説明

自動取引受付装置、プログラム、及び自動取引受付装置の制御方法

【課題】ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されるデータのデータ項目の組合せが不定である場合に、開発生産性やメンテナンス性の低下を防ぐ。
【解決手段】データ項目の組合せが不定な入力データを記憶媒体から読み込んで取引を受け付ける自動取引受付装置であって、取引の際に必要な複数のデータ項目の夫々と、前記複数のデータ項目の夫々についての入力画面を生成する入力画面生成モジュールとを対応付けて記憶する取引データ記憶部と、前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出す入力画面制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等において利用者に対して現金の入出金や振込等のサービスを提供するために用いられる自動取引受付装置、プログラム、及び自動取引受付装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置されるATM(Automatic Tellers Machine)やCD(Cash Dispenser)等の自動取引受付装置では、各利用者の占有時間を削減することが、待ち時間を削減するために重要である。そこで、利用者の占有時間を削減するための様々な自動取引受付装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、ICカードを用いることにより利用者の占有時間を削減可能な自動取引受付装置が開示されている。利用者は、各自が所有するICカードに取引金額や振込先等の取引に関するデータを事前に格納しておく。そして、実際に自動取引受付装置を利用して取引を行う際に、ICカードに格納された取引に関するデータを自動取引受付装置に読ませることにより、利用者の入力操作を減らし、占有時間を削減することが可能となっている。
【0004】
また、例えば、特許文献2においては、携帯電話やモバイルコンピュータ等の携帯情報端末を用いることにより稼働効率を向上させることができる自動取引受付装置が開示されている。利用者は、携帯電話等の携帯情報端末に取引に関するデータを事前に入力しておき、自動取引受付装置の操作を行う際に、携帯情報端末に入力済みのデータを自動取引受付装置に送信する。これにより、自動取引受付装置を利用する際の入力時間が削減され、自動取引受付装置の稼働効率の向上が可能となっている。
【特許文献1】特開平11−224373号公報
【特許文献2】特開平11−338942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動取引受付装置を利用して行われる取引については、取引ごとに業務要件で定められた入力データのデータ項目と、取引処理フローが定められている。そして、ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されていないデータは、利用者が実際に自動取引受付装置を利用して取引を行う際に入力する必要がある。前述した特許文献1及び2に開示された自動取引受付装置では、ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されるデータのデータ項目が決められていることが前提となっている。そのため、利用者が取引を行う際に入力しなければならないデータのデータ項目は固定であり、そのデータ項目を入力するための取引処理フローも固定となっている。したがって、そのような固定のデータ項目及び固定の取引処理フローに基づいた業務アプリケーションを開発すればよいこととなる。
【0006】
しかし、自動取引受付装置を利用した今後の取引においては、ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されるデータのデータ項目が固定ではなく、様々な組合せとなることが考えられる。このように、事前に入力されるデータのデータ項目の組合せが不定である環境では、その組合せごとに、利用者が自動取引受付装置を利用して取引を行う際に入力が必要となる項目および取引処理フローも異なってくることとなる。したがって、事前に入力されるデータのデータ項目の組合せごとに業務アプリケーションを開発することが考えられるが、開発生産性やメンテナンス性の低下を招いてしまうこととなる。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されるデータのデータ項目の組合せが不定である場合に、開発生産性やメンテナンス性の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の自動取引受付装置は、データ項目の組合せが不定な入力データを記憶媒体から読み込んで取引を受け付ける自動取引受付装置であって、取引の際に必要な複数のデータ項目の夫々と、前記複数のデータ項目の夫々についての入力画面を生成する入力画面生成モジュールとを対応付けて記憶する取引データ記憶部と、前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出す入力画面制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
ICカードや携帯情報端末等に事前に格納されるデータのデータ項目の組合せが不定である場合に、開発生産性やメンテナンス性の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
==自動取引受付装置の構成==
まず、自動取引受付装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である自動取引受付装置の構成を示す図である。自動取引受付装置101は、主に金融機関の店頭等に設置され、利用者からの様々な取引要求を受け付ける情報処理装置であり、利用者とのインタフェースとなる画面表示装置102、デバイス装置103、ICカードリーダライタ装置104、及び携帯端末通信装置105を備えている。
【0011】
画面表示装置102は、例えば、タッチパネル式の液晶ディスプレイ等であり、取引を行うために必要な画面が表示されるとともに、利用者からの入力を受け付けることもできる。デバイス装置103は、現金や通帳等の現物を取り扱うための装置である。ICカードリーダライタ装置104は、ICカードに記憶されたデータの読み込み、および、ICカードへのデータの書き込みを行う装置である。携帯端末通信装置105は、赤外線通信やケーブル接続等により、携帯電話等の携帯端末との間でデータの送受信を行うための装置である。
【0012】
なお、口座番号等の様々な情報が記憶されている通帳やICカード、携帯端末等が、本発明の記憶媒体に相当する。また、本実施形態においては、自動取引受付装置101が、これらの各種デバイス102〜105を備えることとしたが、これらの各種デバイス102〜105は、自動取引受付装置101とは別に設けられ、自動取引受付装置101と通信可能に接続されて構成されることとしてもよい。
【0013】
そして、自動取引受付装置101は、各種デバイス102〜105を制御するために画面処理部112、デバイス処理部113、ICカード処理部114及び携帯端末処理部115を備えている。また、自動取引受付装置101は、受け付けた各種取引を実行する勘定系ホストコンピュータ等の上位サーバ106へのアクセスを制御する上位アクセス処理部116を備えている。これらの処理部112〜116は、自動取引受付装置101が備えるCPU(不図示)がROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ(不図示)に格納されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、これらの処理部112〜116は、例えば、通信ポートやコネクタ等、各種デバイス102〜105及び上位サーバ106との通信に必要なハードウェアも含むものである。
【0014】
また、自動取引受付装置101は、各種取引を受け付けるためのコンポーネント(モジュール)121、コンポーネントフロー制御部131、及び取引データ管理部141を備えている。コンポーネント121は、複数の入力系コンポーネント122、出力系コンポーネント123、上位アクセスコンポーネント124、及び共通コンポーネント125を含んでいる。
【0015】
入力系コンポーネント122は、取引に必要なデータの入力画面を画面表示装置102に表示するための指示やデバイス装置103から記憶媒体の読み込み等を行うための指示を出力する。出力系コンポーネント123は、各種の出力画面を画面表示装置102に表示するための指示やデバイス装置103に対して記憶媒体の出力等を行うための指示を出力する。上位アクセスコンポーネント124は、各種取引を実行する際に上位サーバ106とアクセスするためのものである。共通コンポーネント125は、エラー処理等の共通的に利用される処理を実行するものである。
【0016】
コンポーネントフロー制御部(入力画面制御部)131は、コンポーネント121の実行順序を制御するものであり、コンポーネントフロー管理部132及びコンポーネントフローエンジン133を含んでいる。コンポーネントフロー管理部132は、預金や振込等の取引ごとに、コンポーネント121を呼び出す順序や現在の状態等の情報を記憶するものである。そして、コンポーネントフローエンジン133は、コンポーネントフロー管理部132に記憶された情報に従ってコンポーネント121を呼び出す。また、取引データ管理部141は、実行中の一取引のデータを管理するものである。
【0017】
なお、各コンポーネント122〜125、コンポーネントフロー制御部131、及び取引データ管理部141は、CPU(不図示)がメモリ(不図示)に格納されたプログラムを実行することにより実現することができる。
【0018】
図2は、自動取引受付装置101での取引における処理の流れを示すコンポーネントフロー定義情報の一例を示す図である。コンポーネントフロー定義情報201は、コンポーネントフロー管理部132に記憶されており、取引が行われる際の処理の流れが定義されている。図2に示す例では、ICカード挿入処理202、入力処理203、確認処理204、実行処理205、出力処理206、受取処理207の順に処理が実行されることとなる。また、コンポーネントフロー定義201では、各処理202〜207を実行する際に呼び出されるコンポーネント121の識別子であるコンポーネントIDが対応付けられている。
【0019】
図3は、自動取引受付装置101を利用して行われる取引ごとに定義される情報である取引毎データ管理定義テーブル(取引データ記憶部)の一例を示す図である。取引毎データ管理定義テーブル301は、コンポーネントフロー管理部132に記憶されており、取引名称(取引識別子)302、入力データ項目303、コンポーネントID304、入力順序305、及びデータ属性306を含んで構成されている。入力データ項目303には、取引名称302に示される取引において入力が必要なデータのデータ項目が定義されている。図3に示す例では、「振込取引」において、「振込人口座番号」、「振込人氏名」、「振込金額」、「受取人口座番号」、及び「受取人氏名」が入力データ項目として定義されている。
【0020】
そして、コンポーネントID(入力画面生成モジュール識別子)304には、入力データ項目303に定義されたデータ項目のデータを利用者に入力させるために必要なコンポーネント(入力画面生成モジュール)121のIDが設定されている。図3に示す例では、例えば「振込人口座番号」を入力させるために呼び出されるコンポーネントのコンポーネントIDとして、「12341234」が設定されている。また、入力順序305には、入力データ項目303に定義されたデータ項目のデータの入力処理の順序が設定されている。
【0021】
データ属性306には、入力データ項目303に定義されたデータ項目のデータが一取引内で複数回入力された場合の処理が定義されている。データ属性306の種類としては、大きく分けて二種類ある。一つは、データが複数回入力された場合に、これらのデータが一致しているかどうか照合するものである。もう一つは、データの入力元ごとに優先順位を設け、この優先順位に従ってデータを取り込むものである。図3に示す例では、「振込人口座番号」、「振込金額」、「受取人口座番号」のデータ属性306は「照合」となっており、これらのデータ項目については、ICカードや携帯端末等から複数回入力された場合は夫々から入力されたデータの照合が行われることとなる。また、「振込人氏名」及び「受取人氏名」については、「ICカード>画面>通帳」というように優先順位が定められている。この場合、例えば、1回の振込取引内で、ICカード及び画面表示装置102の両方から振込人氏名が入力されると、ICカードからの入力が優先して取り込まれることとなる。
【0022】
図4は、自動取引受付装置101がICカードリーダライタ装置104を介して読み取るICカードに格納されたデータであるICカードデータの一例を示す図である。ICカードデータ401は、取引名称402、入力データ項目403、及び入力データ404を含んで構成されている。図4に示す例では、対象の取引が「振込取引」であり、「振込人氏名」として「○×太郎」、「振込金額」として「50000」が設定されている。この例では、入力データ項目403の組合せは「振込人氏名」及び「振込金額」となっているが、ICカードデータのデータ項目の組合せはこれに限られず不定である。例えば、「振込取引」の場合に、入力データ項目403として、「振込人口座番号」や「受取人口座番号」が設定されることもある。また、図3に示した「振込取引」に必要な入力データ項目303以外のデータ項目がICカードデータに含まれる場合もある。
【0023】
図5は、利用者が追加で入力が必要なデータに関する情報である入力フロー情報の一例を示す図である。入力フロー情報501は、自動取引受付装置101を用いた取引の実行時に作成され、取引データ管理部141に記憶されるものであり、取引名称502、入力データ項目503、及び入力順序504を含んで構成されている。図5に示す例では、入力データ項目503に「振込人口座番号」、「受取人口座番号」、及び「受取人氏名」が設定されている。これは、図3に例示した取引毎データ管理定義テーブル301の入力データ項目303に定義されたデータ項目から図4に例示したICカードに格納されたデータ401の入力データ項目403を差し引いたものである。つまり、入力フロー情報501の入力データ項目503には、取引名称502に設定された取引を行うために、さらに入力が必要なデータ項目が設定される。そして、入力順序504には、入力データ項目503に設定されたデータを入力する順序が設定される。この入力順序504は、取引毎データ管理定義テーブル301に設定された入力順序305に基づいて決定される。
【0024】
==処理説明==
次に、図2に例示したコンポーネントフロー定義情報201に基づいて実行される処理について説明する。まず、コンポーネントフロー定義情報201に定義された最初の処理であるICカード挿入処理202が実行される。
【0025】
図6は、ICカード挿入処理202の流れを示すフローチャートである。前述したように、コンポーネントフロー定義情報201では、各処理202〜207に対応するコンポーネント121のコンポーネントIDが定義されている。まず、コンポーネントフロー制御部131は、ICカード挿入処理202に対応する入力系コンポーネント122を呼び出す(S601)。そして、入力系コンポーネント122が、ICカードからの読み取り準備をICカード処理部114に指示し、ICカード処理部114がICカードリーダライタ装置104からの読み取り準備を実行する(S602)。ICカードの読み取り準備が完了すると、入力系コンポーネント122は、ICカードの挿入待ち画面の表示を画面処理部112に指示し、画面表示部112が画面表示装置102に挿入待ち画面を表示する(S603)。
【0026】
利用者がICカードリーダライタ装置104にICカードを挿入すると、ICカードに格納されたICカードデータ401がICカード処理部114によって読み取られ、読み取られたICカードデータ401は入力系コンポーネント122に渡される(S604)。そして、入力系コンポーネント122は、受け取ったICカードデータ401を取引データ管理部141に格納し、入力フロー情報501を決定する入力フロー決定処理を実行し、コンポーネントフロー制御部131に当該コンポーネント122の処理が終了したことを通知する(S605)。
【0027】
なお、本実施形態においては、ICカードリーダライタ装置104は、挿入されたICカードを読み取ることとしたが、ICカードを非接触により読み取ることとしてもよい。また、コンポーネントフロー定義情報201では、ICカードからの読み取りが最初に実行される処理として定義されているが、その他の記憶媒体等からの入力が最初に行われることとしてもよい。例えば、携帯電話に格納されたデータの読み取り処理が最初に実行されることとしてもよい。
【0028】
図7は、入力フロー決定処理(S605)の流れを示すフローチャートである。まず、入力系コンポーネント122は、ICカード処理部114から渡されたICカードデータ401から取引名称402及び入力データ項目403を読み込む(S701)。続いて、入力系コンポーネント122は、取引名称402に設定された「振込取引」に対応する入力データ項目303を取引毎データ管理定義テーブル301から読み込む(S702)。そして、入力系コンポーネント122は、ICカードデータ401から読み込まれた入力データ項目403の名称と、取引毎データ管理定義テーブル301から読み込まれた入力データ項目303の名称とを突き合わせ、取引毎データ管理定義テーブル301に存在し、ICカードデータ401に存在しない差分の入力データ項目を抽出する(S703)。さらに、入力系コンポーネント122は、差分として抽出された入力データ項目の入力順序を、取引毎データ管理定義テーブル301の入力順序305に従って決定し、入力フロー情報501を生成する(S704)。
【0029】
前述したように、図3〜図5に例示したデータの場合、取引毎データ管理定義テーブル301に存在し、ICカードデータ401に存在しない差分の入力データ項目は「振込人口座番号」、「受取人口座番号」、及び「受取人氏名」である。そして、これらの入力データ項目の入力順序は、取引毎データ管理定義テーブル301の入力順序305に設定された入力順序の昇順となり、図5に示した入力フロー情報501が生成される。
【0030】
ICカード挿入処理202の実行が終了すると、コンポーネントフロー定義情報201に定義された次の処理である入力処理203が実行される。図8は、入力処理203の流れを示すフローチャートである。まず、コンポーネントフロー制御部131は、入力フロー決定処理(S605)で決定された入力フロー情報501を取得し(S801)、入力データ項目503があるかどうかを判定する(S802)。入力データ項目503がある場合(S802:YES)、コンポーネントフロー制御部131は、入力順序504が最も小さい入力データ項目503に対応するコンポーネントID304を取引毎データ管理定義テーブル301から取得し(S803)、当該コンポーネントID304に対応する入力系コンポーネント122を呼び出す(S804)。なお、入力フロー情報501に未処理の入力データ項目503が無い場合(S802:NO)、本処理は終了する。
【0031】
そして、入力系コンポーネント122は、当該入力データ項目503のデータを入力するためにデバイス装置103から通帳等の記憶媒体を読み込むことが必要であるかどうかを判定する(S805)。デバイス動作が必要である場合(S805:YES)、入力系コンポーネント122は、記憶媒体からの読み取り準備を該当するデバイス処理部113に指示し、デバイス処理部113がデバイス装置103からの読み取り準備を実行する(S806)。
【0032】
なお、デバイス装置103からの入力が不要である場合(S805:NO)、デバイス装置103の準備処理(S806)は行われない。また、本実施形態では、デバイス装置103から記憶媒体を読み込む場合を示したが、記憶媒体の読み込みはデバイス装置103からに限られない。例えば、携帯端末通信装置105を介して携帯電話等の記憶媒体から読み込むこととしてもよい。
【0033】
入力系コンポーネント122には、呼び出される際に、入力フロー情報501に格納された入力データ項目503及び入力順序504が渡されている。そして、入力系コンポーネント122は、この入力データ項目503及び入力順序504に基づいて、追加で入力が必要なデータの入力順序を示す画面の作成を画面処理部112に指示する(S807)。また、入力系コンポーネント122は、入力対象となっているデータの入力待ち画面の表示を画面処理部112に指示する(S808)。画面処理部112は、これらの指示に基づいて、入力順序を示したデータの入力待ち画面を画面表示装置102に表示する。図9は、入力順序を示したデータの入力待ち画面の一例を示す図である。図9の画面は、図5に示した入力フロー情報501に基づいたものであり、「振込人口座番号」が入力対象のデータ項目となっており、入力順序504に従って入力順序(処理の流れ)が示されている。
【0034】
利用者から自動取引受付装置101への入力操作が行われると、その入力操作に応じて処理が行われる。入力操作が記憶媒体の挿入によるものである場合(S809:YES)、デバイス装置103は、挿入された記憶媒体に格納されたデータを読み取り(S810)、読み取ったデータを入力系コンポーネント122に渡す(S810)。そして、入力系コンポーネント122は、記憶媒体から読み込まれたデータのチェック等を行う処理である入力データ判定処理を実行する(S811)。なお、記憶媒体から読み込まれたデータは、ICカードデータ401と同様に、入力データ項目及びその入力データ項目に対応する入力データが含まれていることとする。
【0035】
入力操作が画面表示装置102からの入力によるものである場合(S809:NO)、画面処理部112は、入力されたデータを入力系コンポーネント122に渡す。そして、入力系コンポーネント122は、画面処理部112から渡されたデータを、取引データ管理部141に格納する(S812)。
【0036】
その後、コンポーネントフロー制御部131は、入力フロー情報501を参照して次の入力データ項目があるかどうか判定する(S813)。次の入力データ項目がある間(S813:YES)、前述の処理(S703〜S712)が繰り返し実行される。そして、次の入力データ項目が無くなると(S813:NO)、入力処理203が終了する。
【0037】
図10は、入力系コンポーネント122が実行する入力データ判定処理(S811)の流れを示すフローチャートである。なお、当該処理を実行する入力系コンポーネント122は、本発明の入力データ選択部及び入力データ比較部に相当するものである。
【0038】
まず、記憶媒体から読み込まれたデータの入力データ項目と、取引毎データ管理定義テーブル301に定義された入力データ項目303とを比較し、記憶媒体から読み込まれたデータのうち、対象としている取引において必要な入力データ項目を抽出する(S1001)。そして、抽出された入力データ項目を1つ取得し(S1002)、取得した入力データ項目が図8に示した処理(S808)により表示された入力待ち画面で入力を促したデータのデータ項目であるかどうかを判定する(S1003)。
【0039】
取得した入力データ項目が入力待ち画面で入力を促したデータのデータ項目である場合(S1003:YES)、その入力データ項目に対応する入力データを取引データ管理部141に格納する(S1004)。取得した入力データ項目が入力待ち画面で入力を促したデータのデータ項目でない場合(S1003:NO)、そのデータ項目が既に入力済みの入力データ項目であるかどうかを判定する(S1005)。
【0040】
既に入力済みの入力データ項目でない場合(S1005:NO)、その入力データ項目に対応する入力データを取引データ管理部141に格納する(S1006)。そして、当該入力データ項目を、入力予定として記憶されている入力フロー情報501から削除する(S1007)。
【0041】
既に入力済みの入力データ項目である場合(S1005:YES)、その入力データ項目のデータ属性306を取引毎データ管理定義テーブル301から取得し(S1008)、優先順位指定かどうかを判定する(S1009)。優先順位指定である場合(S1009:YES)、その優先順位に従って有効となるデータを決定し(S1010)、そのデータを当該入力データ項目に対する入力データとして取引データ管理部141に格納する(S1011)。優先順位指定でない場合(S1009:NO)、既に入力済みのデータと新たに記憶媒体から読み込まれたデータとを照合し、これらのデータが一致しているかどうかを判定する(S1012)。データが一致している場合(S1012:YES)、そのデータを当該入力データ項目に対する入力データとして取引データ管理部141に格納する(S1011)。データが一致していない場合(S1012:NO)、エラー処理を実行し(S1013)、処理を終了する。なお、エラー処理(S1013)が行われた場合は、無効なデータが入力されたとして、対象の取引はキャンセルされることとなる。
【0042】
その後、抽出された入力データ項目のうち、未処理の入力データ項目があるかどうか判定する(S1014)。未処理の入力データ項目がある間(S1014:YES)、前述の処理(S1003〜S1013)が繰り返し実行される。そして、未処理の入力データ項目が無くなると(S1014:NO)、入力データ判定処理が終了する。
【0043】
図8及び図10に示した入力処理203が完了すると、コンポーネントフロー定義情報201に定義された以後の処理204〜207が、コンポーネントフロー制御部131の制御により実行されることにより、取引が行われる。
【0044】
以上、本実施形態の自動取引受付装置101の構成及び処理について説明した。前述したように、自動取引受付装置101は、取引毎データ管理定義テーブル301に定義された入力データ項目のうち、ICカード等の記憶媒体から読み込まれた入力データ項目を除いたものを、追加で入力が必要な入力データのデータ項目として決定し、決定されたデータ項目に対応する入力系コンポーネント122を呼び出す。そして、呼び出された入力系コンポーネント122に従って、利用者からデータが入力される。つまり、自動取引受付装置101では、ICカード等の記憶媒体から読み込まれるデータの入力データ項目の組合せが不定である場合であっても、入力データ項目ごとに入力系コンポーネント122を開発しておけばよく、その組合せ毎に異なるアプリケーションを開発する必要がない。そのため、利用者が画面表示装置102から手入力する必要のあるデータが減って自動取引受付装置101の占有時間が削減されるとともに、開発生産性やメンテナンス性の低下を防ぐことが可能となる。
【0045】
また、各取引において入力データの入力順序が定められている場合においては、取引毎データ管理定義テーブル301に定義された入力順序305に従って、入力フロー情報501の入力順序504を定めることにより、データの入力順序を制御することができる。このように、入力順序の制御を行う場合であっても、追加で入力が必要なデータの入力データ項目の組合せ毎に異なるアプリケーションを開発する必要がなく、開発生産性やメンテナンス性の低下を防ぐことができる。
【0046】
また、自動取引受付装置101では、図9に示したように、入力データ項目の入力順序(処理の流れ)が画面に表示される。これにより、自動取引受付装置101の利用者は、この入力順序を確認することにより、取引が完了するまでの流れを把握することができる。
【0047】
また、自動取引受付装置101では、ICカードや通帳、携帯電話等、複数の記憶媒体からデータを読み込むことが可能である。そして、ある記憶媒体からデータが読み込まれて入力フロー情報501が定められた後に、別の記憶媒体から更にデータが読み込まれた場合には、当該入力フロー情報501から不要な入力データ項目が削除される。これにより、利用者が画面表示装置102から手入力する必要のあるデータが更に減り、自動取引受付装置101の占有時間を更に削減することができる。
【0048】
また、自動取引受付装置101では、記憶媒体から読み込まれたデータが既に入力済みのデータである場合は、取引毎データ定義管理テーブル301のデータ属性306に設定された優先順位に従って、どのデータを選択するかを決定することができる。これにより、ICカードや携帯端末等、様々な記憶媒体に同一の入力データ項目のデータが格納される可能性がある場合であっても、事前に定められた優先順位に従って取引を行うことができる。
【0049】
また、自動取引受付装置101では、記憶媒体から読み込まれたデータが既に入力済みのデータである場合に、既に入力済みのデータと同一であるかどうかを検出することができる。例えば、振込取引における振込金額や受取人口座番号等、非常に重要なデータについては、複数回入力されたデータが同一である場合のみ取引を行うこととすることにより、利用者の意図しない取引が行われることを防ぐことができる。
【0050】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態である自動取引受付装置の構成を示す図である。
【図2】自動取引受付装置での取引における処理の流れを示すコンポーネントフロー定義情報の一例を示す図である。
【図3】自動取引受付装置を利用して行われる取引ごとに定義される情報である取引毎データ管理定義テーブルの一例を示す図である。
【図4】自動取引受付装置がICカードリーダライタ装置を介して読み取るICカードに格納されたデータであるICカードデータの一例を示す図である。
【図5】利用者が追加で入力が必要なデータに関する情報である入力フロー情報の一例を示す図である。
【図6】ICカード挿入処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】入力フロー決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】入力順序を示したデータの入力待ち画面の一例を示す図である。
【図10】入力系コンポーネントが実行する入力データ判定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
101 自動取引受付装置 102 画面表示装置
103 デバイス装置 104 ICカードリーダライタ装置
105 携帯端末通信装置 106 上位サーバ
112 画面処理部 113 デバイス処理部
114 ICカード処理部 115 携帯端末処理部
116 上位アクセス処理部 121 コンポーネント
122 入力系コンポーネント 123 出力系コンポーネント
124 上位アクセスコンポーネント 125 共通コンポーネント
131 コンポーネントフロー制御部 132 コンポーネントフロー管理部
133 コンポーネントフローエンジン 141 取引データ管理部
201 コンポーネントフロー定義情報 301 取引毎データ管理定義テーブル
401 ICカードデータ 501 入力フロー情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ項目の組合せが不定な入力データを記憶媒体から読み込んで取引を受け付ける自動取引受付装置であって、
取引の際に必要な複数のデータ項目の夫々と、前記複数のデータ項目の夫々についての入力画面を生成する入力画面生成モジュールとを対応付けて記憶する取引データ記憶部と、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出す入力画面制御部と
を備えることを特徴とする自動取引受付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引受付装置であって、
前記取引データ記憶部は、
前記データ項目及び前記データ項目の入力順序を対応付けて記憶し、
前記入力画面制御部は、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを前記入力順序に従って呼び出すこと
を特徴とする自動取引受付装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動取引受付装置であって、
前記入力画面生成モジュールは、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目についての入力順序を前記入力画面に出力すること
を特徴とする自動取引受付装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の自動取引受付装置であって、
前記入力画面制御部は、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目から、前記記憶媒体とは別の記憶媒体から読み込まれたデータ項目を更に除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出すこと
を特徴とする自動取引受付装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引受付装置であって、
前記取引データ記憶部は、
前記データ項目ごとに、前記記憶媒体または前記別の記憶媒体の何れからの入力を優先するかを示す優先順位を記憶し、
前記記憶媒体及び前記別の記憶媒体から同一のデータ項目についての入力データが読み込まれると、前記優先順位に基づいて前記記憶媒体または前記別の記憶媒体の何れか一方からの前記入力データを選択する入力データ選択部を
更に備えることを特徴とする自動取引受付装置。
【請求項6】
請求項4に記載の自動取引受付装置であって、
前記記憶媒体及び前記別の記憶媒体から同一のデータ項目についての入力データが読み込まれると、前記記憶媒体及び前記別の記憶媒体から読み込んだ夫々の前記入力データが同一であるかどうか比較する入力データ比較部を
更に備えることを特徴とする自動取引受付装置。
【請求項7】
取引の際に必要な複数のデータ項目の夫々と、前記複数のデータ項目の夫々についての入力画面を生成する入力画面生成モジュールとを対応付けて記憶する取引データ記憶部を備える自動取引受付装置に、
データ項目の組合せが不定な入力データを記憶媒体から読み込む手順と、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出す手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
取引の際に必要な複数のデータ項目の夫々と、前記複数のデータ項目の夫々についての入力画面を生成する入力画面生成モジュールとを対応付けて記憶する取引データ記憶部を備える自動取引受付装置の制御方法であって、
データ項目の組合せが不定な入力データを記憶媒体から読み込み、
前記取引データ記憶部に記憶されている前記複数のデータ項目のうち、前記記憶媒体から読み込まれた前記データ項目を除いたデータ項目に対応する前記入力画面生成モジュールを呼び出すこと
を特徴とする自動取引受付装置の制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−108931(P2007−108931A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297782(P2005−297782)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】