説明

自動分析装置

【課題】分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】閉じられたサンプル容器101の蓋101aを貫通させてサンプル容器101中に挿入されるサンプリングプローブ105のサンプル容器101への挿入回数nを記憶する。サンプリングプローブ105を蓋101aを介してサンプル容器101に挿入する許容回数として許容挿入回数Nを設定し、その回数を超えた場合には、蓋101aを介するサンプリングプローブ105の挿入を行わないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの生体試料の定性・定量分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置においては、試料容器や試薬容器に収容された収容物を反応容器や子検体容器などに分注して分析処理などの所定の工程を実施している。通常、試料や試薬などの収容物を収容した状態の容器は蓋などの構成により密閉されており、開封処理を行った容器に対してプローブを挿入し、試料や試薬などの分注を行っている。
【0003】
また、密閉された容器から収容物の分注に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、全体にH型の横断面形状を有するように互いに連結されたセンターブレードと2つの交差ブレードとを備えるブレード組立体を移動させて、プローブの挿入のために容器のキャップを穿孔する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−502163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術のように、容器のキャップにプローブ挿入のための切込みをいれても、プローブを挿入する際のプローブとキャップの接触することには変わりないので、その接触による異物の発生及び試料への混入の可能性が分注回数の増加に伴って増え、したがって、収容物中に混入した異物による分注異常や分析結果異常の発生する可能性が増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、閉じられた容器の蓋を貫通させて該容器中に挿入される挿入機構と、前記容器への前記挿入機構の挿入回数を記憶する記憶手段とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動分析装置の分注機構をその周辺構成とともに概略的に示す図である。
【図2】メモリに入力される検体の情報、記憶される各種情報の様子を概念的に示す図である。
【図3】サンプリング機構1のサンプリングプローブのサンプル容器への挿入の様子を模式的に示す図である。
【図4】分注処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るメモリに入力される検体の情報、記憶される各種情報の様子を概念的に示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るブレード、及び、サンプリング機構のサンプリングプローブのサンプル容器への挿入の様子を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る分注処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るブレード、中空管、及び、サンプリング機構のサンプリングプローブのサンプル容器への挿入の様子を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る分注処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動分析装置の分注機構をその周辺構成とともに概略的に示す図である。
【0012】
図1において、本実施の形態の自動分析装置100は、試料7を収容したサンプル容器101を載置し、回転駆動されるサンプルディスク102と、反応容器106を載置し、回転駆動される反応ディスク109と、自動分析装置における分析対象となる複数の分析項目に対応する試薬を収容した試薬ボトル112を載置し、回転駆動される試薬ディスク125と、サンプル容器101の試料7を反応容器106に分注するサンプリング機構1と、試薬ボトル112の試薬を反応容器106に分注する試薬分注機構108と、自動分析装置100の各ユニットを含む全体の動作を制御するコンピュータ103とを概略備えている。
【0013】
サンプリング機構1は、上下駆動及び回転駆動されるサンプリングアーム2と、サンプリングアーム2の先端に設けられたサンプリングプローブ105とを備えており、自動分析装置100に設けられたサンプル用シリンジポンプ107の動作に伴って、サンプリングプローブ105はサンプル容器101内の試料7を吸引し、反応容器106に吐出することにより試料7の分注を行う。
【0014】
試薬分注機構108もサンプリング機構1と同様の構成を備えており、自動分析装置100に設けられた試薬用ポンプ111の動作に伴って、試薬分注プローブ110は試薬ボトル112内の試薬を吸引し、反応容器106に吐出することにより試薬の分注処理を行う。
【0015】
コンピュータ103は、インターフェース104を介して自動分析装置100の各構成ユニットと信号の授受を行うことにより自動分析装置100全体の動作を制御するものであり、キーボード121やタッチパネルの機能を有する表示装置118などの入力手段から入力される分析項目等に関する情報や指示に基づいて各試料の分析処理を行う。また、分析結果を表示装置118(例えば、CRT)に表示したり、プリンタ117により印字出力したり、記憶手段であるメモリ122(例えば、ハードディスク)に記憶したりする。
【0016】
図2は、メモリに入力される検体の情報、記憶される各種情報の様子を概念的に示す図である。なお、図2には説明のためにサンプル容器の概略を示している。
【0017】
図2に示すように、サンプル容器101には試料7が収容されており蓋101aにより密閉されている。オペレータは、キーボード121などの入力手段により、メモリ122に各サンプル容器101における検体の情報を入力する。本実施の形態では、検体ID、容器種類、蓋の有無、測定依頼項目を入力する場合を示している。サンプル容器101には、図示しないバーコードなどの個体識別標識(検体ID)が設けられており、収容された試料7を識別可能となっている。本実施の形態では、以下のような情報を有するサンプル容器101を例に取り説明する。
【0018】
(入力情報)
検体ID:1
容器種類:B
蓋の有無:有
測定依頼項目:TEST1〜TEST6
メモリ122に記憶される情報には、上記入力情報のほかに、既挿入回数nや、容器種類毎の挿入回数の許容回数Nなどがサンプル容器101毎(つまり、検体IDごと)に記憶されている。挿入回数とは、サンプル容器101内にサンプリングプローブ105が蓋101aを介して挿入された回数である(後に詳述)。また、挿入回数の許容回数Nとは、事前実験で得られた結果などから経験的に得られるものであり、サンプリングプローブ105の蓋101aへの挿入によって分注異常や分析結果異常の発生する可能性が十分に無視できるとする回数である。
【0019】
ここで、自動分析装置100における分析処理の概要を説明する。
【0020】
まず、試料7を収容したサンプル容器101は、サンプルディスク102の間欠回転に伴ってサンプル吸引位置へ移送され、その吸引位置に停止中のサンプル容器101内にサンプリングプローブ105が降下動作される。その下降動作に伴ってサンプリングプローブ105の先端が試料7の液面に接触すると液面検出回路151から検出信号が出力され、その検出信号はインターフェース104を介してコンピュータ103に入力される。コンピュータ103は、その検出信号に基づいてサンプリングアーム2の図示しない駆動部による下降動作を停止するよう制御する。この状態でサンプリングプローブ105内に所定量のサンプルを吸引した後、サンプリングプローブ105は上死点まで上昇する。なお、サンプリングプローブ105が試料7を所定量吸引している吸引動作中は、サンプリングプローブ105とサンプル用シリンジポンプ107の間の流路内圧力変動を圧力センサ152からの信号を用いて圧力検出回路153で監視し、吸引動作中の流路内圧力変動に異常を発見した場合は所定量吸引されていない可能性が高いと判定し、その分析データに対してアラームを付加する。
【0021】
次にサンプリングアーム2を水平方向に旋回駆動し、反応ディスク109の回転動作に伴ってサンプル吐出位置へ移送された反応容器106の位置でサンプリングプローブ105を下降して、反応容器106内へ保持していた試料7を吐出する。その後、試料7が入った反応容器106が反応ディスク109の回転動作に伴って試薬添加位置まで移動され、該当する分析項目に対応した試薬が試薬分注プローブ110から添加される。試料、及び試薬の分注に伴ってサンプル容器101内の試料、及び試薬ボトル112内の試薬の液面が検出され、その検出結果に基づいて試料、及び試薬の残量等が算出されてメモリ122に記憶される。試料、及び試薬が加えられた反応容器106内の混合物は、攪拌器113により攪拌される。そして、反応ディスク109の回転動作に伴う反応容器列の移送中に複数の反応容器が光源114からの光束を横切ることにより、各混合物の吸光度、あるいは発光値が測定手段である光度計115により測定(測光)される。測定信号(吸光度信号や発光値信号)は、A/D変換器116を経由しインターフェース104を介してコンピュータ103に入力され、分析項目の濃度が計算される。分析結果は、インターフェース104を介してプリンタ117に印字出力したり、CRTなどの表示装置118に画面出力したりすると共に、ハードディスクなどのメモリ122に記憶される。
【0022】
測光が終了した反応容器106は、洗浄機構119の位置に移送され、洗浄用ポンプ120による反応容器106内への洗浄水の供給、及び廃液の排出によって洗浄される。
【0023】
なお、図1からもわかるように、サンプル容器101のサンプルディスク102への配置は、サンプルディスク102上へ直接配置する場合や試験管(図示せず)上にサンプル容器101を載置する事も可能なユニバーサルな配置に対応可能な構造となっている。また、サンプルディスク102は、同心円状に3列のサンプル容器101が載置できるように3列の容器保持部が形成されており、サンプリングプローブ105によるサンプル吸引位置が各々の列に1個ずつ設定されている。
【0024】
さらに、サンプリング機構1の分注処理について説明する。
【0025】
図3は、サンプリング機構1のサンプリングプローブ105のサンプル容器101への挿入の様子を模式的に示す図である。
【0026】
図3に示すように、サンプルディスク109に載置されたサンプル容器101には、試料7が収容されており、蓋101aにより密閉されている。このようなサンプル容器101に挿入されるサンプリングプローブ105は鋭利な先端形状を有しており、蓋101aに切込みを入れる切込み処理を行う機能と、試料7に浸漬して吸引を行う機能とを備えている。蓋101aへの切込み処理を行う場合(合わせて試料7への浸漬及び吸引を行う場合も含む)と、蓋101aの切込みを介してサンプル容器101内に挿入され試料7に浸漬して吸引を行う場合の2つの場合が前述の挿入回数にカウントする場合に相当する。
【0027】
図4は、分注処理の詳細を示すフローチャートである。
【0028】
本実施の形態における分析処理において、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101の検体IDを読み取る(ステップS10)。次に、読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数nなどの情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出す(ステップS20)。次に、測定依頼項目があるかどうかを判定し(ステップS30)、その判定結果がNOの場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する。ステップS30での判定結果がYESの場合は、既挿入回数nが許容回数Nよりも小さいかどうかを判定し(ステップS40)、その判定結果がYESの場合は、分注動作(サンプリングプローブ105のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、試料7の吸引、及び、反応容器106への吐出)を行い(ステップS50)、その後、既挿入回数nのインクリメント(n←n+1)を行う(ステップS60)。そして、測定依頼項目を全て終了したかどうかを判定し(ステップS70)、判定結果がYESであれば、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。また、ステップS40での判定結果がNOの場合は、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知し(ステップS90)、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。また、ステップS70での判定結果がNOの場合は、測定依頼項目を全て完了してステップS70での判定結果がYESになるまでステップS40〜ステップS70の処理を繰り返す。なお、ステップS40〜ステップS70の繰り返し中にステップS40での判定結果がNOとなった場合は、繰り返しを終了して許容挿入回数オーバの警告を出力し(ステップS90)、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。
【0029】
上記分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して分注動作を再開する。この場合(蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合)の分注処理では、既挿入回数nと許容回数Nの比較(ステップS40)、既挿入回数nのインクリメント(ステップS60)、及び既挿入回数nの保存(ステップS80)は実施せずスキップする。
【0030】
以上のように構成した本実施の形態において、サンプリングプローブ105は、閉じられた容器の蓋を貫通させて該容器中に挿入される挿入機構を構成し、メモリ122は、容器への挿入機構の挿入回数を記憶する記憶手段を構成する。
【0031】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0032】
まず、分析処理の準備として、サンプルディスク102に試料7を収容し蓋101aで塞いだサンプル容器101を載置し、試薬ディスク125に分析対象となる複数の分析項目に対応する試薬のボトル112を載置する。また、キーボード121などの入力手段により各サンプル容器101に関する検体の情報(検体ID、容器種類、蓋の有無、測定依頼項目など)を入力する。この状態で分析処理の開始を指示することにより、自動分析装置における検体の分析処理が開始される。
【0033】
分析処理では、まず、サンプリング機構1のサンプリングアーム2にとりつけられたサンプリングプローブ105によって、サンプル容器101に収容された試料7に分注処理が実施され、反応容器106に分注される。分注処理では、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101から読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数nなどの情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出し(図4ステップS10,S20)、測定依頼項目が無い場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図4のステップS30)。また、測定依頼項目が有る場合、既挿入回数nが許容回数Nよりも小さい場合は、測定依頼項目が全て完了するまで分注動作(サンプリングプローブ105のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、及び試料7の吸引)、及び、既挿入回数nのインクリメントを繰り返し行い(図4のステップS40〜S70)、測定依頼項目が全て終了したら既挿入回数nを更新保存して分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図4のステップS80)。分注処理中に既挿入回数nが許容回数N以上となった場合は、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知し、既挿入回数nを保存して(図4のステップS90,S80)、分注処理を終了する。
【0034】
なお、分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、蓋オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して、既挿入回数nに関係なく測定依頼項目が全て完了するまで分注動作を繰り返す。蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合についても同様である。
【0035】
続いて、試薬分注機構108の試薬分注プローブ105によって、試薬ボトル112に収容された試薬が反応容器106に分注され、試料、及び試薬が加えられた反応容器106内の混合物は、攪拌器113により攪拌される。そして、反応ディスク109の回転動作に伴う反応容器列の移送中に複数の反応容器が光源114からの光束を横切ることにより、各混合物の吸光度、あるいは発光値が測定手段である光度計115により測定(測光)される。測定信号(吸光度信号や発光値信号)は、A/D変換器116を経由しインターフェース104を介してコンピュータ103に入力され、分析項目の濃度が計算される。測光が終了した反応容器106は、洗浄機構119の位置に移送され、洗浄用ポンプ120による反応容器106内への洗浄水の供給、及び廃液の排出によって洗浄される。
【0036】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0037】
従来技術においては、全体にH型の横断面形状を有するように互いに連結されたセンターブレードと2つの交差ブレードとを備えるブレード組立体を移動させて、プローブの挿入のために容器のキャップを穿孔していた。しかしながら、容器のキャップをプローブ挿入のために穿孔しても、プローブを挿入する際のプローブとキャップの接触することには変わりないので、その接触による異物の発生及び試料への混入の可能性が分注回数の増加に伴って増え、したがって、収容物中に混入した異物による分注異常や分析結果異常の発生する可能性が増加してしまうという問題があった。
【0038】
これに対して本実施の形態においては、閉じられたサンプル容器101の蓋101aを貫通させてサンプル容器101中に挿入されるサンプリングプローブ105の挿入回数をメモリ122に記憶するように構成したので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。すなわち、サンプリングプローブ105の蓋101aへの挿入回数をメモリ122で記憶して管理し、許容回数Nを設定してそれを超える挿入を行わないようにできるので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、分注処理で分注対象のサンプル容器101の既挿入回数nが許容回数N以上である場合には、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知して分注処理を終了するよう構成したが、合わせて分析処理を自動的に一時停止するよう構成しても良く、また、それらを設定できるように構成しても良い。
【0040】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5〜図7を参照しつつ説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態に示した構成に加え、サンプリングプローブ105の挿入のためにサンプル容器101の蓋101aに切込み処理を行うブレード205をさらに設け、切込み処理の実施状態(実施の有無)、及び分注処理におけるブレード205の蓋101aへの既挿入回数を管理するように構成したものである。図5は、メモリに入力される検体の情報、記憶される各種情報の様子を概念的に示す図であり、図6は本実施の形態に係るブレード205、及び、サンプリング機構1のサンプリングプローブ105のサンプル容器101への挿入の様子を模式的に示す図であり、図7は本実施の形態に係る分注処理の詳細を示すフローチャートである。図中、第1の実施の形態で説明したものと同一の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
【0041】
図5に示すように、サンプル容器101には試料7が収容されており蓋101aにより密閉されている。オペレータは、キーボード121などの入力手段により、メモリ122に各サンプル容器101における検体の情報を入力する。本実施の形態では、検体ID、容器種類、蓋の有無、測定依頼項目を入力する場合を示している。サンプル容器101には、図示しないバーコードなどの個体識別標識(検体ID)が設けられており、収容された試料7を識別可能となっている。メモリ122に記憶される情報には、オペレータにより入力された情報のほかに、既挿入回数n、切込み処理の実施状態(実施の有無)や、容器種類毎の挿入回数の許容回数Nなどがサンプル容器101毎(つまり、検体IDごと)に記憶されている。挿入回数とは、サンプル容器101内にサンプリングプローブ105が蓋101aを介して挿入された回数である(後に詳述)。また、挿入回数の許容回数Nとは、事前実験で得られた結果などから経験的に得られるものであり、サンプリングプローブ105の蓋101aへの挿入によって分注異常や分析結果異常の発生する可能性が十分に無視できるとする回数である。
【0042】
図6に示すように、サンプルディスク109に載置されたサンプル容器101には、試料7が収容されており、蓋101により密閉されている。このようなサンプル容器101に挿入されるブレード205は鋭利な先端形状を有しており、蓋101aに切込みを入れる切込み処理を行う機能を備えており(図6(a)参照)、サンプリングプローブ105は切込み処理を行った蓋101aの切込みを介してサンプル容器101内に挿入され試料7に浸漬して吸引を行う(図6(b)参照)。蓋101aの切込みを介してサンプル容器101内に挿入され試料7に浸漬して吸引を行う場合が前述の挿入回数にカウントする場合に相当する。
【0043】
図7に示すように、本実施の形態における分析処理においては、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101の検体IDを読み取る(ステップS10)。次に、読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数n、切込み処理の実施状態などの検体情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出す(ステップS220)。次に、測定依頼項目があるかどうかを判定し(ステップS30)、その判定結果がNOの場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する。ステップS30での判定結果がYESの場合は、切込み処理が実施済みかどうかを判定し(ステップS35)、判定結果YESの場合は、続いて既挿入回数nが許容回数Nよりも小さいかどうかを判定する(ステップS40)。また、ステップS35での判定結果がNOの場合は切込み処理(検体情報における実施状態の情報の更新を含む)を行い(ステップS36)、続いて既挿入回数nが許容回数Nよりも小さいかどうかを判定する(ステップS40)。ステップS40での判定結果がYESの場合は、分注動作(サンプリングプローブ105のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、試料7の吸引、及び、反応容器106への吐出)を行い(ステップS50)、その後、既挿入回数nのインクリメント(n←n+1)を行う(ステップS60)。そして、測定依頼項目を全て終了したかどうかを判定し(ステップS70)、判定結果がYESであれば、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。また、ステップS40での判定結果がNOの場合は、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知し(ステップS90)、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。また、ステップS70での判定結果がNOの場合は、測定依頼項目を全て完了してステップS70での判定結果がYESになるまでステップS40〜ステップS70の処理を繰り返す。なお、ステップS40〜ステップS70の繰り返し中にステップS40での判定結果がNOとなった場合は、繰り返しを終了して許容挿入回数オーバの警告を出力し(ステップS90)、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。
【0044】
上記分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して分注動作を再開する。この場合(蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合)の分注処理では、切込み処理の実施状態の確認(ステップS35)、既挿入回数nと許容回数Nの比較(ステップS40)、既挿入回数nのインクリメント(ステップS60)、及び既挿入回数nの保存(ステップS80)は実施せずスキップする。
【0045】
以上のように構成した本実施の形態において、サンプリングプローブ105は、閉じられた容器の蓋を貫通させて該容器中に挿入される挿入機構を構成し、メモリ122は、容器への挿入機構の挿入回数を記憶する記憶手段を構成する。
【0046】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0047】
まず、分析処理の準備として、サンプルディスク102に試料7を収容し蓋101aで塞いだサンプル容器101を載置し、試薬ディスク125に分析対象となる複数の分析項目に対応する試薬のボトル112を載置する。また、キーボード121などの入力手段により各サンプル容器101に関する検体の情報(検体ID、容器種類、蓋の有無、測定依頼項目など)を入力する。この状態で分析処理の開始を指示することにより、自動分析装置における検体の分析処理が開始される。
【0048】
分析処理では、まず、ブレード205、及びサンプリング機構1のサンプリングアーム2にとりつけられたサンプリングプローブ105によって、サンプル容器101に収容された試料7に分注処理が実施され、反応容器106に分注される。分注処理では、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101から読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数n、切込み処理の実施状態などの情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出し(図7ステップS10,S220)、測定依頼項目が無い場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図7のステップS30)。また、測定依頼項目が有る場合は、切込み処理が未実施の場合は切込み処理(検体情報の更新含む)を実施し、切込み処理が実施済みの場合は切込み処理を実施しない(図7のステップS35,S36)。続いて、既挿入回数nが許容回数Nよりも小さい場合は、測定依頼項目が全て完了するまで分注動作(サンプリングプローブ105のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、及び試料7の吸引)、及び、既挿入回数nのインクリメントを繰り返し行い(図7のステップS40〜S70)、測定依頼項目が全て終了したら既挿入回数nを更新保存して分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図7のステップS80)。分注処理中に既挿入回数nが許容回数N以上となった場合は、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知し、既挿入回数nを保存して(図7のステップS90,S80)、分注処理を終了する。
【0049】
なお、分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、蓋オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して、既挿入回数nに関係なく測定依頼項目が全て完了するまで分注動作を繰り返す。蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合についても同様である。
【0050】
続いて、試薬分注機構108の試薬分注プローブ105によって、試薬ボトル112に収容された試薬が反応容器106に分注され、試料、及び試薬が加えられた反応容器106内の混合物は、攪拌器113により攪拌される。そして、反応ディスク109の回転動作に伴う反応容器列の移送中に複数の反応容器が光源114からの光束を横切ることにより、各混合物の吸光度、あるいは発光値が測定手段である光度計115により測定(測光)される。測定信号(吸光度信号や発光値信号)は、A/D変換器116を経由しインターフェース104を介してコンピュータ103に入力され、分析項目の濃度が計算される。測光が終了した反応容器106は、洗浄機構119の位置に移送され、洗浄用ポンプ120による反応容器106内への洗浄水の供給、及び廃液の排出によって洗浄される。
【0051】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、サンプル容器101の蓋101aへの切込み処理の実施状態、すなわち、実施の有無をメモリ122に記憶するように構成したので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。すなわち、ブレード205の蓋101aへの挿入状態(切込み処理の実施状態)をメモリ122で記憶して管理し、蓋101aへの切込み処理を重複して行わないようにできるので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態においても、分注処理で分注対象のサンプル容器101の既挿入回数nが許容回数N以上である場合には、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知して分注処理を終了するよう構成したが、合わせて分析処理を自動的に一時停止するよう構成しても良く、また、それらを設定できるように構成しても良い。
【0054】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図8及び図9を参照しつつ説明する。本実施の形態は、第2の実施の形態に示した構成に加え、サンプリングプローブ105を通すための中空管305をさらに設け、分注処理における中空管305の蓋101aへの既挿入回数を管理するように構成したものである。図8は、本実施の形態に係るブレード205、中空管305、及び、サンプリング機構1のサンプリングプローブ105のサンプル容器101への挿入の様子を模式的に示す図であり、図9は本実施の形態に係る分注処理の詳細を示すフローチャートである。図中、第1の実施の形態で説明したものと同一の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
【0055】
図8に示すように、サンプルディスク109に載置されたサンプル容器101には、試料7が収容されており、蓋101により密閉されている。このようなサンプル容器101に挿入されるブレード205は鋭利な先端形状を有しており、蓋101aに切込みを入れる切込み処理を行う機能を備えている(図8(a)参照)。中空管305は、ブレード205による切込み処理を行った蓋101aの切込みを介してサンプル容器101内に挿入され(図8(b)参照)、サンプリングプローブ105はその中空管305の内部を通してサンプル容器101内に挿入され試料7に浸漬して吸引を行う(図8(c)参照)。本実施の形態においては、中空管305が蓋101aの切込みを介してサンプル容器101内に挿入される場合が前述の挿入回数にカウントする場合に相当する。
【0056】
図9に示すように、本実施の形態における分析処理においては、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101の検体IDを読み取る(ステップS10)。次に、読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数n、切込み処理の実施状態などの検体情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出す(ステップS320)。次に、測定依頼項目があるかどうかを判定し(ステップS30)、その判定結果がNOの場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する。ステップS30での判定結果がYESの場合は、切込み処理が実施済みかどうかを判定し(ステップS35)、判定結果YESの場合は、続いて既挿入回数nが許容回数Nよりも小さいかどうかを判定する(ステップS40)。また、ステップS35での判定結果がNOの場合は切込み処理(検体情報における実施状態の情報の更新を含む)を行い(ステップS36)、続いて既挿入回数nが許容回数Nよりも小さいかどうかを判定する(ステップS40)。ステップS40での判定結果がYESの場合は、分注動作(中空管305のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、サンプリングプローブ105のサンプル容器101への中空管305を介しての挿入、試料7の吸引、及び、反応容器106への吐出)を行い(ステップS50)、その後、測定依頼項目を全て終了したかどうかを判定し(ステップS70)判定結果がYESであれば、中空管305を蓋101aから抜き、既挿入回数nのインクリメント(n←n+1)を行い(ステップS70)、既挿入回数nを保存して(ステップS80)、分注処理を終了する。また、ステップS40での判定結果がNOの場合は、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知し(ステップS90)、分注処理を終了する。また、ステップS70での判定結果がNOの場合は、中空管305の蓋101aへの挿入状態を持続したまま、測定依頼項目を全て完了してステップS70での判定結果がYESになるまでステップS50,S70の処理を繰り返す。なお、ステップS40〜ステップS70の繰り返し中にステップS40での判定結果がNOとなった場合は、繰り返しを終了して許容挿入回数オーバの警告を出力し(ステップS90)、分注処理を終了する。
【0057】
上記分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して分注動作を再開する。この場合(蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合)の分注処理では、切込み処理の実施状態の確認(ステップS35)、既挿入回数nと許容回数Nの比較(ステップS40)、既挿入回数nのインクリメント(ステップS75)、及び既挿入回数nの保存(ステップS80)は実施せずスキップする。
【0058】
以上のように構成した本実施の形態において、サンプリングプローブ105は、閉じられた容器の蓋を貫通させて該容器中に挿入される挿入機構を構成し、メモリ122は、容器への挿入機構の挿入回数を記憶する記憶手段を構成する。
【0059】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0060】
まず、分析処理の準備として、サンプルディスク102に試料7を収容し蓋101aで塞いだサンプル容器101を載置し、試薬ディスク125に分析対象となる複数の分析項目に対応する試薬のボトル112を載置する。また、キーボード121などの入力手段により各サンプル容器101に関する検体の情報(検体ID、容器種類、蓋の有無、測定依頼項目など)を入力する。この状態で分析処理の開始を指示することにより、自動分析装置における検体の分析処理が開始される。
【0061】
分析処理では、まず、ブレード205、及びサンプリング機構1のサンプリングアーム2にとりつけられたサンプリングプローブ105によって、サンプル容器101に収容された試料7に分注処理が実施され、反応容器106に分注される。分注処理では、コンピュータ103はまず、分注処理対象のサンプル容器101から読み取った検体IDに基づいて、サンプル容器101の容器種類、蓋の有無、測定依頼項目、既挿入回数n、切込み処理の実施状態などの情報や、挿入許容回数Nなどをメモリ122から読み出し(図9ステップS10,S320)、測定依頼項目が無い場合は分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図9のステップS30)。また、測定依頼項目が有る場合は、切込み処理が未実施の場合は切込み処理(検体情報の更新含む)を実施し、切込み処理が実施済みの場合は切込み処理を実施しない(図9のステップS35,S36)。続いて、既挿入回数nが許容回数Nよりも小さい場合は、測定依頼項目が全て完了するまで分注動作(中空管305のサンプル容器101への蓋101aを介しての挿入、サンプリングプローブ105のサンプル容器101への中空管305を介しての挿入及び試料7の吸引)を繰り返し行い(図9のステップS50,S70)、測定依頼項目が全て終了したら、既挿入回数nのインクリメント及び既挿入回数nを更新保存して分注処理を終了し、次の分注処理対象のサンプル容器101の分注処理に移行する(図9のステップS75,S80)。
【0062】
なお、分注処理において、許容挿入回数オーバの警告出力がなされて(ステップS90)分注処理を終了した場合、蓋オペレータは対象のサンプル容器101をサンプルディスク102から取り出して、蓋101aを手動で取り外し、再度、サンプルディスク102に載置して、既挿入回数nに関係なく測定依頼項目が全て完了するまで分注動作を繰り返す。蓋101aの無いサンプル容器101を扱う場合についても同様である。
【0063】
続いて、試薬分注機構108の試薬分注プローブ105によって、試薬ボトル112に収容された試薬が反応容器106に分注され、試料、及び試薬が加えられた反応容器106内の混合物は、攪拌器113により攪拌される。そして、反応ディスク109の回転動作に伴う反応容器列の移送中に複数の反応容器が光源114からの光束を横切ることにより、各混合物の吸光度、あるいは発光値が測定手段である光度計115により測定(測光)される。測定信号(吸光度信号や発光値信号)は、A/D変換器116を経由しインターフェース104を介してコンピュータ103に入力され、分析項目の濃度が計算される。測光が終了した反応容器106は、洗浄機構119の位置に移送され、洗浄用ポンプ120による反応容器106内への洗浄水の供給、及び廃液の排出によって洗浄される。
【0064】
以上のように構成した本実施の形態においても第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、中空管305のサンプル容器101の蓋101aへの挿入回数をメモリ122に記憶するように構成したので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。すなわち、中空管305の蓋101aへの挿入回数をメモリ122で記憶して管理し、許容回数Nを設定してそれを超える挿入を行わないようにできるので、試料7の分注に伴う異物の発生及び試料への混入を抑制することができ、分注異常や分析結果異常の発生を抑制することができる。
【0066】
なお、本実施の形態においても、分注処理で分注対象のサンプル容器101の既挿入回数nが許容回数N以上である場合には、許容挿入回数オーバの警告を出力してオペレータに報知して分注処理を終了するよう構成したが、合わせて分析処理を自動的に一時停止するよう構成しても良く、また、それらを設定できるように構成しても良い。
【0067】
また、本発明の実施の形態においては、容器種類をオペレータが入力する場合を例にとり説明したが、これに限られず、カメラ等で撮影した容器画像から容器種類を判定する容器種別判定部を備える構成としても良い。また、蓋101aの切込み処理の実施状態をカメラ等で撮影した蓋101aの画像から切込み処理の実施状態を判定する切込み状態判定部を備える構成としても良い。また、検体IDを自動分析装置100よりも上位のHOSTコンピュータで管理するようにしてもよく、この場合は、HOSTコンピュータが管理する複数の自動分析装置間で既分注回数を共有することができる。さらに、既分注回数の記憶期間を任意に設定可能としてもよく、既分注回数のリセット操作ミスを防止することができる。
【0068】
さらに、蓋101aの有無を判定する判定部を持たない構成の場合は、許容挿入回数オーバの警告出力がなされた対象サンプルに対して、オペレータがキーボード121などの入力手段から蓋101aを取り外したという情報を入力しないと当該対象サンプルの分析を再開しない構成としてもよく、この場合には、蓋101aの取り忘れなどのヒューマンエラーの発生確率を低減することができる。
【0069】
また、サンプリングプローブ105や中空管305などの挿入機構の種類や状態に基づいて予め点数を定め、各挿入機構のサンプル容器101の蓋101aへの挿入回数と各挿入機構の点数の積の総和を記憶して管理するよう構成しても良く、その総和が予め定めた閾値を超えた場合に、自動分析装置の動作を停止するとともにオペレータに報知するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 サンプリング機構
2 サンプリングアーム
7 試料
100 自動分析装置
101 サンプル容器
101a 蓋
102 サンプルディスク
103 コンピュータ
104 インターフェース
105 サンプリングプローブ
106 反応容器
107 サンプル用シリンジポンプ
109 反応ディスク
110 試薬分注プローブ
111 試薬用シリンジポンプ
112 試薬のボトル
113 攪拌器
114 光源
115 光度計
116 A/D変換器
117 プリンタ
118 表示装置
119 洗浄機構
120 洗浄用ポンプ
121 キーボード
122 メモリ
125 試薬ディスク
151 液面検出回路
152 圧力センサ
153 圧力検出回路
205 ブレード
305 中空管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた容器の蓋を貫通させて該容器中に挿入される挿入機構と、
前記容器への前記挿入機構の挿入回数を記憶する記憶手段と
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記挿入機構を挿入する前記容器の前記挿入回数が予め定めた挿入許容回数に既に達している場合に、オペレータに報知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記挿入機構を挿入する前記容器の前記挿入回数が予め定めた挿入許容回数に既に達している場合に、前記自動分析装置の動作を停止することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記挿入機構を挿入する前記容器の前記挿入回数が予め定めた挿入許容回数に既に達している場合に、前記自動分析装置の動作を停止するとともにオペレータに報知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項記載の自動分析装置において、
前記容器に収容された対象物を吸引・吐出するためのサンプリングプローブを備え、
前記挿入機構の挿入回数として前記サンプリングプローブの前記容器への挿入回数を記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項2〜4の何れか1項記載の自動分析装置において、
前記蓋に穿孔するために挿入される中空管と、
前記蓋に挿入された中空管の中空部を介して前記容器内に挿入されるサンプリングプローブとを備え、
前記中空管及び前記サンプリングプローブの前記容器のへの挿入回数を記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項2〜4の何れか1項記載の自動分析装置において、
前記蓋に切込みを入れて穿孔するために挿入されるブレードと、前記ブレードの挿入による孔を介して前記容器内に挿入されるサンプリングプローブとを備え、
前記サンプリングプローブの前記容器への挿入回数を記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項2〜4の何れか1項記載の自動分析装置において、
前記蓋に切込みを入れて穿孔するために該蓋に挿入されるブレードと、
前記ブレードの挿入による孔を介して前記容器内に挿入される中空管と、
前記容器に挿入された中空管の中空部を介して前記容器内に挿入されるサンプリングプローブとを備え、
前記中空管の前記容器への挿入回数を記憶することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の自動分析装置において、
前記容器への前記ブレードの挿入実施の状態が実施済みの場合、前記ブレードの前記容器への挿入を行わないことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記記憶手段は、前記容器ごとに設けられたRFIDであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項2〜4の何れか1項記載の自動分析装置において、
前記挿入許容回数は、前記容器の種類毎に個別に定められたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記挿入機構の種類や状態に基づいて予め定めた点数と、各挿入機構の前記容器への挿入回数の積の和が、予め定めた閾値を超えた場合に、前記自動分析装置の動作を停止するとともにオペレータに報知することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−21871(P2012−21871A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159566(P2010−159566)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】