説明

自動車のライセンスランプ固定装置

【課題】樹脂製のリヤバンパーにライセンスランプを固定するライセンスランプ固定装置において、スライド型のない成形型によってリヤバンパーを成形できるようにする。
【解決手段】リヤバンパー1に形成された取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3が前後方向に動くことを禁止し、かつ上方に移動することを禁止する規制部12が、ライセンスランプ3のハウジング4に設けられた水平部13と、その水平部13の前端部に一体に連結された垂直部14とを有し、その水平部13の後端面18がリヤバンパー1の受け面15に当接し、垂直部14の前面19がリヤバンパー1の受け面20に当接し、水平部13の上面21がリヤバンパー1の突部17の下面より成る受け面22に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部に取り付けられた樹脂製のリヤバンパーに形成されている取付孔に嵌着されたライセンスランプをリヤバンパーに対して固定する自動車のライセンスランプ固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリヤバンパーに固定されたライセンスプレートに表示されている文字を夜間でも目視できるように、リヤバンパーには、ライセンスプレートに光を当てるライセンスランプが固定されている。このライセンスランプは、リヤバンパーに形成された取付孔に嵌着されると共に、ライセンスランプ固定装置によってリヤバンパーに対して固定されている。夜間の自動車の走行時に、ライセンスランプのハウジングに収容されたバルブから出射した光をライセンスプレートに当てることによって、ライセンスプレートの文字を明瞭に目視することができる。
【0003】
ところで、リヤバンパーは、樹脂の成形品のみ、又はその成形品とこれに固定された金属製のリインフォースメントより成る。そのいずれの場合も、成形品を射出成形機により成形してリヤバンパーを製造している。その際、従来のリヤバンパーを製造する射出成形機の成形型は、固定型と移動型のほかにスライド型を有していた。従来のリヤバンパーは、ライセンスランプ固定装置の形状に基因して、スライド型を有する成形型を用いないと成形できない形態を有していたのである。ところが、スライド型を備えた成形型は、その構造が複雑でコストが高いため、リヤバンパー自体のコストが上昇してしまう。また、スライド型を有する成形型を用いてリヤバンパーを成形すると、スライド型と可動型の間の境目が、成形されたリヤバンパーの表面に入れ子線として現われ、その見栄えが低下する欠点も免れない。
【0004】
なお、自動車のバンパーについては、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−67308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来よりも低コストで、しかも入れ子線の現われないリヤバンパーを成形することの可能な自動車のライセンスランプ固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体の後部に取り付けられた樹脂製のリヤバンパーに形成されている取付孔に嵌着されたライセンスランプを該リヤバンパーに対して固定する自動車のライセンスランプ固定装置であって、該ライセンスランプのハウジングには、当該ライセンスランプがリヤバンパーに対して下方に移動することを阻止すべく、前記取付孔の近傍のリヤバンパー部分より成る第1の受け面にその上方から当接する係合面を備えた第1の規制部と、ライセンスランプがリヤバンパーに対して前後方向に移動することを阻止すると共に、当該ライセンスランプがリヤバンパーに対して上方に移動することを阻止するための第2の規制部とがそれぞれ一体に付設され、前記第1の規制部は、ライセンスランプを前記取付孔の下方から持ち上げて該取付孔に嵌着する際に、第1の規制部の係合面が前記第1の受け面を通過して、該第1の受け面の上に移動できるように、ライセンスランプのハウジングに弾性変形可能に連結され、前記第2の規制部は、水平部と、該水平部の前端部に一体に連結され、かつ該水平部から下方に突出する垂直部とを有し、前記リヤバンパーには、前記取付孔の前縁に対向して上下に延びる第2の受け面と、該第2の受け面の上端部から前方に突出した突部が形成されていて、前記ライセンスランプがリヤバンパーに対して前後方向に移動することを阻止すべく、前記第2の規制部の水平部の後端面が前記第2の受け面に当接し、かつ前記第2の規制部の垂直部の前面が前記取付孔の前縁から下方に延びるリヤバンパー部分の後面より成る第3の受け面に当接し、ライセンスランプがリヤバンパーに対して上方に移動することを阻止すべく、前記第2の規制部の水平部の上面が、前記リヤバンパーの突部の下面より成る第4の受け面に当接し、前記第2及び第4の受け面と、前記第3の受け面は互いに離間し、前記取付孔の前縁は、前記第2の受け面の下端よりも下方に位置している自動車のライセンスランプ固定装置を提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スライド型のない成形型によってリヤバンパーを成形することができるので、リヤバンパーのコストを低減することができる。しかも成形されたリヤバンパーに入れ子線が現れることを阻止でき、リヤバンパーの見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】自動車の車体後部に取り付けられたリヤバンパーを自動車の後方から見た正面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】リヤバンパーと、そのリヤバンパーに形成された取付孔に嵌着固定される前のライセンスランプを示す斜視図である。
【図4】リヤバンパーと、そのリヤバンパーに形成された取付孔に嵌着固定されたライセンスランプを示す斜視図である。
【図5】リヤバンパーと、その取付孔に嵌着固定されたライセンスランプの断面図である。
【図6】図4のH−H線拡大断面図である。
【図7】リヤバンパーを成形する成形型を示す断面図である。
【図8】従来のリヤバンパーと、そのリヤバンパーに形成された取付孔に嵌着固定される前の従来のライセンスランプを示す斜視図である。
【図9】取付孔に嵌着固定された状態での従来のライセンスランプとリヤバンパーを示す断面図である。
【図10】従来のリヤバンパーを成形する成形型を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って説明し、併せて従来のライセンスランプ固定装置とその欠点を図面に即してより具体的に明らかにする。
【0011】
図1は、自動車の車体(図示せず)の後部に取り付けられた樹脂製のリヤバンパー1を自動車の後方から見た正面図である。ここに示したリヤバンパー1には、未だライセンスプレートもライセンスランプも取り付けられていない。図1に破線で囲んだ部分は、図示していないライセンスプレートが取り付けられる領域を示している。また、各図における矢印Frは自動車の前進方向を示し、矢印Wは車幅方向を示している。本明細書及び特許請求の範囲における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
【0012】
図2は、図1のA−A線拡大断面図であり、この図と図1とから判るように、リヤバンパー1には、取付孔2が形成されていて、図2に破線と、一点鎖線と、二点鎖線とで順次示したように、ライセンスランプ3は、取付孔2の下方から持ち上げられて、その取付孔2に嵌着される。このとき、次に示す自動車のライセンスランプ固定装置によって、取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して固定される。
【0013】
図3は、図2の矢印B方向に見たリヤバンパー1と、そのリヤバンパー1の取付孔2に取り付けられる前のライセンスランプ3を示す斜視図である。また、図4はリヤバンパー1の取付孔2に嵌着固定されたライセンスランプ3を示す斜視図である。さらに、図5の(a)は図4のC−C線断面図であり、図5の(b)は図4のD−D線断面図であって、リヤバンパー1の一部を省略して示した図である。
【0014】
図5の(a)に示すように、ライセンスランプ3は、樹脂製のハウジング4と、そのハウジング4に固定されたレンズ5と、ハウジング4内に固定配置されたバルブ6とを有している。ライセンスランプ3が図4に示したようにリヤバンパー1に固定され、しかもそのリヤバンパー1にライセンスプレートが固定された状態で自動車を夜間走行させたとき、バルブ6から出射した光がレンズ5を透過してライセンスプレートに当てられ、そのプレートが照明される。
【0015】
図1及び図3乃至図5から判るように、リヤバンパー1とライセンスランプ3は、左右対称に形成されている。
【0016】
図3、図4及び図5の(a)に示すように、取付孔2の近傍の左右のリヤバンパー部分には、それぞれフランジ状に突出した突出部7が形成され、その各突出部7の上面によって、第1の受け面8がそれぞれ形成されている。一方、ライセンスランプ3のハウジング4には、左右対称に形成された一対の第1の規制部9が一体に付設されている。各第1の規制部9は、図5の(a)に矢印E,Fで示す方向に弾性変形可能に、その基端部10がハウジング4に一体に連結されている。
【0017】
ライセンスランプ3が図4及び図5に示すようにリヤバンパー1の取付孔2に嵌着されたとき、各第1の規制部9の先端近傍に形成された各係合面11が、前述の各受け面8にそれぞれ上方から当接する。これによって、取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して下方に移動することが阻止される。このように、ライセンスランプ3のハウジング4には、当該ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して下方に移動することを阻止すべく、取付孔2の近傍のリヤバンパー部分より成る第1の受け面8にその上方から当接する係合面11を備えた第1の規制部9が付設されているのである。
【0018】
上述のように、各第1の規制部9は、ライセンスランプ3のハウジング4に対して、矢印E,Fで示した方向に弾性変形可能であるため、図2に示したように、ライセンスランプ3を取付孔2の下方から持ち上げて、その取付孔2に嵌着する際に、第1の規制部9は、リヤバンパー1に当って図5の(a)に矢印Eで示す方向に弾性変形する。引き続き、その係合面11が第1の受け面8を通過してから、第1の規制部9が再び図5の(a)に矢印Fで示した方向に弾性復帰して、各係合面11が各第1の受け面8にそれぞれ当接する。ライセンスランプ3を取付孔2の下方から持ち上げてその取付孔2に嵌着する際に、第1の規制部9の係合面11が第1の受け面8を通過して、その第1の受け面8の上に移動できるように、第1の規制部9が、ライセンスランプ3のハウジング4に弾性変形可能に連結されているのである。
【0019】
一方、図3、図4及び図5の(b)に示すように、ライセンスランプ3のハウジング4には、取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して前後方向に移動することを阻止すると共に、当該ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して上方に移動することを阻止するための第2の規制部12が一体に付設されている。図3及び図5の(b)に示すように、第2の規制部12も左右に1つずつ設けられ、これらの第2の規制部12も左右対称に形成されている。
【0020】
図6は、図4のH−H線拡大断面図であり、この図6においては、図が煩雑化するのを避けるために、ライセンスランプ3については、その第2の規制部12以外の部分の図示は省略してある。図6、図3、図4及び図5の(b)に示すように、第2の規制部12は、ハウジング4に一体に連結された水平部13と、その水平部13の前端部に一体に連結され、かつその水平部13から下方に突出した垂直部14とを有している。前述の第1の規制部9と、第2の規制部12は、ハウジング4と同時に一体に成形された樹脂により構成されている。
【0021】
一方、図3、図4及び図6に示すように、リヤバンパー1には、前述の一対の突出部7の前端面によって構成された第2の受け面15がそれぞれ形成されていて、その各第2の受け面15は取付孔2の前縁16に対向して上下に延びている。取付孔2の前縁16は、取付孔2の前端を区画するリヤバンパー1の最上端縁である。さらに、図5の(b)にも示すように、リヤバンパー1には、各第2の受け面15の上端部から前方に突出した突部17が形成されている。この突部17は前述の突出部7に一体に形成されていて、その突出部7よりも前方に突出している。
【0022】
図2を参照して先に説明したように、ライセンスランプ3を、取付孔2の下方から持ち上げて取付孔2に嵌着したとき、図4、図5の(b)及び図6に示したように、各第2の規制部12の水平部13の後端面18がリヤバンパー1の第2の受け面15に当接する。同時に各第2の規制部12の垂直部14の前面19が、取付孔2の前縁16から下方に延びるリヤバンパー部分の後面より成る第3の受け面20に当接する。これにより、ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して前後方向に移動することが阻止される。しかも、第2の規制部12の水平部13の上面21が、リヤバンパー1の突部17の下面より成る第4の受け面22に当接する。これにより、ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して上方に移動することが阻止される。
【0023】
上述のように、本例の自動車のライセンスランプ固定装置は、ライセンスランプ3に形成された第1の規制部9と第2の規制部12を有していて、これらの規制部によって、取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3が、リヤバンパー1に対して、上下及び前後に移動することが禁止され、ライセンスランプ3がリヤバンパー1に固定される。
【0024】
通常、ライセンスランプ3は自動車の製造工場においてリヤバンパー1に組み付けられ、ライセンスプレートは、通常、販売店においてリヤバンパー1に固定される。また、第1の規制部9を図5の(a)に示した矢印E方向に回動させて、第1の規制部9の係合面11を第1の受け面8から外し、そのライセンスランプ3を下方に移動させることによって、ライセンスランプ3を取付孔2から離脱できるので、ライセンスランプ3を販売店において容易に交換することができる。
【0025】
また、図6に明示するように、第2及び第4の受け面15,22と、第3の受け面20とは、互いに離間している。しかも取付孔2の前縁16は、第2の受け面15の下端23よりも下方に位置している。図6に示した例では、取付孔2の前縁16は第2の受け面15の下端23よりもδだけわずかに下方に位置している。このように構成した理由は後に明らかにする。
【0026】
図7の(a),(b)は、リヤバンパー1を成形する射出成形機の成形型を示す断面図である。図7の(a)は、図2に示したリヤバンパー部分を成形する成形型の部分を示し、図7の(b)は図6に示したリヤバンパー部分を成形する成形型の部分を示している。図7の(a),(b)に示した成形型は、コア型とも称せられている固定型24と、矢印J方向に移動可能な可動型25とから成る。
【0027】
図7の(a),(b)に示したように、固定型24と可動型25との間のキャビティC1,C2に溶融した樹脂が射出されてリヤバンパーが成形される。このようにリヤバンパーが成形された後、可動型25が矢印J方向に移動し、次いで成形されたリヤバンパーが固定型24から離型される。
【0028】
図7の(b)に示したキャビティ部分C3によってリヤバンパー1の突部17が成形され、同じく固定型24の面31によって、リヤバンパー1の第2の受け面15が成形される。同様にキャビティC4の部分で、取付孔2の前縁16から下方に延びるリヤバンパー部分が成形されて第3の受け面20が形成される。その際、前述のように、図6に示した取付孔2の前縁16は、第2の受け面15の下端23よりも下方に位置しているので、図7の(b)に示した成形型により形成されるキャビティC4の上端は、固定型24の面31の下端よりも下方に位置している。このため、リヤバンパーの成形後に、可動型25を、固定型24に邪魔されることなく、矢印J方向に移動させ、かつその移動後に、成形されたリヤバンパーを固定型24から離型することができる。スライド型を有する複雑な成形型を用いることなく、簡単な成形型によってリヤバンパー1を成形することができるのである。これにより、リヤバンパーのコストを効果的に低減することができる。また、スライド型を用いることなくリヤバンパーを成形できるので、そのリヤバンパーの入れ子線が現れることもなく、リヤバンパーの見栄えを向上させることができる。
【0029】
図8は従来のライセンスランプ3とリヤバンパー1とライセンスランプ固定装置を示す図3と同様な斜視図であり、図9は、ライセンスランプ3がリヤバンパー1の取付孔2に嵌着固定された状態での、図8のK−K線断面図であって、第2の規制部以外のライセンスランプ部分を省略して示した図である。
【0030】
図8に示すように、従来のライセンスランプ固定装置の第1の規制部9は、本発明に係る固定装置の第1の規制部と同様に、係合面11を有していて、かかる第1の規制部9がライセンスランプ3のハウジング4の左右に一対設けられている。その各第1の規制部9の係合面11が、リヤバンパー1に形成された第1の受け面8にその上方から当接し、これによって取付孔2に嵌着されたライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して下方に移動することが阻止される。
【0031】
従来のライセンスランプ固定装置の第2の規制部12は、図8及び図9に示すように、ハウジング4に一体に接続されたほぼ水平なベース部26と、そのベース部26とハウジング4とに一体に連結された爪部27とから成る。かかるベース部26と爪部27も、左右に一対設けられているが、図8にはその一方のみが示されている。一方、リヤバンパー1の取付孔2の近傍の部分には、凹部28が形成され、この凹部28の底部に相当する部分には、切欠29が形成されている。図8から判るように、この凹部28と切欠29も、リヤバンパー1の左右対称の位置にそれぞれ形成されている。
【0032】
ライセンスランプ3がリヤバンパー1の取付孔2に嵌着されたとき、図9に示すように、各第2の規制部12の爪部27がリヤバンパー1に形成された切欠29に嵌合し、第2の規制部12のベース部26がリヤバンパー1の凹部28に嵌合する。これにより、ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して上方と前後方向に移動することが禁止され、ライセンスランプ3がリヤバンパー1に対して固定される。
【0033】
図10の(a),(b)は、従来のリヤバンパー1を成形する成形型を示す断面図であり、図10の(a)は、図8のL−L線に沿ったリヤバンパー部分を成形する成形型部分を示し、図10の(b)は図9に示したリヤバンパー部分を成形する成形型の部分を示している。
【0034】
図10に示した成形型は、固定型24と矢印J方向に移動可能な可動型25のほかに、固定型24と可動型25との間に配置されていて、矢印P方向に移動可能なスライド型(入れ子型)30とから成る。図10の(a),(b)に示したように、固定型24、可動型25及びスライド型30の間に形成されたキャビティC1,C2に溶融した樹脂が射出されてリヤバンパーが成形される。このようにリヤバンパーが成形された後、可動型25が矢印J方向に移動しながら、スライド型30が矢印P方向に移動する。次いで、成形されたリヤバンパーが固定型24から離型される。
【0035】
図9に示したように、従来のリヤバンパー1は凹部28と切欠29を有しているが、その凹部28と切欠29は、図10の(b)に示したスライド型30の部分32によって成形される。その際、仮に、スライド型30が設けられておらず、このスライド型30の部分に可動型25が位置し、部分32がその可動型25に形成されていたとすると、リヤバンパーの成形後に、可動型25を矢印J方向に移動させようとしても、部分32が邪魔となって可動型25を移動させることができない。そこで、従来は、スライド型30を用い、このスライド型30に部分32を形成し、リヤバンパーの成形後に可動型25を矢印J方向に移動させながら、スライド型30を矢印P方向に移動させていたのである。これにより、成形されたリヤバンパーを固定型24から外すことができる。
【0036】
上述のように、従来のリヤバンパー1も射出成形機によって成形することができるのであるが、その成形機の成形型がスライド型30を有しているので、射出成形機が複雑となり、そのコストが高くなり、リヤバンパー1のコストも上昇する。しかも、図10の(b)に示したように、スライド型30と可動型25との境目33が、図1に二点鎖線で示したように、成形されたリヤバンパー1の表面に入れ子線34として現われるので、リヤバンパー1の見栄えが低下する。
【0037】
本発明に係るライセンスランプ固定装置を採用すれば、上述した欠点を伴うことなく、リヤバンパー1を射出成形機によって成形することができるのである。
【符号の説明】
【0038】
1 リヤバンパー
2 取付孔
3 ライセンスランプ
4 ハウジング
8 第1の受け面
9 第1の規制部
11 係合面
12 第2の規制部
13 水平部
14 垂直部
15 第2の受け面
16 前縁
17 突部
18 後端面
19 前面
20 第3の受け面
21 上面
22 第4の受け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部に取り付けられた樹脂製のリヤバンパーに形成されている取付孔に嵌着されたライセンスランプを該リヤバンパーに対して固定する自動車のライセンスランプ固定装置であって、該ライセンスランプのハウジングには、当該ライセンスランプがリヤバンパーに対して下方に移動することを阻止すべく、前記取付孔の近傍のリヤバンパー部分より成る第1の受け面にその上方から当接する係合面を備えた第1の規制部と、ライセンスランプがリヤバンパーに対して前後方向に移動することを阻止すると共に、当該ライセンスランプがリヤバンパーに対して上方に移動することを阻止するための第2の規制部とがそれぞれ一体に付設され、前記第1の規制部は、ライセンスランプを前記取付孔の下方から持ち上げて該取付孔に嵌着する際に、第1の規制部の係合面が前記第1の受け面を通過して、該第1の受け面の上に移動できるように、ライセンスランプのハウジングに弾性変形可能に連結され、前記第2の規制部は、水平部と、該水平部の前端部に一体に連結され、かつ該水平部から下方に突出する垂直部とを有し、前記リヤバンパーには、前記取付孔の前縁に対向して上下に延びる第2の受け面と、該第2の受け面の上端部から前方に突出した突部が形成されていて、前記ライセンスランプがリヤバンパーに対して前後方向に移動することを阻止すべく、前記第2の規制部の水平部の後端面が前記第2の受け面に当接し、かつ前記第2の規制部の垂直部の前面が前記取付孔の前縁から下方に延びるリヤバンパー部分の後面より成る第3の受け面に当接し、ライセンスランプがリヤバンパーに対して上方に移動することを阻止すべく、前記第2の規制部の水平部の上面が、前記リヤバンパーの突部の下面より成る第4の受け面に当接し、前記第2及び第4の受け面と、前記第3の受け面は互いに離間し、前記取付孔の前縁は、前記第2の受け面の下端よりも下方に位置している自動車のライセンスランプ固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−84218(P2011−84218A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239704(P2009−239704)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】