説明

自動薬剤供給装置

【課題】構造の簡素化を図り、小型化、低コスト化することができる自動薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】ボックス載置部43は、ボックスの被係合部に係脱可能なフックユニット53と、フックユニット53をボックスの出し入れ方向に沿ってスライド移動させる電動モータ71と、収納部、および薬剤ピッキング部から引き出したボックスを載置するガイド74とを備え、フックユニット53は、ボックスの出し入れ方向と交差する旋回軸57を中心に旋回可能に設けられ、ボックスの被係合部と係合可能な爪部47と、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47を旋回させる旋回機構70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種薬剤を種類ごとにボックスに入れ、それらのボックスを収納するとともに、患者の処方箋に沿ってボックスを自動的に取り出し、薬剤を必要分量だけ取り出した後、再度ボックスを所定の位置に収納する自動薬剤供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、薬剤が収容されているボックスを縦横に複数配列するとともに、鉛直方向に移動自在に配置されたボックス収納部と、このボックス収納部に配置されているボックスを抽出してセットできるボックス選別部と、ボックス収納部における鉛直方向に一列ごと移動させたボックスのうち、選別されたボックスを抽出してボックス選別部方向に搬送するボックス搬送手段と、ボックス選別部のボックス載置部にボックスを載置するとともに、ボックス載置部に載置されているボックスを鉛直方向に移動させるボックス移動手段と、を備えた自動薬剤供給装置が開示されている。
ここで、ボックス搬送手段は、1行に配列されているボックスに沿った方向に動く搬送体で形成され、この搬送体が1行に配列されているボックスのうち、任意の1個を選択して取り出し、ボックス選別部方向に搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1には、搬送体のボックスを取り出す構造が何ら開示されていない。ここで、搬送体がボックスを取り出す構造を考えると、搬送体をボックス側に向かって移動させる動作と、搬送体がボックスを把持する動作の2つの動作が必要であると考えられる。この場合、それぞれの動作を別駆動で行うことが考えられるが、別駆動にする分装置の構造や制御が複雑化し、装置が大型化すると共に製造コストが嵩むという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化を図り、小型化、低コスト化することができる自動薬剤供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る自動薬剤供給装置は、薬剤を収納するボックスを複数配列可能に構成されている収納部、および前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤ピッキング部から前記ボックスを所望の位置に移動させるボックス移動機構を備え、このボックス移動機構に、前記収納部、および前記薬剤ピッキング部から前記ボックスを出し入れするためのボックス載置部を設けた自動薬剤供給装置であって、前記ボックス載置部は、前記ボックスの被係合部に係脱可能なフックユニットと、前記フックユニットを前記ボックスの出し入れ方向に沿ってスライド移動させる駆動部と、前記収納部、および前記薬剤ピッキング部から引き出した前記ボックスを載置する載置台とを備え、前記フックユニットは、前記ボックスの出し入れ方向と交差する旋回軸を中心に旋回可能に設けられ、前記ボックスの被係合部と係合可能な爪部と、前記フックユニットのスライド移動に連動して前記爪部を旋回させる旋回機構とを備えていることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、フックユニットのスライド移動に連動して爪部がボックスの被係合部に対して係脱動作を行うので、1つの動作で収納部、および薬剤ピッキング部からボックスを引き出すことができる。このため、ボックス載置部に、フックユニットをスライド移動させるために駆動部を1つ設けるだけでよく、この分自動薬剤供給装置の構造を簡素化できる。よって、自動薬剤供給装置の小型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【0009】
また、前記旋回機構は、前記フックユニットが前記ボックス側端から前記ボックスを引き出す方向に向かってスライド移動するときに、前記爪部を前記ボックスの被係合部に向かって旋回動作させるように構成され、前記爪部の先端部には、前記旋回軸とは反対側の面に前記ボックスとの衝突を回避するための面取り部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、爪部の旋回中心がボックスの引き出し方向に向かってずれながら爪部が旋回する。つまり、爪部の旋回終了時点の旋回中心を旋回開始時点の旋回中心よりもボックスから離反した位置にずらすことができる。これに加え、爪部の先端部に面取り部を形成するので、爪部のボックスに対する衝突を確実に防止することができる。
このため、ボックスを出し入れする際、収納部や薬剤ピッキング部からのボックスの脱落を確実に防止できる。また、ボックスの被係合部の懐を小さく設定することができ、ボックスの材料コストを低減することが可能になる。
【0011】
また、前記爪部を、この先端部が重力方向下方に位置する垂下がり状態から前記先端部が重力方向上方に向かって持ち上がる持ち上がり状態に至るまで前記旋回軸を中心にして旋回するように設けると共に、前記持ち上がり状態で前記ボックスの被係合部と係合するように設け、前記持ち上がり状態における前記爪部の位置を、前記ボックスの被係合部の位置よりも高く設定したことを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、フックユニットの爪部とボックスの被係合部とが係合した際、ボックスの被係合部側を持ち上げた状態にすることができる。すなわち、例えば、収納部にボックスを載置するトレイを設け、このトレイの周縁にボックスの脱落を防止するための壁を立ち上がり形成した場合、この壁を乗り越えるようにしてボックスを引き出すことができる。このため、例えば、外部からの振動等により、収納部からボックスがずれ落ちるのを確実に防止でき、信頼性の高い自動薬剤供給装置を提供することが可能になる。
【0013】
また、前記ボックス移動機構により前記ボックス載置部を移動させる際、前記フックユニットが前記ボックス側端に位置するように設定されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、ボックス移動機構によりボックス載置部を移動させる際、フックユニットをその都度スライド移動させるような煩わしい動作がなくなり、作業時間を短くすることができる。
【0015】
また、前記旋回機構は、前記旋回軸と共回りするピニオンギアと、前記ピニオンギアに噛合うラックと、前記ラックに固定されたカムフォロアと、前記フックユニットのスライド移動方向に沿って延在し、前記カムフォロアを案内するガイドレールとを有し、前記ガイドレールは、前記フックユニットのスライド移動に伴って、前記カムフォロアを前記ラックの延在方向に沿って変位させるように形成されていることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、簡素な構造の旋回機構を実現することができる。このため、より確実に自動薬剤供給装置の小型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動薬剤供給装置によれば、フックユニットのスライド移動に連動して爪部がボックスの被係合部に対して係脱動作を行うので、1つの動作で収納部、および薬剤ピッキング部からボックスを引き出すことができる。このため、ボックス載置部に、フックユニットをスライド移動させるために駆動部を1つ設けるだけでよく、この分自動薬剤供給装置の構造を簡素化できる。よって、自動薬剤供給装置の小型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置の斜視図であり、カバーを開状態にするとともに、収納部を回動させた状態を示したものである。
【図4】図3の状態の上面図である。
【図5】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図6】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図7】本発明の実施形態におけるボックス移動機構の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態におけるボックス載置部の斜視図であり、(a)はフックユニットが前端に位置している状態を示し、(b)はフックユニットが後端に位置している状態を示す。
【図9】図8(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明の実施形態における自動薬剤供給装置を用いた薬剤供給システムを示す構成図である。
【図11】本発明の実施形態におけるボックス載置部の動作説明図であり、(a)〜(d)はボックスを引き出す手順を示す。
【図12】本発明の実施形態における爪部本体の旋回軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(自動供給装置)
次に、本発明に係る自動薬剤供給装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、自動薬剤供給装置10の正面図、図2、図3は、自動薬剤供給装置10の斜視図である。
図1〜図3に示すように、自動薬剤供給装置10は、薬剤が収納されるボックス21(図5、図6参照)が複数配列される収納部23およびボックス21を移動させるボックス移動機構25が配設された本体部11と、処方箋などにより選別された薬剤が収納されているボックス21から該薬剤を所定分量取り出すための薬剤ピッキング部13と、患者の処方箋情報などを表示しタッチパネル機能を有するモニタ15と、患者の氏名および処方箋情報などを印字可能なプリンタ17と、ボックス21から取り出した薬剤を収納するトレイ(不図示)を載置するトレイ載置台19と、を備えている。
【0020】
また、収納部23の前面には、開閉可能な扉状のカバー31が設けられている。さらに、カバー31には施錠部材33が設けられており、鍵によりカバー31を施錠することができるようになっている。つまり、通常はカバー31を施錠しておくことにより、薬剤が収納されたボックス21を取り出すことができないようになっている。したがって、ボックス21の位置が移動するのを防止することができる。
【0021】
なお、本実施形態では、薬剤ピッキング部13およびモニタ15が正面視で略中央部に配されており、その両側に収納部23が配されるように構成されている。このように薬剤ピッキング部13を正面視略中央部に配することにより、ボックス移動機構25の移動距離を最短にすることができ、ボックス移動機構25の長寿命化を図ることができる。
【0022】
また、薬剤ピッキング部13には、2個のボックス21を載置することができるようになっている。ボックス21が載置される箇所の上面にはボックス21の開口部を覆うように開閉カバー14がそれぞれ設けられている。この開閉カバー14はいずれか一方のみを開状態にすることができる。つまり、薬剤ピッキング部13に2個のボックス21が載置されていても、いずれか一方の開閉カバー14しか開けられないため、薬剤を誤って処方するのを防止することができるようになっている。
【0023】
また、薬剤ピッキング部13には、例えば載置されたボックス21の底面に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ165と薬剤に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダ166が設けられている。
薬剤ピッキング部13にバーコードリーダ165を設けることにより、ボックス移動機構25により運ばれてきたボックス21に収容されている薬剤が処方する薬剤と一致しているか否かを判定することができる。
したがって、万一収納部23におけるボックス21の位置が移動してしまったときにも種類の異なる薬剤を誤って処方してしまうのを防止することができる。なお、ボックス21に付すものはバーコードリーダ166でなくICチップなどでもよく、この場合は、バーコードリーダ166の代わりにICリーダを薬剤ピッキング部13に設ける。
【0024】
さらに、モニタ15の下部には、照明器具16が配設されており、薬剤ピッキング部13およびトレイ載置台19を照射できるように構成されている。
【0025】
図4は、図3の状態の上面図である。
図3、図4に示すように、カバー31は観音開きの扉で構成されている。また、カバー31と本体部11とが接触する本体部11側には、カバー31の開閉状態を検知する開閉確認センサー35が設けられている。この開閉確認センサー35は、ボックス移動機構25とのインターロック機構に利用されており、開閉確認センサー35によりカバー31が開状態と判定された場合には、ボックス移動機構25の駆動を停止するように構成されている。
【0026】
また、収納部23は本体部11の鉛直方向に沿って設けられた支柱27を中心に回動可能に構成されている。本実施形態では、支柱27の両側に収納部23が配設されており、各収納部23は支柱27を中心に平面視で約180°回動可能に構成されている。このように構成することにより、収納部23の装置背面側に配されたボックス移動機構25のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0027】
図5は、図1のA−A線に沿う断面図、図6は、図1のB−B線に沿う断面図である。なお、図5、図6は収納部23の表示を省略している。
図3、図5、図6に示すように、収納部23には、ボックス21を載置可能な載置トレイ24が複数段設けられており、この載置トレイ24上に薬剤を収納するボックス21が縦横に複数配列されている。また、収納部23を本体部11内に納めた状態で、ボックス21が全て装置手前側に配されている。
つまり、カバー31を開けると、全てのボックス21が視認でき、例えばボックス移動機構25が故障した場合であっても容易に所望の薬剤が収納されたボックス21を取り出すことができる。
【0028】
ここで、収納部23に配されるボックス21の装置奥行方向の位置と、薬剤ピッキング部13に配されるボックス21の装置奥行方向の位置とは略同一の位置になるように配置構成されている。また、収納部23の装置背面側にはボックス21を移動するためのボックス移動機構25が配設されている。
このように構成することにより、ボックス移動機構25における収納部23からボックス21を出し入れする機構および薬剤ピッキング部13からボックス21を出し入れする機構を略同一の機構で構成することができる。したがって、ボックス移動機構25の構成を簡素化することができる。
【0029】
(ボックス移動機構)
図7は、ボックス移動機構25の斜視図である。
同図に示すように、ボックス移動機構25は、ボックス21を鉛直方向に移動させる鉛直軸移動機構41と、ボックス21を水平方向に移動させる水平軸移動機構42と、収納部23や薬剤ピッキング部13からボックス21を引き出し、この引き出されたボックス21を載置可能なボックス載置部43と、を備えている。なお、鉛直軸移動機構41および水平軸移動機構42は、例えばモータにより駆動して、ベルトを回転させることによりボックス載置部43を所望の方向(鉛直方向および水平方向)へと移動させることができる。
【0030】
また、ボックス載置部43は鉛直方向に配された移動軸45に支持されており、移動軸45に沿ってボックス載置部43が移動することによりボックス21は鉛直方向に移動し、移動軸45が水平方向に移動することによりボックス21は水平方向に移動するように構成されている。
【0031】
(ボックス載置部)
図8(a)、図8(b)は、ボックス載置部43の斜視図、図9は、図8(a)のC−C線に沿う断面図である。
図7〜図9に示すように、ボックス載置部43は、移動軸45から収納部23に向かって水平方向に延在するフレーム48を有している。
なお、以下のボックス載置部43の説明において、説明を簡単にするために、フレーム48の延在方向を長手方向として説明し、フレーム48の短手方向を幅方向として説明する場合がある。
【0032】
フレーム48は箱状に形成されたものであって、底壁48aと、この底壁48aの幅方向両側から立ち上がり形成された一対の側壁48b,48cとを有している。
フレーム48の基端側(移動軸45側)には、移動軸45に沿って立ち上がる支持プレート49が一体成形されている。この支持プレート49がスライド部材51を介して移動軸45にスライド自在に取り付けられている。
【0033】
底壁48aの幅方向略中央には、長手方向に沿って2本のスライドレール52,52が設けられている。これらスライドレール52,52は、後述のフックユニット53をスライド自在に支持するためのものであって、長手方向両端に設けられた一対のブラケット54a,54bを介して幅方向に並列配置されている。
フックユニット53は、2本のスライドレール52,52にスライド自在に設けられたスライドブロック55を有している。スライドブロック55は、直方体状に形成されたものであって、スライドレール52,52に対応する部位に、これらスライドレール52,52を挿通可能な孔(不図示)が貫通形成されている。この孔にスライドレールを挿通することによって、スライドブロック55がスライド自在に支持される。
【0034】
スライドブロック55の底壁48aとは反対側の上面55aには、支持ブラケット56が設けられている。この支持ブラケット56は断面略L字状に形成されたものであって、ベース部56aと、ベース部56aの幅方向両側から立ち上がる一対の側壁56b,56bとが一体成形されている。そして、スライドブロック55に、ベース部56aが取り付けられている。
【0035】
一対の側壁56b,56bの先端側には、両者に跨る旋回軸57が回転自在に支持されている。つまり、旋回軸57は、フックユニット53のスライド方向と略直交する方向に沿うように設けられている。
この旋回軸57には、一対の側壁56b,56b間に爪部47が取り付けられている。爪部47は、ボックス21に形成された被係合部22に係合可能な爪部本体47aと、この爪部本体47aと旋回軸57とを連結する連結部材47bとで構成されている。これにより、爪部47は旋回軸57と一体となって、この旋回軸57を中心にして旋回する。
【0036】
爪部本体47aは、断面略コの字状に形成されている。すなわち、爪部本体47aの腹部47cを中心にして、長手方向両側に先端部47dと基端部47eとが立ち上がり形成されている。そして、開口を旋回半径方向外側に向けた状態で、連結部材47bに基端部47eが取り付けられている。
また、爪部本体47aの先端には、外面側に平面取り部46が形成されている。これにより、爪部本体47aの先端部47dは、先細り形状になっている。
【0037】
一対の側壁56b,56bの一方には旋回軸57が突出されており、この突出した部位にピニオンギア58が設けられている。ピニオンギア58には、鉛直方向に沿って延在するラック59が噛合されている。ラック59は、上部に形成されピニオンギア58に噛合う歯部59aと、下部に形成されたスライド部59bとで構成されている。そして、一方の側壁56bの基端側に設けられているサポートブロック61に、スライド部59bが鉛直方向に沿ってスライド自在に支持されている。
【0038】
ラック59の歯部59aとスライド部59bとの境界には、外フランジ部62が設けられている。この外フランジ部62とサポートブロック61との間には、ラック59の周囲を取り囲むように形成されたコイルスプリング63が設けられている。すなわち、外フランジ部62は、コイルスプリング63を押さえるプレートの役割を有している。このコイルスプリング63により、ラック59は、鉛直方向上方(図8〜図9における紙面上方)に向かって付勢された状態になっている。
【0039】
スライド部59bの下端はサポートブロック61の下端から突出している。この突出した部位に、カムフォロア65が連結ブロック64を介してフレーム48の幅方向外側に向かって設けられている。
【0040】
フレーム48のカムフォロア65に対応する一方の側壁48bには、カムフォロア65を案内するガイドレール66が取り付けられている。
ガイドレール66は、フレーム48の基端側から先端よりもやや手前に至る間に水平方向に沿って延在する第一ガイド部66aと、第一ガイド部66aの先端から斜め上方に向かって傾斜する第二ガイド部66bと、第二ガイド部66bの先端からフレーム48の先端に至る間に水平方向に沿って延在する第三ガイド部66cとが一連に形成されたものである。
【0041】
カムフォロア65は、ガイドレール66に上部から押圧された状態で案内される。すなわち、フックユニット53が第一ガイド部66aに対応する位置に存在しているとき、この第一ガイド部66aによって、カムフォロア65がコイルスプリング63に抗して押し下げられる。また、フックユニット53が第二ガイド部66bに対応する位置に存在しているとき、コイルスプリング63の復元力によってカムフォロア65が上方に向かって持ち上げられ、第二ガイド部66bに沿って移動する。そして、カムフォロア65は、第三ガイド部66cに当接するまでコイルスプリング63の付勢力によって持ち上がる。
【0042】
ここで、カムフォロア65が固定されているラック59は、カムフォロア65の変位に基づいて鉛直方向に沿ってスライド移動することになる。
すなわち、第一ガイド部66aによってカムフォロア65が押し下げられているとき、ラック59が下方に向かってスライド移動し、ピニオンギア58が図8(b)における右回り方向(矢印CW参照)に向かって回転する。このとき、爪部47の爪部本体47aは、先端側、つまり、ボックス21側に向かって持ち上がり、爪部本体47aの腹部47cが水平方向に沿った状態になっている(持ち上がり状態)。
この持ち上がった状態で、ボックス21の被係合部22に爪部本体47aが係合される。ボックス21の被係合部22は、爪部本体47aの先端部47dを受け入れ可能に形成されている。
【0043】
一方、第三ガイド部66bによってカムフォロア65が持ち上がっているとき、ラック59が上方に向かってスライド移動し、ピニオンギア58が図8(a)における左回り方向(矢印CCW参照)に向かって回転する。このとき、爪部47の爪部本体47aは、下方に垂下がった状態になる(垂下がり状態)。
このように、ピニオンギア58、ラック59、カムフォロア65、およびガイドレール66は、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47を旋回させる旋回機構70を構成している。
【0044】
ここで、スライドレール52を支持する一対のブラケット54a,54bのうち、ボックス21側に位置しているブラケット54aには、ストッパ84が設けられている。このストッパ84は、ブラケット54aからの突出量を調整可能に設けられている。すなわち、フックユニット53のボックス21側端の停止位置をストッパ84を用いて調整することができる。これにより、ボックス21とフックユニット53との間の距離を各部品の製作誤差に関わらず一定に保つことができる。
【0045】
また、フレーム48の底壁48aの長手方向両端側には、スライドレール52よりも他方の側壁48c側に、一対のプーリ67a,67bが回転自在に軸支されている。一対のプーリ67a,67b間には、これらに係合するタイミングベルト73が設けられている。このタイミングベルト73の一部にフックユニット53のスライドブロック55が固定されており、タイミングベルト73が回転することによってフックユニット53がスライド移動するようになっている。
【0046】
一対のプーリ67a,67bのうち、支持プレート49側に設けられているプーリ67bを軸支するシャフト68は、上方に向かって延出している。そして、歯車ギア69を介して電動モータ71に連結されている。電動モータ71は、支持プレート49にブラケット72を介して取り付けられている。すなわち、フックユニット53は、電動モータ71が駆動することにより、タイミングベルト73を介してスライド移動するように構成されている。なお、電動モータ71としては、例えば、ステッピングモータやサーボモータなど、さまざまなモータを採用することが可能である。
【0047】
また、フレーム48の一対の側壁48b,48cには、それぞれ引き出したボックス21を案内するガイド74,74が設けられている。ガイド74は、断面略L字状に形成されており、このガイド74上に引き出されたボックス21が載置されるようになっている。ガイド74のボックス21側の先端部には、先端側に向かって末広がりとなるように末広がり部74aが形成されている。この末広がり部74aを形成することにより、ボックス21の受け入れ口を大きく設定することができると共に、ガイド74上にボックス21を滑らかに導くことができる。
【0048】
フレーム48の一対の側壁48b,48cのうち、一方の側壁48bには、基端側にボックス21の有無を検出する第一光電センサー75がブラケット76を介して取り付けられている。この第一光電センサー75は、収納部23や薬剤ピッキング部13からのボックス21の引き出し動作が完了したか否かを検出するための所謂反射型の光電センサーである。第一光電センサー75によりボックス21が検出されると、この検出結果に基づいてボックス載置部43のボックス21の引き出し動作が完了する。
【0049】
また、一方の側壁48bの先端側には、ボックス21の有無を検出する第二光電センサー77がブラケット78を介して取り付けられている。この第二光電センサー77は、ボックス載置部43に載置されているボックス21の収納部23や薬剤ピッキング部13への移載が完了したか否かを検出するための所謂反射型の光電センサーである。第二光電センサー77によりボックス21が検出されなくなると、この検出結果に基づいてボックス載置部43のボックス21の移載動作が完了する。
【0050】
さらに、一方の側壁48bの先端側には、第二光電センサー77よりも上方に、第三光電センサー79がブラケット81を介して取り付けられている。また、他方の側壁48cには、第三光電センサー79に対向するように反射板82がブラケット83を介して取り付けられている。第三光電センサー79は、ボックス21に収納されている薬剤の量を検出するための所謂反射型の光電センサーである。ボックス21に薬剤が山盛りされていると第三光電センサー79により検出される。
【0051】
(作用)
(薬剤の処方方法)
次に、図10に基づいて、自動薬剤供給装置10を駆動するための薬剤供給システムおよび薬剤を処方する方法について説明する。
図10は、自動薬剤供給装置10を用いた薬剤供給システムを示す構成図である。
同図に示すように、薬剤供給システム150は、患者の処方箋情報などを認識するレセプトPC151と、薬剤を自動的に選別して取り出すことができる自動薬剤供給装置10に設けられた装置制御部153と、を備えている。装置制御部153は、ネットワークI/F154を介してレセプトPC151に接続されている。
【0052】
レセプトPC151は、一般的なパソコンで構成されており、記録部155を備え、表示部156、キーボード157、プリンタ158およびICタグやバーコードを読み取るためのリーダ159を備えている。
【0053】
なお、リーダ159は、患者が持参してきたレセプト(処方箋)の情報を読み取るものであり、レセプトに付されたICタグやバーコードを読み取ることで患者に処方される薬剤の種類や分量が認識できるようになっている。
【0054】
患者のレセプトをリーダ159で読み込むと、その情報は、レセプトPC151で処理され、患者の名前、その薬剤の種類や分量などの情報が装置制御部153に送られる。
【0055】
装置制御部153は、RAMなどで構成され患者の名前、薬剤の種類や分量を記録する記録部161を備え、記録部161からの指示によりボックス移動機構25を駆動させるように構成されている。具体的には、所定の薬剤がどのボックス21に収納されているかを記憶している薬剤位置記憶部162と、ボックス移動機構25の移動管理をする移動管理部163と、薬剤の種類、分量、使用期限等情報を管理する薬剤情報把握部164を備えている。また、自動薬剤供給装置10は、各種情報を表示するモニタ15を備えている。
【0056】
薬剤位置記憶部162は、収納部23に配された複数のボックス21の位置を認識するとともに、所定のボックス21にはどの薬剤が収納されているかを記憶している。なお、ボックス21にはICタグやバーコードなどが付されており、特定のボックス21が収納部23のどの位置に収納されているものかを記憶できるように構成されている。
【0057】
つまり、レセプトPC151から患者の処方箋情報を受領した装置制御部153は、処方箋情報に基づいて薬剤の種類を特定することで、どこのボックス21に該当する薬剤が収納されているかを特定し、そのボックス21が収納部23のどこの位置に載置されているかを認識することができる。
【0058】
移動管理部163は、薬剤位置記憶部162により所望のボックス21の位置を認識して、該ボックス21の移動管理を行うものであり、所望のボックス21が収納部23のどの位置に存在するかを把握して、効率良くボックス移動機構25を駆動させてボックス載置部43を所望のボックス21の背面に最短距離で移動させることができる。
【0059】
所望のボックス21の背面側にボックス載置部43が位置した状態で、フックユニット53(図8(a)、図8(b)参照)を移動させて爪部47をボックス21の被係合部22に係合させる。そして、ボックス21をボックス載置部43のガイド74上に移動させる。さらに、当該ボックス21を薬剤ピッキング部13の背面側まで移動させた後、フックユニット53を装置前面側に押し出すように移動させることによりボックス21を薬剤ピッキング部13に載置する(詳細は後述する)。
【0060】
薬剤ピッキング部13に所望のボックス21が載置されると、薬剤ピッキング部13の開閉カバー14を開けて、薬剤を所定分量取り出し、トレイ載置台19に置かれたトレイに薬剤を入れる。ここで、本実施形態では薬剤ピッキング部13には2個のボックス21が同時に載置可能になっているが、両方の開閉カバー14を同時に開状態にすることができないようになっている。このように構成することで、薬剤を誤って処方するのを防止することができる。
【0061】
また、薬剤ピッキング部13に載置されたボックス21は取り出すことができないように構成されている。このようにボックス21を取り出し不可能にすることで、ボックス21を容易に入れ換えたりすることができなくなり、薬剤の種類を誤って処方するのを防止することができる。
【0062】
薬剤の処方が終了すると、例えばモニタ15に表示された「処方終了」の箇所をタッチすることにより、プリンタ17から患者の氏名や処方箋情報などが印字された紙片が排出される。この紙片をトレイに入れておくことにより、トレイを見ただけでどの患者の薬剤かを即座に認識することができる。また、ボックス21に収納されている薬剤が足りない場合には、その旨紙片に書き込むようにすれば、薬剤の渡し忘れを防止することができる。
【0063】
ここで、ボックス21内の薬剤の量が所定量よりも少なくなった場合には、モニタ15にその旨を表示して、薬剤を補充することを喚起する。薬剤の補充は、薬剤の処方中に行うことや、患者のいない時間帯などにモニタ15からの操作により補充が必要なボックス21を呼び出して補充することができる。また、薬剤を補充する際には、薬剤が入った箱などに付されているバーコードをバーコードリーダ166で読み取り、読み取ったバーコードが補充する薬剤のバーコードか否かを判定する。補充する薬剤でない場合には警告を出すなどして、ボックス21に対応した正しい薬剤を補充するように構成されている。
【0064】
なお、ボックス21内の薬剤の残量管理の方法としては、例えば、薬剤をボックス21に補充する際に、何錠補充したかをモニタ15から入力して薬剤情報把握部164に記憶させる。そして、薬剤を必要分量だけ取り出すごとに当該薬剤の残量を減じ、予め設定した閾値よりも薬剤の残量が少なくなったときに薬剤を補充することを喚起するようにすればよい。
【0065】
モニタ15は、各種情報を表示するとともに、タッチパネル機能を有する表示装置であり、例えば、所望のボックス21が選択されたこと、その選択されたボックス21の薬剤の補充をすべきことの喚起、正しいボックス21が選択され、かつそのボックス21が薬剤ピッキング部13に載置されたことの表示など様々なものが表示される。
【0066】
(ボックス載置部の動作)
次に、図8(a)、図8(b)、および図11〜図12に基づいて、ボックス載置部43の動作について説明する。図11(a)〜図11(d)は、ボックス載置部43がボックス21を引き出す手順を示す動作説明図である。
図11(a)に示すように、ボックス載置部43の電動モータ71を駆動させ、フックユニット53をボックス21側端に前進移動させた状態にあっては、カムフォロア65がガイドレール66の第三ガイド部66cに当接し、爪部47の爪部本体47aが垂下がった状態になっている。
【0067】
ここで、ボックス移動機構25は、フックユニット53がボックス21側に位置しているとき、つまり、爪部47の爪部本体47aが垂下がった状態で駆動するように設定されている。このように構成することで、ボックス載置部43を薬剤ピッキング部13から所望のボックス21の背面に移動させる際、フックユニット53を一旦装置背面側に戻したりするなどの煩わしい動作がなくなり、この分、作業時間を短くすることができる。
【0068】
続いて、図11(b)に示すように、フックユニット53を後退させると、カムフォロア65が第二ガイド部66bを介して第一ガイド部66aと案内され、爪部本体47aが旋回軸57を中心にして旋回し、ボックス21の被係合部22に向かって持ち上がる。そして、爪部本体47aがボックス21の被係合部22に係合される。
【0069】
ここで、図12に基づいて、爪部本体47aの旋回軌跡について詳述する。図12は、爪部本体47aの旋回軌跡を示す説明図である。
同図に示すように、爪部本体47aは、フックユニット53の後退動作に連動してカムフォロア65が第二ガイド部66bによって徐々に押し下げられ、旋回軸57を中心にして旋回する。すなわち、爪部本体47aの旋回軌跡R1は、旋回中心がボックス21の引き出し方向に向かってずれながら旋回するので、旋回中心が停止して旋回する場合の旋回軌跡R2よりも後端側(図12における右側)に位置する。
【0070】
しかも、爪部本体47aの先端部47dに形成された平面取り部46によって、爪部本体47aの旋回軌跡R1の曲率半径がより小さくなる。このため、爪部本体47aとボックス21との衝突を回避することが可能になり、この分、ボックス21の被係合部22の懐深さH1(図11(a)参照)を小さく設定することができる。
なお、爪部本体47aの旋回軌跡R1上にボックス21の被係合部22が正確に位置するように、ボックス載置部43のストッパ84(図8(a)参照)により調整する。
【0071】
図11(b)に示すように、旋回軸57の取り付け高さは、爪部本体47aとボックス21の被係合部22とが係合したとき、爪部本体47aによってボックス21の被係合部22側が持ち上げられる高さに設定されている。すなわち、爪部本体47aの持ち上がり状態の位置は、載置トレイ24に載置されているボックス21の被係合部22の位置よりも高く設定されている。
【0072】
ここで、収納部23に設けられている載置トレイ24には、この周縁にボックス21の脱落を防止するための壁24aが立ち上がり形成されている。すなわち、旋回軸57の取り付け高さは、爪部本体47aがボックス21を持ち上げたとき、このボックス21が載置トレイ24の壁24aを乗り上げることができる高さに設定されている。
【0073】
図11(c)に示すように、ボックス21の被係合部22に爪部本体47aが係合した状態でさらにフックユニット53を後退させると、ボックス21が載置トレイ24の壁24aを乗り上げ、ガイド74上に導かれる。
そして、図11(d)に示すように、フックユニット53を最後端までスライド移動させると、ボックス21がガイド74上に完全に載置される。このとき、ボックス載置部43に設けられている第一光電センサー75によりボックス32が検出される。この検出信号が移動管理部163(図10参照)に出力され、移動管理部163によってボックス載置部43のボックス21の引き出し動作を完了させる。
ボックス21の引き出し動作が完了すると、ボックス移動機構25によって所望の位置にボックス載置部43が移動される。
【0074】
ここで、収納部23や薬剤ピッキング部13へボックス載置部43からボックス21を移載する場合、ボックス21を引き出す手順と逆になる。
すなわち、ガイド74上に載置されたボックス21(図11(d)参照)をフックユニット53をスライド移動させて押し出す(図11(c)参照)。
さらに、フックユニット53をスライド移動させ、載置トレイ24上にボックス21を載置する(図11(b)参照)。
【0075】
完全に載置トレイ24上にボックス21が載置され、フックユニット53が前端にスライド移動すると、カムフォロア65がコイルスプリング63の復元力によって押し上げられ、第三ガイド部66cに当接する。すると、爪部本体47aが旋回軸57を中心に旋回して垂下がり、爪部本体47aの被係合部22に対する係合状態が解除される(図11(a)参照)。
このとき、ボックス載置部43に設けられている第二光電センサー77がボックス21を検出しなくなるので、この検出結果に基づいて移動管理部163がボックス載置部43のボックス21の移載動作を完了させる。
【0076】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、ボックス載置部43のフックユニット53を爪部47と、この爪部47に連係する旋回機構70とで構成し、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47のボックス21に対する係脱動作を行うことができる。このため、1つの動作で収納部23、および薬剤ピッキング部13からボックス21を引き出すことができる。よって、ボックス載置部43に、フックユニット53をスライド移動させるために電動モータ71を1つ設けるだけでよく、この分自動薬剤供給装置10の構造を簡素化できる。この結果、自動薬剤供給装置10の小型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【0077】
また、爪部本体47aは、フックユニット53の後退動作に連動してカムフォロア65が第二ガイド部66bによって徐々に押し下げられ、旋回軸57を中心にして旋回する。すなわち、爪部本体47aの旋回軌跡R1は、旋回中心がボックス21の引き出し方向に向かってずれながら旋回するので、旋回中心が停止して旋回する場合の旋回軌跡R2よりも後端側に位置する。しかも、爪部本体47aの先端部47dに形成された平面取り部46によって、爪部本体47aの旋回軌跡R1の曲率半径がより小さくなる。
このため、爪部本体47aとボックス21との衝突を回避することが可能になり、この分、ボックス21の被係合部22の懐深さH1を小さく設定することができ、材料コストを低減することが可能になる。また、爪部47やボックス21の損傷を防止できると共に、ボックス21の出し入れの際、薬剤ピッキング部13や収納部23からのボックス21の脱落を確実に防止できる。
【0078】
さらに、旋回軸57の取り付け高さは、爪部本体47aとボックス21の被係合部22とが係合したとき、爪部本体47aによってボックス21の被係合部22側が持ち上げられる高さに設定されている。このため、載置トレイ24の周縁にボックス21の脱落を防止するための壁24aを立ち上がり形成した場合であってもボックス21をスムーズに引き出すことができる。よって、例えば、外部からの振動等により、収納部23からボックス21がずれ落ちるのを確実に防止でき、信頼性の高い自動薬剤供給装置10を提供することが可能になる。
【0079】
そして、ボックス移動機構25は、フックユニット53がボックス21側に位置しているとき、つまり、爪部47の爪部本体47aが垂下がった状態で駆動するように設定されている。このため、ボックス載置部43を薬剤ピッキング部13から所望のボックス21の背面に移動させる際、フックユニット53を一旦装置背面側に戻したりするなどの煩わしい動作がなくなり、この分、作業時間を短くすることができる。
【0080】
また、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47を旋回させる旋回機構70をピニオンギア58、ラック59、カムフォロア65、およびガイドレール66により構成している。このため、簡素な構造の旋回機構70を実現することができ、より確実に自動薬剤供給装置10の小型化、低コスト化を図ることが可能になる。
【0081】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ボックス載置部43のフックユニット53を駆動させる手段として電動モータ71とタイミングベルト73を用いた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、電動モータ71に代わってシリンダを用いてもよい。また、電動モータ71を使用する場合、タイミングベルト73に代わってローラチェーン等を用いてもよい。
【0082】
さらに、上述の実施形態では、旋回機構70をピニオンギア58、ラック59、カムフォロア65、およびガイドレール66で構成し、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47を旋回させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、旋回機構70は、フックユニット53のスライド移動に連動して爪部47を旋回させる構造であればよい。例えば、フックユニット53の旋回機構として、ピンと、このピンが傾動することにより爪部47が垂下がる構造を採用し、フックユニット53がボックス21側端に移動するとピンが傾動し、爪部47が垂下がるようにしてもよい。
【0083】
そして、上述の実施形態では、爪部本体47aの先端部47dに平面取り部46を形成し、爪部本体47aの旋回軌跡R1の曲率半径を小さくした場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、爪部本体47aの先端部47dに弧状に切除された丸面取り部を形成し、爪部本体47aの旋回軌跡R1の曲率半径を小さくしてもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、薬剤ピッキング部に2個のボックスを載置できるように構成したが、1個のボックスだけ載置できるようにしてもよいし、3個以上のボックスを載置できるようにしてもよい。ただし、本実施形態のように2個のボックスを載置できるようにすることで、一方のボックスから薬剤を処方している最中に、ボックス移動機構を駆動させて他方のボックスの移動などをすることができるため作業効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0085】
10…自動薬剤供給装置 13…薬剤ピッキング部 21…ボックス 22…被係合部23…収納部 25…ボックス移動機構 43…ボックス載置部 46…平面取り部(面取り部) 47…爪部 53…フックユニット 57…旋回軸 58…ピニオンギア 59…ラック 65…カムフォロア 66…ガイドレール 66a…第一ガイド部 66b…第二ガイド部 66c…第三ガイド部 70…旋回機構 71…電動モータ(駆動部) 74…ガイド(載置台)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収納するボックスを複数配列可能に構成されている収納部、および前記ボックスから前記薬剤を出し入れする薬剤ピッキング部から前記ボックスを所望の位置に移動させるボックス移動機構を備え、
このボックス移動機構に、前記収納部、および前記薬剤ピッキング部から前記ボックスを出し入れするためのボックス載置部を設けた自動薬剤供給装置であって、
前記ボックス載置部は、
前記ボックスの被係合部に係脱可能なフックユニットと、
前記フックユニットを前記ボックスの出し入れ方向に沿ってスライド移動させる駆動部と、
前記収納部、および前記薬剤ピッキング部から引き出した前記ボックスを載置する載置台とを備え、
前記フックユニットは、
前記ボックスの出し入れ方向と交差する旋回軸を中心に旋回可能に設けられ、前記ボックスの被係合部と係合可能な爪部と、
前記フックユニットのスライド移動に連動して前記爪部を旋回させる旋回機構とを備えていることを特徴とする自動薬剤供給装置。
【請求項2】
前記旋回機構は、前記フックユニットが前記ボックス側端から前記ボックスを引き出す方向に向かってスライド移動するときに、前記爪部を前記ボックスの被係合部に向かって旋回動作させるように構成され、
前記爪部の先端部には、前記旋回軸とは反対側の面に前記ボックスとの衝突を回避するための面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項3】
前記爪部を、この先端部が重力方向下方に位置する垂下がり状態から前記先端部が重力方向上方に向かって持ち上がる持ち上がり状態に至るまで前記旋回軸を中心にして旋回するように設けると共に、前記持ち上がり状態で前記ボックスの被係合部と係合するように設け、
前記持ち上がり状態における前記爪部の位置を、前記ボックスの被係合部の位置よりも高く設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動薬剤供給装置。
【請求項4】
前記ボックス移動機構により前記ボックス載置部を移動させる際、前記フックユニットが前記ボックス側端に位置するように設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の自動薬剤供給装置。
【請求項5】
前記旋回機構は、
前記旋回軸と共回りするピニオンギアと、
前記ピニオンギアに噛合うラックと、
前記ラックに固定されたカムフォロアと、
前記フックユニットのスライド移動方向に沿って延在し、前記カムフォロアを案内するガイドレールとを有し、
前記ガイドレールは、
前記フックユニットのスライド移動に伴って、前記カムフォロアを前記ラックの延在方向に沿って変位させるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の自動薬剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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