説明

自動分析装置及びその試薬容器を移動する方法

【課題】試薬を精度よく分注することができる自動分析装置及びその試薬容器を移動する方法を提供する。
【解決手段】試薬容器6を第1の吸引位置A1に移動可能に保持する第1の試薬ラック部1a及び第1の吸引位置A1よりも反応容器3に近い第2の吸引位置B1に移動可能に保持する第2の試薬ラック部1bと、試薬容器6を第1及び第2の試薬ラック部1a,1bに移動する第1試薬移動部21とを備え、第1試薬移動部21は、第1待機位置24の試薬容器6に収容された試薬の吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の各分注条件に基づいて第1又は第2の試薬ラック部1aに移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から採取された被検試料の成分を分析する自動分析装置及びその試薬容器を移動する方法に係り、特に、ヒトの血液や尿などの体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置及びその試薬容器を移動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検試料と各項目に該当する試薬との混合液を、反応によって生ずる色調などの変化を測定する吸光度法や、電解質などの特定の成分に応答する電位を測定するイオンセンサ法により、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を測定する。そして、多数の被検試料及び項目の分析データが必要とされる検査室では、短時間で医師への報告が可能なように高速処理型の装置を用いて日常の検査が行われる。
【0003】
この自動分析装置では、各項目の試薬を収容した試薬容器を試薬庫に収納してから、検査に応じて選択された項目の測定が開始される。被検試料及び試薬をサンプル及び試薬分注プローブを用いて反応容器に分注し、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液を撹拌子を用いて撹拌し、撹拌された混合液を測光部等で測定する。そして、被検試料の分注終了毎にサンプル分注プローブを洗浄槽で洗浄し、試薬分注終了毎に試薬分注プローブを洗浄槽で洗浄する。これらの一連の動作は所定のサイクルで行われる。
【0004】
ところで、自動分析装置で測定可能な項目の数の増加に伴い、多数の試薬容器の収納が可能なように、円周上に試薬容器を保持する第1のディスク及びこの第1のディスクの外周に試薬容器を保持する第2のディスクを有する試薬庫が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この自動分析装置において、第1のディスクの試薬を分注する第1の分注では、試薬分注プローブを洗浄槽から第1の吸引位置に移動し、第1のディスクの試薬容器から試薬を吸引した後、反応容器に移動して吸引した試薬を吐出する。試薬の吐出後、洗浄槽に移動して試薬分注プローブの洗浄が終了したときに試薬の分注を終了する。
【0006】
また、第2のディスクの試薬を分注する第2の分注では、第1の分注と同じサイクルで実行され、試薬分注プローブを洗浄槽から第1の吸引位置よりも近い第2のディスクの吸引位置に移動し、第2のディスクの試薬容器から試薬を吸引した後、反応容器に移動して吸引した試薬を吐出する。試薬の吐出後、洗浄槽に移動して試薬分注プローブの洗浄が終了した時点で試薬の分注を終了する。
【0007】
このように、第2のディスクの第2の分注よりも第1のディスクの第1の分注における試薬分注プローブの移動距離が長いため、第2分注では第1のディスクにおける最大量の試薬の分注が可能な第1分注に合わせて移動時間、吸引時間、及び吐出時間の各動作時間に制限を設けている。
【0008】
そして、試薬毎に設定された量に応じた量の試薬を吸引し、設定された量の試薬を吐出する。従って、設定された量が多いほど吸引及び吐出の分注動作に長い時間がかかるので、例えば設定された量が多いほど吸引速度や吐出速度等を速くして所定のサイクル内に収めている。
【特許文献1】特開2006−119156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、分注動作が速すぎると、試薬の分注精度が低下する問題がある。例えば吸引速度が速すぎると試薬の分注精度は低下する傾向にあり、粘度が高い試薬においては更に分注精度は低下する。また、泡立ちやすい試薬を高速で吐出させると、吐出された試薬の泡立ちが多くなり分注精度が低下する。
【0010】
そこで、吸引や吐出等の各分注動作の時間を増やすと分注精度の向上が可能な試薬を収容した試薬容器を第2のディスクに収納し、第1の分注と第2の分注の移動時間の差分を第2の分注の各分注動作の時間に配分して分注させることにより、その試薬の分注精度の向上が期待できる。
【0011】
しかしながら、第1及び第2のディスクに多数の試薬容器を収納する必要がある装置の操作者にとって、試薬容器を第1及び第2のディスクに分けて収納することは、煩雑で困難であり、誤って第2のディスクへ収納すべき試薬容器を第1のディスクに収納する恐れがある。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試薬の分注条件に応じて試薬容器の収納が可能な自動分析装置及びその試薬容器を移動する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬を収容する試薬容器を少なくとも第1の位置に移動可能に保持する第1の試薬ラック部及び前記第1の位置よりも前記反応容器に近い第2の位置に移動可能に保持する第2の試薬ラック部と、前記第1及び第2の位置の試薬容器から試薬を吸引して前記反応容器に吐出する分注プローブと、前記自動分析装置における待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件に応じて前記第1又は第2の試薬ラック部に移動する移動手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る本発明の自動分析装置の試薬容器を移動する方法は、被検試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の試薬容器を移動する方法において、前記自動分析装置の待機位置の試薬容器に貼付されたラベルからその試薬容器に収容された試薬の情報を読み取り手段により読み取り、前記待機位置の試薬容器を、前記読み取り手段により読み取られた試薬情報を有する試薬の分注条件に応じて前記第1又は第2の試薬ラック部に移動手段により移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少なくとも第1及び第2の試薬ラック部に移動可能な待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件に基づいて、試薬容器を第1の位置への移動が可能な第1の試薬ラック部又は第1の位置よりも反応容器に近い第2の位置への移動が可能な第2の試薬ラック部に移動することができる。
【0016】
そして、第2の試薬ラック部に保持された試薬容器の試薬を、第1の試薬ラック部に保持された試薬容器の試薬よりも所定の動作に長い時間が配分された分注動作により、試薬を精度よく分注することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、様々な項目の標準試料や被検試料を項目毎に測定する分析ユニットを有する分析部18と、分析部18の各分析ユニットにおける測定動作の制御を行う分析制御部19と、各項目の測定に用いる試薬を収容した試薬容器を分析部18に移動する試薬容器移動部20と、標準試料や被検試料の測定により分析部18から出力される標準試料データや被検試料データを処理して検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部60とを備えている。
【0019】
また、データ処理部60で作成された検量線や生成された分析データを出力する出力部70と、各項目の試薬条件を含む分析条件の入力や、各種コマンド信号の入力などを行う操作部80と、分析制御部19、試薬容器移動部20、データ処理部60、及び出力部70を統括して制御する、記憶回路91を有するシステム制御部90とを備えている。
【0020】
図2は、分析部18の構成を示した図である。この分析部18は、標準試料や被検試料のサンプルを収容する試料容器17を保持するディスクサンプラ5と、サンプルに含まれる各項目の成分を分析する第1試薬を収容した試薬容器6が収納される第1及び第2の試薬ラック部1a,1b及びリーダ1cを有する第1試薬庫1と、第1試薬と対をなす第2試薬を収容した試薬容器7が収納される第1及び第2の試薬ラック部2a,2b及びリーダ2cを有する第2試薬庫2とを備えている。
【0021】
また、試料容器17からサンプルを吸引して反応容器3に吐出するサンプル分注プローブ16と、第1試薬分注プローブ14に第1試薬庫1の試薬容器6から第1試薬を吸引させ、吸引した第1試薬を反応容器3に吐出させる第1試薬分注ポンプ8aと、第2試薬分注プローブ15に第2試薬庫2の試薬容器7から第2試薬を吸引させ、吸引した第2試薬を反応容器3に吐出させる第2試薬分注ポンプ9aと、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の洗浄を行う第1及び第2洗浄槽14a,15aとを備えている。
【0022】
更に、サンプル分注プローブ16及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10及び第1及び第2試薬分注アーム8,9と、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が第1及び第2試薬庫1,2の試薬容器6,7内の第1及び第2試薬と接触したときにその液面を検出する第1及び第2試薬液面検出器18a,18bとを備えている。そして、第1及び第2試薬液面検出器18a,18bで検出された各検出信号は分析制御部19に出力される。
【0023】
更にまた、各分注プローブから吐出されたサンプル、第1試薬、及び第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器3を回転移動可能に保持する反応ディスク4と、反応容器3内に吐出されたサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、各混合液を収容した反応容器3を測定する測光ユニット13と、反応容器3内の測定を終えた各混合液を吸引すると共に反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル及び反応容器3内を乾燥する乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0024】
そして、測光ユニット13は、回転移動する反応容器3に光を照射して、標準試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して標準試料データを生成した後、データ処理部60に出力する。また、被検試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して被検試料データを生成した後、データ処理部60に出力する。また、測定後の反応容器3、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、撹拌ユニット11などの各分析ユニットは洗浄された後、再び測定に使用される。
【0025】
分析制御部19は、分析部18の各分析ユニットを駆動する機構を備えた機構部19aと、機構部19aの各機構を制御する制御部19bとを備えている。機構部19aは、第1試薬庫1の第1及び第2の試薬ラック部1a,1b、第2試薬庫2の第1及び第2の試薬ラック部2a,2b、及びディスクサンプラ5を夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。
【0026】
また、機構部19aは、サンプル分注プローブ16からサンプルの吸引及び吐出を行うサンプル分注ポンプを駆動する機構、第1及び第2試薬分注ポンプ8a,9aを夫々駆動する機構、第1及び第2の試薬分注プローブ14,15の洗浄を行う第1及び第2洗浄槽14a,15aの洗浄ポンプを夫々駆動する機構、撹拌ユニット11の撹拌子を撹拌駆動する機構、洗浄ユニット12の洗浄ノズルから混合液の吸引や洗浄液の吐出及び吸引を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行う乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0027】
図1に戻り、試薬容器移動部20は、各項目の第1試薬を収容した試薬容器6を分析部18における第1試薬庫1の第1及び第2の試薬ラック部1a,1bに移動する移動ユニットを有する第1試薬移動部21と、第2試薬を収容した試薬容器7を分析部18における第2試薬庫2の第1及び第2の試薬ラック部2a,2bに移動する移動ユニットを有する第2試薬移動部41と、第1及び第2試薬移動部21,41における各移動ユニットの移動及び制御を行う試薬移動制御部40とを備えている。
【0028】
試薬移動制御部40は、第1及び第2試薬移動部21,41の移動ユニットを夫々駆動する機構を備えた移動機構部40aと、移動機構部40aの機構を夫々制御する移動制御部40bとを備えている。
【0029】
データ処理部60は、分析部18から出力された標準試料データや被検試料データから検量線の作成や分析データの生成を行う演算部61と、演算部61で作成された検量線や生成された分析データなどを保存する記憶部62とを備えている。
【0030】
演算部61は、分析部18の測光ユニット13から出力された各項目の標準試料データから検量線を作成して記憶部62に保存すると共に出力部70に出力する。また、分析部18の測光ユニット13から出力された各項目の被検試料データに対して、その項目の検量線を記憶部62から読み出し、その読み出した検量線を用いて濃度や活性値などの分析データを生成して記憶部62に保存すると共に出力部70に出力する。
【0031】
記憶部62は、ハードディスクなどを備え、演算部61から出力された検量線を項目毎に保存し、演算部61から出力された分析データを被検試料毎に保存する。
【0032】
出力部70は、データ処理部60から出力された検量線、分析データなどを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、データ処理部60から出力された検量線、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0033】
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、データ処理部60から出力された検量線や分析データの表示や、各項目の試薬の分注条件、波長、サンプル量などの分析条件を設定するための試薬条件設定画面を含む分析条件設定画面、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力画面、被検試料毎の測定項目を選択するための測定項目選択画面、及び分析部18の第1及び第2試薬庫1,2に収納された各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬の残量を表示する試薬残量表示画面などの表示を行う。
【0034】
操作部80は、図示しないキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各項目の分析条件、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報、被検試料毎の測定項目等を入力する。
【0035】
システム制御部90は、図示しないCPUと記憶回路91を備え、操作部80から供給されるコマンド信号、各項目の分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目などの情報を記憶する。そして、これらの情報に基づいて、分析部18を構成する各分析ユニットを一定分析サイクルの所定の動作条件で動作させる制御、試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2内に移動させる制御などシステム全体の制御を行なう。
【0036】
次に、図2乃至図5を参照して、試薬容器移動部20の構成の詳細を説明する。図3は、表示部72に表示される分析条件の一つである試薬条件を設定する試薬条件設定画面の一例を示す図である。図4は、表示部72に表示されるシステム条件を設定するシステム条件設定画面の一例を示す図である。図5は、第1試薬移動部21の構成を示す図である。図6は、第2試薬移動部41の構成を示す図である。
【0037】
図3において、試薬条件設定画面73は、項目名を表示する「項目名」の欄と、「項目名」の欄に表示された項目名の第1及び第2試薬の試薬条件を設定するための試薬条件設定エリア74とにより構成され、この試薬条件設定画面73で設定された各項目の試薬条件の情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0038】
そして、操作部80からの分析条件設定画面表示操作により表示部72に分析条件設定画面を表示させて項目名として例えばGOTを設定した後、GOTの試薬条件設定画面73を表示する操作により、試薬条件設定画面73の「項目名」の欄に「GOT」が表示される。
【0039】
試薬条件設定エリア74は、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄と、この欄に対応する「試薬名」、「分注条件」、及び「試薬位置」の欄とにより構成される。
【0040】
「試薬名」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に対応する試薬を識別するための試薬名、ID等の試薬情報を設定する試薬識別情報設定エリア75が設けられている。この試薬識別情報設定エリア75には、文字、数字などを所定の桁数で設定可能なダイアログボックス75a,75bが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬の試薬情報として例えばGOT−1及びGOT−2の試薬名を入力すると、ダイアログボックス75a,75b内に「GOT−1」及び「GOT−2」が表示される。
【0041】
「分注条件」の欄には、「吐出量」、「粘度」、「泡立度」、及び「汚染度」の欄と、この欄に表示された第1及び第2試薬の分注条件を設定するための分注条件設定エリア76が設けられている。
【0042】
分注条件設定エリア76には、分析部18の反応容器3への第1及び第2試薬の吐出量を例えばμL単位で設定可能なダイアログボックス76a,76bが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬の吐出量として例えば「150」及び「75」を入力すると、ダイアログボックス76a,76b内に「150」及び「75」が表示される。
【0043】
また、第1及び第2試薬の粘度が順に高くなる例えばA,B,Cの3つのクラスから選択可能なダイアログボックス76c,76dが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬の粘度として例えば「A」を選択入力すると、ダイアログボックス76c,76d内に「A」が表示される。
【0044】
ここで、粘度を設定する条件について説明する。第1及び第2試薬の中には高粘度の特性を示すものがある。この高粘度の試薬を第1及び第2試薬分注プローブ14,15内に高速で吸引すると、所定の時間内に所定量を吸引できないため試薬の分注精度が低下する問題がある。このため、高粘度の試薬を低速で吸引して精度よく分注できるように粘度の設定を行う。そして、「A」は、水などに近い粘度の第1の範囲に対応し、大部分の第1及び第2試薬がこのクラスに該当する。「C」は、第1の範囲よりも高粘度の第2の範囲に対応し、この第2の範囲に設定されていると第1の範囲よりも低速で吸引する。「B」は、「A」と「C」の間の粘度の範囲に対応し、第1の範囲に含まれる試薬又は第2の範囲に含まれる試薬と同じ速度で吸引を行う。
【0045】
更に、第1及び第2試薬の泡立度が順に高くなる例えばA,B,Cの3つのクラスから選択可能なダイアログボックス76e,76fが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬の泡立度として例えば「A」を選択入力すると、ダイアログボックス76e,76f内に「A」が表示される。
【0046】
ここで、泡立度を設定する条件について説明する。第1及び第2試薬の中には、泡立ちやすいものがある。この泡立ちやすい試薬を第1及び第2試薬分注プローブ14,15から反応容器3内に高速で吐出すると、反応容器3内で吐出された試薬が泡立つために例えば反応に関与する試薬量が減少し、分注精度が低下する問題がある。このため、泡立ちやすい試薬を低速で吐出して精度よく分注できるように泡立度の設定を行う。そして、「A」は、泡立たない泡立度の第1の範囲に対応し、大部分の第1及び第2試薬がこのクラスに該当する。「C」は、第1の範囲よりも泡立ち、分析データが悪化するほどの泡立度の第2の範囲に対応し、この第2の範囲に設定されていると、第1の範囲よりも低速で吐出する。「B」は、「A」と「C」の間の泡立度の範囲に対応し、第1の範囲又は第2の範囲の試薬と同じ速度で吐出を行う。
【0047】
更にまた、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を介して他の第1及び第2試薬を汚染する汚染度が順に高くなる例えばA,B,Cの3つのクラスから選択可能なダイアログボックス76g,76hが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬の汚染度として例えば「A」を選択入力すると、ダイアログボックス76g,76h内に「A」が表示される。
【0048】
ここで、汚染度を設定する条件について説明する。第1及び第2試薬の中には、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を介して次に分注する第1及び第2試薬に以前に分注した試薬が混入して汚染し、次に分注する第1及び第2試薬の項目の分析データに悪影響を与えるものがある。このため、分析データに悪影響を与える試薬を分注した後に第1及び第2試薬分注プローブ14,15を長い時間洗浄して汚染を防止できるように汚染度の設定を行う。そして、「A」は、他の項目を汚染しない第1の範囲に対応している。「C」は、特定の項目の分析データに悪影響を与える汚染度の第2の範囲に対応し、この第2の範囲に設定されていると、試薬を分注した後に第1及び第2試薬分注プローブ14,15を第1の範囲よりも長い時間洗浄する。「B」は、「A」と「C」の間の汚染度の範囲に対応し、第1の範囲又は第2の範囲と同じ時間洗浄する。
【0049】
「試薬位置」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に対応し、分析部18の第1及び第2試薬庫1,2に収納する試薬容器6,7の位置の設定が可能な試薬位置設定エリア77が設けられている。この試薬位置設定エリア77には、試薬容器6,7の位置及び自動の選択が可能なダイアログボックス77a,77bが表示されている。そして、操作部80から「GOT」の第1及び第2試薬を収容した試薬容器6,7の位置を選択すると、選択された第1及び第2試薬庫1,2の位置が表示される。
【0050】
また、自動を選択すると、ダイアログボックス77a,77b内に「自動」が表示され、試薬容器移動部20により分析部18の第1及び第2試薬庫1,2内に試薬容器6,7を移動して収納される。
【0051】
図4は、表示部72に表示されるシステム条件を設定するシステム条件設定画面の一例を示す図である。このシステム条件設定画面78は、装置全体及び測定動作全体の様々なシステムの条件を設定するための画面である。この画面で設定されるシステム条件の情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0052】
システム条件設定画面78には、「第1試薬自動収納」及び「第2試薬自動収納」の欄があり、この欄に対応するダイアログボックス78a,78b内に第1及び第2試薬の夫々第1及び第2の範囲が設定されていると、図3の試薬条件設定画面73の「試薬位置」の欄のダイアログボックス77a,77bに設定された「自動」が機能するようになっている。
【0053】
「第1試薬自動収納」の欄に対応するダイアログボックス78a内に予め設定された例えば「100」が表示されており、試薬条件設定画面73で設定可能な第1試薬の最小値から100μLまでの吐出量の第1の範囲、及び101μLから設定可能な第1試薬の最大値までの吐出量の第2の範囲を表している。
【0054】
「第2試薬自動収納」の欄に対応するダイアログボックス78b内に予め設定された例えば「100」が表示されており、試薬条件設定画面73で設定可能な第2試薬の最小値から100μLまでの吐出量の第1の範囲、及び101μLから設定可能な第2試薬の最大値までの吐出量の第2の範囲を表している。
【0055】
なお、第1及び第2試薬の分注においては、試薬条件設定画面73で設定された吐出量よりも多い量が第1及び第2試薬分注プローブ14,15内に吸引される。この吸引量を第1及び第2の範囲として設定するようにしてもよい。
【0056】
このように、第1試薬における吐出量の第1及び第2の範囲が予め設定されていると、試薬条件設定画面73で設定された第1試薬の吐出量が第1の範囲に含まれている場合、その第1試薬を収容した試薬容器6を、試薬容器移動部20の第1試薬移動部21により第1試薬庫1の第1の試薬ラック部1aに移動させることができる。また、吐出量が第2の範囲に含まれている場合、その第1試薬を収容した試薬容器6を、第1試薬移動部21により第1試薬庫1の第2の試薬ラック部1bに移動させることができる。
【0057】
また、第2試薬の第1及び第2の範囲が予め設定されていると、試薬条件設定画面73で設定された第2試薬の吐出量が第1の範囲に含まれている場合、その第2試薬を収容した試薬容器7を、試薬容器移動部20の第2試薬移動部41を用いて第2試薬庫2の第1の試薬ラック部2aに移動させることができる。また、第2試薬の吐出量が第2の範囲に含まれている場合、その第2試薬を収容した試薬容器7を、第2試薬移動部41を用いて第2試薬庫2の第2の試薬ラック部2bに移動させることができる。
【0058】
図5は、試薬容器移動部20の第1試薬移動部21を上から見た図である。この第1試薬移動部21は、自動分析装置100の第1待機エリア22に置かれた試薬容器6を検出する第1検出器23と、この第1検出器23で検出された試薬容器6を第1待機位置24に移動するベルト25と、第1待機位置24へ移動された試薬容器6に貼付された例えばバーコードラベルからその試薬容器6に収容された第1試薬の情報を読み取るリーダ26と、このリーダ26で読み取られた試薬容器6を第1試薬庫1の第1の試薬ラック部1a及びこの第1の試薬ラック部1aの外周に配置された第2の試薬ラック部1bに移動する第1移動アーム27とを備えている。
【0059】
そして、図3の試薬条件設定画面73で設定された吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分注条件が夫々第1の範囲に含まれている第1試薬が収容された試薬容器6を、第1待機位置24から第1の試薬ラック部1aへ移動する。また、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件の内の少なくとも1つが第2の範囲に含まれている第1試薬が収容された試薬容器6を、第1待機位置24から第2の試薬ラック部1bへ移動する。
【0060】
第1検出器23は、発光素子及びこの発光素子に対向配置された発光素子からの光を検出し電気信号に変換する光検出器を有し、第1待機エリア22に配置されている。そして、第1待機エリア22に置かれた試薬容器6によって発光素子からの光が遮断されたときに光検出器の検出レベルが低下することにより、試薬容器6を検出する。
【0061】
リーダ26は、例えばバーコードリーダであり、ベルト25で第1待機位置24に移動した試薬容器6に貼付されたバーコードラベルからその試薬容器6内の第1試薬の情報を読み取り、読み取った第1試薬の情報をシステム制御部90に出力する。
【0062】
第1移動アーム27は、試薬移動制御部40における移動機構部40aの駆動により作動し、第1待機位置24の試薬容器6を狭持するホルダ28、このホルダ28を長手方向である矢印L2方向にスライド可能に保持するアーム29、及びこのアーム29を矢印R1及びR2方向に回動及び上下移動する回動軸30を備えている。
【0063】
そして、リーダ26で読み取られた第1待機位置24の試薬容器6をホルダ28で狭持する。この試薬容器6を狭持したホルダ28を保持したアーム29を回動軸30で上に移動した後、R1方向に回動して試薬容器6を第1及び第2の試薬ラック部1a,1bの上方に移動する。更に、ホルダ28をスライドさせて試薬容器6を第1収納位置E1に移動した後、試薬容器6が第1の試薬ラック部1aに保持される位置まで回動軸30を下に移動し、また試薬容器6を第2収納位置F1に移動した後、試薬容器6が第2の試薬ラック部1bに保持される位置まで回動軸30を下に移動する。
【0064】
図6は、試薬容器移動部20の第2試薬移動部41の構成を示した図である。第2試薬移動部41は、第2待機エリア42に置かれた試薬容器7を検出する第2検出器43と、この第2検出器43で検出された試薬容器7を第2待機位置44に移動するベルト45と、第2待機位置44へ移動した試薬容器7に貼付された例えばバーコードラベルからその試薬容器7に収容された第2試薬の情報を読み取るリーダ46と、このリーダ46で読み取られた試薬容器7を第2試薬庫2の第1の試薬ラック部2a及び第1の試薬ラック部2aの外周に配置された第2の試薬ラック部2bに移動する第2移動アーム47とを備えている。
【0065】
そして、試薬条件設定画面73で設定された吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の各分注条件が夫々第1の範囲に含まれている第2試薬が収容された試薬容器7を、第2待機位置44から第1の試薬ラック部2aへ移動する。また、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件の内の少なくとも1つが第2の範囲に含まれている第2試薬が収容された試薬容器7を、第2待機位置44から第2の試薬ラック部2bへ移動する。
【0066】
第2検出器43は、第2待機エリア42に配置され、第2待機エリア42に置かれた試薬容器7を検出する。リーダ46は、ベルト45で第2待機位置44に移動した試薬容器7に貼付された例えばバーコードラベルからその試薬容器7内の第2試薬の情報を読み取り、読み取った第2試薬の情報をシステム制御部90に出力する。第2移動アーム47は、第2待機位置44の試薬容器7を狭持するホルダ48、このホルダ48を長手方向にスライド可能に保持するアーム49、及びこのアーム49を矢印R1及びR2方向に回動及び上下移動する回動軸50を有する。そして、リーダ46で読み取った第2待機位置44の試薬容器7を、第1収納位置E2の第1の試薬ラック部2aに保持される位置まで移動し、また第2収納位置F2の第2の試薬ラック部2bに保持される位置まで移動する。
【0067】
試薬移動制御部40の移動機構部40aは、第1及び第2試薬移動部21,41のベルト25,45を夫々移動する機構、ホルダ28,48を夫々狭持駆動する機構、ホルダ28,48を夫々スライド駆動する機構、回動軸30,50を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、移動制御部40bは、移動機構部40aの機構を夫々制御する制御回路を備えている。
【0068】
そして、第1及び第2試薬移動部21,41の第1及び第2検出器23,43から出力される検出信号に応じてベルト25,45を作動させ、第1及び第2待機エリア22,42に置かれた試薬容器6,7を、第1及び第2待機位置24,44に移動させる。
【0069】
また、システム制御部90から供給される第1及び第2試薬の夫々第1及び第2の試薬ラック部収納情報に基づいて第1及び第2移動アーム27,47を作動させ、第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7を第1試薬庫1の第1又は第2の試薬ラック部1a,1b及び第2試薬庫2の第1又は第2の試薬ラック部2a,2bへ移動させる。
【0070】
なお、第1及び第2試薬庫1,2内に第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7と同じ試薬情報を有する試薬容器6,7がある場合、システム制御部90から供給される第1及び第2試薬取り出し情報に基づいて第1及び第2移動アーム27,47を作動させ、同じ試薬情報を有する試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2から第1及び第2取り出しエリア31,51に移動させた後に、第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2内に移動させる。
【0071】
次に、図2乃至図13を参照して、第1及び第2試薬を分注する動作を説明する。図7は、分析部18の第1試薬を取り扱う第1試薬分注プローブ14等の各分析ユニット及び第1の試薬分注プローブ14が停止する位置を上から見た図である。図8は、第1試薬分注プローブ14が各停止位置間を移動する距離を示す図である。図9は、第1試薬の分注工程を示すフローチャートである。図10は、第1試薬の分注工程のタイミングを示すタイミングチャートである。図11は、第1試薬の分注工程のタイミングの他の例を示すタイミングチャートである。図12は、第1試薬の分注工程のタイミングの他の例を示すタイミングチャートである。図13は、分析部18の第2試薬を取り扱う第2試薬分注プローブ15等の各分析ユニット及び第2試薬分注プローブ15が停止する位置を上から見た図である。
【0072】
図7において、第1試薬庫1は、反応ディスク4の内側に配置され、2つの円周上に複数の試薬容器6の収納が可能な第1及び第2の試薬ラック部1a,1b及び第1及び第2の試薬ラック部1a,1bに収納された試薬容器6のバーコードラベルから第1試薬の情報を読み取るリーダ1cを備えている。
【0073】
第1の試薬ラック部1aは、第2の試薬ラック部1bの内周に配置され、収納された試薬容器6を回動可能に保持する。第2の試薬ラック部1bは、第1の試薬ラック部1aに連結され、収納された試薬容器6を回動可能に保持する。なお、第1及び第2の試薬ラック部1a,1bを夫々独立して回動するようにしてもよい。
【0074】
リーダ1cは、第2の試薬ラック部1bの外側に配置され、被検試料の測定が行われるときや、試薬容器移動部20の第1試薬移動部21による試薬容器6の移動が行われるときに、第1及び第2の試薬ラック部1a,1bに保持された試薬容器6のバーコードラベルから第1試薬の情報を読み取り、読み取った全ての試薬容器6の第1試薬の情報をシステム制御部90に出力する。
【0075】
第1試薬分注アーム8は、この回動軸を中心として矢印R1及びR2方向に回動して、上停止位置にある第1試薬分注プローブ14を図7の破線で示した円軌道に沿って水平に移動する。
【0076】
この第1試薬分注プローブ14の円軌道上には、第1試薬を吐出する位置である吐出位置C1、吐出位置C1から吐出する第1試薬を吸引する位置である第1の吸引位置A1、この第1の吸引位置A1よりも吐出位置C1に近い第1試薬を吸引する位置である第2の吸引位置B1、吐出位置C1と第2の吸引位置B1の間に位置する洗浄位置D1の各停止位置がある。
【0077】
吐出位置C1の下方には反応ディスク4により回転移動した反応容器3が停止し、停止した反応容器3に第1試薬が吐出される。第1の吸引位置A1の下方には第1の試薬ラック部1aに保持された試薬容器6が停止し、停止した試薬容器6から第1試薬が吸引される。第2の吸引位置B1の下方には第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器6が停止し、停止した試薬容器6から第1試薬が吸引される。洗浄位置D1の下方には第1洗浄槽14aが配置され、第1試薬分注プローブ14が洗浄される。
【0078】
そして、第1の試薬ラック部1aに保持された試薬容器6の第1試薬を反応容器3に分注する場合、第1試薬分注プローブ14は、図8(a)に示すように、洗浄位置D1と第1の吸引位置A1の間の距離D1を移動する。また、第1の吸引位置A1と吐出位置C1の間の距離D2を移動する。更に、吐出位置C1と洗浄位置D1の間の距離D3を移動する。
【0079】
また、第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器6の第1試薬を反応容器3に分注する場合、図8(b)に示すように、洗浄位置D1と第2の吸引位置B1の間の距離D1よりも短い距離D4を移動する。また、第2の吸引位置B1と吐出位置C1の間の距離D2よりも短い距離D5を移動する。更に、吐出位置C1と洗浄位置D1の間の距離D3を移動する。
【0080】
図9は、第1試薬を分注する第1試薬分注工程を示したフローチャートである。この第1試薬分注工程S40は、第1試薬庫1の第1の試薬ラック部1aに保持された第1の吸引位置A1の試薬容器6の第1試薬を吐出位置C1の反応容器3に分注する第1分注工程S50と、第1試薬庫1の第2の試薬ラック部1bに保持された第2の吸引位置B1の試薬容器6内の第1試薬を吐出位置C1の反応容器3に分注する第2分注工程S70とにより構成され、各分注工程は1分析サイクルの間に実行される。
【0081】
まず、第1分注工程S50において、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14をホームポジションである洗浄位置D1から第1の吸引位置A1へ移動する(ステップS51)。
第1の試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14の先端が第1の吸引位置A1に停止した第1の試薬ラック部1aに保持された試薬容器6内の第1試薬に接触して第1試薬液面検出器18aで検出される位置まで下に移動する(ステップS52)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注ポンプ8aは、試薬容器6から第1試薬分注プローブ14内に試薬条件設定画面73で設定した吐出量よりも多い吸引量の第1試薬を吸引する(ステップS53)。
第1試薬分注プローブ14内に第1試薬が吸引された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注分注プローブ14を上停止位置まで上に移動する(ステップS54)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14を吐出位置C1へ移動する(ステップS55)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注ポンプ8aは、第1試薬分注プローブ14から吐出位置C1に停止した反応容器3内に第1試薬を吐出する(ステップS56)。
【0082】
第1試薬分注プローブ14から第1試薬が吐出された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14を洗浄位置D1へ移動する(ステップS57)。
第1の試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14の先端部が第1洗浄槽14a内に入る位置まで下に移動する(ステップS58)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1洗浄槽14aは、第1試薬分注プローブ14を洗浄する(ステップS59)。
第1試薬分注プローブ14が洗浄された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注分注プローブ14を上停止位置まで上に移動する(ステップS60)。
【0083】
次に、第2分注工程S70において、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14を洗浄位置D1から第2の吸引位置B1へ移動する(ステップS71)。
第1の試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14の先端が第2の吸引位置B1に停止した第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器6内の第1試薬に接触して第1試薬液面検出器18aで検出される位置まで下に移動する(ステップS72)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注ポンプ8aは、試薬容器6から第1試薬分注プローブ14内に試薬条件設定画面73で設定した吐出量よりも多い吸引量の第1試薬を吸引する(ステップS73)。
第1試薬分注プローブ14内に第1試薬が吸引された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注分注プローブ14を上停止位置まで上に移動する(ステップS74)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14を吐出位置C1へ移動する(ステップS75)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注ポンプ8aは、第1試薬分注プローブ14から吐出位置C1に停止した反応容器3内に第1試薬を吐出する(ステップS76)。
【0084】
第1試薬分注プローブ14から第1試薬が吐出された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14を洗浄位置D1へ移動する(ステップS77)。
第1の試薬分注プローブ14が移動した後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プローブ14の先端部が第1洗浄槽14a内に入るまで下に移動する(ステップS78)。
第1試薬分注プローブ14が移動した後に、第1洗浄槽14aは、第1試薬分注プローブ14を洗浄する(ステップS79)。
第1試薬分注プローブ14が洗浄された後に、第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注分注プローブ14を上停止位置まで上に移動する(ステップS80)。
【0085】
図10は、第1試薬分注工程S40における第1及び第2分注工程S50,S70の各ステップのタイミングの一例を示したタイミングチャートである。このタイミングチャート81は、1分析サイクルの間に実行され、上段には第1及び第2分注工程S50,S70に対応する分析部18の反応ディスク4及び第1試薬庫1の第1及び第2の試薬ラック部1a,1bの動作のタイミングが表されている。
【0086】
また、中段には第1分注工程S50に対応する第1試薬分注アーム8、第1試薬分注ポンプ8a、及び第1洗浄槽14aの動作のタイミングが表されている。更に、下段には第2分注工程S70に対応する第1試薬分注アーム8、第1試薬分注ポンプ8a、及び第1洗浄槽14aの動作のタイミングが表されている。
【0087】
第1分注工程S50では、吸引が可能な最低の高さに第1試薬の液面を設定した第1の試薬ラック部1aに保持された試薬容器6から、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分注条件が夫々第1の範囲に含まれる第1試薬を吸引し、吸引した第1試薬を反応容器3内に吐出することが可能なタイミングが表されている。
【0088】
また、第2分注工程S70では、吸引が可能な最低の高さに第1試薬の液面を設定した第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器6から、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分注条件の内の少なくとも1つが第2の範囲に含まれる第1試薬を吸引し、吸引した各第1試薬を反応容器3内に吐出することが可能なタイミングが表されている。
【0089】
上段の第1及び第2分注工程S50,S70に対応する「回転」及び「回動」は、反応ディスク4の回転動作及び第1及び第2の試薬ラック部1a,1bの回動動作とこの動作の時間を示し、各動作の開始及び終了タイミング、及び各動作の時間は不変である。
【0090】
中段の第1分注工程S50に対応する「回動」、「下移動」、及び「上移動」は、第1試薬分注アーム8の回動動作、下への移動動作、及び上への移動動作と各動作の時間を示し、各ステップS51,S52,S54,S55,S57,S58,S60に対応する各動作の開始タイミングは不変であり、各動作には時間T1,T2,T4,T5,T7,T8,T10が割り当てられている。
【0091】
また、「吸引」及び「吐出」は、第1試薬分注ポンプ8aの吸引動作及び吐出動作とこの動作の時間を示し、ステップS53,S56に対応する各動作の開始のタイミングは不変であり、各動作には時間T3,T6が割り当てられている。
【0092】
更に、「洗浄」は、第1洗浄槽14aの洗浄動作及びこの動作の時間を示し、ステップS59に対応する動作開始のタイミングは不変であり、動作には時間T9が割り当てられている。従って、ステップS51乃至S60には、各時間T1乃至T10が割り当てられており、各時間T1乃至T10の総和が1分析サイクルに当たる。
【0093】
下段の第2分注工程S70に対応する「回動」、「下移動」及び「上移動」は、第1試薬分注アーム8の回動動作、下への移動動作、及び上への移動動作と各動作の時間を示し、各ステップS71,S72,S80に対応する各動作の開始タイミングは不変であり、ステップS71にはステップS51の時間T1よりも短い時間T11が割り当てられ、各ステップS72,S80には各ステップS52,S60と同じ各時間T2,T10が割り当てられている。また、各ステップS74,S75,S77,S78に対応する各動作の開始タイミングは可変であり、各ステップS74,S77,S78には各ステップS54,S57,S58と同じ各時間T4,T7,T8が割り当てられ、ステップS75にはステップS55の時間T5よりも短い時間T15が割り当てられている。
【0094】
また、「吸引」及び「吐出」は、第1試薬分注ポンプ8aの吸引及び吐出動作とこの動作の時間を示し、各ステップS73,S76に対応する各動作の開始タイミングは可変であり、各動作には各ステップS53,S56の各時間T3,T6以上に設定可能な可変の各時間Tx,Tyが割り当てられている。
【0095】
更に、「洗浄」は、第1洗浄槽14aの洗浄動作と動作時間を示し、ステップS79に対応する動作の開始タイミングは可変であり、この動作にはステップS59の時間T9以上に設定可能な可変の時間Tzが割り当てられている。
【0096】
従って、ステップS71,S72,S74,S75,S77,S78,S80には、不変の各時間T11,T12,T4,T15,T7,T8,T10が割り当てられており、ステップS73,S76,S79には、ステップS71乃至S80の各時間の総和が1分析サイクルに当たる可変の各時間Tx,Ty,Tzが割り当てられている。
【0097】
ここで、試薬条件設定画面73で設定された分注条件の例えば吐出量が第2の範囲内であり、且つ粘度、泡立度、及び汚染度が夫々第1の範囲内である場合、図11のタイミングチャート82に示すように、ステップS73,S76にステップS53,S56の各時間T3,T6よりも長い各時間Tx1,y1を割り当て、ステップS79にステップS59と同じ時間T9を割り当てる。そして、吐出量が第2の範囲内に設定された第1試薬の第2分注工程S70における吸引速度を、第1分注工程S50で実行可能な第1の吸引範囲よりも遅い第2の吸引範囲内の速度に設定したタイミングチャートからなる第1の動作条件で分注することにより、第1分注工程S50よりも精度よく分注することができる。
【0098】
また、分注条件の例えば吐出量及び粘度が第2の範囲内であり、且つ泡立度及び汚染度が第1の範囲内である場合、ステップS73にタイミングチャート82の時間Tx1を少し増やした時間Tx2を割り当て、ステップS76に時間Tx2に増やした分を時間Ty1から減じた時間Ty2を割り当てる。そして、吐出量が第2の範囲内に設定された第2の範囲内の粘度を有する第1試薬の第2分注工程S70における吸引速度を、第2の吸引範囲内の第1の動作条件の吸引速度よりも遅い吸引速度に設定したタイミングチャートである第2の動作条件で分注することにより、第1分注工程S50よりも精度よく分注することができる。
【0099】
更に、分注条件の例えば吐出量及び泡立度が第2の範囲内であり且つ粘度及び汚染度が第1の範囲内である場合、ステップS73にタイミングチャート82の時間Tx1から少し減じた時間Tx3を割り当て、ステップS76に時間Tx1から減じた分を時間Ty1に加えた時間Ty3を割り当てる。そして、吐出量が第2の範囲内に設定された第2の範囲内の泡立度を有する第1試薬の第2分注工程S70における吐出速度を、第1分注工程S50で実行可能な第1の範囲よりも遅い第2の範囲内の速度に設定したタイミングチャートである第3の動作条件で分注することにより、第1分注工程S50よりも精度よく分注することができる。
【0100】
更にまた、分注条件の例えば吐出量及び汚染度が第2の範囲内であり且つ粘度及び泡立度が第1の範囲内である場合、図12のタイミングチャート83に示すように、ステップS73,S76,S79に、ステップS53、S56,S59の各時間T3,T6,T9よりも長い各動作時間Tx4,Ty4,Tz4を割り当てる。そして、吐出量が第2の範囲内に設定された第2の範囲内の汚染度を有する第1試薬の第2分注工程S70における洗浄時間を、第1分注工程S50で実行可能な第1の洗浄範囲よりも長い第2の洗浄範囲内の洗浄時間に設定したタイミングチャートである第4の動作条件で分注することにより、第1分注工程S50よりも汚染度を減少させて、精度よく分注することができる。
【0101】
上述した吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の第1及び第2の範囲への設定による4通りの組み合わせに応じた第1乃至第4の動作条件や、これら以外の分注条件の組合せに応じた多数の動作条件がシステム制御部90の記憶回路91に保存されている。そして、試薬条件設定画面73で設定された分注条件に対応する動作条件に基づいて第1試薬の分注が行われるようになっている。
【0102】
なお、第2分注工程S70の各ステップS74,S75も第1試薬を精度よく分注するための重要な動作であり、各ステップS74,S75に各ステップS54,S55の時間よりも長い時間を割り当てて動作させるようにしてもよい。
【0103】
このように、第2分注工程S70の「吸引」及び/又は「吐出」及び/又は「洗浄」の各ステップに、このステップに対応する第1分注工程S50の時間よりも長い時間を割り当てることにより、第2分注工程S70の各ステップを第1分注工程S50よりも遅い吸引速度及び/又は遅い吐出速度及び/又は長い洗浄時間で第1試薬の分注が可能な多数の動作条件を記憶回路91に保存しておくことができる。
【0104】
そして、試薬条件設定画面73で設定された分注条件に基づいて、第1待機位置24の試薬容器6を、この試薬容器6に収容された第1試薬の吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件が夫々第1の範囲に含まれている場合に第1の試薬ラック部1aに移動し、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件の内の少なくとも1つが第2の範囲に含まれている場合に第2の試薬ラック部1bに移動することができる。この移動により第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器6の第1試薬を、この分注条件に対応する動作条件に基づいて分注することにより、吸引量又は吐出量の多い第1試薬、粘度の高い第1試薬、泡立ちの多い第1試薬、及び汚染度の高い第1試薬などを精度よく分注することができる。
【0105】
図13は、分析部18の第2試薬を取り扱う第2試薬分注プローブ15等の各分析ユニット及び第2試薬分注プローブ15が停止する位置を上から見た図である。第2試薬庫2は、反応ディスク4の外側に配置され、2つの円周上に複数の試薬容器7の収納が可能な第1及び第2の試薬ラック部2a,2b、及び第1及び第2の試薬ラック部2a,2bに収納された試薬容器7の例えばバーコードラベルから第2試薬の情報を読み取るリーダ2cを備えている。
【0106】
第1の試薬ラック部2aは、第2の試薬ラック部2bの内周に配置され、収納された試薬容器7を回動可能に保持する。第2の試薬ラック部2bは、第1の試薬ラック部2aに連結され、収納された試薬容器7を回動可能に保持する。なお、第1及び第2の試薬ラック部2a,2bを夫々独立して回動するようにしてもよい。
【0107】
リーダ2cは、第2の試薬ラック部2bの外側に配置され、被検試料の測定が行われるときや、試薬容器移動部20の第2試薬移動部41による試薬容器7の移動が行われるときに、第1及び第2の試薬ラック部2a,2bに保持されている試薬容器7のバーコードラベルから第2試薬の情報を読み取り、読み取った全ての試薬容器7の第2試薬の情報をシステム制御部90に出力する。
【0108】
第2試薬分注アーム9は、この回動軸を中心として矢印R1及びR2方向に回動して、上停止位置にある第2試薬分注プローブ15を図13の破線で示した円軌道に沿って水平に移動する。
【0109】
この第2試薬分注プローブ15の円軌道上には、第2試薬を吐出する位置である吐出位置C2、吐出位置C2から吐出する第2試薬を吸引する位置である第1の吸引位置A2、この第1の吸引位置A2よりも吐出位置C2に近い第2試薬を吸引する位置である第2の吸引位置B2、吐出位置C2と第2の吸引位置B2の間に位置する洗浄位置D2の各停止位置がある。
【0110】
吐出位置C2の下方には反応ディスク4により回転移動した反応容器3が停止し、停止した反応容器3に第2試薬が吐出される。第1の吸引位置A2の下方には第1の試薬ラック部2aに保持された試薬容器7が停止し、停止した試薬容器7から第2試薬が吸引される。第2の吸引位置B2の下方には第2の試薬ラック部2bに保持された試薬容器7が停止し、停止した試薬容器7から第2試薬が吸引される。洗浄位置D2の下方には第2洗浄槽15aが配置されている。
【0111】
そして、第1の試薬ラック部2aに保持された試薬容器7の第2試薬を反応容器3に分注する場合、第2試薬分注プローブ15は、各停止位置間を、図8に示した第1試薬分注プローブ14とは反対方向に同じ距離移動する。洗浄位置D2と第1の吸引位置A2の間の距離D1を移動する。また、第1の吸引位置A2と吐出位置C2の間の距離D2を移動する。更に、吐出位置C2と洗浄位置D2の間の距離D3を移動する。
【0112】
また、第2の試薬ラック部2bに保持された試薬容器7の第2試薬を反応容器3に分注する場合、洗浄位置D2と第2の吸引位置B2の間の距離D4を移動する。また、第2の吸引位置B2と吐出位置C2の間の距離D5を移動する。更に、吐出位置C2と洗浄位置D2の間の距離D3を移動する。
【0113】
第2試薬の分注工程は、第1の吸引位置A2の試薬容器7から第2試薬を吸引して吐出位置C2の反応容器3に吐出する第1分注工程S50と同様のステップからなる第1分注工程と、第2の吸引位置B2の試薬容器7から第2試薬を吸引して吐出位置C2の反応容器3に吐出する第2分注工程S70と同様のステップからなる第2分注工程とにより構成されているので、その第1及び第2分注工程のステップの説明を省略する。
【0114】
そして、システム制御部90からの測定の指示に基づく分析制御部19の制御部19bにより制御される分析部18の第2試薬分注アーム9、第2試薬分注ポンプ9a、第2洗浄槽15a、第1及び第2の試薬ラック部2a,2b、反応ディスク4等の分析ユニットを夫々駆動する機構部19aの機構により実行される。
【0115】
第2試薬の分注工程における第1及び第2分注工程の各ステップのタイミングは、第1及び第2分注工程S50,S70のタイミングと同様であるので、その説明を省略する。
【0116】
このように、第2分注工程の「吸引」及び/又は「吐出」及び/又は「洗浄」の各ステップに、このステップに対応する第1分注工程の時間よりも長い時間を割り当てることにより、第2分注工程の各ステップを第1分注工程よりも遅い吸引速度及び/又は遅い吐出速度及び/又は長い洗浄時間で第2試薬の分注が可能な多数の動作条件を記憶回路91に保存しておくことができる。
【0117】
そして、試薬条件設定画面73で設定された分注条件に基づいて、第2待機位置44の試薬容器7を、この試薬容器7に収容された第2試薬の吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件が夫々第1の範囲に含まれている場合に第1の試薬ラック部2aに移動し、吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件の内の少なくとも1つが第2の範囲に含まれている場合に第2の試薬ラック部2bに移動することができる。この移動により第2の試薬ラック部1bに保持された試薬容器7の第2試薬を、この分注条件に対応する動作条件に基づいて分注することにより、吐出量の多い第2試薬、粘度の高い第2試薬、泡立ちの多い第2試薬、及び汚染度の高い第2試薬を精度よく分注することができる。
【0118】
以下、図1乃至図14を参照して、自動分析装置100の第1及び第2待機エリア22,42に置かれた試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2内に移動する自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0119】
図3の試薬条件設定画面73で設定された例えば「GOT」の分注条件、及びシステム条件設定画面78で予め設定された第1及び第2の範囲の情報がシステム制御部90の記憶回路91に保存されている。
【0120】
図14は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。被検試料の測定開始前、自動分析装置100の操作者は、測定に備えて操作部80を操作して表示部72に試薬残量表示画面を表示させる。そして、例えば「GOT」の第1試薬が不足していると、「GOT」の第1試薬を収容した試薬名が「GOT−1」である試薬容器6を第1待機エリア22に置くことにより、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0121】
試薬容器移動部20における第1試薬移動部21の第1検出器23は、試薬容器6を検出し、検出した信号を試薬移動制御部40の移動制御部40bに出力する(ステップS2)。
【0122】
試薬移動制御部40の移動機構部40aは、移動制御部40bからの制御信号に基づいて、ベルト25を作動させて試薬容器6を第1待機位置24へ移動する(ステップS3)。
【0123】
第1試薬移動部21のリーダ26は、第1待機位置24へ移動した試薬容器6に貼付されたバーコードラベルからその試薬容器6内の第1試薬の情報である「GOT−1」の情報を読み取り、読み取った「GOT−1」の情報をシステム制御部90に出力する(ステップS4)。
【0124】
一方、分析部18における第1試薬庫1のリーダ1cは、第1及び第2の試薬ラック部1a,1bに保持されている試薬容器6のバーコードラベルから第1試薬の情報を読み取ってシステム制御部90に出力する(ステップS5)。
【0125】
ステップS4及びステップS5の後に、システム制御部90は、リーダ1cから出力された第1試薬の情報の中に「GOT−1」の情報が含まれているか否かを調べる。そして、リーダ1cから出力された第1試薬の情報の中に「GOT−1」の情報が含まれている場合(ステップS6のはい)、分析制御部19の制御部19b及び移動制御部40bに、「GOT−1」の情報を有する第1試薬庫1内の試薬容器6を第1取り出しエリア31に移動するように指示する。また、リーダ1cから出力された第1試薬の情報の中に「GOT−1」の情報が含まれていない場合(ステップS6のいいえ)、ステップS8に移行する。
【0126】
第1試薬庫1の第1及び第2の試薬ラック部1a,1bは、制御部19bの制御による機構部19aにより、「GOT−1」の試薬容器6を例えば第2収納位置F1に移動する。第1試薬移動部21の第1移動アーム27は、移動制御部40bの制御による移動機構部40aにより、第2収納位置F1に停止した「GOT−1」の試薬容器6を第1試薬庫1から第1取り出しエリア31へ移動する(ステップS7)。
【0127】
ステップS6の「いいえ」又はステップS7の後に、システム制御部90は、「GOT−1」の分注条件及び第1及び第2の範囲の情報を記憶回路91から読み出す。次いで、読み出した試薬分注条件の吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度、及び第1及び第2の範囲の情報に基づいて、「GOT−1」の試薬容器6を第1又は第2の試薬ラック部1a,1bのいずれに移動させるかを判断する。
【0128】
そして、吐出量が第2の範囲に含まれている場合(ステップS8のはい)、第2の試薬ラック部1bに移動させると判断し、その第2の試薬ラック部収納情報を移動制御部40bに出力する。また、吐出量が第1の範囲に含まれている場合(ステップS8のいいえ)、ステップS9に移行する。
【0129】
ステップS8の「いいえ」の後に、粘度が第2の範囲に含まれている場合(ステップS9のはい)、第2の試薬ラック部1bに移動させると判断し、その第2の試薬ラック部収納情報を移動制御部40bに出力する。また、粘度が第1の範囲に含まれている場合(ステップS9のいいえ)、ステップS10に移行する。
【0130】
ステップS9の「いいえ」の後に、泡立度が第2の範囲に含まれている場合(ステップS10のはい)、第2の試薬ラック部1bに移動させると判断し、その第2の試薬ラック部収納情報を移動制御部40bに出力する。また、泡立度が第1の範囲に含まれている場合(ステップS10のいいえ)、ステップS11に移行する。
【0131】
ステップS10の「いいえ」の後に、汚染度が第2の範囲に含まれている場合(ステップS11のはい)、第2の試薬ラック部1bに移動させると判断し、その第2の試薬ラック部収納情報を移動制御部40bに出力する。また、汚染度が第1の範囲に含まれている場合(ステップS11のいいえ)、ステップS13に移行する。
【0132】
ステップS8の「はい」、又はステップS9の「はい」、又はステップS10の「はい」、又はステップS11の「はい」の後に、第1移動アーム27は、第1待機位置24の試薬容器6を、システム制御部90から供給される第2の試薬ラック部収納情報に基づいて、第2の試薬ラック部1bの空いている位置へ移動する(ステップS12)。
【0133】
また、ステップS11の「いいえ」の後に、第1待機位置24の試薬容器6を、システム制御部90から供給される第1の試薬ラック部収納情報に基づいて、第1の試薬ラック部1aの空いている位置へ移動する(ステップS13)。
【0134】
ここでは、吐出量が第2の範囲に含まれているので「GOT−1」の試薬容器6は、第2の試薬ラック部1bへ移動される。
【0135】
第1移動アーム27が「GOT−1」の試薬容器6の第2の試薬ラック部1bへの移動を終了したときに、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS14)。
【0136】
以上述べた本発明の実施例によれば、第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7に貼付されたラベルからその試薬容器6,7に収容された試薬の情報を読み取り、読み取られた試薬情報と同じ情報を有する試薬容器6,7が第1及び第2試薬庫1,2内に収納されている場合、その第1及び第2試薬の情報を有する試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2から第1及び第2取り出しエリア31,51に移動させることができる。これにより、第1及び第2試薬庫1,2に多くの試薬容器6,7を収納することができるようになる。
【0137】
そして、第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7に収容された第1及び第2試薬における吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件が夫々第1の範囲に含まれている場合、その試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2の第1の試薬ラック部1a,2aに移動することができる。また、第1及び第2試薬の吐出量、粘度、泡立度、及び汚染度の分析条件の内の少なくとも1つがが第2の範囲に含まれている場合、第1及び第2待機位置24,44の試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2の第2の試薬ラック部1b,2bに移動することができる。これにより、試薬容器6,7を正しい試薬ラック部に収納することができる。
【0138】
この移動により第2の試薬ラック部1b,2bに保持された試薬容器6,7の第1及び第2試薬を、この分注条件に対応する動作条件に基づいて分注することにより、吸引量又は吐出量の多い第1及び第2試薬、粘度の高い第1及び第2試薬、泡立ちの多い第1及び第2試薬、及び汚染度の高い第1及び第2試薬を精度よく分注することができる。
【0139】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、例えば第2の試薬ラック部1b,2bの外周に、第1及び第2の吸引位置よりも反応ディスク4に近い第3の吸引位置への試薬容器6,7の移動が可能な第3の試薬ラック部を配置し、第1乃至第3の範囲に分類した分注条件に基づいて第1乃至第3の試薬ラック部のいずれかに試薬容器6,7を移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成の詳細を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る表示部に表示される試薬条件設定画面の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る表示部に表示されるシステム条件設定画面の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第1試薬移動部の構成を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る第2薬移動部の構成を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る分析部の第1試薬を取り扱う第1試薬分注プローブ等の各分析ユニット及び第1の試薬分注プローブが停止する各停止位置を上から見た図。
【図8】本発明の実施例に係る第1試薬分注プローブが各停止位置間を移動する距離を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る第1試薬分注工程を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例に係る第1試薬分注工程のタイミングを示すタイミングチャート。
【図11】本発明の実施例に係る第1試薬分注工程のタイミングの他の例を示すタイミングチャート。
【図12】本発明の実施例に係る第1試薬分注工程のタイミングの他の例を示すタイミングチャート。
【図13】本発明の実施例に係る分析部の第2試薬を取り扱う第2試薬分注プローブ等の各分析ユニット及び第2試薬分注プローブが停止する各停止位置を上から見た図。
【図14】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0141】
E1 第1収納位置
F1 第2収納位置
1 第1試薬庫
1a,2a 第1試薬ラック部
1b,2b 第2試薬ラック部
1c,2c,26,46 リーダ
4 反応ディスク
6,7 試薬容器
21 第1試薬移動部
22 第1待機エリア
23 第1検出器
24 第1待機位置
25,45 ベルト
26,46 リーダ
27 第1移動アーム
28,48 ホルダ
29,49 アーム
30,50 回動軸
31 第1取り出しエリア
40 試薬移動制御部
40a 移動機構部
40b 移動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を収容する試薬容器を少なくとも第1の位置に移動可能に保持する第1の試薬ラック部及び前記第1の位置よりも前記反応容器に近い第2の位置に移動可能に保持する第2の試薬ラック部と、
前記第1及び第2の位置の試薬容器から試薬を吸引して前記反応容器に吐出する分注プローブと、
前記自動分析装置における待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件に応じて前記第1又は第2の試薬ラック部に移動する移動手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件の吸引量又は吐出量が第1の範囲に含まれている場合に前記第1の試薬ラック部に移動し、前記第1の範囲よりも多い第2の範囲に含まれている場合に前記第2の試薬ラック部に移動するようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件に対応する試薬の吸引速度又は吐出速度が第1の範囲に含まれている場合に前記第1の試薬ラック部に移動し、前記第1の範囲よりも遅い第2の範囲に含まれている場合に前記第2の試薬ラック部に移動するようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
前記分注プローブを洗浄する洗浄槽を有し、
前記移動手段は、前記待機位置の試薬容器を、この試薬容器に収容された試薬の分注条件に対応する前記分注プローブの洗浄時間が第1の範囲に含まれている場合に前記第1の試薬ラック部に移動し、前記第1の範囲よりも長い第2の範囲に含まれている場合に前記第2の試薬ラック部に移動するようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の試薬ラック部に保持された試薬容器に貼付されたラベルからその試薬容器に収容された試薬の情報を読み取る読み取り手段を有し、
前記移動手段は、前記読み取り手段により読み取られた試薬情報を有する試薬容器を前記第1及び第2の試薬ラック部から前記自動分析装置の取り出しエリアに移動した後に、前記待機位置の試薬容器を前記第1又は第2の試薬ラック部に移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第1の試薬ラック部は、前記試薬容器を保持して前記第1の位置に回動し、
前記第2の試薬ラック部は、前記第1の試薬ラック部の外周に配置され、前記試薬容器を保持して前記第2の位置に回動することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄槽は、前記反応容器と前記第2の試薬ラック部の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項8】
被検試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置の試薬容器を移動する方法において、
前記自動分析装置の待機位置の試薬容器に貼付されたラベルからその試薬容器に収容された試薬の情報を読み取り手段により読み取り、
前記待機位置の試薬容器を、前記読み取り手段により読み取られた試薬情報を有する試薬の分注条件に応じて前記第1又は第2の試薬ラック部に移動手段により移動することを特徴とする自動分析装置の試薬容器を移動する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−145334(P2008−145334A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334443(P2006−334443)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】