説明

自動原稿搬送装置および画像形成装置

【課題】原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる自動原稿搬送装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲したターン部Dと、ターン部D内の原稿の搬送をガイドするようターン部Dの湾曲外方に配置された外側ガイド部材262と、ターン部Dの湾曲内方に配置された内側ガイド部材252と、ターン部D内に原稿を搬送する中間ローラ14と、ターン部Dから原稿を搬出する読取り入口ローラ16と、を備え、内側ガイド部材252の、中間ローラ14と読取り入口ローラ16の間であって、中間ローラ14のうち原稿搬送方向に直交する方向における原稿載置基準部材251から最も遠いものより遠い位置に切り欠き253を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置および画像形成装置に関し、より詳しくは、原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲した湾曲経路を備えた自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動原稿搬送装置は、原稿載置台から給紙された原稿を原稿載置台の下に位置する排紙トレイへ排出するために、湾曲経路により原稿を略180°ターン(反転)させるものが主流となっている。
【0003】
従来、この種の自動原稿搬送装置としては、原稿の搬送方向を反転するU字形状の反転経路に回転コロを設け、原稿が反転部を通過するときの搬送抵抗を低減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この種の自動原稿搬送装置としては、U字形状の反転経路の内周側および外周側のそれぞれに原稿ガイド部材を設け、内周側の原稿ガイド部材を反転部の周方向に回転可能にして原稿が反転経路を通過するときの搬送抵抗を低減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、自動原稿搬送装置には、原稿載置時の基準位置を原稿の中央ではなく、原稿の搬送方向と平行な側面の何れか一方を基準とする片側基準方式を採用しているものがあり、片側基準方式の自動原稿搬送装置では、小サイズ原稿に対応するため、基準側に多くの搬送ローラが設けられる。
【特許文献1】特開2007−182262号公報
【特許文献2】特開平7−315621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の自動原稿搬送装置にあっては、湾曲経路内で曲げられた原稿には、元に戻ろうとする力により湾曲経路のガイド部材に強く接触するため大きな搬送抵抗が発生し、特に、片側基準方式を採用している自動原稿搬送装置では、大サイズ且つ原稿厚さの厚い(曲げ剛性が高い)原稿使用時には、多くの搬送ローラが設けられ十分な搬送力が得られる基準側に比べ、搬送ローラが少ない非基準側において湾曲経路で発生する搬送抵抗により滑らかに原稿が搬送できず、基準側に対して非基準側が徐々に遅れてしまい、原稿が斜行してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる自動原稿搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動原稿搬送装置は、搬送前の原稿が載置される原稿載置台と、前記原稿載置台の原稿搬送方向に直交する方向の一方の端部に配置され、該原稿載置台上の各原稿の原稿搬送方向に直交する方向の一端部を整合させる原稿載置基準部材と、排出された原稿が載置される排紙トレイと、前記原稿載置台から前記排紙トレイまでの原稿搬送経路の一部を構成し、原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲した湾曲経路と、前記湾曲経路内の原稿の搬送をガイドするよう前記湾曲経路の湾曲外方に配置された外側ガイド部材と、前記湾曲経路内の原稿の搬送をガイドするよう前記湾曲経路の湾曲内方に配置された内側ガイド部材と、前記湾曲経路の原稿搬送方向上流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、前記湾曲経路内に原稿を搬送する第1の搬送手段と、前記湾曲経路の原稿搬送方向下流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、前記湾曲経路から原稿を搬出する第2の搬送手段と、を備え、前記内側ガイド部材の、前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段の間であって、前記第1の搬送手段のうち原稿搬送方向に直交する方向における前記原稿載置基準部材から最も遠いものより遠い位置に切り欠きを設けたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、原稿載置基準部材が設けられている側に偏って多くの搬送手段が配置されたいわゆる片側基準の構成においても、内側ガイド部材に切り欠きを設けて原稿との摩擦を減少することにより、湾曲経路における原稿載置基準部材から遠い側の搬送抵抗を低減し、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記切り欠きを原稿搬送方向に直交する方向に複数個設けたことを特徴とする。
【0011】
この構成により、大きな切り欠きを1つ設ける代わりに小さな切り欠きを複数設けることができ、大きな切り欠きを1つ設けた場合に原稿の先端が切り欠きに引っかかることを防止することができるとともに、湾曲経路における原稿載置基準部材から遠い側の広い範囲において搬送抵抗を小さくすることができる。
【0012】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記切り欠きの原稿搬送方向に直交する方向の幅が、原稿搬送方向上流側から下流側に向かって狭くなっていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、原稿の先端が切り欠きに引っかかることを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記内側ガイド部材の前記切り欠きの背面に軟質のシート部材を設けたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、大きな切り欠きを設けた場合であっても、切り欠きから内側ガイド部材の内部に異物が進入することを防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記切り欠きの中に前記湾曲経路を通過する原稿と接触したときに回転するコロを設けたことを特徴とする。
【0017】
この構成により、湾曲経路における原稿載置基準部材から遠い側においてより効率的に搬送抵抗を小さくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記コロの外周面が前記内側ガイド部材よりも湾曲外方であって前記外側ガイド部材よりも原稿の厚さ分以上湾曲内方に位置するよう前記コロを配置したことを特徴とする。
【0019】
この構成により、コロが原稿と接触して回転することにより原稿と内側ガイド部材とが接触して搬送抵抗が発生することを確実に抑制することができるとともに、外側ガイド部材とコロとの間に原稿の搬送スペースが確保されるので原稿が湾曲経路内に詰まることを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記コロが摩擦係数の小さい材料よりなることを特徴とする。
【0021】
この構成により、原稿とコロとの間に滑りが発生するので、コロと接触した部分の原稿の搬送抵抗を少なくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0022】
また、本発明に係る自動原稿搬送装置は、前記コロが該コロと一体的に成型された回転軸を有することを特徴とする。
【0023】
この構成により、コロと回転軸とが一体的に成型されているので、部品点数の増加を防止でき、製造コストを抑制することができる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述の自動原稿搬送装置を備えたことを特徴とする。
【0025】
この構成により、上記の自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置においても、斜向搬送による画像の傾きを小さく抑えた画像を提供できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる自動原稿搬送装置および画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の構成図である。また、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の制御系のブロック図である。なお、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等の機能を有するものである。
【0029】
まず、構成について説明する。
【0030】
図1、図2に示すように、画像形成装置70は、原稿の搬送を行う自動原稿搬送装置50と、原稿の読取りおよび転写紙への画像形成を行う画像形成装置本体60とを備えている。自動原稿搬送装置50は図示しないヒンジ機構を介して画像形成装置本体60に対して開閉自在に設けられている。
【0031】
画像形成装置本体60内には、画像読取り部81が設けられており、この画像読取り部81によって読取られた画像情報は書込部82によって感光体ドラム83に照射されるようになっている。
【0032】
画像読取り部81は、コンタクトガラス22またはスリットガラス21上の原稿を照明する光源81aと、原稿から反射された光をそれぞれ反射する第1ミラー81b、第2ミラー81c、第3ミラー81dと、第3ミラー81dから反射された光をCCDイメージセンサ81fに結像するレンズ81eと、レンズ81eによって結像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ81fとを備えている。
【0033】
光源81aおよび第1ミラー81bは図示しない第1走行体に取付けられているとともに、第2ミラー81cおよび第3ミラー81dは第2走行体に取付けられており、第1走行体および第2走行体はコンタクトガラス22およびスリットガラス21に沿って移動するようになっている。
【0034】
そして、第1走行体および第2走行体は、コンタクトガラス22に載置された原稿を読取るときには、コンタクトガラス22の下方で図1中、左右方向に移動され、スリットガラス21を通過する原稿を読取るときには、スリットガラス21の下方で停止される。
【0035】
書込部82は、画像読取り部81によって読取った画像情報に応じて光変調したレーザ光を照射し、帯電させた感光体ドラム83の表面をこのレーザ光で露光するようになっている。
【0036】
感光体ドラム83の周囲には、感光体ドラム83とともに画像形成手段を構成する現像装置86、転写ベルト87、クリーニング装置88、図示しない帯電装置および除電装置が設けられている。帯電装置は暗中にプラス電荷のコロナ放電をグリッドにより制御して感光体ドラムの表面を一定電位に帯電させるようになっている。
【0037】
書込部82はこの一定電位に帯電された感光体ドラム83上に画像情報を含んだレーザダイオードを照射して感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去して静電潜像を形成する。
【0038】
現像装置86は感光体ドラム83上の電気除去された部分にマイナスに帯電されたトナーを付着させて可視像を形成する。転写ベルト87にはプラスのバイアスが印加されており、この転写ベルト87はマイナスに帯電された可視像を記録媒体としての転写紙(用紙)に転写して搬送するようになっている。
【0039】
クリーニング装置88はクリーニングブレードを備えており、感光体ドラム83に残ったトナーを掻き落とすようになっている。除電装置は内部のLEDを点灯させることにより感光体ドラム83の残留電荷を除去して次の転写紙に新たな画像を形成するための準備を行う。
【0040】
上記の工程によって画像が形成された転写紙は、定着装置90に搬送されるとともに、定着装置90によりトナー画像が定着される。
【0041】
また、画像形成装置本体60内にはそれぞれ異なるサイズの転写紙がそれぞれ収納された収納カセット91〜95が設けられており、この収納カセット91〜95に収納された転写紙は呼出しコロ91a〜95aによって給紙された後、搬送方向に回転する給紙ローラ91b〜95bおよび給紙ローラ91b〜95bに摺接し、分離方向に回転するリバースローラ91c〜95cによって分離された後、中継ローラ対96、97を介してレジストローラ対98に搬送され、レジストローラ対98によってタイミングを取られて感光体ドラム83と転写ベルト87の間の搬送路に搬送される。
【0042】
一方、自動原稿搬送装置50は、図2に示すように、複数の原稿からなる原稿束1が原稿面を上向きにして載置される原稿テーブル2と、原稿テーブル2に載置された原稿束1から最上部の原稿を搬送するピックアップローラ7と、ピックアップローラ7により搬送された原稿を分離する給紙ベルト9およびリバースローラ10と、分離されて1枚になった原稿を画像形成装置本体60のスリットガラス21の近傍まで搬送するプルアウトローラ12、中間ローラ14、読取り入口ローラ16と、スリットガラス21の近傍まで搬送された原稿をスリットガラス21に接触させながら搬送する読取りローラ19と、スリットガラス21の読取り位置20で読取りを終えた原稿を更に搬送する読取り出口ローラ23と、読取り出口ローラ23により搬送された原稿を排出する排紙ローラ28と、排出された原稿が載置される排紙トレイ29とを備えている。
【0043】
中間ローラ14は、プルアウトローラ12によって搬送された原稿をターン部D内に搬送するものであり、ターン部Dの原稿搬送方向上流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設されている。中間ローラ14は、本発明における第1の搬送手段を構成する。
【0044】
読取り入口ローラ16は、ターン部Dから搬出された原稿をスリットガラス21の近傍まで搬送するものであり、ターン部Dの原稿搬送方向下流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設されている。読取り入口ローラ16は、本発明における第2の搬送手段を構成する。
【0045】
原稿テーブル2に載置された原稿は、排紙トレイ29に排出されるまでに搬送経路の各部を通過するようになっている。搬送経路は、原稿束1が載置される原稿セット部Aと、載置された原稿束1から一枚の原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿の表面に当接して整合するとともに整合後の原稿を引き出して搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿の表面を下方に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面をスリットガラス21の下方より読取らせる第1読取り搬送部Eと、原稿の裏面を読取る第2読取り搬送部Fと、表裏の読取りが完了した原稿を外部に排出する排紙部Gと、排出された原稿が載置されるスタック部Hとから構成されている。ここで、原稿の表面とは、原稿テーブル2で上向きとなり第1読取り搬送部Eにおいて読取りが行われる面のことをいい、原稿の裏面とは、原稿テーブル2で下向きとなり第2読取り搬送部Fにおいて読取りが行われる面のことをいう。
【0046】
ターン部Dは、原稿テーブル2から排紙トレイ29までの原稿搬送経路の一部を構成し、原稿の搬送方向を略180°変更(反転)するよう湾曲した湾曲経路となっている。ターン部Dの湾曲外方には、ターン部D内の原稿の搬送をガイドする外側ガイド部材261、262が配置され、ターン部Dの湾曲内方には、ターン部D内の原稿の搬送をガイドする内側ガイド部材252が配置されている。
【0047】
図3に示すように、自動原稿搬送装置50は、自動原稿搬送装置50全体の制御を行うコントローラ100を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100に信号を入力するセンサ等として、レジストセンサ17、原稿セットセンサ5、排紙センサ24、突き当てセンサ11、原稿幅センサ13、読取り入口センサ15、給紙適正位置センサ8、ホームポジションセンサ6を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100から信号を出力して駆動制御するアクチュエータ等として、第2読取り部25、ピックアップモータ101、給紙モータ102、読取りモータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105を備えている。
【0048】
また、画像形成装置本体60は、画像形成装置本体60の制御を行う本体制御部111と、各種の入力操作や動作指示を行う操作部108とを備えている。コントローラ100と本体制御部111はI/F107を介して接続されており、双方の間で制御信号等のデータの授受が行われるようになっている。
【0049】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の画像読取り部の構成を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、第2読取り部25は、コントローラ100からの点灯信号に基づいて原稿に光を照射する光源部200と、原稿からの反射光を受光する複数のセンサチップ201と、各センサチップ201から出力された信号を増幅する複数の増幅部202と、増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D203と、デジタル変換された信号に画像処理を施す画処理部204と、画像処理された信号を記憶するフレームメモリ205と、コントローラ100からのタイミング信号に基づいてフレームメモリ205に記憶された信号の出力制御を行う出力制御回路206と、出力制御回路206からの信号を本体制御部111に出力するI/F回路207とを備えている。なお、第2読取り部25には、コントローラ100から電源が供給されるようになっている。
【0051】
ここで、原稿テーブル2に載置された原稿が排紙トレイ29に排出されるまでの順番に従って自動原稿搬送装置50の詳細な構成を説明する。
【0052】
まず、複数の原稿からなる原稿束1は、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上に、表面が上向きの状態で載置される。次いで、原稿束1の幅方向の位置、即ち搬送方向と直行する方向の位置が図示しないサイドガイドによって位置決めされる。原稿テーブル2上に原稿が載置されたことはセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知され、検知信号がI/F107を介して画像形成装置本体60の本体制御部111に出力される。
【0053】
また、原稿の搬送方向長さの概略は、原稿テーブル2の表面に設けられた原稿長さ検知センサ30、31により検知される。原稿長さ検知センサ30、31としては、光学的手段により原稿と接触せずに検知する反射型センサまたは原稿が1枚の場合でも検知可能な接触式のアクチェータータイプのセンサを用いることができる。また、原稿長さ検知センサ30、31は、原稿の配置が縦と横の何れになっているかを判断できるように配置されている。
【0054】
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図2の矢印a、b方向に上下動するように構成されている。また、原稿が原稿テーブル2上に載置されたことがセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知されると、コントローラ100は、底板上昇モータ105を正転させて原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させるようになっている。以下、原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触する位置を給紙適正位置という。
【0055】
ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構を介して図2の矢印c、d方向に動作するとともに、上昇した可動原稿テーブル3上の原稿により押されて矢印c方向に持ち上げられ、給紙適正位置センサ8により移動の上限が検知されるようになっている。給紙適正位置センサ8は、可動原稿テーブル3が上昇して原稿束1の最上部の原稿が適正な高さに保たれていることを検知するためのセンサである。
【0056】
操作部108が操作されて、両面モードまたは片面モードの何れかが指定された後にプリントキーが押下され、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が出力されると、コントローラ100は、給紙モータ102を正転させることにより、ピックアップローラ7を回転させるようになっている。回転を開始したピックアップローラ7は、原稿テーブル2の最上部の原稿または最上部の原稿を含む数枚の原稿をピックアップするようになっている。
【0057】
次いで、給紙モータ102の正転により、給紙ベルト9およびリバースローラ10を時計方向に駆動すると、給紙ベルト9が原稿を給紙方向に導くとともに、リバースローラ10が原稿を給紙方向と逆の方向に押し出すため、原稿束1の最上部の原稿とその下の原稿とが分離し、最上部の原稿のみが給紙されるようになっている。
【0058】
具体的には、リバースローラ10は、給紙ベルト9と所定圧で接しており、給紙ベルト9と直接接している状態、または1枚の原稿を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に連られて、図示しないトルクリミッタの働きにより本来の駆動方向と異なる反時計方向に回転するようになっている。また、2枚以上の原稿が給紙ベルト9とリバースローラ10の間に侵入した時は、リバースローラ10は、給紙ベルト9と連れ回りせず、本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをして重送を防止するようになっている。
【0059】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって送られた後、突き当てセンサ11によってその先端が検知され、更に搬送されて停止しているプルアウトローラ12に当接するようになっている。次いで、突き当てセンサ11に検知された位置から所定距離送られた原稿がプルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態になると、給紙モータ102が停止されて給紙ベルト9の駆動が停止するようになっている。この際に、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿の先端がプルアウトローラ12に挟持され、先端の整合、いわゆるスキュー補正が行われるようになっている。プルアウトローラ12は、スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのものであり、給紙モータ102の逆転により駆動されるようになっている。なお、給紙モータ102の逆転時は、プルアウトローラ12および中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されないようになっている。
【0060】
原稿幅センサ13は、CISと称される密着イメージセンサ等の光電変換素子を原稿の搬送方向と直行する方向に複数並べたものから構成されており、搬送経路の対向部に配置された図示しない照射光源から照射された直接光の受光レベルを出力するようになっている。コントローラ100は、原稿が原稿幅センサ13の位置を通過する際に、原稿幅センサ13における原稿によって遮光された部分と遮光されなかった部分のレベル差を検知して、プルアウトローラ12により搬送された原稿の幅方向のサイズを判定し、本体制御部111へ通知するようになっている。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で読取ることによりモータパルスから検知するようになっている。プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取り搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を第1読取り搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮を図っている。
【0061】
原稿先端が読取り入口センサ15により検出された後の制御は、動作モードが非停止モードと停止モードであるときとで異なっている。
【0062】
非停止モードにおいては、読取り入口ローラ16のニップ部に原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取り搬送速度と等しくするために減速を開始すると同時に、読取りモータ103を正転駆動して読取り入口ローラ16、読取り出口ローラ23、CIS出口ローラ27を駆動する。
【0063】
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面(原稿表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0064】
一方、停止モードにおいては、読取り入口センサ15により原稿の先端が検出された後、原稿が読取り入口ローラ16のニップ部に突き当たった後に所定量撓み量が生じるよう予め定められたパルスカウント数だけ給紙モータ102を駆動してから原稿を停止(レジスト停止)させるとともに、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。すなわち、読取り入口ローラ16が設けられた位置は、原稿が停止する停止位置である。
【0065】
続いて本体制御部111より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取り位置20に先端が到達するまでに所定の搬送速度となるよう増速されて搬送される。
【0066】
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0067】
動作モードが片面モードである場合には、コントローラ100は、第1読取り搬送部Eを通過した原稿を、第2読取り部25を経て排紙部Gに搬送するようになっている。この際に、排紙センサ24により原稿の先端が検知されると、コントローラ100は、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転するようになっている。また、コントローラ100は、排紙センサ24が原稿の先端を検知してからの排紙モータ104のパルスカウントを行い、原稿の後端が排紙ローラ28のニップ域から抜け出る直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させることにより、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないようにしている。
【0068】
このように、停止モードでは、原稿は、読取り入口センサ15により先端が検出されると読取り入口ローラ16で一時停止され、非停止モードでは、原稿は、一時停止することなく搬送される。
【0069】
動作モードが両面モードである場合には、コントローラ100は、排紙センサ24により原稿の先端が検知されてからの読取りモータ103のパルスカウントを行い、第2読取り部25に原稿の先端が到達するタイミングで、第2読取り部25に対して副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を出力するようになっている。ゲート信号は、第2読取り部25を原稿の後端が抜け出るまで継続して出力されるようになっている。
【0070】
なお、第2読取り部25の表面には、原稿に付着した糊上の異物等が転写されることを防止するため、防汚コーティング処理が施されている。第2読取りローラ26は、第2読取り部25に対向配置されており、第2読取り部25を通過する原稿を第2読取り部25へ押圧して第2読取り部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取り部25におけるシェーディングデータを取得してシェーディング補正をするための基準白部を兼ねるものである。すなわち、第2読取りローラ26は、白色のシェーディング部材を兼ねている。
【0071】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置を示す斜視図である。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部を示す拡大図である。
【0072】
図5、図6に示すように、自動原稿搬送装置50は、原稿テーブル2上の原稿搬送方向に直交する方向の一方の端部に配置され、原稿テーブル2上の各原稿の原稿搬送方向に直交する方向の一端部を整合させる原稿載置基準部材251を備えている。
【0073】
内側ガイド部材252の、中間ローラ14と読取り入口ローラ16(図2参照)の間であって、複数列設された中間ローラ14のうち原稿搬送方向に直交する方向における原稿載置基準部材251から最も遠いものより遠い位置には切り欠き253が設けられている。この切り欠き253は、原稿の搬送抵抗を低減するための非接触部としての機能を有するものであり、ターン部Dの図5、図6における右手前側の搬送抵抗を低減するようになっている。なお、図5、図6は、外側ガイド部材262を含むターン部Dの湾曲外方側の各搬送ローラ等を自動原稿搬送装置50から取り外した状態を示している。
【0074】
このため、原稿載置基準部材251が設けられている側に偏って多くの搬送手段が配置されたいわゆる片側基準の構成においても、内側ガイド部材252に切り欠き253を設けて原稿との摩擦を減少することにより、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側(図5、図6における右手前側)の搬送抵抗を低減し、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0075】
図7(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部の切り欠きの態様を示す図である。
【0076】
図7(a)に示すように、切り欠き253を原稿搬送方向に直交する方向に複数個設けてもよく、この場合、大きな切り欠き253を1つ設ける代わりに小さな切り欠き253を複数設けることができ、大きな切り欠き253を1つ設けた場合に原稿の先端が切り欠き253に引っかかることを防止することができるとともに、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側の広い範囲において搬送抵抗を小さくすることができる。
【0077】
また、図7(b)に示すように、切り欠き253を台形の形状に形成し、切り欠き253の原稿搬送方向に直交する方向の幅が、原稿搬送方向上流側から下流側に向かって狭くなるようにしてもよく、この場合、原稿の先端が切り欠き253に引っかかることを防止することができる。なお、切り欠き253の形状は、原稿の先端が切り欠き253に引っかかることを防止できるものであれば、台形に限らず楕円形状や逆三角形等であってもよい。
【0078】
また、図7(c)に示すように、内側ガイド部材252の切り欠き253の背面に軟質のシート部材254を設けてもよい。シート部材254を設ける場合、切り欠き253の形状は、図7(a)に示す矩形のものに限定されず、図7(a)に示すものでも図7(b)に示すものでもよい。このように、切り欠き253の背面にシート部材254を設けることにより、搬送抵抗を低減するために切り欠き253を大きなものにした場合であっても、切り欠き253から内側ガイド部材252の内部に異物が進入することを防止することができる。なお、シート部材254は、内側ガイド部材252に設けられた図示しないセンサ穴等の他の切り欠きを防いでしまわない範囲内で設けなければならない。切り欠き253の態様は、原稿の搬送抵抗を低減するための非接触部としての機能を有するものであれば、図7(a)〜(c)に例示した以外のものであってもよい。
【0079】
次に動作について説明する。
【0080】
中間ローラ14によりターン部D内に搬送された原稿は、外側ガイド部材262および内側ガイド部材252にガイドされて湾曲する。このとき、湾曲した原稿は、外側ガイド部材262および内側ガイド部材252に部分的に接触しながらターン部Dを通過する。
【0081】
ターン部Dを通過する原稿の搬送力は、原稿載置基準部材251が設けられた側において各搬送ローラが多く偏って配置されているため大きい。一方、ターン部Dを通過する原稿が外側ガイド部材262や内側ガイド部材252と接触することにより受ける抵抗力は、原稿載置基準部材251から遠い側に設けられた切り欠き253による接触面積の減少により、原稿載置基準部材251から遠い側において小さい。
【0082】
このため、原稿載置基準部材251から遠い側において、不足する搬送力を搬送抵抗の小ささが打ち消すこととなり、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いが解消され、原稿の斜行が防止される。
【0083】
以上のように、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、搬送前の原稿が載置される原稿テーブル2と、原稿テーブル2の原稿搬送方向に直交する方向の一方の端部に配置され、原稿テーブル2上の各原稿の原稿搬送方向に直交する方向の一端部を整合させる原稿載置基準部材251と、排出された原稿が載置される排紙トレイ29と、原稿テーブル2から排紙トレイ29までの原稿搬送経路の一部を構成し、原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲したターン部Dと、ターン部D内の原稿の搬送をガイドするようターン部Dの湾曲外方に配置された外側ガイド部材262と、ターン部D内の原稿の搬送をガイドするようターン部Dの湾曲内方に配置された内側ガイド部材252と、ターン部Dの原稿搬送方向上流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、ターン部D内に原稿を搬送する中間ローラ14と、ターン部Dの原稿搬送方向下流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、ターン部Dから原稿を搬出する読取り入口ローラ16と、を備え、内側ガイド部材252の、中間ローラ14と読取り入口ローラ16の間であって、中間ローラ14のうち原稿搬送方向に直交する方向における原稿載置基準部材251から最も遠いものより遠い位置に切り欠き253を設けたことを特徴とする。
【0084】
この構成により、原稿載置基準部材251が設けられている側に偏って多くの搬送手段が配置されたいわゆる片側基準の構成においても、内側ガイド部材252に切り欠き253を設けて原稿との摩擦を減少することにより、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側の搬送抵抗を低減し、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、切り欠き253を原稿搬送方向に直交する方向に複数個設けたことを特徴とする。
【0086】
この構成により、大きな切り欠き253を1つ設ける代わりに小さな切り欠き253を複数設けることができ、大きな切り欠き253を1つ設けた場合に原稿の先端が切り欠き253に引っかかることを防止することができるとともに、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側の広い範囲において搬送抵抗を小さくすることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、切り欠き253の原稿搬送方向に直交する方向の幅が、原稿搬送方向上流側から下流側に向かって狭くなっていることを特徴とする。
【0088】
この構成により、原稿の先端が切り欠きに引っかかることを防止することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、内側ガイド部材252の切り欠き253の背面に軟質のシート部材254を設けたことを特徴とする。
【0090】
この構成により、大きな切り欠き253を設けた場合であっても、切り欠き253から内側ガイド部材252の内部に異物が進入することを防止することができる。
【0091】
自動原稿搬送装置50を備えた画像形成装置70も同様に、原稿載置基準部材251が設けられている側に偏って多くの搬送手段が配置されたいわゆる片側基準の構成においても、内側ガイド部材252に切り欠き253を設けて原稿との摩擦を減少することにより、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側の搬送抵抗を低減し、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、図5における左奥側が原稿搬送基準部材251のある原稿載置基準側となっているが、図5における右手前側を原稿搬送基準部材251のある原稿載置基準側として構成した場合、切り欠き253やコロ255を本実施の形態と反対の位置である左奥側に配置することにより、同様の効果を奏することができる。
【0093】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部を示す拡大図である。また、図9は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部のコロの取り付け状態を示す図である。また、図10は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部のコロを示す図である。また、図11(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部の断面図である。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
図8〜図11に示すように、切り欠き253の中にターン部Dを通過する原稿と接触したときに回転して原稿の搬送抵抗を低減するコロ255を設けてもよい。
【0095】
この場合、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側においてより効率的に搬送抵抗を小さくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0096】
コロ255は、コロ255と一体的に成型された回転軸255aを有しており、これにより部品点数の増加を防止でき、製造コストを抑制することができるようになっている。コロ255の回転軸255aは、軸線方向に変位して内側ガイド部材252から脱落しないよう、止め輪265によって回転自在に規制されている。
【0097】
コロ255は、ポリアセタール等の摩擦係数が小さく摺動性に優れた材料を用いて成型されたものであり、このため、原稿とコロ255との間に滑りが発生するので、コロ255と接触した部分の原稿の搬送抵抗を少なくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0098】
また、コロ255は、コロ255の外周面が内側ガイド部材252から突き出し量dだけ突き出すよう配置されている。この状態では、コロ255の外周面が内側ガイド部材252のリブ面252aよりも湾曲外方であって外側ガイド部材262のリブ面262aよりも原稿の厚さ分以上湾曲内方に位置している。
【0099】
このため、コロ255が原稿と接触して回転することにより原稿と内側ガイド部材252とが接触して搬送抵抗が発生することを確実に抑制することができるとともに、外側ガイド部材262とコロ255との間に原稿の搬送スペースが確保されるので原稿が湾曲経路内に詰まることを防止できる。
【0100】
以上のように、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、切り欠き253の中にターン部Dを通過する原稿と接触したときに回転するコロ255を設けたことを特徴とする。
【0101】
この構成により、ターン部Dにおける原稿載置基準部材251から遠い側においてより効率的に搬送抵抗を小さくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0102】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コロ255の外周面が内側ガイド部材252よりも湾曲外方であって外側ガイド部材262よりも原稿の厚さ分以上湾曲内方に位置するようコロ255を配置したことを特徴とする。
【0103】
この構成により、コロ255が原稿と接触して回転することにより原稿と内側ガイド部材252とが接触して搬送抵抗が発生することを確実に抑制することができるとともに、外側ガイド部材262とコロ255との間に原稿の搬送スペースが確保されるので原稿が湾曲経路内に詰まることを防止できる。
【0104】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コロ255が摩擦係数の小さい材料よりなることを特徴とする。
【0105】
この構成により、原稿とコロ255との間に滑りが発生するので、コロ255と接触した部分の原稿の搬送抵抗を少なくすることができ、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、コロ255がコロ255と一体的に成型された回転軸255aを有することを特徴とする。
【0107】
この構成により、コロ255と回転軸255aとが一体的に成型されているので、部品点数の増加を防止でき、製造コストを抑制することができる。
【0108】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態では、内側ガイド部材252に切り欠き253またはコロ255を設けたが、これらを外側ガイド部材262に設けても同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明に係る自動原稿搬送装置および画像読形成装置は、原稿搬送方向に直交する方向の搬送力の不釣り合いによる原稿の斜行を防止することができるという効果を有し、原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲した湾曲経路を備えた自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の制御系のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置の画像読取り部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部を示す拡大図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部の切り欠きの態様を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部を示す拡大図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部のコロの取り付け状態を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部のコロを示す図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置のターン部の断面図である。
【符号の説明】
【0111】
2 原稿テーブル(原稿載置台)
14 中間ローラ(第1の搬送手段)
16 読取り入口ローラ(第2の搬送手段)
29 排紙トレイ
50 自動原稿搬送装置
70 画像形成装置
251 原稿載置基準部材
252 内側ガイド部材
253 切り欠き
254 シート部材
255 コロ
255a 回転軸
262 外側ガイド部材
D ターン部(湾曲経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送前の原稿が載置される原稿載置台と、
前記原稿載置台の原稿搬送方向に直交する方向の一方の端部に配置され、該原稿載置台上の各原稿の原稿搬送方向に直交する方向の一端部を整合させる原稿載置基準部材と、
排出された原稿が載置される排紙トレイと、
前記原稿載置台から前記排紙トレイまでの原稿搬送経路の一部を構成し、原稿の搬送方向を略180°変更するよう湾曲した湾曲経路と、
前記湾曲経路内の原稿の搬送をガイドするよう前記湾曲経路の湾曲外方に配置された外側ガイド部材と、
前記湾曲経路内の原稿の搬送をガイドするよう前記湾曲経路の湾曲内方に配置された内側ガイド部材と、
前記湾曲経路の原稿搬送方向上流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、前記湾曲経路内に原稿を搬送する第1の搬送手段と、
前記湾曲経路の原稿搬送方向下流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設され、前記湾曲経路から原稿を搬出する第2の搬送手段と、を備え、
前記内側ガイド部材の、前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段の間であって、前記第1の搬送手段のうち原稿搬送方向に直交する方向における前記原稿載置基準部材から最も遠いものより遠い位置に切り欠きを設けたことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記切り欠きを原稿搬送方向に直交する方向に複数個設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記切り欠きの原稿搬送方向に直交する方向の幅が、原稿搬送方向上流側から下流側に向かって狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記内側ガイド部材の前記切り欠きの背面に軟質のシート部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記切り欠きの中に前記湾曲経路を通過する原稿と接触したときに回転するコロを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記コロの外周面が前記内側ガイド部材よりも湾曲外方であって前記外側ガイド部材よりも原稿の厚さ分以上湾曲内方に位置するよう前記コロを配置したことを特徴とする請求項5に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
前記コロが摩擦係数の小さい材料よりなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項8】
前記コロが該コロと一体的に成型された回転軸を有することを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の自動原稿搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−76932(P2010−76932A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250532(P2008−250532)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】