説明

自動車のアンダーカバー構造

【課題】アンダーカバーに可動式のジャッキカバーを設け、通常時には、ジャッキカバーがカバー位置に保持されてジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーし、ジャッキアップ時には、ジャッキアップ作業に連動して、ジャッキカバーがカバー位置から退避位置へ移動して、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与してジャッキアップできる、自動車のアンダーカバー構造を提供する。
【解決手段】アンダーカバー2に、サイドシル3のインナパネル11の下面部に設けられたジャッキ受け部5の下面をカバー可能なジャッキカバー30を設け、ジャッキカバー保持機構35により、ジャッキカバー30がジャッキ受け部5の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部5にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙ってジャッキカバー30を可動に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のアンダーカバー構造に関し、特に、サイドシルのジャッキ受け部の下面をカバー可能な可動式のジャッキカバーを備えた構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車において、車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えたもの(例えば、特許文献1参照)が実用に供されており、このアンダーカバーにより、走行中の車体フロア下側の空気流が整流されて、操縦安定性が高められ、また、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びが防止される。
【0003】
一方、自動車において、通常、車体の1対のサイドシルの下面部にはジャッキ受け部が設けられ、タイヤ交換時等、このジャッキ受け部の下側にジャッキを配置し、そのジャッキのヘッド部を上昇させジャッキ受け部に当接させて、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与して、ジャッキアップすることができる。
【0004】
ここで、通常、サイドシルはアウタパネルとインナパネルとを接合して閉断面に形成されるが、アンダーカバーにより、車体フロアと共にサイドシルインナパネルの下面をカバーすることで、路面からの水や泥等によるサイドシルインナパネルの下面の汚れや錆びを防止し、走行中の車体フロア下側の空気流の整流性能つまり操縦安定性の一層の向上を期待できる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−330457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車において、通常、車体の1対のサイドシルの下面部にはジャッキ受け部が設けられているが、ジャッキ受け部を設ける上でのサイドシルの形状や見栄え、ジャッキアップの安定性等の観点から、サイドシルインナパネルの下面部にジャッキ受け部を設ける場合が多い。従って、アンダーカバーにより、サイドシルインナパネルの下面をカバーするような場合でも、ジャッキアップを可能にするために、ジャッキ受け部の下面については、カバーできずに露出状態になり、故に、汚れや錆びを防止できず、走行中の車体フロア下側の空気流の整流性能(操縦安定性)の一層の向上を望むことも難しい。
【0007】
そこで、アンダーカバーをジャッキ受け部に密着状態に設けると、ジャッキアップを可能にして、このアンダーカバーによりジャッキ受け部の下面をカバーできるが、アンダーカバーとジャッキ受け部との接触により異音が発生すること、アンダーカバーがジャッキ受け部と接触することで摩耗し易いこと、この場合、アンダーカバーとジャッキ受け部との間に砂等が存在すると前記摩耗が助長されること、アンダーカバーとジャッキ受け部との間に水が溜まり易くなりジャッキ受け部が錆び易くなること、等の問題が懸念される。
【0008】
本発明の目的は、アンダーカバーに可動式のジャッキカバーを設け、通常時には、ジャッキカバーがカバー位置に保持されてジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーし、ジャッキアップ時には、ジャッキアップ作業に連動して、ジャッキカバーがカバー位置から退避位置へ移動して、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与してジャッキアップできる、自動車のアンダーカバー構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の自動車のアンダーカバー構造は、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、前記アンダーカバーに設けられ、車体の左右1対のサイドシルのインナパネルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面を夫々カバー可能なジャッキカバーと、前記ジャッキカバーがジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙ってジャッキカバーを可動に保持するジャッキカバー保持機構とを備え、通常時にジャッキカバーがカバー位置に保持されるとともに、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置に移動させてジャッキアップ可能に構成されたものである。
【0010】
アンダーカバーにより、車体フロアの下面側がカバーされるため、走行中の車体フロア下側の空気流が整流されて、操縦安定性が高められ、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びが防止される。車体の左右1対のサイドシルのインナパネルの下面側にジャッキ受け部が設けられ、アンダーカバーには、このジャッキ受け部の下面を夫々カバー可能なジャッキカバーが設けられ、ジャッキカバー保持機構により、ジャッキカバーがジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置と、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙って、ジャッキカバーが可動に保持される。
【0011】
通常時には、ジャッキカバーがカバー位置に保持されるため、このジャッキカバーにより、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部を含むサイドシルインナパネルの下面の汚れや錆びが防止され、走行中の車体フロア下側の空気流の整流性能つまり操縦安定性の一層の向上が期待される。特に、ジャッキカバーがカバー位置のときには、ジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするため、ジャッキカバーとジャッキ受け部との接触によえ異音が発生すること、アンダーカバーがジャッキ受け部と接触することで摩耗し易いこと、アンダーカバーとジャッキ受け部との間に水が溜まり易くなりジャッキ受け部が錆び易くなること、等が防止される。
【0012】
ここで、サイドシルインナパネルのうちジャッキ受け部の他の部分の下面を、アンダーカバーのうちジャッキカバーの他の部分(カバー本体の車幅方向端部)により間隙を空けてカバーするように構成することが好ましい。ジャッキアップ時には、ジャッキアップ作業者等が手動でジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させなくても、ジャッキアップ作業に連動して、ジャッキアップのヘッド部により、ジャッキカバーがカバー位置から少なくとも上方の退避位置へ移動されて、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力が付与され、ジャッキアップされる。ここで、ジャッキアップ解除時に、ジャッキカバーが自動的に退避位置からカバー位置へ復帰するように構成可能である。
【0013】
請求項1の発明の従属請求項の構成として次の構成を採用可能である。
前記ジャッキカバー保持機構は、ジャッキカバーをカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバーが上方へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部に当接させ、ヘッド部はジャッキカバーを介してジャッキ受け部に当接する。
【0014】
前記ジャッキカバー保持機構は、ジャッキカバーをカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバーが上方且つ車幅方向内側へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部に直接当接する(請求項2)。前記ジャッキカバーをカバー位置へ付勢する付勢部材を設ける(請求項3)。前記ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部をアンダーカバーに設ける(請求項4)。
【0015】
前記ジャッキカバー保持機構は、サイドシルのインナパネルのうちジャッキ受け部よりも車幅方向内側部分に形成された車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面を有し、前記ジャッキカバーがカバー位置と退避位置とに亙って移動する際に前記傾斜面にガイドされる被ガイド部をジャッキカバーに設ける(請求項5)。前記ジャッキカバーがカバー位置のときに、前記被ガイド部が傾斜面から離隔している(請求項6)。
【0016】
前記ジャッキカバーが上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成され、前記アンダーカバーのカバー本体に車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバーが内嵌される切欠穴が形成され、前記ジャッキカバーがカバー位置のときに、アンダーカバーのカバー本体の上面に当接するフランジ部をジャッキカバーの上端に設ける(請求項7)。前記ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部として、ジャッキカバーがカバー位置のときに、前記フランジ部を車幅方向外側から受け止めるストッパー部をアンダーカバーのカバー本体に設ける(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーに、車体の左右1対のサイドシルのインナパネルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面を夫々カバー可能なジャッキカバーを設け、このジャッキカバーがジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙ってジャッキカバーを可動に保持するジャッキカバー保持機構を設け、通常時にジャッキカバーがカバー位置に保持されるとともに、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置に移動させてジャッキアップ可能に構成した。
【0018】
つまり、アンダーカバーにより、車体フロアの下面側をカバーすることで、走行中の車体フロア下側の空気流を整流して、操縦安定性を高め、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びを防止できるが、更に、通常時には、カバー位置に保持されたジャッキカバーにより、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部を含むサイドシルインナパネルの下面の汚れや錆びを防止でき、走行中の車体フロア下側の空気流の整流性能つまり操縦安定性の一層の向上を期待でき、特に、ジャッキカバーがカバー位置のときには、ジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするため、ジャッキカバーとジャッキ受け部との接触により異音が発生すること、アンダーカバーがジャッキ受け部と接触することで摩耗し易いこと、アンダーカバーとジャッキ受け部との間に水が溜まり易くなりジャッキ受け部が錆び易くなること、等を防止でき、一方、ジャッキアップ時には、ジャッキアップ作業者等が手動でジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させなくても、ジャッキアップ作業に連動して、ジャッキアップのヘッド部によりジャッキカバーをカバー位置から少なくとも上方の退避位置へ移動させて、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与して、簡単に確実にジャッキアップすることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、ジャッキカバー保持機構は、ジャッキカバーをカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバーが上方且つ車幅方向内側へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部に直接当接するので、ジャッキ受け部にジャッキアップ力を確実に付与するとともに、ジャッキカバーにジャッキアップ力を作用させないようにして、ジャッキカバーの損傷を確実に防止できる。
【0020】
請求項3の発明によれば、ジャッキカバーをカバー位置へ付勢する付勢部材を設けたので、ジャッキカバーをガタつかせずに、通常時にはカバー位置に確実に保持できるとともに、カバー位置と退避位置とに亙って移動させることができ、更に、ジャッキアップ解除時にジャッキカバーを自動的に退避位置からカバー位置へ復帰させることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部をアンダーカバーに設けたので、通常時にジャッキカバーをガタつかせずにカバー位置に確実に保持できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、ジャッキカバー保持機構は、サイドシルのインナパネルのうちジャッキ受け部よりも車幅方向内側部分に形成された車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面を有し、ジャッキカバーがカバー位置と退避位置とに亙って移動する際に前記傾斜面にガイドされる被ガイド部をジャッキカバーに設けたので、サイドシルインナパネルの傾斜面を利用して、ジャッキカバーをカバー位置とカバー位置の上方且つ車幅方向内側の退避位置とに亙って安定して移動させることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、ジャッキカバーがカバー位置のときに、被ガイド部が傾斜面から離隔しているので、ジャッキカバーがカバー位置のときに、ジャッキカバーとサイドシル(傾斜面)との接触により異音が発生することを確実に防止できる。
【0024】
請求項7の発明によれば、ジャッキカバーが上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成され、アンダーカバーのカバー本体に車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバーが内嵌される切欠穴が形成され、ジャッキカバーがカバー位置のときに、アンダーカバーのカバー本体の上面に当接するフランジ部をジャッキカバーの上端に設けたので、ジャッキカバー保持機構により、ジャッキカバーをカバー位置と退避位置とに亙って可動に確実に保持でき、通常時にはジャッキカバーをカバー位置にガタつかせずに確実に保持できる。
【0025】
請求項8の発明によれば、ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部として、ジャッキカバーがカバー位置のときに、フランジ部を車幅方向外側から受け止めるストッパー部をアンダーカバーのカバー本体に設けたので、通常時にジャッキカバーのカバー位置における車幅方向外側への移動を確実に規制して、ジャッキカバーをガタつかせずにカバー位置に確実に保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の自動車のアンダーカバー構造では、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーに、車体の左右1対のサイドシルのインナパネルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面を夫々カバー可能なジャッキカバーが設けられ、ジャッキカバー保持機構により、ジャッキカバーがジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙って可動に保持され、通常時にジャッキカバーがカバー位置に保持されるとともに、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置に移動させてジャッキアップ可能に構成されている。
【実施例1】
【0027】
図1〜図5に示すように、自動車の車体1は、車体フロア2と左右1対のサイドシル3を備え、車体フロア2のフロアパネル2aの車幅方向両端部が1対のサイドシル3に接合されている。車体1の前後左右の4箇所にホイールハウス4が形成され、1対サイドシル3には、夫々、前側のホイールハウス4の後側部分と後側のホイールハウス4の前側部分にジャッキ受け部5が設けられている。尚、サイドシル3の前後両端部が前後のホイールハウス4のパネル部材に接合されている。
【0028】
各サイドシル3は、車幅方向外側に凸のアウタパネル10と、車幅方向内側に凸のインナパネル11とを有し、これらアウタパネル10とインナパネル11の上端フランジ10a,11a同士と下端フランジ10b,11b同士が接合されて、閉断面が形成され、インナパネル11の内面にフロアパネル2aが接合されている。各ジャッキ受け部5は、インナパネル11の下面部に設けられ、具体的には、インナパネル11の底壁部に通常底壁部レベルよりも下方突出状に形成されている。
【0029】
図1〜図5に示すように、自動車のアンダーカバー構造20は、車体フロア2の下面側をカバーする左右1対のアンダーカバー21と、4つのジャッキ受け部5を夫々開閉可能な4つのジャッキカバー装置22を備えている。
【0030】
図1に示すように、1対のアンダーカバー21は、車体フロア2の下側の車幅方向中央部分に所定の隙間を空けて配設され、この隙間にエンジン排気管(図示略)等が臨むように配設されている。各アンダーカバー21は、複数箇所で車体フロア2に結合されて取り付けられ、その為の取付穴25a(図3参照)がアンダーカバー21のカバー本体25に形成されている。
【0031】
各アンダーカバー21は、その大部分が略フラットな合成樹脂製のカバー本体25で構成されるとともに、4つのジャッキ受け部5の下面を夫々カバー可能な4つの合成樹脂製又は金属製(例えば、アルミ合金製又はステンレス製)のジャッキカバー30を有する。各アンダーカバー21は、車体フロア2の車幅方向半部うち、少なくとも前後方向位置において前後のホイールハウス4の位置間の大部分の下面をカバーし、その車幅方向外端部分が、サイドシル3のインナパネル11の下端フランジ11bに近接して、インナパネル11の下面の略全部をカバーする。
【0032】
各ジャッキカバー装置22について詳細に説明する。
図3〜図5に示すように、ジャッキカバー装置22は、アンダーカバー21に設けられジャッキ受け部5の下面をカバー可能なジャッキカバー30と、ジャッキカバー30がジャッキ受け部5の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置(図4参照)とジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から上方へ移動してジャッキ受け部5の下面に当接した退避位置(図5参照)とに亙ってジャッキカバー30を可動に保持するジャッキカバー保持機構35とを備えている。
【0033】
ジャッキカバー30は、底壁31、前側壁32、後側壁33、内側壁34を有し、上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成されている。底壁31はジャッキ受け部5の下側に位置し且つジャッキ受け部5よりも大きな面積を有する矩形形状に形成されている。側壁32〜34は、底壁31に対して上方へ向かって広がるテーパ状に形成され、ジャッキカバー30(側壁32〜34)の上端に、その開口と反対側へ水平に広がる前フランジ部32a、後フランジ部33a、内フランジ部34aが設けられている。
【0034】
底壁31には水抜き穴31aが形成されている。また、底壁31、前側壁32、後側壁33の車幅方向外端位置は同じであり、前フランジ部32a、後フランジ部33aの車幅方向外端位置は、前側壁32、後側壁33の車幅方向外端位置よりも少し車幅方向内側へ位置している。尚、底壁31、側壁32〜34、フランジ部32a〜34aは一体成形されている。
【0035】
アンダーカバー21の本体カバー25には、車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバー30が内嵌される切欠穴40が形成されている。この切欠穴40については、ジャッキカバー30のフランジ部32a〜34aをカバー本体25の上面に当接させることができ、その状態で、ジャッキカバー30の側壁32〜34の上端の外周形状と略同じ大きさの矩形形状に形成されている。
【0036】
本体カバー25には、切欠穴40に臨む端部に、切欠穴40に対して下方へ向かって狭まるテーパ状の前傾斜部41、後傾斜部42、内傾斜部43が形成されている。これら傾斜部41〜43の傾斜角は夫々ジャッキカバー30の側壁32〜34の傾斜角と同じであり、側壁32〜34が傾斜部41〜43に当接可能である。
【0037】
カバー本体25には、ジャッキカバー30をカバー位置へ位置決めする位置決め部として、ジャッキカバー30がカバー位置のときに、ジャッキカバー30の前フランジ部32a、後フランジ部33aを車幅方向外側から受け止める前後1対のストッパー部45が設けられている。1対のストッパー部45は、切欠穴40を挟んで切欠穴40の近傍部に上方突出状のブロック形状に形成されている。
【0038】
各ストッパー部45は、切欠穴40に臨む側面が、傾斜部41又は42の面に連続する傾斜面45aに形成され、車幅方向内端側の側面が、車幅方向と直交する鉛直面45bに形成され、この鉛直面45bに、ジャッキカバー30の前フランジ部32a又は前フランジ部32aの車幅方向外端部が当接する。
【0039】
カバー本体25のうち切欠穴40の車幅方向内側部分の上面部に、付勢部材に相当する板バネ47が設けられている。板バネ47は、車幅方向に比較的長く、例えば、ジャッキカバー30の前後長の1/2〜1/3程度の前後方向幅を有し、板バネ47の車幅方向内側部分がカバー本体25にリベット47aで締結され、車幅方向外端部がジャッキカバー30の内フランジ部34aに上側から当接している。この板バネ47により、ジャッキカバー30が下方且つ車幅方向外側へ付勢され、結局、カバー位置へ付勢されている。
【0040】
ここで、前記ジャッキカバー保持機構35は、前記矩形穴40、傾斜部41〜43、ストッパー部45、板バネ47等で構成されている。
以上説明した自動車のアンダーカバー構造20(各ジャッキカバー装置22)の作用、効果について説明する。
【0041】
ジャッキカバー30が、カバー本体25の切欠穴40に内嵌され、板バネ47によりカバー位置に付勢されて、図3、図4に示すように、通常時には、ジャッキカバー30に外力が作用しない状態で、ジャッキカバー30のフランジ部32a〜34aがカバー本体25の上面に当接し、ジャッキカバー30の側壁32〜34がカバー本体25の傾斜部41〜43に当接し、ジャッキカバー30のフランジ部32a,33aの車幅方向外端部が1対のストッパー部45の鉛直面45bに当接して、ジャッキカバー30がカバー位置に位置決めされた状態で保持され、このジャッキカバー30により、ジャッキ受け部5の下面が間隙を空けてカバーされる。
【0042】
タイヤ交換時等、ジャッキアップ時には、ジャッキ受け部5の下側にジャッキJを配置し、そのジャッキJのヘッド部Jaを上昇させる。すると、ヘッド部Jaがジャッキカバー30の底壁31に下側から当接して、ジャッキカバー30を板バネ47による付勢力に抗して上方へ移動させる。このとき、ジャッキカバー30は板バネ47により車幅方向外側へも付勢されているため、ジャッキカバー30のフランジ部32a,33aの車幅方向外端部が1対のストッパー部45の鉛直面45bに当接した状態が維持されるため、この鉛直面45bにガイドされて、ジャッキカバー30は車幅方向の位置が殆ど変化することなくヘッド部Jaと共に上方へ移動する。
【0043】
図5に示すように、ジャッキカバー30の底壁31がジャッキ受け部5に当接すると、ジャッキカバー30が退避位置になり、ヘッド部Jaも底壁31を介してジャッキ受け部5に当接した状態になるため、ジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与可能な状態になり、この状態で、ヘッド部Jaを上昇させることで、ジャッキアップすることができる。
【0044】
ジャッキアップ解除時に、ジャッキJのヘッド部Jaを下降させると、ジャッキJにサイドシル3から作用する荷重が略0となったときから、板バネにより47により付勢されたジャッキカバー30が、カバー位置からヘッド部Jaと共に下方へ移動し、このとき、ジャッキカバー30が上方へ移動する場合と同様に、ジャッキカバー30のフランジ部32a,33aの車幅方向外端部が1対のストッパー部45の鉛直面45bにガイドされ、更に、ジャッキカバー30の側壁32〜34がカバー本体25の傾斜部41〜43にガイドされて、最終的にカバー位置に確実に位置決めされる。
【0045】
この自動車のアンダーカバー構造20によれば、車体フロア2の下面側をカバーするアンダーカバー21に、車体1の左右1対のサイドシル3のインナパネル11の下面部に設けられたジャッキ受け部5の下面を夫々カバー可能なジャッキカバー30を設け、このジャッキカバー30がジャッキ受け部5の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から上方へ移動した退避位置とに亙ってジャッキカバー30を可動に保持するジャッキカバー保持機構35を設け、通常時にジャッキカバー30がカバー位置に保持されるとともに、ジャッキアップ時にジャッキJのヘッド部Jaがジャッキカバー30をカバー位置から退避位置に移動させてジャッキアップ可能に構成した。
【0046】
つまり、アンダーカバー21により、車体フロア2の下面側をカバーすることで、走行中の車体フロア2の下側の空気流を整流して、操縦安定性を高め、路面からの水や泥等による車体フロア2の下面の汚れや錆びを防止できるが、更に、通常時には、カバー位置に保持されたジャッキカバー30により、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部5を含むサイドシル3のインナパネル11の下面の汚れや錆びを防止でき、走行中の車体フロア2の下側の空気流の整流性能つまり操縦安定性の一層の向上を期待できる。
【0047】
特に、ジャッキカバー30がカバー位置のときには、ジャッキ受け部5の下面を間隙を空けてカバーするため、ジャッキカバー30とジャッキ受け部5との接触により異音が発生すること、アンダーカバー30がジャッキ受け部5と接触することで摩耗し易いこと、アンダーカバー30とジャッキ受け部5との間に水が溜まり易くなりジャッキ受け部5が錆び易くなること、等を防止でき、一方、ジャッキアップ時には、ジャッキアップ作業者等が手動でジャッキカバー30をカバー位置から退避位置へ移動させなくても、ジャッキアップ作業に連動して、ジャッキアップJのヘッド部Jaによりジャッキカバー30をカバー位置から上方の退避位置へ移動させて、ジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与して、簡単に確実にジャッキアップすることができる。
【0048】
ジャッキカバー保持機構35は、ジャッキカバー30をカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバー30が上方へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、ジャッキアップ時にジャッキJのヘッド部Jaがジャッキカバー30をカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部5に当接させ、ヘッド部Jaはジャッキカバー30を介してジャッキ受け部5に当接するので、ジャッキアップ時には、ジャッキ受け部5にジャッキアップ力を確実に付与でき、また、ジャッキカバー30を上下に可動に保持するジャッキカバー保持機構35を簡単化でき且つ信頼性を高めることができる。
【0049】
ジャッキカバー30をカバー位置へ付勢する板バネ47を設けたので、ジャッキカバー30をガタつかせずに、通常時にはカバー位置に確実に保持できるとともに、カバー位置と退避位置とに亙って移動させることができ、更に、ジャッキアップ解除時にジャッキカバー30を自動的に退避位置からカバー位置へ復帰させることができる。
【0050】
ジャッキカバー30が上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成され、アンダーカバー21のカバー本体25に車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバー30が内嵌される切欠穴40が形成され、ジャッキカバー30がカバー位置のときに、アンダーカバー21のカバー本体25の上面に当接するフランジ部32a〜34aをジャッキカバー30の上端に設け、しかも、ジャッキカバー30をカバー位置へ位置決めする位置決め部として、切欠穴40、傾斜部41〜43、ストッパー部45等をアンダーカバー21のカバー本体25に設けたので、ジャッキカバー保持機構35により、ジャッキカバー30をカバー位置と退避位置とに亙って可動に確実に保持でき、通常時にはジャッキカバー30をカバー位置にガタつかせずに確実に保持できる。
【0051】
尚、この自動車のアンダーカバー構造20においては、カバー本体25の傾斜部41〜43を省略してもよい。ジャッキカバー30が退避位置のときに、その底壁31がカバー本体25の傾斜部41〜43の内側に位置している場合には、その側壁32〜34と傾斜部41〜43を鉛直に形成してもよい。板バネ47の代わりに1又は複数のコイルバネ等の種々の弾性部材を適用してもよい。底壁31を車幅方向外側へ傾斜状に形成してもよい。底壁31の水抜き穴31aを省略してもよい。
【実施例2】
【0052】
図6〜図8に示すように、実施例2の自動車のアンダーカバー構造50は、車体フロア2の下面側をカバーする左右1対のアンダーカバー51と、4つのジャッキ受け部5を夫々開閉可能な4つのジャッキカバー装置52を備えている。アンダーカバー51は、実施例1のカバー本体25と略同様のカバー本体55と、4つのジャッキ受け部5の下面を夫々カバー可能な4つの合成樹脂製又は金属製のジャッキカバー60を有する。尚、実施例1と基本的に同じものには同一符号を付して説明する。
【0053】
各ジャッキカバー装置52について詳細に説明する。
図6〜図8に示すように、ジャッキカバー装置52は、アンダーカバー51に設けられジャッキ受け部5の下面をカバー可能なジャッキカバー60と、ジャッキカバー60がジャッキ受け部5の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置(図7参照)とジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から上方へ移動してジャッキ受け部5の下面に当接した退避位置(図8参照)とに亙ってジャッキカバー60を可動に保持するジャッキカバー保持機構65とを備えている。
【0054】
ジャッキカバー60は、底壁61、前側壁62、後側壁63、内側ブロック部64を有し、上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成されている。ジャッキカバー60がカバー位置のときに、底壁61はジャッキ受け部5の下側に位置し、且つ、底壁61はジャッキ受け部5よりも大きな面積を有する矩形形状に形成されている。側壁62,63は、底壁61に対して上方へ向かって広がるテーパ状に形成されている。
【0055】
内側ブロック部64は、底壁61の車幅方向内端から上方へ延びる鉛直な内側面65、内側面65の上端から車幅方向内側へ延びる水平な上面66、内側面65の下端と上面66の車幅方向内端とを繋ぐ車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面67を有し、断面3角形の中空の閉断面(又は中実)に形成されている。ジャッキカバー60(側壁62,63、内側ブロック部64)の上端に、その開口と反対側へ水平に広がる前フランジ部62a、後フランジ部63a、内フランジ部64aが設けられている。
【0056】
底壁61、前側壁62、後側壁63の車幅方向外端位置は同じであり、前フランジ部62a、後フランジ部63aの車幅方向外端位置は、前側壁62、後側壁63の車幅方向外端位置よりも車幅方向内側へ位置している。
【0057】
ここで、サイドシル3のインナパネル11のうちジャッキ受け部5よりも車幅方向内側部分に、車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面11cが形成され、ジャッキカバー60がカバー位置と退避位置とに亙って移動する際に傾斜面11cにガイドされる被ガイド部として、内側ブロック部64(詳細には、内側ブロック部64の上端且つ車幅方向外端の角部)がジャッキカバー60に設けられ、ジャッキカバー60がカバー位置のときに、内側ブロック部64が傾斜面11cから離隔している。
【0058】
アンダーカバー51の本体カバー55には、車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバー60が内嵌される切欠穴70が形成されている。この切欠穴70については、ジャッキカバー60のフランジ部62a〜64aをカバー本体55の上面に当接させることができ、その状態で、ジャッキカバー60の側壁62,63と内側ブロック部64の上端の外周形状と略同じ大きさの矩形形状に形成されている。
【0059】
本体カバー55には、切欠穴70に臨む端部に、切欠穴70に対して下方へ向かって狭まるテーパ状の前傾斜部71、後傾斜部72、内傾斜部73が形成されている。これら傾斜部71〜73の傾斜角は夫々ジャッキカバー60の側壁62,63、傾斜面67の傾斜角と同じであり、側壁62,63、傾斜面67が傾斜部61〜63に当接可能である。
【0060】
カバー本体55には、ジャッキカバー60をカバー位置へ位置決めする位置決め部として、ジャッキカバー60がカバー位置のときに、ジャッキカバー60の前フランジ部62a、後フランジ部63aを車幅方向外側から受け止める前後1対のストッパー部75が設けられている。1対のストッパー部75は、切欠穴70を挟んで切欠穴70の近傍部に上方突出状のブロック形状に形成されている。
【0061】
各ストッパー部75は、切欠穴70に臨む側面が、傾斜部71又は72の面に連続する傾斜面75aに形成され、車幅方向内端側の側面が、車幅方向と直交する鉛直面75bに形成され、この鉛直面75bに、カバー位置のジャッキカバー60の前フランジ部62a又は前フランジ部62aの車幅方向外端部が当接する。
【0062】
カバー本体55のうち切欠穴70の車幅方向内側部分の上面部に、付勢部材に相当する板バネ77が設けられている。板バネ77は、車幅方向に比較的長く、例えば、ジャッキカバー60の前後長の2/3程度の前後方向幅を有し、板バネ77の車幅方向内側部分がカバー本体55にリベット77aで締結され、車幅方向外端部がジャッキカバー60の内フランジ部64aに上側から当接している。この板バネ77により、ジャッキカバー60が下方且つ車幅方向外側へ付勢され、結局、カバー位置へ付勢されている。
【0063】
ここで、前記ジャッキカバー保持機構65は、前記傾斜面11c、矩形穴70、傾斜部71〜73、ストッパー部75、板バネ77等で構成されている。
以上説明した自動車のアンダーカバー構造50(各ジャッキカバー装置62)の作用、効果について説明する。
【0064】
ジャッキカバー60が、カバー本体55の切欠穴70に内嵌され、板バネ77によりカバー位置に付勢されて、図6、図7に示すように、通常時には、ジャッキカバー60に外力が作用しない状態で、ジャッキカバー60のフランジ部62a〜64aがカバー本体55の上面に当接し、ジャッキカバー60の側壁62,63、傾斜面67がカバー本体55の傾斜部71〜73に当接し、ジャッキカバー60のフランジ部62a,63aの車幅方向外端部が1対のストッパー部75の鉛直面75bに当接して、ジャッキカバー60がカバー位置に位置決めされた状態で保持され、このジャッキカバー60により、ジャッキ受け部5の下面が間隙を空けてカバーされる。
【0065】
タイヤ交換時等、ジャッキアップ時には、ジャッキ受け部5の下側にジャッキJを配置し、そのジャッキJのヘッド部Jaを上昇させる。すると、ヘッド部Jaがジャッキカバー60の底壁61に下側から当接して、先ず、ジャッキカバー60を板バネ77による付勢力に抗して上方へ移動させる。このとき、ジャッキカバー60は板バネ77により車幅方向外側へも付勢されているため、ジャッキカバー60のフランジ部62a,63aの車幅方向外端部が1対のストッパー部75の鉛直面75bに当接した状態が維持されるため、この鉛直面75bにガイドされて、ジャッキカバー60は車幅方向の位置が殆ど変化することなくヘッド部Jaと共に上方へ移動する。
【0066】
図8に仮想線で示すように、ジャッキカバー60が上方へ移動すると、内側ブロック部64がサイドシル3のインナパネル11の傾斜面11cに当接し、この状態で、ジャッキJのヘッド部Jaが上昇すると、内側ブロック部64が傾斜面11cに案内されて、ジャッキカバー60を上方且つ車幅方向内側へ移動させ、図9に実線で示すように、最終的には、底壁61がヘッド部Jaよりも車幅方向内側へ移動して、ジャッキカバー60が退避位置になり、ヘッド部Jaがジャッキ受け部5に直接当接した状態になるため、ジャッキ受け部5にジャッキJからジャッキアップ力を付与可能な状態になり、この状態で、ヘッド部Jaを上昇させることで、ジャッキアップすることができる。
【0067】
ジャッキアップ解除時に、ジャッキJのヘッド部Jaを下降させると、ジャッキJにサイドシル3から作用する荷重が略0となり、ジャッキ受け部5とヘッド部Jaとの間に隙間ができると、板バネにより77により付勢されたジャッキカバー60が、カバー位置から下方且つ車幅方向外側へ移動し、ジャッキカバー60のフランジ部62a,63aの車幅方向外端部が1対のストッパー部75の鉛直面75bに当接すると、それから、ストッパー部75の鉛直面75bにガイドされて、ジャッキカバー60がヘッド部Jaと共に下方へ移動して最終的にカバー位置に位置決めされる。
【0068】
この自動車のアンダーカバー構造50によれば、ジャッキカバー保持機構65は、ジャッキカバー60をカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバー60が上方且つ車幅方向内側へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、ジャッキアップ時にジャッキJのヘッド部Jaがジャッキカバー60をカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部5に直接当接するので、ジャッキアップ時には、ジャッキ受け部5にジャッキアップ力を確実に付与するとともに、ジャッキカバー60にはジャッキアップ力を作用させないようにして、ジャッキカバー60の損傷を確実に防止できる。
【0069】
ジャッキカバー保持機構65は、サイドシル3のインナパネル11のうちジャッキ受け部5よりも車幅方向内側部分に形成された車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面11cを有し、ジャッキカバー60がカバー位置と退避位置とに亙って移動する際に傾斜面11cにガイドされる内側ブロック部64をジャッキカバー60に設けたので、サイドシル3のインナパネル11の傾斜面11cを利用して、ジャッキカバー60をカバー位置とカバー位置の上方且つ車幅方向内側の退避位置とに亙って安定して移動させることができる。
【0070】
ジャッキカバー60がカバー位置のときに、内側ブロック部64が傾斜面11cから離隔しているので、ジャッキカバー60がカバー位置のときに、ジャッキカバー60とサイドシル3(傾斜面11c)との接触により異音が発生することを確実に防止できる。その他、実施例1と基本的に同様の効果を奏する。
【0071】
尚、この自動車のアンダーカバー構造50においては、カバー本体55の傾斜部71〜73を省略してもよい。ジャッキカバー60が退避位置のときに、その底壁61がカバー本体25の傾斜部71〜73の内側に位置している場合には、その側壁62,64と傾斜部71,72を鉛直に形成してもよい。板バネ77の代わりに1又は複数のコイルバネ等の種々の弾性部材を適用してもよい。底壁61を車幅方向外側へ傾斜状に形成してもよい。底壁61に水抜き穴を形成してもよい。
【0072】
尚、本発明の自動車のアンダーカバー構造については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、また、種々の自動車に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1の自動車のアンダーカバー構造を含む底面図である。
【図2】ジャッキ受け部を含むサイドシルの下側から斜視図である。
【図3】アンダーカバー構造の要部の上側からの斜視図である。
【図4】アンダーカバー構造のジャッキカバーがカバー位置に位置する状態の要部の縦断面図である。
【図5】アンダーカバー構造のジャッキカバーが退避位置に位置する状態の要部の縦断面図である。
【図6】実施例2のアンダーカバー構造の要部の上側からの斜視図である。
【図7】アンダーカバー構造のジャッキカバーがカバー位置に位置する状態の要部の縦断面図である。
【図8】アンダーカバー構造のジャッキカバーが退避位置に位置する状態の要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0074】
J ジャッキ
Ja ヘッド部
1 車体
2 車体フロア
3 サイドシル
5 ジャッキ受け部
11 インナパネル
11c 傾斜面
20,50 自動車のアンダーカバー構造
21,51 アンダーカバー
25,55 カバー本体
30,60 ジャッキカバー
32a,33a,34a,62a,63a,64a フランジ部
35,65 ジャッキカバー保持機構
40,70 切欠穴
45,75 ストッパー部
47,77 板バネ
64 内側ブロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、
前記アンダーカバーに設けられ、車体の左右1対のサイドシルのインナパネルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面を夫々カバー可能なジャッキカバーと、
前記ジャッキカバーがジャッキ受け部の下面を間隙を空けてカバーするカバー位置とジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与可能にカバー位置から少なくとも上方へ移動した退避位置とに亙ってジャッキカバーを可動に保持するジャッキカバー保持機構とを備え、
通常時にジャッキカバーがカバー位置に保持されるとともに、ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置に移動させてジャッキアップ可能に構成されたことを特徴とする自動車のアンダーカバー構造。
【請求項2】
前記ジャッキカバー保持機構は、ジャッキカバーをカバー位置とこのカバー位置からジャッキカバーが上方且つ車幅方向内側へ移動した退避位置とに亙って可動に保持し、
ジャッキアップ時にジャッキのヘッド部がジャッキカバーをカバー位置から退避位置へ移動させてジャッキ受け部に直接当接することを特徴とする請求項1に記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項3】
前記ジャッキカバーをカバー位置へ付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項4】
前記ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部をアンダーカバーに設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項5】
前記ジャッキカバー保持機構は、サイドシルのインナパネルのうちジャッキ受け部よりも車幅方向内側部分に形成された車幅方向内方程上方へ移行する傾斜面を有し、
前記ジャッキカバーがカバー位置と退避位置とに亙って移動する際に前記傾斜面にガイドされる被ガイド部をジャッキカバーに設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項6】
前記ジャッキカバーがカバー位置のときに、前記被ガイド部が傾斜面から離隔していることを特徴とする請求項5に記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項7】
前記ジャッキカバーが上方且つ車幅方向外端を開放した箱状に形成され、
前記アンダーカバーのカバー本体に車幅方向外側端部から切り欠かれ且つジャッキカバーが内嵌される切欠穴が形成され、
前記ジャッキカバーがカバー位置のときに、アンダーカバーのカバー本体の上面に当接するフランジ部をジャッキカバーの上端に設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項8】
前記ジャッキカバーをカバー位置へ位置決めする位置決め部として、ジャッキカバーがカバー位置のときに、前記フランジ部を車幅方向外側から受け止めるストッパー部をアンダーカバーのカバー本体に設けたことを特徴とする請求項7に記載の自動車のアンダーカバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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