説明

自動車のルーフ補強構造

【課題】車両側面衝突時に、センターフレームが撓んで変形しないようにした、自動車ルーフ補強構造を提供する。
【解決手段】ムーンルーフ等の開口部の前後方向中間付近にて両端がそれぞれ左右のルーフサイドレール12,13付近まで横方向に延びるセンターフレーム11と、センターフレームの両端をそれぞれ左右のルーフサイドレールに連結する一対のブラケット14,15と、を備え、各ブラケット14,15は凸状の湾曲部を有し、その内端より高い中間位置に第1の折曲部14c,15cを形成し、その外端近傍に第1の折曲部より低位置に第2の折曲部14d,15dを設け、車両側面衝突時に、センターフレームから荷重が加えられたとき、衝突側に配設したブラケット14と対向する側のブラケット15の第1及び第2の折曲部が折れ曲がって、センターフレームを下方へ移動させるモーメントの発生を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のルーフ補強構造に係り、特に、所謂ムーンルーフ等の開口部を備えたルーフ補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のルーフにおいては、図10に示すように、車両側面衝突時におけるルーフサイドレール(図示せず)の変形を抑止するためのルーフ補強構造1が設けられている。補強構造1は、左右のルーフサイドレールを前端,中央付近及び後端にてそれぞれ横方向に互いに連結するルーフパネルリインフォースメント2,3,4を備えている。
このような構成により、例えば図10にて矢印で示すように右方から荷重が加えられたとき、これらの荷重が右方のルーフサイドレールからそれぞれ各ルーフパネルリインフォースメント2,3,4を介して左方のルーフサイドレールに伝達され、ルーフサイドレールの変形が抑制されるようになっている。
【0003】
ところで、近年、例えば所謂サンルーフ,ムーンルーフ等の開口部を設けたルーフを有する自動車が普及している。このような自動車においてはルーフ開口部が存在することから、前述したルーフパネルリインフォースメント2,3,4のうち、センターリインフォースメント3は設けることができない。
【0004】
このため、図11に示すように、上記センターリインフォースメント3の代わりに、自動車のルーフに設けられた例えばムーンルーフユニット5内にて、ムーンルーフユニットの左右のフレーム5a,5bを前後方向中央付近で横方向に互いに連結するセンターフレーム6を設けるようにしている。
【0005】
このようなルーフ補強構造7においては、センターフレーム6は、より詳細には例えば図12に示すように構成されている。即ち、図12において、センターフレーム6は、横方向にほぼ水平に延びていると共に、両端にて、それぞれブラケット8を介してルーフサイドレール9に連結されている。
【0006】
ここで、上記センターフレーム6は、図12及び図13に示すように、鋼製の一枚板材から構成されていて、両端が斜め上方に延びており、その先端がブラケット8の上端付近に対して連結されるようになっている。上記ブラケット8は、同様に鋼製であって、横方向にほぼ水平に延びており、内端がセンターフレーム6の先端に連結されると共に、外端がルーフサイドレール9のレールインナー9aに連結されている。ルーフサイドレール9のレールインナー9aの内側のやや下方には、車両前後方向に延びるインフレータ9bが配置されている。
【0007】
このような構成のルーフ補強構造7によれば、例えば図11にて矢印Aで示すように右方から荷重が加えられたとき、これらの荷重が右方のルーフサイドレール9からそれぞれ前端及び後端のルーフパネルリインフォースメント2,4及びセンターフレーム6を介して左方のルーフサイドレール9に伝達され、右方のルーフサイドレール9の変形が抑制されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した自動車のルーフ補強構造7にあっては、センターフレーム6が一枚板構成であって、横方向にほぼ水平に延びていると共に、その両端が斜め上方に延びている。このため、車両側面衝突時に、荷重が図11及び図12にて矢印Aで示すように、一側のルーフサイドレール9に作用すると、図12に示すように、ブラケット8には力Fが加えられることになり、さらに曲げモーメントMが発生する。従って、衝突側のルーフサイドレール9及びセンターフレーム6の車室内への進入を抑制することが必要である。
【0009】
ところが、ブラケット8の強度を高めると、場合によっては、図14に示すように、車両側面衝突時に、センターフレーム6に上方或いは下方への折れ6aが発生することがあり、却ってセンターフレーム6の車室内への進入を促進することになってしまう。ブラケット8の強度を高めると、上記曲げモーメントMが増大するためであると考えられる。
【0010】
従って、センターフレーム6の折れを阻止するためには、センターフレーム6の強度をさらに高めたり、曲げモーメントMを低減する必要がある。ところが、センターフレーム6の強度を高めるためには、センターフレーム6の断面積を大きくしたり、板厚を厚くしなければならないが、設置スペースの関係から、断面積を大きくすることは実質的に困難であると共に、板厚を厚くするためには、センターフレーム6自体が平板状であることから、大幅に板厚を厚くしなければならず、対質量効率が低下してしまうことになる。
【0011】
これに対して、上記曲げモーメントMを低減するために、ブラケット8自体の剛性を低くする方法が知られている。
この場合、図15(B)に示すように、例えば一つの折曲部8aを設けて、ブラケット8を弱体化することにより、折曲部8aを備えないブラケット8(図15(A))と比較して、ブラケット8及びルーフサイドレール9の連結点とブラケット8及びセンターフレーム6の連結点とのずれをL1からL2に小さくする(L2<L1)ことによって、曲げモーメントがmに低減(m<M)される。
【0012】
しかしながら、このようにブラケット8を弱体化すると、衝突側のブラケット8における曲げモーメントMは低減されるが、図16に示すように、衝突側に配設されたブラケットに対向する側に配設されたブラケット8は折曲部8aにて折れ曲がり、折曲部8aまわりに斜め下方に向かうモーメントM’が発生することになる。このようなモーメントM’によって、図17に示すように、センターフレーム6の反対側において、下向きの折れ6bが発生するため、下向きに折れた部分6bが車室内に突出する虞れがある。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑み、車両側面衝突時に、ルーフサイドレールの内側への侵入が低減されると共に、センターフレームの下方へ撓む変形を抑制して室内空間を確保した、自動車のルーフ補強構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、自動車のルーフに設けられたムーンルーフ等の開口部の前後方向中間付近にて両端がそれぞれ左右のルーフサイドレール付近まで横方向に延びるセンターフレームと、このセンターフレームの両端をそれぞれ左右のルーフサイドレールに連結する一対のブラケットと、を備えた自動車のルーフ補強構造において、上記一対のブラケットがそれぞれ湾曲して形成され、この湾曲部に第1の折曲部と第2の折曲部とがそれぞれ異なる高さ位置に形成されて成ることを特徴としている。
【0015】
好ましくは、上記一対のブラケットは、それぞれ上方に向かって凸状に湾曲して形成されていて、各ブラケットの内端側の連結部をセンターフレームに連結すると共に、各ブラケットの外端側の連結部を、内端側の連結部より低位置に設定してルーフサイドレールに連結して配設され、各ブラケットには、その内端より高い中間位置に第1の折曲部が設けられ、さらに、その外端近傍には第1の折曲部より低位置に第2の折曲部が設けられている。
【0016】
上記構成において、好ましくは、車両側面衝突時に、衝突側に配設されたブラケットと対向する側に配設されたブラケットに対して、センターフレームから水平方向の荷重が加えられたとき、該対向配設されたブラケットの第1及び第2の折曲部が互いに逆方向に折れ曲がる。
【0017】
本発明による自動車のルーフ補強構造において、好ましくは、各ブラケットは、各ルーフサイドレールの内側下方に沿って配置されたインフレータを車幅方向に関してそれぞれ迂回するように湾曲した湾曲部を有し、この湾曲部に第1の折曲部及び第2の折曲部が形成されていて、衝突側に配設されたブラケットに対向する側に配設されたブラケットに対して、センターフレームから水平方向の荷重が加えられたとき、該対向配設されたブラケットの湾曲部が第1の折曲部及び上記第2の折曲部にて座屈して、ブラケットがインフレータに向かって水平に移動し、センターフレームを下方へ移動させるモーメントの発生を抑制する。
【0018】
本発明において、各ブラケットの第1の折曲部及び第2の折曲部は、好ましくは肉薄に形成されて成る。上記センターフレームは、二枚の板材を互いに接合することにより構成されていてよい。
【発明の効果】
【0019】
上記構成によれば、各ブラケットが湾曲形状、好ましくは上方に向かって凸状に湾曲していると共に、ブラケットの外端と内端のそれぞれルーフサイドレール及びセンターフレームへの連結高さがずれているので、車両側面衝突時に、ルーフサイドレールから内側に向かって荷重が加えられると、この荷重が、一方のブラケットからセンターフレーム及び他方のブラケットを介して、反対側のルーフサイドレールに伝達されるので、ルーフサイドレールに加えられる荷重が軽減される。
【0020】
さらに、ブラケットの内端より上側に位置する中間位置に内側の第1の折曲部が、また外端付近に外側の第2の折曲部が設けられているので、車両側面衝突時に、ルーフサイドレールから内側に向かって荷重が加えられると、この荷重により曲げモーメントが各折曲部に作用する。
【0021】
車両側面衝突時に、衝突側と反対側のブラケットにおいて、センターフレームによって内側から外側に向かう水平方向の荷重が加えられたとき、各折曲部が互いに逆方向に折れ曲がり、ブラケット自体が水平に移動してインフレータに向かうことで、センターフレームを下側に曲げさせるモーメントの発生を抑制する。
【0022】
センターフレームが、二枚の板材を互いに接合することにより構成されている場合には、センターフレームの断面積を大きくすることなく、また板厚を増大させることなく、簡単な構成により低コストで、センターフレームの強度を高めて、センターフレームの折れを効果的に抑制することができる。
【0023】
このようにして、本発明によれば、車両側面衝突時に一側のルーフサイドレールから内側に向かって荷重が作用したとき、この荷重が反対側のルーフサイドレールにも伝達されることによって、当該ルーフサイドレールの内側への変形が抑制される。さらに、本発明によれば、車両側面衝突時に、衝突側に配設されたブラケットに対向する側に配設されたブラケット周辺に下向きに折れ乃至は曲がりが発生するのを抑制するために、インフレータに向けて水平に荷重が流れるモードを作り出す。よって、センターフレームが下方に撓んで変形することを防止できて、室内空間を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による自動車のルーフ補強構造の一実施形態の構成例を示している。図1において、自動車のルーフ補強構造10は、図11に示した従来のムーンルーフを備えた自動車のルーフに適用されるようになっており、センターフレーム11と、このセンターフレーム11の両端をそれぞれ左右のルーフサイドレール12,13に連結するブラケット14,15と、から構成されている。
【0025】
センターフレーム11は、例えば鋼製であって、図4に示すように図11におけるムーンルーフユニット5と同様の構成のムーンルーフユニット16内に備えられており、両端がそれぞれ左右のルーフサイドレール12,13付近まで横方向に延びている。
ここで、上記センターフレーム11は、図5及び図6に示すように、二枚の平板状の板材11a,11bを重ね合わせて互いに接合することにより構成されている。
【0026】
上記ブラケット14,15は、例えば鋼製にて互いに左右対称に構成され、図12に示した従来のブラケット8と比較して、図2及び図3に示すように、インフレータ17を上側に迂回するように、上方に向かって凸状に湾曲して形成されている。
【0027】
さらに、上記ブラケット14,15は、図2及び図6に示すように、その内端部にほぼ水平な端面が形成されており、この水平な端面にセンターフレーム11の両端が載置される。そして、ブラケット14,15の内端部は、固定ボルト14a,15aによりセンターフレーム11に連結されている。これにより、センターフレーム11は所定高さに保持される。
【0028】
ブラケット14,15の外端部は、図2及び図6に示すように、ブラケット14,15の内端部のセンターフレーム11に対する連結位置より低い位置で、ルーフサイドレール12,13のインナーレール12a,13aに対して、固定ボルト14b,15bにより連結されている。
【0029】
さらに、ブラケット14,15は、内端より高い中間位置、図示の場合、最も高い位置に、第1の折曲部14c,15cが設けられていると共に、外端付近、具体的には外端の固定ボルト14b,15bより僅かに上方の位置に、第2の折曲部14d,15dが設けられている。
ここで、このような折曲部14c,14d,15c,15dは、ブラケット14,15の厚みを薄く、肉薄に形成することにより、上記ブラケット14,15に容易に設けられる。図示するように、折曲部14c,14d,15c,15dは、ブラケット14,15におけるインフレータ17を上側に迂回する湾曲形状の湾曲部14e,15eに形成されている。尤も、インフレータ17が配設されていなければ、折曲部14c,14d,15c,15dは下側に湾曲する形状に形成され得ることは言うまでもない。
【0030】
これにより、車両側面衝突時に、図6にて矢印Bで示すように、右方のルーフサイドレール12に対して荷重が作用すると、横方向の力Fがセンターフレーム11を介して左方のルーフサイドレール13に伝達される。その際に、衝突側のブラケット14においては、内側の第1の折曲部14cと外側の第2の折曲部14dには同じ方向に、即ち、上方に向かって時計回りのモーメントM3,M4が発生し、左方のルーフサイドレール13に連結した反対側のブラケット15においては、第2の折曲部15dを中心に半時計回りに回転するような曲げモーメントM1が作用し、また内側の第1の折曲部15cを中心に時計回りに回転するような曲げモーメントM2が作用することになる。
【0031】
従って、車両側面衝突時に、荷重が図6にて矢印Bで示すように、右方のルーフサイドレール12に作用すると、この荷重がセンターフレーム11を介して左方のルーフサイドレール13に伝達されると共に、ブラケット14,15の折曲部14c,14d,15c,15dで折れ又は曲がりが発生することにより、例えば車両側面衝突時から所定時間経過後には、図7に示すように、ブラケット14,15の折れによる変形に基づいて、センターフレーム11が左方に向かって移動することになる。
【0032】
この場合、図8(A)に示すように、衝突側のブラケット14が、それぞれ折曲部14c,14dにて折れ曲がると共に、図8(B)に示すように、衝突側とは反対の位置にあるブラケット15が、それぞれ折曲部15c,15dにて折れ曲がることによって、センターフレーム11の下方への移動が抑制され得ることになる。
【0033】
このとき、衝突側とは反対側に配置されているブラケット15に関して、図9に示すように、センターフレーム11側から力Fが加えられると、第1の折曲部15cでは、時計回りの曲げモーメントM2が発生すると共に、第2の折曲部15dでは、半時計回りの曲げモーメントM1が発生する。
従って、ブラケット15の湾曲部15eが折曲部15c,15dにより座屈して、ブラケット15自体がそのまま水平に外側に移動してインフレータ17に衝接する。このように、ブラケット15自体が水平移動することで、即ち、ブラケット15自体がインフレータ17の上側或いは下側にずれるように移動しないことで、センターフレーム11を上側或いは下側に折り曲げるようなモーメントの発生が抑制される。
【0034】
これにより、衝突側に配設されたブラケット14に対向する側に配設されたブラケット15に連結したセンターフレーム11には、下方へ折れ曲がろうとするモーメントが抑制される。よって、センターフレーム11の下方への変形が抑制されることになる。また、センターフレーム11自体が二枚構造により高い剛性を有していることと相まって、センターフレーム11の下方への変形がさらに抑制されている。
この場合、センターフレーム11は、二枚の板材を互いに接合することにより構成されているので、センターフレーム11の断面積を大きくしたり、板厚を厚くする必要がなく、簡単な構成により容易に強度が高められ得ることになる。
【0035】
以上述べたように、本発明の実施形態に係る自動車のルーフ補強構造によれば、車両側面衝突時に、衝突側に配設されたブラケットに対向する側に配設されたブラケットの周辺に下向きに折れが発生するのを抑制するために、インフレータに向けて水平に荷重が流れるモードを作り出す。
よって、センターフレーム11が下方に撓んで変形することを防止できて、室内空間を確保できる。
【0036】
以上説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
上述した実施形態においては、所謂ムーンルーフを備えた自動車のルーフに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えばサンルーフ等の他の種類の開口部を備えた自動車のルーフについても、本発明を適用し得ることは明らかである。また、第1の折曲部が第2の折曲部よりも高い位置に設定される場合に限らず、第2の折曲部が第1の折曲部よりも高い位置に設定されるようにブラケットを構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による自動車のルーフ補強構造の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示すルーフ補強構造の要部構成の部分断面図である。
【図3】図1に示すルーフ補強構造のブラケットを示す斜視図である。
【図4】図1に示すルーフ補強構造において、センターフレームのムーンルーフユニットへの装着状態を示す概略斜視図である。
【図5】図1に示すルーフ補強構造のセンターフレームの斜視図である。
【図6】図1のルーフ補強構造におけるブラケットの取付状態の部分拡大断面図である。
【図7】図1のルーフ補強構造における車両側面衝突時から所定時間後の状態を示す概略断面図である。
【図8】図7の状態における(A)衝突側のブラケット及び(B)反対側のブラケットの変形状態を示す部分拡大断面図である。
【図9】図1のルーフ補強構造において、車両側面衝突時のルーフサイドレール,ブラケット及びセンターフレームに発生する曲げモーメントを示す模式図である。
【図10】従来の通常のルーフ構造を示す概略平面図である。
【図11】従来のムーンルーフ構造を示す概略平面図である。
【図12】従来のルーフ補強構造の一例の構成の要部概略断面図である。
【図13】図12のルーフ補強構造において、センターフレームの構造を示す概略斜視図である。
【図14】図12のルーフ補強構造において、車両側面衝突時から所定時間経過後の状態を示す概略断面図である。
【図15】図12のルーフ補強構造において、ルーフサイドレール,ブラケット及びセンターフレームに発生する(A)曲げモーメント及び(B)ブラケット弱体化後の曲げモーメントをそれぞれ示す模式図である。
【図16】図12のルーフ補強構造において、ブラケット弱体化後の車両側面衝突時のルーフサイドレール,ブラケット及びセンターフレームに発生する曲げモーメントを示す模式図である。
【図17】図12のルーフ補強構造において、ブラケット弱体化後の車両側面衝突時から所定時間経過後の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 自動車のルーフ補強構造
11 センターフレーム
12,13 ルーフサイドレール
14,15 ブラケット
14a,14b,15a,15b 固定ボルト
14c,15c 第1の折曲部
14d,15d 第2の折曲部
16 ムーンルーフユニット
17 インフレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のルーフに設けられたムーンルーフ等の開口部の前後方向中間付近にて両端がそれぞれ左右のルーフサイドレール付近まで横方向に延びるセンターフレームと、このセンターフレームの両端をそれぞれ左右のルーフサイドレールに連結する一対のブラケットと、を備えた自動車のルーフ補強構造において、
上記一対のブラケットが、それぞれ湾曲して形成され、該湾曲部に第1の折曲部と第2の折曲部とがそれぞれ異なる高さ位置に形成されて成ることを特徴とする、自動車のルーフ補強構造。
【請求項2】
自動車のルーフに設けられたムーンルーフ等の開口部の前後方向中間付近にて両端がそれぞれ左右のルーフサイドレール付近まで横方向に延びるセンターフレームと、このセンターフレームの両端をそれぞれ左右のルーフサイドレールに連結する一対のブラケットと、を備えた自動車のルーフ補強構造において、
上記一対のブラケットが、それぞれ上方に向かって凸状に湾曲して形成されていて、該各ブラケットの内端側の連結部をセンターフレームに連結すると共に、該各ブラケットの外端側の連結部を、上記内端側の連結部より低位置に設定して上記ルーフサイドレールに連結して配設されており、
上記各ブラケットには、その内端より高い中間位置に第1の折曲部が設けられ、さらに、その外端近傍には該第1の折曲部より低位置に第2の折曲部が設けられていることを特徴とする、自動車のルーフ補強構造。
【請求項3】
車両側面衝突時に、衝突側に配設されたブラケットに対向する側に配設されたブラケットに対して、前記センターフレームから水平方向の荷重が加えられたとき、該対向配設されたブラケットの第1及び第2の折曲部が互いに逆方向に折れ曲がることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車のルーフ補強構造。
【請求項4】
前記各ブラケットが、各ルーフサイドレールの内側下方に沿って配置されたインフレータを車幅方向に関してそれぞれ迂回するように湾曲した湾曲部を有し、
前記第1の折曲部及び前記第2の折曲部が上記湾曲部に形成されていて、
車両側面衝突時に、衝突側に配設されたブラケットと対向する側に配設されたブラケットに対して、前記センターフレームから水平方向の荷重が加えられたとき、該対向配設されたブラケットの湾曲部が上記第1の折曲部及び上記第2の折曲部にて座屈して、上記ブラケットが上記インフレータに向かって水平に移動し、センターフレームを下方へ移動させるモーメントの発生を抑制することを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の自動車のルーフ補強構造。
【請求項5】
前記各ブラケットの第1の折曲部及び第2の折曲部が肉薄に形成されて成ることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の自動車のルーフ補強構造。
【請求項6】
前記センターフレームが、二枚の板材を互いに接合することにより構成されていることを特徴とする、請求項1,2又は4に記載の自動車のルーフ補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−230408(P2007−230408A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55606(P2006−55606)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】