説明

自動湯張り装置

【課題】浴槽の設置場所やその配管の状態等によらず混合湯が設定水位に達したことを正確に検知すること。
【解決手段】浴槽30に初めて湯張りを行うときに、エラー時間作成部70により浴槽30への混合湯の供給開始時から浴槽30内の水位が所定水位に達するまでの時間を測定し、この時間に対して所定時間だけ加算した湯張りのエラー検知時間を求め、次の湯張りからエラー検知時間を用いて浴槽30内に張られる混合湯の水位のエラーを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯タンク内で沸き上げられた湯と給水とを混合し、この混合湯を浴槽に供給する自動湯張り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は自動湯張り装置の概略構成図である。この自動湯張り装置は、給湯タンク1内のヒータ2への通電を制御して給湯タンク1内の水を沸き上げ動作し、この湯と給水とを電動ミキシングバルブ3を通して混合することにより所望温度の混合湯にし、この混合湯を大気開放弁4から配管5に送り、保温ヒータ6を通して浴槽7に供給するものとなっている。
なお、循環ポンプ8は、浴槽7内に張られた混合湯を配管9から配管5に循環させ、保温ヒータ6の加熱により設定温度に保つものである。このような湯張り装置では、浴槽7に張られた混合湯を設定温度通りにするために、電動ミキシングバルブ3を動作させる設定温度を補正することが行われている。
【0003】
この温度補正方法は、電動ミキシングバルブ3が設定温度に応じて湯と給水との各弁の開度を可変し、設定温度の混合湯を流出するものであるので、浴槽7に供給する混合湯の温度をサーミスタ10により検出し、この検出温度と設定温度との温度差を求め、この温度差を補正温度として電動ミキシングバルブ3に与える設定温度を随時補正している。
このような装置では、自動湯張り運転する場合、浴槽7内の混合湯の水位を水位センサ11により検出し、この水位が設定水位に到達したか否かを、自動湯張り開始からの経過時間を測定して判断し、かつ混合湯の水位が設定水位を越えたことを検知するためにエラー検知時間が設定されている。
【0004】
しかしながら、このエラー検知時間は、浴槽7を設置する場所やその配管の状態によらず、同じ時間に設定されている。ところが、浴槽7内の混合湯の水位が設定水位に到達するまでの時間は、家屋敷の建てられている場所や各種配管の状態、フイルター詰まり等により全て異なるものであり、同じエラー検知時間の設定であれば、混合湯が設定水位に達したことを正確に検知することができない。
【0005】
例えば、自動湯張り運転を行った後、足し湯をエラー検知時間の10分間行っても設定水位に到達しないときにエラーが発生したと判断するものであれば、家屋敷が例えば給水圧の低いところに建てられている場合では、浴槽7内の混合湯が設定水位になる前にエラー検知時間の10分間が経過し、エラー発生として検知してしまう。
又、家屋敷が給水圧の高いところに建てられている場合には、浴槽7内の混合湯が設定水位に到達していても、浴槽7内の混合湯が設定水位に達していないと判断し、エラーになるまで多量の混合湯を流して無駄にしてしまう。なお、水位センサ11の故障時や浴槽7の栓抜けのときも多量の混合湯を流して無駄にしてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように自動湯張り運転中に混合湯の水位が設定水位を越えたことを検知するためのエラー検知時間が浴槽7を設置する場所やその配管の状態によらず同じ時間に設定されているため、混合湯が設定水位に達したことを正確に検知することができない。
本発明の目的は、浴槽の設置場所やその配管の状態等によらず混合湯が設定水位に達したことを正確に検知できる自動湯張り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面に係る自動湯張り装置は、給湯タンク内で沸き上げられた湯と給水とを混合し、この混合湯を浴槽に供給する自動湯張り装置において、浴槽内に張られる混合湯の水位を検出する水位センサと、浴槽に初めて湯張りを行うときに、浴槽への混合湯の供給開始時から水位センサにより検出される浴槽内の水位が所定水位に達するまでの時間を測定し、この時間に対して所定時間だけ加算して湯張りのエラー検知時間を求めるエラー時間作成手段とを具備し、次の湯張りからエラー検知時間を用いて浴槽内に張られる混合湯の水位のエラーを検知する。
【0008】
本発明の第2の局面に係る自動湯張り装置は、給湯タンク内で沸き上げられた湯と給水とを混合し、この混合湯を浴槽に供給する自動湯張り装置において、浴槽内に張られる混合湯の水位を検出する水位センサと、浴槽内への湯張り中に、水位センサにより検出される水位変化の時間に対する関係を求める水位変化算出手段と、浴槽内に足し湯を行う場合、水位変化算出手段により求めた水位変化の時間に対する関係に基づいて所定水位に達するまでのエラー検知時間を求めるエラー時間作成手段とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴槽の設置場所やその配管の状態等によらず混合湯が設定水位に達したことを正確に検知できる自動湯張り装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は自動湯張り装置の構成図である。給湯装置本体20には、2本の給湯タンク21、22が配管により直列接続されて備えられている。これら給湯タンク21、22の底部には、それぞれヒータが配置されている。なお、これら給湯タンク21、22は、1本の給湯タンクを用いてもよい。
これら給湯タンク21、22のうち一方の給湯タンク21には、安心コック23、減圧弁24を通して給水が行われるようになっており、他方の給湯タンク22には、電動ミキシングバルブ25が接続されている。
【0011】
この電動ミキシングバルブ25は、上記の如く給湯タンク22と接続されるとともに、安心コック23を介して減圧弁24と接続され、給湯タンク22からの湯量と給水量とをそれぞれ調節し混合して、所望温度の混合湯を供給する機能を有している。なお、安心コック23は、断水などの異常時に例えば手動により開放して給湯タンク21、22内の湯を外部に放出させるためのものである。
又、この電動ミキシングバルブ25には、大気開放弁26及びこれに内蔵された給水電磁弁27が接続され、さらに2系統に分岐した各循環用配管28、29を介して浴槽30に接続されている。
【0012】
これら循環用配管28、29のうち一方の循環用配管28には、保温ヒータ31が配設されるととともに、水温センサとしてのサーミスタ32、リミッター33が設けられている。
又、他方の循環用配管29には、循環ポンプ34及び電動二方弁35が設けられるとともに、水位センサ36が配設されている。一方、本体PC板40は、プリント基板上にマイクロコンピュータや各電子部品を搭載したもので、給湯装置本体20内に設けられている。
この本体PC板40は、各給湯タンク21、22内の各ヒータへの通電制御を行って沸き上げ動作や電動ミキシングバルブ25を動作させて給湯の動作を行う機能を有するもので、この本体PC板40には、各リモコンケーブル41、42を介して浴室リモコン43、サブリモコン44が接続されている。
【0013】
これら浴室リモコン43及びサブリモコン44は、給湯タンク21、22内の沸き上げ動作の操作設定などを行うものとなっており、このうち浴室リモコン43は浴室に設けられ、サブリモコン44はユーザの所望する部屋、例えばキッチンルームに設けられる。
【0014】
浴室リモコン43は、マイクロコンピュータを搭載し、各種スイッチ例えば自動湯張りスイッチ、湯温調節スイッチ、湯量調節スイッチ、高温差し湯スイッチ、足し湯スイッチ等の操作内容を本体PC板40に送信するとともに、本体PC板40との間で交信し、液晶表示器に湯量表示、湯温表示、自動湯張り表示、高温差し湯表示、足し湯表示、保温中表示、湯張り中表示を行う機能を有している。
【0015】
サブリモコン44は、マイクロコンピュータを搭載し、各種スイッチ例えば切替ボタン、湯温調節ボタン、湯増し設定ボタン、自動湯張り/保温ボタン、時計設定ボタン、運転ボタンの操作内容を本体PC板40に送信するとともに、本体PC板40との間で交信し、液晶表示器に湯切表示、自動湯張り表示、設定温度表示、残湯量表示、通電中表示、湯増し設定表示、残湯温度表示、通電開始表示、電源表示、運転表示、停止表示を行う機能を有している。
【0016】
本体PC板40は、マイクロコンピュータの動作により給湯制御部45、ミキシング補正部46及び浴槽補正部47の各機能を有している。給湯制御部45は、自動湯張り運転や自動保温運転、自動足し湯運転などの動作制御を行う。例えば自動湯張り運転は、電動ミキシングバルブ25を浴室又はサブリモコン43、44で予め設定された温度に湯の温度に調節し、大気開放弁26に内蔵された給水電磁弁27を開放して保温ヒータ31を経由し、給湯タンク21、22内の湯を浴槽30に供給し、このとき電動二方弁35を開放して水位センサ36で浴槽30内の圧力変化を測定し、予め設定された水位まで給湯を継続し、設定水位に達したら給湯を停止するものである。
【0017】
この自動湯張り運転は、自動湯張り運転が終了した後、電動二方弁35を開放して循環ポンプ34を運転開始し、この循環ポンプ34の運転によって湯張り直後の浴槽30内の湯温をサーミスタ32により測定し、設定温度に対しての温度差を確認し、温度差が大きい場合には、翌日の湯張り温度を自動的に補正して設定温度に近付けるべく制御する機能も有している。
【0018】
自動保温運転は、一定時間例えば10分ごとに浴槽30の湯温をサーミスタ32により測定し、設定温度以下になっている場合には保温ヒータ31に通電を行って、浴槽30の湯水を設定温度に保温するものである。
自動足し湯運転は、水位センサ36により浴槽30の水位をチェックし、浴槽30の水位が設定水位よりも低下した場合に、大気開放弁26に内蔵された給水電磁弁27を開放し、電動ミキシングバルブ25により設定温度に保たれた湯を設定水位まで浴槽30に足し湯するものである。
ミキシング補正部46は、サーミスタ32の検出温度と浴室リモコン43又はサブリモコン44に設定された設定温度との差に基づいて電動ミキシングバルブ25でのミキシング動作を随時補正する機能を有している。
【0019】
浴槽補正部47は、浴槽30への湯張り完了後、浴槽30に張られた混合湯の温度をサーミスタ32により検出し、この検出温度とミキシング補正部46により補正された設定温度との差に基づいてミキシング補正部46により補正された設定温度をさらに補正する機能を有している。この場合、浴槽補正部47は、浴槽30に張られた混合湯を循環ポンプ34の駆動により各循環用配管29、28間に循環させ、これら循環用配管29、28に流れる混合湯の温度をサーミスタ32で検出するものとなっている。
【0020】
次に上記の如く構成された装置の作用について図2に示す自動湯張り補正フローチャートに従って説明する。
例えばサブリモコン44において設定温度が設定されるとともに自動湯張りのボタンが操作されると、給湯制御部45は、先ずステップ#10において電動ミキシングバルブ25を調節可能な最高温度に応じた開度に調節し、給水電磁弁27を開放して最高温度の混合湯を循環用配管28を通して浴槽30に供給する。
この最高温度の混合湯の供給は、ステップ#11の判断により例えば3分間行われ、これにより循環用配管28は暖められる。このように最高温度の混合湯を供給するのは、浴槽30に供給される混合湯の温度が循環用配管28等の温度特性により、高温から低温に下がったときと、低温から高温に上がったときとで異なった値を示すため、最終的に浴槽30に張られる混合湯の温度がばらつくことになる。
【0021】
従って、循環用配管28等の同じ温度特性を用いて湯張りを行うために、一旦最高温度の混合湯を供給し、この後に設定温度の混合湯を供給している。次に、ミキシング補正部46は、ステップ#12において、電動ミキシングバルブ25をサブリモコン44にて設定された設定温度に応じた開度に調節し、湯タンク21、22からの湯と給水とを混合し、その混合湯を循環用配管28を通して浴槽30に供給する。
なお、電動ミキシングバルブ25には、サブリモコン44での設定温度をSTMP、浴槽30の温水温度(以下、風呂温度と称する)をRvTMP、電動ミキシングバルブ25に対する誤差(以下、ミキシング補正と称する:実際にはミキシングバルブ誤差や各種条件により補正値となっている)をRvMIXとすると、
STMP+RvTMP+RvMIX …(1)
の温度が設定される。
【0022】
次に、ミキシング補正部46は、ステップ#13の判断で湯張り中であれば、次のステップ#14に移って随時補正、例えば30〜60秒毎に補正するタイミングであるかを判断し、そのタイミングであれば、ステップ#15に移ってサーミスタ32の検出温度とサブリモコン44に設定された設定温度との温度差Xaを求め、この温度差Xaが所定の範囲内かを判断する。
【0023】
すなわち、ミキシング補正部46は、温度差Xaを、サーミスタ32の検出温度をNTMPとして、
X=(STMP+RvTMP)−NTMP …(2)
を演算して求め、温度差Xaが所定の範囲例えば
0.4℃≧Xa≧−0.4℃
の範囲内であるかを判断する。
【0024】
この判断の結果、温度差Xaが所定の範囲内にあれば、ミキシング補正部46は、再びステップ#12に戻って電動ミキシングバルブ25を駆動するが、温度差Xaが所定の範囲内になければ、ステップ#16に移って電動ミキシングバルブ25のミキシング補正RvMIXを補正する。
このミキシング補正RvMIXは、
RvMIX=RvMIX+X …(3)
を演算して求められる。
【0025】
そして、ミキシング補正部46は、ステップ#12に戻って上記式(1)のミキシング補正RvMIXを補正し、この補正された設定温度に応じた開度に電動ミキシングバルブ25を調節し、湯タンク21、22からの湯と給水とを混合した混合湯を循環用配管28を通して浴槽30に供給する。
このように自動湯張り中は、随時ミキシング補正RvMIXを補正し、電動ミキシングバルブ25によるバラツキが補正される。
【0026】
この後、自動湯張りが終了すると、浴槽補正部47は、ステップ#13から#17に移り、循環ポンプ34を例えば3分間だけ駆動して各循環用配管29、28間に浴槽30に張られた混合湯を循環させ、これら循環用配管29、28に流れる混合湯の温度をサーミスタ32で検出する。
次に、浴槽補正部47は、ステップ#18において、サーミスタ32の検出温度とサブリモコン44に設定された設定温度との温度差Xbを求め、この温度差Xbが所定の範囲内かを判断する。
すなわち、浴槽補正部47は、温度差Xbを、
Xb=STMP−NTMP …(4)
を演算して求め、温度差Xbが所定の範囲例えば
0.3℃≧Xb≧−0.3℃
の範囲内であるかを判断する。
【0027】
この判断の結果、温度差Xbが所定の範囲内にあれば、浴槽補正部47は、電動ミキシングバルブ25に与える温度に対する補正は行わないが、温度差Xbが所定の範囲内になければ、ステップ#19に移って循環用配管28や季節により異なる浴槽30での熱ロス等により生じる温度のばらつきを補正するための浴槽補正(以下、風呂補正と称する)RvTMPを求める。
【0028】
この風呂補正RvTMPは、
RvTMP=RvTMP+Xb …(5)
を演算して求められる。
従って、次回の自動湯張り運転では、風呂補正RvTMPを行った上記式(1)の設定温度で電動ミキシングバルブ25を駆動し、浴槽30内に混合湯を張ることになる。
【0029】
このように上記第1の実施の形態においては、浴槽30に張られた混合湯の検出温度と設定温度との差に基づいて電動ミキシングバルブ25でのミキシング動作を随時補正し、浴槽30への湯張り完了後、浴槽30に張られた混合湯の検出温度とミキシング補正された設定温度との差に基づいてミキシング補正された設定温度をさらに補正するようにしたので、電動ミキシングバルブ3のばらつきを吸収して常に一定温度の混合湯を浴槽7に供給でき、そのうえ配管5や季節により異なる浴槽7での熱ロス等による温度のばらつきについても補正できる。
【0030】
従って、2回目以降の自動湯張り運転では、上記の通り配管5や季節により異なる浴槽7での熱ロス等による温度のばらつきを補正できるので、設定温度に対して格段に高い精度で温度の混合湯を浴槽30に張ることができ、たとえ設定温度が変更されても1度の湯張りで精度高い温度の混合湯を浴槽30に張ることができる。
なお、上記第1の実施の形態において、サーミスタ32は、循環用配管28における浴槽30側に配置すればより浴槽30に供給する混合湯の温度の制御を高めることができる。
【0031】
次に本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図3は自動湯張り装置の構成図である。本体PC板40には、水位センサ36により検出された浴槽30内の水位が所定水位以下で、かつサーミスタ32により検出された浴槽30内の混合湯の水温が浴室リモコン43又はサブリモコン44に設定された設定温度以下であれば、給湯タンク21、22内で沸き上げられた湯、例えば60℃に調節した設定温度以上の湯を浴槽30に供給する機能を有する足し湯部50が備えられている。
【0032】
次に上記の如く構成された装置の作用について図4に示す自動足し湯フローチャートに従って説明する。
自動湯張り運転が終了し、浴槽30内に混合湯が供給されると、本体PC板40は、ステップ#20において循環ポンプ34を駆動して浴槽20の混合湯を各循環用配管29、28に循環させ、このときに混合湯の温度をサーミスタ32により検出し、この検出温度(風呂温度)NTMPと設定温度STMPとを比較する。
この比較の結果、風呂温度NTMPが設定温度STMPよりも低くければ、本体PC板40は、ステップ#21に移って保温運転中の水位監視中であるかを判断し、この水位監視中であれば、水位センサ36からの水位信号を受けて浴槽30内の現在の水位NLEVを測定する。
そして、本体PC板40は、ステップ#22に移って浴槽30内の現在水位NLEVと設定水位SLEVとを比較し、この比較の結果、現在水位NLEVが設定水位SLEVよりも低ければ、ステップ#23に移って足し湯部50を作動させる。
【0033】
すなわち、風呂温度NTMPが設定温度STMPよりも低く、かつ現在水位NLEVが設定水位SLEVよりも低い状態であるので、足し湯部50は、電動ミキシングバルブ25を例えば設定温度に応じてより高い60℃となるように調整し、かつ給水電磁弁27を開放し、給湯タンク21、22内で沸き上げられた湯と給水とを混合して60℃の混合湯を浴槽30に足し湯する。
【0034】
この足し湯は、60℃の混合湯を浴槽30に足し湯するに限らず、風呂温度NTMPと設定温度STMPとの差と、水位センサ36の水位信号を本体PC板40でA/D変換して取り込むときのA/D値の上昇予定数値により何度の混合湯を足し湯すればよいかを本体PC板40により求めるようにしてもよい。
例えば、図5に示すように浴槽30内の風呂温度NTMPが41℃、設定温度STMPが42℃で、現在水位NLEVが例えば10(d)、足し湯による上昇水位が1(d)であれば、これら現在水位NLEV10(d)と足し湯による上昇水位1(d)との比により、足し湯の温度K℃は、
{41℃×10(d)+K℃×1(d)}/(10+1)=42℃
から
K℃=52℃
になる。
【0035】
又、この計算値の温度が高すぎる場合は、足し湯の上限温度を設けて回避するようにすればよい。仮に、浴槽30内の150リットル(41℃)の混合湯に、15リットル(42℃)の足し湯を行うと、浴槽30内の混合湯は、41.1℃の湯温になる。このため、42℃との温度差0.9℃を保温ヒータ31で加熱すると、この保温ヒータ31で0.17kw/hのエネルギーが必要になるとともに、循環ポンプ34を駆動する動作エネルギーが必要になる。
【0036】
従って、例えば高温60℃の混合湯を浴槽30に足し湯したり、計算により求めた温度の差し湯をすれば、消費電力量を少なくでき、かつ保温ヒータ31で加熱する時間も省略できる。
この足し湯中、本体PC板40は、ステップ#24において足し湯により増加する浴槽30内の現在水位NLEVと設定水位SLEVとを比較し、現在水位NLEVが設定水位SLEVに達すると、ステップ#20に戻る。
【0037】
なお、上記ステップ#22における浴槽30内の現在水位NLEVと設定水位SLEVとの比較の結果、現在水位NLEVが設定水位SLEVに達すれば、本体PC板40は、ステップ#25に移り、浴槽30内の水位の監視時間終了であるかを判断し、この監視時間終了であればステップ#26において保温運転中の水位監視を終了する。
【0038】
一方、上記ステップ#21における保温運転中で水位監視中であるかの判断の結果、水位監視中でなければ、本体PC板40は、ステップ#27に移り、循環ポンプ34を駆動して浴槽20の混合湯を各循環用配管29、28に循環させ、このときサーミスタ32の検出温度NTMPと設定温度STMPとを比較する。
この比較の結果、検出温度NTMPが設定温度STMPよりも高ければ、本体PC板40は、ステップ#28に移って浴槽30内の水温の検知時間が終了したかを判断し、又、検出温度NTMPが設定温度STMPよりも低ければ、ステップ#29に移って給湯タンク21、22の各ヒータへの通電を例えば10分間連続して行い、続くステップ#30で保温運転中の水位監視をセットし、ステップ#31で給湯タンク21、22の各ヒータへの通電を遮断する。なお、上記ステップ#29での判断で各ヒータへの通電が例えば10分間経過していれば、本体PC板40は、ステップ#32に移ってヒータへの通電を遮断する。
【0039】
一方、上記ステップ#20において検出温度NTMPと設定温度STMPとの比較の結果、検出温度NTMPが設定温度STMPよりも高ければ、本体PC板40は、ステップ#33に移って浴槽30内の現在水位NLEVと設定水位SLEVとを比較し、この比較の結果、現在水位NLEVが設定水位SLEVよりも低ければ、ステップ#34に移って設定温度で電動ミキシングバルブ25を駆動し、設定温度の混合湯を浴槽30に足し湯する。
そして、本体PC板40は、ステップ#35において足し湯により増加する浴槽30内の現在水位NLEVと設定水位SLEVとを比較し、現在水位NLEVが設定水位SLEVに達すると、ステップ#36に移って水位監視時間が終了したかを判断し、水位監視時間が終了するとステップ#36に移って自動足し湯を終了する。
【0040】
このように上記第2の実施の形態においては、浴槽30内の水位が所定水位以下で、かつ浴槽30内の混合湯の水温が設定温度以下であれば、給湯タンク21、22内で沸き上げられた湯、例えば60℃の混合湯を浴槽30に供給するので、足し湯しても混合湯の温度を設定温度に保つことがき、自動足し湯運転の後に保温ヒータ31を用いて保温運転を行う必要がなく、速く設定温度にすることができ、そのうえ保温ヒータ31に通電する必要がないので消費電力量を減少できる。
【0041】
なお、この第2の実施の形態は、上記の如く自動の足し湯に限らず、手動の足し湯に適用しても同様な効果が得られる。この場合、手動足し湯は、時間で制御することが多いので、予め一定時間でどれだけ水位センサ36のA/D値が変化するかを記憶すればよい。
【0042】
次に本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図6は自動湯張り装置の構成図である。本体PC板40には、自動湯張り運転ととともに、例えば浴室リモコン43の高温差し湯スイッチが操作されて高温差し湯の設定がある場合、電動ミキシングバルブ25を設定温度に対して所定温度だけ高めた温度で動作させて混合湯を浴槽30に供給する高温差し湯部60が備えられている。
本体PC板40は、湯張りを完了した後、電動ミキシングバルブ25を設定温度で動作させて浴槽30内の混合湯に高温足し湯を行う機能を有している。
【0043】
次に上記の如く構成された装置の作用について図7に示す高温差し湯フローチャートに従って説明する。
自動湯張り運転中又は自動湯張り運転の設定とともに、浴室リモコン43に設けてある高温差し湯スイッチが操作されると、高温差し湯部60は、ステップ#40において高温差し湯の設定がなされたことを判断し、次のステップ#41に移って電動ミキシングバルブ25を例えば浴室リモコン43で設定された設定温度に対して所定温度αだけ高めた温度で動作させる。
これにより、電動ミキシングバルブ25からは、設定温度+αの温度の混合湯が循環用配管28を通って浴槽30に供給されるという自動湯張り運転が行われる。
【0044】
図8はこのときの浴槽30内に張られつつある混合湯の温度変化及び保温ヒータ31への通電タイミングを示す。混合湯の温度の低下は少なく、かつ保温ヒータ31への通電時間も少ないことが分かる。
これに対して図9に示すように電動ミキシングバルブ25から設定温度の混合湯を供給した場合には、混合湯の温度の変化が激しく、かつ保温ヒータ31への通電時間も頻繁に行われていることが分かる。
【0045】
このような設定温度+αの温度の混合湯の供給は、高温差し湯スイッチが操作された当日、又はその1回のみの運転となる。そして、このように自動湯張り運転が行われ、水位センサ36により検出される浴槽30内の水位が設定水位に達すると、自動湯張り運転は終了する。
なお、自動湯張り運転中に高温差し湯スイッチが操作されなければ、上記ステップ#40から#43に移り、給湯制御部45は、電動ミキシングバルブ25を浴室リモコン43で設定された設定温度で動作させる。
【0046】
このように上記第3の実施の形態においては、自動湯張り運転ととともに高温差し湯スイッチが操作されると、電動ミキシングバルブ25を設定温度に対して所定温度αだけ高めた温度で動作させて混合湯を浴槽30に供給するので、自動湯張り運転を終了した後に高温の差し湯をした場合のように浴槽30の内の混合湯に温度むらができず、図10に示すように浴槽30の内の混合湯は、一様な温度にできる。
これにより、自動湯張り運転の終了後に少しだけ高い温度の混合湯を望む場合、自動湯張り運転中に高温差し湯スイッチを操作するだけでよく、従来のように設定温度を高くして湯張りを行い、自動湯張り運転の終了後に設定温度を下げるような面倒な操作をする必要がない。
【0047】
又、湯張り後、直ぐに入浴しない場合でも、設定温度+αの湯温で湯張りするので、風呂温度が設定温度まで低下するのに時間がかかることになり、これにより保温ヒータ31を通電して保温運転するタイミングを遅らせることができ、節電の効果がある。
【0048】
次に本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図11は自動湯張り装置の構成図である。本体PC板40には、浴槽30に初めて湯張りを行うときに、浴槽30への混合湯の供給開始時から水位センサ36により検出される浴槽30内の水位が所定水位に達するまでの時間を測定し、この時間に対して所定時間だけ加算して湯張りのエラー検知時間を求める機能のエラー時間作成部70が備えられている。
【0049】
又、本体PC板40は、エラー時間作成部70によりエラー検知時間を求めた後、次の湯張りからエラー検知時間を用いて浴槽30内に張られる混合湯の水位のエラーを検知する機能を有している。
このように浴槽30に初めて湯張りを行うときに、浴槽30への混合湯の供給開始時から浴槽30内の水位が所定水位に達するまでの時間を測定し、この時間に対して所定時間だけ加算した湯張りのエラー検知時間を求めておけば、それ以降の自動湯張り運転において、浴槽30の設置場所やその配管の状態等によらず混合湯が設定水位に達したことを正確に検知でき、かつその浴槽30内に張られる混合湯の水位の無用なエラーを検知をなくすことができる。
【0050】
家屋敷が例えば給水圧の低いところに建てられている場合や給水圧の高いところに建てられている場合でも、この家屋敷の建てられた場所に応じた湯張りのエラー検知時間を求めることができ、例えばエラーになるまで多量の混合湯を流して浴槽30から溢れるなどのように無駄にしてしまうことはなくなる。
又、水位センサ11の故障時や浴槽7の栓抜けのときにも多量の混合湯を流して浴槽30から溢れるなどのように無駄にすることが少なくできる。
【0051】
次に本発明の第5の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は自動湯張り装置の構成図である。本体PC板40には、水位変化算出部71及びエラー時間作成部72の各機能が備えられている。
このうち水位変化算出部71は、浴槽30内への湯張り中に、水位センサ36により検出される水位変化の時間に対する関係を求める機能を有している。エラー時間作成部72は、浴槽30内に足し湯を行う場合、水位変化算出部71により求めた水位変化の時間に対する関係に基づいて所定水位に達するまでのエラー検知時間を求める機能を有している。
【0052】
このような構成であれば、自動湯張り運転中などの湯張り中に、水位変化算出部71は、水位センサ36が出力される水位信号を入力し、この水位信号から浴槽30に張られている混合湯の水位を求め、さらにこの水位変化の時間に対する関係を求める。
そして、浴槽30内に足し湯を行う場合、エラー時間作成部72は、浴槽30内に足し湯を行っているときに、水位センサ36が出力される水位信号から浴槽30に張られている混合湯の水位変化を求め、この混合湯の水位変化と先に水位変化算出部71により求めた水位変化の時間に対する関係とに基づいて所定水位に達するまでのエラー検知時間を求める。
【0053】
そして、本体PC板40は、エラー時間作成部72により求められたエラー検知時間を用いて足し湯の水位のエラーを検知する。
このように上記第5の実施の形態においては、浴槽30内への湯張り中に、水位センサ36により検出される水位変化の時間に対する関係を求め、浴槽30内に足し湯を行う場合に、先に求めた水位変化の時間に対する関係に基づいて所定水位に達するまでのエラー検知時間を求めるので、浴槽30内に足し湯を行う場合でも、この足し湯に対する正確な湯張りのエラー検知時間を求めることができ、浴槽30の設置場所やその配管の状態等によらず混合湯が設定水位に達したことを正確に検知でき、かつその浴槽30内に張られる混合湯の水位の無用なエラーの検知をなくすことができる。
【0054】
又、上記第4の実施の形態と同様に、家屋敷が例えば給水圧の低いところに建てられている場合や給水圧の高いところに建てられている場合でも、この家屋敷の建てられた場所に応じた湯張りのエラー検知時間を求めることができ、例えばエラーになるまで多量の混合湯を流して無駄にしてしまうことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係わる自動湯張り装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置における自動湯張り補正フローチャート。
【図3】本発明に係わる自動湯張り装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図4】同装置における自動足し湯フローチャート。
【図5】足し湯の湯温の算出例を説明するための図。
【図6】本発明に係わる自動湯張り装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図7】同装置における高温差し湯フローチャート。
【図8】同装置による浴槽内の混合湯の温度変化及び保温ヒータへの通電タイミングを示す図。
【図9】従来装置での浴槽内の混合湯の温度変化及び保温ヒータへの通電タイミングを示す図。
【図10】同装置により得られる浴槽内の一様な温度の混合湯を示す模式図。
【図11】本発明に係わる自動湯張り装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図12】本発明に係わる自動湯張り装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【図13】従来の自動湯張り装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0056】
20:給湯装置本体、21,22:給湯タンク、25:電動ミキシングバルブ、30:浴槽、31:保温ヒータ、34:循環ポンプ、40:本体PC板、43:浴室リモコン、44:サブリモコン、45:給湯制御部、46:ミキシング補正部、47:浴槽補正部、50:足し湯部、60:高温差し湯部、70:エラー時間作成部、71:水位変化算出部、72:エラー時間作成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯タンク内で沸き上げられた湯と給水とを混合し、この混合湯を浴槽に供給する自動湯張り装置において、
前記浴槽内に張られる前記混合湯の水位を検出する水位センサと、
前記浴槽に初めて湯張りを行うときに、前記浴槽への前記混合湯の供給開始時から前記水位センサにより検出される前記浴槽内の水位が所定水位に達するまでの時間を測定し、この時間に対して所定時間だけ加算して湯張りのエラー検知時間を求めるエラー時間作成手段とを具備し、
次の湯張りから前記エラー検知時間を用いて前記浴槽内に張られる前記混合湯の水位のエラーを検知することを特徴とする自動湯張り装置。
【請求項2】
給湯タンク内で沸き上げられた湯と給水とを混合し、この混合湯を浴槽に供給する自動湯張り装置において、
前記浴槽内に張られる前記混合湯の水位を検出する水位センサと、前記浴槽内への湯張り中に、前記水位センサにより検出される水位変化の時間に対する関係を求める水位変化算出手段と、
前記浴槽内に足し湯を行う場合、前記水位変化算出手段により求めた水位変化の時間に対する関係に基づいて所定水位に達するまでのエラー検知時間を求めるエラー時間作成手段と、
を具備したことを特徴とする自動湯張り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−153451(P2006−153451A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65761(P2006−65761)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【分割の表示】特願平9−263964の分割
【原出願日】平成9年9月29日(1997.9.29)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】