説明

自動車バルブ用部材

【課題】低固着性、耐熱性及び耐食性に優れるとともに、非粘着性、低摩擦性、及び、撥水撥油性(高接触角)にも優れる自動車バルブ用部材を提供する。
【解決手段】自動車のバルブ100において、流入側流路11と流体が流出する流出側流路12との間に備えられ、弁体と当接又は離間することにより流体の流量を調整するための自動車バルブ用部材14であって、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなるとともに、表面にフッ素樹脂が析出したものであり、フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を調整するための流量調整弁や、容器内の圧力を調整する圧力調整弁等に好適に用いられる自動車バルブ用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車バルブ用部材は、流量調整弁や圧力調整弁等の弁座や、弁体に備えられるキャップ部材として用いられる部材である。弁座には通常厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されており、その貫通孔に弁体が当接または離間することで流体の流量を調整する。このような弁座には、耐磨耗性、耐熱性、耐食性等に優れることが求められる。このような弁座に求められる性能は、弁体に備えられるキャップ部においても同様である。
【0003】
自動車バルブ用部材にはゴム等の材料が用いられる。例えば、特許文献1には、自動車の燃料タンク内の圧力を調圧する調圧弁とを備える燃料キャップが記載されており、このような調圧弁を構成するゴム材料としてフッ素ゴムを使用できることが記載されている。
【0004】
一方、シール材などの分野では、ゴムの特性を活かしながら摩擦係数を低下させる方法として、たとえばフッ素樹脂繊維層をゴムの表面に積層する方法(特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−56454号公報
【特許文献2】特開平7−227935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、フッ素ゴムを使用した調整弁においては、接触する弁体又は弁座との界面での反応により固着現象が発生する場合があった。そのため、自動車バルブ用部材には、耐磨耗性、耐熱性、耐食性等の他に、低固着性に優れることが求められるところである。
【0007】
また、特許文献2のように、フッ素樹脂からなる層をゴムに積層したりする場合、フッ素樹脂からなる層とゴムとの剥離が生じたり、フッ素樹脂からなる層がゴム表面に形成されているため柔軟性に乏しかったりする不具合があり、改善の余地があった。
【0008】
本発明は、低固着性、耐熱性及び耐食性に優れるとともに、非粘着性、低摩擦性、及び、撥水撥油性(高接触角)にも優れる自動車バルブ用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自動車のバルブにおいて、流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に備えられ、弁体と当接又は離間することにより流体の流量を調整するための自動車バルブ用部材であって、前記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなるとともに、表面に前記フッ素樹脂が析出したものであり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であることを特徴とする自動車バルブ用部材に関する。
【0010】
本発明は、また、自動車のバルブにおいて、弁体に備えられ、弁座と当接又は離間することにより流体が流入する流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に流れる流体の流量を調整するための自動車バルブ用部材であって、前記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなるとともに、表面に前記フッ素樹脂が析出したものであり、前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体であることを特徴とする自動車バルブ用部材に関する。
【0011】
自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂比率は、内部よりも高いことが好ましい。
【0012】
フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、パーフルオロアルキルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に基づく重合単位と、を含む共重合体であることが好ましい。
【0013】
前記フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物は、フッ素ゴムとフッ素樹脂との質量比が60/40〜97/3であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動車バルブ用部材は、上述の構成よりなるため、低固着性、耐熱性及び耐食性に優れるとともに、非粘着性、低摩擦性、及び、撥水撥油性(高接触角)にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の自動車バルブ用部材を備える流量調整弁を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の自動車バルブ用部材を備える圧力調整弁を示す模式図である。
【図3】(a)は、自動車バルブ用部材が有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線Bと直線Bを含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面からの距離が0.15μmの直線Cと直線Cを含む平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の自動車バルブ用部材は、自動車のバルブにおいて、流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に備えられ、弁体と当接又は離間することにより流体の流量を調整するためのものである。この場合、自動車バルブ用部材は、いわゆる弁座である。流体が流入する流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に連通孔が設けられている場合、自動車バルブ用部材(弁座)は連通孔に備えられる。
【0017】
弁座の形状は特に限定されず、流入側流路と流出側流路との間に設けられる連通孔の形状、弁体の形状等によって適宜設定すればよい。弁座は、厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられていてもよい。この貫通孔に弁体が当接または離間することによって、貫通孔の内側を流れる流体の流量を調整する。
【0018】
貫通孔は、弁座の厚み方向に向かって縮径するテーパ形状を有することも好ましい形態の一つである。自動車バルブ用部材の断面形状は、円形であってもよいし、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形等)であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0019】
弁座に当接または離間する弁体の形状としては、ニードル型、ボール型等が挙げられるが、その限りではない。
【0020】
本発明の自動車バルブ用部材はまた、弁体に備えられ、弁座と当接又は離間することにより流体が流入する流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に流れる流体の流量を調整するためのものである。この場合、自動車バルブ用部材は、弁体のキャップ部材である。弁体のキャップ部材は、弁体において、弁座に直接接触する部分に備えられる。
【0021】
弁体のキャップ部材の形状は特に限定されず、弁体の形状、弁座の形状等によって好適な形態にすればよい。例えば、弁体がニードル型である場合、ニードルの先端を被覆するような形状であってよいし、弁体がボール型である場合、ボールが弁座と接触する側の一部を覆う形状であってよい。弁体のキャップ部材は、弁体の端部に取り付けられ、弁座と当接又は離間することにより、流体の流量を調整する部材であることが好ましい。
【0022】
弁体の形状としては、ニードル型、ボール型等が挙げられるが、その限りではない。
【0023】
上記流体は気体でもよいし、液体でもよい。例えば、自動車の排ガス、燃料が気化したガス等が挙げられる。
【0024】
上記自動車バルブ用部材が備えられる自動車バルブとしては、例えば、排気ガス再循環装置、燃料蒸発ガス発散防止装置等に備えられる流量調整弁や、燃料タンク内圧過上昇防止装置、燃料圧力調整装置、可変装置のON−OFF制御装置等に備えられる圧力調整弁等が挙げられる。
【0025】
図1は、本発明の自動車バルブ用部材を備える流量調整弁を示す模式図である。ここでは、自動車バルブ用部材は弁体のキャップ部材として用いられている。流量調整弁100は、図1に示すように、流体が流入する流入側流路11と流体が流出する流出側流路12とを連結する連通孔15を有している。ニードル可動部17の外周に備えられた電磁石16により可動可能なニードル(弁体)3の先端に自動車バルブ用部材(弁体のキャップ部材)14が備えられており、自動車バルブ用部材14が弁座18に当接または離間することで、連通孔15を流れる流体の流量を調整し、流入側流路11から流出側流路12に流れる流体の流量を調整する。
【0026】
図2は、本発明の自動車バルブ用部材を備える圧力調整弁を示す模式図であり、より詳しくいうと、自動車の燃料キャップに備えられる圧力調整弁を示す模式図である。ここでは、自動車バルブ用部材は弁座として用いられている。圧力調整弁200は、ばね27a及び27bによって弁体23a及び23bが自動車バルブ用部材24に押し付けられることで流体が流れないようにしている。流入側流路21内の圧力(内圧)が一定以上に高まると、内圧とばね27aの弾性力とでばね27bに抗して自動車バルブ用部材24、及び弁体23aを上昇させる。これにより、弁体23bと自動車バルブ用部材24とが離間して、流出側流路22へ流体が流れる。これにより、流入側の内圧が高くなりすぎることを防止する。
【0027】
上記自動車バルブ用部材は、フッ素樹脂及びフッ素ゴムを含む組成物からなるものである。フッ素樹脂とフッ素ゴムとを含む組成物は、フッ素樹脂とフッ素ゴムとが混在しているものであり、例えば、フッ素樹脂にフッ素ゴムが分散している、又は、フッ素ゴムにフッ素樹脂が分散しているものということもできる。この点で、上記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂からなる層を積層したもの、及び、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成したものとは明確に区別される。自動車バルブ用部材がフッ素樹脂とフッ素ゴムとを含む組成物からなるものであるため、上述したフッ素ゴムの表面にフッ素樹脂からなる層を積層したものや、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成したもののように剥離が生じない。
【0028】
また、フッ素樹脂及びフッ素ゴムを含む組成物からなるものであるため、NBR等の汎用ゴムを用いる場合よりも、耐熱性、耐薬品性等の特性に優れる。
【0029】
上記自動車バルブ用部材は、表面にフッ素樹脂が析出したものである。表面にフッ素樹脂が析出したものであるため、自動車バルブ用部材表面がフッ素ゴムからなるものと比較して、低固着性に優れる。また、フッ素樹脂とフッ素ゴムとが一体となり存在するものであるため、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂からなる層を積層したものや、フッ素ゴムの表面にフッ素樹脂の塗膜を形成したものと比較して柔軟性に優れる。
【0030】
自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂比率は、内部よりも高いことが好ましい。すなわち、自動車バルブ用部材の内側よりも外側(表面)の方が、フッ素樹脂比率が高いことが好ましい。上記自動車バルブ用部材の表面に析出したフッ素樹脂は内部から表面に移行したものであるため、通常、自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂比率は、内部よりも高くなる。上記自動車バルブ用部材は、後述する工程(I)、工程(II)及び工程(III)を含む方法により得られるものであることが好ましい。なおフッ素樹脂比率は、後述するESCA分析又はIR分析により決定することができる。
【0031】
上記自動車バルブ用部材において、内部のフッ素樹脂は明確な粒子形状を呈していないことが好ましい。このような形態は、例えば、後述する工程(I)によりフッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとが充分均一に混練されることで実現することができる。通常、フッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとを混練する場合、フッ素樹脂が溶融するような温度では混練しない。これは、未架橋フッ素ゴムがフッ素樹脂よりも耐熱性が低いためである。
【0032】
上記自動車バルブ用部材は、その低固着性、非粘着性、低摩擦性、撥水撥油性(高接触角)から自動車のバルブに用いられる弁座又は弁体のキャップ部として好適なものである。
【0033】
上記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなる。
【0034】
上記フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物は、フッ素ゴムとフッ素樹脂との質量比(フッ素ゴム)/(フッ素樹脂)が60/40〜97/3であることが好ましい。フッ素樹脂が少なすぎると低固着性能や低摩擦性能が充分に得られないおそれがあり、一方、フッ素樹脂が多すぎると、ゴム弾性が著しく損なわれ、柔軟性が失われるおそれがある。柔軟性と低固着性および低摩擦性が良好な点から、(フッ素ゴム)/(フッ素樹脂)は、65/35〜95/5であることがより好ましく、70/30〜90/10であることがさらに好ましい。
【0035】
上記フッ素ゴムは、主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子を有し且つゴム弾性を有する非晶質の重合体からなるものである。上記フッ素ゴムは、1種の重合体からなるものであってもよいし、2種以上の重合体からなるものであってもよい。
【0036】
上記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド〔VdF〕に基づく重合単位〔VdF単位〕を含む重合体である。
【0037】
上記フッ素ゴムは、VdF単位及び含フッ素エチレン性単量体に基づく重合単位(但し、VdF単位は除く。)を含む共重合体であることが好ましい。VdF単位を含む共重合体は、更に、VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位を含むことも好ましい。
【0038】
上記フッ素ゴムは、30〜85モル%のVdF単位及び70〜15モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことが好ましく、30〜80モル%のVdF単位及び70〜20モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことがより好ましい。VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位は、VdF単位と含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
【0039】
含フッ素エチレン性単量体としては、たとえばテトラフルオロエチレン〔TFE〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0040】
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)又はパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)であることがより好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)であることが更に好ましい。これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
【0041】
VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
【0042】
上記フッ素ゴムは、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、及び、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましく、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF/HFP共重合体、及び、VdF/HFP/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることがより好ましい。
【0043】
上記フッ素ゴムは、加工性が良好な点から、ムーニー粘度(ML1+10(121℃))が5〜140であることが好ましく、10〜120であることがより好ましく、20〜100であることが更に好ましい。
【0044】
上記フッ素ゴムは、数平均分子量20,000〜1,200,000のものが好ましく、30,000〜300,000のものがより好ましく、50,000〜200,000のものがさらに好ましく用いられる。
【0045】
上記フッ素ゴムは、用途によって架橋系を選択することができる。架橋系としては、パーオキサイド架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系等があげられる。
【0046】
上記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位〔Et単位〕とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位〔TFE単位〕とを含む共重合体〔ETFE〕である。
【0047】
TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、37:63〜85:15がより好ましく、38:62〜80:20が特に好ましい。
【0048】
ETFEは、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位を含むものであってもよい。共重合可能な単量体としては、CTFE、トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、フッ化ビニル、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)などの含フッ素単量体があげられ、HFPであることが好ましい。また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
【0049】
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体に基づく重合単位は、全単量体単位に対して0.1〜5モル%であることが好ましく、0.2〜4モル%であることがより好ましい。
【0050】
ETFEは、融点が120〜340℃であることが好ましく、150〜320℃であることがより好ましく、170〜300℃であることが更に好ましい。
【0051】
上記組成物には、必要に応じてフッ素ゴム中に配合される通常の配合剤、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を配合することができ、これらの添加剤、配合剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用すればよい。
【0052】
上記自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂は凸部を形成していてもよいし、膜状であってもよい。
【0053】
本発明の自動車バルブ用部材は、表面に凸部を有するものであることも好ましい。この場合、上記凸部は、実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなる。上記凸部と上記自動車バルブ用部材との間には明確な界面等が存在せず、上記凸部は自動車バルブ用部材と一体的に構成される。
ここで、凸部が実質的に上記組成物に含まれるフッ素樹脂からなることは、IR分析やESCA分析によってフッ素ゴム由来とフッ素樹脂由来のピーク比を求めることで、凸部が実質的にフッ素樹脂からなることを示すことができる。具体的には、凸部を有する領域において、IR分析によって、フッ素ゴム由来の特性吸収のピークとフッ素樹脂由来の特性吸収のピークとの比(成分由来ピーク比)を、凸部と凸部外のそれぞれの部分で測定し、凸部外の成分由来ピーク比が、凸部の成分由来ピーク比に対して2倍以上、好ましくは3倍以上であることをいう。
【0054】
上記凸部の形状について、図面を参照しながらもう少し詳しく説明する。
図3(a)は、自動車バルブ用部材が有する凸部の形状を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)の表面に垂直な直線Bと直線Bを含む平面で凸部31を切断した断面図であり、(c)は(a)の表面からの距離が0.15μmの直線Cと直線Cを含む平面で切断した断面図である。
そして、図3(a)〜(c)には、本発明の自動車バルブ用部材の微小領域を模式的に描画している。
自動車バルブ用部材30の表面には、図3(a)〜(c)に示すように、例えば、略円錐形状(コーン形状)の凸部31が形成されていてもよい。
【0055】
ここで、凸部31の高さとは、自動車バルブ用部材の表面から突出した部分の高さをいう(図3(b)中、H参照)。
また、凸部31の径とは、凸部31を自動車バルブ用部材の表面から所定の高さ(本願では0.15μm/図3(b)中、破線参照)で、自動車バルブ用部材の表面と平行に切断した面において観察される凸部31(図3(c)参照)について、長径Lと短径Lとの和を2で除した値((L+L)/2)をいう。
【0056】
上記凸部の形状は、平均高さが0.5〜5μmであることが好ましい。上記平均高さがこの範囲にあると、自動車バルブ用部材が低摺動性に優れる。より好ましい平均高さは、0.5〜2μmである。
【0057】
また、上記凸部の平均径は、5〜20μmであることが好ましい。凸部の平均径がこの範囲にあると、自動車バルブ用部材が低摺動性に優れる。
【0058】
また、自動車バルブ用部材の表面において、上記凸部を有する領域の比率は、10%以上であることが好ましい。少なくとも10%の領域に凸部を形成すれば、自動車バルブ用部材の低摩擦性が向上する。より好ましい上記比率は、15%以上である。一方、上記凸部を有する領域の比率の好ましい上限は、80%である。
なお、上記凸部を有する領域の比率とは、上記凸部の径を評価する切断面において、凸部が占める面積の比率をいう。
【0059】
本発明の自動車バルブ用部材において、上記凸部は少なくとも自動車バルブ用部材の表面に形成されていればよく、部分的に形成されていてもよいし、全表面に形成されていてもよい。本発明の自動車バルブ用部材においては、弁座又は弁体と接触する接触部に凸部が形成されている形態であれば良い。
【0060】
上記凸部の形状は、原子間力顕微鏡によって確認することができる。例えば、原子間力顕微鏡を使用して自動車バルブ用部材表面を観察し、得られた位相像から表面の硬さを解析することによって、実質的にフッ素樹脂からなる凸部が存在することを確認できる。また、自動車バルブ用部材表面にある凸部の平均径は、例えば、100個の測定視野内平均径であり、測定視野内平均径は、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の長径と短径との和を2で除した値の平均値である。
また、凸部の平均高さは、例えば、100個の測定視野内平均高さであり、測定視野内高さとは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、各凸部の高さの値を平均した値である。
また、凸部を有する領域の比率は、例えば、100個の測定視野内占有率であり、測定視野内占有率とは、測定視野(100μm四方)内の凸部全てについて、凸部の高さ0.15μmの平面で切断してできる領域の面積が測定視野(100μm四方)の面積に占める割合である。
【0061】
原子間力顕微鏡:VEECO製 PM920−006−101 マルチモードVシステム
カンチレバー:VEECO Probes製HMX−10
測定環境:常温・常湿
測定視野:100μm四方
測定モード:ハーモニクスモード
【0062】
上記自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂は、膜状であることも本発明の好ましい形態の一つである。上記膜状のフッ素樹脂は、上記組成物に含まれるフッ素樹脂が析出した析出物である。上記自動車バルブ用部材は、表面に形成された膜状のフッ素樹脂と自動車バルブ用部材内部との間に明確な界面等が存在せず、膜状のフッ素樹脂が自動車バルブ用部材の内部と一体的に構成されている。膜状のフッ素樹脂は、自動車バルブ用部材の全表面を被覆していてもよいが、全表面を被覆している必要はなく、自動車バルブ用部材の表面においてフッ素ゴムが露出している部分があってもよい。
【0063】
次に、上記自動車バルブ用部材の製造方法について説明する。
【0064】
上記自動車バルブ用部材は、
(I)フッ素樹脂と未架橋フッ素ゴムとをフッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度で混練する混練工程、
(II)得られた混練物を成形架橋する成形架橋工程、および
(III)得られた架橋成形品をフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する熱処理工程
を含む方法により製造することができる。すなわち、この製造方法により得られた自動車バルブ用部材も本発明の1つである。
【0065】
未架橋フッ素ゴムは、架橋前のフッ素ゴムである。
【0066】
(I)混練工程
混練工程(I)では、未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂とを、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度、好ましくはフッ素樹脂の融点以上の温度で溶融混練する。加熱の上限は、未架橋フッ素ゴムまたはフッ素樹脂のいずれか低い方の熱分解温度未満である。
【0067】
未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂との溶融混練はその温度で架橋を引き起こす条件(架橋剤、架橋促進剤および受酸剤の存在下など)では行わないが、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の溶融混練温度で架橋を引き起こさない成分(たとえば特定の架橋剤のみ、架橋剤と架橋促進剤の組合せのみ、など)であれば、溶融混練時に添加混合してもよい。架橋を引き起こす条件としては、例えば、ポリオール架橋剤と架橋促進剤と受酸剤との組合せが挙げられる。
【0068】
したがって、本発明における混練工程(I)では、未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂とを溶融混練してプレコンパウンド(予備混合物)を調製し、ついで、架橋温度未満の温度で他の添加剤や配合剤を混練してフルコンパウンドとする2段階混練法が好ましい。もちろん、全ての成分を架橋剤の架橋温度未満の温度で混練する方法でもよい。
【0069】
上記架橋剤としては、アミン架橋剤、ポリオール架橋剤、パーオキサイド架橋剤等の公知の架橋剤を使用することができる。
【0070】
溶融混練は、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用して、フッ素樹脂の融点より5℃低い温度以上の温度、たとえば200℃以上、通常230〜290℃でフッ素ゴムと混練することにより行うことができる。これらの中でも、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダーまたは二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
【0071】
また、2段階混練法におけるフルコンパウンド化は、架橋温度未満、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
【0072】
上記溶融混練と類似の処理としてフッ素樹脂中で未架橋フッ素ゴムをフッ素樹脂の溶融条件下で架橋する処理(動的架橋)がある。動的架橋では、熱可塑性樹脂のマトリックス中に未架橋ゴムをブレンドし、混練しながら未架橋ゴムを架橋させ、かつその架橋したゴムをマトリックス中にミクロに分散させる方法であるが、本発明における溶融混練では、架橋を引き起こさない条件(架橋に必要な成分の不存在、またはその温度で架橋反応が起こらない配合など)で溶融混練するものであり、またマトリックスは未架橋ゴムとなり、未架橋ゴム中にフッ素樹脂が均一に分散している混合物である点において本質的に異なる。
【0073】
(II)成形架橋工程
この工程は、混練工程で得られた混練物を成形し架橋し、製造する自動車バルブ用部材と略同形状の架橋成形品を製造する工程である。
【0074】
成形方法としては、たとえば押出成形法、金型などによる加圧成形法、インジェクション成形法などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
架橋方法も、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法、放射線架橋法等が採用でき、なかでも、加熱による架橋反応が好ましい。
【0076】
成形および架橋の方法および条件としては、採用する成形および架橋において公知の方法および条件の範囲内でよい。また、成形と架橋は順不同で行ってもよいし、同時に並行して行ってもよい。
【0077】
たとえば、自動車バルブ用部材では、金型などで成形と架橋を同時に並行して行うことも通常行われている方法である。
【0078】
限定されない具体的な架橋条件としては、通常、150〜300℃の温度範囲、1分間〜24時間の架橋時間内で、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよい。
【0079】
また、未架橋ゴムの架橋において、最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施すことがあるが、つぎの熱処理工程(III)で説明するように、従来の2次架橋工程と本発明の成形架橋工程(II)および熱処理工程(III)とは異なる処理工程である。
【0080】
(III)熱処理工程
この熱処理工程では、得られた架橋成形品をフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱する。これにより、表面のフッ素樹脂比率が高い自動車バルブ用部材を得ることができる。また、上述した凸部を形成することもできるし、膜状にフッ素樹脂を析出させることもできる。
【0081】
本発明における熱処理工程(III)は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率を高めるために行う処理工程であり、この目的に即して、フッ素樹脂の融点以上で、かつ、フッ素ゴムおよびフッ素樹脂の熱分解温度未満の温度が採用される。
【0082】
加熱温度がフッ素樹脂の融点よりも低い場合は、架橋成形品表面のフッ素樹脂比率が十分に高くならない。フッ素ゴムおよびフッ素樹脂の熱分解を回避するために、フッ素ゴムまたはフッ素樹脂のいずれか低い方の熱分解温度未満の温度でなければならない。好ましい加熱温度は、短時間で低固着化および低摩擦化が容易な点から、フッ素樹脂の融点より5℃以上高い温度である。
【0083】
このように加熱時間は加熱温度との関係で適宜設定すればよいが、加熱処理をあまり高温で行うとフッ素ゴムが熱劣化することがあるので、加熱処理温度は、実用上300℃までである。
【0084】
かかる熱処理工程(III)を経ることにより、自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂比率が高くなるという現象は本発明者らにより初めて見出されたものである。
【0085】
また、上記(I)〜(III)の工程を経て製造した自動車バルブ用部材が凸部を有する場合、上記(III)の工程を行った後、研磨処理等により不要な部分の凸部を除去してもよい。
【0086】
ところで、従来行われている2次架橋は1次架橋終了時に残存している架橋剤を完全に分解しフッ素ゴムの架橋を完結し、架橋成形品の機械的特性や圧縮永久ひずみ特性を向上させるために行う処理である。
【0087】
したがって、フッ素樹脂の共存を想定していない従来の2次架橋条件は、その架橋条件が偶発的に熱処理工程の加熱条件と重なるとしても、2次架橋ではフッ素樹脂の存在を架橋条件設定の要因として考慮せずに未架橋フッ素ゴムの架橋の完結(架橋剤の完全分解)という目的の範囲内での加熱条件が採用されているにすぎず、フッ素樹脂を配合した場合にゴム架橋物(ゴム未架橋物ではない)中でフッ素樹脂を加熱軟化または溶融する条件を導き出せるものではない。
【0088】
なお、成形架橋工程(II)において、未架橋フッ素ゴムの架橋を完結させるため(架橋剤を完全に分解するため)の2次架橋を行ってもよい。
【0089】
また、熱処理工程(III)において、残存する架橋剤の分解が起こり未架橋フッ素ゴムの架橋が完結する場合もあるが、熱処理工程(III)における未架橋フッ素ゴムの架橋はあくまで副次的な効果にすぎない。
【0090】
混練工程(I)、成形架橋工程(II)、及び、熱処理工程(III)を含む製造方法により得られる自動車バルブ用部材は、フッ素樹脂の表面移行現象によって、表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態になっているものと推定される。
【0091】
特に、混練工程(I)で得られる混練物は、未架橋フッ素ゴムが連続相を形成しかつフッ素樹脂が分散相を形成している構造、または未架橋フッ素ゴムとフッ素樹脂が共に連続相を形成している構造をとっているものと推定され、このような構造を形成することにより、成形架橋工程(II)での架橋反応をスムーズに行うことができ、得られる架橋物の架橋状態も均一になり、また熱処理工程(III)におけるフッ素樹脂の表面移行現象がスムーズに起こりフッ素樹脂比率が増大した表面が得られる。
【0092】
なお、フッ素樹脂の表面層への移行がスムーズに起こる点から、熱処理工程はフッ素樹脂の融点温度以上での加熱処理が特に優れている。
【0093】
この表面領域でフッ素樹脂比率が増大した状態は、自動車バルブ用部材の表面をESCAやIRで化学的に分析することで検証できる。
【0094】
たとえば、ESCA分析では成形品の表面から約10nmまでの深さの原子団を同定できるが、熱処理後において、フッ素ゴム由来の結合エネルギーでのピーク(PESCA1)とフッ素樹脂由来のピーク(PESCA2)の比(PESCA1/PESCA2)が熱処理前に対して小さくなっている、すなわちフッ素樹脂の原子団が多くなっている。
【0095】
また、IR分析では成形品の表面から約0.5〜1.2μmまでの深さの原子団を同定できるが、熱処理後において、深さ0.5μmでのフッ素ゴム由来の特性吸収のピーク(PIR0.51)とフッ素樹脂由来のピーク(PIR0.52)の比(PIR0.51/PIR0.52)が熱処理前に対して小さくなっている、すなわちフッ素樹脂の原子団が多くなっている。しかも、深さ0.5μmでの比(PIR0.51/PIR0.52)と深さ1.2μmでの比(PIR1.21/PIR1.22)を比べても、深さ0.5μmでの比(PIR0.51/PIR0.52)の方が小さくなっており、表面に近い領域の方にフッ素樹脂比率が増大していることを示している。
【0096】
ところで、フッ素ゴムの表面をフッ素樹脂の塗布や接着で改質したものでは、フッ素樹脂比率の傾斜を呈さない。本発明の自動車バルブ用部材表面にはフッ素樹脂が析出しており、通常、フッ素樹脂比率の傾斜分布を有することとなる。このような自動車バルブ用部材は、従来にない新規な自動車バルブ用部材である。
【0097】
そして、表面のフッ素樹脂比率が高いことにより、フッ素樹脂の特性、たとえば低固着性、非粘着性、低摩擦性、撥水撥油性が格段に向上する。しかも、表面部分以外では逆にフッ素ゴムの特性が発揮でき、全体として、低固着性、非粘着性、低摩擦性、撥水撥油性、エラストマー性のいずれにもバランスよく優れた自動車バルブ用部材が得られる。さらに、フッ素樹脂とフッ素ゴムに明確な界面状態が存在しないので、表面のフッ素樹脂に富む領域が脱落することもなく、耐久性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の自動車バルブ用部材は、流体の流量を調整するための流量調整弁や、容器内の圧力を調整する圧力調整弁等に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0099】
11、21:流入側流路
12、22:流出側流路
13:ニードル(弁体)
14:自動車バルブ用部材(弁体のキャップ部材)
15:連通孔
16:電磁石
17:ニードル可動部
18:弁座
23a、23b:弁体
24:30:自動車バルブ用部材(弁座)
27a、27b:ばね
31:凸部
100:流量調整弁
200:圧力調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のバルブにおいて、流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に備えられ、弁体と当接又は離間することにより流体の流量を調整するための自動車バルブ用部材であって、
前記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなるとともに、表面に前記フッ素樹脂が析出したものであり、
前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、
前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である
ことを特徴とする自動車バルブ用部材。
【請求項2】
自動車のバルブにおいて、弁体に備えられ、弁座と当接又は離間することにより流体が流入する流入側流路と流体が流出する流出側流路との間に流れる流体の流量を調整するための自動車バルブ用部材であって、
前記自動車バルブ用部材は、フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物からなるとともに、表面に前記フッ素樹脂が析出したものであり、
前記フッ素樹脂は、エチレンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体であり、
前記フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライドに基づく重合単位を含む重合体である
ことを特徴とする自動車バルブ用部材。
【請求項3】
自動車バルブ用部材表面のフッ素樹脂比率は、内部よりも高い請求項1又は2記載の自動車バルブ用部材。
【請求項4】
フッ素ゴムは、
ビニリデンフルオライドに基づく重合単位と、
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種の単量体に基づく重合単位と、
を含む共重合体である請求項1、2又は3記載の自動車バルブ用部材。
【請求項5】
前記フッ素ゴム及びフッ素樹脂を含む組成物は、フッ素ゴムとフッ素樹脂との質量比が60/40〜97/3である請求項1、2、3又は4記載の自動車バルブ用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−185355(P2011−185355A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51028(P2010−51028)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】