説明

自動ジョブ管理

工場における製造装置のための自動ジョブ管理の実装を改良するための方法及び装置が開示される。シン・ステーション・コントローラ・クライアントといったジョブ管理クライアントが、製造装置インターフェース・ブリッジ(EIB)といった製造装置サーバと通信することを可能とするソフトウエア・ライブラリが提供される。ジョブ管理クライアントは、業界標準プロトコルを利用して、ジョブを好都合に且つ効率的に生成し、制御し、モニタすることができる。製造装置サーバは、リアルタイムで工場製造装置と直接通信する。ジョブ管理クライアントと製造装置サーバとの間のインターフェースを提供することにより、データ消費者クライアントは、ジョブ管理クライアントから効果的に切り離され、それにより製造装置プロセス制御のための次世代のステーション・コントローラが容易に実現される。現在ジョブ管理用に使用されている高価で複雑なコードの層は、優れたコスト効率のよいシン・クライアント、分散アーキテクチャに置き換えられることができる。そのようなシステムは、レガシー・ステーション・コントローラと共に動作し、又はステーション・コントローラが削除され、一般に従来のステーション・コントローラに組み込まれる多くの種類の機能を分散する複数のモジュールに置き換えられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ジョブ管理の技術分野に関し、より詳細には、半導体製造設備における製造装置プロセスのモニタ及び制御に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ製造業は、一般に、他の技術分野が経験する高水準の自動化を経験していない。様々な領域(area)の半導体チップ製造工場において、システム及び製造装置(tool)は、半統合されているだけか、又は完全に独立でさえあることが多い。更には、製造装置間の作業を調整するだけでなく、プロセス改良及び他のジョブ管理機能に使用可能なように製造装置からデータの収集も行うという意味での製造プロセスの自動化が、一般に使用されるプロプライエタリな通信プロトコルのために、非常に困難であることが多い。
【0003】
一般的な構成において、製造装置は、グループ化され、「ステーション・コントローラ(station controller)」として知られるモノリシックなソフトウエアプログラムによって緩やかに制御される。一般的なステーション・コントローラは、個々の製造装置又は一群の製造装置のいずれかと、SECS/GEMとして知られる業界標準インターフェースを使用して通信を行う。SECS/GEMは、300mmシリコンウェーハを使用するほとんどの半導体チップ製造装置に存在し、又200mmウェーハが使用される工場における標準通信インターフェースである。300mm及び200mmの工場の種類のニーズは非常に異なるものであるが、一般に、その両方は、工程の特定の部分においてステーション・コントローラを使用する。
【0004】
ステーション・コントローラを実現する現在のソフトウエア・アーキテクチャには、特に半導体製造装置間の統合、並びに製造装置の動作及び状態についてのデータの扱われ方に関して、厳しい制限がある。製造装置が、製造プロセスの分析、診断及び迅速に実施される修正動作のために、製造装置から他のソフトウエア・アプリケーションに直接リアルタイムのデータを提供する必要性があるところ、製造装置の統合及び製造装置からのデータ抽出に使用される現在のソフトウエア・アーキテクチャには、多くの克服すべき設計上の障害がある。
【0005】
1つの制限は、配置されたレガシー・ソリューションは、現在、単一クライアントのSECS/GEM通信プロトコルを使用して、ステーション・コントローラにより管理される半導体製造装置からデータを収集することである。従って、単一のクライアントしか製造装置の各々と通信することができず、SECS/GEMインターフェース仕様におけるデータ利用可能性により利用可能なデータセットが動かされる。SECS/GEMインターフェースは、製造装置の構造を明らかにしないので、製造装置の物理的構造を判定することが不可能である。これに加えて、SECS/GEMは、ディスカバラブルな(discoverable)インターフェースでないので、アプリケーションは、製造装置に問い合わせてその能力を判定することができない。更に、SECS/GEMには、セキュリティ機構がないので、SECS/GEMにおいては、クライアント認証及びアクセス許可という概念がない。最後に、単一クライアント制限は、製造装置情報への同時複数クライアントアクセスに対するサポートがないことを意味する。
【0006】
現在のステーション・コントローラに存在する別の根本的な問題は、材料プロセス制御の主要な機能からのドリフト(drift)から生じる高い複雑性である。中核のジョブ管理の必要性に加えて、複数の機能が組み込まれてきたので、容易には変化に適応できない大規模で複雑なソフトウエア・アーキテクチャが作られてきた。このことは又、複数の内部的障害点を伴う単一障害点及び維持費の高さをもたらす。一般に、データ収集はジョブ管理に統合されてきたので、現在のステーション・コントローラは、データ消費者にステーション・コントローラを介してインターフェースをとることを要求する、唯一の製造装置データ収集体となった。
【0007】
半導体製造業者に効果的な自動化統合戦略を実施するように要求する、半導体業界における変化は、今45nm以下に焦点が当てられている幾何学的サイズの縮小と平行して、300mmウェーハ及びそれ以上に関する回路容量の増加に応じて管理されなければならない、結果として生じる製造データの指数関数的な増加にまず帰因する。上記の変化の駆動力に加えて、いくつかの他の圧力が変化の必要性を大きくしている。第1に、問題解決に対する専門家資源の数の少なさに焦点を当て、単なるデータ探索に対して費やされる資源を減少させる必要性が存在する。更に、ウェーハの各々が数百から数千のチップ(die)からなる45nmにおけるウェーハの誤プロセスのコストの高さによって、効果的なソリューションの必要性がより深刻となった。高コストの製造装置ダウン時間及び製造装置総合効率(overall equipment effectiveness)(OEE)改善の要望といった、効率的なソリューションの必要性を駆り立てているパフォーマンスの問題が更にある。プロセスの問題に早く対応することを可能とするリアルタイムのデータの必要性、及び生産時間に対する製造装置の改良の必要性が更にある。
【0008】
自動化アーキテクチャが、同時に複数のクライアントが製造装置にアクセスすることをサポートすることができ、製造装置プロセス制御の現在の所有権と独立であることを要求する、現在のe-Diagnostics及び高度プロセス制御(Advanced Process Control)(APC)といったアプリケーションのためのデータアクセス要求を、現在のソリューションは解決しないであろう。「データ・オンデマンド」を実装する能力は、次世代の半導体が焦点を当てるステーション・コントローラ・アーキテクチャにおける駆動因子(driving factor)である。業界がロットベースからウェーハレベルの製造に移行するにつれて、自動化ソリューションは、顧客の要求を満たすために、効率的な製造及び業務上の決定を行うのに必要とされる、高度な統計プロセス制御(statistical process control)(SPC)、故障検知分類、及びRun−to−Run制御アプリケーションを提供することができる必要があるであろう。
【0009】
上述の理由のために、一般的なステーション・コントローラが障害となっている。かつて、ステーション・コントローラは、製造ジョブ管理を特定的に制御するために設計されたところ、現在ステーション・コントローラは、その機能がその複雑さと同じように膨張した、複雑に絡み合ったプログラムの組に発展した。この複雑さは、ステーション・コントローラ、並びにジョブ管理といったその基礎的な機能に対するメンテナンス又は変更を、非常に困難で、時間を消費し、高価なものとする。場合によっては、ソフトウエア・コードの重複し且つ絡み合った性質は、たとえその変更によって、操業中の半導体チップの生産高を増加するために必要とされる製造プロセスの改良がもたらされるとしても、工場管理者に、いかなる変更をも非常に躊躇させる。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、既存のステーション・コントローラに関する問題を、主に、レガシー・ステーション・コントローラから分離され、分散され、ステーション・コントローラが元来そのために設計されたジョブ管理及び制御という主要な機能を実行する、新たなモジュールを作ることにより解決する。
【0011】
本発明の1つの態様において、次世代ステーション・コントローラを実現することを可能とするソフトウエア・ライブラリが提供される。特に、製造装置サーバと通信し、製造装置プロセスのモニタ及び制御専用のシン・ステーション・コントローラ・クライアントを作ることができる。シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、次に製造装置と通信する製造装置サーバと通信する。業界標準通信プロトコルがサポートされ、複数クライアント分散アーキテクチャがサポートされることができる。
【0012】
本発明の別の態様において、ジョブ管理及び制御のための方法が提供される。特に、シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、ジョブ・コンフィギュレーション情報を受け取り、製造装置サーバと通信する。製造装置サーバは、ジョブ・ファクトリを実装し、リアルタイムのジョブ状態情報をシン・ステーション・コントローラ・クライアントに提供するジョブ・インスタンスを蓄積することができる。製造装置サーバは、シン・ステーション・コントローラ・クライアントを、製造装置との直接通信から分離し、他のクライアントが製造装置と通信することを可能とする製造装置モデルを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、製造装置サーバと共に、今日の半導体設備においてステーション・コントローラ・ソリューションを実施する者が直面している多くの障害に対するソリューションを提供する。本発明によるシン・ステーション・コントローラ・クライアント(thin station controller client)は、SECS/GEMと異なるインターフェースを使用して、1つの製造装置又は一群の製造装置と接続し、それにより、レガシー・ステーション・コントローラと干渉することなく動作することができる。本発明と共に使用する製造装置サーバの一例は、アシスト・テクノロジー社から提供されるEquipment Interface Bridge(EIB)である。アシスト・テクノロジー社から提供されるAsyst Directorは、本発明によるジョブ管理クライアントの作成における使用のためのライブラリの具体例である。
【0014】
本発明により実現されるシン・ステーション・コントローラ・クライアントは、製造装置への接続並びに製造装置からのデータ取得において、より柔軟であることを可能とする高度通信ソフトウエア層を介して通信する。この場合において、レガシー・ステーション・コントローラは、シン・ステーション・コントローラ・クライアントが動作している間、置かれ続けることができ、又はステーション・コントローラは、レガシー・ステーション・コントローラに非効率に詰め込まれた多くの種類の機能を、新たなスタンドアローンのコンポーネントに分散する、いくつかのモジュールに完全に分解されることができることを意味する。本発明のアーキテクチャは、製造装置サーバと共に動作するステーション・コントローラ機能の実現に対して、絡み合わない、オープンアーキテクチャのソリューションを使用する利点を提供する。
【0015】
このように、シン・ステーション・コントローラ・クライアント及び製造装置サーバは、レガシー・ステーション・コントローラにおいて以前は絡み合っていた機能の一部を、独立且つ柔軟なクライアントとして分散させることによって、半導体工場の自動化に対する手法に革命をもたらす。製造装置サーバの存在によって、ジョブ管理、データベース管理及び製造装置パフォーマンス追跡といった特定の機能を有する複数の分散されたクライアントを使用することができる。シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、その機能が、一群の半導体チップ材料のプロセスに関するジョブを管理し、実行するジョブ管理クライアントを実現する。
【0016】
本発明のアーキテクチャには、従来のステーション・コントローラよりも優れた利点が多くある。第1に、分散クライアントアプリケーションを容易に使用することができる。製造装置サーバは、サーバ通信に対する製造装置をサーバ通信に対するクライアントから切り離す。従って、複数機能、複数アプリケーションのレガシー・ステーション・コントローラと違って、ジョブ管理にのみ専用のシン・ステーション・コントローラ・クライアントを作ることができる。一方、データ収集及びデータ分析専用クライアントといった他のクライアントが同様に作られ、シン・ステーション・コントローラ・クライアントを巻き込むことなく、製造装置サーバと直接対話することができる。データ収集は、効果的にジョブ管理から切り離される。
【0017】
このように機能を複数の分散クライアントに分離することにより、非ジョブ管理アプリケーションの有する、ステーション・コントローラにより提供されたデータへのひどく有害な依存性が除かれる。従って、シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、もはや唯一の製造装置データの収集体ではなく、よってジョブ管理ソリューションの開発、実装、維持のコストが減少される。ジョブの管理及び制御に直接影響する問題のみが、シン・ステーション・コントローラ・クライアントにより対処される必要がある。ジョブ管理をデータ収集機能から分離する別の利点は、レガシー・ステーション・コントローラの形態における単一障害点が、一所に絡み合わない、より容易に診断可能な複数の潜在的障害点に置き換えられた点である。
【0018】
図1は、本発明の実施形態におけるジョブフローを示す。XML様式コンフィギュレーション110が、シン・ステーション・コントローラ・クライアント120への入力として使用される。これらのコンフィギュレーションは、ジョブの開始時及び実行時の挙動(behavior)を特定する。ディレクタ(Director)130は、クライアント120によって利用されるソフトウエア・ライブラリである。ディレクタ130は、ジョブの生成及び管理のためのフル機能のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を実装する。好ましいジョブにおいて、ディレクタ130は、ジョブ生成及びジョブ実行サービスを実行し、ジョブ状態変化イベントをサポートする。クライアント120は、ジョブ生成サービスを使用して、XML様式コンフィギュレーション110に基づいてジョブを生成する。ジョブ実行サービスが使用され、ジョブ実行が開始する。ジョブ状態が変化するいかなる時も、ディレクタ130は、イベントをクライアント120にジョブ状態変化イベントの形式で通知する。
【0019】
製造装置サーバ160は、ジョブ・ファクトリ170を実装し、ジョブ・インスタンス180を含む。XMLジョブ要求、レシピ及び指示は、ディレクタ130からジョブ・ファクトリ170に通信路140を介して通知される。ジョブ・ファクトリ170は、ジョブ定義及び基本命令を含む。代替実施形態において、ジョブ・ファクトリ170との通信は、プログラムジョブ管理用のSEMI E40標準をサポートする。ジョブが実行される時間になると、ジョブは、内部通信路190を介してインスタンス化され、個々のジョブ・インスタンスが、ジョブ・インスタンス180において生成される。リアルタイムジョブ状態変化イベントは、通信路150を介してディレクタ130に通知される。ジョブ状態変化イベントは、クライアント120にリアルタイムのプロセス改良を実施する能力を与える。代替実施形態において、通信路150は、ジョブ管理制御用のSEMI E94標準をサポートする。
【0020】
図2は、他の製造装置と共に工場において用いられることができるであろう本発明の実施形態を示す。シン・ステーション・コントローラ・クライアント236は、ディレクタ238、MESハンドラ230、製造装置ハンドラ232及びレシピ・ハンドラ234を組み込み、いかなるデータ消費者に対しても独立な自動ジョブ管理ソリューションを実現する。クライアント236は、製造実行システム(MES)210及びレシピ管理システム(RMS)220と、通信路215及び225をそれぞれ介して通信する。
【0021】
クライアント236とディレクタ238とのインターフェースは、使用しやすい、ジョブの生成及び管理用アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)であり、複雑さ及びシステムの使用の学習曲線を減らすために、XMLといった業界標準技術の使用に基づいている。これにより、クライアント236システムを、プロプライエタリな顧客の言語又はツールキットではないオープン・アーキテクチャ言語のコンポーネントに基づいて開発することができる。このAPIは、レシピのダウンロード、リモート・コマンド、イベント待機といった包括的ジョブ・ステップのライブラリを組み込む。これらのジョブ・ステップは、すべての半導体製造設備に見出される標準的な業務ルールを実行し、ユーザが迅速に基本的なプログラム管理を構成することを可能とし、製造実行システム(MES)210とインターフェース接続する場合に要求される時間を最小化する。ディレクタ238APIは又、プロセス資源が利用可能となる前にジョブが順番付けられることができることが特徴である、ジョブ・カスケードを提供することが好ましい。これにより、資源が利用可能となった時に、ジョブが自動的に開始し、それにより重要なプロセス装置のスループットが改善される。
【0022】
代替実施形態において、APIにより公開されるジョブ管理機能は、SEMI E40及びE94といった業界標準に基づくものである。ジョブ・レシピの生成は、ジョブ生成を容易にするGUIベースのユーティリティを提供することによって、更に強化されることができる。そのようなユーティリティは、XMLベースのジョブ仕様を自動的に生成するツールキットを提供することにより、複雑さ及び必要とされる統合時間を減少させる。
【0023】
クライアント236は、通信路242を介して製造装置サーバ240と通信する。好ましい実施形態において、通信路242は、マイクロソフトの.NET通信フレームワークを利用する。通信路242に標準化されたインターフェースを使用することによって、プロプライエタリな顧客の言語又はツールキットではない、任意の.NET言語で、ステーション・コントローラに対するカスタム・コンポーネントの開発が可能となる。
【0024】
製造装置サーバ240は、通信路265を介して製造装置260と通信する。好ましい実施形態において、製造装置サーバ240は、アシスト・テクノロジー社のAsyst/EIB製品といった製造装置インターフェース・ブリッジ(equipment interface bridge)(EIB)である。通信路265は、サーバ通信プロトコルに対して任意の製造装置をサポートすることができ、好ましい実施形態において、Interface A、新SEMI標準 E120(共通製造装置モデル)、E125(製造装置自己記述)、並びに確立されたSEMI標準E4/5(SECS)、E30(GEM)及びE37(HSMS)に準拠している。
【0025】
これに加えて、開発者は又、製造装置サーバ240に対するカスタム・インターフェースを作ることにより、(例えば、ASCIIベースのftpプロトコルを用いて通信する)稀な製造装置の種類と接続することができる。
【0026】
クライアント236は、ジョブの管理及び制御専用であり、これにより、データ消費者270、276、282及び288が、これらのアプリケーションについて効果的にクライアント236を迂回して、製造装置サーバ240と直接通信することができる。これによって、データ消費者のジョブ管理クライアントへの依存が除かれる。データ消費者270は、データ272を利用し、製造装置サーバ240と、好ましい実施形態において.NETフレームワークを利用する通信路244を介して通信する統計プロセス制御(statistical process control)(SPC)クライアントである。データ消費者276は、データ278を利用し、製造装置サーバ240と、好ましい実施形態においてHTTP/SOAP標準を利用する通信路244を介して通信する装置エンジニアリング能力(Equipment Engineering Capability)(EEC)クライアントである。データ消費者282は、データ284を利用し、製造装置サーバ240と、好ましい実施形態においてHTTP/SOAP標準を利用する通信路248を介して通信する高度プロセス制御(advanced process control)(APC)クライアントである。データ消費者288は、データ290を利用し、製造装置サーバ240と、好ましい実施形態において.NETフレームワークを利用する通信路250を介して通信するカスタムデータ又はプロプライエタリなデータの消費者である。
【0027】
製造装置260がクライアント236から切り離されているので、製造装置サーバ240の使用により、利用可能なデータは、現在SECS/GEMインターフェースにおいて利用可能なデータを超えて拡大することができる。製造装置サーバ240は、クライアント236を、製造装置260との直接通信から遮断する製造装置モデルを用いる。この製造装置モデルは、ディスカバラブルなインターフェースを提供し、これにより、クライアント・アプリケーションは、製造装置の能力を問い合わせることができる。この製造装置モデルの概念は又、複数の製造装置の組合せを1つの論理ユニットにし、それは次いで内部的にはグループ化され、管理され、クライアント・アプリケーションに対しては1つの製造装置のように見せることを可能とする。
【0028】
ステーション・コントローラ機能は、様々な工場にわたって単に「缶詰にされ(canned)」、複製されることができないことに留意されたい。工場の各々には、相当数の固有の業務ルールがある。ますます多くのカスタム・ルールが付加された静的なステーション・コントローラを有するのではなく、本発明のアーキテクチャは、ステーション・コントローラにより要求される基本的な必須の機能のツールキットを提供し、そのツールキットは、次いで分散環境においてシン・クライアント・アプリケーションとして実装されることができる。
【0029】
複数クライアントの製造装置サーバに対する接続性は、ステーション・コントローラ・クライアントの中核が、その専門である、工場における材料プロセス制御のジョブ管理に集中することを可能とする。ジョブ処理をデータ取得から分離することにより、データ収集クライアント・アプリケーションは、レガシー・ステーション・コントローラにより要求された必要性ではなく、自身の特定の必要性に集中することができる。この手法の更なる利点は、この環境においてソリューションを提供し、サポートする要員がもはや、以前のステーション・コントローラがサポートした領域すべてにおいて専門家である必要がない点である。
【0030】
伝統的なステーション・コントローラ実装の目標を半導体製造設備に設定してきたが、本発明は、同様に、組立て及び試験(バックエンド(back-end)と呼ばれることが多い)の実装にも適する。
【0031】
本発明は、いくつかの実施形態に関して説明されてきた。これは、例示のみを目的として行われたものであり、本発明の変形は、当業者に容易に明らかであり、又本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に関する使用のためのジョブの生成及び管理のフローを示す。
【図2】他の工場製造装置と共の本発明の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ジョブ管理のためのシン・ステーション・コントローラ・クライアントであって、
ジョブ管理機能をサポートするアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)、及び製造装置との通信機能をサポートする製造装置サーバに対するインターフェースを含むソフトウエア・ライブラリを含み、
前記ステーション・コントローラは、前記製造装置サーバと通信し、前記製造装置サーバは一又はそれ以上の製造装置と通信することを特徴とするシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項2】
前記ジョブ管理機能は、SEMI E40及びSEMI E94標準に対するサポートを含むことを特徴とする請求項1に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項3】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、.NET通信フレームワークを利用して前記製造装置サーバと通信することを特徴とする請求項1に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項4】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、製造実行システム(MES)ハンドラを含むことを特徴とする請求項1に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項5】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、製造実行システム(MES)と通信することを特徴とする請求項4に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項6】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、レシピ管理システム(RMS)ハンドラを含むことを特徴とする請求項1に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項7】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントは、レシピ管理システム(RMS)と通信することを特徴とする請求項6に記載のシン・ステーション・コントローラ・クライアント。
【請求項8】
シン・ステーション・コントローラ・クライアント及び製造装置サーバを利用した自動ジョブ管理のための方法であって、
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントにおいて、ジョブ・コンフィギュレーション情報を受け取るステップと、
前記ジョブ・コンフィギュレーション情報に基づいて、ジョブ指示を、前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントから前記製造装置サーバに通知するステップと、
前記ジョブ指示に基づいて、少なくとも1つのジョブをインスタンス化するステップと、
前記少なくとも1つのジョブに関するジョブ状態情報を、前記製造装置サーバから前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントに通知するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ジョブ・コンフィギュレーション情報は、XML様式情報を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記製造装置サーバは、前記シン・ステーション・コントローラ・クライアントから前記ジョブ指示を受け取るジョブ・ファクトリを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ジョブ指示及び前記ジョブ状態は、SEMI E40及びSEMI E94標準に対するサポートを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記シン・ステーション・コントローラ・クライアント及び前記製造装置サーバは、.NET通信フレームワークを利用して通信することを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−538621(P2008−538621A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506572(P2008−506572)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/013304
【国際公開番号】WO2006/113208
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(306029419)アシスト テクノロジーズ インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Asyst Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】46897 Bayside Parkway,Fremont,California 94538,U.S.A.
【Fターム(参考)】