自動車のドアロック装置
【課題】自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できるようにした自動車のドアロック装置に提供する。
【解決手段】 ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合、イグニションSWがオン、イグニションキーSWがオン、シートベルトSWがオフの場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定して、集中ドアロックを禁止し、それ以外の場合、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行する。
【解決手段】 ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合、イグニションSWがオン、イグニションキーSWがオン、シートベルトSWがオフの場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定して、集中ドアロックを禁止し、それ以外の場合、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部を操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行可能であり、この集中ドアロック制御を改善した自動車のドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のドアロック装置は、複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構を備え、各ドアにおいて、車外からドアキーシリンダにキーを差込んでドアキーシリンダを操作することで、又は、車内からドアロック操作部を操作することで、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換えるようにドアロック機構を作動させることができる。
【0003】
尚、ドアを閉じた状態で、ドアに設けられたラッチが車体本体に設けられたストライカに係合し、このとき、ドアロック機構は、アンロック状態では、ドアアウタノブ又はドアインナノブを操作して、ドアを開放可能にラッチをストライカから係合解除するように動作させ、ロック状態では、ドアアウタノブ又はドアインナノブを操作しても、ドアを開放不能にラッチをストライカから係合解除するように動作させないように構成してある。
【0004】
ところで、自動車のドアロック装置として、複数のドアロックアクチュエータを備え、運転席のドアキーシリンダ又はドアロック操作部をロック側位置又はアンロック側位置へ操作することで、複数のドアロックアクチュエータを駆動して、複数のドアを一括してロック状態又はアンロック状態に切換えるように、複数のドアロック機構を作動させるものが広く実用に供されている(特許文献1,2参照)。
【0005】
ここで、特許文献1には、衝突センサを設け、イグニションスイッチがオンされた状態で、衝突センサにより車両衝突が検出された場合に、ドアをロック状態からアンロック状態に強制的に切換える技術が開示され、特許文献2には、イグニションスイッチがオンされた状態では、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−199880号公報
【特許文献2】特開昭63−181876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、運転席のドアキーシリンダ又はドアロック操作部をロック側位置へ操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行する自動車のドアロック装置では、ドアキーシリンダとドアロック操作部のロック側位置への移動を夫々検出するセンサが設けられているが、車両衝突時、運転席のドアに衝突荷重が作用することにより、不意にドアキーシリンダ又はドアロック操作部がロック側位置へ移動し、その移動がセンサで検出されて、集中ドアロックが実行される場合が想定され、この場合、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められる虞が生じる。
【0008】
ここで、特許文献1の技術では、車両衝突が検出された場合、ドアをロック状態からアンロック状態に強制的に切換えるが、衝突センサが必要になり、特許文献2の技術では、イグニションスイッチがオンされた状態では、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止するため、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できるが、イグニションスイッチがオンされた状態で常に集中ドアロックを禁止すると、使い勝手が悪い面がある。例えば、エンジンを作動させた状態で、集中ドアロックを実行することが要望されても、特許文献2の技術では実行不可能である。
【0009】
本発明の目的は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できるようにした自動車のドアロック装置に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の自動車のドアロック装置は、自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチと、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この自動車のドアロック装置では、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0012】
ここで、請求項1の発明において、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、前記集中ドアロック制御手段は、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるようにしてもよい(請求項2)。
【0013】
請求項3の自動車のドアロック装置は、請求項1の発明のイグニションキースイッチを省略して、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、請求項1の集中ドアロック制御手段の代わりに、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この自動車のドアロック装置では、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0015】
ここで、請求項1〜3の発明において、イグニションスイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするようにしてもよい(請求項4)。
【0016】
また、請求項1〜4の発明において、前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するようにしてもよい(請求項5)。
【0017】
請求項6の自動車のドアロック装置は、自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置に保持されたドアキーシリンダと、車内からロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアロック操作部とを備えた自動車のドアロック装置において、前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、前記ドアロック操作部のロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアロック操作スイッチと、前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この自動車のドアロック装置では、ドアロック操作部がアンロック側位置からロック側位置へ移動する際に、ドアキーシリンダが中立位置に保持されることを前提に、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。
【0019】
ここで、請求項6の発明の従属請求項の構成として次の構成を採用可能である。
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのアンロック側位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止する(請求項7)。
【0020】
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換える(請求項8)。
【0021】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止する(請求項9)。
【0022】
イグニションスイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にする(請求項10)。
【0023】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行する(請求項11)。
【0024】
尚、請求項2、3、9の発明において、前記乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなるものでもよい。或いは、シートベルトスイッチの代わりに、運転席の重量を検知する重量センサ、運転席を撮像して運転席の乗員の有無を検知可能なカメラ等を採用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、衝突センサを用いずに、ドアキースイッチ、イグニションキースイッチからの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0026】
請求項2の発明によれば、イグニションキーシリンダにキーが差込まれ且つ乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、更に、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0027】
請求項3の発明によれば、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、ドアキースイッチ、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0028】
請求項4の発明によれば、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、イグニションキースイッチや乗員検知手段からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレススイッチでイグニションスイッチをオンしてエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにし、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように一層適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0029】
請求項5の発明によれば、集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後(例えば、数秒経過後)に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0030】
請求項6の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。つまり、衝突センサを用いずに、ドアキースイッチ、ドアロック操作スイッチからの検出信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0031】
請求項7の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがアンロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがアンロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、この移動は通常はドアキーシリンダのロック側位置への移動に連動して実行されるように構成できるが、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、更に、イグニションキースイッチからの検出信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0033】
請求項9の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態では、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。つまり、更に、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0034】
請求項10の発明によれば、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している状態で、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している状態で、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキースイッチやイグニションキースイッチや乗員検知手段からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレススイッチでイグニションスイッチをオンしてエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにし、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように一層適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0035】
請求項11の発明によれば、集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後(例えば、数秒経過後)に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0036】
請求項12の発明によれば、乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなるので、運転席のシートベルトの着用の有無を検出することで、運転席の乗員の有無を確実に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の自動車のドアロック装置は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部を操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行可能であり、この集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキーSW、ドアロック操作SW、イグニションSW、イグニションキーSW、シートベルトSWからの信号に基づいて、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できるように構成したものである。
【実施例1】
【0038】
自動車のドアロック装置1は、複数のドア(例えば、前席左ドア、前席右ドア、後席左ドア、後席右ドアの4枚のドア)を備えた自動車に適用され、図1〜図5に示すように、各ドアに、ドアロック機構2、ドアキーシリンダ3、ドアロック操作部4、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6、ドアロックアクチュエータ7を備えている。各ドアには、車外から操作可能なドアアウタノブ8、車内から操作可能なドアインナノブ9が設けられ、これらノブ8,9が、ドアロック機構2のラッチ本体10に連動連結される。
【0039】
ドアロック機構2は、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える機構であり、ドアを閉じた状態で、ドアに設けられたラッチが車体本体に設けられたストライカに係合し、このとき、ドアロック機構2は、ラッチ本体10により、アンロック状態では、ストライカとノブ8,9とを連係させ、ノブ8又は9を操作して、ドアを開放可能にラッチをストライカから係合解除するように動作させ、ロック状態では、ストライカとノブ8,9とを連係解除させ、ノブ8又9を操作しても、ドアを開放不能にラッチをストライカから係合解除するように動作させないように構成してある。
【0040】
ドアキーシリンダ3は、車外からキー穴3aにキーを差込んでロック側位置(図4参照)とアンロック側位置(図3参照)とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置(図1、図2参照)に保持され、ドアロック操作部4は、車内からロック側位置(図1、図4参照)とアンロック側位置(図2、図3参照)とに択一的に操作可能である。尚、ドアキーシリンダ3は付勢部材により中立位置に付勢されている。
【0041】
ドアロック機構2は、ラッチ本体10、ドアキーシリンダ3を操作することで作動するキーシリンダ操作系11、ドアロック操作部4を操作することで作動するドアロック操作系15を有し、ドアロック操作系15によりドアロック操作部4とラッチ本体10が連動連結されるとともに、キーシリンダ操作系11が作動することでドアロック操作系15を作動させ得るように構成されている。
【0042】
キーシリンダ操作系11は、リンク部材12,13、第1回動部材14を有し、リンク部材12の一端部がキーシリンダ3に固定され、リンク部材12の他端部とリンク部材13の一端部が回動自在に連結され、リンク部材13の他端部が第1回動部材14に回動自在に連結されている。第1回動部材14は、中心角度が約90度のセクター形状をなし、その中心部が取付部材2aに回動自在に枢支されている。
【0043】
第1回動部材14には、周方向両端部の外周近傍部にロック側押動部14aとアンロック側押動部14bが突出状に形成され、外周部にロック側被検出部5aとアンロック側被検出部5bが周方向に間隔を空けて設けられている。ドアキーSW5は、被検出部5a,5bの周方向中間部付近に設けられ、図4に示すように、ドアキーシリンダ3が中立位置からロック側位置へ移動されると、ドアキーSW5がロック側被検出部5aを検出することで、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動を検出し、図3に示すように、ドアキーシリンダ3が中立位置からアンロック側位置へ回動されると、ドアキーSW5がアンロック側被検出部5bを検出することで、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動を検出する。
【0044】
ここで、ドアキーSW5は、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動と、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動を識別して検出できるようになっており、そのために、例えば、ドアキーSW5は、ロック側被検出部5aとアンロック側被検出部5bを夫々独立に検出する2つの近接スイッチからなり、或いは、ドアキーSW5は、ドアキーSW5と被検出部5a,5bを夫々検出回路に電気的に接続することで、前記両移動を識別して検出可能な接点スイッチからなる。
【0045】
ドアロック操作系15は、リンク部材16、第2回動部材17、リンク部材18,19を有し、リンク部材16の一端部にドアロック操作部4が設けられ、リンク部材16の他端部とリンク部材17の一端部が第2回動部材17に回動自在に連結され、リンク部材18の他端部とリンク部材19の一端部が回動自在に連結され、リンク部材19の他端部がラッチ本体10に連結されている。第2回動部材17は、中心角度が約210度のセクター形状をなし、その中心部が第1回動部材14の中心部の近傍において取付部材2aに回動自在に枢支されている。
【0046】
第2回動部材17には、外周部にロック側被検出部6aが設けられている。図1に示すように、ドアロック操作部4がロック側位置のとき、その半時計回り方向端部が第1回動部材14のアンロック側押動部14bに接近した状態になり、ドアロック操作SW6がロック側被検出部6aを検出することで、ドアロック操作部4のロック側位置への移動を検出し、図2に示すように、ドアロック操作部4がアンロック側位置のとき、その時計回り方向端部が第1回動部材14のロック側押動部14aに接近した状態になり、ドアロック操作SW6がロック側被検出部6aを検出しないことで、ドアロック操作部4のアンロック側位置への移動を検出する。
【0047】
図1から図3の状態へ移行するように、ドアロック操作部4がロック側位置のときに、中立位置のドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動すると、第1回動部材14が回動して、アンロック側押動部14bが第2回動部材17を回動させて、ドアロック操作部4をアンロック側位置へ移動させ、また、図2から図4の状態へ移行するように、ドアロック操作部4がアンロック側位置のときに、中立位置のドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動すると、第1回動部材14が回動して、ロック側押動部14aが、第2回動部材17を回動させて、ドアロック操作部4をロック側位置へ移動させる。
【0048】
ドアロックアクチュエータ7は、ドアロック機構2のラッチ本体10を駆動して、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換え、これに連動して、ドアロック操作部4がロック側位置とアンロック側位置とに択一的に切換えられる。ここで、複数のドアロックアクチュエータ7が、複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構2を作動させる為の集中ドアロック手段に相当し、また、複数のドアを一括してアンロック状態に切換えるように複数のドアロック機構2を作動させることもできる。
【0049】
また、自動車のドアロック装置1は、図5に示すように、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22、イグニションキーレスSW23、ドアキーレスSW24、コントロールユニット30を備えている。
【0050】
イグニションSW20は、オンされてエンジンを作動させ、オフされてエンジンを停止させることができる。通常は、車内の運転席近くに設けられたイグニションキーシリンダにキーを差し込んで回すことで、イグニションSW20をオンできるが、イグニションキーシリンダにキーを差込まなくても、イグニションキーレスSW23を操作することで、無線通信により、イグニションSW20をオンしてエンジンを作動させること(所謂、リモートエンジンスタータ)が可能である。
【0051】
イグニションキーSW21は、イグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出し、シートベルトSW22は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出する。このシートベルトSW22が、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段に相当する。ドアキーレスSW24が操作されると、無線通信により、複数のドアロック機構2を作動させて、複数のドアを一括してロック状態に切換えること、又は、複数のドアを一括してアンロック状態に切換えることが可能である。
【0052】
コントロールユニット30は、CPUとROMとRAMを含むコンピュータを有し、このコントロールユニット30に前記SW5,6,20〜24が電気的に接続され、このSW5,6,20〜24からの信号に基づいてドアロック制御を実行し、その為のドアロック制御プログラムがコンピュータのROMに格納されている。尚、このコントロールユニット30が集中ドアロック制御手段に相当する。
【0053】
次に、コントロールユニット30が実行する集中ドアロック制御を含むドアロック制御について、図6〜図8のフローチャートに基づいて説明する。但し、以下のドアキーシリンダ3、ドアロック操作部4、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6については、運転席のドアに設けられたものである。
【0054】
図6に示すように、このドアロック制御が開始されると、先ず、ドアキーSW5からの信号に基づいて、ドアキーシリンダ3が中立位置からロック側位置へ移動したか否か判定され(S1)、S1;Noの場合、ドアキーシリンダ3が中立位置からアンロック側位置へ移動したか否か判定される(S2)。
【0055】
S2;Noの場合、ドアロック操作SW6からの信号に基づいて、ドアロック操作部4がアンロック側位置からロック側位置へ移動したか否か判定され(S3)、S3;Noの場合、ドアロック操作部4がロック側位置からアンロック側位置へ移動したか否か判定され(S4)。S4;Noの場合、ドアキーレスSW24からキーレスアンロック信号が受信されたか否か判定され(S5)、S5;Noの場合、ドアキーレスSW24からキーレスロック信号が受信されたか否か判定され(S6)、S6;Noの場合、リターンする。
【0056】
ドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した場合(S2;Yes )、或いは、ドアロック操作部4がアンロック側位置へ移動した場合(S4;Yes )、或いは、キーレスアンロック信号が受信された場合(S5;Yes )、複数のドアロックアクチュエータ7が駆動制御されて、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックが実行されて(S7)、リターンし、キーレスロック信号が受信された場合(S6;Yes )、複数のドアロックアクチュエータ7が駆動制御されて、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックが実行されて(S8)、リターンする。
【0057】
ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には(S1;Yes )、図7に示すように、先ず、イグニションSW20がオンされて(S10;Yes )、エンジンが作動している場合、S11へ移行する。次に、イグニションキーSW21がオンされて(S11;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合、S12へ移行する。次に、シートベルトSW22がオフされて(S12;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S13)、リターンする。S10;No、S11;No、S12;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行されて(S14)、リターンする。
【0058】
ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には(S3;Yes )、図8に示すように、先ず、イグニションSW20がオンされて(S20;Yes )、エンジンが作動している場合、S21へ移行する。次に、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S21;No、S22;No)、集中ドアロックが禁止されて(S25)、リターンする。
【0059】
一方、キーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合(S21;No、S22;Yes )、次に、イグニションキーSW21がオンされて(S23;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合に、シートベルトSW22がオフされて(S24;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S25)、リターンする。S21;No、S23;No、S24;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行されて(S26)、リターンする。
【0060】
この自動車のドアロック装置1によれば次の作用・効果を奏する。
図7にも示すように、先ず、コントロールユニット30は、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0061】
つまり、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、イグニションキーSW21やシートベルトSW22からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレスSW23でエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにすることができる。
【0062】
次に、コントロールユニット30は、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合に、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0063】
つまり、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0064】
更に、コントロールユニット30は、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出されない場合には、集中ドアロックを禁止する。
【0065】
つまり、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動し且つイグニションキーシリンダにキーが差込まれ且つ運転席のシートベルトが着用された状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、一方、運転席のシートベルトが着用されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダ3を操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0066】
一方、図8にも示すように、先ず、コントロールユニット30は、ドアロック操作SW6によりドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0067】
つまり、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキーSW5やイグニションキーSW21やシートベルトSW22からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレスSW23でエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにすることができる。
【0068】
次に、コントロールユニット30は、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合に、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置とアンロック側位置への移動が検出されない中立位置の場合、集中ドアロックを実行し、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合には、集中ドアロックを禁止し、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0069】
つまり、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3がロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3が前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止でき、一方、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3が前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部4が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。
【0070】
ここで、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止できる。また、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、この移動は通常はドアキーシリンダ3のロック側位置への移動に連動して実行されるが、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、集中ドアロックを実行できる。
【0071】
更に、コントロールユニット30は、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合に、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出されない場合には、集中ドアロックを実行するとともに、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出された場合には、集中ドアロックを禁止する。
【0072】
つまり、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合に、運転手のシートベルトが着用されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダ3を操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、運転手のシートベルトが着用された状態では、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できる。
【0073】
このように、本発明の自動車のドアロック装置1によれば、衝突センサを不要にして、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22からの信号に基づいて、ドアキーシリンダ3又はドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め、つまり、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止し、且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行することができる。
【0074】
尚、この自動車のドアロック装置1においては、ドアロック制御において、図6のS1(図7)とS3(図8)の一方を省略してもよい。ドアキーレスSW24を省略し、ドアロック制御において、図6のS5、S6を省略してもよい。図7のS10を省略してもよい。図8のS20を省略してもよい。運転席以外のドアにおいては、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6は省略可能である。
【実施例2】
【0075】
実施例2の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S10、S12を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図9に示すように、イグニションキーSW21がオンされて(S30;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合、集中ドアロックが禁止され(S31)、イグニションキーSW21がオフされて(S30;No)、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出されない場合、集中ドアロックが実行される(S32)。
【0076】
実施例1と比べると、イグニションSW20、シートベルトSW22からの信号を用いず、イグニションキーSW21からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S30の前に、図7のS10に相当するステップを追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例3】
【0077】
実施例3の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S10、S11を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図10に示すように、シートベルトSW22がオフされて(S35;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S36)、シートベルトSW22がオンされて(S35;Yes )、運転席のシートベルトの着用が検出されない場合、集中ドアロックが実行される(S37)。
【0078】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21からの信号を用いず、シートベルトSW22からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S35の前に、図7のS10に相当するステップを追加して、又は、図7のS11に相当するステップを追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例4】
【0079】
実施例4の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S20、S22〜S24を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図11に示すように、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のロック側位置又はアンロック側位置への移動が検出された場合(S40;No)、集中ドアロックが禁止され(S41)、キーシリンダ3のロック側位置又はアンロック側位置への移動が検出されない場合(S40;Yes )、つまり、キーシリンダ3が中立位置に保持されている場合、集中ドアロックが実行される(S41)。
【0080】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22からの信号を用いず、ドアキーSW5からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S40の前に、図8のS20に相当するステップを追加し、S41の後に、S8の図23に相当する追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例5】
【0081】
実施例4の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S20、S23を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図12に示すように、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S45;No、S46;No)、集中ドアロックが禁止され(S48)、キーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合(S45;No、S46;Yes )、シートベルトSW22がオフされて(S47;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止される(S48)。S25;Yes 、S47;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行される(S49)。
【0082】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21からの信号を用いず、ドアキーSW5、シートベルトSW22からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S44の前に、図8のS20に相当するステップを追加し、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例6】
【0083】
実施例6の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S13を変更したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図13に示すように、図7のS10〜S12と同様のS50〜S52が実行され、シートベルトSW22がオフされて(S52;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、先ず、集中ドアロックが実行され(S53)、その後、所定時間(数秒)経過した場合(S54;Yes )、集中ドアアンロックが実行されて(S55)、リターンする。
【0084】
このように、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合に、図7のように集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。尚、このS53〜55に相当するステップを、図9のS31の代わりに、また、図10のS36の代わりに採用してもよい。尚、S53とS54を省略することも可能である。
【実施例7】
【0085】
実施例7の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S25を変更したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図14に示すように、図8のS20〜S24と同様のS60〜S64が実行され、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S61;No、S62;No)、或いは、シートベルトSW22がオフされて(S64;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、先ず、集中ドアロックが実行され(S65)、その後、所定時間(数秒)経過した場合(S66;Yes )、集中ドアアンロックが実行されて(S67)、リターンする。
【0086】
このように、ドアロック操作SW6によりドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、図8のように集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。尚、このS65〜67に相当するステップを、図11のS41の代わりに、また、図12のS48の代わりに採用してもよい。尚、S65とS66を省略することも可能である。
【0087】
尚、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段として、シートベルトSW22の代わりに、運転席の重量を検知する重量センサ、運転席を撮像して運転席の乗員の有無を検知可能なカメラ等を採用してもよい。本発明の自動車のドアロック装置については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、また、種々の自動車に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダが中立位置でドアロック操作部がロック側位置の状態)の構成図である。
【図2】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダが中立位置でドアロック操作部がアンロック側位置の状態)の構成図である。
【図3】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダとドアロック操作部が共にアンロック側位置の状態)の構成図である。
【図4】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダとドアロック操作部が共にロック側位置の状態)の構成図である。
【図5】自動車のドアロック装置の制御系のブロック図である。
【図6】ドアロック制御のフローチャートである。
【図7】集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図8】集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図9】実施例2の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図10】実施例3の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図11】実施例4の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図12】実施例5の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図13】実施例6の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図14】実施例7の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 自動車のドアロック装置
2 ドアロック機構
3 ドアキーシリンダ
4 ドアロック操作部
5 ドアキーSW
6 ドアロック操作SW
7 ドアロックアクチュエータ
20 イグニションSW
21 イグニションキーSW
22 シートベルトSW
30 コントロールユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部を操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行可能であり、この集中ドアロック制御を改善した自動車のドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のドアロック装置は、複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構を備え、各ドアにおいて、車外からドアキーシリンダにキーを差込んでドアキーシリンダを操作することで、又は、車内からドアロック操作部を操作することで、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換えるようにドアロック機構を作動させることができる。
【0003】
尚、ドアを閉じた状態で、ドアに設けられたラッチが車体本体に設けられたストライカに係合し、このとき、ドアロック機構は、アンロック状態では、ドアアウタノブ又はドアインナノブを操作して、ドアを開放可能にラッチをストライカから係合解除するように動作させ、ロック状態では、ドアアウタノブ又はドアインナノブを操作しても、ドアを開放不能にラッチをストライカから係合解除するように動作させないように構成してある。
【0004】
ところで、自動車のドアロック装置として、複数のドアロックアクチュエータを備え、運転席のドアキーシリンダ又はドアロック操作部をロック側位置又はアンロック側位置へ操作することで、複数のドアロックアクチュエータを駆動して、複数のドアを一括してロック状態又はアンロック状態に切換えるように、複数のドアロック機構を作動させるものが広く実用に供されている(特許文献1,2参照)。
【0005】
ここで、特許文献1には、衝突センサを設け、イグニションスイッチがオンされた状態で、衝突センサにより車両衝突が検出された場合に、ドアをロック状態からアンロック状態に強制的に切換える技術が開示され、特許文献2には、イグニションスイッチがオンされた状態では、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−199880号公報
【特許文献2】特開昭63−181876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、運転席のドアキーシリンダ又はドアロック操作部をロック側位置へ操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行する自動車のドアロック装置では、ドアキーシリンダとドアロック操作部のロック側位置への移動を夫々検出するセンサが設けられているが、車両衝突時、運転席のドアに衝突荷重が作用することにより、不意にドアキーシリンダ又はドアロック操作部がロック側位置へ移動し、その移動がセンサで検出されて、集中ドアロックが実行される場合が想定され、この場合、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められる虞が生じる。
【0008】
ここで、特許文献1の技術では、車両衝突が検出された場合、ドアをロック状態からアンロック状態に強制的に切換えるが、衝突センサが必要になり、特許文献2の技術では、イグニションスイッチがオンされた状態では、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止するため、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できるが、イグニションスイッチがオンされた状態で常に集中ドアロックを禁止すると、使い勝手が悪い面がある。例えば、エンジンを作動させた状態で、集中ドアロックを実行することが要望されても、特許文献2の技術では実行不可能である。
【0009】
本発明の目的は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できるようにした自動車のドアロック装置に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の自動車のドアロック装置は、自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチと、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この自動車のドアロック装置では、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0012】
ここで、請求項1の発明において、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、前記集中ドアロック制御手段は、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるようにしてもよい(請求項2)。
【0013】
請求項3の自動車のドアロック装置は、請求項1の発明のイグニションキースイッチを省略して、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、請求項1の集中ドアロック制御手段の代わりに、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この自動車のドアロック装置では、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0015】
ここで、請求項1〜3の発明において、イグニションスイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするようにしてもよい(請求項4)。
【0016】
また、請求項1〜4の発明において、前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するようにしてもよい(請求項5)。
【0017】
請求項6の自動車のドアロック装置は、自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置に保持されたドアキーシリンダと、車内からロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアロック操作部とを備えた自動車のドアロック装置において、前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、前記ドアロック操作部のロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアロック操作スイッチと、前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この自動車のドアロック装置では、ドアロック操作部がアンロック側位置からロック側位置へ移動する際に、ドアキーシリンダが中立位置に保持されることを前提に、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止して、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。一方、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。
【0019】
ここで、請求項6の発明の従属請求項の構成として次の構成を採用可能である。
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのアンロック側位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止する(請求項7)。
【0020】
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換える(請求項8)。
【0021】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止する(請求項9)。
【0022】
イグニションスイッチを備え、前記集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にする(請求項10)。
【0023】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行する(請求項11)。
【0024】
尚、請求項2、3、9の発明において、前記乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなるものでもよい。或いは、シートベルトスイッチの代わりに、運転席の重量を検知する重量センサ、運転席を撮像して運転席の乗員の有無を検知可能なカメラ等を採用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、衝突センサを用いずに、ドアキースイッチ、イグニションキースイッチからの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0026】
請求項2の発明によれば、イグニションキーシリンダにキーが差込まれ且つ乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、更に、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0027】
請求項3の発明によれば、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、ドアキースイッチ、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0028】
請求項4の発明によれば、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、イグニションキースイッチや乗員検知手段からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレススイッチでイグニションスイッチをオンしてエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにし、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように一層適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0029】
請求項5の発明によれば、集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後(例えば、数秒経過後)に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0030】
請求項6の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止でき、一方、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダが前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。つまり、衝突センサを用いずに、ドアキースイッチ、ドアロック操作スイッチからの検出信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0031】
請求項7の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダがアンロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがアンロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合に、この移動は通常はドアキーシリンダのロック側位置への移動に連動して実行されるように構成できるが、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。つまり、更に、イグニションキースイッチからの検出信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0033】
請求項9の発明によれば、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合、ドアキーシリンダがロック側位置へ移動した場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダを操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された状態では、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止できる。つまり、更に、乗員検知手段からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0034】
請求項10の発明によれば、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している状態で、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している状態で、ドアロック操作部がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキースイッチやイグニションキースイッチや乗員検知手段からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレススイッチでイグニションスイッチをオンしてエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにし、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように一層適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。
【0035】
請求項11の発明によれば、集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後(例えば、数秒経過後)に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。
【0036】
請求項12の発明によれば、乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなるので、運転席のシートベルトの着用の有無を検出することで、運転席の乗員の有無を確実に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の自動車のドアロック装置は、自動車のドアキーシリンダ又はドアロック操作部を操作することで、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを実行可能であり、この集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキーSW、ドアロック操作SW、イグニションSW、イグニションキーSW、シートベルトSWからの信号に基づいて、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できるように構成したものである。
【実施例1】
【0038】
自動車のドアロック装置1は、複数のドア(例えば、前席左ドア、前席右ドア、後席左ドア、後席右ドアの4枚のドア)を備えた自動車に適用され、図1〜図5に示すように、各ドアに、ドアロック機構2、ドアキーシリンダ3、ドアロック操作部4、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6、ドアロックアクチュエータ7を備えている。各ドアには、車外から操作可能なドアアウタノブ8、車内から操作可能なドアインナノブ9が設けられ、これらノブ8,9が、ドアロック機構2のラッチ本体10に連動連結される。
【0039】
ドアロック機構2は、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える機構であり、ドアを閉じた状態で、ドアに設けられたラッチが車体本体に設けられたストライカに係合し、このとき、ドアロック機構2は、ラッチ本体10により、アンロック状態では、ストライカとノブ8,9とを連係させ、ノブ8又は9を操作して、ドアを開放可能にラッチをストライカから係合解除するように動作させ、ロック状態では、ストライカとノブ8,9とを連係解除させ、ノブ8又9を操作しても、ドアを開放不能にラッチをストライカから係合解除するように動作させないように構成してある。
【0040】
ドアキーシリンダ3は、車外からキー穴3aにキーを差込んでロック側位置(図4参照)とアンロック側位置(図3参照)とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置(図1、図2参照)に保持され、ドアロック操作部4は、車内からロック側位置(図1、図4参照)とアンロック側位置(図2、図3参照)とに択一的に操作可能である。尚、ドアキーシリンダ3は付勢部材により中立位置に付勢されている。
【0041】
ドアロック機構2は、ラッチ本体10、ドアキーシリンダ3を操作することで作動するキーシリンダ操作系11、ドアロック操作部4を操作することで作動するドアロック操作系15を有し、ドアロック操作系15によりドアロック操作部4とラッチ本体10が連動連結されるとともに、キーシリンダ操作系11が作動することでドアロック操作系15を作動させ得るように構成されている。
【0042】
キーシリンダ操作系11は、リンク部材12,13、第1回動部材14を有し、リンク部材12の一端部がキーシリンダ3に固定され、リンク部材12の他端部とリンク部材13の一端部が回動自在に連結され、リンク部材13の他端部が第1回動部材14に回動自在に連結されている。第1回動部材14は、中心角度が約90度のセクター形状をなし、その中心部が取付部材2aに回動自在に枢支されている。
【0043】
第1回動部材14には、周方向両端部の外周近傍部にロック側押動部14aとアンロック側押動部14bが突出状に形成され、外周部にロック側被検出部5aとアンロック側被検出部5bが周方向に間隔を空けて設けられている。ドアキーSW5は、被検出部5a,5bの周方向中間部付近に設けられ、図4に示すように、ドアキーシリンダ3が中立位置からロック側位置へ移動されると、ドアキーSW5がロック側被検出部5aを検出することで、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動を検出し、図3に示すように、ドアキーシリンダ3が中立位置からアンロック側位置へ回動されると、ドアキーSW5がアンロック側被検出部5bを検出することで、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動を検出する。
【0044】
ここで、ドアキーSW5は、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動と、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動を識別して検出できるようになっており、そのために、例えば、ドアキーSW5は、ロック側被検出部5aとアンロック側被検出部5bを夫々独立に検出する2つの近接スイッチからなり、或いは、ドアキーSW5は、ドアキーSW5と被検出部5a,5bを夫々検出回路に電気的に接続することで、前記両移動を識別して検出可能な接点スイッチからなる。
【0045】
ドアロック操作系15は、リンク部材16、第2回動部材17、リンク部材18,19を有し、リンク部材16の一端部にドアロック操作部4が設けられ、リンク部材16の他端部とリンク部材17の一端部が第2回動部材17に回動自在に連結され、リンク部材18の他端部とリンク部材19の一端部が回動自在に連結され、リンク部材19の他端部がラッチ本体10に連結されている。第2回動部材17は、中心角度が約210度のセクター形状をなし、その中心部が第1回動部材14の中心部の近傍において取付部材2aに回動自在に枢支されている。
【0046】
第2回動部材17には、外周部にロック側被検出部6aが設けられている。図1に示すように、ドアロック操作部4がロック側位置のとき、その半時計回り方向端部が第1回動部材14のアンロック側押動部14bに接近した状態になり、ドアロック操作SW6がロック側被検出部6aを検出することで、ドアロック操作部4のロック側位置への移動を検出し、図2に示すように、ドアロック操作部4がアンロック側位置のとき、その時計回り方向端部が第1回動部材14のロック側押動部14aに接近した状態になり、ドアロック操作SW6がロック側被検出部6aを検出しないことで、ドアロック操作部4のアンロック側位置への移動を検出する。
【0047】
図1から図3の状態へ移行するように、ドアロック操作部4がロック側位置のときに、中立位置のドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動すると、第1回動部材14が回動して、アンロック側押動部14bが第2回動部材17を回動させて、ドアロック操作部4をアンロック側位置へ移動させ、また、図2から図4の状態へ移行するように、ドアロック操作部4がアンロック側位置のときに、中立位置のドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動すると、第1回動部材14が回動して、ロック側押動部14aが、第2回動部材17を回動させて、ドアロック操作部4をロック側位置へ移動させる。
【0048】
ドアロックアクチュエータ7は、ドアロック機構2のラッチ本体10を駆動して、ドアをロック状態とアンロック状態とに択一的に切換え、これに連動して、ドアロック操作部4がロック側位置とアンロック側位置とに択一的に切換えられる。ここで、複数のドアロックアクチュエータ7が、複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構2を作動させる為の集中ドアロック手段に相当し、また、複数のドアを一括してアンロック状態に切換えるように複数のドアロック機構2を作動させることもできる。
【0049】
また、自動車のドアロック装置1は、図5に示すように、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22、イグニションキーレスSW23、ドアキーレスSW24、コントロールユニット30を備えている。
【0050】
イグニションSW20は、オンされてエンジンを作動させ、オフされてエンジンを停止させることができる。通常は、車内の運転席近くに設けられたイグニションキーシリンダにキーを差し込んで回すことで、イグニションSW20をオンできるが、イグニションキーシリンダにキーを差込まなくても、イグニションキーレスSW23を操作することで、無線通信により、イグニションSW20をオンしてエンジンを作動させること(所謂、リモートエンジンスタータ)が可能である。
【0051】
イグニションキーSW21は、イグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出し、シートベルトSW22は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出する。このシートベルトSW22が、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段に相当する。ドアキーレスSW24が操作されると、無線通信により、複数のドアロック機構2を作動させて、複数のドアを一括してロック状態に切換えること、又は、複数のドアを一括してアンロック状態に切換えることが可能である。
【0052】
コントロールユニット30は、CPUとROMとRAMを含むコンピュータを有し、このコントロールユニット30に前記SW5,6,20〜24が電気的に接続され、このSW5,6,20〜24からの信号に基づいてドアロック制御を実行し、その為のドアロック制御プログラムがコンピュータのROMに格納されている。尚、このコントロールユニット30が集中ドアロック制御手段に相当する。
【0053】
次に、コントロールユニット30が実行する集中ドアロック制御を含むドアロック制御について、図6〜図8のフローチャートに基づいて説明する。但し、以下のドアキーシリンダ3、ドアロック操作部4、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6については、運転席のドアに設けられたものである。
【0054】
図6に示すように、このドアロック制御が開始されると、先ず、ドアキーSW5からの信号に基づいて、ドアキーシリンダ3が中立位置からロック側位置へ移動したか否か判定され(S1)、S1;Noの場合、ドアキーシリンダ3が中立位置からアンロック側位置へ移動したか否か判定される(S2)。
【0055】
S2;Noの場合、ドアロック操作SW6からの信号に基づいて、ドアロック操作部4がアンロック側位置からロック側位置へ移動したか否か判定され(S3)、S3;Noの場合、ドアロック操作部4がロック側位置からアンロック側位置へ移動したか否か判定され(S4)。S4;Noの場合、ドアキーレスSW24からキーレスアンロック信号が受信されたか否か判定され(S5)、S5;Noの場合、ドアキーレスSW24からキーレスロック信号が受信されたか否か判定され(S6)、S6;Noの場合、リターンする。
【0056】
ドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した場合(S2;Yes )、或いは、ドアロック操作部4がアンロック側位置へ移動した場合(S4;Yes )、或いは、キーレスアンロック信号が受信された場合(S5;Yes )、複数のドアロックアクチュエータ7が駆動制御されて、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックが実行されて(S7)、リターンし、キーレスロック信号が受信された場合(S6;Yes )、複数のドアロックアクチュエータ7が駆動制御されて、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックが実行されて(S8)、リターンする。
【0057】
ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には(S1;Yes )、図7に示すように、先ず、イグニションSW20がオンされて(S10;Yes )、エンジンが作動している場合、S11へ移行する。次に、イグニションキーSW21がオンされて(S11;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合、S12へ移行する。次に、シートベルトSW22がオフされて(S12;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S13)、リターンする。S10;No、S11;No、S12;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行されて(S14)、リターンする。
【0058】
ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には(S3;Yes )、図8に示すように、先ず、イグニションSW20がオンされて(S20;Yes )、エンジンが作動している場合、S21へ移行する。次に、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S21;No、S22;No)、集中ドアロックが禁止されて(S25)、リターンする。
【0059】
一方、キーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合(S21;No、S22;Yes )、次に、イグニションキーSW21がオンされて(S23;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合に、シートベルトSW22がオフされて(S24;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S25)、リターンする。S21;No、S23;No、S24;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行されて(S26)、リターンする。
【0060】
この自動車のドアロック装置1によれば次の作用・効果を奏する。
図7にも示すように、先ず、コントロールユニット30は、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0061】
つまり、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、イグニションキーSW21やシートベルトSW22からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレスSW23でエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにすることができる。
【0062】
次に、コントロールユニット30は、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合に、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0063】
つまり、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止でき、一方、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する可能性が低いものとし、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0064】
更に、コントロールユニット30は、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出されない場合には、集中ドアロックを禁止する。
【0065】
つまり、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動し且つイグニションキーシリンダにキーが差込まれ且つ運転席のシートベルトが着用された状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止でき、一方、運転席のシートベルトが着用されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダ3を操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行できる。
【0066】
一方、図8にも示すように、先ず、コントロールユニット30は、ドアロック操作SW6によりドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している場合には、集中ドアロックを実行するとともに、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0067】
つまり、イグニションSW20がオフされてエンジンが停止している状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、一方、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダがロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できるが、最終的に集中ドアロックを実行するか否かを、ドアキーSW5やイグニションキーSW21やシートベルトSW22からの信号に基づく判断に委ねることができ、故に、イグニションキーレスSW23でエンジンを作動させた状態でも、集中ドアロックを実行できるようにすることができる。
【0068】
次に、コントロールユニット30は、イグニションSW20がオンされてエンジンが作動している場合に、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置とアンロック側位置への移動が検出されない中立位置の場合、集中ドアロックを実行し、ドアキーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合には、集中ドアロックを禁止し、ドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合には、集中ドアロックを禁止可能にする。
【0069】
つまり、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3がロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3が前記何れかの位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを禁止でき、一方、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3が前記何れかの位置へ移動しない場合には、ドアロック操作部4が乗員により正常に操作されたことによりロック側位置へ移動したと判断し、集中ドアロックを実行できる。
【0070】
ここで、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、ドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した場合には、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がアンロック側位置へ移動した可能性が高く、この場合、集中ドアロックを禁止できる。また、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合に、この移動は通常はドアキーシリンダ3のロック側位置への移動に連動して実行されるが、イグニションキーシリンダにキーが差込まれない状態で、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合には、集中ドアロックを実行できる。
【0071】
更に、コントロールユニット30は、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合、イグニションキーSW21によりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合に、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出されない場合には、集中ドアロックを実行するとともに、シートベルトSW22により運転席のシートベルトの着用が検出された場合には、集中ドアロックを禁止する。
【0072】
つまり、イグニションキーシリンダにキーが差込まれた状態で、ドアロック操作部4がロック側位置へ移動した場合、ドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動した場合に、運転手のシートベルトが着用されない状態では、自動車の停車中に運転手がドアキーシリンダ3を操作した可能性が高く、この場合、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定外として、集中ドアロックを実行でき、運転手のシートベルトが着用された状態では、車内に乗員が存在する状態で、車両衝突により不意にドアキーシリンダ3がロック側位置へ移動する場合を想定でき、この場合、集中ドアロックを禁止できる。
【0073】
このように、本発明の自動車のドアロック装置1によれば、衝突センサを不要にして、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22からの信号に基づいて、ドアキーシリンダ3又はドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め、つまり、衝突を起こした自動車の車内に乗員が閉じ込められることを防止し、且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行することができる。
【0074】
尚、この自動車のドアロック装置1においては、ドアロック制御において、図6のS1(図7)とS3(図8)の一方を省略してもよい。ドアキーレスSW24を省略し、ドアロック制御において、図6のS5、S6を省略してもよい。図7のS10を省略してもよい。図8のS20を省略してもよい。運転席以外のドアにおいては、ドアキーSW5、ドアロック操作SW6は省略可能である。
【実施例2】
【0075】
実施例2の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S10、S12を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図9に示すように、イグニションキーSW21がオンされて(S30;Yes )、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出された場合、集中ドアロックが禁止され(S31)、イグニションキーSW21がオフされて(S30;No)、イグニションキーシリンダへのキーの差込みが検出されない場合、集中ドアロックが実行される(S32)。
【0076】
実施例1と比べると、イグニションSW20、シートベルトSW22からの信号を用いず、イグニションキーSW21からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S30の前に、図7のS10に相当するステップを追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例3】
【0077】
実施例3の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S10、S11を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図10に示すように、シートベルトSW22がオフされて(S35;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止されて(S36)、シートベルトSW22がオンされて(S35;Yes )、運転席のシートベルトの着用が検出されない場合、集中ドアロックが実行される(S37)。
【0078】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21からの信号を用いず、シートベルトSW22からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S35の前に、図7のS10に相当するステップを追加して、又は、図7のS11に相当するステップを追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例4】
【0079】
実施例4の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S20、S22〜S24を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図11に示すように、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のロック側位置又はアンロック側位置への移動が検出された場合(S40;No)、集中ドアロックが禁止され(S41)、キーシリンダ3のロック側位置又はアンロック側位置への移動が検出されない場合(S40;Yes )、つまり、キーシリンダ3が中立位置に保持されている場合、集中ドアロックが実行される(S41)。
【0080】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21、シートベルトSW22からの信号を用いず、ドアキーSW5からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S40の前に、図8のS20に相当するステップを追加し、S41の後に、S8の図23に相当する追加して、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例5】
【0081】
実施例4の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S20、S23を省略したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図12に示すように、ドアキーSW5からの信号に基づいて、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S45;No、S46;No)、集中ドアロックが禁止され(S48)、キーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合(S45;No、S46;Yes )、シートベルトSW22がオフされて(S47;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、集中ドアロックが禁止される(S48)。S25;Yes 、S47;Yes の場合には、夫々、集中ドアロックが実行される(S49)。
【0082】
実施例1と比べると、イグニションSW20、イグニションキーSW21からの信号を用いず、ドアキーSW5、シートベルトSW22からの信号に基づいて、集中ドアロックを実行するか否かを、安全性を高め且つ使い勝手が良くなるように適切に判断して、集中ドアロック制御を実行できる。尚、S44の前に、図8のS20に相当するステップを追加し、前記判断をより適切に行うようにすることができる。
【実施例6】
【0083】
実施例6の集中ドアロック制御は、実施例1の図7に示す制御において、S13を変更したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図13に示すように、図7のS10〜S12と同様のS50〜S52が実行され、シートベルトSW22がオフされて(S52;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、先ず、集中ドアロックが実行され(S53)、その後、所定時間(数秒)経過した場合(S54;Yes )、集中ドアアンロックが実行されて(S55)、リターンする。
【0084】
このように、ドアキーSW5によりドアキーシリンダ3のロック側位置への移動が検出された場合に、図7のように集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。尚、このS53〜55に相当するステップを、図9のS31の代わりに、また、図10のS36の代わりに採用してもよい。尚、S53とS54を省略することも可能である。
【実施例7】
【0085】
実施例7の集中ドアロック制御は、実施例1の図8に示す制御において、S25を変更したものである。即ち、この集中ドアロック制御では、図14に示すように、図8のS20〜S24と同様のS60〜S64が実行され、キーシリンダ3のアンロック側位置への移動が検出された場合(S61;No、S62;No)、或いは、シートベルトSW22がオフされて(S64;No)、運転席のシートベルトの着用が検出された場合、先ず、集中ドアロックが実行され(S65)、その後、所定時間(数秒)経過した場合(S66;Yes )、集中ドアアンロックが実行されて(S67)、リターンする。
【0086】
このように、ドアロック操作SW6によりドアロック操作部4のロック側位置への移動が検出された場合に、図8のように集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行するので、車両衝突を想定して、車両衝突時に集中ドアロックを実行することで、ドアが開いて乗員が車外へ飛び出すことを極力防止でき、所定時間経過後に、集中ドアアンロックを実行することで、車内に乗員が閉じ込められることを確実に防止できる。尚、このS65〜67に相当するステップを、図11のS41の代わりに、また、図12のS48の代わりに採用してもよい。尚、S65とS66を省略することも可能である。
【0087】
尚、運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段として、シートベルトSW22の代わりに、運転席の重量を検知する重量センサ、運転席を撮像して運転席の乗員の有無を検知可能なカメラ等を採用してもよい。本発明の自動車のドアロック装置については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、また、種々の自動車に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダが中立位置でドアロック操作部がロック側位置の状態)の構成図である。
【図2】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダが中立位置でドアロック操作部がアンロック側位置の状態)の構成図である。
【図3】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダとドアロック操作部が共にアンロック側位置の状態)の構成図である。
【図4】自動車のドアロック装置(ドアキーシリンダとドアロック操作部が共にロック側位置の状態)の構成図である。
【図5】自動車のドアロック装置の制御系のブロック図である。
【図6】ドアロック制御のフローチャートである。
【図7】集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図8】集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図9】実施例2の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図10】実施例3の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図11】実施例4の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図12】実施例5の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図13】実施例6の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【図14】実施例7の集中ドアロック制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 自動車のドアロック装置
2 ドアロック機構
3 ドアキーシリンダ
4 ドアロック操作部
5 ドアキーSW
6 ドアロック操作SW
7 ドアロックアクチュエータ
20 イグニションSW
21 イグニションキーSW
22 シートベルトSW
30 コントロールユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチと、
前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項2】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、
前記集中ドアロック制御手段は、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項3】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段と、
前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項4】
イグニションスイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項5】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項6】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置に保持されたドアキーシリンダと、車内からロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアロック操作部とを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記ドアロック操作部のロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアロック操作スイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項7】
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのアンロック側位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止することを特徴とする請求項6に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項8】
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを特徴とする請求項7に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項9】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止することを特徴とする請求項7に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項10】
イグニションスイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にすることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項11】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行することを特徴とする請求項6〜10の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項12】
前記乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなることを特徴とする請求項2又は3又は9に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項1】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチと、
前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項2】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、
前記集中ドアロック制御手段は、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出された場合でも、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項3】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアキーシリンダとを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段と、
前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止するように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項4】
イグニションスイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項5】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項6】
自動車の複数のドアを夫々ロック状態とアンロック状態とに択一的に切換える複数のドアロック機構と、車外からキーを差込んでロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能で且つ通常は中立位置に保持されたドアキーシリンダと、車内からロック側位置とアンロック側位置とに択一的に操作可能なドアロック操作部とを備えた自動車のドアロック装置において、
前記ドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアキースイッチと、
前記ドアロック操作部のロック側位置とアンロック側位置への移動を検出するドアロック操作スイッチと、
前記複数のドアを一括してロック状態に切換えるように複数のドアロック機構を作動させる為の集中ドアロック手段と、
前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置とアンロック側位置の何れかの位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にするように、集中ドアロック手段を制御する集中ドアロック制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動車のドアロック装置。
【請求項7】
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのアンロック側位置への移動が検出された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止することを特徴とする請求項6に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項8】
車内に設けられたイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態を検出するイグニションキースイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションキースイッチによりイグニションキーシリンダへのキーの差込み状態が検出されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを特徴とする請求項7に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項9】
運転席の乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアキースイッチによりドアキーシリンダのロック側位置への移動が検出された場合に、乗員検知手段により運転席の乗員が検知されない場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、乗員検知手段により運転席の乗員が検知された場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止することを特徴とする請求項7に記載の自動車のドアロック装置。
【請求項10】
イグニションスイッチを備え、
前記集中ドアロック制御手段は、ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、イグニションスイッチがオフされてエンジンが停止している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えるとともに、イグニションスイッチがオンされてエンジンが作動している場合には、複数のドアを一括してロック状態に切換えることを禁止可能にすることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項11】
前記集中ドアロック制御手段は、前記ドアロック操作スイッチによりドアロック操作部のロック側位置への移動が検出された場合に、複数のドアを一括してロック状態に切換える集中ドアロックを禁止する場合には、その集中ドアロックを禁止する代わりに、一旦集中ドアロックを実行し、その集中ドアロックの実行時から所定時間経過後に、複数のドアを一括してアンロック状態に切換える集中ドアアンロックを実行することを特徴とする請求項6〜10の何れかに記載の自動車のドアロック装置。
【請求項12】
前記乗員検知手段は、運転席のシートベルトの着用の有無を検出するシートベルトスイッチからなることを特徴とする請求項2又は3又は9に記載の自動車のドアロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−31809(P2008−31809A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209402(P2006−209402)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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