自動車のアンダーフロア構造
【課題】エンジンルーム内の空気を排出させると共に車輪によって発生する空気抵抗を効率よく低減させる自動車のアンダーフロア構造を提供すること。
【解決手段】エンジンルームEの下側とこのエンジンルームEの後方に隔成された車室Rの下側とにまたがってアンダーカバー10を配設した自動車のアンダーフロア構造で、エンジンルームE及び車室Rとアンダーカバー10との間にエンジンルームEに連通すると共に、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する第一風路21と、右側後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを形成し、車体Sの走行時にエンジンルームEに流れ込んだ空気を吹出口21a、21a、23a、23bから吹き出させて、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側生じる空気抵抗を低減させている。
【解決手段】エンジンルームEの下側とこのエンジンルームEの後方に隔成された車室Rの下側とにまたがってアンダーカバー10を配設した自動車のアンダーフロア構造で、エンジンルームE及び車室Rとアンダーカバー10との間にエンジンルームEに連通すると共に、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する第一風路21と、右側後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを形成し、車体Sの走行時にエンジンルームEに流れ込んだ空気を吹出口21a、21a、23a、23bから吹き出させて、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側生じる空気抵抗を低減させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム及び車室の下側にアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のエンジンルームの下側と、このエンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設し、車両下部を通過する空気の流れを円滑にして空気抵抗を減少させる自動車のアンダーフロア構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、エンジンルームの下側に配設したアンダーカバーによって、車両走行時にエンジンルーム内で発生する高温の空気が排出されにくくなり、エンジンルーム内の温度が上昇したり、エンジンルーム内が高圧になってラジエータに冷却空気を導入しにくくなったりすることがあった。
【0004】
そこで、エンジンルームに連通すると共に、車両走行時にエンジンルーム内の空気を後輪に向って流出させるダクトを、エンジンルームの下側に配設したアンダーカバーに形成した自動車のアンダーフロア構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この構造のアンダーカバーは前輪の間に配置されており、このアンダーカバーに前後に延びる一対のダクトを形成し、このダクトの排出口端を斜め外方に向けている。
【0006】
また、車両前方から流れる空気を制御するために、車両前端部に設けられたバンパーに開口部を形成し、車両走行時に前方から流れる空気をこの開口部より取り入れて、前輪の前側であって車両下方に向けて吹き出させる自動車のアンダーフロア構造も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−215073号公報
【特許文献2】特開平7−52836号公報
【特許文献3】特開平10−305786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エンジンルーム内の空気を後輪に向って流出させるアンダーフロア構造では、前輪の間に一対のダクトを配置し、このダクトの排出口端を斜め外方に向けることにより車体の床下に生じる空気抵抗を低減させるようにしたものであり、前輪及び後輪の空気抵抗を低減することができないという問題があった。
【0008】
また、バンパーに形成した開口部から取り入れた空気を車両下方に向けて吹き出させるアンダーフロア構造では、エンジンルーム内に発生する高温の空気を排出することができず、このエンジンルーム内の空気を排出する機構を別途考慮しなければならないという問題があった。
【0009】
さらに、このアンダーフロア構造では、開口部から入った空気が前輪前側に流れ込むようになっているだけであり、このため、後輪の空気抵抗を低減させることができないという問題もあった。
【0010】
そこで、この発明は、エンジンルーム内の空気を排出させることができると共に、走行時における車輪の空気抵抗を効率よく低減させることができる自動車のアンダーフロア構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、エンジンルームの下側と該エンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造であって、前記エンジンルーム及び前記車室と前記アンダーカバーとの間に、前記エンジンルームに連通すると共に、前輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第一風路と、後輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第二風路とを形成し、車両走行時に前記エンジンルームに流れ込んだ空気を前記吹出口から吹き出させて前記前輪及び前記後輪の前側に生じる空気抵抗を低減させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明によると、エンジンルーム及び車室とアンダーカバーとの間に形成した第一、第二風路を介して、車両走行時にエンジンルーム内に流れ込んだ空気を排出することが可能となる。これにより、エンジンルーム内の温度や圧力の上昇を抑制することができる。
【0013】
また、エンジンルームから排出した空気を、前輪の近傍且つ前側にある第一風路の吹出口及び後輪の近傍且つ前側にある第二風路の吹出口からそれぞれ流出することにより、車輪の前側に生じる気流を大きく乱すことができる。これにより、車両走行時における車輪の空気抵抗を効率よく低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に関わる自動車のアンダーフロア構造の実施例を図面に基づいて説明する。なお、図中矢印FRで示す方向は車両前方を示し、矢印REで示す方向は車両後方を示し、矢印UPRで示す方向は車両上方を示している。
【実施例1】
【0015】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例1を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示す車体Sの前部にはエンジンルームEが形成され、このエンジンルームEの後方には車室Rが隔成されている。
【0017】
また、エンジンルームEの両側部には図示しない一対のホイールハウスが形成され、このホイールハウス内にはそれぞれ前輪FT1、FT2が配設されている。さらに、車室Rの後部寄りの両側部には図示しない一対のホイールハウスが形成され、このホイールハウス内にはそれぞれ後輪RT1、RT2が配設されている。
【0018】
エンジンルームE内には、図示しないエンジンやラジエータ等が設けられ、このエンジンルームEの下側は図5に示す床部材1によって区画されている。
【0019】
床部材1の前部1aには、図5に示すように、連通開口1bが形成されており、この連通開口1bの後縁部には上方に向って起立する案内リブ1cが形成されている。なお、この案内リブ1cは、上端1dが車両前方に向って傾倒している。
【0020】
さらに、この床部材1は、図6に示すように、前輪FT1、FT2の前側では後方に向かうにつれて下方に傾斜しながら延在されている。なお、図6では車両右側のみ示す。
【0021】
車室R内には図示しない座席等が設けられ、この車室Rの下側は図5に示す床部材2によって区画されている。なお、ここでは、床部材1と床部材2とが連続して形成されている。
【0022】
また、ここでは、図5に示すように、エンジンルームEの前側には車幅方向に延びるバンパーBが設けられ、このバンパーBの下側には車幅方向に延びる下側開口部3が形成されている。なお、この下側開口部3は、バンパーBの下側に配置された開口部部材4によって区画形成されている。
【0023】
そして、エンジンルームE及び車室Rの床部材1、2の下側には、図1〜図4に示すアンダーカバー10が配設されている。
【0024】
このアンダーカバー10は、エンジンルームEの下方に位置するフロントパネル部11と、車室Rの下方に位置するセンタパネル部12とを有している。
【0025】
フロントパネル部11は、前輪FT1、FT2の間に配設されたパネル本体部13と、このパネル本体部13の前端両側部13a、13aから前輪FT1、FT2の前側に向ってそれぞれ延びる一対の延在部14a、14bとを有している。
【0026】
パネル本体部13は、開口部部材4の後端部4aとほぼ隙間なく近接され、図5に示すように、開口部部材4の後端部4a近傍から車両後方に向かって延在されている。
【0027】
一対の延在部14a、14bは、それぞれ車両後方に向かうにつれて次第に車幅方向に突出するように形成され、後端縁14cがそれぞれ前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に対向している(図2参照)。
【0028】
そして、パネル本体部13と一対の延在部14a、14bとのそれぞれの前端には、上方に向って起立する先端フランジ15が車幅方向に連続して設けられている。
【0029】
パネル本体部13の両側部には、上方に向って起立する外側エアガイド16a、16bがそれぞれ設けられている。
【0030】
この外側エアガイド16a、16bは、それぞれ延在部14a、14bの後端縁14cの位置から後方に向って延在されている。
【0031】
センタパネル部12は、フロントパネル部11のパネル本体部13から連続した平板形状を呈しており、後端縁12aが後輪RT1、RT2の直前に位置している。
【0032】
また、このセンタパネル部12の両側部は、車両後方に向かうに連れて次第に車幅方向に広がり、後端縁12aでは車体Sの幅方向長さとほぼ同じ幅に形成されている(図2参照)。
【0033】
センタパネル部12の両側部には、パネル本体部13の両側部から連続して延びる外側エアガイド16a、16bが設けられ、センタパネル部12の後端縁12aまでつながっている。そして、この外側エアガイド16a、16bの内側には、内側エアガイド17が設けられている。
【0034】
内側エアガイド17は上方に向って起立しており、一方の外側エアガイド16aとほぼ平行に延びる第一内側エアガイド17aと、他方の外側エアガイド16bとほぼ平行に延びる第二内側エアガイド17bとを有している。
【0035】
この第一、第二内側エアガイド17a、17bは、前端が一体にされており、センタパネル部12の両側部が車幅方向に広がるに伴って次第に離間すると共に、センタパネル部12の後端縁12aにまで延びている。
【0036】
そして、このセンタパネル部12は、一方の外側エアガイド16aと第一内側エアガイド17aとの間の上面が右側の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部18aとなり、他方の外側エアガイド16bと第二内側エアガイド17bとの間の上面が左側の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部18bとなり、この第一、第二センタパネル部18a、18bの間の上面が平滑部19となっている。
【0037】
そして、この自動車のアンダーフロア構造では、エンジンルームEの下側を区画する床部材1及び車室Rの下側を区画する床部材2と、アンダーカバー10との間に、エンジンルームE内の空気を前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2に向けて流出させる風路20が形成されている(図1及び図5参照)。
【0038】
この風路20は、床部材1に形成された連通開口1bを介してエンジンルームEに連通している。そして、この風路20は、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する一対の第一風路21、21と、右側の後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側の後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを有している。
【0039】
第一風路21は、それぞれ床部材1とパネル本体部13及び延在部14a、14bとの間に形成されている。
【0040】
この第一風路21は、前方及び側方が先端フランジ15によって囲まれており、前輪FT1、FT2の前側に対向した延在部14a、14bの後端縁14cで開放されている。
【0041】
右側第二風路22aは、床部材1とパネル本体部13との間に形成されると共に、これらに連続している床部材2と第一センタパネル部18aとの間に形成されている。
【0042】
この右側第二風路22aは、側方が一方の外側エアガイド16aと第一内側エアガイド17aとによって囲まれており、右側の後輪RT1の前側に対向したセンタパネル部12の後端縁12aで開放されている(図4参照)。
【0043】
左側第二風路22bは、床部材1とパネル本体部13との間に形成されると共に、これらに連続している床部材2と第二センタパネル部18bとの間に形成されている。
【0044】
この左側第二風路22bは、側方が他方の外側エアガイド16bと第二内側エアガイド17bとによって囲まれており、左側の後輪RT2の前側に対向したセンタパネル部12の後端縁12aで開放されている(図4参照)。
【0045】
ここで、平滑部19は第一、第二センタパネル部18a、18bの間であるので、右側第二風路22aが床部材2と第一センタパネル部18aとの間に形成され、左側第二風路22bが床部材2と第二センタパネル部18bとの間に形成されることにより、この右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間に位置するアンダーカバー10の上面に平滑部19が設けられることとなっている。
【0046】
次に、この実施例1の自動車のアンダーフロア構造の作用について説明する。
【0047】
このアンダーフロア構造を有する車体Sが走行すると、図5に示すように、エンジンルームEの前部に設けられたフロントグリル(図示せず)等を介して、矢印W1で示すように、車体Sの前方からの空気がエンジンルームE内に流れ込む。
【0048】
また、矢印W2で示すように、バンパーBの下側に形成された下側開口部3からも、車体Sの前方からの空気が流れ込むようになっている。
【0049】
そして、エンジンルームE内に流れ込んだ空気は、矢印W3で示すように、床部材1に形成された連通開口1bを介して、床部材1とアンダーカバー10との間に形成された風路20内に流入する。
【0050】
このとき、連通開口1bの後縁部には案内リブ1cが形成されているので、エンジンルームE内に流れ込んだ空気を案内リブ1cに沿って円滑に下方に向って流すことができる。
【0051】
また、エンジンルームE内に流れ込んだ空気を連通開口1bから積極的に流出させることができ、床部材1との間に生じる図示しない隙間等から抜け出る空気を抑制することが可能となる。
【0052】
このように、車体Sの走行時にエンジンルームE内に流れ込んだ空気が、連通開口1bを介して排出されるので、エンジンルームE内の温度上昇や圧力上昇を抑制することが可能となる。
【0053】
一方、下側開口部3から流れ込んだ空気は、開口部部材4の後方を通過し、床部材1とアンダーカバー10との間に形成された風路20内に流入する。そして、この風路20内に流入した空気は、矢印W4で示すように、エンジンルームE内からの空気と合流して車体Sの後方に流れていく。
【0054】
なお、エンジンルームEからの空気は、案内リブ1cに沿いながら下方に向って流れるので、下側開口部3からの空気がエンジンルームE内に流れ込むことはない。また、エンジンルームEからの空気と下側開口部3からの空気とを円滑に合流させることができる。
【0055】
このように、エンジンルームEから床部材1の下側に流れる空気の気流を制御することができるので、床部材1の下側で発生する空気抵抗を抑制することが可能となる。
【0056】
そして、風路20内に流れ込んだ空気は、第一風路21によって前輪FT1、FT2の前側直前にまで導かれ、図6に矢印W5で示すように、吹出口21a、21aから前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に向って流出する。
【0057】
ここで、図6に示すように、前輪FT1、FT2の前側では、床部材1が下方に傾斜しているので、第一風路21から流れ出た空気が床部材1の傾斜している面に沿って下方に向かうこととなる。そのため、第一風路21から流出する空気を確実に前輪FT1、FT2の前側に向って流出させることができる。
【0058】
さらに、風路20内に流れ込んだ空気は、内側エアガイド17によって分岐し、図1に示すように、右側第二風路22aによって右側の後輪RT1の前側直前にまで導かれ、左側第二風路22bによって左側の後輪RT2の前側直前にまで導かれ、吹出口23a、23bから後輪RT1、RT2の近傍且つ前側に向って空気が流出する。
【0059】
このように、風路20によって導かれた空気が、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の近傍且つ前側に流出するので、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側の気流を大きく乱すことができ、この前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2によって発生していた空気抵抗を効率よく抑制することが可能となる。
【0060】
さらに、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に流出した空気がエアカーテンとなって、空気を下方に偏向させることができる。これにより、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2に向って流れてくる空気と、前輪FT1、FT2又は後輪RT1、RT2とが激しく衝突することも抑えることが可能となる。
【0061】
また、上述の自動車のアンダーフロア構造では、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間のアンダーカバー10の上面が、内側エアガイド17によって区画された平滑部19となっている。
【0062】
この平滑部19によって、センタパネル部12を平滑化することができ、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間を流れる気流を整流することが可能となり、さらに空気抵抗を低減させることができる。
【0063】
以上説明したように、この発明の自動車のアンダーフロア構造では、エンジンルームEの下側とこのエンジンルームEの後方に隔成された車室Rの下側とにまたがってアンダーカバー10を配設し、エンジンルームE及び車室Rとアンダーカバー10との間に、エンジンルームEに連通すると共に、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する第一風路21と、右側後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを形成し、車体Sの走行時にエンジンルームEに流れ込んだ空気を吹出口21a、21a、23a、23bから吹き出させて、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側生じる空気抵抗を低減させている。
【0064】
これにより、車体Sの走行時にこの車体Sの前方から流れてエンジンルームE内に流れ込んだ空気は、風路20を介してエンジンルームEから流出する。
【0065】
そのため、車体Sの走行時にエンジンルームE内に空気が滞留せず、このエンジンルームE内の温度や圧力の上昇を抑制することができる。
【0066】
また、風路20内に流れ込んだ空気は、第一風路21によって前輪FT1、FT2の前側に導かれ、右側第二風路22aによって右側後輪RT1の前側に導かれ、左側第二風路22bによって左側後輪RT2の前側に導かれ、吹出口21a、21a、23a、23bから前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に吹き出すこととなる。
【0067】
そのため、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側の気流を大きく乱すことができ、この前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に発生する空気抵抗を低減させることが可能となる。
【0068】
さらに、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に流出した空気がエアカーテンとなり、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2と車両Sの前方から流れる空気との激しい衝突を抑制することもできる。
【0069】
さらに、この発明の自動車のアンダーフロア構造では、右側後輪RT1に向う右側第二風路22aと、左側後輪RT2に向う左側第二風路22bとの間のアンダーカバー10の上面に平滑部19を設けた。
【0070】
これにより、アンダーカバー10のセンタパネル部12を平滑化することができ、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間を流れる気流を整流して、空気抵抗をさらに低減させることが可能となる。
【実施例2】
【0071】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0072】
図7に示すこの実施例2のアンダーカバー30は、エンジンルームE(図7には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部31と、車室R(図7には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部32とを有している。
【0073】
このセンタパネル部32の両側部には、フロントパネル部31の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド33a、33bが設けられ、この一対の外側エアガイド33a、33bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド34a、34bが設けられている。
【0074】
そして、センタパネル部32は、第一内側エアガイド34aと第二内側エアガイド34bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部35aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部35bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0075】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向って空気を導くと共に、アンダーカバー30の軽量化を図ることができる。
【実施例3】
【0076】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例3を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1及び実施例2と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0077】
図8(a)、(b)に示すこの実施例3のアンダーカバー36は、エンジンルームE(図8には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部37と、車室R(図8には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部38とを有している。
【0078】
このセンタパネル部38の両側部には、フロントパネル部37の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド39a、39bが設けられ、この一対の外側エアガイド39a、39bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド40a、40bが設けられている。
【0079】
この第一、第二内側エアガイド40a、40bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部40c、40cが車幅方向に延在された連結エアガイド41と一体にされている。
【0080】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向う第二風路42、42は、車両後方に向かうに連れて車幅方向に次第に広がっている。そのため、第二風路42、42内を流れる空気の流れを低速化することができる。
【実施例4】
【0081】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例4を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例3と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0082】
図9に示すこの実施例4のアンダーカバー42は、エンジンルームE(図9には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部43と、車室R(図9には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部44とを有している。
【0083】
このセンタパネル部44の両側部には、フロントパネル部43の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド45a、45bが設けられ、この一対の外側エアガイド45a、45bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド46a、46bが設けられている。
【0084】
この第一、第二内側エアガイド46a、46bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部46c、46cが車幅方向に延在された連結エアガイド47と一体にされている。
【0085】
さらに、センタパネル部44は、第一内側エアガイド46aと第二内側エアガイド46bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部48aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部48bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0086】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向って空気を導くと共に、その空気の流れを低速化し、さらにアンダーカバー42の軽量化を図ることができる。
【実施例5】
【0087】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例5を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例4と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0088】
図10(a)、(b)に示すこの実施例5のアンダーカバー49は、エンジンルームE(図10には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部50と、車室R(図10には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部51とを有している。
【0089】
このセンタパネル部51は、前輪FT1、FT2の後側に位置する前端部51aが、車幅方向に延在され、前輪FT1、FT2の直後と対向している。
【0090】
また、このセンタパネル部51の両側部は、互いにほぼ平行になるように延在されており、図10(b)に示すように、平面視ほぼ矩形状を呈している。なお、ここでは、このセンタパネル部51の幅方向の長さは、車体Sの幅方向長さとほぼ同じになっている。
【0091】
そして、このセンタパネル部51の両側部には、一対の外側エアガイド52a、52bが設けられ、この一対の外側エアガイド52a、52bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド53a、53bが設けられている。
【0092】
そして、第一、第二内側エアガイド53a、53bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部53c、53cが車幅方向に延在された連結エアガイド54と一体にされている。
【0093】
これにより、前輪FT1、FT2の直後に対向したセンタパネル部51の前端部51aから車両後方に流れる空気を第二風路55内に取り込むことができ、前輪FT1、FT2の後側に生じる空気抵抗を抑制することができる。
【実施例6】
【0094】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例6を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例5と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0095】
図11に示すこの実施例6のアンダーカバー56は、エンジンルームE(図11には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部57と、車室R(図11には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部58とを有している。
【0096】
このセンタパネル部58は、前輪FT1、FT2の後側に位置する前端部58aが、車幅方向に延在されて前輪FT1、FT2の直後と対向すると共に、両側部が互いにほぼ平行になるように延在されている。なお、ここでは、このセンタパネル部58の幅方向の長さは、車体Sの幅方向長さとほぼ同じになっている。
【0097】
そして、このセンタパネル部58の両側部には、一対の外側エアガイド59a、59bが設けられ、この一対の外側エアガイド59a、59bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド60a、60bが設けられている。
【0098】
そして、第一、第二内側エアガイド60a、60bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部60c、60cが車幅方向に延在された連結エアガイド61と一体にされている。
【0099】
さらに、このセンタパネル部58は、第一内側エアガイド60aと第二内側エアガイド60bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部62aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部62bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0100】
これにより、センタパネル部58の前端部58aから車両後方に向かって流れる空気を取り込むことができて前輪FT1、FT2の後側に生じる空気抵抗を抑制することができると共に、アンダーカバー56の軽量化を図ることができる。
【0101】
以上、この発明にかかる実施例1〜実施例6を図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0102】
例えば、図12に示すように、エンジンルームEの前端部に設けたバンパーBの下側にまでアンダーカバー10を延在させ、このアンダーカバー10の先端部に形成された先端フランジ15とバンパーBとの間に生じた間隙63から空気を取り込んでもよい。
【0103】
これにより、バンパーBの下側に開口部部材4を設けることなく、風路20内に車両前方からの空気(矢印K1で示す)を取り込むことが可能となる。
【0104】
また、図13に示すように、アンダーカバー10の先端部に、下方に開口する吸込開口64と、この吸込開口64の後縁部から下方に向って延びる下向き案内リブ65とを設けてもよい。
【0105】
そして、この吸込開口64から車体Sの下側を流れる空気を、矢印K2で示すように風路20内に吸い込むことができる。
【0106】
そのため、鎖線矢印K3で示すように、下側開口部3から取り込めずに車体Sの下方に回りこんだ空気が再び上方に向って流れてアンダーカバー10の裏面に沿って流れる現象において、矢印K4で示すように、この下向き案内リブ64に沿って空気を急激に上方に向わせることができる。
【0107】
これにより、車体Sの下方に生じる空気抵抗を抑制し、エネルギーロスを低減させることが可能となる。
【0108】
さらに、図14に示すように、前輪FT1、FT2の前側において床部材1に排気開口66を一対設けると共に、この排気開口66を延在部14a、14bの後端部14cにそれぞれ対向させてもよい。なお、図14では車両右側のみ示す。
【0109】
これにより、矢印K5で示すように、排気開口66を介してエンジンルームE内の空気を円滑に排出することができ、エンジンルームE内の温度上昇や気圧上昇を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施例1の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図である。
【図2】図1におけるアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図3】図1におけるアンダーカバーを備えた車体を下側から見た場合の斜視図である。
【図4】図1におけるアンダーカバーを備えた車体を後方から見た場合の斜視図である。
【図5】図2におけるA−A断面図である。
【図6】図2におけるB−B断面図である。
【図7】実施例2の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図8】(a)は実施例3の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図であり、(b)は図8(a)の底面を示す模式図である。
【図9】実施例4の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図10】(a)は実施例5の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図であり、(b)は図9(a)の底面を示す模式図である
【図11】実施例5の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図12】車体の前端部の他の例を示す一部破断断面図である。
【図13】車体の前端部のさらに他の例を示す一部破断断面図である。
【図14】車体の前輪の前側の他の例を示す一部破断断面図である。
【符号の説明】
【0111】
10 アンダーカバー
21 第一風路
21a 吹出口
22a 右側第二風路
22b 左側第二風路
23a、23b 吹出口
E エンジンルーム
R 車室
FT1、FT2 前輪
RT1、RT2 後輪
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム及び車室の下側にアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のエンジンルームの下側と、このエンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設し、車両下部を通過する空気の流れを円滑にして空気抵抗を減少させる自動車のアンダーフロア構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、エンジンルームの下側に配設したアンダーカバーによって、車両走行時にエンジンルーム内で発生する高温の空気が排出されにくくなり、エンジンルーム内の温度が上昇したり、エンジンルーム内が高圧になってラジエータに冷却空気を導入しにくくなったりすることがあった。
【0004】
そこで、エンジンルームに連通すると共に、車両走行時にエンジンルーム内の空気を後輪に向って流出させるダクトを、エンジンルームの下側に配設したアンダーカバーに形成した自動車のアンダーフロア構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この構造のアンダーカバーは前輪の間に配置されており、このアンダーカバーに前後に延びる一対のダクトを形成し、このダクトの排出口端を斜め外方に向けている。
【0006】
また、車両前方から流れる空気を制御するために、車両前端部に設けられたバンパーに開口部を形成し、車両走行時に前方から流れる空気をこの開口部より取り入れて、前輪の前側であって車両下方に向けて吹き出させる自動車のアンダーフロア構造も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−215073号公報
【特許文献2】特開平7−52836号公報
【特許文献3】特開平10−305786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エンジンルーム内の空気を後輪に向って流出させるアンダーフロア構造では、前輪の間に一対のダクトを配置し、このダクトの排出口端を斜め外方に向けることにより車体の床下に生じる空気抵抗を低減させるようにしたものであり、前輪及び後輪の空気抵抗を低減することができないという問題があった。
【0008】
また、バンパーに形成した開口部から取り入れた空気を車両下方に向けて吹き出させるアンダーフロア構造では、エンジンルーム内に発生する高温の空気を排出することができず、このエンジンルーム内の空気を排出する機構を別途考慮しなければならないという問題があった。
【0009】
さらに、このアンダーフロア構造では、開口部から入った空気が前輪前側に流れ込むようになっているだけであり、このため、後輪の空気抵抗を低減させることができないという問題もあった。
【0010】
そこで、この発明は、エンジンルーム内の空気を排出させることができると共に、走行時における車輪の空気抵抗を効率よく低減させることができる自動車のアンダーフロア構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、エンジンルームの下側と該エンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造であって、前記エンジンルーム及び前記車室と前記アンダーカバーとの間に、前記エンジンルームに連通すると共に、前輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第一風路と、後輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第二風路とを形成し、車両走行時に前記エンジンルームに流れ込んだ空気を前記吹出口から吹き出させて前記前輪及び前記後輪の前側に生じる空気抵抗を低減させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明によると、エンジンルーム及び車室とアンダーカバーとの間に形成した第一、第二風路を介して、車両走行時にエンジンルーム内に流れ込んだ空気を排出することが可能となる。これにより、エンジンルーム内の温度や圧力の上昇を抑制することができる。
【0013】
また、エンジンルームから排出した空気を、前輪の近傍且つ前側にある第一風路の吹出口及び後輪の近傍且つ前側にある第二風路の吹出口からそれぞれ流出することにより、車輪の前側に生じる気流を大きく乱すことができる。これにより、車両走行時における車輪の空気抵抗を効率よく低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に関わる自動車のアンダーフロア構造の実施例を図面に基づいて説明する。なお、図中矢印FRで示す方向は車両前方を示し、矢印REで示す方向は車両後方を示し、矢印UPRで示す方向は車両上方を示している。
【実施例1】
【0015】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例1を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に示す車体Sの前部にはエンジンルームEが形成され、このエンジンルームEの後方には車室Rが隔成されている。
【0017】
また、エンジンルームEの両側部には図示しない一対のホイールハウスが形成され、このホイールハウス内にはそれぞれ前輪FT1、FT2が配設されている。さらに、車室Rの後部寄りの両側部には図示しない一対のホイールハウスが形成され、このホイールハウス内にはそれぞれ後輪RT1、RT2が配設されている。
【0018】
エンジンルームE内には、図示しないエンジンやラジエータ等が設けられ、このエンジンルームEの下側は図5に示す床部材1によって区画されている。
【0019】
床部材1の前部1aには、図5に示すように、連通開口1bが形成されており、この連通開口1bの後縁部には上方に向って起立する案内リブ1cが形成されている。なお、この案内リブ1cは、上端1dが車両前方に向って傾倒している。
【0020】
さらに、この床部材1は、図6に示すように、前輪FT1、FT2の前側では後方に向かうにつれて下方に傾斜しながら延在されている。なお、図6では車両右側のみ示す。
【0021】
車室R内には図示しない座席等が設けられ、この車室Rの下側は図5に示す床部材2によって区画されている。なお、ここでは、床部材1と床部材2とが連続して形成されている。
【0022】
また、ここでは、図5に示すように、エンジンルームEの前側には車幅方向に延びるバンパーBが設けられ、このバンパーBの下側には車幅方向に延びる下側開口部3が形成されている。なお、この下側開口部3は、バンパーBの下側に配置された開口部部材4によって区画形成されている。
【0023】
そして、エンジンルームE及び車室Rの床部材1、2の下側には、図1〜図4に示すアンダーカバー10が配設されている。
【0024】
このアンダーカバー10は、エンジンルームEの下方に位置するフロントパネル部11と、車室Rの下方に位置するセンタパネル部12とを有している。
【0025】
フロントパネル部11は、前輪FT1、FT2の間に配設されたパネル本体部13と、このパネル本体部13の前端両側部13a、13aから前輪FT1、FT2の前側に向ってそれぞれ延びる一対の延在部14a、14bとを有している。
【0026】
パネル本体部13は、開口部部材4の後端部4aとほぼ隙間なく近接され、図5に示すように、開口部部材4の後端部4a近傍から車両後方に向かって延在されている。
【0027】
一対の延在部14a、14bは、それぞれ車両後方に向かうにつれて次第に車幅方向に突出するように形成され、後端縁14cがそれぞれ前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に対向している(図2参照)。
【0028】
そして、パネル本体部13と一対の延在部14a、14bとのそれぞれの前端には、上方に向って起立する先端フランジ15が車幅方向に連続して設けられている。
【0029】
パネル本体部13の両側部には、上方に向って起立する外側エアガイド16a、16bがそれぞれ設けられている。
【0030】
この外側エアガイド16a、16bは、それぞれ延在部14a、14bの後端縁14cの位置から後方に向って延在されている。
【0031】
センタパネル部12は、フロントパネル部11のパネル本体部13から連続した平板形状を呈しており、後端縁12aが後輪RT1、RT2の直前に位置している。
【0032】
また、このセンタパネル部12の両側部は、車両後方に向かうに連れて次第に車幅方向に広がり、後端縁12aでは車体Sの幅方向長さとほぼ同じ幅に形成されている(図2参照)。
【0033】
センタパネル部12の両側部には、パネル本体部13の両側部から連続して延びる外側エアガイド16a、16bが設けられ、センタパネル部12の後端縁12aまでつながっている。そして、この外側エアガイド16a、16bの内側には、内側エアガイド17が設けられている。
【0034】
内側エアガイド17は上方に向って起立しており、一方の外側エアガイド16aとほぼ平行に延びる第一内側エアガイド17aと、他方の外側エアガイド16bとほぼ平行に延びる第二内側エアガイド17bとを有している。
【0035】
この第一、第二内側エアガイド17a、17bは、前端が一体にされており、センタパネル部12の両側部が車幅方向に広がるに伴って次第に離間すると共に、センタパネル部12の後端縁12aにまで延びている。
【0036】
そして、このセンタパネル部12は、一方の外側エアガイド16aと第一内側エアガイド17aとの間の上面が右側の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部18aとなり、他方の外側エアガイド16bと第二内側エアガイド17bとの間の上面が左側の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部18bとなり、この第一、第二センタパネル部18a、18bの間の上面が平滑部19となっている。
【0037】
そして、この自動車のアンダーフロア構造では、エンジンルームEの下側を区画する床部材1及び車室Rの下側を区画する床部材2と、アンダーカバー10との間に、エンジンルームE内の空気を前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2に向けて流出させる風路20が形成されている(図1及び図5参照)。
【0038】
この風路20は、床部材1に形成された連通開口1bを介してエンジンルームEに連通している。そして、この風路20は、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する一対の第一風路21、21と、右側の後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側の後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを有している。
【0039】
第一風路21は、それぞれ床部材1とパネル本体部13及び延在部14a、14bとの間に形成されている。
【0040】
この第一風路21は、前方及び側方が先端フランジ15によって囲まれており、前輪FT1、FT2の前側に対向した延在部14a、14bの後端縁14cで開放されている。
【0041】
右側第二風路22aは、床部材1とパネル本体部13との間に形成されると共に、これらに連続している床部材2と第一センタパネル部18aとの間に形成されている。
【0042】
この右側第二風路22aは、側方が一方の外側エアガイド16aと第一内側エアガイド17aとによって囲まれており、右側の後輪RT1の前側に対向したセンタパネル部12の後端縁12aで開放されている(図4参照)。
【0043】
左側第二風路22bは、床部材1とパネル本体部13との間に形成されると共に、これらに連続している床部材2と第二センタパネル部18bとの間に形成されている。
【0044】
この左側第二風路22bは、側方が他方の外側エアガイド16bと第二内側エアガイド17bとによって囲まれており、左側の後輪RT2の前側に対向したセンタパネル部12の後端縁12aで開放されている(図4参照)。
【0045】
ここで、平滑部19は第一、第二センタパネル部18a、18bの間であるので、右側第二風路22aが床部材2と第一センタパネル部18aとの間に形成され、左側第二風路22bが床部材2と第二センタパネル部18bとの間に形成されることにより、この右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間に位置するアンダーカバー10の上面に平滑部19が設けられることとなっている。
【0046】
次に、この実施例1の自動車のアンダーフロア構造の作用について説明する。
【0047】
このアンダーフロア構造を有する車体Sが走行すると、図5に示すように、エンジンルームEの前部に設けられたフロントグリル(図示せず)等を介して、矢印W1で示すように、車体Sの前方からの空気がエンジンルームE内に流れ込む。
【0048】
また、矢印W2で示すように、バンパーBの下側に形成された下側開口部3からも、車体Sの前方からの空気が流れ込むようになっている。
【0049】
そして、エンジンルームE内に流れ込んだ空気は、矢印W3で示すように、床部材1に形成された連通開口1bを介して、床部材1とアンダーカバー10との間に形成された風路20内に流入する。
【0050】
このとき、連通開口1bの後縁部には案内リブ1cが形成されているので、エンジンルームE内に流れ込んだ空気を案内リブ1cに沿って円滑に下方に向って流すことができる。
【0051】
また、エンジンルームE内に流れ込んだ空気を連通開口1bから積極的に流出させることができ、床部材1との間に生じる図示しない隙間等から抜け出る空気を抑制することが可能となる。
【0052】
このように、車体Sの走行時にエンジンルームE内に流れ込んだ空気が、連通開口1bを介して排出されるので、エンジンルームE内の温度上昇や圧力上昇を抑制することが可能となる。
【0053】
一方、下側開口部3から流れ込んだ空気は、開口部部材4の後方を通過し、床部材1とアンダーカバー10との間に形成された風路20内に流入する。そして、この風路20内に流入した空気は、矢印W4で示すように、エンジンルームE内からの空気と合流して車体Sの後方に流れていく。
【0054】
なお、エンジンルームEからの空気は、案内リブ1cに沿いながら下方に向って流れるので、下側開口部3からの空気がエンジンルームE内に流れ込むことはない。また、エンジンルームEからの空気と下側開口部3からの空気とを円滑に合流させることができる。
【0055】
このように、エンジンルームEから床部材1の下側に流れる空気の気流を制御することができるので、床部材1の下側で発生する空気抵抗を抑制することが可能となる。
【0056】
そして、風路20内に流れ込んだ空気は、第一風路21によって前輪FT1、FT2の前側直前にまで導かれ、図6に矢印W5で示すように、吹出口21a、21aから前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に向って流出する。
【0057】
ここで、図6に示すように、前輪FT1、FT2の前側では、床部材1が下方に傾斜しているので、第一風路21から流れ出た空気が床部材1の傾斜している面に沿って下方に向かうこととなる。そのため、第一風路21から流出する空気を確実に前輪FT1、FT2の前側に向って流出させることができる。
【0058】
さらに、風路20内に流れ込んだ空気は、内側エアガイド17によって分岐し、図1に示すように、右側第二風路22aによって右側の後輪RT1の前側直前にまで導かれ、左側第二風路22bによって左側の後輪RT2の前側直前にまで導かれ、吹出口23a、23bから後輪RT1、RT2の近傍且つ前側に向って空気が流出する。
【0059】
このように、風路20によって導かれた空気が、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の近傍且つ前側に流出するので、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側の気流を大きく乱すことができ、この前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2によって発生していた空気抵抗を効率よく抑制することが可能となる。
【0060】
さらに、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に流出した空気がエアカーテンとなって、空気を下方に偏向させることができる。これにより、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2に向って流れてくる空気と、前輪FT1、FT2又は後輪RT1、RT2とが激しく衝突することも抑えることが可能となる。
【0061】
また、上述の自動車のアンダーフロア構造では、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間のアンダーカバー10の上面が、内側エアガイド17によって区画された平滑部19となっている。
【0062】
この平滑部19によって、センタパネル部12を平滑化することができ、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間を流れる気流を整流することが可能となり、さらに空気抵抗を低減させることができる。
【0063】
以上説明したように、この発明の自動車のアンダーフロア構造では、エンジンルームEの下側とこのエンジンルームEの後方に隔成された車室Rの下側とにまたがってアンダーカバー10を配設し、エンジンルームE及び車室Rとアンダーカバー10との間に、エンジンルームEに連通すると共に、前輪FT1、FT2の近傍且つ前側に吹出口21a、21aを有する第一風路21と、右側後輪RT1の近傍且つ前側に吹出口23aを有する右側第二風路22aと、左側後輪RT2の近傍且つ前側に吹出口23bを有する左側第二風路22bとを形成し、車体Sの走行時にエンジンルームEに流れ込んだ空気を吹出口21a、21a、23a、23bから吹き出させて、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側生じる空気抵抗を低減させている。
【0064】
これにより、車体Sの走行時にこの車体Sの前方から流れてエンジンルームE内に流れ込んだ空気は、風路20を介してエンジンルームEから流出する。
【0065】
そのため、車体Sの走行時にエンジンルームE内に空気が滞留せず、このエンジンルームE内の温度や圧力の上昇を抑制することができる。
【0066】
また、風路20内に流れ込んだ空気は、第一風路21によって前輪FT1、FT2の前側に導かれ、右側第二風路22aによって右側後輪RT1の前側に導かれ、左側第二風路22bによって左側後輪RT2の前側に導かれ、吹出口21a、21a、23a、23bから前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に吹き出すこととなる。
【0067】
そのため、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側の気流を大きく乱すことができ、この前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に発生する空気抵抗を低減させることが可能となる。
【0068】
さらに、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2の前側に流出した空気がエアカーテンとなり、前輪FT1、FT2及び後輪RT1、RT2と車両Sの前方から流れる空気との激しい衝突を抑制することもできる。
【0069】
さらに、この発明の自動車のアンダーフロア構造では、右側後輪RT1に向う右側第二風路22aと、左側後輪RT2に向う左側第二風路22bとの間のアンダーカバー10の上面に平滑部19を設けた。
【0070】
これにより、アンダーカバー10のセンタパネル部12を平滑化することができ、右側第二風路22aと左側第二風路22bとの間を流れる気流を整流して、空気抵抗をさらに低減させることが可能となる。
【実施例2】
【0071】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0072】
図7に示すこの実施例2のアンダーカバー30は、エンジンルームE(図7には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部31と、車室R(図7には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部32とを有している。
【0073】
このセンタパネル部32の両側部には、フロントパネル部31の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド33a、33bが設けられ、この一対の外側エアガイド33a、33bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド34a、34bが設けられている。
【0074】
そして、センタパネル部32は、第一内側エアガイド34aと第二内側エアガイド34bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部35aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部35bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0075】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向って空気を導くと共に、アンダーカバー30の軽量化を図ることができる。
【実施例3】
【0076】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例3を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1及び実施例2と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0077】
図8(a)、(b)に示すこの実施例3のアンダーカバー36は、エンジンルームE(図8には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部37と、車室R(図8には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部38とを有している。
【0078】
このセンタパネル部38の両側部には、フロントパネル部37の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド39a、39bが設けられ、この一対の外側エアガイド39a、39bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド40a、40bが設けられている。
【0079】
この第一、第二内側エアガイド40a、40bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部40c、40cが車幅方向に延在された連結エアガイド41と一体にされている。
【0080】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向う第二風路42、42は、車両後方に向かうに連れて車幅方向に次第に広がっている。そのため、第二風路42、42内を流れる空気の流れを低速化することができる。
【実施例4】
【0081】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例4を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例3と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0082】
図9に示すこの実施例4のアンダーカバー42は、エンジンルームE(図9には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部43と、車室R(図9には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部44とを有している。
【0083】
このセンタパネル部44の両側部には、フロントパネル部43の両側部から連続して延びる一対の外側エアガイド45a、45bが設けられ、この一対の外側エアガイド45a、45bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド46a、46bが設けられている。
【0084】
この第一、第二内側エアガイド46a、46bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部46c、46cが車幅方向に延在された連結エアガイド47と一体にされている。
【0085】
さらに、センタパネル部44は、第一内側エアガイド46aと第二内側エアガイド46bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部48aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部48bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0086】
これにより、後輪RT1、RT2の前側に向って空気を導くと共に、その空気の流れを低速化し、さらにアンダーカバー42の軽量化を図ることができる。
【実施例5】
【0087】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例5を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例4と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0088】
図10(a)、(b)に示すこの実施例5のアンダーカバー49は、エンジンルームE(図10には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部50と、車室R(図10には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部51とを有している。
【0089】
このセンタパネル部51は、前輪FT1、FT2の後側に位置する前端部51aが、車幅方向に延在され、前輪FT1、FT2の直後と対向している。
【0090】
また、このセンタパネル部51の両側部は、互いにほぼ平行になるように延在されており、図10(b)に示すように、平面視ほぼ矩形状を呈している。なお、ここでは、このセンタパネル部51の幅方向の長さは、車体Sの幅方向長さとほぼ同じになっている。
【0091】
そして、このセンタパネル部51の両側部には、一対の外側エアガイド52a、52bが設けられ、この一対の外側エアガイド52a、52bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド53a、53bが設けられている。
【0092】
そして、第一、第二内側エアガイド53a、53bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部53c、53cが車幅方向に延在された連結エアガイド54と一体にされている。
【0093】
これにより、前輪FT1、FT2の直後に対向したセンタパネル部51の前端部51aから車両後方に流れる空気を第二風路55内に取り込むことができ、前輪FT1、FT2の後側に生じる空気抵抗を抑制することができる。
【実施例6】
【0094】
本発明を適用した自動車のアンダーフロア構造の実施例6を図面に基づいて説明する。なお、上述の実施例1〜実施例5と同等の部位については同一符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0095】
図11に示すこの実施例6のアンダーカバー56は、エンジンルームE(図11には図示せず)の下方に位置するフロントパネル部57と、車室R(図11には図示せず)の下方に位置するセンタパネル部58とを有している。
【0096】
このセンタパネル部58は、前輪FT1、FT2の後側に位置する前端部58aが、車幅方向に延在されて前輪FT1、FT2の直後と対向すると共に、両側部が互いにほぼ平行になるように延在されている。なお、ここでは、このセンタパネル部58の幅方向の長さは、車体Sの幅方向長さとほぼ同じになっている。
【0097】
そして、このセンタパネル部58の両側部には、一対の外側エアガイド59a、59bが設けられ、この一対の外側エアガイド59a、59bの内側には一対の第一、第二内側エアガイド60a、60bが設けられている。
【0098】
そして、第一、第二内側エアガイド60a、60bは、互いにほぼ平行となるように延びており、車両前方側の先端部60c、60cが車幅方向に延在された連結エアガイド61と一体にされている。
【0099】
さらに、このセンタパネル部58は、第一内側エアガイド60aと第二内側エアガイド60bとの間が切り欠かれている。そのため、一方の後輪RT1の前側に向って延びる第一センタパネル部62aと他方の後輪RT2の前側に向って延びる第二センタパネル部62bとの間に間隙が設けられ、車室Rの下面を区画する床部材1が露出している。
【0100】
これにより、センタパネル部58の前端部58aから車両後方に向かって流れる空気を取り込むことができて前輪FT1、FT2の後側に生じる空気抵抗を抑制することができると共に、アンダーカバー56の軽量化を図ることができる。
【0101】
以上、この発明にかかる実施例1〜実施例6を図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0102】
例えば、図12に示すように、エンジンルームEの前端部に設けたバンパーBの下側にまでアンダーカバー10を延在させ、このアンダーカバー10の先端部に形成された先端フランジ15とバンパーBとの間に生じた間隙63から空気を取り込んでもよい。
【0103】
これにより、バンパーBの下側に開口部部材4を設けることなく、風路20内に車両前方からの空気(矢印K1で示す)を取り込むことが可能となる。
【0104】
また、図13に示すように、アンダーカバー10の先端部に、下方に開口する吸込開口64と、この吸込開口64の後縁部から下方に向って延びる下向き案内リブ65とを設けてもよい。
【0105】
そして、この吸込開口64から車体Sの下側を流れる空気を、矢印K2で示すように風路20内に吸い込むことができる。
【0106】
そのため、鎖線矢印K3で示すように、下側開口部3から取り込めずに車体Sの下方に回りこんだ空気が再び上方に向って流れてアンダーカバー10の裏面に沿って流れる現象において、矢印K4で示すように、この下向き案内リブ64に沿って空気を急激に上方に向わせることができる。
【0107】
これにより、車体Sの下方に生じる空気抵抗を抑制し、エネルギーロスを低減させることが可能となる。
【0108】
さらに、図14に示すように、前輪FT1、FT2の前側において床部材1に排気開口66を一対設けると共に、この排気開口66を延在部14a、14bの後端部14cにそれぞれ対向させてもよい。なお、図14では車両右側のみ示す。
【0109】
これにより、矢印K5で示すように、排気開口66を介してエンジンルームE内の空気を円滑に排出することができ、エンジンルームE内の温度上昇や気圧上昇を効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施例1の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図である。
【図2】図1におけるアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図3】図1におけるアンダーカバーを備えた車体を下側から見た場合の斜視図である。
【図4】図1におけるアンダーカバーを備えた車体を後方から見た場合の斜視図である。
【図5】図2におけるA−A断面図である。
【図6】図2におけるB−B断面図である。
【図7】実施例2の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図8】(a)は実施例3の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図であり、(b)は図8(a)の底面を示す模式図である。
【図9】実施例4の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図10】(a)は実施例5の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを示す斜視図であり、(b)は図9(a)の底面を示す模式図である
【図11】実施例5の自動車のアンダーフロア構造のアンダーカバーを備えた車体の底面を示す模式図である。
【図12】車体の前端部の他の例を示す一部破断断面図である。
【図13】車体の前端部のさらに他の例を示す一部破断断面図である。
【図14】車体の前輪の前側の他の例を示す一部破断断面図である。
【符号の説明】
【0111】
10 アンダーカバー
21 第一風路
21a 吹出口
22a 右側第二風路
22b 左側第二風路
23a、23b 吹出口
E エンジンルーム
R 車室
FT1、FT2 前輪
RT1、RT2 後輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの下側と該エンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造であって、
前記エンジンルーム及び前記車室と前記アンダーカバーとの間に、前記エンジンルームに連通すると共に、前輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第一風路と、後輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第二風路とを形成し、
車両走行時に前記エンジンルームに流れ込んだ空気を前記吹出口から吹き出させて前記前輪及び前記後輪の前側に生じる空気抵抗を低減させることを特徴とする自動車のアンダーフロア構造。
【請求項2】
前記第二風路は、右側の後輪に向う右側第二風路と、左側の後輪に向う左側第二風路とを有し、前記右側第二風路と前記左側第二風路との間のアンダーカバーの上面には平滑部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のアンダーフロア構造。
【請求項1】
エンジンルームの下側と該エンジンルームの後方に隔成された車室の下側とにまたがってアンダーカバーを配設した自動車のアンダーフロア構造であって、
前記エンジンルーム及び前記車室と前記アンダーカバーとの間に、前記エンジンルームに連通すると共に、前輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第一風路と、後輪の近傍且つ前側に吹出口を有する第二風路とを形成し、
車両走行時に前記エンジンルームに流れ込んだ空気を前記吹出口から吹き出させて前記前輪及び前記後輪の前側に生じる空気抵抗を低減させることを特徴とする自動車のアンダーフロア構造。
【請求項2】
前記第二風路は、右側の後輪に向う右側第二風路と、左側の後輪に向う左側第二風路とを有し、前記右側第二風路と前記左側第二風路との間のアンダーカバーの上面には平滑部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のアンダーフロア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−168592(P2006−168592A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365237(P2004−365237)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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