説明

自動伴奏装置

【課題】 複雑な照明の演出効果を、自動伴奏と共に得る。
【解決手段】 メモリ6が、複数の自動伴奏パターンと、これら複数の自動伴奏パターンのそれぞれに対応している複数の照明制御パターを記憶している。ユーザーインターフェース10の指示によって、複数の自動伴奏パターンのうち1つをCPU2が読み出し、音源12に出力する。CPU2は、読み出された前記自動伴奏パターンに対応する照明制御パターンもメモリ6から読み出し、この照明制御パターンに基づいて、プロジェクタ22、スモーク発生装置24、ライト26を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動伴奏装置に関し、特に、光による演出も行えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光による演出も行える自動演奏装置として特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の技術では、自動演奏データに基づいて自動的に演奏を行う際に、発音されるごとに、演奏装置に設けた発光素子が発光する。発光素子は、R、G、Bそれぞれが複数設けられており、それらのいずれの色のものが、どの程度の光量で発光するかは、演奏データの音高情報と音色データとに基づいて定められる。
【0003】
【特許文献1】特許第3388530号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、発音される音高と発光する発光素子とが1対1で固定されている。また、発光する色の変更と光量の変更としか行えないので、得られる演出効果は、単調なものとなっていた。
【0005】
本発明は、光について複雑な演出効果を得ることができる自動伴奏装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の自動伴奏装置では、自動伴奏パターン記憶手段に複数の自動伴奏パターンが記憶されている。この自動伴奏パターン記憶手段に記憶されている前記複数の自動伴奏パターンのうち1つを自動伴奏パターン指示手段が指示する。この自動伴奏パターン指示手段によって指示された自動伴奏パターンを、自動伴奏パターン読み出し手段が前記自動伴奏パターン記憶手段から読み出す。自動伴奏パターン出力手段が、読み出された前記自動伴奏パターンを、これに基づいて発音する発音手段に出力する。演奏と共に使用されるステージ演出用の照明のパターンであって、前記複数の自動伴奏パターンのそれぞれに対応している複数の照明制御パターンを、照明制御パターン記憶手段が記憶している。複数の照明制御パターンは、互いに異なったものである。前記自動伴奏パターン指示手段で指示された前記自動伴奏パターンに対応する前記照明制御パターンを、照明制御パターン読み出し手段が、前記照明制御パターン記憶手段から読み出す。読み出された前記照明制御パターンを、これに基づいて制御される照明手段に照明制御パターン出力手段が出力する。照明手段としては、発光手段や、スモークの発生手段等を用いることができる。発光手段は、発光する色や光量が、照明制御パターンによって決定されたものとなったり、照明制御パターンに従って変更されたり、パンやチルトが可能なものの場合には、発光手段が照明する位置が照明制御パターンによって決定されたり、照明制御パターンに従って変更されたりする。また、照明手段がスモークの発生手段を含む場合、照明制御パターンによってスモークを発生させるか否かが決定されたり、発生または停止が照明制御パターンによって変更されたりする。
【0007】
このように構成された自動伴奏装置では、自動伴奏のパターンが指示されると、その自動伴奏パターンが読み出されるが、同時に、その自動伴奏パターンに対応する照明制御パターンが読み出され、自動伴奏と共に照明の制御が行われる。各自動伴奏パターンに対応した照明制御が行われるので、照明制御パターンを適切に作成することによって、或いは、自動演奏パターン指示手段によって指示する自動演奏パターンを変更することによって、ステージ上の照明を単調ではない複雑なものとすることができる。
【0008】
前記複数の照明制御パターンのそれぞれは、時間経過と共に照明態様が変化するように前記照明手段を制御するものとすることができる。照明態様としては、上述したような発光する色、光量、パン、チルト等があるが、これらが指示された自動演奏パターンの時間経過に従って変化するので、より複雑な照明演出効果を得ることができる。
【0009】
更に、前記複数の照明制御パターンは、それぞれ対応する前記自動伴奏パターンと同じ時間長であり、前記自動伴奏パターンとテンポ同期しているものとすることができる。このように構成すると、照明の変化が自動伴奏と同期し、自動伴奏のテンポを変化させると、照明の制御もテンポの変化に追従して行われる。
【0010】
和音に関する情報を入力する和音情報入力手段と、読み出された前記自動伴奏パターンを入力された前記和音情報に基づいて変更する自動伴奏パターン変更手段とを、設けることもできる。この場合、前記自動伴奏パターン出力手段は、前記変更された自動伴奏パターンを出力する。このように構成すると、自動伴奏は、和音情報に従って変更されるが、照明制御パターンは、加工されずに出力される。
【0011】
更に、読み出された前記照明制御パターンを、入力された前記和音情報に基づいて変更する照明制御パターン変更手段を、備えることもできる。この場合、前記照明制御パターン出力手段は、前記変更された照明制御パターンを出力する。このように構成すると、照明制御のパターンも、自動伴奏の和音情報に基づく変更と同様に加工され、より複雑な照明効果を得ることができる。
【0012】
また、この自動伴奏装置に複数の出力モードを備えることもできる。出力モードは、照明手段群(複数の照明手段からなり、相互に異なる構成を有する)にそれぞれ対応した切り替え可能なものである。この場合、前記照明制御パターン記憶手段は、前記出力モードそれぞれに対応した照明制御パターンを記憶し、前記照明制御パターン読み出し手段は、前記出力モードに対応した照明制御パターンを読み出す。このように構成すると、自動伴奏と同期するだけでなく、少数の照明手段のみの小規模なステージから、多数大規模な照明手段を備えたステージまで、それぞれに最適化された照明演出が容易に得られる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、より複雑な照明の演出効果を、自動伴奏と共に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態の自動伴奏装置は、例えばステージ演奏において使用されるもので、図1に示すように、制御手段、例えばCPU2を有している。CPU2は、バス4を介してメモリ6、鍵盤8、ユーザーインターフェース10、音源12、ディスプレイコントローラ14に接続されている。
【0015】
メモリ6には、自動伴奏パターンデータベースと、照明パターンデータベースとが記憶されており、自動伴奏パターン記憶手段及び照明制御パターン記憶手段として機能する。
【0016】
自動伴奏パターンデータベースには、様々な自動伴奏パターンが記憶されている。各自動伴奏パターンは、複数の基本スタイル、例えばロック1、ロック2、ポップ1、ポップ2、サンバ、ルンバごとに設けられ、各スタイルの中に、イントロ、メイン、フィルイン、エンディング等のディビジョンと、各ディビジョンに対するアレンジと呼ばれるバリエーションとが設けられ、1つのスタイルに対して、ディビジョン*アレンジ分のパターンが、自動伴奏パターンデータベースに記憶されている。これらディビジョン*アレンジ分のパターンそれぞれは、時系列的に内容が変化するものである。
【0017】
ユーザーインターフェース10は、例えば複数の選択スイッチからなり、上述したスタイル選択スイッチと、イントロ、メイン、フィルイン、エンディングのディビジョン選択スイッチと、複数、例えば二つのアレンジであるアレンジA、アレンジBの選択スイッチとを有している。これらスイッチの選択によって対応する自動演奏パターンをCPU2がメモリ6から読み出し、音源12に供給する。音源12としては、波形データを読み出して加工し出力するPCM音源や、物理現象を模擬するDSP音源などを用いることができる。音源12が、これに供給された自動演奏パターンに基づく発音データをD/A変換器16に供給する。D/A変換器16は、このデータからアナログ自動伴奏信号を生成する。このアナログ自動伴奏信号は、この自動伴奏装置の外部に設けたアンプ18で増幅され、スピーカ20に供給される。ユーザーインターフェース10が自動伴奏パターン指示手段として機能し、CPU2が自動伴奏パターン読み出し手段及び自動伴奏パターン出力手段として機能する。音源12、D/A変換器16が、自動伴奏手段、例えば楽音生成手段として機能する。
【0018】
具体的には、演奏開始前に、スタイル選択スイッチによって演奏しようとするスタイルを選択し、次に、イントロのディビジョン選択スイッチを操作すると、所定小節のイントロパターンが始まり、その後、対応するメインのディビジョンに移行する。この自動伴奏中に、ディビジョン選択スイッチを操作すると、自動伴奏パターンが切り換えられる。或いはアレンジA、Bの選択スイッチを操作すると、現在のディビジョンの別のアレンジに変更される。
【0019】
このように自動伴奏が行われている最中に、鍵盤8の所定の領域、例えば左手の操作領域が操作されると、CPU2は、和音検出を行い、演奏中の伴奏に対してリアルタイムで変更を行う。例えば、和音情報に基づいてコードのルートに従って、パターンを移調したり、或いは和音のタイプ(メジャー、マイナー、セブンス等の種別)に基づいて種々の変更を行うことができる。或いは、コードのベースや転回形に基づいて、読み出したパターンを変更する場合もある。このように、鍵盤8が和音情報入力手段として機能し、CPU2は、自動伴奏パターン変更手段としても機能する。
【0020】
メモリ6に記憶されている照明パターンデータベースには、各自動伴奏パターンに対応して照明パターンが記憶されている。照明パターンは、照明手段、例えばプロジェクタ22、スモーク発生装置24、複数のライト26を制御するものである。これらは、予めステージの異なる位置に配置されている。プロジェクタ22は、GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)28によって制御され、GPU28は、CPU2が読み出した照明パターンに従ってプロジェクタ22を制御する。スモーク発生装置24及び複数のライト26は、照明制御用のDMX信号の形式でCPU2から制御される。複数のライト26は、ステージのそれぞれ異なった位置に配置され、様々な色で発光する。ライト26は、発光するものが制御され、また発光したものでは、発光光量が制御される。CPU2は、照明制御パターン読み出し手段及び照明制御パターン出力手段としても機能する。
【0021】
図4に複数のライト26のうちの一つを制御するための照明パターンの一部を示す。このパターンは、1小節の間の発光色の変化を制御する部分である。ここで制御対象となるライトは、赤色、緑色、青色のLEDを多数備え、同じ色のLED群ごとに0から255のDMX信号の数値で輝度を制御し、全体として様々な色での発光を可能とするものである。DMX512規格では全部で512チャンネルの制御が可能であるので、そのうち3チャンネルを使い、例えば赤色255、緑色255、青色255の数値を与えれば明るい白色光となり、赤色128、緑色128、青色0の数値を与えればやや暗い黄色の発光となる。またTPQN(1つの4分音符の長さ)は96Tickである。
【0022】
照明パターンは、それぞれ自動伴奏パターンに対応しているので、自動伴奏パターンと同様に、上述したスタイルごとに設けられ、各スタイルの中に上述したのと同様にディビジョン*バリエーションの数の照明パターンを有している。ディビジョン*バリエーションの数の照明パターンでは、上述したプロジェクタ22、スモーク発生装置24、各ライト26が予め定めた位置に配置されていることを前提とし、各ライトに対するパターンでは、いずれの位置のライト26を対応する自動伴奏パターンのどの音の発生タイミングでどのような光量でどのような色で発光させるかや、プロジェクタ22に対応する自動伴奏パターンのどの音の発生タイミングでどのような映像をプロジェクタ22に再生するかや、スモーク発生装置24に対応する自動伴奏パターンのどの音の発生タイミングでスモーク発生装置24にスモークを発生させ、どの音の発生タイミングでスモークを停止させるかが、規定されている。即ち、照明パターンも時系列で記憶されている。そして、スタイル選択スイッチによって自動伴奏のスタイルが選択されたとき、選択されたスタイルに対応する照明パターンが選択され、次に、イントロのディビジョン選択スイッチを操作すると、選択されたスタイルのイントロ用の照明パターンに従って照明が制御され、その後、選択されたスタイルのメインのディビジョンの照明パターンが実行される。
【0023】
なお、各ディビジョン*バリエーション数の自動伴奏パターンは、これらに対応する各ディビジョン*バリエーション数の照明パターンと、同じ時間長を有し、自動伴奏の進行に従って、照明の制御態様が、上述したように変更される。
【0024】
例えば、上述した図4は照明パターンの一部であり、1小節の間の発光色の変化を制御する部分であるが、全体として4小節すなわち96×4×4=1536Tickに渡って照明を制御するパターンであれば、この照明パターンが対応する自動伴奏パターンもまた同様に1536Tickに渡って自動伴奏を制御するよう構成される。図6は、図4の照明パターンが対応する自動伴奏パターンの一部であり、1小節のドラム・パートの中のバスドラムとスネアドラムの発音を指示する部分である。数値は、発音の大きさ(MIDI信号におけるノート・オン・ベロシティ値、0〜127)を表しており、発音時間はテンポに関係なく予め所定値に決められている。
【0025】
自動伴奏中に、ディビジョン選択スイッチを操作すると、操作されたディビジョン選択スイッチに対応する伴奏パターンに変更されるが、同時に、照明パターンも、変更された伴奏パターンに対応するものに切り換えられる。
【0026】
また、上述したように、CPU2が和音を検出したとき、その検出された和音に従ってリアルタイムで照明パターンをCPU2が変更する。例えば、各ライト26が発生している色を変化させたり、光量を変化させたりする。従って、CPU2は照明制御パターン変更手段としても機能する。なお、ユーザーインターフェース10には、テンポの調整用の操作子も含まれており、これが調整されることによって、そのとき演奏されている自動伴奏パターンのテンポが変更され、同時に、そのとき実行されている照明パターンもテンポの変化に同期して変化する。また、テンポが速くなったときには照明の点灯回数を間引いたり、テンポが遅くなったときには点灯回数を増やしたりして、最も適正な演出効果が得られるよう、照明パターンを変更する。
【0027】
図4に示した照明パターンが照明制御パターン変更手段によって変更された結果を、図5に示す。これは、同じ照明パターンであっても、和音検出によってメジャーな和音からマイナーな和音へ変わったことが検出された場合の処理である。この場合、照明制御パターン読み出し手段によって読み出された照明パターンに対して、照明制御パターン変更手段は赤色LED群制御用のDMX信号の数値を128減じ(ただし下限値は0)、緑色LED群制御用の数値は128増やし(ただし上限値は255)、照明制御パターン出力手段が変更されたパターンを出力する。照明パターンの変更は、上述のように数値演算で行ってもよいし、テーブル参照で変換してもよい。このように構成することで、自動伴奏に対応し、より複雑に変化する照明パターンを得ることができる。
【0028】
図2に、この自動伴奏装置のCPU2が行う処理をフローチャートで示す。CPU2は、図2の左側に示す自動伴奏タスクと、右側に示す照明制御タスクとを実行する。ユーザーインターフェース10のスタイル選択スイッチ等を操作してスタイルを選択し(ステップS2)、さらに伴奏構成の選択、例えばディビジョンやバリエーションの選択を行うと(ステップS8)、自動伴奏タスクでは、メモリ6の自動伴奏パターンデータベースから対応する自動伴奏パターンを選択する(ステップS4)。同様に、照明制御タスクでは、照明パターンデータベースから対応する照明パターンを選択する(ステップS6)。
【0029】
次に、テンポの調整(ステップS10)が行われるか、または鍵盤8からの演奏入力(ステップS12)に基づく和音解析(ステップS14)が行われると、自動伴奏タスクでは伴奏パターンの変更が行われ(ステップS16)、照明制御タスクでは照明パターンの変更が行われる(ステップS18)。
【0030】
自動伴奏タスクでは、自動伴奏クロックに従って伴奏パターンが再生され(ステップS20)、照明制御タスクでは、自動伴奏クロックに従って照明パターンが再生される(ステップS22)。次に、自動伴奏タスクでは、演奏情報あるいは伴奏構成が更新されたか判断し(ステップS24)、更新されていなければ、ステップS20から再び実行し、更新されていれば、ステップS4から再び実行する。これにより伴奏パターンが変更されたり新たな伴奏パターンが選択されたりする。同じく照明制御パターンでは、演奏情報あるいは伴奏構成が更新されたか判断し(ステップS26)、更新されていなければ、ステップS22から再び実行し、更新されていれば、ステップS6から再び実行する。これにより照明パターンが変更されたり新たな照明パターンが選択されたりする。
【0031】
バス4には、上述したようにディスプレイコントローラ14が接続され、このディスプレイコントローラ14は、CPU2からの指示によって、この自動伴奏装置が備えるディスプレイ34に、図3に示すような画像を表示する。
【0032】
この画像では、自動伴奏される自動伴奏パターンの楽譜を表示する楽譜表示窓36と、この自動伴奏パターンに対応して行われる照明パターンを表示する照明パターン表示窓38と、自動伴奏されている自動伴奏音の波形表示窓40と、選択されている照明パターンによってどのように照明が変更されるかを表示する照明シミュレーション窓42とが、表示される。
【0033】
照明シミュレーション窓42には、ステージが模式的に示され、図3では、このステージ上の異なる位置に、合計6つのライト26が、それぞれ符号1乃至6を付して示されている。この例では、ステージの天井側に符号1乃至3を付されたライト26が間隔をおいて、ステージに向けて照明するように配置され、ステージ側に天井側を向いて符号4乃至6が付されたライト26が並べて配置されていることが示されている。これらライト26が発光している状態で、どのように照明がなされているかも、この照明シミュレーション窓42に表示されている。図3の例では、天井側の符号2、3が付されたライト26が異なる色でステージ側を照明し、ステージ側の符号4、6が付されたライト26が天井側を照明していることを示している。即ち、照明状態がグラフィック的に視覚化されて表示されている。
【0034】
符号1乃至6のライト26がどのように照明を行うかを、照明パターン表示窓38に、符号1乃至6のライト26にそれぞれ対応させて、図形表示的に、具体的には表形式で表示されている。また、自動伴奏楽譜表示窓36には、自動伴奏で使用される例えばコードとベースとドラムとの楽譜が表示されている。照明パターン表示窓38の照明パターンの各要素と自動伴奏楽譜表示窓の楽譜の各音符とは、対応しており、例えば符号1、2が付されたライト26は、それぞれバスドラムとスネアドラムの発音タイミングに同期して照明状態が変化し、例えば斜線を付した期間だけ発光し、符号3が付されたライト26は、ベースの発音タイミングに同期して照明状態が変化、例えば斜線を付した期間だけ発光する。また、符号4、5、6が付されたライト26は、コードに応じて照明状態が変化し、例えば縦線の密度の変化で図示しているように光量が変化する。なお、符号1、2、3が付されたライト26では、発光期間を斜線を付して示したが、これらの期間を対応するライト26の発光色で示してもよい。また、符号4、5、6を付したライト26の光量の変化は、縦線の密度の変化で示したが、対応するライトの光量の変化に合わせて対応するライトの発光色の明度を変化させてもよい。
【0035】
照明パターン表示窓38と自動伴奏楽譜表示窓36と波形表示窓40とには、実行位置表示手段、例えばマーカ44、46、48が表示され、これらは、自動伴奏の進行に従って、その表示位置が連動して変更され、マーカ44は、符号1乃至6を付したライト26が現在どのような照明状態であるかを示し、マーカ46は、自動伴奏が現在楽譜上のどの位置を演奏しているかを示し、マーカ48は、自動伴奏波形のどの部分が演奏されているかを示している。これらマーカは、時間経過に従って同期して移動する。また、マーカ44の移動に従って、照明シミュレーション窓42では、照明状態が、マーカ44の位置の照明パターンに対応するように変化していく。例えば、図3では、マーカ44は、符号2、3、4、6が付されたライト26が照明していることを表しているが、照明シミュレーション窓42も、符号2、3、4、6が付されたライト26が照明している状態を表している。
【0036】
なお、図示していないが、和音情報、テンポまたはバリエーションの変更による自動伴奏音及び照明パターンが変更されると、照明パターン表示窓38と自動伴奏楽譜表示窓36と波形表示窓40と照明シミュレーション窓42とにおける表示も、変更されたものに修正される。従って、実際にステージで演奏を行う前に、テンポ、バリエーションの変更前と変更後の照明状態をシミュレーションしたり、和音情報の有無による照明状態の変化を、事前に確認することができる。実際に演奏する前にシミュレーションする場合、スモーク発生装置24やライト26へCPU2からDMX信号を供給する必要はない。
【0037】
このような表示は、CPU2が、メモリ6から自動伴奏パターン及び照明パターンを読み出したとき、この自動伴奏パターン及び照明パターンから視覚化可能な処理を行い、この処理されたデータをディスプレイコントローラ14に与えることによって、行われる。即ち、CPU2は、演奏情報及び照明情報の視覚化手段として機能している。
【0038】
上記の実施形態では、照明制御用のDMX信号の形式でCPU2からスモーク発生装置24、ライト26を制御したが、スモーク発生装置と照明駆動電源とを電源スイッチを介して接続しCPU2が照明パターンに従って電源スイッチを制御してもよいし、ライトと照明駆動電源とを電圧調整器を介して接続しCPU2が照明パターンに従って電圧調整器を制御することもできる。また、プロジェクタ22、スモーク発生装置24、ライト26のうち少なくとも1つだけを制御するようにすることもできる。また、上記の実施形態26では、ライト26は、その照明する範囲を変更することの無い例を示したが、例えばライト26にパン、チルト機能を持たせ、照明する範囲を変更することもできる。更に、上記の実施形態では、自動伴奏パターンに基づく音の発生タイミングごとに照明の制御を変化させる例を示したが、或る自動伴奏パターンの間には、特定のライト26を点灯し続け、次に演奏される自動伴奏パターンの間には、別のライト26を点灯し続けるというような音の発生と無関係に照明を制御することもできる。また、上記の実施形態では、和音情報の入力に従って、自動伴奏パターンと照明パターンとを変更したが、自動伴奏パターンのみを変更し、照明パターンは変更しないようにすることもできる。
【0039】
上記の実施形態では、楽譜表示窓36と、照明パターン表示窓38と、波形表示窓40と、照明シミュレーション窓42とを表示したが、楽譜表示窓36及び波形表示窓40のいずれか一方と、照明パターン表示窓38及び照明シミュレーション窓42のいずれか一方とだけを、表示するように構成することもできる。また、楽譜表示窓36に代えてピアノロール表示窓を表示することもできる。上記の実施形態では、照明制御パターンや自動伴奏パターンは、予め作成されて記憶されているものを示したが、適当なユーザーインターフェース(入力手段)と記憶手段を追加して、ユーザが照明パターンや自動伴奏を作成したり編集したりできるような構成にしてもよい。
【0040】
上記の実施形態では、CPU2が和音を検出したとき、その検出された和音情報に従ってリアルタイムで自動伴奏パターンおよび照明パターンを変更したが、これに限らず、例えば演奏された特定のメロディやフレーズの検出により得られた情報に従って、自動伴奏パターンあるいは照明パターンを変更することもできる。このように構成することにより、演奏者の演奏表現を複雑な照明演出に反映できるという効果がある。
【0041】
上記の実施形態では、照明制御パターン出力手段が制御しようとするライトの数と実際に外部に設けられた複数のライトの数は一致していたが、これに限らず、ライトの数を減らすこともできる。この場合、DMX形式で出力される信号の中に、どのライトにも受信されない信号が含まれることになる。逆にライトの数を増やすこともできる。この場合、同じ受信チャンネル設定を施された複数のライトが存在することになり、それらが同じ仕様のライトであれば同じように発光するよう制御される。
【0042】
また、外部に設定される照明手段、例えばライトの数が異なるケースに対応するため複数の出力モードを、この自動伴奏装置に備え、設定されるライトの構成に応じてこれらを切り替えられるよう構成してもよい。例えば、第一の出力モードではライト2基を、第二の出力モードではライト4基を、第三の出力モードでは8基のライトを制御するものとし、予め出力モードによって異なる照明パターンを記憶しておき、出力モードに対応した照明パターンを読み出すこともできる。あるいは、一つの出力モードの照明パターン例えば第三の出力モードのための照明パターンのみを記憶するようにし、読み出した後に所定のルールに従って第二の出力モード用や第一の出力モード用に変更を加えてから出力してもよい。この変更は照明パターン読み出し手段で行われてもよいし、照明パターン変更手段で行われてもよい。これらのように構成すれば、自動伴奏と同期するだけでなく、ウォッシャー・ライトのみの小規模なステージから、ムービング・ヘッドやレーザーまで加わった大規模なステージまで、それぞれに最適化された照明演出が容易に得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態の自動伴奏装置のブロック図である。
【図2】図1の自動伴奏装置のフローチャートである。
【図3】図1の自動伴奏装置が備えるディスプレイの表示を示す図である。
【図4】図1の自動伴奏装置において使用される照明パターンの一部を示す図である。
【図5】図4の照明パターンが和音検出に基づいて変更された状態を示す図である。
【図6】図4の照明パターンが対応する自動伴奏パターンの一部を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
2 CPU(自動伴奏パターン読み出し手段、自動伴奏パターン出力手段、自動伴奏パターン変更手段、照明制御パターン読み出し手段、照明制御パターン出力手段、照明パターン変更手段)
6 メモリ(自動伴奏パターン記憶手段、照明制御パターン記憶手段)
8 鍵盤(和音情報入力手段)
10 ユーザーインターフェース(自動伴奏パターン指示手段、出力モード切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動伴奏パターンを記憶している自動伴奏パターン記憶手段と、
この自動伴奏パターン記憶手段に記憶されている前記複数の自動伴奏パターンのうち1つを指示する自動伴奏パターン指示手段と、
この自動伴奏パターン指示手段によって指示された自動伴奏パターンを前記自動伴奏パターン記憶手段から読み出す自動伴奏パターン読み出し手段と、
読み出された前記自動伴奏パターンを、これに基づいて発音する発音手段に出力する自動伴奏パターン出力手段とを、
備えた自動伴奏装置であって、
さらに、演奏とともに使用されるステージ演出用の照明のパターンであって、前記複数の自動伴奏パターンのそれぞれに対応している複数の照明制御パターンを記憶している照明制御パターン記憶手段と、
前記自動伴奏パターン指示手段で指示された前記自動伴奏パターンに対応する前記照明制御パターンを、前記照明制御パターン記憶手段から読み出す照明制御パターン読み出し手段と、
読み出された前記照明制御パターンを、これに基づいて制御される照明手段に出力する照明制御パターン出力手段とを、
備えた自動伴奏装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動伴奏装置において、
前記複数の照明制御パターンのそれぞれは、時間経過と共に照明態様が変化するように前記照明手段を制御するものである自動伴奏装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動伴奏装置において、前記複数の照明制御パターンは、それぞれ対応する前記自動伴奏パターンと同じ時間長であり、前記自動伴奏パターンとテンポ同期している自動伴奏装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の自動伴奏装置において、
和音に関する情報を入力する和音情報入力手段と、
読み出された前記自動伴奏パターンを、入力された前記和音情報に基づいて変更する自動伴奏パターン変更手段とを、
備え、前記自動伴奏パターン出力手段は、前記変更された自動伴奏パターンを出力する
自動伴奏装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動伴奏装置において、
読み出された前記照明制御パターンを、入力された前記和音情報に基づいて変更する照明制御パターン変更手段を、
備え、前記照明制御パターン出力手段は、前記変更された照明制御パターンを出力する
自動伴奏装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか記載の自動伴奏装置が、
複数の照明手段からなり、相互に異なる構成を有する照明手段群にそれぞれ対応した切り替え可能な複数の出力モードを備え、更に、
前記照明制御パターン記憶手段は、前記出力モードそれぞれに対応した照明制御パターンを記憶し、
前記照明制御パターン読み出し手段は、前記出力モードに対応した照明制御パターンを読み出すことを特徴とする自動伴奏装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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