オーブンを通過し、溶媒は多孔質強化ポリマー上に且つその全体を通して被覆される連続ポリマー層を残して除去される。シリコーンが連続ポリマー層として用いられる場合などの一部のケースにおいて、被覆多孔質強化ポリマーは溶媒の除去を必要としないことが可能である。別の実施態様において、連続ポリマー層は、多孔質強化ポリマーの少なくとも一つの片側面上に被覆され、それが続いて硬化することができる未硬化状態に保持される。例えば、紫外線(UV)硬化性ウレタンは、連続ポリマー層として用い、多孔質強化ポリマー上に被覆することが可能である。多孔質強化ポリマーを含む複合フィルムおよびUV硬化性ウレタン連続ポリマー層は、次に、チューブ周りに包装して形体を形成し、次にUV線にさらし、硬化することができる。
【0023】
この好ましい実施態様において、それが一つの方向に高度に方向付けられるように異方性である。690メガパスカルを超える一つの方向におけるマトリクス張力値を有するePTFE膜は好ましく、960メガパスカルを超えるものはなおさらに好ましく、1,200メガパスカルを超えるものは最も好ましい。ePTFE膜の例外的に高いマトリクス張力値は、複合材料が膨張バルーン構造体における極めて高いフープ応力に耐えることを可能とする。加えて、ePTFE膜の高マトリクス張力値は、縮小バルーンプロフィールに役立つ極めて薄い層が用いられることを可能とする。図6に描くように、複合フィルム8の少なくとも二つのパスは、縦軸に対して反対の方向で芯ワイヤー12周りに包装されて第1バルーン材料を構成する。芯ワイヤーは、芯ワイヤー12の外表面上にフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの剥離層13により被覆または処理することが可能である。複合フィルム8は、好ましくは、膨張前に測定して芯ワイヤーの縦軸から55度未満の角度で芯ワイヤー12周りに螺旋状に包装される。該ワイヤーが複合フィルム8により包装された後に、包装パス2は加熱されて螺旋状包装層を一緒に結合する。熱、超音波溶接、または接着剤などのあらゆる適する手段は、螺旋状包装層を一緒に結合するために用いることができる。螺旋状包装層を結合した後、図7に示すように第2バルーン材料層14は、芯ワイヤー12の縦軸から約90度で第1バルーン材料上に包装される。同じかまたは異なるタイプの材料を含む複合フィルムは第2バルーン材料14用に用いることができる。第2バルーン材料層は、また図8および9に描くように、膨張の間比較的動かないままで残る非膨張領域6を形成する。包装バルーンパスの高角度および第2バルーン材料の高強度は、非膨張領域6を形成するこれらの上包領域における膨張を限定する。バルーンの容易な剥離用の芯ワイヤー12を覆う剥離層13が示される。非膨張領域6は膨張性成形バルーン1を形成する上で役立つ。図1、2、10、11、12、および13に描くように、折り畳み成形バルーン構造体において、多くの非膨張領域6が形成されると共に、折り畳み多葉性(multi-lobed)成形バルーンの膨張部分を連結する。図14および15に描くように、螺旋状成形バルーン20構造体において、バルーンは、バルーン末端に形成される非膨張領域6を有する包装バルーンパス2からなる。第2バルーン材料が上包された後、それは、次に、熱、超音波溶接、または接着剤などの適するあらゆる手段を用いて他の包装バルーン層に結合される。形成される非膨張領域により、芯ワイヤーおよびスリップ層は、螺旋状包装複合フィルム部分をワイヤー末端から切り離し、ワイヤーおよびスリップ層を、それらを除去するために引き伸ばすことにより除去される。セグメント化中空バルーンチューブが作製される。
【0024】
セグメント化中空バルーンチューブは、次に、形体に成形され、図1、2、10、11、および14〜18に描くように、加熱または外側構成層(複数を含む)19による上包を通してその形体に固定される。一つの実施態様において、中空バルーンチューブの一端をカテーテルに取り付け、他端は閉鎖密閉される。次に、中空バルーンチューブは膨張し、続いて図2に描くように成形バルーンに折り畳まれる。1以上の外側構成層19は成形バルーンの縦軸に対して類似の角度で包装することが可能である。この実施態様において、外側構成層19は折り畳み成形バルーン周りに包装され、結合される。構成層は螺旋状包装チューブを望ましい形体において一緒に結合する。外側構成層19は、好ましくは、図3〜5に描くように複合フィルム8であり、感知できるほどの膨張または拡大なしで所定の形状における膨張成形バルーンを確保するために十分な機械的強度を有する。加えて、極めて薄くて強い複合フィルムが、形状を確保するために必要とされる上包層数を減じ、成形バルーンの径を最小化するための外側構成層として用いられることは好ましい。膨張時バルーンの短縮化を防止する外側構成層用の材料を用いることは好ましい。
【0025】
別の実施態様において、中空バルーンチューブは螺旋巻き成形バルーン20に巻かれ、加熱かまたは図14に描くように外側構成層19により上包されることを通してその形状に固定される。この実施態様において、中空バルーンチューブの一端をカテーテルに取り付け、他端は閉鎖密閉され、次に、中空バルーンチューブは膨張し、続いて螺旋状に巻かれ、外側構成層により上包される。図14は、膨張バルーン径5に較べてこのバルーンにより達成されるより大きな外径3を提供する成形バルーンを描く。図15に描くように、開放領域7は螺旋巻き成形バルーン20の中心に形成することが可能である。図15は、螺旋形状バルーンの外径3よりも一段と小さくある膨張バルーン径5を有するチューブ形状バルーンに形成される包装バルーンパス2を描く。
【0026】
別の実施態様において、中空バルーンチューブは中心軸周りにコイル形状バルーン21に形成され、加熱、または図17に描くように外側構成層19による上包を通してその形状に固定される。この構造体において、中空バルーンチューブはマンドレル周りにグルグル巻き、その形状に固定することができると共に、マンドレルは、次に、図17に描くように除去し開放領域7を残すことができる。別の実施態様において、中空バルーンチューブは、図18に描くように、それ自体の周りにグルグル巻くことができ、中空バルーンチューブの一部は図18に描くように中心軸を規定する。
【0027】
なお別の実施態様において、中空バルーンチューブの長さの一部は治療デバイス18に取り付けられ、続いて図19に描くように、螺旋巻きされる。この実施態様において、カテーテル15に取り付けられる非膨張領域6を有する螺旋状成形バルーン20は、バルーンの膨張および拡張を通して治療デバイス18を望ましい位置に配置するかまたは置くために用いることができる。治療デバイスを成形バルーンから取り外すための手段は用いることが可能である。
【0028】
小さなプロフィールは、バルーンを小動脈または静脈またはオリフィス中に位置付けることができるために必要である。バルーンが身体の一部の領域中に位置付けられるために、バルーンカテーテルは小さな曲がり半径を通して動くことができねばならず、より薄い壁付きチューブは、一般的に、一段としなやかであり、血管壁に折り目をつけるか、または損傷を引き起こすことなしで、このようにして曲げることができる。
【0029】
別の実施態様において、構造層において用いられるePTFE膜は比較的機械的に等方性または均質性である。機械的にバランスの取れたePTFE膜は、それから作製される複合フィルムが実施例3に検討されるように耐えることができる最大フープ応力を増大させることができる。
【0030】
本発明の膨張成形バルーン1は包装バルーン層2および非膨張領域6を含むと共に、図10〜14に描くように外側構成層19の付加によりさらに強化することができる。外側構成層19は、本発明において記載されるように複合フィルムまたは多孔質強化ポリマーであることができると共に、接着、熱シール、UV硬化、および超音波溶接に限定されないがそれらを含むあらゆる従来型の方法を通してバルーンに取り付けることができる。好ましい実施態様において、外側構成層はePTFE膜により作製される。好ましい皮膜はウレタンである。該バルーンは非膨張領域6を含むことが可能である。図11、12、および13は血管16内側のカテーテル15の構成要素としての膨張成形バルーンを示す。図12は、さらに、血管16上の圧力を軽くするための膨張成形バルーン1の中心を通しての血流領域17を示す。
【0031】
本発明の成形バルーンは、図1に示すように膨張バルーン径5よりも大きくある外径3により達成される外径に関連して高い膨張圧力に耐えることができる。従って、本発明の膨張バルーンの最大フープ応力は、類似の外径での従来型円筒形血管形成術用バルーンのそれらよりも一段と低くある。多孔質強化ポリマーは、大いに最大フープ応力を増大させると共に、バルーンが高膨張圧力下で膨張状態の形状を保持することを可能とする。フープ応力は膨張圧力とバルーン径3の積を膨張バルーンの壁厚で割った値に比例する。所定の膨張圧力に対して、本発明の成形バルーンは、同じ材料製の従来型管状バルーンよりも一段と大きな外径3を有するように構築することができる。好ましい実施態様において、バルーンの外径3は図1に描くように膨張バルーン径5の1.5倍よりも大きくある。さらに好ましい実施態様において、外径3は膨張バルーン径の3.0倍よりも大きくあり、最も好ましい実施態様において、外径3は図16および17に描くように膨張バルーン径の5倍よりも大きくある。好ましい実施態様において、高マトリクス引張強度ePTFE膜は多孔質強化ポリマーとして用いられると共に、6mmを超える外径3を有する膨張バルーンは400メガパスカルを超えるフープ応力に耐えるように作製され、さらに好ましくは、600メガパスカルを超えるフープ応力に耐えるように作製される。
【0032】
本発明のバルーンは、あらゆる従来方式を介してカテーテルに取り付けることができる。図11〜13および15に描くような好ましい実施態様において、包装バルーン層の過剰長さはカテーテルに対してバルーンをシールするために用いられる。複合フィルムまたは多孔質強化ポリマーの追加包装体は、カテーテルに対する結合をさらに強めるために用いることができる。
【0033】
本発明のバルーンは、カテーテルに取り付けられる場合に、血管形成術、ステントまたはグラフト搬送および膨張、弁形成術、大動脈ステントグラフト配置、小児縮窄症、ASD/PFO用サイジングバルーン、心内膜処置、ステント配置、一時的近接照射療法、脊椎圧縮およびコンパクション、ならびに腸管処置に限定されないがそれらを含む種々の手術処置で用いることができる。本発明の成形バルーンは、大きな径のエラストマー系バルーンカテーテルを必要とする処置において特に有用である。好ましい実施態様において、該バルーンは、図12に描くように血管16中に配置される膨張成形バルーン1を通しての流れ17を可能とする開放領域7を有して作製される。図11に描くようになお別の実施態様において、開放領域は排除され、膨張成形バルーン1の内径4内の領域は、バルーンを通してのいかなる流れをも防止するように完全にシールされる。開放領域は折り畳み構造によりシールすることができるか、または、材料の外側構成層は全体膨張バルーンをカプセル化するために用いることが可能である。
【0034】
図13に描くように本発明のなお別の実施態様において、処理元素18は二つの膨張折り畳み成形バルーン1の間に固定され、該処理元素は血管16のほぼ中心に位置付けられる。この実施態様において、処理元素はカテーテル15を介して二つの膨張バルーン間に位置付けることが可能である。血管またはオリフィスの中心に処理元素を固定する能力は、放射性材料が一時的近接照射療法処置などの処理元素として用いられる場合に特に価値がある。膨張性成形バルーンは血管または身体中で平面部材に対して用いることができる。平面部材が膨張前に折り畳み圧縮することが可能であるようなやり方で平面部材に取り付けられる場合に、成形バルーンは膨張し、シート状部材をその元の平面形体に戻す。
【0035】
本発明の別の実施態様において、開放領域7はバルーンの膨張時に閉じるように作製することができる。これはバルーンが血管中に位置付けられ、次に、膨張すると流れを減じることを可能とするであろう。好ましい実施態様において、該バルーンは、膨張圧力の使用を介して血管を通しての流量を制御するために用いられる。なお別の実施態様において、本発明の成形バルーンは、血管を通しての流れを増大するために用いられる。血管中の増大流量が望まれる場合に、本発明の成形バルーンは開放領域を有して構成され、血管中に位置付けられ、膨張する。成形バルーンは膨張し、血管の径を増大させ、開放領域7を通しての増大流量を可能とする。別の実施態様において、膨張の間の閉鎖開放領域7を有するバルーンは、身体中への配置、搬送またはそこからの除去用のデバイスまたは組織を確保するために用いられる。
【0036】
本発明の別の実施態様において、生体吸収性ポリマーは、バルーン構築における多孔質強化ポリマーとして用いられる。生体吸収性ポリマーは、また、連続ポリマー層としても用いることができると共に、身体により吸収された後、多孔質強化ポリマーを残すであろう。本発明のこの使用は、腸または腹部ヘルニア用途、または動脈瘤用途において特別の価値があることが可能である。本発明のなお別の実施態様において、生体吸収性ポリマーは複合フィルムの構築において用いられると共に、バルーンを配置するための膨張流体として用いられる。
【0037】
別の実施態様において、本発明のバルーンは身体中の位置付け、および続く膨張後、カテーテルから取り外すように作製することができる。この実施態様において、バルーンが膨張チューブの除去後膨張したままで留まるように自己シール性であるように複合フィルムが作製されることは好ましい。別の実施態様において、膨張チューブはシールすることができると共に、カテーテルは、バルーンの位置付けおよび膨張後、膨張チューブから取り外すように作製することができる。
【0038】
なお別の好ましい実施態様において、本発明の成形バルーンは、少なくとも10気圧の膨張圧力で少なくとも10mmの膨張外径を実現し、形状プロフィールを保持することができる。別の好ましい実施態様において、本発明の成形バルーンは、少なくとも10気圧の膨張圧力で少なくとも20mmの膨張径、および5mmの軸長を実現し、形状プロフィールを保持することができる。
【0039】
本発明の特定実施態様が本明細書において説明され、記載されてきたが、一方で、本発明はこうした説明および記載に限定されるべきでない。変更および修正が、以下のクレームの範囲内で本発明の一部として包含し具現化することが可能であることは明らかなはずである。以下の実施例はさらに本発明を説明するために提供される。
【実施例】
【0040】
実施例1−試験方法
平板グリップおよび0.445kN荷重セルを備えるインストロン(INS(登録商標)TRON)1122引張試験機を用いて引張破断荷重を測定した。ゲージ長は5.08cmであり、クロスヘッド速度は50.8cm/分であった。試料寸法は2.54cm×15.24cmであった。縦MTS測定のため、試料のより大きな寸法を、ダウンウェブ方向としても知られるように縦に方向付けた。横MTS測定のため、試料のより大きな寸法を、クロスウェブ方向としても知られる縦軸方向に垂直に方向付けた。各試料をメトラー・トレド・スケール(Mettler Toledo Scale)モデルAG204を用いて秤量し、次に、試料の厚さをケーファー(Kafer)FZ1000/30厚さゲージを用いて測定した。次に、試料を個々に引張試験機上で試験した。各試料の三つの異なる部分を測定した。三つの最大荷重(すなわち、ピーク力)の平均測定値を用いた。縦および横のMTSを以下の式を用いて計算した:
MTS=(最大荷重/断面積)×(PTFEのかさ密度)/(多孔質膜の密度)
式中、PTFEの密度は2.2g/ccであると考えられる。
【0041】
実施例2−複合フィルムおよびワイヤー芯
本発明の膨張バルーンを、テコタン(Tecothane)TT−1085Aポリウレタン(マサチューセッツ州、ウォバーンのサーメディクス(Thermedics,Inc.))およびePTFE膜の複合フィルムをウレタン被覆テフツエル(Tefzel)芯ワイヤー(コネチカット州、デービルのプットナム・プラスチックス(Putnam Plastics LLC))上に包装することにより作製した。包装芯ワイヤーを熱処理し、中心ワイヤーを続いて除去して中空複合バルーンチューブを提供した。
【0042】
芯ワイヤーは、(公称)0.05mmテコタンTT−1074A皮膜を有する(公称)0.74mm径テフツエル280ワイヤーであった。参考のため本明細書に包含されるバシーノへの米国特許第5,476,589号明細書における教示に従って、複合フィルムを作製するために用いられるePTFE膜を作製した。詳細には、ePTFE膜を縦に55対1の比に延伸し、横に約2.25対1に延伸して、約3.5g/m2の質量および約6.5マイクロメートルの厚さを有する薄くて強い膜を作製した。
【0043】
それによってテコタンTT−1085Aポリウレタンとテトラヒドロフラン(THF)の溶液がePTFE膜上に被覆される巻線棒被覆法を用いることにより複合フィルムを作製した。THF中のテコタンTT−1085Aポリウレタンの3%〜8重量%溶液をePTFE膜上に被覆して、ePTFE膜の両側上且つePTFE膜全体を通してのほぼ等量のテコタンTT−1085Aポリウレタン、および全体最終複合フィルム重量の約40%〜60%の全体ポリマー重量適用により複合フィルムを作製した。
【0044】
実施例3
実施例1に記載される複合フィルムを12mm幅に細長く切り、ワイヤーの縦軸から4〜5度角度で実施例1に記載される芯ワイヤー周りを螺旋状に包装した。包装した芯ワイヤーを包装後180℃で約5〜30秒間にわたり加熱した。次に、芯ワイヤーを、ワイヤーの縦軸から4〜5度の角度で反対方向に複合フィルムで包装し、続けて180℃で約5〜30秒間にわたり加熱した。芯ワイヤーをこの第1包装体材料により反対方向に包装し、各パス後加熱する工程を、全体で12パスの包装が完了するまで繰り返した。それによってテコタンTT−1085Aポリウレタンとテトラヒドロフラン(THF)の溶液がePTFE膜上に被覆される巻線棒被覆法を用いる機械的にバランスのとれた複合フィルムから、第2包装体材料を作製した。参考のため本明細書に包含されるバシーノらへの米国特許出願第11/334,243号明細書の教示に従って、複合フィルムを作製するために用いられるePTFE膜を作製した。詳細には、ePTFE膜を縦に15対1の比に延伸し、横に約28対1に延伸して、約3.5g/m2の質量および約8マイクロメートルの厚さを有する薄くて強い膜を作製した。THF中のテコタンTT−1085Aポリウレタンの3%〜8重量%溶液をePTFE膜上に被覆して、ePTFE膜の片側上且つePTFE膜全体を通してのテコタンTT−1085Aポリウレタン、および全体最終複合フィルム重量の約40%〜60%の全体ポリマー重量適用により複合フィルムを作製した。この第2包装体層材料を約7.6mm幅に細長く切った。
【0045】
包装した芯を、ワイヤー端を締付けるためのつまみ具、および可変速回転制御を含む包装機台上に取り付けた。7.6mm幅第2包装体層材料を、互いに36mm離れた8箇所で、包装ワイヤーの縦軸から約90度で包装した。第2層包装体材料を包装ワイヤーの周辺周りに約10回の回転で包装して、約10mm幅の上包部分を作製した。次に、非膨張領域を、設定点315まで加熱した大きな平滑ハンダチップを有するウェラー(Weller)WSD81ハンダガン(ノースカロライナ州、ローリーのクーパー(Cooper Industries,Inc.))を用いて加熱した。包装ワイヤーを緩やかに回転させ、平滑ハンダチップを上包した非膨張領域上に押圧した。
【0046】
芯ワイヤーを複合バルーン構築体から除去した。複合中空バルーンチューブの約2.54cm長部分をワイヤー構築体上バルーンの30.5cm長部分の両端から除去した。ワイヤーの露出端を止血鉗子により締付け、その点でそれがチューブ中心から除去される約30cmにワイヤーが延びてしまうまで手で引張った。複合中空バルーンチューブを、包装体の低(4〜5度)角度で包装される第1層螺旋状包装複合フィルムおよびそれらの間に36mmスペースを有する6個の10mm幅の上包部分および末端での二つの非膨張性シールにより作製した。
【0047】
複合中空バルーンチューブの一端を結合して結び目とし、止血鉗子により締付け、反対端を、スピン・ロック金具を有するクオジーナメールトーヒ・ボースト(ニューヨーク州、エッジウッドのクオジーナ(Quosina Corporation)、#80343)を通して滑り込ませ、アルミニウムルアロックハブ(ミズーリ州、セントルイスのシャーウッド・メディカル(Sherwood Medical)のモデル#8881−202389)を有するモノジェクトブラントニードルを、バルーン中に約2cm挿入した。止血弁をしっかりと閉めてバルーンをシールし、次に、エンコア(Encore)26膨張装置(ミネソタ州、メープルグロ−ブのボストン・サイエンティフィック・サイムド(Boston Scientific Scimed)、カタログ番号15−105)に取り付け、食塩水により約18気圧に膨張させた。膨張は非膨張領域により分離される7個のバルーン部分またはセグメントを作り出した。
【0048】
次に、膨張バルーン部分を、図1、9、および10に描くように中心の第1バルーン部分および第1部分の周辺周りの残りの6個で折り畳むかまたは上包した。膨張した折り畳みバルーンを、次に、複合バルーンの縦軸から約90度角度で25mm幅の第2包装体層材料の2包装体により上包し、外側構成層を形成した。次に、上包折り畳みバルーンを、設定点315まで加熱した大きな平滑ハンダチップを有するウェラーWSD81ハンダガン(ノースカロライナ州、ローリーのクーパー)を用いて加熱した。平滑ハンダチップを折り畳み複合バルーンの包装外側構成層に対して静かに押圧し、バルーンの長さに沿って走らせた。この方法は約25mm長×約12〜15mm径バルーンを生成した。
【0049】
実施例4
実施例1に記載される複合フィルムを公称23mm幅に細長く切り、ワイヤーの縦軸から10〜12度角度で実施例1に記載される芯ワイヤー周りを螺旋状に包装した。包装した芯ワイヤーを包装後180℃で約5〜30秒間にわたり加熱した。次に、芯ワイヤーを、ワイヤーの縦軸から10〜12度角度で反対方向に複合フィルムで包装し、続けて180℃で約5〜30秒間にわたり加熱した。芯ワイヤーを反対方向に包装し、各パス後加熱する工程を、全体で4パスの包装が完了するまで繰り返した。次に、包装芯ワイヤーを、ピン間のスペース約30cm、および各ピン周り約180度の包装体を有するピン枠周りに包装し、オーブン中に置く前に末端で結合し、150℃で約30分間にわたり加熱した。
【0050】
芯ワイヤーを複合バルーン構築体から除去した。複合中空バルーンチューブの約2.54cm長部分をワイヤー構築体上バルーンの30.5cm長部分の両端から除去した。ワイヤーの露出端を止血鉗子により締付け、その点でそれがチューブ中心から除去される約30cmにワイヤーが延びてしまうまで手で引張った。複合中空膨張性バルーンを得た。複合中空バルーンチューブの一端を結び目で閉じ、他端をモノジェクトブラントニードルにより挿入し、クオジーナメールトーヒ・ボーストを介してエンコア26膨張装置(ミネソタ州、メープルグロ−ブのボストン・サイエンティフィック・サイムド、カタログ番号15−105)に固定した。
【0051】
バルーンを膨張させ、中心点から出発して、手動で1.5インチの膨張外径および3.5mmの高さを有する平面ディスク形状にグルグル巻きにした。次に、グルグル巻きされた膨張バルーンを、第2包装体層により上包して外側構成層を形成した。この第2包装体材料を、それによりテコタンTT−1085Aポリウレタンとテトラヒドロフラン(THF)の溶液がePTFE膜上に被覆される巻線棒被覆法を用いる機械的にバランスのとれた複合フィルムから作製した。参考のため本明細書に包含されるバシーノらへの米国特許出願第11/334,243号明細書の教示に従って、複合フィルムを作製するために用いられるePTFE膜を作製した。詳細には、ePTFE膜を縦に15対1の比に延伸し、横に約28対1に延伸して、約3.5g/m2の質量および約8マイクロメートルの厚さを有する薄くて強い膜を作製した。THF中のテコタンTT−1085Aポリウレタンの3%〜8重量%溶液をePTFE膜上に被覆して、ePTFE膜の片側上且つePTFE膜全体を通してのテコタンTT−1085Aポリウレタン、および全体最終複合フィルム重量の約40%〜60%の全体ポリマー重量適用により複合フィルムを作製した。
【0052】
次に、グルグル巻きされ膨張した上包バルーンを、設定点315まで加熱した大きな平滑ハンダチップを有するウェラーWSD81ハンダガン(ノースカロライナ州、ローリーのクーパー)を用いて加熱した。平滑ハンダチップをバルーンの包装した外側構成層に対して穏やかに押圧し、バルーン表面に沿って横断させた。この方法は約38mmの外径および約3.5mmの高さを有するディスク形状バルーンを生成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの螺旋状包装パスを含み、該パスが未構成チューブを形成し、該チューブが構成されて膨張形体に加えられる、膨張装置であって、ここで少なくとも二つの該螺旋状包装パスの一つは、約55度以下の角度で方向付けられ、少なくとも二つの螺旋状パスの一つが約55度以上の角度で方向付けられる膨張装置。
【請求項2】
螺旋状包装パスが多孔質強化層および連続ポリマー層を含む請求項1に記載の膨張装置。
【請求項3】
さらに、未構成チューブを膨張形体に固定する外側構成層を含む請求項1に記載の膨張装置。
【請求項4】
少なくとも二つの螺旋状包装パスが異方性であり、外側構成層が異方性である請求項1に記載の膨張装置。
【請求項5】
螺旋状包装体層が異方性であり、外側構造層が等方性である請求項1に記載の膨張装置。
【請求項6】
チューブを形成する少なくとも二つの螺旋状包装パスおよび少なくとも一つの構造層、および該チューブに連結される膨張手段を含む膨張装置であって、該チューブは、多断面セグメント化領域を有する膨張装置を形成する少なくとも一つの領域中に構成され接合される。
【請求項7】
二つの螺旋状包装パスの一つが、約55度以下の角度で方向付けられ、少なくとも二つの螺旋状包装パスの一つが約55度以上の角度で方向付けられる請求項6に記載の膨張装置。
【請求項8】
さらに非膨張領域を含む請求項6に記載の膨張装置。
【請求項9】
二つのパスおよび非膨張領域が連続的に包装される請求項8に記載の膨張装置。
【請求項10】
チューブが中心軸周りに折り畳み多葉性形状に構成される請求項6に記載の膨張装置。
【請求項11】
非膨張領域がチューブの折り重なり点に位置付けられる請求項9に記載の膨張装置。
【請求項12】
チューブが螺旋状に巻かれた平面ディスク形状に構成される請求項6に記載の膨張装置。
【請求項13】
チューブが中心軸周りにコイル形状に構成される請求項6に記載の膨張装置。
【請求項14】
さらに開放領域を含む請求項6に記載の膨張装置。
【請求項15】
さらに外側構成層を含む請求項6に記載の膨張装置。
【請求項16】
2分岐に適する多葉性バルーンの形体に構成される請求項6に記載の膨張装置。
【請求項17】
3分岐に適する多葉性バルーンの形体に構成される請求項6に記載の膨張装置。
【請求項18】
連続した多葉性バルーンの形体に構成される膨張装置であって、該葉が単一共通の膨張ルーメンを介して相互接続される、請求項6に記載の膨張装置。
【請求項19】
膨張装置が膨張時に比較的変わらないままでいる非膨張長さを有する請求項6に記載の膨張装置。
【請求項20】
少なくとも二つの螺旋状包装内層が繊維強化材を含む請求項6に記載の膨張装置。
【請求項21】
少なくとも二つの螺旋状包装内層が多孔質強化ポリマーよりなる請求項6に記載の膨張装置。
【請求項22】
少なくとも二つの螺旋状包装層が多孔質強化ポリマーおよびポリマーの連続相よりなる請求項6に記載の膨張装置。
【請求項23】
多孔質強化ポリマーがオレフィンである請求項21に記載の膨張装置。
【請求項24】
多孔質強化ポリマーが異方性ポリマーを含む請求項21に記載の膨張装置。
【請求項25】
多孔質強化ポリマーがPEEKを含む請求項21に記載の膨張装置。
【請求項26】
多孔質強化ポリマーがポリアミドを含む請求項21に記載の膨張装置。
【請求項27】
多孔質強化ポリマーがポリウレタンである請求項21に記載の膨張装置。
【請求項28】
多孔質強化ポリマーがポリエステルである請求項21に記載の膨張装置。
【請求項29】
多孔質強化ポリマーがフルオロポリマーを含む請求項21に記載の膨張装置。
【請求項30】
フルオロポリマーが延伸PTFEである請求項29に記載の膨張装置。
【請求項31】
延伸PTFEが690メガパスカルを超える一つの方向におけるマトリクス張力値を有する請求項30に記載のバルーン。
【請求項32】
延伸PTFEが960メガパスカルを超える一つの方向におけるマトリクス張力値を有する請求項30に記載のバルーン。
【請求項33】
延伸PTFEが1,200メガパスカルを超える一つの方向におけるマトリクス張力値を有する請求項30に記載のバルーン。
【請求項34】
螺旋状包装層の最大フープ応力が400メガパスカルを超える請求項30に記載のバルーン。
【請求項35】
螺旋状包装層の最大フープ応力が600メガパスカルを超える請求項30に記載のバルーン。
【請求項36】
ポリマーの連続相がフルオロポリマーである請求項22に記載の膨張装置。
【請求項37】
ポリマーの連続相がエラストマーである請求項22に記載の膨張装置。
【請求項38】
ポリマーの連続相がウレタンである請求項22に記載の膨張装置。
【請求項39】
ポリマーの連続相がシリコーンである請求項22に記載の膨張装置。
【請求項40】
ポリマーの連続相がフルオロエラストマーである請求項22に記載の膨張装置。
【請求項41】
ポリマーの連続相が生体吸収性材料である請求項19に記載の膨張装置。
【請求項42】
平面部材に関する配置機構であって、該平面部材は請求項8に記載の膨張装置を含み、該膨張装置は該平面部材が膨張前に折り畳まれ圧縮することができるようなやり方で平面部材に取り付けられ、その結果、膨張時にバルーンが膨張し、該シート様にされた部材をその元の平面形状に戻す、配置機構。
【請求項43】
さらに処理元素を含む請求項6に記載のバルーン。
【請求項44】
処理元素が放射性である請求項43に記載のバルーン。
【請求項45】
以下の段階を含む膨張成形バルーンを作製する方法:
チューブ周りに少なくとも二つの複合フィルム層を螺旋状に包装し、
該螺旋状包装層に熱をかけ、螺旋状包装層を一緒に結合し、
該結合した螺旋状包装層を膨張手段に取り付け、
該螺旋状包装層を膨張させ、バルーンをひとつの形体に構成し、および
該構成されたバルーンを前記形体に固定すること。
【請求項46】
前記形体が中心軸周りに折り畳まれた多葉性形体である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記形体が螺旋巻き形状である請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記形体が中心軸周りにコイル形状である請求項45に記載の方法。
【請求項49】
複合フィルムが多孔質強化ポリマーおよび連続ポリマー層を含む請求項45に記載の方法。
【請求項50】
多孔質強化ポリマーがePTFEである請求項49に記載の方法。
【請求項51】
導管中の望ましい位置に成形バルーンを配置し、および
バルーンを望ましい圧力に膨張させ、それにより開放領域を減じ、導管を通る流れを減じる、
段階を含む、導管を通る流れを制御する方法。
【請求項52】
導管が血管である請求項51に記載の方法。
【請求項53】
流れが血流である請求項51に記載の方法。
【請求項54】
導管中の望ましい位置に中空中心バルーンを配置し、および
バルーンを望ましい圧力に膨張させ、それにより導管径を増大させ、開放領域を増大させ、導管を通る流れを増大させる、
段階を含む、導管を通る流れを制御する方法。
【請求項55】
導管が血管である請求項54に記載の方法。
【請求項56】
流れが血流である請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−500110(P2010−500110A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523780(P2009−523780)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/017260
【国際公開番号】WO2008/021013
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】