説明

自動二輪車の主駆動装置用コンペンセイタ組立体

【課題】 自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体の提供。
【解決手段】 コンペンセイタ組立体は、カムスライダ、スプロケット、及び、スプロケットとの係合状態へとカムスライダを付勢するスプリングパックを含む。スプリングパックは、異なるばね定数を有する複数のスプリングを含む。カムスライダは、第1及び第2の異なるカム部材を含む。リテーナは、クランクシャフトに結合され、リテーナは、保持ボルトの締め付け中にリテーナ、カムスライダ及びクランクシャフトを固定状態に保持するために係合可能な回転防止機構が形成される。スプロケットは、複数のスポークと複数の軸方向の開口を含む。カムスライダの少なくとも一部は、複数の軸方向の開口の1つを通って延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフトとクラッチの間の自動二輪車の主駆動装置用コンペンセイタ組立体に関する。コンペンセイタ組立体は、クランクシャフトとクラッチの間のトルク伝達中の衝撃荷重を緩和する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施例では、本発明は、自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体を提供する。コンペンセイタ組立体は、クランクシャフトの第1の端部に搭載され、クランクシャフト軸周りでクランクシャフトと共に回転するように構成されたカムスライダを含む。コンペンセイタ組立体は、カムスライダの近傍でクランクシャフトの第1の端部に搭載され、クランクシャフト軸周りでカムスライダ及びクランクシャフトに対して回転可能なスプロケットを含む。第1のスプリングは、スプロケットとは反対側にあるカムスライダの第1の側に搭載され、スプロケットに向けてカムスライダを付勢するように動作可能である。第2のスプリングは、カムスライダの第1の側に搭載され、スプロケットに向けてカムスライダを付勢するように動作可能である。第2のスプリングは、第1のスプリングよりも有意に低いバネ率を有する。
【0003】
その他の実施例では、コンペンセイタ組立体は、クランクシャフトの第1の端部に搭載されたカムスライダを含み、カムスライダは、対のカム部材を含み、クランクシャフト軸周りでクランクシャフトと共に回転するように構成される。カムスライダの近傍でクランクシャフトの第1の端部に搭載されるスプロケットは、カムスライダの対のカム部材により係合可能なカム部材を含む。スプロケットは、クランクシャフト軸周りでカムスライダ及びクランクシャフトに対して回転可能である。少なくとも1つのスプリングは、スプロケットとは反対側にあるカムスライダの第1の側に搭載され、カムスライダの対のカム部材の少なくとも1つを、スプロケットのカム部材と接触する状態へと付勢するように動作可能である。対のカム部材は、クラッチにクランクシャフトからのトルクを伝達するように構成された第1のカム部材と、第1のカム部材とは異なり、クランクシャフトにクラッチからのトルクを伝達するように構成された第2のカム部材とを含む。
【0004】
更なるその他の実施例では、コンペンセイタ組立体は、クランクシャフトの第1の端部に搭載されたカムスライダとスプロケットとを含む。スプリングパックは、スプロケットとは反対側にあるカムスライダの第1の側に搭載され、スプロケットに向けてカムスライダを付勢するように動作可能である。リテーナは、クランクシャフトに結合されてクランクシャフトと共に回転するように構成される。リテーナは、回転防止機構が形成される。ボルトは、リテーナを貫通してクランクシャフトに係合するように構成される。リテーナの回転防止機構は、ボルトを締める間、リテーナ、カムスライダ、及びクランクシャフトを固定状態に保持するように係合可能である。
【0005】
更なるその他の実施例では、コンペンセイタ組立体は、カムスライダと、クランクシャフトの第1の端部に搭載されたスプロケットとを含み、カムスライダは、クランクシャフト軸周りでクランクシャフトと共に回転するように構成される。カムスライダは、頂上部と基準面の間に延在するカム部材を含む。スプロケットは、複数のスポークを含み、該複数のスポークの1つがカムスライダのカム部材に係合する。スプロケットは、更に、複数の軸方向の開口を含み、頂上部が複数の軸方向の開口の1つを通って延在する。少なくとも1つのスプリングは、スプロケットとは反対側にあるカムスライダの第1の側に搭載され、スプロケットに向けてカムスライダを付勢するように動作可能である。
【0006】
本発明の他の局面は、詳細な説明及び添付図面を考慮することにより明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例を詳説する前に、理解されるべきこととして、本発明は、図面に図示された又は次の説明が付与された部品の構造及び配置の詳細にその用途が限定されるものでない。本発明は、他の実施例が可能であり、種々の態様で実現ないし実施されることができる。また、理解されるべきこととして、ここで用いられる専門語ないし用語は、説明の目的であり、限定としてみなされるべきでない。“含む”や“有する”及びそれらの変形は、その前に列挙されるアイテム及びその均等物のみならず、追加のアイテムを包含する意図で用いられている。特に特定ないし限定されない限り、用語“搭載される”、“接続される”、“支持される”及び“結合される”及びそれらの変形は、広い意味で用いられ、直接的及び間接的な搭載、接続、支持、及び結合を包含する。更に、“接続される”及び“結合される”は、物理的又は機械的な接続や結合に限定されない。
【0008】
図1は、本発明を具現化するエンジン組立体34を含む自動二輪車30を示す。自動二輪車30は、フレーム38と、フレーム38の前部に回転可能に結合される操舵組立体42と、操舵組立体42に回転可能に結合される前輪46とを含む。スイングアーム50は、フレーム38の後部に回転可能に結合され、後輪54は、スイングアーム50に回転可能に結合される。エンジン組立体34のエンジン56は、後に詳説されるクラッチ57を介して後輪54を駆動するためのパワー及びトルクを供給する。
【0009】
図2及び3に示すように、エンジン組立体34は、コンペンセイタ組立体58を含み、コンペンセイタ組立体58は、エンジン56とクラッチ57の間の主駆動装置組立体ないし“プライマリドライブ”59の部分である。主ハウジング59A(図1)は、潤滑剤と共にコンペンセイタ組立体58及びクラッチ57を少なくとも部分的に収容する。エンジン組立体34は、更に、クランクケース60(図2及び3)を含み、クランクケース60は、クランクシャフト軸66周りの回転のためのフライホイール62A及びクランクシャフト62を支持する。クランクシャフト62の第1の端部68は、クランクケース60(図3には示されず)から外側に延在し、1つ以上のスプライン歯64を有する。図3に示すように、クランクシャフト62は、クランクケース60に圧入されたベアリング70(スラストワッシャ72を含む)により回転支持される。スペーサ74は、ベアリング70に当接し、エンジン56及びクランクケース60に対してクランクシャフト軸66に沿ってコンペンセイタ組立体58を適切に位置付ける。図2に示すように、クランクケース60は、また、クランクケース60の軸方向外側に配置されクランクシャフト軸66に対して同心状であるアテネータステータ78を支持する。
【0010】
コンペンセイタ組立体58は、クランクシャフト62と共に回転するように結合され、自動二輪車30の動作中にエンジン56と後輪54の間の衝撃を緩衝するように動作する(後に詳説)。コンペンセイタ組立体58は、クランクシャフト62と共に回転するように結合されたハウジング82の形態のハブを含む。ハウジング82(図2及び3に示す)は、キャリアハブ86及びロータシェル90を含む。キャリアハブ86は、クランクシャフト62の外側のスプライン歯64に係合する1つ以上の内側のスプライン歯92が形成される。キャリアハブ86は、スチールで作製され、ロータシェル90に溶接されるが、ハウジング82の2部品は、代替手段により結合されることができる。キャリアハブ86は、少なくともスプライン歯92の領域において耐久性の増加のために熱処理される。
【0011】
ロータシェル90は、クランクケース60に対面する環状の第1のハウジング面94を画成する。ロータシェル90は、また、クランクケース60に向けて開口する第1の室102を画成するために第1のハウジング面94と共同する略円筒形の壁98を含む。アテネータロータ106は、円筒形の壁98に結合され、第1の室102内に位置する。アテネータロータ106は、自動二輪車30の電気システム用の電源を生成するためにエンジン動作中にアテネータステータ78まわりを回転する。
【0012】
シャフトエクステンションないしカラー112は、クランクシャフト62の第1の端部68に共に回転するように結合される。図2に示すように、カラー112は、また、クランクシャフト62の外側のスプライン歯64に係合する1つ以上のスプライン歯114を有する外側のスプラインを含む。図2及び3に示すように、カラー112は、また、コンペンセイタ組立体58の追加的な構成要素を支持するよう構成された1つ以上のスプライン歯116を有する外側のスプラインを含む。カムスライダ118は、カラー112上に支持され、カラー112の外側のスプライン歯116に係合する1つ以上のスプライン歯を有する内側のスプラインを含み、従って、カムスライダ118は、カラー112及びクランクシャフト62と同期して回転する。外側のスプライン歯166は、カラー112の端部上で面取りされ、スプライン歯116の面幅(係合)を低減することなくカラー112にカムスライダ118を中心合わせすることによって組み立てを容易化する。
【0013】
スプリングパック120は、カムスライダ118とハウジング82の間でカラー112により支持される。スプリングパック120は、2つの略同一の第1のスプリング124を有する第1のスプリングペアと、2つの略同一の第2のスプリング128を有する第2のスプリングペアと、第1及び第2のスプリング124,128よりも小さい第3若しくは“予圧”スプリング132とを含む。図示の実施例では、第1のスプリング124、第2のスプリング128及び予圧サポート132は皿ばねである。
【0014】
予圧スプリング132は、第2のスプリング128のそれぞれのバネ定数及び外径よりもそれぞれ小さいバネ定数及び外径を有する。第2のスプリング128のそれぞれのバネ定数及び外径は、第1のスプリング124のそれぞれのバネ定数及び外径よりもそれぞれ小さいバネ定数及び外径を有する。スプリング124,128,132のバネ定数は、厚さの増加と共に増加し、(一定の内径の場合に)外径の増加と共に減少する。第1のスプリング124のそれぞれは、第2のスプリング128のそれぞれの厚さよりも大きい厚さを有する。第2のスプリング128のそれぞれの厚さは、予圧スプリング132の厚さよりも大きい。第1、第2及び予圧スプリング124,128,132は、略同一の内径を有する。ハウジング82に最も近い第1のスプリング124は、キャリアハブ86の支持面136(図3)により内径側が支持される。第2のスプリング128の対の直ぐ近傍にある第1のスプリング124、双方の第2のスプリング128及び予圧スプリング132は、硬化処理されたスチールから完全に若しくは部分的に構成されることができるカラー112の外側のスプライン歯116によりそれぞれの内径側が支持される。カラー112により支持されるスプリング124,128,132は、カラー112にスプライン結合されず、もしろ、外側のスプライン歯116により形成される分割された外周面上に載っている。
【0015】
カムスライダ118の軸方向の近傍には、カラー112上に支持されるスプロケット140が設けられる。図示の実施例では、スプロケット140は、2つの軸方向に離間したスプロケット歯のリングを含む。自動二輪車30の駆動動作中、スプロケット140は、カムスライダ118により駆動されるように構成され、更に、クラッチ57を介して後輪54を駆動するように構成される。2列のチェーンのようなチェーン(図示せず)は、スプロケット140に結合されると共に、クラッチ57の対応する入力スプロケット(図示せず)に結合される。ある実施例では、スプロケット140は、チェーンに代えて1つ以上のギア、駆動ベルト、若しくはその類に係合するように構成される。スプロケット140は、内側でスプライン結合されず、もしろ、図3に示すように、カラー112の外側の端部(エンジン56から遠い側の端部)に位置する平滑な支持面146上に回転可能に支持されるボア144を含む。それ故に、スプロケット140は、カムスライダ118、カラー112及びクランクシャフト62に対して所定の範囲内でクランクシャフト軸66周りに回転可能である。
【0016】
カラー112の支持面146は、外側のスプライン歯116の内径ないし根元の径よりも小さい径を有する。カラー112がスプロケット140、カムスライダ118若しくはスプリングパック120のいずれをも軸方向に保持することに利用されないことに部分的に起因して、外側のスプライン歯116は、カラー112の最も大きい径を構成する。従って、外側のスプライン歯116は、外側のスプライン歯116よりも大きい外径を持つフランジにカラー112が含まれる場合に使用しなければならなくなるより望ましくない形削り処理でなく、ホブ切により機械加工されることができる。
【0017】
図7乃至図9に最も良く示すように、スプロケット140は、略軸方向に延在するスポーク152により仕切られる軸方向の開口148を含む。図示の実施例では、スプロケット140は、3つの軸方向の開口148と3つの径方向のスポーク152を含む。軸方向の開口148は、コンペンセイタ組立体58の中立状態において実質的にスプロケット140内で且つ部分的に軸方向の開口148内にカムスライダ118が休止することを可能とする。軸方向の開口148は、また、主ハウジング59A内の潤滑剤がスプロケット140を通過し、コンペンセイタ組立体58、特にカムスライダ118とスプロケット140の間の境界を(例えばはねかけ潤滑により)潤滑することを可能とする。
【0018】
図2及び3に示すように、コンペンセイタ組立体58は、リテーナ160、スラストワッシャ164、及びボルト168を有するリテーナ組立体156を更に含む。リテーナ160は、カラー112の内側のスプライン歯114に係合する1つ以上の外側のスプライン歯172を含む。従って、リテーナ160は、カラー112、カムスライダ118及びクランクシャフト62により回転がロックされる。ボルト168は、クランクシャフト62の第1の端部68内の開口174に螺着される。スラストワッシャ164は、リテーナ160の保持面176とスプロケット170の内周部180の間に軸方向に配置される。スラストワッシャ164は、開口184が形成され、開口184は、対応するピン(図示せず)を受け入れるように構成され、当該ピンは、リテーナ160から延在して、組み立て中、リテーナ160及びスラストワッシャ164を所定の向きに共に方向付け、スラストワッシャ164を所定位置に保持する。図11に示すように、リテーナ160は、ある実施例ではピンなしで設けられる。ある実施例では、リテーナ160とスラストワッシャ164の間の結合材料は、リテーナ160とスラストワッシャ164がサブ組立体として取り扱われ組み立てられることを可能とする。
【0019】
スラストワッシャ164は、低摩擦材料により構成若しくはコーティングされ、従って、コンペンセイタ組立体58は、ボルト168を介して実質的な軸方向の力(スプリング124,128,132が圧縮される際に増加する軸方向の力)により共に保持されることができつつ、スプロケット140がリテーナ組立体156及びカラー112に対する回転中にスラストワッシャ164上を摺動することを可能とする。ある実施例では、スラストワッシャは、ブロンズのような、テフロン(登録商標)が含浸若しくはコーティングされた材料から構成される。ある実施例では、スラストワッシャは、INA(ドイツのヘルツォーゲンアウラッハ:Herzogenaurach)から入手可能なPermaglide(登録商標)から構成される。
【0020】
図2に最も良く示すように、リテーナ160は、軸方向に延在するボス192を含むように形成される。図示の実施例では、ボルト168の頭は、ボス192内に部分的に入り込むが、かかる構成は、種々の実施例で変更されてもよい。図2に示すように、ボス192は、6つの等しい長さの平らな側部を含む6角形の断面形状を有する。ボス192は、インチ式若しくはメートル式のレンチ(図示せず)をボス192に係合するために使用できるように、標準的なサイズにされる。他の実施例では、リテーナ160は、所望の場合に回転に対してリテーナ160(及びクランクシャフト62)を保持するために把持若しくはロックされるように構成される少なくとも1つの機構(必ずしも6つの等しい長さの平らな側部を含むボス192でない)を含む。機構は、(ボルト168の頭よりも大きい)ソケット、離間した穴、若しくは、ボス192の実質的に丸くない外面を含むことができる。
【0021】
コンペンセイタ組立体58の組み立て中、ボルト168は、クランクシャフト62の開口174内に締め込まれ、従って、コンペンセイタ組立体58は、フライホイール62Aと、ボルト168の頭の間に、全て一緒に回転する圧縮された構成要素(これに限定されないが、リテーナ160、カラー112、ハブ86、スペーサ74、及び、ベアリング70の少なくともインナレースを含む)の積層を含む。ボルト168の頭がリテーナ160に係合するようになると、リテーナ160(及びそれとも二カラー112及びクランクシャフト62)は、ボルト168と共に回転するように摩擦により付勢される。また、ボルト168とクランクシャフト62の間の噛合は、ボルト168が開口174内にしっかりと締め付けられることを可能とするよりもむしろ、ボルト168と共にクランクシャフト62を回転するように直接付勢する傾向となる。ボス192は、ボルト168の締め付け中にクランクシャフト62を回転方向で固定するためにリテーナ組立体156の組み立て中にツールに係合するための従来的な位置を提供する。これは、ボルト168の装着をより簡易化し且つ精度良くする。というのは、ボルト168への組み付けトルクは、後に詳説される、カムスライダ118とスプロケット140の間の弾性結合を介して伝達されるトルクに依存することなく、開口174にて結合部に直接的に付与されるからである。更に、リテーナ160とカラー112(及び、ひいてはクランクシャフト62)の間のスプライン接続は、ボルト168が緩くなることや開口174の“バックアウト(後退)”を潜在的に引き起こしうるリテーナ160のボルト168に対する回転を、防止する。
【0022】
図2及び図4乃至図6に示すように、カムスライダ118は、基本面196を含む。カム面200は、カムスライダ118に形成され、基本面196から、カムスライダ118に沿った周方向の位置に依存して異なる高さまで軸方向に延在する。カムスライダ118は、コンペンセイタ組立体58が組み立てられるときにクランクシャフト軸66と一致する軸202を画成する。カム面200は、少なくとも1対のカム部材ないしカムプロフィール204,208を含む(図示されたカム面200は、3対のカムプロフィール204,208を含む)。第1のカムプロフィール204は、基本面196から、頂上縁部212のような、頂上部まで延在し、頂上部は、基準面196からのカム面200の最大高さHを画成する。第2のカムプロフィール208は、同一の高さHの第2の頂上縁部212まで基本面196から延在する。第2のカムプロフィール208は、第1のカムプロフィール204よりもカムスライダ118のより短い周部分に亘って基本面196を超えて軸方向に同一高さHまで延在するので、第1のカムプロフィール204よりも急峻である。例えば、第1のカムプロフィール204は、軸202まわりで約65度の角度Aに沿って延在でき、第2のカムプロフィール208は、軸202まわりで約55度の角度Bに沿って延在できる(図5)。
【0023】
各対のカムプロフィール204,208は、隣接する対のカムプロフィール204,208に出会う位置である隣接する頂上縁部212間に延在する。全ての第1のカムプロフィール204は、実質的に同一であり、全ての第2のカムプロフィール208は、実質的に同一である。スプロケット140のスポーク152のそれぞれ1つは、以下で詳説するように、カム面200のカムプロフィール204,208の1つの対だけに係合するように構成される。図4及び6に示すように、各頂上縁部212は、径方向内側の端部216と径方向外側の端部220を含む。内側の端部216は、外側の端部220よりも僅かにカムスライダ118の基本面196に近い。それ故に、頂上縁部212及び全てのカムプロフィール204,208は、基本面196及びクランクシャフト軸66に向けて僅かに傾斜される。カム面200の全体としての向きは、スプロケット140のそれぞれのスポーク152との線接触(点接触でなく)を維持するように構成され、また、カムスライダ118とスプロケットスポーク152の間の軸方向の圧縮時にスプロケット140が自然に中心合わせされるようにする。
【0024】
スプロケット140の各スポーク152(図7乃至図9)は、カム部材であり、カムスライダ118のカム面200の対のカムプロフィール204,208のうちの1対に選択的に係合するように構成されるカムフォロア面224を含む。スポーク152の断面形状は、完全な円形でなく、むしろ長方形の平坦化された部位228である。更に、スポーク152は、カムスライダ118のカム面200にカムフォロア面224が、点接触ではなく面接触若しくは線接触したままとなるように、形状付けられる。
【0025】
仮想的な外形線232により図8及び9に示すように、スプロケット140は、ブランク鍛造若しくは鋳造のように、ブランクからその最終形状へと機械加工されることができる。スプロケット歯142及びボア144は、ブランクが作成された後に機械加工される。更に、同一のブランクは、種々の駆動機構(例えば、スプロケット歯142、ベルト駆動要素、ギア歯等)を含むように機械加工されることができる。図3に示すようにスラストワッシャ164、カラー112/カムスライダ118にそれぞれ接触する内周部180の軸方向の面236,240も、ブランクが生成された後に機械加工されることができる。図7に示すように、スプロケット140は、部品番号刻印248及び“THIS SIDE OUT(こちらが外側)"刻印252を含む刻印を有する外周部244を含み、双方の刻印は、ブランクの生成中に形成されることができる。ブランクは、また、外周部244の反対側に類似の刻印(図示せず)を含むように形成されることができる。反対側の部品番号は、部品番号刻印248と異なる。ブランクの機械加工中、外周部244は、外周部244から材料を除去すると共に一方の側から刻印を除去するように機械加工され、他の側の刻印248,252を残す。機械加工されると、スプロケット140は、ハウジング82からスプロケット歯142までの所定の軸方向のオフセット距離D(図3)を提供するように構成される。オフセット距離Dを有する図示されたスプロケット140を生成するために用いられる同一のブランクは、(刻印248,252を除去するように)異なる態様で機械加工されることができ、図2及び3に示すものとは逆の向きで組み付けられ、異なるオフセット距離を提供する。従って、コンペンセイタ組立体58は、異なるオフセット要求を有する異なる自動二輪車やエンジンでの使用用に容易に修正されることができる。
【0026】
自動二輪車30の動作中、エンジン56により生成される動力は、クランクシャフト62を回転させる。クランクシャフト62でのトルクは、カラー112及びカムスライダ118に直接伝達される。カムスライダ118でのトルクは、スプロケット140に弾性的に伝達され、従って、衝撃荷重は、後輪54にトルクを選択的に供給するクラッチ57(及び対応するトランスミッション)に到達する前に緩衝される。コンペンセイタ組立体58の中立状態では、スプロケット140のカムフォロア面224は、カムスライダ118のカムプロフィール204,208とではなく基本面196と回転方向で位置が合い係合される。予圧スプリング132は、カムスライダ118とスプロケット140を共に押すための軸方向の付勢力を提供する。予圧スプリング132は、第1及び第2のスプリング124,128よりも非常に小さい剛性であるので、予圧スプリング132は、第1及び第2のスプリング124,128が中立に留まり非常に小さい撓み若しくは略撓みのない間に、平ら若しくは略平らな状態まで圧縮される。図12及び13に示すように、カムスライダ118のカムプロフィール204、208は、スプロケット140の軸方向の開口148を通って延在し、ある実施例では、頂上縁部212は、軸方向の開口148を完全に通って延在する。このようなスプロケット140内へのカムスライダ118の入り込みは、(クランクシャフト軸66に沿った)より細いコンペンセイタ組立体58及び/又はカムスライダ118とハウジング82の間のより大きな軸方向の隙間(とりわけ、スプリングパック120の構成のより大きな自由度を可能とする)を可能とする。
【0027】
(例えば加速中に)クランクシャフト62でのトルクが増加すると、カラー112はカムスライダ112を同期して駆動し、こにより、コンペンセイタ組立体58の弾性境界を介してスプロケット140が駆動される。カムスライダ118の第1のカムプロフィール204は、スポーク152のカムフォロア面224に係合する。スプロケット140は、軸方向の所定位置に実質的に固定されているので、全体としてカムスライダ118は、ハウジング82に向かって軸方向に動く。カムスライダのスプライン歯119は、カラー112のスプライン歯116に沿って摺動する。スプリングパック120の力に抗するカムスライダ118の軸方向の移動量は、クランクシャフト62にて存在するトルク(例えば、全体量、衝撃若しくはジャーク等)に依存する。より小さい量のトルク及びトルク衝撃は、スプリングパック120の最小の撓み及び第1のカムプロフィール204までのカムフォロア面224の最小の移動を生む一方、より大きな量のトルク及びトルク衝撃は、スプリングパック120のより大きな撓み及びカム面200の頂上縁部212付近までのカムフォロア面224の移動を生む。全体として、コンペンセイタ組立体58は、クラッチ57にトルクが伝達されるのを防止せずに、むしろクランクシャフト62からクラッチ57へのトルクの伝達を遅らせ滑らかにする。
【0028】
コンペンセイタ組立体58は、双方向であり、クランクシャフト62からクラッチ57への正味のトルク出力が急激に減少し若しくは負になるとき(例えば、自動二輪車30の減速中、トランスミッションのシフト変更中、エンジン56の始動中等)、“バックドライブ(後退)”方向で補償を提供するように動作可能である。このような環境下では、スプロケット140のカムフォロア面224は、カムスライダ118上の第2のカムプロフィール208に係合する。トルクの伝達は、スプロケット140とクランクシャフト62の間で遅らされ滑らかにされる。カム面200は非対称であり、第2のカムプロフィール208は、第1のカムプロフィール204よりも急峻であり、スプリングパック120の付勢に抗するトルク衝撃のより急な吸収を提供する。その結果、コンペンセイタ組立体58は、後退方向においてスプロケット140とカムスライダ118の間に、通常の駆動方向におけるスプロケット140とカムスライダ118の間の最大の相対回転よりも小さい最大の相対回転を提供する。これは、クランクシャフト62が主駆動装置59のスプロケット140により駆動されるとき(例えばエンジンの始動中)に、コンペンセイタ組立体58が底当たりしたり(即ちスプリングパック120が完全に圧縮したり)望ましくない雑音を生成したりすることを防止する。
【0029】
更に、スプリングパック120の構成は、図10に示すような徐変する抵抗特性を提供する。ポイント256(約0.12インチ)までの初期変位時、スプリングパック120により提供される力は、略500ポンドまでの付勢力を提供できる予圧スプリング132の撓みに対応する(予圧は、約300ポンドから約500ポンドまでに設定される)。小さい予圧スプリング132は、コンペンセイタ組立体58における予圧が低レベルに正確に制御されることを可能としつつ、コンペンセイタ組立体58は、予圧の力の数倍大きい最大の補償時でのスプリングパック120における付勢力を持つ大きな動作範囲を提供するように動作可能である。小さ過ぎる予圧は、コンペンセイタ組立体58における突然の係合及び効果的でない低速性能を生む。予圧が大き過ぎる場合、コンペンセイタ組立体58は、低速で過剰に剛性を有し、アイドル時の騒音の増加を招きうる。
【0030】
図10に示すようなポイント256とポイント260の間(約0.12インチの撓みから約0.54インチの撓み間での間)では、反力の第2の識別可能な部位は、第2のスプリング128における撓みに主に起因する。約0.54インチの撓み(ポイント260)を超えると、反力の第3の識別可能な部位は、第1のスプリング124における撓みに主に起因する。最大の補償時、スプリングパック120は、約0.66インチの全体の撓みで約3875ポンドの付勢力を提供する。
【0031】
この一般的な態様で実行するように構成されることができるスプリングの数及び寸法の組み合わせ及び構成は多様である。例えば、第2のスプリング128は、図示された実施例にしめされるものよりも大きな外径(第1のスプリング124の外径に略類似する外径)を有することができる。より大きな外径は、スプリングパック120を全体としてより剛性を小さくし、これは、第1及び/又は第2のスプリング124,128の厚さを増加させることにより相殺されることができる。第2のスプリング128とスプロケット歯142に係合するチェーン(図示せず)との間の隙間は、第2のスプリング128の外径が減少するに従って増加する。
【0032】
更に、コンペンセイタ組立体58のトルク緩衝特性は、スプロケット140を変更若しくは交換することなくカムスライダ118を交換することによって変更されることができる。図示の実施例のカムプロフィール204,208とは異なる態様で構成されたカム部材ないしカムプロフィールを有する異なるカムスライダは、容易に調整可能な性能(例えば、異なるエンジン、エンジン出力等に特に適した性能)を提供する。スポーク152は、一般的な簡易のカムフォロア面224を有するので、スプロケット140は、多くの異なるカム部材ないしカムプロフィールに互換性がある。従って、コンペンセイタ組立体58は、共通のスプロケット140で多数の性能特性を提供する。
【0033】
本発明の種々の特徴及び効果は添付の請求の範囲に付与される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を具現化する主駆動装置を含む自動二輪車の側面図。
【図2】図1の主駆動装置のコンペンセイタ組立体の分解組立図。
【図3】図2のライン3−3に沿ったコンペンセイタ組立体の断面図。
【図4】図2のコンペンセイタ組立体のカムスライダの後方立面図。
【図5】図4のカムスライダの側方立面図。
【図6】図5のライン6−6に沿ったカムスライダの断面図。
【図7】図1の主駆動装置のスプロケットの側面図。
【図8】図7のライン8−8に沿ったスプロケットの断面図。
【図9】図8に示すスプロケットの部位の詳細図。
【図10】図2のコンペンセイタ組立体のスプリングパックの性能を示すグラフ。
【図11】図2及び3に示すリテーナの側方立面図。
【図12】図4乃至図6のカムスライダ及び図7乃至図9のスプロケットの斜視図。
【図13】図12のライン13−13に沿ったスプロケット及びカムスライダの断面図。
【符号の説明】
【0035】
30 自動二輪車
34 エンジン組立体
38 フレーム
54 後輪
56 エンジン
57 クラッチ
58 コンペンセイタ組立体
62 クランクシャフト
66 クランクシャフト軸
112 カラー
118 カムスライダ
120 スプリングパック
124 第1のスプリング
128 第2のスプリング
132 予圧スプリング
140 スプロケット
152 スポーク
160 リテーナ
196 基本面
200 カム面
204 第1のカムプロフィール
208 第2のカムプロフィール
224 カムフォロア面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体であって、
前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、クランクシャフト軸周りで前記クランクシャフトと共に回転するように構成されたカムスライダと、
前記カムスライダの近傍で前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、クランクシャフト軸周りで前記カムスライダ及び前記クランクシャフトに対して回転可能なスプロケットと、
前記スプロケットとは反対側にある前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記スプロケットに向けて前記カムスライダを付勢するように動作可能な第1のスプリングと、
前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記スプロケットに向けて前記カムスライダを付勢するように動作可能であり、前記第1のスプリングよりも低いばね定数を有する第2のスプリングとを含む、コンペンセイタ組立体。
【請求項2】
前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記スプロケットに向けて前記カムスライダを付勢するように動作可能であり、前記第2のスプリングよりも低いばね定数を有する第3のスプリングを更に含む、請求項1に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項3】
前記第3のスプリングは、前記第1及び第2のスプリングに実質的な撓みを付与することなく当該コンペンセイタ組立体に所望量の軸方向の予圧を付与する予圧スプリングとして動作可能である、請求項2に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項4】
前記第1のスプリングは、第1の外径を有し、前記第2のスプリングは、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有する、請求項2に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項5】
前記第3のスプリングは、前記第2の外径よりも小さい第3の外径を有する、請求項4に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項6】
前記クランクシャフトの第1の端部に結合され、前記クランクシャフトと共に回転するように動作可能であり、前記第1、第2及び第3のスプリングをそれぞれの内径側を支持する外面を有するカラーを更に含む、請求項2に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項7】
前記カラーは、前記クランクシャフトとの同期した回転のために前記カムスライダに係合するように構成されたスプライン歯が形成され、該スプライン歯は、前記第1、第2及び第3のスプリングをそれぞれの内径側を支持する分割された最外の周面を形成する、請求項6に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項8】
自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体であって、
前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、対のカム部材を含み、クランクシャフト軸周りで前記クランクシャフトと共に回転するように構成されたカムスライダと、
前記カムスライダの近傍で前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、前記カムスライダの対のカム部材により係合可能なカム部材を有し、クランクシャフト軸周りで前記カムスライダ及び前記クランクシャフトに対して回転可能なスプロケットと、
前記スプロケットとは反対側にある前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記カムスライダの対のカム部材の少なくとも1つを、前記スプロケットのカム部材と接触する状態へと付勢するように動作可能である少なくとも1つのスプリングとを含み、
前記対のカム部材は、前記クラッチに前記クランクシャフトからのトルクを伝達するように構成された第1のカム部材と、前記第1のカム部材とは異なり、前記クランクシャフトに前記クラッチからのトルクを伝達するように構成された第2のカム部材とを含む、コンペンセイタ組立体。
【請求項9】
前記第1のカム部材は、前記カムスライダの基本面から計測される高さを画成する頂上部で終端する、請求項8に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項10】
前記第1のカム部材は、前記基本面と前記頂上部の間の前記カムスライダの第1の周部分に沿って画成され、前記第2のカム部材は、前記基本面から前記カムスライダのその他の頂上部までの第2の周部分に沿って画成される、請求項9に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項11】
前記第1の周部分は、クランクシャフト軸周りの約65度の角度に亘って形成される、請求項10に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項12】
前記第2の周部分は、クランクシャフト軸周りの約55度の角度に亘って形成される、請求項11に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項13】
前記頂上部は、前記カムスライダの径に実質的に沿って方向付けられた縁部を形成し、該縁部は、内径端よりも前記基本面の上にある外径端を有する、請求項9に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項14】
前記スプロケットのカム部材は、スポークである、請求項8に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項15】
前記カムスライダは、2つの追加的な対のカム部材を含み、前記スプロケットは、2つの追加的なスポークを含む、請求項14に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項16】
前記スプロケットは、軸方向に実質的に固定され、前記カムスライダは、前記スプロケットのカム部材と前記カムスライダの第1及び第2のカム部材のいずれか1つとの間の接触時に前記少なくとも1つのスプリングの付勢に抗して前記クランクシャフト軸に沿って移動するように動作可能である、請求項8に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項17】
自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体であって、
前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、クランクシャフト軸周りで前記クランクシャフトと共に回転するように構成されたカムスライダと、
前記カムスライダの近傍で前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、前記カムスライダにより係合可能であり、クランクシャフト軸周りで前記カムスライダ及び前記クランクシャフトに対して回転可能なスプロケットと、
前記スプロケットとは反対側にある前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記スプロケットに向けて前記カムスライダを付勢するように動作可能なスプリングパックと、
前記クランクシャフトに結合されて前記クランクシャフトと共に回転するように構成され、回転防止機構が形成されるリテーナと、
前記リテーナを貫通して前記クランクシャフトに係合するように構成されるボルトとを含み、
前記リテーナの回転防止機構は、前記ボルトを締める間、前記リテーナ、前記カムスライダ、及びクランクシャフトを固定状態に保持するように係合可能である、コンペンセイタ組立体。
【請求項18】
前記回転防止機構は、標準的なレンチサイズに適合するようなサイズを有する六角ボスである、請求項17に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項19】
前記クランクシャフトの第1の端部の外側のスプライン面に結合される内側のスプライン面を有するカラーを更に含み、
前記リテーナは、前記カラーの内側のスプライン面に結合される外側のスプライン面を含む、請求項17に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項20】
前記スプリングパックの予圧は、前記スプロケットと前記カムスライダの間のカム係合に起因する干渉が生ずることなく前記ボルトにトルクが付与されるように、設定される、請求項19に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項21】
自動二輪車のドライブトレインのクラッチにエンジンのクランクシャフトからのトルクを伝達するコンペンセイタ組立体であって、
前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、頂上部と基準面の間に延在するカム部材を含み、クランクシャフト軸周りで前記クランクシャフトと共に回転するように構成されたカムスライダと、
前記カムスライダの近傍で前記クランクシャフトの第1の端部に搭載され、複数のスポークを含むと共に、複数の軸方向の開口を含むスプロケットであって、該複数のスポークの1つが前記カムスライダのカム部材に係合し、前記頂上部が前記複数の軸方向の開口の1つを通って延在する、スプロケットと、
前記スプロケットとは反対側にある前記カムスライダの第1の側に搭載され、前記スプロケットに向けて前記カムスライダを付勢するように動作可能な少なくとも1つのスプリングとを含む、コンペンセイタ組立体。
【請求項22】
前記カムスライダは、前記複数のスポークの1つが前記カムスライダのカム部材に係合するときに前記少なくとも1つのスプリングに向けてクランクシャフト軸に沿って移動するように動作可能である、請求項21に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項23】
前記カムスライダは、前記複数のスポークの1つが前記カムスライダのカム部材に係合するときに前記エンジンに向けて移動するように動作可能である、請求項22に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項24】
潤滑剤を含むハウジングを更に含み、前記カム部材は、前記軸方向の開口を介して前記潤滑剤の一部に露出する、請求項21に記載のコンペンセイタ組立体。
【請求項25】
前記頂上部は、前記複数のスポークの1つが前記基準面の近傍に位置するときに前記複数の軸方向の開口の1つを通って延在する、請求項21に記載のコンペンセイタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−14200(P2009−14200A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169502(P2008−169502)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(595179505)ハーレー−ダビッドソン・モーター・カンパニー・グループ・インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Harley−Davidson Motor Company Group,Inc.
【住所又は居所原語表記】3700 West Juneau Avenue,Milwaukee,Wisconsin 53208,United States of America
【Fターム(参考)】