説明

自動販売機およびその動作制御方法

【課題】年齢認証を比較的簡単に行う。
【解決手段】年齢認証が必要な商品を自動販売機で購入する場合に,購入希望者の顔が撮像される(ステップ41)。商品購入許可顔画像データベースには,以前に商品を購入した者の顔画像が登録されており,その登録済顔画像データが自動販売機に送信される(ステップ51,43)。自動販売機において,購入希望者の顔画像がデータベースに登録されているかどうかが確認される(ステップ44)。登録されている場合には,その購入希望者は商品を購入できる年齢に達していると判断される。代金が投入されると,商品が排出される(ステップ48)。顔を撮像することにより,年齢認証ができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,自動販売機およびその動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機では,お酒や煙草など一定以上の年齢で無ければ購入できない商品を販売することがある。このような商品を購入する場合には,購入希望者の免許証,事前に登録したカードなどで年齢認証が行われ,認証された購入希望者が購入できる自動販売機がある。しかしながら,免許証,事前に登録したカードなどを購入希望者が携帯していなければ,自動販売機を利用できない。
【0003】
また,顔画像の認識技術が高まり,比較的簡単に顔画像を認識できるようになっている。たとえば,顔画像認識を行い特定される個人の商品購入パターンを学習して利便性を高めるものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−347942号公報
【発明の開示】
【0004】
この発明は,顔画像認識を利用して,年齢認証が必要な商品を自動販売機で販売することを目的とする。
【0005】
この発明は,年齢確認が必要な商品を販売する自動販売機であって,商品購入希望者の顔を撮像し,顔画像を表す顔画像データを出力する撮像手段,上記撮像手段から出力された顔画像データによって表される上記顔画像が商品購入許可顔画像データベースに登録されているかどうかを判定する第1の判定手段,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御する第1の商品排出制御手段,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていないと判定されたことに応じて,年齢確認のための証明書の提示を報知する報知手段,上記報知手段による報知に応じて提示された証明書にもとづいて,上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達しているかどうかを判定する第2の判定手段,上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御する第2の商品排出制御手段,および上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記顔画像を上記商品購入許可顔画像データベースに登録する顔画像登録手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明は,上記自動販売機に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,年齢確認が必要な商品を販売する自動販売機の動作制御方法であって,撮像手段が,商品購入希望者の顔を撮像し,顔画像を表す顔画像データを出力し,第1の判定手段が,上記撮像手段から出力された顔画像データによって表される上記顔画像が商品購入許可顔画像データベースに登録されているかどうかを判定し,第1の商品排出制御手段が,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御し,報知手段が,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていないと判定されたことに応じて,年齢確認のための証明書の提示を報知し,第2の判定手段が,上記報知手段による報知に応じて提示された証明書にもとづいて,上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達しているかどうかを判定し,第2の商品排出制御手段が,上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御し,顔画像登録手段が,上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記顔画像を上記商品購入許可顔画像データベースに登録するものである。
【0007】
この発明によると,商品購入希望者の顔が撮像され,顔画像を表す顔画像データが得られる。この顔画像データによって表される顔画像が,商品購入許可顔画像データベースに登録されているかどうかが判定される。登録されている場合には,その顔画像によって特定される商品購入希望者は,商品購入が許可される年齢以上の者であるとされる。商品代金の受領に応じて商品が排出される。登録されていない場合には,年齢確認のための証明書を提示させる報知が行われる。提示された証明書により,商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると,商品代金の受領に応じて商品が排出される。また,撮像により得られた顔画像が商品購入許可顔画像データベースに登録される。商品購入許可顔画像データベースに顔画像が登録されると,その後に商品を購入する場合には証明書を提示する必要が無い。比較的簡単に年齢確認ができ,商品を購入できる。
【0008】
上記商品購入許可顔画像データベースは,ネットワークを介して上記自動販売機に接続されていてもよい。
【実施例】
【0009】
図1は,この発明の実施例を示すもので,自動販売機の斜視図である。
【0010】
この実施例による自動販売機1は,お酒,煙草など,購入希望者9の年齢確認が必要な商品を販売するものである。
【0011】
自動販売機1の前面の上部左側には,購入希望者9の顔を撮像するためのディジタル・カメラ2が設けられている。また,自動販売機1の前面には,商品サンプルが配列されている配列窓3およびこれらの配列窓3に配列されている商品サンプルに対応する商品を購入するときに購入希望者9によって押される複数の商品購入ボタン4が設けられている。
【0012】
また,自動販売機1の前面の中央部分の右側には,後述するように購入希望者9の年齢を確認するための年齢確認カード(証明書)を挿入するためのカード挿入口5,硬貨投入口6および紙幣挿入口7が形成されている。自動販売機1の前面の下部には商品を排出するための排出口8が形成されている。
【0013】
この実施例による自動販売機は,購入希望者9の顔を撮像し,撮像によって得られた顔画像が商品購入許可画像データベースに登録されている場合には商品の購入を許可し,顔画像が商品購入許可画像データベースに登録されていない場合には証明書により年齢を確認できたときに商品の購入を許可するものである。
【0014】
図2は,自動販売機の電気的構成を示すブロック図である。
【0015】
自動販売機1の全体の動作は,CPU10によって統括される。
【0016】
CPU10には,上述のように,購入希望者9の顔を撮像するディジタル・カメラ2が接続されている。商品選択ボタン4によって選択された商品を特定する信号は,商品選択装置11に入力する。また,CPU10には年齢を確認するための年齢カードを読み取るためのカード・リーダ12も接続されている。
【0017】
上述したように,購入希望者9が商品を購入できる年齢に達していると,硬貨投入口6または紙幣挿入口7から硬貨または紙幣が挿入される。硬貨または紙幣は,紙幣/硬貨選別装置15において,選別される。購入希望者9の年齢が商品を購入できる年齢に達していると,商品収納装置17に収納されている商品のうち,購入希望者9によって選択された商品が商品排出装置16によって排出される。
【0018】
自動販売機には,商品購入許可顔画像データベース21と通信することができる通信装置13も含まれている。商品購入許可顔画像データベース21には,商品を購入できるユーザの顔画像が多数格納されている。商品購入許可顔画像データベース21に格納されている顔画像データが自動販売機1に送信され,顔認証装置14に入力する。顔認証装置14には,ディジタル・カメラ2によって撮像された顔画像を表す画像データも入力する。顔認証装置14によって,撮像された顔画像が商品購入許可顔画像データベース21に登録されているかどうかが確認される。登録されていると,撮像された顔画像の顔をもつ購入希望者は商品を購入できる年齢に達していると判定される。登録されていないと,自動販売機に年齢認証のためのカード類が装填されてカード・リーダ12によって,装填されたカードから年齢が読み取られる。読み取られた年齢が商品を購入できる年齢に達していると,商品購入希望者9は商品を購入できる。
【0019】
上述の実施例では,商品購入許可顔画像データベース21は自動販売機とは別に存在しているが,自動販売機内に設けられていてもよい。また,商品許可顔画像データベース21は自動販売機1とネットワークを介してアクセスするデータベース・サーバと接続し,自動販売機1において撮像された顔画像データをデータベース・サーバに送信し,データベース・サーバにおいて,撮像された顔画像が商品購入許可顔画像データベース21に登録されているかどうかを確認するようにしてもよい。確認結果を表すデータがデータベース・サーバから自動販売機1に送信され,撮像された顔画像が商品購入許可顔画像データベース21に登録されていない場合には,年齢認証のためのカードの装填が要求されることとなる。
【0020】
図3は,商品購入許可顔画像データベース21に格納されている顔画像の一例である。
【0021】
商品購入許可顔画像データベース21には,年齢が認証されたユーザの顔画像31,32,33が生年月日とともに格納されている。もっとも生年月日だけでなく,その他の情報を格納するようにしてもよい。
【0022】
図4は,自動販売機1と商品購入許可顔画像データベース21との通信処理手順を示すフローチャートである。
【0023】
上述したように,商品購入希望者9の顔が撮像される(ステップ41)。自動販売機1に商品購入ボタンを設け,そのボタンが押されたことにより顔を撮像するようにしてもよいし,商品選択ボタン4が押されたことにより顔を撮像するようにしてもよい。顔が撮像されると,商品購入許可顔画像データベース21に,登録されている顔画像データ(登録済顔画像データ)の要求データが送信される(ステップ42)。
【0024】
要求データが商品購入許可顔画像データベース21において受信されると,その要求データに応じて登録済顔画像データが自動販売機1に送信される(ステップ51)。
【0025】
商品購入許可顔画像データベース21から送信された登録済顔画像データが自動販売機1において受信される(ステップ43)。撮像により得られた新規顔画像データによって表される顔画像が,受信した登録済顔画像データによって表わされる多数の顔画像の中に含まれているかどうかが確認される。含まれていれば(ステップ44でYES),購入希望者は以前に年齢認証が行われていると考えられるので,商品の代金が受領されたことにより商品が自動販売機1から排出される(ステップ48)。含まれていなければ(ステップ44でNO),年齢認証ができないので年齢認証できるカードをカード挿入口5から挿入することを要求する旨が表示画面(図示略)に表示される(ステップ45)。もっともその要求は表示しなくとも音声により購入希望者に報知するようにしてもよい。
【0026】
年齢認証できるカードがカード挿入口5から挿入され,年齢が読み取られる。読み取られた年齢が商品を購入できる年齢に達していると(ステップ46でYES),購入希望者9の顔画像を表す新規顔画像データが自動販売機1から商品購入許可顔画像データベース21に送信される(ステップ47)。すると,代金が受領されることにより,商品が排出される(ステップ48)。
【0027】
新規顔画像データが商品購入許可顔画像データベース21において受信されると(ステップ52),受信した新規顔画像データは商品購入許可顔画像データベース21に登録される(ステップ53)。新規顔画像データが商品購入許可顔画像データベース21に登録されるので,次に同じ購入希望者9が商品を購入する場合には年齢認証のためのカードを自動販売機1に挿入する必要が無くなる。比較的簡単に年齢認証を実現できる。
【0028】
年齢認証のためのカードは,あらかじめ登録されている認証カードに限らず,免許証,身分証明書など年齢が分かる証明書でもよい。それらの証明書に記載されている生年月日等から年齢認証ができる。また,証明書に顔画像が含まれていれば,撮像された顔画像との比較をすることにより,本人認証もでき,成りすましによる登録を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】自動販売機の斜視図である。
【図2】自動販売機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】登録されている顔画像の一例である。
【図4】自動販売機と商品購入許可顔画像データベースとの通信処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1 自動販売機
2 ディジタル・カメラ
10 CPU
14 顔認証装置
21 商品購入許可顔画像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
年齢確認が必要な商品を販売する自動販売機であって,
商品購入希望者の顔を撮像し,顔画像を表す顔画像データを出力する撮像手段,
上記撮像手段から出力された顔画像データによって表される上記顔画像が商品購入許可顔画像データベースに登録されているかどうかを判定する第1の判定手段,
上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御する第1の商品排出制御手段,
上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていないと判定されたことに応じて,年齢確認のための証明書の提示を報知する報知手段,
上記報知手段による報知に応じて提示された証明書にもとづいて,上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達しているかどうかを判定する第2の判定手段,
上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御する第2の商品排出制御手段,および
上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記顔画像を上記商品購入許可顔画像データベースに登録する顔画像登録手段,
を備えた自動販売機。
【請求項2】
上記商品購入許可顔画像データベースは,ネットワークを介して上記自動販売機に接続されている,請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
年齢確認が必要な商品を販売する自動販売機の動作制御方法であって,
撮像手段が,商品購入希望者の顔を撮像し,顔画像を表す顔画像データを出力し,
第1の判定手段が,上記撮像手段から出力された顔画像データによって表される上記顔画像が商品購入許可顔画像データベースに登録されているかどうかを判定し,
第1の商品排出制御手段が,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御し,
報知手段が,上記第1の判定手段により上記顔画像が上記商品購入許可顔画像データベースに登録されていないと判定されたことに応じて,年齢確認のための証明書の提示を報知し,
第2の判定手段が,上記報知手段による報知に応じて提示された証明書にもとづいて,上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達しているかどうかを判定し,
第2の商品排出制御手段が,上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記商品購入希望者による商品購入を許可して商品代金の受領に応じて商品を排出するように自動販売機を制御し,
顔画像登録手段が,上記第2の判定手段により上記商品購入希望者が商品を購入できる年齢に達していると判定されたことに応じて,上記顔画像を上記商品購入許可顔画像データベースに登録する,
自動販売機の動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−234402(P2008−234402A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74291(P2007−74291)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】